(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ボイラ及び発電プラント並びにボイラの化学洗浄方法
(51)【国際特許分類】
F22B 37/52 20060101AFI20240105BHJP
F22B 37/56 20060101ALI20240105BHJP
F22B 37/78 20060101ALI20240105BHJP
F28G 9/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F22B37/52 B
F22B37/56 Z
F22B37/78
F28G9/00 L
(21)【出願番号】P 2019236548
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴行
(72)【発明者】
【氏名】真保 陽一
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特許第6303836(JP,B2)
【文献】特開2004-278861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/00-37/78
F28G 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液供給装置から供給される洗浄液によって化学洗浄可能なボイラであって、
給水を加熱して蒸気を生成する蒸発部と、
前記給水と前記蒸発部で生成された蒸気とを気液分離する気液分離部と、
前記気液分離部で分離された蒸気と熱交換する熱交換器と、
前記気液分離部と前記熱交換器とを接続する連絡管と、を備え、
化学洗浄時において、前記熱交換器には前記洗浄液が流通することなく、前記気液分離部及び前記蒸発部は、内部へ前記洗浄液供給装置から前記洗浄液が供給され
、前記熱交換器及び前記連絡管の内部の所定の高さまで補給水が供給され、
前記連絡管には、前記連絡管の内部を流通して前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する検知部が設けられてい
て、
前記検知部は、前記連絡管の内部に供給された前記補給水の電気伝導率を計測する電気伝導率計又は前記連絡管の内部に供給された前記補給水のpHを計測するpHセンサを有し、
前記電気伝導率計又は前記pHセンサは、前記所定の高さよりも下方に設けられているボイラ。
【請求項2】
前記連絡管は、上下方向に延在する鉛直部を有し、
前記電気伝導率計又は前記pHセンサは、前記鉛直部に設けられている請求項1に記載のボイラ。
【請求項3】
前記検知部が前記洗浄液を検知した場合に、前記気液分離部から前記熱交換器への前記洗浄液の流入を阻止する阻止部を備える請求項1
又は請求項2に記載のボイラ。
【請求項4】
前記阻止部は、前記検知部が前記洗浄液を検知した場合に、前記熱交換器側から前記気液分離部側へ前記連絡管に逆洗水を流通させる逆洗部を有する請求項
3に記載のボイラ。
【請求項5】
前記逆洗部は、前記連絡管の前記検知部よりも前記熱交換器側に接続するバイパス管を介して前記連絡管に前記逆洗水を供給する請求項
4に記載のボイラ。
【請求項6】
前記阻止部は、前記検知部が前記洗浄液を検知した場合に、前記連絡管内にガスを供給するガス供給部を有する請求項
3から請求項
5のいずれかに記載のボイラ。
【請求項7】
前記阻止部は、前記検知部が前記洗浄液を検知した場合に、前記気液分離部から前記洗浄液を系外へ排出する排出部を有する請求項
3から請求項
6のいずれかに記載のボイラ。
【請求項8】
前記阻止部は、前記検知部が前記洗浄液を検知した場合に、前記連絡管から前記洗浄液を系外へ排出する排出部を前記連絡管の前記検知部より前記熱交換器側に有する請求項
3から請求項
7のいずれかに記載のボイラ。
【請求項9】
前記気液分離部と前記蒸発部との間で前記洗浄液を循環させる循環ポンプを備え、
前記検知部は、前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する第1検知部と、前記第1検知部よりも下流側に設けられて前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する第2検知部を有し、
前記第1検知部が前記洗浄液を検知した時間と、前記第2検知部が前記洗浄液を検知した時間との時間差が所定の値以下の場合に前記循環ポンプを停止する請求項1から請求項
8のいずれかに記載のボイラ。
【請求項10】
洗浄液供給装置から供給される洗浄液によって化学洗浄可能なボイラであって、
給水を加熱して蒸気を生成する蒸発部と、
前記給水と前記蒸発部で生成された蒸気とを気液分離する気液分離部と、
前記気液分離部で分離された蒸気と熱交換する熱交換器と、
前記気液分離部と前記熱交換器とを接続する連絡管と、
前記気液分離部と前記蒸発部との間で前記洗浄液を循環させる循環ポンプと、を備え、
化学洗浄時において、前記熱交換器には前記洗浄液が流通することなく、前記気液分離部及び前記蒸発部は、内部へ前記洗浄液供給装置から前記洗浄液が供給され、
前記連絡管には、前記連絡管の内部を流通して前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する検知部が設けられていて、
前記検知部は、前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する第1検知部と、前記第1検知部よりも下流側に設けられて前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する第2検知部を有し、
前記第1検知部が前記洗浄液を検知した時間と、前記第2検知部が前記洗浄液を検知した時間との時間差が所定の値以下の場合に前記循環ポンプを停止するボイラ。
【請求項11】
前記熱交換器は、前記熱交換器の内部を流通する蒸気を過熱することができる過熱器である請求項1から請求項
10のいずれかに記載のボイラ。
【請求項12】
請求項1から請求項
11のいずれかに記載のボイラと、
前記ボイラによって生成された前記蒸気を用いて発電する発電部と、を備えた発電プラント。
【請求項13】
給水を加熱して蒸気を生成する蒸発部と、前記給水と前記蒸発部で生成された蒸気とを気液分離する気液分離部と、前記気液分離部で分離された蒸気と熱交換する熱交換器と、前記気液分離部と前記熱交換器とを接続する連絡管と、を備えるボイラの化学洗浄方法であって、
前記熱交換器には洗浄液を流通させずに、洗浄液供給装置から前記気液分離部及び前記蒸発部の内部へ前記洗浄液を供給する
洗浄液供給工程と、
前記熱交換器及び前記連絡管の内部の所定の高さまで補給水を供給する補給水供給工程と、
前記連絡管に設けられた検知部によって、前記連絡管の内部を流通して前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する検知工程と、を備え
、
前記検知工程は、前記連絡管の前記所定の高さよりも下方に設けられ、前記連絡管の内部に供給された前記補給水の電気伝導率を計測する電気伝導率計又は前記連絡管の内部に供給された前記補給水のpHを計測するpHセンサによって前記洗浄液を検知するボイラの化学洗浄方法。
【請求項14】
前記連絡管は、上下方向に延在する鉛直部を有し、
前記検知工程は、前記鉛直部に設けられている前記電気伝導率計又は前記pHセンサによって、前記洗浄液を検知する請求項13に記載のボイラの化学洗浄方法。
【請求項15】
前記検知部が前記洗浄液を検知した場合に、前記気液分離部から前記熱交換器への前記洗浄液の流入を阻止する阻止工程を備える請求項
13又は請求項14に記載のボイラの化学洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ボイラ及び発電プラント並びにボイラの化学洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石炭焚きボイラなどの大型のボイラは、中空形状をなして鉛直方向に設置される火炉を有し、この火炉壁に複数の燃焼バーナが火炉の周方向に沿って配設されている。また、石炭焚きボイラは、火炉の鉛直方向上方に煙道が連結されており、この煙道に蒸気を生成するための熱交換器が配置されている。そして、燃焼バーナが火炉内に燃料と空気(酸化性ガス)との混合気を噴射することで火炎が形成され、燃焼ガスが生成されて煙道に流れる。燃焼ガスが流れる領域に熱交換器が設置され、熱交換器を構成する伝熱管内を流れる水や蒸気を加熱して過熱蒸気が生成される。
【0003】
このようなボイラの給水及び蒸気系統において、伝熱管の内部等に洗浄液を循環させることで化学洗浄を行うことが知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1では、ボイラの汽水分離器及びそれよりも上流側(火炉側)を化学洗浄するに際しては、ボイラの運転を停止した後、循環配管のうち循環ポンプ及び弁を迂回するように仮設配管を設け、仮設配管に仮設循環ポンプを設けている。また、汽水分離器から過熱器へ接続される連絡管に過熱器内の水位を検出する仮設水位計を設け、過熱器内に水張りを行う旨が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ボイラの汽水分離器及びそれよりも上流側(火炉側)を化学洗浄する際に、汽水分離器に接続する化学洗浄対象としていない熱交換器は水張りがされている。洗浄液の一部が汽水分離器よりも下流側の水張りした化学洗浄の対象としていない熱交換器の系統、例えば過熱器系統に流入してしまうと、以下のような不具合を生じる。
化学洗浄対象とされていない熱交換器系統(例えば過熱器系統)の伝熱管内面で生成されるスケール(水蒸気酸化スケール)は、通常、洗浄液に対して難溶解性を示すスケールである。そのため、水張りした過熱器系統に洗浄液の一部が流入すると、洗浄液が水張り用の水と不均一に混合して希釈される。不均一に希釈されて不十分な洗浄性能となった洗浄液によってスケールが部分的に溶解し、スケールに亀裂が生じる。スケールに亀裂が生じると、亀裂から母材とスケールとの境界面まで洗浄液が到達し、母材(伝熱管)等の一部を溶解することでスケールと伝熱管内表面との間に空隙を発生させる可能性がある。空隙が発生すると、伝熱管内の流体(蒸気や水などの媒体)への伝熱が阻害されるので、過熱器の伝熱性能が低下する可能性がある。
また、過熱器系統に洗浄液の一部が流入すると、伝熱管内表面のスケールの亀裂からスケールを剥離させる可能性がある。スケールが剥離すると、洗浄後にボイラを起動させた際に、剥離したスケールがボイラの過熱器系統で部分的に堆積して、伝熱管内を閉塞させる可能性がある。伝熱管が閉塞すると、閉塞個所以降の伝熱管が熱交換できない状態となり、過熱器での伝熱性能の低下や伝熱管の損傷が発生する可能性がある。
【0007】
このような不具合の発生を解決するために、過熱器系統よりも上流側(火炉側)に配置される気液分離部における洗浄液の液位をレベル計で監視し、制御する場合がある。
しかしながら、化学洗浄中は、洗浄液中のスラッジや洗浄液を構成する成分の発泡によって、液位計が正常に機能せずに、液位を誤って計測する場合がある。すなわち、洗浄液の液位を正確に検知できない可能性がある。このような場合には、過熱器系統に洗浄液が流入し、上記のような不具合を生じる可能性がある。
また、洗浄液中に含まれるスラッジを、ボイラの汽水分離器及びそれよりも上流側(火炉側)から排出するために、洗浄液の循環量を多くした場合には、液位の変動の振幅が大きくなり、かつ変動の周期が頻繁になり、その結果、洗浄液の液位制御操作が追従できず、過熱器系統に洗浄液が流入し、上記のような不具合を生じる可能性がある。
【0008】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、気液分離部から化学洗浄対象としていない熱交換器へ向かう洗浄液を正確に検知することができるボイラ及び発電プラント並びにボイラの化学洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示のボイラ及び発電プラント並びにボイラの化学洗浄方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係るボイラは、洗浄液供給装置から供給される洗浄液によって洗浄可能なボイラであって、給水を加熱して蒸気を生成する蒸発部と、給水と前記蒸発部で生成された蒸気とを気液分離する気液分離部と、前記気液分離部で分離された蒸気と熱交換する熱交換器と、前記気液分離部と前記熱交換器とを接続する連絡管と、を備え、化学洗浄時において、前記熱交換器には前記洗浄液が流通することなく、前記気液分離部及び前記蒸発部は、内部へ前記洗浄液供給装置から前記洗浄液が供給され、前記連絡管には、前記連絡管の内部を流通して前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する検知部が設けられている。
【0010】
また、本開示の一態様に係るボイラの洗浄方法は、給水を加熱して蒸気を生成する蒸発部と、前記給水と前記蒸発部で生成された蒸気とを気液分離する気液分離部と、前記気液分離部で分離された蒸気と熱交換する熱交換器と、前記気液分離部と前記熱交換器とを接続する連絡管と、を備えるボイラの化学洗浄方法であって、前記熱交換器には前記洗浄液を流通させずに、洗浄液供給装置から前記気液分離部及び前記蒸発部の内部へ洗浄液を供給する供給工程と、前記連絡管に設けられた検知部によって、前記連絡管の内部を流通して前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する検知工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、気液分離部から化学洗浄対象としていない熱交換器へ向かう洗浄液を正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る石炭焚きボイラを示す概略構成図である。
【
図2】
図1の石炭焚きボイラにおける蒸気、復水、給水系統を示す概略図である。
【
図3】
図1のボイラの化学洗浄時における蒸気、給水系統を示す概略図である。
【
図4】本開示の第2実施形態に係るボイラの化学洗浄時における蒸気、給水系統を示す概略図である。
【
図5】本開示の第3実施形態に係るボイラの化学洗浄時における蒸気、給水系統を示す概略図である。
【
図6】本開示の第4実施形態に係るボイラの化学洗浄時における蒸気、給水系統を示す概略図である。
【
図7】本開示の第5実施形態に係るボイラの化学洗浄時における蒸気、給水系統を示す概略図である。
【
図8】本開示の第6実施形態に係るボイラの化学洗浄時における蒸気、給水系統を示す概略図である。
【
図9】本開示の第7実施形態に係るボイラの化学洗浄時における蒸気、給水系統を示す概略図である。
【
図10】本開示の第8実施形態に係るボイラの化学洗浄時の連絡管及び検知部を示す図である。
【
図11】
図10における第1超音波センサ及び第2超音波センサの検知時間の差を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本開示に係るボイラ及び発電プラント並びにボイラの化学洗浄方法の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0014】
[第1実施形態]
本開示に係る第1実施形態について
図1から
図3を用いて説明する。
図1は、本実施形態の石炭焚きボイラを表す概略構成図である。
【0015】
本実施形態の石炭焚きボイラ10は、石炭(炭素含有固体燃料)を粉砕した微粉炭を微粉燃料として用い、この微粉燃料を燃焼バーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能な石炭焚き(微粉炭焚き)ボイラである。以降の説明で、上や上方とは鉛直方向上側を示し、下や下方とは鉛直方向下側を示すものである。
【0016】
本実施形態において、
図1に示すように、石炭焚きボイラ10は、火炉11と燃焼装置12と燃焼ガス通路13を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11を構成する火炉壁(伝熱管)101は、複数の蒸発管とこれらを接続するフィンとで構成され、微粉燃料の燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換する火炉壁101の温度上昇を抑制している。
【0017】
燃焼装置12は、火炉11を構成する火炉壁101の下部側に設けられている。本実施形態では、燃焼装置12は、火炉壁101に装着された複数の燃焼バーナ(例えば21,22,23,24,25)を有している。例えば燃焼バーナ21,22,23,24,25は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたものが1セットとして、鉛直方向に沿って複数段配置されている。但し、火炉の形状や一つの段における燃焼バーナの数、段数はこの実施形態に限定されるものではない。
【0018】
各燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉炭供給管26,27,28,29,30を介して複数の粉砕機(ミル)31,32,33,34,35に連結されている。この粉砕機31,32,33,34,35は、図示しないが、例えば粉砕機のハウジング内に回転テーブルが駆動回転可能に支持され、この回転テーブルの上方に複数のローラが回転テーブルの回転に連動して回転可能に支持されて構成されている。石炭が複数のローラと回転テーブルとの間に投入されると、ここで所定の微粉炭の大きさに粉砕され、搬送用ガス(一次空気、酸化性ガス)により図示しない粉砕機のハウジング内の分級機に搬送されて所定の粒径範囲内に分級された微粉燃料を微粉炭供給管26,27,28,29,30から燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができる。
【0019】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置に風箱36が設けられており、この風箱36に空気ダクト(風道)37の一端部が連結されている。空気ダクト37は、他端部に押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)38が設けられている。
【0020】
燃焼ガス通路13は、
図1に示すように、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路13は、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102、103、104、再熱器105、106、節炭器107が設けられており、火炉11での燃焼で発生した燃焼ガスと各熱交換器を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。
【0021】
燃焼ガス通路13は、
図1に示すように、その下流側に熱交換を行った燃焼ガスが排出される煙道14が連結されている。煙道14は、空気ダクト37との間にエアヒータ(空気予熱器)42が設けられ、空気ダクト37を流れる空気と、煙道14を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給する燃焼用空気を昇温することができる。
【0022】
また、煙道14は、エアヒータ42より上流側の位置に脱硝装置43が設けられている。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を煙道14内に供給し、還元剤が供給された燃焼ガスを窒素酸化物と還元剤との反応を脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。そして、煙道14に連結されるガスダクト41は、エアヒータ42より下流側の位置に電気集塵機などの集塵装置44、誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45、脱硫装置46などが設けられ、下流端部に煙突50が設けられている。
【0023】
一方、複数の粉砕機31,32,33,34,35が駆動すると、生成された微粉燃料が搬送用ガス(一次空気、酸化性ガス)と共に微粉炭供給管26,27,28,29,30を通して燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。また、石炭焚きボイラ10の煙道14から排出された排ガスとエアヒータ42で熱交換することで、加熱された燃焼用空気(二次空気、酸化性ガス)が空気ダクト37から風箱36を介して各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給される。すると、燃焼バーナ21,22,23,24,25は、微粉燃料と搬送用ガスとが混合した微粉燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に燃焼用空気を火炉11に吹き込み、このときに微粉燃料混合気が着火することで火炎を形成することができる。火炉11内の下部で火炎が生じ、高温の燃焼ガスがこの火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路13に排出される。なお、酸化性ガスとして、本実施形態では空気を用いる。空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、燃料流量との適正化を図ることで使用可能になる。
【0024】
また、火炉11は、各燃焼バーナ21,22,23,24,25の装着位置より上方にアディショナル空気ポート39が設けられている。アディショナル空気ポート39に空気ダクト37から分岐したアディショナル空気ダクト40の端部が連結されている。従って、押込通風機38により送られた燃焼用空気(二次空気、酸化性ガス)を空気ダクト37から風箱36に供給し、この風箱36から各燃焼バーナ21,22,23,24,25に供給することができると共に、押込通風機38により送られた燃焼用追加空気(アディショナル空気)をアディショナル空気ダクト40からアディショナル空気ポート39に供給することができる。
【0025】
火炉11は、下部の領域Aにて、微粉燃料混合気と燃焼用空気(二次空気、酸化性ガス)とが燃焼して火炎が生じる。ここで火炉11は、空気の供給量が微粉炭の供給量に対して理論空気量未満となるように設定されることで、内部が還元雰囲気に保持される。即ち、微粉炭の燃焼により発生した窒素酸化物(NOx)が火炉11の領域Bで還元され、その後、アディショナル空気ポート39からアディショナル空気が追加供給されることで微粉炭の酸化燃焼が完結され、微粉炭の燃焼によるNOxの発生量が低減される。
【0026】
その後、燃焼ガスは、
図1に示すように、燃焼ガス通路13に配置される第2過熱器103、第3過熱器104、第1過熱器102、(以下単に過熱器と記載する場合もある)、第2再熱器106、第1再熱器105(以下単に再熱器と記載する場合もある)、節炭器107で熱交換した後、脱硝装置43により窒素酸化物が還元除去され、集塵装置44で粒子状物質が除去され、脱硫装置46にて硫黄酸化物が除去された後、煙突50から大気中に排出される。なお、各熱交換器は燃焼ガス流れに対して、必ずしも前記記載順に配置されなくともよい。
【0027】
次に、熱交換器として、燃焼ガス通路13に設けられた過熱器102,103,104、再熱器105,106、節炭器107について詳細に説明する。
図2は、石炭焚きボイラ10に設けられた熱交換器を表す概略図である。なお、
図1では燃焼ガス通路13内の各熱交換器(過熱器102,103,104、再熱器105,106、節炭器107)の位置を正確に示しているものではなく、各熱交換器の燃焼ガス流れに対する配置順も
図1の記載に限定されるものではない。
【0028】
図2には、本実施形態のボイラ発電プラント1に設けられた石炭焚きボイラ10の熱交換器と、石炭焚きボイラ10が生成した蒸気によって回転駆動される蒸気タービン110と、蒸気タービン110に連結され、蒸気タービン110の回転に応じて発電を行う発電機115とを備える。
【0029】
石炭焚きボイラ10で生成した蒸気により運転される蒸気タービン110は、例えば、高圧タービン111と中圧タービン112と低圧タービン113とから構成され、後述する再熱器からの蒸気が中圧タービンに流入したのちに低圧タービンに流入する。低圧タービン113には、復水器114が連結されており、低圧タービン113を回転駆動した蒸気がこの復水器114で冷却水(例えば、海水)により冷却されて復水となる。復水器114は、給水ラインL1を介して節炭器107に連結されている。給水ラインL1には、例えば、復水ポンプ(CP)121、低圧給水ヒータ122、ボイラ給水ポンプ(BFP)123、高圧給水ヒータ124が設けられている。低圧給水ヒータ122と高圧給水ヒータ124には、蒸気タービン111,112,113を駆動する蒸気の一部が抽気されて、図示しない抽気ラインを介して高圧給水ヒータ124と低圧給水ヒータ122に熱源として供給され、節炭器107へ供給される給水が加熱される。
【0030】
例えば、石炭焚きボイラ10が貫流ボイラの場合につき、説明をする。節炭器107は、火炉壁101の各蒸発管に連結されている。節炭器107で加熱された給水は、火炉壁101の蒸発管を通過する際に、火炉11内の火炎から輻射を受けて加熱され、汽水分離器(気液分離部)126へと導かれる。汽水分離器126にて分離された蒸気は、過熱器102,103,104へと供給され、汽水分離器126にて分離されたドレン水は、ドレンタンク127へ導かれる。ドレンタンク127から排出されたドレン水は、ドレン水ラインL2を介して復水器114へと導かれる。
【0031】
また、貫流ボイラの起動時や低負荷運転時等においては、節炭器107から供給される給水が火炉壁101の各蒸発管を通過する際に全量が蒸発せず、その結果、汽水分離器126に水位が存在する運転状態(ウエット運転状態)となることがある。このウエット運転状態においては、汽水分離器126にて分離されたドレン水は、ボイラ循環ポンプ(BCP)128を用いて循環ラインL6により、給水ラインL1の途中に合流させることで、節炭器107から火炉壁101の各蒸発管へと循環して供給してもよい。
【0032】
燃焼ガスが燃焼ガス通路13を流れるとき、この燃焼ガスは、過熱器102,103,104、再熱器105,106、節炭器107で熱回収される。一方、ボイラ給水ポンプ(BFP)123から供給された給水は、節炭器107によって予熱された後、火炉壁101の各蒸発管を通過する際に加熱されて蒸気となり、汽水分離器126に導かれる。汽水分離器126で分離された蒸気は、過熱器102,103,104に導入され、燃焼ガスによって過熱される。過熱器102,103,104で生成された過熱蒸気は、蒸気ラインL3を介して高圧タービン111に供給され、この高圧タービン111を回転駆動する。高圧タービン111から排出された蒸気は、蒸気ラインL4を介して、再熱器105,106に導入されて再度過熱される。再度過熱された蒸気は、蒸気ラインL5を介して、中圧タービン112を経て低圧タービン113に供給され、この中圧タービン112および低圧タービン113を回転駆動する。各蒸気タービン111,112,113の回転軸は、発電機115を回転駆動して、発電が行われる。低圧タービン113から排出された蒸気は、復水器114で冷却されることで復水となり、給水ラインL1を介して、再び、節炭器107に送られる。
【0033】
また、燃焼ガス通路13には、過熱器102,103,104、再熱器105,106、節炭器107など各熱交換器の伝熱管の間隙、または各熱交換器の間隙に図示しないスーツブロワ(除灰装置)が配置されていてもよい。スーツブロワは、燃焼ガス通路13の壁面に対して略垂直な方向に延在して配置される。スーツブロワは、燃焼ガス通路13の壁面に対して垂直方向を軸方向として、軸方向に直交する方向に蒸気(気体)を噴射し、また噴射方向も変動することができる噴射装置である。スーツブロワから過熱器102,103,104、再熱器105,106、節炭器107など熱交換器に向けて噴射された蒸気は、熱交換器の各伝熱管の表面に堆積した燃焼灰を除去し、熱交換器の各伝熱管における熱交換効率の低下を抑制する。
【0034】
次に、第1過熱器102、第2過熱器103、第3過熱器104、汽水分離器126及びドレンタンク127等について、
図3を用いて詳細に説明する。なお、
図3では、過熱器、汽水分離器126、ドレンタンク127及びそれらを接続するライン(配管)については、紙面上側が鉛直上方を意味し、紙面下側が鉛直下方を意味する。過熱器の給水流れにおける下流側については、紙面上側が鉛直上方ではなく、また、紙面下側が鉛直下方ではない。なお、
図3では、3つの第1過熱器102、第2過熱器103、第3過熱器104のうち、第1過熱器102のみを図示し、他の過熱器の図示を省略している。なお、第1過熱器102は以下単に過熱器102と記載する。
【0035】
本実施形態に係る過熱器102に接続する汽水分離器126は、2台設けられている。なお、
図3では、図示の関係上、1台の汽水分離器126のみを図示し、他方の汽水分離器126が接続する第1連絡配管130以降を省略している。また、各汽水分離器126は、略同様の構成であるので、以下の説明では、各々説明する必要がある場合を除き、一方の汽水分離器126のみを説明し、他方の汽水分離器126の説明を適宜省略する。
【0036】
汽水分離器126の底部と、ドレンタンク127の側部とはドレン水ラインL7によって接続されている。また、ドレンタンク127の底部には、上述のドレン水ラインL2の上流端が接続されている。また、汽水分離器126の側部には、蒸気ラインL8の下流端が接続されている。蒸気ラインL8は、火炉壁101を構成する伝熱管内で蒸発した蒸気(蒸気と給水の気液二相状態)を汽水分離器126に導く。
【0037】
汽水分離器126の天井部には、汽水分離器126で分離された蒸気を過熱器102へ導く第1連絡配管130が接続されている。すなわち、第1連絡配管130は、汽水分離器126と過熱器102とを接続している。本実施形態では、第1連絡配管130は、例えば、汽水分離器126の天井部から鉛直上方側へ延びる第1鉛直部130aと、第1鉛直部130aの上端から曲折して略水平に延びる第1水平部130bと、第1水平部130bの端部(第1鉛直部130aとは反対側の端部)から曲折して鉛直下方側へ延びる第2鉛直部130cと、第2鉛直部130cの下端から曲折して略水平に延びる第2水平部130dと、を有する。なお、第1水平部130bは、一例として略水平方向に延在する部分と説明したが、第1鉛直部130aと第2鉛直部130cとを繋ぐ部分であればよく、必ずしも略水平方向に延在する部分でなくてもよい。第2水平部130dの端部(第2鉛直部130cとは反対側の端部)は、過熱器102に直接または図示しない他配管を介して接続されている。第1鉛直部130aの途中位置には、第1連絡配管130内に存在する洗浄液を検知する第1超音波センサ131が設けられている。洗浄液については後述する。第1超音波センサ131は、検知結果を後述する制御装置150へ送信する。
【0038】
ドレンタンク127の天井部には、ドレンタンク127と第1連絡配管130とを接続する第2連絡配管132が接続されている。本実施形態では、第2連絡配管132は、例えば、ドレンタンク127の天井部から鉛直上方側へ延びる第3鉛直部132aと、第3鉛直部132aの上端から曲折して略水平に延びる第3水平部132bと、第3水平部132bの端部(第3鉛直部132aとは反対側の端部)から曲折して鉛直下方側へ延びる第4鉛直部132cと、を有する。なお、第3水平部132bは、一例として略水平方向に延在する部分と説明したが、第3鉛直部132aと第4鉛直部132cとを繋ぐ部分であればよく、必ずしも略水平方向に延在する部分でなくてもよい。第3鉛直部132aの上端は、第1鉛直部130aの上端よりも上方に位置している。また、第3水平部132bは、第1水平部130bよりも上方に位置している。なお、第3鉛直部132aの上端は、第1鉛直部130aの上端と同じ高さに位置していてもよく、また、第1鉛直部130aの上端よりも下方に位置していてもよい。また、同様に、第3水平部132bは、第1水平部130bと同じ高さに位置していてもよく、また、第1水平部130bよりも下方に位置していてもよい。
また、第3鉛直部132aの下流端は、第1連絡配管130の第1水平部130bの途中位置に接続されている。第3鉛直部132aの途中位置には、第2連絡配管132内に存在する洗浄液を検知する第2超音波センサ133が設けられている。本実施形態では、第2超音波センサ133は、第1超音波センサ131の高さレベルと略同一の高さレベルに設けられていて、洗浄液の液面の高さレベルの変化に対して略同一の検知をすることができる。第2超音波センサ133は、検知結果を後述する制御装置150へ送信する。
【0039】
過熱器102は、多数(本実施形態では、一例として200本程度)の伝熱管102aと、燃焼ガス通路13の幅方向に延びて各伝熱管102aの一端が接続される入口管寄せ102bと、燃焼ガス通路13の幅方向に延びて各伝熱管102aの他端が接続される出口管寄せ102cと、を有している。過熱器102を構成する長尺の伝熱管102aは、繰り返し折り曲げた蛇行状の平面状に形成されたパネルであり、略水平に延在するように形成されている。多数の伝熱管102aは、燃焼ガス通路13の幅方向に所定の間隔で並んで配置されている。炉幅方向の長さは例えば15~30mである。入口管寄せ102bは、汽水分離器126からの蒸気を各伝熱管102aへ分配する。また、出口管寄せ102cは、各伝熱管102aを流通した蒸気を合流させる。
過熱器102には、第1連絡配管130を介して、汽水分離器126から蒸気が供給される。上述のように本実施形態では汽水分離器126は2台設けられている。過熱器102には、各汽水分離器126から蒸気が供給される。このため、過熱器102(詳細には、入口管寄せ102b)には、2本の第1連絡配管130が接続されている。2本の第1連絡配管130は、燃焼ガス通路13の幅方向に離間して配置されている。これにより、各第1連絡配管130と入口管寄せ102bとの接続位置も、燃焼ガス通路13の幅方向に離間している。
過熱器102は、各伝熱管102a内を流通する蒸気を過熱する。過熱器102で加熱された蒸気は、第2過熱器103、第3過熱器104へと順に流通して蒸気が更に過熱されて、主蒸気配管である蒸気ラインL3を介して、蒸気タービン110に導かれる(
図2参照)。本実施形態では、
図3に示すように、蒸気ラインL3は、2本の過熱器側配管L3aが第2過熱器103(
図2参照)、第3過熱器104(
図2参照)へと順に接続されて、第3過熱器104(
図2参照)から導出する2本の過熱器側配管がタービンに至る前に1本のタービン側配管L3bに合流するように構成されている。したがって、過熱器側配管L3aと過熱器102(詳細には、出口管寄せ102c)との接続部分は、2か所存在する。各接続部分は、燃焼ガス通路13の幅方向に離間している。タービン側配管L3bには、主蒸気弁である蒸気弁L3cが設けられている。
【0040】
また、蒸気ラインL3のタービン側配管L3bには、補給水配管134が接続されている。詳細には、タービン側配管L3bのうち、蒸気弁L3cよりも過熱器102側の位置に、補給水配管134が接続されている。補給水配管134は、図示しない補給水タンクに貯留されている補給水を過熱器102や汽水分離器126等に供給して、後述する水張りを行うことができる。補給水配管134には、補給水タンク側から順番に、防錆剤供給部135、補給水ポンプ134a、補給水弁134bが設けられている。防錆剤供給部135は、補給水配管134内を流通する補給水に防錆剤(例えばヒドラジン、アンモニア)を混合する。補給水ポンプ134aは、補給水配管134内に防錆剤を含む補給水を流通させる。
【0041】
また、本実施形態に係るボイラ10には、制御装置150が設けられている。
制御装置150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線または無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。また、制御装置150は、発電プラントの運転に使用する常設の制御装置の一部を使用してもよいし、ボイラの化学洗浄のための仮設の制御装置を使用してもよい。
【0042】
制御装置150は、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133からの情報を受信する。具体的には、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133が後述する洗浄液を検知した場合に、その旨を受信する。また、制御装置150は、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133からの情報に基づいて、補給水ポンプ134aの発停を制御する。
【0043】
本実施形態に係るボイラ10において、節炭器を構成する伝熱管、火炉壁101を構成する伝熱管、汽水分離器126、ドレンタンク127及びこれらを接続する配管等を洗浄液で化学洗浄する方法について説明する。本実施形態では、汽水分離器126に接続する化学洗浄対象としていない熱交換器は、過熱器102とされる。
【0044】
ボイラ10を化学洗浄する際には、まずボイラ10の運転を停止する。
次に、給水ラインL1とドレン水ラインL2とを接続する仮設の配管(以下、「仮設配管136」という。)を設置する。仮設配管136には洗浄液供給装置137が設けられている。洗浄液供給装置137は、洗浄液貯留部(図示省略)に貯留された洗浄液を、仮設配管136を介して各種機器に供給する洗浄液循環ポンプ(図示省略)が設けられている。洗浄液の一例としては、酸性の洗浄液や中性防錆剤等が挙げられる。また、洗浄液の温度は、30度から90度程度であってもよい。なお、洗浄液が高温であると、洗浄液が蒸気として過熱器系統に流入する可能性がある。洗浄液が低温でも化学洗浄性能を発揮する洗浄液の場合には、洗浄液が蒸気とならないため、そのような不具合は生じない。
【0045】
次に、化学洗浄を行う際には、蒸気弁L3cを閉状態とするとともに、補給水ポンプ134aを駆動して、過熱器102及び第1連絡配管130に補給水を供給する。このとき、防錆剤供給部135によって、補給水に防錆剤を混合する。このようにして、過熱器102及び第1連絡配管130に防錆剤が混合された補給水が注入されてゆき、過熱器102及び第1連絡配管130の鉛直上下方向に配置された配管の所定高さまで、防錆剤が混合された補給水を張る。ここで、水を張る(水張り)とは、換言すれば、過熱器102及び第1連絡配管130の全てでなくても所定の高さまで、補給水が注水されて満たされた状態となることを示しており、以下この状態にすることを「水張り」、補給水が満たされた高さを「水張りレベル」と記載する。詳細には、
図3で示すように、第1連絡配管130の第2鉛直部130cの途中位置が補給水の水面(水張レベル)となるように、補給水を張る。
なお、過熱器102及び第1連絡配管130に補給水を張ってから、仮設配管136及び洗浄液供給装置137を設置してもよい。
【0046】
補給水を張ると、洗浄液供給装置137に設けられた洗浄液循環ポンプ(図示省略)を駆動して、洗浄液を所定範囲内で循環させる。本実施形態では、洗浄液は給水ラインL1を介して、洗浄液を節炭器107及び火炉壁101を構成する伝熱管へ導く。次に、蒸気ラインL8を介して、洗浄液を汽水分離器126へ導く。汽水分離器126から排出された洗浄液はドレン水ラインL7を介してドレンタンク127へ導かれる。ドレンタンク127から排出された洗浄液はドレン水ラインL2を介して、洗浄液循環ポンプに戻される。このようにして、洗浄液が循環することで、洗浄液が通過する各種機器及び配管内が化学洗浄される。
【0047】
ボイラ10の所定範囲内で洗浄液が循環する洗浄中に、洗浄液中のスラッジや洗浄液を構成する成分の発泡によってドレンタンク127に設けた液位計が正常に検知できないような場合や、洗浄液中に含まれるスラッジを、ボイラの汽水分離器及びそれよりも上流側(火炉側)から排出するために、洗浄液の循環量を多くした場合などに、液位の変動の振幅や周期が頻繁になり、洗浄液の液位制御操作が追従できない場合がある。このような場合には、汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液が、第1連絡配管130または第2連絡配管132を介して、過熱器102側の系統へ向かう(オーバーフローする)場合がある。以下では、汽水分離器126から洗浄液がオーバーフローした場合について説明するが、ドレンタンク127から洗浄液がオーバーフローした場合も、制御装置150は同様の処理を行う。
汽水分離器126から溢れた洗浄液は、第1連絡配管130の第1鉛直部130aに流入する。第1鉛直部130aに流入した洗浄液は、オーバーフローが継続する限り、液位が上昇する。洗浄液の液位が、第1超音波センサ131の検知対象位置まで上昇すると、第1超音波センサ131の波形が変化する。これにより、第1超音波センサ131は、洗浄液を検知する。第1超音波センサ131は、例えば薄膜状超音波センサであり、具体的には薄膜UT(Ultrasonic Testing)センサである。薄膜UTセンサは、超音波を用いたセンサであって、小型及び薄型であるため、配管が保温材で覆われている場合であっても、配管と保温材との間において配管の外周面に対して直接接触もしくは近接して設置することができ、配管の保温材を取り付けた状態でも常時に配管内の液面の変化を計測することができる。第1超音波センサ131は、検知結果を制御装置150へ送信する。制御装置150は、第1超音波センサ131からの情報に基づいて、洗浄液が検知対象位置まで上昇してきていると判断すると、補給水ポンプ134aを駆動して過熱器102側へ新たに補給水を供給する。このとき、防錆剤供給部135から防錆剤が補給水に混合されてもよい。
過熱器102及び第1連絡配管130の第2鉛直部130cには、所定の水張りレベルまで、すでに補給水が張られている。このため、補給水ポンプ134aによって新たに供給される補給水によって、過熱器102及び第1連絡配管130の第2鉛直部130c内の補給水が押圧され、汽水分離器126側へ移動する(汽水分離器126側へ移動する補給水を「逆洗水」ともいう)。これにより、第2鉛直部130cの水張りレベルが上昇し第2鉛直部130cの上端まで到達すると、逆洗水が第1水平部130bを介して第1鉛直部130aに流入する。これにより、第1連絡管内を汽水分離器126から過熱器102へ向かって流通する洗浄液が、汽水分離器126側へ押し戻される。したがって、過熱器102への洗浄液の流入が抑制される。
【0048】
所定時間経過後に、制御装置150は補給水ポンプ134aを停止して、第1連絡管内を過熱器102から汽水分離器126へ向かって流通し逆洗水となる補給水が停止する。所定時間とは、例えば、第1連絡配管130の容量や逆洗水の流量等によって決定してもよい。例えば、第1連絡配管130(2本分)の内容積×係数÷逆洗水の流量で、所定時間を設定してもよい。このとき、係数は、洗浄効果を考慮して1~2に設定してもよい。
また、補給水ポンプ134aの吐出流量は、水張りに要する時間を考慮して選定してもよい。例えば、第1連絡配管130の内容積が10m3程度である場合には、吐出流量が100m3/hのポンプで12分間補給水ポンプ134aを駆動してもよい。なお、この例では、係数を2として計算している。このように、補給水ポンプ134a及び所定時間を設定すると、オーバーフローした洗浄液が過熱器102に到達する前に押し戻すことができる。例えば、第1連絡管の長さが20m程度である場合には、洗浄液が張られた水と接触した場合の液接触による拡散速度が10m/h程度であっても、洗浄液が過熱器102に到達する前に押し戻すことができる。
なお、上記説明の所定時間及び補給水ポンプ134aの吐出流量等は一例であり、これに限定されない。第1連絡配管130の内容積等によって適宜決定してもよい。
【0049】
本実施形態では、このようにして、節炭器107を構成する伝熱管、火炉壁101を構成する伝熱管、汽水分離器126、ドレンタンク127及びこれらを接続する配管等を洗浄液で化学洗浄する。また、汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かう洗浄液を検知することが出来る。さらに、汽水分離器126に接続する過熱器102を化学洗浄の対象とせずに、洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ流入しないようにすることが出来る。
【0050】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
【0051】
洗浄液が過熱器系統に流入してしまうと、以下のような不具合を生じる。
洗浄液が、過熱器系統に張られた補給水と接触した場合、濃度勾配により、洗浄液が過熱器内に拡散する。
過熱器系統で生成されるスケール(水蒸気酸化スケール)は、通常、洗浄液に対して難溶解性のスケールのため、水張りした過熱器系統に洗浄液の一部が流入すると、洗浄液が水張り用の水と不均一に混合して希釈され不十分な化学洗浄性能となった洗浄液によってスケールが部分的に溶解し、スケールに亀裂が生じる。スケールに亀裂が生じると、亀裂から伝熱管102aの内面とスケールとの境界面まで洗浄液が到達し、伝熱管102aの内面の一部を溶解することで、伝熱管102aの内表面とスケールの間に空隙を発生させる可能性がある。伝熱管102aの内表面とスケールの間に空隙が発生すると、伝熱管102a内の流体(蒸気や水などの媒体)への伝熱が阻害され過熱器102での伝熱性能の低下が発生する可能性がある。
また、過熱器系統に洗浄液の一部が流入すると、伝熱管102aの内面のスケールの亀裂からスケールを剥離させる可能性がある。スケールが剥離すると、洗浄後にボイラ10を起動させた際に、剥離したスケールが過熱器102系統で部分的に堆積して、伝熱管102a内を閉塞させる可能性がある。伝熱管102aが閉塞すると、閉塞個所以降の伝熱管が熱交換できない状態となり、過熱器102の伝熱性能の低下や伝熱管102aの損傷を発生する可能性がある。
なお、スケールの剥離、閉塞による不具合は、第2過熱器103、第3過熱器104でも同様に起こり得る。さらに、上流の過熱器(例えば過熱器102)で剥離したスケールが、下流の過熱器(例えば第2過熱器103)の伝熱管内を閉塞させる可能性もある。
また、過熱器102系統に流入した洗浄液は、化学洗浄の対象範囲の洗浄中の段階から、過熱器102の伝熱管102aの内面のスケールに影響を与え始めるので、過熱器102系統に洗浄液が流入した場合は、速やかな措置が必要になる。
また、洗浄終了後に過熱器102系統に流入した洗浄液を排出するために、逆洗を実施するが、燃焼ガス通路13の幅方向に並んで配置されている各伝熱管102aに洗浄液が拡散すると、逆洗に要する逆洗水の流量を多くして各伝熱管102aに逆洗水が行き届くようにしなければならず、補給水ポンプ134a等を大型化等、設備コストが増大する。仮に少ない流量で逆洗を行った場合、伝熱管102aの全てを逆洗するのが困難となり、伝熱管102aの内面のスケールに亀裂発生させてスケールを剥離させる可能性がある。特に、補給水配管134からの逆洗水が通導入される出口管寄せ102cと過熱器側配管L3aとの接続位置から遠い領域(
図3の領域A、B、C等)に配置されている伝熱管102aは逆洗水が流れ込みにくいため、逆洗の効果は低下する。よって、洗浄作業終了後にも洗浄液が残留してしまう場合があり、ボイラ起動後において洗浄液の残留による水質の悪化を招く可能性がある。
このような観点から、過熱器102系統に洗浄液を流入させない、もしくは、流入したとしても迅速に過熱器102系統から洗浄液を速やかに排出させる必要がある。
【0052】
本実施形態では、第1連絡配管130及び第2連絡配管132に洗浄液の液面が到達したことを検知する超音波センサ(第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133)が設けられている。このように、洗浄液自体を検知する超音波センサを設けることで、確実に第1連絡配管130及び第2連絡配管132内の洗浄液の液面の上昇を検知することができる。したがって、汽水分離器126またはドレンタンク127から洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かう洗浄液を、より正確に検知することができる。
【0053】
また、洗浄液を検知する超音波センサが、過熱器102と汽水分離器126及びドレンタンク127とを接続する第1連絡配管130及び第2連絡配管132の所定の高さに設けられている。これにより、汽水分離器126またはドレンタンク127からオーバーフローして過熱器102へ向かう洗浄液が発生した場合に、洗浄液が過熱器102に到達する前に検知することができる。したがって、洗浄液が過熱器102へ到達することを抑制することができる。
【0054】
また、本実施形態では、第1連絡配管130及び第2連絡配管132に設けられた超音波センサが洗浄液を検知した場合、補給水ポンプ134aが、過熱器102側から汽水分離器126側へ向かって、第1連絡配管130内及び第2連絡配管132内に逆洗水を流通させる。これにより、第1連絡配管130内または第2連絡配管132内を汽水分離器126またはドレンタンク127から過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液は、汽水分離器126側またはドレンタンク127側へ押し戻される。したがって、過熱器102への洗浄液の流入を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態では、洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ到達する前に、補給水ポンプ134aが駆動し、逆洗水によって洗浄液を押し戻す。これにより、より確実に洗浄液の流入を抑制することができる。したがって、化学洗浄作業終了後に、過熱器102内部に洗浄液が流入して、ボイラ起動後に剥離したスケールによる閉塞や洗浄液残留による水質の悪化を招く事態を抑制することができる。
【0056】
また、補給水ポンプ134aの駆動時間を所定時間としている。すなわち、逆洗水を送る時間を所定時間としている。これにより、逆洗水を送り続ける場合と比較して、汽水分離器126側に流入する補給水が少なくなる。したがって、洗浄液が逆洗水によって希釈されることを低減することができる。よって、洗浄液の希釈による洗浄効果の低下を抑制することができる。また、希釈された洗浄液へ追加して補給する洗浄剤の使用量を低減することができる。
【0057】
なお、本実施形態では、超音波センサを第1連絡配管130及び第2連絡配管132の両方に設けた例について説明したが、本開示はこれに限定されない。第1連絡配管130または第2連絡配管132のどちらか一方にのみ超音波センサを設けてもよい。
【0058】
[変形例1]
なお、本実施形態では、洗浄液を検知するセンサとして、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133を用いる例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、各超音波センサの代わりに、互いに離間した一対の電極を設けてもよい。一対の電極の双方に洗浄液の液面が到達すると、一対の電極同士が通電するため、この通電を検出することで、洗浄液を検出することができる。このように構成した場合であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
[変形例2]
また、例えば、各超音波センサの代わりに温度センサを用いてもよい。この場合には、温度センサが、第1連絡配管130または第2連絡配管132の内部が洗浄液の温度もしくは洗浄液の温度より数度(1度から10度程度)低く設定した第1閾値温度まで上昇したことを検知した場合に、制御装置150が補給水ポンプ134aを駆動して、逆洗を行う。そして、所定時間経過後に補給水ポンプ134aを停止して、逆洗を終了する。なお、所定時間の考え方は、第1実施形態と同様である。
なお、補給水ポンプ134aを停止するタイミングは、温度センサが検出する温度が所定の第2閾値温度よりも下がった場合としてもよい。この場合の所定の第2閾値温度は、張られた補給水の温度(もしくは、化学洗浄対象領域の雰囲気温度)よりも高い温度であって、洗浄液の第1閾値温度よりも低い温度に基づいて設定してもよい。なお、洗浄液の温度は、例えば汽水分離器126、ドレンタンク127または洗浄液供給装置137に設置された熱電対などによる温度計により得られ、補給水の温度は、例えば過熱器102に設置された熱電対などによる温度計により得られてもよい。
このように構成した場合であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
[第2実施形態]
次に、本開示に係る第2実施形態について、
図4を用いて説明する。なお、
図4では、火炉壁101、節炭器107及び洗浄液供給装置137等を省略して図示している。
本実施形態に係るボイラ10は、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133の代わりに、電気伝導率計140を設けた点と電気伝導率計140を設置する位置が異なる点で第1実施形態と異なっている。その他の点では、第1実施形態と略同様であるので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0061】
本実施形態に係る電気伝導率計140は、
図4に示すように、第1連絡配管130の第2鉛直部130cに設けられている。詳細には、第1連絡配管130の第1鉛直部130aよりも過熱器102側にある第2鉛直部130cに設けられて、第2鉛直部130cの水張レベルよりも下方に設けられている。すなわち、電気伝導率計140は、補給水を張った状態において、補給水中に位置して補給水の性状を計測している。電気伝導率計140は、水張りレベルの近傍で、かつ水張りレベルより下方側に配置されることが望ましい。
【0062】
汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かう洗浄液が張られた補給水まで到達した場合には、補給水と洗浄液とが混合することで、電気伝導率が上昇する。電気伝導率計140は、化学洗浄開始時点の張られた補給水の電気伝導率の値よりも予め設定していた所定の第1閾値差分の上昇を検出すると、速やかに制御装置150へ情報を送信する。これにより、制御装置150は、補給水ポンプ134aを駆動して、逆洗を行う。そして、所定時間経過後に補給水ポンプ134aを停止して、逆洗を終了する。なお、所定時間の考え方は、第1実施形態と同様である。
なお、補給水ポンプ134aを停止するタイミングは、電気伝導率計140が検出する電気伝導率が下がり、逆洗を開始した補給水の電気伝導率の値よりも予め設定していた所定の閾値よりも低下したタイミングとしてもよい。この場合の所定の第2閾値差分とは、上昇する前の電気伝導率(すなわち、洗浄液が混合される前の張られた補給水の電気伝導率)と同等の値としてもよい。また、ハンチングを避けるために閾値よりも5%から20%程度の小さい値としてもよい。
【0063】
このように構成した場合であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、例えば、洗浄液が蒸発して、気相となり、気相の状態で汽水分離器126またはドレンタンク127から過熱器102側へ流通してきた場合でも、張られた補給水と接触することで、気相状態の洗浄液が冷却され、凝縮する。凝縮した洗浄液は、補給水に拡散して混合するため、補給水の電気伝導率が上昇する。よって、洗浄液が気相の状態で過熱器102側へ流通してきた場合であっても、補給水ポンプ134aを駆動して逆洗を行って、過熱器102への洗浄液の流入を抑制することができる。
なお、電気伝導率計140の代わりに、pHセンサを用いてもよい。
【0064】
[第3実施形態]
次に、本開示に係る第3実施形態について、
図5を用いて説明する。なお、
図5では、
図4と同様に、火炉壁101、節炭器107及び洗浄液供給装置137等を省略して図示している。
本実施形態に係るボイラ10は、第1連絡配管130及び第2連絡配管132内にガスを供給するガス供給部141を有する点、及び、制御装置150が行う処理の内容が、第1実施形態と異なっている。その他の点では、第1実施形態と略同様であるので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0065】
本実施形態では、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かう洗浄液を検知した場合に、第1連絡配管130内及び第2連絡配管132内にガスを供給するガス供給部141が設けられている。
【0066】
ガス供給部141は、第1連絡配管130の第1水平部130bまたは第2連絡配管132の第3水平部132bに接続されるガス配管141aと、ガス配管141aに設けられるガス弁141bと、を有している。ガス供給部141から供給されるガスの一例としては、窒素ガスや空気が挙げられる。供給されるガスは、洗浄液の性能への影響をより低減するには、酸素を含まない窒素ガスがより好ましい。
【0067】
制御装置150は、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が洗浄液を検知した場合に、ガス弁141bを開状態とし、ガス配管141aを介して第1連絡配管130内及び第2連絡配管132内にガスを供給する。これにより、第1連絡配管130内及び第2連絡配管132内にガスが流入し、このガスによって、第1連絡配管130内または第2連絡配管132内を汽水分離器126またはドレンタンク127から過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液が気液分離部側へ押し戻される。
【0068】
所定時間経過後に、ガス弁141bを閉状態としガスの供給を停止する。所定時間とは、例えば、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133の位置から水張りレベルまでの第1連絡配管130及び第2連絡配管132内の気相部の容積×係数÷ガス流量で決定する。係数は、押し出し効果を考慮して、1~2に設定してもよい。
【0069】
なお、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133の代わりに、第1実施形態の変形例2のように、第1温度センサ及び第2温度センサを設けてもよい。このように構成した場合には、ガス弁141bを開状態とするタイミングは、温度センサが検出する温度が所定の第1閾値温度よりも上昇した場合としてもよく、またガス弁141bを閉状態とするタイミングは、温度センサが検出する温度が所定の第2閾値温度よりも下がった場合としてもよい。この場合の所定の閾値は、張られた補給水の温度(もしくは、化学洗浄対象領域の雰囲気温度)よりも高い温度であって、洗浄液の温度よりも低い温度としてもよい。
【0070】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が洗浄液を検知した場合、ガス供給部141が連絡配管内にガスを供給する。これにより、第1連絡配管130または第2連絡配管132内を気液分離部から過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液は、ガスによって汽水分離器126側またはドレンタンク127側へ押し戻される。したがって、過熱器102への洗浄液の流入を抑制することができる。
また、ガスによって、洗浄液を押し戻しているので、洗浄液が希釈しない。よって、化学洗浄効果の低下を抑制することができる。
【0071】
[第4実施形態]
次に、本開示に係る第4実施形態について、
図6を用いて説明する。なお、
図6では、
図4と同様に、火炉壁101、節炭器107及び洗浄液供給装置137等を省略して図示している。
本実施形態に係るボイラ10は、ドレン水ラインL2から分岐する第1排出配管(排出部)142を有している点、及び、制御装置150が行う処理が、第1実施形態と異なっている。その他の点では、第1実施形態と略同様であるので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0072】
本実施形態では、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が洗浄液を検知した場合に、洗浄対象領域を循環する洗浄液を系外へ排出する第1排出配管142を有する。第1排出配管142は、本実施形態では、例えばドレンタンク127の下方に設けられている。第1排出配管142の上流端は、ドレン水ラインL2の途中位置に接続されている。第1排出配管142には第1排出弁142aが設けられている。
【0073】
制御装置150は、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かう洗浄液を検知した場合に、第1排出弁142aを開状態とし、第1排出配管142を介してドレン水ラインL2内を流通する洗浄液の一部を系外へ排出する。系外とは、洗浄液の循環系統の外のことである。
また、制御装置150は、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が洗浄液を検知しなくなったら、第1排出弁142aを閉状態とし、洗浄液の排出を停止する。
【0074】
なお、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133の代わりに、第1実施形態の変形例2のように、第1温度センサ及び第2温度センサを設けてもよい。このように構成した場合には、第1排出弁142aを開状態とするタイミングは、温度センサが検出する温度が所定の第1閾値温度よりも上昇した場合としてもよく、また第1排出弁142aを閉状態とするタイミングは、温度センサが検出する温度が所定の第2閾値温度よりも下がった場合としてもよい。この場合の所定の第2閾値温度は、張られた補給水の温度(もしくは、化学洗浄対象領域の雰囲気温度)よりも高い温度であって、洗浄液の温度よりも低い温度としてもよい。
【0075】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かう洗浄液を検知した場合、ドレン水ラインL2内から洗浄液を系外へ排出している。第1排出配管142は、ドレンタンク127の下方に設けられている。したがって、第1排出配管142から洗浄液を排出することで、ドレンタンク127内の洗浄液の量が低減し、ドレンタンク127内の洗浄液の液位が下降する。これに応じて、第1連絡配管130及び第2連絡配管132内を過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液も、汽水分離器126またはドレンタンク127へ戻される。したがって、過熱器102への洗浄液の流入を抑制することができる。
また、洗浄液を系外へ排出しているだけなので、洗浄液が希釈しない。よって、化学洗浄効果の低下を抑制することができる。
【0076】
[第5実施形態]
次に、本開示に係る第5実施形態について、
図7を用いて説明する。なお、
図7では、
図4と同様に、火炉壁101、節炭器107及び洗浄液供給装置137等を省略して図示している。
本実施形態に係るボイラ10は、第1連絡配管130の第1超音波センサ131または第2超音波センサ133より過熱器102側から分岐する第2排出配管(排出部)143を有している点、及び、制御装置150が行う処理が、第1実施形態と異なっている。その他の点では、第1実施形態と略同様であるので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0077】
本実施形態では、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液を検知した場合に、第1連絡配管130内の補給水と洗浄液との混合流体を、系外へ排出する第2排出配管143を有する。第2排出配管143の上流端は、第1連絡配管130の第1超音波センサ131または第2超音波センサ133より過熱器102側の途中位置に接続されている。第2排出配管143の上流端は、第1連絡配管130の第2鉛直部130cに至る前の途中位置に接続されていると、過熱器102へ洗浄液が流入する前に補給水と洗浄液との混合流体を系外へ確実に排出できるので、さらに好ましい。第2排出配管143には第2排出弁143aが設けられている。
【0078】
制御装置150は、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液を検知した場合に、第2排出弁143aを開状態とし、第2排出配管143を介して第1連絡配管130内を流通する補給水と洗浄液との混合流体を系外へ排出する。系外とは、補給水及び洗浄液が流通する系統の外のことである。
また、制御装置150は、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が洗浄液を検知しなくなったら、第2排出弁143aを閉状態とし、混合流体の排出を停止する。
さらに、制御装置150は、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が洗浄液を検知した場合に、補給水ポンプ134aを駆動して、所定の流量で逆洗をしても良い。この場合、所定の流量は、補給水ポンプ134aで設定し得る最小の流量とし、第2排出配管143を介して、第1連絡配管130内を流通する補給水と洗浄液との混合流体と共に系外へ排出しても良い。
また、補給水ポンプ134aを駆動した場合、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が洗浄液を検知しなくなったら、第1連絡配管130内を流通する補給水と洗浄液との混合流体が系外へ排出される時間、補給水ポンプ134aの駆動を継続し、その後、補給水ポンプ134aを停止しても良い。
【0079】
なお、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133の代わりに、第1実施形態の変形例2のように、第1温度センサ及び第2温度センサを設けてもよい。このように構成した場合には、第2排出弁143aを開状態とするタイミングは、温度センサが検出する温度が所定の第1閾値温度よりも上昇した場合としてもよく、また第2排出弁143aを閉状態とするタイミングは、温度センサが検出する温度が所定の第2閾値温度よりも下がった場合としてもよい。この場合の所定の第2閾値温度は、張られた補給水の温度(もしくは、化学洗浄対象領域の雰囲気温度)よりも高い温度であって、洗浄液の温度よりも低い温度としてもよい。
また、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133の代わりに、第2実施形態のように、第1連絡配管130の第2鉛直部130cに電気伝導率計を設けてもよい。このように構成した場合には、第2排出弁143aを開状態とするタイミングは、電気伝導率計が検出する電気伝導率が化学洗浄開始時点の張られた補給水の電気伝導率の値よりも予め設定していた所定の第1閾値差分の上昇を検出したときとしてもよい。また、第2排出弁143aを閉状態とするタイミングは、電気伝導率計が検出する電気伝導率が下がり、逆洗を開始した補給水の電気伝導率の値よりも予め設定していた所定の閾値よりも下がった場合としてもよい。この場合の所定の閾値とは、上昇する前の電気伝導率(すなわち、洗浄液が混合される前の張られた補給水の電気伝導率)と同等の値としてもよい。また、ハンチングを避けるために閾値よりも5%から20%程度の小さい値としてもよい。
【0080】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液を検知した場合、第2排出配管143から、補給水と洗浄液との混合流体を系外へ排出する。すなわち、第1連絡配管130内を過熱器102へ向かって流通する洗浄液が系外へ排出される。したがって、過熱器102への洗浄液の流入を抑制することができる。
さらに、補給水ポンプ134aを駆動して、過熱器102側へ新たに補給水を供給し、第1連絡配管130内を流通する補給水と洗浄液との混合流体と共に系外へ排出することで、排出時の洗浄液拡散による過熱器102への流入を抑制する効果を高めることができる。
また、洗浄液を系外へ排出しているだけなので、洗浄液が希釈しない。よって、化学洗浄効果の低下を抑制することができる。
【0081】
[第6実施形態]
次に、本開示に係る第6実施形態について、
図8を用いて説明する。なお、
図8では、
図4と同様に、火炉壁101、節炭器107及び洗浄液供給装置137等を省略して図示している。
本実施形態に係るボイラ10は、補給水配管134から分岐して第1超音波センサ131または第2超音波センサ133より過熱器102側に接続するバイパス配管(バイパス管)144を有している点、防錆剤供給部135が防錆剤弁135aを有している点、及び、制御装置150が行う処理が、第1実施形態と異なっている。その他の点では、第1実施形態と略同様であるので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0082】
本実施形態では、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かう洗浄液を検知した場合に、過熱器102をバイパスして、第1連絡配管130内に補給水(逆洗水)を供給するバイパス配管144を有する。バイパス配管144の上流端は、補給水配管134の途中位置であって、補給水ポンプ134aと補給水弁134bの間に接続されている。また、バイパス配管144の下流端は、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133より過熱器102側の第1連絡配管130に接続されている。バイパス配管144の下流端は、第1連絡配管130の第2鉛直部130cに至る前の途中位置に接続されていると、過熱器102へ洗浄液が流入する前に補給水と洗浄液との混合流体を系外へ確実に排出できるので、さらに好ましい。バイパス配管144にはバイパス弁144aが設けられている。
【0083】
制御装置150は、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液を検知した場合に補給水ポンプ134aを駆動するとともに、バイパス弁144aを開状態とする。また、補給水弁134bが開状態の場合には、閉状態とする。また、防錆剤供給部135の防錆剤弁135aが開状態の場合には閉状態とする。これにより、バイパス配管144を介して第1連絡配管130内に補給水(逆洗水)が流入する。
また、制御装置150は、所定時間経過後にバイパス弁144aを閉状態として、逆洗を停止する。所定時間の考え方は、第1実施形態と同様である。
【0084】
なお、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133の代わりに、第1実施形態の変形例2のように、第1温度センサ及び第2温度センサを設けてもよい。また、第1超音波センサ131及び第2超音波センサ133の代わりに、第2実施形態のように、第1連絡配管130の第2鉛直部130cに電気伝導計を設けてもよい。第1温度センサ及び第2温度センサを設けた場合の運用、および第1連絡配管130の第2鉛直部130cに電気伝導計を設けた場合の運用は、前述の実施形態と同様である。
【0085】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、バイパス配管144を介して第1連絡配管130に逆洗水を流通させている。すなわち、逆洗水が過熱器102を通過しない。これにより、逆洗水に防錆剤を混合させる必要がない。したがって、防錆剤の使用量を低減することができる。
【0086】
[第7実施形態]
次に、本開示に係る第7実施形態について、
図9を用いて説明する。なお、
図9では、
図4と同様に、火炉壁101、節炭器107及び洗浄液供給装置137等を省略して図示している。
本実施形態に係るボイラ10は、制御装置150が行う処理が、第6実施形態と異なっている。その他の点では、第6実施形態と略同様であるので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0087】
図9では、上記説明では図示を省略していた汽水分離器126も図示している。すなわち、汽水分離器126を2台図示している。以下の説明では、一方の汽水分離器126(上記各実施形態で説明した汽水分離器126)を汽水分離器126Aと称し、他方の汽水分離器126を汽水分離器126Bと称する。
図9に示すように、汽水分離器126Bは、第3連絡配管145によって、過熱器102と接続されている。第3連絡配管145は、第1連絡配管130と同様に、第1鉛直部145a、第1水平部145b、第2鉛直部145c及び第2水平部145dから構成されており、第3連絡配管145の第1鉛直部145aには、所定の位置に第3超音波センサ146が設けられている。また、汽水分離器126Bは、ドレン水ラインL9によって、ドレンタンク127と接続されている。
【0088】
また、本実施形態では、第1連絡配管130と接続するバイパス配管144のほかに、第3連絡配管145と接続するバイパス配管144が設けられている。以下の説明では、第1連絡配管130と接続するバイパス配管144を第1バイパス配管144Aと称し、第3連絡配管145と接続するバイパス配管144を第2バイパス配管144Bと称する。また、第1バイパス配管144Aに設けられたバイパス弁144aを第1バイパス弁144Aaと称する。なお、第1バイパス配管144Aは、第6実施形態で説明したバイパス配管144と略同一であるので、詳細な説明は省略する。第2バイパス配管144Bは、第1バイパス配管144Aから分岐している。第2バイパス配管144Bの下流端は、第3連絡配管145に接続されている。第2バイパス配管144Bには第2バイパス弁144Baが設けられている。
【0089】
制御装置150は、第1超音波センサ131、第2超音波センサ133または第3超音波センサ146が、汽水分離器126またはドレンタンク127から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液を検知した場合に補給水ポンプ134aを駆動する。また、各超音波センサの検知結果に応じて、第1バイパス配管144A及び/または第2バイパス弁144Baを開状態とする。なお、第6実施形態と同様に、制御装置150は、補給水弁134bが開状態の場合には、閉状態とする。また、防錆剤供給部135の防錆剤弁135aが開状態の場合には閉状態とする。これにより、第1バイパス配管144A及び/又は第2バイパス配管144Bを介して第1連絡配管130及び/又は第3連絡配管145に補給水(逆洗水)が流入する。すなわち、制御装置150は、各超音波センサの検知結果に応じて、第1連絡配管130及び/又は第3連絡配管145の逆洗を行う。例えば、第1超音波センサ131のみが洗浄液を検知した場合には、第1バイパス弁144Aaのみを開状態として、第1連絡配管130のみを逆洗してもよい。
また、制御装置150は、所定時間経過後に第1バイパス弁144Aa及び/又は第2バイパス弁144Baを閉状態として、逆洗を停止する。所定時間の考え方は、第6実施形態と同様である。
【0090】
なお、第1超音波センサ131、第2超音波センサ133及び第3超音波センサ146の代わりに、第1実施形態の変形例2のように、第1温度センサ、第2温度センサ及び第3温度センサを設けてもよい。また、第1超音波センサ131、第2超音波センサ133及び第3超音波センサ146の代わりに、第2実施形態のように、第1連絡配管130の第2鉛直部130c及び第3連絡配管145の第2鉛直部145cに電気伝導計を設けてもよい。第1温度センサ、第2温度センサ及び第3温度センサを設けた場合の運用、および第1連絡配管130の第2鉛直部130c及び第2鉛直部145cに電気伝導計を設けた場合の運用は、前述の実施形態と同様である。
【0091】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、逆洗が必要な連絡配管のみに逆洗水を供給している。これにより、逆洗水の流量を低減することができる。また、洗浄液の逆洗水による希釈を抑制し、洗浄液の希釈による化学洗浄効果の低下を抑制することができる。また、希釈された洗浄液へ補給する洗浄剤の使用量を低減することができる。
また、本実施形態では、バイパス配管144を介して第1連絡配管130及び/または第3連絡配管145に逆洗水を流通させている。すなわち、逆洗水が過熱器102を通過しない。これにより、逆洗水に防錆剤を混合させる必要がない。したがって、防錆剤の使用量を低減することができる。
【0092】
[第8実施形態]
次に、本開示に係る第8実施形態について、
図10及び
図11を用いて説明する。
本実施形態に係るボイラ10は、各連絡配管に、2つの超音波センサが設けられている点、及び、制御装置150が行う処理が上記各実施形態と異なっている。その他の点では、上記各実施形態と略同様であるので、同一の構成については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
以下では、第1連絡配管130に設けられる超音波センサについて説明するが、第2連絡配管132及び第3連絡配管145でも同様に構成されてもよい。
本実施形態に係る第1連絡配管130の第1鉛直部130aには、
図10に示すように、汽水分離器126から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液を検知する下部超音波センサ(第1検知部)147と、下部超音波センサ147よりも上方に設けられて洗浄液を検知する上部超音波センサ(第2検知部)148とが設けられている。下部超音波センサ147と上部超音波センサ148とは、ΔLだけ離間している。
【0093】
制御装置150は、
図11に示すように、下部超音波センサ147が汽水分離器126から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液を検知した時間t1と、上部超音波センサ148が洗浄液を検知した時間t2と、の時間差Δtを求め、時間差Δtが所定の値よりも小さい場合に洗浄液循環ポンプを停止する。
すなわち、制御装置150は、時間差Δtから汽水分離器126から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液のオーバーフローを生じる際の洗浄液の流速の程度を判定して、洗浄液のオーバーフローの程度を判定する。例えば、所定の閾値時間よりも小さい場合には、逆洗やブロー操作を実施しても、過熱器102への洗浄液の流入が懸念されるような大量なオーバーフローが発生していると判断してもよい。このような大量なオーバーフローが発生した場合には、大流量の洗浄液が、過熱器102に張られた補給水に接触するし、補給水への洗浄液の拡散速度が大きくなり、過熱器102に張られた補給水の洗浄液の濃度は高濃度となる。
【0094】
所定の閾値時間は、以下の式に基づいて設定してもよい。
制御装置150は、時間差Δt等に基づいて、オーバーフローした洗浄液が過熱器102(詳細には、入口管寄せ102b)に到達するまでの時間Tを以下の(1)式から算出する。
【0095】
T=(Δt/ΔL)×L・・・(1)
但し、
Δt:時間差
ΔL:下部超音波センサ147と上部超音波センサ148との距離
L:第1連絡配管130の全長
【0096】
また、制御装置150は、各超音波センサで汽水分離器126溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液を検出してから、補給水ポンプ134aを駆動して逆洗水が、連絡配管に到達するまでの時間T0を予め記憶部に記憶している。制御装置150は、算出したTとT0とを比較して、T<T0となる場合、すなわち、補給水ポンプ134aを駆動して逆洗を実施しても、過熱器102への洗浄液の流入が懸念される場合には、洗浄液循環ポンプを速やかに停止して過熱器102へ向かって流通する洗浄液の流通を停止する。
【0097】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、下部超音波センサ147が汽水分離器126から溢れた洗浄液がオーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液を検知してから、上部超音波センサ148が洗浄液を検知するまでの時間を計測することで、オーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液の流通速度を検出することができる。すなわち、オーバーフローの程度を判断することができる。
また、本実施形態では、下部超音波センサ147が洗浄液を検知してから上部超音波センサ148が洗浄液を検知するまでの時間が、所定の閾値時間(所定の値)以下の場合に洗浄液循環ポンプを停止する。これにより、洗浄液の流通速度が、オーバーフローして過熱器102へ向かって流通しようとする浄液を検出してから、補給水ポンプ134aを駆動して逆洗水が、連絡配管に到達するまでの時間T0に相当する速度を超える場合に、洗浄液循環ポンプを停止することができる。洗浄液循環ポンプを停止することで、洗浄液の循環が停止する。したがって、第1連絡管内を気液分離部から過熱器102へ向かって流通しようとする洗浄液の流通も停止するので、過熱器102への洗浄液の流入を抑制することができる。
【0098】
なお、超音波センサを3つ以上設け、各超音波センサからの情報に基づいてオーバーフローした洗浄液が過熱器102に到達するまでの時間Tをより正確に求めてもよい。
また、時間差Δtに基づいて、洗浄液を押し戻す手段を選択してもよい。例えば、時間差Δtが大きい場合(オーバーフローの程度が小さい場合)には、洗浄液循環ポンプを停止せずに、第1実施形態で説明したように逆洗のみを行ってもよい。
また、時間差Δtが所定の値より小さい場合(オーバーフローの程度が大きい場合)には、洗浄液循環ポンプを停止してから逆洗を行ってもよい。このように洗浄液の流通を停止してから逆洗を行うと、逆洗に要する補給水の流量を低減することができる。また、洗浄液循環ポンプの停止のみでは、過熱器102への洗浄液の流入を抑制できない可能性があるので、逆洗、ガス注入、洗浄液の系外排出等の他の手段と組みわせることが好適である。
【0099】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、上記各実施形態は、適宜組み合わせてもよい。
また、上記各実施形態では、過熱器102へ洗浄液の流入を阻止する構造について説明したが、本開示はこれに限定されない。過熱器102ではなく、他の熱交換器(例えば、再熱器や節炭器)へ洗浄液の流入を阻止する構造に適用してもよい。
また、気液分離部から過熱器102へ向かって流通する洗浄液の流通を阻害する手段をさらに設けてもよく、上記各実施形態に限定されない。例えば、第1超音波センサ131または第2超音波センサ133が洗浄液を検知した際に、第1連絡配管130内にガスの供給などにより膨張して配管を閉塞する部材を設置することで、第1連絡配管130を閉塞する閉塞部を設けてもよい。
また、上記各実施形態では、本開示を貫流ボイラに適用する例について説明したが、ドラム式のボイラに適用してもよい。
【0100】
上述した実施形態では、本発明のボイラを石炭焚きボイラとしたが、固体燃料としては、バイオマス燃料や石油精製時に発生するPC(石油コークス:Petroleum Coke)燃料、石油残渣などを使用するボイラであってもよい。また、燃料として固体燃料に限らず、重質油などの液体燃料も使用することができ、更には、燃料として気体燃料(副生ガスなど)も使用することができる。そして、これら燃料の混焼焚きにも適用することができる。
【0101】
以上説明した各実施形態に記載のボイラ及び発電プラント並びにボイラの化学洗浄方法は例えば以下のように把握される。
【0102】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、洗浄液供給装置(137)から供給される洗浄液によって化学洗浄可能なボイラ(10)であって、給水を加熱して蒸気を生成する蒸発部(101、107)と、前記給水と前記蒸発部(101、107)で生成された蒸気とを気液分離する気液分離部(126、127)と、前記気液分離部(126、127)で分離された蒸気と熱交換する熱交換器(102)と、前記気液分離部(126、127)と前記熱交換器(102)とを接続する連絡管(130)と、を備え、化学洗浄時において、前記熱交換器(130)には前記洗浄液が流通することなく、前記気液分離部(126、127)及び前記蒸発部(101、107)は、内部へ前記洗浄液供給装置(137)から前記洗浄液が供給され、前記連絡管(130)には、前記連絡管(130)の内部を流通して前記熱交換器(102)側に向かう前記洗浄液を検知する検知部(131)が設けられている。
【0103】
上記構成では、洗浄液を検知する検知部が設けられている。このように、洗浄液自体を検知する検知部を設けることで、連絡管内を流通する洗浄液を確実に検知することができる。したがって、気液分離部から溢れた洗浄液がオーバーフローして熱交換器へ向かう洗浄液を、より正確に検知することができる。
また、洗浄液を検知する検知部が、熱交換器と気液分離部とを接続する連絡管に設けられている。これにより、気液分離部から熱交換器へ向かって流通しようとする洗浄液を、熱交換器に到達する前に検知することができる。したがって、洗浄液の熱交換器への到達を抑制することができる。
なお、検知部としては、例えば、超音波センサや温度センサや電気伝導率センサ等が挙げられる。
【0104】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、前記検知部(131)が前記洗浄液を検知した場合に、前記気液分離部(126、127)から前記熱交換器(102)への前記洗浄液の流入を阻止する阻止部(134a)を備える。
【0105】
上記構成では、連絡管内にオーバーフローした洗浄液が流通すると、阻止部によって、洗浄液の熱交換器への流入が阻止される。これにより、熱交換器への洗浄液の流入を抑制することができる。
また、洗浄液を検知する検知部が、熱交換器と気液分離部とを接続する連絡管に設けられている。これにより、洗浄液が熱交換器へ到達する前に、阻止部が機能する。したがって、より確実に洗浄液の流入を抑制することができる。
【0106】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、前記阻止部(134a)は、前記検知部(131)が前記洗浄液を検知した場合に、前記熱交換器(102)側から前記気液分離部(126、127)側へ前記連絡管(130)に逆洗水を流通させる逆洗部(134a)を有する。
【0107】
上記構成では、連絡管に設けられた検知部がオーバーフローした洗浄液を検知した場合、逆洗部が熱交換器側から気液分離部側へ連絡管に逆洗水を流通させる。これにより、連絡管内を気液分離部から熱交換器へ向かって流通しようとする洗浄液は、気液分離部側へ押し戻される。したがって、熱交換器への洗浄液の流入を抑制することができる。
【0108】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、前記逆洗部(134a)は、前記連絡管(130)の前記検知部(131)よりも前記熱交換器(102)側に接続するバイパス管(144)を介して前記連絡管(130)に前記逆洗水を供給する。
【0109】
逆洗水が熱交換器を通過する場合には、熱交換器内での発錆を防止するために、逆洗水に防錆剤を混合する場合がある。上記構成では、バイパス管を介して検知部より熱交換器側に接続して連絡管に逆洗水を流通させている。すなわち、逆洗水が熱交換器を通過しない。これにより、逆洗水に防錆剤を混合させる必要がない。したがって、逆洗水に混合する防錆剤が必要ないので、防錆剤の使用量を低減できる。
【0110】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、前記阻止部(134a)は、前記検知部(131)が前記洗浄液を検知した場合に、前記連絡管(130)内にガスを供給するガス供給部(141)を有する。
【0111】
上記構成では、連絡管に設けられた検知部がオーバーフローした洗浄液を検知した場合、ガス供給部が連絡配管内にガスを供給する。これにより、連絡管内を気液分離部から熱交換器へ向かって流通しようとする洗浄液は、ガスによって気液分離部側へ押し戻される。したがって、熱交換器への洗浄液の流入を抑制することができる。
また、ガスによって、洗浄液を押し戻しているので、洗浄液が逆洗水により希釈しない。よって、洗浄液の希釈による化学洗浄効果の低下を抑制することができる。
【0112】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、前記阻止部(134a)は、前記検知部(131)が前記洗浄液を検知した場合に、前記気液分離部(126、127)から前記洗浄液を系外へ排出する排出部(142)を有する。
【0113】
上記構成では、連絡管に設けられた検知部がオーバーフローした洗浄液を検知した場合、排出部が気液分離部から洗浄液を系外へ排出する。これにより、気液分離部内の洗浄液の量が低減する。これに応じて、連絡管内を気液分離部から熱交換器へ向かって流通しようとする洗浄液が、気液分離部側へ戻される。したがって、熱交換器への洗浄液の流入を抑制することができる。
また、洗浄液を系外へ排出しているだけなので、洗浄液が逆洗水により希釈しない。よって、洗浄液の希釈による化学洗浄効果の低下を抑制することができる。
【0114】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、前記連絡管(130)の前記検知部(131)より前記熱交換器側に、前記連絡管(130)から前記洗浄液を系外へ排出する排出部(143)を前記連絡管(130)の前記検知部(131)より前記熱交換器側に有する。
【0115】
上記構成では、連絡管に設けられた検知部がオーバーフローした洗浄液を検知した場合、連絡管の検知部より前記熱交換器側に設けた排出部が連絡管から洗浄液を系外へ排出する。すなわち、連絡管内を気液分離部から熱交換器へ向かって流通しようとする洗浄液が系外へ排出される。したがって、熱交換器への洗浄液の流入を抑制することができる。
また、洗浄液を系外へ排出しているだけなので、洗浄液が逆洗水により希釈しない。よって、洗浄液の希釈による洗浄効果の低下を抑制することができる。
【0116】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、前記気液分離部(126、127)と前記蒸発部(101、107)との間で前記洗浄液を循環させる循環ポンプを備え、前記検知部(131)は、前記熱交換器(102)側に向かう前記洗浄液を検知する第1検知部(147)と、前記第1検知部(147)よりも下流側に設けられて前記熱交換器(102)側に向かう前記洗浄液を検知する第2検知部(148)を有し、前記第1検知部(147)が前記洗浄液を検知した時間と、前記第2検知部(148)が前記洗浄液を検知した時間との時間差が所定の値以下の場合に前記循環ポンプを停止する。
【0117】
上記構成では、検知部が、第1検知部と該第1検知部よりも下流側に設けられて第2検知部を有している。これにより、第1検知部が洗浄液を検知してから、第2検知部が洗浄液を検知するまでの時間を計測することで、気液分離部から溢れた洗浄液がオーバーフローした洗浄液の流通速度を検出することができる。また、上記構成では、第1検知部が洗浄液を検知してから第2検知部が洗浄液を検知するまでの時間が、所定の閾値時間である所定の値以下の場合に循環ポンプを停止する。これにより、オーバーフローした洗浄液の流通速度が所定の速度以上の場合に、循環ポンプを停止することができる。循環ポンプを停止することで、洗浄液の流通が停止する。したがって、連絡管内を気液分離部から熱交換器へ向かって流通しようとする洗浄液の流通も停止するので、熱交換器への洗浄液の流入を抑制することができる。
【0118】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)は、前記熱交換器(102)は、前記熱交換器(102)の内部を流通する蒸気を過熱することができる過熱器である。
【0119】
また、本開示の一態様に係る発電プラント(1)は、上記いずれかに記載のボイラ(10)と、前記ボイラ(10)によって生成された前記蒸気を用いて発電する発電部(115)と、を備えている。
【0120】
本開示の一態様に係るボイラ(10)の洗浄方法は、 給水を加熱して蒸気を生成する蒸発部(101、107)と、前記給水と前記蒸発部(101、107)で生成された蒸気とを気液分離する気液分離部(126、127)と、前記気液分離部(126、127)で分離された蒸気と熱交換する熱交換器と、前記気液分離部(126、127)と前記熱交換器(102)とを接続する連絡管(130)と、を備えるボイラ(10)の化学洗浄方法であって、前記熱交換器には洗浄液を流通させずに、洗浄液供給装置(137)から前記気液分離部(126、127)及び前記蒸発部(101、107)の内部へ前記洗浄液を供給する供給工程と、前記連絡管(130)に設けられた検知部(131)によって、前記連絡管(130)の内部を流通して前記熱交換器側に向かう前記洗浄液を検知する検知工程と、を備える。
【0121】
また、本開示の一態様に係るボイラ(10)の洗浄方法は、前記検知部(131)が前記洗浄液を検知した場合に、前記気液分離部(126、127)から前記熱交換器(102)への前記洗浄液の流入を阻止する阻止工程を備える。
【符号の説明】
【0122】
1 :ボイラ発電プラント
10 :石炭焚きボイラ(ボイラ)
11 :火炉
12 :燃焼装置
13 :燃焼ガス通路
14 :煙道
21 :燃焼バーナ
22 :燃焼バーナ
23 :燃焼バーナ
24 :燃焼バーナ
25 :燃焼バーナ
26 :微粉炭供給管
27 :微粉炭供給管
28 :微粉炭供給管
29 :微粉炭供給管
30 :微粉炭供給管
31 :粉砕機
32 :粉砕機
33 :粉砕機
34 :粉砕機
35 :粉砕機
36 :風箱
37 :空気ダクト
38 :押込通風機
39 :アディショナル空気ポート
40 :アディショナル空気ダクト
41 :ガスダクト
42 :エアヒータ
43 :脱硝装置
44 :集塵装置
46 :脱硫装置
50 :煙突
101 :火炉壁
102 :過熱器(第1過熱器、熱交換器)
102a :伝熱管
103 :過熱器(第2過熱器、熱交換器)
104 :過熱器(第3過熱器、熱交換器)
105 :第1再熱器
106 :第2再熱器
107 :節炭器
110 :蒸気タービン
111 :高圧タービン
112 :中圧タービン
113 :低圧タービン
114 :復水器
115 :発電機
122 :低圧給水ヒータ
123 :ボイラ給水ポンプ(BFP)
124 :高圧給水ヒータ
126 :汽水分離器(気液分離部)
126A :汽水分離器(気液分離部)
126B :汽水分離器(気液分離部)
127 :ドレンタンク
130 :第1連絡配管
130a :第1鉛直部
130b :第1水平部
130c :第2鉛直部
130d :第2水平部
131 :第1超音波センサ
132 :第2連絡配管
132a :第3鉛直部
132b :第3水平部
132c :第4鉛直部
133 :第2超音波センサ
134 :補給水配管
134a :補給水ポンプ
134b :補給水弁
135 :防錆剤供給部
135a :防錆剤弁
136 :仮設配管
137 :洗浄液供給装置
140 :電気伝導率計
141 :ガス供給部
141a :ガス配管
141b :ガス弁
142 :第1排出配管
142a :第1排出弁
143 :第2排出配管
143a :第2排出弁
144 :バイパス配管(バイパス管)
144A :第1バイパス配管
144Aa :第1バイパス弁
144B :第2バイパス配管
144Ba :第2バイパス弁
144a :バイパス弁
145 :第3連絡配管
145a :第1鉛直部
145b :第1水平部
145c :第2鉛直部
145d :第2水平部
146 :第3超音波センサ
147 :下部超音波センサ
148 :上部超音波センサ
150 :制御装置
A :領域
B :領域
C :領域
L1 :給水ライン
L2 :ドレン水ライン
L3 :蒸気ライン
L3a :過熱器側配管
L3b :タービン側配管
L3c :蒸気弁
L4 :蒸気ライン
L5 :蒸気ライン
L6 :循環ライン
L7 :ドレン水ライン
L8 :蒸気ライン
L9 :ドレン水ライン