(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】暖房システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240105BHJP
F24H 9/25 20220101ALI20240105BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20240105BHJP
F24H 15/395 20220101ALI20240105BHJP
F24H 15/457 20220101ALI20240105BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
F24H9/25
F24H15/281
F24H15/395
F24H15/457
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2019186969
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503194934
【氏名又は名称】アビームコンサルティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河内 孝博
(72)【発明者】
【氏名】弓削 愛
(72)【発明者】
【氏名】宇井 克典
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 修平
(72)【発明者】
【氏名】橘 知志
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-221354(JP,A)
【文献】特開2016-134757(JP,A)
【文献】特開2018-151731(JP,A)
【文献】特開2015-046717(JP,A)
【文献】特開2018-026814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
F24H 9/25
F24H 15/281
F24H 15/395
F24H 15/457
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、前記携帯端末と通信可能な中継装置と、前記中継装置と通信可能な熱源機と、前記熱源機と通信可能であって、前記熱源機から供給される熱を利用して動作する複数の設備機器を備えている暖房システムであって、
前記中継装置は、
インターネットを介して前記携帯端末と通信可能なサーバ装置と、
前記熱源機と配線を介して通信可能であって、前記熱源機を遠隔操作するリモコンと、を含み、
前記携帯端末は、
ユーザが、前記熱源機および前記複数の設備機器のそれぞれに対する個別の動作指示を一括して行う一括動作指示を入力可能であり、
前記一括動作指示が入力された場合に、前記一括動作指示を前記中継装置の前記サーバ装置に送信するように構成されており、
前記中継装置の前記サーバ装置は、前記携帯端末から前記一括動作指示を受信した場合に、前記一括動作指示を前記リモコンに送信するように構成されており、
前記中継装置の前記リモコンは、前記サーバ装置から前記一括動作指示を受信した場合に、前記一括動作指示を受け付けたことを示す受付通知を前記サーバ装置に送信し、前記一括動作指示に基づいて、前記熱源機および前記複数の設備機器のそれぞれに前記個別の動作指示を送信するように構成されており、
前記中継装置の前記サーバ装置は、前記リモコンから前記受付通知を受信した場合に、前記受付通知を前記携帯端末に送信するように構成されており、
前記携帯端末は、前記中継装置の前記サーバ装置から前記受付通知を受信した場合に、前記一括動作指示が受け付けられたことを前記ユーザに報知するように構成されており、
前記熱源機および前記複数の設備機器は、前記中継装置の前記リモコンから前記個別の動作指示を受信した場合に、前記個別の動作指示が完了したことを示す個別の完了通知を前記中継装置の前記リモコンに送信するように構成されており、
前記中継装置は、前記熱源機および前記複数の設備機器の全てから、前記個別の完了通知を受信した場合に、前記一括動作指示が完了したことを示す完了通知を前記携帯端末に送信するように構成されており、
前記携帯端末は、前記中継装置から前記完了通知を受信した場合に、前記一括動作指示が完了したことを前記ユーザに報知するように構成されている、暖房システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、複数の携帯端末で構成されており、
前記サーバ装置は、
前記複数の携帯端末の夫々と通信可能であり、
前記複数の携帯端末のうち一の携帯端末から前記一括動作指示を受け付けた場合に、前記一の携帯端末に前記完了通知を送信するまでは、その他の携帯端末からの前記一括動作指示の受け付けを禁止する、請求項
1の暖房システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、暖房システムに関する。特に、携帯端末と、その携帯端末と通信可能な中継装置および熱源機と、その熱源機と通信可能であって熱源機から供給される熱を利用して動作する複数の設備機器を備えている暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ユーザが常に持ち歩く携帯端末を用いて、複数の設備機器(例えば家電機器)を一括制御することができるネットワーク家電システムが開示されている。特許文献1のネットワーク家電システムでは、複数の設備機器に対して一括で動作指示が送信され、動作指示に基づいて複数の設備機器の全ての制御が開始された後に、動作指示の結果がメールでユーザの携帯端末に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の設備機器のそれぞれでは、動作指示に基づく制御を開始するために要する時間が異なる。特許文献1の技術では、複数の設備機器のうちの一つの設備機器の制御開始に長時間を要する場合、その他の設備機器の制御が開始されていても、動作指示の結果は携帯端末に送信されない。そのため、特許文献1の技術では、動作指示の結果の携帯端末への送信が遅れることがある。この場合、ユーザは、自身の動作指示によって正常に制御が開始されたか否かを判断することができない。その結果、ユーザは、携帯端末と複数の設備機器の間で通信トラブルが発生したと誤解してしまうおそれがある。本明細書では、一括制御の動作指示が正常に到達したことをユーザに認識させることで、ユーザに携帯端末と複数の設備機器の間で通信トラブルが発生したと誤解させない暖房システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する暖房システムは、携帯端末と、その携帯端末と通信可能な中継装置と、中継装置と通信可能な熱源機と、熱源機と通信可能であって熱源機から供給される熱を利用して動作する複数の設備機器を備えている。中継装置は、インターネットを介して携帯端末と通信可能なサーバ装置と、熱源機と配線を介して通信可能であって、熱源機を遠隔操作するリモコンと、を含む。携帯端末は、ユーザが、熱源機および複数の設備機器のそれぞれに対する個別の動作指示を一括して行う一括動作指示を入力可能であり、一括動作指示が入力された場合に、一括動作指示を中継装置のサーバ装置に送信するように構成されている。中継装置のサーバ装置は、携帯端末から一括動作指示を受信した場合に、一括動作指示をリモコンに送信するように構成されている。中継装置のリモコンは、サーバ装置から一括動作指示を受信した場合に、一括動作指示を受け付けたことを示す受付通知をサーバ装置に送信し、一括動作指示に基づいて、熱源機および複数の設備機器のそれぞれに個別の動作指示を送信するように構成されている。中継装置のサーバ装置は、リモコンから受付通知を受信した場合に、受付通知を携帯端末に送信するように構成されている。熱源機および複数の設備機器は、中継装置のリモコンから個別の動作指示を受信した場合に、個別の動作指示が完了したことを示す個別の完了通知を中継装置のリモコンに送信するように構成されている。中継装置は、熱源機および複数の設備機器の全てから、個別の完了通知を受信した場合に、一括動作指示が完了したことを示す完了通知を携帯端末に送信するように構成されている。
【0006】
本明細書が開示する暖房システムの携帯端末は、中継装置のサーバ装置かから受付通知を受信した場合に、一括動作指示が受け付けられたことをユーザに報知し、中継装置から完了通知を受信した場合に、一括動作指示が完了したことをユーザに報知するように構成されている。
【0007】
上述した暖房システムの中継装置は、携帯端末から一括動作指示を受信した場合に、一括動作指示を受け付けたことを示す受付通知を携帯端末に送信する。また、携帯端末は、中継装置から受付通知を受信した場合に、一括動作指示が受け付けられたことをユーザに報知する。これにより、ユーザは、複数の設備機器のそれぞれが動作指示を完了したか否かに関わらず、中継装置が一括動作指示を受信したことを認識することができる。すなわち、本明細書が開示する暖房システムによれば、ユーザは、携帯端末と設備機器の間で通信トラブルが発生したと誤解することがない。
【0008】
また、上述した暖房システムでは、携帯端末は、複数の携帯端末で構成されていてもよい。さらに、サーバ装置は、複数の携帯端末の夫々と通信可能であり、複数の携帯端末のうち一の携帯端末から一括動作指示を受け付けた場合に、その一の携帯端末に完了通知を送信するまでは、その他の携帯端末からの一括動作指示の受け付けを禁止してもよい。これにより、サーバ装置を介して、複数の携帯端末から熱源機に一括動作指示を送信することができ、複数の携帯端末からの一括動作指示が同時に複数の設備機器に送信されない。その結果、複数の設備機器の制御が複雑にならない。
【0011】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】シーン名称と各設備機器の設定組み合わせの一例を示す。
【
図4】実施例の暖房システムにおいてシーン操作を行う場合に実行される処理のシーケンス図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(暖房システム2の構成;
図1)
図面を参照して、実施例の暖房システム2について説明する。暖房システム2は、携帯端末4a、4bと、中継装置30と、給湯器13と、風呂14と、床暖房15と、パネルヒータ16と、浴室暖房乾燥機17を備えている。中継装置30は、サーバ8と、ルータ11と、リモコン12を備えている。中継装置30は、インターネット6を介して携帯端末4a、4bと住宅10内に設置されている給湯器13を通信可能とする。より詳細には、携帯端末4a、4bは、インターネット6を介して中継装置30のサーバ8と通信可能である。サーバ8は、インターネット6を介して住宅10内に設置されているルータ11と通信可能である。ルータ11は、Wi-Fi(登録商標)方式に従った無線通信を利用して、リモコン12の無線モジュール12aと通信可能である。また、リモコン12は、配線を介して給湯器13と通信可能である。以下では、床暖房15と、パネルヒータ16と、浴室暖房乾燥機17をまとめて「複数の設備機器」と表現することがある。
図1では、理解しやすいように、無線による通信を細い破線で示し、配線による通信を太い破線で示している。
【0014】
給湯器13、風呂14および複数の設備機器は、住宅10内に設置されている。給湯器13は、風呂14および複数の設備機器と給湯管で接続されている。給湯器13は、湯を生成して風呂14および複数の設備機器それぞれに湯を供給する。給湯器13は、配線を介して、GCH(Gas Central heating)インテリジェント通信方式にて複数の設備機器と通信する。GCHインテリジェント通信方式では、給湯器13は、複数の設備機器に対して同時に通信せず、通信する設備機器を一台ずつ切り替えて通信する。複数の設備機器のそれぞれは、マイコン(図示せず)を備えている。複数の設備機器のマイコンから送信される情報に基づいて、給湯器13は、複数の設備機器のそれぞれに湯を供給する。複数の設備機器は、給湯器13から供給される湯を利用して動作する。また、リモコン12は、給湯器13を遠隔操作するためのコントローラである。より詳細には、図示は省略したがリモコン12には、給湯器13を加熱許可状態とするための運転スイッチと、風呂14に対して給湯器13が自動運転を開始するための自動スイッチ等が設けられている。なお、風呂14は、給湯器13から供給される湯を溜める浴槽である。そのため、複数の設備機器とは異なり、給湯器13との通信を必要としない。風呂14への動作指示は、給湯器13が受信して給湯器13によって実行される。
【0015】
携帯端末4a、4bは、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC(Personal Computerの略)等である。携帯端末4a、4bには、住宅10内に設置されている複数の設備機器を管理するアプリケーション(以下、管理アプリと称する)がインストールされている。暖房システム2は、携帯端末4a、4bにインストールされている管理アプリを用いて住宅10内の給湯器13および複数の設備機器を一括して操作するためのシステムである。
【0016】
(一括動作指示の入力;
図2、
図3)
図2を参照して、住宅10内の給湯器13および複数の設備機器(
図1参照)に対する個別の動作指示を一括して行う、一括動作指示を実行する操作(以下、シーン操作と称する)の設定画面について説明する。携帯端末4aのユーザが管理アプリを起動させて、シーン操作の設定を選択すると、
図2に示すシーン操作設定画面D2が携帯端末4aに表示される。その後、ユーザは、例えば給湯器13を加熱許可状態とするために、リモコン12の運転スイッチをアイコンIC2aでONに設定する。同様に、風呂14に対して自動運転を開始するために、リモコン12の自動スイッチをアイコンIC2bでONに設定する。また、風呂14に対するおいだき運転をアイコンIC2cで「設定しない」に設定する。ここで、自動運転とは、給湯器13が風呂14に所定温度、所定量の湯を供給して、風呂14に湯を溜めることを示す。また、おいだき運転とは、給湯器13と風呂14の間で湯を循環させて、風呂14に貯まっている湯の温度を所定温度まで上昇させることを示す。なお、以下では、リモコン12の運転スイッチをONにすることを、例えば「給湯器13の運転スイッチをONに設定する」と表現することがある。
【0017】
ユーザは、住宅10内の他の設備機器に対しても同様に、「ON」、「OFF」、または、「設定しない」を指示する。例えば床暖房15に対しては、アイコンIC2dでONに設定する。給湯器13および複数の設備機器の全てに対する指示が終了した後、ユーザは、指示内容を識別するシーン名称を入力して、
図2の画面下に示される登録ボタンを選択する。このように、シーン操作設定画面D2を利用してユーザが入力した給湯器13および複数の設備機器のそれぞれに対する個別の動作指示を一括して行う一括動作指示がシーン名称ごとに管理アプリに登録される。なお、上述した「設定しない」が設定された場合、給湯器13および複数の設備機器のそれぞれは、個別の動作指示を受信する前の設定を継続する。
【0018】
図3に、シーン名称ごとに登録された給湯器13(
図1参照)および複数の設備機器のそれぞれに対する動作指示の一例を示す。例えば、シーン名称「おはよう」では、給湯器13の運転スイッチと床暖房15の動作指示が「ON」に設定されている。また、シーン名称「おはよう」では、風呂14(
図1参照)に対する風呂の自動運転と風呂14に対する風呂のおいだき運転の動作指示が「設定しない」に設定されており、浴室暖房乾燥機17の動作指示とパネルヒータ16の動作指示が「OFF」に設定されている。
図3に示されるように、他のシーン名称「おやすみ」「いってきます」等においても同様に、給湯器13および複数の設備機器のそれぞれに対する動作指示が登録されている。ユーザは、携帯端末4a(
図1参照)の管理アプリにシーン名称ごとに登録されている一括動作指示を利用して、給湯器13および複数の設備機器に対する個別の動作指示を一括して入力する。
図3に示されるように、シーン名称ごとに異なる設定を登録することで、ユーザは、複数の一括動作指示を管理アプリに登録することができる。これにより、ユーザは給湯器13および複数の設備機器に対して個別の動作指示を毎回入力することなく、給湯器13および複数の設備機器に一括動作指示を送信することができる。
【0019】
以下では、理解の容易さの観点から、実施例の暖房システム2が備える各機器が備えるマイコンが実行する処理について説明する際に、マイコンを主体として説明せず、各機器(即ち、携帯端末4a、サーバ8、無線モジュール12a、リモコン12、給湯器13、床暖房15)を主体として説明する。また、
図1を参照して説明したように、無線モジュール12aとサーバ8は、ルータ11およびインターネット4を介して通信を行っているが、以下では、ルータ11およびインターネット4の通信については、既知であるため図示および説明を省略する。
【0020】
(シーン操作が実行された場合に行われる処理;
図4)
携帯端末4aは、T100において、
図4(A)に示すシーン操作実行画面D10を表示する。シーン操作実行画面D10には、
図3を参照して説明した各シーン名称が表示される。
図4(A)に示されるように、シーン操作実行画面D10には、シーン名称「おはよう」を示すアイコンIC1a、シーン名称「いってきます」を示すアイコンIC1b、シーン名称「おやすみ」を示すアイコンIC1d、シーン名称「ただいま」を示すアイコンIC1eが表示される。ユーザは、T102において、例えばシーン操作実行画面D10に含まれるシーン名称「おはよう」を示すアイコンIC1aを選択する。この場合、携帯端末4aは、T104において、シーン操作可否問い合わせ50とユーザID「name20」をサーバ8に送信する。ユーザID「name20」は、サーバ8が携帯端末4aを識別するための情報である。サーバ8は、このユーザIDによって、一括動作指示を送信した携帯端末を識別する。また、携帯端末4aのユーザは、管理アプリを携帯端末4aにインストールする際、住宅10(
図1参照)内に設置されている給湯器13(
図1参照)を管理アプリに登録する。この登録により、サーバ8は、ユーザID「name20」と給湯器13を対応させて記憶している。また、サーバ8は、ユーザID「name20」の他にも、携帯端末4b(
図1参照)を識別するユーザID「name30」を給湯器13(
図1参照)と対応させて管理している。さらに、サーバ8は、他の住宅に設置されている機器と通信するために管理アプリをインストールした他のユーザIDについても、給湯器と対応させて管理している。サーバ8は、T104においてシーン操作可否問い合わせ50とユーザID「name20」を受信すると、T105において、ユーザID「name20」に対応する給湯器識別情報を取得する。
【0021】
サーバ8は、T105においてユーザID「name20」に対応する給湯器識別情報を取得すると、T106において、シーン操作実行可否を判定する。具体的には、サーバ8は、T106において、給湯器識別情報によって識別される給湯器13(
図1参照)に対する他のシーン操作を実行中であるか否かを判定する。その後、サーバ8は、T108において、シーン操作可否回答52をユーザID「name20」で識別される携帯端末4aに送信する。
【0022】
給湯器13(
図1参照)に対する他のシーン操作を実行中でない場合には、サーバ8は、T108において、シーン操作可を示すシーン操作可否回答52をユーザID「name20」で識別される携帯端末4aに送信する。その場合には、携帯端末4aは、T110において、
図4(B)に示すシーン操作確認画面D4を生成して、画面に表示する。ユーザは、シーン操作確認画面D4に表示される内容を確認後、OKを示すアイコンIC14aを選択して、シーン操作確認画面D4の表示を終了する。
【0023】
一方、給湯器13(
図1参照)に対する他のシーン操作を実行中である場合には、サーバ8は、T108において、シーン操作不可を示すシーン操作可否回答52をユーザID「name20」で識別される携帯端末4aに送信する。その場合、携帯端末4aは、T110において、
図4(C)に示す実行不可表示画面D6を生成して、画面に表示する。携帯端末4aのユーザは、実行不可表示画面D6によって、給湯器13(
図1参照)に対する別のシーン操作が既に実行されており、自身が指示したシーン操作が受け付けられないことを認識することができる。
【0024】
(シーン操作確認画面D4においてOKを示すアイコンIC14aが選択された場合に実行される処理;
図5)
図5は、
図4に示す処理に続けて実行される処理を示す。先に述べたように、シーン操作確認画面D4(
図4参照)は、シーン操作を実行するためのアイコンIC14aを含む。T200において、アイコンIC14aが選択されると、携帯端末4aは、T202において、ユーザID「name20」とシーン設定データ60を、インターネット6(
図1参照)を介してサーバ8に送信する。シーン設定データ60には、
図3に示されているシーン名称「おはよう」に対応する一括動作指示が含まれている。次いで、携帯端末4aは、T210において、シーン操作を受け付け中であることを示す受付画面(図示省略)を表示する。
【0025】
サーバ8は、T202においてユーザID「name20」とシーン設定データ60を受信すると、T203において、シーン設定データ60を送信したユーザID「name20」を記憶する。先に述べたように、サーバ8は、ユーザID「name20」と給湯器13を対応させて記憶している。サーバ8は、T204において、ユーザID「name20」と対応する給湯器13(
図1参照)と通信可能である無線モジュール12a(
図1参照)に、シーン設定データ60を、インターネット6(
図1参照)を介して送信する。無線モジュール12aは、T204においてシーン設定データ60を受信すると、T206において、シーン設定データ60をリモコン12に送信する。
【0026】
リモコン12は、T206においてシーン設定データ60を受信すると、T220において、シーン設定データ60を取得する。次いで、リモコン12は、T222において、受付通知データ65を無線モジュール12aに送信する。無線モジュール12aは、T222において受付通知データ65を受信すると、T224において、受付通知データ65をサーバ8に送信する。サーバ8は、T224において受付通知データ65を受信すると、T226において、シーン操作実行中を記憶する。先に述べたように、サーバ8は、T226において、給湯器13(
図1参照)のシーン操作実行中を記憶した場合には、給湯器13に対する他のシーン操作データを受け付けない。このように、実施例の暖房システム2では、1つの給湯器に対して複数のシーン操作が同時に実行されることがなく、給湯器13および複数の設備機器(
図1参照)の制御が複雑にならない。
【0027】
次いで、サーバ8は、T228において、T203において記憶した、シーン設定データ60を送信したユーザID「name20」で識別される携帯端末4aに対して、受付通知データ65を送信する。携帯端末4aは、T228において受付通知データ65を受信すると、T230において、T210で表示した受付画面の表示を終了して、
図5(A)に示すシーン操作受付完了画面D12を生成して、画面に表示する。携帯端末4aのユーザは、シーン操作受付完了画面D12に含まれるOKを示すアイコンIC12bを選択することで、シーン操作受付完了画面D12の表示を終了する。このように、本明細書が開示する暖房システム2では、給湯器13(
図1参照)および複数の設備機器に対して一括動作指示を送信する前に、シーン設定データ60を受信したリモコン12が、即座に受付通知データ65を携帯端末4aに送信する。その結果、携帯端末4aにシーン操作受付完了画面D12が表示される。これにより、ユーザは、自身が行ったシーン操作の通信がリモコン12に正常に到達したことを認識することができる。すなわち、ユーザは、携帯端末4aとリモコン12の間の通信にトラブルが生じたと誤解しない。
【0028】
また、図示は省略したが、例えば、リモコン12が正常に動作していない場合には、リモコン12は、T222において、受付通知データ65を無線モジュール12aに送信できない。リモコン12が受付通知データ65を送信できず、T200のアイコンIC14aの選択から例えば30秒以内に携帯端末4aが受付通知データ65を受信しない場合には、管理アプリは、シーン操作にエラーが発生したことを示すメッセージを生成して携帯端末4aの画面に表示する。管理アプリは、例えば「リモコンに運転操作・設定内容を反映できませんでした。再度、運転・操作設定をしてください」というメッセージを生成して携帯端末4aの画面に表示する。これにより、ユーザは、自身が行ったシーン操作の通信がリモコン12に正常に到達しなかったことを認識することができる。
【0029】
以下では、中継装置30の各機器が、何らかのデータを受信し、受信したデータを他の機器に送信することを、例えば、「リモコン12を介して」、「無線モジュール12aを介して」と表現することがある。
【0030】
(シーン操作の完了通知を送信するための処理;
図6)
図6は、
図5に示す処理に続けて実行される処理を示す。T220において、シーン設定データ60を取得した後、リモコン12は、T300において、シーン設定データ60に含まれる動作指示68を給湯器13に送信する。より詳細には、リモコン12は、T300において
図3のシーン名称「おはよう」に示される、給湯器13の運転スイッチをONにする指示を送信する。給湯器13は、T300においてリモコン12からONの指示を受信すると、T302において、自身を加熱許可状態にする。給湯器13は、受信前に加熱不可状態であった場合には、T302において、自身を加熱許可状態にするが、受信前に給湯器13が加熱許可状態であった場合には、そのまま加熱許可状態を継続する。
【0031】
次いで、給湯器13は、T304~T308において、設定変更データ70をリモコン12および無線モジュール12aを介してサーバ8に送信する。ここで、設定変更データ70は、T302で給湯器13がONに設定変更されたことを示す情報である。サーバ8は、T308において設定変更データ70を受信すると、サーバ8は、T310において、T203において記憶したユーザID「name20」で識別される携帯端末4aに、設定変更データ70を送信する。携帯端末4aは、T310において設定変更データ70を受信すると、T311において、自身の管理アプリの給湯器13の運転スイッチの表示をONに変更する。これにより、管理アプリのユーザは、現在の給湯器13の運転状況を把握することができる。なお、上述したユーザID「name30」で識別される携帯端末4b(
図1参照)のユーザが管理アプリを起動している場合は、携帯端末4bの管理アプリの給湯器13の運転スイッチの表示をONに変更するために、サーバ8は、携帯端末4bにも設定変更データ70を送信する。
【0032】
また、リモコン12は、T304において、給湯器13から設定変更データ70を受信した後、T312において、シーン設定データ60に含まれる動作指示72を給湯器13に送信する。動作指示72は、
図3のシーン名称「おはよう」に示される、床暖房15をONにする指示である。給湯器13は、T312において動作指示72を受信すると、T313において、動作指示72を床暖房15に送信する。すなわち、給湯器13は、T313において、床暖房15をONにする指示を送信する。床暖房15は、T313において給湯器13からONの指示を受信すると、T314において、自身のスイッチをONにする。その後、床暖房15は、給湯器13同様に、T316において、設定変更データ74を給湯器13に送信する。給湯器13は、T316において設定変更データ74を受信すると、T318~T322において、設定変更データ74をリモコン12および無線モジュール12aを介してサーバ8に送信する。その後の処理(すなわち、T324およびT325)については、T308~T311と同様であるため、説明を省略する。
【0033】
図6では、複数の設備機器の一例として、床暖房15における動作指示で実行される処理について図示して説明した。先に述べたように実施例の暖房システム2は、給湯器13と複数の設備機器の間の通信をGCHインテリジェント通信方式によって行っているため、リモコン12は、給湯器13および複数の設備機器に対して、同時に動作指示を送信しない。即ち、例えば床暖房15の動作指示が完了して、リモコン12がT318において設定変更データ74を受信した後、次のパネルヒータ16(
図1参照)に対して動作指示を送信する。リモコン12は、給湯器13および複数の設備機器の全ての動作指示が完了するまでこの処理を繰り返す。このため、実施例の暖房システム2では、給湯器13および複数の設備機器の全ての動作指示が完了するまでに比較的長い時間を要する。なお、床暖房15以外の設備機器についても、実行される処理は同様であるため、図示および説明を省略する。
【0034】
床暖房15と同様な処理で、複数の設備機器のうち
図3のシーン名称「おはよう」において「ON」または「OFF」に設定するように指示された設備機器の全てが設定変更を行う。設定変更を指示された最後の設備機器が給湯器13を介してリモコン12に設定変更データを送信すると、リモコン12は、T400において、全ての設定変更データを取得する。次いで、リモコン12は、T402およびT404において、無線モジュール12aを介して、実行完了データ80をサーバ8に送信する。サーバ8は、T404において実行完了データ80を受信すると、T406において、シーン操作実行中を解除する。これにより、
図5のT226で行ったシーン操作実行中の記憶が削除され、サーバ8は、給湯器13(
図1参照)に対する他のシーン操作可否問い合わせを受け付けることができる。その後、サーバ8は、T407において、実行完了データ80から完了プッシュ通知データ82を生成する。完了プッシュ通知データ82は、管理アプリのプッシュ通知機能によって携帯端末4aの画面にポップアップさせるためのデータである。T408において、ユーザID「name20」で識別される携帯端末4aに完了プッシュ通知データ82を送信する。携帯端末4aは、T408において完了プッシュ通知データ82を受信すると、T410において、管理アプリのプッシュ通知機能により
図6(A)に示すシーン操作完了画面D14を表示する。これにより、ユーザは、管理アプリを起動させることなく、自身が指示した一括動作指示が完了したことを認識することができる。
【0035】
(シーン操作が正常に実行されなかった場合の処理;
図6)
以下では、一例として、床暖房15の設定変更が正常に実行されなかった場合の処理について説明する。先に述べたように、給湯器13は、T313において、床暖房15をONにする指示を送信する。その後、T316の設定変更データ74が床暖房15から送信されない、もしくは、床暖房15からの設定変更データ74を給湯器13が受信できない場合には、給湯器13は、T318において、設定変更データ74をリモコン12に送信することができない。リモコン12は、所定の時間内(例えば、1分以内)に設定変更データ74を受信しない場合には、他の設備機器の設定変更データを待つことなく、T402およびT404において実行完了データ80に代えて、異常通知データを、無線モジュール12aを介してサーバ8に送信する。その後、サーバ8は、T407において、異常通知データから異常プッシュ通知データを生成する。サーバ8は、T408において、ユーザID「name20」で識別される携帯端末4aに完了プッシュ通知データ82に代えて異常プッシュ通知データを送信する。携帯端末4aは、T408において異常プッシュ通知データを受信すると、T410において、管理アプリのプッシュ通知機能により
図6(B)に示す異常通知画面D16を表示する。これにより、ユーザは、管理アプリを起動させることなく、自身が指示した一括動作指示が正常に完了しなかったことを短時間で認識することができる。
【0036】
(対応関係)
給湯器13が、「熱源機」の一例である。シーン設定データ60が、「一括動作指示」の一例である。実行完了データ80および完了プッシュ通知データ82が、「完了通知」の一例である。受付通知データ65が「受付通知」の一例である。動作指示68、72が「個別の動作指示」の一例である。設定変更データ70、74が「個別の完了通知」の一例である。
【0037】
以上、実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上述した実施例の変形例を以下に列挙する。
【0038】
(変形例1)「複数の設備機器」は、床暖房15と、パネルヒータ16と、浴室暖房乾燥機17に限らず、例えば、さらに複数の床暖房を備えてもいいし、パネルヒータ16を含まなくてもよい。
【0039】
(変形例2)上述した実施例では、携帯端末4aは、サーバ8および無線モジュール12aを介して、リモコン12と通信する。これに代えて、携帯端末4aは、リモコン12と直接通信してもよい。本変形例では、「中継装置」は、「サーバ」を備えなくてもよい。
【0040】
(変形例3)上述した実施例では、サーバ8は、携帯端末4aからのシーン操作を実行中である場合に、他の携帯端末4bからのシーン操作を受け付けない。しかしながら、別の実施例では、サーバ8は、複数のシーン操作を受け付けてもよい。本変形例では、サーバ8は、例えば複数のシーン設定データの重複した指示を実行し、異なる指示については、後からサーバ8に送信されたシーン操作データの指示を実行するように制御してもよい。
【0041】
(変形例4)上述した実施例では、「携帯端末」は、2台の携帯端末4a、4bを備えている。しかしながら、別の実施例では、1台の携帯端末のみを備えてもよいし、さらに複数の携帯端末を備えてもよい。
【0042】
(変形例5)上述した実施例では、サーバ8は、管理アプリのプッシュ通知機能により携帯端末4aにシーン操作完了画面D14を表示させる。しかしながら、別の実施例では、サーバ8は、プッシュ通知機能を利用せず、管理アプリの起動時に携帯端末4aにシーン操作完了画面D14を表示させてもよい。
【0043】
(変形例6)上述した実施例では、携帯端末4aは、シーン操作受付完了画面D12およびシーン操作完了画面D14を表示することで、一括動作指示が受け付けられたことおよび一括動作指示が完了したことをユーザに「報知」する。これに代えて、携帯端末4aは、例えば、音声によりユーザに「報知」してもよい。
【0044】
(変形例7)上述した実施例では、給湯器13と複数の設備機器の間の通信をGCHインテリジェント通信方式によって行っているが、これに代えて、他の通信方式を採用してもよい。この場合、他の通信方式では、リモコンが給湯器および複数の設備機器に対して同時に通信してもよい。
【0045】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0046】
2 :暖房システム
4a、4b:携帯端末
6 :インターネット
8 :サーバ
10 :住宅
11 :ルータ
12 :リモコン
12a :無線モジュール
13 :給湯器
15 :床暖房
16 :パネルヒータ
17 :浴室暖房乾燥機
30 :中継装置