(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】内燃機関システム、及び失火検出方法
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20240105BHJP
F02N 11/04 20060101ALI20240105BHJP
F02N 11/08 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F02D45/00 368Z
F02D45/00 362
F02N11/04 A
F02N11/08 X
(21)【出願番号】P 2019226512
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝典
(72)【発明者】
【氏名】萩村 将巳
(72)【発明者】
【氏名】土屋 勇一
(72)【発明者】
【氏名】石川 智也
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-124878(JP,A)
【文献】特開2004-124879(JP,A)
【文献】特開2004-104859(JP,A)
【文献】特開2015-015872(JP,A)
【文献】特開2015-074296(JP,A)
【文献】特開2007-189841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 45/00
F02N 11/08
F02N 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸を有する内燃機関と、
第1の条件下において、前記クランク軸に直結されたロータを介して前記クランク軸に回転力を与え、前記第1の条件下とは異なる第2の条件下において、前記クランク軸の回転力を受けて発電を行う回転電機と、
前記ロータの回転位置を検出し、前記ロータの回転位置を示すロータ位置情報を出力するロータ位置検出部と、
前記第1の条件下において、前記ロータ位置検出部が出力する前記ロータ位置情報に基づいて、前記回転電機の前記ロータを回転駆動させる駆動回路を制御する駆動制御部と、
前記ロータ位置情報に基づく
前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に基づいて、前記内燃機関の失火が発生したことを検出する失火検出部と、
備え
、
前記回転電機は、コイルが巻装されたステータと、内周面沿いに磁極を交互にしてマグネットが複数配置され、前記ステータの周囲に回転自在に配設された前記ロータとを有し、
前記ロータ位置検出部は、前記回転電機に内蔵された複数の磁気センサであって、前記ロータと対向して配置され、対向する前記マグネットの極性を検出する複数の磁気センサと、前記磁気センサから出力する出力信号を基に、前記ロータ位置情報を出力するロータ位置判定部とを有する
ことを特徴とする内燃機関システム。
【請求項2】
前記磁気センサ
の出力信号に基づいて、前記磁気センサの出力が切り替わる間隔の時間を計測して出力するタイマーを備え、
前記失火検出部は、
前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に対応する前記タイマー
の出力結果に基づいて、前記内燃機関の失火が発生したことを検出する
ことを特徴とする請求項
1に記載の内燃機関システム。
【請求項3】
前記失火検出部は、
前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に対応する前記タイマーの出力
結果が所定の閾値以上になった場合に、前記内燃機関の失火が発生したと判定する
ことを特徴とする請求項
2に記載の内燃機関システム。
【請求項4】
前記タイマーが直近に出力した複数の出力結果を記憶する出力記憶部を備え、
前記失火検出部は、前記出力記憶部が記憶する
、前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に対応する複数の前記出力結果のうち、所定の閾値以上になったものが所定の回数以上発生した場合に、前記内燃機関の失火が発生したと判定する
ことを特徴とする請求項
2に記載の内燃機関システム。
【請求項5】
前記タイマーが直近に出力した複数の出力結果を記憶する出力記憶部を備え、
前記失火検出部は、前記出力記憶部が記憶する
、前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に対応する複数の前記出力結果の平均値が所定の閾値以上になった場合に、前記内燃機関の失火が発生したと判定する
ことを特徴とする請求項
2に記載の内燃機関システム。
【請求項6】
前記コイルの数であるスロット数が、18個であり、
前記マグネットの数である磁極数が、12個であり、
前記回転電機は、3相ブラシレスモータとして機能し、
前記複数の磁気センサは、3相に対応する前記マグネットの極性を検出して出力する
ことを特徴とする請求項
1から請求項
5のいずれか一項に記載の内燃機関システム。
【請求項7】
クランク軸を有する内燃機関と、第1の条件下において、前記クランク軸に直結されたロータを介して前記クランク軸に回転力を与え、前記第1の条件下とは異なる第2の条件下において、前記クランク軸の回転力を受けて発電を行う回転電機と
、ロータ位置検出部と、駆動制御部と、失火検出部とを備える内燃機関システムの失火検出方法であって、
前記回転電機は、コイルが巻装されたステータと、内周面沿いに磁極を交互にしてマグネットが複数配置され、前記ステータの周囲に回転自在に配設された前記ロータとを有し、
前記ロータ位置検出部は、前記回転電機に内蔵された複数の磁気センサであって、前記ロータと対向して配置され、対向する前記マグネットの極性を検出する複数の磁気センサと、前記磁気センサから出力する出力信号を基に、ロータ位置情報を出力するロータ位置判定部とを有し、
前記ロータ位置検出部が、前記ロータの回転位置を検出し、前記ロータの回転位置を示す
前記ロータ位置情報を出力するロータ位置検出ステップと、
前記駆動制御部が、前記第1の条件下において、前記ロータ位置検出ステップによって出力された前記ロータ位置情報に基づいて、前記回転電機の前記ロータを回転駆動させる駆動回路を制御する駆動制御ステップと、
前記失火検出部が、前記ロータ位置情報に基づく
前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に基づいて、前記内燃機関の失火が発生したことを検出する失火検出ステップと
を含むことを特徴とする失火検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関システム、及び失火検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の失火を検出する技術として、内燃機関の回転変動に基づいて、失火を検出する技術が知られている。このような内燃機関の失火を検出する技術では、クランクシャフトにリングギアを設置し、リングギアの外周の凹凸パターンを検出して回転変動を検出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来技術では、クランクシャフトにリングギアを設置する必要があるため、内燃機関のサイズが大きくなるという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、内燃機関を小型化することができる内燃機関システム、及び失火検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、クランク軸を有する内燃機関と、第1の条件下において、前記クランク軸に直結されたロータを介して前記クランク軸に回転力を与え、前記第1の条件下とは異なる第2の条件下において、前記クランク軸の回転力を受けて発電を行う回転電機と、前記ロータの回転位置を検出し、前記ロータの回転位置を示すロータ位置情報を出力するロータ位置検出部と、前記第1の条件下において、前記ロータ位置検出部が出力する前記ロータ位置情報に基づいて、前記回転電機の前記ロータを回転駆動させる駆動回路を制御する駆動制御部と、前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に基づいて、前記内燃機関の失火が発生したことを検出する失火検出部と、備え、前記回転電機は、コイルが巻装されたステータと、内周面沿いに磁極を交互にしてマグネットが複数配置され、前記ステータの周囲に回転自在に配設された前記ロータとを有し、前記ロータ位置検出部は、前記回転電機に内蔵された複数の磁気センサであって、前記ロータと対向して配置され、対向する前記マグネットの極性を検出する複数の磁気センサと、前記磁気センサから出力する出力信号を基に、前記ロータ位置情報を出力するロータ位置判定部とを有し、前記失火検出部は、前記磁気センサの出力信号に基づく前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に基づいて、前記内燃機関の失火が発生したことを検出することを特徴とする内燃機関システムである。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の内燃機関システムにおいて、前記磁気センサの出力信号に基づいて、前記磁気センサの出力が切り替わる間隔の時間を計測して出力するタイマーを備え、前記失火検出部は、前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に対応する前記タイマーの出力結果に基づいて、前記内燃機関の失火が発生したことを検出するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の内燃機関システムにおいて、前記失火検出部は、前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に対応する前記タイマーの出力結果が所定の閾値以上になった場合に、前記内燃機関の失火が発生したと判定するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の内燃機関システムにおいて、前記タイマーが直近に出力した複数の出力結果を記憶する出力記憶部を備え、前記失火検出部は、前記出力記憶部が記憶する、前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に対応する複数の前記出力結果のうち、所定の閾値以上になったものが所定の回数以上発生した場合に、前記内燃機関の失火が発生したと判定するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の内燃機関システムにおいて、前記タイマーが直近に出力した複数の出力結果を記憶する出力記憶部を備え、前記失火検出部は、前記出力記憶部が記憶する、前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に対応する複数の前記出力結果の平均値が所定の閾値以上になった場合に、前記内燃機関の失火が発生したと判定するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の内燃機関システムにおいて、前記コイルの数であるスロット数が、18個であり、前記マグネットの数である磁極数が、12個であり、前記回転電機は、3相ブラシレスモータとして機能し、前記複数の磁気センサは、3相に対応する前記マグネットの極性を検出して出力するようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様は、クランク軸を有する内燃機関と、第1の条件下において、前記クランク軸に直結されたロータを介して前記クランク軸に回転力を与え、前記第1の条件下とは異なる第2の条件下において、前記クランク軸の回転力を受けて発電を行う回転電機と、ロータ位置検出部と、駆動制御部と、失火検出部とを備える内燃機関システムの失火検出方法であって、前記回転電機は、コイルが巻装されたステータと、内周面沿いに磁極を交互にしてマグネットが複数配置され、前記ステータの周囲に回転自在に配設された前記ロータとを有し、前記ロータ位置検出部は、前記回転電機に内蔵された複数の磁気センサであって、前記ロータと対向して配置され、対向する前記マグネットの極性を検出する複数の磁気センサと、前記磁気センサから出力する出力信号を基に、ロータ位置情報を出力するロータ位置判定部とを有し、前記ロータ位置検出部が、前記ロータの回転位置を検出し、前記ロータの回転位置を示す前記ロータ位置情報を出力するロータ位置検出ステップと、前記駆動制御部が、前記第1の条件下において、前記ロータ位置検出ステップによって出力された前記ロータ位置情報に基づいて、前記回転電機の前記ロータを回転駆動させる駆動回路を制御する駆動制御ステップと、前記失火検出部が、前記ロータ位置情報に基づく前記ロータの回転速度又は前記ロータの回転周期に基づいて、前記内燃機関の失火が発生したことを検出する失火検出ステップとを含むことを特徴とする失火検出方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、内燃機関の構成を簡略化することができ、内燃機関を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態による内燃機関システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態における始動発電機の構成例を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態におけるマグネットとステータとの位置関係を示す平面図である。
【
図4】第1の実施形態におけるマグネットとホール素子との位置関係を示す図である。
【
図5】第1の実施形態におけるホール素子の出力信号の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態による内燃機関システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施形態による内燃機関システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態による内燃機関システム、及び失火検出方法について、図面を参照して説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による内燃機関システム1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、内燃機関システム1は、内燃機関2と、クランク軸3と、始動発電機4と、バッテリ5と、駆動回路40と、制御部50とを備える。
【0018】
内燃機関2は、例えば、二輪車や自動車などを駆動するエンジンである。内燃機関2は、回転軸としてクランク軸3を有し、クランク軸3に回転力を与える。
クランク軸3は、後述するロータ10に直結されている。
【0019】
始動発電機4(回転電機の一例)は、内燃機関2の始動用モータと、内燃機関2の回転から発電する交流発電機との両方の機能を兼ね備えている。始動発電機4は、内燃機関2を始動する場合(第1の条件下)において、クランク軸3に直結されたロータ10を介してクランク軸3に回転力を与えて、内燃機関2を始動させる。また、始動発電機4は、内燃機関2が動作中である場合(第2の条件下)において、クランク軸3の回転力を受けて発電を行う。始動発電機4は、例えば、アウターロータ型の3相ブラシレスモータ型である。
また、始動発電機4は、ロータ10と、ステータ20とを備えている。
【0020】
ロータ10(回転子の一例)は、クランク軸3に直結され、且つ、ステータ20の周囲を回転自在に配設されている。また、ロータ10は、有底筒状に形成されており、内周面沿いに磁極を交互にしてマグネット11が複数配置されている。
【0021】
ステータ20は、ロータ10の内側に配置され、複数のコイル21と、複数のホール素子31とを備える。
ここで、
図2~
図4を参照して、ロータ10及びステータ20の各構成の配置例について説明する。
【0022】
図2は、本実施形態における始動発電機4の構成例を示す断面図である。
なお、以下の説明において、ロータ10の回転軸方向を単に軸方向と称し、回転軸方向に直交するステータ20の径方向を単に径方向と称し、ロータ10の回転方向を単に回転方向、または周方向と称す。
【0023】
図2に示すように、クランク軸3に直結されたロータ10の内側には、マグネット11が配置されている。また、ロータ10の内側に、コイル21が、マグネット11に対向するように、ステータ20が配置されている。
【0024】
ステータ20には、円弧形状に形成されたセンサケース22が配置されており、センサケース22によって、ホール素子31が、マグネット11に対向する位置に固定されている。
【0025】
また、
図3は、本実施形態におけるマグネット11とステータ20との位置関係を示す平面図である。
図3に示すように、ステータ20は、電磁鋼板を積層して成るステータ鉄心23と、ステータ鉄心23に巻回される三相巻線であるコイル21と、を備えている。ステータ鉄心23は、円環状に形成された本体部23aと、この本体部の外周面から径方向外側に向かって放射状に突出する複数のティース部23bと、を有している。各ティース部23bは、軸方向平面視で略T字状に形成されている。
【0026】
各ティース部23bは、それぞれ三相(U相、V相、W相)に割り当てられる。また、コイル21は、各ティース部23bに巻回されている。
図3に示すように、本実施形態における始動発電機4は、12極18スロットであり、コイル21及びティース部23bの数は、18個ある。18個のコイル21及びティース部23bは、周方向にU相、V相、W相、・・・の順に割り当てられている。なお、以下の説明において、U相のコイル21をU相コイル21Uと称し、V相のコイル21をV相コイル21Vと称し、W相のコイル21をW相コイル21Wと称する。
【0027】
ロータ10の内周面には、N極及びS極を交互に着磁された複数のマグネット11が周方向に等間隔で配置されている。すなわち、ロータ10の内周面には、N極のマグネット(以下、「N極マグネット」という。)11NとS極のマグネット(以下、「S極マグネット」という。)11Sが交互に周方向に沿って等間隔に並んで取り付けられている。
【0028】
ここで、N極マグネット11Nは、径方向内側の全体の面がN極に着磁されていると共に、S極マグネット11Sは、径方向内側の全体の面がS極に着磁されている。
なお、本実施形態において、マグネット11の数である磁極数が、12個である。
【0029】
また、3個のホール素子31が、センサケース22によって、
図4に示すように、ロータ10のマグネット11と対向して配置されている。3個のホール素子31は、電気角120度の間隔で配置されている。
図4は、本実施形態におけるマグネット11とホール素子31との位置関係を示す図である。
【0030】
なお、本実施形態において、V相用のホール素子31をホール素子31-1と称し、U相用のホール素子31をホール素子31-2と称し、W相用のホール素子31をホール素子31-3と称する。また、始動発電機4が内蔵する任意のホール素子を示す場合には、ホール素子31として説明する。
【0031】
ホール素子31(磁気センサの一例)は、対向するマグネット11の極性を検出して出力する。ホール素子31は、例えば、マグネット11の極性を、2値信号として出力する。ホール素子31-1は、V相用のロータ10の回転位置を検出するための出力信号を出力し、ホール素子31-2は、U相用のロータ10の回転位置を検出するための出力信号を出力する。また、ホール素子31-3は、W相用のロータ10の回転位置を検出するための出力信号を出力する。各ホール素子31の出力信号の詳細については、
図5を参照して後述する。
【0032】
図1の説明に戻り、バッテリ5は、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン電池であり、始動発電機4を3相ブラシレスモータとして駆動させる場合(第1の条件下)に、電力を供給する。また、バッテリ5は、始動発電機4を発電機として動作させる場合(第2の条件下)に、発電された電力の一部が充電される。
【0033】
駆動回路40は、例えば、インバータ回路であり、バッテリ5から供給される直流電流を交流電流に変換してコイル21(U相コイル21U、V相コイル21V、W相コイル21W)のそれぞれに駆動信号として供給して、ロータ10を回転駆動させる。駆動回路40は、後述する制御部50の駆動制御部51が出力する制御信号に基づいて、各相の駆動信号を出力する。なお、本実施形態において、始動発電機4は、3相ブラシレスモータであり、駆動回路40は、U相、V相及びW相の駆動信号として、120度通電駆動信号を出力する。
また、駆動回路40は、始動発電機4が発電した交流電力を整流して、バッテリ5を充電する。
【0034】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含むプロセッサであり、始動発電機4を統括的に制御する。制御部50は、ロータ位置判定部32と、駆動制御部51と、タイマー52と、出力記憶部53と、失火判定部54とを備える。
なお、本実施形態において、ホール素子31(31-1~31-3)と、ロータ位置判定部32とは、ロータ位置検出部30に対応する。すなわち、ロータ位置検出部30は、ホール素子31(31-1~31-3)と、ロータ位置判定部32を備える。
【0035】
ロータ位置検出部30は、ロータ10の回転位置を検出し、ロータ10の回転位置を示すロータ位置情報を出力する。ロータ位置検出部30は、複数のホール素子31(31-1~31-3)の出力信号に基づいて、ロータ10の回転位置を検出する。ここで、
図5を参照して、ホール素子31(31-1~31-3)の出力信号について説明する。
【0036】
図5は、本実施形態におけるホール素子31の出力信号の一例を示す図である。
図5において、波形W1は、U相検出信号であり、ホール素子31-1の出力信号を示し、波形W2は、V相検出信号であり、ホール素子31-2の出力信号を示している。また、波形W3は、W相検出信号であり、ホール素子31-3の出力信号を示している。また、横軸は、時間を示している。
【0037】
U相検出信号、V相検出信号、及びW相検出信号は、位相が120度(電気角120度)づれた矩形波信号であり、各信号の切り替わりタイミングに基づいて、駆動回路40の制御信号を生成可能になっている。
また、例えば、時刻T1のW相検出信号の立下りと、時刻T2のV相検出信号の立上りとの間隔TR1が、ロータ10の機械角10度を示しており、時刻T2のV相検出信号の立上りと、時刻T3のW相検出信号の立上りとの間隔TR2が、ロータ10の機械角20度を示している。このように、U相検出信号、V相検出信号、及びW相検出信号の切り替わりの間隔を検出することで、機械角の回転速度を計測可能である。
【0038】
再び
図1の説明に戻り、ロータ位置判定部32は、ホール素子31(31-1~31-3)の出力信号に基づいて、ロータ10の位置情報を検出し、ロータ10の回転位置を示すロータ位置情報を出力する。ロータ位置判定部32は、内燃機関2を始動する場合に、ホール素子31の出力信号に基づいて、例えば、120度通電制御を行うためのタイミング信号を、ロータ位置情報として生成し、当該タイミング信号を駆動制御部51に出力する。
【0039】
また、ロータ位置判定部32は、内燃機関2が動作中である場合に、例えば、ホール素子31の出力信号に基づいて、ホール素子31が出力する出力パターンが切り替わる間隔の時間を計測するためのタイマー52の制御信号を生成し、当該制御信号をタイマー52に出力する。
このように、ロータ位置判定部32は、内燃機関2を始動する場合(第1の条件下)と、内燃機関2が動作中である場合(第2の条件下)とで、上述した処理を切り替えて実行する。すなわち、ロータ位置判定部32は、内燃機関2を始動する場合(第1の条件下)と、内燃機関2が動作中である場合(第2の条件下)とで、異なるロータ位置情報を生成し、駆動制御部51とタイマー52とで切り替えて出力する。
【0040】
駆動制御部51は、ロータ位置検出部30が出力するロータ位置情報に基づいて、始動発電機4のロータ10を回転駆動させる駆動回路40を制御する。駆動制御部51は、ロータ位置検出部30から出力されたタイミング信号をロータ位置情報として、例えば、120度通電制御の制御信号を駆動回路40に出力する。
【0041】
なお、本実施形態において、タイマー52、出力記憶部53、及び失火判定部54は、失火検出部60に対応する。すなわち、失火検出部60は、タイマー52、出力記憶部53、及び失火判定部54を備える。
【0042】
タイマー52は、ホール素子31が出力する出力パターンが切り替わる間隔の時間を計測して、失火判定部54に出力する。すなわち、タイマー52は、ロータ位置検出部30から出力されたタイマー52の制御信号をロータ位置情報として、上述した
図5の間隔TR1のような出力パターンが切り替わる間隔の時間を計測する。タイマー52は、出力パターンが切り替わる間隔の計測結果を失火判定部54に出力する。
【0043】
失火判定部54は、ロータ位置検出部30が出力するロータ位置情報に基づくロータ10の回転位置の単位時間当たりの変化量に基づいて、内燃機関2の失火が発生したことを検出する。失火判定部54は、例えば、タイマー52が出力する、切り替わる間隔の時間の変化に基づいて、内燃機関2の失火が発生したことを検出する。ここで、タイマー52の出力結果である切り替わる間隔の時間は、ロータ10の回転速度(すなわち、ロータ10の回転位置の単位時間当たりの変化量)又はロータ10の回転周期に対応する。失火判定部54は、タイマー52の出力値(出力結果)が所定の閾値以上になった場合に、内燃機関2の失火が発生したと判定する。
【0044】
また、失火判定部54は、タイマー52の出力結果を、順次、出力記憶部53に記憶させる。失火判定部54は、例えば、出力記憶部53が記憶する複数の出力結果のうち、所定の閾値以上になったものが所定の回数以上発生した場合に、内燃機関2の失火が発生したと判定する。
【0045】
出力記憶部53は、上述したように、タイマー52が直近に出力した複数の出力結果を記憶する。
なお、失火判定部54は、内燃機関2の失火が発生したと判定した場合に、内燃機関2の失火が発生したことを示す警告情報を出力し、例えば、警告灯などを点灯させる。
【0046】
次に、図面を参照して、本実施形態による内燃機関システム1の動作について説明する。
図6は、第1の実施形態による内燃機関システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0047】
図6に示すように、内燃機関システム1の制御部50は、まず、モータを駆動するか否かを判定する(ステップS101)。すなわち、制御部50(ロータ位置検出部30)のロータ位置判定部32は、始動発電機4をモータとして駆動させるか否かを判定する。ロータ位置判定部32は、始動発電機4をモータとして駆動させる場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS107に進める。また、ロータ位置判定部32は、始動発電機4をモータとして駆動させない場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS102に進める。
【0048】
なお、始動発電機4をモータとして駆動させない場合とは、例えば、内燃機関2が動作しており、始動発電機4を発電機として使用する場合に相当する。
【0049】
ステップS102において、ロータ位置判定部32は、ホール素子31の出力パターンの切り替わりを検出する。ロータ位置判定部32は、
図5に示すような3相のホール素子31(31-1~31-3)の出力信号に基づいて、ホール素子31が出力する出力パターンが切り替わる間隔の時間を計測するためのタイマー52の制御信号を生成する。
【0050】
次に、ロータ位置判定部32は、タイマー52に切り替わり間隔の時間を計測させる(ステップS103)。すなわち、ロータ位置判定部32は、上述した出力パターンが切り替わる間隔の時間を計測するためのタイマー52の制御信号をタイマー52に出力する。
【0051】
次に、制御部50の失火判定部54は、タイマー52の出力結果を出力記憶部53に記憶させる(ステップS104)。失火判定部54は、タイマー52から出力された出力結果である切り替わり間隔の時間を、順次、出力記憶部53に記憶させる。これにより、出力記憶部53には、タイマー52が直近に出力した複数の出力結果が記憶される。
【0052】
次に、失火判定部54は、直近のタイマー52の出力結果のうちの所定の閾値以上になった回数が所定の回数以上であるか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、失火判定部54は、出力記憶部53が記憶するタイマー52の出力結果を参照し、直近のタイマー52の出力結果のうちの所定の閾値以上になるものがあるか否かを判定するとともに、所定の閾値以上になった出力結果の回数をカウントする。失火判定部54は、当該所定の閾値以上になった出力結果の回数が、所定の回数以上であるか否かを判定する。
【0053】
失火判定部54は、所定の閾値以上になった出力結果の回数が、所定の回数以上である場合(ステップS105:YES)に、処理をステップS106に進める。また、失火判定部54は、所定の閾値以上になった出力結果の回数が、所定の回数未満である場合(ステップS105:NO)に、処理をステップS101に戻す。
【0054】
ステップS106において、失火判定部54は、内燃機関2が失火したと判定する。失火判定部54は、内燃機関2の失火が発生したことを示す警告情報を出力し、例えば、警告灯などを点灯させる。ステップS106の処理後に、失火判定部54は、処理をステップS101に戻す。
【0055】
また、ステップS107(始動発電機4をモータとして駆動させる場合)において、ロータ位置検出部30のロータ位置判定部32は、ホール素子31の出力に基づいて、ロータ10の回転位置を検出する。ロータ位置判定部32は、3相のホール素子31(31-1~31-3)の出力信号に基づいて、例えば、120度通電制御を行うためのタイミング信号を、ロータ位置情報として生成して、当該タイミング信号を制御部50の駆動制御部51に出力する。
【0056】
次に、駆動制御部51は、ロータ10の回転位置に基づいて、駆動回路40を制御する(ステップS108)。すなわち、駆動制御部51は、ロータ位置検出部30が出力したタイミング信号に基づいて、120度通電制御を行うように、駆動回路40を制御する。例えば、駆動制御部51は、駆動回路40のインバータ回路を駆動する制御信号を駆動回路40に出力する。これにより、駆動回路40は、3相(U相、V相、及びW相)の駆動信号を始動発電機4に出力して、駆動信号を始動発電機4をモータとして回転(駆動)させる。ステップS108の処理後に、駆動制御部51は、処理をステップS101に戻す。
【0057】
以上説明したように、本実施形態による内燃機関システム1は、クランク軸3を有する内燃機関2と、始動発電機4(回転電機)と、ロータ位置検出部30と、駆動制御部51と、失火検出部60とを備える。始動発電機4は、第1の条件下(例えば、内燃機関2を始動する場合)において、クランク軸3に直結されたロータ10を介してクランク軸3に回転力を与える。また、始動発電機4は、第1の条件下とは異なる第2の条件下(例えば、内燃機関2が動作している場合)において、クランク軸3の回転力を受けて発電を行う。ロータ位置検出部30は、ロータ10の回転位置を検出し、ロータ10の回転位置を示すロータ位置情報を出力する。駆動制御部51は、第1の条件下において、ロータ位置検出部30が出力するロータ位置情報に基づいて、始動発電機4のロータ10を回転駆動させる駆動回路40を制御する。失火検出部60は、ロータ位置情報に基づくロータ10の回転位置の単位時間当たりの変化量に基づいて、内燃機関2の失火が発生したことを検出する。
【0058】
これにより、本実施形態による内燃機関システム1は、ロータ位置検出部30が検出したロータ位置情報を、始動発電機4をモータとして駆動する場合(第1の条件下)における駆動制御と、内燃機関2が動作している場合(第2の条件下)における内燃機関2の失火検出との両方に使用する。すなわち、本実施形態による内燃機関システム1では、既に備えているロータ位置検出部30を、内燃機関2の失火検出にも利用する。そのため、本実施形態による内燃機関システム1は、例えば、従来技術のように、クランク軸3にリングギアを設置する必要がなく、内燃機関2の構成を簡略化することができる。よって、本実施形態による内燃機関システム1は、内燃機関2の構成を簡略化することができ、内燃機関2を小型化することができる。
【0059】
また、本実施形態では、始動発電機4は、コイル21が巻装されたステータ20と、内周面沿いに磁極を交互にしてマグネット11が複数配置され、ステータ20の周囲を回転自在に配設されたロータ10とを有する。ロータ位置検出部30は、始動発電機4に内蔵された複数のホール素子31(磁気センサ)であって、ロータ10と対向して配置され、対向するマグネット11の極性を検出して出力する複数のホール素子31を有する。
【0060】
これにより、本実施形態による内燃機関システム1は、始動発電機4に内蔵された複数のホール素子31(磁気センサ)を利用することで、別途、内燃機関2の失火検出用のセンサを備える必要がなく、内燃機関2の構成を簡略化することができる。
【0061】
また、本実施形態による内燃機関システム1は、ホール素子31が出力する出力パターンが切り替わる間隔の時間を計測して出力するタイマー52を備える。失火検出部60(失火判定部54)は、タイマー52が出力する、切り替わる間隔の時間の変化に基づいて、内燃機関2の失火が発生したことを検出する。
これにより、本実施形態による内燃機関システム1は、簡易な構成により、内燃機関2の失火を適切に検出することができる。
【0062】
また、本実施形態では、失火検出部60(失火判定部54)は、タイマー52の出力値が所定の閾値以上になった場合に、内燃機関2の失火が発生したと判定する。
ここで、タイマー52の出力値は、ホール素子31が出力する出力パターンが切り替わる間隔の時間を示しているため、内燃機関2の失火した場合には、内燃機関2による動力が得られなくなり、タイマー52の出力値が大きくなることが考えられる。このことから、本実施形態では、失火検出部60(失火判定部54)は、所定の閾値により判定するという簡易な手法により、内燃機関2の失火を適切に検出することができる。
【0063】
また、本実施形態による内燃機関システム1は、タイマー52が直近に出力した複数の出力結果を記憶する出力記憶部53を備える。失火検出部60(失火判定部54)は、出力記憶部53が記憶する複数の出力結果のうち、所定の閾値以上になったものが所定の回数以上発生した場合に、内燃機関2の失火が発生したと判定する。
【0064】
例えば、内燃機関2を搭載した車両が悪路を走行する際など、タイマー52の出力結果が突発的に所定の閾値以上になる場合が考えられる。上述の構成によれば、本実施形態による内燃機関システム1は、このように突発的に所定の閾値以上になる場合であっても、正確に内燃機関2の失火が発生したことを判定することができる。すなわち、本実施形態による内燃機関システム1は、内燃機関2の失火の誤検出を低減することができる。
【0065】
また、本実施形態では、コイル21の数であるスロット数が、18個であり、マグネット11の数である磁極数が、12個である。始動発電機4は、12極18スロットの3相ブラシレスモータとして機能する。複数のホール素子31は、3相に対応するマグネット11の極性を検出して出力する。
【0066】
これにより、本実施形態による内燃機関システム1は、ロータ位置検出部30による最小分解能が機械角10度(
図5の間隔TR1参照)であり、内燃機関2の失火の検出精度を高めることができる。
【0067】
また、本実施形態による失火検出方法は、クランク軸3を有する内燃機関2と、第1の条件下において、クランク軸3に直結されたロータ10を介してクランク軸3に回転力を与え、且つ、第1の条件下とは異なる第2の条件下において、クランク軸3の回転力を受けて発電を行う始動発電機4とを備える内燃機関システム1の失火検出方法であって、ロータ位置検出ステップと、駆動制御ステップと、失火検出ステップとを含む。ロータ位置検出ステップにおいて、ロータ位置検出部30が、ロータ10の回転位置を検出し、ロータ10の回転位置を示すロータ位置情報を出力する。駆動制御ステップにおいて、駆動制御部51が、第1の条件下において、ロータ位置検出ステップによって出力されたロータ位置情報に基づいて、始動発電機4のロータ10を回転駆動させる駆動回路を制御する。失火検出ステップにおいて、失火検出部60(失火判定部54)が、ロータ位置情報に基づくロータ10の回転位置の単位時間当たりの変化量に基づいて、内燃機関2の失火が発生したことを検出する。
【0068】
これにより、本実施形態による失火検出方法は、上述した本実施形態による内燃機関システム1と同様の効果を奏し、内燃機関2の構成を簡略化することができ、内燃機関2を小型化することができる。
【0069】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して第2の実施形態による内燃機関システム1について説明する。
本実施形態では、失火検出部60(失火判定部54)による内燃機関2の失火の検出における変形例について説明する。
【0070】
なお、本実施形態による内燃機関システム1の基本的な構成は、上述した
図1~
図4に示す第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
本実施形態では、失火判定部54による内燃機関2の失火の判定処理が、第1の実施形態と異なり、以下、本実施形態における失火判定部54の処理について説明する。
【0071】
本実施形態における失火判定部54は、出力記憶部53が記憶する複数の出力結果の平均値が所定の閾値以上になった場合に、内燃機関2の失火が発生したと判定する。例えば、失火判定部54は、出力記憶部53から直近の所定の回数の出力結果を取得し、所定の回数分の出力結果の平均値を算出する。失火判定部54は、算出した出力結果の平均値が、所定の閾値以上になった場合に、内燃機関2の失火が発生したと判定する。
【0072】
次に、
図7を参照して、本実施形態による内燃機関システム1の動作について説明する。
図7は、本実施形態による内燃機関システム1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0073】
図7において、ステップS201からステップS204までの処理は、上述した
図6に示すステップS101からステップS104までの処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0074】
ステップS205において、失火判定部54は、タイマーの出力結果の直近の所定回数の平均値を生成する。すなわち、失火判定部54は、出力記憶部53が記憶するタイマー52の出力結果を、直近の所定の回数分を取得する。失火判定部54は、取得した直近の所定の回数分におけるタイマー52の出力結果の平均値を生成する。
【0075】
次に、失火判定部54は、平均値が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS206)。失火判定部54は、生成した平均値が所定の閾値以上である場合(ステップS206:YES)に、処理をステップS207に進める。また、失火判定部54は、生成した平均値が所定の閾値未満である場合(ステップS206:NO)に、処理をステップS201に戻す。
【0076】
ステップS207において、失火判定部54は、内燃機関2が失火したと判定する。失火判定部54は、内燃機関2の失火が発生したことを示す警告情報を出力し、例えば、警告灯などを点灯させる。ステップS207の処理後に、失火判定部54は、処理をステップS201に戻す。
【0077】
また、ステップS208及びステップS209の処理は、上述した
図6に示すステップS107及びステップS109の処理と同様であるため、ここではその説明を省略する。ステップS209の処理後に、駆動制御部51は、処理をステップS201に戻す。
【0078】
以上説明したように、本実施形態による内燃機関システム1は、クランク軸3を有する内燃機関2と、始動発電機4(回転電機)と、ロータ位置検出部30と、駆動制御部51と、失火判定部54と、タイマー52と、タイマー52が直近に出力した複数の出力結果を記憶する出力記憶部53とを備える。本実施形態における失火判定部54(失火検出部60)は、出力記憶部53が記憶する複数の出力結果の平均値が所定の閾値以上になった場合に、内燃機関2の失火が発生したと判定する。
【0079】
これにより、本実施形態による内燃機関システム1は、内燃機関2を搭載した車両が悪路を走行する際などのように、突発的に所定の閾値以上になる場合であっても、平均値をもちいることで、正確に内燃機関2の失火が発生したことを判定することができる。すなわち、本実施形態による内燃機関システム1は、第1の実施形態と同様に、内燃機関2の失火の誤検出を低減することができる。
【0080】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、磁気センサの一例としてホール素子を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の磁気センサをもちるようにしてもよい。
【0081】
また、上記の各実施形態において、内燃機関システム1は、U相、V相、及びW相の3個のホール素子31(31-1~31-3)を備える例を説明したが、さらに、内燃機関2を点火する点火タイミング信号を生成するホール素子31を追加で備えてもよい。
【0082】
また、上記の各実施形態において、ロータ位置判定部32が、制御部50に含まれる例を説明したが、これに限定されるものではなく、ロータ位置判定部32が、制御部50の外部に備えるようにしてもよい。また、制御部50は、始動発電機4の制御に限定されるものではなく、例えば、内燃機関2の制御を含んでもよい。
【0083】
また、上記の各実施形態において、始動発電機4は、12極18スロットの3相ブラシレスモータである例を説明したが、これに限定されるものではなく、他の極数、及び他のスロット数のモータであってもよい。
【0084】
また、上記の第2の実施形態において、失火検出部60(失火判定部54)は、複数の出力結果の平均値を用いる例を説明したが、単純な平均値の代わりに、重み付けを考慮した加重平均値を用いるようにしてもよい。
【0085】
なお、上述した内燃機関システム1が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した内燃機関システム1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した内燃機関システム1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0086】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に内燃機関システム1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0087】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 内燃機関システム
2 内燃機関
3 クランク軸
4 始動発電機
5 バッテリ
10 ロータ
11 マグネット
11N N極マグネット
11S S極マグネット
20 ステータ
21 コイル
21U U相コイル
21V V相コイル
21W W相コイル
22 センサケース
30 ロータ位置検出部
31、31-1、31-2、31-3 ホール素子
32 ロータ位置判定部
40 駆動回路
50 制御部
51 駆動制御部
52 タイマー
53 出力記憶部
54 失火判定部
60 失火検出部