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特許7413018コンタクトプローブおよびプローブユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】コンタクトプローブおよびプローブユニット
(51)【国際特許分類】
   G01R 1/067 20060101AFI20240105BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20240105BHJP
   G01R 31/26 20200101ALI20240105BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20240105BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
G01R1/067 C
G01R1/073
G01R31/26 J
H01R13/24
H01R33/76 505A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019532867
(86)(22)【出願日】2018-07-26
(86)【国際出願番号】 JP2018028136
(87)【国際公開番号】W WO2019022204
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-04-01
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2017146975
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】広中 浩平
(72)【発明者】
【氏名】相馬 一也
【合議体】
【審判長】岡田 吉美
【審判官】濱野 隆
【審判官】田邉 英治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-127891(JP,A)
【文献】特開2005-9925(JP,A)
【文献】実開昭60-82271(JP,U)
【文献】特開2016-102696(JP,A)
【文献】特開2007-178163(JP,A)
【文献】特開2001-42002(JP,A)
【文献】特開2004-177400(JP,A)
【文献】実開平6-33073(JP,U)
【文献】特開2010-197402(JP,A)
【文献】特開平4-270967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 1/067
G01R 1/073
G01R 31/26
G01R 31/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状のパイプ部材と、
中空円柱状をなし、前記パイプ部材の長手方向の少なくとも一方の端部の内周側に固定されるカラーと、
前記パイプ部材と前記カラーとにより形成される段部に当接するフランジ部を有し、長手方向に沿って伸縮自在であり、前記パイプ部材を貫通する内部導体と、
を備え、
前記パイプ部材は、
絶縁性材料を用いて形成される絶縁パイプと、
前記絶縁パイプの内周および外周にそれぞれ独立して互いに非接触の態様で設けられる導電性の被膜層と、
を有することを特徴とするコンタクトプローブ。
【請求項2】
円筒状のパイプ部材と、
中空円柱状をなし、前記パイプ部材の長手方向の少なくとも一方の端部の内周側に固定されるカラーと、
前記パイプ部材と前記カラーとにより形成される段部に当接するフランジ部を有し、長手方向に沿って伸縮自在であり、前記パイプ部材を貫通する内部導体と、
を備え、
前記パイプ部材は、
二重管構造をなす外周側パイプおよび内周側パイプと、
前記外周側パイプと前記内周側パイプとの間であって、軸方向の両端部にそれぞれ設けられる絶縁部材と、
を有し、
前記外周側パイプ、前記内周側パイプおよび前記絶縁部材によって空気層が形成される
ことを特徴とするコンタクトプローブ。
【請求項3】
前記カラーは、導電性材料を用いて形成される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクトプローブ。
【請求項4】
前記カラーは、前記パイプ部材の両端部にそれぞれ設けられる
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のコンタクトプローブ。
【請求項5】
所定回路構造に対する信号の入出力を行う信号用プローブと、
前記所定回路構造に対して電力を供給する給電用プローブと、
前記所定回路構造に対してアース電位を供給するアース用プローブと、
前記信号用プローブ、前記給電用プローブおよび前記アース用プローブを挿通可能であり、それぞれが互いに同じ孔形状をなす複数の孔部が形成される導電性のプローブホルダと、
を備え、
前記アース用プローブは、
円筒状のパイプ部材と、
中空円柱状をなし、前記パイプ部材の長手方向の少なくとも一方の端部の内周側に固定されるカラーと、
前記パイプ部材と前記カラーとにより形成される段部に当接するフランジ部を有し、長手方向に沿って伸縮自在であり、前記パイプ部材を貫通する内部導体と、
を有し、
前記給電用プローブは、請求項1に記載のコンタクトプローブであり、
前記信号用プローブは、請求項1または2に記載のコンタクトプローブであり、
各プローブのパイプ部材は、同一の外径を有する
ことを特徴とするプローブユニット。
【請求項6】
前記プローブホルダは、隣り合う前記孔部同士が、一部で連通し、
前記パイプ部材は、少なくとも外周面が導電性を有し、
隣り合う前記孔部をそれぞれ貫通する各プローブの前記パイプ部材は、前記孔部の連通部分において接触している
ことを特徴とする請求項5に記載のプローブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンタクトプローブおよびプローブユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体集積回路の電気特性検査に関する技術分野において、半導体集積回路の外部接触用電極に対応して複数のコンタクトプローブ(以下、単にプローブという)を配設したプローブユニットに関する技術が知られている。かかるプローブユニットは、複数のプローブと、プローブを収容する孔部が形成されたプローブホルダとを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
プローブユニットでは、上述したプローブとして、半導体集積回路に対して電気信号を入出力するための信号用プローブと、電力を供給する給電用プローブと、アース電位を供給するアース用プローブとが用いられる。信号用プローブ、給電用プローブおよびアース用プローブは、その機能により外径が異なる場合がある。特許文献1では、プローブホルダにおいて、各プローブの径に応じた孔であって、上述した孔部の一部をなす孔を、プローブの配置に対応させて形成した絶縁ブロックが設けられる。プローブホルダでは、使用する半導体集積回路の外部接続用電極の配置に対応した絶縁ブロックを配設することによって、各種プローブの配置を変更することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-70863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1が開示する技術では、使用する半導体集積回路の外部接続用電極の配置が異なる場合、その都度、対応する孔を形成した絶縁ブロックを用意しなければならなかった。この結果、使用し得る半導体集積回路の外部接続用電極の配置パターンが増えるほど、絶縁ブロックの数も増えてしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンタクトプローブの配置を変更可能なプローブホルダにおいて、プローブホルダの構成を簡易にすることができるコンタクトプローブおよびプローブユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるコンタクトプローブは、円筒状のパイプ部材と、中空部を有し、前記パイプ部材の長手方向の少なくとも一方の端部の内周側に固定されるカラーと、前記パイプ部材と前記カラーとにより形成される段部に当接するフランジ部を有し、長手方向に沿って伸縮自在であり、前記パイプ部材を貫通する内部導体と、を備える。
【0008】
また、本発明にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、絶縁性材料を用いて形成される絶縁パイプを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、前記絶縁パイプの内周および外周に設けられる導電性の被膜層をさらに有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、導電性材料を用いて形成されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記パイプ部材は、二重管構造をなす外周側パイプおよび内周側パイプと、前記外周側パイプと前記内周側パイプとの間であって、軸方向の両端部にそれぞれ設けられる絶縁部材と、を有し、前記外周側パイプ、前記内周側パイプおよび前記絶縁部材によって空気層が形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記カラーは、導電性材料を用いて形成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明にかかるコンタクトプローブは、上記の発明において、前記カラーは、前記パイプ部材の両端部にそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0014】
また、本発明にかかるプローブユニットは、所定回路構造に対する信号の入出力を行う信号用プローブと、前記所定回路構造に対して電力を供給する給電用プローブと、前記所定回路構造に対してアース電位を供給するアース用プローブと、前記信号用プローブ、前記給電用プローブおよび前記アース用プローブを挿通可能であり、それぞれが互いに同じ孔形状をなす複数の孔部が形成される導電性のプローブホルダと、を備え、前記信号用プローブ、前記給電用プローブおよび前記アース用プローブは、円筒状のパイプ部材と、中空部を有し、前記パイプ部材の長手方向の少なくとも一方の端部の内周側に固定されるカラーと、前記パイプ部材と前記カラーとにより形成される段部に当接するフランジ部を有し、長手方向に沿って伸縮自在であり、前記パイプ部材を貫通する内部導体と、をそれぞれ有し、各プローブのパイプ部材は、同一の外径を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明にかかるプローブユニットは、上記の発明において、前記プローブホルダは、隣り合う前記孔部同士が、一部で連通し、前記パイプ部材は、少なくとも外周面が導電性を有し、隣り合う前記孔部をそれぞれ貫通する各プローブの前記パイプ部材は、前記孔部の連通部分において接触していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、コンタクトプローブの配置を変更可能なプローブホルダにおいて、プローブホルダの構成を簡易にすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットの全体構成を示す模式図である。
図2図2は、本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダおよびプローブの詳細な構造を示す部分断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態1にかかる半導体集積回路の検査時におけるプローブユニットの構成を示す部分断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダおよびプローブの詳細な構造を示す部分断面図である。
図5図5は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットを構成するプローブにキャップを取り付けた場合の構成を示す部分断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2の変形例1にかかるキャップの構成を示す部分断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態2の変形例2にかかるキャップの構成を示す部分断面図である。
図8図8は、本発明の実施の形態2の変形例3にかかるキャップの構成を示す部分断面図である。
図9図9は、本発明の実施の形態3にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダおよびプローブの詳細な構造を示す部分断面図である。
図10図10は、本発明の実施の形態4にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダおよびプローブの詳細な構造を示す部分断面図である。
図11図11は、本発明の実施の形態5にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダおよびプローブの詳細な構造を示す部分断面図である。
図12図12は、本発明の実施の形態5の変形例1にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダの構成を示す上面図である。
図13図13は、本発明の実施の形態5の変形例1にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダの構成を示す斜視断面図である。
図14図14は、本発明の実施の形態5の変形例2にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解でき得る程度に形状、大きさ、および位置関係を概略的に示してあるに過ぎず、従って、本発明は各図で例示された形状、大きさ、および位置関係のみに限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1にかかるプローブユニットは、半導体集積回路等の所定の回路構造に対して電気信号の入出力、電力供給およびアース電位供給を行うためのものであり、特に安定したアース電位供給を行うため、アース電位供給を行うアース用プローブと、導電性材料で形成されたプローブホルダとを電気的に接続させた構成を有する。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態にかかるプローブユニットの構造を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態1にかかるプローブユニットは、半導体集積回路1に供給する信号の生成等を行う回路を備えた回路基板2と、回路基板2上に配置され、所定の孔部(図1では図示省略)を備えたプローブホルダ3と、プローブホルダ3の孔部内に収容されるコンタクトプローブ4(以下、コンタクトプローブを単にプローブという)とを備える。また、使用の際に半導体集積回路1の位置ずれが生じるのを抑制するためのホルダ部材5が回路基板2上かつプローブホルダ3の外周に配置されている。
【0021】
回路基板2は、検査対象の半導体集積回路1の電気的特性を検査するための検査回路を備える。また、回路基板2は、内蔵する回路をプローブ4に対して電気的に接続するための電極(図1では図示省略)をプローブホルダ3との接触面上に配置した構成を有する。
【0022】
プローブホルダ3は、プローブ4を収容するためのものである。具体的には、プローブホルダ3は、金属等の導電性材料によって形成されたホルダ基板を備える。そして、ホルダ基板は、プローブ4の配設場所に対応した領域に孔部(ホルダ孔)が形成され、かかる孔部にプローブ4を収容する構造を有する。
【0023】
プローブ4は、回路基板2内に備わる回路と、半導体集積回路1との間を電気的に接続するためのものである。プローブ4は、半導体集積回路1に対して供給する信号の種類等に応じて3パターンに大別され、具体的には、半導体集積回路1に対して電気信号を入出力するための信号用プローブと、半導体集積回路1に対して電力を供給する給電用プローブと、半導体集積回路1に対してアース電位を供給するアース用プローブと、を有する。なお、以下においては信号用プローブ、アース用プローブおよび給電用プローブを総称する際にプローブと称し、個々について言及する際にはそれぞれの名称を用いることとする。
【0024】
図2は、プローブホルダとプローブの詳細な構成について示す部分断面図である。図2に示すように、プローブホルダ3は、図2の上面側に位置する第1部材31と下面側に位置する第2部材32とが積層されてなる。第1部材31および第2部材32は、樹脂などの接着材や、ねじ止めなどによって固着されている。なお、本明細書におけるコアキシャル構造とは、信号用のプローブの中心軸と、孔部の内面の中心軸とが一致した同軸構造のことをいう。プローブホルダ3の構成については、後述する。
【0025】
次に、プローブの構造について説明する。以下、信号用プローブ6、給電用プローブ7、アース用プローブ8の順で、各プローブの構成について説明を行う。
【0026】
信号用プローブ6は、半導体集積回路1の検査を行なうときにその半導体集積回路1の検査信号用電極に接触する第1プランジャ61と、検査回路を備えた回路基板2の電極に接触する第2プランジャ62と、第1プランジャ61と第2プランジャ62との間に設けられて2つの第1プランジャ61および第2プランジャ62を伸縮自在に連結するコイルばね63と、第1プランジャ61および第2プランジャ62の一部を収容するとともに、コイルばね63を収容する第1パイプ部材64と、第1パイプ部材64の両端部にそれぞれ設けられるカラー65と、を備える。第1プランジャ61、第2プランジャ62およびコイルばね63は同一の軸線を有している。信号用プローブ6は、半導体集積回路1をコンタクトさせた際に、コイルばね63が軸線方向に伸縮することによって半導体集積回路1の接続用電極への衝撃を和らげるとともに、半導体集積回路1および回路基板2に荷重を加える。
【0027】
第1プランジャ61は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第1プランジャ61は、先細な先端形状をなす先端部61aと、先端部61aの基端側から延び、先端部61aの径と比して大きい径を有するフランジ部61bと、フランジ部61bの先端部61aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部61bの径と比して小さい径を有するボス部61cと、を同軸上に有する。先端部61aは、クラウン形状をなしている。第1プランジャ61では、先端部61aとフランジ部61bとによって段部が形成されている。以下の構成においても、先端部とフランジ部とは、段部を形成している。
【0028】
第2プランジャ62は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第2プランジャ62は、先細な先端形状を有する先端部62aと、先端部62aの基端側から延び、先端部62aの径と比して大きい径を有するフランジ部62bと、フランジ部62bの先端部62aに連なる側と異なる端部から延び、ボス部61cの径と略同一の径を有するボス部62cと、ボス部62cのフランジ部62bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部61c、62cの径と比して若干小さい径を有する基端部62dと、を同軸上に有する。この第2プランジャ62は、コイルばね63の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね63の弾性力によって回路基板2方向に付勢され、回路基板2の電極と接触する。
【0029】
なお、第1プランジャ61の先端部61aが錐状をなしていてもよいし、第2プランジャ62の先端部62aがクラウン形状をなしていてもよい。先端部61a、62aは、接触対象によってその形状を変更することが可能である。
【0030】
コイルばね63は、金属や樹脂、または金属の表面に樹脂が被覆された材料などによって形成された線材が用いられる。コイルばね63は、第1プランジャ61側がボス部61cの径と略同一の内径で巻回された密着巻き部63aである一方、第2プランジャ62側が基端部62dの径以上の内径で所定ピッチに巻回された粗巻き部63bである。密着巻き部63aの端部は、例えばボス部61cに圧入されて、フランジ部61bに当接している。一方、粗巻き部63bの端部は、ボス部62cに圧入され、フランジ部62bに当接している。
【0031】
なお、本明細書において、第1プランジャおよび第2プランジャをコイルばねに連結させた構成が、プローブにおける内部導体に相当する。
【0032】
第1パイプ部材64は、第1プランジャ61、第2プランジャ62およびコイルばね63を挿通可能な円筒状をなしている。第1パイプ部材64は、信号用プローブ6における特性インピーダンスの値を補正するためのインピーダンス補正部材641と、インピーダンス補正部材641の内周に設けられる内周側メッキ642と、インピーダンス補正部材641の外周に設けられる外周側メッキ643とを有する。
【0033】
インピーダンス補正部材641は、所定の誘電率を有する誘電材料を円筒形状に形成したものであって、信号用プローブ6における特性インピーダンスの値を補正するための絶縁部材である。具体的には、インピーダンス補正部材641は、誘電材料が有する誘電率と、円筒形状の外径とを調整することによって、信号用プローブ6における特性インピーダンスを、例えば、一般的に採用されている50Ωと一致するよう補正している。インピーダンス補正部材641は、例えばポリテトラフルオロエチレンなどの絶縁性材料を用いて形成される。
【0034】
内周側メッキ642は、インピーダンス補正部材641の内周に設けられる導電性の被膜層である。内周側メッキ642は、インピーダンス補正部材641の内周に設けられる第1メッキ642aと、第1メッキ642aを被覆する第2メッキ642bとを有する。第1メッキ642aは、例えばニッケルを用いて形成される。第2メッキ642bは、例えば金を用いて形成される。
【0035】
外周側メッキ643は、インピーダンス補正部材641の外周に設けられる導電性の被膜層である。外周側メッキ643は、インピーダンス補正部材641の外周に設けられる第1メッキ643aと、第1メッキ643aを被覆する第2メッキ643bとを有する。第1メッキ643aは、例えばニッケルを用いて形成される。第2メッキ643bは、例えば金を用いて形成される。
【0036】
なお、第1パイプ部材64では、二層のメッキ処理が施されているが、一層であってもよいし、三層以上の複数の層であってもよい。第1パイプ部材64には、このようなメッキ処理による導電層が形成される。
【0037】
カラー65は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成され、中空円柱状をなしている。カラー65は、外周のなす径が、第1パイプ部材64の内周に圧入または固定可能な径である。また、カラー65は、内周(中空部)のなす径が、第1プランジャ61または第2プランジャ62のうち挿通されるプランジャの先端部の径と同等か、または若干大きい径である。カラー65は、第1パイプ部材64の両端部にそれぞれ設けられ、第1パイプ部材64の内周面とにより段部を形成する。第1プランジャ61のフランジ部61b、および第2プランジャ62のフランジ部62bは、この段部に当接することにより、第1パイプ部材64から抜け落ちることが防止される。カラー65は、第1パイプ部材64の内周に圧入して固定するか、はんだ付け、または接着剤によって第1パイプ部材64の内周に固着される。
【0038】
給電用プローブ7は、半導体集積回路1の検査を行なうときにその半導体集積回路1の給電用電極に接触する第1プランジャ71と、検査回路を備えた回路基板2の電極に接触する第2プランジャ72と、第1プランジャ71と第2プランジャ72との間に設けられて2つの第1プランジャ71および第2プランジャ72を伸縮自在に連結するコイルばね73と、第1プランジャ71および第2プランジャ72の一部を収容するとともに、コイルばね73を収容する第2パイプ部材74と、第2パイプ部材74の両端部にそれぞれ設けられるカラー75と、を備える。第1プランジャ71、第2プランジャ72およびコイルばね73は同一の軸線を有している。
【0039】
第1プランジャ71は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第1プランジャ71は、先細な先端形状をなす先端部71aと、先端部71aの基端側から延び、先端部71aの径と比して大きい径を有するフランジ部71bと、フランジ部71bの先端部71aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部71bの径と比して小さい径を有するボス部71cと、を同軸上に有する。先端部71aは、クラウン形状をなしている。
【0040】
第2プランジャ72は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第2プランジャ72は、先細な先端形状を有する先端部72aと、先端部72aの基端側から延び、先端部72aの径と比して大きい径を有するフランジ部72bと、フランジ部72bの先端部72aに連なる側と異なる端部から延び、ボス部71cの径と略同一の径を有するボス部72cと、ボス部72cのフランジ部72bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部71c、72cの径と比して若干小さい径を有する基端部72dと、を同軸上に有する。この第2プランジャ72は、コイルばね73の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね73の弾性力によって回路基板2方向に付勢され、回路基板2の電極と接触する。
【0041】
なお、先端部71a、72aは、上述した先端部61a、62aと同様に、その形状は限定されず、接触対象によってその形状を変更することが可能である。
【0042】
コイルばね73は、金属や樹脂、または金属の表面に樹脂が被覆された材料などによって形成された線材が用いられる。コイルばね73は、第1プランジャ71側がボス部71cの径と略同一の内径で巻回された密着巻き部73aである一方、第2プランジャ72側が基端部72dの径以上の内径で所定ピッチに巻回された粗巻き部73bである。密着巻き部73aの端部は、例えばボス部71cに圧入されて、フランジ部71bに当接している。一方、粗巻き部73bの端部は、ボス部72cに圧入され、フランジ部72bに当接している。
【0043】
第2パイプ部材74は、第1プランジャ71、第2プランジャ72およびコイルばね73を挿通可能な円筒状をなしている。第2パイプ部材74は、絶縁性材料を用いて形成される絶縁部材741と、絶縁部材741の内周に設けられる内周側メッキ742と、絶縁部材741の外周に設けられる外周側メッキ743とを有する。
【0044】
絶縁部材741は、絶縁性材料を円筒形状に形成したものである。具体的には、絶縁部材741は、例えば、セラミックやポリテトラフルオロエチレンなどの絶縁性材料を用いて形成される。
【0045】
内周側メッキ742は、絶縁部材741の内周に設けられる第1メッキ742aと、第1メッキ742aを被覆する第2メッキ742bとを有する。第1メッキ742aは、例えばニッケルを用いて形成される。第2メッキ742bは、例えば金を用いて形成される。
【0046】
外周側メッキ743は、絶縁部材741の外周に設けられる第1メッキ743aと、第1メッキ743aを被覆する第2メッキ743bとを有する。第1メッキ743aは、例えばニッケルを用いて形成される。第2メッキ743bは、例えば金を用いて形成される。
【0047】
なお、第2パイプ部材74では、二層のメッキ処理が施されているが、一層であってもよいし、三層以上の複数の層であってもよい。
【0048】
カラー75は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成され、中空円柱状をなしている。カラー75は、外周のなす径が、第2パイプ部材74の内周に圧入または固定可能な径である。また、カラー75は、内周のなす径が、第1プランジャ71または第2プランジャ72のうち挿通されるプランジャの先端部の径と同等か、または若干大きい径である。カラー75は、第2パイプ部材74の両端部にそれぞれ設けられ、第2パイプ部材74の内周面とにより段部を形成する。第1プランジャ71のフランジ部71b、および第2プランジャ72のフランジ部72bは、この段部に当接することにより、第2パイプ部材74から抜け落ちることが防止される。
【0049】
アース用プローブ8は、半導体集積回路1の検査を行なうときにその半導体集積回路1の給電用電極に接触する第1プランジャ81と、検査回路を備えた回路基板2の電極に接触する第2プランジャ82と、第1プランジャ81と第2プランジャ82との間に設けられて2つの第1プランジャ81および第2プランジャ82を伸縮自在に連結するコイルばね83と、第1プランジャ81および第2プランジャ82の一部を収容するとともに、コイルばね83を収容する第3パイプ部材84と、第3パイプ部材84の両端部にそれぞれ設けられるカラー85と、を備える。第1プランジャ81、第2プランジャ82およびコイルばね83は同一の軸線を有している。
【0050】
第1プランジャ81は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第1プランジャ81は、先細な先端形状をなす先端部81aと、先端部81aの基端側から延び、先端部81aの径と比して大きい径を有するフランジ部81bと、フランジ部81bの先端部81aに連なる側と異なる端部から延び、フランジ部81bの径と比して小さい径を有するボス部81cと、を同軸上に有する。先端部81aは、クラウン形状をなしている。
【0051】
第2プランジャ82は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成される。第2プランジャ82は、先細な先端形状を有する先端部82aと、先端部82aの基端側から延び、先端部82aの径と比して大きい径を有するフランジ部82bと、フランジ部82bの先端部82aに連なる側と異なる端部から延び、ボス部81cの径と略同一の径を有するボス部82cと、ボス部82cのフランジ部82bに連なる側と異なる端部から延び、ボス部81c、82cの径と比して若干小さい径を有する基端部82dと、を同軸上に有する。この第2プランジャ82は、コイルばね83の伸縮作用によって軸線方向に移動が可能であり、コイルばね83の弾性力によって回路基板2方向に付勢され、回路基板2の電極と接触する。
【0052】
なお、先端部81a、82aは、上述した先端部61a、62aと同様に、その形状は限定されず、接触対象によってその形状を変更することが可能である。
【0053】
コイルばね83は、金属や樹脂、または金属の表面に樹脂が被覆された材料などによって形成された線材が用いられる。コイルばね83は、第1プランジャ81側がボス部81cの径と略同一の内径で巻回された密着巻き部83aである一方、第2プランジャ82側が基端部82dの径以上の内径で所定ピッチに巻回された粗巻き部83bである。密着巻き部83aの端部は、例えばボス部81cに圧入されて、フランジ部81bに当接している。一方、粗巻き部83bの端部は、ボス部82cに圧入され、フランジ部82bに当接している。
【0054】
第3パイプ部材84は、第1プランジャ81、第2プランジャ82およびコイルばね83を挿通可能な円筒状をなしている。第3パイプ部材84は、金属などの導電性材料を用いて形成される。第3パイプ部材84の外周面および内周面には、メッキ処理が施されてもよい。
【0055】
カラー85は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成され、中空円柱状をなしている。カラー85は、外周のなす径が、第3パイプ部材84の内周に圧入または固定可能な径である。また、カラー85は、内周のなす径が、第1プランジャ81または第2プランジャ82のうち挿通されるプランジャの先端部の径と同等か、または若干大きい径である。カラー85は、第3パイプ部材84の両端部にそれぞれ設けられ、第3パイプ部材84の内周面とにより段部を形成する。第1プランジャ81のフランジ部81b、および第2プランジャ82のフランジ部82bは、この段部に当接することにより、第3パイプ部材84から抜け落ちることが防止される。
【0056】
本実施の形態1では、第1パイプ部材64、第2パイプ部材74、第3パイプ部材84は、外周のなす径が、互いに同じである。
【0057】
プローブホルダ3は、上述したように、第1部材31と第2部材32とが積層されてなる。第1部材31および第2部材32は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成されている。また、第1部材31および第2部材32には、複数のプローブ4を収容するための孔部であるホルダ孔33および34が同数ずつ形成され、プローブ4を収容するホルダ孔33および34は、互いの軸線が一致するように形成されている。ホルダ孔33および34は、検査を行う半導体集積回路1において取られ得るすべての配線パターンを網羅する位置に形成される。なお、第1部材31および第2部材32は、金属のほか、導電性を有する材料であれば適用可能である。プローブホルダとしての強度の観点から、金属材料(合金を含む)を用いて形成されることが好ましい。
【0058】
ホルダ孔33および34は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状を有する。すなわち、ホルダ孔33は、第1部材31の上面側に開口を有する小径部33aと、小径部33aよりも径が大きい大径部33bとからなる。小径部33aは、上述したパイプ部材(パイプ部材64、74、84)の外周のなす径よりも小さく、第1プランジャの先端部(先端部61a、71a、81a)の径よりも大きい。大径部33bは、パイプ部材(パイプ部材64、74、84)の外周のなす径と同等か、圧入可能な範囲でパイプ部材の内径よりも小さい径、またはプローブホルダ3におけるプローブ4の位置ずれの許容範囲内で、パイプ部材の外径よりも大きい。
【0059】
他方、ホルダ孔34は、プローブホルダ3の下端面に開口を有する小径部34aと、この小径部34aよりも径が大きい大径部34bとからなる。小径部34aは、上述したパイプ部材(パイプ部材64、74、84)の外周のなす径よりも小さく、第2プランジャの先端部(先端部62a、72a、82a)の径よりも大きい。大径部34bは、大径部33bと同等であることが好ましく、パイプ部材(パイプ部材64、74、84)の外周のなす径と同等か、圧入可能な範囲でパイプ部材の内径よりも小さい径、またはプローブホルダ3におけるプローブ4の位置ずれの許容範囲内で、パイプ部材の外径よりも大きい。
【0060】
次に、本実施の形態にかかるプローブユニットの、半導体集積回路の検査時の電気的な作用について説明する。図3は、本発明の実施の形態1にかかる半導体集積回路の検査時におけるプローブユニットの構成を示す部分断面図である。
【0061】
まず、アース用プローブ8における電気的作用について説明する。本実施の形態におけるアース用プローブ8は、電極100c、200cを介して回路基板2からの電位を半導体集積回路1に供給するのみならず、プローブホルダ3からの電位をも受けて半導体集積回路1に対してアース電位を供給するように構成されている。すなわち、図2にも示すように、アース用プローブ8を収容するホルダ孔33、34の内面は、アース用プローブ8の外周面、具体的には第3パイプ部材84と直接接触する構成を有する。そして、上述のようにプローブホルダ3は導電性材料によって形成されることから、アース用プローブ8とプローブホルダ3とは電気的に接続されることとなる。従って、アース用プローブ8とプローブホルダ3との間では内部電荷が自由に行き来することが可能となることから、アース用プローブ8が供給する電位と、プローブホルダ3の電位とは等しい値となる。
【0062】
次に、信号用プローブ6における電気的作用について説明する。信号用プローブ6は、それぞれ回路基板2内で生成された電気信号を電極200aから受け取り、受け取った電気信号を、電極100aを介して半導体集積回路1に対して入出力する。信号用プローブ6において、電気信号は、第2プランジャ62から受け取り、第2プランジャ62側のカラー65を介して内周側メッキ642を流れ、その後、第1プランジャ61側のカラー65を介して第1プランジャ61に流れ込む。基端部62dを密着巻き部63aに接触するようにすれば、基端部62dから密着巻き部63aに流れた後、この密着巻き部63aから第1プランジャ61に流れ込むこともある。
【0063】
次に、給電用プローブ7における電気的作用について説明する。給電用プローブ7は、回路基板2内で生成された給電用の電力を、回路基板2の電極200bから受け取り、この受け取った電力を、半導体集積回路1の電極100bを介して半導体集積回路1に対して入出力する。給電用プローブ7において、電気信号は、第2プランジャ72から受け取り、第2プランジャ72側のカラー75を介して内周側メッキ742を流れ、その後、第1プランジャ71側のカラー75を介して第1プランジャ71に流れ込む。基端部72dを密着巻き部73aに接触するようにすれば、基端部72dから密着巻き部73aに流れた後、この密着巻き部73aから第1プランジャ71に流れ込むこともある。
【0064】
続いて、インピーダンス補正部材641を用いて信号用プローブ6における特性インピーダンスの補正を行うことによる利点について説明する。一般に、交流信号を扱う電子回路においては、インピーダンスの異なる配線同士が接続する箇所において、異なるインピーダンス間の比に応じた量だけ信号が反射し、信号の伝搬が妨げられることが知られている。このことは使用する半導体集積回路1と信号用プローブ6との関係においても同様であって、半導体集積回路1の特性インピーダンスと、信号用プローブ6における特性インピーダンスとが大きく異なる値を有する場合には、電気信号の損失が発生するとともに、電気信号が歪む。
【0065】
また、特性インピーダンスの相違に起因して接続箇所において生じる信号反射の割合は、信号用プローブ6の電気的な長さ(電気信号の周期に対する伝搬経路の長さ)が大きくなるにつれて大きくなることが知られている。すなわち、本実施の形態にかかるプローブユニットの場合は、半導体集積回路1の高速化、すなわち高周波数化に伴って電気信号の信号反射の割合が大きくなる。従って、高周波数で駆動する半導体集積回路1に対応したプローブユニットを作製する際には、信号用プローブ6の特性インピーダンスの値を半導体集積回路1のものと一致させる、いわゆるインピーダンス整合を精度良く行うことが重要となる。
【0066】
以上説明した実施の形態1では、プローブホルダ3には、ホルダ孔33、34による孔部が複数個形成され、孔部には信号用プローブ6、給電用プローブ7およびアース用プローブ8を配置することが可能である。これにより、各孔部に対し、信号用プローブ6、給電用プローブ7およびアース用プローブ8の配置変更を行うことが可能である。この際、例えば、第1部材31を第2部材32から取り外し、所定のホルダ孔34に所定の種別のプローブを収容し、再び第1部材31を第2部材32に取り付けることにより可能である。本実施の形態1によれば、プローブホルダ3には、配置され得る位置に同じ形状の孔部を形成すればよいので、簡易なホルダ構成でコンタクトプローブの配置を変更することができる。
【0067】
また、従来、インピーダンス補正部材は、接着剤等によってホルダ孔に接着固定されていたが、本実施の形態1では、その接着工程が不要であり、プローブユニットの組み付けの際の作業工程を削減することができる。また、ホルダ孔の構成としてインピーダンス部材を含まないため、ホルダ孔の潰れや破損の発生を抑制することができる。
【0068】
また、本実施の形態1にかかる信号用プローブ6は、第1パイプ部材64の内周に内周側メッキ642が形成されているため、カラー65を、第1パイプ部材64の内周に圧入して固定する、または接着剤によって第1パイプ部材64の内周に固着することに加え、はんだ付けによって第1パイプ部材64の内周に固着することができる。給電用プローブ7についても同様に、第2パイプ部材74の内周に内周側メッキ742が形成されているため、カラー75を、第2パイプ部材74の内周に圧入して固定するか、接着剤によって第2パイプ部材74の内周に固着することに加え、はんだ付けによって第2パイプ部材74の内周に固着することができる。
【0069】
また、本実施の形態1にかかる信号用プローブ6は、第1パイプ部材64の外周に外周側メッキ643が形成されているため、導電性のプローブホルダ3を介して第1パイプ部材64の外周全体をグランド電位とすることができる。これにより、プローブホルダ3の孔部の一部が連通した構成とすることが可能であり、インピーダンス補正部材641の厚さの調整幅を確保することができる。
【0070】
また、本実施の形態1にかかる給電用プローブ7は、第2パイプ部材74の内周に内周側メッキ742が形成されているため、電気信号の導通経路を、第2パイプ部材74を介する経路と、コイルばね73を介する経路との二つの経路とすることができる。これにより、給電用プローブ7の許容電流を増大することができる。
【0071】
また、本実施の形態1にかかるプローブは、一方のカラーを取り外すことによって、パイプ部材内部の第1プランジャ、第2プランジャおよびコイルばねを簡単に取り出すことができる。これにより、プローブを修理する際、第1プランジャ、第2プランジャおよびコイルばねの交換を容易に行うことができる。
【0072】
なお、本実施の形態1では、各プローブのいずれかを保持するホルダ孔33、34が、それぞれ独立して設けられているものとして説明したが、隣り合うホルダ孔の一部が連通していてもよい。例えば、隣り合うホルダ孔33の大径部33b同士、およびホルダ孔34の大径部34b同士が連通していてもよいし、ホルダ孔33の大径部33b同士が連通し、かつホルダ孔34が互いに独立していてもよい。
【0073】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダおよびプローブの詳細な構造を示す部分断面図である。上述した実施の形態1では、パイプ部材の両端にカラーを備える構成を説明したが、これに限らない。本実施の形態2では、カラーを第1プランジャ側にのみ設ける。
【0074】
本実施の形態2にかかるプローブユニットは、半導体集積回路1に供給する信号の生成等を行う回路を備えた回路基板2と、回路基板2上に配置され、所定の孔部(図1では図示省略)を備えたプローブホルダ3Aと、プローブホルダ3Aの孔部内に収容されるプローブ(信号用プローブ6A、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8A)とを備える。
【0075】
信号用プローブ6Aは、上述した信号用プローブ6の構成において、第2プランジャ62側のカラー65を有しない点以外は、信号用プローブ6と同じである。同様に、給電用プローブ7Aは、給電用プローブ7の第2プランジャ72側のカラー75を有しない点以外、上述した給電用プローブ7と同様である。アース用プローブ8Aは、アース用プローブ8の第2プランジャ82側のカラー85を有しない点以外、上述したアース用プローブ8と同様である。
【0076】
プローブホルダ3Aは、金属等の導電性材料によって形成されたホルダ基板35と、ホルダ基板35の一方の面に設けられる絶縁基板36とを備える。そして、プローブホルダ3Aは、プローブの配設場所に対応した領域に孔部(ホルダ孔)が形成され、かかる孔部にプローブを収容する構造を有する。
【0077】
プローブホルダ3Aは、ホルダ基板35と絶縁基板36とが積層されてなる。ホルダ基板35は、例えば金属などの導電性材料を用いて形成されている。絶縁基板36は、例えばポリエーテルエーテルケトン(Polyether ether ketone:PEEK)、ポリイミド(polyimide:PI)、ポリエーテルサルフォン(polyethersulfone:PES)などの絶縁性材料を用いて形成されている。なお、ホルダ基板35は、金属のほか、導電性を有する材料であれば適用可能である。プローブホルダとしての強度の観点から、金属材料(合金を含む)を用いて形成されることが好ましい。
【0078】
ホルダ基板35と絶縁基板36には、複数のプローブを収容するための孔部であるホルダ孔37および38が同数ずつ形成され、プローブを収容するホルダ孔37および38は、互いの軸線が一致するように形成されている。ホルダ孔37および38は、検査を行う半導体集積回路1において取られ得るすべての配線パターンを網羅する位置に形成される。
【0079】
ホルダ孔37は、ともに貫通方向に沿って径が異なる段付き孔形状を有する。すなわち、ホルダ孔37は、ホルダ基板35の上面側に開口を有する小径部37aと、ホルダ基板35の下面側であって、絶縁基板36が配設される側に開口を有し、小径部37aよりも径が大きい大径部37bとからなる。小径部37aは、上述したパイプ部材(パイプ部材64、74、84)の外周のなす径よりも小さく、第1プランジャの先端部(先端部61a、71a、81a)の径よりも大きい。大径部37bは、パイプ部材(パイプ部材64、74、84)の外周のなす径と同等か、圧入可能な範囲でパイプ部材の内径よりも小さい径、またはプローブホルダ3Aにおけるプローブの位置ずれの許容範囲内で、パイプ部材の外径よりも大きい。
【0080】
他方、ホルダ孔38は、プローブホルダ3Aの下端面に開口を有する孔形状をなしている。ホルダ孔38は、上述したパイプ部材(パイプ部材64、74、84)の外周のなす径よりも小さく、第2プランジャの先端部(先端部62a、72a、82a)の径よりも大きい。
【0081】
本実施の形態2では、大径部37bとホルダ孔38とにより段部が形成される。例えば、第2プランジャ62のフランジ部62bは、この段部に当接することにより、プローブホルダ3Aから抜け落ちることが防止される。
【0082】
以上のような構成のプローブユニットにおいて、半導体集積回路の検査時のプランジャおよびコイルばねの動作は、上述した実施の形態1と同様である。本実施の形態2では、例えば、第2プランジャの基端部がコイルばねの密着巻き部に接触するものとする。本実施の形態2において、プローブユニットを流れる電気信号は、第2プランジャから密着巻き部を経由して第1プランジャに流れ込む。例えば信号用プローブ6Aでは、第2プランジャ62に流れ込んだ電気信号が、基端部62dから密着巻き部63aに流れた後、この密着巻き部63aから第1プランジャ61に流れ込む。なお、フランジ部62bと第1パイプ部材64の内周側メッキ642とが接触するようにして、電気信号が第2プランジャ62から第1パイプ部材64の内周側メッキ642に流れるようにしてもよい。
【0083】
信号用プローブ6A、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aは、ともに第2プランジャ側にカラーを有していない。このため、プローブ単体では、第1プランジャ、第2プランジャおよびコイルばねが、パイプ部材から抜け落ちてしまう場合がある。パイプ部材からの抜けを防止するため、各プローブを単体で取り扱う場合には、キャップを用いることが好ましい。
【0084】
図5は、本発明の実施の形態2にかかるプローブユニットを構成するプローブにキャップを取り付けた場合の構成を示す部分断面図である。図5では、信号用プローブ6Aにキャップ300を取り付けた例を説明するが、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aにも同様のキャップが取り付けられる。
【0085】
キャップ300には、第2プランジャ62の先端部62aの一部を収容する穴形状をなす収容部301と、収容部301の内周面に沿って筒状に突出する突出部302とが設けられている。突出部302は、内径が収容部301の径と同じであり、外径が第1パイプ部材64の内径と同じか、または圧入可能な大きさである。
【0086】
キャップ300は、第1パイプ部材64の第2プランジャ62側の開口に取り付けられて、第2プランジャ62が第1パイプ部材64から抜け落ちることを防止する。この際、突出部302が、先端部62aと第1パイプ部材64との間の隙間に進入してフランジ部62bに当接することによって、先端部62aの先端が、収容部301の底部に干渉することを防止している。キャップ300は、突出部302が第1パイプ部材64に圧入することによって第1パイプ部材64に保持される。
【0087】
以上説明した実施の形態2において、プローブホルダ3Aには、ホルダ孔37、38による孔部が複数個形成され、孔部には信号用プローブ6A、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aを配置することが可能である。これにより、各孔部に対し、信号用プローブ6A、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aの配置変更を行うことが可能である。本実施の形態2によれば、プローブホルダ3Aには、配置され得る位置に同じ形状の孔部を形成すればよいので、簡易なホルダ構成でコンタクトプローブの配置を変更することができる。
【0088】
また、本実施の形態2では、プローブホルダ3Aにおいて、大径部37bとホルダ孔38とにより段部を形成して、この段部が第2プランジャの抜け止め機能を有している。このような構成により、信号用プローブ6A、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aの各プローブにおいて、第2プランジャ側のカラーが不要となるため、部品点数を削減することができる。
【0089】
また、本実施の形態2では、各プローブにキャップを取り付けることによって、第1プランジャ、第2プランジャおよびコイルばねがパイプ部材から離脱することがないため、プローブ単体での取り扱いが容易になる。
【0090】
(実施の形態2の変形例1)
図6は、本発明の実施の形態2の変形例1にかかるキャップの構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態2では、キャップ300の突出部302が第1パイプ部材64に圧入することによって第1パイプ部材64に保持されるものとして説明したが、本変形例1では、キャップ310が第1パイプ部材64を保持する。なお、図6では、信号用プローブ6Aにキャップ310を取り付けた例を説明するが、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aにも同様のキャップが取り付けられる。
【0091】
キャップ310には、第2プランジャ62の先端部62aの一部を収容する穴形状をなす第1収容部311aと、第1パイプ部材64の一部を収容する穴形状をなす第2収容部311bとを有する収容部311が形成されている。第2収容部311bは、外径が第1パイプ部材64の内径と同じか、または圧入可能な大きさである。
【0092】
キャップ310は、第1パイプ部材64の第2プランジャ62側の開口に取り付けられて、第2プランジャ62が第1パイプ部材64から抜け落ちることを防止する。この際、例えば、第1パイプ部材64がキャップ310に圧入されキャップ310が第1パイプ部材64を保持する。
【0093】
(実施の形態2の変形例2)
図7は、本発明の実施の形態2の変形例2にかかるキャップの構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態2や変形例1では、キャップ300、310が、一つのプローブを保持しているものとして説明したが、本変形例2では、キャップ320が複数のプローブを保持する。
【0094】
キャップ320には、第2プランジャ62の先端部62aの一部を収容する穴形状をなす第1収容部311aと、第1パイプ部材64の一部を収容する穴形状をなす第2収容部311bとを有する収容部311が二つ形成されている。
【0095】
キャップ320では、各収容部311に第1パイプ部材64を保持させることによって、第2プランジャ62が第1パイプ部材64から抜け落ちることを防止する。
【0096】
(実施の形態2の変形例3)
図8は、本発明の実施の形態2の変形例3にかかるキャップの構成を示す部分断面図である。上述した実施の形態2の変形例2では、キャップ320が、第1パイプ部材64の第2プランジャ62側の端部を保持しているものとして説明したが、本変形例3では、キャップ330が、第1パイプ部材64の第1プランジャ61側の端部を保持する。
【0097】
キャップ330には、第1プランジャ61の先端部61aの一部を収容する穴形状をなす第1収容部331aと、第1パイプ部材64の一部を収容する穴形状をなす第2収容部331bとを有する収容部331が二つ形成されている。
【0098】
キャップ330では、各収容部331が、第1パイプ部材64の第1プランジャ61側の端部を保持することによって、第2プランジャ62が上向きとなり、第2プランジャ62が第1パイプ部材64から抜け落ちることを防止する。
【0099】
なお、本変形例2、3では、キャップ320、330が二つの信号用プローブ6Aを保持する例を説明したが、三つ以上のプローブを保持するようにすることも可能である。
【0100】
また、上述した変形例2、3では、信号用プローブ6Aがキャップ320、330に取り付けられた例を説明したが、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aにも同様のキャップが取り付けられる。また、キャップ320、330が、信号用プローブ6Aと給電用プローブ7Aとを保持するなど、キャップが複数の種別のプローブを保持するようにしてもよい。
【0101】
(実施の形態3)
図9は、本発明の実施の形態3にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダおよびプローブの詳細な構造を示す部分断面図である。本実施の形態3では、カラーを第1プランジャ側にのみ設け、回路基板2が予め積層された構成となる。
【0102】
本実施の形態3にかかるプローブユニットは、半導体集積回路1に供給する信号の生成等を行う回路を備えた回路基板2と、回路基板2上に配置され、所定の孔部(図1では図示省略)を備えたプローブホルダ3Bと、プローブホルダ3Bの孔部内に収容されるプローブ(信号用プローブ6A、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8A)とを備える。以下、上述した実施の形態2の構成とは異なるプローブホルダ3Bのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0103】
プローブホルダ3Bは、金属等の導電性材料によって形成されたホルダ基板35を備える。すなわち、プローブホルダ3Bは、上述したプローブホルダ3Aの絶縁基板36を有しない構成である。なお、プランジャやコイルばねの軸線方向の長さに応じて、ホルダ孔37の軸線方向の長さを適宜変更することが可能である。
【0104】
プローブホルダ3Bには、ホルダ基板35に回路基板2が予め取り付けられている。本実施の形態3では、各プローブの第2プランジャ(第2プランジャ62、72、82)が、回路基板2の電極(電極200a、200b、200c)に接触することにより、プローブホルダ3Bから抜け落ちることが防止される。
【0105】
以上のような構成のプローブユニットにおいて、半導体集積回路の検査時のプランジャおよびコイルばねの動作は、上述した実施の形態2と同様である。本実施の形態3においても、プローブユニットを流れる電気信号は、第2プランジャから密着巻き部を経由して第1プランジャに流れ込む。例えば信号用プローブ6Aでは、第2プランジャ62に流れ込んだ電気信号が、基端部62dから密着巻き部63aに流れた後、この密着巻き部63aから第1プランジャ61に流れ込む。
【0106】
以上説明した実施の形態3において、プローブホルダ3Bには、ホルダ孔37が複数個形成され、ホルダ孔37には信号用プローブ6A、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aを配置することが可能である。これにより、各ホルダ孔37に対し、信号用プローブ6A、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aの配置変更を行うことが可能である。本実施の形態3によれば、プローブホルダ3Bには、配置され得る位置に同じ形状の孔部を形成すればよいので、簡易なホルダ構成でコンタクトプローブの配置を変更することができる。
【0107】
また、本実施の形態3では、プローブホルダ3Bにおいて、回路基板2を取り付けることにより第2プランジャが抜け止めされる。このような構成により、信号用プローブ6A、給電用プローブ7Aおよびアース用プローブ8Aの各プローブにおいて、第2プランジャ側のカラーが不要となるため、部品点数を削減することができる。
【0108】
(実施の形態4)
図10は、本発明の実施の形態4にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダおよびプローブの詳細な構造を示す部分断面図である。本実施の形態4では、信号用プローブにおいて、空気によりインピーダンス補正を行う。
【0109】
本実施の形態4にかかるプローブユニットは、半導体集積回路1に供給する信号の生成等を行う回路を備えた回路基板2と、回路基板2上に配置され、所定の孔部(図1では図示省略)を備えたプローブホルダ3と、プローブホルダ3の孔部内に収容されるプローブ(信号用プローブ6B、給電用プローブ7およびアース用プローブ8)とを備える。以下、上述した実施の形態1の構成とは異なる信号用プローブ6Bのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0110】
信号用プローブ6Bは、上述した第1プランジャ61、第2プランジャ62、コイルばね63と、第1プランジャ61および第2プランジャ62の一部を収容するとともに、コイルばね63を収容する第1パイプ部材64Aと、第1パイプ部材64Aの両端部にそれぞれ設けられるカラー65と、を備える。信号用プローブ6Bは、上述した信号用プローブ6に対し、第1パイプ部材のみが異なっている。以下、この第1パイプ部材64Aの構成について説明する。
【0111】
第1パイプ部材64Aは、第1プランジャ61、第2プランジャ62およびコイルばね63を挿通可能な円筒状をなしている。第1パイプ部材64Aは、金属を用いて形成される二重管構造をなす外周側パイプと内周側パイプとからなる金属パイプ644と、金属パイプ644の両端部に設けられる絶縁パイプ645と、金属パイプ644と絶縁パイプ645との間に設けられるメッキ646とを有する。金属パイプ644は、ニッケルや銅、ニッケルまたは銅を主成分とする合金等を用いて形成される。なお、金属パイプ644は、パイプ状の部材の表面をメッキ処理したものであってもよい。絶縁パイプ645は、セラミック等の絶縁性材料を用いて生成される。
【0112】
第1パイプ部材64Aは、内周側パイプが形成する中空空間に第1プランジャ61、第2プランジャ62およびコイルばね63が挿通される。また、第1パイプ部材64Aには、金属パイプ644の内周側パイプと外周側パイプとの間に形成される中空空間(以下、外周側中空空間という)と、絶縁パイプ645およびメッキ646とにより、この外周側中空空間の両端が封鎖された空気層Sが形成される。第1パイプ部材64Aでは、この空気層Sによって、信号用プローブ6Bにおける特性インピーダンスを、例えば、一般的に採用されている50Ωと一致するよう補正している。
【0113】
カラー65は、第1パイプ部材64Aの両端部にそれぞれ設けられ、第1パイプ部材64Aの内周面とにより段部を形成する。第1プランジャ61のフランジ部61b、および第2プランジャ62のフランジ部62bは、この段部に当接することにより、第1パイプ部材64Aから抜け落ちることが防止される。
【0114】
信号用プローブ6Bにおいて、絶縁パイプ645の軸線方向の長さd1を調整して空気層Sの体積や、形成位置を調整することによって特性インピーダンスを調整することが可能である。なお、長さd1は、カラー65の軸線方向の長さd2よりも小さいことが好ましい。また、第1パイプ部材64Aにおいて、絶縁パイプ645の間に、インピーダンス調整用の誘電体を設けるようにしてもよい。
【0115】
以上のような構成のプローブユニットにおいて、半導体集積回路の検査時のプランジャおよびコイルばねの動作は、上述した実施の形態1と同様である。本実施の形態4において、信号用プローブ6Bを流れる電気信号は、第2プランジャ62から受け取り、第2プランジャ62側のカラー65を介してメッキ646または金属パイプ644を流れ、その後、第1プランジャ61側のカラー65を介して第1プランジャ61に流れ込む。基端部62dを密着巻き部63aに接触するようにすれば、基端部62dから密着巻き部63aに流れた後、この密着巻き部63aから第1プランジャ61に流れ込むこともある。
【0116】
以上説明した実施の形態4では、実施の形態1と同様に、プローブホルダ3には、ホルダ孔33、34による孔部が複数個形成され、孔部には信号用プローブ6B、給電用プローブ7およびアース用プローブ8を配置することが可能である。これにより、各孔部に対し、信号用プローブ6B、給電用プローブ7およびアース用プローブ8の配置変更を行うことが可能である。本実施の形態4によれば、プローブホルダ3には、配置され得る位置に同じ形状の孔部を形成すればよいので、簡易なホルダ構成でコンタクトプローブの配置を変更することができる。
【0117】
また、上述した実施の形態4によれば、第1パイプ部材64Aに空気層Sを形成するようにしたので、この空気層Sによって信号用プローブ6Bのインピーダンス補正を行うことができる。
【0118】
(実施の形態5)
図11は、本発明の実施の形態5にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダおよびプローブの詳細な構造を示す部分断面図である。本実施の形態5では、プローブホルダ3が、互いに隣り合うプローブ同士が接触するように保持する。
【0119】
本実施の形態5にかかるプローブユニットは、半導体集積回路1に供給する信号の生成等を行う回路を備えた回路基板2と、回路基板2上に配置され、所定の孔部(図1では図示省略)を備えたプローブホルダ3と、プローブホルダ3の孔部内に収容されるプローブ(信号用プローブ6、給電用プローブ7およびアース用プローブ8)とを備える。以下、上述した実施の形態1の構成とは異なるプローブホルダ3Cのみ説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0120】
プローブホルダ3Cは、上述したように、第1部材31と第2部材32とが積層されてなる。また、第1部材31および第2部材32には、複数のプローブを収容するための孔部であるホルダ孔33および34が同数ずつ形成されている。本実施の形態5では、各ホルダ孔の大径部(33bおよび34b)のうち、隣り合う大径部同士が接触し、この接触部分において連通した状態となっている。
【0121】
このため、ホルダ孔に収容されたパイプ部材は、隣り合うプローブのパイプ部材の外周面の一部が接する。各プローブのパイプ部材は、少なくとも外周面は導電性を有しているので、図11においては、給電用プローブ7が直接アース用プローブ8に接触し、信号用プローブ6は、給電用プローブ7を介してアース用プローブ8に電気的に接続している。この結果、各プローブのパイプ部材の外面全体が、グランド電位となる。
【0122】
以上説明した実施の形態5では、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができるとともに、プローブホルダ3Cに保持されている各プローブが、アース用プローブ8と電気的に接続されているため、一層確実に各プローブのパイプ部材の外面全体をグランド電位とすることができる。
【0123】
(実施の形態5の変形例1)
図12は、本発明の実施の形態5の変形例1にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダの構成を示す上面図である。図13は、本発明の実施の形態5の変形例1にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダの構成を示す斜視断面図であって、ホルダ孔33の軸線と直交し、かつ大径部33bを通過する平面を切断面とする斜視断面図である。本変形例1は、上述した実施の形態5のように、隣り合うホルダ孔の大径部同士が接しており、大径部同士の一部が連通している構成であり、ホルダ孔が格子状に配置されている。
【0124】
図12に示すように、ホルダ孔33が格子状に配置され、かつ隣り合う大径部33b同士が接している場合において、第1部材31には、四つの大径部33bによって囲まれた菱形柱状部39が形成される。この菱形柱状部39と、各プローブのパイプ部材とが接することによって、プローブが位置決めされたり、プローブの軸線が、ホルダ孔の軸線に対して傾斜することを抑制したりする。
【0125】
(実施の形態5の変形例2)
図14は、本発明の実施の形態5の変形例2にかかるプローブユニットを構成するプローブホルダの構成を示す断面図であって、図12のA-A線断面を示す断面図である。本変形例2にかかるプローブホルダ3Dは、上述した菱形柱状部39の一部を切除した菱形柱状部39aを有する。プローブホルダ3Dは、第1部材31Aおよび第2部材32Aを積層してなる。
【0126】
ホルダ孔33が格子状に配置され、かつ隣り合う大径部33b同士が接している場合において、図14に示すように、第1部材31Aおよび第2部材32Aには、四つの大径部33bによって囲まれた菱形柱状部39aが形成される。この菱形柱状部39aは、上述した菱形柱状部39に対し、軸線方向の中央部を切除することによって形成される。菱形柱状部39aにおいて、プローブホルダ3Dの上面側および下面側のみの構成とすることによって、ホルダ孔の強度を向上することができる。
【0127】
なお、上述した実施の形態1~5では、信号用プローブに対してインピーダンスを補正する構成例を説明したが、給電用プローブに対して適用することも可能である。
【0128】
また、上述した実施の形態1~5では、第1および第2プランジャならびにコイルばねによって内部導体を形成するものとして説明したが、パイプ部材とカラーとが形成する段部に当接する段付き形状をなし、長手方向に沿って伸縮可能な構成であれば、第1および第2プランジャならびにコイルばねとは異なる構成によって内部導体を形成してもよい。
【0129】
また、上述した実施の形態1~5において、パイプ部材が円筒状をなしており、長手方向と直交する方向からみた形状が円環状をなすものとして説明したが、中空角形状をなすものであってもよい。
【0130】
また、上述した実施の形態1~5において、パイプ部材を介して信号の入出力を行わない場合、すなわち、第1および第2プランジャならびにコイルばねを導通経路とする場合は、絶縁性材料を用いてカラーを形成することが可能である。
【0131】
また、上述した実施の形態1~5において、パイプ部材(第1パイプ部材64、64A、第2パイプ部材74)の表面にメッキ層(内周側メッキ642、742、外周側メッキ643、743、メッキ646)が形成されているものとして説明したが、ホルダ孔に対するパイプ部材の固定態様、およびパイプ部材に対するカラーの固定態様(実施の形態4の場合は絶縁パイプの固定態様)によっては、メッキ層を有しない構成であってもよい。例えば、パイプ部材に対してカラーを圧入することによって、パイプ部材にカラーを固定する場合は、メッキ層を有しない構成であってもよい。
【0132】
なお、信号用プローブにRF(Radio Frequency)信号用以外の信号を伝送させる場合、信号用プローブに、給電用プローブの構成を適用してもよい。
【0133】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0134】
以上のように、本発明にかかるコンタクトプローブおよびプローブユニットは、コンタクトプローブの配置を変更可能なプローブホルダにおいて、プローブホルダの構成を簡易にするのに適している。
【符号の説明】
【0135】
1 半導体集積回路
2 回路基板
3、3A、3B、3C、3D プローブホルダ
4 プローブ
6 信号用プローブ
7 給電用プローブ
8 アース用プローブ
31、31A 第1部材
32、32A 第2部材
33、34、37、38 ホルダ孔
35 ホルダ基板
36 絶縁基板
39、39a 菱形柱状部
61、71、81 第1プランジャ
62、72、82 第2プランジャ
63、73、83 コイルばね
64、64A 第1パイプ部材
74 第2パイプ部材
84 第3パイプ部材
65、75、85 カラー
300、310、320、330 キャップ
641 インピーダンス補正部材
642、742 内周側メッキ
643、743 外周側メッキ
741 絶縁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14