(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】シート給送装置及びこれを備えた画像読取装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/06 20060101AFI20240105BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
B65H7/14
(21)【出願番号】P 2019203655
(22)【出願日】2019-11-11
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相川 憲稔
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-004146(JP,A)
【文献】特開2008-222430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0226371(US,A1)
【文献】実開平05-040957(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
B65H 7/00-7/20
B65H 43/00-43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを積載する給送トレイと、
前記給送トレイ上に積載されたシートに当接し、当接したシートをシート搬送方向の下流側へ給送する繰り出し部と、
前記繰り出し部を、前記給送トレイ上に積載されたシートに当接する給送位置と、前記給送トレイ上に積載されたシートから離間した退避位置と、の間で移動可能に支持するアーム部と、
前記繰り出し部により搬送されたシートを前記シート搬送方向の下流側へ給送する給送部と、
前記繰り出し部と前記給送部とに回転駆動させるモータと、
前記給送部に圧接して重なったシートを分離する分離部と、
前記給送部と前記分離部とにより分離されたシートを前記シート搬送方向の下流側へ搬送する搬送部と、
前記シート搬送方向において前記給送部の下流側に設けられ、かつ、前記シート搬送方向において前記搬送部の上流側に設けられた第1のシート検知部であって、シートを検知する第1のシート検知部と、
前記シート搬送方向における前記搬送部の下流側に設けられ、シートを検知する第2のシート検知部と、
前記繰り出し部と前記給送部との駆動を制御する制御部と、
を備えたシート給送装置において、
前記制御部は、前記第1のシート検知部が前記繰り出し部によって給送されたシートを検知したことに基づいて前記繰り出し部
を前記給送位置から前記退避位置へ移動させ、前記第1のシート検知部が該シート
を検知してから所定時間経過するまでに、前記第2のシート検知部が該シート
を検知しない場合は、前記搬送部が回転した状態で、前記繰り出し部によって該シートを再度給送する再給送動作を行
い、
前記制御部は、前記再給送動作において、前記繰り出し部が前記退避位置に位置する状態で前記モータの駆動を停止して、前記繰り出し部を前記退避位置から前記給送位置へ移動することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記所定時間は、第1の所定時間であり、
前記制御部は、前記再給送動作を開始してから第2の所定時間が経過するまでに、前記第2のシート検知部が該シート
を検知しない場合は、前記繰り出し部及び前記給送部によるシートの給送を停止することを特徴とする請求項
1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
請求項
1または2に記載のシート給送装置と、
前記シートに記載された画像を読み取る画像読取部と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に設けられるシート給送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、複写機やファクシミリ装置、それらの複合機等の画像形成装置には、シート給送装置が設けられている。特許文献1に記載のシート給送装置には、給送ローラと、給送ローラのシート搬送方向の下流側に配置されたレジストレーションローラ等の搬送ローラと、が備えられている。そして、給送ローラにより搬送されたシートの先端が、搬送ローラまで到達していない不送りの状態を検出するシート不送り検出手段が設けられている。シート不送り検出手段によりシートの不送りが検出された場合に、給送ローラを回転させた後に、搬送ローラを回転させていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、シートの不送りが検出された際に、搬送ローラの駆動開始のタイミングの調整をする必要がある。つまり、シートが不送りする状況下では、実際のシートの搬送速度を見積もることが困難であり、シートの先端の位置を予測することは非常に困難である。給送ローラの駆動開始に対して、搬送ローラの駆動開始のタイミングが極端に遅くなった場合には、原稿の先端が搬送ローラに突き当たった後に、さらに原稿を給送ローラによって搬送することより、原稿を座屈させる虞がある。
【0005】
これらを鑑みて、本発明は、給送ローラによる不送りが発生した場合においても、シートの搬送不良を低減することができるシート給送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、シートを積載する給送トレイと、前記給送トレイ上に積載されたシートに当接し、当接したシートをシート搬送方向の下流側へ給送する繰り出し部と、前記繰り出し部を、前記給送トレイ上に積載されたシートに当接する給送位置と、前記給送トレイ上に積載されたシートから離間した退避位置と、の間で移動可能に支持するアーム部と、前記繰り出し部により搬送されたシートを前記シート搬送方向の下流側へ給送する給送部と、前記繰り出し部と前記給送部とに回転駆動させるモータと、前記給送部に圧接して重なったシートを分離する分離部と、前記給送部と前記分離部とにより分離されたシートを前記シート搬送方向の下流側へ搬送する搬送部と、前記シート搬送方向において前記給送部の下流側に設けられ、かつ、前記シート搬送方向において前記搬送部の上流側に設けられた第1のシート検知部であって、シートを検知する第1のシート検知部と、前記シート搬送方向における前記搬送部の下流側に設けられ、シートを検知する第2のシート検知部と、前記繰り出し部と前記給送部との駆動を制御する制御部と、を備えたシート給送装置において、前記制御部は、前記第1のシート検知部が前記繰り出し部によって給送されたシートを検知したことに基づいて前記繰り出し部を前記給送位置から前記退避位置へ移動させ、前記第1のシート検知部が該シートを検知してから所定時間経過するまでに、前記第2のシート検知部が該シートを検知しない場合は、前記搬送部が回転した状態で、前記繰り出し部によって該シートを再度給送する再給送動作を行い、前記制御部は、前記再給送動作において、前記繰り出し部が前記退避位置に位置する状態で前記モータの駆動を停止して、前記繰り出し部を前記退避位置から前記給送位置へ移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、給送ローラによる不送りが発生した場合においても、シートの搬送不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係るシート給送装置を備えた画像読取装置の構成を示す断面図
【
図2】本発明に係るシート給送装置の制御部の構成を示すブロック図
【
図3】本発明に係るシート給送装置の給送部の構成を示す断面図
【
図4】本発明に係るシート給送装置の給送動作および再給送動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明に係るシート給送装置及びこれを備えた画像読取装置の一実施形態を具体的に説明する。
【0010】
<シート給送装置及び画像読取装置>
図1及び
図2を用いて、本発明に係るシート給送装置を備えた画像読取装置の構成について説明する。
図1は、本発明に係るシート給送装置を備えた画像読取装置の構成を示す断面図である。
図2は、本発明に係るシート給送装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示す画像読取装置13に備えられるシート給送装置1は、紙等のシートとしての原稿Pを積載する給送トレイ2が備えられている。また、給送トレイ2上(給送トレイ上)に積載された最上部の原稿Pに当接し、当接した原稿Pをシート搬送方向の下流側(以下、「下流側」という)へ搬送する繰り出しローラ3を有する。更に、繰り出しローラ3により搬送された原稿Pを下流側へ給送する給送ローラ4と、給送ローラ4に圧接して原稿Pを一枚ずつに分離する分離部5と、を有する。シート搬送方向において、繰り出しローラ3と給送ローラ4との間には、原稿Pを検知する分離前原稿検知部SS3が備えられている。
【0012】
また、シート給送装置1には、給送ローラ4と分離部5により分離された原稿Pを検知する第1のシート検知部である分離後原稿検知部SS4が設けられている。分離後原稿検知部SS4は、給送ローラ4の下流側で、かつ、搬送ローラ6のシート搬送方向の上流側(以下、「上流側」という)に設けられている。更に、給送ローラ4と分離部5とにより分離された原稿Pを下流側へ搬送する搬送ローラ6と、搬送ローラ6の下流側に設けられ、原稿Pを検知する第2のシート検知部である搬送原稿検知部SS5とが設けられている。
【0013】
更に、シート給送装置1には、搬送ローラ6により搬送された原稿Pを下流側へ搬送する搬送ローラ7と、搬送ローラ7により搬送された原稿Pの第1面(表面)の原稿画像を読み取る表面画像読取部16へ原稿Pを搬送する第1の読取ローラ8とを有する。更に、搬送された原稿Pの第2面(裏面)の原稿画像を読み取る裏面画像読取部17へ原稿Pを搬送する第2の読取ローラ9と、搬送された原稿Pを排出トレイ10に排出する排出ローラ11と、を有する。以上、画像読取装置13に備えられたシート給送装置1は、上記に説明した構成により、原稿Pの画像が読み取られ、搬送される。
【0014】
分離部5の構成としては、ブレーキパット分離方式、ローラ分離方式、リタードローラ分離方式が知られている。ブレーキパット分離方式は、給送ローラ4に摩擦ブレーキ板を圧接して、摩擦により原稿Pを分離させる方式である。また、ローラ分離方式は、前記ブレーキパット分離方式の摩擦ブレーキ板を摩擦ローラとしたものである。また、リタード分離方式は、前記ローラ分離方式の摩擦ローラに逆転の駆動をかけたものである。一般的に前記リタード分離方式が、一番分離性能が高いと言われている。
【0015】
駆動の構成としては、繰り出しローラ3および給送ローラ4は、
図2に示す駆動源である給送モータM1の回転駆動が伝達されて回転する。繰り出しローラ3と給送ローラ4とは、揺動アーム12により連結され、揺動アーム12は、給送ローラ4の駆動軸4aに対して回動可能に支持されている。揺動アーム12は、
図2に示す繰り出しローラ昇降モータM5の駆動によって回動するように構成されている。
【0016】
揺動アーム12の回動により繰り出しローラ3は、給送トレイ2に積載された原稿Pに当接して原稿Pを繰り出す給送位置と、給送トレイ2に積載された原稿Pから離れた給送位置上方にある退避位置との間を移動することが可能となる。即ち、繰り出しローラ3は、給送トレイ2に積載された原稿Pから離間動作可能に構成されている。
【0017】
シート給送装置1の下方には、シート給送装置1により搬送された原稿Pの表面の画像を読み取るための画像読取装置13が設けられている。画像読取装置13の表面画像読取部16の上部には、プラテンガラス14が設けられている。表面画像読取部16は、プラテンガラス14上を搬送される原稿Pの表面画像を読み取る。
【0018】
また、プラテンガラス14に対向する位置には、原稿Pをプラテンガラス14に付勢するためのプラテンガイド15が設けられている。
【0019】
<制御部>
次に、
図2を用いて、シート給送装置1の制御部501の構成について説明する。シート給送装置1の制御部501は、CPU(Central Processing Unit;中央演算装置)502を有する。更に、制御部501は、制御プログラムが格納されるROM(Read Only Memory;リードオンリメモリ)503を有する。更に、制御部501は、制御データを一時的に保持するための領域や制御に伴う演算の作業領域であるRAM(Random Access Memory;ランダムアクセスメモリ)504を備えている。
【0020】
制御部501は、シート給送装置1の各種検知手段から入力される信号に基づいて、各ドライバIC201,202,203,204,205を介してシート給送装置1の各種モータ及び電磁クラッチを駆動制御する。
【0021】
各種検知手段には、原稿セットセンサSS1、最終原稿検知センサSS2、分離前原稿検知部SS3、分離後原稿検知部SS4、搬送原稿検知部SS5、読取前センサSS6及び排出センサSS7がある。
【0022】
各種モータには、給送モータM1、搬送モータM2、読取モータM3、給送トレイ昇降モータM4及び繰り出しローラ昇降モータM5がある。また、電磁クラッチには、給送クラッチCL1がある。
【0023】
CPU502は、ROM503に格納された制御プログラムに従って、給送モータM1、搬送モータM2、読取モータM3、給送トレイ昇降モータM4、繰り出しローラ昇降モータM5及び給送クラッチCL1を制御する。
【0024】
また、シート給送装置1のCPU502は、画像読取装置13の図示しないCPUとシリアル通信を行い、画像読取装置13との間で制御データの受け渡しを行うようになっている。なお、シート給送装置1の制御部501と画像読取装置13の図示しない制御部とが一体化された画像読取装置13であれば、通信を行うことなく、1つのCPUで構成しても良い。
【0025】
<給送部の給送動作>
次に、
図1乃至
図4を用いて、シート給送装置1の給送部の給送動作および再給送動作について説明する。
図3は、本発明に係るシート給送装置1の給送部の構成を示す断面図である。
図4は、本発明に係るシート給送装置1の給送動作および再給送動作を示すフローチャートである。
【0026】
図4のステップS1において、給送トレイ2に原稿Pがセットされると、
図1に示す原稿セットセンサSS1により原稿Pが検知される。これにより
図2に示す繰り出しローラ昇降モータM5が駆動されて揺動アーム12が
図3の破線で示す退避位置から実線で示す給送位置に回動する。そして、繰り出しローラ3が原稿Pを繰り出す給送位置に下降する。そして、給送トレイ昇降モータM4の駆動により図示しない昇降ユニットを介して、給送トレイ2を上昇させる。
【0027】
その後、給送トレイ2が所定の給送位置まで上昇すると、繰り出しローラ3は、給送トレイ2上に積載された原稿Pに当接し、給送モータM1の駆動を開始することで、繰り出しローラ3は、給送トレイ2上に積載された原稿Pを給送する。同時に、搬送モータM2の駆動を開始することで、搬送ローラ6を回転させる。
【0028】
次に、繰り出しローラ3により搬送された原稿Pの先端が、分離前原稿検知部SS3および給送ローラ4と分離部5を通過する。ステップS2において、原稿Pの先端が分離後原稿検知部SS4に到達すると、分離後原稿検知部SS4が原稿Pを検知する。
【0029】
その後、ステップS3において、繰り出しローラ昇降モータM5の駆動により揺動アーム12を
図3の破線で示す退避位置まで回動させ、繰り出しローラ3は、給送位置の上方にある退避位置に移動する。繰り出しローラ3が給送トレイ2上に積載された原稿Pから離間することで、原稿Pの搬送を停止する。
【0030】
この繰り出しローラ3を給送トレイ2上に積載された原稿Pから離間させる動作には、薄紙等の座屈し易い原稿Pを安定させて搬送させる効果がある。繰り出しローラ3の押圧力を給送トレイ2上に積載された原稿Pから解除することで、給送トレイ2上に積載された原稿Pの座屈によるループを解消することができる。
【0031】
逆に、繰り出しローラ3による搬送力の補助がなくなるため、給送ローラ4のみにより原稿Pを搬送することになる。このため、厚紙等の搬送し難い原稿Pに対する搬送不良を起こし易くなる。
【0032】
その後、ステップ4において、分離後原稿検知部SS4が原稿Pの先端を検知してから、所定時間T1以内に、搬送原稿検知部SS5が原稿Pの先端を検知する。その場合は、制御手段としてのCPU502は、正常に原稿Pが搬送できていると判断し、ステップS5に進んで、給送モータM1の駆動を停止させた後、ステップS1の動作に戻る。
【0033】
逆に、ステップS4において、分離後原稿検知部SS4が原稿Pの先端を検知してから、所定時間T1を経過しても、搬送原稿検知部SS5が原稿Pの先端を検知しない場合がある。その場合は、CPU502は、分離後原稿検知部SS4と搬送原稿検知部SS5との間で、原稿Pの搬送不良があったと判断し、ステップS6に進んで、再度、繰り出しローラ3を給送位置に下降させる。
【0034】
この時、搬送モータM2の駆動は停止させないで、搬送ローラ6を回転させた状態とする。一方、繰り出しローラ3を給送位置に下降させる際に、給送モータM1の駆動は停止させる。これにより下降した繰り出しローラ3が給送トレイ2上に積載された原稿Pに再当接する際には、繰り出しローラ3の搬送力が原稿Pに伝わらないようにしている。
【0035】
これは、繰り出しローラ3の下降動作により、繰り出しローラ3が給送トレイ2上に積載された原稿P上でバウンドする等の不安定な挙動を示している最中に不用意に原稿Pの給送動作を行うのを防ぐためである。
【0036】
その後、ステップS7に進んで、CPU502は、改めて給送モータM1の駆動を開始し、繰り出しローラ3による原稿Pの再給送を開始する。これにより給送ローラ4の搬送力に加え、繰り出しローラ3の搬送力も原稿Pに伝えることができるため原稿Pの搬送不良を解消させることができる。
【0037】
このように、本実施形態では、ステップS2において、分離後原稿検知部SS4が原稿Pの先端を検知した後、ステップS4において給送ローラ4により所定時間T1搬送(所定時間経過)しても搬送原稿検知部SS5が原稿Pの先端を検知しない場合がある。その場合は、搬送ローラ6の駆動を停止させることなく、ステップS7において繰り出しローラ3による再給送動作を行う。
【0038】
このとき、ステップS6において、繰り出しローラ3及び給送ローラ4の駆動を一旦停止させた後に、ステップS7において、改めて繰り出しローラ3による再給送動作を行う。また、ステップS3において、繰り出しローラ3を一旦、給送トレイ2上に積載された原稿Pから離間させる。その後、ステップS6において、再度、繰り出しローラ3を給送トレイ2上に積載された原稿Pに当接させて、ステップS7において繰り出しローラ3による再給送動作を行う。
【0039】
また、ステップS3において、繰り出しローラ3を一旦、給送トレイ2上に積載された原稿Pから離間させた後、ステップS6において、再度、繰り出しローラ3を給送トレイ2上に積載された原稿Pに当接させる。その後、ステップS7において、繰り出しローラ3及び給送ローラ4の駆動を開始して、繰り出しローラ3による再給送動作を行う。
【0040】
その後、ステップ8において、繰り出しローラ3が再給送動作を開始してから、所定時間T2以内に、搬送原稿検知部SS5が原稿Pの先端を検知する。その場合は、CPU502は、再給送動作により原稿Pの搬送不良が解消したと判断し、ステップS9に進んで、再度、繰り出しローラ3を給送位置上方にある退避位置に移動させ、給送モータM1の駆動を停止させた後、ステップS1の動作に戻る。
【0041】
逆に、ステップS8において、繰り出しローラ3が再給送動作を開始してから、所定時間T2を経過しても、搬送原稿検知部SS5が原稿Pの先端を検知しない場合がある。その場合は、CPU502は、再給送動作によっても原稿Pの搬送不良が解消しなかったと判断し、ステップS10に進んで、遅延JAMが発生したとして給送動作を停止する。
【0042】
なお、繰り出しローラ3の給送動作開始後には、搬送モータM2の駆動を停止させることはないため搬送ローラ6は停止することなく搬送動作を続ける。これにより、原稿Pの搬送不良に伴う搬送ローラ6の駆動開始タイミングを設定する必要がなく、搬送ローラ6の駆動開始タイミングの誤りによる原稿Pの搬送不良を防ぐことができる。
【0043】
また、繰り出しローラ3による再給送動作は、1回のみである必要はなく、再給送動作の回数を適宜増やして行っても良い。更に、分離後原稿検知部SS4および搬送原稿検知部SS5の原稿Pの先端の検知結果により行った再給送動作を、分離前原稿検知部SS3および分離後原稿検知部SS4の原稿Pの先端の検知結果によって行っても良い。また、分離前原稿検知部SS3と分離後原稿検知部SS4との原稿Pの先端の検知結果と、分離後原稿検知部SS4と搬送原稿検知部SS5との原稿Pの先端の検知結果との両方を組み合わせて繰り出しローラ3による再給送動作を行うことも可能である。
【0044】
このように、給送ローラ4の下流側に設けられた分離後原稿検知部SS4が、原稿Pの先端を検知した後に、所定時間(T1,T2)搬送しても、搬送ローラ6の下流側に設けられた搬送原稿検知部SS5が原稿Pの先端を検知しない場合がある。その場合には、給送ローラ4の下流側に設けられた搬送ローラ6の駆動を停止させることなく、繰り出しローラ3により再給送動作を行う。これにより搬送ローラ6の駆動開始タイミングによる問題を解消しつつ原稿Pの搬送不良を低減するシート給送装置1を提供することができる。
【符号の説明】
【0045】
P…原稿(シート)
SS4…分離後原稿検知部(第1のシート検知部)
SS5…搬送原稿検知部(第2のシート検知部)
1…シート給送装置
2…給送トレイ
3…繰り出しローラ
4…給送ローラ
5…分離部
6…搬送ローラ