(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47B 91/08 20060101AFI20240105BHJP
A47C 7/00 20060101ALI20240105BHJP
C09D 183/04 20060101ALI20240105BHJP
C09D 133/00 20060101ALI20240105BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20240105BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240105BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A47B91/08
A47C7/00 A
C09D183/04
C09D133/00
C09D175/04
B32B27/00 101
B32B27/00 Z
A47B13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020081820
(22)【出願日】2020-05-07
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】小花 光広
(72)【発明者】
【氏名】中井 俊宏
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-172026(JP,A)
【文献】特開2016-084390(JP,A)
【文献】特開2006-205688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0128407(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 91/08
A47C 7/00
C09D 183/04
C09D 133/00
C09D 175/04
B32B 27/00
A47B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上に設けられる第1の部分と、
第1の部分上に設けられる第2の部分と、
を備え、
前記第1の部分の少なくとも一部の表面には、樹脂層が設けられ、
前記樹脂層の鉛筆硬度がB以上F以下であり、
前記樹脂層の算術平均粗さRaが6.0μm以上10.0μm以下であり、
前記樹脂層の最大高さ粗さRzが50.0μm以下であり、
前記樹脂層がシリコーン樹脂を含有する、什器。
【請求項2】
前記算術平均粗さRaが8.0μm以上10.0μm以下である、請求項1に記載の什器。
【請求項3】
前記最大高さ粗さRzが40.0μm以下である、請求項1または2に記載の什器。
【請求項4】
前記樹脂層がアクリルウレタン樹脂を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の什器。
【請求項5】
前記樹脂層の前記シリコーン樹脂の含有量が樹脂層の全質量に対して10質量%以上30質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は什器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスで使用される椅子、テーブル、キャビネットなどの什器には、清涼感、明るさおよび優れた意匠性が求められるようになってきている。そのため、白色やパステルカラーなどで塗装された什器や意匠性を向上するためにシボ加工が施された什器の需要が増えている。
【0003】
オフィスで使用される什器は、靴がぶつかるなどして床面付近の部分に、傷および汚れがつきやすいという問題がある。特に、白色やパステルカラーなどに塗装された什器の場合、什器の汚れが目立ち、見栄えが悪くなる。
【0004】
傷および汚れが付くことを防止するために、特許文献1には、樹脂成形体からなる基体と、基体の表面に形成された、単層の防汚性樹脂硬化被膜と、を備える椅子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示された椅子の場合、防汚性樹脂硬化皮膜の鉛筆硬度が高いため、布巾で汚れを拭った際に、防汚性樹脂硬化皮膜が布巾に追従して変形せず、塗装表面の溝に入った汚れを十分に取れないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題を鑑みなされたものであって、意匠性、耐傷性および洗浄性に優れる什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の一態様にかかる什器は、床面上に設けられる第1の部分と、前記第1の部分上に設けられた第2の部分と、を備え、前記第1の部分の少なくとも一部の表面には、樹脂層が設けられ、前記樹脂層の鉛筆硬度がB以上F以下であり、前記樹脂層の算術平均粗さRaが6.0μm以上10.0μm以下であり、前記樹脂層の最大高さ粗さRzが50.0μm以下であり、前記樹脂層がシリコーン樹脂を含有する。
【0009】
この態様によれば、第1の部分の表面に鉛筆硬度がB以上F以下である樹脂層が設けられている。そのため、優れた耐傷性を維持しながら、布巾などで表面を拭った際に、樹脂層が布巾に追従して変形することができる。また、この態様によれば、樹脂層の算術平均粗さRaが6.0μm以上10.0μm以下であり、かつ最大高さ粗さRzが50.0μm以下であるので、布巾で汚れを拭き取る際に、樹脂層が布巾の形状に追従して変形し、かつ、シリコーン樹脂により滑り性が向上することと合わさって、凹凸に入り込んだ汚れを容易に拭き取ることができる。
【0010】
(2)上記(1)に記載の什器は、前記算術平均粗さRaが8.0μm以上10.0μm以下であってもよい。
【0011】
この態様によれば、前記算術平均粗さRaが8.0μm以上10.0μm以下であるので、より汚れを拭き取りやすい。
【0012】
(3)上記(1)または(2)に記載の什器は、前記最大高さ粗さRzが40.0μm以下であってもよい。
【0013】
この態様によれば、前記最大高さ粗さRzが40.0μm以下であるので、深い凹凸がないので、汚れをより拭き取りやすい。
【0014】
(4)上記(1)~(3)のいずれか1つに記載の什器は、前記樹脂層がアクリルウレタン樹脂を含有してもよい。
【0015】
この態様によれば、前記樹脂層がアクリルウレタン樹脂を含有しているので、第1の部分と樹脂層の密着性を向上することができる。
【0016】
(5)上記(1)~(4)のいずれか1つに記載の什器は、前記樹脂層の前記シリコーン樹脂の含有量が樹脂層の全質量に対して10質量%以上30質量%以下であってもよい。
【0017】
この態様によれば、シリコーン樹脂の含有量が10質量%以上30質量%以下であるので、樹脂層の硬化を抑制しつつ、より汚れを拭き取りやすくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の上記態様によれば、意匠性、耐傷性および洗浄性に優れる什器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る什器の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る什器の第一の部分の断面の拡大模式図である。
【
図5】溶液を乾燥した後の樹脂層および基体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<什器>
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る什器として椅子を例にして説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る什器(椅子)の構成を説明する斜視図である。
図1に示すように、椅子100は、第1の部分30および第2の部分31を備える。
【0021】
(第1の部分)
第1の部分30は、床面F上に設置される。本実施形態では、第1の部分30は、床面上に設置され、着座者の荷重を床面に伝える基部となる部分である。第1の部分30は、キャスタ11aを備える多肢脚11と、多肢脚11の中央部より起立する脚柱12と、を備える。多肢脚11は、中央部から放射状に突出する複数の脚を備える。
【0022】
(第2の部分)
第1の部分30の上部には、第2の部分31が設けられている。本実施形態では、第2の部分31は、椅子として機能する部分、すなわち、着座者の荷重を直接支持する部分である。第2の部分31は、着座者が着座する座部13と、座部13に着座した着座者の背中を支持する背もたれ14と、を備える。
【0023】
本発明の実施形態にかかる椅子100の少なくとも一部の表面には、樹脂層2が備わる。本実施形態においては、第1の部分30の多肢脚11に、
図2のように基体1および樹脂層2が備わる。
【0024】
(基体)
基体1の材料は、特に限定されないが、例えば、アルミニウムなどの金属または樹脂などである。本実施形態では、多肢脚11がアルミニウムなどの金属または樹脂などにより一体に成形されている。
【0025】
(樹脂層)
樹脂層2は、基体1の表面に形成される。樹脂層2の表面硬度は、鉛筆硬度で、B以上F以下である。樹脂層2の表面硬度は、JIS K5600-5-4:1999に記載の方法で測定することができる。樹脂層2の表面硬度がB未満(すなわち、表面硬度が2B以下の場合)、オフィスなどでの使用に十分な耐傷性を得ることができない場合がある。そのため、樹脂層2の表面硬度はB以上である。また、樹脂層2の表面硬度がF超の場合(すなわち、表面硬度がH以上の場合)、布巾で汚れを拭き取った際に、布巾の形状に追従して樹脂層2が変形しないので、汚れを十分に拭き取ることができない。そのため、樹脂層2の表面硬度は、F以下である。
【0026】
樹脂層2の算術平均粗さRaが6.0μm以上であれば、意匠性を向上することができ、加えて、傷がついた場合に目立たなくさせることができる。より好ましい樹脂層2の算術平均粗さRaは、8.0μm以上である。樹脂層2の算術平均粗さが10.0μm以下であれば、樹脂層2の凹凸に入った汚れを拭き取ることができる。より好ましい樹脂層2の算術平均粗さは、9.6μm以下である。算術平均粗さRaは、JIS B0601:2013の記載の方法に従って測定することができる。
【0027】
樹脂層2の最大高さ粗さRzが50.0μm以下であれば、樹脂層2の凹凸に入った汚れを拭き取ることが容易になる。より好ましい樹脂層2の最大高さ粗さRzは、40.0μm以下である。最大高さ粗さRzは、JIS B0601:2013の記載の方法に従って測定することができる。
【0028】
樹脂層2の膜厚は、20μm以上である。樹脂層2の膜厚が20μm以上であれば、優れた耐傷性を維持することができる。樹脂層2の膜厚が70μm以下であれば、算術平均粗さRaが6.0μm以上10.0μm以下であり、かつ、最大高さ粗さRzが50μm以下を満足することができる。樹脂層2の膜厚は、JIS K5600-1-7:2014に記載の方法に従って測定することができる。
【0029】
樹脂層2に主として含有される樹脂(以下、第1の樹脂)は、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、およびアクリル系樹脂などあってもよい。ここで、「主として含有される」とは、樹脂層2中の全樹脂の質量に対し、60質量%以上含有することをいう。第1の樹脂は、アクリルウレタン樹脂、アクリルシリコン樹脂およびアクリルフッ素樹脂などのアクリル系樹脂が好ましい。第1の樹脂は、基体1との密着性との観点から特にアクリルウレタン樹脂が特に好ましい。第1の樹脂は、樹脂層2中の全樹脂の質量に対し、60質量%以上であることが好ましい。より好ましい第1の樹脂の含有量は、70質量%以上である。第1の樹脂の含有量の上限は、特に限定されず、例えば、樹脂層2中の全樹脂の質量に対し、100質量%である。より好ましい第1の樹脂の含有量は、90質量%以下である。
【0030】
第1の樹脂は、水酸基およびエポキシ基などの架橋反応をするための官能基を含有してもよい。架橋反応をするための官能基は、水酸基であることが好ましい。
【0031】
第1の樹脂は、架橋剤で架橋してもよい。架橋することによって、樹脂層2の耐傷性が向上する。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤が例示されるが、特にイソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0032】
樹脂層2は、シリコーン樹脂を含有する。シリコーン樹脂は、第1の樹脂と相分離する。また、シリコーン樹脂は、表面自由エネルギーが低いので、樹脂層2の表面に移行しやすい。そのため、樹脂層2にシリコーン樹脂を含有することで、樹脂層2の滑り性が向上する。シリコーン樹脂としては、優れた洗浄性(滑り性)が得られれば特に限定されない。第1の樹脂との相分離状態を制御する観点から、シリコーン樹脂としては、例えば、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのアルコキシシラン含有ビニルモノマーを1種以上混合し、重合したシラン重合体を用いてもよい。
【0033】
シラン重合体は、アルコキシシラン含有ビニルモノマーと共重合可能なモノマーをアルコキシシランビニルモノマーに加えて重合した重合体であってもよい。共重合可能ならモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル、スチレンまたはスチレン誘導体などが例示される。シリコーン樹脂は、水酸基を含有してもよい。
【0034】
シリコーン樹脂は、表面に移行しやすいので、その含有量は特に限定されないが、例えば、樹脂層2中の全樹脂の質量に対し、シリコーン樹脂の含有量が、10質量%以上30質量%以下であることが好ましい。シリコーン樹脂の含有量が10質量%以上であれば、洗浄性がより向上する。シリコーン樹脂の含有量が30質量%以下であれば、硬度の向上による樹脂層2の割れを防止することができる。
【0035】
樹脂層2の全質量に対し、第1の樹脂およびシリコーン樹脂などの樹脂成分の含有量は、50質量%以上95質量%以下であることが好ましい。樹脂成分の含有量が50質量%以上95質量%以下であれば、樹脂層2と基体1との流行な密着性を得ることができる。より好ましく樹脂成分の含有量は60質量%以上80質量%以下である。
【0036】
樹脂層2は、樹脂層2の全質量に対し、顔料を5質量%以上50質量%以下含有してもよい。より好ましい顔料の含有量は、20質量%以上40質量%以下である。50質量%超顔料を含有すると樹脂層2の表面硬度がF超となる場合がある。5質量%未満では、樹脂層2の着色を十分にできない場合がある。顔料としては、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラックなどの着色顔料や硫酸バリウム、タルクなどの体質顔料を挙げることができる。顔料としては、二酸化チタンが好ましい。
【0037】
<樹脂層2の形成方法>
樹脂層2の形成は、例えば、上記の各成分を一般的な攪拌装置で攪拌して製造した溶液を、基体1に塗布、乾燥することで形成することができる。塗布方法は特に限定されず、スプレー塗り、刷毛塗りなどにより塗布することができる。
【0038】
塗布後は、乾燥炉などで一定の温度で溶液中の溶剤を乾燥させることが好ましい。乾燥温度は例えば10℃以上60℃以下が好ましい。乾燥時間は3分以上72時間以下とすることができる。乾燥温度および乾燥時間は、膜厚や架橋状態などに応じて適宜調整することができる。
【0039】
塗布工程の流れを
図3~
図5を用いて説明する。
図3は、溶液を塗布する前の基体1の模式図である。
図3の基体1は、表面に凹凸がある(シボ有)。この基体1の表面に溶液3を塗布することで、
図4のように基体1の凹凸に溶液が入り込む。溶液3を上記の条件で乾燥することで、
図5のように、シリコーン樹脂層2aおよび第1の樹脂層2bからなる樹脂層2が形成される。
【0040】
図5では、シリコーン樹脂層2aおよび第1の樹脂層2bからなる樹脂層2からなる樹脂層2について説明したが、本発明は
図5の構造に限定されない。樹脂層2の構造は、シリコーン樹脂の含有量や乾燥条件などによって、変わるため、明確なシリコーン樹脂層2aが形成されない場合がある。その場合においてもシリコーン樹脂が樹脂層2の表面にあれば、十分な滑り性が得られる。そのため、シリコーン樹脂層2aが形成されない場合も本発明に含まれる。
【0041】
基体1(シボ有)の凹凸は、意匠性を向上するために、深い凹凸が形成されている。そのため、基体1の凹凸に入り込んだ汚れは、布巾がその凹凸の中に入り込まないので、拭いとることができない。本発明の実施形態に係る椅子100は、樹脂層2が形成されることで、凹凸がなだらかになり、その結果、布巾が凹凸に入りこみやすくなるので、洗浄性が高い。
【0042】
樹脂層2の算術平均粗さRaが6.0μm以上10.0μm以下であり、最大高さ粗さRzが50.0μm以下であれば、基体1の凹凸の形状は、特に限定されない。
【0043】
上述した実施形態では、第1の部分30の一部に樹脂層2を備えていたが、第1の部分30の全体に樹脂層2備えていてもよい。また、第2の部分31に樹脂層2を備えていてもよい。
上述した実施形態では、椅子を例にして説明したが、本実施形態に係る什器は、椅子に限定されず、テーブル、机、キャビネットなどであってもよい。例えば、什器がテーブルおよび机の場合、第1の部分30は、脚であり、第2の部分は、天板である。什器がキャビネットの場合は、第1の部分は基部であり、第2の部分は、扉を備える部分である。
【実施例】
【0044】
次に、樹脂層を備える椅子を作製し、その多肢脚を用いて、算術平均粗さRa、最大高さ粗さRz、表面硬度、洗浄性および耐傷性(耐摩耗性)を調べた。
【0045】
(試料作製)
ポリアミド製試験用多肢脚(シボ加工あり)に塗布する塗料は下記のものを用いた。
塗料A:パナロック 088-9000 FB-6121 GB03
(ロックペイント社製アクリルウレタン樹脂塗料)
塗料B:パナロック 088-9000 FC-2606 GB03 防汚タイプ
(ロックペイント社製シリコーン樹脂含有アクリルウレタン樹脂塗料 シリコーン樹脂含有量 20質量%)
【0046】
(比較例1)
塗料Aと硬化剤(パナロックHFハードナ-)とを10:1の比率で混合した。得られた塗布液を溶剤脱脂後のポリアミド製試験用多肢脚(シボ加工あり)に、スプレー塗布し、60℃1時間で乾燥して、比較例1の試験用多肢脚を得た。
【0047】
(実施例1)
塗料Bと硬化剤(パナロックHFハードナ-)とを10:1の比率で混合した。得られた塗布液を溶剤脱脂後のポリアミド製試験用多肢脚(シボ加工あり)に、スプレー塗布し、60℃1時間で乾燥して、実施例1の試験用多肢脚を得た。
【0048】
(鉛筆引っかき硬度試験)
各試験用多肢脚に対し、JIS K5600-5-4:1999に準拠して鉛筆引っかき硬度試験を行った。鉛筆硬度がB以上F以下の場合を合格とし、それ以外を不合格とした。得られた結果を表1に示す。
【0049】
(算術平均粗さRa)
各試験用多肢脚に対し、JIS B0601:2013に準拠して算術平均粗さRaの測定を行った。算術平均粗さRaが6.0μm以上10.0μm以下の場合を合格とし、それ以外を不合格とした。得られた結果を表1に示す。
【0050】
(最大山高さ粗さRz)
各試験用多肢脚に対し、JIS B0601:2013に準拠して最大山高さ粗さRzの測定を行った。最大山高さ粗さRzが50μm以下の場合を合格とし、それ以外を不合格とした。得られた結果を表1に示す。
【0051】
(洗浄性)
各試験用多肢脚に対し、JIS K5600-5-11:2014に準拠して洗浄性を評価した。評価条件は下記のとおりとした。汚染剤を除去後に著しい変色が認められた場合をBとし、ほぼ変色がなかった場合をAとした。合格はAとし、それ以外は不合格とした。得られた結果を表1に示す。
荷重:4.9N(500gf)
研磨パッド:黒豚のかたい毛のブラシ(JIS K 5660:2008 つや有合成樹脂エマルションペイント 7.13に規定されるブラシ)
汚染剤:皮クリーム(コロンブス スーパービン 靴クリーム 黒 (株)スーパーコロンブス製)
カーボン/ワセリン(カーボングラファイト/ワセリン:1/9(質量比))
サイクル数:600サイクル
汚染剤の除去方法:エタノールを含ませたネルウエスでの拭き取り
【0052】
(耐傷性)
耐傷性の評価として、各試験用多肢脚に対し、ASTM D 968-1に準拠の耐摩耗性評価試験を行った。評価条件は下記のとおりである。基体が露出しなかった場合をAとし、基体が露出した場合は、Bとした。合格は、Aとし、それ以外を不合格とした。結果を表1に示す。
研削材:炭化けい素質研削材C(F80)
研削材落下量:10L、20L、30L
【0053】
【0054】
表1に示す通り、実施例1は、優れた耐傷性および洗浄性を示した。一方、比較例1は、最大山高さRzが50μmを満足していないので、洗浄性が劣位であった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本実施形態に係る什器は、優れた意匠性、耐傷性および洗浄性を有するので、産業上利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0056】
1 基体
2 樹脂層
11 多肢脚
11a キャスタ
12 脚柱
13 座部
14 背もたれ
30 第1の部分
31 第2の部分
100 椅子