(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】特異な粒子と親油性抗酸化剤との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20240105BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240105BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240105BHJP
A61K 8/03 20060101ALI20240105BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240105BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240105BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240105BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240105BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/25
A61K8/19
A61K8/03
A61K8/06
A61Q19/00
A61Q19/08
A61K8/67
A61K8/34
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019085564
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】小池 徹
(72)【発明者】
【氏名】原田 康子
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-221000(JP,A)
【文献】国際公開第2018/073971(WO,A1)
【文献】特表2019-529424(JP,A)
【文献】特開2018-140960(JP,A)
【文献】特開平05-271048(JP,A)
【文献】特開2016-084330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質を保護するための二相又は多相配合物の形態の組成物であって、
(a)少なくとも
200ml/100gである油の湿潤点、及び、少なくとも
300ml/100gである水の湿潤点を有する少なくとも1種の
セルロース含有粒子、
(b)
トコフェロールである、少なくとも1種の親油性抗酸化剤、
(c)少なくとも1種の油、並びに、
(d)水
を含
み、
前記(a)粒子の数平均一次粒径が10μm以下であり、
前記(a)粒子の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%であり、
前記(b)親油性抗酸化剤の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%である、組成物。
【請求項2】
前記(a)粒子の、水の湿潤点/油の湿潤点の比が、5以下である、請求項
1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(a)粒子が、多孔質である、請求項1
又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の前記(a)粒子の量が、組成物の総質量に対して、
0.1質量%~
15質量%である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記(b)親油性抗酸化剤が、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、及びこれらの混合物からなる群から選択される
、請求項1から
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の前記(b)親油性抗酸化剤の量が、組成物の総質量に対して、
0.005質量%~
1質量%である、請求項1から
5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
脂性肌、皮膚の乾燥、落屑の変化、スクアレン減少、ビタミンE減少、色素沈着、毛穴の問題、例えば毛穴の詰まり、毛穴の開き、ざ瘡及び黒色面皰、乾燥/脂性バランスの喪失、皮膚のくすみ、老化、並びに乳酸増加からなる群から選択される損傷から皮膚を保護することが意図されている、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
(a)少なくとも
200ml/100gである油の湿潤点、及び、少なくとも
300ml/100gである水の湿潤点を有する少なくとも1種の
セルロース含有粒子、
(b)
トコフェロールである、少なくとも1種の親油性抗酸化剤、
(c)少なくとも1種の油、並びに、
(d)水
を含む二相又は多相配合物の形態の組成物
であって、
前記(a)粒子の数平均一次粒径が10μm以下であり、
前記(a)粒子の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%であり、
前記(b)親油性抗酸化剤の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%である、組成物をケラチン物質上に適用する工程を含む
、ケラチン物質を保護するための非治療的方法。
【請求項9】
二相又は多相配合物の形態の組成物中の、
(a)少なくとも
200ml/100gである油の湿潤点、及び、少なくとも
300ml/100gである水の湿潤点を有する少なくとも1種の
セルロース含有粒子、
(b)
トコフェロールである、少なくとも1種の親油性抗酸化剤
の組み合わせの、
不飽和脂質の酸化を低減する又は制御するための、使用
であって、
前記(a)粒子の数平均一次粒径が10μm以下であり、
前記(a)粒子の量が、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%であり、
前記(b)親油性抗酸化剤の量が、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚等のケラチン物質を保護するのに好適な組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚、頭皮及び毛髪の表面で発生する脂質が、損傷を与える外部作用物質、具体的には大気汚染物質に、絶えず曝されていることは、公知である。
【0003】
これらの脂質は、皮膚又は毛髪の構成要素の一部を形成するものであり、並びに頭皮を含む皮膚によって分泌されるものであり、及び/又は脂質を含有する生成物が皮膚又は毛髪へ適用されたときに皮膚又は毛髪上に堆積されるものである。
【0004】
損傷を与える外部作用物質に最も曝露されている脂質は、スクアレンに富む、皮脂等の皮膚の脂肪分泌物中に含有されているものである。スクアレン中の6つの二重結合の存在が、スクアレンを、酸化に敏感なものとする。そのため、空気中の汚染物質への長期の曝露後に、スクアレンは過酸化されて過酸化スクアレンが生じる。
【0005】
この過酸化スクアレンの生成が多いと、具体的には、とりわけ皮膚中及び皮膚上で、一連の、続いて起きる劣化を引き起こして多くの皮膚障害を誘発する。このようにして、これらの過酸化スクアレンは、以下のことに関与する:
- ざ瘡の病態形成、これは、Saint Legerら(British Journal of Dermatology、第114巻、535~542頁(1986))によって記載されており、過酸化スクアレンは面皰を生じやすいと指摘している、
- 早発性の皮膚老化、これは、Keiko Ohsawaら(The Journal of Toxicology Sciences、第19巻、151~159頁(1984))によって記載されており、日光が誘引する皮膚の日焼けの結果について検討している、
- 刺激現象、これは、Takayoshi Tanakaら(J. Clin.Biochem.Nutr.、第1巻、201~207頁(1986))によって報告されており、特に、いくつかのシャンプーの繰り返しの使用により引き起こされる損傷に注意を引き付けた、
- 悪臭のある揮発性生成物(アルデヒド、ケトン、酸等)の生成、及び
- 皮膚のUV照射による生物学的作用の生化学的メッセンジャーの免疫抑制、これは、M. Picardoら(Photodermatol.Photoimmunol.Photomed、第3巻、105~110頁(1991))によって記載されている。
【0006】
不飽和脂質の過酸化を制限するのに、抗酸化剤を使用することは公知である。抗酸化剤には2つの種類がある。1つは、アスコルビン酸又はビタミンC等の親水性抗酸化剤である。もう一方は、トコフェロール又はビタミンE等の親油性抗酸化剤である。
【0007】
不飽和脂質の過酸化を低減する又は制御するのに抗酸化剤の単独使用よりも効果的な、新規なアプローチへの必要性が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】仏国特許第2608150号
【文献】仏国特許出願第2699818号
【文献】仏国特許出願第2706478号
【文献】仏国特許出願第2907339号
【文献】仏国特許出願第2814943号
【文献】仏国特許出願第2873026号
【文献】米国特許第4698360号
【文献】米国特許第6372266号
【文献】米国特許第5720956号
【文献】仏国特出願許第2908769号
【文献】仏国特許出願第2704754号
【文献】仏国特許出願第2877004号
【文献】仏国特許出願第2854160号
【文献】EP0511118
【文献】WO94/11338
【文献】仏国特許出願第2698095号
【文献】仏国特許出願第2737205号
【文献】EP0755925
【文献】仏国特出願許第2825920号
【非特許文献】
【0009】
【文献】Saint Legerら(British Journal of Dermatology、第114巻、535~542頁(1986))
【文献】Keiko Ohsawaら(The Journal of Toxicology Sciences、第19巻、151~159頁(1984))
【文献】Takayoshi Tanakaら(J. Clin.Biochem.Nutr.、第1巻、201~207頁(1986))
【文献】M. Picardoら(Photodermatol.Photoimmunol.Photomed、第3巻、105~110頁(1991))
【文献】Walter Noll、「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Press
【文献】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【文献】ASTM規格445付録C
【文献】A. B. G. Landsdown、Critical Reviews in Toxicology、1995、第25巻、397~462頁
【文献】R. S. Dwivedi、J. Toxicol. Cut. & Ocular Toxical. 6(3)、183~191頁(1987)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そのため、本発明の目的は、不飽和脂質の過酸化を低減する又は制御するのにより効果的である新規のアプローチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的は、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚等のケラチン物質を保護するための化粧用組成物であって、
(a)少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも150ml/100g、より好ましくは少なくとも200ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有する少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と
を含む、組成物によって達成することができる。
【0012】
(a)粒子の数平均一次粒径は、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下であってもよい。
【0013】
(a)粒子の、水の湿潤点/油の湿潤点の比は、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは2以下であってもよい。
【0014】
(a)粒子が多孔質であることが好ましい。
【0015】
(a)粒子は、多糖、ケイ素化合物、ホウ素化合物、金属化合物、ポリマー、パーライト、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含んでもよい。
【0016】
(a)粒子が少なくとも1種の多糖、好ましくはセルロースを含むことが好ましい。
【0017】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1.0質量%~10質量%であってもよい。
【0018】
(b)親油性抗酸化剤は、ヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチル、ノルジヒドログアヤレチン酸、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、パルミチン酸アスコルビル、トコフェロール、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0019】
(b)親油性抗酸化剤は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のトコフェロールであってもよい。
【0020】
本発明による組成物中の(b)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.005質量%~1質量%、より好ましくは0.01質量%~0.1質量%であってもよい。
【0021】
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の油又は(d)水を更に含んでもよい。他方で、本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の油及び(d)水を更に含んでもよい。後者の事例では、本発明による組成物は、二相又は多相配合物、W/Oエマルション又はO/Wエマルションの形態にあってもよく、好ましくは二相又は多相配合物の形態にあってもよい。
【0022】
本発明による組成物は、脂性肌、皮膚の乾燥、落屑の変化、スクアレン減少、ビタミンE減少、色素沈着、毛穴の問題、例えば毛穴の詰まり、毛穴の開き、ざ瘡及び黒色面皰、乾燥/脂性バランスの喪失、皮膚のくすみ、老化、並びに乳酸増加からなる群から選択される損傷から皮膚を保護することが意図されてもよい。
【0023】
本発明はまた、非治療的方法、好ましくは美容方法、より好ましくは皮膚等のケラチン物質を保護するための美容方法であって、
(a)少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも150ml/100g、より好ましくは少なくとも200ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有する少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と
を含む組成物をケラチン物質上に適用する工程を含む、方法にも関する。
【0024】
本発明はまた、
(a)少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも150ml/100g、より好ましくは少なくとも200ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有する少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と
の組み合わせの、
不飽和脂質の酸化を低減する又は制御するための、使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
鋭意検討の結果、発明者らは、不飽和脂質の過酸化を低減する又は制御するのにより効果的である新規のアプローチを発見した。
【0026】
新規のアプローチは、
(a)少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも150ml/100g、より好ましくは少なくとも200ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有する少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と
の組み合わせである。
【0027】
(a)粒子は、両親媒性であり、且つその表面が親水性でありうると同時にその内部空間も親水性でありうる。
【0028】
大気中の多環芳香族炭化水素(PAH)等の汚染物質が、皮脂等の不飽和脂質の過酸化を引き起こしうることは、公知である。(a)粒子は、こうした汚染物質を吸収することができ、又はこうした汚染物質をその内部空間中へ取り込むことができる。この、汚染物質の封じ込みに起因して、(a)粒子は、汚染物質が不飽和脂質の過酸化を引き起こすことを抑制することができる。
【0029】
理論に束縛されるわけではないが、(a)粒子はまた、(b)親油性抗酸化剤を吸収することもでき、又は(b)親油性抗酸化剤をその内部空間中へ取り込むこともできると推測される。そのため、(b)親油性抗酸化剤は、好ましくは(a)粒子の内部空間中で、汚染物質に対して抗酸化効果を効果的に及ぼすことができる。(a)粒子と(b)親油性抗酸化剤とのこの協働は、改善された抗酸化効果、好ましくは相乗的な抗酸化効果を付与することができる。
【0030】
したがって、本発明は、より効果的に、不飽和脂質の過酸化を低減する又は制御することができる。
【0031】
新規のアプローチの態様のうちの1つは、
(a)少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも150ml/100g、より好ましくは少なくとも200ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有する少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と
を含む、組成物である。
【0032】
(a)上記の特異な性質を有する粒子と(b)親油性抗酸化剤との上記組み合わせは、(b)親油性抗酸化剤の単独使用と比べて、不飽和脂質の過酸化を低減する又は制御するのに、驚くほど改善された効果、好ましくは相乗的な効果をもたらすことができる。しがたって、本発明は、(b)親油性抗酸化剤の単独使用よりも効果的に、好ましくは相乗的に、不飽和脂質の、好ましくは皮脂の、過酸化を低減する又は制御することができる。
【0033】
そのため、本発明は、皮脂等の不飽和脂質の過酸化によって引き起こされる損傷、例えば落屑の変化、スクアレン減少、ざ瘡及び黒色面皰、皮膚のくすみ、及び老化、例えばしわ及び/又は小じわの形成から皮膚を保護するのに有用でありうる。
【0034】
加えて、(a)粒子が汚染物質を吸収する、又はこうした汚染物質をその内部空間中へ取り込むことができるため、本発明は、汚染物質により引き起こされる様々な損傷、例えば脂性肌、皮膚の乾燥、落屑の変化、スクアレン減少、ビタミンE減少、色素沈着、毛穴の問題、例えば毛穴の詰まり、毛穴の開き、ざ瘡及び黒色面皰、乾燥/脂性バランスの喪失、皮膚のくすみ、老化、並びに乳酸増加を防ぐ又は低減することができる。
【0035】
新規のアプローチの別の態様は、(a)上記の特異な性質を有する粒子と(b)親油性抗酸化剤との上記組み合わせを使用することを特徴とする、方法である。
【0036】
新規のアプローチの別の態様は、(a)上記の特異な性質を有する粒子と(b)親油性抗酸化剤との上記組み合わせを特徴とする、使用である。
【0037】
そのため、本発明は、(a)上記の特異な性質を有する粒子と(b)親油性抗酸化剤との上記組み合わせを特徴とする、組成物、方法及び使用に関する。
【0038】
以下に、本発明のそれぞれを詳細に説明する。
【0039】
[組成物]
本発明による組成物は、
(a)少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも150ml/100g、より好ましくは少なくとも200ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有する少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と
を含む。
【0040】
(粒子)
本発明による組成物は、(a)特異な性質を有する少なくとも1種の粒子を含む。2種以上の粒子が使用される場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい。
【0041】
本発明に使用される(a)粒子は、
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも150ml/100g、より好ましくは少なくとも200ml/100g、更に好ましくは少なくとも250ml/100gであり、且つ好ましくは1500ml/100g以下である油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100g、更に好ましくは少なくとも350ml/100gであり、且つ好ましくは1500ml/100g以下である水の湿潤点
を有する。
【0042】
本明細書における用語「油の湿潤点」は、特に、目的の粉末によるペーストの形成によって認識できる、目的の粉末を完全に湿潤させるのに必要な油の分量又は量を意味する。
【0043】
油の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定することができる。
(1)油、具体的には直鎖状エステル油、例えばイソノナン酸イソノニル(WICKENOL 151/ALZO社)を加えながら、ガラス板上、スパチュラで目的の粉末2gを混練する。
(2)目的の粉末が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた油の質量を湿潤点の質量として決定する。
(3)油の湿潤点を、式:油の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/油の密度から算出する。
【0044】
同様に、本明細書における用語「水の湿潤点」は、特に、目的の粉末によるペーストの形成によって認識できる、目的の粉末を完全に湿潤させるのに必要な水の分量又は量を意味する。
【0045】
水の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定することができる。
(1)0.998g/mlの密度を有する水を加えながら、ガラス板上、スパチュラで目的の粉末2gを混練する。
(2)目的の粉末が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた水の質量を湿潤点の質量として決定する。
(3)水の湿潤点を、式:水の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/水の密度から算出する。
【0046】
本発明に使用される(a)粒子の、水の湿潤点/油の湿潤点の比が、5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下、更により好ましくは2以下であり、且つ好ましくは0.1以上であることが好ましい。
【0047】
本発明に使用される(a)粒子の粒径は限定されない。しかしながら、(a)粒子の数平均一次粒径が、50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは10μm以下、更により好ましくは2~5μmであることが好ましい。
【0048】
本発明に使用される(a)粒子の90体積%以上が、0.1~10μm、好ましくは0.5~8μm、より好ましくは1~7μmの範囲の数平均一次粒径を有することが好ましい。(a)粒子の90体積%以上が1~7μmの範囲の数平均一次粒径を有する場合、粒子に起因する光学的効果もまた達成されうる。
【0049】
数平均一次粒径は、例えば、SEM等によって得られる写真画像から抽出及び測定すること、レーザー回折粒径分析器等の粒径分析器を使用すること等によって測定することができる。レーザー回折粒径分析器等の粒径分析器を使用することが好ましい。
【0050】
本発明に使用される(a)粒子の最長径/最短径の比が、1.0~10、好ましくは1.0~5、より好ましくは1.0~3の範囲であることが好ましい。
【0051】
本発明に使用される(a)粒子は、多孔質であっても非多孔質であってもよい。しかしながら、本発明において使用される(a)粒子が多孔質であることが好ましい。
【0052】
(a)粒子の多孔度は、BET法により、0.05m2/g~1,500m2/g、より好ましくは0.1m2/g~1,000m2/g、更に好ましくは0.2m2/g~500m2/gの比表面積を特徴としうる。
【0053】
(a)粒子は、多糖、例えばセルロース; ケイ素化合物、例えばシリカ; ホウ素化合物、例えば窒化ホウ素; 金属化合物、例えばアルミナ、硫酸バリウム及び炭酸マグネシウム; ポリマー、例えばポリアミド、とりわけナイロン、アクリルポリマー、とりわけポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル/ジメタクリル酸エチレングリコール、ポリメタクリル酸アリル/ジメタクリル酸エチレングリコール又はジメタクリル酸エチレングリコール/メタクリル酸ラウリルコポリマーのもの;パーライト;並びにこれらの混合物に限定されない且つこれらから選択することができる任意の材料を含むことができる。
【0054】
(a)粒子が、多糖、ケイ素化合物、ホウ素化合物、金属化合物、ポリマー、パーライト、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の材料を含んでいることが好ましい。
【0055】
(a)粒子が、少なくとも1種の多糖を含んでいることがより好ましい。
【0056】
多糖は、アルギン酸、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガム、アラビノガラクタン、カラギーナン、寒天、カラヤガム、トラガカントガム、タラガム、ペクチン、ローカストビーンガム、カードラン、ジェランガム、デキストラン、プルラン、ヒアルロン酸、セルロース及びその誘導体、並びにこれらの混合物から選択することができる。セルロース及びその誘導体が好ましい。セルロースがより好ましい。
【0057】
本発明において、使用されうるセルロースは、セルロースI、セルロースII等のセルロースの型によっては限定されない。本発明のための(a)粒子の材料として使用されうるセルロースとして、II型セルロースが好ましい。
【0058】
本発明に使用される組成物中の(a)粒子のための材料として使用されうるセルロースは、任意の粒子状形態にあってもよく、特に球状粒子であってもよい。
【0059】
セルロース粒子、好ましくは球状セルロース粒子は、例えば以下のようにして調製することができる。
(1)凝集阻止剤として炭酸カルシウムのスラリーを、アルカリ性の水溶性アニオン性ポリマー水溶液に加え、撹拌する。
(2)ビスコースと上記(1)で得られた水溶液とを混合して、ビスコース微粒子の分散体を形成する。
(3)上記(2)で得られたビスコース微粒子の分散体を加熱して分散体中のビスコースを凝集させ、酸で中和して、セルロース微粒子を形成する。
(4)セルロース微粒子を、上記(3)で得られた母液から分離し、必要に応じて洗浄し乾燥させる。
【0060】
ビスコースは、セルロースの原料である。30~100質量%のガンマ価、及び4~10質量%のアルカリ濃度を有するビスコースを使用することが好ましい。上記の水溶性アニオン性ポリマーとして、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等を挙げることができる。上記の炭酸カルシウムは、分散体中のビスコース微粒子の凝集を阻止するために、且つセルロース粒子の粒径を小さくするために使用される。炭酸カルシウムスラリーとして、日本の奥多摩工業株式会社によって市販されているTama Pearl TP-221GSを挙げることができる。
【0061】
一実施形態によれば、セルロース誘導体は、セルロースエステル及びエーテルから選ぶことができる。
【0062】
用語「セルロースエステル」は、本明細書中の上記及び下記の文章中で、部分的又は全体的にエステル化された無水グルコース環のα(1~4)配列からなるポリマーを意味し、このエステル化は、前記無水グルコース環の遊離ヒドロキシル官能基のすべて又はその一部のみが、1~4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のカルボン酸又はカルボン酸誘導体(酸塩化物若しくは酸無水物)と反応することによって得られることが指摘される。
【0063】
好ましくは、セルロースエステルは、前記環の遊離ヒドロキシル官能基の一部と、1~4個の炭素原子を含有するカルボン酸との反応によって得られる。
【0064】
有利には、セルロースエステルは、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、イソ酪酸セルロース、アセト酪酸セルロース及びアセトプロピオン酸セルロース、並びにこれらの混合物から選ばれる。
【0065】
これらのセルロースエステルは、3,000~1,000,000、好ましくは10,000~500,000、より好ましくは15,000~300,000の範囲の質量平均分子量を有することができる。
【0066】
本明細書中の上記及び下記の文章中で、用語「セルロースエーテル」は、部分的にエーテル化された無水グルコース環のα(1~4)配列からなるポリマーを意味し、前記環の遊離ヒドロキシル官能基の一部は、-OR基で置換されており、Rは、好ましくは、1~4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のアルキル基である。
【0067】
そのため、セルロースエーテルは、好ましくは、1~4個の炭素原子を含有するアルキル基を有するセルロースアルキルエーテル、例えばセルロースメチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びイソブチルエーテルから選ばれる。
【0068】
これらのセルロースエーテルは、3,000~1,000,000、好ましくは10,000~500,000、より好ましくは15,000~300,000の範囲の質量平均分子量を有することができる。
【0069】
本発明に使用される(a)粒子として、例えば日本の大東化成工業株式会社によって市販されている以下の球状セルロース粒子を挙げることができる:
4μmの粒径を有するCellulobeads USF(油の湿潤点は296.0ml/100gであり、水の湿潤点は400.8ml/100gであり、水の湿潤点/油の湿潤点の比は1.4である)(多孔質セルロース)。
【0070】
本発明において使用される(a)粒子が、少なくとも1種のケイ素化合物、好ましくは酸化ケイ素、より好ましくはシリカを含んでいることもまた好ましい。
【0071】
本発明に好適なシリカは、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、及びこれらの混合物から選択される親水性シリカである。
【0072】
本発明に好適なシリカは、形状が球状であっても非球状であってもよく、多孔質であっても非多孔質であってもよい。本発明の実施形態の1つでは、本発明に好適なシリカは、球状であり且つ多孔質である。シリカ粒子の孔は、外部へ開口していてもよく、又は中心空洞の形態であってもよい。
【0073】
シリカは、親水性であってもよい。
【0074】
本発明において使用される(a)粒子が窒化ホウ素を含んでいることもまた好ましい。
【0075】
本発明による粉末に使用される窒化ホウ素の最も好ましい形態は、六方晶窒化ホウ素である。1つの好適な製品ラインは、Standard Oil Engineered Materials Company社、Niagara Falls、N.Y.から、Combat(登録商標)窒化ホウ素粉末として入手可能であり、高純度グレード、具体的にはSHP3グレードが好ましい。
【0076】
本発明に使用される(a)粒子は、予めコーティングされていてもいなくてもよい。
【0077】
特定の一実施形態では、(a)粒子は、元々コーティングされている。粒子の元のコーティングの材料は限定されないが、有機材料、例えばモノ若しくはジカルボン酸又はその塩、アミノ酸、N-アシルアミノ酸、アミド、シリコーン及び変性シリコーンが好ましい場合がある。有機材料として、コハク酸カリウム、ラウロイルリジン及びアクリル変性シリコーンを挙げることができる。
【0078】
換言すると、本発明に使用される(a)粒子は、表面処理されていてもよい。表面処理の例として、以下を挙げることができる:
(1)フッ素系化合物処理、例えばペルフルオロアルキルホスフェート、ペルフルオロアルキルシラン、ペルフルオロポリエーテル、フルオロシリコーン及びフッ素化シリコーン樹脂による処理
(2)シリコーン処理、例えば気相中におけるメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン及びテトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサンによる処理
(3)ペンダント処理、例えば気相シリコーン処理の後にアルキル鎖等を付加する処理
(4)シランカップリング剤処理
(5)チタンカップリング剤処理
(6)アルミニウムカップリング剤処理
(7)油剤処理
(8)N-アシル化リジン処理
(9)ポリアクリル酸処理
(10)金属石けん処理、例えばステアリン酸塩又はミリスチン酸塩を有するもの
(11)アクリル樹脂処理
(12)金属酸化物処理。
【0079】
上記の処理と組み合わせて、複数の表面処理を実施することが可能である。
【0080】
本発明に使用される(a)粒子として、Cellulobeads USF、Sunsphere H33及びBoron Nitride SHP3が好ましい。Cellulobeads USF及びSunsphere H33がより好ましく、Cellulobeads USFが最も好ましい。
【0081】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上であってもよい。
【0082】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下であってもよい。
【0083】
本発明による組成物中の(a)粒子の量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1.0質量%~10質量%であってもよい。
【0084】
(親油性抗酸化剤)
本発明による組成物は、(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤を含む。単一のタイプの親油性抗酸化剤が使用されてもよいが、2種以上の異なるタイプの親油性抗酸化剤を組み合わせて使用することもできる。
【0085】
本発明によれば、抗酸化剤は、皮膚中に存在しうる多種のラジカル形態を除去できる化合物又は物質であり、好ましくは、それらは、存在する多種のラジカル形態の全てを同時に除去する。
【0086】
(b)親油性抗酸化剤は、n-ブタノールと水との間の抗酸化剤の分配係数が、>1、より好ましくは>10、更により好ましくは>100であることを意味する。
【0087】
(b)親油性抗酸化剤は疎水性であり、アスコルビン酸又はグルタチオン等の親水性抗酸化剤ではない。
【0088】
(b)親油性抗酸化剤として、分子内にヒンダードフェノール構造又はセミヒンダードフェノール構造を有するフェノール性抗酸化剤を挙げることができる。こうした化合物の特定の例として、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸で、これは、INCI名が、ヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチルであり、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、モノ-又はジ-又はトリ-(α-メチルベンジル)フェノール、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、トリス[N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)]イソシアヌレート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ブチリデン-1,1ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-tert-ブチル-6-(3'-tert-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-アクリル酸メチルフェニル、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-アクリル酸ペンチルフェニル、4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート及び1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を挙げることができる。
【0089】
(b)親油性抗酸化剤として、BHA(ブチル化ヒドロキシルアニソール)及びBHT(ブチル化ヒドロキシルトルエン)、ビタミンE(又はトコフェロール及びトコトリエノール)並びにその誘導体、例えばホスフェート誘導体、例としては昭和電工株式会社により販売されているTPNA(登録商標)、コエンザイムQ10(又はユビキノン)、イデベノン、特定のカロテノイド、例えばルテイン、アスタキサンチン、β-カロテン、ポリフェノール、フェノール酸及び誘導体(例えばクロロゲン酸)、及びポリフェノールの主なサブグループを表すフラボノイドを挙げることができる。
【0090】
フラボノイドの中でも、とりわけ、カルコン、ヒドロキシル化カルコン及びその還元誘導体(とりわけ仏国特許第2608150号に記載のもの)、例としてはフロレチン、ネオヘスペリジン、フロリジン、アスパラチン等、フラバノン、例としてはヘスペレチン及びナリンジン、フラボノール、例としてはケルセチン、ルチン、フラバノール、例としてはカテキン、EGCG、フラボン、例としてはアピゲニジン、並びに最後にアントシアンを挙げることができる。タンニンもまた更に挙げることができる。仏国特許出願第2699818号、仏国特許出願第2706478号、仏国特許出願第2907339号、仏国特許出願第2814943号及び仏国特許出願第2873026号に記載の化合物もまた参照することができる。
【0091】
ポリフェノール化合物は、とりわけ、緑茶、リンゴ、ホップ、グアバ、ココア、又はクリ、オーク、セイヨウトチノキ若しくはハシバミ等の木の抽出物から選ばれる植物抽出物に由来してもよい。フランスカイガンショウ樹皮の抽出物を使用することもまた可能であり、これは、例えば米国特許第4698360号、米国特許第6372266号及び米国特許第5720956号に記載の方法に従って得られる。こうした抽出物の例として、INCI名がフランスカイガンショウ(樹皮の抽出物)でCTFA名がマツ(フランスカイガンショウ)の樹皮の抽出物と称される化合物を引用することができる。それは、具体的には、BIOLANDES AROMES firm社及び/又はHORPHAG Research社によって名称PYCNOGENOL(登録商標)で市販されているフランスカイガンショウ樹皮の抽出物であってもよい。LAYN Natural Ingredients社からのマツ樹皮の抽出物(Maritime)、Blue California社からのPine Bark、更にはD.R.T.(Les Derives Resiniques et Terpeniques)社からのOligopin(登録商標)もまた、引用することができる。
【0092】
このように、本発明との関連において、用語「ポリフェノール化合物」はまた、これらのポリフェノール化合物に富む植物抽出物それ自体も包含する。
【0093】
更に挙げることができる(b)親油性抗酸化剤には、ジチオラン、例としてはアスパラガス酸又はその誘導体、例としては珪質のジチオラン誘導体、とりわけ、例えば仏国特許出願第2908769号に記載のものが挙げられる。
【0094】
更に挙げることもできる(b)親油性抗酸化剤には、以下がある:
グルタチオン及びその誘導体(GSH及び/又はGSHOEt)、例えばグルタチオンアルキルエステル(例えば仏国特許出願第2704754号及び仏国特許出願第2908769号に記載のもの)、
システイン及びその誘導体、例えばN-アセチルシステイン又はL-2-オキソチアゾリジン-4-カルボン酸である。更に参照できるのは、仏国特許出願第2877004号及び仏国特許出願第2854160号に記載のシステイン誘導体である、
フェルラ酸及びその誘導体(エステル、塩等)。特に挙げることができるのは、フェルラ酸とC1~C30アルコールとのエステル、具体的にはフェルラ酸メチル、フェルラ酸エチル、フェルラ酸イソプロピル、フェルラ酸オクチル及びフェルラ酸オリザニルである、
酸化ストレスに対して保護するための特定の酵素、例えばカタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ラクトペルオキシダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ及びキノンリダクターゼ、
ベンジルシクラノン、置換されているナフタレノン、ピドレート(とりわけ特許出願EP0511118に記載のもの)、コーヒー酸及びその誘導体、γ-オリザノール、メラトニン、スルホラファン、及びそれを含有する抽出物(クレソンを除く)、
ジイソプロピルの、N,N'-ビス(ベンジル)エチレンジアミン-N,N'-二酢酸とのエステル、とりわけ特許出願WO94/11338、仏国特許出願第2698095号、仏国特許出願第2737205号又は特許出願EP0755925に記載のもの、並びに
デフェロキサミン(又はデスフェラール)で、仏国特許出願第2825920に記載のもの。
【0095】
好ましくは使用される(b)親油性抗酸化剤は、カルコン、より詳細にはフロレチン又はネオフェスペリジン、N,N'-ビス(ベンジル)エチレンジアミン-N,N'-二酢酸のジイソプロピルエステル、又はPYCNOGENOL(登録商標)等のフランスカイガンショウ樹皮の抽出物である。
【0096】
(b)親油性抗酸化剤の例として、ヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチル、ノルジヒドログアヤレチン酸、没食子酸プロピル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシルアニソール、パルミチン酸アスコルビル、トコフェロール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0097】
(b)親油性抗酸化剤は、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のトコフェロールであってもよい。ビタミンEもまた、(b)親油性抗酸化剤として使用されうる。
【0098】
本発明による組成物中の(b)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%以上、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であってもよい。
【0099】
本発明による組成物中の(b)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、5質量%以下、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であってもよい。
【0100】
本発明による組成物中の(b)親油性抗酸化剤の量は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~5質量%、好ましくは0.005質量%~1質量%、より好ましくは0.01質量%~0.1質量%であってもよい。
【0101】
(油)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の油を含んでもよい。2種以上の油が使用される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0102】
ここで、「油」は、室温(25℃)、大気圧(760mmHg)下で液状又はペースト状(非固体)の形態である脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧料中で一般に使用されるものが、単独で、又はそれらの組み合わせにおいて使用されうる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0103】
油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油、植物油若しくは動物油及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってもよい。
【0104】
油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
【0105】
油が、合成油、炭化水素油、及びこれらの混合物から、より好ましくはエステル油、炭化水素油、及びこれらの混合物から、更に好ましくはエステル油から選択されることが好ましい。
【0106】
植物油の例として、例えば、アマニ油、カメリア油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アブラナ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0107】
動物油の例として、例えば、スクアレン及びスクアランを挙げることができる。
【0108】
合成油の例として、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0109】
エステル油は、好ましくは、飽和の又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一酸又は多酸の液状エステルと、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0110】
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中からの少なくとも1種は、分枝状である。
【0111】
一酸及びモノアルコールのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0112】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用されてもよい。
【0113】
とりわけ、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール及びジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0114】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」が、いくつかのアルコール官能基を含有し、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有さず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってもよい。
【0115】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、とりわけアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0116】
脂肪酸の糖エステルは、前述の糖と、直鎖状若しくは分枝状の、飽和若しくは不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22の脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から特に選択することができる。これらの化合物が不飽和である場合、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0117】
この変形によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル及びポリエステル、並びにこれらの混合物からも選択することができる。
【0118】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0119】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0120】
挙げることができる例は、Amerchol社によって名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0121】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、(カプリル酸/カプリン酸)2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0122】
人工トリグリセリドの例として、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0123】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等; 環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0124】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選ばれる。
【0125】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用されうる有機変性シリコーンは、上記で定義した、且つそれらの構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む、シリコーン油である。
【0126】
オルガノポリシロキサンは、Walter Nollの「Chemistry and Technology of Silicones」(1968)、Academic Pressにおいてより詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0127】
これらが揮発性であるとき、シリコーンは、より詳細には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選ばれ、更により詳細には、以下から選ばれる:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7207で、又はRhodia社により名称Silbione(登録商標)70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標)7158で、Rhodia社により名称Silbione(登録商標)70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。ジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等の型のシクロコポリマー、例えば式:
【0128】
【0129】
の、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109もまた挙げることができる。
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物もまた挙げることもできる、
並びに
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃にて5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この分類に属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて公表されている論文に記載されている。該シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃にて測定されている。
【0130】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンもまた使用されてもよい。これらの不揮発性シリコーンは、より詳細にはポリジアルキルシロキサンから選ばれ、その中では、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0131】
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500 000油、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば粘度60000mm2/sのDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズの一部の油(SF 96、SF 18)。
【0132】
名称ジメチコノール(CTFA)で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油もまた、挙げることができる。
【0133】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0134】
フェニルシリコーン油は、以下の式:
【0135】
【0136】
(式中、
R1~R10は、互いに独立に、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1~C30炭化水素系基、好ましくはC1~C12炭化水素系基、より好ましくはC1~C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル又はブチルの各基であり、
m、n、p及びqは、互いに独立に、両端を含んで0~900、好ましくは両端を含んで0~500、より好ましくは両端を含んで0~100の整数であり、
但し、n+m+qの和は0以外である)
のフェニルシリコーンから選ぶことができる。
【0137】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製のDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluidの油、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えばPK20製品、
- General Electric社製のSFシリーズの一部の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0138】
フェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(上記の式中、R1~R10は、メチルであり、p、q及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0139】
有機変性液状シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してもよい。そのため、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製のSilwet(登録商標)L722油及びL77油を挙げることができる。
【0140】
炭化水素油は、以下から選ぶことができる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンがある、並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、液状ワセリン(petroleum jelly)、ポリデセン、及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクアラン。
【0141】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱物油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等; 水添ポリイソブテン、イソエイコサン及びデセン/ブテンコポリマー; 並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0142】
脂肪アルコールにおける用語「脂肪」は、比較的大きい数の炭素原子を包含することを意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0143】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選ばれる)を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選ばれうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0144】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0145】
脂肪アルコールが飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0146】
そのため、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択されうる。
【0147】
用語「飽和脂肪アルコール」は、本明細書では、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールが、任意の直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪アルコールが、好ましくは使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪アルコールが、より好ましくは使用されうる。分枝状C16~C20脂肪アルコールが、更により好ましくは使用されうる。
【0148】
飽和脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)、並びにベヘニルアルコールが、飽和脂肪アルコールとして使用されうる。
【0149】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選ばれる。
【0150】
(c)油が、極性油から、より好ましくはエステル油から選ばれることが好ましい場合がある。換言すれば、(c)油が、少なくとも1種の極性油、より好ましくは少なくとも1種のエステル油を含むことが好ましい場合がある。
【0151】
本発明による組成物中の(c)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってもよい。
【0152】
本発明による組成物中の(c)油の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以下、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下であってもよい。
【0153】
本発明による組成物中の(c)油の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~50質量%、好ましくは3質量%~45質量%、より好ましくは5質量%~40質量%であってもよい。
【0154】
(水)
本発明による組成物は、(d)水を含んでもよい。
【0155】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であってもよい。
【0156】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下であってもよい。
【0157】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、10質量%~95質量%、好ましくは20質量%~90質量%、より好ましくは30質量%~85質量%であってもよい。
【0158】
(追加の任意選択の成分)
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の追加の任意選択の成分を含んでもよい。
【0159】
追加の任意選択の成分は、カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性のポリマー、アニオン性、非イオン性又は両性の界面活性剤、有機又は無機UV遮蔽剤、ペプチド及びその誘導体、タンパク質加水分解物、膨潤剤及び浸透剤、脱毛に対抗するための薬剤、ふけ防止剤、天然又は合成の増粘剤、懸濁化剤、金属イオン封鎖剤、乳白剤、染料、日焼け止め剤、成分(b)以外のビタミン又はプロビタミン、香料、保存剤、共保存剤、安定剤、並びにこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0160】
追加の任意選択の成分の量は限定されないが、本発明による組成物の総質量に対して、0.01質量%~30質量%、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは1質量%~10質量%であってもよい。
【0161】
[調製]
本発明による組成物は、上で説明した必須成分と、上で説明した任意選択の成分(必要な場合)とを混合して調製することができる。
【0162】
上記の必須成分と任意選択の成分とを混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段が、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合して本発明による組成物を調製するために使用されうる。
【0163】
[形態]
本発明による組成物は、様々な形態にあってもよい。
【0164】
本発明による組成物が(c)少なくとも1種の油又は(d)水を含む場合、本発明による組成物は、例えば、懸濁液、分散体又は溶液の形態にあってもよい。本発明による組成物の態様は、流体、ゲル、ペースト又はクリームであってもよい。
【0165】
本発明による組成物が(c)少なくとも1種の油及び(d)水を含む場合、本発明による組成物は、例えば、水中油(O/W)、油中水(W/O)、並びに多層(例えばW/O/W、ポリオール/O/W、及びO/W/O)エマルション等のエマルション、又は二相若しくは多相配合物等の形態にあってもよい。本発明による組成物が、二相若しくは多相配合物、又はW/Oエマルションの形態にあること、より好ましくは二相又は多相配合物の形態にあることが好ましい場合がある。多相配合物中で、(a)粒子は粉末相を形成することができ、(c)油は油相を形成することができ、(d)水は水性相を形成することができる。本発明による組成物の態様は、流体、ゲル、ペースト又はクリームであってもよい。
【0166】
[化粧用組成物]
本発明による組成物は、化粧用組成物、好ましくは皮膚等のケラチン物質を保護するための化粧用組成物、より好ましくは顔を保護するための化粧用組成物であることができる。
【0167】
ケラチン物質は、皮膚、頭皮、唇及び毛髪からなる群から選択することができる。
【0168】
本発明による組成物が皮膚化粧用組成物として使用されることが好ましい。
【0169】
本発明による組成物は、脂性肌、皮膚の乾燥、落屑の変化、スクアレン減少、ビタミンE減少、色素沈着、毛穴の問題、例えば毛穴の詰まり、毛穴の開き、ざ瘡及び黒色面皰、乾燥/脂性バランスの喪失、皮膚のくすみ、老化、並びに乳酸増加からなる群から選択される損傷から皮膚を保護することが意図されていてもよい。
【0170】
好ましくは、本発明による組成物は、落屑の変化、スクアレン減少、ざ瘡及び黒色面皰、皮膚のくすみ、並びにしわ及び/又は小じわの形成等の老化から皮膚を保護するために使用することができる。
【0171】
本発明に使用される組成物は、例えば、ローション又は化粧水、セラム、乳液、クリーム、ベースファンデーション、アンダーコート、メイクアップベースコート、ファンデーション、リップスティック、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナー、コンシーラー、ネイルコート、マスカラ、日焼け止め剤、洗浄剤等の形態にあってもよい。
【0172】
当業者が、使用する構成要素の性質、例えばそれらのビヒクル中の溶解性、及び組成物について想定される用途を考慮に入れて、自身の一般知識に基づき、適切な提示形態並びにその調製方法を選ぶことができることが理解されるべきである。
【0173】
[方法]
本発明はまた、
(a)少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも150ml/100g、より好ましくは少なくとも200ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有する少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と
を含む組成物をケラチン物質上に適用する工程を含む、非治療的方法、好ましくは美容方法、より好ましくは皮膚等のケラチン物質を保護するための美容方法にも関する。
【0174】
ケラチン物質は、皮膚、頭皮、唇及び毛髪からなる群から選択することができる。
【0175】
都市環境は、最大の汚染に常に曝されている。人は、その日常環境において、特に都市部では、様々な空中汚染物質によって、ケラチン物質、詳細には皮膚、頭皮及び毛髪を攻撃するあらゆる因子に曝されうる。主に一次及び二次燃焼生成物によって代表される大気汚染物質は、主要な環境酸化ストレス源である。都市汚染は、多種のタイプの化学的及び生体異物的な生成物及び粒子から構成される。皮膚及び毛髪に有害作用を及ぼしうる汚染物質の主要なカテゴリーは、ガス、重金属、多環芳香族炭化水素(PAH)、並びに非常に多数の有機及び無機化合物が吸着された燃焼残渣である粒子状要素である。
【0176】
環境毒素に最初に且つ直接に曝露されるのは、最も外側の組織である。皮膚は、酸化促進環境に直接に且つ頻繁に曝露され、酸化ストレスの作用に特に敏感であり、その最外層は、起こりうる酸化的損傷に対するバリアとしての役割を果たす。ほとんどの状況において、酸化剤は、一般に、ケラチン物質との反応後に中和されるが、形成された反応生成物は、細胞及び組織に対する攻撃の原因となりうる。皮膚のバリアである角質層は、空気と皮膚組織との接触部位であり、脂質/タンパク質の二相構造が、皮膚のこのバリア機能の重大な因子である。これらの要素は、酸化剤と反応し、障害を受け、これにより、落屑現象を促進しうる。
【0177】
ケラチン物質に悪影響を及ぼしうる汚染物質の中で、毒性ガス、例えばオゾン、一酸化炭素、窒素酸化物又は硫黄酸化物は、汚染物質の主要な構成要素の一部である。これらの毒性ガスは、ケラチン物質の落屑を促進し、ケラチン物質を「疲労させる」、すなわち、くすませ、汚くすることが見出されている。同様に、ケラチン物質の細胞の窒息が観察されている。
【0178】
重金属(鉛、カドミウム及び水銀)は、大気汚染物質であり、その放出が、とりわけ都市及び産業環境においてかなり増加していることは公知である。これらの金属の作用のほとんどは、他の組織(肺、腎臓、脳等)において見られるが、一定の金属は、皮膚に浸透し、そこで蓄積されるようになりうることが示されている(A. B. G. Landsdown、Critical Reviews in Toxicology、1995、第25巻、397~462頁)。
【0179】
それらが引き起こす一定の毒性作用に加えて、重金属は、フリーラジカルに対する細胞防御手段の活性を低減するという特性を有する[例えば、R. S. Dwivedi、J. Toxicol. Cut. & Ocular Toxical. 6(3)、183~191頁(1987)を参照されたい]。そのため、重金属は、自然防御手段の有効性を低減することによってガス状汚染物質の毒性作用を悪化させ、細胞老化現象の加速を招く。これは特に、外部環境と直接に且つ恒久的に接触しているケラチン物質、とりわけ皮膚、頭皮及び毛髪に当てはまる。
【0180】
汚染物質の別の主要なカテゴリーは、非常に多数の有機化合物、特にベンゾピレン等の多環芳香族炭化水素(PAH)が吸着された粒子の形態の燃焼残渣からなる。都市大気中の粒子及び粉塵の表面に吸着されたこれらのPAHは、皮膚組織に浸透し、その中で貯蔵される且つ/又は生体内変換されるようになりうる。
【0181】
そのため、汚染のケラチン物質に対する有害作用は、細胞呼吸に影響を与え、皮膚の老化の加速、並びにくすんだ顔色及びしわ又は小じわの早期形成によって、更には毛髪の活力が低減し、それにより、毛髪がくすんだ外観を呈することによって、反映される。加えて、汚染に起因して、皮膚及び毛髪は、より速く汚くなる。
【0182】
本発明は、汚染物質によって引き起こされる損傷と闘うことができる。こうした損傷の例には、脂性肌、皮膚の乾燥、落屑の変化、スクアレン減少、ビタミンE減少、色素沈着、毛穴の問題、例えば毛穴の詰まり、毛穴の開き、ざ瘡及び黒色面皰、乾燥/脂性バランスの喪失、皮膚のくすみ、皮膚老化、並びに乳酸増加が挙げられる。
【0183】
そのため、本発明による方法は、脂性肌、皮膚の乾燥、落屑の変化、スクアレン減少、ビタミンE減少、色素沈着、毛穴の問題、例えば毛穴の詰まり、毛穴の開き、ざ瘡及び黒色面皰、乾燥/脂性バランスの喪失、皮膚のくすみ、老化、並びに乳酸増加からなる群から選択される損傷から皮膚を保護するために使用することができる。
【0184】
詳細には、皮脂の過酸化は、皮膚等のケラチン物質に対する損傷の原因の1つであると考えられる。こうした損傷の例には、落屑の変化、スクアレン減少、ざ瘡及び黒色面皰、皮膚のくすみ、並びにしわの形成及び/又は小じわの形成等の老化が挙げられる。
【0185】
そのため、好ましくは、本発明による組成物は、落屑の変化、スクアレン減少、ざ瘡及び黒色面皰、皮膚のくすみ、並びにしわ及び/又は小じわの形成等の老化から皮膚を保護するために使用することができる。
【0186】
[使用]
本発明はまた、
(a)少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも150ml/100g、より好ましくは少なくとも200ml/100gである油の湿潤点、及び
少なくとも100ml/100g、好ましくは少なくとも200ml/100g、より好ましくは少なくとも300ml/100gである水の湿潤点
を有する少なくとも1種の粒子と、
(b)少なくとも1種の親油性抗酸化剤と
の組み合わせの、
不飽和脂質の酸化を低減する又は制御するための、使用にも関する。
【0187】
不飽和脂質の例には、スクアレンが挙げられる。皮脂はスクアレンが豊富である。そのため、皮脂は、不飽和脂質の典型的な例である。皮脂が不飽和脂質の典型的な例であるので、本発明による使用は、皮脂の酸化、具体的には皮脂の過酸化を低減する又は制御するのに使用することができる。
【0188】
(a)上記の特異な性質を有する粒子と(b)親油性抗酸化剤との上記組み合わせは、(b)親油性抗酸化剤の単独使用と比べて、皮脂等の不飽和脂質の過酸化を低減する又は制御するのに、驚くほど改善された効果、好ましくは相乗的な効果をもたらすことができる。したがって、本発明による使用は、(b)親油性抗酸化剤の単独使用よりも効果的に、好ましくは相乗的に、皮脂等の不飽和脂質の過酸化を低減する又は制御することができる。
【実施例】
【0189】
本発明を、実施例によってより詳細に説明するが、これは、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0190】
(実施例1及び比較例1~4)
[調製]
表1に示す実施例1及び比較例1~4による以下の化粧用組成物を、表1に示す成分を混合して調製した。表1に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。
【0191】
【0192】
セルロースビーズの性質を表2に示す。
【0193】
【0194】
(油の湿潤点)
油の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定した。
(1)25℃にて9cPの粘度及び0.853g/mlの密度を有するイソノナン酸イソノニルを加えながら、ガラス板上、スパチュラで粉末成分2gを混練した。
(2)粉末成分が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた油の質量を、湿潤点の質量として決定した。
(3)油の湿潤点を、式:油の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/油の密度から算出した。
【0195】
(水の湿潤点)
水の湿潤点は、以下のプロトコルによって決定した。
(1)0.998g/mlの密度を有する水を加えながら、ガラス板上、スパチュラで粉末成分2gを混練した。
(2)粉末成分が完全に濡れてペーストを形成し始めたら、加えた水の質量を、湿潤点の質量として決定した。
(3)水の湿潤点を、式:水の湿潤点(ml/100g)={(湿潤点の質量)/2g}×100/水の密度から算出した。
【0196】
[評価]
(スクアレンの酸化抑制の評価)
ベンゾピレンを汚染物質の代表として使用した。ベンゾピレンは、皮脂の酸化を促進する物質として知られる。スクアレンを皮脂の代表として使用した。
【0197】
実施例1及び比較例1~4による上記組成物のそれぞれを、同様に、ベンゾピレンを含む分散体(1質量%のベンゾピレンと5質量%のアセトンと10質量%のラウリン酸ポリグリセリル-10とを水中で混合して調製した水性分散体)と混合して混合物を得た。
【0198】
得られた混合物5gを50℃にて一晩乾燥させた。水5gを、乾燥した混合物に加え、乾燥した混合物を、手で振盪することによって再分散させた。スクアレンの濃度が0.01質量%であるように、スクアレンを分散体へ加えた。得られた分散体に、Suntest CPS(株式会社東洋精機製作所、765W/m2)によりUV線を15分間照射した。ヒドロペルオキシドのレベルを、LPOキット(Cayman社製の脂質ヒドロペルオキシドアッセイキット)により分析した。
【0199】
結果を、表1中の「ヒドロペルオキシド濃度(μM)」の列に示す。
【0200】
(結果)
表1中の試験結果は、実施例1による組成物の抗酸化効果が、比較例1~4による組成物の抗酸化効果よりも大きいことを示している。
【0201】
実施例1による組成物の抗酸化効果と、比較例1による組成物の抗酸化効果との比較は、セルロースビーズと親油性抗酸化剤との組み合わせが、優れた抗酸化効果をもたらしうることを明示している。
【0202】
実施例1による組成物の抗酸化効果と、比較例2による組成物の抗酸化効果との比較は、セルロースビーズと親油性抗酸化剤との組み合わせが、親油性抗酸化剤の単独使用よりも良好な抗酸化効果をもたらしうることを明示している。
【0203】
実施例1による組成物の抗酸化効果と、比較例3及び4による組成物の抗酸化効果との比較は、セルロースビーズと親油性抗酸化剤との組み合わせが、セルロースビーズと親水性抗酸化剤との組み合わせ、例えばグルタチオンとアスコルビン酸との組み合わせよりも良好な抗酸化効果をもたらしうることを明示している。
【0204】
(実施例2並びに比較例5及び6)
[調製]
表3に示す実施例2並びに比較例5及び6による以下の化粧用組成物を、表3に示す成分を混合して調製した。表3に示す成分の量についての数値はすべて、活性原料の「質量%」に基づく。表3中のセルロースビーズは、表1中で使用したものと同一であった。
【0205】
【0206】
[評価]
(スクアレンの酸化抑制の評価)
ベンゾピレンを汚染物質の代表として使用した。スクアレンを皮脂の代表として使用した。
【0207】
実施例2並びに比較例5及び6による上記組成物のそれぞれを、同様に、ベンゾピレンを含む分散体(1質量%のベンゾピレンと5質量%のアセトンと10質量%のラウリン酸ポリグリセリル-10とを水中で混合して調製した水性分散体)と混合して混合物を得た。
【0208】
得られた混合物5gを50℃にて一晩乾燥させた。水5gを、乾燥した混合物に加え、乾燥した混合物を、手で振盪することによって再分散させた。スクアレンの濃度が0.01質量%であるように、スクアレンを分散体へ加えた。得られた分散体に、Suntest CPS(株式会社東洋精機製作所、765W/m2)によりUV線を15分間照射した。ヒドロペルオキシドのレベルを、LPOキット(Cayman社製の脂質ヒドロペルオキシドアッセイキット)により分析した。
【0209】
結果を、表3中の「ヒドロペルオキシド濃度(μM)」の列に示す。
【0210】
(結果)
表3中の試験結果は、実施例2による組成物の抗酸化効果が、比較例5及び6による組成物の抗酸化効果よりも大きいことを示している。
【0211】
実施例2による組成物の抗酸化効果と、比較例5による組成物の抗酸化効果との比較は、セルロースビーズと親油性抗酸化剤との組み合わせが、優れた抗酸化効果をもたらしうることを明示している。
【0212】
実施例1による組成物の抗酸化効果と、比較例6による組成物の抗酸化効果との比較は、セルロースビーズと親油性抗酸化剤との組み合わせが、親油性抗酸化剤の単独使用よりも良好な抗酸化効果をもたらしうることを明示している。
【0213】
表1中の実施例1による組成物の抗酸化効果と、表3中の実施例2による組成物の抗酸化効果との比較は、二相配合物の形態の本発明が、W/Oエマルションの形態の本発明よりも良好な抗酸化効果をもたらしうることを示している。