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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20240105BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 101
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019222265
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2021091132
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有水 博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 禎宣
(72)【発明者】
【氏名】露木 智美
(72)【発明者】
【氏名】今橋 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 有人
(72)【発明者】
【氏名】飯島 康
(72)【発明者】
【氏名】杉村 英夫
(72)【発明者】
【氏名】堀場 崇嗣
(72)【発明者】
【氏名】藤掛 聴
(72)【発明者】
【氏名】久保田 雅彦
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-175238(JP,A)
【文献】特開2019-048439(JP,A)
【文献】特開2015-212026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0173010(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体にインクを吐出する記録手段と、
前記媒体上のミストを回収する回収手段と、
を備えた記録装置であって、
前記回収手段は、
前記媒体と対向する開口部の内側に円弧形状の内壁面を有する吸引溝と
前記吸引溝の内部に空気を供給する供給手段と、を含み、
前記供給手段は、吹出部から第1の方向に空気を吹き出すことにより前記吸引溝の内部へと空気を供給し、
前記吹出部は、前記第1の方向において前記内壁面の一部と対向する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記吸引溝を有する吸引ヘッドを備え、
前記媒体は前記記録手段及び前記吸引ヘッドに対して第の方向に移動され、
前記吸引ヘッド及び前記吸引溝は、前記第の方向と交差する第の方向に延設され、
前記吸引ヘッドは、前記第の方向の両端部のうちの少なくとも一端部に、前記吸引溝と連通した排気部を有する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置であって、
前記回収手段は、前記排気部を介して前記吸引溝内の空気を排気する排気手段を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記吹出部は、前記吸引溝の開口の縁に形成されている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項2に記載の記録装置であって、
前記吹出部は、前記第の方向に延設され、
前記吸引ヘッドは、
前記供給手段からの空気が導入される導入部と、
前記第の方向に延設され、前記導入部と前記吹出部との間の圧力室と、を含む、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項に記載の記録装置であって、
前記吸引ヘッドは、
前記圧力室と前記吹出部との間に、前記第の方向における空気の圧力分布の均一化を促進させる圧力調整部を含む、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項に記載の記録装置であって、
前記吸引ヘッドは、
前記圧力室と前記吹出部との間の通路に配置され、前記第の方向に櫛歯状に配置された複数の通路閉鎖部を含む、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項に記載の記録装置であって、
前記吸引ヘッドは、
前記圧力室と前記吹出部とを連通させる、前記第の方向に延設された多孔質体を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項1に記載の記録装置であって、
記供給手段から供給される空気を前記媒体に向けて吹き出す第の吹出部を含む、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記媒体は、循環的に回転移動する転写体であり、
前記記録手段は、前記回転移動する転写体に対してインク像を形成し、
前記記録装置は、前記記録手段によって前記転写体上に形成されたインク像を記録媒体に転写する転写手段を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項2に記載の記録装置であって、
前記吸引ヘッドは、前記第の方向で前記記録手段に隣接して配置される、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを中間転写体や紙等の媒体に吐出して画像を記録する記録装置では、媒体に着弾しない微小なインクのミストが生じ得る。また、媒体上のインクの成分が蒸発したミストも生じ得る。媒体上のこうしたミストは、インクを吐出する記録ヘッドに悪影響を与える場合がある。そこで、媒体上のミストを吸引回収する装置が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-134496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミストを回収する通路にミストが付着してミスト粒が成長すると媒体上に落下して媒体を汚す場合がある。特許文献1の装置では、回収の通路にミストが付着することを抑制するため、通路内に空気を吹き出しているが、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、ミストを回収する通路にミストが付着することを抑制する技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
媒体にインクを吐出する記録手段と、
前記媒体上のミストを回収する回収手段と、
を備えた記録装置であって、
前記回収手段は、
前記媒体と対向する開口部の内側に円弧形状の内壁面を有する吸引溝と
前記吸引溝の内部に空気を供給する供給手段と、を含み、
前記供給手段は、吹出部から第1の方向に空気を吹き出すことにより前記吸引溝の内部へと空気を供給し、
前記吹出部は、前記第1の方向において前記内壁面の一部と対向する、
ことを特徴とする記録装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ミストを回収する通路にミストが付着することを抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】記録システムの概要図。
図2】記録ユニットの斜視図。
図3図2の記録ユニットの変位態様の説明図。
図4図1の記録システムの制御系のブロック図。
図5図1の記録システムの制御系のブロック図。
図6図1の記録システムの動作例の説明図。
図7図1の記録システムの動作例の説明図。
図8】回収ユニットのブロック図。
図9】(A)及び(B)は吸引ヘッドの斜視図及び底面図。
図10図9(A)のA-A線断面図。
図11図10のB-B線断面図。
図12図10の部分拡大図。
図13】(A)は図10のC-C線断面図、(B)及び(C)は気流のシミュレーション結果を示す図。
図14】シミュレーションの条件の説明図。
図15】吸引ヘッドの別の例を示す断面図。
図16】吸引ヘッドの更に別の例を示す断面図。
図17】吸引ヘッドの更に別の例を示す断面図。
図18】吸引ヘッドの更に別の例を示す断面図。
図19】(A)及び(B)は更に別の例の吸引ヘッドの斜視図及び底面図。
図20】(A)及び(B)は回収ユニットをシリアル式記録装置に適用した例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
<記録システム>
図1は本発明の一実施形態に係る記録システム(記録装置)1を概略的に示した正面図である。記録システム1は、転写体2を介して記録媒体Pにインク像を転写することで記録物P’を製造する、枚葉式のインクジェットプリンタである。記録システム1は、記録装置1Aと、搬送装置1Bとを含む。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向が、それぞれ、記録システム1の幅方向(全長方向)、奥行き方向、高さ方向を示している。記録媒体PはX方向に搬送される。矢印XおよびYは水平方向を示し、互いに直交する。矢印Zは上下方向を示す。
【0011】
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施形態では「記録媒体」としてシート状の紙を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。
【0012】
インクの成分については、特に限定はないが、本実施形態では、色材である顔料、水、樹脂を含む水性顔料インクを用いる場合を想定する。
【0013】
<記録装置>
記録装置1Aは、記録ユニット3、転写ユニット4および周辺ユニット5A~5D、および、供給ユニット6を含む。
【0014】
<記録ユニット>
記録ユニット3は、複数の記録ヘッド30と、キャリッジ31とを含む。図1図2を参照する。図2は記録ユニット3の斜視図である。記録ヘッド30は、転写体2に液体インクを吐出し、転写体上に記録画像のインク像を形成する。
【0015】
本実施形態の場合、各記録ヘッド30は、Y方向に延設されたフルラインヘッドであり、使用可能な最大サイズの記録媒体の画像記録領域の幅分をカバーする範囲にノズルが配列されている。記録ヘッド30は、その下面に、ノズルが開口したインク吐出面を有しており、インク吐出面は、微小隙間(例えば数mm)を介して転写体2の表面と対向している。本実施形態の場合、転写体2は円軌道上を循環的に回転移動する構成であるため、複数の記録ヘッド30は、放射状に配置されている。
【0016】
各ノズルには吐出素子が設けられている。吐出素子は、例えば、ノズル内に圧力を発生させてノズル内のインクを吐出させる素子であり、公知のインクジェットプリンタのインクジェットヘッドの技術が適用可能である。吐出素子としては、例えば電気-熱変換体によりインクに膜沸騰を生じさせ気泡を形成することでインクを吐出する素子、電気-機械変換体によってインクを吐出する素子、静電気を利用してインクを吐出する素子等が挙げられる。高速で高密度の記録の観点からは電気-熱変換体を利用した吐出素子を用いることができる。
【0017】
本実施形態の場合、記録ヘッド30は、9つ設けられている。各記録ヘッド30は、互いに異なる種類のインクを吐出する。異なる種類のインクとは、例えば、色材が異なるインクであり、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク等のインクである。1つの記録ヘッド30は1種類のインクを吐出するが、1つの記録ヘッド30が複数種類のインクを吐出する構成であってもよい。このように複数の記録ヘッド30を設けた場合、そのうちの一部が色材を含まないインク(例えばクリアインク)を吐出してもよい。
【0018】
キャリッジ31は、複数の記録ヘッド30を支持する。各記録ヘッド30は、インク吐出面側の端部がキャリッジ31に固定されている。これにより、インク吐出面と転写体2との表面の隙間をより精密に維持することができる。キャリッジ31は、案内部材RLの案内によって、記録ヘッド30を搭載しつつ変位可能に構成されている。本実施形態の場合、案内部材RLは、Y方向に延設されたレール部材であり、X方向に離間して一対設けられている。キャリッジ31のX方向の各側部にはスライド部32が設けられている。スライド部32は案内部材RLと係合し、案内部材RLに沿ってY方向にスライドする。
【0019】
図3は記録ユニット3の変位態様を示しており、記録システム1の右側面を模式的に示した図である。記録システム1の後部には回復ユニット12が設けられている。回復ユニット12は記録ヘッド30の吐出性能を回復する機構を有する。そのような機構としては、例えば、記録ヘッド30のインク吐出面をキャッピングするキャップ機構、インク吐出面をワイピングするワイパ機構、インク吐出面から記録ヘッド30内のインクを負圧吸引する吸引機構を挙げることができる。
【0020】
案内部材RLは、転写体2の側方から回復ユニット12に渡って延設されている。記録ユニット3は、案内部材RLの案内により、実線で記録ユニット3を示した吐出位置POS1と、破線で記録ユニット3を示した回復位置POS3との間で変位可能であり、不図示の駆動機構により移動される。
【0021】
吐出位置POS1は、記録ユニット3が転写体2にインクを吐出する位置であり、記録ヘッド30のインク吐出面が転写体2の表面に対向する位置である。回復位置POS3は、吐出位置POS1から退避した位置であり、記録ユニット3が回復ユニット12上に位置する位置である。回復ユニット12は記録ユニット3が回復位置POS3に位置した場合に、記録ヘッド30に対する回復処理を実行可能である。本実施形態の場合、記録ユニット3が回復位置POS3に到達する前の移動途中においても回復処理を実行可能である。吐出位置POS1と回復位置POS3の間には予備回復位置POS2があり、回復ユニット12は記録ヘッド30が吐出位置POS1から回復位置POS3へ移動している間に、予備回復位置POS2において記録ヘッド30に対する予備的な回復処理を実行可能である。
【0022】
<転写ユニット>
図1を参照して転写ユニット4について説明する。転写ユニット4は、転写ドラム(転写胴)41と圧胴42とを含む。これらの胴は、Y方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。図1において、転写ドラム41および圧胴42の各図形内に示した矢印は、これらの回転方向を示しており、転写ドラム41は時計回りに、圧胴42は反時計回りに回転する。
【0023】
転写ドラム41は、その外周面に転写体2を支持する支持体である。転写体2の表面はインク像が形成される転写部を形成する。転写体2は、転写ドラム41の外周面上に、周方向に連続的にあるいは間欠的に設けられる。連続的に設けられる場合、転写体2は無端の帯状に形成される。間欠的に設けられる場合、転写体2は、有端の帯状に複数のセグメントに分けて形成され、各セグメントは転写ドラム41の外周面に等ピッチで円弧状に配置することができる。
【0024】
転写ドラム41の回転により、転写体2は円軌道上を循環的に移動する。転写ドラム41の回転位相により、転写体2の位置は、吐出前処理領域R1、吐出領域R2、吐出後処理領域R3およびR4、転写領域R5、転写後処理領域R6に区別することができる。転写体2はこれらの領域を循環的に通過する。
【0025】
吐出前処理領域R1は、記録ユニット3によるインクの吐出前に転写体2に対する前処理を行う領域であり、周辺ユニット5Aによる処理が行われる領域である。本実施形態の場合、反応液が付与される。吐出領域R2は記録ユニット3が転写体2にインクを吐出してインク像を形成する形成領域である。吐出後処理領域R3およびR4はインクの吐出後にインク像に対する処理を行う処理領域であり、吐出後処理領域R3は周辺ユニット5Bによる処理が行われる領域であり、吐出後処理領域R4は周辺ユニット5Cによる処理が行われる領域である。転写領域R5は転写ユニット4により転写体2上のインク像が記録媒体Pに転写される転写動作が行われる領域である。転写後処理領域R6は、転写後に転写体2に対する後処理を行う領域であり、周辺ユニット5Dによる処理が行われる領域である。
【0026】
本実施形態の場合、吐出領域R2は、一定の区間を有する領域である。他の領域R1、R3~R6は、吐出領域R2に比べるとその区間は狭い。時計の文字盤に喩えると、本実施形態の場合、吐出前処理領域R1は概ね10時の位置であり、吐出領域R2は概ね11時から1時の範囲であり、吐出後処理領域R3は概ね2時の位置であり、吐出後処理領域R4は概ね4時の位置である。転写領域R5は概ね6時の位置であり、転写後処理領域R6は概ね8時の領域である。
【0027】
転写体2は、単層から構成してもよいが、複数層の積層体としてもよい。複数層で構成する場合、例えば、表面層、弾性層、圧縮層の三層を含んでもよい。表面層はインク像が形成される画像形成面を有する最外層である。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速記録時においても転写性を維持することができる。弾性層は表面層と圧縮層との間の層である。
【0028】
表面層の材料としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料を用いることができる。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。表面層には、反応液の濡れ性、画像の転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。
【0029】
圧縮層の材料としては、例えばアクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。このようなゴム材料の成形時には、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し、多孔質のゴム材料としてもよい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがあるが、いずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。
【0030】
弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料を用いることができる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。また、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で有利である。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも有利である。
【0031】
表面層と弾性層の間、弾性層と圧縮層の間には、これらを固定するために各種接着剤や両面テープを用いることもできる。また、転写体2は、転写ドラム41に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を含んでもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体2は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。
【0032】
圧胴42は、その外周面が転写体2に圧接される。圧胴42の外周面には、記録媒体Pの先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。グリップ機構は圧胴42の周方向に離間して複数設けてもよい。記録媒体Pは圧胴42の外周面に密接して搬送されつつ、圧胴42と転写体2とのニップ部を通過するときに、転写体2上のインク像が転写される。
【0033】
転写ドラム41と圧胴42とを回転駆動するモータ等の駆動源は、これらに共通とし、歯車機構等の伝達機構により、駆動力を分配することができる。
【0034】
<周辺ユニット>
周辺ユニット5A~5Dは転写ドラム41の周囲に配置されている。本実施形態の場合、周辺ユニット5A~5Dは、順に、付与ユニット、吸収ユニット、加熱ユニット、清掃ユニットである。
【0035】
付与ユニット5Aは、記録ユニット3によるインクの吐出前に、転写体2上に反応液を付与する機構である。反応液は、インクを高粘度化する成分を含有する液体である。ここで、インクの高粘度化とは、インクを構成している色材や樹脂等がインクを高粘度化する成分と接触することによって化学的に反応し、あるいは物理的に吸着し、これによってインクの粘度の上昇が認められることである。このインクの高粘度化には、インク全体の粘度上昇が認められる場合のみならず、色材や樹脂等のインクを構成する成分の一部が凝集することにより局所的に粘度の上昇が生じる場合も含まれる。
【0036】
インクを高粘度化する成分は、金属イオン、高分子凝集剤など、特に制限はないが、インクのpH変化を引き起こして、インク中の色材を凝集させる物質を用いることができ、有機酸を用いることができる。反応液の付与機構としては、例えば、ローラ、記録ヘッド、ダイコーティング装置(ダイコータ)、ブレードコーティング装置(ブレードコータ)などが挙げられる。転写体2に対するインクの吐出前に反応液を転写体2に付与しておくと、転写体2に達したインクを直ちに定着させることができる。これにより、隣接するインク同士が混ざり合うブリーディングを抑制することができる。
【0037】
吸収ユニット5Bは、転写動作前に、転写体2上のインク像から液体成分を吸収する機構である。インク像の液体成分を減少させることで、記録媒体Pに記録される画像のにじみ等を抑制することができる。液体成分の減少を異なる視点で説明すれば、転写体2上のインク像を構成するインクを濃縮すると表現することもできる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。
【0038】
吸収ユニット5Bは、例えば、インク像に接触してインク像の液体成分の量を減少させる液吸収部材を含む。インク像の保護の点で、液吸収部材の移動速度を転写体2の周速度と同じにして液吸収部材を転写体2と同期して移動させることができる。
【0039】
液吸収部材は、インク像に接触する多孔質体を含んでもよい。液吸収部材へのインク固形分付着を抑制するため、インク像に接触する面の多孔質体の孔径は、10μm以下であってもよい。ここで、孔径とは平均直径のことを示し、公知の手段、例えば水銀圧入法や、窒素吸着法、SEM画像観察等で測定可能である。なお、液体成分は、一定の形を有さず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる 。
【0040】
加熱ユニット5Cは、転写動作前に、転写体2上のインク像を加熱する機構である。インク像を加熱することで、インク像中の樹脂が溶融し、記録媒体Pへの転写性を向上する。加熱温度は、樹脂の最低造膜温度(MFT)以上とすることができる。MFTは一般的に知られている手法、例えばJIS K 6828-2:2003や、ISO2115:1996に準拠した各装置で測定することが可能である。転写性及び画像の堅牢性の観点から、MFTよりも10℃以上高い温度で加熱してもよく、更に、20℃以上高い温度で加熱してもよい。加熱ユニット5Cは、例えば、赤外線等の各種ランプ、温風ファン等、公知の加熱デバイスを用いることができる。加熱効率の点で、赤外線ヒータを用いることができる。
【0041】
清掃ユニット5Dは、転写後に転写体2上を清掃する機構である。清掃ユニット5Dは、転写体2上に残留したインクや、転写体2上のごみ等を除去する。清掃ユニット5Dは、例えば、多孔質部材を転写体2に接触させる方式、ブラシで転写体2の表面を擦る方式、ブレードで転写体2の表面をかきとる方式等の公知の方式を適宜用いることができる。また、清掃に用いる清掃部材は、ローラ形状、ウェブ形状等、公知の形状を用いることができる。
【0042】
以上の通り、本実施形態では、付与ユニット5A、吸収ユニット5B、加熱ユニット5C、清掃ユニット5Dを周辺ユニットとして備えるが、これらの一部のユニットに転写体2の冷却機能を付与するか、あるいは、冷却ユニットを追加してもよい。本実施形態では、加熱ユニット5Cの熱により転写体2の温度が上昇する場合がある。記録ユニット3により転写体2にインクを吐出した後、インク像がインクの主溶剤である水の沸点を超えると、吸収ユニット5Bによる液体成分の吸収性能が低下する場合がある。吐出されたインクが水の沸点未満に維持されるように転写体2を冷却することで、液体成分の吸収性能を維持することができる。
【0043】
冷却ユニットは、転写体2に送風する送風機構や、転写体2に部材(例えばローラ)を接触させ、この部材を空冷または水冷で冷却する機構であってもよい。また、清掃ユニット5Dの清掃部材を冷却する機構であってもよい。冷却タイミングは、転写後、反応液の付与前までの期間であってもよい。
【0044】
<供給ユニット>
供給ユニット6は、記録ユニット3の各記録ヘッド30にインクを供給する機構である。供給ユニット6は記録システム1の後部側に設けられていてもよい。供給ユニット6は、インクの種類毎に、インクを貯留する貯留部TKを備える。貯留部TKは、メインタンクとサブタンクとによって構成されてもよい。各貯留部TKと各記録ヘッド30とは流路6aで連通し、貯留部TKから記録ヘッド30へインクが供給される。流路6aは、貯留部TKと記録ヘッド30との間でインクを循環させる流路であってもよく、供給ユニット6はインクを循環させるポンプ等を備えてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インク中の気泡を脱気する脱気機構を設けてもよい。流路6aの途中または貯留部TKには、インクの液圧と大気圧との調整を行うバルブを設けてもよい。貯留部TK内のインク液面が、記録ヘッド30のインク吐出面よりも低い位置となるように、貯留部TKと記録ヘッド30のZ方向の高さが設計されてもよい。
【0045】
<搬送装置>
搬送装置1Bは、記録媒体Pを転写ユニット4へ給送し、インク像が転写された記録物P’を転写ユニット4から排出する装置である。搬送装置1Bは、給送ユニット7、複数の搬送胴8、8a、二つのスプロケット8b、チェーン8cおよび回収ユニット8dを含む。図1において、搬送装置1Bの各構成の図形の内側の矢印はその構成の回転方向を示し、外側の矢印は記録媒体Pまたは記録物P’の搬送経路を示している。記録媒体Pは給送ユニット7から転写ユニット4へ搬送され、記録物P’は転写ユニット4から回収ユニット8dへ搬送される。給送ユニット7側を搬送方向で上流側と呼び、回収ユニット8d側を下流側と呼ぶ場合がある。
【0046】
給送ユニット7は、複数の記録媒体Pが積載される積載部を含むと共に、積載部から一枚ずつ記録媒体Pを、最上流の搬送胴8に給送する給送機構を含む。各搬送胴8、8aはY方向の回転軸周りに回転する回転体であり、円筒形状の外周面を有している。各搬送胴8、8aの外周面には、記録媒体P(または記録物P’)の先端部を保持するグリップ機構が少なくとも一つ設けられている。各グリップ機構は、隣接する搬送胴間で記録媒体Pを受け渡されるように、その把持動作および解除動作が制御される。
【0047】
二つの搬送胴8aは、記録媒体Pの反転用の搬送胴である。記録媒体Pを両面記録する場合、表面への転写後に、圧胴42から下流側に隣接する搬送胴8へ記録媒体Pを渡さずに、搬送胴8aに渡す。記録媒体Pは、二つの搬送胴8aを経由して表裏が反転され、圧胴42の上流側の搬送胴8を経由して再び圧胴42へ渡される。これにより、記録媒体Pの裏面が転写ドラム41に面することになり、裏面にインク像が転写される。
【0048】
チェーン8cは、二つのスプロケット8b間に巻き回されている。二つのスプロケット8bの一方は駆動スプロケットであり他方は従動スプロケットである。駆動スプロケットの回転によりチェーン8cが循環的に走行する。チェーン8cには、その長手方向に離間して複数のグリップ機構が設けられている。グリップ機構は、記録物P’の端部を把持する。下流端に位置する搬送胴8からチェーン8cのグリップ機構に記録物P’が渡され、グリップ機構に把持された記録物P’はチェーン8cの走行により回収ユニット8dへ搬送され、把持が解除される。これにより記録物P’が回収ユニット8d内に積載される。
【0049】
<後処理ユニット>
搬送装置1Bには、後処理ユニット10A、10Bが設けられている。後処理ユニット10A、10Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’に対して後処理を行う機構である。後処理ユニット10Aは、記録物P’の表面に対する処理を行い、後処理ユニット10Bは、記録物P’の裏面に対する処理を行う。処理の内容としては、例えば、記録物P’の画像記録面に、画像の保護や艶出し等を目的としたコーティングを挙げることができる。コーティングの内容としては、例えば、液体の塗布、シートの溶着、ラミネート等を挙げることができる。
【0050】
<検査ユニット>
搬送装置1Bには、検査ユニット9A、9Bが設けられている。検査ユニット9A、9Bは転写ユニット4よりも下流側に配置され、記録物P’の検査を行う機構である。
【0051】
本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Aは、連続的に行われる記録動作中に、記録画像を撮影する。検査ユニット9Aが撮影した画像に基づいて、記録画像の色味などの経時変化を確認し、画像データあるいは記録データの補正の可否を判断することができる。本実施形態の場合、検査ユニット9Aは、圧胴42の外周面に撮像範囲が設定されており、転写直後の記録画像を部分的に撮影可能に配置されている。検査ユニット9Aにより全ての記録画像の検査を行ってもよいし、所定数毎に検査を行ってもよい。
【0052】
本実施形態の場合、検査ユニット9Bも、記録物P’に記録された画像を撮影する撮影装置であり、例えば、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子を含む。検査ユニット9Bは、テスト記録動作において記録画像を撮影する。検査ユニット9Bは、記録画像の全体を撮影し、検査ユニット9Bが撮影した画像に基づいて、記録データに関する各種の補正の基本設定を行うことができる。本実施形態の場合、チェーン8cで搬送される記録物P’を撮影する位置に配置されている。検査ユニット9Bにより記録画像を撮影する場合、チェーン8cの走行を一時的に停止して、その全体を撮影する。検査ユニット9Bは、記録物P’上を走査するスキャナであってもよい。
【0053】
<制御ユニット>
次に、記録システム1の制御ユニットについて説明する。図4および図5は記録システム1の制御ユニット13のブロック図である。制御ユニット13は、上位装置(DFE)HC2に通信可能に接続され、また、上位装置HC2はホスト装置HC1に通信可能に接続される。
【0054】
ホスト装置HC1では、記録画像の元になる原稿データが生成、あるいは保存される。ここでの原稿データは、例えば、文書ファイルや画像ファイル等の電子ファイルの形式で生成される。この原稿データは、上位装置HC2へ送信され、上位装置HC2では、受信した原稿データを制御ユニット13で利用可能なデータ形式(例えば、RGBで画像を表現するRGBデータ)に変換する。変換後のデータは、画像データとして上位装置HC2から制御ユニット13へ送信され、制御ユニット13は受信した画像データに基づき、記録動作を開始する。
【0055】
本実施形態の場合、制御ユニット13は、メインコントローラ13Aと、エンジンコントローラ13Bとに大別される。メインコントローラ13Aは、処理部131、記憶部132、操作部133、画像処理部134、通信I/F(インタフェース)135、バッファ136および通信I/F137を含む。
【0056】
処理部131は、CPU等のプロセッサであり、記憶部132に記憶されたプログラムを実行し、メインコントローラ13A全体の制御を行う。記憶部132は、RAM、ROM、ハードディスク、SSD等の記憶デバイスであり、CPU131が実行するプログラムや、データを格納し、また、CPU131にワークエリアを提供する。操作部133は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力デバイスであり、ユーザの指示を受け付ける。
【0057】
画像処理部134は例えば画像処理プロセッサを有する電子回路である。バッファ136は、例えば、RAM、ハードディスクやSSDである。通信I/F135は上位装置HC2との通信を行い、通信I/F137はエンジンコントローラ13Bとの通信を行う。図4において破線矢印は、画像データの処理の流れを例示している。上位装置HC2から通信IF135を介して受信された画像データは、バッファ136に蓄積される。画像処理部134はバッファ136から画像データを読み出し、読み出した画像データに所定の画像処理を施して、再びバッファ136に格納する。バッファ136に格納された画像処理後の画像データは、プリントエンジンが用いる記録データとして、通信I/F137からエンジンコントローラ13Bへ送信される。
【0058】
図5に示すように、エンジンコントローラ13Bは、制御部14、15A~15Eを含み、記録システム1が備えるセンサ群およびアクチュエータ群16の検知結果の取得および駆動制御を行う。これらの各制御部は、CPU等のプロセッサ、RAMやROM等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェースを含む。なお、制御部の区分けは一例であり、一部の制御を更に細分化した複数の制御部で実行してもよいし、逆に、複数の制御部を統合して、それらの制御内容を一つの制御部で行うように構成してもよい。
【0059】
エンジン制御部14は、エンジンコントローラ13Bの全体の制御を行う。記録制御部15Aは、メインコントローラ13Aから受信した記録データをラスタデータ等、記録ヘッド30の駆動に適したデータ形式に変換する。記録制御部15Aは、各記録ヘッド30の吐出制御を行う。
【0060】
転写制御部15Bは、付与ユニット5Aの制御、吸収ユニット5Bの制御、加熱ユニット5Cの制御、および清掃ユニット5Dの制御を行う。
【0061】
信頼性制御部15Cは、供給ユニット6の制御、回復ユニット12の制御、および記録ユニット3を吐出位置POS1と回復位置POS3との間で移動させる駆動機構の制御を行う。
【0062】
搬送制御部15Dは、転写ユニット4の駆動制御や、搬送装置1Bの制御を行う。検査制御部15Eは、検査ユニット9Bの制御、および検査ユニット9Aの制御を行う。
【0063】
センサ群およびアクチュエータ群16のうち、センサ群には、可動部の位置や速度を検知するセンサ、温度を検知するセンサ、撮像素子等が含まれる。アクチュエータ群にはモータ、電磁ソレノイド、電磁バルブ等が含まれる。
【0064】
<動作例>
図6は記録動作の例を模式的に示す図である。転写ドラム41および圧胴42が回転されつつ、以下の各工程が循環的に行われる。状態ST1に示すように、始めに転写体2上に付与ユニット5Aから反応液Lが付与される。転写体2上の反応液Lが付与された部位は転写ドラム41の回転に伴って移動していく。反応液Lが付与された部位が記録ヘッド30の下に到達すると、状態ST2に示すように記録ヘッド30から転写体2にインクが吐出される。これによりインク像IMが形成される。その際、吐出されるインクが転写体2上の反応液Lと混ざりあうことで、色材の凝集が促進される。吐出されるインクは、供給ユニット6の貯留部TKから記録ヘッド30に供給される。
【0065】
転写体2上のインク像IMは転写体2の回転に伴って移動していく。インク像IMが吸収ユニット5Bに到達すると状態ST3に示すように吸収ユニット5Bによりインク像IMから液体成分が吸収される。インク像IMが加熱ユニット5Cに到達すると状態ST4に示すように加熱ユニット5Cによりインク像IMが加熱され、インク像IM中の樹脂が溶融し、インク像IMが造膜される。このようなインク像IMの形成に同期して、搬送装置1Bにより記録媒体Pが搬送される。
【0066】
状態ST5に示すように、インク像IMと記録媒体Pとが転写体2と圧胴42とのニップ部に到達し、記録媒体Pにインク像IMが転写され、記録物P’が製造される。ニップ部を通過すると、記録物P’に記録された画像が検査ユニット9Aにより撮影され、記録画像が検査される。記録物P’は搬送装置1Bにより回収ユニット8dへ搬送される。
【0067】
転写体2上のインク像IMが形成されていた部分は、清掃ユニット5Dに到達すると状態ST6に示すように清掃ユニット5Dにより清掃される。清掃後、転写体2は一回転したことになり、同様の手順で記録媒体Pへのインク像の転写が繰り返し行われる。上記の説明では理解を容易にするために、転写体2の一回転で一枚の記録媒体Pへのインク像IMの転写が一回行われるように説明したが、転写体2の一回転で複数枚の記録媒体Pへのインク像IMの転写が連続的に行うことができる。
【0068】
このような記録動作を継続していくと、各記録ヘッド30のメンテナンスが必要となる。図7は各記録ヘッド30のメンテナンスの際の動作例を示している。状態ST11は、吐出位置POS1に記録ユニット3が位置している状態を示す。状態ST12は、記録ユニット3が予備回復位置POS2を通過している状態を示し、通過中に回復ユニット12により記録ユニット3の各記録ヘッド30の吐出性能を回復する処理が実行される。その後、状態ST13に示すように、記録ユニット3が回復位置POS3に位置した状態で、回復ユニット12により各記録ヘッド30の吐出性能を回復する処理が実行される。
【0069】
<回収ユニット>
次に、ミストの回収ユニットについて説明する。記録ヘッド30が転写体2に吐出すると、転写体2に着弾しない微小なインク(インクミスト)や、転写体2上のインクから蒸発して発生した水蒸気が周囲の気流によって巻き上げられる場合がある。こうしたミストが記録ヘッド30に大量に付着すると記録ヘッド30のインク吐出性能を低下させる場合がある。そこで、本実施形態の記録システム1は転写体2上のミストを吸引して回収する回収ユニットを設けている。図8は回収ユニット100のブロック図である。
【0070】
回収ユニット100は、複数の吸引ヘッド21と、各吸引ヘッド21へ空気を供給する供給ユニット22と、各吸引ヘッド21から空気を排気する排気ユニット23と、フィルタ24とを含む。
【0071】
吸引ヘッド21は、転写体2上のミストを吸い上げる部分である。図1は各吸引ヘッド21の配置を示している。本実施形態の場合、吸引ヘッド21は転写ドラム41の周方向で記録ヘッド30に隣接して配置されている。具体的に言えば、転写ドラム41の周方向で、隣接する記録ヘッド30の間と、両端部に位置する記録ヘッド30の各外側とに配置されている。
【0072】
供給ユニット22は、配管20aを介して各吸引ヘッド21へ圧縮空気を供給する機構である。供給ユニット22は、ポンプ等の圧力源22aと、圧力源22aから圧送される空気の流量を調節する流量調節弁22bとを含み、配管20aは流量調整弁22bに接続されている。流量調節弁22bにより、吸引ヘッド21から吹き出す空気の圧力と量を調節することができる。
【0073】
排気ユニット23は、配管20bを介して各吸引ヘッド21から空気(ミスト)を排気する機構である。排気ユニット23は、ポンプ等の圧力源23aと、圧力源23aによって排気する空気の流量を調節する流量調節弁23bとを含み、配管20bはフィルタ24を介して流量調整弁23bに接続されている。流量調節弁22bにより、吸引ヘッド21から吸引する空気の圧力と量を調節することができる。フィルタ24は排気される空気中のミストを除去するために設けられている。各吸引ヘッド21から配管20bを介して吸引排気される空気中のミストが圧力源23aに到達して圧力源23aに影響を与えることを防止する。
【0074】
供給ユニット22及び排気ユニット23の駆動制御は、例えば、記録制御部15Aが行い、記録動作中、常時駆動される。
【0075】
吸引ヘッド21の詳細について説明する。図9(A)は吸引ヘッド21の斜視図、図9(B)は吸引ヘッド21の底面図である。図中、矢印X’は転写ドラム41の周方向で、転写体2の移動方向を示す。転写体2の移動方向において、移動先の側(矢印の指し示す方向)を下流側と呼び、反対側を上流側と呼ぶ場合がある。矢印Z’は転写ドラム41の径方向で外向き方向を示す。
【0076】
吸引ヘッド21は、中空の本体210を備える。本体210はその外形が略直方体であり、X’方向と交差する方向(本実施形態ではY方向でありX’方向と直交する方向。)に延びる長片状の部材である。本体210は、転写体2と対向する底面210aと、Y方向の端部210b、210bとを備える。各端部210bには、配管20aが接続され、供給ユニット22からの空気が導入される導入部211と、配管20bが接続される排気部212とがそれぞれZ’方向に離間して形成されている。本実施形態では、本体210の両端部210b、210bにそれぞれ導入部211及び排気部212を設けたが、一方の端部210bのみに導入部211及び排気部212を設けてもよい。また、一方の端部210bに導入部211を設け、他方の端部210bに排気部212を設けてもよい。
【0077】
本体210は、吸引溝213を備える。吸引溝213は底面210aに開口した開口部213aを備える。言い換えると、開口部213aは転写体2に対向して開口している。吸引溝213は、X’方向と交差する方向(本実施形態ではY方向。)に延設され、その延設方向の長さは転写体2のY方向の幅以上である。換言すると、吸引溝213は転写体2をY方向の全域を覆う、或いは、記録ヘッド30のY方向の記録領域の全域を覆う長さを有している。本実施形態の場合、吸引溝213は一本の溝であるが、Y方向に複数本の溝に分割されていてもよい。
【0078】
吸引溝213は、Y方向の各端部において排気部212と連通している。排気ユニット23が排気部212を介して空気を吸引排気すると、転写体2上のミストが開口部213aから吸引溝213内に吸引され、排気部212を介して吸引溝213から排出される。なお、本実施形態では、吸引溝213の端部と排気部212とを連通させたが、排気部212は吸引溝213のY方向の途中部位において吸引溝213と連通する構成でもよい。
【0079】
吸引溝213の、X’方向の一方の縁には後述する吹出部214aを有するノズル214が設けられている。また、底面210aには吹出部215が形成されている。ノズル214(及び吹出部214a)及び吹出部215は、Y方向に延設され、その延設長さは吸引溝213と同じである。本実施形態の吹出部214a及び吹出部215は、いずれもY方向に延設された一本の開口であるが、Y方向に並んだ複数の開口であってもよい。
【0080】
図10図12も参照して吸引ヘッド21の構造を更に説明する。図10図9(A)のA-A線断面図であり、図中の破線矢印は空気の流れを模式的に示している。図11図10のB-B線断面図である。図12図10の部分拡大図であり、吸引溝213の部分を拡大して示している。
【0081】
本体210のZ’方向の一端部(転写体2の側)に吸引溝213が形成され、他端部(Z’方向の反対側)に圧力室(圧力バッファ室)216が形成されている。
【0082】
圧力室216はY方向に延設された本体210の内部空間であり、そのY方向の両端部においてそれぞれ導入部211と連通している。吹出部214aは通路214bを介して圧力室216と連通し、吹出部215は通路215aを介して圧力室216と連通する。通路214b及び215aは、いずれも、圧力室216から底面210aの側へ延び、かつ、Y方向に延びる、薄い直方体形状の通路である。吹出部214aはノズル214の端部に開口した孔であり、吹出部215は底面210aに開口した孔である。本実施形態の吹出部214a及び吹出部215は、いずれもY方向に延設された一本のスリット状或いはスロット状の孔であるが、Y方向に並んだ複数の孔であってもよい。
【0083】
供給ユニット22から圧送される空気は、まず、圧力室216に導入される。圧力室216に導入された空気は、通路214bを通ってノズル214の吹出部214aから吸引溝213内に吹き出される。また、圧力室216に導入された空気は、通路215aを通って吹出部215から転写体2に吹き出される。本実施形態では、X’方向で吸引溝213よりも下流側の部位で、吹出部215から転写体2に空気が吹き出されるため、転写体2上のミストを吸引溝213へ促し、ミストがX’方向で下流側に流出することを防止することができる。なお、吹出部215の吹出し方向は、本実施形態の場合、X’方向と直交する方向であるが、直交しない方向であってもよく、X’方向と交差する方向であればよい。
【0084】
吹出部214a及び吹出部215から吹き出される空気のY方向の圧力分布を均一化する圧力調整部として、通路214b及び通路215aの圧力室216側の端部には、複数の通路閉鎖部217が設けられている。複数の通路閉鎖部217は、Y方向に櫛歯状に配置されており、通路214b及び通路215aを部分的に閉鎖する。通路214b及び通路215aの圧力室216側の端部は、通路閉鎖部217によってY方向に並んだ複数のスロットを形成する。このため、圧力室216から通路214b又は通路215aに進入する空気がY方向の特定の部位に偏ることを防止できる。
【0085】
吸引溝213は、本実施形態の場合、開口部213aのX’方向の一方の縁から他方の縁へ渡って内壁面213bが形成された有底の溝である。特に本実施形態の場合、開口部213aのX’方向の幅よりも、吸引溝213の内部の幅の方が広い袋状の溝である。内壁面213bの断面形状(換言すると断面輪郭形状)は、本実施形態の場合、半径Rの円弧形状を有している。しかし、楕円弧形状等、他の弧形状であってもよい。また、内壁面213bの断面形状は、後述する旋回流の生成との関係で全部が弧形状であると有利であるが、少なくとも一部が弧形状であってもよく、或いは、多角形状であってもよい。
【0086】
吹出部214aの空気の吹出方向は、内壁面213bに指向している。これにより吸引溝213の内部に、内壁面213bに沿った旋回流を生じさせることができ、吸引されるミスト中に含まれるインク等が内壁面213bに付着することを抑制することができる。特に、インク等が付着しやすい吸引溝213の入り口付近においてその付着を抑制することができる。吹出部214aは開口部213aのX’方向の一方の縁に位置しているので、吹き出された空気が、内壁面213bに沿ってより長い距離を流れるため、旋回流をより確実に生じさせることができる。また、吹出部214aは、ノズル214のうち、転写体2に対向する部位と反対側の部位に形成されているので、ノズル214の他の部位が壁となって吹出部214aにミスト等が付着することも防止できる。
【0087】
図12を参照して、吹出部214aの吹出方向の設計例についてより具体的に更に説明する。交線CP1(図面上は点)は、内壁面213bの端縁である。仮想面L1は交線CPにおける内壁面213bの接面(図面上は接線)である。仮想面L2は仮想面L1と並行で吹出部214aの中心を通る面である。仮想面L3は吹出部214aの中心を通り、かつ、仮想面L2に対して角度θ1だけ傾斜した面である。交線CP2(図面上は点)は、仮想面L3と内壁面213bとの交線(図面上は点)である。
【0088】
吹出部214aから吹き出す空気は、内壁面213bに指向しているため、内壁面213bに接するが、接する範囲が小さい方が旋回流の発生の点で有利である。図12の例の場合、交線CP1から交線CP2までの区間SCにおいて、吹出部214aから吹き出す空気が内壁面213bと接する。角度θ1は例えば45度以下であり、或いは、30度以下である。また、面L3上で、吹出部214aの中心から交線CP2までの距離をL4とすると、L4<√(2×R)である。
【0089】
以上の構成を備えた吸引ヘッド21の作用について説明する。まず、吹出部215から空気を吹き出すことによりミストを含んだ空気がX’方向で下流側へ流出することが防止される。吹出部215から吹き出した気流によりミストを含む空気は吸引溝213に吸引され、排気部212から排気される。図13(A)は図10のC-C線断面図であり、実線矢印は気流の方向を模式的に示す。ノズル214の吹出部214aから吹き出された空気は、内壁面213bに沿って旋回し(コアンダ効果)、内壁面213b上に膜状或いは層状の空気流を形成する。開口部213aから吸引溝213に吸引されたミストを含む空気が、内壁面213bと接触することを抑制する。これにより、ミストによって内壁面213bが汚染されることを防止し、メンテナンス頻度を下げることができる。吸引溝213の内部には排気部212に向かう螺旋状の旋回流が形成され、ミストを含む空気は排気部212から排気される。
【0090】
図13(B)及び図13(C)は、吸引溝213周辺のミストの気流(流線)RLのシミュレーションの例を示している。図示の例では、記録ヘッド30と吸引ヘッド21との間にスペーサSCが挿入されている。スペーサSCは省略することも可能である。図14はシミュレーションにおける吸引溝213の内部の気流の状態を模式的に示す図であり、図10のC-C線断面図に相当する。図示の例では排気部212は本体210のY方向の一端部のみに設けている。
【0091】
また、吹出部214aは、Y方向に配列された複数の孔(破線で示す)であり、その吹出方向をY方向に傾けている。このように吹出方向をY方向に傾けてもよく、この場合、図示の例のように排気部212の側へ指向するように傾けてもよい。排気部212を本体210のY方向の両端部に設けた構成においては、2つの排気部212のうち、その吹出部214aから近い排気部212の側へ吹出方向が指向するように傾けてもよい。なお、吹出部214aを図9(B)の例のようにY方向に延びる一本の開口として構成した場合であっても、その内部に整流板を設けることで、吹出方向をY方向に傾けることが可能である。
【0092】
吹出部214aの各孔から吹き出す空気の流速は、X’方向の成分が1.0m/s、Z’方向の成分が1.0m/sを、Y方向の成分が0.3m/sである。吹出部215のX’方向の幅が0.5mmであり、吹き出す空気の流速は2.0m/sである。図13(B)及び図13(C)から、吸引溝内においてミストの流線RLが排気部212に向かう螺旋状の旋回流を形成していることが分かる。また、ミストが内壁面213bから離間して流れていることが分かる。
【0093】
以上のとおり、本実施形態では、ミストを回収する通路、特に吸引溝213にミストが付着することを抑制する技術を提供することができる。吸引ヘッド21内の空気の通路数は比較的少なく、その製造上のメリットや、必要な空気量の削減にも寄与する。吸引ヘッド21のメンテナンスとして、その内部を洗浄する場合、吸引溝213は開口しているのでその洗浄が容易である。また、導入部211から洗浄液を内部に注入して洗浄することもでき、圧力室216や通路214b、215aの洗浄も容易である。
【0094】
<吸引ヘッドの他の例>
吸引ヘッド21の他の構成例について説明する。上述した構成例と以下に述べる各構成例は適宜組み合わせてもよい。
【0095】
<構成例1>
圧力室216と吹出部214a及び215との間の圧力調整部として多孔質体を設けてもよい。図15はその一例を示す図であり、図9(A)のA-A線断面図に相当する図である。多孔質体218は圧力室216内に配置されており、Y方向に延在する板状の部材である。多孔質体218は導入部211と通路214b及び通路215aの端部との間に介在している。
【0096】
多孔質体218は、例えば、多数の孔が開口した板(例えばハニカム板)や、繊維の積層体である。多孔質体218により圧力室216内のY方向における空気の圧力分布の均一化を促進させることができる。これにより吹出部214a及び吹出部215から吹き出される空気のY方向の圧力分布を均一化することができる。
【0097】
図15の例では、多孔質体218と通路閉鎖部217とを併用している。しかし、いずれか一方のみを設けてもよい。
【0098】
<構成例2>
図10の例では、吹出部214aを形成するためのノズル214を設けた。しかし、ノズル214を設けず、内壁面213bに吹出部214aを形成してもよい。図16はその一例を示す図であり、図9(A)のA-A線断面図に相当する図である。図示の例では、内壁面213bに、通路214bと連通したY方向に延びるスリット状の孔を形成し、これを吹出部214aとしている。このような構成においても、吸引溝213内に旋回流を形成することが可能である。
【0099】
<構成例3>
図10の例では、開口部213aのX’方向の縁のうち、下流側の縁に吹出部214aを配置したが、上流側の縁に吹出部214aを配置してもよい。図17はその一例を示す。図示の例では、開口部213aのX’方向の縁のうち、上流側の縁にノズル214が設けられ、吹出部214aがノズル214に設けられている。旋回流の方向は図10の例と逆向きとなる。
【0100】
図17の例では、吸引溝213内に発生する旋回流が、X’方向の上流側から流れてくるミストを含む空気流を吸引溝213内に巻き込むようにしてこれを吸引する。したがって、X’方向の上流側から流れてくるミストを含む空気流が下流側へ流出することを抑制できる。
【0101】
図17の例では、図10の例の吹出部215及び通路215aを省略することができる。しかし、図18の例のように、吹出部215及び通路215aを設けた構成であってもよい。X’方向の上流側から流れてくるミストを含む空気流が下流側へ流出することを更に抑制できる。
【0102】
<構成例4>
図10の例では、排気部212及び排気ユニット23により吸引溝213内の空気を強制排気する構成としたが、吸引溝213の端部を開放して吸引溝213内の空気を自然排気する構成であってもよい。図19(A)及び図19(B)はその一例を示す吸引ヘッド21の斜視図及び底面図である。図示の例では吸引溝213のY方向の各開放端部213cが、本体210の各端部210bに開口している。吸引溝213の開口部213aは転写体2に対向し、かつ、近接するため、吸引溝213内の空気は開放端部213cから外部へ流出しやすい。ノズル214の吹出部214aから空気を吹き出せば、これにより生じる旋回流が開放端部213cへ向かう螺旋状の旋回流となって開放端部213cから排気することができる。開放端部213cから排気されたミストを含む空気は、記録ヘッド30から離れる方向に流れ出るので、記録ヘッド30に付着することが抑制される。
【0103】
この構成例は、図14に例示したように吹出部214aの吹出し方向をY方向に傾ける構成との併用が、は開放端部213cからの排気の点で有利である。
【0104】
<他の構成例>
吸引溝213内に螺旋状の旋回流を生成され易くする点で、内壁面213bに螺旋状の溝を形成してもよい。この溝の案内によって螺旋状の旋回流を生成され易くなる。
【0105】
上記各構成例では、吹出部214a及び吹出部215をY方向に一本或いは一列の配置としたが、複数本或いは複数列の配置としてもよい。
【0106】
<他の実施形態>
上記実施形態では、回収ユニット100の適用例として、記録ヘッド30から転写体2へインクを吐出してインク像を形成し、これを記録媒体Pに転写する例を例示した。しかし、記録ヘッド30から直接記録媒体Pにインクを吐出して画像を形成する装置にも上記実施形態の回収ユニット100は適用可能である。図20(A)及び図20(B)はその一例を示し、特にシリアル式のインクジェットプリンタへの適用例を示している。
【0107】
図20(A)の例では、キャリッジ31’に記録ヘッド30’が搭載されており、キャリッジ31’は案内軸300の案内により、主走査方向Uに往復移動する構成である。キャリッジ31’が移動する際に記録ヘッド30’からインクを紙等の記録媒体Pに吐出する。記録媒体Pは副走査方向Vに間欠的に移動(搬送)される。記録媒体Pの副走査方向Vの間欠的な移動と、キャリッジ31’の主走査方向Uの往復移動中の記録ヘッド30’からのインクの吐出とを交互に繰り返すことで記録媒体Pに画像が記録される。
【0108】
上記実施形態における吸引ヘッド21に相当する吸引ヘッド21は、記録媒体Pの移動方向(V方向)で記録ヘッド30’よりも下流側に、記録媒体Pを主走査方向Uに横断するように固定配置されている。
【0109】
図20(B)の例は、図20(A)の例と基本的に同じ構成であるが、吸引ヘッド21’がキャリッジ31’に搭載され、キャリッジ31’と共に主走査方向Uに移動する構成である。
【0110】
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0111】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0112】
21 吸引ヘッド、22 供給ユニット、100 回収ユニット、213 吸引溝、214a 吹出部
図1
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