(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】空気入りタイヤの製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
B29D 30/30 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
B29D30/30
(21)【出願番号】P 2020080592
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】小池 優
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-129347(JP,A)
【文献】特開2003-145642(JP,A)
【文献】特開2016-141057(JP,A)
【文献】特開2018-051891(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0111461(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0068284(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/06
B29D 30/16
B29D 30/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インナーライナと、前記インナーライナ上に幅方向に離間して配置される両側のチェーファと、前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅広に形成されて前記インナーライナ及び前記両側のチェーファ-上に配置されるカーカスプライとを成形ドラムに順次巻き付け、
前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅広且つ前記カーカスプライの両側の幅方向外端部より幅狭に形成された第1ローラにより前記カーカスプライを外面側から押圧し、
前記第1ローラにより前記カーカスプライが押圧された後に、前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅狭に形成された第2ローラにより前記カーカスプライを外面側から押圧しつつ前記第2ローラを前記チェーファの幅方向内端部より幅方向内側から前記カーカスプライの幅方向外端部より幅方向外側に移動させ、
前記第1ローラは、前記第2ローラより硬度が低く形成される、空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記チェーファは、スチールチェーファである、請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記チェーファと前記カーカスプライの間に前記チェーファの幅方向内端部を覆う接合テープが配置される、請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記第1ローラは、硬度が35HDA以上45HDA以下に形成される、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記第1ローラは、スポンジからなる、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
インナーライナと、前記インナーライナ上に幅方向に離間して配置される両側のチェーファと、前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅広に形成されて前記インナーライナ及び前記両側のチェーファ-上に配置されるカーカスプライとが順次巻き付けられる成形ドラムと、
前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅広且つ前記カーカスプライの両側の幅方向外端部より幅狭に形成された第1ローラと、
前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅狭に形成された第2ローラとを備え、
前記第1ローラは、前記第2ローラより硬度が低く形成され、
前記成形ドラムに順次巻き付けられた前記インナーライナ、前記両側のチェーファ及び前記カーカスプライを前記第1ローラにより外面側から押圧し、
前記第1ローラにより前記カーカスプライが押圧された後に、前記第2ローラにより前記カーカスプライを外面側から押圧しつつ前記第2ローラを前記チェーファの幅方向内端部より幅方向内側から前記カーカスプライの幅方向外端部より幅方向外側に移動させる、
空気入りタイヤの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの製造では、インナーライナ及びカーカスプライなどのタイヤ構成部材が成形ドラムに巻き付けられて円筒状のカーカスバンドが成形される。成形されたカーカスバンドは、両端部にビードが組み付けられると共にビード周りに折り返され、円筒状のグリーンケースが成形される。一方、ベルト及びトレッドなどのタイヤ構成部材が別の成形ドラムに巻き付けられて円筒状のトレッドバンドが成形される。
【0003】
そして、トレッドバンドがグリーンケースの径方向外側に搬送された後に、グリーンケースが径方向外側に膨張されてトレッドバンドの内面に結合され、グリーンタイヤが成形される。成形されたグリーンタイヤは加硫成形装置によって加硫成形され、空気入りタイヤが製造される。
【0004】
特許文献1には、空気入りタイヤを製造するときに、インナーライナとして、ブチルゴムの幅方向両側にチェーファを配置すると共にブチルゴム及び両側のチェーファを覆うようにタイガムを圧着したインナーライナを用いることが開示されている。
【0005】
特許文献1にはまた、ブチルゴムとチェーファとの間に形成される隙間を塞ぐことを意図して、インナーライナのタイヤ周方向両端部が接合されたジョイント部においてブチルゴムとチェーファとの間を含む部分を押圧ローラによって押圧することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
空気入りタイヤを製造するときに、インナーライナとカーカスプライとの間において幅方向両側にチェーファ、例えばスチールチェーファが配置される場合がある。この場合、成形ドラムにインナーライナ、両側のチェーファ及びカーカスプライを順次巻き付けてカーカスバンドを成形するときに、インナーライナとカーカスプライとの間においてチェーファの内端部近傍にエアが溜まり、空気入りタイヤにエア溜まりが発生するおそれがある。特に、スチールチェーファが配置される場合、このような問題がより顕著になり得る。
【0008】
本発明は、インナーライナとカーカスプライとの間においてチェーファの内端部近傍にエアが溜まることを抑制することができる空気入りタイヤの製造方法及び製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、インナーライナと、前記インナーライナ上に幅方向に離間して配置される両側のチェーファと、前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅広に形成されて前記インナーライナ及び前記両側のチェーファ-上に配置されるカーカスプライとを成形ドラムに順次巻き付け、前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅広且つ前記カーカスプライの両側の幅方向外端部より幅狭に形成された第1ローラにより前記カーカスプライを外面側から押圧し、前記第1ローラにより前記カーカスプライが押圧された後に、前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅狭に形成された第2ローラにより前記カーカスプライを外面側から押圧しつつ前記第2ローラを前記チェーファの幅方向内端部より幅方向内側から前記カーカスプライの幅方向外端部より幅方向外側に移動させ、前記第1ローラは、前記第2ローラより硬度が低く形成される空気入りタイヤの製造方法を提供する。
【0010】
本構成により、空気入りタイヤを製造する際に、両側のチェーファの幅方向内端部より幅広且つカーカスプライの両側の幅方向外端部より幅狭に形成された第1ローラにより、成形ドラムに順次巻き付けられたインナーライナ、両側のチェーファ及びカーカスプライを外面側から押圧し、その後に、第2ローラによりカーカスプライを外面側から押圧しつつ第2ローラをチェーファの幅方向内端部より幅方向内側からカーカスプライの幅方向外端部より幅方向外側に移動させる。
【0011】
第1ローラは第2ローラより硬度が低く形成されるので、第1ローラによってインナーライナ及びチェーファに沿ってカーカスプライを径方向に変形させやすくインナーライナとカーカスプライとの間に存在するエアを第1ローラによってチェーファの幅方向内端部より幅方向外側に移動させやすい。第1ローラはカーカスプライの両側の幅方向外端部より幅狭に形成されるので、カーカスプライの両側の幅方向外端部より幅広に形成される場合に比して、インナーライナとカーカスプライとの間に存在するエアを第1ローラによってチェーファの幅方向内端部より幅方向外側に移動させやすい。さらに、第1ローラによって移動されたエアを、第2ローラによってカーカスプライの幅方向外端部より幅方向外側に移動させて排出することができる。第2ローラのみを用いる場合に比して、インナーライナとカーカスプライとの間においてチェーファの内端部近傍にエアが溜まることを抑制することができる。
【0012】
前記チェーファは、スチールチェーファであり得る。
【0013】
本構成により、インナーライナとカーカスプライとの間にスチールチェーファが配置される場合に、インナーライナとカーカスプライとの間においてチェーファの内端部近傍にエアが溜まることを有効に抑制することができる。ナイロンチェーファに比してエアが溜まりやすいスチールチェーファを配置する場合に、本発明の効果が好適に発揮される。
【0014】
前記チェーファと前記カーカスプライの間に前記チェーファの幅方向内端部を覆う接合テープが配置されることが好ましい。
【0015】
本構成により、接合テープによってチェーファとカーカスプライとの接合強度を高めることができる。また、接合テープによって、インナーライナとカーカスプライの間に配置されるチェーファの幅方向内端部において空気入りタイヤのチェーファによる強度変化を抑制することができる。
【0016】
前記第1ローラは、硬度が35HDA以上45HDA以下に形成され得る。
【0017】
本構成により、第2ローラより硬度が低く、硬度が35HDA以上45HDA以下に形成される第1ローラによりカーカスプライが外面側から押圧されるので、インナーライナとカーカスプライとの間に存在するエアをチェーファの幅方向内端部より幅方向外側に有効に移動させることができる。
【0018】
前記第1ローラは、スポンジからなり得る。
【0019】
本構成により、スポンジからなる第1ローラを用いて、インナーライナとカーカスプライとの間に存在するエアをチェーファの幅方向内端部より幅方向外側に有効に移動させることができる。
【0020】
本発明はまた、インナーライナと、前記インナーライナ上に幅方向に離間して配置される両側のチェーファと、前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅広に形成されて前記インナーライナ及び前記両側のチェーファ-上に配置されるカーカスプライとが順次巻き付けられる成形ドラムと、前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅広且つ前記カーカスプライの両側の幅方向外端部より幅狭に形成された第1ローラと、前記両側のチェーファの幅方向内端部より幅狭に形成された第2ローラとを備え、前記第1ローラは、前記第2ローラより硬度が低く形成され、前記成形ドラムに順次巻き付けられた前記インナーライナ、前記両側のチェーファ及び前記カーカスプライを前記第1ローラにより外面側から押圧し、前記第1ローラにより前記カーカスプライが押圧された後に、前記第2ローラにより前記カーカスプライを外面側から押圧しつつ前記第2ローラを前記チェーファの幅方向内端部より幅方向内側から前記カーカスプライの幅方向外端部より幅方向外側に移動させる空気入りタイヤの製造装置を提供する。
【0021】
本発明によれば、空気入りタイヤの製造方法に係る発明の効果が、空気入りタイヤの製造装置において発揮される。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法及び製造装置によれば、インナーライナとカーカスプライとの間においてチェーファの内端部近傍にエアが溜まることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの製造装置の概略側面図。
【
図3】成形ドラムに巻回されたタイヤ構成部材を示す断面図。
【
図4】インナーライナ、チェーファ及びカーカスプライの巻回工程を説明するための説明図。
【
図5】第1ローラの押圧工程を説明するための説明図。
【
図6】第2ローラの押圧工程を説明するための説明図。
【
図7】成形ドラムに巻回された接合テープを含むタイヤ構成部材を示す断面図。
【
図8】成形ドラムに巻回される別のタイヤ構成部材を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの製造では、成形ドラムにインナーライナ、両側のチェーファ及びカーカスプライが巻き付けられて円筒状のカーカスバンドが成形される。成形されたカーカスバンドは、別の成形ドラムに移動されて保持された後に、カーカスバンドの両側部にビードが組み付けられると共にビード周りに折り返され、サイドウォールゴムが巻き付けられて円筒状のグリーンケースが成形される。一方、また別の成形ドラムにベルト、トレッドゴムが順に巻き付けられて、円筒状のトレッドバンドが成形される。
【0025】
そして、トレッドバンドがグリーンケースの径方向外側に搬送された後に、グリーンケースが径方向外側にトロイダル状に膨張されてトレッドバンドの内面に結合され、グリーンタイヤが成形される。成形されたグリーンタイヤは加硫成形装置によって加硫成形され、空気入りタイヤが製造される。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの製造装置の概略側面図である。
図2は、空気入りタイヤの製造装置の概略正面図である。
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤを製造するための製造装置1は、成形ドラムにインナーライナ、両側のチェーファ及びカーカスプライを含むタイヤ構成部材を順次巻き付けて円筒状のカーカスバンドを成形するものである。
【0027】
製造装置1は、インナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4が順次巻き付けられる成形ドラム10と、成形ドラム10を回転駆動させるドラム駆動装置11と、成形ドラム10にインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4を順次供給する供給装置20とを備えている。
【0028】
図3は、成形ドラムに巻回されたタイヤ構成部材を示す断面図である。供給装置20によって、
図3に示すように、成形ドラム10にインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4が順次巻き付けられて、円筒状のカーカスバンド5が形成される。
【0029】
図4は、インナーライナ、チェーファ及びカーカスプライの巻回工程を説明するための説明図である。
図4では、タイヤ構成部材を径方向に離間して示している。
図4に示すように、空気入りタイヤを製造する際には先ず、成形ドラム10に、インナーライナ2が供給されて、成形ドラム10にインナーライナ2が円筒状に巻回される。
【0030】
次に、成形ドラム10に、幅方向に離間して配置される両側のチェーファ3が同時に供給されて、インナーライナ2上に両側のチェーファ3が円筒状に巻回される。両側のチェーファ3はそれぞれ、少なくとも幅方向内端部3aがインナーライナ2の幅方向外端部2aより幅方向内側に位置するように形成される。
【0031】
その後に、成形ドラム10に、カーカスプライ4が供給されて、インナーライナ2及び両側のチェーファ3上にカーカスプライ4が円筒状に巻回される。カーカスプライ4は、両側のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅広に形成され、両側の幅方向外端部4aが両側のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に位置するように形成される。
【0032】
本実施形態では、カーカスプライ4は、両側の幅方向外端部4aが両側のチェーファ3の幅方向外端部3bより幅方向内側に位置するように形成される。インナーライナ2は、両側の幅方向外端部2aが両側のチェーファ3の幅方向外端部3bより幅方向外側に位置するように形成される。
【0033】
両側のチェーファ3は、インナーライナ2とカーカスプライ4との間に幅方向両側に離間して配置される。両側のチェーファ3はそれぞれ、間隔をあけて並設した複数本のスチールコードをゴムで被覆した帯状のシートであるスチールチェーファである。両側のチェーファ3は、スチールチェーファであるが、有機繊維コードを用いたナイロンチェーファを用いることも可能である。
【0034】
図3に示すように、成形ドラム10にインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4が順次巻き付けられるとき、カーカスプライ4の幅方向中央側は、両側のチェーファ3間においてインナーライナ2に重ねられ、カーカスプライ4の両側の幅方向外側はそれぞれ、インナーライナ2に重ねられた両側のチェーファ3に重ねられる。このため、カーカスプライ4は、両側のチェーファ3によって幅方向中央側と両側の幅方向外側との間にそれぞれ段差部が形成される。
【0035】
ドラム駆動装置11は、成形ドラム10をドラム中心軸C1周りに回転駆動させるモータ11が用いられる。ドラム駆動装置11として、モータに代えて成形ドラム10を回転駆動させる他のドラム駆動装置を用いることも可能である。
【0036】
図1に示すように、供給装置20は、インナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4をそれぞれガイド部21によって案内して成形ドラム10に供給するように構成されている。
【0037】
製造装置1はまた、成形ドラム10に順次巻き付けられたインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4を外面側から押圧する第1押圧装置30と第2押圧装置40とを備えている。
【0038】
第1押圧装置30は、
図1及び
図2に示すように、円筒状に形成された第1ローラ31と、第1ローラ31に挿通されて固定されるシャフト32と、シャフト32を成形ドラム10の径方向に移動させる移動機構33とを備えている。移動機構33は、シャフト32を回転可能に支持する支持部34を備え、支持部34を成形ドラム10の径方向に移動させて第1ローラ31を成形ドラム10の径方向に移動可能に構成されている。移動機構33として、例えば空圧シリンダなどが用いられる。
【0039】
第1ローラ31は、移動機構33によって、
図1の実線で示す径方向外側位置と
図1の二点鎖線で示す径方向内側位置との間で成形ドラム10の径方向に移動可能に構成されている。第1ローラ31は、径方向内側位置において成形ドラム10に巻回されたカーカスプライ4を外面側から押圧するようになっている。
【0040】
第1ローラ31は、硬度が35HDA以上45HDA以下に形成される。第1ローラ31の硬度が35HDA未満である場合、第1ローラ31がカーカスプライ4に圧着しにくくなってインナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアがチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に移動しにくくなる。また、しわなどの変形や第1ローラ31の損傷を引き起こしやすくなる。一方、第1ローラ31の硬度が45HDAより大きい場合、第1ローラ31がチェーファ3の幅方向内端部3aにおいてはねてチェーファ3の幅方向内端部3aに沿って押圧しにくくインナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアがチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に移動しにくくなる。
【0041】
硬度は、JIS K7215に規定されるタイプAデュロメータを用い、JIS K7311に基づいて測定した硬さ(HDA)である。本実施形態では、第1ローラ31は、第2ローラ41より硬度が低く形成されている。第1ローラ31は、例えば発泡ウレタン樹脂などを用いたスポンジから形成される。第1ローラ31は、例えば、外径が110~120mm、幅が300~450mmのものを用いることができる。
【0042】
図5は、第1ローラの押圧工程を説明するための説明図である。
図5に示すように、第1押圧装置30の第1ローラ31は、両側のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅広に形成されると共に、カーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅狭に形成されている。
【0043】
第1押圧装置30は、成形ドラム10に順次巻き付けられたインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4に対して、第1ローラ31を成形ドラム10の径方向内側に移動させ、カーカスプライ4を第1ローラ31により、5秒などの所定時間、0.3MPaなどの所定圧力で外面側から押圧する。第1ローラ31は、成形ドラム10を回転しつつ押圧され、カーカスプライ4に対してタイヤ周方向に少なくとも一周回転される。
【0044】
第2押圧装置40は、
図1及び
図2に示すように、円筒状に形成された一対の第2ローラ41と、一対の第2ローラ41を回転可能にそれぞれ支持するシャフト42と、シャフト42をそれぞれ成形ドラム10の径方向及び軸方向に移動させる移動機構43とを備えている。移動機構43は、シャフト42を固定して支持する支持部44を備え、支持部44を成形ドラム10の径方向及び軸方向に移動させて第2ローラ41を成形ドラム10の軸方向及び径方向に移動可能に構成されている。
【0045】
移動機構43として、例えばモータ及びボールネジ等を含み、モータの回転をボールネジを介して径方向移動及び軸方向移動に変換して支持部44を径方向及び軸方向に移動させる移動機構などが用いられる。
【0046】
第2ローラ41は、移動機構43によって、
図1の実線で示す径方向外側位置と
図1の二点鎖線で示す径方向内側位置との間で成形ドラム10の径方向に移動可能に構成されると共に、
図2の実線で示す軸方向内側位置と
図2の二点鎖線で示す軸方向外側位置との間で成形ドラム10の軸方向に移動可能に構成されている。第2ローラ41はそれぞれ、径方向内側位置において成形ドラム10に巻回されたカーカスプライ4を外面側から押圧しつつ軸方向内側位置から軸方向外側位置に移動するようになっている。
【0047】
第2ローラ41は、硬度が48HDA以上52HDA以下に形成される。第2ローラ41の硬度が48HDA未満である場合、第1ローラ31がカーカスプライ4に圧着しにくくなってインナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアがチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に移動しにくくなる。また、しわなどの変形や第1ローラ31の損傷を引き起こしやすくなる。一方、第2ローラ41の硬度が52HDAより大きい場合、第1ローラ31がチェーファ3の幅方向内端部3aにおいてはねてチェーファ3の幅方向内端部3aに沿って押圧しにくくインナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアがチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に移動しにくくなる。
【0048】
硬度は、JIS K7215に規定されるタイプAデュロメータを用い、JIS K7311に基づいて測定した硬さ(HDA)である。第2ローラ41は、例えば無発泡ウレタン樹脂などを用いて形成される。第2ローラ41は、例えば、外径が135~145mm、幅が12~20mmのものを用いることができる。
【0049】
図6は、第2ローラの押圧工程を説明するための説明図である。
図6に示すように、第2押圧装置40の第2ローラ41はそれぞれ、両側のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅狭に、具体的には両側のチェーファ3の幅方向内端部3a間の二分の一より幅狭に形成されている。
【0050】
第2押圧装置40は、第1ローラ31によりカーカスプライ4が押圧され、第1ローラ31が径方向外側位置に移動された後に、一対の第2ローラ41を幅方向内側位置において成形ドラム10の径方向内側に移動させ、カーカスプライ4を第2ローラ41により外面側から押圧する。そして、カーカスプライ4を第2ローラ41により外面側から押圧しつつ、第2ローラ41をチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させる。
【0051】
一方の第2ローラ41によりカーカスプライ4を外面側から押圧しつつ一方のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させると共に、他方の第2ローラ41によりカーカスプライ4を外面側から押圧しつつ他方のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させる。第2ローラ41は、例えば0.2MPaなどの所定圧力で押圧する。第2ローラ41はそれぞれ、成形ドラム10を回転しつつ押圧され、カーカスプライ4に対してタイヤ周方向に少なくとも一周回転される。
【0052】
製造装置1はまた、ドラム駆動装置11、供給装置20、第1押圧装置30及び第2押圧装置40などの作動を制御する制御装置50を備えている。制御装置50は、ドラム駆動装置11としてのモータ、第1押圧装置30の移動機構33、第2押圧装置40の移動機構43などの作動を制御する。制御装置50は、例えばマイクロコンピュータを主要部として構成されている。
【0053】
制御装置50は、成形ドラム10を回転駆動させつつ成形ドラム10にインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4を順次供給し、成形ドラム10にインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4を順次巻き付ける。
【0054】
制御装置50はまた、成形ドラム10に順次巻き付けられたインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4を第1ローラ31により外面側から押圧し、第1ローラ31によりカーカスプライ4が押圧された後に、第2ローラ41によりカーカスプライ4を外面側から押圧しつつ第2ローラ41をチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させる。
【0055】
前述したように、製造装置1において、成形ドラム10にインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4が順次巻き付けられ、カーカスバンド5が成形される。成形ドラム10に順次巻き付けられたインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4に対し、第1ローラ31によりカーカスプライ4が外面側から押圧され、第1ローラ31によりカーカスプライ4が押圧された後に、第2ローラ41によりカーカスプライ4が外面側から押圧されつつ第2ローラ41がチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動される。
【0056】
カーカスバンド5が成形されると、カーカスバンド5が別の成形ドラムに移動されて保持された後に、カーカスバンドの両側部にビードが組み付けられると共にビード周りに折り返され、サイドウォールゴムが巻き付けられて円筒状のグリーンケースが成形される。一方、ベルト、トレッドゴムなどのタイヤ構成部材が更に別の成形ドラムに順に巻き付けられて、円筒状のトレッドバンドが成形される。
【0057】
そして、トレッドバンドがグリーンケースの径方向外側に搬送された後に、グリーンケースが径方向外側にトロイダル状に膨出されてトレッドバンドの内面に結合され、グリーンタイヤが成形される。成形されたグリーンタイヤは加硫成形装置によって加硫成形され、空気入りタイヤが製造される。
【0058】
このように、本実施形態では、空気入りタイヤを製造する際に、両側のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅広且つカーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅狭に形成された第1ローラ31により、成形ドラム10に順次巻き付けられたインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4を外面側から押圧し、その後に、第2ローラ41によりカーカスプライ4を外面側から押圧しつつ第2ローラ41をチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させる。
【0059】
第1ローラ31は第2ローラ41より硬度が低く形成されるので、第1ローラ31によってインナーライナ2及びチェーファ3に沿ってカーカスプライ4を径方向に変形させやすくインナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアを第1ローラ31によってチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に移動させやすい。第1ローラ31はカーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅狭に形成されるので、カーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅広に形成される場合に比して、インナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアを第1ローラ31によってチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に移動させやすい。さらに、第1ローラ31によって移動されたエアを、第2ローラ41によってカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させて排出することができる。第2ローラ41のみを用いる場合に比して、インナーライナ2とカーカスプライ4との間においてチェーファ3の内端部3a近傍にエアが溜まることを抑制することができる。
【0060】
また、チェーファ3は、スチールチェーファである。これにより、インナーライナ2とカーカスプライ4との間にスチールチェーファ3が配置される場合に、インナーライナ2とカーカスプライ4との間においてチェーファ3の内端部3a近傍にエアが溜まることを有効に抑制することができる。ナイロンチェーファに比してエアが溜まりやすいスチールチェーファを配置する場合に、チェーファ3の内端部3a近傍にエアが溜まることを有効に抑制することができる。
【0061】
また、第1ローラ31は、硬度が35以上45HDA以下に形成される。これにより、第2ローラ41より硬度が低く、硬度が35以上45HDA以下に形成される第1ローラ31によりカーカスプライ4が外面側から押圧されるので、インナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアをチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に有効に移動させることができる。
【0062】
また、第1ローラ31は、スポンジからなる。これにより、スポンジからなる第1ローラ31を用いて、インナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアをチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に有効に移動させることができる。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態に係る空気入りタイヤの製造について説明する。
【0064】
第2実施形態に係る空気入りタイヤの製造は、インナーライナ2とカーカスプライ4との間に配置されるチェーファ3の幅方向内端部3aを覆う接合テープが配置されることを除き、第1実施形態に係る空気入りタイヤの製造と同様であるので、同様の構成について説明を省略する。
【0065】
図7は、成形ドラムに巻回された接合テープを含むタイヤ構成部材を示す断面図である。
図7では、
図4に対応するタイヤ構成部材の断面を示している。
図7に示すように、第2実施形態に係る空気入りタイヤの製造では、インナーライナ2とカーカスプライ4との間に両側のチェーファ3とカーカスプライ4とをそれぞれ接合する接合テープ6が配置されている。
【0066】
接合テープ6はそれぞれ、チェーファ3の幅方向内端部3aを覆うように設けられている。接合テープ6は、幅方向内端部6aがチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側に位置するように形成される。接合テープ6はまた、幅方向外端部6bがチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側、且つカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向内側に位置するように形成される。
【0067】
本実施形態では、供給装置20は、カーカスプライ4の内面側に幅方向に離間して配置される両側の接合テープ6が取り付けられた状態で成形ドラム10にカーカスプライ4を供給する。また、第1押圧装置30の第1ローラ31は、両側のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅広に且つ両側の接合テープ6の幅方向外端部6bより幅広に形成されると共に、カーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅狭に形成される。
【0068】
本実施形態においても、成形ドラム10に順次巻き付けられたインナーライナ2、両側のチェーファ3、及び両側の接合テープ6を含むカーカスプライ4を第1ローラ31により外面側から押圧し、第1ローラ31によりカーカスプライ4が押圧された後に、第2ローラ41によりカーカスプライ4を外面側から押圧しつつ第2ローラ41をチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させる。
【0069】
このように、本実施形態においても、空気入りタイヤを製造する際に、両側のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅広且つカーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅狭に形成された第1ローラ31により、成形ドラム10に順次巻き付けられたインナーライナ2、両側のチェーファ3及びカーカスプライ4を外面側から押圧し、その後に、第2ローラ41によりカーカスプライ4を外面側から押圧しつつ第2ローラ41をチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させる。
【0070】
第1ローラ31は第2ローラ41より硬度が低く形成されるので、第1ローラ31によってインナーライナ2及びチェーファ3に沿ってカーカスプライ4を径方向に変形させやすくインナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアを第1ローラ31によってチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に移動させやすい。第1ローラ31はカーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅狭に形成されるので、カーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅広に形成される場合に比して、インナーライナ2とカーカスプライ4との間に存在するエアを第1ローラ31によってチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に移動させやすい。さらに、第1ローラ31によって移動されたエアを、第2ローラ41によってカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させて排出することができる。第2ローラ41のみを用いる場合に比して、インナーライナ2とカーカスプライ4との間においてチェーファ3の内端部3a近傍にエアが溜まることを抑制することができる。
【0071】
また、チェーファ3とカーカスプライ4の間にチェーファ3の幅方向内端部3aを覆う接合テープ6が配置される。これにより、接合テープ6によってチェーファ3とカーカスプライ4との接合強度を高めることができる。また、接合テープ6によって、インナーライナ2とカーカスプライ4の間に配置されるチェーファ3の幅方向内端部3aにおいて空気入りタイヤのチェーファ3による強度変化を抑制することができる。
【0072】
前述した実施形態では、インナーライナ2は、両側の幅方向外端部2aが両側のチェーファ3の幅方向外端部3bより幅方向外側に位置するように形成されているが、両側のチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向外側に且つ両側のチェーファ3の幅方向外端部3bより幅方向内側に位置するように形成するようにしてもよい。
【0073】
次に、本発明の第3実施形態に係る空気入りタイヤの製造について説明する。
【0074】
第1実施形態に係るインナーライナ2は、インナーライナとゴムチェーファとが一体的に形成されたものであるが、第3実施形態ではインナーライナ2とゴムチェーファ7とが別体で形成される。第3実施形態に係る空気入りタイヤの製造は、インナーライナ2とゴムチェーファ7とが別体で形成されることを除き、第1実施形態に係る空気入りタイヤの製造と同様であるので、同様の構成について説明を省略する。
【0075】
図8は、成形ドラムに巻回される別のタイヤ構成部材を示す断面図である。
図8では、第3実施形態に係る成形ドラムに巻回されるタイヤ構成部材を、
図4に対応する断面で示している。
図8に示すように、第3実施形態に係る空気入りタイヤの製造では、インナーライナ2と両側のチェーファ3、具体的にはスチールチェーファ3との間にそれぞれ別の両側のチェーファ7、具体的にはゴムチェーファ7が配置されている。
【0076】
両側のゴムチェーファ7はそれぞれ、少なくとも幅方向内端部7aがインナーライナ2の幅方向外端部2aより幅方向内側に位置するように形成される。また、ゴムチェーファ7はそれぞれ、幅方向内端部7aがスチールチェーファ3の幅方向内端部3aより幅方向内側に位置すると共に幅方向外端部7bがスチールチェーファ3の幅方向外端部3bより幅方向外側に位置するように形成される。
【0077】
本実施形態では、供給装置20は、成形ドラム10にインナーライナ2、両側のゴムチェーファ7、両側のスチールチェーファ3及びカーカスプライ4を順次供給する。第1押圧装置30の第1ローラ31は、両側のスチールチェーファ3の幅方向内端部3aより幅広に且つカーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅狭に形成される。第2押圧装置40の第2ローラ41はそれぞれ、両側のゴムチェーファ7の幅方向内端部7aより幅狭に、具体的には両側のゴムチェーファ7の幅方向内端部7a間の二分の一より幅狭に形成される。
【0078】
本実施形態では、成形ドラム10にインナーライナ2、両側のゴムチェーファ7、両側のスチールチェーファ3及びカーカスプライ4が順次巻き付けられ、カーカスバンド5が成形される。本実施形態においても、成形ドラム10に順次巻き付けられたインナーライナ2、両側のゴムチェーファ7、両側のスチールチェーファ3及びカーカスプライ4に対し、第1ローラ31によりカーカスプライ4が外面側から押圧され、第1ローラ31によりカーカスプライ4が押圧された後に、第2ローラ41によりカーカスプライ4が外面側から押圧されつつ第2ローラ41がゴムチェーファ7の幅方向内端部7aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動される。
【0079】
カーカスバンド5が成形されると、カーカスバンドの両側部にビードが組み付けられると共にビード周りに折り返され、サイドウォールゴムが巻き付けられて円筒状のグリーンケースが成形される。一方、ベルト、トレッドゴムなどのタイヤ構成部材が更に別の成形ドラムに順に巻き付けられて、円筒状のトレッドバンドが成形される。
【0080】
そして、トレッドバンドがグリーンケースの径方向外側に搬送された後に、グリーンケースが径方向外側にトロイダル状に膨出されてトレッドバンドの内面に結合され、グリーンタイヤが成形される。成形されたグリーンタイヤは加硫成形装置によって加硫成形され、空気入りタイヤが製造される。
【0081】
このように、本実施形態においても、空気入りタイヤを製造する際に、両側のチェーファ3,7の幅方向内端部3a,7aより幅広且つカーカスプライ4の両側の幅方向外端部4aより幅狭に形成された第1ローラ31により、成形ドラム10に順次巻き付けられたインナーライナ2、両側のチェーファ3,7及びカーカスプライ4を外面側から押圧し、その後に、第2ローラ41によりカーカスプライ4を外面側から押圧しつつ第2ローラ41をチェーファ3,7の幅方向内端部3a,7aより幅方向内側からカーカスプライ4の幅方向外端部4aより幅方向外側に移動させる。
【0082】
これにより、第2ローラ41のみを用いる場合に比して、インナーライナ2とカーカスプライ4との間においてチェーファ3,7の内端部3a,7a近傍にエアが溜まることを抑制することができる。特に、インナーライナ2とカーカスプライ4との間においてスチールチェーファ3の内端部3a近傍にエアが溜まることを抑制することができる。
【0083】
本実施形態においても、前述した第2実施形態と同様に、スチールチェーファ3とカーカスプライ4の間にチェーファ3の幅方向内端部3aを覆う接合テープ6を配置するようにしてもよい。
【0084】
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 製造装置
2 インナーライナ
3 スチールチェーファ
4 カーカスプライ
6 接合テープ
7 ゴムチェーファ
10 成形ドラム
31 第1ローラ
41 第2ローラ