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  • 特許-画像読取装置及び画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240105BHJP
   G03B 27/50 20060101ALI20240105BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H04N1/00 519
G03B27/50 A
G03G21/16 147
G03G21/16 152
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019205518
(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公開番号】P2021078078
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 智史
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-050705(JP,A)
【文献】実開平04-107961(JP,U)
【文献】特開2014-120864(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/024- 1/207
G06T 1/00
G03B 27/50 -27/70
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体に対して接着剤により固定され、撮像素子とコネクタが実装された第1制御基板を有し、原稿の画像を読み取る画像読取ユニットと、
前記コネクタに挿入されることで前記第1制御基板に一端部が接続され、前記第1制御基板とは異なる第2制御基板に他端部が接続され、前記第1制御基板と前記第2制御基板とを電気的に接続するケーブルであって、前記コネクタに対して前記第1制御基板の実装面と平行な挿入方向から挿入されるケーブルと、
を備え、
前記接着剤は、前記第1制御基板の外周における前記挿入方向に垂直な方向に延びる接着部と、前記筐体と、を接着するように、前記第1制御基板の前記接着部と前記筐体とが前記挿入方向において対向する位置に充填されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記コネクタは、前記第1制御基板に対して、半田により固定されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記コネクタは、前記撮像素子よりも、前記画像読取装置の背面側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記接着剤は、紫外線硬化型の接着剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取ユニットは、原稿からの光を前記撮像素子へ案内するミラーを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置によって読み取った原稿の画像をシートに形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置や、この画像読取装置を備える電子写真複写機、レーザビームプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から画像読取装置として、原稿台ガラスに原稿を載置して画像読取ユニットにより原稿の画像を読み取るリーダと、原稿トレイに積載された原稿を自動的に搬送しつつ画像読取ユニットにより原稿の画像を読み取るADFが知られている。これらに搭載される画像読取ユニットは、原稿の画像データを電気信号として出力する撮像素子やコネクタが実装された制御基板を備える。
【0003】
画像読取ユニットの撮像素子から出力される電気信号は、ケーブルを介して、画像を処理するための電子部品が実装された他の制御基板に伝送されて画像処理が行われる。ここで特許文献1では、画像読取ユニットの制御基板に実装されたコネクタに対して、制御基板の実装面に平行な方向からケーブルが挿入される構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-30032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
制御基板は、撮像素子の位置の微調整などを行った上で固定するために、画像読取ユニットの筐体に対して接着剤によって固定される場合が多い。この場合、特許文献1の構成のように、制御基板に実装されたコネクタに対して、制御基板の実装面に平行な方向からケーブルが挿入されると、次の課題が生じ得る。即ち、ケーブルをコネクタに挿入する際に制御基板に伝達される力によって制御基板が傾き、制御基板に実装された撮像素子の位置がずれて、画像の読み取り精度が悪化するおそれがある。
【0006】
そこで本発明は、画像読取ユニットの筐体に対して制御基板が接着剤により固定される画像読取装置において、制御基板に実装されたコネクタにケーブルを挿入する際に制御基板が傾くことを抑制することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る画像読取装置の代表的な構成は、筐体と、前記筐体に対して接着剤により固定され、撮像素子とコネクタが実装された第1制御基板を有し、原稿の画像を読み取る画像読取ユニットと、前記コネクタに挿入されることで前記第1制御基板に一端部が接続され、前記第1制御基板とは異なる第2制御基板に他端部が接続され、前記第1制御基板と前記第2制御基板とを電気的に接続するケーブルであって、前記コネクタに対して前記第1制御基板の実装面と平行な挿入方向から挿入されるケーブルと、を備え、前記接着剤は、前記第1制御基板の外周における前記挿入方向に垂直な方向に延びる接着部と、前記筐体と、を接着するように、前記第1制御基板の前記接着部と前記筐体とが前記挿入方向において対向する位置に充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像読取ユニットの筐体に対して制御基板が接着剤により固定される画像読取装置において、制御基板に実装されたコネクタにケーブルを挿入する際に制御基板が傾くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の断面概略図である。
図2】画像読取ユニットの斜視図である。
図3】画像読取ユニットの平面図である。
図4】画像読取ユニットの平面図である。
図5】画像読取ユニットの他の構成を示す図である。
図6】画像読取ユニットの他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<画像形成装置>
以下、本発明に係る画像読取装置を備える画像形成装置Aの全体構成に関して、画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
図1は、画像形成装置Aの断面概略図である。図1に示す様に、画像形成装置Aには、シートSに画像を形成する画像形成部211が設けられている。画像形成部211は、プロセスカートリッジ7(7Y、7M、7C、7K)、レーザスキャナユニット3、一次転写ローラ5(5Y、5M、5C、5K)、中間転写ベルト216、二次転写ローラ217、二次転写対向ローラ214、駆動ローラ215などを備える。
【0012】
プロセスカートリッジ7は、画像形成装置Aに着脱可能に構成されている。各色のプロセスカートリッジ7は、感光ドラム1(1Y、1M、1C、1K)、帯電ローラ2(2Y、2M、2C、2K)、現像ローラ4(4Y、4M、4C、4K)をそれぞれ有する。
【0013】
また画像形成装置Aの上部には、原稿の画像を読み取る画像読取装置100が設けられている。画像読取装置100は、リーダ80とADF90(:Auto Document Feeder:自動原稿搬送装置)から構成されている。リーダ80は、原稿台ガラス82に載置された原稿の画像を読み取る。ADF90は、原稿トレイ91に積載された原稿を自動的に搬送して画像を読み取る。原稿としては、普通紙や封筒等のシート、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等のプラスチックフィルム、布などが想定される。画像読取装置100の詳しい構成については後述する。
【0014】
また画像形成装置Aの背面側の枠体には、コントローラ基板25(第2制御基板)が取り付けられている。コントローラ基板25は、画像の処理や外部装置との通信、不図示の電源基板の制御等、様々な制御を行うための電子基板である。またコントローラ基板25には、画像読取装置100で読み取られた原稿の画像を画像データに変換する画像処理や、外部装置から入力される画像に基づく画像データを生成する画像処理を行う電子部品(不図示)が実装されている。この画像処理には、RGBをYMCKに変換する処理、濃度補正、倍率補正、色ずれ補正処理などが含まれる。
【0015】
また画像形成装置Aの正面側には、情報を表示や、ユーザが操作することで画像形成に関する設定を行う不図示の操作部が設けられている。なお、本実施形態において、画像形成装置Aの正面側とは、ユーザが操作部を操作する際に通常立つ側である。また画像形成装置Aの背面側とは、画像形成装置Aの正面側と反対側である。画像読取装置100の正面側、背面側も同様である。
【0016】
次に、画像形成装置Aの画像形成動作について説明する。画像をする際は、まずコントローラ基板25に実装された不図示のCPUに画像形成ジョブ信号が入力される。これによりシートカセット20に収納されたシートSがピックローラ21、給送ローラ22、搬送ローラ105によりレジストローラ240に搬送される。その後、シートSは、レジストローラ240により所定のタイミングで二次転写ローラ217と二次転写対向ローラ214から形成される二次転写部に送り込まれる。
【0017】
一方、画像形成部211においては、まず帯電ローラ2Yにより感光ドラム1Yの表面が帯電させられる。その後、画像読取装置100により読み取られた原稿の画像データに応じてレーザスキャナユニット3が感光ドラム1Yの表面にレーザ光を照射し、感光ドラム1Yの表面に静電潜像を形成する。その後、現像ローラ4Yにより感光ドラム1Yの表面に形成された静電潜像にイエローのトナーが付着されて、感光ドラム1Yの表面にイエローのトナー像が形成される。感光ドラム1Yの表面に形成されたトナー像は、一次転写ローラ5Yにバイアスが印加されることで中間転写ベルト216に一次転写される。
【0018】
同様のプロセスにより、感光ドラム1M、1C、1Kにも、マゼンダ、シアン、ブラックのトナー像が形成される。そして一次転写ローラ5M、5C、5Kにバイアスが印加されることで、これらのトナー像が中間転写ベルト216上のイエローのトナー像に対して重畳的に転写される。これにより中間転写ベルト216の表面にフルカラーの画像が形成される。
【0019】
その後、中間転写ベルト216が、駆動ローラ215から伝達された駆動力により周回移動し、フルカラーのトナー像が二次転写部に送られる。そして二次転写部において二次転写ローラ217にバイアスが印加されることで、中間転写ベルト216上のフルカラーのトナー像がシートSに転写される。
【0020】
次に、トナー像が転写されたシートSは、定着装置220に搬送され、定着装置220において加熱、加圧される定着処理が施される。これによりシートS上のトナー像がシートSに定着される。その後、画像が定着されたシートSは、排出ローラ225によって排出トレイ250に排出される。
【0021】
<画像読取装置>
次に、画像読取装置100の構成について説明する。
【0022】
図1に示す様に、リーダ80は、原稿であるシートSの画像データを光学的に読み取って電気信号に変換する画像読取ユニット81と、原稿台ガラス82と、プラテンガラス83を備える。画像読取ユニット81は、不図示の駆動部により、原稿台ガラス82の下部とプラテンガラス83の下部との間を矢印T方向に移動する。なお、コントローラ基板25に実装されたCPU(不図示)は、画像読取ユニット81の位置を、ポジションセンサ(不図示)とモータ(不図示)の回転パルス数から把握する。
【0023】
リーダ80によってシートSの画像データを読み取る場合、まずユーザは原稿台ガラス82の上にシートSを載置する。その後、画像読取ユニット81が矢印T方向に移動しながらシートSに対して光を照射し、その反射光を不図示の撮像素子によって受光し、撮像素子はシートSの画像データに応じた電気信号を出力する。このようにシートSの画像データを読み取る。なお、ADF90は、リーダ80に対して回動自在に支持されており、ADF90を回動させて上方に開放することで、ユーザは原稿台ガラス82にアクセス可能となる。
【0024】
ADF90は、原稿であるシートSを積載する原稿トレイ91と、原稿トレイ91に積載されたシートSをピックアップするピックローラ92と、ピックローラ92によりピックアップされたシートSを給送する給送ローラ93を備える。またADF90は、給送ローラ93によって給送されたシートSを搬送する搬送ローラ95(95a~95f)を備える。ピックローラ92は、不図示の移動機構によって昇降可能に構成されており、シートSをピックアップする時は下降し、原稿トレイ91に積載されたシートSに接触する。
【0025】
またADF90は、給送ローラ93に圧接してニップ部に形成し、ニップ部において給送ローラ93に給送されるシートSを一枚ずつに分離する分離ローラ94を備える。分離ローラ94の回転軸には、不図示のトルクリミッタが取り付けられている。
【0026】
またADF90は、原稿であるシートSの画像データを光学的に読み取って電気信号に変換する画像読取ユニット96を備える。画像読取ユニット96の詳しい構成については後述する。また画像読取ユニット96と対向する位置には、プラテンガラス97が設けられている。またADF90において、プラテンガラス83、97と対向する位置には、プラテンローラ98、99がそれぞれ設けられている。プラテンローラ98、99は、プラテンガラス83、97に接触して画像が読み取られているシートSが浮き上がることを抑制する。
【0027】
またADF90は、ピックローラ92や給送ローラ93を支持する開閉カバー71を備える。開閉カバー71は、ADF90の装置本体の不図示の支持軸に対して回動自在に支持されており、ADF90の装置本体に対して開いた開位置と、閉じた閉位置との間を回動する。開閉カバー71は、閉位置に位置する時にシートSの搬送路である搬送パスを形成し、開位置に位置する時に搬送パスを開放する。
【0028】
ADF90によりシートSの画像を読み取る場合、まず原稿トレイ91に積載されたシートSが、分離ローラ94によって一枚に分離されながら、ピックローラ92、給送ローラ93、搬送ローラ95a~95dによって第一読取位置まで搬送される。第一読取位置は、プラテンガラス83とプラテンローラ98との間の位置である。次に、シートSは、第一読取位置において、画像読取ユニット81により第一面の画像が読み取られる。画像読取ユニット81により読み取られた画像データは、コントローラ基板25に伝送され、上述した画像処理がなされる。
【0029】
次に、シートSは、搬送ローラ95eにより、プラテンガラス97とプラテンローラ99との間の位置である第二読取位置まで搬送される。ここでユーザからシートSの第二面の画像を読み取る指示がされている場合、第二読取位置において、画像読取ユニット96によりシートSの第二面の画像が読み取られる。画像読取ユニット96により読み取られた画像データは、コントローラ基板25に伝送されて上述した画像処理がなされる。その後、シートSは、搬送ローラ95fによって搬送され、排出ローラ72によって排出トレイ73に排出される。
【0030】
<画像読取ユニット>
次に、画像読取ユニット96の構成について説明する。
【0031】
図2は、画像読取ユニット96の斜視図である。図3は、画像読取ユニット96を図2に示す矢印K1方向から見た図である。図4は、画像読取ユニット96を図2に示す矢印K2方向から見た図である。ここで矢印K1方向は、ADF90に画像読取ユニット96が組み込まれた時に、画像読取ユニット96を画像読取装置100の正面から見る方向である。
【0032】
図2図4に示す様に、画像読取ユニット96は、ポリカボネートで形成された筐体としてのキャリッジ52と、制御基板53(第1制御基板)と、複数のLEDで構成される照明ユニット51と、不図示のミラーを備える。制御基板53の実装面53aには、撮像素子57とコネクタ55が実装されている。なお、撮像素子57は、制御基板53におけるコネクタ55が実装された面とは反対側の面に実装されている。
【0033】
制御基板53は、撮像素子57の位置を微調整した上でキャリッジ52に固定するために、複数軸で位置が調整された上で、キャリッジ52に対して紫外線硬化型の接着剤(UV接着剤)である接着剤60により固定されている。接着剤60は、撮像素子57の周囲と、制御基板53の端部に塗布されているものの、撮像素子57の周囲の接着剤60は図面上の見えない位置にあるため図示されていない。またコネクタ55は、制御基板53の実装面53aに対して半田付けで固定されている。
【0034】
画像読取ユニット96は、照明ユニット51により原稿に光を照射し、その反射光を撮像素子57が受光して、原稿の画像データに応じた電気信号を出力することで、原稿の画像を読み取る。なお、原稿から反射された反射光は、不図示のミラーにより撮像素子57まで案内される。撮像素子57により出力された電気信号は、フレキシブルフラットケーブルであるケーブル54を介して、コントローラ基板25に伝送される。その後、コントローラ基板25に実装された電子部品(不図示)により上述した画像処理が行われる。
【0035】
ケーブル54は、制御基板53に実装されたコネクタ55に対して、制御基板53の実装面53aと平行な方向(矢印K3方向)から挿入される。具体的には、ケーブル54の一端部には、コネクタ55に対応するコネクタ(不図示)が取り付けられている。ケーブル54のコネクタが、制御基板53に実装されたコネクタ55に挿入されることで、ケーブル54の一端部が制御基板53に電気的に接続される。
【0036】
またケーブル54の他端部は、コントローラ基板25に電気的に接続されている。つまりケーブル54は、制御基板53に一端部が接続され、コントローラ基板25に他端部が接続され、制御基板53とコントローラ基板25とを電気的に接続する。このように両者が接続されることで、画像読取ユニット96により読み取られた画像データの伝送だけでなく、制御基板53への電源供給なども行われる。
【0037】
なお、コネクタ55は、撮像素子57よりも画像読取装置100の背面側に配置されている。これは上述した通り、コントローラ基板25が画像形成装置Aの背面側の枠体に取り付けられているため、画像読取装置100の背面側にコネクタ55を配置することで、ケーブル54の接続位置が近くなり、ケーブル54が配線しやすくなるためである。
【0038】
ここで組み立てを行う作業者は、コネクタ55に対してケーブル54を挿入する際に、図3に示す矢印K4方向から挿入作業を行うことになる。この場合、作業者にとっては、ADF90の不図示の外装カバーが邪魔をしてコネクタ55の位置が視認し難いため、ケーブル54がコネクタ55に正常に挿入されているか、挿入途中であるかを確認できない。このため、作業者は、ケーブル54を確実にコネクタ55に挿入するために、挿入方向に大きな力(例えば5kgf)をかけることになる。この力は、コネクタ55を保持するコネクタ55にも伝達される。
【0039】
これに対して上述した通り、制御基板53はキャリッジ52に対して、ビス固定のような強固な固定方法ではなく、接着剤60により固定されている。従って、ケーブル54をコネクタ55に挿入する際に制御基板53に付与される力によって、制御基板53とキャリッジ52との接着部分がずれて、制御基板53が傾いてしまうおそれがある。即ち、コネクタ55にケーブル54が挿入される際に、制御基板53におけるコネクタ55の周囲に大きな力が付与されるため、制御基板53が上述した撮像素子57の周囲の接着剤60による固定部分を中心に図4に示す矢印R方向に回転して傾くおそれがある。このように制御基板53が傾くと、撮像素子57の位置が調整位置からずれて、画像読取ユニット96による画像の読み取り精度が悪化する。
【0040】
そこで制御基板53が傾くことを抑制するために、ケーブル54のコネクタ55に対する挿入方向(矢印K3方向)において、キャリッジ52と制御基板53とが対向する位置に接着剤60が充填される。具体的には、図4に示す様に、制御基板53において矢印K3方向でキャリッジ52と対向する接着部53bと、キャリッジ52において矢印K3方向で制御基板53と対向する接着部52aに接着剤60が塗布される。つまり制御基板53の接着部53bとキャリッジ52の接着部52aは、接着剤60を介して連結される。
【0041】
このような構成により、ケーブル54がコネクタ55に挿入される際に制御基板53に矢印K3方向の力が付与された場合でも、接着剤60とキャリッジ52によって制御基板53の移動が規制される。従って、制御基板53が傾くことが抑制され、制御基板53に実装された撮像素子57の位置がずれることが抑制されるため、画像読取ユニット96による画像の読み取り精度の悪化を抑制することができる。
【0042】
なお、本実施形態では、接着剤60として紫外線硬化型の接着剤を用いる構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、接着剤60として、例えば時間が経過することで液体から固体に変化する接着剤など、他の種類の接着剤を用いる構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
【0043】
また本実施形態では、図4に示す位置に接着剤60を充填する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、ケーブル54のコネクタ55に対する挿入方向において、制御基板53とキャリッジ52とが対向する位置に接着剤60を充填する構成であれば上記同様の効果を得ることができる。例えば、図5に示す様に、制御基板53の下端部とキャリッジ52とが対向する位置に接着剤60を充填する構成としてもよい。
【0044】
また図6に示す様に、キャリッジ52に半円型の凹部52bを形成し、制御基板53のキャリッジ52の凹部52bと対応する位置に半円型の凹部53cを形成する。そしてこれらの凹部52b、53cに接着剤60を充填する。このような構成であっても、凹部52b、53cが形成されている面における凹部52b、53cが無い部分に接着剤60が単に塗布される構成と比較して、ケーブル54がコネクタ55に挿入される際に制御基板53が傾くことを抑制しやすくなる。
【0045】
また本実施形態では、画像読取ユニット96により読み取られた画像データの画像処理を行う電子部品が実装されたコントローラ基板25を画像形成装置Aの装置本体側に設ける構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、画像読取装置100側にコントローラ基板25を設ける構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
25…コントローラ基板(第2制御基板)
52…キャリッジ(筐体)
53…制御基板(第1制御基板)
53a…実装面(第1制御基板の実装面)
54…ケーブル
55…コネクタ
57…撮像素子
60…接着剤
96…画像読取ユニット
100…画像読取装置
211…画像形成部
A…画像形成装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6