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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】グリーンタイヤ保持装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/02 20060101AFI20240105BHJP
   B29D 30/08 20060101ALI20240105BHJP
   B29C 35/02 20060101ALI20240105BHJP
   B29L 30/00 20060101ALN20240105BHJP
【FI】
B29C33/02
B29D30/08
B29C35/02
B29L30:00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019179238
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021053937
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】廣藤 典之
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-052266(JP,A)
【文献】特開2001-219476(JP,A)
【文献】特開2000-033015(JP,A)
【文献】特開平11-170391(JP,A)
【文献】実開昭56-087361(JP,U)
【文献】特表2004-518561(JP,A)
【文献】特開2008-143114(JP,A)
【文献】特開2010-069655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 35/00-35/18
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリーンタイヤ保持装置であって、
保持本体部と、
前記保持本体部から水平方向に延びる棒状部材と、
前記棒状部材に取り付けられ、グリーンタイヤの内周面を保持する保持面を有するプレート部材とを備え、
前記保持面は、前記グリーンタイヤの軸線に直交する断面の形状が前記グリーンタイヤの内周面に応じた円弧状であり、
前記プレート部材は、前記棒状部材に着脱可能に取り付けられ、
前記プレート部材の保持面は、前記グリーンタイヤの内周面の半径と同一の曲率半径を有し、
タイヤサイズが異なるグリーンタイヤを保持する場合、タイヤサイズが異なるグリーンタイヤの内周面の半径と同一の曲率半径を有する保持面を有する前記プレート部材が、前記棒状部材に取り付けられる、
グリーンタイヤ保持装置。
【請求項2】
前記保持面は、前記グリーンタイヤの内周面形状と同じである、
請求項1に記載のグリーンタイヤ保持装置。
【請求項3】
前記棒状部材は、前記保持本体部から水平方向に平行に延びる第1棒状部材及び第2棒状部材を含み、
前記プレート部材は、前記第1棒状部材及び前記第2棒状部材に取り付けられる、
請求項1又は請求項2に記載のグリーンタイヤ保持装置。
【請求項4】
前記プレート部材に、前記棒状部材に取り付けられる取付部が設けられ、
前記取付部は、該取付部の下面部に前記棒状部材に対応して上側に窪む取付凹部を備えている、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載のグリーンタイヤ保持装置。
【請求項5】
前記プレート部材は、前記保持面が前記グリーンタイヤの内周面のうち前記グリーンタイヤの軸線に直交する断面において60度以上120度以下である角度範囲を保持するように形成されている、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のグリーンタイヤ保持装置。
【請求項6】
前記プレート部材は、前記保持面が前記グリーンタイヤの内周面のうち前記グリーンタイヤの軸線に直交する断面において前記グリーンタイヤの内周面の直径に対する水平方向の幅の割合が0.5以上0.9以下である幅範囲を保持するように形成されている、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のグリーンタイヤ保持装置。
【請求項7】
グリーンタイヤ保持装置であって、
保持本体部と、
前記保持本体部から水平方向に延びる棒状部材と、
前記棒状部材に取り付けられ、グリーンタイヤの内周面を保持する保持面を有するプレート部材とを備え、
前記保持面は、前記グリーンタイヤの軸線に直交する断面の形状が前記グリーンタイヤの内周面に応じた円弧状であり、
前記棒状部材は、前記保持本体部から水平方向に平行に延びる第1棒状部材及び第2棒状部材を含み、
前記プレート部材は、前記第1棒状部材及び前記第2棒状部材に取り付けられる、
グリーンタイヤ保持装置。
【請求項8】
グリーンタイヤ保持装置であって、
保持本体部と、
前記保持本体部から水平方向に延びる棒状部材と、
前記棒状部材に取り付けられ、グリーンタイヤの内周面を保持する保持面を有するプレート部材とを備え、
前記保持面は、前記グリーンタイヤの軸線に直交する断面の形状が前記グリーンタイヤの内周面に応じた円弧状であり、
前記プレート部材に、前記棒状部材に取り付けられる取付部が設けられ、
前記取付部は、該取付部の下面部に前記棒状部材に対応して上側に窪む取付凹部を備えている、
グリーンタイヤ保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造に使用されるグリーンタイヤ保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造では、トレッド及びベルトなどのタイヤ構成部材が成形ドラムに巻き付けられて円筒状のトレッドバンドが成形される。一方、カーカスプライ及びインナーライナなどのタイヤ構成部材が別の成形ドラムに巻き付けられて円筒状のカーカスバンドが成形される。成形されたカーカスバンドは次に、両端部にビードが組み付けられると共にビード周りに折り返され、円筒状のグリーンケースが成形される。
【0003】
そして、トレッドバンドがグリーンケースの径方向外側に搬送された後に、グリーンケースが径方向外側に膨出されてトレッドバンドの内面に結合され、グリーンタイヤが成形される。成形されたグリーンタイヤは、加硫成形装置によって加硫成形され、空気入りタイヤが製造される。
【0004】
グリーンタイヤは、加硫成形装置によって加硫成形する前に、グリーンタイヤ保持装置に吊り下げられて保持される場合がある。この場合、グリーンタイヤの保持時間が長くなると、グリーンタイヤが自重によって変形するおそれがある。グリーンタイヤの自重による変形は、空気入りタイヤの周方向におけるユニフォミティ(均一性)を低下させ、走行時の振動及び騒音などに悪影響を及ぼし得る。
【0005】
例えば特許文献1には、グリーンタイヤを吊り下げて保持する棒状部材をモータによって回転させるグリーンタイヤ保持装置が開示されている。前記特許文献1に開示されたグリーンタイヤ保持装置は、棒状部材を回転させることで、グリーンタイヤの自重による変形を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-215515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載のグリーンタイヤ保持装置は、グリーンタイヤを保持するときに棒状部材を回転させるモータを駆動させることが必要であることから、比較的容易にグリーンタイヤの自重による変形を抑制して空気入りタイヤの周方向均一性の低下を抑制することが望まれる。
【0008】
そこで、本発明は、比較的容易にグリーンタイヤの自重による変形を抑制して空気入りタイヤの周方向均一性の低下を抑制することができるグリーンタイヤ保持装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、グリーンタイヤ保持装置であって、保持本体部と、前記保持本体部から水平方向に延びる棒状部材と、前記棒状部材に取り付けられてグリーンタイヤの内周面を保持する保持面を有するプレート部材とを備え、前記保持面は、前記グリーンタイヤの軸線に直交する断面の形状が前記グリーンタイヤの内周面に応じた円弧状であり、前記プレート部材は、前記棒状部材に着脱可能に取り付けられ、前記プレート部材の保持面は、前記グリーンタイヤの内周面の半径と同一の曲率半径を有し、タイヤサイズが異なるグリーンタイヤを保持する場合、タイヤサイズが異なるグリーンタイヤの内周面の半径と同一の曲率半径を有する保持面を有する前記プレート部材が、前記棒状部材に取り付けられるグリーンタイヤ保持装置を提供する。
【0010】
本構成により、棒状部材に取り付けられたプレート部材の保持面がグリーンタイヤの内周面に応じた円弧状であるので、グリーンタイヤを棒状部材に吊り下げて保持する場合に比して、グリーンタイヤの自重による変形を抑制することができる。プレート部材を棒状部材に取り付けるだけで、比較的容易にグリーンタイヤの自重による変形を抑制することができる。したがって、比較的容易にグリーンタイヤの自重による変形を抑制して空気入りタイヤの周方向均一性の低下を抑制することができる。
【0012】
本構成により、タイヤサイズが異なるグリーンタイヤを保持する場合においても、グリーンタイヤの内周面に応じた保持面を有するプレート部材を棒状部材に取り付けることで、比較的容易にグリーンタイヤの自重による変形を抑制することができる。
【0013】
好ましくは、前記保持面は、グリーンタイヤの内周面形状と同じである。
【0014】
本構成により、グリーンタイヤがグリーンタイヤの内周面に沿ってプレート部材に保持されるので、グリーンタイヤの自重による変形を有効に抑制することができる。
【0015】
前記棒状部材は、保持本体部から水平方向に平行に延びる第1棒状部材及び第2棒状部材を含み、プレート部材は、第1棒状部材及び第2棒状部材に取り付けられる。
【0016】
本構成により、プレート部材が1つの棒状部材に取り付けられる場合に比して、プレート部材を第1棒状部材及び第2棒状部材に安定して取り付けることができるので、グリーンタイヤを安定して保持させることができる。
【0017】
前記プレート部材に、棒状部材に取り付けられる取付部が設けられ、取付部は、取付部の下面部に棒状部材に対応して上側に窪む取付凹部を備える。
【0018】
本構成により、プレート部材に設けられた取付部の取付凹部を棒状部材に合わせてプレート部材を棒状部材に上側から取り付けることができるので、タイヤサイズが異なるグリーンタイヤを保持する場合に、比較的容易にプレート部材を取り付けることができる。
【0019】
前記プレート部材は、保持面がグリーンタイヤの内周面のうちグリーンタイヤの軸線に直交する断面において60度以上120度以下である角度範囲を保持するように形成されることが好ましい。
【0020】
本構成により、グリーンタイヤの内周面のうち適度な範囲がプレート部材によって保持されるので、グリーンタイヤの自重による変形を有効に抑制することができる。前記角度範囲が60度未満である場合、グリーンタイヤを保持する領域が小さくグリーンタイヤの変形抑制効果が十分に得られにくい。前記角度範囲が120度より大きい場合、グリーンタイヤを保持する領域が大きくグリーンタイヤを保持するときの作業効率を低下させ得る。
【0021】
前記プレート部材は、保持面がグリーンタイヤの内周面のうちグリーンタイヤの軸線に直交する断面においてグリーンタイヤの内周面の直径に対する水平方向の幅の割合が0.5以上0.9以下である幅範囲を保持するように形成されることが好ましい。
【0022】
本構成により、グリーンタイヤの内周面のうち適度な範囲がプレート部材によって保持されるので、グリーンタイヤの自重による変形を有効に抑制することができる。前記幅範囲が0.5未満である場合、グリーンタイヤを保持する領域が小さくグリーンタイヤの変形抑制効果が十分に得られにくい。前記幅範囲が0.9より大きい場合、グリーンタイヤを保持する領域が大きくグリーンタイヤを保持するときの作業効率を低下させ得る。
本発明はまた、グリーンタイヤ保持装置であって、保持本体部と、前記保持本体部から水平方向に延びる棒状部材と、前記棒状部材に取り付けられ、グリーンタイヤの内周面を保持する保持面を有するプレート部材とを備え、前記保持面は、前記グリーンタイヤの軸線に直交する断面の形状が前記グリーンタイヤの内周面に応じた円弧状であり、前記棒状部材は、前記保持本体部から水平方向に平行に延びる第1棒状部材及び第2棒状部材を含み、前記プレート部材は、前記第1棒状部材及び前記第2棒状部材に取り付けられるグリーンタイヤ保持装置を提供する。
本発明はまた、グリーンタイヤ保持装置であって、保持本体部と、前記保持本体部から水平方向に延びる棒状部材と、前記棒状部材に取り付けられ、グリーンタイヤの内周面を保持する保持面を有するプレート部材とを備え、前記保持面は、前記グリーンタイヤの軸線に直交する断面の形状が前記グリーンタイヤの内周面に応じた円弧状であり、前記プレート部材に、前記棒状部材に取り付けられる取付部が設けられ、前記取付部は、該取付部の下面部に前記棒状部材に対応して上側に窪む取付凹部を備えているグリーンタイヤ保持装置を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るグリーンタイヤ保持装置によれば、比較的容易にグリーンタイヤの自重による変形を抑制して空気入りタイヤの周方向均一性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るグリーンタイヤ保持装置の概略図である。
図2】グリーンタイヤ保持装置の保持ユニットの斜視図である。
図3】保持ユニットの平面図である。
図4図3のY4-Y4線に沿った保持ユニットの断面図である。
図5】プレート部材の寸法を説明するための説明図である。
図6】別のプレート部材の断面図である。
図7】プレート部材の寸法を説明するための別の説明図である。
図8】本発明の別の実施形態に係る保持ユニットの平面図である。
図9図8のY9-Y9線に沿った保持ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るグリーンタイヤ保持装置の概略図である。図1に示すように、本実施形態に係るグリーンタイヤ保持装置1は、グリーンタイヤ2を加硫成形装置によって加硫成形して空気入りタイヤを製造する前に、グリーンタイヤ2を一時的に吊り下げて保持するものである。
【0027】
グリーンタイヤ保持装置1は、水平方向に配置されたベースフレーム3に車輪4が取り付けられた台車5と、ベースフレーム3から垂直方向に上側に延びる保持本体部としての支柱フレーム10と、支柱フレーム10に取り付けられてグリーンタイヤ2を保持する保持ユニット20とを備えている。
【0028】
支柱フレーム10は、ベースフレーム3から垂直方向に上側に平行に延びる一対の縦フレーム11と、一対の縦フレーム11を連結して水平方向に延びる横フレーム12とを備えている。横フレーム12は、一対の縦フレーム11の先端部どうしを連結する横フレーム12aと、一対の縦フレーム11の中間部どうしを連結する横フレーム12bとを備えている。
【0029】
保持ユニット20は、支柱フレーム10に溶接等によって固定して取り付けられている。グリーンタイヤ保持装置1では、横フレーム12aに2つの保持ユニット20が水平方向に離間して取り付けられ、横フレーム12bに2つの保持ユニット20が水平方向に離間して取り付けられている。
【0030】
支柱フレーム10に取り付けられた4つの保持ユニット20は同様に構成されているので、支柱フレーム10の横フレーム12bに取り付けられた1つの保持ユニット20について説明する。
【0031】
図2は、グリーンタイヤ保持装置の保持ユニットの斜視図、図3は、保持ユニットの平面図、図4は、図3のY4-Y4線に沿った保持ユニットの断面図である。図2から図4に示すように、保持ユニット20は、支柱フレーム10から水平方向に延びる支持フレーム30と、支持フレーム30に取り付けられてグリーンタイヤ2の内周面を保持する保持面を有する板状部材であるプレート部材40とを備えている。
【0032】
支持フレーム30は、支柱フレーム10の横フレーム12bに溶接等によって固定されて横フレーム12bから水平方向に直線状に延びる棒状部材31、32を備えている。棒状部材31、32は、横フレーム12bから同一平面上において水平方向に平行に直線状に延びる第1棒状部材31及び第2棒状部材32を備えている。
【0033】
第1棒状部材31及び第2棒状部材32は、横フレーム12bに直交する方向に延びると共に第1棒状部材31及び第2棒状部材32の先端部どうしが連結されている。第1棒状部材31及び第2棒状部材32の先端部どうしを連結する連結部33は、平面視で略U字状に形成されると共に連結部33の端部側に比して連結部33の中央側が上側に傾斜して形成されている。
【0034】
支持フレーム30では、第1棒状部材31、第2棒状部材32及び連結部33はそれぞれ断面円筒状に形成され、一体的に形成されている。なお、支持フレーム30は、連結部33を設けることなく、第1棒状部材31及び第2棒状部材32を備えるようにすることも可能である。
【0035】
プレート部材40は、支持フレーム30の棒状部材31、32に、具体的には第1棒状部材31及び第2棒状部材32に着脱可能に取り付けられている。プレート部材40は、棒状部材31、32の上側を覆うように棒状部材31、32の上側に配置されている。
【0036】
プレート部材40は、上側に凸状に湾曲して形成される上面41を有している。プレート部材40の上面41は、グリーンタイヤ2の内周面の上側を吊り下げて保持する保持面として機能する。プレート部材40の上面41は、保持するグリーンタイヤ2の内周面形状と同じに形成されている。プレート部材40の上面41は、保持するグリーンタイヤ2の軸線に直交する断面の形状がグリーンタイヤ2の内周面に応じた円弧状に形成され、グリーンタイヤ2の内周面の半径と同一の曲率半径を有する円弧状に形成されている。
【0037】
プレート部材40には、棒状部材31、32に着脱可能に取り付ける取付部42が設けられている。プレート部材40に設けられた取付部42は、プレート部材40に固定された取付ブラケット43と、取付ブラケット43に形成されたネジ孔44に螺合される締結ボルトB1とによって構成されている。
【0038】
取付ブラケット43は、棒状部材31、32に直交する方向に延びている。図4に示すように、取付ブラケット43は、略水平方向に延びる底面部43aと、底面部43aの両側から垂直方向に上側に延びる両側の縦面部43bとを備えている。取付ブラケット43は、プレート部材40の下面に溶接等によって固定された筒状部材45に溶接等によって固定されてプレート部材40に取り付けられている。取付ブラケット43の底面部43aには、棒状部材31、32に対応してネジ孔44が形成されている。
【0039】
プレート部材40は、取付ブラケット43との間に棒状部材31、32が配置されるように棒状部材31、32の上側に配置され、次いで締結ボルトB1を下側からネジ孔44に螺合させて締結ボルトB1の先端部を棒状部材31、32に当接させて締め付けることで、棒状部材31、32に取り付けられる。
【0040】
本実施形態では、プレート部材40には2つの取付部42が設けられている。プレート部材40は、2つの取付部42においてそれぞれ、取付ブラケット43の2つのネジ孔44にそれぞれ締結ボルトB1を螺合させることで、棒状部材31、32に固定して取り付けられる。
【0041】
プレート部材40はまた、締結ボルトB1の先端部が棒状部材31、32から離れるように締結ボルトB1が緩められ、次いでプレート部材40を反支柱フレーム側に移動させて棒状部材31、32から取り外される。なお、締結ボルトB1には、ゆるみ止め用のナットN1が設けられているが、ゆるみ止め用のナットN1を設けないようにすることも可能である。
【0042】
前述したように、プレート部材40の保持面である上面41は、保持するグリーンタイヤ2の内周面形状と同じに形成され、保持するグリーンタイヤ2の軸線に直交する断面の形状がグリーンタイヤ2の内周面に応じた円弧状に形成されている。
【0043】
図5は、プレート部材の寸法を説明するための説明図である。図5では、保持するグリーンタイヤ2とプレート部材40と棒状部材31、32のみを示し、グリーンタイヤ2の軸線Cを通る水平方向及び垂直方向のラインをそれぞれL1、L2として示している。
【0044】
図5に示すように、プレート部材40の保持面である上面41は、グリーンタイヤ2の軸線Cを通る垂直方向のラインL2に対して対称に形成されている。本実施形態では、プレート部材40は、保持面41がグリーンタイヤ2の内周面2aのうちグリーンタイヤ2の軸線Cに直交する断面において所定角度θ1を保持するように形成されている。
【0045】
本願発明者等は、種々の試験研究を重ねた結果、前記所定角度θ1が60度以上であるときに、グリーンタイヤ2の自重による変形を有効に抑制して空気入りタイヤの周方向均一性の低下を有効に抑制することを見出した。また、前記所定角度θ1が120度より大きいときには、グリーンタイヤ2を保持する作業が困難になり得ることが分かった。
【0046】
従って、前記所定角度θ1の範囲として、60度以上120度以下である角度範囲が設定される。前記角度範囲が60度未満である場合、グリーンタイヤ2を保持する領域が小さくグリーンタイヤ2の変形抑制効果が十分に得られにくく、前記角度範囲が120度より大きい場合、グリーンタイヤ2を保持する領域が大きくグリーンタイヤ2を保持するときの作業効率を低下させ得るからである。
【0047】
グリーンタイヤ保持装置1では、プレート部材40は、保持面である上面41は、保持するグリーンタイヤ2の内周面形状と同じに形成される。タイヤサイズが異なるグリーンタイヤ2を保持する場合、保持するグリーンタイヤ2に応じたプレート部材が棒状部材31、32に取り付けられる。
【0048】
図6は、別のプレート部材の断面図である。図6では、図2から図5に示すプレート部材(第1のプレート部材)40とは異なるプレート部材(第2のプレート部材)40´を実線で示し、プレート部材40を二点鎖線で示している。プレート部材40´に、図示されていないが、プレート部材40と同様に棒状部材31、32に取り付ける取付部42が設けられている。
【0049】
図6の実線で示すプレート部材40´は、プレート部材40を用いて保持する第1のタイヤサイズのグリーンタイヤ2とは異なる第2のタイヤサイズのグリーンタイヤを保持するためのものである。プレート部材40´は、プレート部材40と保持面である上面41が異なるのみである。
【0050】
プレート部材40´についても、上側に凸状に湾曲して形成される上面41´を有している。プレート部材40´の上面41´は、保持するグリーンタイヤ2の内周面形状と同じに形成され、保持するグリーンタイヤ2の軸線に直交する断面の形状がグリーンタイヤ2の内周面に応じた円弧状に形成され、グリーンタイヤの内周面の半径と同一の曲率半径を有する円弧状に形成されている。
【0051】
図6に示すように、プレート部材40´は、プレート部材40よりタイヤサイズの小さいグリーンタイヤを保持するためのものである。プレート部材40´の上面41´は、グリーンタイヤの軸線に直交する断面の形状がプレート部材40の上面41より小さい曲率半径を有する円弧状に形成されている。
【0052】
プレート部材40´についても、上面41´がグリーンタイヤ2の内周面2aのうちグリーンタイヤ2の軸線Cに直交する断面において所定角度θ1を保持するように形成され、所定角度θ1の範囲として、60度以上120度以下である角度範囲が設定される。
【0053】
グリーンタイヤ保持装置1では、支持フレーム30の棒状部材31、32に、保持するグリーンタイヤ2のタイヤサイズに応じたプレート部材40、40´が取り付けられ、タイヤサイズが異なるグリーンタイヤ2を保持するときには、タイヤサイズに応じたプレート部材40、40´に交換される。
【0054】
このように、タイヤサイズが異なるグリーンタイヤ2を保持する際に、タイヤサイズに応じたプレート部材40、40´を棒状部材31、32に交換可能に取り付けることで、比較的容易にグリーンタイヤ2を保持しているときにグリーンタイヤ2の自重による変形を抑制することができる。
【0055】
本実施形態では、棒状部材31、32として、円筒状に形成された棒状部材が用いられているが、角柱状などの他の棒状部材を用いることが可能である。2つの棒状部材31、32にプレート部材40、40´が取り付けられているが、1つ若しくは3つ以上の棒状部材にプレート部材を取り付けるようにしてもよい。なお、水平方向に延びる棒状部材31、32は、ほぼ水平な方向に延びる棒状部材を含むものとする。
【0056】
本実施形態では、保持本体部として、台車5のベースフレーム3から上側に延びる支柱フレーム10が記載されているが、プレート部材40、40´が取り付けられる棒状部材が水平方向に延びるように固定される他の保持本体部を用いることができる。
【0057】
このように、本実施形態に係るグリーンタイヤ保持装置1は、保持本体部10と、保持本体部10から水平方向に延びる棒状部材31、32と、棒状部材31、32に取り付けられてグリーンタイヤ2の内周面を保持する保持面41を有するプレート部材40とを備える。保持面41は、グリーンタイヤ2の軸線Cに直交する断面の形状がグリーンタイヤ2の内周面に対応する円弧状である。
【0058】
これにより、棒状部材31、32に取り付けられたプレート部材40の保持面41がグリーンタイヤ2の内周面に応じた円弧状であるので、グリーンタイヤ2を棒状部材31、32に吊り下げて保持する場合に比して、グリーンタイヤ2の自重による変形を抑制することができる。プレート部材40を棒状部材31、32に取り付けるだけで、比較的容易にグリーンタイヤ2の自重による変形を抑制することができる。したがって、比較的容易にグリーンタイヤ2の自重による変形を抑制して空気入りタイヤの周方向均一性の低下を抑制することができる。
【0059】
また、プレート部材40は、棒状部材31、32に着脱可能に取り付けられる。これにより、タイヤサイズが異なるグリーンタイヤ2を保持する場合においても、グリーンタイヤ2の内周面に応じた保持面41を有するプレート部材40を棒状部材31、32に取り付けることで、比較的容易にグリーンタイヤ2の自重による変形を抑制することができる。
【0060】
また、保持面41は、グリーンタイヤ2の内周面形状と同じである。これにより、グリーンタイヤ2がグリーンタイヤ2の内周面に沿ってプレート部材40に保持されるので、グリーンタイヤ2の自重による変形を有効に抑制することができる。
【0061】
また、棒状部材31、32は、保持本体部10から水平方向に平行に延びる第1棒状部材31及び第2棒状部材32を含み、プレート部材40は、第1棒状部材31及び第2棒状部材32に取り付けられる。これにより、プレート部材40が1つの棒状部材に取り付けられる場合に比して、プレート部材40を第1棒状部材31及び第2棒状部材32に安定して取り付けることができるので、グリーンタイヤ2を安定して保持させることができる。
【0062】
また、プレート部材40は、保持面41がグリーンタイヤ2の内周面のうちグリーンタイヤ2の軸線Cに直交する断面において60度以上120度以下である角度範囲を保持するように形成される。
【0063】
これにより、グリーンタイヤ2の内周面のうち適度な範囲がプレート部材によって保持されるので、グリーンタイヤの自重による変形を有効に抑制することができる。前記範囲が60度未満である場合、グリーンタイヤ2を保持する領域が小さくグリーンタイヤ2の変形抑制効果が十分に得られにくい。前記範囲が120度以上である場合、グリーンタイヤ2を保持する領域が大きくグリーンタイヤ2を保持するときの作業効率を低下させ得る。
【0064】
図7は、プレート部材の寸法を説明するための別の説明図である。前述したように、プレート部材40は、保持面41がグリーンタイヤ2の内周面2aのうちグリーンタイヤ2の軸線Cに直交する断面において所定角度θ1を保持するように形成され、前記所定角度θ1の範囲として、60度以上120度以下である角度範囲が設定される。
【0065】
従って、プレート部材40は、図7に示すように、保持面41がグリーンタイヤ2の内周面のうちグリーンタイヤ2の軸線Cに直交する断面においてグリーンタイヤ2の内周面の直径W1に対する水平方向の幅W2の割合(W2/W1)が所定割合を保持するように形成され、前記所定割合の範囲として、0.5以上0.9以下である幅範囲を保持するように設定される。
【0066】
このように、プレート部材40は、保持面41がグリーンタイヤ2の内周面のうちグリーンタイヤ2の軸線Cに直交する断面においてグリーンタイヤ2の内周面の直径W1に対する水平方向の幅W2の割合が0.5以上0.9以下である幅範囲を保持するように形成される。
【0067】
これにより、グリーンタイヤ2の内周面のうち適度な範囲がプレート部材40によって保持されるので、グリーンタイヤ2の自重による変形を有効に抑制することができる。前記幅範囲が0.5未満である場合、グリーンタイヤ2を保持する領域が小さくグリーンタイヤ2の変形抑制効果が十分に得られにくい。前記範囲が0.9より大きい場合、グリーンタイヤ2を保持する領域が大きくグリーンタイヤ2を保持するときの作業効率を低下させ得る。
【0068】
本実施形態では、プレート部材40に設けられた取付部42は、プレート部材40に固定された取付ブラケット43と、取付ブラケット43に形成されたネジ孔44に螺合される締結ボルトB1とによって構成されているが、プレート部材に設けられた別の取付部によって、プレート部材を棒状部材31、32に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
【0069】
図8は、本発明の別の実施形態に係る保持ユニットの平面図、図9は、図8のY9-Y9線に沿った保持ユニットの断面図である。本発明の別の実施形態に係る保持ユニット50は、前述した実施形態に係る保持ユニット20と、取付部以外は同様であるので、同様の構成については説明を省略する。
【0070】
図8及び図9に示すように、本発明の別の実施形態に係る保持ユニット50についても、支持フレーム30とプレート部材40とを備えている。プレート部材40の上面41は、保持するグリーンタイヤ2の内周面形状と同じに形成され、保持するグリーンタイヤ2の軸線に直交する断面の形状がグリーンタイヤ2の内周面に応じた円弧状に形成されている。
【0071】
本実施形態においても、プレート部材40には、棒状部材31、32に着脱可能に取り付ける取付部52が設けられている。プレート部材40に設けられた取付部52は、プレート部材40に溶接等によって固定された取付ブラケット53によって構成されている。
【0072】
プレート部材40には、保持するグリーンタイヤ2の軸線方向に所定長さを有する2つの取付ブラケット53が溶接等によって固定されている。取付ブラケット53は、図9に示すように、略水平方向に延びる下面部53aと、下面部53aに棒状部材31、32、具体的には第1棒状部材31及び第2棒状部材32に対応して上側に窪む取付凹部53bとを備えている。
【0073】
取付ブラケット53の取付凹部53bは、第1棒状部材31及び第2棒状部材32に対応して、プレート部材40に保持するグリーンタイヤ2の軸線に直交する断面において円弧状に形成されている。なお、取付ブラケット53の取付凹部53bは、棒状部材31、32の形状に応じて他の形状に形成され得る。
【0074】
プレート部材40は、取付部52の取付凹部53bを棒状部材31、32に上側から取り付けることで、棒状部材31、32に取り付けられる。プレート部材40には2つの取付部52が設けられ、取付ブラケット53の2つの取付凹部53bをそれぞれ第1棒状部材31及び第2棒状部材32に取り付けることで、棒状部材31、32に取り付けられる。プレート部材40はまた、プレート部材40を上側に移動させて棒状部材31、32から取り外される。
【0075】
このように、本実施形態では、プレート部材40に、棒状部材31、32に取り付けられる取付部52が設けられ、取付部52は、取付部52の下面部53aに棒状部材31、32に対応して上側に窪む取付凹部53bを備える。
【0076】
これにより、プレート部材40に設けられた取付部52の取付凹部53bを棒状部材31、32に合わせて棒状部材31、32に上側から取り付けることができるので、タイヤサイズが異なるグリーンタイヤ2を保持する場合に、比較的容易にプレート部材40を取り付けることができる。
【0077】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 グリーンタイヤ保持装置
2 グリーンタイヤ
2a 内周面
10 保持本体部
31 第1棒状部材
32 第2棒状部材
40、40´ プレート部材
41、41´ 保持面
42、52 取付部
53b 取付凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9