(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240105BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L23/12 301L
H05K1/02 J
(21)【出願番号】P 2020046190
(22)【出願日】2020-03-17
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 雄一
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0286797(US,A1)
【文献】特許第5259383(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線層を有する多層の配線基板と、
前記配線基板に搭載された第1の半導体チップと、
前記第1の半導体チップを前記配線基板に接着する接着層とを具備し、
前記配線基板に形成された配線が部分的に線幅を太くした太幅部を有
し、
ここで、外部と接続するランドと接続するランド引き出し部から引き出された前記配線が、前記配線層の全層において前記配線以外の金属配線が存在しない領域を通過し、前記配線層の少なくとも1層に前記配線以外の前記金属配線が存在する部分に重なった部位を重なり部としたとき、前記重なり部から半径200μm以内の範囲に、前記太幅部が設けられている半導体装置。
【請求項2】
複数の配線層を有する多層の配線基板と、
前記配線基板に搭載された第1の半導体チップと、
前記第1の半導体チップを前記配線基板に接着する接着層とを具備し、
前記配線基板に形成された配線が部分的に線幅を太くした太幅部を有し、
ここで、外部と接続するランドと接続するランド引き出し部から引き出された前記配線が、前記配線層の全層において前記配線以外の金属配線が存在しない領域を通過し、前記配線層の少なくとも1層に前記配線以外の前記金属配線が存在する部分に重なった部位を重なり部としたとき、前記接着層の端部近傍において前記重なり部から前記太幅部が設けられている範囲を第1範囲とし、前記接着層の中心部において前記重なり部から前記太幅部が設けられている範囲を第2範囲としたとき、前記第1範囲は前記第2範囲よりも大きい半導体装置。
【請求項3】
複数の配線層を有する多層の配線基板と、
前記配線基板に搭載された第1の半導体チップと、
前記第1の半導体チップを前記配線基板に接着する接着層と、
前記配線基板の、外部と接続するランドが形成された層よりも上層に設けられ、前記配線基板の表に対して垂直な方向から見て前記ランドと重なるフローティングの金属パターンと、を具備し、
前記配線基板に形成された配線が部分的に線幅を太くした太幅部を有
し、
前記金属パターンは、少なくとも2つの層で異なったパターンを有する半導体装置。
【請求項4】
前記太幅部を有する前記配線は、1GHz以上の信号を流す、インピーダンスコントロールが必要な高速配線である、請求項1
から3の何れか1項記載の半導体装置。
【請求項5】
前記太幅部は、前記配線基板の表面に対して垂直な方向から見て、前記接着層の端部近傍にのみ設けられている請求項1
または3の何れか1項記載の半導体装置。
【請求項6】
前記太幅部の線幅は、40μm乃至60μmである、請求項1乃至
5の何れか1項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の小型化、高速化、高機能化等を実現するために、1つのパッケージ内に複数の半導体チップを積層して封止した構造の半導体記憶装置等の半導体装置が実用化されている。半導体記憶装置は、例えば配線基板上にFOD(Film On Device)材によりコントローラチップを埋め込みつつ接着し、FOD材上にメモリチップを多段に積層した構造を備えている。
【0003】
このような半導体装置においては、メモリチップの積層数が増加している。多段に積層されたFOD材を具備する半導体装置では、熱ストレス等によりFOD材に応力集中した部分に亀裂が生じる可能性がある。
【0004】
一方、例えばPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)などの高速配線の場合、周波数が例えば1GHz以上の信号を流すためインピーダンスコントロールが必要とされ、その亀裂の影響を受けにくくするために線幅を太くすることは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開2018/0253375号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、インピーダンスコントロールが必要とされる高速配線の場合であっても、半導体チップを配線基板に接着する接着層の亀裂に起因する影響を小さくすることを可能にした半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の半導体装置は、複数の配線層を有する多層の配線基板と、前記配線基板に搭載された第1の半導体チップと、前記第1の半導体チップを前記配線基板に接着する接着層とを具備し、前記配線基板に形成された配線が部分的に線幅を太くした太幅部を有し、ここで、外部と接続するランドと接続するランド引き出し部から引き出された前記配線が、前記配線層の全層において前記配線以外の金属配線が存在しない領域を通過し、前記配線層の少なくとも1層に前記配線以外の前記金属配線が存在する部分に重なった部位を重なり部としたとき、前記重なり部から半径200μm以内の範囲に、前記太幅部が設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図。
【
図2】実施形態に係る配線基板の要部構成を示す断面図。
【
図3】実施形態に係る配線基板の要部構成を示す平面図。
【
図4】実施形態に係る配線基板の要部構成を示す平面図。
【
図5】実施形態に係る配線基板の要部構成を示す平面図。
【
図6】フローティングパターンを有していない場合のランド部の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る図面を参照して説明する。なお、各図面において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、その説明を一部省略する場合がある。図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各部の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。説明中の上下等の方向を示す用語は、特に明記が無い場合には後述する基板の半導体チップ搭載面を上とした場合の相対的な方向を示し、重力加速度方向を基準とした現実の方向とは異なる場合がある。
【0010】
図1は、実施形態に係る半導体装置(半導体パッケージ)を示す断面図である。
図1に示す半導体パッケージ1は、配線基板2と、配線基板2上に搭載された第1の半導体チップ3と、第1の半導体チップ3を埋め込みつつ配線基板2に接着する第1の接着層(FOD)4と、第1の接着層4と接着している、電極を具備しない第2の半導体チップ5上に固着された複数の第3の半導体チップ6の積層体7と、第1の半導体チップ3や第3の半導体チップ6の積層体7等を封止するように配線基板2上に設けられた封止樹脂層8とを具備している第2の半導体チップ5はスペーサ基板でありシリコンウェハが用いられるが、他にポリイミド等の樹脂やガラス等の板をスペーサ基板として用いても良い。
【0011】
配線基板2は、例えば絶縁性樹脂基板や絶縁性セラミックス基板等の表面に設けられた配線層9や内部に設けられた配線層10等から構成された配線網を有するものであり、具体的にはガラス-エポキシ樹脂のような絶縁樹脂を使用したプリント配線板等が挙げられる。配線層9、10は、例えば銅や銅合金、金や金合金等の金属材料により構成される。配線基板2は、外部端子の形成面等となる第1の面2aと、半導体チップ3、5、6の搭載面となる第2の面2bとを有している。
【0012】
配線基板2の第2の面2b上には、第1の半導体チップ3が搭載されており、第1の半導体チップ3は第1の接着層(FOD)4内に埋め込まれつつ配線基板2のチップ搭載領域に接着されている。第1の半導体チップ3としては、例えば第3の半導体チップ6として用いられる半導体メモリチップと外部機器との間でデジタル信号を送受信するコントローラチップやインターフェースチップ、ロジックチップ、RFチップ等のシステムLSIチップが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0013】
第1の半導体チップ3の電極(図示せず)は、ボンディングワイヤ11を介して配線基板2の配線層9と電気的に接続されている。コントローラチップ等の第1の半導体チップ3を配線基板2上に直接搭載することによって、第1の半導体チップ3と配線基板2との間の配線長を短縮することができる。これによって、第1の半導体チップ3と配線基板2との間の信号転送速度の向上等が図られ、半導体パッケージ1の高速化対応が可能になる。さらに、第1の半導体チップ3が第1の接着層4内に埋め込まれているため、配線基板2に対する第3の半導体チップ6の搭載性を低下させたり、またパッケージサイズの小型化等を妨げることもない。従って、小型で高速デバイスに対応させた半導体パッケージ1を提供することが可能になる。
【0014】
コントローラチップ等の第1の半導体チップ3の外形形状は、半導体メモリチップ等の第3の半導体チップ6のそれに比べて小さいことが一般的である。そこで、配線基板2上に搭載された第1の半導体チップ3を第1の接着層4内に埋め込んだ上で、第1の接着層4上に複数の第3の半導体チップ6を積層して搭載している。第3の半導体チップ6の具体例としては、NAND型フラッシュメモリのような半導体メモリチップが挙げられるが、これに限られるものではない。本実施形態においては、4個の半導体メモリチップが第3の半導体チップ6として積層して搭載されている。なお、第3の半導体チップ6の積層数は4段に限らない。
【0015】
第1の接着層4上に搭載された複数の第2の半導体チップ6のうち、1段目から4段目までの第2の半導体チップ6はそれぞれの電極が露出するように、第1の方向(図中、紙面右方向)に電極が配列された端部をずらして階段状に積層されている。
【0016】
複数の第3の半導体チップ6のうち、1段目の第3の半導体チップ6は電極を具備しない第2の半導体チップ5を介して第1の接着層4上に固着されている。第3の半導体チップ6には、一般的なDAF(Die Attach Film)等の接着剤が用いられており、
図1では図示を省略したDAF等の接着剤によって、下側に位置する第3の半導体チップ6に固着されている。第3の半導体チップ6の電極(図示せず)は、ボンディングワイヤ12を介して配線基板2の配線層9と電気的に接続されている。電気特性や信号特性が等しい電極パッドに関しては、配線基板2の配線層9と複数の第3の半導体チップ6の電極パッドとをボンディングワイヤ12で順に接続することができる。すなわち、1段目から4段目までの第3の半導体チップ6の電極は、ボンディングワイヤ12で順に接続し、1段目の第3の半導体チップ6の電極と配線基板2の配線層9とをボンディングワイヤ12で接続している。第3の半導体チップ6の厚みは例えば、30μmから100μmである。
【0017】
配線基板2の第2の面2b上には、第1の半導体チップ3や第3の半導体チップ6の積層体7をボンディングワイヤ11、12と共に封止するように、エポキシ樹脂等の絶縁樹脂を用いた封止樹脂層8が例えばモールド成形されている。これらの構成要素によって、実施形態の半導体パッケージ1が構成されている。
【0018】
次に、
図2を参照して半導体パッケージ1の配線基板2の構成について説明する。
図2は、配線基板2及び第1の接着層4の端部近傍の断面構成を示している。
図2に示すように、配線基板2は、第1層L1、第2層L2、第3層L3、第4層L4の4層の配線層を有する多層の配線基板2とされている。
【0019】
第1層L1には、金属、例えば銅からなる配線21が形成されている。同様に、第2層L2には配線22、第3層L3には配線23、第4層L4には配線24が形成されている。ここで、図中符号Cで示す第1の接着層4の端部近傍の領域には、第1層L1に配線21が形成されているが、第2層L2、第3層L3、第4層L4には配線が形成されていない。なお、第1の接着層4の端部近傍の領域においては、端部近傍以外の領域、つまり第1の接着層4の中央の領域等に比べて、第1の接着層4に亀裂が発生し易い。
【0020】
図3は、配線基板2の配線構成を示す模式平面図である。第1層L1から第4層L4までの層を全て重ねたと仮定したとき、何らかの金属の配線パターンがある部分は縦線で表している。なお、
図3では配線21を簡略化のため2本のみ示してあるが、実際には多数設けられている。第1層L1には配線21とランド引き出し部21cが設けられている。配線21は、ランド21bのランド引き出し部21cに接続されている。また、配線21のランド引き出し部21cへの接続端部側には、その他の部分より線幅を太くした太幅部21aが設けられている。
【0021】
第2層L2、第3層L3のランドについては、ランド引き出し部21cへと垂直方向に沿って接続するビア24が設けられている。第4層L4のランド21bは点線で表している。第1の接着層4の端部の位置を破線で表している。破線を境に第1の接着層4の内部と外部に分かれる。本実施形態では、配線21の線幅は、例えば30μmとされており、太幅部21aの線幅は、例えば50μmとされている。なお、太幅部21aの線幅は、例えば40μm乃至60μm等としてもよい。太幅部21aの太幅とは、太幅にすることを意識して設計されたものを言い、製造上の誤差等によって、例えば数ミクロン程度太幅になっているものは含まない。第4層L4のランド21bに外部と接続するためのはんだボール等が設けられる。
【0022】
また、第1層L1に形成されている配線21は、例えばPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)などの高速配線であり、周波数が例えば1GHz以上の信号を流す配線であって、インピーダンスコントロールが必要な配線とされている。このため、配線21の線幅は、必要とされる電気性能を得るために制限される。本実施例の場合、例えば、配線21の線幅は、例えば35μmとすると、必要とされる電気性能の一部を満たさなくなるため、上記したとおり配線21の線幅を例えば30μmとしている。一例であり、高速配線の線幅はこれに限られるものではない。高速配線は第1半導体チップ3と接続する。第1層L1には他にも図示しない信号線等が設けられる。信号線を流れる信号の周波数は高速配線を流れる信号の周波数よりも低い。
【0023】
図2にCで示した領域には、第2層L2、第3層L3、第4層L4には金属の配線が形成されていない。このように、第1層L1、第2層L2、第3層L3、第4層L4のいずれにも金属の配線が形成されていない領域を、
図3には、白抜きで領域として示してある。
図3に示すように、第4層L4のランド21bが形成された領域を囲むように第1層L1(配線21を除く)、第2層L2、第3層L3、第4層L4、に配線がない領域が形成されている。これは、ランド21bとの容量結合を抑制するためなどの理由による。
【0024】
このように、ある1つの層に着眼した際に、上下層(他の層)に金属からなる配線が形成されていない部分は、配線基板2としての強度が低くなる。このため、配線基板2に接着された第1の接着層4に亀裂が生じてここに応力が加わった場合等には、この部分まで亀裂が伸びる場合がある。特に、第1層L1では、第1の接着層4の端部の直近に位置するため、その亀裂の発生による応力が直接加わりやすい。
【0025】
このため、本実施形態では、第1層L1、第2層L2、第3層L3、第4層L4のいずれにも配線が形成されていない
図3の白抜きの領域内及び、第1層L1、第2層L2、第3層L3、第4層L4の少なくとも一層に配線のある部分と重なった部位(
図3に示す点A)から半径200μm以内の範囲(
図3に示す点Bまでの範囲)の配線21を太幅部21aとしている。なお、半径200μm以内の範囲とは、最大とした際の範囲を示しており、これより狭い範囲、例えば、例えば半径100μm以内の範囲を太幅部21aとしてもよい。特に、第1の接着層4に亀裂が発生し易い第1の接着層4の端部近傍以外の部位では、太幅部21aとする範囲を狭くしてもよい。例えば、第1の接着層4の端部近傍では太幅部21aとする範囲は半径200μmであり、第1の接着層4の端部近傍以外の部位、例えば第1の接着層4の中心部付近では半径100μmであってもよい。あるいは、第1の接着層4の端部近傍以外の部位では、太幅部21aを形成しなくてもよい。
【0026】
換言すると、配線基板2の、上下層に配線の無い領域に形成されたランド21bのランド引き出し部21cから引き出された配線21が、上下層に配線のある部分に重なった部位Aから半径200μm以内の範囲に、太幅部21aが設けられた構成となっている。これによって、配線基板2の強度が低くなる部分において、太幅部21aにより配線基板2を強化することができるようになっている。
【0027】
なお、上記した上下層に配線のある部分に重なった部位Aにおける上下層の配線とは、各層間のノイズシールドとして作用するグランド配線の場合が多いが、電源配線、他の層の信号配線等も含まれる。但し、円形の島状等に形成され、他の配線と電気的に接続されていないフローティングの金属パターンは含まない。
【0028】
上記のように、配線21の一部に太幅部21aに設けることで、PCIe等のインピーダンスコントロールが必要な配線であっても、電気性能を確保することができる。前述したとおり、本実施形態では、配線21の線幅を、全体に太くすると、必要とされる電気性能の一部を満たさなくなる。このため、配線21の線幅を、全体に太くして配線基板2を強化することはできず、上記したとおり配線21の線幅を基本的に30μmとしている。
【0029】
例えば、周波数4GHzにおけるディファレンシャルリターンロス(Differential Return Loss)等において、例えば配線21の線幅が30μmのとき、上記の範囲内に線幅が50μmの太幅部21aを設けても必要とされる電気性能を確保することができる。
【0030】
以上のように、本実施形態の半導体パッケージ1では、インピーダンスコントロールが必要とされる高速な配線21の場合であっても、第1の半導体チップ3を配線基板2に接着する第1の接着層(FOD)4の亀裂が配線基板2にまで進展しないように、配線基板2を強化することができる。
【0031】
なお、以上の説明では、配線基板2の第1層L1について説明したが、第1層L1以外の層、例えば、第2層L2、第3層L3、第4層L4等についても同様にして適用することができる。
【0032】
次に、
図4,
図5を参照して、前述した円形の島状等に形成され、他の配線と電気的に接続されていないフローティングの金属パターン30b、30cについて説明する。前述したとおり、
図3に示した白抜きの領域内は、他の層(
図3の場合、第1層L1(配線21を除く)、第2層L2、第3層L3、第4層L4)に配線が形成されていない領域となっている。このように、1つの層内に、配線が形成されていない比較的広い領域があると、その部分にへこみ等が生じる場合がある。このため、配線が形成されていない他の層に、例えば
図4に示すように、白抜きの領域内に位置するように、フローティングの金属パターン30bを設けることがある。なお、金属パターン30aは、第4層L4から第1層L1の引き出し部21cまで導通している。
【0033】
一つの比較例として説明するフローティングの金属パターンは、各層とも同様なパターン配列及び大きさで設けられている。これに対して、本実施形態では、例えば、第2層L2に、
図4に示すパターン配列及び大きさのフローティングの金属パターン30bを設け、第2層L2以外の層、例えば、第3層L3や第1層L1に、
図5に示すパターン配列及び大きさのフローティングの金属パターン30cを設けている。
【0034】
上記のように、異なるパターン配列及び大きさのフローティングの金属パターン30b及びフローティングの金属パターン30cを配線基板2の異なる層に設けることにより、これらが重なった際に、白抜きの領域内の金属パターンの無い領域を少なくすることができる。このような構成とすることによって、配線基板2に局所的に強度が弱くなる部位が生じることを抑制することができ、第1の半導体チップ3を配線基板2に接着する第1の接着層(FOD)4の亀裂が配線基板2にまで伸展しないように、配線基板2を強化することができる。
【0035】
また、一つの比較例として、
図6にフローティングパターンを有していない場合の第1層L1から第4層L4までのランド部の実施形態を示す。斜線または縦線は金属の配線パターンがあることを示す。第4層L4のランドの周りには金属のパターンがおかれない。第4層L4から第1層L1まではビアを介して接続される。第1層L1、第2層L2、第3層L3では、金属の配線がおかれない部分が大きい。このような構成であると配線基板2の強度が弱くなってしまうことがある。
【0036】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
1……半導体パッケージ、2……配線基板、3……第1の半導体チップ、4……第1の接着層(FOD)、5……第2の半導体チップ、6……第3の半導体チップ、7……積層体、8……封止樹脂層、9,10……配線層、11,12……ボンディングワイヤ、21……配線(第1層)、21a……太幅部、21b……ランド、21c……ランド引き出し部、22……配線(第2層)、23……配線(第3層)、24……配線(第4層)、L1……第1層、L2……第2層、L3……第3層、L4……第4層。