(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】処理液温調方法、基板処理方法、処理液温調装置、及び、基板処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/306 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H01L21/306 E
H01L21/306 G
H01L21/306 J
(21)【出願番号】P 2020053377
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】武知 圭
(72)【発明者】
【氏名】内田 博章
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 真治
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-050360(JP,A)
【文献】特開2017-011051(JP,A)
【文献】特開2015-177139(JP,A)
【文献】特開2010-086982(JP,A)
【文献】特開2010-103379(JP,A)
【文献】特開2020-096058(JP,A)
【文献】特開2019-129243(JP,A)
【文献】特開2018-133558(JP,A)
【文献】特開2015-135943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するための処理液を、前記処理液の基準沸点以上に加熱する工程と、
前記加熱された処理液からの水分の蒸発を促進する気体を
気体供給部材から、第1貯留槽に貯留された前記処理液に供給する工程と、
前記第1貯留槽から水蒸気及び前記気体を排出する工程と
、
前記第1貯留槽に貯留される前記処理液の濃度が目標値に到達した後に、前記第1貯留槽から第2貯留槽に前記処理液を供給する工程と、
前記第2貯留槽に貯留される前記処理液の温度を調節して、前記処理液の濃度を前記目標値に維持する工程と、
前記第2貯留槽から、前記基板を処理する基板処理部に前記処理液を供給する工程と、を含み、
前記処理液の濃度を前記目標値に維持する工程では、水分の蒸発を促進する気体を供給せず、前記処理液は、燐酸を含有する液体であ
り、
前記気体供給部材の素材は石英または樹脂である、処理液温調方法。
【請求項2】
基板を処理するための処理液を、前記処理液の基準沸点以上に加熱する工程と、
前記加熱された処理液からの水分の蒸発を促進する気体を
気体供給部材から、第1貯留槽に貯留された前記処理液に供給する工程と、
前記第1貯留槽から水蒸気及び前記気体を排出する工程と、
前記第1貯留槽に貯留される前記処理液の濃度が目標値に到達した後に、前記第1貯留槽から第2貯留槽に前記処理液を供給する工程と、
前記第2貯留槽に貯留される前記処理液の温度を調節して、前記処理液の濃度を前記目標値に維持する工程と、
前記第2貯留槽から、前記基板を処理する基板処理部に前記処理液を供給する工程と
、を含
み、
前記処理液の濃度を前記目標値に維持する工程では、水分の蒸発を促進する気体を供給せず、前記気体供給部材の素材は石英または樹脂である、処理液温調方法。
【請求項3】
前記第1貯留槽及び前記第2貯留槽に貯留された前記処理液は、シリコンを含んでいない、請求項1又は請求項2に記載の処理液温調方法。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の処理液温調方法と、
処理液によって基板を処理する工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項5】
基板を処理するための処理液を前記処理液の基準沸点以上に加熱する第1温調部と、
前記第1温調部によって加熱された前記処理液を貯留する第1貯留槽と、
前記処理液からの水分の蒸発を促進する気体を、前記第1貯留槽に貯留された前記処理液に供給する気体供給部材と、
前記第1貯留槽から水蒸気及び前記気体を排出する排気配管部と
、
前記第1貯留槽に貯留される前記処理液の濃度が目標値に到達した後に、前記第1貯留槽から前記処理液が供給される第2貯留槽と、
前記第2貯留槽に貯留される前記処理液の温度を調節して、前記処理液の濃度を前記目標値に維持する第2温調部と、を備え、
前記第2貯留槽は、前記基板を処理する基板処理部に前記処理液を供給し、前記第2貯留槽では、水分の蒸発を促進する気体を供給せず、前記処理液は、燐酸を含有する液体であ
り、
前記気体供給部材の素材は石英または樹脂である、処理液温調装置。
【請求項6】
基板を処理するための処理液を前記処理液の基準沸点以上に加熱する第1温調部と、
前記第1温調部によって加熱された前記処理液を貯留する第1貯留槽と、
前記処理液からの水分の蒸発を促進する気体を、前記第1貯留槽に貯留された前記処理液に供給する気体供給部材と、
前記第1貯留槽から水蒸気及び前記気体を排出する排気配管部と、
前記第1貯留槽に貯留される前記処理液の濃度が目標値に到達した後に、前記第1貯留槽から前記処理液が供給される第2貯留槽と、
前記第2貯留槽に貯留される前記処理液の温度を調節して、前記処理液の濃度を前記目標値に維持する第2温調部と
、を備え、
前記第2貯留槽は、前記基板を処理する基板処理部に前記処理液を供給
し、
前記第2貯留槽では、水分の蒸発を促進する気体を供給せず、前記気体供給部材の素材は石英または樹脂である、処理液温調装置。
【請求項7】
前記排気配管部は、前記第1貯留槽から前記水蒸気及び前記気体を排出する排気配管を含み、
前記排気配管の流路の断面積は、次式を満たす、請求項
5又は請求項6に記載の処理液温調装置。
A×V≧Q
A:前記排気配管の前記流路の前記断面積
V:前記処理液を前記基準沸点以上に加熱する処理と前記処理液に前記気体を供給する処理とが実行されていない場合において、前記排気配管の前記流路を流れる排出気体の流速
Q:前記水蒸気及び前記気体の単位時間当たりの排気量
【請求項8】
前記第1貯留槽及び前記第2貯留槽に貯留された前記処理液は、シリコンを含んでいない、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の処理液温調装置。
【請求項9】
請求項
5から請求項
8のいずれか1項に記載の処理液温調装置と、
処理液によって基板を処理する基板処理部と
を備える、基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液温調方法、基板処理方法、処理液温調装置、及び、基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている基板処理装置は、処理槽と、取得部と、記憶部と、特定部と、制御部とを備える。
【0003】
処理槽は、基板を処理液で処理する。取得部は、基板の処理情報をあらかじめ取得する。記憶部は、処理情報が取り得る複数の状況と、複数の状況のそれぞれに対応してあらかじめ準備された複数の濃度変化パターンとを記述する対応情報を記憶する。特定部は、対応情報を参照することによって、取得された基板の処理情報に対応する予測濃度変化パターンを特定する。制御部は、処理槽において基板が処理されている間に、予測濃度変化パターンに基づいて処理液の濃度制御を行う。
【0004】
その結果、基板の処理に伴う処理液中の成分濃度の変化が大きい場合であっても、基板が処理されている間の処理液の濃度を制御することができる。
【0005】
特に、特許文献1に記載された積層基板において、基板本体の上面には複数層の酸化膜および複数層のポリシリコン膜が積層され、さらに、これら複数の層をそれらの積層方向に貫通する孔が形成されている。積層基板をエッチング液(燐酸)に浸漬すると、孔にエッチング液が進入し、孔の内周面(側壁)から各ポリシリコン層が選択的にエッチングされ、各ポリシリコン層が孔の内周面から後退する。基板本体に積層される膜の数が多くなり孔が深くなればなるほど、孔の内周面のエッチング液に対する接液面積は増加するため、単位時間あたりのエッチング量は大きくなる。基板からエッチング液に溶出するシリコンの量はエッチング量と相関しているため、積層数の多い積層基板をエッチングする場合、エッチングに伴う処理液中の変化成分(シリコン)の濃度変化は、積層数の少ない積層基板をエッチングする場合よりも大きくなる。
【0006】
特許文献1に記載された基板処理装置では、制御部は、予測濃度変化パターンに基づいて、予備槽に貯留された補充液を処理槽に補充するためのポンプの駆動を制御して、予備槽から処理槽に処理液を補充している。その結果、エッチング量が大きい積層基板の処理に伴って処理液の濃度が大きく変化する場合であっても、基板が処理されている間の処理液の濃度を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載されている基板処理装置では、基板の更なる高積層化が進むと、エッチングに伴う処理液中の変化成分(シリコン)の濃度変化が更に大きくなる。従って、濃度が調製された多量の処理液を、予備槽から処理槽に補充する必要がある。しかしながら、予備槽においては、濃度の調製が間に合わないため、濃度が調製された多量の処理液を処理槽に供給できない可能性がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板を処理するための処理液の濃度を目標値に早く到達させることができる処理液温調方法、基板処理方法、処理液温調装置、及び、基板処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、処理液温調方法は、基板を処理するための処理液を、前記処理液の基準沸点以上に加熱する工程と、前記加熱された処理液からの水分の蒸発を促進する気体を気体供給部材から、第1貯留槽に貯留された前記処理液に供給する工程と、前記第1貯留槽から水蒸気及び前記気体を排出する工程と、前記第1貯留槽に貯留される前記処理液の濃度が目標値に到達した後に、前記第1貯留槽から第2貯留槽に前記処理液を供給する工程と、前記第2貯留槽に貯留される前記処理液の温度を調節して、前記処理液の濃度を前記目標値に維持する工程と、前記第2貯留槽から、前記基板を処理する基板処理部に前記処理液を供給する工程と、を含む。前記処理液の濃度を前記目標値に維持する工程では、水分の蒸発を促進する気体を供給しない。前記処理液は、燐酸を含有する液体である。前記気体供給部材の素材は石英または樹脂である。
【0015】
本発明の他の局面によれば、処理液温調方法は、基板を処理するための処理液を、前記処理液の基準沸点以上に加熱する工程と、前記加熱された処理液からの水分の蒸発を促進する気体を気体供給部材から、第1貯留槽に貯留された前記処理液に供給する工程と、前記第1貯留槽から水蒸気及び前記気体を排出する工程と、前記第1貯留槽に貯留される前記処理液の濃度が目標値に到達した後に、前記第1貯留槽から第2貯留槽に前記処理液を供給する工程と、前記第2貯留槽に貯留される前記処理液の温度を調節して、前記処理液の濃度を前記目標値に維持する工程と、前記第2貯留槽から、前記基板を処理する基板処理部に前記処理液を供給する工程とを含む。前記処理液の濃度を前記目標値に維持する工程では、水分の蒸発を促進する気体を供給しない。前記気体供給部材の素材は石英または樹脂である。
本発明の処理液温調方法において、前記第1貯留槽及び前記第2貯留槽に貯留された前記処理液は、シリコンを含んでいないことが好ましい。
【0016】
本発明の更に他の局面によれば、基板処理方法は、上記処理液温調方法と、処理液によって基板を処理する工程とを含む。
【0017】
本発明の更に他の局面によれば、処理液温調装置は、第1温調部と、第1貯留槽と、気体供給部材と、排気配管部と、第2貯留槽と、第2温調部とを備える。第1温調部は、基板を処理するための処理液を前記処理液の基準沸点以上に加熱する。第1貯留槽は、前記第1温調部によって加熱された前記処理液を貯留する。気体供給部材は、前記処理液からの水分の蒸発を促進する気体を、前記第1貯留槽に貯留された前記処理液に供給する。排気配管部は、前記第1貯留槽から水蒸気及び前記気体を排出する。第2貯留槽には、前記第1貯留槽に貯留される前記処理液の濃度が目標値に到達した後に、前記第1貯留槽から前記処理液が供給される。第2温調部は、前記第2貯留槽に貯留される前記処理液の温度を調節して、前記処理液の濃度を前記目標値に維持する。前記第2貯留槽は、前記基板を処理する基板処理部に前記処理液を供給する。前記第2貯留槽では、水分の蒸発を促進する気体を供給しない。前記処理液は、燐酸を含有する液体である。前記気体供給部材の素材は石英または樹脂である。
【0022】
本発明の更に他の局面によれば、処理液温調装置は、第1温調部と、第1貯留槽と、気体供給部材と、排気配管部と、第2貯留槽と、第2温調部とを備える。第1温調部は、基板を処理するための処理液を前記処理液の基準沸点以上に加熱する。第1貯留槽は、前記第1温調部によって加熱された前記処理液を貯留する。気体供給部材は、前記処理液からの水分の蒸発を促進する気体を、前記第1貯留槽に貯留された前記処理液に供給する。排気配管部は、前記第1貯留槽から水蒸気及び前記気体を排出する。第2貯留槽には、前記第1貯留槽に貯留される前記処理液の濃度が目標値に到達した後に、前記第1貯留槽から前記処理液が供給される。第2温調部は、前記第2貯留槽に貯留される前記処理液の温度を調節して、前記処理液の濃度を前記目標値に維持する。前記第2貯留槽は、前記基板を処理する基板処理部に前記処理液を供給する。前記第2貯留槽では、水分の蒸発を促進する気体を供給しない。前記気体供給部材の素材は石英または樹脂である。
【0023】
本発明の処理液温調装置において、前記排気配管部は、前記第1貯留槽から前記水蒸気及び前記気体を排出する排気配管を含むことが好ましい。前記排気配管の流路の断面積は、次式を満たすことが好ましい。
A×V≧Q
A:前記排気配管の前記流路の前記断面積
V:前記処理液を前記基準沸点以上に加熱する処理と前記処理液に前記気体を供給する処理とが実行されていない場合において、前記排気配管の前記流路を流れる排出気体の流速
Q:前記水蒸気及び前記気体の単位時間当たりの排気量
本発明の処理液温調装置において、前記第1貯留槽及び前記第2貯留槽に貯留された前記処理液は、シリコンを含んでいないことが好ましい。
【0025】
本発明の更に他の局面によれば、基板処理システムは、上記処理液温調装置と、処理液によって基板を処理する基板処理部とを備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、基板を処理するための処理液の濃度を目標値に早く到達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理システムを示す模式図である。
【
図2】実施形態1に係る基板処理システムの第1貯留槽を示す模式的断面図である。
【
図3】実施形態1に係る基板処理システムの気体供給ユニットを示す模式的平面図である。
【
図4】実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態2に係る基板処理システムを示す模式図である。
【
図6】実施形態2に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態3に係る基板処理システムを示す模式的断面図である。
【
図8】(a)は、実施形態3に係る基板が処理液に浸漬される前の状態を示す図である。(b)は、実施形態3に係る基板が処理液に浸漬された状態を示す図である。
【
図9】実施形態3に係る基板処理システムの気体供給ユニットを示す模式的平面図である。
【
図10】実施形態3に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施例1、実施例2、及び、比較例に係る処理液の比重値の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本発明の実施形態において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0029】
(実施形態1)
図1~
図4を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理システム100及び基板処理方法を説明する。まず、
図1を参照して、基板処理システム100を説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施形態1に係る基板処理システム100を示す模式図である。
図1に示す基板処理システム100はバッチ式である。従って、基板処理システム100は、処理液LQによって複数の基板Wを一括して処理する。処理液LQにより、複数の基板Wには、エッチング処理、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去及び洗浄のうちの少なくとも1つが行われる。
【0031】
処理液LQは、例えば、沸騰させることで特定成分の濃度を常温時又は室温時の濃度よりも高くして使用する液体(例えば、薬液)である。沸騰させることで特定成分の濃度を常温時又は室温時の濃度よりも高くして使用する液体は、例えば、燐酸を含有する液体である。この場合、「特定成分」は、「燐酸」である。
【0032】
燐酸を含有する液体は、例えば、燐酸の水溶液(以下、「燐酸水溶液」と記載する。)、燐酸水溶液に添加剤を含有させた液体、燐酸を含有する混酸、又は、燐酸及び添加剤を含有する混酸である。
【0033】
基板Wは、例えば、半導体ウェハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。
【0034】
基板Wとしての半導体ウェハは、例えば、三次元フラッシュメモリー(例えば三次元NANDフラッシュメモリー)を形成するための表面パターンを有する。例えば、表面パターンは、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とが交互に積層された構造、又は、酸化シリコン膜とポリシリコン膜とが交互に積層された構造であって、1以上の凹部(例えば、トレンチ又はホール)を含む構造を有する。この場合、表面パターンの凹部の側面に露出しているシリコン窒化膜又はポリシリコン膜が、処理液LQによって選択的にエッチングされる。この場合は、処理液LQとして、例えば、燐酸を含有する液体が使用される。
【0035】
図1に示すように、基板処理システム100は、処理装置U1と、処理液温調装置U2と、冷却槽群U3と、制御装置U4と、配管P1とを含む。制御装置U4は、処理装置U1及び処理液温調装置U2を制御する。制御装置U4は、例えば、コンピューターである。詳細には、制御装置U4は、プロセッサーと、記憶装置とを含む。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。記憶装置は、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。記憶装置は、例えば、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリーを含む。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブを含む。補助記憶装置は、例えば、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0036】
処理装置U1は、複数の基板処理部1と、複数の冷却槽5と、複数のバルブ9と、複数のバルブ11と、複数の配管P2とを含む。複数の冷却槽5は、それぞれ、複数の基板処理部1に対応して配置されている。
【0037】
複数の基板処理部1の各々は、処理液LQによって基板Wを処理する。具体的には、複数の基板処理部1の各々は、バッチ式であり、処理液LQによって複数の基板Wを一括して処理する。複数の基板処理部1の各々は処理槽3を含む。各処理槽3は処理液LQを貯留する。また、各処理槽3は複数の基板Wを収容する。各処理槽3の処理液LQには、複数の基板Wが浸漬される。その結果、各処理槽3では、処理液LQによって複数の基板Wが処理される。
【0038】
具体的には、処理槽3は、内槽31及び外槽33を含む二重槽構造を有している。内槽31及び外槽33はそれぞれ上向きに開いた上部開口を有する。内槽31は、処理液LQを貯留し、複数の基板Wを収容可能に構成される。外槽33は、内槽31の上部開口の外側面に設けられる。
【0039】
配管P2は、配管P1から分岐している。配管P2は冷却槽5へ延びている。そして、バルブ9は配管P2に配置される。バルブ9は配管P2を閉塞又は開放する。バルブ9が配管P2を開放することで、配管P2は、外槽33からオーバーフローした処理液LQを冷却槽5に案内する。そして、冷却槽5は、処理液LQを冷却した後に、処理液LQを排出する。
【0040】
配管P1は、冷却槽群U3に延びている。冷却槽群U3は、複数の基板処理部1にそれぞれ対応して複数の冷却槽350を含む。配管P1は、処理槽3から冷却槽350まで延びている。そして、バルブ11は配管P1に配置される。バルブ11は配管P1を閉塞又は開放する。バルブ11が配管P1開放することで、配管P1は、外槽33からオーバーフローした処理液LQを、冷却槽350に案内する。そして、冷却槽350は、処理液LQを冷却した後に、処理液LQを排出する。
【0041】
処理液温調装置U2は、各基板処理部1(具体的には各処理槽3)に処理液LQを供給する。つまり、処理液温調装置U2は、各基板処理部1(具体的には各処理槽3)に処理液LQを補充する。
【0042】
具体的には、処理液温調装置U2は、第1温調ユニット200と、第2温調ユニット300とを含む。第1温調ユニット200は、処理液LQを加熱して、処理液供給源TKAから供給される処理液LQから水分を蒸発させることで、処理液LQの濃度を目標値に到達させる。濃度の目標値は一定の幅を有していてもよい。処理液LQの濃度は、処理液LQ中の特定成分の濃度を示す。処理液LQが燐酸を含有する液体である場合は、処理液LQの濃度は、処理液LQ中の燐酸の濃度(以下、「燐酸濃度」と記載する。)を示す。
【0043】
そして、第1温調ユニット200は、濃度が目標値に到達した処理液LQを第2温調ユニット300に供給する。第2温調ユニット300は、第1温調ユニット200から供給された処理液LQの温度及び濃度を維持して、処理液LQを各基板処理部1(具体的には各処理槽3)に供給する。つまり、第2温調ユニット300は、処理液LQを各基板処理部1(具体的には各処理槽3)に補充する。
【0044】
具体的には、第1温調ユニット200は、第1貯留槽210と、第1計測部212と、バルブ214と、第1フィルター215と、第1ヒーター216と、第1ポンプ218と、バルブ220と、流量調整バルブ221と、バルブ222と、バルブ223と、配管P4と、配管P5と、第1循環配管P6と、配管P7、配管P10とを含む。
図1の例では、第1温調ユニット200は、直列に接続される複数の第1ヒーター216(具体的には、2つの第1ヒーター216)を含んでいる。第1ヒーター216は、「第1温調部」の一例に相当する。なお、例えば、第1温調ユニット200において、第1フィルター215を省略してもよい。
【0045】
また、第2温調ユニット300は、第2貯留槽310と、第2計測部312と、複数のバルブ314と、第2フィルター315と、第2ヒーター316と、第2ポンプ318と、複数の配管P3と、配管P8と、バルブ320と、第2循環配管P9とを含む。第2ヒーター316は、「第2温調部」の一例に相当する。
【0046】
第1温調ユニット200において、配管P4は、処理液供給源TKAから第1貯留槽210まで延びている。バルブ222は配管P4に配置される。バルブ222は配管P4を閉塞又は開放する。配管P5は、希釈液供給源TKBから第1貯留槽210まで延びている。バルブ224は配管P5に配置される。バルブ224は配管P5を閉塞又は開放する。
【0047】
第1循環配管P6は、第1貯留槽210の底部から上部まで延びている。バルブ214は第1循環配管P6に配置される。バルブ214は第1循環配管P6を閉塞又は開放する。第1ポンプ218と第1ヒーター216と第1フィルター215とは、この順番で、第1循環配管P6の上流から下流に向かって、第1循環配管P6に配置される。
【0048】
配管P7は、第1循環配管P6から分岐して、第2温調ユニット300へ延びる。具体的には、配管P7は、第1循環配管P6から分岐して、第2貯留槽310へ延びる。バルブ220は配管P7に配置される。バルブ220は配管P7を閉塞又は開放する。また、配管P10は、配管P7におけるバルブ220の上流側と下流側とを連絡する。流量調整バルブ221は配管P10に配置される。流量調整バルブ221は、配管P10を流れる処理液LQの流量を調整する。バルブ223は、流量調整バルブ221の下流において、配管P10に配置される。バルブ223は、配管P10を閉塞又は開放する。
【0049】
また、第2温調ユニット300において、配管P8は、希釈液供給源TKBから第2貯留槽310まで延びている。バルブ320は配管P8に配置される。バルブ320は配管P8を閉塞又は開放する。第2循環配管P9は、第2貯留槽310の底部から上部まで延びている。第2ポンプ318と第2ヒーター316と第2フィルター315とは、この順番で、第2循環配管P9の上流から下流に向かって、第2循環配管P9に配置される。
【0050】
複数の配管P3は、それぞれ、複数の基板処理部1に対応して配置される。複数の配管P3の各々は、第2循環配管P9から分岐して、対応する基板処理部1へ延びる。具体的には、複数の配管P3の各々は、第2循環配管P9から分岐して、対応する処理槽3へ延びる。複数のバルブ314の各々は、対応する配管P3に配置される。バルブ314は配管P3を閉塞又は開放する。
【0051】
引き続き
図1を参照して、第1温調ユニット200の動作を説明する。バルブ222が配管P4を開放すると、配管P4は、処理液供給源TKAから供給される処理液LQを第1貯留槽210に供給する。
【0052】
第1貯留槽210は、処理液供給源TKAから供給される処理液LQを貯留する。第1貯留槽210は上向きに開いた上部開口及び蓋(以下、「蓋240」と記載する。)を有する。
【0053】
第1循環配管P6は、第1貯留槽210から送出された処理液LQを再び第1貯留槽210に導いて、処理液LQを循環させる。具体的には、第1循環配管P6は、第1貯留槽210の底部から送出された処理液LQを、第1貯留槽210の上部開口に導くことで、処理液LQを第1貯留槽210に戻す。
【0054】
更に具体的には、バルブ214が第1循環配管P6を開放し、バルブ220が配管P7を閉塞していると、第1ポンプ218は、第1貯留槽210から送出された処理液LQを、第1循環配管P6を通して、第1貯留槽210の上部開口に向けて送り出す。第1フィルター215は、第1循環配管P6を流れる処理液LQをろ過する。
【0055】
第1ヒーター216は、処理液LQの温度を調節する。具体的には、第1ヒーター216は、第1貯留槽210に供給する処理液LQであって、基板Wを処理するための処理液LQを、処理液LQの基準沸点以上に加熱する。つまり、第1ヒーター216は、第1循環配管P6に流れる処理液LQを、処理液LQの基準沸点以上に加熱する。さらに、第1温調ユニット200は、処理槽3での制御条件に従って、第1計測部212の計測結果に基づいて希釈液供給源TKBから希釈液を第1貯留槽210に供給しつつ、処理液LQの濃度を目標値に到達させる。
【0056】
処理液LQの基準沸点とは、第1循環配管P6からではなく、処理液供給源TKAから第1貯留槽210に新規に供給される処理液LQの濃度での沸点のことである。一般的には、処理液LQの濃度が高くなると、処理液LQの沸点が上昇する。希釈液は、例えば、水である。水は、DIW(脱イオン水)、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水及び希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水のいずれかを採用することができる。
【0057】
処理液LQが燐酸水溶液である場合、例えば、処理液供給源TKAから第1貯留槽210に新規に供給される燐酸水溶液の燐酸濃度は、室温で85%である。燐酸濃度が85%である場合の燐酸水溶液の沸点は、157℃である。従って、この場合は、燐酸水溶液の基準沸点は、157℃である。この場合、第1ヒーター216は、第1循環配管P6に流れる燐酸水溶液を、基準沸点である157℃以上の160℃に加熱する。さらに、第1温調ユニット200は、処理槽3での制御条件に従って、第1計測部212の計測結果に基づいて希釈液供給源TKBから希釈液を第1貯留槽210に供給しつつ、燐酸水溶液の燐酸濃度を、89%に到達させる。この場合、「89%」が、濃度の目標値である。
【0058】
第1計測部212は、第1貯留槽210に貯留された処理液LQの濃度を示す物理量を計測する。本明細書において、処理液LQの濃度を示す物理量とは、処理液LQの濃度に略比例する値のことである。例えば、処理液LQの濃度を示す物理量は、処理液LQ中の特定成分の濃度又は比重である。従って、第1計測部212は、例えば、濃度計又は比重計である。なお、第1計測部212は、第1循環配管P6を流れる処理液LQの濃度を示す物理量を計測してもよい。第1循環配管P6を流れる処理液LQの濃度及び温度は、それぞれ、第1貯留槽210に貯留された処理液LQの濃度及び温度と、略同じである。
【0059】
例えば、制御装置U4は、処理液LQの濃度を目標値にするために、第1計測部212による計測結果に基づいてバルブ224を開放して、希釈液供給源TKBから第1貯留槽210に希釈液を供給することがある。
【0060】
第1貯留槽210に貯留される処理液LQの濃度が目標値に到達した後に、第1貯留槽210は、処理液LQを第2貯留槽310に供給する。
【0061】
具体的には、第1貯留槽210の処理液LQの濃度が目標値に到達した後に、バルブ223が配管P10を開放し、更に、流量調整バルブ221が、処理液LQの流量を調節して、配管P10と、配管P7のうちバルブ220よりも下流側の部分とを通して、処理液LQを第1貯留槽210から第2貯留槽310に供給する。この場合、バルブ214は第1循環配管P6を開放しており、バルブ220は配管P7を閉塞している。具体的には、第1貯留槽210の処理液LQの濃度が目標値に到達した後に、第1ポンプ218が、第1循環配管P6と、配管P10と、配管P7のうちバルブ220よりも下流側の部分とを通して、処理液LQを第2貯留槽310に供給する。
【0062】
本明細書において、「処理液LQの濃度が目標値に到達した後」とは、「処理液LQの濃度を示す物理量が目標値に到達した後」を示し、「処理液LQの濃度を示す濃度値が目標値に到達した後」だけでなく、例えば、「処理液LQの比重値が目標値に到達した後」であってもよい。
【0063】
引き続き
図1を参照して、第2温調ユニット300の動作を説明する。第2貯留槽310は、第1貯留槽210から供給される処理液LQを貯留する。第1貯留槽210から供給される処理液LQは、濃度が目標値に到達した処理液LQである。第2貯留槽310は上向きに開いた上部開口及び蓋を有する。
【0064】
第2循環配管P9は、第2貯留槽310から送出された処理液LQを再び第2貯留槽310に導いて、処理液LQを循環させる。具体的には、第2循環配管P9は、第2貯留槽310の底部から送出された処理液LQを、第2貯留槽310の上部開口に導くことで、処理液LQを第2貯留槽310に戻す。
【0065】
更に具体的には、複数のバルブ314の各々が、対応する配管P3を閉塞していると、第2ポンプ318は、第2貯留槽310から送出された処理液LQを、第2循環配管P9を通して、第2貯留槽310の上部開口に向けて送り出す。第2フィルター315は、第2循環配管P9を流れる処理液LQをろ過する。
【0066】
第2ヒーター316は、処理液LQの温度を調節する。具体的には、第2ヒーター316は、第2貯留槽310に貯留される処理液LQの温度を調節して、間接的に、処理液LQの濃度を目標値に維持する。つまり、第2ヒーター316は、第2循環配管P9に流れる処理液LQの温度を調節して、間接的に、処理液LQの濃度を目標値に維持する。具体的には、第2ヒーター316は、処理液LQの温度を基準沸点以上の所定温度に維持する。そして、処理液LQの温度が基準沸点以上の所定温度に維持された状態で、第2計測部312の計測結果に基づいてバルブ320及び配管P8を通して希釈液供給源TKBから第2貯留槽310に希釈液を供給することで、処理液LQの濃度が目標値に維持される。
【0067】
第2ヒーター316は、処理液LQの温度を基準沸点以上の所定温度に維持するための機器であるため、第2ヒーター316の容量(電力)は、第1温調ユニット200の2つの第1ヒーター216の合計容量(合計電力)よりも小さくてよい。例えば、2つの第1ヒーター216の合計容量は、第2ヒーター316の容量の2倍である。つまり、2つの第1ヒーター216の各々の容量は、第2ヒーター316の容量と略同じである。
【0068】
第2計測部312は、第2貯留槽310に貯留された処理液LQの濃度を示す物理量を計測する。例えば、第2計測部312は、濃度計又は比重計である。なお、第2計測部312は、第2循環配管P9を流れる処理液LQの濃度を示す物理量を計測してもよい。第2循環配管P9を流れる処理液LQの濃度及び温度は、それぞれ、第2貯留槽310に貯留された処理液LQの濃度及び温度と、略同じである。
【0069】
例えば、制御装置U4は、処理液LQの濃度を目標値に維持するために、第2計測部312による計測結果に基づいてバルブ320を開放して、希釈液供給源TKBから第2貯留槽310に希釈液を供給することがある。
【0070】
第2貯留槽310は、基板処理部1(具体的には処理槽3)に処理液LQを供給する。つまり、第2貯留槽310は、基板処理部1(具体的には処理槽3)に処理液LQを補充する。
【0071】
具体的には、バルブ314が配管P3を開放すると、第2循環配管P9から、配管P3を通して、処理液LQが処理槽3に供給される。例えば、処理液LQは、第2貯留槽310から処理槽3の外槽33に供給されて、外槽33から循環配管(不図示)を通して、内槽31に供給されてもよい。例えば、処理液LQは、第2貯留槽310から内槽31に直接的に供給されてもよい。
【0072】
制御装置U4は、複数のバルブ314の各々を個別に制御できる。従って、第2貯留槽310から、各基板処理部1(具体的には各処理槽3)に個別に処理液LQを供給できる。
【0073】
次に、
図2を参照して、第1温調ユニット200を説明する。
図2は、第1温調ユニット200の第1貯留槽210を示す模式的断面図である。
図2では、図面を簡略化するために、配管P4、P5、第1フィルター215、第1ポンプ218、バルブ214、及び、第1計測部212を省略している。
【0074】
図2に示すように、第1貯留槽210は、槽本体230と、蓋240とを含む。蓋240は、槽本体230の上部開口を覆っている。蓋240は、槽本体230の上部開口を開放することもできる。
【0075】
第1温調ユニット200は、気体供給機構250と、気体供給ユニット280と、配管261をさらに含む。
【0076】
気体供給機構250は、配管261を通して、気体供給ユニット280に気体GAを供給する。
【0077】
気体供給ユニット280は、第1貯留槽210に貯留された処理液LQに、気体供給機構250から供給された気体GAを供給する。具体的には、気体供給ユニット280は、少なくとも1つの気体供給部材281と、第1配管283と、第2配管285と、第1保持部材287と、第2保持部材289と、第1固定部材291と、第2固定部材293とを含む。実施形態1では、気体供給ユニット280は、複数の気体供給部材281を含む。なお、
図2には、1つの気体供給部材281が表れている。
【0078】
気体GAは、第1ヒーター216によって基準沸点以上に加熱された処理液LQからの水分の蒸発を促進する気体である。気体GAは、例えば、不活性ガスである。不活性ガスは、例えば、窒素又はアルゴンである。
【0079】
気体供給部材281は、第1貯留槽210の内部に配置される。詳細には、気体供給部材281は、第1貯留槽210の内部において、第1貯留槽210の底部230aに配置される。気体供給部材281は、第1貯留槽210の底部230aに固定される。気体供給部材281は、第1貯留槽210の底部230aに接触していてもよいし、第1貯留槽210の底部230aに対して離隔していてもよい。
【0080】
気体供給部材281は、第1貯留槽210に貯留された処理液LQであって、基準沸点以上に加熱された処理液LQに気体GAを供給する。気体供給部材281は、例えば、バブラーである。具体的には、気体供給部材281は、上方に向けて、つまり、処理液LQの液面に向けて、気体GAを処理液LQに供給する。この場合、気体供給部材281は、気体GAを気泡BBとして処理液LQに供給する。
【0081】
具体的には、気体供給部材281は、第1方向D1に略平行である。第1方向D1は、例えば、水平方向に略平行である。気体供給部材281は、第1貯留槽210の底部230aに沿って配置されている。
【0082】
気体供給部材281は、略筒形状を有する。気体供給部材281は、例えば、管である。気体供給部材281の材質は、例えば、石英、又は、樹脂である。樹脂は、例えば、PFA(テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、又は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)である。
【0083】
特に、気体供給部材281の材質が樹脂であると、気体供給部材281の加工が容易である。更に、気体供給部材281の材質がPFAであると、曲げ加工が容易である。例えば、気体供給部材281をL字状に加工することも可能である。従って、気体供給部材281と他の配管との継ぎ目を少なくできる。その結果、気体供給部材281の耐久性を向上できる。
【0084】
ここで、
図2では、理解を容易にするために、図中、気体供給部材281の右端部の断面を示している。気体供給部材281は流路FW0を有する。
【0085】
また、気体供給部材281は、複数の気体供給口Gを有する。気体供給口Gは、例えば、孔である。気体供給口Gの径は、例えば、数十μm~数百μmのオーダーである。例えば、気体供給口Gの径は、0.2mmである。例えば、1つの気体供給部材281に設けられる気体供給口Gの数は、例えば、40個である。
【0086】
気体供給部材281は、第1貯留槽210に貯留された処理液LQであって、基準沸点以上に加熱された処理液LQに向けて、複数の気体供給口Gから気体GAを供給する。具体的には、気体供給部材281は、第1貯留槽210に貯留された処理液LQであって、基準沸点以上に加熱された処理液LQに向けて、複数の気体供給口Gから、気体GAを複数の気泡BBとして供給する。つまり、気体供給部材281は、第1貯留槽210に貯留された基準沸点以上の温度の処理液LQに複数の気体供給口Gから気体GAを吹き出すことで、複数の気体供給口Gから、基準沸点以上の温度の処理液LQ中に複数の気泡BB(多数の気泡BB)を発生する。
【0087】
なお、気体供給部材281が処理液LQに気体GA(具体的には気泡BB)を供給できる限りにおいては、気体供給部材281の構成及び素材は特に限定されない。例えば、気体供給部材281は、略筒形状を有する多孔質部材によって構成されていてもよい。また、例えば、気体供給部材281は、略筒形状を有する部材に多孔質部材を固定して構成されていてもよい。
【0088】
第1温調ユニット200は、排気配管部270をさらに含む。排気配管部270は、第1貯留槽210の上部に接続される。
図2の例では、排気配管部270は、蓋240に接続される。排気配管部270は、第1貯留槽210から水蒸気及び気体を排気する。排気配管部270によって排気される気体は、基準沸点以上に加熱された処理液LQ中に気体供給部材281から供給された気体GAであって、処理液LQの液面から出てきた気体GAである。また、排気配管部270によって排気される水蒸気は、基準沸点以上に加熱された処理液LQに含まれる水分が蒸発して発生する水蒸気であって、処理液LQの液面から出てきた水蒸気である。
【0089】
具体的には、排気配管部270は、連結部材271と、排気配管273とを含む。連結部材271は、第1貯留槽210と排気配管273とを連結する。具体的には、連結部材271の一方端は第1貯留槽210の上部(
図2の例では蓋240)に接続され、連結部材271の他方端は排気配管273に接続される。排気配管273は、例えば、略円筒形状を有する。排気配管273は、第1貯留槽210から水蒸気及び気体を排気する。つまり、排気配管273は、連結部材271を通して第1貯留槽210から流入する水蒸気及び気体を第1貯留槽210の外部に排気する。
【0090】
以上、
図1及び
図2を参照して説明したように、実施形態1によれば、第1温調ユニット200の気体供給部材281は、第1ヒーター216によって基準沸点以上に加熱された処理液LQに対して、水分の蒸発を促進する気体GAを供給する。これにより、処理液LQ中の水分の蒸発が促進される。その結果、気体GAを供給しない場合と比較して、処理液LQの濃度を目標値に早く到達させることができる。
【0091】
また、第1貯留槽210において処理液LQの濃度を目標値に早く到達させることができると、第1貯留槽210から第2貯留槽310に対して、濃度が目標値に到達した処理液LQの「一定時間当たりの供給量」を多くできる。従って、処理槽3に貯留された処理液LQの濃度変化が大きい場合であっても、第2貯留槽310から処理槽3へ、濃度が目標値に到達した処理液LQを多量に供給できる。その結果、処理槽3において、処理液LQの濃度を維持できる。よって、複数の基板Wの処理を均一化できる。
【0092】
例えば、基板Wとしての半導体ウェハが、三次元フラッシュメモリーを形成するための表面パターンを有する場合、表面パターンの凹部が深いため、処理液LQとしての燐酸水溶液によってエッチングされるシリコンのエッチング量が多くなる。従って、処理槽3における処理液LQの濃度を一定に維持するためには、濃度が目標値に到達した多量の処理液LQを処理槽3に供給する必要がある。そこで、実施形態1では、基準沸点以上に加熱された処理液LQに対して、水分の蒸発を促進するために気体GAを供給することで、処理液LQの濃度を目標値に早く到達させている。従って、処理槽3に貯留された処理液LQ中のシリコンの濃度変化が大きい場合であっても、第1貯留槽210から第2貯留槽310へ、更に、第2貯留槽310から処理槽3へ、濃度が目標値に到達した処理液LQを多量に供給できる。その結果、処理槽3において、処理液LQの濃度を維持できて、複数の基板Wの処理を均一化できる。
【0093】
また、実施形態1では、基板処理システム100は複数の基板処理部1を有しているため、処理液LQの使用量が多くなる。しかしながら、実施形態1では、処理液LQの濃度を目標値に早く到達させることができるので、基板処理システム100が複数の基板処理部1を有している場合であっても、第2貯留槽310から各基板処理部1の処理槽3へ、濃度が目標値に到達した処理液LQを所望の流量で安定して供給できる。
【0094】
また、実施形態1では、気体供給部材281は、第1貯留槽210の処理液LQに、気体GAの気泡BBを供給している。従って、処理液LQの液面に向かって上昇する気泡BBによって、処理液LQ中の水分が液面に向かって上方に運搬される。その結果、処理液LQ中の水分の蒸発を更に促進できる。特に、処理液LQが沸騰状態に近づくと、気泡BBの水分包有量が増加してより多くの水分を液面から放出して水分の蒸発効率が向上する。よって、処理液LQの濃度を目標値に更に早く到達させることができる。
【0095】
特に、気体供給部材281は、第1貯留槽210の底部230aにおいて、第1方向D1(水平方向)に略平行に配置されることが好ましい。この好ましい例では、気体供給部材281が鉛直方向に略平行に配置される場合と比較して、複数の気体供給口Gから供給される気泡BBの移動距離が長くなる。その結果、処理液LQ中の水分の蒸発を更に促進できて、処理液LQの濃度を目標値に更に早く到達させることができる。
【0096】
また、実施形態1では、第1貯留槽210に貯留される処理液LQの濃度を目標値に到達させるために、処理液LQに気体GAを供給するとともに、処理液LQを基準沸点以上に加熱している。従って、第1貯留槽210では、処理液LQから気体GAが出てくるとともに、処理液LQから水分が蒸発している。
【0097】
そして、第1貯留槽210に貯留される処理液LQの濃度が目標値に到達した後に、第1貯留槽210から第2貯留槽310に処理液LQが供給される。さらに、第2ヒーター316は、第2貯留槽310に貯留される処理液LQの温度を調節して、処理液LQの濃度を目標値に維持する。従って、第2貯留槽310では、処理液LQから水分がほとんど蒸発しない。なぜなら、処理液LQ中の水分は、第1貯留槽210においてほとんど蒸発しているからである。加えて、第2貯留槽310では、処理液LQに気体GAは供給されない。その結果、第2貯留槽310から第2循環配管P9に供給される処理液LQは、水蒸気等の気体をとほんど含まない。よって、第2循環配管P9に流れる処理液LQの流量を適切に制御できる。ひいては、第2循環配管P9及び配管P3から基板処理部1(具体的には処理槽3)に供給される処理液LQの流量を適切に制御できる。
【0098】
また、実施形態1では、処理液LQは「燐酸を含有する液体」であることが好ましい。この場合、処理液LQは、沸騰させることで特定成分(燐酸)の濃度を常温時又は室温時の濃度よりも高くして使用する液体である。従って、処理液LQが「燐酸を含有する液体」である場合、処理液LQを基準沸点以上に加熱しつつ、処理液LQに気体GAを供給することで、処理液LQの濃度を目標値に早く到達させることは特に有効である。
【0099】
さらに、実施形態1では、第1貯留槽210から間接的に、つまり、第2貯留槽310を介して、基板処理部1(具体的には処理槽3)に処理液LQが供給される。つまり、第1貯留槽210は、基板処理部1(具体的には処理槽3)に対して、間接的に処理液LQを供給する。
【0100】
ただし、基板処理システム100は第2温調ユニット300を備えていなくてもよい。具体的には、第1貯留槽210から直接的に、基板処理部1(具体的には処理槽3)に処理液LQが供給されてもよい。つまり、第1貯留槽210は、基板処理部1(具体的には処理槽3)に対して、直接的に処理液LQを供給してもよい。この場合でも、第1貯留槽210において、処理液LQの濃度を目標値に早く到達させることができる。第1貯留槽210から直接的に基板処理部1に処理液LQを供給する場合は、例えば、第1温調ユニット200の第1循環配管P6に、複数の配管P3を接続して、複数の配管P3にそれぞれ複数のバルブ314を配置する。この場合は、バルブ214、220は設けない。
【0101】
また、実施形態1において、
図2に示すように、排気配管273の流路275の断面積Aは、式(1)を満たすことが好ましい。式(1)において、「V」は、処理液LQを基準沸点以上に加熱する処理と処理液LQに気体GAを供給する処理とが実行されていない場合において、排気配管273の流路275を流れる排出気体の流速を示す。「Q」は、処理液LQの液面からの水蒸気及び気体GAの単位時間当たりの排気量を示す。
【0102】
A×V≧Q …(1)
【0103】
排気配管273の流路275の断面積Aが式(1)を満たすと、処理液LQの液面から排出される水蒸気及び気体を効果的に排気できる。従って、処理液LQ中の水分の蒸発が更に促進される。その結果、処理液LQの濃度を目標値に更に早く到達させることができる。
【0104】
なお、式(1)において、「V」は、処理液LQを基準沸点以上に加熱する処理と処理液LQに気体GAを供給する処理とが実行されている場合において、排気配管273の流路275を流れる排出気体の流速を示してもよい。
【0105】
次に、
図2及び
図3を参照して、気体供給ユニット280を説明する。
図3は、気体供給ユニット280を示す模式的平面図である。なお、
図2の気体供給ユニット280においては、
図3のII-II線に沿った断面が示されている。
【0106】
図3に示すように、気体供給ユニット280の複数の気体供給部材281は、第1貯留槽210の内部において、互いに略平行に、かつ、第2方向D2に間隔をあけて配置される。第2方向D2は、第1方向D1に略直交し、水平方向に略平行である。気体供給部材281は、第1方向D1に延びている。複数の気体供給部材281の各々において、複数の気体供給口Gは、第1方向D1に間隔をあけて略一直線上に配置される。複数の気体供給部材281の各々において、各気体供給口Gは、気体供給部材281の上面部に設けられる。そして、各気体供給口Gは、上方に向けて、つまり、処理液LQの液面に向けて、処理液LQに気体GAを供給する。この場合、各気体供給口Gは、気体GAを気泡BBとして処理液LQに供給する。
【0107】
なお、気体供給口Gから処理液LQに気体GA(具体的には気泡BB)を供給できる限りにおいては、気体供給口Gの位置は特に限定されない。また、各気体供給部材281において、複数の気体供給口Gは、等間隔に配置されていてもよいし、不当間隔に配置されていてもよい。さらに、気体供給部材281の姿勢は、特に限定されない。
【0108】
複数の気体供給部材281の各々は、第1端部281aと、第2端部281bとを有する。第1端部281aは、第1方向D1における気体供給部材281の両端部のうちの一方端部である。第2端部281bは、第1方向D1における気体供給部材281の両端部のうちの他方端部である。
【0109】
複数の気体供給部材281の第1端部281aには、第1配管283が接続される。第1配管283は、第2方向D2に延びている。第1配管283の流路FW1(
図2)と各気体供給部材281の流路FW0(
図2)とは連通している。各気体供給部材281の第1端部281a及び第1配管283は、第1保持部材287に保持される。第1保持部材287は、例えば、略直方体形状を有する。第1保持部材287は、第2方向D2に延びている。
【0110】
複数の気体供給部材281の第2端部281bは、閉塞されている。各気体供給部材281の第2端部281bは、第2保持部材289に保持される。第2保持部材289は、例えば、略直方体形状を有する。第2保持部材289は、第2方向D2に延びている。第2保持部材289は、第1保持部材287に対して略平行である。
【0111】
気体供給部材281の第1端部281a及び第2端部281bがそれぞれ第1保持部材287及び第2保持部材289によって保持されることで、気体供給部材281の変形を抑制できる。また、
図2及び
図3に示すように、第1保持部材287は、複数の第1固定部材291によって、第1貯留槽210の底部230aに固定される。また、第2保持部材289は、複数の第2固定部材293によって、第1貯留槽210の底部230aに固定される。
【0112】
また、第2配管285の下端部は、第1配管283に接続される。第2配管285は、第3方向D3に延びている。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2に略直交する。第3方向D3は、鉛直方向に略平行である。第2配管285の流路FW2と第1配管283の流路FW2とは連通している。
【0113】
引き続き
図2を参照して、気体供給機構250を説明する。気体供給機構250は、気体供給源263から供給される気体GAを、配管261から、第2配管285及び第1配管283を通して、各気体供給部材281に供給する。
【0114】
具体的には、気体供給機構250は、バルブ251と、フィルター253と、流量計257と、調整バルブ259とを含む。バルブ251、フィルター253、流量計257、及び、調整バルブ259は、この順番に配管261の下流から上流に向かって、配管261に配置される。
【0115】
調整バルブ259は、配管261の開度を調節して、各気体供給部材281に供給される気体GAの流量を調整する。流量計257は、配管261を流れる気体GAの流量を計測する。調整バルブ259は、流量計257に計測結果に基づいて気体の流量を調整する。なお、例えば、調整バルブ259及び流量計257に代えて、マスフローコントローラーを設けてもよい。
【0116】
フィルター253は、配管261を流れる気体GAから異物を除去する。バルブ251は、配管261を開閉する。つまり、バルブ251は、配管261からの気体供給部材281に対する気体GAの供給と供給停止とを切り替える。
【0117】
次に、
図1、
図2、及び、
図4を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理方法を説明する。
図4は、実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図4に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S10を含む。基板処理方法は、基板処理システム100によって実行される。そして、基板処理方法は、基板処理部1の処理槽3に貯留された処理液LQに、間隔をあけて整列された複数の基板Wを浸漬して、複数の基板Wを処理液LQによって処理する。また、工程S1~工程S8は、「処理液温調方法」の一例に相当する。
【0118】
図1、
図2、及び、
図4に示すように、工程S1において、制御装置U4の制御によって、第1温調ユニット200の第1ヒーター216は、処理液LQの加熱を開始する。具体的には、第1ヒーター216は、基板Wを処理するための処理液LQを、処理液LQの基準沸点以上に加熱する。
【0119】
次に、工程S2において、制御装置U4による気体供給機構250の制御によって、各気体供給部材281は、第1貯留槽210に貯留された処理液LQに気体GA(具体的には気泡BB)を供給することを開始する。つまり、各気体供給部材281は、第1ヒーター216によって基準沸点以上に加熱された処理液LQからの水分の蒸発を促進する気体GA(具体的には気泡BB)を、第1貯留槽210に貯留された処理液LQに供給する。
【0120】
次に、工程S3において、排気配管部270は、第1貯留槽210の処理液LQの液面から出てくる水蒸気及び気体GAを排出する。つまり、排気配管部270は、第1貯留槽210から水蒸気及び気体GAを排出する。なお、水蒸気及び気体GAの排出に限られず、排気配管部270による第1貯留槽210からの排気は、継続して常時行われている。
【0121】
次に、工程S4において、制御装置U4は、第1計測部212の計測結果に基づいて、処理液LQの濃度が目標値に到達したか否かを判定する。
【0122】
工程S4で処理液LQの濃度が目標値に到達していないと判定された場合は、処理は、処理液LQの濃度が目標値に到達したと判定されるまで工程S4を繰り返す。
【0123】
一方、工程S4で処理液LQの濃度が目標値に到達したと判定された場合は、処理は、工程S5に進む。
【0124】
工程S5において、制御装置U4は、第1貯留槽210から第2貯留槽310への処理液LQの供給タイミングが到来したか否かを判定する。処理液LQの供給タイミングは、例えば、第2貯留槽310の処理液LQの量が所定値以下になった時である。
【0125】
工程S5で供給タイミングが到来していないと判定された場合、処理は、供給タイミングが到来したと判定されるまで工程S5を繰り返す。
【0126】
一方、工程S5で供給タイミングが到来したと判定された場合、処理は、工程S6に進む。
【0127】
工程S6において、制御装置U4によるバルブ214、220の制御によって、第1貯留槽210は、第2貯留槽310に処理液LQを供給する。つまり、第1貯留槽210から第2貯留槽310に処理液LQが供給される。
【0128】
次に、工程S7において、制御装置U4の制御によって、第2ヒーター316は、第2貯留槽310に貯留される処理液LQの温度を調節して、間接的に、処理液LQの濃度を目標値に維持する。
【0129】
工程S8において、制御装置U4によるバルブ314の制御によって、第2貯留槽310は、基板処理部1(具体的には処理槽3)に処理液LQを供給する。つまり、第2貯留槽310から基板処理部1(具体的には処理槽3)に処理液LQが供給される。
【0130】
ここで、第2貯留槽310から処理槽3への処理液LQの供給目的は、基板Wの処理により処理槽3に貯留された処理液LQ中のシリコン濃度の上昇を抑制して、処理槽3においてシリコン濃度を目標値に維持することである。このため、例えば、処理槽3の処理液LQの液量に依存することなく、過去実績に基づいてシリコン濃度を目標値に維持するために必要な量の処理液LQが、シリコン濃度を希釈するために、第2貯留槽310から処理槽3へ継続して供給される。なお、第1貯留槽210及び第2貯留槽310に貯留された処理液LQはシリコンを含んでいない。
【0131】
なお、例えば、インラインで継続して処理液LQ中のシリコン濃度を測定できる測定機器がある場合は、測定機器による測定結果に基づいて、シリコン濃度が目標値を超えて上昇した際に第2貯留槽310から処理槽3に処理液LQを供給し、シリコン濃度が目標値まで下がった際に処理液LQの供給を停止することもできる。
【0132】
次に、工程S9において、制御装置U4の制御によって、搬送ロボット(不図示)が基板Wを基板処理部1の基板保持部(不図示)に搬送し、更に、基板保持部は、処理槽3の処理液LQに複数の基板Wを浸漬して、処理液LQによって複数の基板Wを処理する。
【0133】
次に、工程S10において、制御装置U4の制御によって、基板処理部1の基板保持部(不図示)は、処理槽3の処理液LQから複数の基板Wを引き上げ、更に、搬送ロボット(不図示)が基板保持部から基板Wを受け取って搬送する。そして、基板処理方法が終了する。
【0134】
以上、
図4を参照して説明したように、実施形態1に係る基板処理方法では、第1貯留槽210に貯留する処理液LQを基準沸点以上に加熱することと並行して、第1貯留槽210に貯留する処理液LQに、水分の蒸発を促進する気体GAを供給することと、第1貯留槽210から水蒸気及び気体GAを排気することとを実行している。従って、処理液LQから水分の蒸発が促進されて、処理液LQの濃度を早く目標値に到達させることができる。
【0135】
(実施形態2)
図5及び
図6を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理システム100Aを説明する。実施形態2に係る基板処理システム100Aの基板処理部1Aが、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型である点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0136】
図5は、実施形態2に係る基板処理システム100Aを示す模式図である。
図5に示すように、基板処理システム100Aは、
図1に示す処理装置U1に代えて、処理装置U1Aを備える。処理装置U1Aは、複数の基板処理部1Aを含む。複数の基板処理部1Aの各々は、チャンバー400と、ノズル401と、スピンチャック402と、スピンモーター403と、カップ404とを含む。
【0137】
チャンバー400は、ノズル401、スピンチャック402、スピンモーター403、及び、カップ404を収容する。スピンモーター403は、回転軸線の回りにスピンチャック402を回転させる。その結果、スピンチャック402は、基板Wを水平に保持しながら、回転軸線の回りに基板Wを回転させる。回転軸線は鉛直方向に略平行である。ノズル401は、処理液温調装置U2から供給される処理液LQを、回転中の基板Wに吐出する。カップ404は、回転軸線に対する周方向に沿ってスピンチャック402を囲んでいる。カップ404は、基板Wから飛散した処理液LQを受け止めて、処理液LQを回収又は排出する。
【0138】
処理液温調装置U2は、複数のバルブ314にそれぞれ対応する複数の流量計391と、複数のバルブ314にそれぞれ対応する複数の流量調整バルブ392とを備える。流量計391及び流量調整バルブ392は、バルブ314よりも配管P3の下流に配置される。
【0139】
流量計391は、配管P3を流れる処理液LQの流量を検出して、流量を示す検出信号を出力する。流量調整バルブ392、配管P3を流れる処理液LQの流量を調整する。バルブ314は、配管P3を開放又は閉塞して、ノズル401に対して処理液LQの供給開始と供給停止とを切り替える。
【0140】
実施形態2に係る基板処理システム100Aは、実施形態1に係る基板処理システム100と同様に、第1温調ユニット200を備える。従って、実施形態2では、実施形態1と同様に、第1貯留槽210の処理液LQの濃度を目標値に早く到達させることができる。また、実施形態2に係る基板処理システム100Aは、実施形態1に係る基板処理システム100と同様に、第2温調ユニット300を備える。従って、実施形態2では、実施形態1と同様に、第2循環配管P9に流れる処理液LQの流量を適切に制御できる。さらに、実施形態2では、基板処理システム100Aは複数の基板処理部1A(例えば、12個~24個)を有しているため、処理液LQの使用量が多くなる。しかしながら、実施形態2では、実施形態1と同様に、処理液LQの濃度を目標値に早く到達させることができるので、基板処理システム100Aが複数の基板処理部1Aを有している場合であっても、第2貯留槽310から各基板処理部1Aへ、濃度が目標値に到達した処理液LQを所望の流量で安定して供給できる。その他、実施形態2に係る基板処理システム100Aは、実施形態1に係る基板処理システム100と同様の効果を有する。
【0141】
なお、
図5では、図面の簡略化のために、
図1に示す配管P4、P5、P8、P10、バルブ221、222、223、224、320、第1計測部212、及び、第2計測部312を省略している。
【0142】
次に、
図6を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理方法を説明する。
図6は、実施形態2に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図6に示すように、基板処理方法は、工程S21~工程S31を含む。基板処理方法は、基板処理システム100Aによって実行される。そして、基板処理方法は、回転中の基板Wに対して処理液LQを吐出して、基板Wを処理する。また、工程S21~工程S29は、「処理液温調方法」の一例に相当する。
【0143】
図6に示すように、工程S21~工程S27の処理は、
図4に示す工程S1から工程S7の処理と同様であり、説明を省略する。
【0144】
次に、工程S28において、制御装置U4は、複数の基板処理部1Aのうちのいずれかの基板処理部1A(具体的にはノズル401)への処理液LQの供給タイミングが到来したか否かを判定する。処理液LQの供給タイミングは、例えば、ノズル401から基板Wへの処理液LQの吐出タイミングである。
【0145】
工程S28で供給タイミングが到来していないと判定された場合、処理は、供給タイミングが到来したと判定されるまで工程S28を繰り返す。
【0146】
一方、工程S28で供給タイミングが到来したと判定された場合、処理は、工程S29に進む。
【0147】
工程S29において、制御装置U4によるバルブ314の制御によって、第2貯留槽310は、基板処理部1A(具体的にはノズル401)に処理液LQを供給する。つまり、第2貯留槽310から基板処理部1(具体的にはノズル401)に処理液LQが供給される。
【0148】
次に、工程S30において、基板処理部1のノズル401は、回転中の基板Wに処理液LQを吐出して、処理液LQによって基板Wを処理する。
【0149】
具体的には、ノズル401が基板Wに処理液LQを吐出する前に、搬送ロボット(不図示)により搬送された基板Wがスピンチャック402に保持される。そして、ノズル40は、スピンチャック402に保持されて回転している基板Wに処理液LQを吐出する。
【0150】
次に、工程S31において、制御装置U4の制御によって、搬送ロボット(不図示)は、基板処理部1Aのチャンバー400から基板Wを搬出する。そして、基板処理方法が終了する。
【0151】
以上、
図6を参照して説明したように、実施形態2に係る基板処理方法では、第1貯留槽210に貯留する処理液LQを基準沸点以上に加熱することと並行して、第1貯留槽210に貯留する処理液LQに、水分の蒸発を促進する気体GAを供給することと、第1貯留槽210から水蒸気及び気体GAを排気することとを実行している。従って、処理液LQから水分の蒸発が促進されて、処理液LQの濃度を早く目標値に到達させることができる。
【0152】
(実施形態3)
図7~
図10を参照して、本発明の実施形態3に係る基板処理システム100Bを説明する。実施形態3に係る基板処理システム100Bが、処理槽110にて処理液LQを基準沸点以上に加熱する点で、実施形態3は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態3が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0153】
まず、
図7を参照して、基板処理システム100Bを説明する。
図7は、実施形態3に係る基板処理システム100Bを示す模式的断面図である。基板処理システム100Bは、バッチ式であり、処理液LQによって複数の基板Wを一括して処理する。基板処理システム100Bは、「処理液温調装置」の一例に相当する。
【0154】
図7に示すように、基板処理システム100Bは、処理槽110と、基板保持部120と、複数の循環処理液供給部材130と、循環部140と、処理液供給部150と、希釈液供給部160と、排液部170と、気体供給機構250と、排気配管部270と、気体供給ユニット280Aと、制御装置U4とを備える。実施形態3では、処理槽110が「基板処理部」に相当する。
【0155】
処理槽110は、処理液LQを貯留する。そして、処理槽110は、処理液LQに複数の基板Wを浸漬して、複数の基板Wを処理する。処理槽110は、「第1貯留槽」の一例に相当する。
【0156】
基板保持部120は、複数の基板Wを保持する。基板保持部120は、リフターを含む。基板保持部120は、処理槽110に貯留された処理液LQに、間隔をあけて整列した複数の基板Wを浸漬する。複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110に処理液LQを供給する。循環部140は、処理槽110に貯留されている処理液LQを循環させて、処理液LQを循環処理液供給部材130の各々に供給する。処理液供給部150は、処理液LQを処理槽110に供給する。希釈液供給部160は、希釈液を処理槽110に供給する。排液部170は、処理槽110の処理液LQを排出する。希釈液は、例えば、水である。その他、希釈液は、実施形態1に係る希釈液と同様である。
【0157】
気体供給ユニット280Aは、処理槽110の処理液LQ中に、気体供給機構250から供給される気体GAを供給する。具体的には、気体供給ユニット280Aは、処理槽110の処理液LQ中に気体GAの気泡BBを供給する。気体GAは、例えば、不活性ガスである。気体GAは、例えば、基準沸点以上に加熱された処理液LQから水分の蒸発を促進する気体である。その他、気体GAは、実施形態1に係る気体GAと同じである。
【0158】
気体供給機構250は気体GAを気体供給ユニット280Aに供給する。排気配管部270は、処理槽110から水蒸気及び気体GAを排気する。制御装置U4は、基板処理システム100Bの各構成を制御する。例えば、制御装置U4は、基板保持部120、循環部140、処理液供給部150、希釈液供給部160、排液部170、及び、気体供給機構250を制御する。
【0159】
具体的には、処理槽110は、内槽112及び外槽114を含む二重槽構造を有している。内槽112及び外槽114はそれぞれ上向きに開いた上部開口を有する。内槽112は、処理液LQを貯留し、複数の基板Wを収容可能に構成される。外槽114は、内槽112の上部開口の外側面に設けられる。外槽114の上縁の高さは、内槽112の上縁の高さよりも高い。
【0160】
処理槽110は、蓋116をさらに有する。蓋116は、内槽112の上部開口に対して開閉可能である。蓋116が閉じることにより、蓋116は、内槽112の上部開口を塞ぐことができる。
【0161】
蓋116は、開戸部116aと、開戸部116bとを有する。開戸部116aは、内槽112の上部開口のうちの一方側に位置する。開戸部116aは、内槽112の上縁近傍に配置されており、内槽112の上部開口に対して開閉可能である。開戸部116bは、内槽112の上部開口のうちの他方側に位置する。開戸部116bは、内槽112の上縁近傍に配置されており、内槽112の上部開口に対して開閉可能である。開戸部116a及び開戸部116bが閉じて内槽112の上部開口を覆うことにより、処理槽110の内槽112を塞ぐことができる。
【0162】
基板保持部120は、複数の基板Wを保持した状態で鉛直上方又は鉛直下方に移動する。基板保持部120が鉛直下方に移動することにより、基板保持部120によって保持されている複数の基板Wは、内槽112に貯留されている処理液LQに浸漬される。
【0163】
基板保持部120は、本体板122と、保持棒124とを含む。本体板122は、鉛直方向(Z方向)に延びる板である。保持棒124は、本体板122の一方の主面から水平方向(Y方向)に延びる。
図7の例では、3つの保持棒124が本体板122の一方の主面から水平方向に延びる。複数の基板Wは、間隔をあけて整列した状態で、複数の保持棒124によって各基板Wの下縁が当接されて起立姿勢(鉛直姿勢)で保持される。
【0164】
基板保持部120は、昇降ユニット126をさらに含んでもよい。昇降ユニット126は、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112内に位置する処理位置(
図8(b)に示す位置)と、基板保持部120に保持されている複数の基板Wが内槽112の上方に位置する退避位置(
図8(a)に示す位置)との間で本体板122を昇降させる。したがって、昇降ユニット126によって本体板122が処理位置に移動させられることにより、保持棒124に保持されている複数の基板Wが処理液LQに浸漬される。これにより、複数の基板Wに対して処理が施される。
【0165】
複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110の内槽112に処理液LQを供給する。複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110の内槽112の内部において、内槽112の底部110aに配置される。複数の循環処理液供給部材130の各々は、略筒形状を有する。複数の循環処理液供給部材130の各々は、例えば、管である。
【0166】
具体的には、複数の循環処理液供給部材130の各々は、複数の処理液吐出口Pを有する。
図7では、1つの循環処理液供給部材130に対して1つの処理液吐出口Pだけが表れている。複数の循環処理液供給部材130の各々は、複数の処理液吐出口Pから処理液LQを内槽112に供給する。なお、
図7では処理液吐出口Pは斜め上方を向いているがこれに限られず、処理液吐出口Pは、下方又は側方を向いていてもよい。
【0167】
循環部140は、配管141と、ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145、バルブ146、及び、計測部147を含む。ポンプ142、ヒーター143、フィルター144、調整バルブ145及びバルブ146は、この順番に配管141の上流から下流に向かって配置される。ヒーター143は、「第1温調部」の一例に相当する。
【0168】
配管141は、処理槽110から送出された処理液LQを再び処理槽110に導く。具体的には、配管141の上流端が外槽114に接続されている。従って、配管141は、外槽114から循環処理液供給部材130に処理液LQを導く。配管141の下流端に、複数の循環処理液供給部材130が接続される。
【0169】
ポンプ142は、配管141から複数の循環処理液供給部材130に処理液LQを送る。従って、循環処理液供給部材130は、配管141から供給された処理液LQを処理槽110に供給する。フィルター144は、配管141を流れる処理液LQをろ過する。
【0170】
ヒーター143は、配管141を流れる処理液LQの温度を加熱する。つまり、ヒーター143は、処理液LQの温度を調節する。
【0171】
具体的には、ヒーター143は、基板Wを処理液LQに浸漬して基板Wを処理する期間において、処理液LQの温度を、処理液LQの基準沸点よりも低い所定温度(以下、「所定温度TM」)に維持する。所定温度TMは一定の幅を有していてもよい。
【0172】
また、ヒーター143は、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、処理液LQの濃度を目標値に到達させる場合は、処理液LQの温度を、処理液LQの基準沸点以上に加熱する。
【0173】
詳細には、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、ヒーター143は、処理槽110に供給する処理液LQであって、基板Wを処理するための処理液LQを、処理液LQの基準沸点以上に加熱する。つまり、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、ヒーター143は、配管141に流れる処理液LQを、処理液LQの基準沸点以上に加熱する。さらに、基板処理システム100Bは、処理槽110での制御条件に従って、希釈液供給源TKBから希釈液を処理槽110に補充しつつ、処理液LQの濃度を目標値に到達させる。
【0174】
処理液LQの基準沸点とは、配管141からではなく、処理液供給源TKAから処理槽110に新規に供給される処理液LQの濃度での沸点のことである。
【0175】
その他、ヒーター143は、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、実施形態1に係る第1ヒーター216と同様に動作する。
【0176】
調整バルブ145は、配管141の開度を調節して、複数の循環処理液供給部材130に供給される処理液LQの流量を調整する。バルブ146は配管141を開閉する。
【0177】
計測部147は、配管141を流れる処理液LQの濃度を示す物理量を計測する。処理液LQの濃度を示す物理量の定義は、実施形態1の場合と同様である。従って、計測部147は、濃度計又は比重計である。なお、計測部147は、処理槽110(内槽112又は外槽114)に貯留された処理液LQの濃度を示す物理量を計測してもよい。配管141を流れる処理液LQの濃度及び温度は、それぞれ、処理槽110に貯留された処理液LQの濃度及び温度と、略同じである。
【0178】
処理液供給部150は、ノズル152と、配管154と、バルブ156とを含む。ノズル152は処理液LQを外槽114に吐出する。ノズル152は、配管154に接続される。配管154には、処理液供給源TKAからの処理液LQが供給される。配管154には、バルブ156が配置される。
【0179】
バルブ156が開かれると、ノズル152から吐出された処理液LQが、外槽114内に供給される。そして、処理液LQは、外槽114から、配管141を通って、循環処理液供給部材130から、内槽112に供給される。
【0180】
希釈液供給部160は、ノズル162と、配管164と、バルブ166とを含む。ノズル162は、希釈液を外槽114に吐出する。ノズル162は、配管164に接続される。配管164には、希釈液供給源TKBからの希釈液が供給される。配管164には、バルブ166が配置される。バルブ166が開かれると、ノズル162から吐出された希釈液が、外槽114内に供給される。
【0181】
例えば、制御装置U4は、処理液LQの濃度を目標値にするために、計測部147による計測結果に基づいてバルブ166を開放して、希釈液供給源TKBから処理槽110に希釈液を供給することがある。
【0182】
排液部170は、排液配管170aと、バルブ170bとを含む。そして、処理槽110の内槽112の底壁には、排液配管170aが接続される。排液配管170aにはバルブ170bが配置される。バルブ170bが開くことにより、内槽112内に貯留されている処理液LQは排液配管170aを通って外部に排出される。排出された処理液LQは排液処理装置(図示しない)へと送られ、処理される。
【0183】
気体供給ユニット280Aは、処理槽110の内部に配置される。具体的には、気体供給ユニット280Aは、少なくとも1つの気体供給部材180と、少なくとも1つの支持部材185とを含む。実施形態3では、気体供給ユニット280Aは、複数の気体供給部材180と、複数の支持部材185とを含む。
【0184】
複数の気体供給部材180及び複数の支持部材185は、処理槽110の内部に配置される。詳細には、複数の気体供給部材180は、処理槽110の内部において、処理槽110の底部110aに配置される。具体的には、複数の気体供給部材180は、処理槽110の内槽112に配置される。詳細には、複数の気体供給部材180は、内槽112の内部において、内槽112の底部110aに配置される。
【0185】
複数の気体供給部材180の各々は、対応する支持部材185によって支持される。具体的には、複数の気体供給部材180の各々は、対応する支持部材185に固定される。従って、気体供給部材180の変形を抑制できる。複数の支持部材185は、処理槽110の底部110aに固定される。具体的には、複数の支持部材185は、内槽112の底部110aに固定される。
【0186】
複数の気体供給部材180の各々は、略筒形状を有する。気体供給部材180の各々は、例えば、管である。気体供給部材180の材質は、例えば、石英、又は、樹脂である。複数の気体供給部材180の各々は、流路FW0を有する。
【0187】
気体供給機構250は、気体供給源263から供給される気体GAを、配管261から、各気体供給部材180に供給する。その他、気体供給機構250の構成は、実施形態1に係る気体供給機構250の構成と同様である。
【0188】
そして、気体供給部材180は、処理槽110(具体的には内槽112)に貯留された処理液LQに気体GAを供給する。具体的には、気体供給部材180は、上方に向けて、つまり、処理液LQの液面に向けて、気体GAを処理液LQに供給する。この場合、気体供給部材180は、気体GAを気泡BBとして処理液LQに供給する。気体供給部材180は、例えば、バブラーである。
【0189】
具体的には、気体供給部材180は、基板Wを処理液LQに浸漬して基板Wを処理する期間において、処理槽110に貯留された処理液LQであって、基準沸点よりも低い所定温度TMの処理液LQに対して、気体を供給する。
【0190】
また、気体供給部材180は、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、処理液LQの濃度を目標値に到達させる場合は、処理槽110に貯留された処理液LQであって、基準沸点以上に加熱された処理液LQに気体GAを供給する。
【0191】
また、複数の気体供給部材180の各々は、複数の気体供給口Gをさらに有する。
図7では、1つの気体供給部材180に対して1つの気体供給口Gだけが表れている。具体的には、複数の気体供給部材180の各々は、略筒状の突起182を有している。そして、突起182に気体供給口Gが設けられる。
【0192】
気体供給部材180は、基板Wを処理液LQに浸漬して基板Wを処理する期間において、処理槽110(具体的には内槽112)に貯留された処理液LQであって、基準沸点よりも低い所定温度TMに維持された処理液LQに向けて、複数の気体供給口Gから気体GAを供給する。
【0193】
また、気体供給部材180は、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、処理液LQの濃度を目標値に到達させる場合は、処理槽110(具体的には内槽112)に貯留された処理液LQであって、基準沸点以上に加熱された処理液LQに向けて、複数の気体供給口Gから気体GAを供給する。具体的には、この場合は、気体供給部材180は、処理槽110(具体的には内槽112)に貯留された処理液LQであって、基準沸点以上に加熱された処理液LQに向けて、複数の気体供給口Gから、気体GAを複数の気泡BBとして供給する。
【0194】
その他、気体供給部材180及び気体供給口Gの構成及び動作は、実施形態1に係る気体供給部材281及び気体供給口Gの構成及び動作と同様である。
【0195】
排気配管部270は、処理槽110の上部に接続される。
図7の例では、排気配管部270は、蓋116に接続される。排気配管部270は、基板Wを処理液LQに浸漬して基板Wを処理する期間において、処理槽110から気体を排出する。
【0196】
また、排気配管部270は、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、処理液LQの濃度を目標値に到達させる場合は、処理槽110(具体的には内槽112)から水蒸気及び気体を排気する。排気される気体は、気体供給部材180から処理液LQ中に供給された気体GAであって、処理液LQの液面から出てきた気体GAである。また、排気される水蒸気は、基準沸点以上に加熱された処理液LQに含まれる水分が蒸発して発生する水蒸気であって、処理液LQの液面から出てきた水蒸気である。排気配管部270は、連結部材271と、排気配管273を含む。その他、排気配管部270の構成は、実施形態1に係る排気配管部270の構成と同様である。
【0197】
制御装置U4は、昇降ユニット126、バルブ146、調整バルブ145、ヒーター143、ポンプ142、バルブ156、バルブ166、バルブ170b、及び、気体供給機構250を制御する。
【0198】
以上、
図7を参照して説明したように、実施形態3によれば、処理液LQに基板Wが浸漬されていない期間において、気体供給部材180は、ヒーター143によって基準沸点以上に加熱された処理液LQに対して、水分の蒸発を促進する気体GAを供給する。これにより、処理液LQ中の水分の蒸発が促進される。その結果、気体GAを供給しない場合と比較して、処理槽110において処理液LQの濃度を目標値に早く到達させることができる。
【0199】
また、実施形態3では、気体供給部材180は、処理液LQに基板Wが浸漬されていない期間において、処理槽110の処理液LQに、気体GAの気泡BBを供給している。従って、実施形態1と同様に、処理液LQの液面に向かって上昇する気泡BBによって、処理液LQ中の水分の蒸発を更に促進できる。その他、実施形態3では、実施形態1と同様の効果を有する。
【0200】
また、実施形態3では、処理液LQは「燐酸を含有する液体」であることが好ましい。この点は、実施形態1と同様である。
【0201】
特に、実施形態3では、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、ヒーター143は、処理槽110に貯留された処理液LQの一部又は全部が排出されて、処理液LQの一部又は全部を新たな処理液LQに入れ替えた後に、処理液LQを基準沸点以上に加熱することが好ましい。新たな処理液LQは、処理液供給源TKAから供給される処理液であって、配管141から供給される処理液とは異なる。加えて、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、各気体供給部材180は、処理槽110に貯留された処理液LQの一部又は全部が排出されて、処理液LQの一部又は全部を新たな処理液LQに入れ替えた後に、処理槽110に貯留された処理液LQに気体を供給することが好ましい。
【0202】
これらの好ましい例では、処理槽110に貯留された処理液LQの一部又は全部が排出されて、処理液LQの一部又は全部を新たな処理液LQに入れ替えた後に、処理液LQの濃度を早く目標値に到達させることができる。その結果、基板処理システム100Bの稼働率を向上させることができる。
【0203】
例えば、処理槽110の処理液LQ中の特定成分(例えばシリコン)の濃度を下げる場合に、処理槽110に貯留された処理液LQの一部が排出されて、処理液LQの一部を新たな処理液LQに入れ替える。
【0204】
例えば、処理槽110を洗浄する場合に、処理槽110に貯留された処理液LQの全部が排出されて、処理液LQの全部を新たな処理液LQに入れ替える。
【0205】
また、実施形態3では、基板Wを処理液LQに浸漬して基板Wを処理する期間において、各気体供給部材180は、複数の気体供給口Gから処理液LQに気体GAを吹き出すことで、複数の気体供給口Gから処理液LQに浸漬された複数の基板Wに向けて複数の気泡BBを供給する。従って、多数の気泡BBによって、各基板Wの表面に接触する処理液LQを新鮮な処理液LQに効果的に置換できる。その結果、基板Wの表面に、凹部を含む表面パターンが形成されている場合に、拡散現象によって凹部内の処理液LQを新鮮な処理液LQに効果的に置換できる。よって、表面パターンの凹部内の壁面を、浅い位置から深い位置まで処理液LQによって効果的に処理できる。
【0206】
次に、
図8を参照して、基板Wを処理槽110に浸漬する前及び後の基板処理システム100Bを説明する。
図8(a)及び
図8(b)は、基板Wを処理槽110に投入する前及び後の基板処理システム100Bの模式的斜視図である。なお、
図8では、図面が過度に複雑になることを避けるために、
図7に示した蓋116及び処理槽110内の処理液LQを省略して示している。
【0207】
図8(a)に示すように、基板保持部120は、複数の基板Wを保持する。複数の基板Wは、第1方向D10(Y方向)に沿って一列に配列される。換言すれば、第1方向D10は、複数の基板Wの配列方向を示す。第1方向D10は、水平方向に略平行である。また、複数の基板Wの各々は、第2方向D20に略平行である。第2方向D20は、第1方向D10に略直交し、水平方向に略平行である。
【0208】
図8(a)では、基板保持部120は、処理槽110の内槽112の上方に位置する。基板保持部120は、複数の基板Wを保持したまま鉛直下方(Z方向)に下降する。これにより、複数の基板Wが処理槽110に投入される。
【0209】
図8(b)に示すように、基板保持部120が処理槽110にまで下降すると、複数の基板Wは、処理槽110内の処理液LQに浸漬する。なお、
図8(b)には図示していないが、
図7に示したように、内槽112の上部開口は蓋116によって塞がれる。
【0210】
次に、
図9を参照して、気体供給ユニット280Aを説明する。
図9は、気体供給ユニット280Aを示す模式的平面図である。
図9に示すように、気体供給ユニット280Aの気体供給部材180及び循環処理液供給部材130は、平面視において、互いに略平行に、かつ、間隔をあけて配置される。平面視において、2つの循環処理液供給部材130のうちの一方は、2つの気体供給部材180の間に配置される。また、平面視において、2つの循環処理液供給部材130のうちの他方は、他の2つの気体供給部材180の間に配置される。さらに、平面視において、4つの気体供給部材180のうち、真ん中の2つの気体供給部材180は、第2方向D20に対向している。
【0211】
具体的には、複数の循環処理液供給部材130は、処理槽110(具体的には内槽112)において、互いに略平行に、かつ、第2方向D20に間隔をあけて配置される。循環処理液供給部材130は、第1方向D10に延びている。複数の循環処理液供給部材130の各々において、複数の処理液吐出口Pは、第1方向D10に間隔をあけて略一直線上に配置される。
【0212】
複数の気体供給部材180は、処理槽110(具体的には内槽112)において、互いに略平行に、かつ、第2方向D20に間隔をあけて配置される。気体供給部材180は、第1方向D10に延びている。複数の気体供給部材180の各々において、複数の気体供給口Gは、第1方向D10に間隔をあけて略一直線上に配置される。複数の気体供給部材180の各々において、各気体供給口Gは、気体供給部材180の上面部に設けられる。そして、各気体供給口Gは、処理槽110(具体的には内槽112)の底部110aにおいて上方に向けて気泡BBを供給する。なお、気体供給口Gから気泡BBを供給できる限りにおいては、気体供給口Gの位置は特に限定されない。また、複数の気体供給部材180において、複数の気体供給口Gは、等間隔に配置されていてもよいし、不当間隔に配置されていてもよい。
【0213】
複数の気体供給部材180の各々は、第1端部180aと、第2端部180bとを有する。第1端部180aは、第1方向D10における気体供給部材180の両端部のうちの一方端部である。第2端部180bは、第1方向D10における気体供給部材180の両端部のうちの他方端部である。
【0214】
第1端部180aには、配管261が接続される。従って、気体供給機構250は、気体供給源263から供給される気体GAを、配管261から、各気体供給部材180に供給する。第2端部180bは閉塞されている。その他、気体供給部材180の構成は、実施形態1に係る気体供給部材281の構成と同様である。
【0215】
複数の支持部材185は、処理槽110(具体的には内槽112)において、互いに略平行に、かつ、第2方向D20に間隔をあけて配置される。支持部材185は、第1方向D10に延びている。支持部材185は、
図9の例では、略平板形状を有する。気体供給ユニット280Aの第2方向D20の一方端に位置する支持部材185は1つの気体供給部材180を支持し、他方端に位置する支持部材185は1つの気体供給部材180を支持する。真ん中の支持部材185は、2つの気体供給部材180を支持する。
【0216】
次に、
図8及び
図10を参照して、本発明の実施形態3に係る基板処理方法を説明する。
図10は、実施形態31に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図10に示すように、基板処理方法は、工程S41~工程S51を含む。基板処理方法は、基板処理システム100Bによって実行される。そして、基板処理方法は、処理槽110に貯留された処理液LQに、間隔をあけて整列された複数の基板Wを浸漬して、複数の基板Wを処理液LQによって処理する。また、工程S41~工程S47は、「処理液温調方法」の一例に相当する。
【0217】
図8及び
図10に示すように、工程S41において、制御装置U4は、温調タイミングが到来したか否かを判定する。温調タイミングは、基板Wが処理液LQに浸漬されていない期間において、処理槽110に貯留された処理液LQの一部又は全部を排出して、処理液LQの一部又は全部を新たな処理液LQに入れ替えた後のタイミングである。
【0218】
工程S41で温調タイミングが到来していないと判定された場合は、処理は、温調タイミングが到来したと判定されるまで工程S41を繰り返す。
【0219】
一方、工程S41で温調タイミングが到来したと判定された場合は、処理は、工程S42に進む。
【0220】
工程S42において、制御装置U4の制御によって、ヒーター143は、処理液LQの加熱を開始する。具体的には、ヒーター143は、基板Wを処理するための処理液LQを、処理液LQの基準沸点以上に加熱する。
【0221】
次に、工程S43において、制御装置U4による気体供給機構250の制御によって、各気体供給部材180は、処理槽110に貯留された処理液LQに気体GA(具体的には気泡BB)を供給することを開始する。つまり、各気体供給部材180は、基準沸点以上に加熱された処理液LQからの水分の蒸発を促進する気体GA(具体的には気泡BB)を、処理槽110に貯留された処理液LQに供給する。
【0222】
次に、工程S44において、排気配管部270は、処理槽110の処理液LQの液面から出てくる水蒸気及び気体GAを排出する。つまり、排気配管部270は、処理槽110から水蒸気及び気体GAを排出する。なお、水蒸気及び気体GAの排出に限られず、排気配管部270による処理槽110からの排気は、継続して常時行われている。
【0223】
次に、工程S45において、制御装置U4は、計測部147の計測結果に基づいて、処理液LQの濃度が目標値に到達したか否かを判定する。
【0224】
工程S45で処理液LQの濃度が目標値に到達していないと判定された場合は、処理は、処理液LQの濃度が目標値に到達したと判定されるまで工程S45を繰り返す。
【0225】
一方、工程S45で処理液LQの濃度が目標値に到達したと判定された場合は、処理は、工程S46に進む。
【0226】
工程S46において、制御装置U4の制御によって、ヒーター143は、処理槽110に貯留される処理液LQの温度を調節して、間接的に、処理液LQの濃度を目標値に維持する。つまり、ヒーター143は、配管141に流れる処理液LQの温度を調節して、間接的に、処理液LQの濃度を目標値に維持する。具体的には、ヒーター143は、処理液LQの温度を基準沸点以上の所定温度に維持する。そして、処理液LQの温度が基準沸点以上の所定温度に維持された状態で、計測部147の計測結果に基づいてバルブ166、配管164、及び、ノズル162を通して希釈液供給源TKBから処理槽110に希釈液を供給することで、処理液LQの濃度が目標値に維持される。
【0227】
次に、工程S47において、制御装置U4による気体供給機構250の制御によって、各気体供給部材180は、処理槽110に貯留された処理液LQに対する気体GA(具体的には気泡BB)の供給を停止する。
【0228】
次に、工程S48において、制御装置U4は、複数の処理槽110のうちのいずれかの処理槽110において、基板浸漬タイミングが到来したか否かを判定する。基板浸漬タイミングは、処理液LQに基板Wを浸漬するタイミングである。
【0229】
工程S48で基板浸漬タイミングが到来していないと判定された場合、処理は、基板浸漬タイミングが到来したと判定されるまで工程S48を繰り返す。
【0230】
一方、工程S48で基板浸漬タイミングが到来したと判定された場合、処理は、工程S49に進む。
【0231】
工程S49において、制御装置U4の制御によって、搬送ロボット(不図示)が基板Wを基板保持部120に搬送し、更に、基板保持部120は、処理槽110の処理液LQに複数の基板Wを浸漬して、処理液LQによって複数の基板Wを処理する。
【0232】
次に、工程S50において、制御装置U4による気体供給機構250の制御によって、各気体供給部材180は、処理槽110において処理液LQに浸漬された複数の基板Wに気体GA(具体的には気泡BB)を供給する。
【0233】
次に、工程S51において、制御装置U4の制御によって、基板保持部120は、処理槽110の処理液LQから複数の基板Wを引き上げ、更に、搬送ロボット(不図示)が基板保持部120から基板Wを受け取って搬送する。そして、基板処理方法が終了する。
【0234】
以上、
図10を参照して説明したように、実施形態3に係る基板処理方法では、処理槽110に貯留する処理液LQを基準沸点以上に加熱することと並行して、処理槽110に貯留する処理液LQに、水分の蒸発を促進する気体GAを供給することと、処理槽110から水蒸気及び気体GAを排気することとを実行している。従って、処理液LQから水分の蒸発が促進されて、処理液LQの濃度を早く目標値に到達させることができる。
【0235】
次に、本発明が実施例に基づき具体的に説明されるが、本発明は以下の実施例によって限定されない。
【実施例】
【0236】
図7及び
図11を参照して、本発明の実施例1、実施例2、及び、比較例を説明する。実施例1及び実施例2では、
図7を参照して説明した基板処理システム100Bを使用した。比較例では、
図7を参照して説明した基板処理システム100Bに制限を加えて使用した。
【0237】
実施例1、実施例2、及び、比較例では、ヒーター143によって処理液LQを基準沸点以上に加熱した。処理液LQは燐酸水溶液であった。処理槽110の蓋116は閉じていた。
【0238】
実施例1では、気体供給機構250から4つの気体供給部材180に供給した気体GAの流量、つまり、基準沸点以上の温度に加熱した処理液LQに供給した気体GAの流量は、13リットル/分であった。気体GAは窒素であった。
【0239】
実施例2では、気体供給機構250から4つの気体供給部材180に供給した気体GAの流量、つまり、基準沸点以上の温度に加熱した処理液LQに供給した気体GAの流量は、20リットル/分であった。気体GAは窒素であった。
【0240】
比較例では、基準沸点以上の温度に加熱した処理液LQに対して、気体GAを供給しなかった。
【0241】
実施例1、実施例2、及び、比較例では、希釈液供給部160によって純水を0.3リットル/分の流量で継続して補充した。そして、処理液LQの比重を計測部147によって計測した。計測部147は、配管141を循環する処理液LQではなく、内槽112の処理液LQの比重を計測した。比重の計測結果に基づいて、実施例1、実施例2、及び、比較例における純水蒸発能力を確認した。純水蒸発能力とは、処理液LQから純水の水分を蒸発できる能力のことである。一定流量で純水を補充しているため、純水蒸発能力が高いと、処理液LQの比重が一定に維持され、純水蒸発能力が低いと、処理液LQの比重が一定に維持されないことが予測できる。
【0242】
図11は、本発明の実施例1、実施例2、及び、比較例に係る処理液LQの比重値の時間変化を示すグラフである。
図11において、横軸は時間を示し、縦軸は比重値を示している。
【0243】
図11に示すように、プロットPL1は、実施例1において計測した処理液LQの比重値を示している。プロットPL2は、実施例2おいて計測した処理液LQの比重値を示している。プロットPL3は、比較例おいて計測した処理液LQの比重値を示している。
【0244】
比較例では、プロットPL3に示されるように、処理液LQの比重値の減少が止まらず、純水補充開始から数十分経過した時間t0において、ヒーター143による温調動作が停止した。理由は、次のように推測できた。すなわち、比較例では、純水蒸発能力が低いため、処理液LQの濃度が低くなって、処理液LQの沸点が低くなった。その結果、処理液LQが突沸して、水蒸気が大量に発生して、ヒーター143が過熱した。よって、ヒーター143による温調動作が停止した。
【0245】
これに対して、実施例1及び実施例2では、純水を継続して補充しているにも関わらず、時間t0以降において、処理液LQの比重値が、沸騰近傍で概ね安定して概ね一定になった。従って、実施例1及び実施例2では、比較例よりも、純水蒸発能力が高いことが確認できた。つまり、基準沸点以上の温度に加熱した処理液LQに気体GAを供給することで、純水蒸発能力を向上できることを確認できた。実施例1及び実施例2では、純水蒸発能力が向上したため、処理液LQの濃度を、比較例よりも早く目標値に到達させることができることを推測できた。
【0246】
特に、気体GAの流量が多い実施例2では、実施例1よりも、処理液LQの比重値が安定していた。
【0247】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び実施例について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態及び実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0248】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0249】
本発明は、処理液温調方法、基板処理方法、処理液温調装置、及び、基板処理システムに関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0250】
1、1A 基板処理部
100、100A 基板処理システム
100B 基板処理システム(処理液温調装置)
110 処理槽(第1貯留槽)
180、281 気体供給部材
143 ヒーター(第1温調部)
216 第1ヒーター(第1温調部)
210 第1貯留槽
270 排気配管部
273 排気配管
316 第2ヒーター(第2温調部)
310 第2貯留槽
U2 処理液温調装置
W 基板