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特許7413056シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20240105BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B65H3/06 340E
B65H3/52 330B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020020189
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021123492
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 記和
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-075333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/06
B65H 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを支持するシート支持部と、
回転によりシートを搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラを回転可能に支持し、前記搬送ローラと連動して回転可能な第1軸と、
前記第1軸を中心に揺動可能に設けられ、前記第1軸と連動して揺動可能であり、前記搬送ローラがシートを搬送する第1方向に回転する場合は前記シート支持部に向けて揺動し、前記搬送ローラが前記第1方向とは逆の第2方向に回転する場合は前記シート支持部から離れるように揺動するアームと、
前記アームに回転可能に設けられ、前記シート支持部により支持されたシートの表面に対して前記アームの揺動によって接離可能に設けられ、前記シート支持部に支持されたシートの表面に当接して回転することにより当該シートを前記搬送ローラに給送する給送ローラと、
前記搬送ローラに接して回転可能に設けられ、前記搬送ローラとの間で、前記給送ローラにより給送されたシートを挟持して搬送するニップ部を形成し、前記ニップ部に複数のシートが供給された場合に回転を停止し、前記搬送ローラに当接されたシートを分離する分離ローラと、
前記分離ローラを回転可能に支持する第2軸と、
前記分離ローラと前記第2軸との間に介在され、蓄勢手段を有し、前記ニップ部を搬送されるシートが1枚である場合は、前記分離ローラのシートへの従動回転を許容し、搬送されるシートが複数重なっている場合は、前記蓄勢手段に蓄勢しながら従動回転し、前記蓄勢手段の蓄勢力が所定値に達するまで従動回転したときに前記分離ローラのシートへの従動回転を規制するトルクリミッタと、
前記搬送ローラから前記アームまでの回転伝達経路に介在され、前記搬送ローラと前記アームとを駆動連結可能であり、前記トルクリミッタの前記蓄勢手段が蓄勢された状態から解放された状態に戻るまでに前記分離ローラに接触する前記搬送ローラが前記第2方向に従動回転される回転角度より大きい回転方向の遊びを有する連結部と、を備える、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記連結部は、前記第1軸と前記アームとの間に介在されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記第1軸と前記アームとの相対回転角度として5度以上の前記遊びを有する、
ことを特徴とする請求項2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記連結部は、
前記第1軸及び前記アームの一方に一体回転可能に設けられ、回転方向に間隔を有して配置された第1規制部及び第2規制部と、
前記第1軸及び前記アームの他方に一体回転可能に設けられ、前記第1規制部及び第2規制部の間を移動可能な当接部と、を有し、
前記遊びは、前記当接部が前記第1規制部及び前記第2規制部の一方に当接して規制された場合の前記第1規制部及び前記第2規制部の他方との回転方向の間隔である、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記第1軸と前記アームとの間に介在されるジョイント部を備え、
前記連結部は、前記ジョイント部と前記第1軸との間に介在され、
前記第1軸は、前記当接部を有し、
前記ジョイント部は、前記第1規制部及び第2規制部を有し、
前記第1軸及び前記搬送ローラが前記第1方向に回転する場合に、前記アームを前記シート支持部に向けて揺動させ、前記給送ローラが前記シート支持部又は前記シート支持部に支持されたシートに当接したときに、前記アームを前記第1軸に対して空転させ、
前記第1軸及び前記搬送ローラが前記第2方向に回転する場合に、前記アームを前記シート支持部から離れるように揺動させる、
ことを特徴とする請求項4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記当接部は、前記第1軸の軸方向に交差して貫通されて設けられたピン部材である、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記当接部は、前記第1軸と一体形成されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート搬送装置と、
前記シート搬送装置によって搬送されたシートから画像の情報を読み取る画像読取部と、を備える、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置によってシートから読み取られた画像の情報に基づいて別のシートに画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、並びにシート搬送装置を備える画像読取装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において、原稿となるシートを自動的に給送する原稿給送装置(Auto Document Feeder 以下ADFと呼ぶ)を備えた画像読取装置が知られている。ADFでは、原稿を1枚ずつ確実に分離するための構成として、駆動回転する搬送ローラと従動回転する分離ローラとによりニップ部を形成し、ニップ部に原稿を挟持して搬送する際に原稿を分離するようにした構成が普及している(特許文献1参照)。
【0003】
この場合、分離ローラは、トルクリミッタにより支持されたものとしている。トルクリミッタの設定値は、ニップ部に1枚の原稿が搬送された場合は、分離ローラと原稿との摩擦抵抗が大きいため、分離ローラが連れ周り可能な大きさに設定する。また、トルクリミッタの設定値は、ニップ部に2枚の原稿が搬送された場合は、分離ローラと原稿との摩擦抵抗より原稿同士の摩擦抵抗が小さいため、分離ローラが連れ回らない大きさに設定する。このように、トルクリミッタの設定値を設定することにより、重なった原稿を分離可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-001872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の構成では、トルクリミッタを使用しているため、以下のような課題が発生する虞がある。給送ローラ(ピックアップローラ)は給送タイミングを調整するために間欠動作されるので、給送ローラの駆動オフ時に、トルクリミッタに作用していた負荷力の解放による戻り回転力が発生することがある。この戻り回転力により、トルクリミッタが分離ローラをシート搬送方向とは逆方向に回転させてしまう場合がある。分離ローラは、シート搬送方向とは逆回転に回転されると、給送ローラを支持するアームを上方に揺動させ、給送ローラを原稿搬送位置から上方に移動させてしまう。このため、次の原稿給送時に給送ローラが上方から搬送位置まで下降するため、給送ローラが下降時に原稿や下面の搬送ガイドに衝突してしまい、この結果、叩き音を発生する虞があった。
【0006】
本発明は、給送ローラによる叩き音の発生を低減可能なシート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシート搬送装置は、シートを支持するシート支持部と、回転によりシートを搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを回転可能に支持し、前記搬送ローラと連動して回転可能な第1軸と、前記第1軸を中心に揺動可能に設けられ、前記第1軸と連動して揺動可能であり、前記搬送ローラがシートを搬送する第1方向に回転する場合は前記シート支持部に向けて揺動し、前記搬送ローラが前記第1方向とは逆の第2方向に回転する場合は前記シート支持部から離れるように揺動するアームと、前記アームに回転可能に設けられ、前記シート支持部により支持されたシートの表面に対して前記アームの揺動によって接離可能に設けられ、前記シート支持部に支持されたシートの表面に当接して回転することにより当該シートを前記搬送ローラに給送する給送ローラと、前記搬送ローラに接して回転可能に設けられ、前記搬送ローラとの間で、前記給送ローラにより給送されたシートを挟持して搬送するニップ部を形成し、前記ニップ部に複数のシートが供給された場合に回転を停止し、前記搬送ローラに当接されたシートを分離する分離ローラと、前記分離ローラを回転可能に支持する第2軸と、前記分離ローラと前記第2軸との間に介在され、蓄勢手段を有し、前記ニップ部を搬送されるシートが1枚である場合は、前記分離ローラのシートへの従動回転を許容し、搬送されるシートが複数重なっている場合は、前記蓄勢手段に蓄勢しながら従動回転し、前記蓄勢手段の蓄勢力が所定値に達するまで従動回転したときに前記分離ローラのシートへの従動回転を規制するトルクリミッタと、前記搬送ローラから前記アームまでの回転伝達経路に介在され、前記搬送ローラと前記アームとを駆動連結可能であり、前記トルクリミッタの前記蓄勢手段が蓄勢された状態から解放された状態に戻るまでに前記分離ローラに接触する前記搬送ローラが前記第2方向に従動回転される回転角度より大きい回転方向の遊びを有する連結部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像読取装置は、上記のシート搬送装置と、前記シート搬送装置によって搬送されたシートから画像の情報を読み取る画像読取部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像形成装置は、上記の画像読取装置と、前記画像読取装置によってシートから読み取られた画像の情報に基づいて別のシートに画像を形成する画像形成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、給送ローラによる叩き音の発生を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略の断面図である。
図2】本実施形態に係る画像読取装置を示す概略の断面図である。
図3】本実施形態に係るADFの駆動系を示す説明図である。
図4】本実施形態に係るADFの各部を示す斜視図であり、(a)は給送ローラユニット、(b)は分離ローラユニットである。
図5】本実施形態に係るADFの給送ローラユニットを示す分解斜視図である。
図6】本実施形態に係るADFの搬送ローラ及び分離ローラの側面図である。
図7】本実施形態に係るADFの搬送ローラ及び分離ローラの側面図であり、(a)はシートが待機した状態、(b)はシートがニップ部を通過中の状態、(c)はシートがニップ部を通過した状態である。
図8】比較例に係るADFの搬送ローラ及び分離ローラの側面図である。
図9】比較例に係るADFの搬送ローラ及び分離ローラの側面図であり、(a)はシートが待機した状態、(b)はシートがニップ部を通過中の状態、(c)はシートがニップ部を通過した状態である。
図10】変形例に係るADFの第1回転軸の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。
【0013】
[画像形成装置]
まず、画像形成装置の一例であるプリンタ101の構成について図1を参照しながら説明する。プリンタ101は、図1に示すように、プリンタ本体101Aと、画像読取装置1と、を備えた複合機である。プリンタ本体101Aは、記録媒体として用いられる記録材Pに画像を形成する。プリンタ本体101Aの上方に配置された画像読取装置1は、読取装置本体1BとADF1Aとを備え、原稿Dとして用いられるシートの原稿面を光学的に走査して画像情報を読み取る。記録材P又は原稿Dとして用いられるシートには、薄紙及び厚紙等の紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート(OHP)等のプラスチックフィルム、コート紙等の表面処理がされた紙、封筒等の特殊形状のシート、及び布が含まれる。
【0014】
プリンタ本体101Aは、記録材Pに画像を形成する画像形成部133と、画像形成部133に記録材Pを給送するシート給送部134と、を有している。シート給送部134は、互いに異なるサイズのシートを収納可能なシート収納部137a,137b,137c,137dを備えている。各シート収納部に収納されたシートは、ピックアップローラ112によって繰り出され、フィードローラ113a及びリタードローラ113bによって1枚ずつ分離されて、対応する搬送ローラ対131へと受け渡される。そして、記録材Pは、シート搬送路に沿って配置された複数の搬送ローラ対131を順に受け渡されることで、レジストレーションローラ対136へと搬送される。
【0015】
なお、ユーザによって手差しトレイ137eに載置された記録材Pは、給送ローラ138によってプリンタ本体101Aの内部に給送され、レジストレーションローラ対136へと搬送される。レジストレーションローラ対136は、記録材Pの先端を停止させて斜行を補正すると共に、画像形成部133によるトナー像の形成プロセスである作像動作の進行に合わせて記録材Pの搬送を再開する。
【0016】
記録材Pに画像を形成する画像形成部133は、感光体である感光ドラム121を備えた電子写真方式の画像形成ユニットである。感光ドラム121は、記録材Pの搬送方向に沿って回転可能であり、感光ドラム121の周囲には帯電器118、露光装置123、現像器124、転写帯電器125、分離帯電器126、及びクリーナ127が配置されている。帯電器118は感光ドラム121の表面を一様に帯電させ、露光装置123は画像読取装置1等から入力される画像情報に基づいて感光ドラム121を露光し、ドラム上に静電潜像を形成する。
【0017】
現像器124は、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤を収容しており、感光ドラム121に帯電したトナーを供給することで静電潜像をトナー像に現像する。感光ドラム121に担持されたトナー像は、転写帯電器125が形成するバイアス電界により、レジストレーションローラ対136から搬送される記録材Pに転写される。トナー像を転写された記録材Pは、分離帯電器126が形成するバイアス電界によって感光ドラム121から離間し、定着前搬送部128によって定着部129へ向けて搬送される。なお、記録材Pに転写されずに感光ドラム121に残留した転写残トナー等の付着物はクリーナ127によって除去され、感光ドラム121は次の作像動作に備える。
【0018】
定着部129に搬送された記録材Pは、ローラ対に挟持されて加圧されながら加熱され、トナーの溶融・固着により画像を定着させられる。画像出力が完了している場合、定着画像が得られた記録材Pは、排出ローラ対116を介して、プリンタ本体101Aの外方に突出した排出トレイ130に排出される。両面印刷において記録材Pの裏面に画像を形成する場合、定着部129を通過した記録材Pは、反転部139によって表面と裏面とを入れ替えられ、両面搬送部140によってレジストレーションローラ対136へと搬送される。そして、画像形成部133によって再び画像を形成された記録材Pは、排出トレイ130に排出される。
【0019】
以上説明した画像形成部133は、画像読取装置1によって原稿Dから読み取られた画像の情報に基づいて別のシートに画像を形成する画像形成部の一例である。画像形成部133としては、中間転写体を介して記録材Pに画像を転写する中間転写方式を採用してもよい。また、電子写真システム以外の画像形成部(例えば、インクジェット方式又はオフセット印刷方式)を用いてもよい。
【0020】
[画像読取装置]
次に、図2を参照して、画像読取装置1の構成を説明する。図2に示すように、画像読取装置1は、読取装置本体1Bと、シート搬送装置の一例であるADF1Aとによって構成される。また、画像読取装置1は、読取装置本体1Bに配置された第1読取部11と、ADF1Aに配置された第2読取部12と、を備えている。以下、画像読取装置1を構成する各要素について説明する。
【0021】
第1読取部11は、原稿Dの一方の面から画像情報を読み取り、第2読取部12は、原稿Dの他方の面から画像情報を読み取る。第1読取部11及び第2読取部12は、原稿に対して光を照射する露光ランプと、光電変換素子からなるイメージセンサと、不図示のミラーやレンズ等と、を有している。露光ランプから照射され、原稿Dによって反射された反射光は、ミラーやレンズを介してイメージセンサに結像され、光電変換されて画像データとなる。第1読取部11及び第2読取部12によって得られた画像データは、プリンタ本体101Aの制御部132(図1参照)に伝送される。ただし、第1読取部11及び第2読取部12は常に両面の同時読取りを実行するとは限らず、片面のみの読取りも可能である。
【0022】
読取装置本体1Bは、プリンタ本体101Aの上面に固定されている(図1参照)。読取装置本体1Bの上面には、フラットベッド型の原稿台28が配置されている。第1読取部11は、図中左右方向に移動可能なキャリッジ(不図示)に支持されており、図2に示す位置から、原稿台28に沿って原稿台28の全長に亘って移動可能である。
【0023】
ADF1Aは、図中奥側に配置された不図示のヒンジ機構によって、読取装置本体1Bに対して上下方向に開閉可能に支持されており、読取装置本体1Bの原稿台28に対向して押圧板29が形成されている。ADF1Aは、第2読取部12の他に、原稿トレイ2と、原稿搬送部23と、排出トレイ3とを備えている。原稿トレイ2は、ユーザによって載置されたシートである原稿Dを支持するシート支持部の一例である。原稿搬送部23は、内部に原稿搬送路24が形成されており、原稿トレイ2に載置された原稿Dを、原稿搬送路24を介して第1読取部11及び第2読取部12に給送する。第1読取部11及び第2読取部12は、ADF1Aによって搬送された原稿Dから画像の情報を読み取る画像読取部の一例である。第1読取部11及び第2読取部12によって画像情報が読み取られた原稿Dは、排出トレイ3に排出される。
【0024】
原稿搬送部23について詳しく説明する。原稿搬送部23は、ピックアップローラ4と、フィードローラ5と、分離ローラ6と、レジストレーションローラ対(以下、レジローラ対とする)7と、搬送ローラ対8,9と、排出ローラ対10とを備える。これらのローラは、原稿搬送路24におけるシートの移動方向(以下、シート搬送方向とする)に沿って順に配置されている。なお、排出トレイ3は原稿トレイ2の下方に位置し、シート搬送方向に直交するシートの幅方向から視たとき(図2の視点)、原稿搬送路24はU字状に湾曲している。原稿搬送部23は上部にカバー23aを有している。このカバー23aは回動可能となっており、ピックアップローラ4の交換や、ジャムした原稿を処理する際に開閉される。
【0025】
ピックアップローラ4は、本実施形態において原稿Dを給送する給送ローラの一例であり、原稿トレイ2に載置された原稿Dの上面に当接して最上位の原稿を給送する。フィードローラ5は、搬送ローラの一例である。フィードローラ5及び分離ローラ6は、ピックアップローラ4から受け取った原稿Dを1枚ずつに分離しながら、シート搬送方向の下流へ搬送する。分離ローラ6は、フィードローラ5に圧接され、固定された軸にトルクリミッタを介して連結されている。尚、分離ローラ6としては、固定された軸にトルクリミッタを介して連結された構成には限られず、トルクリミッタを介して搬送方向に逆らう方向の回転駆動が入力されるようにしたリタード方式のものであってもよい。
【0026】
本実施形態では、原稿搬送部23は、ピックアップローラ4及びフィードローラ5を有するピックアップローラユニット30と、分離ローラ6を有する分離ローラユニット40とを備えている。これらピックアップローラユニット30及び分離ローラユニット40の詳細については、後述する。
【0027】
本実施形態のレジストレーション手段であるレジローラ対7は、フィードローラ5から搬送される原稿Dのシート搬送方向の下流端(以下、先端とする)をニップ部で受け止め、原稿Dを撓ませて斜行を補正する。また、レジローラ対7は、斜行が補正された原稿Dを、原稿搬送路24の屈曲部を介して搬送する。レジローラ対7から送り出された原稿Dは、搬送ローラ対8を介して搬送され、第1読取部11及び第2読取部12によって画像が読み取られる。画像が読み取られた原稿Dは、搬送ローラ対9を介して排出ローラ対10に受け渡され、排出ローラ対10によって排出トレイ3に排出される。
【0028】
なお、ここではプリンタ本体101Aと連結された画像読取装置1について説明したが、画像読取装置1は、画像形成装置とは独立した画像読取装置としても使用可能である。その場合、第1読取部11及び第2読取部12によって読み取られた画像情報は、有線又は無線の通信手段を介して外部のコンピュータに伝送されるか、或いは画像読取装置内部の記憶装置に格納された後、記憶媒体又は外部のコンピュータに伝送される。また、後述の実施形態で説明する構成は、2つの画像読取部(11,12)によって原稿の両面から並行して画像を読み取り可能な構成に限らず、いずれか一方のみを有する画像読取装置にも適用可能である。
【0029】
[ピックアップローラユニット及び分離ローラユニット]
次に、図2図5を参照して、ピックアップローラユニット30及び分離ローラユニット40の構成を説明する。図2に示すように、ピックアップローラユニット30は、ピックアップローラ4とフィードローラ5とを備えたユニットであり、原稿搬送部23の開閉可能なカバー23aに取り付けられており、カバー23aの開閉に伴ってカバー23aと一体に移動する。
【0030】
図3に、ピックアップローラユニット30の駆動系統図を示す。ピックアップローラユニット30は、原稿搬送部23に設けられた駆動系により駆動される。本実施形態では、駆動系の一例として、駆動源である給送モータ50から駆動ギヤ列51を介して、出力軸52に駆動が伝わる。駆動ギヤ列51には電磁クラッチ53が設けられ、電磁クラッチ53よりも下流側の駆動系は電磁クラッチ53の係脱により回転状態及び停止状態を切り替えられる。電磁クラッチの係脱は、制御部132(図1参照)によって制御される。電磁クラッチ53が制御されることにより、ピックアップローラ4から給送される原稿は所定の給送間隔で給送される。出力軸52は、カップリング55によりフィードローラ5の第1回転軸31に連結されている。フィードローラ5の第1回転軸31とピックアップローラ4の給送回転軸32とは、ギヤ列54で駆動連結されており、フィードローラ5が回転するとピックアップローラ4も一体回転する。
【0031】
図4(a)及び図5に示すように、ピックアップローラユニット30は、ピックアップローラ4とフィードローラ5とに設けられたアーム33を有している。ピックアップローラ4は、アーム33によって回転可能に支持されている。アーム33は、第1軸の一例である第1回転軸31を中心に揺動可能に設けられ、第1回転軸31と連動して揺動可能に設けられている。アーム33は、フィードローラ5が原稿Dを搬送する第1方向R1に回転する場合は原稿トレイ2に向けて揺動し、フィードローラ5が第1方向R1とは逆の第2方向R2に回転する場合は原稿トレイ2から離れるように揺動する。
【0032】
ピックアップローラ4は、アーム33に回転可能に設けられ、原稿トレイ2により支持されたシートの表面に対してアーム33の揺動によって接離可能に設けられている。ピックアップローラ4は、原稿トレイ2に支持された原稿Dの表面に当接して回転することにより、当該原稿Dをフィードローラ5に給送する。フィードローラ5は、ピックアップローラ4から給送された原稿Dを、回転により搬送する。フィードローラ5は、第1回転軸31により回転可能に支持され、第1回転軸31と連動して回転可能である。
【0033】
次に、アーム33の揺動について説明する。アーム33は、第1回転軸31に取り付けられた係合ピン34と、係合ピン34により第1回転軸31と一体に回転するジョイント35と、ピックアップローラ4に所定の搬送力を発生させるためのクラッチばね36を介して、第1回転軸31により回転する。係合ピン34は、アーム33を第1回転軸31と一体回転するために設けられ、第1回転軸31の軸方向に交差して貫通されて設けられたピン部材の一例であり、当接部に相当する。本実施形態では、係合ピン34は、第1回転軸31の軸方向に直交して貫通された透孔31aに設けられている。クラッチばね36は、一端がアーム33に固定されている。クラッチばね36の他端がジョイント35に対し第1回転軸31が第1方向R1に回転した場合に、クラッチばね36のコイル巻き方向が緩み側に設定されている。これにより、第1回転軸31は、所定のトルクでジョイント35に対し回転可能になっている。
【0034】
第1回転軸31が第1方向R1に回転し、アーム33との間で所定のトルクが作用するまでは、アーム33を原稿トレイ2に近づく側に揺動させる。一方、第1回転軸31が第1方向R1に回転し、ピックアップローラ4が原稿D又は原稿トレイ2に当接し、ピックアップローラ4に所定の搬送力が加わった場合は、クラッチばね36がジョイント35に対してスリップする。これにより、ピックアップローラ4が回転しても、アーム33は揺動しない。また、第1回転軸31が搬送側とは逆方向の第2方向R2に回転した場合は、クラッチばね36のコイル巻き方向が締まり側に働くようになっている。このため、アーム33は第1回転軸31と一体に回転する。
【0035】
ピックアップローラユニット30には、カバー23aに取り付けるためのホルダ38が備えられている。第1回転軸31には、軸受37が設けられ、軸受37を介してホルダ38に回転可能に支持されている。また、第1回転軸31は、複数のEリング39が装着されることにより、クラッチばね36、ジョイント35、軸受37を軸方向に固定している。
【0036】
ホルダ38には、原稿Dを原稿トレイ2に載置する際に、原稿Dの搬送方向の位置決めをするストッパ60が備えられている。ストッパ60は、ピックアップローラ4が原稿トレイ2から離れる側の待機位置(図7(a)参照)に位置する場合は、原稿Dの搬送方向に対して回転しないように保持され、原稿Dの位置決め機能を有する。また、ストッパ60は、ピックアップローラ4が原稿トレイ2に近接する側の搬送位置(図7(b)参照)に位置する場合は、原稿Dの搬送方向に対して回転自在になり、原稿Dの搬送を妨げないようにする。
【0037】
次に、分離ローラユニット40について、図4(b)を用いて説明する。図4(b)に示すように、分離ローラユニット40は、分離ローラ6と、第2軸の一例である第2回転軸41と、トルクリミッタ42とを備えている。分離ローラ6は、分離ローラ6と同軸上に備えられた第2回転軸41に対して回転可能に支持されている。分離ローラ6は、フィードローラ5に接して回転可能に設けられており、フィードローラ5との間で、ピックアップローラ4により給送された原稿Dを挟持して搬送するニップ部N(図6参照)を形成している。
【0038】
分離ローラ6には、第2回転軸41との間にトルクリミッタ42が介在されて設けられており、分離ローラ6は搬送方向の第3方向R3への回転時に所定のトルクが加わると第2回転軸41に対し回転可能となっている。本実施形態では、トルクリミッタ42は、蓄勢手段の一例として捩りコイルばねを有している。トルクリミッタ42の作用により、分離ローラ6は、ニップ部Nに複数のシートが供給された場合に回転を停止、又は、搬送方向とは逆方向に回転することによりフィードローラ5に当接された重なったシートを1枚ずつ分離する。即ち、トルクリミッタ42は、ニップ部N(図6参照)を搬送される原稿Dが1枚である場合は、分離ローラ6の原稿Dへの従動回転を許容する。また、トルクリミッタ42は、搬送される原稿Dが複数重なっている場合は、捩りコイルばねに蓄勢しながら従動回転し、捩りコイルばねの蓄勢力が所定値に達するまで従動回転したときに分離ローラ6の原稿Dへの従動回転を規制する。分離ローラユニット40には、第2回転軸41を支持して原稿搬送部23に取り付けるための分離ローラホルダ43が設けられている。分離ローラホルダ43は、一部が原稿Dの搬送をガイドするガイド面を担っている。
【0039】
[比較例の第1回転軸とアームとの接続構成]
図8に、比較例のピックアップローラユニット230の第1回転軸31とアーム33との連結部を示す。第1回転軸31には係合ピン34が挿入されており、係合ピン34はジョイント235に設けられた溝部235aに挿入される。このジョイント235に設けられた溝部235aの幅は、係合ピン34と同幅に設定されている。このため、ジョイント35に設けられた溝部235aと係合ピン34とに回転方向に寸法誤差のガタしか発生せず、第1回転軸31の回転とジョイント35の回転とはほぼ同期する。
【0040】
図9(a)~図9(c)に、比較例のピックアップローラユニット230の原稿搬送動作におけるジョイント235の動きを示す。図9(a)は、原稿Dを原稿トレイ2に載置した状態を示す。このときアーム33は待機位置に位置し、ストッパ60が原稿Dの先端位置を規制している。図9(b)は、ピックアップローラ4で原稿Dを搬送中のジョイント235の動きを示す。原稿搬送部23からの駆動により、第1回転軸31は第1方向R1に回転する。第1回転軸31への駆動伝達のオンオフは、第1回転軸31より上流に設けられた電磁クラッチ53(図3参照)の係脱により行われる。このとき、ピックアップローラ4は、原稿トレイ2に載置された最上位の原稿Dの表面に接する搬送位置に移動する。これにより、ストッパ60は解除され、原稿Dが下流方向に搬送可能になる。
【0041】
ピックアップローラ4は、アーム33とジョイント235との間に取り付けられたクラッチばね36により原稿Dを押さえつける方向に所定の搬送圧を発生させつつ搬送方向R5に回転する。第1回転軸31が回転している間は、この搬送圧を発生させ続ける。このとき、分離ローラ6は、フィードローラ5と分離ローラ6との接線上でニップ部Nを通る原稿Dが1枚であれば、フィードローラ5と同期して第3方向R3に回転する。フィードローラ5と分離ローラ6の接線上でニップ部Nを通る原稿Dが2枚であれば、分離ローラ6は回転せずに次の原稿Dの搬送を阻害する。これにより、原稿Dを1枚ずつ搬送することが可能となっている。
【0042】
図9(c)は、ピックアップローラ4とフィードローラ5による原稿Dの給送が終了した状態を示す。第1回転軸31は電磁クラッチ53が解放状態になり、原稿搬送部23からの駆動供給が停止することにより回転が停止する。このとき、第2回転軸41に設けられたトルクリミッタ42はトルクリミッタ42内の捩りコイルばねの戻り力により、第3方向R3とは逆の第4方向R4に回転する。この回転により、フィードローラ5も第1方向R1とは逆の第2方向R2に従動回転させられる。フィードローラ5が第2方向R2に回転することにより、ジョイント235を介してアーム33は原稿から離間する方向(図中矢印で示す)に待機位置に向けて移動する。この状態で、次の原稿Dを搬送するために電磁クラッチ53がオン状態になり、第1回転軸31が第1方向R1に回転すると、ピックアップローラ4は原稿Dに向けて移動し、原稿Dを叩くような動作をとる。この原稿を叩く動作時に、音が発生してしまう。そこで、本実施形態では、ピックアップローラ4が原稿Dを叩く音の低減を図るために、フィードローラ5からアーム33までの回転伝達経路の途中に、遊びを設けるようにしている。
【0043】
[本実施形態の第1回転軸とアームとの接続構成]
図6に、本実施形態の第1回転軸31とアーム33の連結部65を示す。第1回転軸31には係合ピン34が挿入されており、係合ピン34はジョイント35に設けられた溝部35aに挿入される。溝部35aは、第1回転軸31を中心に180度のピッチで2か所に設けられている。それぞれの溝部35aは、回転方向に間隔を有して配置された第1規制部61及び第2規制部62を有する略扇形形状に形成されている。本実施形態では、第1規制部61及び第2規制部62の周方向の間隔、即ち溝部35aの角度はθ1=30度としている。
【0044】
このジョイント35に設けられた溝部35aの周方向の長さは、係合ピン34の直径よりも広く設定されている。この設定により、係合ピン34は角度θの第1回転軸31の回転に対する遊びθ2を設けている。θ2は5度以上であることが好ましい。本発明では、θ1=30度に設定しているが、遊び角θ2を確保できるように、使用するトルクリミッタ42の戻り力によって適宜設定することが望ましい。本実施形態では、ジョイント35の溝部35aは、回転時に係合ピン34の側面全体でジョイント35の溝に接するように扇形を形成しているが、これには限られず、係合ピン34と溝部35aに遊びを形成できれば、溝形状は必ずしも扇形でなくてもよい。
【0045】
図7(a)~図7(c)に、本実施形態の原稿搬送動作におけるジョイント35の動きを示す。図7(a)は、原稿Dを原稿トレイ2に載置した状態を示す。このときアーム33は待機位置におり、ストッパ60が原稿Dの先端位置を規制している。図7(b)は、ピックアップローラ4で原稿Dを搬送中のジョイント35の動きを示す。原稿搬送部23からの駆動により、第1回転軸31は第1方向R1に回転する。このとき、ピックアップローラ4は原稿トレイ2に載置された最上位の原稿Dの表面に接する搬送位置に移動する。これにより、ストッパ60は解除され、原稿Dが下流方向に搬送可能になる。
【0046】
ピックアップローラ4は、アーム33とジョイント35の間に取り付けられたクラッチばね36(図5参照)により原稿Dを押さえつける方向に所定の搬送圧を発生させつつ搬送方向R5に回転する。第1回転軸31が回転している間は、この搬送圧を発生させ続ける。このとき、分離ローラ6の動きは、比較例の場合と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0047】
図7(c)は、ピックアップローラ4とフィードローラ5による原稿Dの給送が終了した状態を示す。第1回転軸31は電磁クラッチ53が解放状態になり、原稿搬送部23からの駆動供給が停止することにより回転が停止する。このとき、第2回転軸41に設けられたトルクリミッタ42はトルクリミッタ42内の捩りコイルばねの戻り力により、第3方向R3とは逆の第4方向R4に回転する。この回転により、フィードローラ5も第1方向R1とは逆の第2方向R2に従動回転させられる。フィードローラ5が第2方向R2に回転することにより、第1回転軸31も回転するが、係合ピン34とジョイント35とに遊びを設けているため、係合ピン34の回転はジョイント35に伝わらない。これにより、アーム33は搬送位置から移動しない。アーム33が移動しないことにより、ピックアップローラ4は原稿トレイ2に載置された次の原稿Dの上面より離間しないため、次の原稿Dを叩く音を低減できる。
【0048】
本実施形態では、連結部65は、ジョイント35の溝部35aと係合ピン34を有している。即ち、本実施形態では、連結部65は、第1回転軸31とアーム33との間に介在されている。連結部65は、フィードローラ5からアーム33までの回転伝達経路に介在され、フィードローラ5とアーム33とを駆動連結可能である。また、連結部65は、トルクリミッタ42の捩りコイルばねが蓄勢された状態から解放された状態に戻るまでに分離ローラ6に接触するフィードローラ5が第2方向R2に従動回転される回転角度より大きい回転方向の遊び角θ2を有する。これにより、フィードローラ5が第2方向R2に従動回転しても、アーム33の待機位置に向けての揺動を抑制することができる。
【0049】
また、遊び角θ2は、係合ピン34が第1規制部61及び第2規制部62の一方に当接して規制された場合の第1規制部61及び第2規制部62の他方との回転方向の間隔であり、5度以上としている。尚、遊び角θ2が5度未満である場合は、フィードローラ5が第2方向R2に従動回転したときのアーム33の揺動を十分に抑えられない可能性があるため、θ2は5度以上であることが好ましく、10度以上であることがより好ましい。即ち、連結部65は、第1回転軸31とアーム33との相対回転角度として5度以上の遊びを有することが好ましい。
【0050】
また、本実施形態では、ジョイント35とクラッチばね36とは、第1回転軸31とアーム33との間に介在されるジョイント部の一例である。この場合、連結部65は、ジョイント部と第1回転軸31との間に介在される。ここでのジョイント部は、第1回転軸31が第1方向R1に回転する場合に、アーム33を原稿トレイ2に向けて揺動させ、ピックアップローラ4が原稿トレイ2又は原稿Dに当接したときに、アーム33を第1回転軸31に対して空転させる。また、ジョイント部は、第1回転軸31が第2方向R2に回転する場合に、アーム33を原稿トレイ2から離れるように揺動させる。
【0051】
上述したように、本実施形態のADF1Aでは、トルクリミッタ42の捩りコイルばねの戻り力によりフィードローラ5が第4方向R4に回転してフィードローラ5が第2方向R2に回転しても、アーム33の揺動を抑えることができる。これにより、ピックアップローラ4は原稿トレイ2に載置された次の原稿Dの上面より離間しないため、次の原稿Dを叩く音を低減できる。しかも、連結部65は、簡易な構成であるので、部品点数の増加や装置の大型化を招くことなく、次の原稿Dを叩く音を低減できる。
【0052】
[その他の実施形態]
上述した実施形態では、第1回転軸31と係合ピン34とが別部材である場合について説明したが、これには限られない。例えば、部品強度が十分満たせる場合は図10に示すように第1回転軸331と当接部334とを樹脂製で一体形成するようにしてもよい。
【0053】
また、上述した実施形態では、第1規制部61及び第2規制部62がアーム33側、係合ピン34が第1回転軸31側にそれぞれ設けられた場合について説明したが、これには限られず、逆であってもよい。即ち、第1規制部及び第2規制部は、第1回転軸31及びアーム33の一方に一体回転可能に設けられ、係合ピン34である当接部は、第1回転軸31及びアーム33の他方に一体回転可能に設けられるようにすることができる。
【0054】
また、上述した実施形態では、連結部65の構成としては、溝部35aと係合ピン34との係合によるものとしたが、これには限られず、各種の構成を適用することができる。また、上述した実施形態では、連結部65は、第1回転軸31とアーム33との間に介在されている場合について説明したが、これには限られず、フィードローラ5とアーム33との間であれば他の箇所に介在させてもよい。
【0055】
また、上述した実施形態では、トルクリミッタ42は、蓄勢手段の一例として捩りコイルばねを有する場合について説明したが、これには限られない。蓄勢手段としては、板ばねなどの他のばねや、磁力を利用したものなどを適宜適用することができる。
【0056】
また、上述した実施形態では、連結部65の構成をADF1Aに適用した場合について説明したが、これには限られず、シートを給送する部分、例えば、シートカセットの給送部や手差し給送部に適用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…画像読取装置、1A…ADF(シート搬送装置)、2…原稿トレイ(シート支持部)、4…ピックアップローラ(給送ローラ)、5…フィードローラ(搬送ローラ)、6…分離ローラ、11…第1読取部(画像読取部)、12…第2読取部(画像読取部)、31…第1回転軸(第1軸)、33…アーム、34…係合ピン(当接部、ピン部材)、35…ジョイント(ジョイント部)、36…クラッチばね(ジョイント部)、41…第2回転軸(第2軸)、42…トルクリミッタ、61…第1規制部、62…第2規制部、65…連結部、101…プリンタ(画像形成装置)、133…画像形成部、D…原稿(シート)、N…ニップ部、R1…第1方向、R2…第2方向。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10