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特許7412934リニアアクチュエータ、ロッド位置算出方法、位置算出プログラム、及び位置算出装置
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  • 特許-リニアアクチュエータ、ロッド位置算出方法、位置算出プログラム、及び位置算出装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】リニアアクチュエータ、ロッド位置算出方法、位置算出プログラム、及び位置算出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/22 20060101AFI20240105BHJP
   G01D 5/20 20060101ALI20240105BHJP
   G01D 5/165 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G01D5/22 B
G01D5/22 C
G01D5/20 110H
G01D5/165 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019168655
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2021047050
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安井 努
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-320957(JP,A)
【文献】特開2002-139348(JP,A)
【文献】国際公開第2014/167731(WO,A1)
【文献】特開2008-185464(JP,A)
【文献】特開2004-312878(JP,A)
【文献】特開2010-48763(JP,A)
【文献】特開平11-332209(JP,A)
【文献】特開2013-83516(JP,A)
【文献】特開2017-96756(JP,A)
【文献】特開平11-272332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/252
G01B 7/00-7/34
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に移動可能なロッドと、
前記ロッドを移動させるモータと、
所定の基準位置に対する前記ロッドの相対位置を検出する位置センサと、
前記モータの回転角を検出する回転センサと、
前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値に基づいて前記ロッドの位置を算出する位置算出部とを備え
前記位置算出部は、
前記位置検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、所定の位以下を切り捨てた数値の部分を、概略値として算出し、
前記回転角検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、前記所定の位以下の数値の部分を、詳細値として算出し、
前記概略値に前記詳細値を加算した値を、前記ロッドの位置として算出する
リニアアクチュエータ。
【請求項2】
ハウジングの内部空間に導入される流体圧に応じて直線運動するピストンと、
前記ピストンに固定されて当該ピストンと共に直線運動するロッドと、
前記ロッドの直線運動を回転運動に変換する変換機構と、
所定の基準位置に対する前記ロッドの相対位置を検出する位置センサと、
前記変換機構によって変換された回転運動の回転角を検出する回転センサと、
前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値に基づいて前記ロッドの位置を算出する位置算出部とを備え
前記位置算出部は、
前記位置検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、所定の位以下を切り捨てた数値の部分を、概略値として算出し、
前記回転角検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、前記所定の位以下の数値の部分を、詳細値として算出し、
前記概略値に前記詳細値を加算した値を、前記ロッドの位置として算出する
リニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記位置検出値及び前記回転角検出値を記憶する記憶部と、
前記ロッドが前記基準位置にあるときの前記位置検出値及び前記回転角検出値を初期値として前記記憶部に記憶させる設定部とを備え、
前記位置算出部は、前記初期値に対する前記位置検出値及び前記初期値に対する前記回転角検出値に基づいて前記ロッドの位置を算出する
請求項1又は請求項2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
複数の前記位置センサと、複数の前記回転センサとを備えている
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
複数の前記位置センサと、1つの前記回転センサとを備えている
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項6】
位置センサが、軸線方向に移動可能なロッドの位置を所定の基準位置に対する相対位置として検出する相対位置検出工程と、
回転センサが、前記ロッドを移動させるモータの回転角を検出する回転角検出工程と、
前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値を取得した位置算出装置が、前記位置検出値及び前記回転角検出値に基づいてリニアアクチュエータのロッドの位置を算出する位置算出工程とを有し、
前記位置算出工程では、
前記位置検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、所定の位以下を切り捨てた数値の部分を、概略値として算出し、
前記回転角検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、前記所定の位以下の数値の部分を、詳細値として算出し、
前記概略値に前記詳細値を加算した値を、前記ロッドの位置として算出する
ロッド位置算出方法。
【請求項7】
コンピュータに、
軸線方向に移動可能なロッドの位置を所定の基準位置に対する相対位置として検出する位置センサの検出値を取得させる相対位置取得処理と、
前記ロッドを移動させるモータの回転角を検出する回転センサの検出値を取得させる回転角取得処理と、
前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値に基づいてリニアアクチュエータのロッドの位置を算出させる位置算出処理とを実行させ
前記位置算出処理では、
前記位置検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、所定の位以下を切り捨てた数値の部分を、概略値として算出させ、
前記回転角検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、前記所定の位以下の数値の部分を、詳細値として算出させ、
前記概略値に前記詳細値を加算した値を、前記ロッドの位置として算出させる
位置算出プログラム。
【請求項8】
軸線方向に移動可能なロッドと、前記ロッドを移動させるモータと、所定の基準位置に対する前記ロッドの相対位置を検出する位置センサと、前記モータの回転角を検出する回転センサと、を備えたリニアアクチュエータに適用され、
前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値に基づいて前記ロッドの位置を算出する位置算出部を備え
前記位置算出部は、
前記位置検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、所定の位以下を切り捨てた数値の部分を、概略値として算出し、
前記回転角検出値に基づいて、前記ロッドの位置を示す数値のうち、前記所定の位以下の数値の部分を、詳細値として算出し、
前記概略値に前記詳細値を加算した値を、前記ロッドの位置として算出する
位置算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアアクチュエータ、ロッド位置算出方法、位置算出プログラム、及び位置算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のリニアアクチュエータは、円筒形状のハウジングを備えている。ハウジングの両端部は、閉塞壁で覆われており、ハウジングの内部に空間が区画されている。ハウジングの内部には、円板形状のピストンが配置されている。ピストンは、ハウジングの内部空間に導入される流体の圧力によって当該ハウジングの軸線方向に移動する。ピストンには、ロッドの一端部が固定されている。ロッドの他端部は、上記の閉塞壁を貫通して、ハウジングの外部にまで至っている。また、特許文献1のリニアアクチュエータは、ロッドの他端部の位置を検出するための位置センサを備えている。この位置センサは、基準位置に対するロッドの相対位置に応じた電圧を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-064481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のリニアアクチュエータにおいては、ロッドのストローク範囲が大きくなるほど、検出範囲が大きい位置センサを用いる必要がある。このように位置センサの検出範囲が大きくなると、基準位置に対するロッドの相対位置に応じた電圧を出力するものであるので基準となる電圧が一定の場合、検出範囲が小さいものに比べて、当該位置センサの検出精度が低下する傾向がある。したがって、特許文献1のようなリニアアクチュエータにおいては、ロッドのストローク範囲が大きくても、そのロッドの位置を精度よく検出できる技術が求められる。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロッドの位置を精度よく算出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのリニアアクチュエータは、軸線方向に移動可能なロッドと、前記ロッドを移動させるモータと、所定の基準位置に対する前記ロッドの相対位置を検出する位置センサと、前記モータの回転角を検出する回転センサと、前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値に基づいて前記ロッドの位置を算出する位置算出部とを備えている。
【0007】
上記課題を解決するためのロッド位置算出方法は、位置センサが、軸線方向に移動可能なロッドの位置を所定の基準位置に対する相対位置として検出する相対位置検出工程と、回転センサが、前記ロッドを移動させるモータの回転角を検出する回転角検出工程と、前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値を取得した位置算出装置が、前記位置検出値及び前記回転角検出値に基づいてリニアアクチュエータのロッドの位置を算出する位置算出工程とを有する。
【0008】
上記課題を解決するための位置算出プログラムは、コンピュータに、軸線方向に移動可能なロッドの位置を所定の基準位置に対する相対位置として検出する位置センサの検出値を取得させる相対位置取得処理と、前記ロッドを移動させるモータの回転角を検出する回転センサの検出値を取得させる回転角取得処理と、前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値に基づいてリニアアクチュエータのロッドの位置を算出させる位置算出処理とを実行させる。
【0009】
上記課題を解決するための位置算出装置は、軸線方向に移動可能なロッドと、前記ロッドを移動させるモータと、所定の基準位置に対する前記ロッドの相対位置を検出する位置センサと、前記モータの回転角を検出する回転センサと、を備えたリニアアクチュエータに適用され、前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値に基づいて前記ロッドの位置を算出する位置算出部を備える。
【0010】
上記課題を解決するためのリニアアクチュエータは、ハウジングの内部空間に導入される流体圧に応じて直線運動するピストンと、前記ピストンに固定されて当該ピストンと共に直線運動するロッドと、前記ロッドの直線運動を回転運動に変換する変換機構と、所定の基準位置に対する前記ロッドの相対位置を検出する位置センサと、前記変換機構によって変換された回転運動の回転角を検出する回転センサと、前記位置センサの位置検出値及び前記回転センサの回転角検出値に基づいて前記ロッドの位置を算出する位置算出部とを備える。
【0011】
上記構成によれば、位置センサによって、所定の基準位置に対するロッドの相対位置をある程度の精度で検出できる。そして、位置センサによって検出されたロッドの相対位置に対して、回転センサによって検出されるモータの回転角を加味することで、位置センサのみでは検出が難しい高い精度でロッドの相対位置を算出できる。
【0012】
上記リニアアクチュエータにおいて、前記位置検出値及び前記回転角検出値を記憶する記憶部と、前記ロッドが前記基準位置にあるときの前記位置検出値及び前記回転角検出値を初期値として前記記憶部に記憶させる設定部とを備え、前記位置算出部は、前記初期値に対する前記位置検出値及び前記初期値に対する前記回転角検出値に基づいて前記ロッドの位置を算出してもよい。
【0013】
上記リニアアクチュエータにおいて、複数の前記位置センサと、複数の前記回転センサとを備えていてもよい。
【0014】
上記リニアアクチュエータにおいて、複数の前記位置センサと、1つの前記回転センサとを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、リニアアクチュエータのロッドの位置を精度よく算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態にかかるリニアアクチュエータの断面図。
図2】制御装置が行う設定処理を示すフローチャート。
図3】制御装置が行う位置算出処理を示すフローチャート。
図4】(a)は、位置算出処理における概略値を算出する処理を示す説明図。(b)は、位置算出処理における詳細値を算出する処理を示す説明図。(c)は、位置算出処理における基準位置に対するロッドの位置を算出する処理を示す説明図。
図5】第2実施形態にかかるリニアアクチュエータの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1図4にしたがって説明する。なお、以下のリニアアクチュエータ100は、例えば、航空機の動翼を動作させる駆動源として利用される。
【0018】
先ず、リニアアクチュエータ100について説明する。リニアアクチュエータ100は、電動式のモータ50を備えている。モータ50の本体部51は、略円柱形状になっている。本体部51の軸線方向A側(図1における右側)からは、略円柱形状の出力軸52が突出している。出力軸52は、本体部51が通電制御されることで当該本体部51に対して回転する。なお、図1では、モータ50における本体部51の内部構造を省略して図示している。
【0019】
モータ50における本体部51の軸線方向A側には、中空で略円柱形状のギアハウジング40が固定されている。ギアハウジング40の内部空間は、略円柱形状になっている。ギアハウジング40の内部空間には、当該ギアハウジング40の軸線方向B側(図1における左側)の壁部を貫通してモータ50の出力軸52の一部が至っている。また、ギアハウジング40の内部空間には、モータ50の出力軸52に連結するギア機構41が収容されている。ギア機構41は、複数のギアで構成されており、出力軸52の回転を減速させて駆動力を伝達する。なお、図1では、ギア機構41の図示を簡略化している。
【0020】
ギアハウジング40の軸線方向A側には、中空で略円柱形状のハウジング10が固定されている。ハウジング10の内部空間は、略円柱形状になっている。ハウジング10における軸線方向A側の端壁部12には、厚み方向に貫通孔12Aが貫通している。貫通孔12Aは、平面視円形状であり、端壁部12の中央に位置している。また、ハウジング10における軸線方向B側の端壁部13には、厚み方向に貫通孔13Aが貫通している。貫通孔13Aは、平面視円形状であり、端壁部13の中央に位置している。
【0021】
ハウジング10の内部には、略円柱形状のボールねじ30が収容されている。ボールねじ30の外周面には、螺旋状にねじ溝33が切られている。ねじ溝33は、ボールねじ30の軸線方向A側に設けられている。ボールねじ30の軸線方向B側は、ハウジング10の貫通孔13Aに挿通されていて、ボールねじ30の軸線方向B側の端部がギアハウジング40の内部空間に至っている。ボールねじ30の軸線方向B側の端部は、ギア機構41を介してモータ50の出力軸52に連結されている。ボールねじ30の中心軸線は、ハウジング10の中心軸線と同軸になっている。
【0022】
ボールねじ30の外周面とハウジング10の内周面との間には、ベアリング36が配置されている。ベアリング36は、ボールねじ30におけるねじ溝33が設けられていない部分に配置されている。ベアリング36は、ボールねじ30をハウジング10に対して相対回転可能に支持している。
【0023】
また、ハウジング10の内部には、全体として棒状のロッド20が収容されている。ロッド20は、軸線方向B側に位置するナット21と、軸線方向A側に位置するロッド本体22とを備えている。ナット21は、円筒形状になっており、ナット21の内周面には、螺旋状の螺旋溝21Bが切られている。螺旋溝21Bの一端は、図示しない接続経路を介して螺旋溝21Bの他端に接続されている。螺旋溝21Bには、複数のボール21Aが収容されている。ナット21の軸線方向A側の端面からは、中空で円柱状のロッド本体22が延びている。ロッド本体22の軸線方向A側の端部は、ハウジング10の貫通孔12Aに挿通されていて、ハウジング10の外部に突出している。ロッド本体22の軸線方向B側は開口しており、ロッド本体22の内部空間とナット21の内部空間とが連通している。ロッド本体22の軸線方向A側の端面からは、略円環形状の固定部23が突出している。図示は省略するが、固定部23には、リニアアクチュエータ100によって動作される機器、例えば航空機の動翼が固定される。
【0024】
ロッド20におけるナット21及びロッド本体22には、ボールねじ30が挿通されている。また、ロッド20におけるナット21の螺旋溝21Bとボールねじ30のねじ溝33の間には、上述した複数のボール21Aが介在されている。ボールねじ30が回転すると、ボール21Aがボールねじ30のねじ溝33内を進行する。それに伴い、ロッド20がボールねじ30に対して軸線方向に相対移動する。
【0025】
ハウジング10の内部には、ロッド20の位置を検出するための位置センサ60が配置されている。位置センサ60は、ナット21が最も軸線方向B側に位置するときのロッド20の位置を基準として、軸線方向におけるロッド20の相対位置を検出する。したがって、ナット21が最も軸線方向B側に位置するときのロッド20の位置が所定の基準位置である。また、位置センサ60は、軸線方向におけるロッド20のストローク範囲の全域を検出可能になっている。位置センサ60としては、例えば、ロッド20の位置に応じて出力電圧を変化させるLVDT(差動変圧器)である。なお、相対位置検出工程が位置センサ60によって実現される。
【0026】
また、ギアハウジング40の内部には、モータ50の回転角を検出するための回転センサ70が配置されている。回転センサ70は、モータ50の出力軸52の回転角を検出する。回転センサ70としては、例えば、出力軸52の回転角に応じて出力電圧を変化させるレゾルバを用いることができる。なお、回転角検出工程が回転センサ70によって実現される。
【0027】
モータ50の本体部51における軸線方向B側の端部には、全体として円柱形状の外観の制御ハウジング80Aが固定されている。制御ハウジング80Aの内部には、各種の処理を行う制御装置80が収容されている。制御装置80は、マイクロコンピュータで構成されている。なお、制御装置80の行う各処理は、制御装置80に記憶されたプログラムを、コンピュータとしての制御装置80が実行することにより実現される。
【0028】
制御装置80には、位置センサ60が検出した位置検出値を示す信号が入力される。さらに、制御装置80には、回転センサ70が検出した回転角検出値を示す信号が入力される。すなわち、制御装置80は、位置検出値及び回転角検出値を取得する。
【0029】
制御装置80は、モータ50を制御する制御部81を備えている。制御部81は、モータ50の本体部51に対して制御信号を出力する。そして、出力軸52が周方向に回転することでボールねじ30が回転する。このようにボールねじ30が回転すると、ボールねじ30に対してロッド20が軸線方向に移動する。
【0030】
制御装置80は、位置センサ60の位置検出値及び回転センサ70の回転角検出値に基づいて、ロッド20の基準位置に対する当該ロッド20の位置を算出する位置算出部82を備えている。なお、位置算出工程が位置算出部82によって実現される。また、制御装置80は、位置センサ60の位置検出値及び回転センサ70の回転角検出値を記憶する記憶部83を備えている。制御装置80は、ロッド20が基準位置にあるときの位置センサ60の位置検出値及び回転センサ70の回転角検出値を初期値として記憶部83に記憶させる設定部84を備えている。なお、図1では、制御装置80の構成を機能的に分類して概略的に図示している。
【0031】
制御装置80には、複数のリニアアクチュエータ100を制御する統括制御装置110が電気的に接続されている。統括制御装置110は、航空機の操縦者の操作に応じて航空機の動翼を駆動させるために、複数のリニアアクチュエータ100を統括制御する。統括制御装置110は、複数のリニアアクチュエータ100における各リニアアクチュエータ100の制御装置80に制御信号を出力する。統括制御装置110としては、例えば、フライトコントローラである。
【0032】
次に、制御装置80が行う位置検出値及び回転角検出値の初期値を設定する一連の設定処理について説明する。制御装置80は、記憶部83に初期値が正常に記憶されていないと判定したときに一連の設定処理を実行する。具体的には、一連の設定処理は、当該制御装置80が統括制御装置110に対して初めて電気的に接続されたときや、記憶部83に記憶されていた初期値が消去されたことに伴ってリニアアクチュエータ100のメンテナンス作業を行うときに実行される。
【0033】
図2に示すように、ステップS11において、制御装置80における制御部81は、ロッド20がボールねじ30におけるねじ溝33の軸線方向B側に移動するように所定時間、モータ50を通電制御する。ここで、所定時間は、ナット21が、最も軸線方向A側の位置から最も軸線方向B側の位置に移動するまでに必要な時間よりも長い時間として予め定められている。したがって、ステップS11の処理によって、ナット21は、ねじ溝33における最も軸線方向B側に位置する。その後、制御装置80は、処理をステップS12に進める。
【0034】
ステップS12において、制御装置80における設定部84は、ステップS11が終了した時点での位置センサ60の位置検出値を、当該位置検出値の初期値として記憶部83に記憶させる。その後、制御装置80は、処理をステップS13に進める。
【0035】
ステップS13において、制御装置80における設定部84は、ステップS11が終了した時点での回転センサ70の回転角検出値を、当該回転角検出値の初期値として記憶部83に記憶させる。その後、制御装置80は、一連の設定処理を終了する。なお、この設定処理が終了した後は、新たに設定された位置センサ60の位置検出値の初期値、及び回転センサ70の回転角検出値の初期値を基準として、ロッド20の位置を算出する。
【0036】
次に、制御装置80が行うロッド20の位置を算出する一連の位置算出処理及びその処理の作用について説明する。制御装置80は、当該制御装置80が起動してから当該制御装置80の動作が終了するまで一連の位置算出処理を繰り返し実行する。
【0037】
図3に示すように、ステップS21において、制御装置80における位置算出部82は、位置検出値の初期値及びステップS21の処理時点の位置検出値に基づいて概略値を算出する。具体的には、位置算出部82は、位置検出値の初期値とステップS21の処理時点の位置検出値との差に基づいて、所定の基準位置に対する現在のロッド20の位置を算出する。そして、位置算出部82は、算出した所定の基準位置に対する現在のロッド20の位置における小数点以下の数値を切り捨てて、整数の部分を概略値とする。例えば、図4(a)に示すように、位置センサ60の位置検出値が「103」以上であって「104」未満であるときには、破線で示す小数点以下の数値を切り捨てて概略値が「103」と算出される。その後、制御装置80は、処理をステップS22に進める。
【0038】
図3に示すように、ステップS22において、位置算出部82は、回転角検出値の初期値及びステップS21の処理時点の回転角検出値に基づいて詳細値を算出する。具体的には、位置算出部82は、回転角検出値の初期値とステップS21の処理時点の回転角検出値との差に基づいて、ロッド20が基準位置にあるときのモータ50の出力軸52の回転位置を「0度」として、現在のモータ50の出力軸52の回転位置を、回転角として算出する。そして、位置算出部82は、現在の出力軸52の回転角をロッド20の軸線方向の移動量に変換して、その変換後の値を詳細値として算出する。なお、出力軸52の回転角をロッド20の軸線方向の移動量に変換するにあたっては、ギア機構41の減速比等が考慮される。
【0039】
ここで、例えば、モータ50の出力軸52が180度回転する毎にロッド20が軸線方向に「1」ずつ移動するものとする。この場合、ロッド20の軸線方向の移動量は、出力軸52の回転角が0度から180度に近づくに連れて、「0」から「1」に近づいていき、出力軸52の回転角が180度になったときに再び「0」になる。そして、出力軸52の回転角が180度から360度に近づくに連れて、「0」から「1」に近づいていく。すなわち、ロッド20の軸線方向の移動量は、0度以上360度未満で変化する出力軸52の角度に応じて、180度周期で「0」以上「1」未満の範囲で算出される。具体的には、図4(b)に示すように、モータ50の出力軸の回転角が252度と算出されたときには、ロッド20の軸線方向の移動量の詳細値が「0.40」と算出される。その後、制御装置80は、処理をステップS23に進める。
【0040】
図3に示すように、ステップS23において、位置算出部82は、今回のステップS21で算出した概略値に今回のステップS22で算出した詳細値を加算してロッド20の位置を算出する。例えば、図4(c)に示すように、今回のステップS21で算出した概略値が「103」であり、今回のステップS22で算出した詳細値が「0.40」であるときには、両者を足し合わせた「103.40」を、基準位置に対するロッド20の相対値として算出する。その後、制御装置80は、今回の一連の位置算出処理を終了する。
【0041】
本実施形態の効果について説明する。
(1)位置センサ60は、軸線方向におけるロッド20の相対位置を連続的に検出するため、軸線方向における検出誤差が積み重なる。そのため、位置センサ60は、軸線方向におけるロッド20のストローク範囲が大きくなるほど、位置センサ60の位置の検出精度が低下する傾向がある。その一方、回転センサ70は、モータ50の出力軸52が1回転する際の角度を検出するため、軸線方向におけるロッド20のストローク範囲が大きくなることでモータ50の出力軸52の回転数が増加したとしても、位置センサ60のように検出誤差が積み重なりにくい。そのため、回転センサ70では、軸線方向におけるロッド20のストローク範囲が大きくても、回転角検出値の検出精度が低下しにくい。そこで、制御装置80における位置算出部82は、ロッド20のストローク範囲の全域の位置を検出可能な位置センサ60が検出した位置検出値に基づいて、所定の基準位置に対するロッド20の相対位置の概略値を算出する。また、制御装置80における位置算出部82は、回転センサ70が検出した回転角検出値に基づいて、所定の基準位置に対するロッド20の相対位置の詳細値を算出する。そして、制御装置80における位置算出部82は、位置センサ60の位置検出値から算出した概略値に、回転センサ70の回転角検出値から算出した詳細値を加算することで、所定の基準位置に対するロッド20の相対位置を算出する。このように、制御装置80における位置算出部82は、位置センサ60の位置検出値に基づいて、所定の基準位置に対するロッド20の相対位置をある程度の精度で算出する。そして、回転センサ70の回転角検出値を加味することで、最終的には所定の基準位置に対するロッド20の相対位置を高い精度で算出できる。さらに、所定の基準位置に対するロッド20の相対位置を高い精度で算出できるため、航空機の動翼における動作精度の向上に寄与できる。その結果、複数のリニアアクチュエータ100を用いて同じ動翼を駆動する構成であっても、各リニアアクチュエータ100におけるロッド20の駆動位置のずれに起因して動翼が歪むことを抑制できる。
【0042】
(2)リニアアクチュエータ100の製造上の誤差や製造後の経年劣化によって、ロッド20が基準位置にあるにも拘らず、位置センサ60の位置検出値や回転センサ70の回転角検出値が初期値からずれることがある。この場合、制御装置80における位置算出部82は、所定の基準位置に対するロッド20の相対位置を誤って算出する。これに対して、制御装置80における設定部84は、ナット21が最も軸線方向B側に位置するときの位置センサ60の位置検出値を、当該位置検出値の初期値として記憶部83に記憶させる。また、制御装置80における設定部84は、ナット21が最も軸線方向B側に位置するときの回転センサ70の回転角検出値を、当該回転角検出値の初期値として記憶部83に記憶させる。このように、制御装置80における設定部84は、ロッド20が同一の基準位置にあるときの位置検出値及び回転角検出値を、位置検出値の初期値及び回転角検出値の初期値として記憶部83に記憶させることができる。これにより、リニアアクチュエータ100において製造上の誤差が生じたり、製造後の経年劣化が生じたりしても、ロッド20の位置に応じて改めて初期値を設定できる。
【0043】
(3)位置センサ60としてLVDTを採用している。一般的に、LVDTは、ロッド20の位置に応じて出力電圧を出力するため、出力電圧の経時的な変化等の情報に依らずに、直接的にロッド20の位置を検出できる。また、LVDTは、比較的に広い範囲に亘ってロッド20の位置を検出できる。その一方で、LVDTは、基準位置に対するロッド20の相対位置に応じた電圧を出力するものであるので基準となる電圧が一定の場合、検出される電圧の分解能にも限界があるため、精度という点では十分でないこともある。これに対して、回転センサ70として、レゾルバを採用している。一般的に、レゾルバは、所定の回転角毎に出力されるパルスの数に応じて回転角を検出するため、比較的に高い精度が期待できる。その一方で、レゾルバは、360度以上の回転角を検出しようとする場合には、出力軸52が初期位置からの回転数をカウントして記憶する必要があり、仮に記憶しているカウント値が失われれば、回転角を検出することができなくなる。すなわち、レゾルバは、瞬間的な停電等に弱いといえる。回転センサ70を用いてロッド20の移動量を検出しているので、ロッド20の移動量を高精度に検出できる。そして、回転センサ70を用いているものの、回転センサ70は、ロッド20の移動量の詳細値を算出する目的に限っている。そのため、瞬間的な停電等によって回転センサ70による出力軸52の回転角の検出が不可能になっても、位置センサ60によってロッド20の移動量を相応の精度で検出できる。したがって、瞬間的な停電等によって、ロッド20の移動量が全く検出できなくなるといった事態は生じにくい。
【0044】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を図5にしたがって説明する。なお、第2実施形態の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、具体的な説明を省略又は簡略化する。
【0045】
先ず、リニアアクチュエータ200について説明する。リニアアクチュエータ200は、中空で略円柱形状のハウジング210を備えている。ハウジング210の内部空間は、略円柱形状になっている。ハウジング210における外周壁211においては、径方向に第1連通孔211Aが貫通している。第1連通孔211Aは、外周壁211における軸線方向A側(図5における右側)の端部に位置している。また、外周壁211においては、径方向に第2連通孔211Bが貫通している。第2連通孔211Bは、外周壁211における軸線方向B側(図5における左側)の端部に位置している。ハウジング210における軸線方向A側の端壁部212には、厚み方向に貫通孔212Aが貫通している。貫通孔212Aは、平面視円形状であり、端壁部212の中央に位置している。また、ハウジング210における軸線方向B側の端壁部213からは、軸線方向A側に向かってストッパ216が延びている。
【0046】
ハウジング210の内部には、略円板形状のピストン230が収容されている。ピストン230の外径は、ハウジング210の内径と略同じになっている。ピストン230の中心軸線は、ハウジング210の中心軸線と同軸になっている。ピストン230は、ハウジング210の内部に導入される油圧に応じて、当該ハウジング210に対して軸線方向に移動可能になっている。すなわち、ピストン230は、ハウジング210の軸線方向に沿うように直線運動可能になっている。
【0047】
ピストン230における軸線方向A側の端面からは、全体として棒状のロッド220が延びている。ロッド220におけるロッド本体222は、ピストン230の中央部から延びている。ロッド本体222の軸線方向A側の端部は、ハウジング210の貫通孔212Aに挿通されていて、ハウジング210の外部に突出している。ロッド本体222の軸線方向A側の端面からは、略円環形状の固定部223が突出している。図示は省略するが、固定部223には、リニアアクチュエータ200によって動作される機器、例えば、航空機の動翼が固定される。ロッド220は、ピストン230に固定されていることで、ピストン230と共にハウジング210の軸線方向に沿うように直線運動可能になっている。ロッド220及びピストン230が一体的に構成されている。
【0048】
ハウジング210における端壁部212の軸線方向A側の端面には、ロッド220の直線運動を回転運動に変換する変換機構240が固定されている。変換機構240における支持部241は、端壁部212の端面から軸線方向A側に向かって延びている。支持部241の軸線方向A側の端部には、全体として円板形状の回転部242が支持されている。回転部242は、支持部241に対して回転可能になっている。回転部242の外周面は、ロッド220におけるロッド本体222の外壁部に接触している。回転部242は、ロッド220が軸線方向に移動することで支持部241に対して回転する。回転部242としては、例えば、ギアやローラなどである。
【0049】
また、ハウジング210における端壁部212の軸線方向A側の端面には、変換機構240によって変換された回転運動の回転角を検出する回転センサ270が固定されている。回転センサ270は、支持部241に対する回転部242の回転角を検出する。回転センサ270としては、例えば、回転部242の回転角に応じて出力電圧を変化させるレゾルバを用いることができる。なお、回転角検出工程が回転センサ270によって実現される。
【0050】
ハウジング210の内部には、ロッド220の位置を検出するための位置センサ260が配置されている。位置センサ260は、図5に示すように、ピストン230とストッパ216とが当接しているときのロッド220の位置を基準として、軸線方向におけるロッド220の相対位置を検出する。したがって、ピストン230とストッパ216とが当接しているときのロッド220の位置が所定の基準位置である。また、位置センサ260は、軸線方向におけるロッド220のストローク範囲の全域を検出可能になっている。位置センサ260としては、例えば、ロッド20の位置に応じて出力電圧を変化させるLVDT(差動変圧器)である。なお、相対位置検出工程が位置センサ260によって実現される。
【0051】
リニアアクチュエータ200におけるハウジング210には、油圧回路290が接続されている。油圧回路290は、オイルを供給するための油圧源291を備えている。油圧源291には、オイルが流通する供給通路293の一端が接続されている。供給通路293の他端には、オイルの流れを制御するための流路切替機構295が接続されている。流路切替機構295には、供給通路293を介して油圧源291からオイルが供給される。
【0052】
また、流路切替機構295には、オイルが流通する排出通路294の一端が接続されている。排出通路294の他端には、オイルが貯留されるリザーバ292が接続されている。リザーバ292には、排出通路294を介して流路切替機構295側からのオイルが排出される。
【0053】
流路切替機構295には、オイルが流通する第1通路296の一端が接続されている。第1通路296の他端には、ハウジング210の第1連通孔211Aが接続されている。また、流路切替機構295には、オイルが流通する第2通路297の一端が接続されている。第2通路297の他端には、ハウジング210の第2連通孔211Bが接続されている。
【0054】
ハウジング210における端壁部213の軸線方向B側の端面には、全体として円柱形状の外観の制御ハウジング280Aが固定されている。制御ハウジング280Aの内部には、各処理を行う制御装置280が収容されている。制御装置280は、マイクロコンピュータで構成されている。なお、制御装置280の行う各処理は、制御装置280に記憶されたプログラムを、コンピュータとしての制御装置280が実行することにより実現される。
【0055】
制御装置280には、位置センサ260が検出した位置検出値を示す信号が入力される。さらに、制御装置280には、回転センサ270が検出した回転角検出値を示す信号が入力される。すなわち、制御装置280は、位置検出値及び回転角検出値を取得する。
【0056】
制御装置280は、流路切替機構295を制御する制御部281を備えている。制御部281は、流路切替機構295に対して制御信号を出力する。この制御信号に応じて流路切替機構295が制御されると、例えば、供給通路293及び第2通路297が接続されて排出通路294及び第1通路296が接続される。このように接続されると、ハウジング210におけるピストン230よりも軸線方向B側にはオイルが供給される一方、ハウジング210におけるピストン230よりも軸線方向A側からはオイルが排出される。すると、ピストン230は、ハウジング210に対して軸線方向A側に移動する。そして、ロッド220は、ピストン230と共にハウジング210に対して軸線方向A側に移動する。また、この制御信号に応じて流路切替機構295が制御されると、例えば、供給通路293及び第1通路296が接続されて排出通路294及び第2通路297が接続される。このように接続されると、ハウジング210におけるピストン230よりも軸線方向A側にはオイルが供給される一方、ハウジング210におけるピストン230よりも軸線方向B側からはオイルが排出される。すると、ピストン230は、ハウジング210に対して軸線方向B側に移動する。そして、ロッド220は、ピストン230と共にハウジング210に対して軸線方向B側に移動する。
【0057】
制御装置280は、位置センサ260の位置検出値及び回転センサ270の回転角検出値に基づいて、ロッド220の基準位置に対する当該ロッド220の位置を算出する位置算出部282を備えている。なお、位置算出工程が位置算出部282によって実現される。また、制御装置80は、位置センサ260の位置検出値及び回転センサ270の回転角検出値を記憶する記憶部283を備えている。制御装置280は、ロッド220が基準位置にあるときの位置センサ260の位置検出値及び回転センサ270の回転角検出値を初期値として記憶部283に記憶させる設定部284を備えている。なお、図5では、制御装置280の構成を機能的に分類して概略的に図示している。また、制御装置280には、複数のリニアアクチュエータ200を制御する統括制御装置110が電気的に接続されている。
【0058】
この第2実施形態においても、制御装置280は、第1実施形態と同様の一連の設定処理を、記憶部283に初期値が正常に記憶されていないと判定したときに実行する。また、制御装置280は、第1実施形態と同様の一連の位置算出処理を、制御装置280が起動してから当該制御装置280の動作が終了するまで繰り返し実行する。したがって、この第2実施形態では、第1実施形態における上記(1)~(3)と同様の効果を得られる。
【0059】
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。また、以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で第1実施形態及び第2実施形態に適用できる。
【0060】
・上記の第1実施形態において、位置センサ60及び回転センサ70は、それぞれ1つ以上の範囲でそれらの数を変更できる。例えば、位置センサ60及び回転センサ70を2つずつ備えていてもよい。この構成においては、位置センサ60や回転センサ70の一部のセンサが故障しても、故障していない他の位置センサ60及び回転センサ70が少なくとも1つ以上あれば、故障していない他の位置センサ60の位置検出値及び回転センサ70の回転角検出値に基づいてロッド20の位置を算出できる。
【0061】
・また、例えば、位置センサ60を2つ備え、回転センサ70を1つ備えていてもよい。上記の構成では、位置センサ60を2つ備えているため、2つの位置センサ60のうちの1つが故障しても、故障していない位置センサ60の位置検出値に応じてロッド20の移動量の概略値を算出できる。その一方、1つの回転センサ70が故障してしまえば、ロッド20の移動量の詳細値は算出できなくなる。この場合でも、位置センサ60が正常であれば、ロッド20の移動量をある程度の精度で検出できる。そして、回転センサ70が1つのみであれば回転センサ70が2つ以上である場合に比べて回転センサ70の数の増加に伴うコスト等の上昇は抑制できる。また、仮に、回転センサ70を2つ備えている場合には、2つの回転センサ70のいずれかに不調や故障が生じたときにリニアアクチュエータ100のメンテナンス作業が必要になる。この点、上記の構成では、回転センサ70については1つのみ備えているため、回転センサ70のメンテナンス作業等の頻度を抑制できる。
【0062】
・上記の第1実施形態において、制御装置80は、リニアアクチュエータ100とは別の独立した部品として構成されていてもよい。この場合、制御装置80は、リニアアクチュエータ100に適用された位置算出装置として機能する。
【0063】
・上記の第1実施形態において、制御装置80の構成は変更できる。例えば、制御装置80における設定部84は省略してもよい。この場合、リニアアクチュエータ100の製造時において、位置検出値の初期値と回転角検出値の初期値とを一致させておけばよい。
【0064】
・また、例えば、リニアアクチュエータ100とは一体に構成されず、別に構成された制御装置が位置算出部を備えていてもよい。この場合、位置算出部を備えた制御装置は、リニアアクチュエータ100に適用された位置算出装置として機能する。
【0065】
・上記の第1実施形態において、位置センサ60として採用するセンサは変更できる。例えば、位置センサ60としては、磁歪式センサを採用してもよい。
・上記の第1実施形態において、回転センサ70として採用するセンサは変更できる。例えば、回転センサ70としては、光学式や磁気式のエンコーダを採用してもよい。また、例えば、回転センサ70としては、モータ50がブラシレスモータである場合はモータ50の内部に設けられるホール素子を活用したセンサを採用してもよい。
【0066】
・上記の第1実施形態において、回転センサ70が直接検出する検出対象は、出力軸52に限らない。例えば、回転センサ70は、ボールねじ30の回転角やギア機構41のギアの回転角を検出してもよい。この場合にも、回転センサ70は、間接的にモータ50の回転角を検出できる。
【0067】
・上記の第1実施形態において、回転センサ70の取り付け位置は任意の位置に変更できる。例えば、回転センサ70は、モータ50の本体部51の内部に取り付けられていたり、ハウジング10の内部に取り付けられていたりしてもよい。
【0068】
・上記の第2実施形態において、位置センサ260が直接検出する検出対象は、ロッド220に限らない。例えば、位置センサ260は、ピストン230の相対位置を検出してもよい。この場合にも、位置センサ260は、間接的にロッド220の相対位置を検出できる。
【0069】
・上記の第2実施形態において、リニアアクチュエータ200のハウジング210に供給する流体はオイルに限らない。例えば、ハウジング210に供給する流体は、オイルに代えて空気でもよい。
【0070】
・上記の第1実施形態において、ロッド20の所定の基準位置は変更できる。例えば、ナット21が最も軸線方向A側に位置するときのロッド20の位置が所定の基準位置でもよい。
【0071】
・上記の第1実施形態において、ハウジング10の内部に収容されるねじ機構は、ボールねじ30に限らず、変更してもよい。例えば、直動機構に用いるねじ等を使用してもよい。
【0072】
・上記の第1実施形態において、モータ50の形式は特に限定する必要は無く、ブラシ付モータやブラシレスDCモータやACモータなどを使用することができる。
【0073】
・上記の第1実施形態において、リニアアクチュエータ100は航空機の動翼を動作させる駆動源として利用するものを例示したが、これに限らない。例えば、リニアアクチュエータ100は、鉄道用ブレーキや鉄道用ドアや自動車用ブレーキや建設機械のアームや建物用自動ドア等の駆動源として利用することもできる。
【符号の説明】
【0074】
10…ハウジング、12…端壁部、12A…貫通孔、13…端壁部、13A…貫通孔、20…ロッド、21…ナット、21A…ボール、21B…螺旋溝、22…ロッド本体、23…固定部、30…ボールねじ、33…ねじ溝、36…ベアリング、40…ギアハウジング、41…ギア機構、50…モータ、51…本体部、52…出力軸、60…位置センサ、70…回転センサ、80…制御装置、80A…制御ハウジング、81…制御部、82…位置算出部、83…記憶部、84…設定部、100…リニアアクチュエータ、110…統括制御装置、200…リニアアクチュエータ、210…ハウジング、211…外周壁、211A…第1連通孔、211B…第2連通孔、212…端壁部、212A…貫通孔、213…端壁部、216…ストッパ、220…ロッド、222…ロッド本体、223…固定部、230…ピストン、240…変換機構、241…支持部、242…回転部、260…位置センサ、270…回転センサ、280…制御装置、280A…制御ハウジング、282…位置算出部、283…記憶部、284…設定部、290…油圧回路、291…油圧源、292…リザーバ、293…供給通路、294…排出通路、295…流路切替機構、296…第1通路、297…第2通路。
図1
図2
図3
図4
図5