(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】点検口
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
E04F19/08 101K
(21)【出願番号】P 2020057191
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000110479
【氏名又は名称】ナカ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【氏名又は名称】村田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100166327
【氏名又は名称】舟瀬 芳孝
(74)【代理人】
【識別番号】100106644
【氏名又は名称】戸塚 清貴
(72)【発明者】
【氏名】永谷 有弘
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2011/101953(JP,A1)
【文献】特開2018-131849(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0399171(KR,Y1)
【文献】特開平11-311017(JP,A)
【文献】登録実用新案第3202467(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1167005(KR,B1)
【文献】特開2008-095379(JP,A)
【文献】実公昭50-034611(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 19/08
E05C 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井または壁の表面において表面側フレーム部が点検開口を区画する外枠と、該外枠に回動可能に保持されてその回動によって該外枠の点検開口を開閉する蓋体と、該蓋体が前記外枠の点検開口を閉じた閉塞状態を保持するロック機構と、前記ロック機構が前記蓋体の閉塞状態を解放したとき、前記蓋体の回動を初期開動作の途中で規制する初期開き保持装置と、が備えられている点検口において、
前記初期開き保持装置が、前記蓋体の回動先端側の側面に設けられ、
前記初期開き保持装置には、ばね部、作動部、係止部及び係止解除部が備えられ、
前記作動部、前記係止部及び前記係止解除部は、前記蓋体の側面に対して拡縮可能な前記ばね部により、前記蓋体の側面から離間した状態で配置され、
前記係止部は、前記蓋体の初期開動作の途中において、前記表面側フレーム部に係止されて前記蓋体の初期開き状態を保持し、
前記係止解除部は、前記蓋体の閉塞状態において、前記表面側フレーム部が区画する前記点検開口の内方側に位置する一方、前記蓋体の初期開き状態において、前記点検開口よりも外方側に位置し、
前記蓋体の初期開き状態において、前記ばね部の付勢力に抗して前記係止解除部が操作されたときには、前記係止部が前記蓋体の側面に接近して、前記表面側フレーム部に対する前記係止部の係止を解除し、
前記蓋体が前記初期開き状態を超えて開かれた状態の下では、該蓋体の閉動作に伴い、前記作動部が前記表面側フレーム部に当接し、
前記作動部が前記表面側フレーム部に当接してからの前記蓋体のさらなる閉動作に伴い、該作動部が前記ばね部の付勢力に抗して該蓋体の側面に接近することにより、前記係止部が前記表面側フレーム部を
乗り越え、
前記初期開き保持装置には、前記蓋体の側面に固定される固定部が備えられ、
前記蓋体の閉塞状態において、前記ばね部は、前記固定部における背面側の端部から前記表面側フレーム部に向けて屈曲された形状であり、
前記初期開き保持装置には、前記固定部、前記ばね部、前記作動部、前記係止部及び前記係止解除部が、その順をもって連続的に備えられている、
ことを特徴とする点検口。
【請求項2】
請求項1において、
前記蓋体の閉塞状態において、前記作動部は、該蓋体の表面側に向かうに従って前記外枠の側面に接近するように延設された、
ことを特徴とする点検口。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記蓋体の閉塞状態において、前記係止部は、前記作動部から前記蓋体の側面に向けて段状に屈曲された形状である、
ことを特徴とする点検口。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項において、
前記蓋体の閉塞状態において、前記係止解除部が、前記蓋体の側面に対して所定間隔をあけて前記係止部から外方に向けて屈曲された形状である、
ことを特徴とする点検口。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
前記作動部は、前記蓋体が前記初期開き状態を超えて開かれた状態の下での前記表面側フレーム部に対する当接時においては、前記蓋体のさらなる閉動作に伴い、該表面側フレーム部に対して摺動するように設定されている、
ことを特徴とする点検口。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井又は壁に形成される点検口に関する。
【背景技術】
【0002】
天井又は壁には、その裏側の点検を行うべく点検口が設けられている。点検口は、一般に、天井又は壁の表面に設けられて点検開口を区画する外枠と、その外枠に対して回動可能(倒伏可能)に保持され、手で押すことにより前記外枠の点検開口を閉じた状態とする蓋体と、その蓋体に設けられて、前記外枠の点検開口が該蓋体により閉じられたとき、その状態を保持できるロック機構と、を備えるものとなっている。これによれば、外枠の開口が蓋体により閉じられている状態において、蓋体を手で支えつつロック機構を解除し、その蓋体を開く方向に回動させれば、外枠の点検開口を外部に開くことができる。これにより、外枠の点検開口を通じて天井又は壁の裏側の点検を行うことができる。
【0003】
ところで、上記場合において、蓋体を手で支えつつロック機構を解除し、蓋体を開く際、蓋体を手で支えないときがある。例えば、蓋体を手で支えることを忘れたり、蓋体に対して手を滑らせたりすることによって、蓋体を手で支えないような場合である。このようなときには、蓋体は、その回動支持点を中心として急に回動して、外枠に対して勢いよく開いてしまう。このため、点検口には、特許文献1に示すように、蓋体が急に勢いよく開くことを防止すべく、蓋体の側面において初期開き保持装置を組み込んだものが提案されている。その初期開き保持装置は、具体的には、蓋体の側面に支持軸をその蓋体の厚み方向に伸びるようにして取付けた上で、その支持軸に軸受を回動可能に支持し、その軸受に、外枠の点検開口を蓋体により閉じた際に外枠に当接する当接部と、その当接部が外枠に当接することにより外枠に係止可能となる係止部と、外枠に対する係止部の係止を解除する係止解除部と、を突設した構成とされている。
【0004】
この初期開き保持装置によれば、蓋体を回動(倒伏)させて外枠の点検開口を閉じる動作を行えば、それに伴い、当接部が外枠の表面側フレーム部により押圧され(
図4(a))、この当接部の押圧により軸受が支持軸を中心として回動される。この軸受の回動により、係止部の先端部が外枠内面に近づき、その係止部の先端部側は、外枠における表面側フレーム部が臨んでいる領域(上方領域)に位置する(
図4(b))。これにより、仮に、蓋体を手で支えなかったため蓋体の回動先端側が開方向の回動に転じたとしても、係止部が外枠の表面側フレーム部に係止されることになり、蓋体は、開動作途中で一旦、それ以上開くことが規制される(
図4(c))。この後、蓋体をさらに開かせる態勢が整ったときには、係止解除部が押圧され、その係止解除部の押圧により、係止部と外枠の表面側フレーム部との係止関係が解除され、外枠の点検開口が全開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記初期開き保持装置においては、支持軸に軸受が回動可能に支持され、その軸受に当接部、係止部及び係止解除部が設けられる構成であることから、地震等の振動等により軸受が支持軸を中心として回動して当接部、係止部及び係止解除部の位置が変位動されるおそれがある。このため、例えば、蓋体がロック機構によりロックされている状態において、振動等によって、当接部が、外枠における表面側フレーム部が臨む領域に変位動すると共に、係止部が、外枠における表面側フレーム部が臨む領域の外に変位動したときには、この後、ロック機構のロックを解除して蓋体を開こうとしても、蓋体を開くことができないばかりか、係止部が外枠の表面側フレーム部に対して係止可能な状態からずれることになる。
【0007】
また、上記初期開き保持装置においては、蓋体を外枠に対して回動(倒伏)させて外枠の点検開口を閉じる際には、外枠の表面側フレーム部先端(内端)により当接部が押圧され、その押圧により軸受が支持軸を中心としてわずかに回動され、その軸受のわずかな回動量により、係止部の先端部が、外枠における表面側フレーム部が臨む領域に位置される。このため、軸受のわずかの回動量により係止部の先端部が外枠の表面側フレーム部上に位置するためには、係止部を軸受から長く伸ばして、係止部先端部の変位動量を軸受のわずかな回動量であっても大きくしなければならない。結果、初期開き保持装置は、係止部の形状に基づき横方向(蓋体側面の伸び方向)に大きなものとならざるを得ない(
図3(c)、
図4(c)参照)。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、その目的は、蓋体が外枠の点検開口を急に全開することを規制する初期開き保持装置が組み込まれている点検口において、初期開き保持装置を極力コンパクトにすると共に、その初期開き保持装置の作動の信頼性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために本発明にあっては、下記(1)~(7)とした構成とされている。
【0010】
(1)天井または壁の表面において表面側フレーム部が点検開口を区画する外枠と、該外枠に回動可能に保持されてその回動によって該外枠の点検開口を開閉する蓋体と、該蓋体が前記外枠の点検開口を閉じた閉塞状態を保持するロック機構と、前記ロック機構が前記蓋体の閉塞状態を解放したとき、前記蓋体の回動を初期開動作の途中で規制する初期開き保持装置と、が備えられている点検口において、
前記初期開き保持装置が、前記蓋体の回動先端側の側面に設けられ、
前記初期開き保持装置には、ばね部、作動部、係止部及び係止解除部が備えられ、
前記作動部、前記係止部及び前記係止解除部は、前記蓋体の側面に対して拡縮可能な前記ばね部により、前記蓋体の側面から離間した状態で配置され、
前記係止部は、前記蓋体の初期開動作の途中において、前記表面側フレーム部に係止されて前記蓋体の初期開き状態を保持し、
前記係止解除部は、前記蓋体の閉塞状態において、前記表面側フレーム部が区画する前記点検開口の内方側に位置する一方、前記蓋体の初期開き状態において、前記点検開口よりも外方側に位置し、
前記蓋体の初期開き状態において、前記ばね部の付勢力に抗して前記係止解除部が操作されたときには、前記係止部が前記蓋体の側面に接近して、前記表面側フレーム部に対する前記係止部の係止を解除し、
前記蓋体が前記初期開き状態を超えて開かれた状態の下では、該蓋体の閉動作に伴い、前記作動部が前記表面側フレーム部に当接し、
前記作動部が前記表面側フレーム部に当接してからの前記蓋体のさらなる閉動作に伴い、該作動部が前記ばね部の付勢力に抗して該蓋体の側面に接近することにより、前記係止部が前記表面側フレーム部を乗り越える構成とされている。
【0011】
この構成によれば、蓋体に外力(手による支え)が作用しない状態でロック機構のロックを解除(アンロック)したときには、蓋体が重力に基づき外枠に対して回動して外枠の点検開口を急に開こうとするが、このときには、初期開き保持装置における係止部が外枠における表面側フレーム部に係止され、蓋体は、それ以上の回動が一旦、規制される。
【0012】
この場合、係止部及び係止解除部が、ばね部により、蓋体の側面から離間した状態で配置され、ばね部が、無負荷状態の下で、係止部及び係止解除部を保持していることから、振動等が生じても、ばね部は、その振動等により係止部及び係止解除部が変位動することを抑制する。このため、ロック機構のロックを解除したときに、初期開き保持装置が蓋体を開かないようにしたり、係止部が外枠の表面側フレーム部に臨む領域から位置ずれしたりするおそれをなくすことができ、初期開き保持装置の作動の信頼性を高めることができる。
【0013】
また、係止部が、蓋体の開動作に伴う該係止部の移動領域に外枠における表面側フレーム部が位置するように配置されるものであって、該係止部を回動させることにより外枠における表面側フレーム部上に位置させるものでないことから、係止部を横方向に長く伸ばす必要がない。このため、係止部を含む初期開き保持装置をコンパクトにすることができる。
【0014】
(2)前記(1)の構成の下で、
前記初期開き保持装置には、前記蓋体の側面に固定される固定部が備えられ、
前記蓋体の閉塞状態において、前記ばね部は、前記固定部における背面側の端部から前記表面側フレーム部に向けて屈曲された形状である構成としてある。
【0015】
この構成によれば、蓋体の側面に初期開き保持装置を具体的に取付けることができるばかりか、その取付けられた初期開き保持装置の中にばね部を、そのばね機能を確保しつつコンパクトに組込むことができる。
【0016】
(3)前記(2)の構成の下で、
前記初期開き保持装置には、前記固定部、前記ばね部、前記作動部、前記係止部及び前記係止解除部が、その順をもって連続的に備えられている構成とされている。
【0017】
この構成によれば、1つの材料を用いて、固定部、ばね部、作動部、係止部及び係止解除部を一体的に備える初期開き保持装置を、具体的且つ簡単、しかもコンパクトに製造できる。
【0018】
(4)前記(2)又は(3)の構成の下で、
前記蓋体の閉塞状態において、前記作動部は、該蓋体の表面側に向かうに従って前記外枠の側面に接近するように延設された構成とされている。
【0019】
この構成によれば、蓋体の側面に対する作動部の接近、離間動によりばね部の弾発力を的確に確保できるばかりか、作動部の先端部と蓋体の側面との間隔を拡大することができ、係止部の蓋体側面への張り出し量、蓋体側面と係止解除部との所定間隔について、設定自由度を高めることができる。
【0020】
(5)前記(2)~(4)のいずれかの構成の下で、
前記蓋体の閉塞状態において、前記係止部は、前記作動部から前記蓋体の側面に向けて段状に屈曲された形状である構成とされている。
【0021】
この構成によれば、蓋体の初期開き状態時に、表面側フレーム部に係止される係止部として、コンパクト性を追求する状況の下で好ましいものを提供できる。
【0022】
(6)前記(2)~(5)のいずれかの構成の下で、
前記蓋体の閉塞状態において、前記係止解除部が、前記蓋体の側面に対して所定間隔をあけて前記係止部から外方に向けて屈曲された形状である構成とされている。
【0023】
この構成によれば、視認性、操作性等の観点から、係止解除部として、好ましい形状を提供できる。
【0024】
(7)前記(1)~(6)のいずれかの構成の下で、
前記作動部は、前記蓋体が前記初期開き状態を超えて開かれた状態の下での前記表面側フレーム部に対する当接時においては、前記蓋体のさらなる閉動作に伴い、該表面側フレーム部に対して摺動するように設定されている構成とされている。
【0025】
この構成によれば、蓋体が初期開き状態を超えて開かれた状態から点検開口を閉じるときに、蓋体の作動部が表面側フレーム部に当接するとしても、蓋体のさらなる閉動作に伴い、作動部は、蓋体の側面に接近しつつ表面側フレーム部に対して摺動してその表面側フレーム部を乗り越えることができる。このため、初期開き保持装置に、作動部として、蓋体の表面側に向うに従って蓋体の側面から離間するように傾斜するものが用いられ、そのような初期開き保持装置を備える蓋体が初期開き状態を超えて開かれた状態にあるとしても、その蓋体を、外枠の点検開口を閉じる閉塞状態に的確に戻すことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、蓋体が外枠の点検開口を急に全開することを規制する初期開き保持装置が組み込まれている点検口において、初期開き保持装置を極力コンパクトにすることができると共に、その初期開き保持装置の作動の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態に係る天井点検口において、蓋体により外枠の開口が開かれた状態を示す動作状態図。
【
図2】実施形態に係る天井点検口(閉状態)を示す縦断面図。
【
図3】実施形態に係るロック機構及び初期開き保持装置の配置構造を示す斜視図。
【
図4】外枠の開口が蓋体により閉じられた状態が保持されている状態を示す縦断面図。
【
図5】
図4の状態から、ロック爪と外枠における表面側フレーム部との係止関係を解除したときに、初期開き保持装置の係止板部が外枠における表面側フレーム部に係止される状態になることを説明する動作状態図。
【
図6】
図5の状態から、係止解除板部に対して押圧操作が行われたときの状態を説明する動作状態図。
【
図7】蓋体が初期開き状態を超えて開かれた状態の下で、作動部が表面側フレーム部に当接してからの蓋体のさらなる閉動作に伴い、作動部が表面側フレーム部に対して摺動する状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1、
図2において、符号1は、天井面2Aに設置された天井点検口(点検口)を示す。この天井点検口1は、外枠3と蓋体4とを備えている。外枠3は、天井面2Aに開口される開口5(
図2、
図4等参照)内に配置されて、その天井面2Aの開口5内に正方形状の点検開口6を区画している。蓋体4は、外枠3の点検開口6に対する開閉蓋として、外枠3に回動可能に支持され、その蓋体4は、外枠3の点検開口6に対応して正方形状の板状体として形成されている。
【0030】
前記外枠3は、
図1、
図2に示すように、4つの直線状の外枠構成材8を用いて構成されている。この4つの各外枠構成材8には、所定幅で一定長さ(外枠3の一辺長さ)を有するアルミ製等の押出形材が用いられており、それらを、その各板面を側方に向けた状態でコーナー用の連結金具によって互いに連結することにより、正方形状の前記点検開口6を内部に区画する枠体としての外枠3が形成されている。
【0031】
前記外枠3の4つの各外枠構成材8には、
図2、
図4に示すように、その各外枠構成材8の主体をなす起立壁部11と、その起立壁部11の下部に設けられてその起立壁部11を直角に起立させた状態とする表面側フレーム部12と、その起立壁部11の上部に設けられる裏面側フレーム部13と、が備えられている。起立壁部11は、その肉厚方向(
図2中、左右方向)両面が外枠3の側方に向けられ、その肉厚方向両面は、いずれも平坦面として形成されている。表面側フレーム部12は、起立壁部11を基準として外枠3の内外両方向に張り出されており、その表面側フレーム部12には、外枠3の内方に張り出す表面側フレーム部内方部12aと、外枠3の外方に張り出す表面側フレーム部外方部12bとが備えられている。裏面側フレーム部13には、起立壁部11を基準として、外枠3の内外両側において、多少、高さ位置を異ならせて裏面側フレーム部内方部13aと裏面側フレーム部外方部13bとが設けられており、その裏面側フレーム部内方部13a及び裏面側フレーム部外方部13bには、その各先端部が下方に折曲されることにより溝部13aa,13bbがそれぞれ形成されている。
【0032】
このような外枠3は、
図2に示すように、帯板状の複数の取付け金具14を介して下地材15に取付けられている。各取付け金具14は、その上部を外枠3の上部よりも上方に突出した状態で、外枠3における裏面側フレーム部外方部13bと表面側フレーム部外方部12bとの間に保持され、その各取付け金具14の上部は、タッピングねじ16を用いて下地材15に固定されている。このとき、外枠3の表面側フレーム部外方部12bが、
図2に示すように、下地材15下面に取付けられる天井材(天井面2Aを構成する部材)2の下面(開口5の下側周縁部)に当接される一方、外枠3の表面側フレーム部内方部12aが、前記点検開口6を区画する。また、対向する一組の各外枠構成材8の内面には、その伸び方向(
図2中、左右方向)一方側内面において軸受17が設けられており、この各軸受17に、後述する内枠18の支持軸28が回動可能に支持される。
【0033】
前記蓋体4は、
図2に示すように、内枠18と、その内枠18内に配設される蓋材19とを備えている。内枠18も、前記外枠構成材8と同様の構成の内枠構成材20をコーナー用の連結金具を用いて互いに連結することにより構成され、その4つの各内枠構成材20は、正方形状の内部空間を区画している。各内枠構成材20は、
図2に示すように、その各内枠構成材20の主体をなす起立壁部21と、その起立壁部21の下部に設けられてその起立壁部21を直角に起立させた状態とする表面側フレーム部22と、その起立壁部21の上部に設けられる裏面側フレーム部23と、が備えられている。起立壁部21も、その肉厚方向両面(蓋材4の側面)が外枠3の側方に向けられ、その肉厚方向両面は、いずれも平坦面として形成されている。この起立壁部21の内面には、蓋材19を下方に向けて押圧するための複数の押え具24が設けられている。表面側フレーム部22は、起立壁部21を基準として内枠18の内外両方向に伸びており、その表面側フレーム部22には、内枠18の内方に張り出す表面側フレーム部内方部22aと、内枠18の外方に張り出す表面側フレーム部外方部22bとが備えられている。裏面側フレーム部23には、起立壁部21を基準として内枠18の外方側において裏面側フレーム部外方部23bが設けられており、その裏面側フレーム部外方部23bには、その先端部が下方に折曲されることにより溝部23bbがそれぞれ形成されている。尚、外枠3及び内枠18の各表面側フレーム部外方部12b、22b上には、突部25,26がそれぞれ設けられて、前記溝部13bb、23bbに対向する溝部12bb、22bbが形成されている。
【0034】
前記蓋材19は、
図2に示すように、前記内枠18内に配置されている。蓋材19は、内枠18の開口面と同じ程度の正方形状の面を有しており、その蓋材19の周縁部が内枠18の表面側フレーム部内方部22aにより支持されている。しかもこの場合、前述の複数の各押え具24が、蓋材19を内枠18の表面側フレーム部内方部22aに向けて押圧しており、蓋材19は、複数の各押え具24と表面側フレーム部内方部22aとにより挟持されている。
【0035】
前記内枠18には、
図2に示すように、一組の対向する内枠構成材20の外面において、その伸び方向(
図2中、左右方向)一方側において支持軸28がそれぞれ設けられている。この各支持軸28は、前述の外枠3における軸受17に回動可能にそれぞれ支持されており、蓋体4(内枠18)は、その軸受17上の支持軸28を中心として回動することになっている。これに伴い、蓋体4は、外枠3に対して回動可能となり、蓋体4を重力に抗して外枠3に対して回動させたときには、外枠3の点検開口6が蓋体4により閉じられる。
【0036】
前記蓋体4における内枠構成材20には、
図1~
図4に示すように、該蓋体4の回動先端側のもの(以下、符号20Aを用いる)において、ロック機構30が設けられている。ロック機構30は、その内枠構成材20Aの伸び方向中央部付近に配置され、そのロック機構30には、軸受31と、その軸受31に回動可能に支持されるロック軸32と、そのロック軸32に取付けられるロック爪33と、が備えられている。軸受31は、一定幅の板材を用いることにより、内部開口が半円に近い筒体状態に湾曲された軸受本体部34と、その軸受本体部34の軸線を基準として湾曲端両側外方に伸びる一対の支持板部35とが備えられている。この一対の支持板部35は、起立壁部21外面に沿わされた基板36に保持され、軸受本体部34は、その軸線方向が起立壁部21の幅方向(
図2中、上下方向)に向くように配置される。このとき、基板36は、内枠18における裏面側フレーム部外方部23bにおける溝部23bbと表面側フレーム部外方部22bにおける溝部22bbとの間に配置され、その基板36と裏面側フレーム部外方部23bとの間に板ばね37を介在させることにより、基板36は表面側フレーム部外方部22bの溝部22bb内に押し付けられている。これにより、軸受31は、起立壁部21外面に取付けられた状態となる。この軸受31の軸受本体部34には、ロック軸32に設けられる突部(図示略)が入り込む孔38が形成されている。
【0037】
ロック軸32は、軸受本体部34を貫通して起立壁部21の幅方向(
図2中、上下方向)外方へと伸びている。ロック軸32の上端部は、その上端部よりも下端側部分に比して拡径されており、その上端部が軸受本体部34の上端に当接されることによりロック軸32の抜け落ちが規制されている。ロック軸32の下端部は、内枠18における表面側フレーム部外方部22bを回転可能に貫通してその表面側フレーム部外方部22bの下方に突出しており、このロック軸32の下端面には、ドライバー等の工具等を係止するための溝39が形成されている。このため、この溝39に工具等を差し込んで工具等を回すことにより、ロック軸32を、その軸線を中心として回動させることができる。このロック軸32の周面には、図示を略す突部が設けられている。この突部は、通常、ロック軸32の回動に伴い、軸受本体部34の内周面に対して摺接しつつ移動する一方、その移動領域には、前述の軸受本体部34の孔38が位置されている。
【0038】
ロック爪33は、
図3に示すように、前記内枠構成材20Aにおける表面側フレーム部外方部22b上面の上方において、ロック軸32にその径方向外方に突出するようにして取付けられている。ロック爪33は、ロック軸32の軸線を中心とした回動により、表面側フレーム部外方部22bの上方領域内に位置するアンロック態様(
図3中、仮想線参照)と、ロック爪33の先端部が表面側フレーム部外方部22bの上方領域外へと突出するロック態様(
図3中、実線参照)とを取り得るように設定されている。このため、蓋体4により外枠3の点検開口6が閉じられた状態でロック爪33がロック態様となったときには、そのロック爪33の先端部が、外枠3における表面側フレーム部内方部12aに係止され、外枠3の点検開口6に対する蓋体4の閉じ状態が保持される。この場合、ロック爪33のロック態様がとられたときには、ロック軸32の前述の突部(図示略)が軸受本体部34の孔38内に進入することになっており、そのとき、ユーザは、ロック態様になったことを進入時の節度感により知ることができる。
【0039】
前記蓋体4における内枠構成材20Aには、
図3に示すように、前記ロック機構30の近傍において、初期開き保持装置40が設けられている。初期開き保持装置40は、一定幅の1枚の板材を加工することにより作製されており、その初期開き保持装置40には、固定部としての固定板部41と、ばね部47と、作動部としての作動板部42と、係止部としての係止板部43と、係止解除部としての係止解除板部44と、が備えられている。
【0040】
固定板部41は、
図3、
図4に示すように、その矩形状の板面が内枠構成材20Aにおける起立壁部21外面に固定されている。固定板部41の上端部側は、内枠構成材20Aの上側フランジ部22bの上方に突出しており、このため、内枠構成材20Aの上側フランジ部22bには、固定板部41を上方に真っ直ぐに伸ばすことができるようにすべく、切欠き45が形成されている。
【0041】
ばね部47は、その材料としての板材が湾曲状態をもって折曲されており、その一端側は前記固定板部41の上端部に連続され、その他端側は下方に向けられている。このばね部の一端側と他端側とは、無負荷状態(外力が作用しない状態)を基準として、接近、離間することにより、ばね力(弾発力、弾性力)が発生することになる。
【0042】
作動板部42は、ばね部47の延長片として、そのばね部47の他端側から連続して伸びている。この作動板部42は、その作動板部42に外力が作用しないとき(無負荷状態のとき)には、下方に向かうに従って該固定板部41から離れるように傾斜されており、この作動板部42、ばね部47及び固定板部41により、板ばねが構成されている。このため、作動板部42に外力が作用しない状態を基準として、作動板部42が固定板部41に接近、離間動したときには、ばね部47に基づき弾性力が発生することになり、その弾性力は振動等に対して抵抗力となる。
【0043】
係止板部43は、
図4、
図5に示すように、蓋体4の開動作に伴う係止板部43の移動領域に外枠3の表面側フレーム部内方部12aが入るように配置されている。具体的には、外枠3の点検開口6が蓋体4により閉じられているときに、外枠3の表面側フレーム部内方部12aの上方領域に係止板部43が位置されており、外枠3の点検開口6が蓋体4により閉じられている状態において、ロック爪33がアンロック態様とされて、蓋体4の回動先端側が下降されたときには、係止板部43が外枠3の表面側フレーム部内方部12aに係止される。これにより、蓋体4は、その初期開動作途中でその開動作が一旦、止められ、外枠3の点検開口6が、急に勢いよく全開状態になってしまうことが防止される。
【0044】
本実施形態においては、ロック爪33がアンロック態様になったとき、係止板部43が外枠3の表面側フレーム部内方部12aに確実に係止できるようにすべく、外枠3における表面側フレーム部内方部12aの先端部(内端部)が、段差を形成することにより他の部分よりも多少、高い位置状態で張り出されており、外枠3の開口に対して蓋体4が閉じられたときには、外枠3における表面側フレーム部内方部12aの先端部の下側に、内枠18における表面側フレーム部外方部22bの先端部が入り込むことになっている(オーバーラップ状態(
図4参照))。
【0045】
係止解除板部44は、外枠3の点検開口6を全開状態まで開くために、係止板部43が外枠3における表面側フレーム部内方部12aに係止されている状態を解除する役割を果たす。このため、係止解除板部44は、係止板部43が外枠3における表面側フレーム部内方部12aに係止されたときに、
図5に示すように、その表面側フレーム部内方部12aと内枠18における表面側フレーム部外方部22bとの間に、固定板部41から所定間隔をあけた状態で現れることになっており、その係止解除板部44に押圧力を、作動板部42の抵抗力(ばね部47の弾性力(ばね力))に抗して付与すれば、係止板部43が固定板部41に向けて移動し、係止板部43と表面側フレーム部内方部12aとの係止関係が解除される。本実施形態においては、係止解除板部44に対する操作が押圧操作であることをユーザに認識させるべく、その係止解除板部44には、押圧する旨の表示(PUSH)44aが表示され、さらには、係止板部43が外枠3における表面側フレーム部内方部12aに係止されたときに、操作すべき対象物を明確にすべく、その表面側フレーム部内方部12aと内枠構成材20Aにおける表面側フレーム部外方部22bとの間に係止解除板部44だけが現れることになっている。また、係止解除板部44に対する押圧操作に際しては、押圧操作を行うユーザの指が上方に向って滑らないようにすべく、係止板部43が指の上方への移動を規制することになる。
【0046】
このような天井点検口1は、次のように作動する。
【0047】
外枠3の点検開口6を蓋体4により閉じた状態で保持するときには、
図3、
図4に示すように、外枠3の点検開口6を蓋体4により閉じた状態とした上で、ロック機構30のロック爪33を外枠3における表面側フレーム部内方部12aに係止させる(ロック態様)。これにより、蓋体4の回動が規制され、外枠3の点検開口6を蓋体4により閉じた状態が保持される。
【0048】
外枠3の点検開口6を開く際には、ロック軸32下端面の溝39に工具等を係止させて、その工具等によりロック軸32をその軸線を中心として回動させ、ロック爪33と外枠3における表面側フレーム部内方部12aとの係止関係を解除する(アンロック態様)。これにより、蓋体4は、その回動先端側が下降するように回動することになり、外枠3の点検開口6が開き始めるが、この際、
図5に示すように、初期開き保持装置40における係止板部43が外枠3における表面側フレーム部内方部12aに係止されることになり、蓋体4の回動は、その回動途中で規制される。このため、外枠3の点検開口6を開く際、蓋体4を手で支えなかったとしても、蓋体4が急に全開状態まで勢いよく回動してしまうことを防止できる。
【0049】
この場合、ばね部47が、外力が作用しない状態(無負荷状態)の下で、作動板部42を利用して、係止板部43を蓋体4の側面から離間させる構成であることから、地震等の振動等が生じても、ばね部47に発生する付勢力の打ち消しにより、ばね部47、作動板部42、係止板部43は、基本的にその振動等により変位動することがない。しかも、初期開き保持装置40がロック機構30よりも高い位置に位置されていることから、ロック機構30のロックが解除されたときに、初期開き保持装置40が、蓋体4により外枠3の点検開口6を閉じた状態に維持するために、外枠3の表面側フレーム部内方部12aに関与することはない。このため、初期開き保持装置40が、ロック機構30のロックが解除されたときに、蓋体4を開かなくしたり、係止板部43が外枠3の表面側フレーム部内方部12aの上方領域外に位置ずれしてしまったりすることをなくすことができ、初期開き保持装置40の作動の信頼性を高めることができる。
【0050】
係止板部43が外枠3における表面側フレーム部内方部12aに係止されている状態(
図5の状態)から、さらに、蓋体4を回動させるとき(外枠3の開口を全開にするとき)には、外枠3における表面側フレーム部12と内枠18における表面側フレーム部22との間に現れる係止解除板部44を押圧する(指による押圧力を
図6において矢印をもって示す)。これにより、係止板部43が固定板部41に向けて移動し、係止板部43と表面側フレーム部内方部12aとの係止関係が解除される。この結果、蓋体4は全開状態まで回動して、外枠3の点検開口6が全開されることになり、ユーザは天井裏を点検できることになる。勿論このとき、蓋体4を手で支えながら開くことが好ましい。
【0051】
全開状態にある外枠3の点検開口6を蓋体4により閉じるときには、蓋体4を手で持ち上げることにより、蓋体4を内枠18の支持軸28を中心として上昇回動させる。このとき、
図7に示すように、初期開き保持装置40における作動板部42の上部と外枠3における表面側フレーム部内方部12aとが当接することになるが、その蓋体4の上昇回動に伴う当接により、作動板部42は、表面側フレーム部内方部12aに対して摺動しつつ、ばね部47の付勢力に抗して固定板部41に向けて押圧される。これにより、作動板部42の下端側は、固定板部41に向けて移動することになり、蓋体4は、作動板部42と外枠3における表面側フレーム部内方部12aとの当接関係によって規制されることなく上昇回動される。
【0052】
この蓋体4の上昇回動により、作動板部42の下端が外枠3における表面側フレーム部内方部12aを超えて上昇したとき(作動板部42と表面側フレーム部内方部12aとの当接関係がなくなったとき)には、ばね部47及び作動板部42が元の状態に復帰する一方、蓋体4は、そのさらなる上昇回動に基づき、外枠3の点検開口6を閉じるに至る。この後、ロック軸32の下端面の溝39と工具等とを利用してロック軸32をその軸線を中心として回動させ、ロック爪33を外枠3の表面側フレーム部内方部12a上面に係止させれば、外枠3の開口が蓋体4により閉じられた状態が保持される(
図2~
図4の状態)。
【0053】
したがって、このような天井点検口1においては、外枠3の点検開口6を開く際、蓋体4を手で支えなかったとしても、上述の通り、初期開き保持装置40により、蓋体4が急に全開状態まで勢いよく回動してしまうことを防止できる。しかもこの場合、地震等の振動が発生したとしても、その後、ロック機構30のロックが解除されたときには、初期開き保持装置40が蓋体4を開かなくしてしまったり、初期開き保持装置40の係止板部43が外枠3の表面側フレーム部内方部12aの上方領域外に位置ずれしたりすることがなくなり、初期開き保持装置40の作動の信頼性を高めることができる。
【0054】
また、係止板部43が、元々、外枠3における表面側フレーム部12の上方領域に配置(蓋体4の開動作に伴う係止板部43の移動領域に外枠3における表面側フレーム部内方部12aが位置するように配置)されているものであって、係止板部43を回動させることにより外枠3における表面側フレーム部内方部12a上に位置させるものでないことから、変位動量を確保するために係止板部43を横方向(内枠構成材の長手方向)に長く伸ばす必要がない。このため、係止板部43を含む初期開き保持装置40をコンパクトにすることができる。
【0055】
さらに、固定板部41、ばね部47、作動板部42、係止板部43及び係止解除板部44が、一定幅の板材を一枚用いることにより加工されていることから、初期開き保持装置40の軽量化を図ることができるばかりか、蓋体4の起立壁部21外面に対する固定板部41の固定能力、ばね部47及び作動板部42のばね力、外枠3における表面側フレーム部内方部12aに対する係止板部43の係止安定性、係止解除板部44に対する指押圧の容易性を高めることができる。
【0056】
さらにまた、作動板部42に外力作用しない際、その作動板部42が、下方に向うに従って固定板部41から離れるように傾斜されていることから、固定板部41に対する作動板部42の接近、離間動によりばね力を的確に確保できるばかりか、作動板部42の先端部と固定板部41との間隔を任意に拡大することができる。このため、係止板部43の張り出し量、固定板部41と係止解除板部44との所定間隔について、設定自由度を高めることができる。
【0057】
加えて、内枠構成材20Aの上縁外方が自由空間であることに着目し、固定板部41の上端部が切欠き45を介して上方に伸ばされ、それに伴い、作動板部42が、上下方向において、比較的長く伸ばされている。このため、ばね部47の開き角度(固定板部41上端部に対して作動板部42上端部がなす折り返し角度)を一定とすることを基準とすれば、作動板部42下端と固定板部41との間隔を拡大することができ、初期開き保持装置40をロック機構30よりも上方に配置しなければならない状況の下でも、係止板部43の伸び方向長さ、係止板部43先端と固定板部41との間隔について、設定自由度を高めることができる。これにより、外枠3における表面側フレーム部内方部12aに対する係止板部43の係止安定性、その表面側フレーム部内方部12aに対する係止板部43の係止解除の的確性を高めることができる。
【0058】
さらに加えて、特許文献1に係る初期開き保持装置は、仮に、蓋体を手で支えないため蓋体の回動先端側が落下動に転じたときには、係止部は、その係止部43の下側肉厚面が外枠の表面側フレーム部内方部(下側内フランジ部)に当接するに際して、その係止部の上側肉厚面の方が下側肉厚面よりも外枠内面に近づくように傾斜した状態で、その係止部の先端部側が外枠の表面側フレーム部内方部に対して斜めに横たわる。このため、その係止部(の下側肉厚面)が外枠の表面側フレーム部に当接する際には、係止部には外枠の表面側フレーム部内方部から反力を受け、その反力が、係止部を外枠の表面側フレーム部から遠のかせる方向の回動力として軸受に作用することになり、係止部を外枠の表面側フレーム部に確実に係止させる観点から好ましくない。これに対して、本実施形態に係る初期開き保持装置40は、前述の構造説明から明らかなように、上記問題点は生じない。
【0059】
以上実施形態について説明したが本発明にあっては、次の態様を包含する。
(1)固定板部41、作動板部42、係止板部43及び係止解除板部44を加工する1つの材料として、ばね線材を用いること。
(2)点検開口6を長方形状に形成すること。
(3)本件点検口を、天井面に限らず、起立壁等の壁面に形成すること。
(4)実施形態では、初期開き保持装置を1部品で構成したが、複数の部品を組み合わせて構成してもよいこと。
(5)初期開き保持装置は、本発明の機能を発揮できれば、金属、合成樹脂、その他材質は問わないこと。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、蓋体が外枠に対して急に全開することを規制する初期開き保持装置が組み込まれている点検口の下で、初期開き保持装置を極力コンパクトにすると共に、その初期開き保持装置の作動の信頼性を高めることに利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 天井点検口(点検口)
2A 天井面
3 外枠
4 蓋体
6 外枠の点検開口
8 外枠構成材
12 表面側フレーム部
12a 表面側フレーム部内方部
20A、20 内枠構成材
21 内枠の起立壁部(蓋体の側面)
30 ロック機構
40 初期開き保持装置
41 固定板部(固定部)
42 作動板部(作動部)
43 係止板部(係止部)
44 係止解除板部(係止解除部)
47 ばね部