(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】監視電圧閾値切替回路、リセット監視システム、制御信号生成回路が行う処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H03K 17/22 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H03K17/22 B
(21)【出願番号】P 2020034618
(22)【出願日】2020-03-02
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】メイコーエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180415
【氏名又は名称】荒井 滋人
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】三浦 孝久
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-022107(JP,A)
【文献】特開2012-205310(JP,A)
【文献】特公平08-004049(JP,B2)
【文献】特開平07-013859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R19/00-19/32
G05F1/00-1/44
1/45-7/00
G06F1/22-1/24
11/08-11/10
H02M1/00-1/44
H03K5/00-5/02
5/08-5/1254
5/15-5/26
17/00-17/70
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム起動中に動作しなければならない回路であって制御信号を生成する制御信号生成回路と、
システムの起動完了後に動作しなければならない回路であって信号処理を行う信号処理回路と、
リセット信号を出力するか否かを制御する回路であるリセット回路と、
該リセット回路に電圧Vsenseを出力する監視電圧閾値切替回路とを備えたリセット監視システムであって、
前記監視電圧閾値切替回路は、
第1端子と第2端子とを有
して抵抗値がR1である第1抵抗と、
第1端子と第2端子とを有
して抵抗値がR2である第2抵抗と、
第1端子と第2端子とを有
して抵抗値がR3である第3抵抗と、
第1端子と第2端子とを有する第4抵抗と、
第1端子と第2端子とを有する第5抵抗と、
第1端子と第2端子
(ベース又はゲート)と第3端子
(エミッタ又はソース)とを有するトランジスタと、
を備え、
前記第1抵抗の前記第1端子は、電圧がVINである電源Vccに接続され、
前記第1抵抗の前記第2端子は、前記第2抵抗の前記第1端子に接続され、
且つ前記リセット回路に前記電圧Vsenseを出力し、
前記第2抵抗の前記第2端子は、前記第3抵抗の前記第1端子と前記トランジスタの前記第1端子とに接続され、
前記第3抵抗の前記第2端子は、前記第4抵抗の前記第2端子と前記トランジスタの前記第3端子とに接続され、
前記第4抵抗の前記第1端子は、前記第5抵抗の前記第2端子と前記トランジスタの前記第2端子とに接続され、
前記第5抵抗の前記第1端子は、
前記制御信号生成回路からの制御信号を受ける端子であり、
前記システムが起動中の場合には、前記トランジスタがオフとなって前記第3抵抗の前記第1端子と前記第3抵抗の前記第2端子との間が開放状態となり、「電圧VIN×(R2+R3)/(R1+R2+R3)」を前記電圧Vsenseとして前記リセット回路に出力し、且つ、前記制御信号生成回路の最低動作電圧を特定値Vthとし、前記電圧Vsenseが前記特定値Vth未満の期間に前記リセット回路はリセット信号を出力し、
前記システムが起動完了後の場合には、前記トランジスタがオンとなって前記第3抵抗の前記第1端子と前記第3抵抗の前記第2端子との間が短絡状態となり、「電圧VIN×R2/(R1+R2)」を前記電圧Vsenseとして前記リセット回路に出力し、且つ、前記信号処理回路の最低動作電圧を特定値Vthとし、前記電圧Vsenseが前記特定値Vth未満の期間に前記リセット回路はリセット信号を出力し、
前記システムは最低動作電圧の異なる複数の装置を備え、前記特定値Vthは最低動作電圧の異なる複数の回路が存在する場合に最も高い最低動作電圧を基準に設定されている
リセット監視システム。
【請求項2】
第1端子と第2端子とを有するバッファ回路、
を備え、
前記バッファ回路の前記第2端子は、高インピーダンスであり、前記第5抵抗の前記第1端子に接続され、
前記第5抵抗の前記第1端子は、前記バッファ回路を介して前記制御信号を受ける、
請求項
1に記載のリセット監視システム。
【請求項3】
前記バッファ回路は、
スリーステートバッファ回路である、
請求項
2に記載のリセット監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視電圧閾値切替回路、リセット監視システム、制御信号生成回路が行う処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両や建設機械などには、最低動作電圧の異なる複数の装置が搭載されることがある。これらの複数の装置は、互いに連動して動作する場合がある。
特許文献1には、関連する技術として、電源電圧を監視する装置に関する技術が開示されている。
特許文献2には、電池に対する負荷の稼働状況に応じて2通りのしきい値を設けることによって、電池交換時期の早期誤判定を防止する技術が開示されている。
特許文献3には、関連する技術として、減圧信号に応じて分圧回路の出力電圧を変更する制御回路を用いる燃料噴射装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平05-196662号公報
【文献】特開平07-143673号公報
【文献】特開2007-255333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、最低動作電圧の異なる複数の装置を備えるシステムでは、装置が互いに連携して動作していることがある。装置が互いに連携して動作している場合、ある装置が動作しなくなると、その動作しなくなった装置が他の装置に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、最低動作電圧の異なる複数の装置を備えるシステムでは、装置が動作しなくなったことを他の装置に知らせてリセットを掛けさせるリセット回路が使用されることがある。
一般的には、最低動作電圧の異なる複数の回路が存在する場合、リセット回路がリセット信号を出力するか否かを判定するための値は、複数の回路の最低動作電圧のうち最も高い最低動作電圧を基準に設定される。
そのため、最低動作電圧の異なる複数の装置を備えるシステムにおいてリセット回路を用いる場合、システムの起動完了後に動作すればよく、システムの起動中には動作しなくてもよい装置の最低動作電圧を基準にリセット回路がリセット信号を出力する可能性がある。この場合、システムの起動中に望まないリセット信号がリセット回路から出力され、動作しなくなった装置と連携していた装置に望まないリセットが掛かってしまう可能性がある。
そこで、最低動作電圧の異なる複数の装置を備えるシステムにおいて、無駄なリセット信号の生成を抑制することのできる技術が求められている。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決することのできる監視電圧閾値切替回路、リセット監視システム、制御信号生成回路が行う処理方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、第1端子と第2端子とを有する第1抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第2抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第3抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第4抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第5抵抗と、第1端子と第2端子と第3端子とを有するトランジスタと、を備え、前記第1抵抗の前記第2端子は、前記第2抵抗の前記第1端子に接続され、前記第2抵抗の前記第2端子は、前記第3抵抗の前記第1端子と前記トランジスタの前記第1端子とに接続され、前記第3抵抗の前記第2端子は、前記第4抵抗の前記第2端子と前記トランジスタの前記第3端子とに接続され、前記第4抵抗の前記第1端子は、前記第5抵抗の前記第2端子と前記トランジスタの前記第2端子とに接続され、前記第1抵抗の前記第1端子は、電源に接続される端子であり、前記第3抵抗の前記第2端子は、基準電位に接続される端子であり、前記第5抵抗の前記第1端子は、制御信号を受ける端子であり、前記第1抵抗の前記第2端子は、電圧を出力する端子である、監視電圧閾値切替回路である。
【0007】
また、本発明は、上記の監視電圧閾値切替回路と、前記制御信号を生成する制御信号生成回路と、前記第1抵抗の前記第2端子から出力される電圧を受けるリセット回路と、を備えるリセット監視システムである。
【0008】
また、本発明は、制御信号生成回路が行う処理方法であって、第1端子と第2端子とを有する第1抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第2抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第3抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第4抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第5抵抗と、第1端子と第2端子と第3端子とを有するトランジスタと、を備え、前記第1抵抗の前記第2端子は、前記第2抵抗の前記第1端子に接続され、前記第2抵抗の前記第2端子は、前記第3抵抗の前記第1端子と前記トランジスタの前記第1端子とに接続され、前記第3抵抗の前記第2端子は、前記第4抵抗の前記第2端子と前記トランジスタの前記第3端子とに接続され、前記第4抵抗の前記第1端子は、前記第5抵抗の前記第2端子と前記トランジスタの前記第2端子とに接続され、前記第1抵抗の前記第1端子は、電源に接続される端子であり、前記第3抵抗の前記第2端子は、基準電位に接続される端子であり、前記第5抵抗の前記第1端子は、制御信号を受ける端子であり、前記第1抵抗の前記第2端子は、電圧を出力する端子である、監視電圧閾値切替回路における前記第3抵抗の前記第1端子と前記第3抵抗の前記第2端子との間を、短絡状態または開放状態にさせる制御信号を生成すること、を含む制御信号生成回路が行う処理方法である。
【0009】
また、本発明は、制御信号生成回路のコンピュータに、第1端子と第2端子とを有する第1抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第2抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第3抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第4抵抗と、第1端子と第2端子とを有する第5抵抗と、第1端子と第2端子と第3端子とを有するトランジスタと、を備え、前記第1抵抗の前記第2端子は、前記第2抵抗の前記第1端子に接続され、前記第2抵抗の前記第2端子は、前記第3抵抗の前記第1端子と前記トランジスタの前記第1端子とに接続され、前記第3抵抗の前記第2端子は、前記第4抵抗の前記第2端子と前記トランジスタの前記第3端子とに接続され、前記第4抵抗の前記第1端子は、前記第5抵抗の前記第2端子と前記トランジスタの前記第2端子とに接続され、前記第1抵抗の前記第1端子は、電源に接続される端子であり、前記第3抵抗の前記第2端子は、基準電位に接続される端子であり、前記第5抵抗の前記第1端子は、制御信号を受ける端子であり、前記第1抵抗の前記第2端子は、電圧を出力する端子である、監視電圧閾値切替回路における前記第3抵抗の前記第1端子と前記第3抵抗の前記第2端子との間を、短絡状態または開放状態にさせる制御信号を生成すること、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、最低動作電圧の異なる複数の装置を備えるシステムにおいて、無駄なリセット信号の生成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態によるリセット監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるリセット監視システムにおけるリセットを説明するための図である。
【
図3】本発明の第1実施形態によるリセット監視システムの動作を説明するための図である。
【
図4】本発明の第2実施形態によるリセット監視システムの構成の一例を示す図である。
【
図5】本発明の最小構成の監視電圧閾値切替回路を示す図である。
【
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1について説明する。
本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1は、
図1に示すように、制御信号生成回路10、リセット回路20、信号処理回路30、監視電圧閾値切替回路40を備える。リセット監視システム1は、リセット監視システム1の起動中にリセット回路20が受ける電圧と、リセット監視システム1の起動完了後にリセット回路20が受ける電圧とを切り替えるシステムである。リセット監視システム1の起動中とは、後述するトランジスタ406がオフ状態の期間のことである。また、リセット監視システム1の起動完了後とは、後述するトランジスタ406がオン状態になった後の期間のことである。
【0013】
制御信号生成回路10は、制御信号を生成する回路である。制御信号生成回路10は、リセット監視システム1の起動中に動作しなければならない回路である。制御信号生成回路10の最低動作電圧は、V10min(例えば、3.3ボルト)である。例えば、制御信号生成回路10は、CPU(Central Processing Unit)を備える回路である。
なお、本発明の第1実施形態では、リセット監視システム1の起動中において、制御信号生成回路10の出力端子は、高インピーダンスであるものとする。
【0014】
リセット回路20は、監視電圧閾値切替回路40が出力する電圧Vsenseに基づいて、リセット信号を出力するか否かを制御する回路である。
例えば、リセット回路20は、電圧Vsenseが特定値Vth未満となったと判定した場合に、リセット信号を出力する。特定値Vthは、リセット回路20がリセット信号を出力するか否かを判定するためのしきい値である。
なお、本発明の第1実施形態におけるリセット信号は、
図2に示す例の場合、Lowレベルの信号を指す。したがって、本発明の第1実施形態において、
図2に示す例の場合、Highレベルの信号は、リセット信号の停止を示す。
【0015】
信号処理回路30は、信号処理を行う回路である。信号処理回路30は、リセット監視システム1の起動中には動作しなくてもよく、リセット監視システム1の起動完了後に動作しなければならない回路である。信号処理回路30の最低動作電圧は、V10minよりも高い電圧V30min(例えば、5.0ボルト)である。例えば、信号処理回路30は、インターフェース回路である。
【0016】
監視電圧閾値切替回路40は、第1抵抗401、第2抵抗402、第3抵抗403、第4抵抗404、第5抵抗405、トランジスタ406を備える。
第1抵抗401、第2抵抗402、第3抵抗403、第4抵抗404、第5抵抗405のそれぞれは、第1端子と第2端子とを有する。トランジスタ406は、第1端子と第2端子と第3端子とを有する。
【0017】
第1抵抗401の第2端子は、第2抵抗402の第1端子に接続される。第2抵抗402の第2端子は、第3抵抗403の第1端子とトランジスタ406の第1端子とに接続される。第3抵抗403の第2端子は、第4抵抗404の第2端子とトランジスタ406の第3端子とに接続される。第4抵抗404の第1端子は、第5抵抗405の第2端子とトランジスタ406の第2端子とに接続される。第1抵抗401の第1端子は、電源Vccに接続される端子である。第3抵抗403の第2端子は、基準電位GNDに接続される端子である。第5抵抗405の第1端子は、制御信号生成回路10から制御信号を受ける端子である。第1抵抗401の第2端子は、リセット回路20に電圧を出力する端子である。
【0018】
第1抵抗401、第2抵抗402及び第3抵抗403は、電源Vccの電圧を分圧することによって、電圧Vsenseの値を決定するための抵抗である。
第4抵抗404及び第5抵抗405は、トランジスタ406のオン状態とオフ状態とが切り替わる制御信号のレベルを決定する抵抗である。
また、第4抵抗404は、リセット監視システム1の起動中に、トランジスタ406をオフ状態にするための抵抗である。例えば、トランジスタ406がNPN接合のバイポーラトランジスタである場合、第4抵抗404は、トランジスタ406のベース端子をエミッタ端子にプルダウンしてトランジスタ406をオフ状態にするプルダウン抵抗の役割を果たす。この第4抵抗404が存在しない場合、トランジスタ406のベース電流は一般的に小さいため、トランジスタ406のベース端子の電位は制御信号生成回路10の出力電圧がほぼそのまま印加される。そして、この状態で、トランジスタ406のベース電流にノイズが重畳されると、制御信号生成回路10としてはトランジスタ406をオフ状態にする電圧を出力しているにも関わらず、そのノイズの影響によって、トランジスタ406がオン状態になる可能性がある。第4抵抗404は、このようなノイズなどの影響によってトランジスタ406がオン状態になる可能性をできるだけ低減するための抵抗である。
【0019】
トランジスタ406は、トランジスタ406の第2端子とトランジスタ406の第3端子との間の電圧に基づいてオン状態またはオフ状態になる。例えば、トランジスタ406は、バイポーラトランジスタ、FET(Field Effect Transistor)などである。
具体的には、トランジスタ406の第2端子とトランジスタ406の第3端子との間の電圧が所定のしきい値以上になった場合に、トランジスタ406はオン状態になる。この場合、第3抵抗403の第1端子と第3抵抗403の第2端子との間は、短絡状態になる。トランジスタ406がバイポーラトランジスタである場合、トランジスタ406の第2端子はベースであり、トランジスタ406の第3端子はエミッタである。また、トランジスタ406がFETである場合、トランジスタ406の第2端子はゲートであり、トランジスタ406の第3端子はソースである。
また、具体的には、トランジスタ406の第2端子とトランジスタ406の第3端子との間の電圧が所定のしきい値未満になった場合に、トランジスタ406はオフ状態になる。この場合、第3抵抗403の第1端子と第3抵抗403の第2端子との間は、開放状態になる。
【0020】
したがって、トランジスタ406がオフ状態の場合、第3抵抗403の第1端子と第3抵抗403の第2端子との間が開放状態になる。その結果、第1抵抗401の抵抗値をR1、第2抵抗402の抵抗値をR2、第3抵抗403の抵抗値をR3、電源Vccの電圧をVINとすると、監視電圧閾値切替回路40は、電圧VIN×(R2+R3)/(R1+R2+R3)をリセット回路20に出力する。また、トランジスタ406がオン状態の場合、第3抵抗403の第1端子と第3抵抗403の第2端子との間が短絡状態になる。その結果、監視電圧閾値切替回路40は、電圧VIN×R2/(R1+R2)をリセット回路20に出力する。
【0021】
なお、リセット監視システム1では、
図2に示すように、リセット監視システム1の起動中には、電源Vccの電圧VINが制御信号生成回路10の最低動作電圧V10min未満である場合、リセット回路20はリセット信号を出力する。また、リセット監視システム1の起動中には、電源Vccの電圧VINが制御信号生成回路10の最低動作電圧V10min以上である場合、リセット回路20はリセット信号の出力を停止するように設定されることが望まれる。
また、リセット監視システム1では、
図2に示すように、リセット監視システム1の起動完了後には、電源Vccの電圧VINが信号処理回路30の最低動作電圧V30min未満である場合、リセット回路20はリセット信号を出力する。また、リセット監視システム1の起動完了後には、電源Vccの電圧VINが信号処理回路30の最低動作電圧V30min以上である場合、リセット回路20はリセット信号の出力を停止するように設定されることが望まれる。
そのため、抵抗値R1と抵抗値R2は、電源Vccの電圧VINが制御信号生成回路10の最低動作電圧V10minに等しいときに、電圧VIN×R2/(R1+R2)が特定値Vthを超えるように決定すればよい。また、抵抗値R3は、電源Vccの電圧VINが信号処理回路30の最低動作電圧V30minに等しいときに、電圧VIN×(R2+R3)/(R1+R2+R3)が特定値Vthを超えるように、決定した抵抗値R1と抵抗値R2を用いて決定すればよい。
【0022】
次に、
図3に示す波形例を用いてリセット監視システム1の動作について説明する。
電源Vccの電圧が時刻t1に0ボルトから電圧VINまで立ち上がる。電源Vccの電圧がV10min以上になると、制御信号生成回路10は、動作を開始する。
【0023】
時刻t1から時刻t2までの期間において、電源Vccの電圧は、VINである。この期間、トランジスタ406はオフ状態であるため、第3抵抗403の第1端子と第3抵抗403の第2端子との間は開放状態となる。したがって、監視電圧閾値切替回路40が出力する電圧Vsenseは、VIN×(R2+R3)/(R1+R2+R3)となる。よって、電圧Vsenseが特定値Vthを超えるため、リセット回路20は、時刻t1から時刻t2までの期間、リセット信号の出力を停止する。
【0024】
また、電源Vccの電圧がV30min以上になると、信号処理回路30は、動作を開始する。信号処理回路30が動作を開始すると、信号処理回路30に接続されている負荷に信号処理回路30から電流が供給される。この電流によって、電源Vccの負荷が大きくなる。この負荷の影響によって、
図3に示すように、電源Vccの電圧が、時刻t2において低下を開始し、時刻t3においてV10minとV30minの間の電圧まで低下したとする。また、この負荷の影響によって、電源Vccの電圧が、時刻t3から上昇を開始し、時刻t4において再びVINまで上昇し、時刻t5までVINであったとする。
この場合、電圧Vsenseは、電源Vccの電圧変動に連動して、時刻t2においてVIN×(R2+R3)/(R1+R2+R3)から低下を開始する。また、電圧Vsenseは、電源Vccの電圧変動に連動して、時刻t3から上昇を開始して、時刻t4において再びVIN×(R2+R3)/(R1+R2+R3)まで上昇する。そのため、時刻t2から時刻t5の期間において、電圧Vsenseは、特定値Vth以上である。したがって、リセット回路20は、時刻t2から時刻t4の期間に、Highレベルの電圧を出力する(すなわち、リセット信号の出力を停止する)。
【0025】
次に、電源Vccの電圧が、時刻t5に何等かの理由によって低下を開始し、時刻t6にV10min未満まで低下したとする。また、電源Vccの電圧が、時刻t7から上昇を開始し、時刻t9において再びVINまで上昇し、時刻t11までVINであったとする。
この場合、電圧Vsenseは、電源Vccの電圧変動に連動して、時刻t5においてVIN×(R2+R3)/(R1+R2+R3)から低下を開始する。そして、電圧Vsenseは、時刻t6に特定値Vth未満となり、時刻t7まで低下し続ける。また、電圧Vsenseは、電源Vccの電圧変動に連動して、時刻t7から上昇を開始して、時刻t8に特定値Vthとなり、時刻t9において再びVIN×(R2+R3)/(R1+R2+R3)まで上昇する。したがって、リセット回路20は、時刻t6から時刻t8の期間に、Lowレベルの電圧を出力する(すなわち、リセット信号を出力する)。
【0026】
次に、時刻t10に、トランジスタ406がオフ状態からオン状態になったとする。すなわち、時刻t10に、リセット監視システム1の起動が完了したとする。トランジスタ406がオン状態になると、第3抵抗403の第1端子と第3抵抗403の第2端子との間が短絡状態になる。その結果、監視電圧閾値切替回路40は、電圧VIN×R2/(R1+R2)をリセット回路20に出力する。そして、監視電圧閾値切替回路40は、時刻t11まで、電圧VIN×R2/(R1+R2)をリセット回路20に出力する。
【0027】
次に、電源Vccの電圧が、時刻t11に何等かの理由によって低下を開始し、時刻t12にV30min未満の電圧(V10minとV30minの間の電圧)まで低下したとする。また、電源Vccの電圧が、時刻t13から上昇を開始し、時刻t15において再びVINまで上昇し、その後VINであったとする。
この場合、電圧Vsenseは、電源Vccの電圧変動に連動して、時刻t11においてVIN×R2/(R1+R2)から低下を開始する。そして、電圧Vsenseは、時刻t12に特定値Vth未満となり、時刻t13まで低下し続ける。また、電圧Vsenseは、電源Vccの電圧変動に連動して、時刻t13から上昇を開始して、時刻t14に特定値Vthとなり、時刻t15において再びVIN×R2/(R1+R2)まで上昇する。したがって、リセット回路20は、時刻t12から時刻t14の期間に、Lowレベルの電圧を出力する(すなわち、リセット信号を出力する)。
【0028】
上述のように、リセット回路20は、リセット監視システム1の起動中には、電源Vccの電圧がリセット監視システム1の起動中に動作しなければならない回路の最低動作電圧V10min未満となった場合に、リセット信号を出力する。また、リセット回路20は、リセット監視システム1の起動完了後には、電源Vccの電圧がリセット監視システム1の起動中には動作しなくてもよく、リセット監視システム1の起動完了後に動作しなければならない回路の最低動作電圧V30min未満となった場合に、リセット信号を出力する。
【0029】
以上、本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1について説明した。
本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1において、監視電圧閾値切替回路40は、第1抵抗401、第2抵抗402、第3抵抗403、第4抵抗404、第5抵抗405、トランジスタ406を備える。第1抵抗401、第2抵抗402、第3抵抗403、第4抵抗404、第5抵抗405のそれぞれは、第1端子と第2端子とを有する。トランジスタ406は、第1端子と第2端子と第3端子とを有する。第1抵抗401の第2端子は、第2抵抗402の第1端子に接続される。第2抵抗402の第2端子は、第3抵抗403の第1端子とトランジスタ406の第1端子とに接続される。第3抵抗403の第2端子は、第4抵抗404の第2端子とトランジスタ406の第3端子とに接続される。第4抵抗404の第1端子は、第5抵抗405の第2端子とトランジスタ406の第2端子とに接続される。第1抵抗401の第1端子は、電源Vccに接続される端子である。第3抵抗403の第2端子は、基準電位GNDに接続される端子である。第5抵抗405の第1端子は、制御信号を受ける端子である。第1抵抗401の第2端子は、電圧Vsenseを出力する端子である。
【0030】
このように監視電圧閾値切替回路40を構成することによって、監視電圧閾値切替回路40は、電源Vccの電圧が同一という条件の下で、リセット監視システム1の起動中に、リセット監視システム1の起動完了後の電圧Vsenseよりも高い電圧Vsenseをリセット回路20に出力する。その結果、電源Vccの電圧が、リセット監視システム1の起動中に、リセット監視システム1の起動中に動作しなければならない回路の最低動作電圧V10min未満となった場合、リセット回路20は、リセット信号を出力する。また、電源Vccの電圧が、リセット監視システム1の起動完了後に、リセット監視システム1の起動中には動作しなくてもよく、リセット監視システム1の起動完了後に動作しなければならない回路の最低動作電圧V30min未満となった場合、リセット回路20は、リセット信号を出力する。つまり、リセット監視システム1の起動中に、電源Vccの電圧がリセット監視システム1の起動完了後に動作しなければならない回路の最低動作電圧V30min未満となった場合であっても、リセット回路20は、リセット信号を出力しない。
【0031】
一般的には、最低動作電圧の異なる複数の回路が存在する場合、リセット回路がリセット信号を出力するか否かを判定するための特定値Vthは、複数の回路の最低動作電圧のうち最も高い最低動作電圧を基準に設定される。そのため、リセット信号を発生させる一般的なシステムでは、本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1に比べ、より高い電源Vccの電圧に対してリセット信号が生成される。その結果、リセット信号に応じてリセットが掛かる装置は、リセット信号を発生させる一般的なシステムで生成されるリセット信号を用いる場合よりも、本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1で生成されるリセット信号を用いる場合の方が、より低い電源Vccの電圧までリセットが掛からない。つまり、本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1は、リセット信号を発生させる一般的なシステムに比べて、最低動作電圧の異なる複数の装置を備えるシステムにおいて、無駄なリセット信号の生成を抑制することができる。その結果、本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1は、リセット信号に応じてリセットが掛かる装置をより低い電源Vccの電圧まで動作させることができる。
【0032】
また、一般的には、電源電圧の異なる電圧値に対してリセット信号を生成するためには、複数のリセット回路を用いる必要がある。しかしながら、本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1は、それを1つのリセット回路20で実現している。つまり、本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1によって、システムの規模を小さくすることができ、コストを低減することができる。
【0033】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態によるリセット監視システム1aについて説明する。
本発明の第2実施形態によるリセット監視システム1aは、
図4に示すように、制御信号生成回路10a、リセット回路20、信号処理回路30、監視電圧閾値切替回路40、バッファ回路50を備える。リセット監視システム1aは、本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1の制御信号生成回路10を制御信号生成回路10aに置き換え、制御信号生成回路10aと監視電圧閾値切替回路40の間にバッファ回路50を備えるシステムである。
【0034】
制御信号生成回路10aは、出力端子のインピーダンスが、制御信号生成回路10と異なる。例えば、制御信号生成回路10aの出力端子には、プルアップ抵抗またはプルダウン抵抗が接続される。
本発明の第1実施形態による制御信号生成回路10の出力端子は、リセット監視システム1の起動中において、高インピーダンスであるものとした。しかしながら、実際の制御信号生成回路の出力端子は、制御信号生成回路10aの出力端子のように、プルアップ抵抗やプルダウン抵抗などが接続される場合があり、高インピーダンスでない可能性がある。
【0035】
バッファ回路50は、制御信号生成回路10aの出力端子のインピーダンスを、高インピーダンスに変換する回路である。バッファ回路50は、制御信号生成回路10aが生成した制御信号を監視電圧閾値切替回路40に出力する。例えば、バッファ回路50は、スリーステートバッファ回路である。
このバッファ回路50によって、制御信号生成回路10aの出力端子からバッファ回路50を介して出力される制御信号を、本発明の第1実施形態による制御信号生成回路10の出力端子から出力される制御信号と同様に扱うことができるようになる。
【0036】
なお、リセット監視システム1aの動作は、本発明の第1実施形態による制御信号生成回路10を、制御信号生成回路10aとバッファ回路50に置き換え、バッファ回路50の出力端子を本発明の第1実施形態による制御信号生成回路10の出力端子と同様に考えることで、本発明の第1実施形態によるリセット監視システム1の動作と同様に考えることができる。
【0037】
以上、本発明の第2実施形態によるリセット監視システム1aについて説明した。
本発明の第2実施形態によるリセット監視システム1aは、制御信号生成回路10aの出力端子のインピーダンスを、高インピーダンスに変換するバッファ回路50を備える。バッファ回路50は、制御信号生成回路10aが生成した制御信号を監視電圧閾値切替回路40に出力する。
こうすることにより、制御信号生成回路10aの出力端子が高インピーダンスでない場合であっても、第4抵抗404及び第5抵抗405によって、トランジスタ406のオン状態とオフ状態とが切り替わる制御信号のレベルを決定することができる。また、第4抵抗404によって、制御信号生成回路10aの出力端子が高インピーダンスでない場合であっても、リセット監視システム1の起動中に、トランジスタ406をオフ状態にすることができる。
【0038】
本発明の最小構成の監視電圧閾値切替回路40は、
図5に示すように、第1抵抗401、第2抵抗402、第3抵抗403、第4抵抗404、第5抵抗405、トランジスタ406を備える。
第1抵抗401、第2抵抗402、第3抵抗403、第4抵抗404、第5抵抗405のそれぞれは、第1端子と第2端子とを有する。トランジスタ406は、第1端子と第2端子と第3端子とを有する。
【0039】
第1抵抗401の第2端子は、第2抵抗402の第1端子に接続される。第2抵抗402の第2端子は、第3抵抗403の第1端子とトランジスタ406の第1端子とに接続される。第3抵抗403の第2端子は、第4抵抗404の第2端子とトランジスタ406の第3端子とに接続される。第4抵抗404の第1端子は、第5抵抗405の第2端子とトランジスタ406の第2端子とに接続される。第1抵抗401の第1端子は、電源に接続される端子である。第3抵抗403の第2端子は、基準電位に接続される端子である。第5抵抗405の第1端子は、制御信号を受ける端子である。第1抵抗401の第2端子は、電圧を出力する端子である。
【0040】
以上、本発明の最小構成の監視電圧閾値切替回路40について説明した。
このように監視電圧閾値切替回路40を構成することによって、システムの起動中に、電源の電圧がシステムの起動完了後に動作しなければならない回路の最低動作電圧未満となった場合であっても、リセット回路は、リセット信号を出力しない。
【0041】
なお、本発明の第1、第2実施形態では、電源Vccから各回路に供給される電圧値をすべてVINとした。しかしながら、本発明の別の実施形態では、電源Vccから各回路に供給される電圧値は異なっていてもよい。この場合、各回路の最低動作電圧について電圧Vsenseを求め、抵抗値R1、R2、R3を設定すればよい。
【0042】
なお、本発明の第1、第2実施形態では、リセット監視システム1の起動中に動作しなければならない回路として制御信号生成回路10、10aを挙げて説明した。しかしながら、本発明の別の実施形態では、制御信号生成回路10、10a以外にリセット監視システム1の起動中に動作しなければならない回路が存在するものであってもよい。この場合、リセット監視システム1は、複数存在するリセット監視システム1の起動中に動作しなければならない回路の中の最も低い最低動作電圧を本発明の第1、第2実施形態におけるリセット監視システム1の起動中に動作しなければならない回路の最低動作電圧とみなして、本発明の第1、第2実施形態と同様の方法で処理を行えばよい。
【0043】
なお、本発明の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0044】
本開示の実施形態における記憶部やその他の記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部やその他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0045】
本開示の実施形態について説明したが、上述の制御信号生成回路10、10a、リセット回路20、信号処理回路30、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、
図6に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述の制御信号生成回路10、10a、リセット回路20、信号処理回路30、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0046】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0047】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0048】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、開示の範囲を限定しない。これらの実施形態は、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。
【符号の説明】
【0049】
1、1a・・・リセット監視システム
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10、10a・・・制御信号生成回路
20・・・リセット回路
30・・・信号処理回路
40・・・監視電圧閾値切替回路
401・・・第1抵抗
402・・・第2抵抗
403・・・第3抵抗
404・・・第4抵抗
405・・・第5抵抗