(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】貼付剤
(51)【国際特許分類】
A61K 9/70 20060101AFI20240105BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240105BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240105BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240105BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240105BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61K9/70 401
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/14
A61K47/32
A61K47/38
(21)【出願番号】P 2019116188
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2022-06-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)平成31年2月27日 興和株式会社東部物流センター(埼玉県加須市芋茎1052-1)にて納品した (2)平成31年2月28日 興和株式会社九州物流センター(佐賀県鳥栖市姫方町字蓮原1628)にて納品した (3)平成31年3月2日 興和株式会社西日本物流センター(大阪府門真市殿島町9-7)にて納品した (4)平成31年3月8日 興和株式会社北海道物流センター(北海道札幌市白石区東札幌六条1-2-30札幌三信倉庫本社物流ビル内)にて納品した
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕明
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-045101(JP,A)
【文献】特開2002-193793(JP,A)
【文献】特開2016-199521(JP,A)
【文献】特開平11-335277(JP,A)
【文献】特開2013-184976(JP,A)
【文献】国際公開第2013/027681(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/171538(WO,A1)
【文献】特開2008-231600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に粘着基剤層が積層されており、支持体が、捲縮率が20~80%の繊維を用いて製した編物から構成され、且つ粘着基剤層が、下記成分(A)及び(B)
並びにポリアクリル酸部分中和物及びカルメロースナトリウムを含有する、貼付剤。
(A)
イソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン及びトリオレイン酸ソルビタンから選ばれる1種又は2種以上のソルビタン系非イオン界面活性剤
(B)マクロゴール
と、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル及びセバシン酸ジイソプロピルから選ばれる1種又は2種以上のジカルボン酸ジエステル
との組み合わせ
【請求項2】
マクロゴールが、平均分子量100~35000のマクロゴールである、請求項
1に記載の貼付剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貼付剤に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会を迎えて久しい我が国では、膝、肘、足首、股等における関節痛や腰痛、神経痛を持病として抱える高齢者が多い。これら持病の治療手段として、内服薬の服用と貼付剤の貼付が行われているが、内服薬には、NSAIDs等の消炎鎮痛薬が配合されており、服用した場合に消化管障害等が副作用として誘発されることがある。
一方、貼付剤、とりわけ局所作用性の製剤の貼付であれば、上記副作用を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-281202号公報
【文献】国際公開第2014/171538号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貼付剤には、皮膚から剥がれにくいこと、すなわち皮膚への付着性が要求される。そのために種々の貼付剤が開発されているが(例えば、特許文献1、2)、従来の貼付剤は、粘着基剤層同士が接触した場合に、くっついた粘着基剤層同士が剥がれにくく、無理に剥がしたときにシワや粘着基剤の脱離が生じ、貼り直しにくくなるといった問題があり、優れた皮膚への付着性と、粘着基剤層同士が接触した場合の粘着基剤層同士の剥がしやすさとを同時に満足させることは難しかった。
本発明の課題は、皮膚への付着性に優れ、且つ粘着基剤層同士が接触した場合に粘着基剤層同士を剥がしやすい貼付剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者は鋭意検討した結果、ソルビタン系非イオン界面活性剤と、マクロゴール及びジカルボン酸ジエステルから選ばれる1種以上とを粘着基剤層に含有せしめることによって、皮膚への付着性に優れ、且つ粘着基剤層同士が接触した場合に粘着基剤層同士を剥がしやすい貼付剤が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、支持体に粘着基剤層が積層されており、且つ粘着基剤層が、下記成分(A)及び(B)を含有する、貼付剤を提供するものである。
(A)ソルビタン系非イオン界面活性剤
(B)マクロゴール及びジカルボン酸ジエステルから選ばれる1種以上
【発明の効果】
【0007】
本発明の貼付剤は、皮膚への付着性に優れ、且つ粘着基剤層同士が接触した場合に粘着基剤層同士を剥がしやすいものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】試験例1で引張試験機の試験板に貼付剤1を固定した状態を示す図。
【
図2】試験例2で、引張試験機のプローブに、膏体面同士を重ねた2枚の製剤を挟み込んだ状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の貼付剤は、支持体に粘着基剤層が積層されており、且つ粘着基剤層が、上記成分(A)及び(B)を含有するものである。
【0010】
<粘着基剤層>
(成分(A))
ソルビタン系非イオン界面活性剤としては、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、ソルビタン脂肪酸エステル系非イオン界面活性剤が好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビタントリ脂肪酸エステルが挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0011】
ソルビタン脂肪酸エステルにおける「脂肪酸」としては、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、炭素数8~26の飽和又は不飽和の脂肪酸が好ましく、炭素数12~22の飽和又は不飽和の脂肪酸がより好ましく、炭素数14~20の飽和又は不飽和の脂肪酸が更に好ましく、炭素数16~20の飽和又は不飽和の脂肪酸が特に好ましい。また、脂肪酸は直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。
【0012】
ソルビタン系非イオン界面活性剤としては、例えば、イソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンなどが挙げられる。ソルビタン系非イオン界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタンが好ましく、オレイン酸ソルビタンが特に好ましい。
【0013】
ソルビタン系非イオン界面活性剤は、市販品を用いても常法に従って合成して得たものを用いてもよい。
オレイン酸ソルビタンの市販品としては、NIKKOL SO-10、NIKKOL SO-10R、NIKKOL SO-10V(以上、日光ケミカルズ製)、イオネットS-80(三洋化成工業製)、ソルゲン40V(第一工業製薬製)、ノニオンOP-80R(日本油脂製)などが挙げられる。セスキオレイン酸ソルビタンの市販品としては、NIKKOL SO-15MV(日光ケミカルズ製)、ソルゲン30V(第一工業製薬製)、ノニオンOP-83R(日本油脂製)、レオドールAO-83R(花王製)などが挙げられる。トリオレイン酸ソルビタンの市販品としては、NIKKOL SO-30、NIKKOL SO-30V(以上、日光ケミカルズ製)、イオネットS-85(三洋化成工業製)、ソルゲン20V(第一工業製薬製)、ノニオンOP-85R(日本油脂製)などが挙げられる。
【0014】
上記ソルビタン系非イオン界面活性剤の含有量としては、長時間患部に付着するような十分な粘着力を与えつつ、粘着基剤層(膏体面)同士が接着した際に容易に剥離できる適度な粘着力を付与する観点から、粘着基剤層全質量に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.03~10質量%がより好ましく、0.05~5質量%が更に好ましく、0.1~3質量%が特に好ましい。
【0015】
(成分(B))
-マクロゴール-
マクロゴールは、酸化エチレンと水の付加重合体をいう。
マクロゴールとしては、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、平均分子量100~35000のマクロゴールが好ましく、平均分子量200~20000のマクロゴールがより好ましく、平均分子量300~6000のマクロゴールが更に好ましく、平均分子量400~6000のマクロゴールが特に好ましい。なお、マクロゴールの平均分子量は、第十七改正日本薬局方 医薬品各条「マクロゴール400」の項に記載の「平均分子量試験」により測定することができる。
【0016】
マクロゴールとしては、例えば、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール2000、マクロゴール4000、マクロゴール4000NF、マクロゴール6000、マクロゴール6000EP、マクロゴール6000NF、マクロゴール20000、マクロゴール35000、マクロゴール軟膏などが挙げられる。マクロゴールは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000が好ましく、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール6000が特に好ましい。
【0017】
マクロゴールは、PEG-200、PEG-300、PEG-400、PEG-600、PEG-1000、PEG-1500、PEG-1540、PEG-2000、PEG-4000N、PEG-4000S、PEG-6000N、PEG-6000S、PEG-10000、PEG-20000、PEG-20000P(以上、三洋化成製)、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000、マクロゴール20000(以上、日油製)などの市販品として入手可能である。
【0018】
上記マクロゴールの含有量としては、長時間患部に付着するような十分な粘着力を与えつつ、粘着基剤層(膏体面)同士が接着した際に容易に剥離できる適度な粘着力を付与する観点から、粘着基剤層全質量に対して、0.01~30質量%が好ましく、0.05~20質量%がより好ましく、0.05~10質量%が更に好ましく、0.1~5質量%が特に好ましい。
【0019】
本発明において、粘着基剤層中のソルビタン系非イオン界面活性剤とマクロゴールとの含有比は、長時間患部に付着するような十分な粘着力を与えつつ、粘着基剤層(膏体面)同士が接着した際に容易に剥離できる適度な粘着力を付与する観点から、ソルビタン系非イオン界面活性剤1質量部に対し、マクロゴールを0.01~20質量部含有するのが好ましく、0.05~10質量部含有するのがより好ましく、0.1~5質量部含有するのが更に好ましく、1~5質量部含有するのが特に好ましい。
【0020】
-ジカルボン酸ジエステル-
ジカルボン酸ジエステルとしては、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、下記式(1)で表されるものが好ましい。
【0021】
【0022】
〔式(1)中、
R1は、炭素数1~16の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジイル基を示し、
R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素数1~16の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は下記式(2)で表される基を示す。〕
【0023】
【0024】
〔式(2)中、
R4は、炭素数1~8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、
R5は、炭素数2又は3の直鎖状又は分岐鎖状のアルカンジイル基を示し、
nは、1~4の整数を示し、
*は、式(1)中の酸素原子との結合位置を示す。〕
【0025】
式(1)中、R1で示されるアルカンジイル基の炭素数は、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、好ましくは1~12、より好ましくは2~8、特に好ましくは3~6である。例えば、メタン-1,1-ジイル基、エタン-1,1-ジイル基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基等が挙げられる。
【0026】
また、式(1)中のR2及びR3、式(2)中のR4で示されるアルキル基の炭素数は、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、好ましくは1~12、より好ましくは2~8、特に好ましくは2~4である。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基等が挙げられる。
【0027】
式(2)中のR5で示されるアルカンジイル基としては、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基が好ましい。
また、nは、好ましくは1又は2である。nが2~4の整数の場合、n個のR5は同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジオクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルなどが挙げられる。これらのジカルボン酸ジエステルは、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピルが好ましく、アジピン酸ジイソプロピルが特に好ましい。
【0029】
アジピン酸ジイソプロピルの市販品としては、NIKKOL DID(日光ケミカルズ製)、アジピン酸ジイソプロピル(日本精化)、クロダモルDA(クローダジャパン)などが挙げられる。アジピン酸ジイソブチルの市販品としては、KAK DIBA(高級アルコール工業)、ビニサイザー40(花王)などが挙げられる。セバシン酸ジエチルの市販品としては、NIKKOL DES-SP(日光ケミカルズ製)、クロダモルSE(クローダジャパン)、セバシン酸ジエチル(日本精化)などが挙げられる。セバシン酸ジイソプロピルの市販品としては、NIKKOL DIS(日光ケミカルズ製)、セバシン酸ジイソプロピル(日本精化)などが挙げられる。
【0030】
上記ジカルボン酸ジエステルの含有量としては、長時間患部に付着するような十分な粘着力を与えつつ、粘着基剤層(膏体面)同士が接着した際に容易に剥離できる適度な粘着力を付与する観点から、粘着基剤層全質量に対して、0.01~30質量%が好ましく、0.05~20質量%がより好ましく、0.1~10質量%が更に好ましく、0.5~5質量%が特に好ましい。
【0031】
本発明において、粘着基剤層中のソルビタン系非イオン界面活性剤とジカルボン酸ジエステルとの含有比は、長時間患部に付着するような十分な粘着力を与えつつ、粘着基剤層(膏体面)同士が接着した際に容易に剥離できる適度な粘着力を付与する観点から、ソルビタン系非イオン界面活性剤1質量部に対し、ジカルボン酸ジエステルを0.01~20質量部含有するのが好ましく、0.05~10質量部含有するのがより好ましく、0.1~5質量部含有するのが更に好ましく、1~5質量部含有するのが特に好ましい。
【0032】
また、本発明の貼付剤としては、皮膚への付着性と粘着基剤層同士の剥がしやすさとを両立させる観点から、マクロゴールとジカルボン酸ジエステルの両方を粘着基剤層に含むものが好ましい。
マクロゴールとジカルボン酸ジエステルを組み合わせて用いる場合、粘着基剤層中のマクロゴールとジカルボン酸ジエステルとの含有比は、長時間患部に付着するような十分な粘着力を与えつつ、粘着基剤層(膏体面)同士が接着した際に容易に剥離できる適度な粘着力を付与する観点から、マクロゴール1質量部に対し、ジカルボン酸ジエステルを0.01~20質量部含有するのが好ましく、0.05~10質量部含有するのがより好ましく、0.1~5質量部含有するのが更に好ましく、1~5質量部含有するのが特に好ましい。
【0033】
粘着基剤層に含まれる粘着基剤は特に限定されないが、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸部分中和物、N-ビニルアセトアミド・アクリル酸ナトリウム共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、パルミチン酸デキストリン等や、これらをアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム等の金属塩で架橋したものが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
粘着基剤の含有量としては、粘着基剤層全質量に対して、通常1~60質量%であり、2~40質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、4~15質量%が特に好ましい。
【0034】
また、上記粘着基剤層には、上記各成分の他に、薬物、有機溶剤、粘着性付与樹脂、充填剤、水溶性・水膨潤性高分子、経皮吸収促進剤、紫外線吸収剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、水等が含まれていてもよい。なお、これらのうち1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
上記薬物は特に限定されないが、例えば、アクタリット、アセメタシン、アンピロキシカム、アンフェナクナトリウム水和物、イブプロフェン、インドメタシン、インドメタシンファルネシル、エトドラク、カンフル、ケトプロフェン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、ザルトプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、スリンダク、セレコキシブ、チアプロフェン酸、テノキシカム、ナプロキセン、ピロキシカム、フェルビナク、プラノプロフェン、フルルビプロフェン、フルルビプロフェンアキセチル、メフェナム酸、メディコキシブ、メロキシカム、モフェゾラク、レフェコキシブ、ロキソプロフェンナトリウム水和物、ロベンザリット二ナトリウム、ロルノキシカム等の消炎鎮痛薬;メントール、トウガラシエキス、ノニル酸ワニリルアミド等の局所刺激剤;酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール等の末梢血流改善剤;ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸イソチペンジル等の抗ヒスタミン剤;トウキ、オウバク、サンシシ、アルニカ、西洋トチノミ等の消炎性生薬のエキスや粉末;プレドニゾロン、ハイドロコルチゾン、デキサメタゾン、フルオシノロンアセトニド等の外用ステロイド剤;クロタミトン等の鎮痒・疥癬治療剤;リドカイン、ジブカイン等の局所麻酔剤;グルコン酸クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム等の殺菌消毒剤;ドネペジル塩酸塩、メマンチン塩酸塩等のアルツハイマー型認知症治療剤;ツロブテロール等の喘息治療剤;イソソルビド硝酸塩等の虚血性心疾患治療剤等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記薬物の含有量は、粘着基剤層全質量に対して、通常0.01~20質量%であり、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.5~7.5質量%である。
【0036】
上記有機溶剤としては、例えば、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、オクタン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、乳酸ミリスチル、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、アーモンド油、オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、ラッカセイ油、ハッカ油、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記有機溶剤の含有量は、粘着基剤層全質量に対して、通常0.5~60質量%であり、好ましくは1~55質量%、より好ましくは20~50質量%である。
【0037】
上記粘着性付与樹脂としては、例えば、ロジン、水素添加ロジングリセリンエステル、エステルガム、マレイン化ロジングリセリンエステル、テルペン樹脂、石油樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記粘着性付与樹脂を含有する場合、その含有量は、粘着基剤層全質量に対して、通常0.1~20質量%であり、好ましくは0.5~10質量%であり、より好ましくは1~5質量%である。
【0038】
上記充填剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、ステアリン酸亜鉛、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、タルク等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記充填剤を含有する場合、その含有量は、粘着基剤層全質量に対して、通常0.1~20質量%であり、好ましくは0.2~10質量%である。
【0039】
上記水溶性・水膨潤性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、カルメロース、カルメロースカリウム、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルスターチナトリウム、キサンタンガム、デキストラン、デキストリン、ゼラチン等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記水溶性・水膨潤性高分子を含有する場合、その含有量は、粘着基剤層全質量に対して、通常0.5~20質量%であり、好ましくは1~10質量%である。
【0040】
上記経皮吸収促進剤としては、例えば、ポリオキシエチレン(2)2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン(4)2-エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレン(3)デシルエーテル、ポリオキシエチレン(3.5)イソデシルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2.2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル、ポリオキシエチレン(3)ミリスチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(3.3)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)イソステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(4)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(3)オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(1)ポリオキシプロピレン(1)セチルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;カンフル、ゲラニオール、シトロネラール、テルピネオール、ボルネオール、メントール、リモネン等のテルペン;イランイラン油、ウイキョウ油、オレンジ油、カミツレ油、ケイヒ油、シソ油、シトロネラ油、ショウキョウ油、樟脳油、セイヨウハッカ油、ゼラニウム油、チョウジ油、テレビン油、トウヒ油、ネロリ油、ハッカ油、パルマローザ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ラベンダー油、リナロエ油、レモン油、ローズ油、ローズマリー油、ローマカミツレ油等のテルペンを含む精油;オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、イソデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール等の高級アルコールが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記経皮吸収促進剤を含有する場合、その含有量は、粘着基剤層全質量に対して、通常0.01~20質量%であり、好ましくは0.05~10質量%である。
【0041】
また、水の含有量は、粘着基剤層全質量に対して、通常20~50質量%であり、好ましくは30~40質量%である。
【0042】
<支持体>
本発明の貼付剤に用いる支持体としては、繊維を用いて製した編物から構成される支持体が好ましい。
上記支持体に用いる繊維の捲縮率は、皮膚への付着性、粘着基剤層同士の剥がしやすさ、取り扱い性、使用感、裏染みの防止、伸張性及び粘着基剤の投錨性の観点から、好ましくは20~80%であり、より好ましくは30~60%であり、更に好ましくは35~55%であり、特に好ましくは40~50%である。
なお、本発明において捲縮率とは、繊維の捲縮を伸ばしたときの長さと、元の長さとの差の、伸ばしたときの長さに対する百分率を意味する。
【0043】
上記支持体に用いる繊維のデニール数は、皮膚への付着性、粘着基剤層同士の剥がしやすさ、使用感、裏染みの防止、皮膚への負担軽減の観点から、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上、特に好ましくは20以上であり、また、皮膚への付着性の観点から、好ましくは55以下、より好ましくは53以下である。
なお、本発明においてデニール数とは、長さ9000mあたりの繊維の重さ(g)を意味する。例えば、長さ9000mあたり1gの繊維のデニール数は1である。
【0044】
また、上記支持体に用いる繊維の材質は、貼付剤の支持体として用いられるものであれば特に限定されないが、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリプロピレン、ビニロン、ポリエチレン等の合成繊維や絹等の動植物由来の天然素材のフィラメントが挙げられる。これらの中でも、安定供給及び価格面から、合成繊維が好ましく、粘着基剤層から皮膚への薬物の移行性、寸法安定性や染色性の観点から、ポリエステルが好ましい。
上記合成繊維の具体例としては、ナイロン6、ナイロン6,6、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられ、粘着基剤層から皮膚への薬物の移行性、寸法安定性や染色性の観点から、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0045】
また、本発明で用いる支持体を構成する編物としては、貼付部の皮膚の違和感を抑える観点及び皮膚への追従性の観点から、コース(course)方向の50%伸長時応力とウェール(wale)方向の50%伸長時応力との差の絶対値が0~800gfであるものが好ましく、より好ましくは0~700gfであり、更に好ましくは0~600gfである。
また、コース方向の50%伸長時応力とウェール方向の50%伸長時応力がともに300~2000gfであるものが好ましく、より好ましくは400~1500gfである。これら応力を上記のような範囲とすることによって、貼付剤製造時における粘着基剤層と支持体との転層不良や積層後の縮みが生じにくくなり、また、粘着基剤の投錨性が改善される。
なお、50%伸長時応力は、引張試験機に支持体(伸長前の長さ:50mm)を固定し、1mm/secの速度で25mm伸長させたとき(伸長後の長さ:75mm)の応力であり、伸長性の指標となるものである。
【0046】
また、上記コース方向の50%伸長時応力と上記ウェール方向の50%伸長時応力との比率〔コース方向/ウェール方向〕は、皮膚への追従性の観点から、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.2~2であり、特に好ましくは0.3~1である。
【0047】
また、本発明で用いる支持体を構成する編物は、裏染みの防止の観点から、コース数又はウェール数のいずれか一方のみが1インチあたり45以上であるものが好ましく、より好ましくはいずれか一方のみが1インチあたり45~80、更に好ましくはいずれか一方のみが1インチあたり45~70、特に好ましくはいずれか一方のみが1インチあたり50~60である。
他方のコース数又はウェール数は、上記と同様の観点から、好ましくは1インチあたり30~54、より好ましくは1インチあたり35~53、特に好ましくは1インチあたり40~50である。
【0048】
また、本発明で用いる支持体を構成する編物の厚みとしては、皮膚への付着性、粘着基剤層同士の剥がしやすさ、貼付剤の厚みを抑える観点から、1mm以下が好ましく、0.2~0.7mmがより好ましい。
【0049】
また、本発明で用いる支持体を構成する編物は、使用感及び皮膚への付着性の観点から、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに0.35以下であるものが好ましく、ともに0.1~0.35であるものがより好ましく、ともに0.15~0.35であるものが特に好ましい。
なお、前述の捲縮率とデニール数を上記のような範囲とすることによって静摩擦係数及び動摩擦係数を斯様な範囲とすることができる。
【0050】
なお、上記編物は常法に従い製すればよく、経編、緯編いずれの編み方でもよい。経編としては、例えば、アトラス編み、鎖編み、コード編み、デンビー編み等が挙げられ、緯編としては、例えば、ゴム編み、パール編み、平編み等が挙げられる。
【0051】
また、本発明の貼付剤の具体例としては、上記支持体、上記粘着基剤層及び剥離ライナー(剥離紙)を備え、支持体に粘着基剤層が積層され、該粘着基剤層に剥離ライナー(剥離紙)が積層されたものが挙げられる。この場合の粘着基剤層の含有比率は特に限定されないが、貼付剤全質量に対して、40~99質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましく、60~85質量%が特に好ましい。
【0052】
<剥離ライナー>
上記剥離ライナーは特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートセパレータ、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体やセロファン等のフィルムが挙げられる。
【0053】
なお、本発明の貼付剤の形や大きさは患部に合わせて適宜調節すればよいが、矩形又は略矩形のものが好ましく、これらは角にRがあってもよい。具体的には、14cm×20cm、14cm×10cm、10cm×7cm、7cm×5cm、1.6cm×1.6cm、2.25cm×2.25cm、3.2cm×3.2cm等の矩形又は略矩形のものが挙げられる。
【0054】
なお、本発明の貼付剤は、第17改正日本薬局方製剤総則等の公知の方法に基づき製造することができる。例えば、公知の方法に基づき、成分(A)、成分(B)及び粘着基剤並びに必要に応じて薬物等の他の成分を加えて製した粘着基剤層を、支持体又は剥離ライナーに展延し、次いで、支持体に展延した場合は剥離ライナーを、剥離ライナーに展延した場合には支持体を貼り合わせることにより、製することができる。
【0055】
そして、本発明の貼付剤は、皮膚への付着性に優れるところ、皮膚から剥がれにくく、しかも、粘着基剤層同士がくっついた場合に、粘着基剤層同士を簡単に剥がすことができ、シワや粘着基剤の脱離を生じさせることなく簡単に貼り直しができるものである。また、やさしい貼り心地で、貼付剤を剥がすときに角質剥がれが起きにくく痛みも少ない。
【実施例】
【0056】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0057】
(実施例1)
インドメタシン1質量部、クロタミトン2質量部、ポリアクリル酸部分中和物3.5質量部、カルメロースナトリウム3質量部、濃グリセリン22質量部、カオリン3質量部、ゼラチン1質量部、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート0.3質量部及び乳酸1.25質量部を精製水25質量部と混和することで、インドメタシン含有混和物を得た。
別途、エステルガム1質量部、パルミチン酸デキストリン2質量部、D-ソルビトール液25質量部、モノオレイン酸ソルビタン(商品名:ニッコールSO-10V、日光ケミカルズ株式会社)1質量部、マクロゴール6000(商品名:マクロゴール6000、日油株式会社)2質量部、アジピン酸ジイソプロピル(商品名:DID、日光ケミカルズ株式会社)2質量部を、軽質流動パラフィン2.5質量部に加温溶解させた。これを、上記インドメタシン含有混和物に添加し、更に精製水を加えて全量を100質量部とし、全質均等となるまで撹拌機で撹拌することで、粘着基剤層用組成物を得た。
この粘着基剤層用組成物を、ポリエステル製の剥離ライナーフィルム上に展延塗布し、これの粘着基剤層側を、以下の表1に示す特性をもつポリエステル製伸縮性織布(支持体1)で被覆した後、1枚あたり10cm×7cmに裁断して貼付剤1を得た。
【0058】
【0059】
表1中の50%伸長時応力は、引張試験機(テクスチャーアナライザー 英弘精機株式会社製)に、支持体(伸長前の長さ:50mm)を固定し、1mm/secの速度で25mm伸長させたとき(伸長後の長さ:75mm)の応力をいう。
また、表1中の「絶対値」は、コース方向の50%伸長時応力とウェール方向の50%伸長時応力との差の絶対値を意味する。
表1中の静摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS K 7125に従って測定したものをいう(相手材料:ガラス板)。
【0060】
<試験例1(180°ピール粘着力測定試験法)>
図1に示すように、引張試験機(Texture Analyzer TA.XTplus(英弘精機株式会社))の試験板(ステンレス製プレート上に人工皮革(サプラーレ)を貼ったもの)に貼付剤1を固定し、日本薬局方180°ピール粘着力試験法に従って粘着力を測定した。
その結果、貼付剤1の剥離に要するピール粘着力は、17N/cmと高く、本発明の貼付剤が、皮膚への付着性に優れ、皮膚から剥がれにくいことが確認された。
【0061】
<試験例2(膏体間剥離力測定試験)>
貼付剤1を2cm×7cmに2枚裁断し、その端から2cm×5cm部分のライナーをそれぞれ剥がした後、2枚の製剤の粘着基剤層(膏体面)同士を重ね、質量2kgの圧着ローラーで圧着させた。
図2に示すように、引張試験機(Texture Analyzer TA.XTplus(英弘精機株式会社))のプローブに試料上下2cmをはさみ、固定した後、速度5mm/secで2枚の製剤(
図2中の製剤1と製剤2)が離れるまで引っ張り、最大荷重を膏体間剥離力として測定した。
膏体間剥離力は、貼付剤の粘着基剤層(膏体面)同士がくっついた場合にそれを剥がすために要する力の大きさであり、その値が小さいほど剥がしやすく、貼り直しがしやすいと云える。
試験例2の結果、貼付剤1の膏体間剥離力は1400gfと非常に小さい値であり、本発明の貼付剤が、粘着基剤層(膏体面)同士がくっついた場合に粘着基剤層(膏体面)同士を非常に小さい力で剥がすことができ、貼り直しやすいものであることが確認された。
【0062】
<試験例3(官能試験)>
貼付剤1について、ライナーを剥がし長辺側を2つ折りにし膏体間を貼り合わせ、2kgの荷重を1分間負荷した。1分間経過後、貼り合わせた膏体間を男性(55歳)に手で剥離してもらったところ、支持体の変形なしに容易に剥離できた。
これにより、本発明の貼付剤が、膏体面同士がくっついても簡単に貼り直しができるものであることが確認できた。
【0063】
<試験例4(官能試験)>
男性(43歳)の腕及び腰に貼付剤1を1枚ずつ貼付してもらい、12時間経過後の剥がれの有無を確認してもらった。その結果、12時間経過後でも貼付剤が剥がれておらず、皮膚への高い付着性を有していることが確認できた。また、貼付剤を剥がすときに痛みがほぼ感じられず、やさしい貼り心地であることも確認できた。