(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成システム、画像形成システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
H04L 69/14 20220101AFI20240105BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240105BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240105BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H04L69/14
B41J29/00 D
B41J29/38
G03G21/00 502
(21)【出願番号】P 2020025941
(22)【出願日】2020-02-19
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】小田 裕一朗
(72)【発明者】
【氏名】湯本 貢司
(72)【発明者】
【氏名】福原 力
(72)【発明者】
【氏名】清田 優子
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-189770(JP,A)
【文献】特開2003-215871(JP,A)
【文献】特開2007-156100(JP,A)
【文献】特開平06-266481(JP,A)
【文献】米国特許第06456801(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
B41J 29/38
G03G 21/00
H04L 69/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート取扱装置が接続可能な画像形成装置であって、
前記シート取扱装置とのシリアル通信に用いるシリアルポート及びパラレル通信に用いるパラレルポートを有して、前記シート取扱装置と通信を行う通信手段と、
前記シート取扱装置の接続構成を表す構成情報に基づいて前記シート取扱装置との通信方式を決定し、決定した通信方式が
、前記通信手段が有する前記パラレルポートの数よりも多いポート数を必要とするパラレル通信を行い且つシリアル通信を行わない
方式である場合に、前記通信手段の前記シリアルポートをパラレル通信に用いるように切り替え
、前記通信手段に、前記パラレルポートと前記パラレル通信に切り替えられた前記シリアルポートを用いて前記シート取扱装置とパラレル通信を行わせる制御手段と、を備えることを特徴とする、
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、シリアル通信を用いずにパラレル通信を行うと接続された前記シート取扱装置の機能が制限される場合に、前記通信手段の前記シリアルポートをパラレル通信に用いるように切り替えることを特徴とする、
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記通信手段は、第1信号線によりシリアル通信を行い且つ第2信号線によりパラレル通信を行い、前記制御手段により前記シリアルポートがパラレル通信に用いられるように切り替えられると、
前記パラレルポートと前記シリアルポートにより、前記第1信号線
及び前記第2信号線を介してパラレル通信を行うことを特徴とする、
請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート取扱装置はシリアル通信を行う第1シート取扱装置とパラレル通信を行う第2シート取扱装置とを含み、前記第1シート取扱装置と前記第2シート取扱装置が前記画像形成装置に接続される場合、
前記通信手段は、前記第1信号線により前記第1シート取扱装置とシリアル通信を行い、前記第2信号線により前記第2シート取扱装置とパラレル通信を行い、前記第2シート取扱装置の機能が前記第2信号線により通信される情報量では確保されなければ前記第2シート取扱装置の機能
を制限
した状態で前記第2シート取扱装置を動作させることを特徴とする、
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記シート取扱装置はパラレル通信を行う第1シート取扱装置とパラレル通信を行う第2シート取扱装置とを含み、前記第1シート取扱装置と前記第2シート取扱装置が前記画像形成装置に接続される場合、
前記制御手段は、前記通信手段の前記シリアルポートをパラレル通信に用いるように切り替え、
前記通信手段は、前記第2信号線により前記第1シート取扱装置とパラレル通信を行い、前記第1信号線により前記第2シート取扱装置とパラレル通信を行うことを特徴とする、
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1シート取扱装置と前記第2シート取扱装置の少なくとも一方は前記画像形成装置にシートを給送する給送装置であることを特徴とする、
請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1シート取扱装置と前記第2シート取扱装置の少なくとも一方は前記画像形成装置から排出され、画像を受け取る排紙側装置を含むことを特徴とする、
請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
シート取扱装置と画像形成装置とが接続されて構成される画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
シリアル通信に用いるシリアルポート及びパラレル通信に用いるパラレルポートを有して、前記シート取扱装置と通信を行う通信手段と、
前記シート取扱装置との通信に係る接続構成を表す構成情報に基づいて前記シート取扱装置との通信方式を決定し、決定した通信方式が
、前記通信手段が有する前記パラレルポートの数よりも多いポート数を必要とするパラレル通信を行い且つシリアル通信を行わない
方式である場合に、前記通信手段の前記シリアルポートをパラレル通信に用いるように切り替え
、前記通信手段に、前記パラレルポートと前記パラレル通信に切り替えられた前記シリアルポートを用いて前記シート取扱装置とパラレル通信を行わせる制御手段と、を備えることを特徴とする、
画像形成システム。
【請求項9】
前記通信手段は、前記シート取扱装置との間で、第1信号線によりシリアル通信を行い且つ第2信号線によりパラレル通信を行い、
前記シート取扱装置は、パラレル通信を行う第1シート取扱装置とパラレル通信を行う第2シート取扱装置とを含み、前記第1シート取扱装置と前記第2シート取扱装置が前記画像形成装置に接続される場合、前記制御手段は、前記通信手段の前記シリアルポートをパラレル通信に用いるように切り替え、
前記通信手段は、前記制御手段により前記シリアルポートがパラレル通信に用いられるように切り替えられると、前記第2信号線により前記第1シート取扱装置とパラレル通信を行い、前記第1信号線により前記第2シート取扱装置とパラレル通信を行うことを特徴とする、
請求項8記載の画像形成システム。
【請求項10】
シート取扱装置と、シリアル通信に用いるシリアルポート及びパラレル通信に用いるパラレルポートを有して前記シート取扱装置と通信を行う通信手段を備える画像形成装置と、が接続されて構成される画像形成システムにより実行される方法であって、
前記画像形成装置の制御手段が、
前記シート取扱装置との通信に係る接続構成を表す構成情報に基づいて前記シート取扱装置との通信方式を決定し、
決定した通信方式が
、前記通信手段が有する前記パラレルポートの数よりも多いポート数を必要とするパラレル通信を行い且つシリアル通信を行わない
方式である場合に、前記通信手段の前記シリアルポートをパラレル通信に用いるように切り替え
、前記通信手段に、前記パラレルポートと前記パラレル通信に切り替えられた前記シリアルポートを用いて前記シート取扱装置とパラレル通信を行わせることを特徴とする、
画像形成システムの制御方法。
【請求項11】
前記通信手段は、前記シート取扱装置との間で、第1信号線によりシリアル通信を行い且つ第2信号線によりパラレル通信を行うように構成されており、
前記シート取扱装置が、パラレル通信を行う第1シート取扱装置とパラレル通信を行う第2シート取扱装置とを含み、前記第1シート取扱装置と前記第2シート取扱装置が前記画像形成装置に接続される場合、前記制御手段が、前記通信手段の前記シリアルポートをパラレル通信に用いるように切り替え、
前記通信手段が、前記制御手段により前記シリアルポートがパラレル通信に用いられるように切り替えられると、前記第2信号線により前記第1シート取扱装置とパラレル通信を行い、前記第1信号線により前記第2シート取扱装置とパラレル通信を行うことを特徴とする、
請求項10記載の画像形成システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート取扱装置が接続される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、高画質化、高速化したことにより、製本に係るバリアブル印刷やオンデマンド出版といったプリントボリュームの大きな分野で使用されつつある。これに伴い、画像形成装置に接続されるオプション装置としてのシート取扱装置が提供されている。シート取扱装置には、画像形成装置に様々な種類の用紙を給紙することが可能な給紙装置や、画像形成装置から出力された用紙の仕分け機能、綴じ処理機能、折り処理機能等の様々な機能を持つ後処理装置がある。シート取扱装置と画像形成装置とは、通信プロトコルに従ったシリアル通信や、複数の信号線を用いたパラレル通信により、通信を行う。特許文献1では、装置間のシート情報の送受信を通信プロトコルに従ったシリアル通信により行うことで、画像形成装置から出力された用紙の仕分け処理、綴じ処理、折り処理等の複雑な制御を行うシステムが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート取扱装置は、画像形成装置の製造元から提供される他に、製造元以外の他社から提供される場合がある。装置間でシリアル通信を行う場合、他社から提供されるシート取扱装置と連携した機能拡張を行うためには、通信プロトコルを他社のシート取扱装置に対応させる必要がある。これは、他社の導入障壁となるために、画像形成装置の拡張性の低下を招く。装置間でパラレル通信を行う場合、他社から提供されるシート取扱装置と連携した機能拡張を行うためには、他社から提供されるシート取扱装置が必要とするパラレル通信用の信号線の数を画像形成装置側で満たす必要がある。信号線の数が満たされない場合、画像形成装置にシート取扱装置を接続することができない。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、シート取扱装置の接続の自由度を向上した画像形成装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、シート取扱装置が接続可能な画像形成装置であって、前記シート取扱装置とのシリアル通信に用いるシリアルポート及びパラレル通信に用いるパラレルポートを有して、前記シート取扱装置と通信を行う通信手段と、前記シート取扱装置の接続構成を表す構成情報に基づいて前記シート取扱装置との通信方式を決定し、決定した通信方式が、前記通信手段が有する前記パラレルポートの数よりも多いポート数を必要とするパラレル通信を行い且つシリアル通信を行わない方式である場合に、前記通信手段の前記シリアルポートをパラレル通信に用いるように切り替え、前記通信手段に、前記パラレルポートと前記パラレル通信に切り替えられた前記シリアルポートを用いて前記シート取扱装置とパラレル通信を行わせる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成装置に対するシート取扱装置の接続の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)~(d)は、画像形成システムの構成例示図。
【
図2】(a)~(c)は、画像形成システムの構成例示図。
【
図3】(a)~(d)は、画像形成システムの通信システムの構成例示図。
【
図4】(a)~(c)は、画像形成システムの通信システムの構成例示図。
【
図6】(a)は、第1給紙装置の制御ブロック図、(b)は第2給紙装置の制御ブロック図、(c)は、第3給紙装置の制御ブロック図。
【
図10】通信方式の決定処理を表すフローチャート。
【
図13】通信の切り替え処理を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。なお、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるものであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0010】
(全体構成)
図1、
図2は、本実施形態の画像形成装置を含む画像形成システムの構成例示図である。本実施形態の画像形成システムは、画像形成装置101単体、或いは画像形成装置101とオプション装置としてのシート取扱装置との組み合わせで構成される。画像形成装置101には、1以上のシート取扱装置が接続可能である。ここでは、シート取扱装置として給紙装置を用いる場合について説明する。
【0011】
図1(a)は、画像形成装置101単体であり、シート取扱装置としての給紙装置が接続されていない構成を示す。
図1(b)は、画像形成装置101に第1給紙装置102が接続された構成を示す。第1給紙装置102から画像形成装置101へシートが給送される。
図1(c)は、画像形成装置101に第2給紙装置103が接続された構成を示す。第2給紙装置103から画像形成装置101へシートが給送される。
図1(d)は、画像形成装置101に第1給紙装置102及び第2給紙装置103が接続された構成を示す。第1給紙装置102から画像形成装置101へシートが給送される。第2給紙装置103から第1給紙装置102を経由して画像形成装置101へシートが給送される。
図2(a)は、画像形成装置101に第3給紙装置104及び第2給紙装置103が接続された構成を示す。第3給紙装置104から画像形成装置101へシートが給送される。第2給紙装置103から第3給紙装置104を経由して画像形成装置101へシートが給送される。
図2(b)は、画像形成装置101に第1給紙装置102及び第3給紙装置104が接続された構成を示す。第1給紙装置102から画像形成装置101へシートが給送される。第3給紙装置104から第1給紙装置102を経由して画像形成装置101へシートが給送される。
図2(c)は、画像形成装置101に第3給紙装置104が接続された構成を示す。第3給紙装置104から画像形成装置101へシートが給送される。
【0012】
図3、
図4は、画像形成システムの通信システムの構成例示図である。画像形成装置101と第1給紙装置102、第2給紙装置103、及び第3給紙装置104とは、第1信号線120、第2信号線130、及び第3信号線140のいずれかにより接続される。第1信号線120はシリアル通信に用いられる。第2信号線130はパラレル通信に用いられる。第3信号線140は、第1信号線120と第2信号線130とを組み合わせた信号線である。
【0013】
図3(a)は、画像形成装置101にいずれの給紙装置も接続されていないために、第1信号線120、第2信号線130、及び第3信号線140のいずれも接続されていない。
図3(b)は、画像形成装置101と第1給紙装置102とが第1信号線120により接続された構成を示す。
図3(c)は、画像形成装置101と第2給紙装置103とが第2信号線130により接続された構成を示す。
図3(d)は、画像形成装置101と第1給紙装置102とが第1信号線120により接続され、画像形成装置101と第2給紙装置103とが第2信号線130により接続された構成を示す。
図4(a)は、画像形成装置101と第3給紙装置104とが第1信号線120により接続され、画像形成装置101と第2給紙装置103とが第2信号線130により接続された構成を示す。
図4(b)は、画像形成装置101と第1給紙装置102とが第1信号線120により接続され、画像形成装置101と第3給紙装置104とが第2信号線130により接続された構成を示す。
図4(c)は、画像形成装置101と第3給紙装置104とが第3信号線140により接続された構成を示す。
【0014】
画像形成装置101は、外部装置であるコンピュータ100に所定のネットワーク110を介して接続される。ネットワーク110は、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、公衆通信回線等である。画像形成装置101は、コントローラ部3000及びプリンタ制御部3100を備える。コントローラ部3000は、コンピュータ100から送信される画像データやドキュメントデータの受信及びジョブの管理を行い、プリンタ制御部3100によりプリント動作の制御を行う。プリンタ制御部3100は、コントローラ部3000の制御により、シートの搬送制御を行い、画像データ等に基づいて該シート上への可視画像の形成処理を行う。
【0015】
第1給紙装置102は、シートの搬送及びシート処理を行うための第1給紙制御部3200を備える。第2給紙装置103は、シートの搬送及びシート処理を行うための第2給紙制御部3300を備える。第3給紙装置104は、シートの搬送及びシート処理を行うための第3給紙制御部3400を備える。
【0016】
コンピュータ100で作成された画像やドキュメントを表す画像データやドキュメントデータは、ネットワーク110を介して画像形成装置101へ送信される。画像形成装置101は、コントローラ部3000により受信した画像データやドキュメントデータに応じて、プリンタ制御部3100によりシートへの画像形成を行う。画像形成装置101は、第1信号線120、第2信号線130、及び第3信号線140のいずれかを介して、シート処理に必要なシート情報や、シートの搬送タイミングを制御するタイミング情報を給紙装置との間で送受信することで、シートの搬送制御を行う。つまり、第1給紙制御部3200、第2給紙制御部3300、及び第3給紙制御部3400は、画像形成装置101のプリンタ制御部3100との間でシート情報やタイミング情報を送受信することで、シートの搬送制御を行う。これによりコンピュータ100で設定されたシート処理が行われ、画像が形成されたシートが出力される。
【0017】
(制御ブロック)
図5は、画像形成装置101の制御ブロック図である。上述したとおり、画像形成装置101は、コントローラ部3000及びプリンタ制御部3100を備える。コントローラ部3000及びプリンタ制御部3100は、いずれもCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を備える。
【0018】
コントローラ部3000は、CPU301、RAM302、ROM303の他に、外部部I/F部304、PDL(Page Description Language)制御部305、内部I/F部306、及び操作部307を備える。CPU301は、アドレスバス及びデータバスを介して、制御プログラムを格納するROM303及び処理時の作業領域を提供するRAM302に接続される。CPU301は、制御プログラムを実行することで、画像形成装置101全体の動作を制御する。
【0019】
外部I/F部304は、ネットワーク110を介したコンピュータ100との通信制御を行う通信インタフェースである。CPU301は、外部I/F部304を介してコンピュータ100との間で通信を行うことになる。PDL制御部305は、外部I/F部304を介してコンピュータ100から取得した画像データやドキュメントデータに対して、加工、蓄積、画像処理等の処理を行い、画像信号やタイミング信号を生成する。内部I/F部306は、プリンタ制御部3100との通信制御を行う通信インタフェースである。CPU301は、内部I/F部306を介してプリンタ制御部3100との間で通信を行うことになる。
【0020】
操作部307は、入力インタフェース及び出力インタフェースを備えるユーザインタフェースである。入力インタフェースはキーボタンやタッチパネルである。出力インタフェースはディスプレイやスピーカである。ユーザは、入力インタフェースを操作することでCPU301に指示やデータを入力することができる。CPU301は、出力インタフェースにより動作状態の通知や操作画面の表示を行う。
【0021】
プリンタ制御部3100は、CPU311、RAM312、ROM313の他に、デバイス制御部314、内部I/F部315、及び装置間I/F部316を備える。CPU311は、アドレスバス及びデータバスを介して、制御プログラムを格納するROM313及び処理時の作業領域を提供するRAM312に接続される。CPU311は、制御プログラムを実行することで、画像形成装置101による画像形成処理を制御する。また、CPU311は、シート取扱装置の動作を制御するための指示を装置間I/F部316を介して送信する。
【0022】
デバイス制御部314は、画像形成装置101内の画像形成を行う構成部品を制御するための入出力ポートを含む電気回路である。内部I/F部315は、コントローラ部3000との通信制御を行う通信インタフェースである。プリンタ制御部3100は、内部I/F部315を介してコントローラ部3000との間で画像信号やタイミング信号の送受信を行う。装置間I/F部316は、第1信号線120、第2信号線130、及び第3信号線140を介して第1給紙装置102、第2給紙装置103、及び第3給紙装置104との間で通信を行う通信インタフェースである。プリンタ制御部3100は、装置間I/F部316を介して第1給紙装置102、第2給紙装置103、及び第3給紙装置104との間でシート情報やタイミング情報の送受信を行う。装置間I/F部316は、パラレルポート316a及びシリアルポート316bを備える。そのために装置間I/F部316はパラレル通信及びシリアル通信の両方で通信を行うことが可能である。
【0023】
CPU311は、内部I/F部315を介してコントローラ部3000から画像信号、シート情報、及びタイミング情報を受信する。CPU311は、画像信号に応じてデバイス制御部314を制御し、シートへの画像形成を行う。また、CPU311は、装置間I/F部316を介して第1給紙装置102、第2給紙装置103、及び第3給紙装置104との間でシート情報、タイミング情報の送受信を行い、シートの搬送動作を制御する。
【0024】
図6は、第1給紙装置102、第2給紙装置103、及び第3給紙装置104の制御ブロック図である。上述したとおり、第1給紙装置102は第1給紙制御部3200を備える。第2給紙装置103は第2給紙制御部3300を備える。第3給紙装置104は第3給紙制御部3400を備える。
図6(a)は第1給紙制御部3200を示す。
図6(b)は第2給紙制御部3300を示す。
図6(c)は第3給紙制御部3400を示す。第1給紙制御部3200、第2給紙制御部3300、及び第3給紙制御部3400はそれぞれ同様の構成である。
【0025】
第1給紙制御部3200は、CPU321、RAM322、ROM323、デバイス制御部324、及び装置間I/F部326を備える。装置間I/F部326は、第1信号線120を介して画像形成装置101との間でシリアル通信を行うために、シリアルポートを備える。第2給紙制御部3300は、CPU331、RAM332、ROM333、デバイス制御部334、及び装置間I/F部336を備える。装置間I/F部336は、第2信号線130を介して画像形成装置101との間でパラレル通信を行うために、パラレルポートを備える。第3給紙制御部3400は、CPU341、RAM342、ROM343、デバイス制御部344、及び装置間I/F部346を備える。装置間I/F部346は、第3信号線140を介して画像形成装置101との間でパラレル通信を行うために、パラレルポートを備える。
【0026】
ここでは第1給紙制御部3200について説明し、第2給紙制御部3300及び第3給紙制御部については説明を省略する。
CPU321は、アドレスバス及びデータバスを介して、制御プログラムを格納するROM323及び処理時の作業領域を提供するRAM322に接続される。CPU321は、制御プログラムを実行することで、第1給紙装置102によるシート搬送及びシート処理を制御する。デバイス制御部324は、第1給紙装置102の各構成部品の動作を制御するための入出力ポートを含む電気回路である。装置間I/F部326は、第1信号線120を介して画像形成装置101との間でシート情報やタイミング情報の送受信を行う通信インタフェースである。CPU321は、装置間I/F部326を介して画像形成装置101から取得したシート情報やタイミング情報に基づいて、デバイス制御部324によりシートの搬送制御を行う。
【0027】
(画像形成システムの内部構成)
図7は、画像形成システムの内部構成図である。この画像形成システムは、
図1(d)の画像形成装置101、第1給紙装置102、及び第2給紙装置103による構成である。シートの搬送方向において、画像形成装置101の上流側に第1給紙装置102が接続される。更に、第1給紙装置102の上流側に第2給紙装置102が接続される。
【0028】
・画像形成装置101の構成
画像形成装置101は、シートを収容し、収容されたシートを給送するシート給送部1220、シートの搬送機構、画像形成部1800、及び定着器1300を備える。シートは、搬送機構により搬送されながら画像形成部1800から画像が転写され、定着器1300により転写された画像が定着される。コントローラ部3000のCPU301は、操作部307からの印刷指示やコンピュータ100からの印刷指示に応じて、シート給送部1220からのシートの給送を開始し、画像形成部1800による画像形成処理を開始する。
【0029】
シート給送部1220は、シートが収容される紙庫1221を備える。シート給送部1220の上部には、ピックアップローラ1222及び紙面センサ1226が設けられる。紙庫1221は、不図示のリフトモータ及び紙面センサ1226により、最上位のシートがピックアップローラ1222に接するように制御される。紙面センサ1226は、紙庫1221の最上位のシートの位置を検知する。紙面センサ1226の検知結果に応じてリフトモータが制御されることで、紙庫1221が上下動する。
【0030】
給送機構は、搬送経路として縦パス1501及び水平パス1502を備える。シート給送部1220から給紙されたシートは、縦パス1501を介して水平パス1502へ搬送される。縦パス1501には、シートの搬送方向の上流側から順に、ピックアップローラ1222、給紙ローラ1223、及び縦パスローラ1001が設けられる。給紙ローラ1223の下流側には給紙センサ1224が設けられ、縦パスローラ1001の下流側には縦パスセンサ1002が設けられる。
【0031】
ピックアップローラ1222は、紙庫1221の最上位のシートをピックアップして給紙ローラ1223へ搬送する。給紙ローラ1223は、一対のローラ(上ローラ、下ローラ)であり、上ローラがシートの搬送方向に回転し、下ローラが搬送方向の逆方向に回転する。これにより給紙ローラ1223は、シートを一枚ずつ分離して縦パスローラ1001へ搬送する。給紙センサ1224は、給紙ローラ1223から搬送されるシートを検知する。ピックアップローラ1222によるシートのピックアップ開始から所定時間経過しても給紙センサ1224がシートを検知しない場合、プリンタ制御部3100のCPU311は、ジャムが発生したと判断し、シートの搬送を停止する。また、給紙センサ1224がシートを検知して所定時間経過しても検知状態のままである場合、プリンタ制御部3100のCPU311は、ジャムが発生したと判断し、シートの搬送を停止する。
【0032】
縦パスローラ1001は、縦パス1501を搬送されるシートを水平パス1502へ案内する。縦パスセンサ1002は、給紙センサ1224と同様にジャムの発生検知に用いられる。水平パス1502には、シートの搬送方向の上流側から順に、プレレジローラ1004、レジストローラ1005、二次転写部1806、定着器1300、及び排出ローラ1510が設けられる。プレレジローラ1004の上流側にはプレレジセンサ1003が設けられる。レジストローラ1005の下流側にはレジストセンサ1006が設けられる。
【0033】
水平パス1502へ案内されたシートは、プレレジローラ1004により搬送され、レジストローラ1005により搬送方向に対する先端辺の斜行を補正される。斜行の補正は、プレレジセンサ1003がシートを検知したタイミングに応じて行われる。
【0034】
画像形成部1800は、感光ドラム1801、1802、1803、1804及び中間転写体1805を備える。感光ドラム1801、1802、1803、1804は、例えば帯電、露光、現像の各工程により画像が形成される感光体である。感光ドラム1801、1802、1803、1804は、それぞれ異なる色の画像が形成される。本実施形態では、感光ドラム1801はイエローの画像が形成される。感光ドラム1802はマゼンタの画像が形成される。感光ドラム1803はシアンの画像が形成される。感光ドラム1804はブラックの画像が形成される。
【0035】
中間転写体1805は無端ベルト状の像担持体であり、図中時計回り方向に回転する。中間転写体1805の回転に応じて各感光ドラム1801、1802、1803、1804から画像が順次重畳されて転写される。これにより中間転写体1805にフルカラーの画像が形成される。中間転写体1805は、転写された画像を回転することで二次転写部1806へ搬送する。
【0036】
レジストローラ1005は、斜行補正後に、中間転写体1805上の画像とシートの先端との位置が合うようなタイミングで、シートを二次転写部1806へ搬送する。画像とシートの先端と位置合わせは、例えば画像形成に同期した信号に基づいてレジストローラ1005を駆動することで行われる。シートは、二次転写部1806において中間転写体1805から画像が転写される。画像の転写は、レジストセンサ1006が搬送再開されたシートを検知したタイミングに応じて開始される。画像が転写されたシートは定着器1300へ搬送される。定着器1300は、画像が転写されたシートを加熱及び加圧することで、シートに画像を定着させる。画像が定着されたシートは、排出ローラ1510により機外へ排出される。
【0037】
なお、給送機構は、第1給紙装置102から給紙されるシートを水平パス1502へ案内する構成も有する。この構成は、シート検知センサ1601及び搬送ローラ1602を備える。シート検知センサ1601は、第1給紙装置102から給紙されるシートを検知する。搬送ローラ1602は、シート検知センサ1601がシートを検知すると回転を開始し、第1給紙装置102から給紙されたシートを水平パス1502へ搬送する。
【0038】
・第1給紙装置102の構成
第1給紙装置102は、シートを収容するシート給送部1280と、シートをシート給送部1280から画像形成装置101へ搬送する給送機構と、を備える。
【0039】
シート給送部1280は、内部にシートが載置される紙庫1281を備える。シート給送部1280の上部には、ピックアップローラ1282及び紙面センサ1286が設けられる。紙庫1281は、不図示のリフトモータ及び紙面センサ1286により、最上位のシートがピックアップローラ1282に接するように制御される。紙面センサ1286は、紙庫1281の最上位のシートの位置を検知する。紙面センサ1286の検知結果に応じてリフトモータが制御されることで、紙庫1281が上下動する。
【0040】
給送機構は、搬送経路として縦パス2101及び水平パス2102を備える。給紙されたシートは、縦パス2101を介して水平パス2102へ搬送される。縦パス2101には、シートの搬送方向の上流側から順に、ピックアップローラ1282、給紙ローラ1283、及び縦パスローラ2001が設けられる。給紙ローラ1283の下流側には給紙センサ1284が設けられ、縦パスローラ2001の下流側には縦パスセンサ2002が設けられる。水平パス2102には、シートの搬送方向の上流側から順に、水平パスローラ2003及び受渡ローラ2005が設けられる。水平パスローラ2003の下流側には、水平パスセンサ2004が設けられ、受渡ローラ2005の下流側には、受渡センサ2006が設けられる。水平パスローラ2003と受渡ローラ2005との間には、シート停止位置2500が設定される。
【0041】
ピックアップローラ1282及び給紙ローラ1283により、紙庫1281から1枚ずつシートが縦パス2101へ給紙される。シートを1枚ずつ分離搬送する方法はシート給送部1220と同様である。この際、給紙センサ1284の検知結果によりジャムの発生が監視される。
【0042】
縦パス2101へ搬送されたシートは、縦パスローラ2001により水平パス2102へ案内される。この際、縦パスセンサ2002の検知結果によりジャムの発生が監視される。水平パス2102に案内されたシートは、水平パスローラ2003により水平パス2102を搬送される。シートが水平パスセンサ2004により検知されると、水平パスローラ2003は、水平パスセンサ2004がシートを検知したタイミングからシートが所定距離搬送されたタイミングで、シートの搬送を一旦停止する。これによりシートは、搬送方向の先端がシート停止位置2500で停止する。シート停止位置2500はシートサイズに関係なく常に同じ位置である。
【0043】
水平パスローラ2003は、画像形成装置101の画像形成部1800で生成された画像が二次転写部1806に到達するタイミングに合うように、シートの搬送を、シート停止位置2500から画像形成装置101へ向けて再開する。搬送が再開されたシートは、受渡ローラ2005によって画像形成装置101へ受け渡される。受渡センサ2006は、シートの後端を監視することで画像形成装置101への受け渡しが完了したことを検知する。
【0044】
なお、給送機構は、第2給紙装置103から給紙されるシートを水平パス2102へ案内する構成も有する。この構成は、入口センサ2008及び入口ローラ2007を備える。入口センサ2008は、第2給紙装置103から給紙されるシートを検知する。入口ローラ2007は、入口センサ2008がシートを検知すると回転を開始し、第2給紙装置103から給紙されたシートを水平パス2102へ搬送する。
【0045】
・第2給紙装置103の構成
第2給紙装置103は、シートを収容し、収容されたシートを給送するシート給送部4200と、シートをシート給送部4200から第1給紙装置102へ搬送する給送機構と、を備える。
【0046】
シート給送部4200は、シートが収容される紙庫4201を備える。シート給送部4200の上部には、ピックアップローラ4202及び紙面センサ4206が設けられる。紙庫4201は、不図示のリフトモータ及び紙面センサ4206により、最上位のシートがピックアップローラ4202に接するように制御される。紙面センサ4206は、紙庫4201の最上位のシートの位置を検知する。紙面センサ4206の検知結果に応じてリフトモータが制御されることで、紙庫4201が上下動する。
【0047】
給送機構は、シートの搬送方向の上流側から順に、ピックアップローラ4202及び給紙ローラ4203が設けられる。給紙ローラ4203の下流側には給紙センサ4204が設けらる。ピックアップローラ4202及び給紙ローラ4203により、紙庫4201から1枚ずつシートが給紙される。シートを1枚ずつ分離搬送する方法はシート給送部1220と同様である。この際、給紙センサ4204の検知結果によりジャムの発生が監視される。
【0048】
給紙されたシートは、第2給紙装置103と第1給紙装置102との間に設けられるレジストレーションユニット4501へ受け渡される。レジストレーションユニット4501は、搬送経路に搬送ローラ4502を備える。レジストレーションユニット4501は、搬送ローラ4502によりシートを搬送している間に不図示のレジ補正部によってシートの斜行及び横レジずれを補正する。レジストレーションユニット4501は、補正後のシートを第1給紙装置102へ受け渡す。第1給紙装置102は、第2給紙装置103から受け取ったシートを画像形成装置101へ受け渡す。
【0049】
・第3給紙装置104の構成
図8は、第3給紙装置104の機能ブロック図である。第3給紙装置104は、それぞれシートが積載可能な給紙上トレイ5020及給紙下トレイ5021と、シートを搬送する搬送機構と、を備える。
【0050】
搬送機構は、搬送パス5030及び水平パス5040を備える。搬送パス5030は、シートの搬送方向の上流側から順に、給紙ローラ5003、5004、分離ローラ5005、5006、搬送ローラ5007、及びレジローラ5008が設けられる。搬送ローラ5007の下流側にはレジストセンサ5015が設けられる。水平パス505は、受渡ローラ5002が設けられる。受渡ローラ5002の下流側には受渡センサ5012が設けられる。
【0051】
給紙ローラ5003は、給紙上トレイ5020に積載されたシートのうち最上位のシートを取り込み、分離ローラ5005へ搬送する。分離ローラ5005は、給紙ローラ5003から搬送されたシートを1枚ずつ分離して、搬送パス5030へ搬送する。同様に、給紙ローラ5004は、給紙下トレイ5021に積載されたシートのうち最上位のシートを取り込み、分離ローラ5006へ搬送する。分離ローラ5006は、給紙ローラ5003から搬送されたシートを1枚ずつ分離して、搬送パス5030へ搬送する。
【0052】
シートは、搬送ローラ5007により搬送パス5030を搬送される。レジストセンサ5015がシートを検知すると、搬送ローラ5007は、停止しているレジローラ5008にシートの搬送方向の先端を突き当て、シートを所定量搬送して停止する。これによりシートはループを形成した状態で停止し、給紙搬送動作中に生じた斜行が補正される。
【0053】
レジローラ5008にシートの先端が突き当てられて所定時間停止した後に、搬送ローラ5007、レジローラ5008、及び受渡ローラ5002が駆動される。これによりシートは、搬送パス5030から水平パス5040を経由して画像形成装置101への受け渡しが行われる。受渡センサ5012によってシートの後端を監視することで画像形成装置101へのシートの受け渡しの完了が検知される。
【0054】
(通信方式決定処理)
図9は、通信方式の決定方法の説明図である。
図9は、画像形成装置101及び第1~第3給紙装置102~104のそれぞれが使用可能な通信方式と接続可能な信号線の本数(信号本数)とを表す。また、
図9は、第1~第3給紙装置102~104のぞれぞれの信号の詳細及び使用する信号線(信号接続先)を表す。
【0055】
この例では、第1信号線120は、2本の信号線を含む。第1信号線120の2本の信号線は、画像形成装置101からの信号の送信(送信信号)と、画像形成装置101への受信信号の送信(受信信号)と、に用いられる。第2信号線130は、3本の信号線を含む。第2信号線130の3本の信号線は、オンライン信号、画像形成装置101からの給紙信号、及び画像形成装置101への紙なし信号の送信に用いられる。第3信号線140は、第1信号線120と第2信号線130との組み合わせであるため、5本の信号線を含む。第3信号線140の5本の信号線は、オンライン信号、画像形成装置101からの上トレイ給紙信号、画像形成装置101からの下トレイ給紙信号、画像形成装置101への上トレイ紙なし信号、及び画像形成装置101への下トレイ紙なし信号の送信に用いられる。
【0056】
画像形成装置101は、使用可能な通信方式がシリアル通信及びパラレル通信である。画像形成装置101は、シリアル通信時に接続可能な信号本数が2本の第1信号線120であり、パラレル通信時に接続可能な3本の第2信号線130である。これにより画像形成装置101には、合計5本の信号線が接続可能であり、5本の信号線を有する第3信号線140が接続可能である。第3信号線140は、パラレル通信時に5本の信号線を用いるために、本来シリアル通信に用いられる第1信号線120の2本の信号線がパラレル通信に用いられる。
【0057】
第1給紙装置102は、通信方式がシリアル通信である。第1給紙装置102は、通信に必要な信号本数を満たす第1信号線120により画像形成装置101に接続されることで、所定の通信プロトコルに従ったシリアル通信による給紙動作が可能になる。第1給紙装置102は、第1信号線120の2本の信号線により画像形成装置101との間で送信信号と受信信号との送受信を行う。
【0058】
第2給紙装置103は、通信方式がパラレル通信である。第2給紙装置103は、通信に必要な信号本数を満たす第2信号線130により画像形成装置101に接続されることで、汎用のパラレル通信による給紙動作が可能になる。第2給紙装置103は、第2信号線130の3本の信号線により画像形成装置101との間でオンライン信号の送受信を行い、画像形成装置101から給紙の指示(給紙信号)を取得し、シートがないことを表す紙なし信号を画像形成装置101へ送信する。
【0059】
第3給紙装置104は、通信方式がパラレル通信であるが、画像形成装置101と接続できる信号本数によって、使用可能な機能が制限されることがある。つまり信号線の本数が十分に確保されない場合、通信される情報量が低下して第3給紙装置104の機能が制限される。信号線の本数が十分に確保される場合、通信される情報量が確保されて第3給紙装置104の機能が制限されない。
【0060】
画像形成装置101との接続に必要な信号本数が2本の場合、第3給紙装置104は、第3信号線140の第1信号線120部分により画像形成装置101に接続されることで、給紙上トレイ5020のみによる給紙動作が機能制限で可能になる。この場合、第3給紙装置104は、第1信号線120の2本の信号線により画像形成装置101との間でオンライン信号の送受信を行い、画像形成装置101から給紙の指示(上トレイ給紙信号)を取得する。
【0061】
画像形成装置101との接続に必要な信号本数が3本の場合、第3給紙装置104は、第3信号線140の第2信号線130部分により画像形成装置101に接続されることで、給紙上トレイ5020及び給紙下トレイ5021の給紙動作が機能制限で可能になる。この場合、第3給紙装置104は、第2信号線130の3本の信号線により画像形成装置101との間でオンライン信号の送受信を行い、画像形成装置101から給紙の指示(上トレイ給紙信号、下トレイ給紙信号)を取得する。
【0062】
画像形成装置101との接続に必要な信号本数が5本の場合、第3給紙装置104は、第3信号線140(第1信号線120及び第2信号線130)により画像形成装置101に接続される。この場合、本来シリアル通信に用いられる第1信号線120がパラレル通信に用いられることになる。これにより第3給紙装置104は、給紙上トレイ5020及び給紙下トレイ5021の給紙動作と、給紙上トレイ5020及び給紙下トレイ5021の紙なし動作と、を通常機能の状態で使用可能になる。第3給紙装置104は、例えば第2信号線130の3本の信号線により画像形成装置101との間でオンライン信号の送受信を行い、画像形成装置101から給紙の指示(上トレイ給紙信号、下トレイ給紙信号)を取得する。第3給紙装置104は、例えば第1信号線120の3本の信号線によりシートがないことを表す上トレイ紙なし信号及び下トレイ紙なし信号を画像形成装置101へ送信する。
【0063】
図10は、画像形成装置101と第1~第3給紙装置102~104との通信方式の決定処理を表すフローチャートである。この処理は、画像形成装置101のCPU311がROM313に格納される制御プログラムを実行することで行われる。
【0064】
CPU311は、画像形成システムの構成を表す構成情報をコントローラ部3000から取得する(S101)。構成情報は、画像形成装置101に接続されている給紙装置の接続構成を表す。
【0065】
図11は、構成情報の説明図である。構成情報は、画像形成装置101と、第1給紙装置102、第2給紙装置103、及び第3給紙装置104と、の接続の組み合わせを表す組み合わせ番号で表される。組み合わせ番号は、画像形成システムを構築するサービスマンが、操作部307によりコントローラ部3000に予め設定しておいてもよい。また、プリンタ制御部3100が、起動時に第1給紙装置102、第2給紙装置103、及び第3給紙装置104に対して信号を送信し、その返信の有無により接続可能な組み合わせから組み合わせ番号を自動的に判別してもよい。
【0066】
構成情報を取得したCPU311は、当該構成情報を用いて、接続された給紙装置に対する通信方式を決定する(S102)。
図12は、構成情報を用いた通信方式の決定処理の説明図である。
【0067】
組み合わせ番号「1」の場合、画像形成装置101には第1給紙装置102、第2給紙装置103、及び第3給紙装置104のいずれも接続されていない。そのために画像形成装置101は通信を行ず、通信方式は決定されない。
組み合わせ番号「2」の場合、第1給紙装置102が画像形成装置101に接続される。そのために画像形成装置101と第1給紙装置102とは、第1信号線120を介して第1通信方式によりシリアル通信を行う。
組み合わせ番号「3」の場合、第2給紙装置103が画像形成装置101に接続される。そのために画像形成装置101と第2給紙装置103とは、第2信号線130を介して第2通信方式によりパラレル通信を行う。
組み合わせ番号「4」の場合、第1給紙装置102及び第2給紙装置103が画像形成装置101に接続される。そのために画像形成装置101と第1給紙装置102とは、第1信号線120を介して第1通信方式によりシリアル通信を行う。画像形成装置101と第2給紙装置103とは、第2信号線130を介して第2通信方式によりパラレル通信を行う。
組み合わせ番号「5」の場合、第2給紙装置102及び第3給紙装置104が画像形成装置101に接続される。そのために画像形成装置101と第1給紙装置102とは、第1信号線120を介して第1通信方式によりシリアル通信を行う。画像形成装置101と第3給紙装置104とは、第3信号線140の第2信号線130部分を介して第3通信方式によりパラレル通信を行う。第3信号線140の第2信号線130部分により通信を行うために、第3給紙装置104は機能が制限される(機能制限2)。
組み合わせ番号「6」の場合、第2給紙装置103及び第3給紙装置104が画像形成装置101に接続される。そのために画像形成装置101と第2給紙装置103とは、第2信号線130を介して第2通信方式によりパラレル通信を行う。画像形成装置101と第3給紙装置104とは第3信号線140の第1信号線120部分を介した第3通信方式によりパラレル通信を行う。第3信号線140の第1信号線120部分により通信を行うために、第3給紙装置104は機能が制限される(機能制限1)。
組み合わせ番号「7」の場合、第3給紙装置104が画像形成装置101に接続される。そのために画像形成装置101と第3給紙装置104とは、第3信号線140(第1信号線120及び第2信号線130)を介して第3通信方式によりパラレル通信を行う。第3信号線140の5本の信号線により通信を行うために、第3給紙装置104は機能が制限されず通常の機能で動作する。
【0068】
通信方式を決定したCPU311は、決定した通信方式に応じて通信の切り替え処理を行う(S103)。通信の切り替え処理が終了すると、CPU311は、通信方式の決定処理を終了する。
【0069】
図13は、通信の切り替え処理を表すフローチャートである。第1信号線120は、通常、シリアル通信に用いられる。プリンタ制御部3100の装置間I/F部316は、第1信号線120がシリアルポート316bに接続される。しかし第3通信方式で第3信号線140を用いて通信を行う際に、第1信号線120を用いたパラレル通信が行われることがある。これは、第3給紙装置104を通常の機能で動作させる場合と、第2給紙装置103と第3給紙装置104とが接続される場合(機能制限1)と、である。そのために、第1信号線120及びシリアルポート316bでパラレル通信が可能になるように、通信の切り替えが行われる。通信の切り替えが行われることで、第3信号線140による通信の情報量が確保される。
【0070】
CPU311は、S102の処理で決定した通信方式が第3通信方式であるか否かを判断する(S201)。第3通信方式である場合(S201:Y)、CPU311は、シリアルポート346aを使用したシリアル通信を行うか否かを判断する(S202)。S201の処理及びS202の処理により、第3給紙装置104が機能制限1或いは通常の機能で動作されるか否かが判断される。第3給紙装置104が機能制限2で動作する場合には、通信の切り替えが不要であるためである。
【0071】
シリアル通信を行わない場合(S202:N)、CPU311は、シリアル通信用に設定していた第1信号線120をパラレル通信用に切り替えて処理を終了する(S203)。つまり、CPU311は、装置間I/F部316のシリアルポート316bをパラレルポートとして使用可能にする。第3通信方式ではない場合(S201:N)、或いは第3通信方式であってもシリアル通信を行う装置がある場合(S202:Y)CPU311は、切り替えを行わずに処理を終了する。このように、第3通信方式且つシリアル通信を行わない場合に、シリアルポート316bがパラレルポートとして使用可能になる。
【0072】
以上のように画像形成装置101は、第1給紙装置102、第2給紙装置103、及び第3給紙装置104の接続構成に応じて、通信方式を決定する。そのために第3給紙装置104のように通信に用いる信号線が多い装置に対しても信号本数の残数に応じて、接続本数に応じた機能を使用できることが可能となる。従来のシリアル通信に用いられていた信号線をパラレル通信に用いることで、パラレル通信用の信号線を拡張することができる。その結果、通信できる情報量が増加し、通信プロトコルに従ったシリアル通信を使用しなくても、機能拡張が可能となり複雑な制御を実現することができる。このようにパラレル通信用の信号線を拡張することで、シート取扱装置の接続の自由度が向上する。
【0073】
以上の説明では、シート取扱装置として給紙装置を例に説明した。シート取扱装置は、同様の通信方式を有する装置であればよい。例えば、シート取扱装置として、画像形成装置101の後段に設けられ、画像形成装置から排出されるシートを受け取る後処理装置、スタック装置等の排紙側装置を用いてもよい。また、シート取扱装置として後処理装置及び給紙装置の両方を用いてもよい。また、2つのシート取扱装置の少なくとも一方が給紙装置であればよい。また、2つのシート取扱装置の少なくとも一方が排紙側装置であればよい。いずれの場合も、画像形成装置101は、シート取扱装置の接続構成から通信方式を決定して最適な通信環境を確保することができる。さらに、画像形成装置101にシート取扱装置が接続された画像形成システム以外に、シート取扱装置と協働で動作する装置を用いたシステムであっても、本発明は適用可能である。