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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】燃料ガス消費システム
(51)【国際特許分類】
   F23N 5/24 20060101AFI20240105BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20240105BHJP
   F23N 5/18 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F23N5/24 102Z
F23K5/00 304
F23N5/18 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020032667
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135013
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】八木 政彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】安井 昌広
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-185085(JP,A)
【文献】特開2002-267568(JP,A)
【文献】特開2010-203872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 1/00-5/22
F23N 1/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスの単位時間当たりの流通量を測定するガス流通量測定部と、燃料ガスの単位時間当たりの流通量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が生じない期間が連続するガス消費連続期間の長さを監視し、前記ガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間に到達した場合に警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断する保安動作部とを有するガスメーター、及び、
前記ガスメーターを経由して供給される燃料ガスを消費する消費部と、当該消費部での燃料ガスの単位時間当たりの消費量を測定するガス消費量測定部とを有する燃料ガス消費装置、を備え、
前記燃料ガス消費装置は、前記消費部で燃料ガスの消費を開始してからの連続消費期間が、前記漏洩判定用期間よりも短い所定期間に到達したという停止実行条件が満たされた場合、前記消費部での燃料ガスの消費を停止する漏洩判定回避用停止処理を実行するように構成され、
特定の時間帯において、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるか否かを判定する判定処理を行い、
前記判定処理において、前記特定の時間帯での、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じである場合、前記燃料ガス消費装置では、前記連続消費期間の長さが前記特定の時間帯の終了時点でゼロになるように更新される燃料ガス消費システム。
【請求項2】
前記判定処理において、前記特定の時間帯での、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じである場合、前記ガスメーターでは、前記ガス消費連続期間の長さが前記特定の時間帯の終了時点でゼロになるように更新される請求項1に記載の燃料ガス消費システム。
【請求項3】
前記ガスメーターは、情報通信線を介して接続されたサーバー装置に対して、前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量に関する情報を送信し、
前記燃料ガス消費装置は、前記情報通信線を介して接続された前記サーバー装置に対して、前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量に関する情報を送信し、
前記サーバー装置は、前記判定処理を行い、前記特定の時間帯において、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じであると判定した場合、その判定結果を前記燃料ガス消費装置に送信する請求項1又は2に記載の燃料ガス消費システム。
【請求項4】
前記判定処理において、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部との測定原理の相違により生じ得る誤差、及び、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部との個体差により生じ得る誤差が考慮される請求項1~の何れか一項に記載の燃料ガス消費システム。
【請求項5】
前記燃料ガス消費装置が有する前記消費部は、前記ガスメーターを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する固体酸化物形燃料電池装置を有する請求項1~の何れか一項に記載の燃料ガス消費システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスの単位時間当たりの流通量を測定するガス流通量測定部を有するガスメーター、及び、そのガスメーターを経由して供給される燃料ガスを消費する消費部と、その消費部での燃料ガスの単位時間当たりの消費量を測定するガス消費量測定部とを有する燃料ガス消費装置を備える燃料ガス消費システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような燃料ガス消費システムにおいて、ガスメーターには、下流側での燃料ガスの漏洩を検知するための機能が設けられている。例えば、ガスメーターよりも下流側で燃料ガスの漏洩が無ければ、ガスメーターを流通する燃料ガスは非常に少なくなる。そのため、ガス流通量測定部での燃料ガスの単位時間当たりの流通量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が生じるはずである。それに対して、ガスメーターよりも下流側で燃料ガスの漏洩が有れば、ガスメーターを流通する燃料ガスが存在するため、燃料ガス非消費状態が生じない可能性が高い。そのような考えに基づいて、ガスメーターには、上記燃料ガス非消費状態が生じない期間が連続するガス消費連続期間の長さを監視し、そのガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間に到達した場合に警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断する保安動作部が設けられる。
【0003】
尚、ガスメーターがこのような保安動作部を有していた場合、燃料ガスの漏洩が無くても、燃料ガスの漏洩が有ると誤判定して、ガスメーターの保安動作部が警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断することもある。例えば、長期間にわたって燃料ガスを連続して消費しながら動作することがある消費部を有する固体酸化物形燃料電池装置等の燃料ガス消費装置が存在する場合、燃料ガスの漏洩が無くても、上記燃料ガス非消費状態が生じない期間が連続することがある。
【0004】
また、上述したような誤判定であるか否かに関わらず、ガスメーターの保安動作部が警報作動した場合、例えば、通報を受けた作業員が、燃料ガスの供給を遮断して、実際に燃料ガスが漏れていないか否かの点検を行わねばならないことがある。また、ガスメーターの保安動作部が燃料ガスの供給を遮断した場合には、燃料ガスを供給できる状態にガスメーターを復旧する操作を行わなければならない。従って、上述したような誤判定によってガスメーターの保安動作部が警報作動することを回避でき且つ燃料ガスの供給を遮断することを回避できれば好ましい。
【0005】
そのような課題に鑑みて、特許文献1(特開2013-213609号公報)に記載のシステムでは、ガスメーターで監視されるガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間(例えば30日間)に達する前に、燃料ガス消費装置での燃料ガスの使用を停止して、意図的に燃料ガス非消費状態を生じさせることを試みている。これにより、ガスメーターで監視されるガス消費連続期間の長さを一旦はゼロにリセットさせて、ガスメーターが燃料ガスの漏洩が存在すると誤判定してしまう事態を防ごうと試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-213609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量には、ガスメーターの下流側に接続されている複数の燃料ガス消費装置でのガス消費量が含まれ、燃料ガスの漏洩が有る場合にはその分の燃料ガス量も含まれているはずである。
【0008】
従って、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量に、漏洩している分の燃料ガス量が含まれていないことを確認できれば、燃料ガスの漏洩が存在しないという判定を下すこともできる。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量に、漏洩している分の燃料ガス量が含まれているか否かを判定できる燃料ガス消費システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る燃料ガス消費システムの特徴構成は、燃料ガスの単位時間当たりの流通量を測定するガス流通量測定部と、燃料ガスの単位時間当たりの流通量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が生じない期間が連続するガス消費連続期間の長さを監視し、前記ガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間に到達した場合に警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断する保安動作部とを有するガスメーター、及び、
前記ガスメーターを経由して供給される燃料ガスを消費する消費部と、当該消費部での燃料ガスの単位時間当たりの消費量を測定するガス消費量測定部とを有する燃料ガス消費装置、を備え、
前記燃料ガス消費装置は、前記消費部で燃料ガスの消費を開始してからの連続消費期間が、前記漏洩判定用期間よりも短い所定期間に到達したという停止実行条件が満たされた場合、前記消費部での燃料ガスの消費を停止する漏洩判定回避用停止処理を実行するように構成され、
特定の時間帯において、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるか否かを判定する判定処理を行い、
前記判定処理において、前記特定の時間帯での、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じである場合、前記燃料ガス消費装置では、前記連続消費期間の長さが前記特定の時間帯の終了時点でゼロになるように更新される点にある。
ここで、前記燃料ガス消費装置が有する前記消費部は、前記ガスメーターを経由して供給される燃料ガスを用いて発電する固体酸化物形燃料電池装置を有していてもよい。
【0011】
上記特徴構成によれば、特定の時間帯において、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と燃料ガス消費装置のガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるならば、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量には、燃料ガス消費装置での燃料ガスの消費量しか含まれない、即ち、燃料ガスの漏洩は発生していないと判定できる。
加えて、特定の時間帯での、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と燃料ガス消費装置のガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じである場合、即ち、燃料ガスの漏洩が発生していない場合、燃料ガス消費装置では、連続消費期間の長さが特定の時間帯の終了時点でゼロになるように更新される。つまり、燃料ガス消費装置では、消費部での燃料ガスの消費を停止する漏洩判定回避用停止処理を実行するタイミングが先送りされる。
従って、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量に、漏洩している分の燃料ガス量が含まれているか否かを判定できる燃料ガス消費システムを提供できる。
【0012】
本発明に係る燃料ガス消費システムの別の特徴構成は、前記判定処理において、前記特定の時間帯での、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じである場合、前記ガスメーターでは、前記ガス消費連続期間の長さが前記特定の時間帯の終了時点でゼロになるように更新される点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、特定の時間帯での、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と燃料ガス消費装置のガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じである場合、即ち、燃料ガスの漏洩が発生していない場合、ガスメーターでは、ガス消費連続期間の長さが前記特定の時間帯の終了時点でゼロになるように更新される。つまり、ガスメーターでは、保安動作部が警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するタイミングが先送りされる。
【0018】
本発明に係る燃料ガス消費システムの更に別の特徴構成は、前記ガスメーターは、情報通信線を介して接続されたサーバー装置に対して、前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量に関する情報を送信し、
前記燃料ガス消費装置は、前記情報通信線を介して接続された前記サーバー装置に対して、前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量に関する情報を送信し、
前記サーバー装置は、前記判定処理を行い、前記特定の時間帯において、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じであると判定した場合、その判定結果を前記燃料ガス消費装置に送信する点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、サーバー装置は、判定処理を行い、特定の時間帯において、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と燃料ガス消費装置のガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とが同じであると判定した場合、その判定結果を燃料ガス消費装置に送信する。その結果、燃料ガス消費装置は、連続消費期間の長さが特定の時間帯の終了時点でゼロになるように更新する。つまり、燃料ガス消費装置では、消費部での燃料ガスの消費を停止する漏洩判定回避用停止処理を実行するタイミングが先送りされる。
【0020】
本発明に係る燃料ガス消費システムの更に別の特徴構成は、前記判定処理において、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部との測定原理の相違により生じ得る誤差、及び、前記ガスメーターの前記ガス流通量測定部と前記燃料ガス消費装置の前記ガス消費量測定部との個体差により生じ得る誤差が考慮される点にある。
【0021】
ガスメーターのガス流通量測定部の測定原理と、燃料ガス消費装置のガス消費量測定部の測定原理とが相違する場合、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と燃料ガス消費装置のガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とに誤差が生じる場合がある。
また、ガスメーターのガス流通量測定部の測定原理と、燃料ガス消費装置のガス消費量測定部の測定原理とが同じであるか否かに関わらず、機器の個体差によって、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量と燃料ガス消費装置のガス消費量測定部が測定した燃料ガスの消費量とに誤差が生じる場合がある。
そこで、本特徴構成では、判定処理において、ガスメーターのガス流通量測定部と燃料ガス消費装置のガス消費量測定部との測定原理の相違により生じ得る誤差、及び、ガスメーターのガス流通量測定部と燃料ガス消費装置のガス消費量測定部との個体差により生じ得る誤差が考慮される。その結果、誤差の影響を排除した上で、上記判定処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】燃料ガス消費システムの構成を示す図である。
図2】ガスメーターで行われる一連の処理を説明するフローチャートである。
図3】燃料電池装置で行われる一連の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して本発明の実施形態に係る燃料ガス消費システムについて説明する。
図1は、燃料ガス消費システムの構成を示す図である。図示するように、燃料ガス消費システムは、ガスメーター10及び燃料ガス消費装置としての燃料電池装置20とを備える。図1では、ガスメーター10及び燃料電池装置20は同じ施設Bに設置されている。ガスメーター10及び燃料電池装置20は、情報通信線2を介してサーバー装置1との間で情報通信可能に構成されている。
【0024】
ガスメーター10は、ガス流通量測定部12と、保安動作部Sとを有する。加えて、本実施形態のガスメーター10は、メーター側制御部14と、メーター側通信部15と、メーター側記憶部16とを有する。
【0025】
保安動作部Sは、燃料ガスの単位時間当たりの流通量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が生じない期間が連続するガス消費連続期間の長さを監視し、ガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間に到達した場合に警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断する。本実施形態では、保安動作部Sは、メーター側制御部14と、遮断弁11と、警報部13とで構成される。具体的には、メーター側制御部14は、ガス流通量測定部12が測定する燃料ガスの単位時間当たりの流通量が設定判定量以下となる状態が設定判定時間以上連続することを含む所定の判定条件を満たす燃料ガス非消費状態が生じない期間が連続するガス消費連続期間の長さを監視する。そして、メーター側制御部14は、ガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間に到達した場合には、警報部13によって警報作動させる又は遮断弁11によって燃料ガスの供給を遮断する。
【0026】
ガス流通量測定部12は、燃料ガスの単位時間当たりの流通量を測定する。このガス流通量測定部12は、超音波式や膜式などの様々なメーターを用いて実現可能である。ガス流通量測定部12が超音波式のメーターの場合、燃料ガス非消費状態が発生したと判定されるための判定条件は、例えば、燃料ガスの流通量が設定判定量(例えば、1.0L/h)以下となる状態が設定判定時間以上(例えば、2分以上)である場合の継続時間の積算値が設定値以上(例えば、60分)となることである。ガス流通量測定部12が膜式のメーターの場合、燃料ガス非消費状態が発生したと判定されるための判定条件は、例えば、燃料ガスの流通量が設定判定量(例えば、1.0L/h)以下となる状態が設定判定時間以上(例えば、60分以上)連続することである。
【0027】
燃料ガス消費装置としての燃料電池装置20は、ガスメーター10を経由して供給される燃料ガスを消費する消費部Cと、消費部Cでの燃料ガスの単位時間当たりの消費量を測定するガス消費量測定部21とを有する。加えて、本実施形態の燃料電池装置20は、発電側制御部22と、発電側通信部23と、発電側記憶部24とを有する。
【0028】
燃料電池装置20の消費部Cは、ガスメーター10及びガス管3を経由して供給される燃料ガスを改質処理する改質部26と、改質処理により得られる水素などを用いて発電する燃料電池部25とを有する。燃料電池部25は、例えば固体酸化物形燃料電池を用いて構成される。つまり、消費部Cは、ガスメーター10を経由して供給される燃料ガスを用いて発電する固体酸化物形の燃料電池部25を有する。改質部26及び燃料電池部25は、例えば24時間以上連続して運転されることがある。特に、燃料電池部25が固体酸化物形燃料電池を用いて構成される場合、何日間もの間、連続して運転されることがある。
【0029】
更に、図1に示すように、ガス管3には、燃料ガス消費装置として、ガスコンロやガス燃焼式の給湯器など、燃料電池装置20以外のガス消費機器4も接続されている。つまり、このような構成の燃料ガス消費システムでは、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定する燃料ガスの流通量には、燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定するガス消費量と、それらガス消費機器4で消費されるガス量とが含まれる。
【0030】
燃料ガス消費システムでは、燃料電池装置20及びガス消費機器4での燃料ガスの消費が行われ続けた場合、ガスメーター10のガス流通量測定部12で測定される燃料ガスの流通量が比較的大きな値で維持されて、上述したような燃料ガス非消費状態が生じない期間が連続するガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間に到達する可能性がある。その場合、保安動作部Sは、上述したような警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断する。つまり、ガスメーター10がこのような保安動作部Sを有していた場合、実際には燃料ガスの漏洩が無くても、燃料ガスの漏洩が有ると誤判定して、ガスメーター10の保安動作部Sが警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断することもある。そして、誤判定であるか否かに関わらず、ガスメーター10の保安動作部Sが警報作動した場合、例えば、通報を受けた作業員が、燃料ガスの供給を遮断して、実際に燃料ガスが漏れていないか否かの点検を行わねばならないことがある。また、ガスメーター10の保安動作部Sが燃料ガスの供給を遮断した場合には、燃料ガスを供給できる状態にガスメーター10を復旧する操作を行わなければならない。このように、上述したような誤判定によってガスメーター10の保安動作部Sが警報作動することを回避でき且つ燃料ガスの供給を遮断することを回避できれば好ましい。
【0031】
そのため、本実施形態の燃料ガス消費システムでは、燃料電池装置20の発電側制御部22は、消費部Cで燃料ガスの消費を開始してからの連続消費期間をカウントし、その連続消費期間が漏洩判定用期間よりも短い所定期間に到達したという停止実行条件が満たされた場合、消費部Cでの燃料ガスの消費を停止する漏洩判定回避用停止処理を実行するように構成される。例えば、ガスメーター10の漏洩判定用期間が30日の場合、燃料電池装置20の発電側制御部22は、消費部Cで燃料ガスの消費を開始してからの連続消費期間が27日間(所定期間)に到達した場合、上記停止実行条件が満たされたと判定して、消費部Cでの燃料ガスの消費を例えば24時間停止させる(即ち、改質部26での改質処理を停止させる)という漏洩判定回避用停止処理を実行する。
【0032】
尚、燃料電池装置20以外のガス消費機器4は、燃料ガスの消費者が行動している時間帯には動作されるが、24時間の中で消費者が不在中及び就寝中は動作されないことがほとんどである。従って、消費部Cでの燃料ガスの消費を停止させる期間を24時間以上にさせれば、その24時間内に、燃料電池装置20及びガス消費機器4での燃料ガスの消費量がゼロになる時間帯が存在するはずである。つまり、燃料電池装置20において消費部Cでの燃料ガスの消費を停止する漏洩判定回避用停止処理が実行されれば、燃料ガスの漏洩が無ければ、その停止中の例えば24時間内にガスメーター10では上記燃料ガス非消費状態が発生したことを確認して、燃料ガスの漏洩が発生していないという判定が行われるはずである。
【0033】
このように、ガスメーター10によって燃料ガス非消費状態が漏洩判定用期間の間に生じないと判定される前に燃料電池装置20で漏洩判定回避用停止処理が行われることで、ガスメーター10の保安動作部Sが警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するといった事態が回避されることを期待できる。
【0034】
但し、燃料電池装置20で上記漏洩判定回避用停止処理を行わなくても、燃料ガスの漏洩が発生していないと判定する術はある。例えば、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定する燃料ガスの流通量が最小になる時間帯は、消費者が不在又は就寝中であると考えてもよい。つまり、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定する燃料ガスの流通量が最小になる時間帯は、燃料電池装置20のみで燃料ガスが消費されている時間帯であると考えてもよい。従って、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであれば、その時点では、燃料ガスの漏洩は発生していないと判定してもよい。ここで、特定の時間帯は、例えば、24時間の中でガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量が最小になっている時間帯である。
【0035】
そこで、本実施形態の燃料ガス消費システムは、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるか否かを判定する判定処理を行うように構成されている。この判定処理により、燃料ガスの漏洩が発生しているか否かを判定できる。
【0036】
本実施形態では、ガスメーター10は、情報通信線2を介して接続されたサーバー装置1に対して、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量に関する情報を送信する。そして、サーバー装置1は、ガスメーター10から受信した燃料ガスの流通量に関する情報を記憶する。例えば、ガスメーター10では、ガス流通量測定部12が測定した1時間当たりの燃料ガスの流通量のデータがメーター側記憶部16に記憶されている。そして、ガスメーター10のメーター側制御部14は、例えば、1日に1回、所定のタイミングで、メーター側記憶部16に記憶されている、ガス流通量測定部12が測定した1時間当たりの燃料ガスの流通量のデータを24個(即ち、24時間分)、どの場所に設置されたガスメーター10であるかを識別可能な顧客IDなどの識別情報と共にメーター側通信部15及び情報通信線2を介してサーバー装置1に送信する。或いは、ガスメーター10が、そのガスメーター10のMACアドレスを識別情報としてサーバー装置1に送信し、サーバー装置1がそのMACアドレスから顧客IDを特定するような構成であってもよい。
【0037】
また、燃料電池装置20は、情報通信線2を介して接続されたサーバー装置1に対して、燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量に関する情報を送信する。そして、サーバー装置1は、燃料電池装置20から受信した燃料ガスの消費量に関する情報を記憶する。例えば、燃料電池装置20では、ガス消費量測定部21が測定した1時間当たりの燃料ガスの消費量のデータが発電側記憶部24に記憶されている。そして、燃料電池装置20の発電側制御部22は、例えば、1日に1回、所定のタイミングで、発煙側記憶部に記憶されている、ガス消費量測定部21が測定した1時間当たりの燃料ガスの消費量のデータを24個(即ち、24時間分)、どの場所に設置された燃料電池装置20であるかを識別可能な顧客IDなどの識別情報と共に発電側通信部23及び情報通信線2を介してサーバー装置1に送信する。或いは、燃料電池装置20が、その燃料電池装置20のMACアドレスを識別情報としてサーバー装置1に送信し、サーバー装置1がそのMACアドレスから顧客IDを特定するような構成であってもよい。
【0038】
サーバー装置1は、上記識別情報を用いて、同じ施設Bに設けられているガスメーター10で測定された燃料ガスの流通量のデータと燃料電池装置20で測定された燃料ガスの消費量のデータとを関連付けて記憶する。
【0039】
そして、サーバー装置1は、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであると判定した場合、その判定結果をガスメーター10に送信する。
そして、判定処理において、特定の時間帯での、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じである場合、ガスメーター10では、ガス消費連続期間の長さが特定の時間帯の終了時点でゼロになるように更新される。
【0040】
同様に、サーバー装置1は、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであると判定した場合、その判定結果を燃料電池装置20に送信する。
そして、判定処理において、特定の時間帯での、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じである場合、燃料電池装置20では、連続消費期間の長さが特定の時間帯の終了時点でゼロになるように更新される。
【0041】
図2は、ガスメーター10で行われる一連の処理を説明するフローチャートである。
図2の工程#10においてメーター側制御部14は、上述した燃料ガス非消費状態が発生したか否かを判定する。そして、メーター側制御部14は、燃料ガス非消費状態が発生した場合(工程#10において「Yes」の場合)には、工程#13に移行して、ガス消費連続期間の長さをゼロに更新する。つまり、ガスメーター10では、保安動作部Sが警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するタイミングが先送りされる。それに対して、メーター側制御部14は、燃料ガス非消費状態が発生していない場合(工程#10において「No」の場合)には、工程#11に移行する。
【0042】
工程#11においてメーター側制御部14は、ガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間に到達したか否かを判定する。そして、メーター側制御部14は、ガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間に到達した場合には、工程#14に移行して、保安動作部Sを動作させる。それに対して、メーター側制御部14は、ガス消費連続期間の長さが漏洩判定用期間に到達していない場合には工程#12に移行する。
【0043】
工程#12においてメーター側制御部14は、特定の時間帯での、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるか否かを判定する。本実施形態の場合、メーター側制御部14は、サーバー装置1から、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるという判定結果を受信していた場合であれば工程#13に移行し、そうでないならばフローチャートの最初にリターンする。
【0044】
このように、ガスメーター10では、燃料ガスの漏洩が無いことを、自身のガス流通量測定部12の測定結果に基づいて確認すること(工程#10)ができるのに加えて、自身のガス流通量測定部12の測定結果と燃料電池装置20のガス消費量測定部21の測定結果に基づいて確認すること(工程#12)もできる。そして、燃料ガスの漏洩が無い場合には、ガスメーター10では、保安動作部Sが警報作動する又は燃料ガスの供給を遮断するタイミングが先送りされる(工程#13)。
【0045】
図3は、燃料電池装置20で行われる一連の処理を説明するフローチャートである。
図3の工程#20において、発電側制御部22は、連続消費期間が所定期間に到達したか否かを判定する。そして、発電側制御部22は、連続消費期間が所定期間に到達した場合には工程#22に移行して消費部Cでの燃料ガスの消費を停止する漏洩判定回避用停止処理を実行し、次に工程#23に移行して連続消費期間の長さをゼロに更新する。その結果、燃料電池装置20では、その後に連続消費期間が所定期間に到達するまでは消費部Cでの燃料ガスの消費を連続して行うことができる。それに対して、発電側制御部22は、連続消費期間が所定期間に到達していない場合には工程#21に移行する。
【0046】
工程#21において発電側制御部22は、特定の時間帯での、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるか否かを判定する。発電側制御部22は、サーバー装置1から、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるという判定結果を受信していた場合であれば工程#23に移行し、そうでないならばフローチャートの最初にリターンする。
【0047】
このように、燃料電池装置20では、連続消費期間の長さをゼロに更新することを、自身が消費部Cでの燃料ガスの消費を停止する漏洩判定回避用停止処理を実行した場合(工程#22)に行うのに加えて、自身のガス流通量測定部12の測定結果と燃料電池装置20のガス消費量測定部21の測定結果に基づいて行うこと(工程#21)もできる。そして、燃料電池装置20では、連続消費期間の長さをゼロに更新することで、その後に連続消費期間が所定期間に到達するまでは消費部Cでの燃料ガスの消費を連続して行うことができる。
【0048】
〔誤差補正〕
加えて、本実施形態では、上記判定処理において、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との測定原理の相違により生じ得る誤差、及び、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との個体差により生じ得る誤差が考慮される。
【0049】
ガスメーター10のガス流通量測定部12の測定原理と、燃料電池装置20のガス消費量測定部21の測定原理とが相違する場合、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とに誤差が生じる場合がある。そこで、本実施形態では、判定処理において、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との測定原理の相違により生じ得る誤差が考慮される。
【0050】
例えば、燃料ガスは気体であるため、測定原理が燃料ガスの温度及び圧力に影響を受けるものである場合、流量(体積)は燃料ガスの温度及び圧力により補正する必要がある。具体例を挙げると、質量流量計を用いている場合、基本的に温度、圧力の影響を受けずに流量計測ができる。それに対して、体積流量計を用いている場合、測定される流量(体積)は燃料ガスの温度及び圧力の影響を受けて変化する。
【0051】
以下にガスメーター10の流通量測定部が体積流量計(例えば膜式メーターなど)である場合を例にして、測定原理を考慮した誤差補正について説明する。この誤差補正は、例えばサーバー装置1が行う。
【0052】
燃料ガス消費システムにおいて、ガス流通量測定部12で体積流量計を用いる場合、燃料ガスの温度を測定するガス温度センサと、燃料ガスの圧力を測定するガス圧力センサとを燃料ガス消費システムに設けておく。それらのセンサの設置場所は適宜設定可能であり、例えば、ガスメーター10にそれらのセンサの少なくとも一方を設けてもよいし、燃料電池装置20にそれらのセンサの少なくとも一方を設けてもよい。尚、家庭等に供給されるガス管3での燃料ガスの圧力は、例えば約2kPaで、平均的な大気圧約101kPaに比べ小さい。そのため、燃料ガスの供給圧の変動よりも、大気圧の変動の影響が大きいため、大気圧の変動を計測することで燃料ガスの圧力(供給圧+大気圧)の補正に使う。この大気圧データは、ガスメーター10及び燃料電池装置20の何れかに設けた圧力センサで取得してもよいし、気象情報を提供するサービスを行っている気象情報提供サーバーから受信してもよい。
【0053】
ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した単位時間当たりの燃料ガスの流通量と、燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した単位時間当たりの燃料ガスの消費量とを、それぞれ標準状態(0℃、1気圧(=101.325kPa))での燃料ガスの量(Nm)に換算する。例えば、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した単位時間当たりの燃料ガスの流通量:Vsm0(m)を、標準状態(0℃、1気圧(=101.325kPa))での燃料ガスの流通量:Vsm(Nm)に換算する場合、以下の数式1に示す計算を行う。
【0054】
〔数式1〕
Vsm=Vsm0×{(P1+P2)/101.325}×{273/(273+Tg)}
【0055】
尚、上記数式1において、Vsm、Vsm0、Tg、P1、P2のそれぞれは以下の数値である。
・Vsm(Nm):ガスメーター10での、標準状態における1時間当たりの燃料ガスの流通量
・Vsm0(m):ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した1時間当たりの燃料ガスの流通量
・Tg(℃):測定時間帯での燃料ガスの温度
・P1(kPa):測定時間帯での大気圧
・P2(kPa):ガスメーター10に搭載された圧力センサで取得した、測定時間帯での燃料ガス供給圧
【0056】
また、ガスメーター10のガス流通量測定部12の測定原理と、燃料電池装置20のガス消費量測定部21の測定原理とが同じであるか否かに関わらず、機器の個体差によって、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とに誤差が生じる場合がある。そこで、本実施形態では、判定処理において、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との個体差により生じ得る誤差が考慮される。
【0057】
例えば、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定する燃料ガスの流通量が最小になる時間帯は、施設Bにおいて消費者が不在又は就寝中など、消費者が施設Bにおいてほとんど行動していない時間帯であると考えてもよい。そのため、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定する燃料ガスの流通量が最小になる時間帯は、燃料電池装置20のみで燃料ガスが消費されており、それ以外のガス消費機器4では燃料ガスは消費されていない時間帯であると考えてもよい。そして、ガス管3からの燃料ガスの漏洩が発生しておらず、且つ、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との個体差により生じ得る誤差が無いならば、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じになるはずである。
言い換えると、ガス管3からの燃料ガスの漏洩が発生しておらず、且つ、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが相違しているならば、その相違量が、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との個体差により生じ得る誤差であると考えてもよい。
【0058】
以下に、上記判定処理において、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との測定原理の相違により生じ得る誤差、及び、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との個体差により生じ得る誤差を考慮する場合の一連の処理について説明する。
【0059】
この一連の処理は、以下の4つの処理を有する。
(1)燃料ガスの漏洩が発生していないことを確認する非漏洩確認処理
(2)燃料ガスの漏洩が発生していないという前提で、ガスメーター10での燃料ガスの流通量と燃料電池装置20での燃料ガスの消費量とを収集する燃料ガス量収集処理
(3)ガスメーター10での燃料ガスの流通量が最小となる特定の時間帯を決定する時間帯決定処理
(4)特定の時間帯での、ガスメーター10での燃料ガスの流通量と燃料電池装置20での燃料ガスの消費量との相違量を、測定原理による誤差を考慮した上で決定して、それを合計誤差とする合計誤差決定処理
【0060】
(1)非漏洩確認処理
上述したように、サーバー装置1には、ガスメーター10から所定タイミングで継続的に、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した単位時間当たりの燃料ガスの流通量のデータが、どの場所に設置されたガスメーター10であるかを識別可能な顧客IDなどの識別情報と共に送信されてくる。加えて、サーバー装置1には、燃料電池装置20から設定タイミングで継続的に、燃料電池装置20が新たに設置された後、燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した単位時間当たりの燃料ガスの消費量のデータが、どの場所に設置された燃料電池装置20であるかを識別可能な顧客IDなどの識別情報と共に送信されてくる。
【0061】
サーバー装置1は、燃料電池装置20からの燃料ガスの消費量のデータの受信が始まってから設定期間内、即ち、燃料電池装置20が新たに設置されてから設定期間内は、ガスメーター10及び燃料電池装置20から送信されてくる燃料ガスの流通量及び消費量のデータ収集のみを行い、上記判定処理を行わない。そのため燃料電池装置20の発電側制御部22は、消費部Cで燃料ガスの消費を開始してからの連続消費期間が27日間(所定期間)に到達した場合、消費部Cでの燃料ガスの消費を例えば24時間停止させる(即ち、改質部26での改質処理を停止させる)という漏洩判定回避用停止処理を実行する。燃料電池装置20が24時間停止している間も、サーバー装置1にはガスメーター10から燃料ガスの流通量のデータが送信される。燃料電池装置20でこの漏洩判定回避用停止処理が実行されると、その後の24時間の間、燃料電池装置20で消費される燃料ガスはゼロになる。従って、ガスメーター10では、その24時間内に上記燃料ガス非消費状態が発生したと判定して、燃料ガスの漏洩が発生していないことを確認できるはずである。そして、ガスメーター10は、上記燃料ガス非消費状態が発生したと判定した場合、その判定結果をサーバー装置1に送信する。
このようにして、サーバー装置1は、ガス管3からの燃料ガスの漏洩が発生していないことを確認する処理を実施できる。
【0062】
(2)燃料ガス量収集処理
燃料電池装置20は、停止期間が24時間に到達すると、再び運転を開始する(即ち、消費部Cで燃料ガスの消費を開始する)。そして、サーバー装置1には、ガスメーター10から所定タイミングで継続的に、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した単位時間当たりの燃料ガスの流通量のデータが送信されてくる。加えて、サーバー装置1には、燃料電池装置20から設定タイミングで継続的に、燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した単位時間当たりの燃料ガスの消費量のデータが送信されてくる。
このようにして、サーバー装置1は、ガス管3からの燃料ガスの漏洩が発生していないという前提で、ガスメーター10での燃料ガスの流通量と燃料電池装置20での燃料ガスの消費量とを収集する処理を実施できる。
【0063】
(3)時間帯決定処理
施設Bにおいて消費者が不在又は就寝中など、消費者が施設Bにおいてほとんど行動していない時間帯では、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定する燃料ガスの流通量が最小になる。この時間帯では、燃料電池装置20以外のガス消費機器4では燃料ガスは消費されていない時間帯であると考えてもよい。そして、ガス管3からの燃料ガスの漏洩が発生しておらず、且つ、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との個体差により生じ得る誤差が無いならば、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じになるはずである。
このようにして、サーバー装置1は、ガスメーター10での燃料ガスの流通量が最小となる特定の時間帯を決定する処理、即ち、ガスメーター10での燃料ガスの流通量と燃料電池装置20での燃料ガスの消費量とが同じになるはずである特定の時間帯を決定する処理を実施できる。例えば、サーバー装置1は、過去の特定期間(例えば1週間や1カ月など)の中でガスメーター10での燃料ガスの流通量が最小となる特定の時間帯を決定する。
【0064】
(4)合計誤差決定処理
ガス管3からの燃料ガスの漏洩が発生しておらず、且つ、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが相違しているならば、その相違量が、ガスメーター10のガス流通量測定部12と燃料電池装置20のガス消費量測定部21との個体差により生じ得る誤差である。本例では、サーバー装置1が上記非漏洩確認処理を実施することで、ガス管3からの燃料ガスの漏洩が発生していないことは確保されている。そのため、サーバー装置1は、上記特定の時間帯での、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とを比較して、両者の相違量を計算する。また、サーバー装置1は、必要に応じて、上述したような測定原理を考慮した誤差補正を行う。
【0065】
例えば、サーバー装置1は、ガスメーター10での、標準状態における1時間当たりの燃料ガスの流通量:Vsm(Nm)と、燃料電池装置20での、標準状態における1時間当たりの燃料ガスの消費量:Vef(Nm)とを比較して、以下の数式2に示す計算によって、それらの間の合計誤差Dを導出する。また、サーバー装置1は、必要に応じて、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した単位時間当たりの燃料ガスの流通量:Vsm0(m)を、標準状態(0℃、1気圧(=101.325kPa))での燃料ガスの流通量:Vsm(Nm)に換算することで、上述したような測定原理を考慮した誤差補正を行う。
【0066】
〔数式2〕
合計誤差D=|Vef-Vsm|
=|Vef-Vsm0×{(P1+P2)/101.325}×{273/(273+Tg)}|
【0067】
従って、サーバー装置1は、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量との間には上記合計誤差Dが存在することを考慮して、即ち、誤差の影響を排除した上で、それ以後、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるか否かを判定する判定処理を行えばよい。
【0068】
以上のように、燃料消費システムでは、特定の時間帯において、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量と燃料電池装置20のガス消費量測定部21が測定した燃料ガスの消費量とが同じであるならば、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量には、燃料電池装置20での燃料ガスの消費量しか含まれない、即ち、ガス管3では燃料ガスの漏洩は発生していないと判定できる。従って、ガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量に、漏洩している分の燃料ガス量が含まれているか否かを判定できる燃料ガス消費システムを提供できる。
【0069】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、燃料ガス消費システムの構成について具体例を挙げて説明したが、その構成については適宜変更可能である。
【0070】
<2>
上記実施形態では、サーバー装置1が判定処理を行う場合を説明したが、他の装置が判定処理を行ってもよい。例えば、ガスメーター10のメーター側制御部14が判定処理を行ってもよい。或いは、燃料電池装置20の発電側制御部22が判定処理を行ってもよい。その場合、ガスメーター10及び燃料電池装置20は、サーバー装置1を介さずに燃料ガスの流通量及び消費量のデータをやり取りしてもよい。
【0071】
<3>
上記実施形態では、ガスメーター10及び燃料電池装置20が記憶するデータが1時間当たりの燃料ガスの量を示すデータである例を説明したが、双方のデータを比較できるのであれば、例えば1分当たりのデータなど、他の単位時間当たりのデータであっても構わない。
【0072】
<4>
上記実施形態では、ガスメーター10において燃料ガス非消費状態が発生したと判定されるための判定条件の具体例を説明したが、その判定条件の内容は適宜設定可能である。
【0073】
<5>
上記実施形態では、いくつかの具体的な数値例を挙げて本発明の説明を行ったが、それらの数値は適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態では、特定の時間帯が、過去24時間の中でガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量が最小になっている時間帯である場合を説明したが、その特定の時間帯は、過去36時間や過去48時間や過去1カ月などの中でガスメーター10のガス流通量測定部12が測定した燃料ガスの流通量が最小になっている時間帯であってもよい。
他にも、上記実施形態では、燃料電池装置20が、漏洩判定回避用停止処理として、消費部Cでの燃料ガスの消費を24時間停止させる処理を実行する例を説明したが、その停止期間は12時間や36時間など適宜設定可能である。
【0074】
<6>
尚、上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、ガスメーターのガス流通量測定部が測定した燃料ガスの流通量に、漏洩している分の燃料ガス量が含まれているか否かを判定できる燃料ガス消費システムに利用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 サーバー装置
2 情報通信線
10 ガスメーター
11 遮断弁(保安動作部 S)
12 ガス流通量測定部
13 警報部(保安動作部 S)
20 燃料電池装置(燃料ガス消費装置)
C 消費部
図1
図2
図3