(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】作業車両および作業車両の制御方法
(51)【国際特許分類】
G05G 5/00 20060101AFI20240105BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20240105BHJP
G05G 9/047 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G05G5/00 Z
E02F9/20 K
G05G9/047
(21)【出願番号】P 2019166475
(22)【出願日】2019-09-12
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】小林 優樹
(72)【発明者】
【氏名】久保田 啓介
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-319631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 5/00
E02F 9/20
G05G 9/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体に取り付けられた作業機と、
作業機を操作する操作レバーと、
前記操作レバーに力を与える付与部と、
前記車両本体の加速度を検出する加速度検出部と、
前記加速度検出部で検出された加速度に基づいて、前記付与部を制御して前記操作レバーに与える力の大きさを自動的に調整する制御部と、を備
え、
前記制御部は、前記加速度検出部で検出された加速度の大きさが所定閾値以上の場合に、前記付与部を制御して前記操作レバーに与える力の大きさを自動的に調整する、
作業車両。
【請求項2】
車両本体と、
前記車両本体に取り付けられた作業機と、
作業機を操作する操作レバーと、
前記操作レバーに力を与える付与部と、
前記車両本体の加速度を検出する加速度検出部と、
前記加速度検出部で検出された加速度に基づいて、前記付与部を制御して前記操作レバーに与える力の大きさを自動的に調整する制御部と、を備え、
前記付与部は、前記操作レバーに接続されたアクチュエータを有し、
前記制御部は、前記加速度検出部で検出された加速度の大きさが所定閾値以上の場合に、前記車両本体の加速度によって前記操作レバーに加えられる力に対して反力を与えるように前記付与部を制御する、
作業車両。
【請求項3】
前記制御部は、前記操作レバーに加えられる力の波形の逆位相の力を前記操作レバーに与えるように前記付与部を制御する、
請求項
2に記載の作業車両。
【請求項4】
車両本体と、
前記車両本体に取り付けられた作業機と、
作業機を操作する操作レバーと、
前記操作レバーに力を与える付与部と、
前記車両本体の加速度を検出する加速度検出部と、
前記加速度検出部で検出された加速度に基づいて、前記付与部を制御して前記操作レバーに与える力の大きさを自動的に調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記加速度検出部で検出された加速度の大きさが所定閾値以上の場合に、前記車両本体の加速度によって前記操作レバーに加えられる力に対して一定の反力を加えるように前記付与部を制御する、
作業車両。
【請求項5】
前記制御部は、前記加速度検出部で検出された加速度に基づいて前記操作レバーに加えられる力を求めることによって前記操作レバーに与える反力を演算する、
請求項
3または
4に記載の作業車両。
【請求項6】
車両本体と、
前記車両本体に取り付けられた作業機と、
作業機を操作する操作レバーと、
前記操作レバーに力を与える付与部と、
前記車両本体の加速度を検出する加速度検出部と、
前記加速度検出部で検出された加速度に基づいて、前記付与部を制御して前記操作レバーに与える力の大きさを自動的に調整する制御部と、を備え、
前記付与部は、前記操作レバーに制動力を与え、
前記制御部は、前記加速度検出部で検出された加速度の大きさが所定閾値以上の場合に、前記操作レバーを固定するよう前記付与部を制御する、
作業車両。
【請求項7】
車両本体と、
前記車両本体に取り付けられた作業機と、
作業機を操作する操作レバーと、
前記操作レバーに力を与える付与部と、
前記車両本体の加速度を検出する加速度検出部と、
前記加速度検出部で検出された加速度に基づいて、前記付与部を制御して前記操作レバーに与える力の大きさを自動的に調整する制御部と、
前記操作レバーの位置を検出する位置検出部
と、備え、
前記制御部は、前記加速度検出部で検出された加速度の大きさが所定閾値以上の場合に、前記位置検出部で検出される前記操作レバーの位置に基づいて、前記操作レバーに加えられる力に対して反力を与えるよう前記付与部を制御する、
作業車両。
【請求項8】
車両本体の加速度を受信する受信ステップと、
受信した前記加速度の大きさが所定閾値以上か否かを判定する判定ステップと、
前記加速度の大きさが所定閾値以上の場合に、前記車両本体に取り付けられた作業機を操作する操作レバーに与える力の大きさを自動的に調整する調整ステップと、
調整した前記力の大きさを前記操作レバーに与えるように、前記操作レバーに力を与える付与部に指令を送信する送信ステップと、を備えた、
作業車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両および作業車両の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両の一例である油圧ショベルは、掘削等の作業を行うが、以下のような課題があった。
【0003】
重掘削や、岩または木の根の掘り起こし作業を行う際に、掘削対象物にバケットが引っ掛かると車両本体がハンチングによって強い衝撃・振動を受ける場合がある。それに伴いキャブ内のオペレータも強い衝撃・振動によって振られ、作業機を操作する操作レバーを意図せずに操作し、作業機を誤操作することがあった。
【0004】
また、油圧ショベルは下部走行体に路面からの振動を吸収するサスペンションを有していない。このため、岩盤地のような硬質で凹凸を有する地盤を走行する場合、作業車両にはピッチング等の動作が発生する。このとき、車体振動に起因して作業機の操作レバーのノブが慣性力によって振動し、オペレータが操作していないにもかかわらず作業機が動作することがあった。
【0005】
このような課題を解決するために、例えば、特許文献1には、作業機の操作レバーの中立不感体を増大させることで作業機の操作レバーが振動しても操作レバーからの出力信号を制限し、作業機を動作させないようにすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の制御では、車体の振動や衝撃等によりオペレータが振られて肘などで操作レバーを引っ掛ける等の誤操作をした場合には、作業機が動作することになる。
【0008】
本発明は、振動や衝撃等による誤操作を抑制することが可能な作業車両および作業車両の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の作業車両は、車両本体と、作業機と、操作レバーと、付与部と、加速度検出部と、制御部と、を備える。作業機は、車両本体に取り付けられている。付与部は、操作レバーに力を与える。加速度検出部は、車両本体の加速度を検出する。制御部は、加速度検出部で検出された加速度に基づいて、付与部を制御して操作レバーに与える力の大きさを自動的に調整する。
【0010】
本開示の作業車両の制御方法は、受信ステップと、調整ステップと、送信ステップと、を備える。受信ステップは、車両本体の加速度を受信する。調整ステップは、受信した加速度に基づいて、車両本体に取り付けられた作業機を操作する操作レバーに与える力の大きさを自動的に調整する。送信ステップは、調整した力の大きさを操作レバーに与えるように、操作レバーに力を与える付与部に指令を送信する。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、振動や衝撃等による誤操作を抑制することが可能な作業車両および作業車両の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示にかかる実施の形態1の油圧ショベルの斜視図。
【
図2】
図1の油圧ショベルのキャブの内部を示す斜視図。
【
図3】
図2のキャブに設けられている付与部の外観構成を模式的に示す斜視図。
【
図4】
図3の付与部の内部構成を模式的に示す斜視図。
【
図6】
図1の油圧ショベルの制御部の構成を示すブロック図。
【
図7】作業機操作レバーにかかる加速度と作業機操作レバーに与える反力の一例を示す図。
【
図8】作業機操作レバーにかかる加速度と作業機操作レバーに与える反力の他の例を示す図。
【
図9】
図1の油圧ショベルの制御方法を示すフロー図。
【
図10】本開示にかかる実施の形態2の付与部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかる実施の形態の油圧ショベル1(作業車両の一例)について図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
<構成>
(油圧ショベル1の構成の概要)
図1は、本実施の形態の油圧ショベル1の構成を示す模式図である。
【0015】
油圧ショベル1は、車両本体2と、作業機3と、を備える。車両本体2は、
図1に示すように走行体4と旋回体5とを有している。走行体4は、一対の走行装置4a、4bを有する。各走行装置4a、4bは、履帯4c、4dを有しており、エンジンからの駆動力によって履帯4c、4dが駆動されることによって油圧ショベル1が走行する。
【0016】
旋回体5は、走行体4上に載置されている。旋回体5は、図示しない旋回装置によって上下方向に沿った軸を中心として走行体4に対して旋回可能に設けられている。
【0017】
旋回体5の前部左側位置には運転室としてのキャブ6が設けられている。旋回体5は、図示しないエンジンは油圧ポンプなどを収容する。尚、本実施の形態において断りなき場合、前後左右はキャブ6内の運転席を基準として説明する。運転席が正面に正対する方向を前方向Fとし、前方向に対向する方向を後方向Bとする。運転席が正面に正対したときの側方方向の右側、左側をそれぞれ右方向R、左方向Lとする。
【0018】
作業機3は、ブーム7、アーム8、掘削バケット9を有し、旋回体5の前部中央位置に取り付けられている。詳しくは、作業機3は、キャブ6の右側に配置されている。ブーム7の基端部は、旋回体5に回動可能に連結されている。また、ブーム7の先端部はアーム8の基端部に回動可能に連結されている。アーム8の先端部は、掘削バケット9に回動可能に連結されている。掘削バケット9は、その開口が車両本体2の方向(後方)を向くことができるようにアーム8に取り付けられている。掘削バケット9が、このような向きに取り付けられた油圧ショベルは、バックホウと呼ばれている。また、ブーム7、アーム8および掘削バケット9のそれぞれに対応するように油圧シリンダ10~12(ブームシリンダ10、アームシリンダ11およびバケットシリンダ12)が配置されている。これらの油圧シリンダ10~12が駆動されることによって作業機3が駆動される。これにより、掘削等の作業が行われる。
【0019】
また、車両本体2には、後述する
図6に示すように、IMU(Inertial Measurement Unit)20と、制御部30とが設けられている。IMU20は、車両本体2に生じる加速度を検出する。なお、IMU20は、一般的に3軸のジャイロと3方向の加速度計を有しており、3次元の角速度と加速度を検出することができる。IMU20は、旋回体5に設けられている。旋回体5におけるIMU20の設置場所はエンジンフード上、キャブ天井、または操作レバーの筐体内等であってもよく、特に限定されるものではない。制御部30は、作業機3、旋回体5、および後述する付与部17の制御を行う。IMU20と制御部30については、後段にて説明する。
(キャブ6)
図2は、キャブ6の内部を示す斜視図である。
【0020】
キャブ6内には、運転席13、走行レバー14、左作業機操作レバー15、および右作業機操作レバー16が設けられている。
【0021】
走行レバー14は、運転席13の前側に配置されている。走行レバー14を前に押すことによって車両本体2が前進し、走行レバー14を手前に引くことによって車両本体2が後進する。
【0022】
左作業機操作レバー15は、運転席13の左側に配置されたコンソールボックス51に設けられている。左作業機操作レバー15は、前後左右の4方向に傾斜可能である。
【0023】
左作業機操作レバー15を前方に傾斜することによってアーム8が押し出され、後方に傾斜することによってアーム8が引き込まれる。また、左作業機操作レバー15を運転席13側に傾斜することによって旋回体5が右旋回し、運転席13と反対側に傾斜させることによって旋回体が左旋回する。なお、左作業機操作レバー15が前後左右の中立位置に配置された状態では、旋回体5とアーム8がとまったままその位置で保持される。
【0024】
右作業機操作レバー16は、運転席13の右側に配置されたコンソールボックス52に設けられている。右作業機操作レバー16は、前後左右の4方向に傾斜可能である。
【0025】
右作業機操作レバー16を前方に傾斜することによってブーム7が下げられ、後方に傾斜することによってブーム7が上げられる。右作業機操作レバー16を運転席13と反対側に傾斜することによって掘削バケット9がダンプ操作し、運転席13側に傾斜することによって掘削バケット9が掘削操作する。なお、右作業機操作レバー16が前後左右の中立位置に配置された上体では、ブーム7と掘削バケット9は動かず、その位置で保持される。
【0026】
また、キャブ6内には、左作業機操作レバー15と右作業機操作レバー16の各々に対して、付与部17と、第1ポテンショメータ18および第2ポテンショメータ19とが設けられている。
【0027】
(付与部17)
左作業機操作レバー15と右作業機操作レバー16の各々に対して設けられている付与部17は同様の構成であるため、左作業機操作レバー15側を例に挙げて説明する。
【0028】
図3は、付与部17の外観構成を模式的に示す斜視図である。
図4は、付与部17の内部構成を模式的に示す斜視図である。
図5は、
図3のAA´間の矢示断面図である。
【0029】
付与部17は、
図4に示すように、第1支持フレーム21と、第2支持フレーム22と、第3支持フレーム23と、第1モータ24と、第2モータ25と、を備える。
【0030】
(第1支持フレーム21)
第1支持フレーム21は、コンソールボックス51のフレームに固定され、第2支持フレーム22および第3支持フレーム23を介して左作業機操作レバー15を前後左右に傾斜可能に支持する。
【0031】
例えば、第1支持フレーム21は、
図3に示すように、箱状であり、上面21aと、一対の側面21bと、一対の側面21cと、一対の載置面21dと、一対の載置面21eと、を有する。
【0032】
上面21aには、平面視において四角形状の貫通孔21hが形成されている。
【0033】
一対の側面21bは、上面21aの前端と後端の各々から下方に向かうように設けられている。一対の側面21bは、前後方向において対向するように配置されている。一対の側面21bには、それぞれに貫通孔21fが形成されている。
【0034】
一対の側面21cは、上面21aの左端と右端の各々から下方に向かうように設けられている。一対の側面21cは、左右方向において対向するように配置されている。一対の側面21cには、それぞれに貫通孔21gが形成されている。
【0035】
上面21a、一対の側面21bおよび一対の側面21cによって箱形状が形成されている。
【0036】
一対の載置面21dは、一対の側面21bのそれぞれの下端から側面21bに対して垂直であって外側に向かって延びるように設けられている。
【0037】
一対の載置面21eは、一対の側面21cのそれぞれの下端から側面21cに対して垂直であって外側に向かって延びるように設けられている。
【0038】
(第2支持フレーム22)
図4では、第1支持フレーム21を二点鎖線で示し、その内側の構成を実線で示す。
【0039】
第2支持フレーム22は、第1支持フレーム21の内側に第1支持フレーム21に対して回動可能に配置されている。第2支持フレーム22は、
図5に示すように、前後方向に沿って視て逆U字形状に形成されている。
【0040】
第2支持フレーム22は、上面22aと、一対の側面22bと、軸22cと、を有する。一対の側面22bは、上面22aの左右の端から下方に向かうように設けられている。上面22aには、左右方向に沿って形成された貫通孔22dが設けられている。また、貫通孔22dの前後方向の幅は、概ね左作業機操作レバー15の径と同じ長さに設定されている。貫通孔22dに沿って左右方向に左作業機操作レバー15が傾斜する。
【0041】
軸22cは、一対の側面22bの各々に、外側に向かって突出するように左右方向に沿って設けられている。左側の側面22bの軸22cは、左側の側面22bから左方向に向かって設けられており、右側の側面22bの軸22cは、右側の側面22bから右方向に向かって設けられている。一対の軸22cは、一対の側面21cの各々に形成された貫通孔21gに回転可能に挿入されている。
【0042】
(第3支持フレーム23)
第3支持フレーム23は、第1支持フレーム21の内側に第1支持フレーム21に対して回動可能に配置されている。第3支持フレーム23は、第2支持フレーム22の内側に配置されている。
【0043】
第3支持フレーム23は、
図4に示すように、枠部23aと、軸23bとを有する。枠部23aは、平面視において前後方向に長く形成された四角形状である。枠部23aは、平面視において左作業機操作レバー15を囲っている。枠部23aの前後方向に沿って左作業機操作レバー15が傾斜する。枠部23aは、一対の側面23cと、一対の側面23dを有する。一対の側面23cは、前後方向において対向して配置されている。一対の側面23dは、左右方向において対向して配置されている。側面23dは、平面視において側面23cよりも長く形成されている。一対の側面23dの各々には、
図5に示すように貫通孔23eが形成されている。
【0044】
軸23bは、一対の側面23dの各々に、外側に向かって突出するように前後方向に沿って設けられている。前側の側面23cに設けられた軸23bは、前側の側面23cから前方向に向かって設けられており、後側の側面23cに設けられた軸23bは、後側の側面23cから後方向に向かって設けられている。一対の軸23bは、一対の側面21bの各々に形成された貫通孔21f(
図3参照)に回転可能に挿入されている。
【0045】
左作業機操作レバー15は、
図5に示すように、その根元部分に左右のそれぞれの方向に突出した軸15aを有する。軸15aは、一対の側面23dの各々の貫通孔23eに回転可能に挿入されている。軸15aと上述した第2支持フレーム22の一対の軸22cは、同軸上に配置されている(軸C2参照)。第3支持フレーム23の一対の軸23bは同軸上に配置されている(軸C1参照)。
【0046】
これによって、例えば、左作業機操作レバー15を前後方向に傾斜させると、左作業機操作レバー15は第3支持フレーム23に対して軸15aを中心に回転する。この際、第3支持フレーム23の枠部23aが前後方向に長く形成されているため、左作業機操作レバー15は枠部23aと干渉することなく前後方向に傾斜できる。
【0047】
一方、第2支持フレーム22は左作業機操作レバー15が貫通孔22dの縁に当接するため左作業機操作レバー15の前後方向への回転とともに軸22cを中心に回動する。軸15aと上述した第2支持フレーム22の一対の軸22cが同軸C2上に配置されているため、左作業機操作レバー15は、軸C2を中心に前後方向に傾斜することになる。
【0048】
また、左作業機操作レバー15を左右方向に傾斜させると、左作業機操作レバー15は第3支持フレーム23とともに軸23bを中心に回転する。左作業機操作レバー15を左右方向に傾斜させた際には、左作業機操作レバー15は第2支持フレーム22の貫通孔22dに沿って移動するため、左作業機操作レバー15は第2支持フレーム22の上面22aに干渉することなく左右方向に傾斜できる。第3支持フレーム23の一対の軸23bは同軸C1上に配置されているため、左作業機操作レバー15は、軸C1を中心に左右方向に傾斜することになる。
【0049】
(第1モータ24)
第1モータ24は、電動モータであり、第3支持フレーム23の一対の軸23bのうち一方の軸23bに接続されている。第1モータ24は載置面21dに固定されている。
【0050】
第1モータ24は、軸23bに力を与えることによって左作業機操作レバー15に対して左右方向に傾斜させるように力を与えることができる。
【0051】
通常操作において、第1モータ24によって、レバーの操作感をオペレータに感じさせるために、オペレータの操作に対して左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に反力を付与することができる。たとえば、オペレータが左作業機操作レバー15を左方向に傾斜した場合に、左作業機操作レバー15が右方向に傾斜するように軸23bに力を与えることによって、オペレータに操作感を与えることができる。なお、通常操作とは、後述するが、IMU20によって検出される加速度の絶対値が所定閾値未満の場合を意味する。
【0052】
また、例えば、振動や衝撃によって加速度の絶対値が所定閾値以上になった場合に左作業機操作レバー15が左方向に傾斜したとき、左作業機操作レバー15が右方向に傾斜するように第1モータ24で軸23bに力を与えることによって、左作業機操作レバー15の移動を規制することができる。
【0053】
(第2モータ25)
第2モータ25は、電動モータであり、第2支持フレーム22の一対の軸22cのうち一方の軸22cに接続されている。第2モータ25は載置面21eに固定されている。
【0054】
第2モータ25は、軸22cに力を与えることによって左作業機操作レバー15に対して前後方向に傾斜させるように力を与えることができる。第2モータ25を回転させると第2支持フレーム22が前後方向に回転し、貫通孔22dの縁が左作業機操作レバー15に当接するため左作業機操作レバー15も前後方向に傾斜する。
【0055】
通常操作において、第2モータ25によって、レバーの操作感をオペレータに感じさせるために、オペレータの操作に対して左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に反力を付与することができる。たとえば、オペレータが左作業機操作レバー15を前方向に傾斜した場合に、左作業機操作レバー15が後方向に傾斜するように軸22cに力を与えることによって、オペレータに操作感を与えることができる。
【0056】
また、例えば、振動や衝撃によって加速度の絶対値が所定閾値以上になった場合に左作業機操作レバー15が前方向に傾斜したとき、左作業機操作レバー15が後方向に傾斜するように第2モータ25で軸22cに力を与えることによって、左作業機操作レバー15の移動を規制することができる。
【0057】
(第1ポテンショメータ18)
第1ポテンショメータ18は、第3支持フレーム23の一対の軸23bのうち他方の軸23bに接続されている。第1ポテンショメータ18は載置面21dに固定されている。
【0058】
第1ポテンショメータ18は、軸23bの回転位置を検出することによって左作業機操作レバー15の左右方向における傾斜位置を検出する。この傾斜位置に基づいて指令信号が送信され旋回体5が旋回する。
【0059】
(第2ポテンショメータ19)
第2ポテンショメータ19は、第2支持フレーム22の一対の軸22cのうち他方の軸22cに接続されている。第2ポテンショメータ19は載置面21eに固定されている。
【0060】
第2ポテンショメータ19は、軸22cの回転位置を検出することによって左作業機操作レバー15の前後方向における傾斜位置を検出する。この傾斜位置に基づいて指令信号が送信されアーム8が押し出され、又は引き込まれる。
【0061】
(制御部30)
図6は、制御部30の構成を示すブロック図である。
図6では、第1ポテンショメータ18と第2ポテンショメータ19を兼ねて図示する。第1モータ24と第2モータ25を兼ねて図示する。
【0062】
制御部30は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサおよびメモリなどを含む。制御部30は記憶されているプログラムをメモリ上に展開してプロセッサにより実行する。
【0063】
制御部30は、IMU20で検出された加速度の値に基づいて、付与部17の制御を行う。また、制御部30は、第1ポテンショメータ18および第2ポテンショメータ19による左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の位置に基づいて、作業機3、旋回体5の制御を行う。
【0064】
制御部30は、判定部31と、演算部32と、付与信号生成部33と、を有する。これら、判定部31、演算部32、および付与信号生成部33は、プロセッサによって実行される機能である。プロセッサは、1つであっても複数設けられていてもよい。
【0065】
IMU20と制御部30は無線または有線によって電気的に接続されており、IMU20から検出した加速度の情報を含む信号s1が制御部30に送信される。
【0066】
判定部31は、IMU20で検出した加速度情報を含む信号s1を受信すると、IMU20で検出された加速度の大きさが所定閾値以上であるかの判定を行う。例えば、本実施の形態では、前後方向の加速度の絶対値が所定閾値以上であるか、左右方向の加速度の絶対値が所定閾値以上であるかが、判定部31によって判定される。なお、前後方向の加速度に対する閾値と、左右方向の加速度に対する閾値は同じであっても異なっていてもよい。また、前方向と後方向で閾値の大きさ(絶対値)が異なっていてもよく、左方向と右方向で閾値の大きさ(絶対値)が異なっていても良い。
【0067】
演算部32は、IMU20で検出された加速度の絶対値が所定閾値以上の場合に、車両本体2に生じる加速度によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に生じる加速度を演算し、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与える力を演算する。
【0068】
付与信号生成部33は、演算された左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与える力に基づいて、付与部17を制御する信号s2、s6を生成し、各々の付与部17に送信する。制御部30と2つの付与部17の第1モータ24と第2モータ25は有線または無線によって電気的に接続されており、付与部17を制御する情報を含む信号s2、s6が制御部30から第1モータ24または第2モータ25に送信される。
【0069】
図7は、作業機操作レバーにかかる加速度と作業機操作レバーに与える反力を示す図である。作業機操作レバーにかかる加速度が点線の波形W1で示され、作業機操作レバーに与える反力が実線の波形W2で示されている。
【0070】
一例として
図7のグラフを作業機操作レバーに前後方向にかかる加速度とし、前方向の加速度をプラス、後方向の加速度をマイナスとする。波形W1に示すように、前後方向に一定の周期で加速度が加わる場合、波形W1の逆位相の波形W2を左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に加えることによって、前後方向へのレバーの傾斜を規制することができる。なお、加速度の閾値をPとすると、波形W1の絶対値が閾値Pよりも大きい時間、波形W2の力が操作レバーに加えられる。
【0071】
また、逆位相の力に限らなくても良く、例えば、
図8に示すように付与部17によって付与される力が一定(W3、W4参照)であってもよい。なお、加速度の閾値をPとすると、波形W1の絶対値が閾値Pよりも大きい時間に操作レバーに反力が加えられる。そのため、波形W1が閾値P以上の時間においてW4の反力が左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与えられる。また、波形W1が閾値-P以下の時間においてW3の反力が左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与えられる。なお、W3の絶対値の大きさは波形W1の後方向への加速度の絶対値の最大値に一致させてもよく、W4の絶対値の大きさは波形W1の前方向への加速度の絶対値の最大値に一致させてもよい。なお、加速度の絶対値の最大値は、実験やシミュレーションによって予め算出されてもよい。
【0072】
なお、IMU20で検出される加速度の大きさ(絶対値)が所定閾値未満である通常の操作において、オペレータにレバーの操作感を生じさせるために左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に、その位置に応じて反力を付与している場合には、車両本体2に加わる加速度の大きさが所定閾値以上になると、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の傾斜位置に基づいた通常操作の際の反力がW2、W3またはW4になるように調整される。
【0073】
また、制御部30は、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の各々に対して設けられている第1ポテンショメータ18および第2ポテンショメータ19と無線または有線によって電気的に接続されている。制御部30は、第1ポテンショメータ18または第2ポテンショメータ19から左作業機操作レバー15の位置情報を含む信号s3を受信する。また、制御部30は、第1ポテンショメータ18または第2ポテンショメータ19から右作業機操作レバー16の位置情報を含む信号s4を受信する。
【0074】
制御部30は、左作業機操作レバー15の第1ポテンショメータ18および第2ポテンショメータ19から受信した信号s3と、右作業機操作レバー16の第1ポテンショメータ18および第2ポテンショメータ19から受信した信号s4とに基づいて、指令信号s5を送信して油圧シリンダ10~12を駆動させて作業機3を動作させ、旋回体5を旋回させる。
【0075】
<動作>
以下に、本開示にかかる実施の形態の油圧ショベル1の動作について説明する。
【0076】
図9は、油圧ショベル1の制御方法を示すフロー図である。
【0077】
はじめに、ステップS10において、制御部30は、IMU20で検出された加速度情報を含む信号s1を受信し、加速度の値を読み込む。
【0078】
次に、ステップS11において、判定部31は、加速度の絶対値が所定閾値以上であるか否かを判定する。
【0079】
ステップS11において、加速度の絶対値が所定閾値未満の場合には、制御はステップS10に戻り、加速度の値の読み込みが行われる。
【0080】
一方、ステップS11において、加速度の絶対値が所定閾値以上の場合には、ステップS12において演算部32が、車両本体2に生じた加速度によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に生じる加速度を演算する。そして、演算部32は、演算した加速度から左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与える力を演算する。
【0081】
次に、ステップS13において、付与信号生成部33は、演算結果に基づいて、第1モータ24または第2モータ25を制御する信号s2を作成する。この際、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の位置によっては、通常操作において反力が与えられている場合があるため、通常操作の際の反力がW2、W3またはW4になるように調整される。
【0082】
次に、ステップS14において、制御部30から左作業機操作レバー15の第1モータ24および第2モータ25と、右作業機操作レバー16の第1モータ24および第2モータ25に、信号s2、s6が送信される。信号s2、s6に基づいて、第1モータ24または第2モータ25によって、付与部17が、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に力を付与する。
【0083】
次に、ステップS15において、判定部31が、IMU20で検出される加速度の絶対値が所定閾値未満であるか判定する。
【0084】
ステップS15において、加速度の絶対値が所定閾値未満に達していないと判定部31が判定した場合には、制御はステップS12に戻り、演算部32によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に生じる加速度が演算され、ステップS12~S15が繰り返される。
【0085】
一方、ステップS15で加速度の絶対値が所定閾値未満になったと判定された場合、ステップS16において、制御部30は、付与部17による左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の操作力を元に戻すよう指令信号をそれぞれの付与部17に送信する。
【0086】
これによって、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の操作力が元に戻り、制御が終了する。ここで、元の状態とは、通常操作において反力を与えている場合には、通常操作の反力に戻すことを意味する。
【0087】
なお、ステップS10~S16における制御は、油圧ショベル1が動作している間は常に行われている。
【0088】
上述した制御によって、
図7では波形W1が+Pよりも大きい時間および波形W1が-Pよりも小さい時間に、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に反力が付与される。
【0089】
(実施の形態2)
実施の形態1では、IMU20で検出した加速度の絶対値が所定閾値以上の場合に、第1モータ24または第2モータ25によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に反力を付与しているが、実施の形態2では、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16を固定する。
【0090】
図10は、実施の形態2の付与部117を示す図である。実施の形態2の付与部117は、実施の形態1の付与部17と比較して、第1ブレーキ124および第2ブレーキ125が更に設けられている。
【0091】
第1ブレーキ124は、第3支持フレーム23の軸23bに取り付けられており、載置面21dに固定されている。第2ブレーキ125は、第2支持フレーム22の軸22cに取り付けられており、載置面21eに固定されている。
【0092】
第1ブレーキ124と第2ブレーキ125の構成および動作は同じであるため、第1ブレーキ124を例に挙げて説明する。
【0093】
図11は、第1ブレーキ124の断面構成を示す図である。第1ブレーキ124は、例えば、MR(Magneto-Rheological)ブレーキである。第1ブレーキ124は、外枠部41と、ロータ42と、コイル43と、MR流体44と、を有する。
【0094】
外枠部41は、載置面21dに固定されている。外枠部41の内部には空間が設けられている。外枠部41には第3支持フレーム23の軸23bが挿通されている。ロータ42は、外枠部41の内側に配置されており、軸23bに固定されている。軸23bの回転に伴ってロータ42も外枠部41の内側において回転する。コイル43は、ロータ42の外側であって外枠部41に設けられている。MR流体44は、外枠部41の内側の空間であってロータ42の周縁部に充填されている。
【0095】
判定部31がIMU20で検出された加速度の絶対値が所定閾値以上であると判定すると、制御部30から通電指令信号が付与部17に送信される。この通電指令信号を受信すると、コイル43に電気が流されて磁場が発生する。磁場の発生によりMR流体44が固体化するため、ロータ42の回転が制動され、軸23bの回転も制動される。これにより、左作業機操作レバー15の移動が停止される。
【0096】
<特徴>
(1)
本実施の形態1、2の油圧ショベル1(作業車両の一例)は、車両本体2と、作業機3と、左作業機操作レバー15(操作レバーの一例)および右作業機操作レバー16(操作レバーの一例)と、付与部17、117と、IMU20(加速度検出部の一例)と、制御部30と、を備える。作業機3は、車両本体2に取り付けられている。付与部17は、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に力を与える。IMU20は、車両本体2の加速度を検出する。制御部30は、IMU20で検出された加速度に基づいて、付与部17を制御して左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与える力の大きさを自動的に調整する。
【0097】
これにより、車両本体2の加速度に基づいて、振動や衝撃による誤動作が発生する可能性があると判断し、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に対して付与部17によって付与する力を自動的に調整することができる。このため、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16が誤操作されることを抑制できる。
【0098】
(2)
本実施の形態1、2の油圧ショベル1(作業車両の一例)では、制御部30は、IMU20で検出された加速度の絶対値(加速度の大きさ)が所定閾値以上の場合に、付与部17を制御して左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与える力の大きさを自動的に調整する。
これにより、車両本体2の加速度の絶対値が所定閾値以上になった場合に、振動や衝撃による誤動作が発生する可能性があると判断することができ、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に対して付与部17によって付与する力を自動的に調整することが可能となる。
(3)
本実施の形態1の油圧ショベル1(作業車両の一例)では、付与部17は、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に接続された第1モータ24(アクチュエータの一例)および第2モータ25(アクチュエータの一例)を有する。制御部30は、IMU20で検出された加速度の絶対値が所定閾値以上の場合に、車両本体2の加速度によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に加えられる力に対して反力を与えるように付与部17を制御する。
【0099】
これにより、車両本体2の振動や衝撃によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に加えられる力に対して反力を付与できる。このため、衝撃や振動による左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の動きを規制でき誤操作を抑制することができる。
【0100】
(4)
本実施の形態1の油圧ショベル1では、制御部30は、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に加えられる力に関する波形W1の逆位相の力(波形W2)を操作レバーに与えるように付与部17を制御する。
【0101】
これにより、車両本体2の振動や衝撃によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に加えられる力を相殺するように付与部17によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に反力を付与できる。このため、衝撃や振動による左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の動きを規制でき誤操作を抑制することができる。
【0102】
(5)
本実施の形態の油圧ショベル1では、制御部30は、IMU20で検出された加速度の絶対値が所定閾値以上の場合に、車両本体2の加速度によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に加えられる力に対して一定の反力を加えるように付与部17を制御する。
【0103】
これにより、車両本体2の振動や衝撃によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に加えられる力に対して付与部17によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に反力を付与できる。このため、衝撃や振動による左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の動きを規制でき誤操作を抑制することができる。
【0104】
(6)
本実施の形態1の油圧ショベル1では、制御部30は、IMU20(加速度検出部の一例)で検出された加速度に基づいて左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に加えられる力を求めることによって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与える反力を演算する。
【0105】
これによって、車両本体2の加速度によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に生じる加速度を演算することができ、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与える反力を計算できる。このため、衝撃や振動による左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の動きを規制でき誤操作を抑制することができる。
【0106】
(7)
本実施の形態2の油圧ショベル1では、付与部117は、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に制動力を与える。制御部30は、IMU20で検出された加速度の絶対値が所定閾値以上の場合に、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16を固定するよう付与部17を制御する。
【0107】
これによって、衝撃や振動によって左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16が動くことを抑制できるため、誤操作を抑制することができる。
【0108】
(8)
本実施の形態1、2の油圧ショベル1の制御方法は、ステップS10(受信ステップの一例)と、ステップS12~S13(調整ステップの一例)と、ステップS14(送信ステップの一例)と、を備える。
【0109】
ステップS10は、車両本体2の加速度を受信する。ステップS12は、受信した加速度に基づいて、車両本体2に設けられた作業機3を操作する左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与える力の大きさを自動的に調整する。調整した力の大きさを左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与えるように、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に力を与える付与部17に信号s2(指令の一例)を送信する。
【0110】
これにより、車両本体2の加速度に基づいて、振動や衝撃による誤動作が発生する可能性があると判断し、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に対して付与部17によって付与する力を自動的に調整することができる。このため、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16が誤操作されることを抑制できる。
(9)
本実施の形態1、2の油圧ショベル1の制御方法は、ステップS11(判定ステップの一例)を更に備える。ステップS11では、受信した加速度の絶対値が所定閾値以上か否かを判定する。ステップS12では、受信した加速度の絶対値が所定閾値以上の場合に、車両本体2に設けられた作業機3を操作する左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に与える力の大きさを自動的に調整する。
これにより、車両本体2の加速度の絶対値が所定閾値以上になった場合に、振動や衝撃による誤動作が発生する可能性があると判断することができ、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に対して付与部17によって付与する力を自動的に調整することが可能となる。
【0111】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0112】
(A)
上記実施の形態では、IMU20によって検出された加速度から左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16にかかる加速度を演算して、付与部17によって付与する力を決定しているが、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の位置に基づいて付与部17によって付与する力を決定してもよい。左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の位置は、それぞれに設けられた第1ポテンショメータ18および第2ポテンショメータ19によって検出される。
【0113】
IMU20によって検出された加速度の絶対値が所定閾値以上と判定された際に、例えば、判定されたときの位置から左作業機操作レバー15が右に移動していることが第1ポテンショメータ18によって検出されると、制御部30は、付与部17の第1モータ24によって左作業機操作レバー15が左に移動するように力を与える。また、判定されたときの位置から左作業機操作レバー15が左に移動していることが第1ポテンショメータ18によって検出されると、制御部30は、付与部17の第1モータ24によって左作業機操作レバー15が右に移動するように力を与える。
【0114】
このように、油圧ショベル1が、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の位置を検出する第1ポテンショメータ18(位置検出部の一例)および第2ポテンショメータ19(位置検出部の一例)を備える。制御部30は、IMU20(加速度検出部の一例)で検出された加速度の大きさが所定閾値以上の場合に、第1ポテンショメータ18および第2ポテンショメータ19で検出される左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の位置に基づいて、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に加えられる力に対して反力を与えるよう付与部17を制御する。
【0115】
これにより、車両本体2の振動や衝撃による左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の位置の変化を抑制するように付与部17によって反力を付与することができるため、衝撃や振動による左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16の誤操作を抑制することができる。
【0116】
(B)
上記実施の形態では、ステップS15において判定部31はIMU20で検出した加速度の絶対値が所定閾値未満であるかのみを判定しているが、所定時間の間、加速度の絶対値が所定閾値未満であるかを判定してもよい。
【0117】
IMU20で検出した加速度の絶対値が所定閾値以上の場合に、反力を与えているが、その場合、加速度の絶対値が所定閾値P以上になった途切れた領域でのみ反力が付与されることになる。このため、所定時間の間、加速度の絶対値が所定閾値未満であるかを判定することによって、連続的に左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に対して反力を付与することができる。なお、所定時間は、波形W1の周期f(
図7参照)よりも長くなるように設定してもよい。波形W1の周期fは、複数のパターンの振動若しくは衝撃によってレバーに加わる加速度を予め計測して決定してもよい。
(C)
上記実施の形態1、2では、油圧ショベル1にはIMU20が設けられているが、IMUに限らなくてもよく車両本体2にかかる加速度が検出できるセンサが設けられていればよい。
【0118】
(D)
上記実施の形態1では、車両本体2に加わる加速度の大きさが所定閾値以上の場合、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に反力を付与し、実施の形態2では、左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16を固定することによって、誤操作を防止しているが、これに限らなくても良い。例えば、車両本体2に加わる加速度の大きさが所定閾値以上の場合に左作業機操作レバー15および右作業機操作レバー16に不感帯を設けてもよい。これによって、誤操作を防止することができる。
【0119】
(E)
上記実施の形態2の付与部117は第1モータ24および第2モータ25を有しているが、通常操作において反力を付与しない場合には、第1モータ24および第2モータ25が設けられていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0120】
本発明の作業車両および作業車両の制御方法によれば、振動や衝撃等による誤操作を抑制することが可能な効果を発揮し、例えば油圧ショベル等として有用である。
【符号の説明】
【0121】
1 :油圧ショベル
2 :車両本体
3 :作業機
15 :左作業機操作レバー
16 :右作業機操作レバー
17 :付与部
20 :IMU
30 :制御部