(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】繊維製品用の液体洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/08 20060101AFI20240105BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20240105BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240105BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20240105BHJP
C11D 1/74 20060101ALI20240105BHJP
C11D 1/02 20060101ALI20240105BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D3/48
C11D1/72
C11D1/722
C11D1/74
C11D1/02
C11D3/20
(21)【出願番号】P 2020076173
(22)【出願日】2020-04-22
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2019080843
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 準也
(72)【発明者】
【氏名】伏谷 将典
(72)【発明者】
【氏名】森 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 安信
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-528566(JP,A)
【文献】特開平03-054300(JP,A)
【文献】特開2018-188542(JP,A)
【文献】特開2018-184698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D, D06L, D06M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:フェノール構造を有する抗菌剤と、(B)成分:高級脂肪酸又はその塩以外の界面活性剤と、(C)成分:下式(c1)で表される化合物、下式(c2)で表される化合物、及び下式(c3)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上と、を含有する、繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
【化1】
(ただし、式(c1)中、Qは飽和結合または不飽和結合であり、R
4、R
5は、各々独立に炭素数1~10のアルキル基であり、R
6は水素原子もしくは炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のアルキル基の末端にスルファニル基を有するアルキルスルファニル基である。
また、式(c2)中、kは0または1であり、R
7は炭素数1~3の直鎖状のアルキル基であり、R
8は炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は水素原子の1つが炭素数1~3のアルキル基に置換されていてもよいアリール基である。
また、式(c3)中、R
9は炭素数1~3の炭化水素基であり、R
10は炭素数1~10の炭化水素基である。)
【請求項2】
前記(A)成分が、下式(a1)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
【化2】
(ただし、式(a1)中、Xは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Yは塩素原子又は臭素原子であり、ZはSO
2H、NO
2、又は炭素数1~4のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ独立に0又は1~3の整数であり、dは0又は1であり、mは0又は1であり、nは0又は1である。
-(Y)bは、ベンゼン環の水素原子のb個がYに置換されていることを意味する。-(Y)c、-(Z)d、-(OH)m、及び-(OH)nについても同様である。)
【請求項3】
前記(B)成分が、(b1)成分:ノニオン界面活性剤を含有する、請求項1又は2に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記(B)成分が、(b2)成分:高級脂肪酸又はその塩以外のアニオン界面活性剤を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記(b1)成分が、下式(b11)で表される化合物、及び下式(b12)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項
3に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
R
1-C(=O)O-[(EO)
s/(PO)
t]-(EO)
u-R
2 ・・・(b11)
R
3-O-[(EO)
v/(PO)
w]-(EO)
x-H ・・・(b12)
(ただし、式(b11)及び式(b12)中、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基である。
式(b11)中、R
1は炭素数7~22の炭化水素基であり、R
2はメチル基又はエチル基であり、sはEOの平均繰り返し数を示す6~20の数であり、tはPOの平均繰り返し数
を示す0~6の数であり、uはEOの平均繰り返し数を示す0~20の数であり、[(EO)
s/(PO)
t]は、EOとPOとが、ランダム鎖でもブロック鎖でもよいことを示す。
式(b12)中、R
3は炭素数7~22の炭化水素基であり、vはEOの平均繰り返し数を示す8~20の数であり、wはPOの平均繰り返し数を示す0~6の数であり、xはEOの平均繰り返し数を示す0~20の数であり、[(EO)
v/(PO)
w]は、EOとPOとが、ランダム鎖でもブロック鎖でもよいことを示す。)
【請求項6】
前記(A)成分の質量に対する前記(C)成分の質量の比である[(C)/(A)]が、0.01~100である、請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
前記(B)成分の質量に対する前記(C)成分の質量の比である[(C)/(B)]が、0.01~1である、請求項1~6のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用の液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮脂汚れ等が付着した衣類等(被洗物)は、洗濯した後、特に湿度の高い室内で部屋干しした場合に不快な臭気(部屋干し臭)が発生することがある。この部屋干し臭の発生は、洗濯後の衣類において微生物が増殖したことに起因する。
かかる菌の増殖を防止するため、抗菌剤が配合された洗浄剤組成物が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、特定のノニオン界面活性剤と、アニオン界面活性剤と、フェノール構造を有する抗菌剤とを含有する液体洗浄剤組成物が開示されている。特許文献1の発明によれば、部屋干し臭発生の抑制効果の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、被洗物に付着した微生物が著しく増殖すると、従来の技術では、部屋干し臭を充分に抑制できない場合があった。また特許文献1に記載されたフェノール構造を有する抗菌剤は、ノニオン界面活性剤と共存した場合では抗菌効果が低下してしまう傾向があることから、界面活性剤の選択に制約があった。
そこで、本発明は、抗菌性に優れ部屋干し臭をより良好に抑制でき、かつ、界面活性剤の選択に制約が少ない繊維製品用の液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1](A)成分:フェノール構造を有する抗菌剤と、(B)成分:高級脂肪酸又はその塩以外の界面活性剤と、(C)成分:下式(c1)で表される化合物、下式(c2)で表される化合物、及び下式(c3)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上と、を含有する、繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
【化1】
(ただし、式(c1)中、Qは飽和結合または不飽和結合であり、R
4、R
5は、各々独立に炭素数1~10のアルキル基であり、R
6は水素原子もしくは炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のアルキル基の末端にスルファニル基を有するアルキルスルファニル基である。
また、式(c2)中、kは0または1であり、R
7は炭素数1~3の直鎖状のアルキル基であり、R
8は炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は水素原子の1つが炭素数1~3のアルキル基に置換されていてもよいアリール基である。
また、式(c3)中、R
9は炭素数1~3の炭化水素基であり、R
10は炭素数1~10の炭化水素基である。)
[2]前記(A)成分が、下式(a1)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上である、[1]に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
【化2】
(ただし、式(a1)中、Xは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Yは塩素原子又は臭素原子であり、ZはSO
2H、NO
2、又は炭素数1~4のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ独立に0又は1~3の整数であり、dは0又は1であり、mは0又は1であり、nは0又は1である。
-(Y)bは、ベンゼン環の水素原子のb個がYに置換されていることを意味する。-(Y)c、-(Z)d、-(OH)m、及び-(OH)nについても同様である。)
[3]前記(B)成分が、(b1)成分:ノニオン界面活性剤を含有する、[1]又は[2]に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
[4]前記(B)成分が、(b2)成分:高級脂肪酸又はその塩以外のアニオン界面活性剤を含有する、[1]~[3]のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
[5]前記(b1)成分が、下式(b11)で表される化合物、及び下式(b12)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、[1]~[4]のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
R
1-C(=O)O-[(EO)
s/(PO)
t]-(EO)
u-R
2 ・・・(b11)
R
3-O-[(EO)
v/(PO)
w]-(EO)
x-H ・・・(b12)
(ただし、式(b11)及び式(b12)中、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基である。
式(b11)中、R
1は炭素数7~22の炭化水素基であり、R
2はメチル基又はエチル基であり、sはEOの平均繰り返し数を示す6~20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を41示す0~6の数であり、uはEOの平均繰り返し数を示す0~20の数であり、[(EO)
s/(PO)
t]は、EOとPOとが、ランダム鎖でもブロック鎖でもよいことを示す。
式(b12)中、R
3は炭素数7~22の炭化水素基であり、vはEOの平均繰り返し数を示す8~20の数であり、wはPOの平均繰り返し数を示す0~6の数であり、xはEOの平均繰り返し数を示す0~20の数であり、[(EO)
v/(PO)
w]は、EOとPOとが、ランダム鎖でもブロック鎖でもよいことを示す。)
[6]前記(A)成分の質量に対する前記(C)成分の質量の比である[(C)/(A)]が、0.01~100である、[1]~[5]のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
[7]前記(B)成分の質量に対する前記(C)成分の質量の比である[(C)/(B)]が、0.01~1である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の繊維製品用の液体洗浄剤組成物によれば、抗菌性能に優れるため、部屋干し臭をより良好に抑制できる。また、界面活性剤の選択に制約が少ないため、組成設計の自由度が高い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体洗浄剤組成物は、後述する(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する繊維製品用の液体洗浄剤組成物である。
以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。また、酸の形態と塩の形態をとりうる成分の含有量は、特に断りのない限り、酸の形態としての含有量である。
【0009】
<(A)成分>
(A)成分は、フェノール構造を有する抗菌剤である。なお、フェノール構造とは、芳香族炭化水素核の水素原子の1以上がヒドロキシ基で置換された構造を意味する。
(A)成分は、洗濯後の衣類等の繊維製品に抗菌性を付与する成分である。フェノール構造をもつ抗菌剤は、液体洗浄剤組成物中においてアニオン界面活性剤と共存させても、アニオン界面活性剤による洗浄性を損なわずに抗菌性を発揮できる。
【0010】
(A)成分としては、抗菌剤として公知のフェノール誘導体又はジフェニル化合物が挙げられる。
(A)成分としては、疎水性繊維への吸着量が高く、本発明を適用することによる効果が大きい点から、下式(a1)で表される2-ヒドロキシジフェニル化合物(以下、化合物(a1)という。)が好ましい。
【0011】
【0012】
ただし、式(a1)中、Xは酸素原子又は炭素数1~4のアルキレン基であり、Yは塩素原子又は臭素原子であり、ZはSO2H、NO2、又は炭素数1~4のアルキル基であり、a、b、cはそれぞれ独立に0又は1~3の整数であり、dは0又は1であり、mは0又は1であり、nは0又は1である。
なお、-(Y)bは、ベンゼン環の水素原子のb個がYに置換されていることを意味する。-(Y)c、-(Z)d、-(OH)m及び-(OH)nについても同様である。
【0013】
化合物(a1)としては、Xが酸素原子又はメチレン基であり、Yが塩素原子又は臭素原子であり、mが0であり、nが0又は1であり、aが1であり、bが0、1又は2であり、cが0、1又は2であり、かつdが0である化合物がより好ましい。
好ましい化合物(a1)の具体例としては、例えば、モノクロロヒドロキシジフェニルエーテル(Xが酸素原子であり、aが1であり、Yが塩素原子であり、b又はcの一方が1で他方が0であり、dが0であり、mが0であり、nが0である化合物、慣用名:クロロフェン)、ジクロロヒドロキシジフェニルエーテル(Xが酸素原子であり、aが1であり、Yが塩素原子であり、bが1であり、cが1であり、dが0であり、mが0であり、nが0である化合物、慣用名:ダイクロサン)、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル(Xが酸素原子であり、aが1であり、Yが塩素原子であり、b又はcの一方が1で他方が2であり、dが0であり、mが0であり、nが0である化合物、慣用名:トリクロサン)、ベンジルクロロフェノール(Xがメチレン基であり、aが1であり、Yが塩素原子であり、bが0であり、cが1であり、dが0であり、mが0であり、nが0である化合物)が挙げられる。
【0014】
特に好適な化合物(a1)を、各々IUPAC命名法に従い記載すると、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(慣用名:トリクロサン)、4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(慣用名:ダイクロサン)、o-ベンジル-p-クロロフェノール(慣用名:クロロフェン)であり、4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(慣用名:ダイクロサン)が最も好ましい。
(A)成分は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0015】
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、0.01~3質量%が好ましく、0.05~1質量%がより好ましく、0.1~0.5質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記好ましい下限値以上であると、液体洗浄剤組成物の抗菌性がより優れる。(A)成分の含有量が上記好ましい上限値以下であると、液安定性とコストの観点から有利である。
なお、液安定性とは、液体洗浄剤組成物を保存した際に、固化や、成分の析出、分離が生じにくい性質を意味する。
【0016】
<(B)成分>
(B)成分は高級脂肪酸又はその塩以外の界面活性剤である。(B)成分は、(b1)成分:ノニオン界面活性剤を含有することが好ましい。また、(b2)成分:高級脂肪酸又はその塩以外のアニオン界面活性剤を含有することが好ましい。洗浄効果を高める観点で、(b1)成分と(b2)成分を共に含有することが特に好ましい。
【0017】
本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中の(B)成分の含有量は、5~80質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましく、15~65質量%がさらに好ましく、20~60質量%が特に好ましい。
(B)成分の含有量が40質量%以上の濃縮液体洗浄剤組成物では、(B)成分の含有量は、40~80質量%が好ましく、45~70質量%がより好ましく、50~65質量%がさらに好ましい。
(B)成分の含有量が40質量%以下であるレギュラータイプの液体洗浄剤組成物では、(B)成分の含有量は、5~40質量%未満が好ましく、10~30質量%がより好ましい。
(B)成分の含有量が好ましい下限値以上であれば、洗浄力が高まり、部屋干し臭を抑制しやすい。(B)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、液安定性が向上する。
【0018】
[(b1)成分]
(b1)成分は、ノニオン界面活性剤である。(b1)成分は、下式(b11)で表される化合物(以下、化合物(b11)という。)、及び下式(b12)で表される化合物(以下、化合物(b12)という。)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。(b1)成分は、化合物(b11)及び化合物(b12)からなる群から選ばれる少なくとも1種からなることがより好ましい。
【0019】
R1-C(=O)O-[(EO)s/(PO)t]-(EO)u-R2 ・・・(b11)
R3-O-[(EO)v/(PO)w]-(EO)x-H ・・・(b12)
【0020】
ただし、式(b11)及び式(b12)中、EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基である。
式(b11)中、R1は炭素数7~22の炭化水素基であり、R2はメチル基又はエチル基であり、sはEOの平均繰り返し数を示す6~20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を示す0~6の数であり、uはEOの平均繰り返し数を示す0~20の数であり、[(EO)s/(PO)t]は、EOとPOとが、ランダム鎖でもブロック鎖でもよいことを示す。
【0021】
式(b12)中、R3は炭素数7~22の炭化水素基であり、vはEOの平均繰り返し数を示す8~20の数であり、wはPOの平均繰り返し数を示す0~6の数であり、xはEOの平均繰り返し数を示す0~20の数であり、[(EO)v/(PO)w]は、EOとPOとが、ランダム鎖でもブロック鎖でもよいことを示す。
なお、平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
【0022】
式(b11)におけるR1の炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
R1の炭化水素基の炭素数は、7~22である。炭素数が下限値以上であれば、充分なドレープ維持効果が得られる。炭素数が上限値以下であれば、優れた液安定性が得られる。R1の炭化水素基の炭素数は、洗浄力向上の観点から、9~21が好ましく、9~19がより好ましく、11~17がさらに好ましい。
R1としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。アルキル基又はアルケニル基としては、炭素数7~22の1級又は2級の高級アルコール、炭素数8~23の高級脂肪酸、炭素数8~23の高級脂肪酸アミド等の原料に由来するアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。
【0023】
式(b11)におけるs+uは、6~20が好ましく、6~18がより好ましく、11~18がさらに好ましい。s+uが好ましい下限値以上であれば、親水性が充分となり、系中の自由水が少なくなることで酵素安定性が向上する。s+uが好ましい上限値以下であれば、親水性が高くなりすぎず、充分な洗浄力を得やすい。
式(b11)におけるtは、0~6の数であり、0~3が好ましい。tが上限値以下であれば、液安定性が向上する。
【0024】
式(b12)におけるR3の炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
R3の炭化水素基の炭素数は、7~22である。炭素数が下限値以上であれば、充分なドレープ維持効果が得られる。炭素数が上限値以下であれば、優れた液安定性が得られる。R3の炭化水素基の炭素数は、洗浄力向上の観点から、10~22が好ましく、10~20がより好ましく、10~18がさらに好ましい。
R3としては、アルキル基又はアルケニル基が好ましい。アルキル基又はアルケニル基としては、R1で挙げたものと同じものが挙げられる。
【0025】
式(b12)におけるv+xは、8~20が好ましく、9~18がより好ましく、10~18がさらに好ましく、13~18が特に好ましい。v+xが好ましい下限値以上であれば、親水性が充分となり、系中の自由水が少なくなることで酵素安定性が向上する。v+xが好ましい上限値以下であれば、親水性が高くなりすぎず、充分な洗浄力を得やすい。
式(b12)におけるwは、0~6であり、0~3が好ましい。wが上限値以下であれば、液安定性が向上する。
【0026】
化合物(b11)としては、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルが好ましい。ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルを用いることで、液体洗浄剤組成物の水への溶解性を高め、洗浄力を高められる。加えて、液体洗浄剤組成物中の(b2)成分の含有量を高めても、粘度の著しい増大(ゲル化)が生じにくく、良好な流動性を有する濃縮型の液体洗浄剤組成物が得られる。
【0027】
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルは、水溶液系中で分子同士の配向性が弱く、ミセルが不安定なノニオン界面活性剤である。このため、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルは、高濃度でゲル化等を生じず、1種単独で多量に液体洗浄剤組成物中に配合されても、水への溶解性を高められると推測される。従って、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルを含む液体洗浄剤組成物が水に分散されると、洗浄液中のポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルの濃度が速やかに均一となり、洗浄初期から任意の濃度で被洗物と接して高い洗浄力を発揮すると考えられる。
【0028】
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルの中でも、洗浄力や液体洗浄剤組成物の溶解性の向上の点から、式(b11)におけるR1が炭素数11~17のアルキル基またはアルケニル基であり、R2がメチル基であり、sが15、tが0、uが0である化合物(ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル、以下、「MEE」ともいう。)が特に好ましい。さらに、MEEにおけるR1としては、炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基であるもの、あるいは、炭素数17のアルキル基及びアルケニル基であるもの、もしくは、炭素数15、17のアルキル基及びアルケニル基であるものが好ましい。MEEは他のノニオン界面活性剤やアニオン界面活性剤に比べ、衣類に残りにくく、(A)成分を効率良く衣類上に吸着させることができる。
【0029】
化合物(b12)としては、皮脂洗浄力を高められることから、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。
中でも式(b12)におけるR3が炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基から選ばれる1種以上のアルキル基であり、vが15、wが0、xが0である化合物(以下「AE(15EO)」ともいう。)、及びが式(b12)におけるR3が炭素数12~14の分岐を有するアルキル基であり、vが7、wが0、xが0である化合物特に好ましい。これらは、すすぎ時の泡残りを抑制しながら皮脂洗浄力を高めることができるので好ましい。
【0030】
(b11)成分及び(b22)成分において、エチレンオキシドの付加モル数分布(オキシエチレン基の繰り返し数の分布)又はプロピレンオキシドの付加モル数分布(オキシプロピレン基の繰り返し数の分布)は、特に限定されないが、ナロー率は、20質量%以上であることが好ましい。ナロー率の上限値は実質的に80質量%が好ましい。ナロー率は、20~60質量%がより好ましい。ナロー率が高いほど良好な洗浄力が得られるが、高すぎると低温での液安定性が低下するおそれがあるため、30~45質量%がさらに好ましい。
【0031】
ナロー率は、アルキレンオキシド(ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルにおいては、エチレンオキシド)の付加モル数の分布の狭さを示す。
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステル等のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤のナロー率は、下記の数式(S)で求められる値である。
【0032】
【0033】
(S)式において、iはポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤に含まれる各アルキレンオキシド付加体のアルキレンオキシドの付加モル数を示す。
Yiは、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤全体に占める、アルキレンオキシドの付加モル数がiであるアルキレンオキシド付加体の割合(質量%)を示す。
Smaxは、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤におけるアルキレンオキシドの付加モル数の最頻値である。
すなわち、ナロー率は、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤全体に占める、アルキレンオキシドの付加モル数が最頻値の±2の範囲であるアルキレンオキシド付加体の割合(質量%)を示す。
【0034】
化合物(b11)及び化合物(b12)におけるアルキレンオキシド(エチレンオキシド又はプロピレンオキシド)の付加モル数の分布は、製造する際の反応方法によって変動する。例えば、一般的なアルカリ触媒である水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を用いて、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを原料に付加した場合には、アルキレンオキシドの付加モル数の分布は、比較的広くなる。特公平6-15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いてエチレンオキシドやプロピレンオキシドを原料に付加した場合には、アルキレンオキシドの付加モル数の分布は、比較的狭くなる。
【0035】
また、その他の化合物(b11)又は化合物(b12)の製造法としては、アルカリ土類金属化合物とオキシ酸等の混合物より調製されるアルコキシル化触媒により、脂肪酸アルキルエステルにアルキレンオキシドを付加する方法がある。上記のアルコキシル化触媒については、特許第04977609号公報、国際公開第1993/004030号、国際公開第2002/038269号、国際公開第2012/028435号等で開示されており、例えば、カルボン酸のアルカリ土類金属塩及び/又はヒドロキシカルボン酸のアルカリ土類金属塩と硫酸等の混合物より調製したアルコキシル化触媒等が挙げられる。
【0036】
また、(b1)成分は化合物(b11)及び化合物(b12)以外の他のノニオン界面活性剤を含有してもよい。他のノニオン界面活性剤としては、液体洗浄剤組成物に用いられている公知のものが挙げられ、例えば、化合物(b11)及び化合物(b12)以外のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、高級アミン等のアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
(b1)成分は、1種が単独で用いられてもよく、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。(b1)成分を2種以上組み合わせることで、洗浄力が向上し、部屋干し臭発生の抑制効果を得やすくなる。
【0037】
本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中の(b1)成分の含有量は、5~80質量%が好ましく、10~70質量%がより好ましく、30~45質量%がさらに好ましい。(b1)成分の含有量が好ましい下限値以上であれば、液体洗浄剤組成物の洗浄力が高まる。(b1)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の液安定性が高まる。
【0038】
[(b2)成分]
(b2)成分は、高級脂肪酸又はその塩以外のアニオン界面活性剤である。(b2)成分としては、従来、繊維製品用などの液体洗浄剤に用いられているアニオン界面活性剤を用いることができる。
【0039】
例えば、直鎖アルキル(C8~16)ベンゼンスルホン酸又はその塩;オレフィン(C10~20)スルホン酸又はその塩(二重結合の位置が炭素鎖の1位に存在するα-オレフィンスルホン酸又はその塩、二重結合の位置が炭素鎖の内部にある内部オレフィンスルホン酸又はその塩);直鎖状又は分岐鎖状のアルキル(C10~20)硫酸エステル又はその塩;ポリオキシアルキレン(平均1~10モルのオキシエチレン)アルキル(C10~20)エーテル硫酸エステル又はその塩(即ち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩);ポリオキシアルキレン(平均1~10モルのオキシエチ レン)アルケニル(C10~20)エーテル硫酸エステル又はその塩(即ち、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩);アルキル基(C10~20)を有するアルカンスルホン酸又はその塩;α-スルホ脂肪酸(C10~20)エステル又はその塩などが挙げられる。なお、()内の「C〇〇~〇〇」は炭素数を表す。
【0040】
これらの中でも直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩は、(A)成分と同じベンゼン環を有することから(A)成分と相互作用することで、(A)成分が(b1)成分のミセルに取り込まれることを抑制し(A)成分の衣類への吸着量を高めることができる点で好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩を含有することで、皮脂洗浄力が高まり、液体洗剤組成物中の(b1)成分の含有量を減らすことができるため、(A)成分の布への吸着がさらに高まる。
【0041】
本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中の(b2)成分の含有量は、5~40質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましく、10~20質量%がさらに好ましい。(b2)成分の含有量が好ましい下限値以上であれば、洗浄力が高まる。(b2)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、液体洗浄剤組成物の低温安定性が高まる。
(B)成分として、(b1)成分と(b2)成分を併用する場合、(b1)成分と(b2)成分の含有量(質量%)の比[(b1)/(b2)]は、0.1~10が好ましく、0.5~5がより好ましく、1~3がさらに好ましい。
【0042】
<(C)成分>
(C成分)は、下式(c1)で表される化合物(以下「化合物(c1)」という。)、下式(c2)で表される化合物(以下「化合物(c2)」という。)、及び下式(c3)で表される化合物(以下「化合物(c3)」という。)からなる群から選ばれる1種以上の化合物である。本発明の洗浄剤は、(C)成分を含有することで、(A)成分の衣類への吸着が高まり、抗菌効果が向上する。
(C成分)は、化合物(c1)と化合物(c2)からなる群から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。
【0043】
【0044】
ただし、式(c1)中、Qは飽和結合または不飽和結合であり、R4、R5は、各々独立に炭素数1~10のアルキル基であり、R6は水素原子もしくは炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のアルキル基の末端にスルファニル基を有するアルキルスルファニル基である。
【0045】
式(c1)におけるQは、化合物(c1)の構造を維持し、(A)成分との相互作用を高めやすいことから、不飽和結合であることが好ましく、二重結合であることが特に好ましい。
式(c1)におけるR4、R5の炭素数が10以下であれば成分の疎水性が適度であり、化合物(c1)を液体洗剤組成物の配合した際における分離および濁りが生じにくく、液安定性が得やすい。炭素数が1以上であれば疎水性が高まり(A)成分と相互作用しやすくなることから、(A)成分の衣類への吸着性を向上させやすい。
R4、R5は、各々独立に、炭素数4~8の直鎖アルキル基であることが好ましい。
【0046】
R6は、(A)成分との相互作用を弱めてしまわないよう、過剰な立体障害を生じさせない基であることが好ましい。
したがって、R6は炭素数1~3のアルキルスルファニル基、炭素数1~3のアルキル基、又は水素原子であることが好ましく、炭素数1~3のアルキル基、又は水素原子であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0047】
化合物(c1)の具体例としては、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、ジブチルフマレート、ジヘキシルフマレート、ジオクチルフマレート、ジデシルフマレートが挙げられ、ジブチルフマレート、ジヘキシルフマレート、ジオクチルフマレートが好ましい。
【0048】
【0049】
式(c2)中、kは0または1であり、R7は炭素数1~3の直鎖状のアルキル基であり、R8は炭素数1~10の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は水素原子の1つが炭素数1~3のアルキル基に置換されていてもよいアリール基である。ただし、本発明において、アリール基は、多環芳香族炭化水素基を包含しない単純芳香環の誘導体を意味する。
なお、kが0の場合は、[R7-O-]kは、水素原子である。
【0050】
R7は、(A)成分との相互作用を弱めてしまわないよう、過剰な立体障害を生じさせない基であることが好ましい。
したがって、R7は、炭素数1のアルキル基、すなわち、メチル基であることが好ましい。
【0051】
R8は、疎水性を高めることで洗浄時の泡立ちを抑制し、すすぎ性を良好にする効果が高いことから、分岐鎖上のアルキル基またはアルケニル基であることが好ましい。
R8が分岐鎖上のアルキル基またはアルケニル基である場合、炭素数は1~10であるが、3~8であることが好ましい。炭素数が上記上限値以下であれば、疎水性が適度であり液体洗剤組成物の液安定性が高まる。下限値以上であれば、化合物(c2)の疎水性が高まることで疎水的な(A)成分との相互作用が高まり、(A)成分の衣類へ吸着が向上する。また、下限値以上であれば、すすぎ性が良好になりやすい。
R8が分岐鎖上のアルキル基またはアルケニル基である場合、特に好ましい化合物(c2)は、オクチルメトキシシンナメートである。
【0052】
R8は、水素原子の1つが炭素数1~3のアルキル基に置換されていてもよいアリール基でもよい。その場合、化合物(c2)が(A)成分と類似構造を有することとなり、(A)成分との相互作用を高めることができる。また、疎水性が高まるため、泡立ちが抑制される。
【0053】
R8がアリール基である場合、ベンジル基、フェニル基又はこれらの水素原子の1つが置換された基であることが好ましく、ベンジル基、又はベンジル基の水素原子の1つが置換された基であることがより好ましい。
(C)成分の疎水性を適度に高めることができ、(A)成分との相互作用を向上させられることから、置換基を有する場合、置換基は炭素数1~3のアルキル基が好ましい。
R8がアリール基である場合の化合物(c2)の具体例としては、ベンジルシンナメート、フェニルエチルシンナメートが挙げられる。
【0054】
【0055】
式(c3)中、R9は炭素数1~3の炭化水素基であり、R10は炭素数1~10の炭化水素基である。
R9は炭素数1~5の直鎖または分岐鎖を有する炭化水素基であることが好ましく、炭素数2~4の直鎖または分岐鎖を有する炭化水素基であることがより好ましい。
R10は炭素数1~7の直鎖または分岐鎖を有する炭化水素基であることが好ましく、炭素数3~5の直鎖または分岐鎖を有する炭化水素基であることがより好ましい。
化合物(c3)の具体例としては、シクロヘキシルエチルイソブチレート、シクロヘキシルエチルヘキサノエートが挙げられる。
【0056】
(C)成分は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせて使用する場合、抗菌効果とすすぎ性を両立するために、化合物(c1)の1種以上と化合物(c2)の1種以上とを組み合わせて使用することが好ましい。
化合物(c1)又は化合物(c2)を組み合わせて使用する場合、化合物(c1)と化合物(c2)の含有量(質量%)の比[(c1)/(c2)]は、0.1~10が好ましい。この範囲内であれば(A)成分との相互作用を保ちつつ良好なすすぎ性が得られる。
【0057】
(C)成分は、直接(A)成分及び(B)成分等と混合してもよいし、(C)成分を含有する香料組成物として(A)成分及び(B)成分等と混合してもよい。
本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中の(C)成分の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.1~5質量%がより好ましい。(C)成分の含有量が好ましい下限値以上であれば、(A)成分との相互作用により(A)成分の衣類への吸着が高まる。(C)成分の含有量が好ましい上限値以下であれば、疎水的な(C)成分の分離が抑制されるとともに、(C)成分由来の臭気を抑制できる。
【0058】
<配合比>
(A)成分の質量に対する前記(C)成分の質量の比である[(C)/(A)]は、0.01~100であることが好ましく、0.1~50であることがより好ましく、1~30であることがさらに好ましい。
上記範囲が好ましい上限値以下であると、液体洗剤組成物の配合時における疎水的な(C)成分の析出が抑制されることで液安定性を得ることができる。好ましい下限値以上であれば、(A)成分と(C)成分の相互作用により(A)成分の衣類への吸着が向上し、抗菌効果を高めることができる。そのため、コストを抑制しながら部屋干し臭抑制効果を得やすい。
【0059】
(B)成分の質量に対する(C)成分の質量の比である[(C)/(B)]は、0.001~1であることが好ましく、0.01~0.5がより好ましい。
[(C)/(B)]が好ましい下限値以上であると、疎水的な(C)成分により、(B)成分による泡立ちを抑制できすすぎ性を向上させることができる。
[(C)/(B)]が好ましい上限値以下であれば、疎水的な(C)成分を可溶化しやすくなり(C)成分の析出を抑制しやすい。
【0060】
<その他任意成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記の成分以外に、繊維製品用の液体洗浄剤において公知の成分を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでもよい。
例えば、高級脂肪酸又はその塩、溶剤、酵素、キレート剤、アルカリ剤(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン等)、ハイドロトロープ剤(例えば、ポリエチレングリコール、芳香族スルホン酸又はその塩など)、洗浄性ビルダー、安定化剤、シリコーン等の風合い向上剤、防腐剤、蛍光剤、移染防止剤、再汚染防止剤、分散剤、ソイルリリース剤、パール剤、酸化防止剤、着色剤として汎用の色素又は顔料、乳濁化剤、(C)成分以外の香料成分、pH調整剤などが挙げられる。
【0061】
[溶剤]
溶剤としては、液安定性、抗菌性能の点で、水酸基及び/又はエーテル基を有する水混和性有機溶剤が好ましい。水混和性有機溶剤とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解するもの、すなわち、溶解の程度が50g/L以上である溶剤を指す。
【0062】
水混和性有機溶剤としては、(1)エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、ベンジルアルコール、3-メトキシー3-メチルー1-ブタノールどのアルカノール類、(2)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、又はヘキシレングリコールなどの炭素数2~6のアルキレングリコール類やグリセリン、(3)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、又は重量平均分子量4000までのポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコールなどの炭素数2~4のアルキレングリコール単位からなるポリアルキレングリコール類、(4)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、又は1-エトキシ-2-プロパノールなどの炭素数2~4のアルキレングリコール単位の(ポリ)アルキレングリコールと炭素数1~5のアルカノールからなる(ポリ)アルキレングリコール(モノ又はジ)アルキルエーテル、(5)1,3-ジメチルグリセリルエーテル、エチルグリセリルエーテル、1,3-ジエチルグリセリルエーテル、トリエチルグリセリルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、又は2-エチルヘキシルグリセリルエーテル、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルなどの炭素数1~8のアルキルを有するアルキルグリセリルエーテル類、(6)エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル等の炭素数2~3のアルキレングリコール単位を有する(ポリ)アルキレングリコールの芳香族エーテル類、が挙げられる。
【0063】
(1)~(6)の分類の中でも、組成物の粘度調整剤、液安定性向上剤の観点から(1)または(2)または(4)または(6)に分類される溶剤から少なくとも一つ選択することが好ましい。特に、(1)からはエタノールおよび/又は3-メトキシー3-メチルー1-ブタノール、(2)からはプロピレングリコール、(4)からはジエチレングリコールモノブチルエーテル、(6)からはエチレングリコールモノフェニルエーテルおよび/又はジエチレングリコールモノフェニルエーテルを選択することで組成物の粘度を低減でき、液安定性が高まる。
【0064】
また(1)~(6)の中でも、(A)成分に類似した構造を有する、すなわちベンゼン環を有する(6)に分類される溶剤を用いることで抗菌性能を高めることができる。また、(6)と、(1)または(2)または(4)を併用することで抗菌性能を高めつつ、液安定性を向上できる。
すなわち、エチレングリコールモノフェニルエーテルおよびジエチレングリコールモノフェニルエーテルから選ばれる少なくとも一つと、エタノール又は3-メトキシー3-メチルー1-ブタノール又はプロピレングリコール又はジエチレングリコールモノブチルエーテルから選ばれる溶剤の組み合わせである。
【0065】
本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中の溶剤の含有量は、3~20質量%が好ましく、4~17質量%がより好ましく、5~15質量%がさらに好ましい。好ましい範囲以内であれば液安定性が高まる。
【0066】
[分散剤]
分散剤としては、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、重量平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、無水マレイン酸-ジイソブチレン共重合体、無水マレイン酸-メチルビニルエーテル共重合体、無水マレイン酸-酢酸ビニル共重合体、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、及び特開昭59-62614号公報の請求項1~21(1頁3欄5行~3頁4欄14行)記載のポリマー、アクリル酸とマレイン酸との共重合体などの分散剤が挙げられる。
本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中の分散剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましい。
【0067】
[ソイルリリース剤]
ソイルリリース剤としては、以下のようなものがある。
・ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体(特開2020-50839のCB成分)。
・アルキレンテレフタレート単位及びアルキレンイソフタレート単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位と、オキシアルキレン単位及びポリオキシアルキレン単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位とを有する水溶性ポリマー(WO14/109380のD成分)。
本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中のソイルリリース剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。
【0068】
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中の酸化防止剤の含有量は、0.01~2質量%が好ましい。
【0069】
[その他の香料成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(C)成分以外の香料成分を含んでいてもよい。香料成分としては、通常衣料用の洗浄剤に使用できる化合物が使用できるが、(C)成分以外の香料成分を配合する場合、(C)成分と別個に(A)成分及び(B)成分等と混合してもよいし、(C)成分とその他の香料成分を含有する香料組成物として(A)成分及び(B)成分等と混合してもよい。
【0070】
(C)成分以外の香料成分としては、下記の香料成分を配合することが好ましい。
下記の香料成分は、(C)成分と相互作用して立体障害を高め、(b1)成分が形成するミセルに(C)成分が取り込まれることを阻害し、ひいては、衣類への(C)成分の吸着を高める。
【0071】
すなわち、シトラールは、二重結合を有する構造であるため、Qが二重結合である化合物(c1)を、可溶化して衣類への吸着を高める。
また、アルファ ダマスコン、ガンマ ウンデカラクトン、β-ナフトールメチルエーテル、ダマセノン、ヘキシルサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、及びリリアールは、化合物(c2)を可溶化し、衣類への吸着を高める。
また、シクラセットやフルイテートは、疎水的な化合物(c2)を可溶化し、香料組成物中における化合物(c2)の分離を抑制するので好ましい。
(C)成分以外の香料成分を配合する場合、本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中の(C)成分以外の香料成分の含有量は、0.01%~5%が好ましく、0.05%~3%がより好ましく、0.1%~1%が更に好ましい。
【0072】
(C)成分を含有する香料組成物を(A)成分及び(B)成分等と混合する場合、香料組成物の総質量に対する(C)成分の質量は、0.01~5質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。
香料組成物中の(C)成分の含有量が好ましい下限値以上であると(A)成分との相互作用により(A)成分の衣類への吸着が高まる。好ましい上限値以下であると香料組成物における(C)成分の分離を抑制できる。
【0073】
[高級脂肪酸又はその塩]
高級脂肪酸又はその塩は、アニオン界面活性剤の範疇ではあるが、(B)成分のアニオン性界面活性剤と作用が異なり、抑泡剤として機能し、すすぎ性の向上に寄与する。
「高級脂肪酸」とは、炭素数8~22の脂肪酸を意味する。すすぎ性が向上すると洗浄処理後のすすぎ処理の回数を減らすことができる。
【0074】
高級脂肪酸としては、炭素数8~18の鎖状モノカルボン酸が好ましい。具体的には、一般式:R11-COOH[式中、R11は炭素数7~17の脂肪族炭化水素基である。]で表される化合物が挙げられる。
前記式中、R11の脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基が好好ましい。R11の脂肪族炭化水素基における炭素数は7~17であり、炭素数11~17が好ましい。R11の炭素数が7以上であると、再汚染防止効果がより高まる。一方、R11の炭素数が17以下であると、水への溶解性がより高まる。
【0075】
高級脂肪酸における塩の形態としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、又はアンモニウム塩等が挙げられる。アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、又はカリウム塩等が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、カルシウム塩、又はマグネシウム塩等が挙げられる。アミン塩としては、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、又はトリエタノールアミン塩など)等が挙げられる。
【0076】
高級脂肪酸又はその塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。また、高級脂肪酸又はその塩は、単一鎖長の混合物であってもよく、2以上の鎖長の混合物であってもよい。
本発明の液体洗浄剤組成物(100質量%)中の高級脂肪酸の含有量は、0.5~3質量%が好ましく、0.7~2質量%がより好ましく、0.8~1.5質量%がより好ましい。好ましい下限値以上であると、洗濯処理時に良好なすすぎ性が得られやすい。好ましい上限値以下であると液体洗浄剤の安定性に優れる。特にヤシ脂肪酸またはその塩を含むことが好ましい。
【0077】
[キレート剤(金属封鎖剤)]
本発明の液体洗浄剤組成物は、金属イオンにキレートできるキレート剤を含んでもよい。
キレート剤としては有機キレート剤が挙げられ、具体的には、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルコン酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、エタン-1,1-ジホスホン酸、エタン-1,1,2-トリホスホン酸、メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、エタンヒドロキシ-1,1,2-トリホスホン酸、エタン-1,2-ジカルボキシ-1,2-ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキシメチレンスルホン酸等の有機ホスホン酸誘導体またはそれらの塩などが挙げられる。
これらの中でも、クエン酸、メチルグリシンジ酢酸3ナトリウムが低温安定性の観点からより好ましい。キレート剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0078】
[酵素]
本発明の液体洗浄剤組成物は、酵素を含んでいてもよい。液体洗浄剤組成物が酵素を含有していると、皮脂洗浄力やタンパク洗浄力がより向上する。
酵素としては、例えば、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。
【0079】
プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼのように、分子内にセリン、ヒスチジン、及びアスパラギン酸を有するプロテアーゼが好ましい。
プロテアーゼを含有する製剤(プロテアーゼ製剤)は市販されている。液体洗浄剤を調製する際、プロテアーゼは、通常、このプロテアーゼ製剤を用いて配合される。
プロテアーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Savinase16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L Progress Uno 100L;ジェネンコア社から入手できる商品名Purafect L、Purafect OX、Properase Lなどが挙げられる。
【0080】
リパーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Lipex 100L、Lipolase 100Lなどが挙げられる。
セルラーゼ製剤としては、例えば、ケアザイム4500L(商品名、ノボザイムズ社製)、ケアザイムプレミアム4500L(商品名、ノボザイムズ社製)、エンドラーゼ5000L(商品名、ノボザイムズ社製)、セルクリーン4500T(商品名、ノボザイムズ社製)などが挙げられる。
マンナナーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Mannaway 4L等が挙げられる。
【0081】
上記酵素は、1種単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。酵素の含有量は酵素製剤として、液体洗浄剤組成物の総質量に対して0.01~1.5質量%が好ましい。好ましい下限値以上であれば衣類上の汚れを効果的に除去でき、好ましい上限値以下であれば液体洗浄剤組成物における酵素由来の臭気を抑制できる。
なお、(A)~(C)成分及び任意成分の合計量は、100質量%を超えない。
【0082】
<物性>
液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、6~8が好ましく、6.5~7.5がより好ましい。
pHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により測定される値である。
【実施例】
【0083】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
本実施例において使用した原料は、下記の<使用原料>に示す通りである。
【0084】
<使用原料>
[(A)成分]
・a-1:4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(慣用名:ダイクロサン)(BASF社製、商品名「Tinosan HP100」)。
・a-2:5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール(慣用名:トリクロサン)(和光純薬工業株式会社製、商品名「トリクロサン」)。
【0085】
[(B)成分]
・b1-1:ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル(脂肪酸の炭素数12~14、エチレンオキシドの平均付加モル数15)「C124MEE」、ナロー率30質量%。式(b11)においてR1が炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基から選ばれる1種以上のアルキル基であり、R2がメチル基であり、sが15、tが0、uが0である化合物(ライオン株式会社製、商品名「MEE」)。
【0086】
・b1-2:ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル(脂肪酸の炭素数18、エチレンオキシドの平均付加モル数15)「C18MEE」、ナロー率60質量%。式(b11)においてR1が炭素数17のアルキル基またはアルケニル基から選ばれる1種以上であり、R2がメチル基であり、sが15、tが0、uが0である化合物(ラボ合成品)。
【0087】
・b1-3:ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12~14)エーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数15)「AE(15EO)」、天然アルコールに15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。式(b12)においてR3が炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基から選ばれる1種以上のアルキル基であり、vが15、wが0、xが0である化合物(ライオン株式会社製、商品名「LMAO」)。
【0088】
・b1-4:ポリオキシエチレンアルキル(炭素数12~14)エーテル(エチレンオキシドの平均付加モル数7)「ソフタノール」、炭素数12~14の第2級アルコールに7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。一般式(b12)においてR3が炭素数12~14の分岐を有するアルキル基であり、vが7wが0、xが0である化合物(株式会社日本触媒製、商品名「ソフタノール70」)。
【0089】
・b2-1:「LAS」、炭素数10~14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(ライオン株式会社製、商品名「ライポン(登録商標)LH-200」)。
・b2-2:「AES」、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(ライオン株式会社製、天然アルコール(P&G社製の商品名「CO-1270」)に1モル相当のエチレンオキシドを付加した化合物)。
・b2-3:「AOS」、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、商品名「リポランLB-840」、ライオン社製。
【0090】
[(C)成分]
・c-1:ジブチルフマレート(東京化成工業株式会社製)。式(c1)において、R4が炭素数6のアルキル基、R5が炭素数6のアルキル基、R6が水素原子、Qが不飽和結合、である化合物。
・c-2:ジオクチルフマレート(東京化成工業株式会社製)。式(c1)において、R4が炭素数8のアルキル基、R5が炭素数8のアルキル基、R6が水素原子、Qが不飽和結合、である化合物。
・c-3:フェニルエチルシンナメート(東京化成工業株式会社製)。式(c2)において、R8がフェニル基、kが0、である化合物。
・c-4:オクチルメトキシシンナメート(東京化成工業株式会社製)。式(c2)において、R7がメチル基、R8が2-エチルヘキシル基、kが1、である化合物。
【0091】
[酵素]
・プロテアーゼ(ノボザイムズジャパン株式会社製、商品名「ProgressUno」)。
・アミラーゼ(ノボザイムズジャパン株式会社製、商品名「Amplify Prime」)。
・マンナナーゼ(ノボザイムズジャパン株式会社製、商品名「Mannaway 4L」)。
【0092】
[キレート剤]
・クエン酸3Na・2H2O(和光純薬工業株式会社製、商品名「クエン酸三ナトリウム二水和物」)。
【0093】
[溶剤]
・エタノール(日本アルコール販売株式会社製、商品名「特定95度合成アルコール」)。
・ソルフィット:3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール(株式会社クラレ製、商品名「ソルフィット(ファイングレード)」)
・プロピレングリコール(和光純薬工業株式会社製、商品名「プロピレングリコール」)。
・フェノキシエタノール:エチレングリコールモノフェニルエーテル(日本乳化剤社製、商品名「フェニルグリコール)
・ブチルカルビトール:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤社製、商品名「ジエチレングリコールモノブチルエーテル」)
【0094】
[その他の成分]
・消泡補助剤:3価アルコールのプロピレンオキシド付加物(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル)(三井化学株式会社製、商品名「アクトコールT-4000」、質量平均分子量4000)。
・抑泡剤:ヤシ脂肪酸(日油株式会社製、商品名「椰子脂肪酸」)。
・防腐剤:安息香酸ナトリウム(東亞合成株式会社製、商品名「安息香酸ナトリウム」)。
・酵素安定化剤:乳酸ナトリウム(関東化学社製、商品名「乳酸ナトリウム」)。
・酸化防止剤:ジブチルヒドロキシトルエン(和光純薬工業株式会社製、商品名「ジブチルヒドロキシトルエン」)。
・HP20(ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体(BASF株式会社製、商品名「HP20」))
・SRN -170(ポリエチレングリコールとジメチルテレフタラートの重縮合体(クラリアント株式会社製、商品名「TexCare SRN -170C」)
・ヒドロキシエチルセルロース:東京化成工業株式会社製、商品名「ヒドロキシエチルセルロース」
【0095】
・香料組成物
表1に示す配合の組成物。なお、本実施例で使用する香料組成物は、(C)成分を含有しない。
【0096】
【0097】
・色素:癸巳化成株式会社製、商品名「緑色3号」。
・pH調整剤:水酸化ナトリウム(東亞合成株式会社製、商品名「水酸化ナトリウム」)。
・水:精製水(関東化学株式会社製、商品名「精製水」)。
【0098】
<実施例1~18、比較例1~4>
表2~5の組成に従い、(A)成分~(C)成分と任意成分とを水に加えて混合し、液体洗浄剤組成物を得た。得られた液体洗浄剤組成物について下記評価法により、抗菌性能効果とすすぎ性を評価した。結果を表2~5に併記する。なお、表中の配合量の単位は「質量%」であり、純分換算量を示す。
ただし、pH調整剤の適量とは、液体洗浄剤組成物のpHを7.0とするために必要充分な量であることを示す。
また、「バランス」は、各例の組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。
【0099】
[抗菌性能]
(1)洗浄処理方法
全自動電気洗濯機(Haier社製、製品名「JW-Z23A」)に、約400gの被洗布を投入した[浴比(洗濯水量/被洗布総質量)30倍]。被洗布としては、5cm×5cmの大きさに切り分けた綿市販のテトロン(登録商標)/綿ブロード混紡品(ポリエステル50%/綿50%)(以下、テト綿という。)約30gと、綿肌シャツ(B.V.D.社製)とを合わせたものを用いた。
次に、前記全自動電気洗濯機に、各例の液体洗浄剤組成物をそれぞれ333ppm加え、標準コースで洗浄、すすぎ、脱水を順次行う洗浄操作を行った。その際、洗浄時間、すすぎ、脱水、水量(低水位に設定、水量約12L)に関しては一切調整せず、洗濯機の標準コース設定をそのまま使用した。
洗濯終了後、テト綿を取り出し、この取り出したテト綿を25℃、相対湿度65%RHの恒温恒湿室に放置して乾燥させた。乾燥後、該テト綿を試験布として抗菌性の評価に用いた。また、未処理布として、前記洗濯操作を施していないテト綿を用いた。
【0100】
(2)黄色ブドウ球菌に対する抗菌性の評価
本評価に用いた器具、水等は、予めオートクレーブにより滅菌処理を施した。また、本評価では、菌として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を用いた。
JIS L1902に準じて培養を行った黄色ブドウ球菌を用い、ニュートリエント培地を20倍に希釈し、菌数が1±0.3×105個/mLとなるように、黄色ブドウ球菌母液を調製した。
前記試験布(5cm×5cm)の4箇所に、前記黄色ブドウ球菌母液0.1mLずつを接種し、37℃の恒温槽にて18時間培養して、試験布上で増殖又は静菌した。
その後、抽出液(JIS L1902に記載の洗い出し用生理食塩水)にて試験布から菌を抽出し、その抽出液を生理食塩水によって10倍に希釈した。得られた希釈液を10倍に希釈する操作をさらに4回繰り返し、100,000倍の希釈液を得た。なお、「洗い出し用生理食塩水」とは、精製水1,000mLと塩化ナトリウム8.5gとをフラスコに入れて充分に溶解させ、さらに非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(関東化学株式会社製、商品名「ポリソルベート80、Tween80」)2gを加えて溶解させた後、高圧蒸気殺菌(オートクレーブ処理)したものである。
次いで、SCDLP寒天培地(日本製薬株式会社製)上に、得られた100,000倍の希釈液から1mLを採取し、予めオートクレーブにより滅菌処理して48℃に保温したSCDLP寒天培地15mLをシャーレ上で混釈し、37℃の恒温槽内で1~2日間培養した。培養後、コロニー数をカウントし、生菌数を求めた。
未処理布についても試験布と同様の操作を行って生菌数を測定し、これらの測定値を用いて抗菌活性値を下記式より算出した。
抗菌活性値=log10(未処理布の生菌数/試験布の生菌数)
【0101】
算出した抗菌活性値を、下記の評価基準により評価し、◎及び○を合格とした。
(評価基準)
◎:抗菌活性値が3.0以上であった。
○:抗菌活性値が2.5以上~3.0未満であった。
△:抗菌活性値が2.0以上~2.5未満であった。
×:抗菌活性値が2.0未満であった。
【0102】
[すすぎ性]
各例の液体洗浄剤組成物0.5gを、25℃に調温した水道水に溶解して洗浄液を調製した。この洗浄液20mLをエプトン管に入れ、このエプトン管を手で1ストローク/秒で20回振とうした。振とう終了から1分後のそれぞれの泡の高さ(泡と洗浄液との境界から、泡の上端面までの体積)を読み取り、下記評価基準に従って、すすぎ性を評価した。下記評価基準において、I~IIを合格とした。
【0103】
(評価基準)
I :泡の高さが30mm未満。
II :泡の高さが30mm以上50mm未満。
III:泡の高さが50mm以上70mm未満。
IV :泡の高さが70mm以上90mm未満。
V :泡の高さが90mm以上120mm未満。
VI :泡の高さが120mm以上150mm未満。
VII:泡の高さが150mm以上。
【表2】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
表2~4に示すように、実施例1~18は、いずれも、フェノール構造を有する抗菌剤を、ノニオン界面活性剤と共存させているにもかかわらず、高い抗菌性能を示した。
これに対して、表5に示すように、比較例1~4は、抗菌性能が充分でなかった。