(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】トンネル掘削装置
(51)【国際特許分類】
E21D 9/10 20060101AFI20240105BHJP
E21D 9/06 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
E21D9/10 G
E21D9/06 302E
(21)【出願番号】P 2020058000
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】関山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】荒川 拓
(72)【発明者】
【氏名】浅野 浩
(72)【発明者】
【氏名】寺田 紳一
(72)【発明者】
【氏名】森岡 栄一
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-036776(JP,A)
【文献】特開平09-221983(JP,A)
【文献】特開2002-047891(JP,A)
【文献】特開2001-241294(JP,A)
【文献】米国特許第05890771(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/10
E21D 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のカッタを有するカッタヘッドと、前記カッタヘッドを支持するカッタヘッド支持部と、外周に設けられ内側に向かって折り曲げ可能な折り曲げ部と、を有する前胴部と、
掘削を行う際の反力を得るためのグリッパ部を有し、前記前胴部の後方に配置されている後胴部と、を備え
、
前記折り曲げ部は、
前記カッタヘッドの周縁に配置された周縁プレートを有し、
前記周縁プレートは、連結部を介して折り畳み可能に前記カッタヘッドの側面に連結されており、
前記周縁プレートは、前記カッタヘッドの側面から外側に向かって突出した状態から前記カッタヘッドの側面よりも内側に位置する状態まで折り畳まれる、
トンネル掘削装置。
【請求項2】
複数のカッタを有するカッタヘッドと、前記カッタヘッドを支持するカッタヘッド支持部と、外周に設けられ内側に向かって折り曲げ可能な折り曲げ部と、を有する前胴部と、
掘削を行う際の反力を得るためのグリッパ部を有し、前記前胴部の後方に配置されている後胴部と、を備え、
前記折り曲げ部は、
前記カッタヘッド支持部の側方に配置された側方シューを有し、
前記側方シューは、
前記カッタヘッド支持部に接続された側方シュー前部と、
前記側方シュー前部の後側に配置され、前記側方シュー前部に対して回動可能に連結された側方シュー後部と、を有
し、
前記側方シュー後部は、前記側方シュー前部との連結部を中心に後端が水平方向に回動可能である、
トンネル掘削装置。
【請求項3】
前記前胴部は、前記側方シューと前記カッタヘッド支持部を連結し、前記側方シューを、前記カッタヘッド支持部に近づく方向および前記カッタヘッド支持部から離れる方向に移動可能な第1リンク部を更に有する、
請求項
2に記載のトンネル掘削装置。
【請求項4】
前記折り曲げ部は、
前記カッタヘッド支持部の上方に配置された上方シューを有し、
前記上方シューは、
上方シュー中央部と、
前記上方シュー中央部の幅方向の側方に配置され、前記上方シュー中央部に対して回動可能に連結された上方シュー側部と、を有し、
前記上方シュー側部は、前記上方シュー中央部との連結部を中心に、外側の端が上下方向に回動可能である、
請求項1~
3のいずれか1項に記載のトンネル掘削装置。
【請求項5】
複数のカッタを有するカッタヘッドと、前記カッタヘッドを支持するカッタヘッド支持部と、外周に設けられ内側に向かって折り曲げ可能な折り曲げ部と、を有する前胴部と、
掘削を行う際の反力を得るためのグリッパ部を有し、前記前胴部の後方に配置されている後胴部と、を備え、
前記折り曲げ部は、
前記カッタヘッド支持部の上方に配置された上方シューを有し、
前記上方シューは、
前記カッタヘッド支持部に接続された上方シュー前部と、
前記上方シュー前部の後側に配置され、前記上方シュー前部に対して回動可能に連結された上方シュー後部と、を有し、
前記上方シュー後部は、前記上方シュー前部との連結部を中心に後端が上下方向に回動可能である、
トンネル掘削装置。
【請求項6】
前記前胴部は、前記上方シューと前記カッタヘッド支持部を連結し、前記上方シューを、前記カッタヘッド支持部に近づく方向および前記カッタヘッド支持部から離れる方向に移動可能な第2リンク部を更に有する、
請求項
4または
5に記載のトンネル掘削装置。
【請求項7】
複数のカッタを有するカッタヘッドと、前記カッタヘッドを支持するカッタヘッド支持部と、外周に設けられ内側に向かって折り曲げ可能な折り曲げ部と、を有する前胴部と、
掘削を行う際の反力を得るためのグリッパ部を有し、前記前胴部の後方に配置されている後胴部と、を備え、
前記折り曲げ部は、前記カッタヘッド支持部の上方に配置された上方シューを有し、
前記上方シューは、
上方シュー中央部と、
前記上方シュー中央部の幅方向の側方に配置され、前記上方シュー中央部に対して回動可能に連結された上方シュー側部と、を有し、
前記上方シュー側部は、前記上方シュー中央部との連結部を中心に、外側の端が上下方向に回動可能であり、
前記上方シュー中央部は、
前記カッタヘッド支持部に接続された上方シュー中央前部と、
前記上方シュー中央前部の後側に配置され、前記上方シュー中央前部に対して回動可能に連結された上方シュー中央後部と、を有し、
前記上方シュー中央後部は、前記上方シュー中央前部との連結部を中心に後端が上下方向に回動可能である、
トンネル掘削装置。
【請求項8】
複数のカッタを有するカッタヘッドと、前記カッタヘッドを支持するカッタヘッド支持部と、外周に設けられ内側に向かって折り曲げ可能な折り曲げ部と、を有する前胴部と、
掘削を行う際の反力を得るためのグリッパ部を有し、前記前胴部の後方に配置されている後胴部と、を備え、
前記折り曲げ部は、前記カッタヘッド支持部の上方に配置された上方シューを有し、
前記上方シューは、
上方シュー中央部と、
前記上方シュー中央部の幅方向の側方に配置され、前記上方シュー中央部に対して回動可能に連結された上方シュー側部と、を有し、
前記上方シュー側部は、前記上方シュー中央部との連結部を中心に、外側の端が上下方向に回動可能であり、
前記上方シュー側部は、
前記上方シュー中央部に接続された上方シュー側前部と、
前記上方シュー側前部の後側に配置され、前記上方シュー側前部に対して回動可能に連結された上方シュー側後部と、を有し、
前記上方シュー側後部は、前記上方シュー側前部との連結部を中心に後端が上下方向に回動可能である、
トンネル掘削装置。
【請求項9】
前記前胴部は、
前記カッタヘッド支持部の下方に配置された下方シューと、
前記下方シューを、前記カッタヘッド支持部に近づく方向および前記カッタヘッド支持部から離れる方向に移動可能なアクチュエータと、を更に有する、
請求項1~
8のいずれか1項に記載のトンネル掘削装置。
【請求項10】
複数のカッタを有するカッタヘッドと、前記カッタヘッドを支持するカッタヘッド支持部と、外周に設けられ内側に向かって折り曲げ可能な折り曲げ部と、を有する前胴部と、
掘削を行う際の反力を得るためのグリッパ部を有し、前記前胴部の後方に配置されている後胴部と、を備え、
前記前胴部は、
前記カッタヘッド支持部の下方に配置された下方シューと、
前記下方シューを、前記カッタヘッド支持部に近づく方向および前記カッタヘッド支持部から離れる方向に移動可能なアクチュエータと、を更に有し、
前記下方シューは、前記カッタヘッド支持部に対して回動可能に設けられており、
前記アクチュエータは、油圧シリンダであり、
前記油圧シリンダは、前記下方シューの回転中心に配置されている、
トンネル掘削装置。
【請求項11】
複数のカッタを有するカッタヘッドと、前記カッタヘッドを支持するカッタヘッド支持部と、外周に設けられ内側に向かって折り曲げ可能な折り曲げ部と、を有する前胴部と、
掘削を行う際の反力を得るためのグリッパ部を有し、前記前胴部の後方に配置されている後胴部と、を備え、
前記グリッパ部は、
前記後胴部の両側部に設けられた一対の側方グリッパと、
前記後胴部の下部に設けられた下方グリッパと、
前記後胴部の上部に設けられた上方グリッパと、を有し、
前記下方グリッパの下部には、車輪が設けられている、
トンネル掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トンネルを掘削する際に用いられるトンネル掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、土木作業において岩盤を掘削するためにトンネル掘削装置が用いられている。トンネル掘削装置は、機械前面にカッタを含むカッタヘッドと、機械後部の左右側面に設けられたグリッパ装置とを備えている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなトンネル掘削装置では、左右のグリッパ装置をトンネル左右側壁に対して押し付けた状態で、カッタヘッドを回転させながらスラストシリンダを伸長させてカッタヘッドを岩盤に押し付けることによってトンネルを掘削していく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、土木作業では前進しか行わず、従来のトンネル掘削装置では、後進が必要な坑内掘り鉱山に用いることができなかった。
【0006】
例えば、掘削したトンネル内壁にコンクリートやモルタルを吹き付けたり、支保工を設置した場合には、掘削時の内径よりもトンネル内径が小さくなる。そのため、トンネル掘削装置がトンネル内壁に干渉して後進することが出来なかった。
【0007】
また、坑内掘り鉱山の際には曲線施工されることが考えられるため、後進の際には、直線状に後進するだけなく、曲線状に後進する必要がある。曲線状に後進する場合には、たとえトンネル内径が小さくならない場合でもトンネル内壁と装置が干渉し後進することが出来ない場合があった。
【0008】
本開示は、後進することが可能なトンネル掘削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示にかかるトンネル掘削装置は、前胴部と、後胴部と、を有する。前胴部は、カッタヘッドと、カッタヘッド支持部と、折り曲げ部と、を有する。カッタヘッドは、複数のカッタを有する。カッタヘッド支持部は、カッタヘッドを支持する。折り曲げ部は、外周に設けられ内側に向かって折り曲げ可能である。後胴部は、グリッパ部を有する。グリッパ部は、掘削を行うための反力を得る。後胴部は、前胴部の後方に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、後進することが可能なトンネル掘削装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本開示の実施の形態に係るトンネル掘削装置の構成を示す斜視図。
【
図1B】
図1Aのトンネル掘削装置の内部構成を示す側断面図。
【
図1C】
図1BのUU´間の矢視におけるメインビームと後胴部を示す図。
【
図2】
図1Aのトンネル掘削装置の前胴部を示す平断面図。
【
図3】(a)
図1Aのカッタヘッドを示す斜視図、(b)
図3(a)のカッタヘッドの縮径状態を示す斜視図。
【
図4】
図3のバケットが掘削位置に配置されている状態を示す側面図。
【
図5】
図3のバケットが掘削位置に配置されている状態を示す正面図。
【
図6】
図3のバケットが収納位置に配置されている状態を示す側面図。
【
図7】
図3のバケットが収納位置に配置されている状態を示す正面図。
【
図8】(a)
図1Aのフェリフェラルプレートが掘削位置に配置されている状態を後方から視た背面図、(b)
図1Aのフェリフェラルプレートが収納位置に配置されている状態を後方から視た背面図。
【
図9】(a)
図1Aのフェリフェラルプレートが掘削位置に配置されている状態の側断面図、(b)
図1Aのフェリフェラルプレートが掘削位置に配置されている状態を後方から視た背面図。
【
図10A】フェリフェラルプレートの掘削位置から収納位置への移動を説明するための側断面図。
【
図10B】フェリフェラルプレートの掘削位置から収納位置への移動を説明するための側断面図。
【
図10C】フェリフェラルプレートの掘削位置から収納位置への移動を説明するための側断面図。
【
図10D】フェリフェラルプレートの掘削位置から収納位置への移動を説明するための側断面図。
【
図11】
図1Aのトンネル掘削装置のバーチカルサポートを示す斜視図。
【
図15】
図11のバーチカルサポートのバーチカルシューの回動を示す平面図。
【
図16】
図14のバーチカルシューがカッタヘッドサポートの近づいた状態を示す図。
【
図25】
図1Aのトンネル掘削装置によって曲線に施工されたトンネルを後退する状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示にかかる実施の形態のトンネル掘削装置について図面を参照して説明する。
【0013】
本実施の形態のトンネル掘削装置は、TBM(トンネルボーリングマシン)のうち、いわゆるグリッパTBM、ハードロックTBMと呼ばれるものである。本実施の形態のトンネル掘削装置は、土木用だけでなく鉱山の坑内掘りに用いることができる。
【0014】
(トンネル掘削装置の全体構成)
図1Aは、本実施の形態のトンネル掘削装置1を示す斜視図である。
図1Bは、
図1Aの側断面図である。
【0015】
本実施の形態のトンネル掘削装置1は、グリッパ部70によってトンネル内壁に支持された状態でカッタヘッド21を回転させて掘削を行う。
【0016】
本実施の形態のトンネル掘削装置1は、前胴部11と、後胴部12と、接続部13と、メインビーム14と、架台15と、作業台16と、ベルトコンベア17と、リアサポート18と、を有する。
【0017】
前胴部11は、
図1Aに示すように、前端にカッタヘッド21を有しており、岩盤の掘削を行う。後胴部12は、前胴部11の後側に配置されており、グリッパ部70によってトンネル内壁に支持可能である。図には、前後方向がAで示されており、前方向が矢印A1で示され、後方向が矢印A2で示されている。なお、矢印Aは、後胴部12に対して前胴部11が屈曲せず、直線状に配置されている状態における前後方向を示す。また、図に示されている矢印Bは幅方向を示し、前後方向Aに対して垂直であって水平な方向である。幅方向Bのうち前方向A1を向いて左側方向をB1で示し、前方向A1を向いて右側方向をB2で示す。
【0018】
接続部13は、前胴部11を後胴部12に屈曲可能に接続する。接続部13は、複数のスラストシリンダ13aを有しており、各々のスラストシリンダ13aの一端が前胴部11に回動可能に接続され、他端が後胴部12に回動可能に接続されている。
【0019】
図1Cは、
図1BのUU´矢視におけるメインビーム14と後胴部12を示す図である。メインビーム14は、
図1Bおよび
図1Cに示すように、前胴部11に回動可能な連結部材によって接続されており、後胴部12をA方向に沿って前後に摺動可能に支持している。メインビーム14は、後胴部12から後方に向かって延びている。架台15は、メインビーム14の後端に回動可能に取り付けられている。作業台16は、掘削後のトンネル内壁に網を張る作業を行うために設けられており、架台15の上側に配置されている。
【0020】
ベルトコンベア17は、前胴部11から後胴部12を通って架台15の下側まで設けられており、カッタヘッド21によって掘削された岩石、土砂等を後方に搬送する。
【0021】
リアサポート18は、メインビーム14に設けられており、後胴部12を前進させる際にメインビーム14を支持する。
【0022】
なお、図示してないが、架台15の後方には、カッタヘッド21、ベルトコンベア17、複数のスラストシリンダ13a、グリッパ部70等を駆動する制御装置、電源装置、および油圧システム等が設けられた車両が繋がっている。
【0023】
(前胴部11)
図2は、前胴部11の構成を示す平断面模式図である。
【0024】
前胴部11は、カッタヘッド21と、カッタヘッドサポート22(カッタヘッド支持部の一例)と、バーチカルサポート23と、サイドサポート24、25と、ルーフサポート26と、複数のフェリフェラルプレート27と、を有する。
【0025】
カッタヘッド21は、前胴部11の前端に設けられており、カッタヘッドサポート22に対して回転可能に設けられている。カッタヘッド21は、
図1Aに示すように、掘削側の表面に設けられた複数のローラカッタ83と、掘削された岩石をカッタヘッド21の内側に取り込むバケット84とを有する。
【0026】
カッタヘッドサポート22は、カッタヘッド21の後側に配置されている。カッタヘッドサポート22は、カッタヘッド21を回転可能に支持する。
【0027】
バーチカルサポート23、一対のサイドサポート24、25およびルーフサポート26は、カッタヘッドサポート22に取り付けられており、カッタヘッドサポート22の周囲を囲むように配置されている。バーチカルサポート23、一対のサイドサポート24、25およびルーフサポート26は、掘削中の安定化のためにカッタヘッドサポート22をトンネル抗壁に対して支持するためと、カッタヘッドサポート22を坑壁からの岩の崩落等から保護するために設けられている。
【0028】
バーチカルサポート23は、カッタヘッドサポート22の下方に配置されている。一対のサイドサポート24、25は、カッタヘッドサポート22の幅方向の両側に配置されている。ルーフサポート26は、カッタヘッドサポート22の上方に配置されている。
【0029】
複数のフェリフェラルプレート27は、掘削時に発生する粉塵が前胴部11から後胴部12に移動することを遮るために前胴部11に周方向に沿って配置されている。
【0030】
(カッタヘッド21)
図3(a)は、カッタヘッド21を示す斜視図である。
図3(b)は、後述する縮径した状態のカッタヘッド21を示す斜視図である。
【0031】
カッタヘッド21は、カッタヘッドサポート22に回転自在に支持されている。
【0032】
カッタヘッド21は、前面部81と、側面部82と、ローラカッタ83と、バケット84と、を有している。
【0033】
前面部81は、掘削側の面であり、正面視において円状に形成されている。側面部82は、筒状であって、前面部81の外周端から後方に向かって形成されている。側面部82は、
図2に示すように、外面821と、後面822と、接続面823と、を有する。
【0034】
外面821は、前面部81の外周端から後方向A2に向かって延びるように設けられている。後面822は、外面821の後端から径方向内側に向かって延びるように設けられている。接続面823は、
図2の断面図における位置では、後面822の径方向内側の端から後方向A2に向かって延びた部分と、延びた部分の後端から径方向内側に向かって延びた部分を有しており、カッタヘッドサポート22との連結部80に接続されている。
【0035】
ローラカッタ83は、前面部81および側面部82に複数設けられている。カッタヘッド21の回転とともにローラカッタ83も回転し、岩盤等の掘削を行う。
【0036】
バケット84は、ローラカッタ83によって削られた岩石、土砂をカッタヘッド21の回転に従って掬い取り、前面部81の後側に配置されているベルトコンベア17上に移動させる。
【0037】
(バケット84)
図4は、バケット84を示す側面図である。
図5は、バケット84を示す正面図である。
【0038】
バケット84は、
図3(a)に示すように前面部81に複数設けられている。バケット84は、
図3(a)および
図4に示すように、前面部81の外周端近傍から側面部82に亘って配置されている。本実施の形態では、バケット84は、周方向に等間隔で6つ配置されている。
【0039】
バケット84は、
図5に示すように、側面部82の外面821よりも外周側に突出している。なお、
図3(a)に示すように、バケット84の外周端84aの位置は、後述するフェリフェラルプレート27の外周端27aと径方向における位置が概ね一致している。
【0040】
バケット84は、
図5に示すように、土砂や岩石を掬い取るスクレーパ部841を有している。スクレーパ部841は、カッタヘッド21の回転方向(
図5の矢印参照)と反対側の端に径方向に沿って設けられている。また、バケット84は、スクレーパ部841に対向するように複数の突起842を有している。なお、径方向とは、正面視円形状の前面部81の中心軸に対して垂直であって、中心軸に近づく方向または遠ざかる方向のことである。
【0041】
図3(b)に示すように、前面部81にはバケット84を取り付ける取付部85が設けられている。
【0042】
取付部85は、
図3(b)に示すように、前面部81の外縁から側面部82に亘って溝状に形成されている。バケット84は、取付部85に配置され、複数のボルト88によって固定されている。
【0043】
また、バケット84は、トンネル掘削装置1が後進させる際に前胴部11の外径を縮径するため側面部82の外径に納まるように移動可能に構成されている。バケット84を移動した状態が、
図3(b)に示されている。
【0044】
図4に示すように、掘削を行う際の掘削位置P1から内側の収納位置P2にバケット84を移動させるために、取付部85には、ガイド溝86、87が形成されている。
【0045】
ガイド溝86は、第1部分861と、第2部分862と、を有する。第1部分861は、前後方向Aに沿って形成されている。第2部分862は、第1部分861の前端から形成されている。第2部分862は、前方向A1に向かうに従って内側に位置するように傾斜している。
【0046】
ガイド溝87は、第1部分871と、第2部分872と、を有する。第1部分871は、前後方向Aに沿って形成されている。第2部分872は、第1部分871の前端から形成されている。第2部分872は、前方向A1に向かうに従って内側に位置するように傾斜している。
【0047】
ガイド溝86は、ガイド溝87の前側に設けられている。第1部分861は、第1部分871と直線上に並んで配置されている。第2部分862は、第2部分872と平行に形成されている。
【0048】
バケット84には、ガイド溝86とガイド溝87の各々に嵌った2つの嵌合ピン843、844が設けられている。2つの嵌合ピン843、844は、前後方向Aに沿って並んで配置されている。バケット84が掘削位置P1に配置されている状態では、前側の嵌合ピン843は、ガイド溝86の第1部分861に配置され、後側の嵌合ピン844は、ガイド溝87の第1部分871に配置されている。
【0049】
バケット84を掘削位置P1から収納位置P2に移動する際には、
図4に示すように、格納用油圧シリンダ89が取付部85の内側に持ち込まれる。格納用油圧シリンダ89の一端89aは、後面822に回動可能に取り付けられる。格納用油圧シリンダ89の他端89bは、バケット84の前端近傍に回動可能に取り付けられる。
【0050】
次に、バケット84を取付部85に固定している複数のボルト88が取り外される。
【0051】
次に、格納用油圧シリンダ89が伸長されると、前側の嵌合ピン843が、ガイド溝86の第1部分861から第2部分862に移動し、後側の嵌合ピン844が、ガイド溝87の第1部分871から第2部分872に移動する。これによって、
図6に示すように、バケット84がガイド溝86、87に沿って前方内側に移動することになる。
図6は、バケット84が収納位置P2に移動した状態を示す側面図である。
図7は、バケット84が収納位置に移動した状態を示す正面図である。
【0052】
移動した後、バケット84は、複数のボルト88によって取付部85に固定される。
【0053】
図7に示すように、バケット84が収納位置P2に配置されている状態では、前胴部11の側面部82と径方向の位置が概ね一致している。すなわち、収納位置P2では、側面部82の径内にバケット84が収まっている。
【0054】
このように、バケット84を掘削位置P1から収納位置P2に移動することによって、前胴部11の外径を縮径することができる。
【0055】
(フェリフェラルプレート27)
図8(a)は、フェリフェラルプレート27を後方から視た背面図である。
図9(a)は、フェリフェラルプレート27の側断面図である。
【0056】
複数のフェリフェラルプレート27(折り曲げ部の一例、周縁プレートの一例)の各々は、側面部82に折り曲げ可能に配置されている。複数のフェリフェラルプレート27は、側面部82から外側に向かって突出するように配置されている。
【0057】
複数のフェリフェラルプレート27は、周方向に沿って並んで配置されており、側面部82の全周に亘っている。
【0058】
フェリフェラルプレート27は、正面視において扇形状である。本実施の形態では、例えば6枚のフェリフェラルプレート27が周方向に沿って配置されており、各々のフェリフェラルプレート27は、概ね中心角が60度の扇形状である。
【0059】
フェリフェラルプレート27は、
図9(a)に示すように、側面部82の後面822の外側に複数の固定ボルト94によって取り付けられている。
【0060】
また、後進する際に、前胴部11が縮径可能なように、フェリフェラルプレート27は、折り畳み可能に構成されている。
【0061】
フェリフェラルプレート27は、ヒンジ部28によって回転可能に後面822の後側に取り付けられている。ヒンジ部28は、2つ設けられており、同軸上に並んで配置されている。各々のヒンジ部28は、支持部材92a、92bと、回動軸部93と、を有している。支持部材92a、92bは、フェリフェラルプレート27に固定され、フェリフェラルプレート27から後面822に向かって延びている。回動軸部93は、内側に貫通孔を有している。貫通孔には、支持部材92aと支持部材92bの端に繋がった軸部材が挿入されている。このような構成によって、フェリフェラルプレート27は、回動軸部93を中心として、その外周端27aが後方に向かって回動する。なお、回動軸がOとして
図8(a)に示されている。
【0062】
図8(b)は、
図8(a)の背面図においてフェリフェラルプレート27を後方に回動させた状態を示す図である。
図9(b)は、
図9(a)の側面図においてフェリフェラルプレート27を後方に回動させた状態を示す図である。
【0063】
図9(b)に示すように、フェリフェラルプレート27は、接続面823に沿うように後方に折り畳まれた状態となる。このため、前胴部11の最も外側には、外面821が位置することになる。
図8(b)では、両隣のフェリフェラルプレート27は折り畳まれていないが、全てのフェリフェラルプレート27を折り畳むことによって、前胴部11が縮径する。
【0064】
なお、
図9(b)には、折り畳む前のフェリフェラルプレート27が二点鎖線で示されている。フェリフェラルプレート27が、外面821から外側に突出している状態が掘削位置Q1であり、フェリフェラルプレート27が後方に折り畳まれた状態が収納位置Q2として示されている。また、
図9(b)および
図6には、フェリフェラルプレート27が掘削位置Q1に配置され、バケット84が掘削位置P1に配置されている際の前胴部11の外径が二点鎖線Sで示されている。
【0065】
次に、フェリフェラルプレート27の折り畳み方法について説明する。
図10A~
図10Dは、フェリフェラルプレート27の折り畳み方法を説明するための図である。
【0066】
フェリフェラルプレート27を掘削位置Q1から収納位置Q2に折り畳む際には、折り畳み治具99が用いられる。
【0067】
折り畳み治具99は、
図10Bに示すように、棒状のネジ部991と、ネジ部991の先端にネジ部991に対して回転可能な先端部992と、ネジ部991と螺合しており、折り畳み治具99を後面822に支持する支持部993と、を有する。支持部993には、貫通したネジ穴が形成されており、そのネジ穴にネジ部991が挿通されている。
【0068】
図10Aに示すように、後面822には、貫通孔822aが形成されている。フェリフェラルプレート27の前面には、貫通孔822aを通して、折り畳み治具99の先端が回転可能に取り付けられる取付部材271が設けられている。
【0069】
図10Aに示すように、フェリフェラルプレート27を後面822に固定している複数の固定ボルト94が取り外される。
【0070】
次に、
図10Bに示すように、折り畳み治具99が取り付けられる、折り畳み治具99は、支持部993が後面822の貫通孔822aの下側に取り付けられ、先端部992が、フェリフェラルプレート27に設けられた取付部材271に取り付けられる。
【0071】
次に、
図10Cに示すように、折り畳み治具99のネジ部991が回転されると、支持部993に支持されているネジ部991および先端部992が回動しながら後方に向かって進む。先端部992およびネジ部991が後面822の貫通孔822aに挿入され、先端部992によって押されて取付部材271およびフェリフェラルプレート27がヒンジ部28の回動軸Oを中心に後方に回動する。
【0072】
図10Cの状態から更にネジ部991を回転させると、
図10Dの状態を経由して
図9(b)に示すように、フェリフェラルプレート27は接続面823に沿う収納位置Q2に移動する。
【0073】
このように、全てのフェリフェラルプレート27を掘削位置Q1から収納位置Q2に移動することによって、前胴部11の外径を縮径することができる。
【0074】
なお、バケット84を収納位置P2に移動し、フェリフェラルプレート27を収納位置Q2に移動する際には、側面部82に設けられているローラカッタ83は内側に引き込まれて固定される。なお、
図3(a)および
図3(b)に、側面部82に設けられているローラカッタ83が83´として示されている。
【0075】
(バーチカルサポート23)
図11は、バーチカルサポート23を示す斜視図である。
図12は、前側から視たバーチカルサポート23を示す正面図である。
図13は、バーチカルサポート23の平面図であり、一点鎖線で囲まれている部分は
図12のCC´間の矢視断面図を示す。
図14は、
図12のDD´間の矢視断面図である。
【0076】
バーチカルサポート23は、
図14に示すように、取付部材31と、ガイド32と、油圧シリンダ33と、バーチカルシュー34と、外周部35と、を有する。
【0077】
取付部材31は、板状であって、
図12に示すように、ボルト等によってカッタヘッドサポート22の下部22dに固定されている。
【0078】
ガイド32は、円筒状であって、
図14に示すように取付部材31の下面31aに配置されている。ガイド32は、取付部材31に固定されている。ガイド32は、その中心軸が取付部材31に対して垂直になるように配置されている。取付部材31およびガイド32は、カッタヘッドサポート22に固定されている。
【0079】
油圧シリンダ33は、
図14に示すように、取付部材31の下側に配置されており、取付部材31に固定されている。油圧シリンダ33は、上下方向に伸縮可能である。油圧シリンダ33は、ピストン331と、ロッド332と、シリンダ333とを有している。ピストン331は、シリンダ333内を上下方向に移動可能に配置されている。ロッド332は、ピストン331から上方に向かって延びている。ロッド332の先端332aは、取付部材31に固定されている。シリンダ333の下端333aは、バーチカルシュー34に対して回転可能に係止されている。油圧シリンダ33は、円筒状のガイド32の中心に設けられている。すなわち、油圧シリンダ33のロッド332の中心軸とガイド32の中心軸が一致するように油圧シリンダ33は配置されている。
【0080】
バーチカルシュー34は、トンネルの地面に摺動可能である。バーチカルシュー34は、
図11に示すように、フレーム部340と、摺動面341と、カバー347と、を有している。
【0081】
フレーム部340には、
図14に示すように、油圧シリンダ33のシリンダ333の下端333aが回転可能に係止されている。シリンダ333は、その下端333aに外側に向かって突出した縁部333bを有している。縁部333bは、シリンダ333の全周に亘って形成されている。
【0082】
フレーム部340の上面340aには、縁部333bを回転可能に係止する円環状の係止部材36がボルト等によって固定されている。係止部材36は、縁部333bの外側に位置する外縁部361と、縁部333bの上部を覆う庇部362とを有している。これによって、シリンダ333に対してフレーム部340は回動することができる。
【0083】
摺動面341は、
図11に示すように、フレーム部340の外側を囲むように設けられている。摺動面341は、
図12の正面視において下方に凸に湾曲して形成されている。また、側断面において水平に形成されている。
【0084】
摺動面341は、幅方向において3つに分割されており、中央面342と、左側面343と、右側面344と、を有している。中央面342は、摺動面341の幅方向における中央に位置する。左側面343は、前方向A1を向いて中央面342の左側に配置されている。右側面344は、前方向A1を向いて中央面342の右側に配置されている。中央面342と左側面343の間には、前後方向Aに沿って凹部345が形成されている。また、中央面342と右側面344の間には、前後方向Aに沿って凹部346が形成されている。
【0085】
カバー347は、前方から岩石等がガイド32等に当たることを防ぐ。カバー347は、外周部35およびガイド32等の前側に設けられている。カバー347は、フレーム部340に固定されており、摺動面341の前端に沿うように摺動面341の上側に設けられている。
【0086】
外周部35は、ガイド32の外側に配置されている。外周部35は、筒状の部分を有し、
図13に示すように、筒状の部分がガイド32の外側に配置されている。外周部35の筒状部分の内周面35aと、ガイド32の外周面32aが互いに摺動可能である。外周部35は、フレーム部340の上面340aに固定されている。
【0087】
バーチカルシュー34が回動自在に油圧シリンダ33を係止し、油圧シリンダ33がカッタヘッドサポート22への取付部材31に固定されていることによって、
図15に示すように、油圧シリンダ33の中心軸Pを中心にしてバーチカルシュー34が回動することができる。
図15では、バーチカルシュー34が平面視において時計回りに回動した状態が34´で示され、反時計回りに回動した状態が34´´で示されている。これによって、曲線に沿ってトンネル掘削装置1を後進させる際に曲線に沿ってバーチカルシュー34は回動して追従することができる。
【0088】
また、バーチカルシュー34が油圧シリンダ33を介してカッタヘッドサポート22に取り付けられているため、
図16に示すように、油圧シリンダ33を縮めることによって、バーチカルシュー34をカッタヘッドサポート22に近づける(上方に移動させる)ことができる(
図16中H1参照)。また、油圧シリンダ33を伸長することによって、バーチカルシュー34をカッタヘッドサポート22から遠ざける(下方に移動させる)ことができる(
図16中H2参照。)。
【0089】
(サイドサポート24、25)
サイドサポート24、25は、
図2に示すように、カッタヘッドサポート22の幅方向の両側に配置されている。サイドサポート24は、カッタヘッドサポート22のB1方向側に配置され、サイドサポート25は、カッタヘッドサポート22のB2方向側に配置されている。
【0090】
サイドサポート24、25の各々は、サイドシュー41と、サイドシュー連結部42と、平行リンク43(第1リンク部の一例)と、油圧シリンダ44と、を有する。
【0091】
サイドサポート24とサイドサポート25は、カッタヘッドサポート22を挟んで対称に配置されており、構成が同じであるため、サイドサポート24を用いて説明する。
図17Aは、
図2のサイドサポート24近傍の拡大図である。
図17Bは、サイドサポート24の裏面図である。なお、
図17Aは、
図17BのQQ´間の矢視断面図である。
図17Cは、
図17BのRR´間の矢視断面図である。
【0092】
サイドシュー41は、
図1Aおよび
図2に示すように、カッタヘッドサポート22の左側を覆うように配置されている。サイドシュー41は、前後方向Aに沿って視て外側に凸に湾曲している。
【0093】
サイドシュー連結部42は、
図17Aに示すように、サイドシュー41のカッタヘッドサポート22側に配置されている。サイドシュー連結部42は、カッタヘッドサポート22との連結部分である。サイドシュー連結部42と、カッタヘッドサポート22の側部22aが平行リンク43によって連結されている。
【0094】
平行リンク43は、2つの平行な連結部材431を有する。2つの連結部材431は、前後方向Aに並んで配置されている。各々の連結部材431は略水平に配置されている。連結部材431は、
図17Cに示すように、正面視においてH形状である。各々の連結部材431は、第1端431aがサイドシュー連結部42に回転可能に取り付けられ、第2端431bが側部22aに回転可能に取り付けられている。各々の連結部材431は、第2端431bの方が第1端431aよりも前側に配置されている。
【0095】
油圧シリンダ44は、略水平に配置されている。
図17Bでは、油圧シリンダ44の外径が点線で示されている。油圧シリンダ44は、平行リンク43の上側と下側の各々に配置されている。油圧シリンダ44は、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンに接続されたロッドとを有する。ロッド側の第1端44aがサイドシュー連結部42に回動可能に取り付けられている。シリンダ側の第2端44bが、回動可能に側部22aに取り付けられている。第1端44aが第2端44bよりも前側に配置されている。油圧シリンダ44の第1端44aおよび第2端44bの回転軸は鉛直方向に平行である。また、平面視において、油圧シリンダ44は、平行リンク43と交差するように配置されている。
【0096】
油圧シリンダ44を縮めると、平行リンク43の連結部材431は、第2端431bを中心として第1端431aが側部22a側に回動する(矢印E1参照)。これによって、
図17Dに示すように、サイドシュー41をカッタヘッドサポート22側に移動し、前胴部11を縮径することができる。
図17Dは、
図17BのQQ´間の矢視断面図である。
【0097】
また、油圧シリンダ44を伸ばすと、平行リンク43の連結部材431は、第2端431bを中心として第1端431aが側部22aから離れる方向に回動する(矢印E2参照)。これによって、サイドシュー41をカッタヘッドサポート22側から離し拡径することができる。
【0098】
(サイドシュー41)
サイドシュー41(折り曲げ部の一例、側方シューの一例)は、
図17Aおよび
図17Bに示すように、サイドシュー前部411と、サイドシュー後部412と、を有する。サイドシュー前部411には、サイドシュー連結部42が設けられている。サイドシュー後部412は、サイドシュー前部411の後側に配置されている。サイドシュー後部412は、サイドシュー前部411の後端411bと連結されている連結部412cを中心に後端412bが水平方向に回動可能に構成されている(矢印F1、F2参照)。なお、本明細書において、水平方向、上下方向、鉛直方向、前後方向、幅方向、平行等は厳密な意味ではなく、誤差などがあってもよく、社会通念上に認められる程度であれば良い。
【0099】
サイドシュー前部411の後端411bには、内側に連結部411cが設けられている。連結部411cは、
図17Bに示すように2つ設けられており、上下に配置されている。サイドシュー後部412の前端412aには、内側に2つの連結部412cが設けられている、連結部411cおよび連結部412cの各々には、鉛直方向に貫通孔が形成されており、その貫通孔に軸部材が挿入されている。これによって、サイドシュー前部411に対してサイドシュー後部412が回動することができる。
図17Aでは、上下方向に沿った連結軸がG1として示されている。サイドシュー後部412には、
図1Aに示すように、その後端412bから前方向A1に向かって複数の切れ込みが形成されている。
【0100】
また、サイドシュー後部412の後端412bを、連結軸G1を中心に回動するために油圧シリンダ45がサイドシュー前部411とサイドシュー後部412に亘って配置されている。油圧シリンダ45は、
図17Bに示すように、2つの連結部411c、412cを上下から挟むように2つ配置されている。
【0101】
油圧シリンダ45は水平に配置されている。油圧シリンダ45は、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンに接続されたロッドとを有する。サイドシュー後部412の前端412a近傍の内側には、連結部412dが設けられている。油圧シリンダ45のロッド側の第1端45aが連結部412dに回動可能に取り付けられている。
【0102】
また、サイドシュー前部411の後端411b近傍の内側には、連結部411dが設けられている。連結部411dは、連結部411cと平面視において重なっている。油圧シリンダ45のシリンダ側の第2端45bが、連結部411dに回動可能に取り付けられている。油圧シリンダ45の第1端45aおよび第2端45bの回動中心は鉛直方向と略平行である。
【0103】
油圧シリンダ45を収縮すると、第1端45aに連結されている連結部412dが矢印F1側に回動するためサイドシュー後部412の後端412bが連結軸G1を中心に矢印F1方向に回動する。これによって、サイドシュー後部412の後端412bを内側(カッタヘッドサポート22に近づく方向)に移動することができる。
【0104】
油圧シリンダ45が伸長すると、第1端45aに連結されている連結部412cが矢印F2側に回動するためサイドシュー後部412の後端412bが連結軸G1を中心に矢印F2側に回動する。これによって、サイドシュー後部412の後端412bを外側(カッタヘッドサポート22から遠ざかる方向)に移動することができる。
【0105】
(ルーフサポート26)
ルーフサポート26は、カッタヘッドサポート22の上側に配置されている。
【0106】
【0107】
ルーフサポート26は、
図18に示すように、ルーフシュー51と、平行リンク52と、油圧シリンダ53と、を有する。
【0108】
ルーフシュー51は、
図1Aおよび
図2に示すように、カッタヘッドサポート22の上方を覆うように配置されている。ルーフシュー51は、前後方向Aに沿って視て外側に凸に湾曲している。上述したバーチカルサポート23のバーチカルシュー34と、サイドサポート24のサイドシュー41と、サイドサポート25のサイドシュー41と、ルーフシュー51は、前後方向Aに沿って視て、円周を描くように配置されている。
【0109】
平行リンク52は、ルーフシュー51と、カッタヘッドサポート22の上部22bの間を連結する。平行リンク52(第2リンク部の一例)は、
図19Aおよび
図19Bに示すように、2つの連結部材521を有する。2つの連結部材521は、前後方向Aに沿って配置されている。各々の連結部材521は、正面視においてH形状である。連結部材521は、H形状の上端である2つの第1端521aがルーフシュー51に回動可能に取り付けられている。連結部材521のH形状の下端である2つの第2端521bが、カッタヘッドサポート22の上部22bに回動可能に連結されている。連結部材521の第1端521aおよび第2端521bにおける回動軸はB方向に沿って設けられている。各々の連結部材521は、第2端521bの方が第1端521aよりも前側に配置されている。
【0110】
油圧シリンダ53は、ルーフシュー51をカッタヘッドサポート22に近づける方向またはカッタヘッドサポート22から遠ざかる方向に移動する。油圧シリンダ53は、2つ設けられており、平行リンク52の幅方向Bの両外側に配置されている。各々の油圧シリンダ53は、鉛直面と略平行に配置されている。油圧シリンダ53は、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンに接続されたロッドとを有する。
【0111】
ルーフシュー51の内側には、
図18に示すように、連結部51aが設けられており、油圧シリンダ53のロッド側の第1端53aが連結部51aに回動可能に取り付けられている。カッタヘッドサポート22の上部22bには、連結部22cが設けられており、油圧シリンダ53のシリンダ側の第2端53bが連結部22cに回動可能に取り付けられている。第1端53aが第2端53bよりも前側に配置されている。油圧シリンダ53の第1端53aおよび第2端53bの回転軸は幅方向Bに平行である。また、側面視において、油圧シリンダ53は、平行リンク52と交差するように配置されている。
【0112】
油圧シリンダ53を縮めると、平行リンク52の連結部材521は、第2端521bを中心として第1端521aが上部22b側に回動する(
図18の矢印J1参照)。これによって、ルーフシュー51をカッタヘッドサポート22側に移動し、前胴部11を縮径することができる。
【0113】
また、油圧シリンダ53を伸ばすと、平行リンク52の連結部材521は、第2端521bを中心として第1端521aが上部22bから離れる方向に回動する(矢印J2参照)。これによって、ルーフシュー51をカッタヘッドサポート22側から離し拡径することができる。
【0114】
(ルーフシュー51)
ルーフシュー51(折り曲げ部の一例、上方シューの一例)は、
図18および
図19Aに示すように、ルーフシュー中央部61と、ルーフシュー左側部62と、ルーフシュー右側部63と、油圧シリンダ64と、油圧シリンダ65と、を有する。ルーフシュー中央部61は、ルーフシュー51の幅方向Bにおける中央に配置されている。ルーフシュー中央部61に平行リンク52および油圧シリンダ64が連結されている。
【0115】
ルーフシュー左側部62は、ルーフシュー中央部61の左側(B1方向側)に配置されている。ルーフシュー左側部62の右端62bと、ルーフシュー中央部61の左端61aが連結されている。ルーフシュー左側部62は、ルーフシュー中央部61との連結部62cを中心に左端62aが上下方向に回動可能に構成されている(矢印K1、K2参照)。
【0116】
ルーフシュー中央部61の左端61aには、内側に連結部61c1が設けられている。ルーフシュー左側部62の右端62bには、内側に連結部62cが設けられている。連結部61c1および連結部62cの各々には、前後方向Aに沿って貫通孔が形成されており、その貫通孔に軸部材が挿入されている。これによって、ルーフシュー中央部61に対してルーフシュー左側部62は、前後方向Aに沿った連結軸G2を中心に左端62aがカッタヘッドサポート22に近づく方向(矢印K1)および遠ざかる方向(矢印K2)に回動することができる。
【0117】
油圧シリンダ64は、ルーフシュー中央部61とルーフシュー左側部62に亘って配置されている。
図19Aに示すように、油圧シリンダ64は、前後方向Aに2つ並んで配置されている。各々の油圧シリンダ64は、幅方向Bに沿って配置されている。各々の油圧シリンダ64は、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンに接続されたロッドとを有する。
図18に示すように、ルーフシュー左側部62の幅方向Bの中央近傍には、連結部62dが設けられており、油圧シリンダ64のロッド側の第1端64aが連結部62dに回動可能に取り付けられている。ルーフシュー中央部61の左端61a近傍の内側には、連結部61d1が設けられており、油圧シリンダ64のシリンダ側の第2端64bが連結部61d1に回動可能に取り付けられている。油圧シリンダ64の第1端64aおよび第2端64bは、前後方向Aを軸に回動可能である。
【0118】
油圧シリンダ64が収縮すると、第1端64aに連結されている連結部62dが
図18の矢印K1側に回動するためルーフシュー左側部62の左端62aが連結軸G2を中心に矢印K1方向に回動する。これによって、ルーフシュー左側部62の左端62aを内側(カッタヘッドサポート22に近づく方向)に移動することができる。
【0119】
油圧シリンダ64が伸長すると、第1端64aに連結されている連結部62dが矢印K2側に回動するためルーフシュー左側部62の左端62aが連結軸G2を中心に矢印K2側に回動する。これによって、ルーフシュー左側部62の左端62aを外側(カッタヘッドサポート22から遠ざかる方向)に移動することができる。
【0120】
ルーフシュー右側部63は、ルーフシュー中央部61の右側(B2方向側)に配置されている。ルーフシュー右側部63の左端63aと、ルーフシュー中央部61の右端61bが連結されている。ルーフシュー右側部63は、ルーフシュー中央部61との連結部63cを中心に右端63bが上下方向に回動可能に構成されている(矢印L1、L2参照)。
【0121】
ルーフシュー中央部61の右端61bには、内側に連結部61c2が設けられている。ルーフシュー右側部63の左端63aには、内側に連結部63cが設けられている。連結部61c2および連結部63cの各々には、前後方向Aに沿って貫通孔が形成されており、その貫通孔に軸部材が挿入されている。これによって、ルーフシュー中央部61に対してルーフシュー右側部63は、前後方向Aに沿った連結軸G3を中心に右端63bがカッタヘッドサポート22に近づく方向(矢印L1)および遠ざかる方向(矢印L2)に回動することができる。
【0122】
油圧シリンダ65は、ルーフシュー中央部61とルーフシュー右側部63に亘って配置されている。
図19Aに示すように、油圧シリンダ65は、前後方向Aに沿って2つ並んで配置されている。各々の油圧シリンダ65は、幅方向Bに沿って配置されている。各々の油圧シリンダ65は、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンに接続されたロッドとを有する。
図18に示すように、ルーフシュー右側部63の幅方向Bの中央近傍には、連結部63dが設けられており、油圧シリンダ65のロッド側の第1端65aが連結部63dに回動可能に取り付けられている。ルーフシュー中央部61の右端61b近傍の内側には、連結部61d2が設けられており、油圧シリンダ65のシリンダ側の第2端65bが連結部61d2に回動可能に取り付けられている。油圧シリンダ65の第1端65aおよび第2端65bは、前後方向Aを軸に回動可能である。
【0123】
油圧シリンダ65が収縮すると、第1端65aに連結されている連結部63dが矢印L1側に回動するためルーフシュー右側部63の右端63bが連結軸G3を中心に矢印L1方向に回動する。これによって、ルーフシュー右側部63の右端63bを内側(カッタヘッドサポート22に近づく方向)に移動することができる。
【0124】
油圧シリンダ65が伸長すると、第1端65aに連結されている連結部63dが矢印L2側に回動するためルーフシュー右側部63の左端63aが連結軸G3を中心に矢印L2側に回動する。これによって、ルーフシュー右側部63の右端63bを外側(カッタヘッドサポート22から遠ざかる方向)に移動することができる。
【0125】
(ルーフシュー中央部61)
ルーフシュー中央部61は、
図19Aおよび
図19Bに示すように、ルーフシュー中央前部611と、ルーフシュー中央後部612と、を有する。
【0126】
ルーフシュー中央前部611には、平行リンク52、油圧シリンダ53、油圧シリンダ64、および油圧シリンダ65が連結されている。ルーフシュー中央後部612は、ルーフシュー中央前部611の後側に配置されている。ルーフシュー中央前部611の後端611aと、ルーフシュー中央後部612の前端621bが連結されている。ルーフシュー中央後部612は、ルーフシュー中央前部611との連結部612cを中心に後端612aが上下方向に回動可能に構成されている(
図19Aの紙面手前方向および紙面奥行方向、
図19Bの矢印N1、N2方向)。ルーフシュー中央後部612には、
図1Aに示すように、その後端612aから前方向A1に向かって複数の切れ込みが形成されている。
【0127】
ルーフシュー中央前部611の後端611aには、内側に連結部611cが設けられている。ルーフシュー中央後部612の前端612bには、内側に連結部612cが設けられている。連結部611cおよび連結部612cの各々には、幅方向Bに沿って貫通孔が形成されており、その貫通孔に軸部材が挿入されている。これによって、ルーフシュー中央前部611に対してルーフシュー中央後部612は、幅方向Bに沿った連結軸G4を中心に後端612aがカッタヘッドサポート22に近づく方向(
図19Aの紙面手前方向、
図19Bの矢印N1方向、
図20の矢印J1参照)および遠ざかる方向(
図19Aの紙面奥行方向、
図19Bの矢印N2方向、
図20の矢印J2参照)に回動することができる。
【0128】
また、ルーフシュー中央後部612の後端612aを、連結軸G4を中心に回動するために、油圧シリンダ66がルーフシュー中央前部611とルーフシュー中央後部612に亘って配置されている。
【0129】
油圧シリンダ66は幅方向Bに沿って例えば2つ配置されている。各々の油圧シリンダ66は、前後方向Aに沿って配置されている。各々の油圧シリンダ66は、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンに接続されたロッドとを有する。ルーフシュー中央後部612の前端612b近傍の内側には、連結部612dが設けられている。油圧シリンダ66のロッド側の第1端66aが連結部612dに回動可能に取り付けられている。
【0130】
また、
図19Bに示すように、ルーフシュー中央前部611の後端611a近傍の内側には、連結部611dが設けられており、連結部611dには、油圧シリンダ66のシリンダ側の第2端66bが回動可能に取り付けられている。油圧シリンダ66の第1端66aおよび第2端66bの回動中心は幅方向Bと略平行である。
【0131】
油圧シリンダ66が収縮すると、第1端66aに連結されている連結部612dが紙面手前側に回動するためルーフシュー中央後部612の後端612aが軸G4を中心に紙面手前方向に回動する。これによって、ルーフシュー中央後部612の後端612aを内側(カッタヘッドサポート22に近づく方向)に移動することができる(
図19Bおよび
図20のN1方向参照)。
【0132】
油圧シリンダ66が伸長すると、第1端66aに連結されている連結部612dが紙面奥行方向側に回動するためルーフシュー中央後部612の後端612aが連結軸G4を中心に紙面奥行方向側に回動する。これによって、ルーフシュー中央後部612の後端612aを外側(カッタヘッドサポート22から遠ざかる方向)に移動することができる(
図19Bおよび
図20のN2方向参照)。
【0133】
(ルーフシュー左側部62)
ルーフシュー左側部62は、
図19Aに示すように、ルーフシュー左側前部621と、ルーフシュー左側後部622と、を有する。
【0134】
ルーフシュー左側前部621は、ルーフシュー中央前部611と連結されており、油圧シリンダ64が連結されている。
【0135】
ルーフシュー左側後部622は、ルーフシュー左側前部621の後側に配置されている。ルーフシュー左側前部621の後端621aと、ルーフシュー左側後部622の前端622bが連結されている。ルーフシュー左側後部622は、ルーフシュー左側前部621との連結部622cを中心に後端622aが上下方向に回動可能に構成されている(
図19Aの紙面手前方向および紙面奥行方向)。ルーフシュー左側後部622には、
図1Aに示すように、その後端622aから前方向A1に向かって複数の切れ込みが形成されている。
【0136】
ルーフシュー左側前部621の後端621aには、内側に連結部621cが設けられている。ルーフシュー左側後部622の前端622bには、内側に連結部622cが設けられている。連結部621cおよび連結部622cの各々には、幅方向Bに沿って貫通孔が形成されており、その貫通孔に軸部材が挿入されている。これによって、ルーフシュー左側前部621に対してルーフシュー左側後部622は、連結軸G4を中心に後端622aがカッタヘッドサポート22に近づく方向(
図19Aの紙面手前方向)および遠ざかる方向(
図19Aの紙面奥行方向)に回動することができる。
【0137】
また、ルーフシュー左側後部622の後端622aを、軸G4を中心に回動するために油圧シリンダ67がルーフシュー左側前部621とルーフシュー左側後部622に亘って配置されている。
【0138】
油圧シリンダ67は幅方向Bに沿って例えば2つ配置されている。各々の油圧シリンダ67は、前後方向Aに沿って配置されている。各々の油圧シリンダ67は、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンに接続されたロッドとを有する。ルーフシュー左側後部622の前端622b近傍の内側には、連結部622dが設けられている。油圧シリンダ67のロッド側の第1端67aが連結部622dに回動可能に取り付けられている。
【0139】
また、ルーフシュー左側前部621の後端621a近傍の内側には、連結部621dが設けられており、連結部621dには、油圧シリンダ67のシリンダ側の第2端67bが回動可能に取り付けられている。油圧シリンダ67の第1端67aおよび第2端67bの回動中心は幅方向Bと略平行である。
【0140】
油圧シリンダ67が収縮すると、第1端67aに連結されている連結部622dが紙面手前側に回動するためルーフシュー左側後部622の後端622aが軸G4を中心に紙面手前方向に回動する。これによって、ルーフシュー左側後部622の後端622aを内側(カッタヘッドサポート22に近づく方向)に移動することができる(
図19Bおよび
図20のN1方向参照)。
【0141】
油圧シリンダ67が伸長すると、第1端67aに連結されている連結部622dが紙面奥行方向側に回動するためルーフシュー左側後部622の後端622aが連結軸G4を中心に紙面奥行方向側に回動する。これによって、ルーフシュー左側後部622の後端622aを外側(カッタヘッドサポート22から遠ざかる方向)に移動することができる(
図19Bおよび
図20のN2方向参照)。
【0142】
(ルーフシュー右側部63)
ルーフシュー右側部63は、
図19Aに示すように、ルーフシュー右側前部631と、ルーフシュー右側後部632と、を有する。
【0143】
ルーフシュー右側前部631は、ルーフシュー中央前部611と連結されており、油圧シリンダ65が連結されている。
【0144】
ルーフシュー右側後部632は、ルーフシュー右側前部631の後側に配置されている。ルーフシュー右側前部631の後端631aと、ルーフシュー右側後部632の前端632bが連結されている。ルーフシュー右側後部632は、ルーフシュー右側前部631との連結部632cを中心に後端632aが上下方向に回動可能に構成されている(
図19Aの紙面手前方向および紙面奥行方向)。ルーフシュー右側後部632には、
図1Aに示すように、その後端632aから前方向A1に向かって複数の切れ込みが形成されている。
【0145】
ルーフシュー右側前部631の後端631aには、内側に連結部631cが設けられている。ルーフシュー右側後部632の前端632bには、内側に連結部632cが設けられている。連結部631cおよび連結部632cの各々には、幅方向Bに沿って貫通孔が形成されており、その貫通孔に軸部材が挿入されている。これによって、ルーフシュー右側前部631に対してルーフシュー右側後部632は、連結軸G4を中心に後端632aがカッタヘッドサポート22に近づく方向(
図19Aの紙面手前方向)および遠ざかる方向(
図19Aの紙面奥行方向)に回動することができる。
【0146】
また、ルーフシュー右側後部632の後端632aを、軸G4を中心に回動するために油圧シリンダ68がルーフシュー右側前部631とルーフシュー右側後部632に亘って配置されている。
【0147】
油圧シリンダ68は幅方向Bに沿って例えば2つ配置されている。各々の油圧シリンダ68は、前後方向Aに沿って配置されている。各々の油圧シリンダ68は、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンに接続されたロッドとを有する。ルーフシュー右側後部632の前端632b近傍の内側には、連結部632dが設けられている。油圧シリンダ68のロッド側の第1端68aが連結部632dに回動可能に取り付けられている。
【0148】
また、ルーフシュー右側前部631の後端631a近傍の内側には、連結部631dが設けられており、連結部631dには、油圧シリンダ68のシリンダ側の第2端68bが回動可能に取り付けられている。油圧シリンダ68の第1端68aおよび第2端68bの回動中心は幅方向Bと略平行である。
【0149】
油圧シリンダ68が収縮すると、第1端68aに連結されている連結部632dが紙面手前側に回動するためルーフシュー右側後部632の後端632aが軸G4を中心に紙面手前方向に回動する。これによって、ルーフシュー右側後部632の後端632aを内側(カッタヘッドサポート22に近づく方向)に移動することができる(
図19Bおよび
図20のN1方向参照)。
【0150】
油圧シリンダ68が伸長すると、第1端68aに連結されている連結部632dが紙面奥行方向側に回動するためルーフシュー右側後部632の後端632aが連結軸G4を中心に紙面奥行方向側に回動する。これによって、ルーフシュー右側後部632の後端632aを外側(カッタヘッドサポート22から遠ざかる方向)に移動することができる(
図19Bおよび
図20のN2方向参照)。
【0151】
なお、ルーフシュー中央前部611、ルーフシュー左側前部621およびルーフシュー右側前部631は、上方シュー前部の一例に対応し、ルーフシュー中央後部612、ルーフシュー左側後部622およびルーフシュー右側後部632は、ルーフシュー後部の一例に対応する。
【0152】
(後胴部12)
図21は、後胴部12の構成を示す図である。
図22は、
図21のRR´間の矢視断面図である。
【0153】
後胴部12は、
図1Aに示すように、グリッパ部70とグリッパキャリア71とを有している。グリッパ部70は、グリッパキャリア71から外側に突出して、掘削の際にトンネル内壁を押圧して後胴部12をトンネル内壁に支持する。
【0154】
グリッパ部70は、一対のサイドグリッパ72a、72bと、下方グリッパ73と、上方グリッパ74と、サイドグリッパシリンダ75a、75bと、下方グリッパシリンダ76と、上方グリッパシリンダ77と、を有する。
【0155】
サイドグリッパ72a、72bは、グリッパキャリア71の左部分および右部分に設けられている。サイドグリッパシリンダ75aは、
図22に示すように前後方向に並んで2つ配置されている。各々のサイドグリッパシリンダ75aは、幅方向Bに沿って配置されている。サイドグリッパシリンダ75bは、
図22に示すように前後方向に並んで2つ配置されている。各々のサイドグリッパシリンダ75bは、幅方向Bに沿って配置されている。サイドグリッパシリンダ75aは油圧によって伸縮し、サイドグリッパシリンダ75aの伸縮によってサイドグリッパ72aが幅方向Bの外側また内側に移動する。また、サイドグリッパシリンダ75bは油圧によって伸縮し、サイドグリッパシリンダ75bの伸縮によってサイドグリッパ72bが幅方向Bの外側また内側に移動する。
【0156】
下方グリッパ73は、グリッパキャリア71の下部分に設けられている。下方グリッパシリンダ76は、
図21に示すように幅方向Bに並んで2つ配置されている。各々の下方グリッパシリンダ76は、上下方向に沿って配置されている。下方グリッパシリンダ76は油圧によって伸縮し、下方グリッパシリンダ76の伸縮によって下方グリッパ73が上下方向に移動する。
【0157】
また、下方グリッパ73には、
図1Aに示すように車輪78が装着されている。下方グリッパ73には、後述する
図24に示すように、凹部73aが形成されており、凹部73aに車輪78が嵌って配置されている。車輪78は、前後方向Aに沿って2つ配置されており、この2つの車輪78が、幅方向Bにおいて2列配置されている。なお、
図1Aでは、左右列の各々の前側の車輪78のみ示されている。車輪78は、下方グリッパ73の表面より内側に配置されており、下方グリッパ73による地面への押圧の際には、車輪78が、地面に押圧されないように構成されている。
【0158】
上方グリッパ74は、グリッパキャリア71の上部分に設けられている。上方グリッパシリンダ77は、
図21に示すように幅方向Bに並んで2つ配置されている。各々の上方グリッパシリンダ77は、上下方向に沿って配置されている。上方グリッパシリンダ77は油圧によって伸縮し、上方グリッパシリンダ77の伸縮によって上方グリッパ74が上下方向に移動する。
【0159】
<トンネル掘削装置の動作>
(掘削)
本実施の形態のトンネル掘削装置1は、後胴部12のサイドグリッパ72、下方グリッパ73および上方グリッパ74を外側に突出させてトンネル内壁に後胴部12が支持される。
【0160】
そして、スラストシリンダ13aを伸長させて前胴部11を後胴部12に対して前進させてカッタヘッド21で掘削を行う。掘削の際に、ルーフシュー51、バーチカルシュー34およびサイドシュー41をトンネル内壁に摺動させることによって、安定して掘削を行うことができる。
【0161】
次に、リアサポート18を用いて油圧でメインビーム14を上方に支持してからスラストシリンダ13aを縮めて後胴部12を前進させる。
【0162】
このような動作を繰り返すことによって、トンネル掘削装置1は掘削を行いながら前進する。
【0163】
(直線状に後進)
次に、後進時の動作について説明する。
【0164】
後進時には、前胴部11および後胴部12が縮径される。前胴部11については、全てのフェリフェラルプレート27が掘削位置Q1から収納位置Q2に折り畳まれる。全てのバケット84が掘削位置P1から収納位置P2に移動される。また、側面部82のローラカッタ83´が内側に引き込まれて固定される。
【0165】
また、ルーフシュー51も縮径される。
図23は、ルーフシューが縮径された状態を示す図であり、
図19AのVV´間の矢視断面図である。
【0166】
ルーフシュー51は、油圧シリンダ53を収縮することによって下方に移動されてカッタヘッドサポート22に近づけられる(矢印J1参照)。また、油圧シリンダ64を収縮してルーフシュー左側部62を左端62aが下方に移動してカッタヘッドサポート22に近づくように回動される(矢印K1参照)。さらに、油圧シリンダ65を収縮してルーフシュー右側部63を右端63bが下方に移動してカッタヘッドサポート22に近づくように回動される(矢印K2参照)。このように、ルーフシュー51が幅方向Bにおいて折れ曲がるため、ルーフシュー51を単に下げるだけよりも、ルーフシュー左側部62およびルーフシュー右側部63の部分も縮径することができ、ルーフシュー51全体を円周に沿って縮径することができる。
【0167】
一対のサイドシュー41は、油圧シリンダ44を収縮することによって内側に移動されてカッタヘッドサポート22に近づけられる(
図17Aの矢印E1参照。)。また、バーチカルシュー34は、油圧シリンダ33を収縮することによって上方に移動されてカッタヘッドサポート22に近づけられる。
【0168】
後胴部12についても縮径される。具体的には、サイドグリッパシリンダ75a、75b、下方グリッパシリンダ76、および上方グリッパシリンダ77が収縮されて、サイドグリッパ72a、72b、下方グリッパ73および上方グリッパ74がグリッパキャリア71に対して内側に移動する。
【0169】
そして、
図24に示すように、下方グリッパ73に装着されている車輪78がレール100に乗せられて、バーチカルシュー34もレール100上に載置される。下方グリッパ73と、その後側のレール100との間を伸長させた油圧シリンダで接続する。油圧シリンダの一端は下方グリッパ73に取り付けられ、他端はレールクランパを介してレール100に取り付けられる。このように取り付けた油圧シリンダを収縮させることによって、トンネル掘削装置1を後に引いて後進させることできる。油圧シリンダを最小まで縮小させた後、レールクランパを解除し、油圧シリンダを伸長した後にレールクランパで油圧シリンダをレールに取り付け再び収縮させる。これを繰り返すことによって、トンネル掘削装置1全体を後進させることができる。
【0170】
(曲線状に後進)
図25に示すように、本実施の形態のトンネル掘削装置1が曲線状に後退する場合について説明する。
【0171】
図25では、前胴部11に対して後胴部12が後進方向に向いて左側に曲がっている。この場合、ルーフシュー51は、上述したように油圧シリンダ53、64、65を収縮させるだけでなく、カーブ外周側のルーフ側部の後部が下方に回動される。
図24に示す例では、左側にカーブしているため、ルーフシュー左側部62とルーフシュー右側部63のうちルーフシュー左側部62が外径側となる。そのため、
図26に示すように、ルーフシュー左側部62のルーフシュー左側後部622が、後端622aが下方に向かって回動するように、油圧シリンダ68が収縮される(矢印N1参照)。
図26は、
図19AのMM´間の矢視断面図である。なお、
図26に示すように、カーブ内径側のルーフシュー右側部63のルーフシュー右側後部632は機内の他の装置と干渉しないように、その後端632aをカッタヘッドサポート22側には回動させない。
【0172】
また、バーチカルシュー34は、トンネル掘削装置1の後進に伴って曲線に沿って回動する。
図25では左に向かって曲がっているため、バーチカルシュー34は
図15において反時計回りに回転する。
【0173】
また、
図2に示すように、曲線の外側のサイドシュー41のサイドシュー後部412が、その後端412bを内側(矢印F1方向)に移動するように連結軸G1を中心として回動される。これによって、屈曲の際に外周側のサイドサポート24がトンネル坑壁に干渉することを防ぐことができる。
図2には、トンネルT1の右側内壁TRおよび左側内壁TLが点線で示されている。
【0174】
なお、バーチカルサポート23、サイドサポート24、25およびルーフサポート26を駆動する油圧シリンダ33、44、53、64~68の操作は、その全部または一部をコントローラが自動で行ってもよいし、人が操作してもよい。なお、コントローラは、プロセッサおよびメモリを有し、プロセッサがメモリ内のプログラムを実行することによって自動で操作が行われる。
【0175】
<特徴等>
(1)
本実施の形態のトンネル掘削装置1は、前胴部11と、後胴部12と、を有する。前胴部11は、カッタヘッド21と、カッタヘッドサポート22(カッタヘッド支持部の一例)と、フェリフェラルプレート27(折り曲げ部の一例)、ルーフシュー51(折り曲げ部の一例)、またはサイドシュー41(折り曲げ部の一例)を有する。カッタヘッド21は、複数のローラカッタ83(カッタの一例)を有する。カッタヘッドサポート22は、カッタヘッド21を支持する。フェリフェラルプレート27、ルーフシュー51、またはサイドシュー41は、外周に設けられ内側に向かって折り曲げ可能である。後胴部12は、前胴部11の後方に配置されている。後胴部12は、グリッパ部70を有する。グリッパ部70は、掘削を行うための反力を得る。
【0176】
このように外周に設けられている折り曲げ部を折り曲げることによって、折り曲げた部分の外径を縮径することができる。
【0177】
そのため、掘削後の施工によってトンネルの径が小さくなった場合でも後進することができる。
【0178】
また、坑内掘り鉱山の際には曲線施工されることが考えられるため、後進の際には、直線状に後進するだけなく、曲線状に後進する必要がある。そのため、トンネルの径が小さくならない場合であっても曲線状に後退する際には、トンネルと干渉する場合があるが、折り曲げることによってトンネルとの干渉を解消して曲線状に後退することができる。
【0179】
(2)
本実施の形態のトンネル掘削装置1には、フェリフェラルプレート27(周縁プレートの一例)が設けられている。フェリフェラルプレート27は、カッタヘッド21の周縁に配置されている。フェリフェラルプレート27は、ヒンジ部28(連結部の一例)を介して折り畳み可能にカッタヘッド21の側面部82(側面の一例)に連結されている。
【0180】
このようにカッタヘッド21の周縁に設けられているフェリフェラルプレート27を内側に折り畳むことによってカッタヘッド21の外径を縮径することができる。
【0181】
そのため、掘削後の施工によってトンネルの径が小さくなった場合でも後進することができる。
【0182】
(3)
本実施の形態のトンネル掘削装置1には、カッタヘッドサポート22の側方に配置されたサイドシュー41(側方シューの一例)が設けられている。サイドシュー41は、サイドシュー前部411(側方シュー前部の一例)と、サイドシュー後部412(側方シュー後部の一例)と、を有する。サイドシュー前部411は、カッタヘッドサポート22に接続されている。サイドシュー後部412は、サイドシュー前部411の後側に配置され、サイドシュー前部411に対して回動可能に連結されている。サイドシュー後部412は、サイドシュー前部411との連結部412cを中心に後端412bが水平方向に回動可能である。
【0183】
坑内掘り鉱山の際には曲線施工されることが考えられるため、後進の際には、直線状に後進するだけなく、曲線状に後進する必要があるが、曲線の外周側のサイドシュー41のサイドシュー後部412を後端412bが内側に移動するように折り曲げることができる。
【0184】
このような構成により、サイドシュー41のトンネル内壁との干渉を防ぐことができ、曲線状に後進することが可能となる。
【0185】
(4)
本実施の形態のトンネル掘削装置1は、平行リンク43(第1リンク部の一例)を有する。平行リンク43は、サイドシュー41とカッタヘッドサポート22を連結し、サイドシュー41を、カッタヘッドサポート22に近づく方向E1およびカッタヘッドサポート22から離れる方向E2に移動可能である。
【0186】
このような構成により、サイドシュー41をカッタヘッドサポート22に近づけることによって前胴部11を縮径することができるため、掘削後の施工によってトンネルの内径が小さくなった場合であっても後退を行うことが可能となる。
【0187】
(5)
本実施の形態のトンネル掘削装置1には、カッタヘッドサポート22の上方に配置されたルーフシュー51(上方シューの一例)が設けられている。ルーフシュー51は、ルーフシュー中央部61(上方シュー中央部の一例)と、ルーフシュー左側部62(上方シュー側部の一例)およびルーフシュー右側部63(ルーフシュー側部の一例)と、を有する。ルーフシュー左側部62およびルーフシュー右側部63は、ルーフシュー中央部61の幅方向Bの側方に配置され、ルーフシュー中央部61に対して回動可能に連結されている。ルーフシュー左側部62およびルーフシュー右側部63は、ルーフシュー中央部61との連結部62c、63cを中心に、左端62a(外側の端の一例)および右端63b(外側の端の一例)が上下方向に回動可能である。
【0188】
このような構成により、曲線状に後退を行う際に、ルーフシュー左側部62およびルーフシュー右側部63のうち曲線の外周側のルーフシュー側部を、外側の端が内側に移動するようにルーフシュー中央部61に対して折り曲げることができる。
【0189】
このため、ルーフシュー51とトンネル内壁との干渉を防ぐことができ、曲線状に後進することが可能となる。
【0190】
(6)
本実施の形態のトンネル掘削装置1には、カッタヘッドサポート22の上方に配置されたルーフシュー51が設けられている。ルーフシュー51は、ルーフシュー中央前部611、ルーフシュー左側前部621およびルーフシュー右側前部631(上方シュー前部の一例)と、ルーフシュー中央後部612、ルーフシュー左側後部622およびルーフシュー右側後部632(上方シュー後部の一例)と、を有する。ルーフシュー中央前部611は、カッタヘッドサポート22に接続されている。ルーフシュー中央後部612、ルーフシュー左側後部622およびルーフシュー右側後部632は、ルーフシュー中央前部611、ルーフシュー左側前部621およびルーフシュー右側前部631の後側に配置され、ルーフシュー中央前部611、ルーフシュー左側前部621およびルーフシュー右側前部631に対して回動可能に連結されている。ルーフシュー中央後部612、ルーフシュー左側後部622およびルーフシュー右側後部632は、ルーフシュー中央前部611、ルーフシュー左側前部621およびルーフシュー右側前部631との連結部612c、622c、632cを中心に後端612a、622a、632aが上下方向に回動可能である。
【0191】
このような構成により、曲線状に下降するように形成されたトンネル内を後進する場合に、ルーフシュー中央後部612、ルーフシュー左側後部622およびルーフシュー右側後部632を後端612a、622a、632aが内側に移動するように折り曲げることができる。
【0192】
このため、ルーフシュー51のトンネル内壁との干渉を防ぐことができ、曲線状に下降するトンネル内を後進することが可能となる。
【0193】
(7)
本実施の形態のトンネル掘削装置1では、前胴部11は、平行リンク52(第2リンク部の一例)を更に有する。平行リンク52は、ルーフシュー51とカッタヘッドサポート22を連結し、ルーフシュー51を、カッタヘッドサポート22に近づく方向J1およびカッタヘッドサポート22から離れる方向J2に移動可能である。
【0194】
このような構成により、ルーフシュー51をカッタヘッドサポート22に近づけることによって前胴部11を縮径することができるため、掘削後の施工によってトンネルの内径が小さくなった場合であっても後退を行うことが可能となる。
【0195】
(8)
本実施の形態のトンネル掘削装置1では、ルーフシュー中央部61は、ルーフシュー中央前部611(上方シュー中央前部の一例)と、ルーフシュー中央後部612(上方シュー中央後部の一例)と、を有する。ルーフシュー中央前部611は、カッタヘッドサポート22に接続されている。ルーフシュー中央後部612は、ルーフシュー中央前部611の後側に配置され、ルーフシュー中央前部611に対して回動可能に連結されている。ルーフシュー中央後部612は、ルーフシュー中央前部611との連結部612cを中心に後端612aが上下方向に回動可能である。
【0196】
このような構成により、曲線状に下降するように形成されたトンネル内を後進する場合に、ルーフシュー中央後部612を後端612aが内側(下方)に移動するように折り曲げることができる。
【0197】
これにより、ルーフシュー中央部61のトンネル内壁との干渉を防ぐことができ、曲線状に下降するトンネル内を後進することが可能となる。
【0198】
(9)
本実施の形態のトンネル掘削装置1では、ルーフシュー左側部62(上方シュー側部の一例)は、ルーフシュー左側前部621(上方シュー側前部の一例)と、ルーフシュー左側後部622(上方シュー側後部の一例)と、を有する。ルーフシュー左側前部621は、ルーフシュー中央部61(上方シュー中央部の一例)に接続されている。ルーフシュー左側後部622は、ルーフシュー左側前部621の後側に配置され、ルーフシュー左側前部621に対して回動可能に連結されている。ルーフシュー左側後部622は、ルーフシュー左側前部621との連結部622cを中心に後端622aが上下方向に回動可能である。ルーフシュー右側部63(上方シュー側部の一例)は、ルーフシュー右側前部631(上方シュー側前部の一例)と、ルーフシュー右側後部632(上方シュー側後部の一例)と、を有する。ルーフシュー右側前部631は、ルーフシュー中央部61(上方シュー中央部の一例)に接続されている。ルーフシュー右側後部632は、ルーフシュー右側前部631の後側に配置され、ルーフシュー右側前部631に対して回動可能に連結されている。ルーフシュー右側後部632は、ルーフシュー右側前部631との連結部632cを中心に後端632aが上下方向に回動可能である。
【0199】
このような構成により、曲線状に下降するように形成されたトンネル内を後進する場合に、ルーフシュー左側後部622およびルーフシュー右側後部632を後端622a、632aが内側(下方)に移動するように折り曲げることができる。
【0200】
これにより、ルーフシュー左側後部622およびルーフシュー右側後部632のトンネル内壁との干渉を防ぐことができ、曲線状に下降するトンネル内を後進することが可能となる。
【0201】
(10)
本実施の形態のトンネル掘削装置1では、前胴部11は、バーチカルシュー34(下方シューの一例)と、油圧シリンダ33(アクチュエータの一例)と、を更に有する。バーチカルシュー34は、カッタヘッドサポート22の下方に配置されている。油圧シリンダ33は、バーチカルシュー34を、カッタヘッドサポート22に近づく方向H1およびカッタヘッドサポート22から離れる方向H2に移動可能である。
【0202】
このような構成によって、油圧シリンダ33でバーチカルシュー34をカッタヘッドサポート22に近づけることによって、地面との間に隙間ができ、バーチカルシュー34をレール100上に載せることができる。このため、例えば、後胴部12の下部に車輪78を設けレール100上に配置し、トンネル掘削装置1とレール100を油圧シリンダ等によって接続して油圧で、トンネル掘削装置1を後進させることができる。
【0203】
(11)
本実施の形態のトンネル掘削装置1では、バーチカルシュー34は、カッタヘッドサポートに対して回動可能に設けられている。油圧シリンダ33は、バーチカルシュー34の回転中心に配置されている。
【0204】
このような構成によって、曲線状に後退する際に、曲線に施工される地面の形状に沿ってバーチカルシュー34が自動で回動することができる。
【0205】
(12)
本実施の形態のトンネル掘削装置1では、グリッパ部70は、一対のサイドグリッパ72a、72b(側方グリッパの一例)と、下方グリッパ73と、上方グリッパ74と、を有する。一対のサイドグリッパ72a、72bは、後胴部12の両側部に設けられている。下方グリッパ73は、後胴部12の下部に設けられている。上方グリッパ74は、後胴部12の上部に設けられている。下方グリッパ73の下部には、車輪78が設けられている。
【0206】
このような構成によって、後進の際に、後胴部12を縮径することができる。また、車輪78をレール100上に配置し、トンネル掘削装置1とレールをレールクランパ等によって接続して油圧でレールクランパを伸縮させて、トンネル掘削装置1を後進させることができる。
【0207】
<他の実施形態>
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0208】
(A)
上記実施の形態では、フェリフェラルプレート27は、折り畳み治具99を用いて折り畳んでいるが、これに限らなくてもよく、油圧シリンダや油圧ジャッキなどが設けられ、油圧によって折り畳まれてもよい。
【0209】
(B)
上実施の形態では、バケット84は持ち込まれて格納用油圧シリンダ89によって収納位置P2に移動されているが、これに限らなくてもよく、上述した折り畳み治具99のような構成の治具を用いてもよい。
【0210】
(C)
上記実施の形態では、サイドシュー41およびルーフシュー51は、折れ曲がるように後部が回動可能に構成されているが、前後方向Aの長さが短い場合には、折れ曲がるように構成されていなくてもよい。
【0211】
(D)
上記実施の形態では、後胴部12には、上下左右に上方グリッパ74と、サイドグリッパ72および下方グリッパ73が設けられているが、これに限らなくてもよく、例えばサイドグリッパ72のみが設けられていてもよい。
【0212】
(E)
上記実施の形態で用いられている油圧シリンダ44、53、64~68は、油圧シリンダに限られるものではなく、ジャッキ等であってもよい。
【0213】
(F)
上記実施の形態では、レールクランパによって油圧でトンネル掘削装置1を後進させると述べたが、レールクランパに限られるものではなく、車両等によって牽引してもよい。
(G)
なお、トンネル掘削装置1は、曲線状に後進するときに干渉しないことを目的としたときの実施の形態を開示したが、前進時急曲線部に本開示を適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本開示のトンネル掘削装置は、後進が可能な効果を奏することから、坑内掘り鉱山に適用することができる。
【符号の説明】
【0215】
1 :トンネル掘削装置
11 :前胴部
12 :後胴部
21 :カッタヘッド
22 :カッタヘッドサポート
27 :フェリフェラルプレート
41 :サイドシュー
51 :ルーフシュー
70 :グリッパ部
83 :ローラカッタ