(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】稼働監視システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/09 20060101AFI20240105BHJP
B23B 25/06 20060101ALI20240105BHJP
B23B 13/00 20060101ALI20240105BHJP
B23B 15/00 20060101ALI20240105BHJP
B23Q 11/08 20060101ALI20240105BHJP
G07C 3/02 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B23Q17/09 Z
B23B25/06
B23B13/00 Z
B23B15/00 G
B23Q11/08 Z
G07C3/02
(21)【出願番号】P 2019202148
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松丸 肇
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-019902(JP,A)
【文献】特開2017-045141(JP,A)
【文献】特開2015-208775(JP,A)
【文献】特開2001-052221(JP,A)
【文献】特開平06-301832(JP,A)
【文献】特開平03-290784(JP,A)
【文献】特開平02-232102(JP,A)
【文献】特開昭63-077630(JP,A)
【文献】実公昭62-032752(JP,Y1)
【文献】実開平05-063749(JP,U)
【文献】特開2014-038482(JP,A)
【文献】特許第4980458(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06
B23Q 7/00-7/18
B23Q 11/00-13/00
B23Q 17/00-23/00
G05B 19/18-19/416
G07C 1/00-15/00
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具でワークを加工する工作機械と、該工作機械に対してワーク加工の補助動作を行う周辺機器とを有し、前記工作機械が前記工具で前記ワークを加工するワーク加工時間を監視する稼動監視システムであって、
前記工作機械の電源がONであって加工プログラムが実行されている期間である前記工作機械の稼働時間のうち、前記周辺機器がワーク加工の補助動作を行う時間を前記ワーク加工時間として推定する推定部を備える、稼働監視システム。
【請求項2】
前記工作機械が、該工作機械を制御する制御装置を有し、
前記周辺機器が、前記制御装置からの指令に基づいて前記ワーク加工の補助動作を行う、請求項1に記載の稼働監視システム。
【請求項3】
前記周辺機器が、前記工作機械に前記ワークを供給するワーク供給装置である、請求項1または2に記載の稼働監視システム。
【請求項4】
前記周辺機器が、前記工作機械に前記ワークを搬入するワーク搬入装置と、前記工作機械から前記ワークを搬出するワーク搬出装置とで構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の稼働監視システム。
【請求項5】
前記周辺機器が、前記工作機械の内部を仕切るシャッターである、請求項1から4のいずれか一項に記載の稼働監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械がワークを加工している時間を監視する稼働監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の加工時間には、早送りする時間(ワークを加工しないで、単に主軸を回転させた状態で主軸およびテーブルの位置決めを行う時間)等、ワークを加工する時間とは別の時間も含まれる。特許文献1には、ワークを加工する時間だけを把握するために、主軸やテーブルが移動する場合にはモーターに高い油圧が生じている点に着目し、主軸の回転中に高圧が生じた時間を、ワークを加工する時間として把握する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
工作機械がワークを加工している時間については、特許文献1に記載のような、加工室内で生ずる油圧とは別の手法で計測することが望まれる。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、工作機械がワークを加工している時間を、油圧を用いた手法とは別の手法で計測する稼働監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、第1に、工具でワークを加工する工作機械と、該工作機械に対してワーク加工の補助動作を行う周辺機器とを有し、前記工作機械が前記工具で前記ワークを加工するワーク加工時間を監視する稼動監視システムであって、前記工作機械の電源がONであって加工プログラムが実行されている期間である前記工作機械の稼働時間のうち、前記周辺機器がワーク加工の補助動作を行う時間を前記ワーク加工時間として推定する推定部を備えることを特徴とする。
【0006】
第2に、前記工作機械が、該工作機械を制御する制御装置を有し、前記周辺機器が、前記制御装置からの指令に基づいて前記ワーク加工の補助動作を行うことを特徴とする。
【0007】
第3に、前記周辺機器が、前記工作機械に前記ワークを供給するワーク供給装置であることを特徴とする。
【0008】
第4に、前記周辺機器が、前記工作機械に前記ワークを搬入するワーク搬入装置と、前記工作機械から前記ワークを搬出するワーク搬出装置とで構成されることを特徴とする。
【0009】
第5に、前記周辺機器が、前記工作機械の内部を仕切るシャッターであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以下の効果を得ることができる。
ワーク加工時間は、工作機械の電源がONであって加工プログラムが実行されている期間である工作機械の稼働時間であって、かつ、周辺機器がワーク加工の補助動作を行う時間という論理積から推定される。よって、工作機械が工具でワークを加工している時間を、従来のような加工室内の油圧を用いた手法とは別の手法で計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る稼働監視システムの構成例を説明する図である。
【
図2】第1実施形態による稼働を監視するフローチャートである。
【
図3】工作機械の稼働時間と、ワーク供給装置がワーク加工の補助動作を行う時間との関係を説明する図である。
【
図4】第3実施形態による稼働を監視するフローチャートである。
【
図5】工作機械の稼働時間と、ワーク搬入装置およびワーク搬出装置がワーク加工の補助動作を行う時間との関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明に係る稼働監視システムの構成例を説明する図である。
本実施形態の稼働監視システムは、ワーク供給装置120、および自動旋盤100によって構成される。
ワーク供給装置120はバーフィーダーと称され、自動旋盤100にワークを供給可能に構成されており、工作機械に対してワーク加工の補助動作する周辺機器の一例である。自動旋盤100は、所定の切削工具でワークを加工する工作機械の一例である。
【0013】
ワーク供給装置120は、ワーク供給装置120と自動旋盤100との間を移動する押し矢121と、押し矢121を駆動させるモーター122と、自動旋盤100からの信号に基づいてモーター122を制御するモーター制御装置130とを有する。ワーク供給装置120には、複数のワーク(例えば長尺の棒材)Wが貯えられており、モーター122によって押し矢が移動すると、ワークWがワーク供給装置120から自動旋盤100の主軸111に向けて1本ずつ供給される。
【0014】
自動旋盤100は、ワーク供給装置120からワークWが供給されるローダ室110と、供給されたワークWを加工する加工室116とを有する。ローダ室110と加工室116とはシャッター115で仕切られている。シャッター115は、加工室116をローダ室110に対して開放状態/遮断状態にし、工作機械に対してワーク加工の補助動作する周辺機器の一例である。
【0015】
シャッター115は、例えば駆動(ON)すると開いて、加工室116をローダ室110に対して開放状態にする。一方、ワークWの加工が終了すると、駆動が解除(OFF)されて閉じ、加工室116をローダ室110に対して遮断状態にする。
ローダ室110は、ワーク搬入装置(図示省略)を設置してもよい。ワーク搬入装置は、ローダ室110から加工室116にワークWを搬入可能に構成されており、工作機械に対してワーク加工の補助動作する周辺機器の一例である。
【0016】
加工室116には、ワークWを旋削加工するバイト等の主工具114が設置されており、主軸111に保持されたワークWを加工する。主軸111は、主軸台に回転自在に支持されている。主工具114は刃物台に設けられ、ワークWの径方向に向けて移動可能であるとともに、主軸111の回転軸線方向に沿って移動可能である。
加工室116は、ワーク搬出装置(図示省略)を設置してもよい。ワーク搬出装置は、加工室116から自動旋盤100の外に加工済みのワークWを搬出可能に構成されており、工作機械に対してワーク加工の補助動作する周辺機器の一例である。
【0017】
図1に示すように、自動旋盤100は、背面主軸112および背面工具113を有してもよい。背面主軸112は、主軸111の対向位置に設置され、ワークWを主軸111から受け取って保持できる。背面主軸112は、背面主軸台に回転自在に支持されるとともに、背面主軸112の回転軸線方向やこの回転軸線に交差する方向に沿って移動可能である。背面主軸112に保持されたワークWは、主軸111に保持されたワークWから切り離された後、背面工具113で加工される。
【0018】
主軸111の回転や刃物台の移動などは、自動旋盤100のNC装置140で制御される。また、ワーク供給装置120、ワーク搬入装置、ワーク搬出装置、シャッター115は、NC装置140からの指令に基づいて駆動/駆動解除される。なお、NC装置140が本発明の制御装置に相当する。
NC装置140は、CPUやメモリ等を有し、例えばROMに格納されている各種のプログラムやデータをRAMにロードし、このプログラムを実行する。これにより、プログラムに基づいて自動旋盤100の動作を制御できる。
【0019】
NC装置140は、自動旋盤100の稼働時間(より具体的には、自動旋盤100の電源がONであり、加工プログラムが実行されている期間)を計測する稼働計測部141を有する。この自動旋盤100の電源がONであり、加工プログラムが実行されている期間は、例えばNC装置140の稼働中ステータスデータから分かる。また、NC装置140には、補助動作計測部142およびワーク加工時間推定部143が設けられている。
【0020】
詳しくは、補助動作計測部142は、ワーク供給装置120の押し矢121が自動旋盤100にワークWを供給している期間、ワーク搬入装置がローダ室110から加工室116にワークWを搬入している期間、ワーク搬出装置が加工室116から自動旋盤100の外にワークWを搬出している期間、シャッター115が加工室116をローダ室110に対して遮断している期間をそれぞれ計測可能である。
【0021】
ワーク加工時間推定部143は、稼働計測部141の計測結果と補助動作計測部142の計測結果に基づいて、自動旋盤100が工具144でワークWを加工しているワーク加工時間Tを推定する。ワーク加工時間推定部143が、本発明の推定部に相当する。
ワーク加工時間推定部143によるワーク加工時間Tの推定結果などを表示器150に表示してもよい。また、表示器150は、自動旋盤100に設けられたディスプレイ等の視覚的に確認できる装置のほか、記録媒体への印字装置、記録装置、ネットワークに接続された通信装置などに情報を出力するものであってもよい。
【0022】
本実施形態では、稼働計測部141、補助動作計測部142やワーク加工時間推定部143をNC装置140に設けた例で説明した。しかし、本発明はこの例に限定されない。例えば、稼働計測部141、補助動作計測部142、およびワーク加工時間推定部143を、自動旋盤100に対してネットワークによって相互に通信可能なサーバーに設けることも可能である。
また、本実施形態では、補助動作計測部142を設けた例を挙げて説明した。しかし、ワーク加工時間推定部143が、ワーク加工の補助動作を行う時間を計測すれば、補助動作計測部142を省略してもよい。
【0023】
(第1実施形態)
図2は、第1実施形態による稼働を監視するフローチャートである。本実施形態では、押し矢121がワーク加工の補助動作を行う例を想定する。
まず、稼働計測部141が、NC装置140のステータス情報を取得する(ステップS101)。次に、ステータス情報が‘1’であるか‘0’であるかが判別される(ステップS102)。例えばステータス情報として、加工プログラムが実行されている場合にはステータス情報が‘1’であり、それ以外は‘0’となる。自動旋盤100の電源がONであり、ステータス情報が‘1’であると判定された場合(ステップS102の‘1’)、ステップS103に進む。一方、ステータス情報が‘0’の場合(ステップS102の‘0’)、一連のルーチンを抜ける。
【0024】
ステップS103では、補助動作計測部142が、周辺機器の駆動情報を取得し、周辺機器が駆動中であるか否かが判別される(ステップS104)。例えば、押し矢121が駆動中であると判定された場合(ステップS104のYES(ON))、ステップS105に進み、ワーク加工時間推定部143がワーク加工時間の計測を開始する。一方、押し矢121が駆動中でないと判定された場合(ステップS104のNO(OFF))、一連のルーチンを抜ける。
【0025】
続いて、稼働計測部141が、NC装置140のステータス情報を取得し(ステップS106)、ステータス情報が‘1’であるか‘0’であるかが判別され(ステップS107)、ステータス情報が‘1’であると判定された場合(ステップS107の‘1’)、ステップS108に進む。
ステップS108では、補助動作計測部142が、押し矢121の駆動情報を取得し、押し矢121が駆動中であるか否かが判別される(ステップS109)。そして、押し矢121が駆動中であると判定された場合(ステップS109のYES(ON))、ステップS106に戻り、ワーク加工時間の計測を継続する。
【0026】
一方、押し矢121が駆動中でないと判定された場合(ステップS109のNO(OFF))、ワーク加工時間推定部143がワーク加工時間の計測を終了し(ステップS110)、このルーチンを抜ける。
また、ステップS107において、ステータス情報が‘0’の場合(ステップS107の‘0’)、ステップS110に進み、ワーク加工時間推定部143がワーク加工時間の計測を終了して、このルーチンを抜ける。
【0027】
より具体的には、
図3に示すように、NC装置140のステータス情報が‘0’から‘1’になった場合、稼働計測部141が、自動旋盤100の稼働時間t1の計測を開始する。
一方、ワーク供給装置120が、自動旋盤100から、自動旋盤100に向けてワークWの供給するための指令を受信すると、押し矢121は駆動解除(OFF)から駆動(ON)に切り替わるので、押し矢121が自動旋盤100に向けてワークWの供給を開始する。同時に、補助動作計測部142は、自動旋盤100にワークWを供給している時間t2の計測を開始する。補助動作計測部142は、押し矢121がOFFになったら時間t2の計測を終了する。
【0028】
例えば、押し矢121は駆動中であるが、NC装置140のステータス情報が‘0’になった場合(
図2のステップS107の‘0’)、つまり材料の入れ替え等の加工プログラムが実行していないときは、稼働計測部141は、自動旋盤100の稼働時間t1の計測を終了する。
そして、ワーク加工時間推定部143は、稼働計測部141で計測された自動旋盤100の稼働時間t1と、補助動作計測部142で計測されたワーク供給装置120が自動旋盤100にワークWを供給している期間t2との論理積から、t1とt2の重複期間をワーク加工時間Tとして推定する。t1とt2の重複期間は、
図3に示す‘L’から‘H’になった時点から、その後に‘H’から‘L’になった時点までの期間である。これらの計測結果や推定結果は、例えばNC装置140のメモリに格納される。
【0029】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、長尺の棒材をワークWとして加工室116の主軸111に直接に供給した例を挙げて説明した。しかし、ワーク供給装置120は、短尺の素形材をワークWとして加工室116に供給してもよい。この場合にも、例えば、自動旋盤100の稼働時間t1と、加工室116を仕切るシャッター115が開いてから閉じるまでの期間t2との論理積から、ワーク加工時間Tを推定できる。
【0030】
(第3実施形態)
あるいは、押し矢121やシャッター115の駆動状態に替えて、ワーク搬入装置およびワーク搬出装置の駆動状態からワーク加工時間Tを測定してもよい。
図4は、第3実施形態による稼働を監視するフローチャートである。
この場合にも、まず、稼働計測部141が、NC装置140のステータス情報を取得し(ステップS201)、ステータス情報が‘1’であるか‘0’であるかが判別される(ステップS202)。ステータス情報が‘1’であると判定された場合(ステップS202の‘1’)、ステップS203に進む。
【0031】
ステップS203では、補助動作計測部142が、ワーク搬入装置の駆動情報を取得し、ローダ室110から加工室116にワークWを搬入するための指令信号が‘H’になったか否かが判別される(ステップS204)。そして、この指令信号が‘H’になったと判定された場合(ステップS204のYES)、ステップS205に進み、ワーク加工時間推定部143がワーク加工時間の計測を開始する。一方、指令信号が‘H’になっていないと判定された場合(ステップS204のNO)、一連のルーチンを抜ける。
【0032】
続いて、稼働計測部141が、NC装置140のステータス情報を取得し(ステップS206)、ステータス情報が‘1’であるか‘0’であるかが判別され(ステップS207)、ステータス情報が‘1’であると判定された場合(ステップS207の‘1’)、ステップS208に進む。
ステップS208では、補助動作計測部142が、ワーク搬出装置の駆動情報を取得し、加工室116から自動旋盤100の外にワークWを搬出するための指令信号が‘H’になったか否かが判別される(ステップS209)。そして、この指令信号が‘H’になっていないと判定された場合(ステップS209のNO)、ステップS206に戻り、ワーク加工時間の計測を継続する。
【0033】
一方、指令信号が‘H’になったと判定された場合(ステップS209のYES)、ワーク加工時間推定部143がワーク加工時間の計測を終了し(ステップS210)、このルーチンを抜ける。
また、ステップS207において、ステータス情報が‘0’の場合(ステップS207の‘0’)、ステップS210に進み、ワーク加工時間推定部143がワーク加工時間の計測を終了して、このルーチンを抜ける。
【0034】
より具体的には、
図5に示すように、NC装置140のステータス情報が‘0’から‘1’になった場合、稼働計測部141が、自動旋盤100の稼働時間t1の計測を開始し、ワーク搬入装置が、ローダ室110から加工室116にワークWを搬入するための指令信号が‘L’から‘H’に切り替わる動作を検出して、ワーク搬入装置が加工室116に向けてワークWの搬入を開始する。同時に、補助動作計測部142は、ワークを搬入・搬出している時間t3の計測を開始する。
【0035】
続いて、例えば、NC装置140のステータス情報が‘1’のままであるが、ワーク搬出装置が、加工室116から自動旋盤100の外にワークWを搬出するための指令信号が‘L’から‘H’に切り替わる動作を検出して(
図4のステップS209のYES)、補助動作計測部142は、ワークWを搬入・搬出している時間t3の計測を終了する。
そして、ワーク加工時間推定部143は、稼働計測部141で計測された自動旋盤100の稼働時間t1と、補助動作計測部142で計測されたワークWを搬入・搬出している時間t3との論理積から、t1とt3の重複期間をワーク加工時間Tとして推定する。t1とt3の重複期間は、
図5に示すワーク加工時間が‘L’から‘H’になった時点から、その後に‘H’から‘L’になった時点までの期間である。
【0036】
このように、
図3(第1実施形態)で説明した、自動旋盤100の稼働時間t1と押し矢121がONからOFFになるまでの期間t2の重複期間、もしくは、第2実施形態で説明した、自動旋盤100の稼働時間t1とシャッター115がONからOFFになるまでの期間t2の重複期間、または、
図5(第3実施形態)で説明した、自動旋盤100の稼働時間t1とワーク搬入装置への指令信号が‘H’になってからワーク搬出装置への指令信号が‘H’になるまでの期間t3の重複期間はいずれも、自動旋盤100のアイドル時間(大まかにワークWを加工していない時間)を除いた稼働時間であり、加工室116内において主工具144などでワークWを加工しているものと想定できる。
【0037】
そこで、自動旋盤100の稼働時間t1と、押し矢121、もしくはシャッター115に関する上記期間t2、または、ワーク搬入装置・ワーク搬出装置に関する上記期間t3の論理積から、ワーク加工時間Tを推定できる。よって、自動旋盤100が工具でワークWを加工している時間を、従来のような加工室内の油圧を用いた手法とは別の手法で計測できる。
また、自動旋盤100、ワーク供給装置120、ワーク搬入装置、ワーク搬出装置、シャッター115のような既存構成を動作させる信号を用いれば、ワーク加工時間Tを推定できるので、油圧を検出するためのセンサが不要になる。
【0038】
上記第1~第3実施形態では、押し矢121、もしくはシャッター115、またはワーク搬入装置およびワーク搬出装置の駆動状態を監視した例を挙げて説明した。しかし、押し矢121、シャッター115、ワーク搬入装置、ワーク搬出装置の駆動状態を同時に監視し、これらの組み合わせからワーク加工時間Tを推定してもよい。
【符号の説明】
【0039】
100 ・・・ 自動旋盤(工作機械)
110 ・・・ ローダ室
111 ・・・ 主軸
112 ・・・ 背面主軸
113 ・・・ 背面工具
114 ・・・ 主工具
115 ・・・ シャッター(周辺機器)
116 ・・・ 加工室
120 ・・・ ワーク供給装置(周辺機器)
121 ・・・ 押し矢
122 ・・・ モーター
130 ・・・ モーター制御装置
140 ・・・ NC装置(制御装置)
141 ・・・ 稼働計測部
142 ・・・ 補助動作計測部
143 ・・・ ワーク加工時間推定部(推定部)
150 ・・・ 表示器
W ・・・ ワーク
t1 ・・・ 工作機械の稼働時間
t2 ・・・ ワーク加工の補助動作を行う時間
t3 ・・・ ワーク加工の補助動作を行う時間
T ・・・ ワーク加工時間