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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61D 27/00 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B61D27/00 N
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019149686
(22)【出願日】2019-08-19
(65)【公開番号】P2021030763
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】大西 剛司
(72)【発明者】
【氏名】小畑 亮二
(72)【発明者】
【氏名】玉川 佑介
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝太
(72)【発明者】
【氏名】眞野 優太
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-047410(JP,U)
【文献】特開2011-207459(JP,A)
【文献】特開2002-037061(JP,A)
【文献】特開2002-274369(JP,A)
【文献】特開2018-140713(JP,A)
【文献】特開2005-138638(JP,A)
【文献】特開2007-008181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 17/00
B61D 17/12
B61D 17/18
B61D 27/00
B60H 1/00
B62D 25/10
B62D 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に開口形成されるダクト開口部を有し客室の天井側において車両前後方向に延設されるダクトと、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成されるパネル開口部を有し前記ダクトの下面側を覆うパネルと、前記パネル開口部を開閉する点検蓋と、を備える鉄道車両において、
前記ダクトの下面と前記点検蓋との間に配設され所定の柔軟性を有する緩衝材と、前記ダクトの内部を通る空調風を前記ダクト開口部側に向けて送り出す整風板と、その整風板を前記ダクトの下面に締結固定する締結手段と、その締結手段の周囲を前記ダクトの下面側で取り囲む断熱材と、を備え、
前記点検蓋は、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成される吹出口を備え
前記緩衝材は、前記ダクト開口部と前記吹出口との間の空間を挟んで一対に配設され、
前記断熱材の下面に前記緩衝材が密着されることにより、前記断熱材および前記緩衝材によって前記締結手段が取り囲まれることを特徴とする鉄道車両。
【請求項2】
下面に開口形成されるダクト開口部を有し客室の天井側において車両前後方向に延設されるダクトと、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成されるパネル開口部を有し前記ダクトの下面側を覆うパネルと、前記パネル開口部を開閉する点検蓋と、を備える鉄道車両において、
前記点検蓋は、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成される吹出口と、前記点検蓋の一端側の板厚が一部薄くされた被挟持部と、を備え、
前記パネルは、前記点検蓋の一端側の下方に配設され前記被挟持部の下方への変位を規制する下規制片と、前記下規制片の上方に所定間隔を隔てて配設され前記パネル開口部側に向けて突出する上規制片と、を備え、
前記上規制片は、前記下規制片よりも前記パネル開口部側に突出して形成され、前記上規制片の先端には、下方に突出する突出部が形成され、
前記下規制片と前記突出部との上下方向における間隔は、前記被挟持部の板厚と同一の寸法に設定され、前記点検蓋が前記パネル開口部を閉鎖する閉鎖状態において前記突出部が前記点検蓋の上面に当接することを特徴とする鉄道車両。
【請求項3】
下面に開口形成されるダクト開口部を有し客室の天井側において車両前後方向に延設されるダクトと、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成されるパネル開口部を有し前記ダクトの下面側を覆うパネルと、前記パネル開口部を開閉する点検蓋と、を備える鉄道車両において、
前記点検蓋は、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成される吹出口と、前記点検蓋の一端側の上面に取付けられ前記点検蓋の一端を上方に付勢する板ばねと、を備え、
前記パネルは、前記点検蓋の一端側の下方に配設され前記点検蓋の下方への変位を規制する下規制片と、前記下規制片の上方に所定間隔を隔てて配設され前記パネル開口部側に向けて突出する上規制片と、を備え、
前記上規制片は、車両前後方向に所定間隔を隔てて一対に形成され、その一対の上規制片は、車両前後方向に複数組が並べられ、
複数組の前記一対の上規制片の各々において、前記一対の上規制片の対向間に挿入可能な位置に前記板ばねが設けられることを特徴とする鉄道車両。
【請求項4】
前記ダクトの下面と前記点検蓋との間に配設され所定の柔軟性を有する緩衝材を備え、
前記緩衝材は、前記ダクト開口部と前記吹出口との間の空間を挟んで一対に配設されることを特徴とする請求項2又は3に記載の鉄道車両。
【請求項5】
前記ダクトの内部を通る空調風を前記ダクト開口部側に向けて送り出す整風板と、その整風板を前記ダクトの下面に締結固定する締結手段と、その締結手段の周囲を前記ダクトの下面側で取り囲む断熱材と、を備え、
前記断熱材の下面に前記緩衝材が密着されることにより、前記断熱材および前記緩衝材によって前記締結手段が取り囲まれることを特徴とする請求項記載の鉄道車両。
【請求項6】
前記パネルは、前記点検蓋の一端側の下方に配設され前記点検蓋の下方への変位を規制する下規制片を備え、
前記点検蓋の一端側が前記下規制片に対してスライド可能とされ、前記点検蓋の他端側が前記パネルに着脱自在に固定されることを特徴とする請求項1記載の鉄道車両。
【請求項7】
前記パネルは、前記下規制片の上方に所定間隔を隔てて配設され前記パネル開口部側に向けて突出する上規制片を備え、
前記点検蓋の一端側は、前記下規制片と前記上規制片との間に挿入され、
前記上規制片は、前記下規制片よりも前記パネル開口部側に突出して形成されることを特徴とする請求項記載の鉄道車両。
【請求項8】
前記上規制片は、前記パネル開口部に沿う前記パネルの縁部に所定の間隔を隔てて複数配設され、
前記点検蓋は、前記点検蓋の一端側の縁部から突出し前記上規制片どうしの間に挿入される挿入部を備えることを特徴とする請求項記載の鉄道車両。
【請求項9】
前記点検蓋を上方または下方に付勢する付勢手段を備えることを特徴とする請求項又はに記載の鉄道車両。
【請求項10】
前記パネル開口部の開口寸法は、前記ダクト開口部の開口寸法よりも大きくされることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両。
【請求項11】
前記ダクトは、前記天井の車両左右方向中央よりも側方側に配設され、
前記パネル開口部の車両左右方向中央側の端部は、前記ダクト開口部よりも前記天井の車両左右方向中央側に位置することを特徴とする請求項10記載の鉄道車両。
【請求項12】
前記吹出口に対向する位置に開口形成される開口部を有し前記点検蓋の下面に固定される吹出口部材を備え、
前記点検蓋は、車両前後方向に所定の間隔を隔てて複数配設され、
前記吹出口部材は、車両前後方向における寸法が前記点検蓋の寸法よりも大きくされ、
複数の前記点検蓋の配設領域にわたって前記吹出口部材が車両前後方向に沿って配設されることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両に関し、特に、天井構造の設計の自由度を向上させることができる鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
客室の天井側にダクトが設けられる鉄道車両が知られている。例えば、特許文献1には、ダクトの下面を点検蓋によって開閉可能とする技術が記載されている。この技術によれば、点検蓋を開放させることにより、客室側からダクト内のメンテナンス(点検や清掃)を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-138638号公報(例えば、段落0020~0023、図1,2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術では、空調風を客室側に吹き出すための吹出口と、ダクト内のメンテナンスを行うためのパネル開口部(下面パネルの開口)とが別々に設けられているため、吹出口およびパネル開口部を配置するためのスペースが増大する。よって、他の部材の配設位置に制約が生じるため、天井構造の設計の自由度が低下するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、天井構造の設計の自由度を向上させることができる鉄道車両を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の鉄道車両は、下面に開口形成されるダクト開口部を有し客室の天井側において車両前後方向に延設されるダクトと、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成されるパネル開口部を有し前記ダクトの下面側を覆うパネルと、前記パネル開口部を開閉する点検蓋と、を備えるものであり、前記ダクトの下面と前記点検蓋との間に配設され所定の柔軟性を有する緩衝材と、前記ダクトの内部を通る空調風を前記ダクト開口部側に向けて送り出す整風板と、その整風板を前記ダクトの下面に締結固定する締結手段と、その締結手段の周囲を前記ダクトの下面側で取り囲む断熱材と、を備え、前記点検蓋は、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成される吹出口を備え、前記緩衝材は、前記ダクト開口部と前記吹出口との間の空間を挟んで一対に配設され、前記断熱材の下面に前記緩衝材が密着されることにより、前記断熱材および前記緩衝材によって前記締結手段が取り囲まれる。
本発明の鉄道車両は、下面に開口形成されるダクト開口部を有し客室の天井側において車両前後方向に延設されるダクトと、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成されるパネル開口部を有し前記ダクトの下面側を覆うパネルと、前記パネル開口部を開閉する点検蓋と、を備えるものであり、前記点検蓋は、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成される吹出口と、前記点検蓋の一端側の板厚が一部薄くされた被挟持部と、を備え、前記パネルは、前記点検蓋の一端側の下方に配設され前記被挟持部の下方への変位を規制する下規制片と、前記下規制片の上方に所定間隔を隔てて配設され前記パネル開口部側に向けて突出する上規制片と、を備え、前記上規制片は、前記下規制片よりも前記パネル開口部側に突出して形成され、前記上規制片の先端には、下方に突出する突出部が形成され、前記下規制片と前記突出部との上下方向における間隔は、前記被挟持部の板厚と同一の寸法に設定され、前記点検蓋が前記パネル開口部を閉鎖する閉鎖状態において前記突出部が前記点検蓋の上面に当接する。
本発明の鉄道車両は、下面に開口形成されるダクト開口部を有し客室の天井側において車両前後方向に延設されるダクトと、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成されるパネル開口部を有し前記ダクトの下面側を覆うパネルと、前記パネル開口部を開閉する点検蓋と、を備えるものであり、前記点検蓋は、前記ダクト開口部に対向する位置に開口形成される吹出口と、前記点検蓋の一端側の上面に取付けられ前記点検蓋の一端を上方に付勢する板ばねと、を備え、前記パネルは、前記点検蓋の一端側の下方に配設され前記点検蓋の下方への変位を規制する下規制片と、前記下規制片の上方に所定間隔を隔てて配設され前記パネル開口部側に向けて突出する上規制片と、を備え、前記上規制片は、車両前後方向に所定間隔を隔てて一対に形成され、その一対の上規制片は、車両前後方向に複数組が並べられ、複数組の前記一対の上規制片の各々において、前記一対の上規制片の対向間に挿入可能な位置に前記板ばねが設けられる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1から3に記載の鉄道車両によれば、点検蓋は、ダクト開口部に対向する位置に開口形成される吹出口を備えるので、ダクト内からダクト開口部に送り出される空調風は、点検蓋の吹出口を通して客室側に向けて吹き出される。即ち、パネル開口部を覆う点検蓋に吹出口を形成することにより、パネル開口部と吹出口とを重ねた位置に配置できるので、パネル開口部および吹出口を配置するためのスペースを低減できる。よって、他の部材の配設位置に制約が生じることを抑制できるので、天井構造の設計の自由度を向上させることができるという効果がある。
また、請求項1記載の鉄道車両によれば、ダクトの下面と点検蓋との間に配設され所定の柔軟性を有する緩衝材を備えるので、車両走行時の振動によるダクトと点検蓋との接触を緩衝材によって緩和することができる。緩衝材は、ダクト開口部と吹出口との間の空間を挟んで一対に配設されるので、ダクト開口部と吹出口との間の気密状態を緩衝材によって高めることができる。即ち、ダクト及び点検蓋の接触を緩和する機能と、ダクト開口部および吹出口の間の気密を確保する機能とを緩衝材に兼用させることができるという効果がある。
更に、請求項1記載の鉄道車両によれば、次の効果を奏する。ダクトの内部を通る空調風をダクト開口部側に向けて送り出す整風板と、その整風板をダクトの下面に締結固定する締結手段と、その締結手段の周囲をダクトの下面側で取り囲む断熱材と、を備え、断熱材の下面に緩衝材が密着されることにより、断熱材および緩衝材によって締結手段が取り囲まれる。これにより、整風板によってダクト開口部側に送り出される空調風が締結手段に吹き付けられることを断熱材および緩衝材によって防止することができる。よって、空調風に対して締結手段を断熱することができるので、締結手段に結露が生じることを抑制できるという効果がある。
請求項2記載の鉄道車両によれば、次の効果を奏する。点検蓋は、その一端側の板厚が一部薄くされた被挟持部を備え、パネルは、点検蓋の一端側の下方に配設され被挟持部の下方への変位を規制する下規制片と、その下規制片の上方に所定間隔を隔てて配設されパネル開口部側に向けて突出する上規制片と、を備える。
上規制片は、下規制片よりもパネル開口部側に突出して形成され、上規制片の先端には、下方に突出する突出部が形成される。下規制片と突出部との上下方向における間隔は、被挟持部の板厚と同一の寸法に設定され、点検蓋がパネル開口部を閉鎖する閉鎖状態において突出部が点検蓋の上面に当接する。これにより、下規制片および上規制片に対して被挟持部がスライド可能(非固定)とされる場合であっても、下規制片および上規制片の対向間における点検蓋のガタつきを抑制できるという効果がある。
請求項3記載の鉄道車両によれば、次の効果を奏する。点検蓋は、その一端側の上面に取付けられ点検蓋の一端を上方に付勢する板ばねを備え、パネルは、点検蓋の一端側の下方に配設され点検蓋の下方への変位を規制する下規制片と、その下規制片の上方に所定間隔を隔てて配設されパネル開口部側に向けて突出する上規制片と、を備える。上規制片は、車両前後方向に所定間隔を隔てて一対に形成され、その一対の上規制片は、車両前後方向に複数組が並べられ、複数組の一対の上規制片の各々において、一対の上規制片の対向間に挿入可能な位置に板ばねが設けられる。
これにより、一対の上規制片の対向間に板ばねを通しつつ、点検蓋の一端側を下規制片および上規制片の対向間に挿入することにより、パネルに対する点検蓋の取付け位置を概ね位置決めできる。よって、点検蓋の取付け作業の作業性を向上できるという効果がある。更に、このような位置決めを行うための機能と、下規制片および上規制片の対向間での点検蓋のガタつきを抑制するための機能とを板ばねに兼用させることができるという効果がある。
【0008】
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項2又は3に記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。ダクトの下面と点検蓋との間に配設され所定の柔軟性を有する緩衝材を備えるので、車両走行時の振動によるダクトと点検蓋との接触を緩衝材によって緩和することができる。緩衝材は、ダクト開口部と吹出口との間の空間を挟んで一対に配設されるので、ダクト開口部と吹出口との間の気密状態を緩衝材によって高めることができる。即ち、ダクト及び点検蓋の接触を緩和する機能と、ダクト開口部および吹出口の間の気密を確保する機能とを緩衝材に兼用させることができるという効果がある。
【0009】
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。ダクトの内部を通る空調風をダクト開口部側に向けて送り出す整風板と、その整風板をダクトの下面に締結固定する締結手段と、その締結手段の周囲をダクトの下面側で取り囲む断熱材と、を備え、断熱材の下面に緩衝材が密着されることにより、断熱材および緩衝材によって締結手段が取り囲まれる。これにより、整風板によってダクト開口部側に送り出される空調風が締結手段に吹き付けられることを断熱材および緩衝材によって防止することができる。よって、空調風に対して締結手段を断熱することができるので、締結手段に結露が生じることを抑制できるという効果がある。
【0010】
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項1記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。パネルは、点検蓋の一端側の下方に配設され点検蓋の下方への変位を規制する下規制片を備え、点検蓋の一端側が下規制片に対してスライド可能とされ、点検蓋の他端側がパネルに着脱自在に固定される。これにより、パネルと点検蓋の他端側との固定状態を解除し、点検蓋の一端側を下規制片の上面側でスライドさせながら引き抜くことにより、点検蓋をパネルから容易に取外す(パネル開口部を開放させる)ことができる。
【0011】
また、点検蓋をパネルに取付ける(パネル開口部を閉鎖する)際には、点検蓋の一端側をパネル開口部から下規制片の上面側に向けてスライドさせながら挿入し、点検蓋の他端側をパネルに固定すれば良い。即ち、パネルに対して点検蓋を着脱する際に、点検蓋の一端側をパネル(下規制片)に固定する作業や、固定を解除する作業を不要にできるので、パネルに対する点検蓋の着脱の作業性を向上させることができるという効果がある。
【0012】
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。パネルは、下規制片の上方に所定間隔を隔てて配設されパネル開口部側に向けて突出する上規制片を備え、点検蓋の一端側は、下規制片と上規制片との間に挿入されるので、点検蓋がパネル開口部を閉鎖する閉鎖状態において、点検蓋の一端側が上下方向に変位することを下規制片および上規制片によって規制できる。よって、下規制片に対して点検蓋の一端側がスライド可能(非固定)とされる場合であっても、下規制片および上規制片の対向間における点検蓋のガタつきを抑制できるという効果がある。
【0013】
一方、点検蓋をパネルに取付ける際には、下規制片および上規制片の間に点検蓋の一端側を挿入する必要があるが、上規制片は、下規制片よりもパネル開口部側に突出して形成されるため、上規制片の下面に沿って点検蓋の一端側をスライドさせることで下規制片および上規制片の間に点検蓋を容易に挿入できる。よって、点検蓋の取付けの作業性を向上させることができるという効果がある。
【0014】
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。上規制片は、パネル開口部に沿うパネルの縁部に所定の間隔を隔てて複数配設され、点検蓋は、点検蓋の一端側の縁部から突出し上規制片どうしの間に挿入される挿入部を備える。これにより、上規制片どうしの間に挿入部を通しながら下規制片および上規制片の間に点検蓋の一端側を挿入することにより、パネルに対する点検蓋の取付け位置(前後方向での相対位置)を概ね位置決めすることができる。よって、点検蓋の取付けの作業性を向上させることができるという効果がある。
【0015】
請求項記載の鉄道車両によれば、請求項又はに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。点検蓋を上方または下方に付勢する付勢手段を備えるので、付勢手段の付勢力によって点検蓋の一端側を下規制片または上規制片側に押し付けることができる。これにより、下規制片および上規制片の対向間における点検蓋のガタつきを抑制できるという効果がある。
【0016】
請求項10記載の鉄道車両によれば、請求項1からのいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。パネル開口部の開口寸法は、ダクト開口部の開口寸法よりも大きくされるので、パネル開口部を通したダクト内へのアクセスを容易にできる。よって、ダクト内のメンテナンスの作業性を向上させることができるという効果がある。
【0017】
請求項11記載の鉄道車両によれば、請求項10記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。ダクトは、天井の車両左右方向中央よりも側方側に配設され、パネル開口部の車両左右方向中央側の端部は、ダクト開口部よりも天井の車両左右方向中央側に位置するので、客室の車両左右方向中央側からダクト内のメンテナンスを行う際に、パネル開口部を通したダクト内へのアクセスを容易にできる。よって、ダクト内のメンテナンスの作業性を向上させることができるという効果がある。
【0018】
請求項1記載の鉄道車両によれば、請求項1から11のいずれかに記載の鉄道車両の奏する効果に加え、次の効果を奏する。吹出口に対向する位置に開口形成される開口部を有し点検蓋の下面に固定される吹出口部材を備えるので、ダクト内を通る空調風は点検蓋の吹出口と吹出口部材の開口部とを通して客室側に吹き出される。これにより、客室側に吹き出される空調風の風量や吹き出し位置を吹出口部材の開口部によって調節することができる。
【0019】
点検蓋が車両前後方向に所定の間隔を隔てて複数配設される場合、点検蓋が断続的に配置されることで天井面の意匠性が低下し易くなる。これに対して請求項1によれば、吹出口部材は、車両前後方向における寸法が点検蓋の寸法よりも大きくされ、複数の点検蓋の配設領域にわたって吹出口部材が車両前後方向に沿って配設される。これにより、吹出口部材によって複数の点検蓋どうしの一体感を高めると共に、車両前後方向に沿う1本のラインを吹出口部材によって形成することができる。よって、天井面に複数の点検蓋が断続的に配置される場合でも、天井面の意匠性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)は、本発明の一実施形態における鉄道車両の側面図であり、(b)は、図1(a)のIb-Ib線における鉄道車両の部分拡大断面図である。
図2図1(b)のII部分を拡大した鉄道車両の部分拡大断面図である。
図3図2のIII-III線における鉄道車両の部分拡大断面図である。
図4】(a)は、図2のIVa部分を拡大した鉄道車両の部分拡大断面図であり、(b)は、図4(a)の矢印IVb方向視における側天井パネル及び点検蓋の部分拡大上面図である。
図5】(a)は、図2の状態から点検蓋を取外す状態を示す鉄道車両の部分拡大断面図であり、(b)は、図5(a)の状態から点検蓋および整風板を取外した状態を示す鉄道車両の部分拡大断面図である。
図6図2の矢印VI方向視における鉄道車両の天井の部分拡大下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照し、鉄道車両1の全体構成について説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態における鉄道車両1の側面図であり、図1(b)は、図1(a)のIb-Ib線における鉄道車両1の部分拡大断面図である。なお、図1(b)では、図面を簡素化するために、鉄道車両1の一部(例えば、荷棚8や吊手棒受9の取付け構造等)の図示が省略され、鉄道車両1の構造を模式的に図示している。
【0022】
図1に示すように、鉄道車両1は、複数の車輪20を有する台車2(図1(a)参照)と、その台車2に支持される構体3と、その構体3の内面を客室R側から覆うパネル4(図1(b)参照)と、そのパネル4及び構体3の間に設けられるダクト5と、そのダクト5内を通る空調風の流れを制御する整風板6と、その整風板6によって制御される空調風を客室R側に吹き出すための吹出口70を有する点検蓋7と、を備える。
【0023】
構体3は、車両の左右方向(図1(b)の左右方向)両端部に配置される一対の側構体30と、それら一対の側構体30の上端(図1(b)の上側の端部)どうしを連結する屋根構体31と、を備える。側構体30及び屋根構体31の内面が板状のパネル4によって覆われることにより、パネル4によって取り囲まれた客室Rの空間が形成される。即ち、パネル4は、客室Rの壁面や天井面を構成している。
【0024】
パネル4は、側構体30の内面を覆う左右一対の側パネル(図示せず)と、それら一対の側パネルのそれぞれの上端に接続される左右一対の側天井パネル4aと、それら一対の側天井パネル4aの間に配設される天井パネル4bと、を備える。
【0025】
側天井パネル4aは、側パネル(図示せず)の上端から上方に延びつつ車両の左右方向中央側(図1(b)の右側)に向けて湾曲して形成される。側天井パネル4aの下端が金具M1を介して側構体30に連結され、側天井パネル4aの上端(左右方向における車両中央側の端部)が金具M2を介して屋根構体31に連結される。これにより、側構体30の上端側の内面と屋根構体31の左右方向両端側(図1(b)の左側)の内面とが側天井パネル4aによって覆われる。
【0026】
天井パネル4bは、左右の両端が金具M2を介して屋根構体31に連結されており、屋根構体31の左右方向中央側の内面が天井パネル4bによって覆われる。
【0027】
側天井パネル4aは、側構体30及び屋根構体31との間に所定の間隔を隔てて設けられており、屋根構体31の下面と側天井パネル4aの上面との間の空間にダクト5が配置される。ダクト5は、空調装置(図示せず)から送り出される空調風を、前後に延びる客室Rの各部に供給するための風道である。ダクト5内を通る空調風の流れが整風板6によって整流され、点検蓋7の吹出口70を介して客室R側に吹き出される。
【0028】
点検蓋7は、側天井パネル4aのパネル開口部40(図2又は図5参照)に着脱自在に設けられており、点検蓋7を側天井パネル4aから取外すことにより、パネル開口部40を通してダクト5の内部や整風板6のメンテナンス(点検や清掃)が行えるようになっている。
【0029】
点検蓋7の下方には荷棚8が設けられ、点検蓋7よりも車両の左右方向中央側には吊手棒受9が設けられる。荷棚8は、図示しない金具を介して側構体30に連結され、側天井パネル4aの下端部分から客室R側に向けて突出するようにして設けられる。
【0030】
吊手棒受9は、金具M2を介して屋根構体31に連結され、側天井パネル4a及び天井パネル4bの間から客室R側に向けて突出するようにして設けられる。吊手棒受9は、金具M2から車両の左右方向中央側に向けて湾曲するように突出しており、吊手棒受9の突出先端には前後方向に延びる吊手棒90が固定される。図示は省略するが、吊手棒90には複数の吊革が吊り下げられる。
【0031】
次いで、図2及び図3を参照して、鉄道車両1の天井構造の詳細構成について説明する。図2は、図1(b)のII部分を拡大した鉄道車両1の部分拡大断面図であり、図3は、図2のIII-III線における鉄道車両1の部分拡大断面図である。なお、図3では、理解を容易にするために、貫通孔63aが形成される領域を除く断熱材63の側面と、緩衝材71の側面とにドット状のハッチングを付している。
【0032】
図2及び図3に示すように、ダクト5は角筒状に形成され、前後方向(図3の左右方向)に沿って延設される。ダクト5の下面には、空調風を客室R側に吹き出すためのダクト開口部50が開口形成される。
【0033】
ダクト開口部50は、前後方向に長い矩形の開口であり、このダクト開口部50に複数の整風板6が固定される(図3参照)。なお、図示は省略するが、ダクト5にはダクト開口部50が前後方向に複数並べて形成されている。
【0034】
整風板6は、ダクト5の下面に固定される本体部60と、その本体部60に接続される整風部61と、を備える。本体部60は、左右に長い矩形の板状に形成され、ダクト開口部50の左右の両脇(ダクト開口部50の近傍)において、本体部60の左右の両端がボルトB1によってダクト5に締結固定される。即ち、本体部60は、ダクト開口部50に架け渡されるようにして設けられる。
【0035】
整風部61は、板状の本体部60にコ字状の切り込みを入れて曲げ加工することで形成されている。よって、整風部61は、本体部60から車両後方側(図3の左側)に向けて上昇傾斜しており、整風部61の下方側においては、本体部60に矩形の貫通孔62が開口形成される。これら整風部61及び貫通孔62は、前後方向に複数並べて(断続的に)設けられる。
【0036】
整風部61によって整流された空調風は、ダクト開口部50及び整風板6の貫通孔62を通して下方に送り出される。ダクト開口部50(整風板6の貫通孔62)と上下で対向する位置(ダクト開口部50の下方)には、側天井パネル4aのパネル開口部40(図2参照)が形成される。パネル開口部40は、前後に長い矩形の開口であり、このパネル開口部40に点検蓋7が開閉可能に設けられる(パネル開口部40が開放された状態については、図5参照)。
【0037】
左右方向(図2の左右方向)における点検蓋7の中央には吹出口70が開口形成され、1枚の点検蓋7に複数の吹出口70が前後に並べて設けられる(図3参照)。それら複数の吹出口70は、ダクト開口部50(整風板6)と上下に対向する位置に設けられており、整風板6からダクト開口部50を通して下方に送り出される空調風は、点検蓋7の吹出口70を通り、後述する吹出口部材10の開口部100を介して客室R側に吹き出される。
【0038】
このように、側天井パネル4aのパネル開口部40を開閉する点検蓋7に吹出口70を形成することにより、パネル開口部40と吹出口70とを重ねた位置に配置できる。これにより、パネル開口部40及び吹出口70を配置するためのスペースを低減できるので、他の部材の配設位置に制約が生じることを抑制できる。よって、鉄道車両1の天井構造の設計の自由度を向上させることができる。
【0039】
また、側天井パネル4aや点検蓋7をダクト5の下方に所定の間隔(例えば、20~30mm)を隔てて配置することにより、例えば、側天井パネル4aや点検蓋7がダクト5と近接して配置される場合に比べ、走行時の振動で側天井パネル4aや点検蓋7がダクト5に接触することを抑制できる。よって、かかる接触による異音の発生を抑制できる。
【0040】
整風板6はボルトB1によってダクト5の下面に締結固定されているが、整風板6から下方に送り出される空調風がボルトB1の頭部に吹き付けられることを抑制するために、ボルトB1の頭部の周囲は断熱材63によって取り囲まれている。断熱材63は、整風板6の本体部60の下面の略全域にわたって接着されているが、図1,2,5では、図面を簡素化するために、前後方向に延設される断熱材63のみを図示している。断熱材63には、ボルトB1の配設位置に対応して貫通孔63aが形成されており、この貫通孔63aにボルトB1の頭部が収容された状態で、断熱材63の下面に点検蓋7の緩衝材71が密着される。
【0041】
緩衝材71は、点検蓋7の上面に接着されており、断熱材63(ダクト5の下面)と点検蓋7との間に緩衝材71が介在されることにより、点検蓋7の上方への変位が緩衝材71によって規制されている。緩衝材71は、所定の柔軟性を有する材料(スポンジやゴム、熱可塑性エラストマ等の弾性材料)を用いて形成されるので、走行時の振動によるダクト5と点検蓋7との接触を緩衝材71によって緩和できる。
【0042】
緩衝材71は、点検蓋7の吹出口70を挟んで(吹出口70の近傍に)左右一対に設けられ、それら一対の緩衝材71は、左右一対の断熱材63と上下に重なる位置に設けられる。即ち、断熱材63及び緩衝材71は、ダクト開口部50と吹出口70との間の空間を挟んで左右一対に設けられているため、ダクト開口部50と吹出口70との間の気密状態を断熱材63及び緩衝材71によって高めることができる。
【0043】
よって、ダクト5と点検蓋7(側天井パネル4a)とが上下に所定の間隔を隔てて配置される場合でも、ダクト開口部50から点検蓋7の吹出口70に向けて空調風を効率良く送り出すことができる。これにより、ダクト5及び点検蓋7の接触を緩和する機能と、ダクト開口部50及び吹出口70の間の気密を確保する機能とを緩衝材71に兼用させることができる。従って、かかる機能を有する部材を別々に設ける場合に比べて部品点数を低減させることができる。
【0044】
また、断熱材63の下面の全体に緩衝材71が密着しているため、断熱材63の貫通孔63aに収容されるボルトB1の頭部を断熱材63と緩衝材71とによって取り囲むことができる。これにより、ダクト開口部50から下方に送り出される空調風がボルトB1の頭部に吹きつけられることを断熱材63及び緩衝材71によって防止できる。よって、空調風に対してボルトB1の頭部を断熱し、ボルトB1の頭部に結露が生じることを抑制できる。従って、かかる結露によって生じた水分が客室R側に滴下する(座席や乗客の衣服に汚れが付着する)ことを抑制できる。
【0045】
また、緩衝材71は断熱材63よりも軟質な材料を用いて形成され、断熱材63の下端はボルトB1の頭部(下端)よりも下方に突出している(ボルトB1の頭部よりも断熱材63の厚み寸法が大きくされる)ため、断熱材63の貫通孔63aに緩衝材71が食い込むようにして変形し易くなっている。よって、断熱材63と緩衝材71との密着による気密性を高めることができるので、空調風に対してボルトB1の頭部をより効果的に断熱することができる。
【0046】
断熱材63及び緩衝材71は、それぞれ前後方向(図3の左右方向)に延設されているため、その延設領域にわたってダクト開口部50と吹出口70との間の気密状態を高めることができる。しかし、断熱材63と緩衝材71との密着不良により、断熱材63と緩衝材71との間の隙間を通して空調風が僅かに漏れることがあるが、この空調風の漏れは、側天井パネル4aの緩衝材41(図2参照)と、側天井パネル4aの固定部42とによって防止される。
【0047】
緩衝材41は、所定の柔軟性を有する材料(スポンジやゴム、熱可塑性エラストマ等の弾性材料)を用いて形成され、前後方向に延設される。緩衝材41は、点検蓋7よりも車両の左右方向両端(図2の左側)においてダクト5の下面と側天井パネル4aの上面とに密着される。
【0048】
これにより、断熱材63と緩衝材71との密着不良が生じても、側構体30(図1参照)側に向けて空調風が流れることを緩衝材41によって防止し、側構体30に結露が生じることを抑制できる。よって、その結露によって生じた水分が各種の配線(側構体30とパネル4との間に配設されるもの)に滴下して漏電等が生じることを抑制できる。
【0049】
また、固定部42は、点検蓋7よりも車両の左右方向中央側(図2の右側)における側天井パネル4aの端部から上方に突出する部位であり、金具M2に連結される。この固定部42によっても、空調風の気密漏れが抑制されている。
【0050】
次いで、図2及び図4を参照して、側天井パネル4aに対する点検蓋7の取付け構造について説明する。図4(a)は、図2のIVa部分を拡大した鉄道車両1の部分拡大断面図であり、図4(b)は、図4(a)の矢印IVb方向視における側天井パネル4a及び点検蓋7の部分拡大上面図である。なお、以下の説明においては、パネル開口部40が点検蓋7によって閉鎖される状態を「閉鎖状態」と定義して説明する。また、車両の左右方向中央側の点検蓋7の端部(図2の右側の端部)を「点検蓋7の一端」、車両の左右方向両端側(車両側方側)の点検蓋7の端部(図2の左側の端部)を「点検蓋7の他端」と定義して説明する。
【0051】
図2及び図4に示すように、側天井パネル4aは、閉鎖状態において点検蓋7の一端側の上下の変位を規制する下規制片43および上規制片44を備える。点検蓋7の一端側には板厚が一部薄くされた被挟持部72が形成され、この被挟持部72が下規制片43及び上規制片44の間に挟み込まれる。即ち、下規制片43及び上規制片44によって形成される断面コ字状の空間に被挟持部72が挿入される(被挟持部72が下規制片43及び上規制片44に非固定とされる)ため、点検蓋7の被挟持部72は下規制片43及び上規制片44の対向間で左右にスライド可能となっている。
【0052】
上規制片44は、下規制片43よりもパネル開口部40側(点検蓋7の他端側)に突出して形成され、上規制片44の先端には、下方に突出する突出部44aが形成される。突出部44aは、閉鎖状態において点検蓋7の一端側の上面に当接しており、上規制片44の突出部44aよりも基端側の部位は、閉鎖状態において点検蓋7の一端側の上面(被挟持部72)の上方に所定の間隔(例えば、1~3mm)を隔てて配置される。
【0053】
下規制片43は、パネル開口部40の形成領域にわたって前後に連続して形成される一方、上規制片44は、前後に所定の間隔を隔てて一対に設けられる(図4(b)参照)。点検蓋7の一端側の上面には板ばね73が固定され、その板ばね73が一対の上規制片44の対向間に挿入されるようになっている(図4(b)参照)。
【0054】
図示は省略するが、一対の上規制片44を一組とすると、複数組の上規制片44が前後に並べて設けられ、それら複数組の上規制片44のそれぞれに挿入可能な位置に板ばね73が設けられる。
【0055】
板ばね73は、左右に延びる直線状の平坦部73aと、その平坦部73aの一端(図4(a)の右側の端部)に接続される第1湾曲部73bと、その第1湾曲部73bの一端に接続される第2湾曲部73cと、を備え、各部が平板状に形成される平坦薄板ばねである。第1湾曲部73bは、上方に凸の湾曲形状に形成され、その第1湾曲部73bの湾曲形状に連なるようにして第2湾曲部73cが下方に凸の湾曲形状に形成される。即ち、板ばね73の先端側は、第1湾曲部73b及び第2湾曲部73cによってS字状に形成されている。
【0056】
板ばね73の平坦部73a(板ばね73の基端)がボルトB2(図4(b)参照)によって点検蓋7の上面に固定され、第2湾曲部73cの下面が閉鎖状態において側天井パネル4a(上規制片44の基端側)の上面に当接される。
【0057】
板ばね73の第2湾曲部73cの下面が側天井パネル4aの上面に押さえつけられることにより、点検蓋7の被挟持部72を上規制片44側に持ち上げる(突出部44aを支点にして点検蓋7の一端側を回転させる)付勢力が付与されている。この付勢力によって下規制片43及び上規制片44(突出部44a)の対向間における点検蓋7のガタつきを抑制することができる。
【0058】
点検蓋7の被挟持部72が下規制片43及び上規制片44の対向間に挿脱可能に構成される一方、点検蓋7の他端側は側天井パネル4aに着脱自在に固定される(図2参照)。具体的には、点検蓋7の他端側における側天井パネル4aの縁部(パネル開口部40に沿った縁部)の上面には、パネル開口部40側に突出する金具M3が固定される。
【0059】
下規制片43及び上規制片44(突出部44a)の対向間に点検蓋7の一端側を挿入した状態で、金具M3の下面に点検蓋7の他端側をボルトB3で固定することにより、パネル開口部40が点検蓋7によって閉鎖される。ボルトB3による点検蓋7の固定部分は前後に複数設けられており(図6参照)、それら複数のボルトB3のそれぞれを下方から覆うようにしてポスターレール45が側天井パネル4aの下面に固定される。
【0060】
次いで、図2及び図5を参照して、側天井パネル4aに対する点検蓋7の着脱方法について説明する。図5(a)は、図2の状態から点検蓋7を取外す状態を示す鉄道車両1の部分拡大断面図であり、図5(b)は、図5(a)の状態から点検蓋7及び整風板6を取外した状態を示す鉄道車両1の部分拡大断面図である。
【0061】
図2及び図5に示すように、側天井パネル4aから点検蓋7を取外す場合、まず、点検蓋7の他端側(図2の左側の端部)を覆うポスターレール45を取外した後、ボルトB3と金具M3との締結状態を解除する。これにより、側天井パネル4aに対する点検蓋7の他端側の固定状態が解除される(図5(a)参照)。
【0062】
下規制片43と上規制片44(突出部44aよりも基端側の部位)との上下の対向間隔は、点検蓋7の被挟持部72の板厚よりも大きくされているため、点検蓋7の他端側の固定状態を解除した状態においては、点検蓋7の一端側が下規制片43と上規制片44との対向間で回転可能となっている。即ち、側天井パネル4aと点検蓋7の他端側との固定状態を解除すると、下規制片43の先端を回転中心にして点検蓋7が自重によって回転し、点検蓋7の被挟持部72が上規制片44の下面に当接される。
【0063】
この時、板ばね73の弾性力によって点検蓋7の一端側(被挟持部72)が上方に付勢されているので、その付勢力によって点検蓋7の被挟持部72が上規制片44側に押し付けられる(被挟持部72と板バネ73とに上規制片44が挟み込まれる)。これにより、下規制片43と上規制片44との間に被挟持部72が引っ掛かった状態を維持し易くできるので、点検蓋7の自重によって下規制片4及び上規制片44の対向間から被挟持部72が抜け落ちることを抑制できる。よって、点検蓋7の他端側の固定状態を解除する際に、被挟持部72が下規制片4及び上規制片44の対向間から抜け落ちないように支える必要がないので、点検蓋7を側天井パネル4aから取外す際の作業性を向上させることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、板ばね73の付勢力によって被挟持部72の抜け落ちを抑制しているが、例えば、板ばね73を省略し、点検蓋7の自重で被挟持部72が抜け落ちない程度の挿入長さとなるように被挟持部72(下規制片43及び上規制片44)の突出寸法を長く形成しても良い。
【0065】
次いで、下規制片43と上規制片44との間に引っ掛かった状態の点検蓋7の一端側(被挟持部72)を、下規制片43及び上規制片44の対向間から引き抜くことにより、点検蓋7を側天井パネル4aから取外す。
【0066】
このように、本実施形態では、点検蓋7の一端側の被挟持部72が下規制片43及び上規制片44に対してスライド可能とされ(点検蓋7の一端側が側天井パネル4aに非固定とされ)、点検蓋7の他端側が側天井パネル4aに着脱自在に固定される。これにより、側天井パネル4aと点検蓋7の他端側との固定状態を解除し、点検蓋7の被挟持部72を下規制片43の上面側でスライドさせる(下規制片43の上面側から引き抜く)ことで点検蓋7を側天井パネル4aから容易に取外すことができる。よって、点検蓋7の取外しの作業性を向上させることができる。更に、側天井パネル4aから点検蓋7の全体を取外すことができるので、点検蓋7の取り替えや点検蓋7のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0067】
点検蓋7を取外してパネル開口部40を開放させることにより、パネル開口部40を通した整風板6へのアクセス(清掃器具や手の挿入)が可能となる。パネル開口部40は、整風板6と上下に対向する位置に形成される(下面視において整風板6の全体がパネル開口部40と上下に重なる位置に配置される)ため、パネル開口部40を通した整風板6のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0068】
整風板6は、ボルトB1によってダクト5(ダクト開口部50)に着脱自在に固定されているので、ボルトB1による固定状態を解除することにより、ダクト5から整風板6の全体を取外すことができる(図5(b)参照)。これにより、整風板6のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0069】
整風板6を取外してダクト開口部50を開放させることにより、パネル開口部40及びダクト開口部50を通してダクト5内へのアクセスが可能となる。パネル開口部40は、ダクト開口部50と上下に対向する位置に形成される(下面視においてダクト開口部50の全体がパネル開口部40と上下で重なる位置に配置される)ため、パネル開口部40を通したダクト5内へのアクセスを容易にできる。よって、ダクト5内のメンテナンスの作業性を向上させることができる。
【0070】
ダクト開口部50の左右方向における開口寸法L1(図5(b)参照)よりも、パネル開口部40の左右方向における実質的な開口寸法L2(金具M3及び上規制片44の先端どうしの対向間隔)が大きくされている。これにより、パネル開口部40を通したダクト5内へのアクセスを容易にできるので、ダクト5内のメンテナンスの作業性を向上させることができる。
【0071】
ここで、ダクト5は、客室Rの天井面の左右方向中央よりも側方側(車両の左右方向両端側)に配置され、ダクト5の下方には荷棚8(図1(b)参照)や座席が設けられる。よって、作業者が客室Rの左右方向中央側(図5(b)の右側)から手や清掃器具を伸ばしてメンテナンスを行うことが想定される。
【0072】
これに対して本実施形態では、パネル開口部40の左右方向における車両中央側の端部(図5(b)の右側の端部)は、ダクト開口部50よりも左右方向における車両中央側(図5(b)の右側)に配置される。これにより、客室Rの左右方向中央側からダクト5内のメンテナンスを行う際に、パネル開口部40を通したダクト5内へのアクセスを容易にできる。即ち、メンテナンスの際にパネル開口部40を通してダクト開口部50に手や清掃器具を挿入し易くできるので、ダクト5内のメンテナンスの作業性を向上させることができる。
【0073】
点検蓋7を側天井パネル4aに取付ける際には、以上に説明した整風板6や点検蓋7の取外しを逆の手順で行えば良い。具体的には、点検蓋7を側天井パネル4aに取付ける場合、まず、点検蓋7の被挟持部72を、下規制片43及び上規制片44の対向間に挿入する(下規制片43の上面側にスライドさせる)。その挿入状態で点検蓋7の他端側を持ち上げて金具M3に点検蓋7の他端側を固定する。
【0074】
このように、点検蓋7の一端側の被挟持部72が下規制片43に対してスライド可能とされ、点検蓋7の他端側が金具M3を介して側天井パネル4aに固定されるので、点検蓋7を取付ける際に、点検蓋7の被挟持部72を側天井パネル4a(下規制片43)に固定する作業を不要にできる。よって、点検蓋7を側天井パネル4aに取付ける際の作業性を向上させることができる。
【0075】
また、下規制片43よりも上規制片44がパネル開口部40側に長く突出されているので、下規制片43及び上規制片44の対向間に挿入する際には、上規制片44の下面に沿って点検蓋7の被挟持部72をスライドさせることができる。よって、下規制片43及び上規制片44の対向間に被挟持部72を容易に挿入できるので、点検蓋7を側天井パネル4aに取付ける際の作業性を向上させることができる。
【0076】
下規制片43と上規制片44の突出部44aとの上下方向における間隔は、被挟持部72の板厚と同一の寸法に設定されているため、閉鎖状態においては被挟持部72に下規制片43が当接され、点検蓋7の上面に上規制片44の突出部44aが当接される。これにより、下規制片43及び上規制片44に対して点検蓋7の被挟持部72がスライド可能(非固定)とされる場合であっても、下規制片43及び上規制片44の対向間における点検蓋7のガタつきを抑制できる。
【0077】
また、点検蓋7の取付け時に下規制片43及び上規制片44の対向間で被挟持部72が回転する際、板ばね73の先端(第2湾曲部73cの下面)が上規制片44の上面に当接しているため、かかる回転に伴って板バネ73が弾性的に変形する。この弾性変形により、点検蓋7の一端側を上規制片44側に押し上げる付勢力が生じるため、下規制片43及び上規制片44の対向間における点検蓋7のガタつきをより効果的に抑制できる。
【0078】
ここで、パネル開口部40及び点検蓋7が前後方向に長く形成されるため(図6参照)、前後方向におけるパネル開口部40と点検蓋7との相対位置の調整に比較的手間を要するが、本実施形態では、かかる相対位置の調整を上規制片44及び板ばね73によって容易に行うことができる。
【0079】
即ち、上述した通り、上規制片44は、前後に所定の間隔を隔てて一対に設けられており(図4(b)参照)、それら一対の上規制片44が下規制片43よりもパネル開口部40側に突出して形成される。よって、点検蓋7が取外された状態のパネル開口部40を作業者が下方から見上げた場合(図5(b)の下側から見上げた場合)、下規制片43からパネル開口部40側に突出する一対の上規制片44を視認できるようになっている。
【0080】
また、板ばね73の先端側の第1湾曲部73bの一部や第2湾曲部73c(図4(b)参照)も点検蓋7の一端側の縁部から突出しているので、持ち上げた点検蓋7を作業者が下から見上げた場合(点検蓋7を下面視した場合)、点検蓋7から突出する板ばね73を視認できるようになっている。また、一対の上規制片44(図4(b)参照)の前後の対向間隔は、板ばね73の前後方向寸法よりも僅かに(例えば、10mm)大きく設定されている。
【0081】
これにより、一対の上規制片44どうしの間に板ばね73を通しつつ、点検蓋7の被挟持部72を下規制片43及び上規制片44の対向間に挿入することにより、側天井パネル4aに対する点検蓋7の取付け位置(パネル開口部40に対する点検蓋7の前後方向での相対位置)を概ね位置決めすることができる。よって、パネル開口部40及び点検蓋7が前後方向に長く形成される場合でも、点検蓋7の取付けの作業性を向上させることができる。
【0082】
更に、このような位置決めを行うための「挿入部」としての機能と、上述した下規制片43及び上規制片44の対向間での点検蓋7(被挟持部72)のガタつきを抑制するための機能とを板ばね73に兼用させることができる。よって、かかる機能を有する部品を別途設ける場合に比べて部品点数を低減できる。
【0083】
また、板ばね73の先端部分が第1湾曲部73b及び第2湾曲部73c(図4(b)参照)によってS字状に形成され、第2湾曲部73cが下方に凸の湾曲形状に形成されているため、一対の上規制片44どうしの間に板ばね73を挿入する際に、側天井パネル4aの上面の縁に第2湾曲部73cの下面をスライドさせつつ、側天井パネル4aの上面側に向けて板ばね73を挿入することができる。これにより、点検蓋7を側天井パネル4aに取付ける際の作業性を向上させることができる。
【0084】
次いで、図2及び図6を参照して、点検蓋7に固定される吹出口部材10について説明する。図6は、図2の矢印VI方向視における鉄道車両1の天井の部分拡大下面図である。なお、図6では、図面を簡素化するために、鉄道車両1の天井の要部のみを図示しており、ポスターレール45(図2参照)等、一部の図示を省略している。
【0085】
図2及び図6に示すように、側天井パネル4aは、前後方向に複数並べて設けられており(図6参照)、それら複数の側天井パネル4aにはそれぞれ1つのパネル開口部40が形成される。パネル開口部40は、前後方向における側天井パネル4aの略全長にわたって形成されているが、側天井パネル4aの前後の両端側の一部においてはパネル開口部40が非形成とされている。即ち、パネル開口部40を閉鎖する点検蓋7は、前後に複数並べて(断続的に)設けられる。
【0086】
点検蓋7が側天井パネル4a(天井面)に断続的に設けられる場合、天井面の意匠性が低下し易いが、本実施形態では、その意匠性を吹出口部材10によって向上させている。具体的には、吹出口部材10は、ボルトB4によって点検蓋7の下面に着脱自在に固定されており、前後に並ぶ点検蓋7のそれぞれを覆うようにして吹出口部材10が設けられる。
【0087】
言い換えると、吹出口部材10は、前後方向における寸法が点検蓋7の寸法よりも大きくされ、複数の点検蓋7の配設領域にわたって吹出口部材10が前後方向に沿って並べて配設される。これにより、複数の点検蓋7どうしの一体感を吹出口部材10によって高めることができると共に、吹出口部材10によって前後方向に沿う1本のラインを天井面に形成することができる。よって、天井面に複数の点検蓋7が断続的に配置される場合でも、天井面の意匠性を向上させることができる。
【0088】
このように、吹出口部材10によって天井面の意匠性を高めることを目的とする場合、例えば、複数の点検蓋7どうしを1枚の吹出口部材10で覆うことも可能である。しかしながら、そのような構成では、吹出口部材10が点検蓋7に固定された状態のままでは、複数の点検蓋7を側天井パネル4aから同時に取外す必要がある。言い換えると、複数の点検蓋7のうちの1枚の点検蓋7のみを側天井パネル4aから取外すためには、予め点検蓋7から吹出口部材10を取外しておく必要がある。
【0089】
これに対して本実施形態では、前後に並ぶ点検蓋7のそれぞれに1枚の吹出口部材10が固定され、それら複数の吹出口部材10は、複数の点検蓋7どうしの間の領域(パネル開口部40が非形成とされる領域)で互いに突き合わせられる。より具体的には、複数の側天井パネル4aどうしの継ぎ目部分で吹出口部材10どうしが突き合わされるので、一の点検蓋7を側天井パネル4aから取外す際に、他の点検蓋7に固定される吹出口部材10が干渉することを抑制できる。
【0090】
これにより、点検蓋7に吹出口部材10を固定した状態で側天井パネル4aから点検蓋7を取外すことができる。即ち、点検蓋7を側天井パネル4aから取外す際に、点検蓋7から吹出口部材10を取外すことを不要にできるので、点検蓋7の取外しの作業性を向上させることができる。
【0091】
更に、側天井パネル4aどうしの継ぎ目部分で吹出口部材10どうしが突き合わされるので、側天井パネル4aどうしの継ぎ目と、吹出口部材10どうしの継ぎ目とを上下に重ねて配置することができる。これにより、吹出口部材10どうしの継ぎ目が目立ち難くなるので、天井面の意匠性を向上させることができる。
【0092】
また、吹出口部材10の前後の両端部分がボルトB5によって側天井パネル4a(パネル開口部40が非形成とされる領域)に固定されているため、吹出口部材10の端部が側天井パネル4aから浮き上がることを抑制できる。これにより、吹出口部材10どうしの突き合わせ部分に段差が生じることを抑制できるので、天井面の意匠性を向上させることができる。
【0093】
なお、上述した通り、吹出口部材10を取付けた状態の点検蓋7を側天井パネル4aから取外すことが可能となっているが、例えば、側天井パネル4aに点検蓋7を取付けた状態で点検蓋7から吹出口部材10を取外すことも可能である。これにより、吹出口部材10の交換やメンテナンスを容易に行うことができると共に、点検蓋7の吹出口70を通した整風板6へのアクセスが可能となる。即ち、側天井パネル4aから点検蓋7を取外すことなく、吹出口部材10又は整風板6のメンテナンスを行うことができる。
【0094】
また、吹出口部材10には、点検蓋7の吹出口70(図2参照)と上下に対向する位置に左右一対の開口部100が開口形成されており、一対の開口部100の左右方向での開口寸法に比べ、点検蓋7の吹出口70の開口寸法が大きく設定されている(図2参照)。これにより、閉鎖状態の点検蓋7から吹出口部材10を取外すことにより、点検蓋7の吹出口70を通した整風板6へのアクセスが容易になる。よって、整風板6のメンテナンスの作業性を向上させることができる。また、開口部100の形成位置や開口面積を調節することにより、吹出口70から吹き出される空調風の風量を調節することができる。
【0095】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0096】
上記実施形態では、パネル4(側天井パネル4a)とダクト5とが所定の間隔を隔て配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、パネル4(側天井パネル4a)をダクト5に直接固定する構成でも良い。
【0097】
上記実施形態では、側天井パネル4aに下規制片43及び上規制片44がそれぞれ形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、上規制片44を省略し、点検蓋7の一端側(被挟持部72)を下規制片43の上面に単に載せる構成でも良い。この場合には、点検蓋7の一端側(被挟持部72)を下方に付勢する付勢手段を設けることが好ましい。これにより、点検蓋7の一端側(被挟持部72)を下規制片43に押し付けることができるので、点検蓋7が下規制片43から浮き上がることを抑制できる。
【0098】
上記実施形態では、上規制片44が下規制片43よりもパネル開口部40側(点検蓋7の他端側)に突出して形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、上規制片44のパネル開口部40側への突出寸法を下規制片43と同じか、それよりも短くする構成でも良い。少なくとも点検蓋7の一端側が下規制片43及び上規制片44の間に挿入可能に構成されていれば、点検蓋7の一端側が上下に変位することを下規制片43及び上規制片44によって規制できる。
【0099】
上記実施形態では、上規制片44に突出部44aが形成され(上規制片44の基端側が点検蓋7の被挟持部72と上下に所定間隔を隔てて配置され)、点検蓋7の着脱時に被挟持部72が下規制片43及び上規制片44の対向間で回転可能とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
【0100】
例えば、上規制片44の突出部44aを省略し、下規制片43及び上規制片44の上下の対向間隔を点検蓋7の一端側(被挟持部72)の板厚と同一とすることにより、下規制片43及び上規制片44の間で点検蓋7の一端側(被挟持部72)を回転不能にスライドさせる構成でも良い。この場合には、点検蓋7の他端とパネル開口部40の縁部との間に、下規制片43及び上規制片44から点検蓋7を引き抜く(点検蓋7を左右方向でスライドさせる)ことができる程度の隙間を設ければよい。
【0101】
上記実施形態では、ダクト5が天井面の左右方向中央よりも側方側に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ダクト5が天井面の左右方向中央側に配置される構成でも良い。即ち、ダクト5の配設位置は限定されるものではなく、ダクトを覆うパネルに点検蓋が設けられる鉄道車両であれば、上記実施形態の技術思想を適用できる。
【0102】
上記実施形態では、ダクト開口部50の開口寸法L1よりもパネル開口部40の左右方向での開口寸法L2が大きくされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、パネル開口部40の左右方向での開口寸法L2を、ダクト開口部50の開口寸法L1と同じか、若しくは、それよりも小さい寸法とする構成でも良い。
【0103】
上記実施形態では、点検蓋7の一端側(被挟持部72)が下規制片43及び上規制片44の間にスライド可能に構成される(側天井パネル4aに非固定とされる)場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、点検蓋7の一端側を側天井パネル4aにボルト等によって固定する構成や、蝶番で軸支する構成でも良い。
【0104】
上記実施形態では、点検蓋7の他端側が側天井パネル4a(金具M3)にボルトB3によって固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、側天井パネル4aに対する点検蓋7の他端側の固定は、公知の固定手段(例えば、キャッチクリップ等)を採用できる。
【0105】
上記実施形態では、点検蓋7と断熱材63との間に緩衝材71が設けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、緩衝材71を省略する構成でも良く、緩衝材71を断熱材63と上下で重ならない位置に設けてダクト5の下面に緩衝材71を直接密着させる構成でも良い。
【0106】
上記実施形態では、板ばね73の付勢力によって点検蓋7の一端側(被挟持部72)を上規制片44側に向けて付勢する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、下規制片43や上規制片44と点検蓋7の一端側(被挟持部72)との間に弾性体(ゴムやスポンジ、ばね等)を設けて点検蓋7の一端側を上方または下方に付勢する構成でも良い。また、板ばね73を省略し、閉鎖状態において緩衝材71を弾性的に変形させた状態とすることにより、その緩衝材71の弾性力によって点検蓋7を下方に付勢する構成でも良い。
【0107】
このように、点検蓋7の一端側を上方または下方に付勢する付勢手段を備えることにより、点検蓋7の一端側を下規制片43や上規制片44側に押し付けることができる。これにより、下規制片43及び上規制片44の対向間における点検蓋7のガタつきを抑制できる。
【0108】
上記実施形態では、板ばね73を一対の上規制片44の間に挿入することにより、側天井パネル4aに対する点検蓋7の取付け位置の位置決めを行う場合(即ち、板ばね73が「挿入部」としての機能を兼用している場合)を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、一対の上規制片44の間に挿入可能な挿入片(挿入部)を点検蓋7と一体的に形成する構成でも良い。
【0109】
上記実施形態では、吹出口部材10が点検蓋7と別体に構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、吹出口部材10を点検蓋7と一体的に形成する構成でも良い。また、吹出口部材10を省略しても良い。
【0110】
上記実施形態では、吹出口部材10が複数の点検蓋7のそれぞれに1枚ずつ固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、吹出口部材10の前後方向寸法を短くし、1枚の点検蓋7に複数の吹出口部材10を固定する構成でも良い。また、吹出口部材10の前後方向寸法を長くし、複数の点検蓋7に1枚の吹出口部材10を固定する(複数の点検蓋7のそれぞれを1枚の吹出口部材10で覆う)構成でも良い。
【0111】
上記実施形態では、複数の吹出口部材10が点検蓋7どうしの対向間で突き合わされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、点検蓋7が配置される領域で吹出口部材10どうしが突き合わされる構成でも良い。
【0112】
上記実施形態では、吹出口部材10の前後方向両端が側天井パネル4aに固定される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、吹出口部材10を側天井パネル4aに対して非固定とする(点検蓋7のみに固定する)構成でも良い。これにより、側天井パネル4aから点検蓋7を取外す際に側天井パネル4aと吹出口部材10との固定状態を解除する作業を不要にできるので、点検蓋7の取外しの作業性が向上する。
【符号の説明】
【0113】
1 鉄道車両
4a 側天井パネル(パネル)
40 パネル開口部
43 下規制片
44 上規制片
5 ダクト
50 ダクト開口部
6 整風板
63 断熱材
7 点検蓋
70 吹出口
71 緩衝材
73 板ばね(挿入部、付勢手段)
10 吹出口部材
100 開口部
B1 ボルト(締結手段)
L1 ダクト開口部の開口寸法
L2 パネル開口部の開口寸法
R 客室
図1
図2
図3
図4
図5
図6