IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 寧波東誠家居用品製造有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-ボードの製造方法 図1
  • 特許-ボードの製造方法 図2
  • 特許-ボードの製造方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ボードの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27M 3/00 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B27M3/00 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019217940
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021088062
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】512227904
【氏名又は名称】寧波東誠家居用品製造有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】陳 大明
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144255(JP,A)
【文献】特開平09-029920(JP,A)
【文献】特開2000-110333(JP,A)
【文献】特開2015-199322(JP,A)
【文献】特開平06-255031(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157054(WO,A1)
【文献】実開昭51-157585(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏面にメラミン樹脂層を形成したボードを製造するにあたり、
ボード端面を切削して研磨ロールで研磨した後、表面に保護フィルムが剥離可能に貼り付けられたメラミン樹脂シートをボードの表裏面に貼り付け、その状態で上記ボード端面に塗装ロールによって塗装を行い、塗装層が安定した後、上記保護フィルムを剥離して上記ボード表裏面のメラミン樹脂層を露出させるとともに、上記ボード端面の素材を塗装層で覆うようにしたことを特徴とするボードの製造方法。
【請求項2】
上記ボード端面がボード表裏面に対して傾斜されている請求項1記載のボードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はボードの製造方法に関し、特にボード端面をボード表裏面に対して直角にもでき、傾斜させることもでき、その端面に素材が現れないようにした製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リビングテーブルやセンターテーブルなどの天板には木目の美しい鏡面ボードがよく用いられる。
【0003】
この鏡面ボードを製造する場合、天然の板材の表面にポリエステル樹脂塗料などを塗って硬化させ平滑に研磨するという作業を繰り返した後、最後にバフによって光沢研磨仕上げを行うようにした方法が知られている(特許文献1)。
【0004】
他方、中密度繊維板(以下、「MDF」という) の表面に下地塗料を塗布し、硬化後に研磨し、その上に天然木の木目模様を転写又は印刷した後、透明な仕上げ塗料を塗布し、硬化後に仕上げ研磨をして製造するようにしたボードが提案されている(特許文献2、特許文献3)。
【0005】
また、木目模様を有するメラミン樹脂シートをMDFに積層して高圧プレスすることによって、MDFの表面にメラミン樹脂層を形成し、メラミン樹脂層の上にポリウレタン樹脂塗膜を研磨・塗り重ねることによってポリウレタン樹脂の透明塗膜を形成し、このポリウレタン樹脂の透明塗膜の表面を鏡面仕上げするようにしたボードが提案されている(特許文献4)。
【0006】
これに対し、本件発明者は、MDFボードの表面にメラミン樹脂、離型剤及び艶出し剤を含むメラミン樹脂シートを重ね、該メラミン樹脂シートを鏡面加熱板によってメチロールメラミンの液化温度域のうちの設定温度に緩昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、該設定温度から緩降温することによって、ボード表面に鏡面メラミン樹脂層を形成するようにした鏡面ボードの製造方法を開発し提案するに至った(特許文献5)。
【0007】
このボードは表面の光沢度を大幅にアップできたものの、鏡面ボードの端面にはMFDボードの素材がそのまま露出しており、商品性の点で改良の余地があった。
【0008】
他方、MFDボードの端面に接着剤層によって転写層及び保護層を接着させて転写膜を形成するようにしたボードが提案されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2006-181492号公報
【文献】特開2007-111859号公報
【文献】特開2000-61392号公報
【文献】実用新案登録第3181575号公報
【文献】特開2014-213451号公報
【文献】特開2018-144255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献6記載の製造方法では端面に転写層及び保護層を押し付けて接着させる設備を必要とし、製造が煩雑になってしまう。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑み、ボード端面をボード表裏面に対して直角にもでき、傾斜させることもでき、その端面の素材が露出しないようにしたボードの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明に係るボードの製造方法は、表裏面にメラミン樹脂層を形成したボードを製造するにあたり、表面に保護フィルムが剥離可能に貼り付けられたメラミン樹脂シートをボードの表裏面に貼り付け、その状態で上記ボードの端面に塗装ロールによって塗装を行った後、上記保護フィルムを剥離して上記ボード表裏面のメラミン樹脂層を露出させるとともに、上記ボード端面の素材を塗装層で覆うようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明の特徴の1つは表面に保護フィルムを有するメラミン樹脂シートをボード表面に貼り付け、その状態でボード端面を塗装した後、保護フィルムを剥がしてメラミン樹脂層を露出させるようにした点にある。
これにより、ボード端面がボード表裏面に対して直角であっても、又傾斜していてもメラミン樹脂層が塗料によって汚れることはなく、ボード端面に見栄えよく塗装することができる結果、ボード端面のデサイン性をアップすることができる。
【0014】
ここで、保護フィルムにはメラミン樹脂シートを塗料から保護できればよく、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS樹脂などを原料とする各種フィルムを用いることができる。
【0015】
ボード表裏面にメラミン樹脂層を形成する場合、180g/m2以上のメラミン樹脂を含む厚さ0.15mm以上のメラミン樹脂シートを重ね、メラミン樹脂シートを加熱板によってメチロールメラミンの液化温度域のうちの130°C以下の設定温度に緩昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、該設定温度から緩降温することによって、ボード表面に厚さ0.1mm以上の鏡面メラミン樹脂層を形成することができる。
【0016】
例えば、メラミン樹脂シートを3.5°/分~4.5°/分の範囲内の上昇率でもって115°C~125°Cの範囲内の設定温度まで昇温し、該設定温度に所定時間保持した後、設定温度から3.5°/分~4.5°/分の範囲内の下降率でもって降温させることによって、メラミン樹脂層をボード表面に形成できる。
【0017】
また、メラミン樹脂ボードは無地であってもよいが、木目模様を形成してもよい。すなわち、メラミン樹脂シートには木目模様を形成することもできる。
【0018】
メラミン樹脂シートはメチロールメラミンを溶剤に溶かし、紙などの充填剤に含浸させたもので、このメラミン樹脂シートを加熱すると、メチロールメラミンが重縮合を起こし架橋することで熱硬化性のメラミン樹脂となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る製造方法の好ましい実施形態によって製造されたボードを示す図である。
図2】上記実施形態における工程を模式的に示す図である。
図3】上記実施形態における要部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係るボードの製造方法の好ましい実施形態を示す。図において、ボード10はMDFボード11をベースに製造され、MDFボード11の表面及び裏面には厚さ0.1mm程度のメラミン樹脂層12が形成されている。
【0021】
また、MDFボード11の端面14はボード表裏面に対して傾斜され、傾斜した端面14には塗装層15が形成されている。
【0022】
本例のボード10を製造する場合、MDF原板を所定の寸法に切断して成形した後、MDFボード11の端面全周を硬質の切削刃で切削して見栄えを整える。次に、研磨ロールによってMDFボード11の端面を研磨する。このとき、研磨ロール20の研磨面の上端及び下端にはアール加工を施すようにしてもよい。
【0023】
こうしてMDFボード11の端面の加工及び清掃が済むと、MDFボード11の表裏面及び端面をローラー研磨した後、図2の(a)に示されるように、MDFボード11の表面及び裏面にメラミン樹脂層12を形成する。すなわち、例えば200g/m2のメラミン樹脂を含有する厚さ0.15mmのメラミン樹脂シート12Aを準備し、このメラミン樹脂シート12AをMDF11の表面及び裏面に重ねる。このメラミン樹脂シート12Aの表面には保護フィルム13が貼り付けられている。
【0024】
保護フィルム13はポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ABS樹脂などを原料とするフィルムを用いることができる。
【0025】
次に、メラミン樹脂シート12Aを積層したMDF11を2枚の加熱板で上下から挟む。この加熱板には加熱冷却用の媒体を流通させるパイプなどの加熱冷却システムが設けられている。この加熱板によってメラミン樹脂シートを80°Cから加熱し始め、メラミン樹脂シート12Aのメチロールメラミンが液化する温度域のうちの低温度、例えば120°Cの設定温度まで10分かけて昇温し、この120°Cの温度に10分間保持した後、今度は10分かけて120°Cから80°Cまで降温する。
【0026】
すると、メラミン樹脂シート12Aのメチロールメラミンがゆっくりとかつ均一に液化してMDF11に貼り付き、メチロールメラミンが重縮合を起こし架橋することで熱硬化性のメラミン樹脂となるが、ゆっくりと液化させ重縮合させているので、MDFボード11のメラミン樹脂層12は均一な厚さとなる。
【0027】
こうしてMDFボード11の表裏面にメラミン樹脂層12が形成されると、保護フィル13を貼り付けた状態でMDFボード11の端面全周に塗装ロール20を用いて塗装を行い、塗装層15が安定すると、保護フィルム13を剥離すると、製品のボードを得ることができる。
【0028】
以上のように、MDFボード11の端面14がボード表裏面に対して直角であっても、又傾斜していてもメラミン樹脂層12が塗料によって汚れることはなく、ボード端面14に見栄えよく塗装することができる結果、ボード端面のデサイン性をアップすることができる。
【0029】
なお、MDFボード11の表面及び裏面に木目模様をするメラミン樹脂層12を形成することもでき、又MDFボード11の端面14の塗装層15の上に木目模様をするメラミン樹脂層を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 ボード
11 MDFボード
12 メラミン樹脂層
13 保護フィルム
15 塗装層

図1
図2
図3