(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】通話システム,制御サーバおよびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 3/58 20060101AFI20240105BHJP
H04M 3/428 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H04Q3/58 101
H04M3/428
(21)【出願番号】P 2019169373
(22)【出願日】2019-09-18
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】513313521
【氏名又は名称】株式会社Phone Appli
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】弁理士法人東京UIT国際特許
(72)【発明者】
【氏名】岩田 泉
(72)【発明者】
【氏名】半澤 直樹
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-120969(JP,A)
【文献】特開2010-278792(JP,A)
【文献】特開2009-219029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 3/58
H04M 3/00-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,上記発信元電話機からの呼をパーク保留するパーク保留手段,および上記パーク保留手段によってパーク保留された被パーク呼のパーク保留を解除し,保留解除された発信元電話機からの呼と,構内交換機と応答者電話端末との間の呼とを接続する被パーク呼取得手段を備える構内交換機,ならびに
通話中および自己保留中の携帯電話端末からのパーク保留指示にしたがって上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信されるパーク保留に関するリクエストを受信するリクエスト受信手段,および上記リクエスト受信手段によって受信されたリクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機のパーク保留手段および被パーク呼取得手段を制御する制御手段を備える制御サーバ,
を備えている,通話システム。
【請求項2】
上記呼接続中継手段が,
発信元電話機から発呼された内線端末への着信を電話網を通じて携帯電話端末に転送する着信転送手段である,
請求項1に記載の通話システム。
【請求項3】
上記呼接続中継手段が,
発信元電話機からのコールバック発信にしたがって上記発信元電話機および上記携帯電話端末の両方を発呼するコールバック手段である,
請求項1に記載の通話システム。
【請求項4】
上記構内交換機が,
上記応答者電話端末を特定する応答者電話端末情報を受信する受信手段,および
上記受信手段によって受信された応答者電話端末情報に基づいて上記応答者電話端末を発呼する発信手段を備え,
上記構内交換機と応答者電話端末との間の呼が上記発信手段によって確立される,
請求項1から3のいずれか一項に記載の通話システム。
【請求項5】
上記受信手段は,
上記携帯電話端末から送信される上記応答者電話端末情報を受信するものである,
請求項4に記載の通話システム。
【請求項6】
上記構内交換機が,
上記応答者電話端末からの発呼に応答する応答手段を備え,
上記構内交換機と応答者電話端末との間の呼が上記応答手段によって確立される,
請求項1から3のいずれか一項に記載の通話システム。
【請求項7】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,上記発信元電話機からの呼をパーク保留するパーク保留手段,および上記パーク保留手段によってパーク保留された被パーク呼のパーク保留を解除し,保留解除された発信元電話機からの呼と,構内交換機と応答者電話端末との間の呼とを接続する被パーク呼取得手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続される制御サーバであって,
通話中および自己保留中の携帯電話端末からのパーク保留指示にしたがって上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信されるパーク保留に関するリクエストを受信するリクエスト受信手段,および上記リクエスト受信手段によって受信されたリクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機のパーク保留手段および被パーク呼取得手段を制御する制御手段を備えている,
制御サーバ。
【請求項8】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,上記発信元電話機からの呼をパーク保留するパーク保留手段,および上記パーク保留手段によってパーク保留された被パーク呼のパーク保留を解除し,保留解除された発信元電話機からの呼と,構内交換機と応答者電話端末との間の呼とを接続する被パーク呼取得手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続される制御サーバの動作を制御する方法であって,
リクエスト受信手段によって,
通話中および自己保留中の携帯電話端末からのパーク保留指示にしたがって上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信されるパーク保留に関するリクエストを受信し,
制御手段によって,上記リクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機のパーク保留手段および被パーク呼取得手段を制御する,
制御サーバの動作制御方法。
【請求項9】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,上記発信元電話機からの呼をパーク保留するパーク保留手段,および上記パーク保留手段によってパーク保留された被パーク呼のパーク保留を解除し,保留解除された発信元電話機からの呼と,構内交換機と応答者電話端末との間の呼とを接続する被パーク呼取得手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続され,かつ
通話中および自己保留中の携帯電話端末からのパーク保留指示にしたがって上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信されるパーク保留に関するリクエストを受信するリクエスト受信手段,および上記リクエスト受信手段によって受信されたリクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機のパーク保留手段および被パーク呼取得手段を制御する制御手段を備える制御サーバとデータ通信網を通じて接続され,
上記被パーク呼を取得すべき上記応答者電話端末を特定する応答者電話端末情報を入力する入力手段,および
入力手段から入力された応答者電話端末情報を上記制御サーバに送信する指定応答者送信手段,
を備えている,携帯電話端末。
【請求項10】
発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,上記発信元電話機からの呼をパーク保留するパーク保留手段,および上記パーク保留手段によってパーク保留された被パーク呼のパーク保留を解除し,保留解除された発信元電話機からの呼と,構内交換機と応答者電話端末との間の呼とを接続する被パーク呼取得手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続され,かつ
通話中および自己保留中の携帯電話端末からのパーク保留指示にしたがって上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信されるパーク保留に関するリクエストを受信するリクエスト受信手段,および上記リクエスト受信手段によって受信されたリクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機のパーク保留手段および被パーク呼取得手段を制御する制御手段を備える制御サーバとデータ通信網を通じて接続され携帯電話端末を制御するプログラムであって,
上記被パーク呼を取得すべき上記応答者電話端末を特定する応答者電話端末情報の入力を受付け,
受付けた応答者電話端末情報を上記制御サーバに送信するように上記携帯電話端末を制御する,
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,通話システムに関し,たとえば構内交換機(PBX)経由で携帯電話端末(たとえば,スマートフォン,フィーチャーフォン)に着信転送された通話がパーク保留されるように構内交換機を制御するためのシステムに関する。また,この発明は通話システムを構成する制御サーバおよびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,多くの企業では複数の内線端末を収容した構内交換機(PBX)が設置され,内線ごとに割り当てられた電話番号を用いて特定内線を外部から呼び出すダイヤルインサービスが利用されている。また,特定内線への着信を携帯電話やスマートフォン等に転送する着信転送機能も利用されている。
【0003】
外部からかかってきた電話に応対するときに,その通話を一時的にパーク保留することがある。通話に用いる電話機が構内交換機に接続されるいわゆるビジネスフォンであれば,電話機にあらかじめ用意されているパーク保留ボタンを押下することによって構内交換機にパーク保留指示を出すことができる。しかしながら,構内交換機経由でスマートフォンに通話が転送されていると,スマートフォン(電話アプリケーション)には一般にはパーク保留ボタンが用意されていないので,パーク保留することができない。
【0004】
特許文献1は,通話中に携帯電話から発信される保留特番を表すDTMF信号に基づいて通話を保留するシステムを記載する。キーパッドで保留のための番号(保留特番)をダイヤルする必要があり,利便性が高いとは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は,構内交換機経由で通話中または自己保留中の携帯電話端末において,簡単にパーク保留できるようにすることを課題とする。
【0007】
この発明による通話システムは,発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,上記発信元電話機からの呼をパーク保留するパーク保留手段,および上記パーク保留手段によってパーク保留された被パーク呼のパーク保留を解除し,保留解除された発信元電話機からの呼と,構内交換機と応答者電話端末との間の呼とを接続する被パーク呼取得手段を備える構内交換機,ならびに上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信されるパーク保留に関するリクエストを受信するリクエスト受信手段,および上記リクエスト受信手段によって受信されたリクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機のパーク保留手段および被パーク呼取得手段を制御する制御手段を備える制御サーバを備えている。発信元電話機および応答者電話端末は,スマートフォン,携帯電話,固定電話,ビジネスフォン等,その形態は問わない。
【0008】
この発明は通話システムを構成する制御サーバも提供する。この発明による制御サーバは,発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,上記発信元電話機からの呼をパーク保留するパーク保留手段,および上記パーク保留手段によってパーク保留された被パーク呼のパーク保留を解除し,保留解除された発信元電話機からの呼と,構内交換機と応答者電話端末との間の呼とを接続する被パーク呼取得手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続されるものであって,上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信されるパーク保留に関するリクエストを受信するリクエスト受信手段,および上記リクエスト受信手段によって受信されたリクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機のパーク保留手段および被パーク呼取得手段を制御する制御手段を備えている。
【0009】
この発明は,上述した制御サーバの動作制御方法も提供する。
【0010】
携帯電話端末は,この明細書において,電話網およびデータ通信網の双方に接続可能な小型の情報装置を意味し,通信装置,入力装置(タッチパネル,ボタン),表示装置,マイクロフォン,スピーカ,演算装置,メモリ,記憶装置等を含む。携帯電話端末の記憶装置には基本ソフトウェア(OS)およびアプリケーション・ソフトウェアがインストールされ,インストールされるアプリケーション・ソフトウェアに応じて電話機能を含む様々な機能が実現される。携帯電話端末にはスマートフォン,フィーチャーフォン等が含まれる。
【0011】
一実施態様では,上記呼接続中継手段が,発信元電話機から発呼された内線端末への着信を電話網を通じて携帯電話端末に転送する着信転送手段である。携帯電話端末の電話番号が転送先電話番号として内線端末の電話番号に対応づけられていると,構内交換機の呼接続中継手段は内線端末への着信を電話網を通じて携帯電話端末に着信転送する。着信転送の転送先電話番号と内線電話番号の対応付けは構内交換機にあらかじめ設定(記憶)しておくことができる。着信転送によって,構内交換機を経由する発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続が確立される(呼成立)。
【0012】
他の実施態様では,上記呼接続中継手段が,発信元電話機からのコールバック発信にしたがって上記発信元電話機および上記携帯電話端末の両方を発呼するコールバック手段である。構内交換機が発信元電話機および携帯電話端末の両方を発呼することによって,構内交換機を経由する発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続が確立される。
【0013】
この発明によると,構内交換機のパーク保留およびパーク保留解除(被パーク呼取得)の処理(機能)が携帯電話端末から指示される。携帯電話端末からのパーク保留およびパーク保留解除(被パーク呼取得)の指示は,電話網ではなくデータ通信網(たとえばインターネット)を通じて行われるので,DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)信号を利用する必要はない。キーパッドで保留番号ないし保留解除番号を直接にダイヤルする必要をなくすことができ,構内交換機経由で通話中または保留中の携帯電話端末を用いて,簡単にパーク保留およびその解除の指示を出すことができる。
【0014】
構内交換機を経由する発信元電話機と携帯電話端末との間の呼に対してパーク保留が行われると,発信元電話機と構内交換機との間の呼がパーク保留され,他方,構内交換機と携帯電話端末との間の呼は切断される。パーク保留中の発信元電話機と再び呼接続する(被パーク呼を取得する)には再発信が必要とされる。
【0015】
一実施態様では,上記構内交換機が,上記応答者電話端末を特定する応答者電話端末情報を受信する受信手段,および上記受信手段によって受信された応答者電話端末情報に基づいて上記応答者電話端末を発呼する発信手段を備え,上記構内交換機と応答者電話端末との間の呼が上記発信手段によって確立される。構内交換機が発信(発呼)することによって構内交換機と応答者電話端末との間の呼が確立され,この新たに確立された構内交換機と応答者電話端末との間の呼と,パーク保留が解除されることで復帰する発信元電話機からの呼(発信元電話機と構内交換機との間の呼)とが接続されることによって,被パーク呼が応答者電話端末によって取得される。応答者電話端末情報は,たとえばパーク保留を指示する上記携帯電話端末から構内交換機に送信されてその受信手段によって受信され,構内交換機は携帯電話端末からの応答者電話端末情報に基づいて応答者電話端末を発呼する。応答者電話端末は,パーク保留を指示する携帯電話端末でもよいし(自己応答),携帯電話端末とは別の端末であってもよい(第三者応答)。
【0016】
他の実施態様では,上記構内交換機が,上記応答者電話端末からの発呼に応答する応答手段を備え,上記構内交換機と応答者電話端末との間の呼が上記応答手段によって確立される。応答者電話端末が発信(発呼)することによって構内交換機と応答者電話端末との間の呼が確立され,この新たに確立された構内交換機と応答者電話端末との間の呼と,パーク保留が解除されることで復帰する発信元電話機からの呼とが接続されることによって,被パーク呼が応答者電話端末によって取得される。
【0017】
携帯電話端末からのパーク保留に関するリクエストは,携帯電話端末から構内交換機に直接に送信されるのではなく,制御サーバを経由して構内交換機に送信される。すなわち,構内交換機のパーク保留(その復帰(解除)を含む)を制御するための命令セットは制御サーバに用意される。様々なメーカ製の構内交換機が存在し,命令セットが相互に異なっているとしても,それに対応することができる。
【0018】
この発明は携帯電話端末,特に被パーク呼を取得すべき応答者電話端末を指定可能な携帯電話端末も提供する。この発明による携帯電話端末は,発信元電話機と携帯電話端末との間の呼接続を中継する呼接続中継手段,上記発信元電話機からの呼をパーク保留するパーク保留手段,および上記パーク保留手段によってパーク保留された被パーク呼のパーク保留を解除し,保留解除された発信元電話機からの呼と,構内交換機と応答者電話端末との間の呼とを接続する被パーク呼取得手段を備える構内交換機とデータ通信網を通じて接続され,かつ上記携帯電話端末からデータ通信網を通じて送信されるパーク保留に関するリクエストを受信するリクエスト受信手段,および上記リクエスト受信手段によって受信されたリクエストにしたがう制御信号を上記データ通信網を通じて上記構内交換機に送信し,上記構内交換機のパーク保留手段および被パーク呼取得手段を制御する制御手段を備える制御サーバとデータ通信網を通じて接続され,上記被パーク呼を取得すべき上記応答者電話端末を特定する応答者電話端末情報を入力する入力手段,および入力手段から入力された応答者電話端末情報を上記制御サーバに送信する指定応答者送信手段を備えている。
【0019】
この発明は,上記携帯電話端末の制御に適するプログラムも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】通話システムの概略的構成を示すブロック図である。
【
図3A】自己保留処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3B】自己保留処理の流れを示すフローチャートである。
【
図3C】パーク保留の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】スマートフォンの表示画面(通話画面)を示す。
【
図5】スマートフォンの表示画面(保留画面)を示す。
【
図6】スマートフォンの表示画面(パーク番号通知画面)を示す。
【
図7A】被パーク呼取得処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7B】被パーク呼取得処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】スマートフォンの表示画面(発信画面)を示す。
【
図9】スマートフォンの表示画面(パークリスト画面)を示す。
【
図10】スマートフォンの表示画面(被パーク呼応答者指定画面)を示す。
【
図11】スマートフォンの表示画面(検索画面)を示す。
【
図12A】被パーク呼取得処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12B】被パーク呼取得処理の流れを示すフローチャートである。
【
図13】他の実施例の通話システムの処理の流れを示すフローチャートである。
【実施例】
【0021】
図1は企業内通話システムの概略的構成を示すブロック図である。
【0022】
企業内通話システム1は,電話機11からダイヤルイン番号(固定電話)への発呼を,スマートフォン(フィーチャーフォンであってもよい)41Aに着信転送可能な構内交換機(以下,PBX(Private Branch eXchanger)と呼ぶ)21と,PBX21の処理を制御可能な制御サーバ51とを備えている。
【0023】
以下に詳述するように,PBX21は,発信元電話機11によるダイヤルイン番号(固定電話)宛の呼をスマートフォン41Aに着信転送する「着信転送機能」と,発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間の呼(通話)をパーク保留する「パーク保留処理」とを実行する。パーク保留された呼(以下,被パーク呼と言う)は,パーク保留を指示したスマートフォン41A自身またはスマートフォン41Aとは別の電話機(たとえばスマートフォン41B)を用いて取得する(パーク保留を解除して通話する,応答する,電話をとる)ことができる。
【0024】
図1を参照して,電話機11,PBX21およびスマートフォン41A,41Bは,電話網2を通じて相互に音声通信可能である。電話機11,PBX21およびスマートフォン41A,41Bは,いずれも固有の電話番号(契約者回線番号)を有しており,電話番号を入力して発呼することによって相互に通話することができる。スマートフォン41A,41Bには電話用アプリケーション・プログラム(電話アプリ)がインストールされており,この電話アプリによってスマートフォン41A,41Bは電話機(携帯電話)として機能し,かつ以下に詳述するように動作する。
【0025】
PBX21,制御サーバ51およびスマートフォン41A,41Bはまた,インターネット3(イントラネットを含んでもよく,イントラネットでもよい)を通じて相互にデータ通信可能である。電話機11についてもインターネット3を通じてデータ通信可能なものであってもよい。
【0026】
電話網2については,その一部または全部にインターネットを利用することができる(いわゆるIP電話)。もっとも,電話(通話)については回線交換が,データ通信についてはパケット交換が,それぞれ用いられるので,音声通信とデータ通信の通信モデルは相互に異なる。
【0027】
PBX21は,従来のPBXと同様の機能をIP(Internet Protocol )ネットワーク上で提供するいわゆるIP-PBXでもよく,またインターネット上でPBXの機能を提供する,いわゆるクラウドPBXでもよい。
【0028】
PBX21はメモリ(記憶媒体)22を備え,このメモリ22に,PBX21に接続(収容)されている複数の内線端末(図示略)のそれぞれについて,内線番号およびダイヤルイン番号,ならびに転送先番号が記憶されている。
図1には一台の内線端末についてメモリ22に記憶された設定データ22Aが示されており,ここでは,内線番号2010およびダイヤルイン番号03-1234-5678が設定されている特定の内線端末に,スマートフォン41Aの電話番号090-9876-5432 が転送先番号として設定(メモリ22に記憶)されている。内線番号2010またはダイヤルイン番号03-1234-5678を着番号とする内線発信または外線発信は,設定データ22Aに設定されている転送先番号にしたがってスマートフォン41Aに着信転送される。なお,スマートフォン41Aへの着信転送設定をしておくことによって,PBX21に物理的な内線端末を接続しておく必要は必ずしもない。
【0029】
PBX21のメモリ22にはパーク保留管理テーブル22Bも記憶されている。
図2はパーク保留管理テーブル22Bを示している。
【0030】
パーク保留管理テーブル22Bには,あらかじめ用意される複数のパーク回線(パークスロット)(以下,単に「パーク」と呼ぶこともある)のそれぞれについて,パーク内線番号,使用状況,被パーク呼取得用外線番号,および発呼元電話番号(被パーク者電話番号)が記憶される。この実施例では,分かりやすくするために5つのパーク回線が用意されているとする。もっとも,パーク回線の数は任意に設定することができ,たとえばPBX21に接続(収容)されている複数の内線端末に対応する数のパーク回線(内線端末のそれぞれに専用のパーク回線)を用意することもできる。
【0031】
パーク回線ごとに固有の内線番号,ここではaaa~eeeがあらかじめ付与され,パーク保留管理テーブル22Bに登録される。
【0032】
パーク保留管理テーブル22Bでは,パーク回線ごとに,パーク回線が使用中(保留中)であるかまたは使用されていない(空き状態)であるかが,たとえばフラグによって管理される(
図2では分かりやすくするために「使用中」または「空き」のいずれかが示されている)。
【0033】
パーク回線が使用中(保留中)になるとき,そのパーク回線に対して外線番号が割り当てられ,割り当てられた外線番号を被パーク呼の取得に用いることができる。後述するように,この実施例において,被パーク呼は,PBX21から発信される呼に基づいて取得することができるとともに,スマートフォン41A,41B等から発信される呼に基づいて取得することもできる。スマートフォン41A,41B等から発信される呼に基づいて被パーク呼を取得するときに「被パーク呼取得用外線番号」が用いられる。使用中のパーク回線に被パーク呼取得用外線番号が割り当てられ,割り当てられた被パーク呼取得用外線番号もパーク保留管理テーブル22Bに登録される。被パーク呼取得用外線番号は,あらかじめ用意される複数の外線回線の中から動的に使用中(保留中)のパーク回線に対して割り当てられる。一般には,あらかじめ用意されるパーク回線の回線数よりも少ない数の被パーク呼取得用外線番号が用意される。
【0034】
パーク保留管理テーブル22Bにはさらに,パーク回線に保留されている発信元電話機の電話番号(発呼元電話番号)も登録される。以下に説明するように,この実施例では,着呼先スマートフォン41Aを用いてパーク保留が行われることで発信元電話機11からの呼をパーク保留する態様を説明するので,発呼元電話番号がパーク保留管理テーブル22Bに登録される。なお,パーク保留が発呼元電話機11を用いて行われれば着呼先がパーク保留されることになり,この場合にはパーク保留管理テーブル22Bには着呼先スマートフォン41Aの電話番号が登録されることになる。
【0035】
被パーク呼が取得されると(電話がとられると),そのパーク回線の使用状況は「使用中」から「空き」に切り替えられる。また,被パーク呼取得用外線番号および発呼元電話番号がパーク保留管理テーブル22Bから削除される。
【0036】
図1に戻って,制御サーバ51は,PBX21の処理を制御するのみならず,後述するように,被パーク呼を取得すべき応答先端末を指定するための電話帳データ(連絡先データ)も提供することができる。制御サーバ51が備える記憶装置52にこの電話帳データが記憶される。電話帳データについての詳細は後述する。
【0037】
図3Aおよび
図3Bは,発信元電話機11からPBX21に収納された内線端末の一つ(ダイヤルイン番号)に発呼された通話を自己保留するときの通話システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
発信元電話機11を用いてPBX21に収納された特定の内線端末のダイヤルイン番号に電話をかけると(ステップ61),その発呼は電話網2を通じてPBX21において着呼される。発信元電話機11からPBX21には,発番号(発信元電話機11の電話番号)と着番号(ダイヤルイン番号)とが電話網2を通じて通知される。
【0039】
上述のように,PBX21のメモリ22には内線番号,ダイヤルイン番号および転送先番号が互いに関連付けられて登録された設定データ22Aが記憶されており,発信元電話機11から通知された着番号(ダイヤルイン番号)に関連付けられて設定データ22Aに登録されている転送先番号宛の着信転送処理が行われる。着番号に関連付けられてスマートフォン41Aの電話番号が転送先番号としてPBX21のメモリ22に記憶されているとすると,PBX21は発信元電話機11からの着信をスマートフォン41Aに転送することになる。
【0040】
PBX21を経由する発信元電話機11からの発呼が,スマートフォン41Aにおいて着呼される(ステップ62)。電話アプリが起動し,音,光,振動等によって着呼が知らされる。着信者(スマートフォン41Aの所持者)がオフフックする(電話をとる)(ステップ63)ことでPBX21は接続処理を行う。発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間に,電話網2およびPBX21を経由する呼接続S1,T1が確立される(呼成立)。呼接続S1,T1は,発信元電話機11とPBX21との間の呼接続S1と,PBX21とスマートフォン41Aとの間の呼接続T1とがPBX21において中継(接続)されることによって確立される。
【0041】
図4は,発信元電話機11(電話番号:03-5555-6666)とスマートフォン41Aとの間の呼接続S1,T1が確立されたときにスマートフォン41Aの表示画面に表示される通話画面41αを示している。
【0042】
スマートフォン41Aの通話画面41αには,発番号(発信元電話機11の電話番号)41a,発番号に関連付けられてスマートフォン41Aのメモリに記憶されている発信者の顔画像41b,ならびに会社名および氏名41cが表示される。
【0043】
PBX21を経由することによって,発信元電話機11に固有の電話番号ではなく,PBX21に固有の電話番号がスマートフォン41Aに通知される場合には,インターネット3に接続された制御サーバ51から発信元電話機11の電話番号(発番号)41aをスマートフォン41Aに送信し,これに基づいて発信元電話機11の電話番号をスマートフォン41Aに通知することができる。また,発信元電話機11の電話番号41aに加えて,発信元電話機11の電話番号41aに関連付けられている発信者の顔画像41b,ならびに会社名および氏名41cを表すデータも,制御サーバ51からスマートフォン41Aに送信してもよく(記憶装置52の電話帳データが用いられる),この場合にはスマートフォン41Aのメモリに発信者の顔画像41b,ならびに会社名および氏名41cを記憶させておく必要は必ずしもない。いずれにしても,上述のように制御サーバ51が用いられる場合には,PBX21は,スマートフォン41Aだけではなく制御サーバ51にも発番号と着番号を通知する。
【0044】
通話画面41αにはさらに,自己保留ボタン41eおよびパーク保留ボタン41fが表示される。自己保留ボタン41eおよびパーク保留ボタン41fは,たとえばメニューボタン(図示略)がタップされたときに通話画面41α上に現れるようにしてもよい。
【0045】
自己保留ボタン41eは,スマートフォン41Aを用いて通話をしている着信者が,その通話を自己保留するときに用いられる。自己保留された呼は,自己保留を指示したスマートフォン41Aを用いて取得する(通話を再開する)ことができる。パーク保留ボタン41fは,スマートフォン41Aを用いて通話をしている着信者が,その通話中の呼をパーク保留するときに用いられる。後述するように,パーク保留された呼(被パーク呼)は,パーク保留を指示したスマートフォン41Aに加えて,別のスマートフォン41B等を用いて取得することができる(詳しくは後述する)。
【0046】
図3Aに戻って,通話画面41αの自己保留ボタン41eがタップされると(ステップ65),スマートフォン41Aから制御サーバ51にインターネット3を通じて自己保留リクエストが送信される。自己保留リクエストに応答して,制御サーバ51がPBX21に対し,受信した自己保留リクエストにしたがうPBX21を制御するため自己保留指令をインターネット3を通じてPBX21に送信する。自己保留リクエストおよび自己保留指令には,呼接続S1,T1を特定するために,発信元電話機11の電話番号およびスマートフォン41Aの電話番号が含められる。自己保留リクエストには電話番号に代えてデバイスIDを含めてもよい。この場合,デバイスIDを受信した制御サーバ51は,記憶装置52に記憶されている電話帳データ等を用いて,受信したデバイスIDに関連付けられている電話番号をPBX21に送信する。
【0047】
図3Bを参照して,自己保留指令を受信したPBX21は,自己保留指令によって特定される呼接続S1,T1について自己保留処理を実行し(ステップ66),発信元電話機11とPBX21との間の呼接続S1を自己保留S2にする。自己保留S2は,発信元電話機11とPBX21との間の呼接続状態を維持しつつ,発信元電話機11からの音声およびスマートフォン41Aからの音声を遮断する状態である。なお,PBX21とスマートフォン41Aとの間の呼接続T1はそのまま維持される。
【0048】
PBX21から発信元電話機11に,保留音声,保留音楽など,保留中であることを発信者に伝える音声を,電話網2を通じて送信してもよい。
【0049】
PBX21は,PBX21と発信元電話機11との間の呼が自己保留S2に切り換えられた旨を,インターネット3を通じて制御サーバ51に送信する(ステップ67)。自己保留S2に切り替えられた旨を示すデータを受信した制御サーバ51は,保留画面遷移指示をスマートフォン41Aに送信する。スマートフォン41Aの画面が保留画面に切り替えられる(ステップ68)。
【0050】
図5は,制御サーバ51から保留画面遷移指示を受信した後のスマートフォン41Aの表示画面(保留画面41β)を示している。保留画面41βでは,上述した通話画面41αに表示されている自己保留ボタン41eが消え,これに代えて自己保留解除ボタン41gが新たに現れる。
【0051】
詳細な処理フローは省略するが,保留画面41β中の自己保留解除ボタン41gがタップされると,PBX21と発信元電話機11との間の呼が自己保留S2から呼接続S1に再び戻され,PBX21を経由する発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間の呼接続S1,T1が復帰する。上述の自己保留処理と同様に,スマートフォン41Aから制御サーバ51に保留解除リクエストが送信され,保留解除リクエストにしたがう保留解除指令が制御サーバ51からPBX21に送信されることで,PBX21において保留解除処理が実行される。保留解除リクエストおよび保留解除指令には,保留解除すべき自己保留されている回線を特定するために発信元電話機11の電話番号等が含められる。PBX21はまた,発信元電話機11に送信していた音声を停止し,通常画面への遷移指示をスマートフォン41Aに送信する。スマートフォン41Aの画面が保留画面41β(
図5)から通話画面41α(
図4)に再び切り替わる。
【0052】
図3Cは,通話画面41α(
図4)または保留画面41β(
図5)中のパーク保留ボタン41fがタップされたときの処理を示している。パーク保留ボタン41fは,通話中(
図4)であっても,自己保留中(
図5)であっても,タップすることができる。
【0053】
パーク保留ボタン41fがタップされると(ステップ69),スマートフォン41Aから制御サーバ51にインターネット3を通じてパーク保留リクエストが送信され,制御サーバ51からPBX21にパーク保留リクエストにしたがうパーク保留指令がインターネット3を通じて送信される。パーク保留リクエストおよびパーク保留指令には,呼接続S1,T1(または自己保留S2)を特定するために,発信元電話機11の電話番号等が含められる。
【0054】
パーク保留指令を受信したPBX21は,パーク保留指令によって特定される呼接続S1,T1(または自己保留S2)についてパーク保留処理を実行し(ステップ70),発信元電話機11とPBX21との間をパーク保留S3にする。パーク保留S3も,自己保留S2と同様に,発信元電話機11とPBX21との間の呼接続状態を維持しつつ,発信元電話機11からの音声およびスマートフォン41Aからの音声を遮断する状態である。保留音声をPBX21から発信元電話機11に送信してもよい。
【0055】
自己保留ボタン41eがタップされたときと異なり,パーク保留ボタン41fがタップされると(パーク保留指令がPBX21によって受信されると),PBX21は,メモリ22に記憶されているパーク保留管理テーブル22B(
図2参照)をアクセスし,空き状態のパーク回線の一つを確保(予約)する。確保されたパーク回線についてのパーク保留管理テーブル22Bの発呼元電話番号欄に,制御サーバ51から受信した発信元電話機11の電話番号が登録される。また,確保されたパーク回線の被パーク呼取得用外線番号欄には,あらかじめ用意されている複数の外線番号のうちのいずれか(現在未使用のもの)が割り当てられて登録される。さらに使用状態を表すフラグが「空き」から「使用中」に切り替えられる。
【0056】
パーク回線の確保が成功すると,そのパーク回線の内線番号,および割り当てられた被パーク呼取得用外線番号が,PBX21からインターネット3を通じて制御サーバ51を経由してスマートフォン41Aに送信され,スマートフォン41Aの表示画面に表示される(ステップ71)。
【0057】
図6は,スマートフォン41Aに表示されるパーク番号通知画面41γを示している。
【0058】
パーク番号通知画面41γには,上述したようにPBX21から送信されたパーク回線の内線番号,および割り当てられた被パーク呼取得用外線番号が,所定時間,たとえば数秒間表示される。パーク内線番号および被パーク呼取得用外線番号は,次に説明する処理において用いられることがあり,必要であれば,タップ等によってコピーをすることができる。
【0059】
図3Cに戻って,PBX21は,PBX21とパーク保留をリクエストしたスマートフォン41Aとの間に確立されていた呼接続T1を切断し(呼切断T2),これによってスマートフォン41Aは通話から抜ける。このように,パーク保留では,パーク保留を指示したスマートフォン41Aが通話から抜ける点において,PBX21とスマートフォン41Aの間の呼接続T1がそのまま維持される自己保留の処理(
図3B)と異なる。
【0060】
あらかじめ用意されているすべてのパーク回線が使用中の場合,空きがでるまでパーク保留することはできない。この場合,たとえばPBX21からスマートフォン41Aに,その旨を制御サーバ51を経由して通知してもよい。パーク保留の実行タイミングが通話中であっても自己保留中であっても,スマートフォン41Aと発信元電話機11とは自己保留状態に戻る(
図5)ことになる。
【0061】
図7Aおよび
図7Bは,被パーク呼を取得する(パーク保留を解除して通話する)ときの通話システム1の処理の流れを示すフローチャートである。
図8~
図11は被パーク呼を取得するときに表示されるスマートフォン41Aの表示画面を示している。
【0062】
上述したように,被パーク呼はPBX21から発信される呼に基づいて取得することができ,かつスマートフォン41A,41B等から発信される呼に基づいて取得することもできる。
図7Aおよび
図7Bは,PBX21から発信される呼に基づいて被パーク呼を取得する場合の処理を示している。
【0063】
図8を参照して,
図8は企業内通話システム1のスマートフォン(ここではパーク保留をリクエストしたスマートフォン41Aとする)において電話アプリを起動したときに表示される発信画面41δを示している。
【0064】
発信画面41δは,電話番号入力欄41h,テンキー41j,ダイヤル発信ボタン41m,パークリストボタン41l,履歴ボタン41kおよび電話帳ボタン41iを含む。
【0065】
テンキー41jを用いて電話番号を入力すると,その電話番号が電話番号入力欄41hに表示される。ダイヤル発信ボタン41mをタップすると,電話番号入力欄41hに表示されている電話番号宛に発呼される。電話番号入力欄41hに入力される電話番号は編集可能である。
【0066】
履歴ボタン41kをタップすると,発信履歴および受信履歴が表示される(図示略)。発信履歴または受信履歴を用いて発呼すべき電話番号を入力することもできる。
【0067】
電話帳ボタン41iをタップすると電話帳が表示される(電話帳については後述する)。電話帳を用いることでも発呼すべき電話番号を入力することができる。
【0068】
図7Aを参照して,パーク保留中の被パーク呼に応答するときに,発信画面41δのパークリストボタン41lがタップされる(ステップ72)。パークリストボタン41lがタップされると,パークリスト取得リクエストがスマートフォン41Aから制御サーバ51にインターネット3を通じて送信され,パークリスト取得リクエストにしたがうパークリスト取得指令が制御サーバ51からPBX21にインターネット3を通じて送信される。パークリスト取得リクエストおよびパークリスト取得指令には,スマートフォン41Aの電話番号(デバイスID等でもよい)が含められる。
【0069】
パークリスト取得指令を受信したPBX21は,上述したパーク保留管理テーブル22Bにアクセスし,使用中(パーク保留中)のパーク回線のパーク内線番号,被パーク呼取得用外線番号および発呼元電話番号(被パーク者電話番号)(包括的に「パーク使用情報」と呼ぶ)をスマートフォン41Aに送信する(ステップ73)。スマートフォン41Aの表示画面がパークリスト画面41εに切り換えられる(ステップ74)。パーク使用情報はPBX21からスマートフォン41Aに制御サーバ51を経由して送信される。
【0070】
図9はスマートフォン41Aに表示されるパークリスト画面41εの一例を示している。
【0071】
パークリスト画面41εは,パーク番号入力欄41p,「コールバックで取得」ボタン41q1,「パーク番号に発信して取得」ボタン41q2,被パーク者情報表示欄41r,および閉じるボタン41sを含む。
【0072】
PBX21から受信したパーク使用情報に基づいて,スマートフォン41Aの被パーク者情報表示欄41rにパーク保留中の被パーク者情報が表示される。
図9には3回線分のパーク回線が使用中(パーク保留中)である様子が示されている。
【0073】
上述したように,制御サーバ51に接続された記憶装置52には電話帳データ(連絡先データ)が記憶されており,記憶装置52に記憶されている電話帳データを被パーク者情報表示欄41rに表示されるパーク保留中の被パーク者情報の表示に用いることができる。この場合には,パーク使用情報に含まれる発呼元電話番号(被パーク者電話番号)に関連付けられている電話帳データが制御サーバ51からスマートフォン41Aに送信され,これに基づいて,パークリスト画面41εの被パーク者情報表示欄41rに,発呼元電話番号(被パーク者電話番号)に加えて,顔画像,会社名および氏名を表示することができる。もちろん,スマートフォン41Aのメモリに登録されている電話帳データを用いて,発呼元電話番号(被パーク者電話番号)に関連付けられている顔画像,会社名および氏名を表示してもよい。
【0074】
被パーク者情報表示欄41rには,上述したパーク内線番号(たとえば「ddd」)および被パーク呼取得用外線番号(たとえば「03-dddd-dddd」)も表示される。
【0075】
被パーク者情報表示欄41rに表示されるパーク内線番号の部分をタップすると,タップされたパーク内線番号がパーク番号入力欄41pにセットされる。セットされたパーク内線番号は編集することもできる。上述したパーク番号通知画面41γ(
図6)でコピーしたパーク内線番号を,パーク番号入力欄41pに貼り付けてもよい。パーク内線番号に代えて被パーク呼取得用外線番号をパーク番号入力欄41pにセットしても(貼り付けても)よい。「コールバックで取得」ボタン41q1をタップすることで,パーク番号入力欄41pにセットされたパーク内線番号または被パーク呼取得用外線番号によって特定される被パーク呼のコールバックでの取得処理が開始される。
【0076】
取得すべき被パーク呼が,たとえば株式会社パテントの鈴木三郎からの呼(発番号が03-5555-6666である呼)であるとすると,鈴木三郎に関連付けられているパーク内線番号dddがタップされる。パーク内線番号dddがパーク番号入力欄41pにセットされ,「コールバックで取得」ボタン41q1をタップすることで,鈴木三郎の呼(被パーク呼)に対するコールバックでの取得処理が開始される。
【0077】
閉じるボタン41sがタップされると,直前の画面,すなわち発信画面41δ(
図8)に戻る。
【0078】
パーク番号入力欄41pは,取得すべき被パーク呼を直接に指定するために用いることもできる。パーク番号入力欄41pに取得すべき被パーク呼のパーク内線番号を直接に入力し,「コールバックで取得」ボタン41q1をタップすることでも,その被パーク呼に対するコールバックでの取得処理を開始することができる。
【0079】
「コールバックで取得」ボタン41q1がタップされると,スマートフォン41Aの表示画面には,次に被パーク呼を取得すべき応答者(取得者)を指定するための被パーク呼応答者指定画面41ζが表示される(ステップ75)。
【0080】
図10は被パーク呼応答者指定画面41ζの一例を示している。
【0081】
被パーク呼応答者指定画面41ζは,「自己で応答」ボタン41t,応答者入力欄41u,応答ボタン41v,検索ボタン41w,電話帳41xおよびキャンセルボタン41dを含む。キャンセルボタン41dがタップされると,パークリスト画面41εに戻る。
【0082】
被パーク呼応答者指定画面41ζは,パークリスト画面41ε(
図9)を用いて取得すべき被パーク呼を指定した自分自身または第三者を,その被パーク呼を取得すべき応答者として指定することができる。
【0083】
自分自身を応答者とする場合,「自己で応答」ボタン41tがタップされる。自分自身の電話番号(ここではスマートフォン41Aの電話番号)が応答者入力欄41uにセットされる。このとき,PBX21,制御サーバ51,スマートフォン41Aのいずれかまたは全部の指示により,応答者入力欄41uにセットされる電話番号に対する操作(たとえば発信プレフィックスの付与等)を行ってもよい。被パーク呼応答者指定画面41ζは電話帳データに複数の電話番号が登録されている場合にどの電話番号宛に発信すべきかを選択するためにも用いられる。応答者入力欄41uにセットされた電話番号は編集することもできる。
【0084】
第三者(自己のデータが電話帳41xに含まれる場合には自己も含む)を応答者とする場合に電話帳41xを用いることができる。制御サーバ51に接続された記憶装置52に記憶されている電話帳データに基づいて,スクロール可能な電話帳41xが表示される。電話帳41xに表示される顔画像,部署名および氏名の領域がタップされると,タップされた第三者の電話番号が応答者入力欄41uにセットされる。上述と同様に,セットされた電話番号に発信プレフィックスの付与等を行ってもよい。
【0085】
主に,電話帳41xの登録件数が多数にのぼり,人物を検索するときに検索ボタン41wが用いられる。人物を検索するのみならず,他の目的(特定の役割や能力を持つ人物に絞り込む等)であっても検索ボタン41wを利用可能である。検索ボタン41wをタップすると,
図11に示す検索画面41ηがスマートフォン41Aの表示画面に表示される。検索画面41ηに設けられる検索領域41yに氏名等を入力すると,入力された氏名等に対応する電話帳データのみが検索画面41ηの電話帳欄41xに表示され(図示略),表示された電話帳データをタップすることで,タップされた第三者の電話番号が応答者入力欄41uにセットされた被パーク呼応答者指定画面41ζ(
図10)に戻る。
【0086】
制御サーバ51に接続された記憶装置52から送信される電話帳データに代えて,スマートフォン41Aのメモリにあらかじめ記憶されている電話帳データを用いて,応答者を指定することも可能である。
【0087】
図7Aに戻って,パークリスト画面41εで取得すべき被パーク呼が指定され(ステップ74),かつ被パーク呼応答者指定画面41ζで被パーク呼を取得すべき応答者が指定された状態で(ステップ75),被パーク呼応答者指定画面41ζの応答ボタン41vがタップされると,スマートフォン41Aから制御サーバ51に,インターネット3を通じて,指定された被パーク呼を特定するパーク内線番号と,指定された被パーク呼を取得すべき応答者の電話番号を含む被パーク呼取得リクエストが送信される。
【0088】
被パーク呼取得リクエストを受信した制御サーバ51は,被パーク呼取得用外線番号の割当解除指令および指定応答者の電話番号への発信指令をPBX21に送信する。
図7Bを参照して,PBX21は,制御サーバ51からの指令に基づいて,被パーク呼取得用外線番号の割当を解除し(ステップ76),かつ指定応答者の電話番号宛に発信をする(ステップ77)。被パーク呼応答者指定画面41ζが用いられて指定された応答者の電話端末を着呼先とする発呼が行われる。
【0089】
スマートフォン41Bが指定応答者の電話端末であるとする。PBX21からの発信によってスマートフォン41Bの電話アプリが起動し,音,光,振動等によって着呼が知らされる(ステップ78)。着信者(スマートフォン41Bの所持者)がオフフックする(電話をとる)(ステップ79)ことでPBX21とスマートフォン41Bとの間に呼接続(パーク取得呼)P1が確立される。
【0090】
制御サーバ51からPBX21には,被パーク呼のパーク保留解除指令が送信される。パーク保留S3が解除され,PBX21と発信元電話機11との間の呼接続S1が復帰する。最後に,制御サーバ51からPBX21に,PBX21とスマートフォン41Bとの間に確立された呼接続P1と,復帰したPBX21と発信元電話機11との間の呼接続S1の中継指令が送信され,これによってPBX21を経由する呼接続P1,S1が確立される(呼成立)。発信元電話機11とスマートフォン41Bとの間で通話が行われる。
【0091】
被パーク呼応答者指定画面41ζ(
図10)において「自己で応答」ボタン41tがタップされた場合であれば,PBX21はスマートフォン41Aを発呼する。PBX21とスマートフォン41Aとの間に呼接続P1が確立され,PBX21を経由する呼接続S1,P1を通じて発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間で再び通話が行われることになる。
【0092】
PBX21を制御するための自己保留指令(
図3A),パーク保留指令(
図3C),リスト取得指令(
図7A),パーク呼取得のための指令(被パーク呼取得用外線番号の割当解除指令および指定応答者への発信指令)(
図7A),被パーク呼の保留解除指令(
図7B)および中継指令(
図7B)は,いずれもスマートフォン41AからPBX21に直接に送信されるのではなく,制御サーバ51を経由してPBX21に送信される。すなわち,PBX21によって実行されるパーク保留処理/解除処理を制御するための命令セットは制御サーバ51に用意される。様々なメーカ製のPBX21が存在し,命令セットが相互に異なっているとしてもそれに即座に対応することができる。
【0093】
上述した実施例(
図7A,
図7B)では,指定された応答者端末(スマートフォン41B)宛にPBX21が発信をし,これを着呼した応答者端末(スマートフォン41B)が被パーク呼を取得している。これに対して,以下の実施例(
図12A,
図12B)では,PBX21ではなく,スマートフォン41A,41B等から発信される呼(外線発信)に基づいて被パーク呼を取得する態様である。ここでは,スマートフォン41Bが用いられているものとする。
【0094】
図12Aを参照して,発信画面41δ(
図8)のパークリストボタン41lがタップされると(ステップ72),上述と同様に,パーク保留中の発呼者情報を含むパークリスト画面41ε(
図9)が表示される(ステップ73,ステップ74)。以下に説明するように,パーク呼を取得しようとする者は,取得すべきパーク呼に関連付けられているパーク内線番号または被パーク呼取得用外線番号に対して発信可能である任意の電話機から,上記パーク内線番号または被パーク呼取得用外線番号に対して発信することによって,パーク呼を取得することができる。また,パークリスト画面41εの操作によって上記パーク内線番号または被パーク呼取得用外線番号に対して発信することができる。
【0095】
パークリスト画面41εのパーク番号入力欄41pに,取得すべき被パーク呼についての被パーク呼取得用外線番号がセットされる。パークリスト画面41εのパーク保留中発呼者情報表示欄41rに表示される被パーク呼取得用外線番号の部分をタップすることで,タップされた被パーク呼取得用外線番号がパーク番号入力欄41pにセットされる。上述したパーク番号通知画面41γ(
図6)でコピーした被パーク呼取得用外線番号をパーク番号入力欄41pに貼り付けてもよい。いずれにしても,パークリスト画面41εのパーク番号入力欄41pに被パーク呼取得用外線番号がセットされている状態で「パーク番号に発信して取得」ボタン41q2がタップされると,その被パーク呼取得用外線番号宛にスマートフォン41Bが発信する(ステップ81)。この時,通話を行うことができる他のアプリケーションを呼び出して発信してもよい。スマートフォン41BからPBX21には,スマートフォン41Bの電話番号(発番号)と,取得すべき被パーク呼についての被パーク呼取得用外線番号(着番号)が送信される。パーク内線番号に対して発信可能である場合(いわゆるFMCサービス利用時など)であれば,上記被パーク呼取得用外線番号に代えてパーク内線番号を用いることもできる。
【0096】
PBX21は,スマートフォン41Bから発信された呼に対して応答する(ステップ82)。具体的には,被パーク呼取得用外線番号またはパーク内線番号宛の着信を受けたPBX21は,外線着信のパーク回線へのルーティング(外線を内線につなぐ処理),被パーク呼取得用外線番号の割当解除処理,および応答処理(オフフックに相当する処理)を実行する。
【0097】
図12Bを参照して,スマートフォン41Bからの被パーク呼取得用外線番号宛の発呼に対してPBX21が応答することによって,PBX21とスマートフォン41Bとの間に呼接続P1が確立される(パーク呼取得)。その後,パーク保留S3が解除されてPBX21と発信元電話機11との間の呼接続S1が復帰し,復帰した呼接続S1と確立された呼接続P1とがPBX21によって中継されることで,PBX21を経由する呼接続P1,S1が確立される(呼成立)。発信元電話機11とスマートフォン41Bとの間で通話が行われる。
【0098】
上述した実施例では,発信元電話機11からの発呼がPBX21を経由することによってスマートフォン41Aに着信転送され,これによって発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間にPBX21を経由する呼接続S1,T1が確立されている(
図3A)。発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間のPBX21経由の呼接続S1,T1は,着信転送によらずにコールバックによって確立してもよい。
【0099】
図13は,コールバックによって発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間にPBX21を経由する呼接続S1,T1を確立する場合のフローチャートである。
【0100】
発信元電話機11からコールバック発信が行われる(ステップ61A)。発信元電話機11の電話番号(デバイスID等でもよい)およびスマートフォン41Aの電話番号が,インターネット3を通じてPBX21に通知される。発信元電話機11の電話番号およびスマートフォン41Aの電話番号は,発信元電話機11からPBX21に直接に通知してもよいし,制御サーバ51を経由してPBX21に通知してもよい。
【0101】
コールバック発信を受信したPBX21はコールバックを実行する(ステップ91)。すなわち,PBX21は,コールバック発信をした発信元電話機11を電話網2を通じて発呼(コールバック)する。
【0102】
PBX21からのコールバックは発信元電話機11において着呼される(ステップ92)。発信元電話機11がオフフックされると(ステップ93),PBX21は次にスマートフォン41Aを電話網2を通じて発呼する(ステップ94)。スマートフォン41Aの発呼に,発信元電話機11からインターネット3を通じて通知されたスマートフォン41Aの電話番号が用いられる。
【0103】
PBX21の発呼がスマートフォン41Aにおいて着呼され(ステップ62),着信者がオフフックをすると(ステップ63),発信元電話機11とスマートフォン41Aとの間にPBX21を経由する呼接続S1,T1が確立される(呼成立)。
【符号の説明】
【0104】
1 通話システム
2 電話網
3 インターネット
11 電話機
21 構内交換機
22 メモリ
41A,41B スマートフォン(携帯電話端末)
51 制御サーバ