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  • 特許-車両用冷却装置 図1
  • 特許-車両用冷却装置 図2
  • 特許-車両用冷却装置 図3
  • 特許-車両用冷却装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】車両用冷却装置
(51)【国際特許分類】
   B61C 5/02 20060101AFI20240105BHJP
   F01P 11/10 20060101ALI20240105BHJP
   F01P 11/12 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B61C5/02
F01P11/10 E
F01P11/10 F
F01P11/12 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019140841
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021024305
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000150408
【氏名又は名称】株式会社中村自工
(74)【代理人】
【識別番号】100106563
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 潤
(72)【発明者】
【氏名】茂木 仁
(72)【発明者】
【氏名】黒木 巧
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-77044(JP,A)
【文献】特開2010-36736(JP,A)
【文献】特開2001-152852(JP,A)
【文献】特開2001-165094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61C 5/00,
F01P 11/00,
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータコアを収容する直方体状の筐体と、
該筐体の4つの垂直面の1面に穿設された開口部を通じて外部から該筐体内に冷却用空気を取り入れるファンと、
前記開口部の周囲から、該開口部から離間する方向に拡径しながら前記筐体内に突出し、水平方向に相対向する2枚の案内部とを備えることを特徴とする車両用冷却装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記開口部を有する垂直面以外の3面の垂直面からフィルタを介した後、前記開口部を通じて前記冷却用空気を取り入れることを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用冷却装置に関し、特に、鉄道車両に設けられる空冷式ラジエータ等の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主にディーゼルカー(気動車)等の車両のエンジン、作動油等を冷却するため冷却装置が用いられている。この車両用冷却装置は、例えば、図3に示すように、ラジエータコア(以下「コア」という)32と、コア32を強制空冷するためのファン33と、ファン33を駆動する電動機34と、コア32及び冷却水配管41、42等を収容する直方体状の第1筐体36と、ファン33を収容すると共に、電動機34を支持する第2筐体37と、第1筐体36と第2筐体37とを連結する蛇腹48等で構成される。
【0003】
図4は、上記構成を有する車両用冷却装置31の第1筐体36の内部を示し、第1筐体36のファン33(図3参照)に面する垂直面には、円形の開口部36aが穿設され、この開口部36aを通じて車両用冷却装置31の外部からファン33によって冷却用空気Cが取り入れられる。
【0004】
この車両用冷却装置31によれば、ファン33によって外部からフィルタ38~40を介して冷却用空気Cが取り入れられ、この冷却用空気Cによってコア32が強制空冷される。車両のエンジン等を冷却した後の冷却水C1は、冷却水配管41を介してコア32に導入され、コア32で冷却された後の低温の冷却水C2が冷却水配管42を通って車両用冷却装置31から排出され、再びエンジン等の冷却に供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記車両用冷却装置31は有効に機能するが、鉄道車両の艤装限界(鉄道車両の床下に機器を配置してよい限界幅)までの余裕が少なく、また、鉄道車両には種々の装置を配置する必要があるため、車両用冷却装置31の冷却能力を維持しつつ、できるだけコンパクトにすること、言い換えれば、同じ大きさの車両用冷却装置31であれば、冷却能力をできるだけ高めることが求められていた。
【0006】
そこで、本発明は、コンパクトで冷却性能に優れた車両用冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、車両用冷却装置であって、ラジエータコアを収容する直方体状の筐体と、該筐体の4つの垂直面の1面に穿設された開口部を通じて外部から該筐体内に冷却用空気を取り入れるファンと、前記開口部の周囲から、該開口部から離間する方向に拡径しながら前記筐体内に突出し、水平方向に相対向する2枚の案内部とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、筐体内の空気を誘引する開口部の周囲から、該開口部から離間する方向に拡径しながら前記筐体内に突出し、水平方向に相対向する2枚の案内部を設けたため、この開口部の周辺で渦が生じたり、冷却用空気の流れが乱れることを防止し、開口部周辺における圧力損失を低減することができる。これにより、より多くの冷却用空気を筐体内に取り入れることができ、コンパクトで冷却性能に優れた車両用冷却装置を提供することができる。
【0009】
前記車両用冷却装置において、前記筐体は、前記開口部を有する垂直面以外の3面の垂直面からフィルタを介した後、前記開口部を通じて前記冷却用空気を取り入れることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、コンパクトで冷却性能に優れた車両用冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る車両用冷却装置の一実施の形態を示す図であって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図、(d)は(c)のA矢視図である。
図2図1に示す車両用冷却装置のコアを収容する第1筐体の内部を示す概略斜視図である。
図3】従来の車両用冷却装置の一例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図、(d)は(c)のB矢視図である。
図4図3に示す車両用冷却装置のコアを収容する第1筐体の内部を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る車両用冷却装置の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る車両用冷却装置の一実施の形態を示し、この車両用冷却装置1は、ディーゼルカー等の車両のエンジン、作動油等を冷却するためのものあって、コア2と、コア2を強制空冷するためのファン3と、ファン3を駆動する電動機4と、コア2及び冷却水配管11、12等を収容する直方体状の第1筐体6と、ファン3を収容すると共に、電動機4を支持する第2筐体7と、第1筐体6と第2筐体7とを連結する蛇腹18等で構成される。
【0014】
第1筐体6のファン3に面する垂直面には、図2に明示されるように、円形の開口部6aの周囲から、開口部6aから離間する方向(第1筐体6の内部へ向かう方向)に拡径しながら突出するラッパ状の案内部6b、6cが設けられる。案内部6b、6cと開口部6aの周囲の面とのなす角度は45°程度とする。案内部6b、6cの形状や前記角度は、第1筐体6の形状、開口部6aの大きさ等に基づいて適宜決定する。
【0015】
第1筐体6のファン3に面する垂直面を除く3面にはフィルタ8~10が設けられ、フィルタ8~10を通して外部から冷却用空気Cが取り入れられる。
【0016】
入口側冷却水配管11は、第1筐体6内で分岐し、各々コア2に接続される。出口側冷却水配管12は、コア2に接続された2本が1本に集合し、第1筐体6から導出される。
【0017】
第1筐体6の両側には、巻き込み防止板13、14が設けられる。また、電動機4は、ケーブル15及びコネクタ16、17を介して電源(不図示)に接続される。
【0018】
この車両用冷却装置1によれば、ファン3によって外部からフィルタ8~10を介して冷却用空気Cが取り入れられ、この冷却用空気Cによってコア2が強制空冷される。車両のエンジン等を冷却した後の冷却水C1は、入口側冷却水配管11を介してコア2に導入され、コア2で冷却された後の低温の冷却水C2が出口側冷却水配管12を通じて車両用冷却装置1から排出され、再びエンジン等の冷却に供される。
【0019】
ここで、開口部6aに案内部6b、6cを設けたことで、従来の開口部36a(図4参照)の周囲で生じていた冷却用空気Cの渦や流れの乱れが解消され、圧力損失を低減することができる。そのため、電動機4の動力が同じでも、より多くの冷却用空気Cを第1筐体6内に取り入れることができ、その分冷却能力を高めることができる。
【0020】
上記第1筐体6が幅:1000mm×高さ:500mm×奥行き:550mm程度であって、開口部6aの直径が700mm、案内部6b、6cの幅を70mmとし、案内部6b、6cの表面と開口部6aの周囲の面とのなす角度を45°として、案内部6b、6cの取付け前後で圧力損失を比較したところ、案内部6b、6cを取り付けることで圧力損失が約6%低下した。
【符号の説明】
【0021】
1 車両用冷却装置
2 コア
3 ファン
4 電動機
6 第1筐体
6a 開口部
6b、6c 案内部
7 第2筐体
8~10 フィルタ
11 入口側冷却水配管
12 出口側冷却水配管
13、14 巻き込み防止板
15 ケーブル
16、17 コネクタ
18 蛇腹
図1
図2
図3
図4