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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ゴム部材の試験路面の作成方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 19/02 20060101AFI20240105BHJP
   E01C 7/10 20060101ALI20240105BHJP
   G01M 17/02 20060101ALI20240105BHJP
   G01N 3/56 20060101ALN20240105BHJP
【FI】
G01N19/02 B
E01C7/10
G01M17/02
G01N3/56 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020124693
(22)【出願日】2020-07-21
(65)【公開番号】P2022021219
(43)【公開日】2022-02-02
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諫山 直生
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-099152(JP,A)
【文献】特開2017-058244(JP,A)
【文献】特開2019-049440(JP,A)
【文献】特開2014-020807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 19/02
G01M 17/02
E01C 7/10
G01N 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実路面から複数の路面片を切り出すステップと、
複数の前記路面片を、表側を下にして平面上に並べるステップと、
複数の前記路面片を、表側を下にして平面上に並べた状態で互いに固定するステップと、
固定された複数の前記路面片をパレットに固定するステップと、
を含む、ゴム部材の試験路面の作成方法。
【請求項2】
前記パレットは、底板と、前記底板から立ち上がった側壁とを有し、開口部が形成された箱型の部材であり、
複数の前記路面片を、表側を下にして平面上に並べるステップの後、
前記路面片の上に形状記憶物体を配置し、その上から前記パレットを前記開口部を下にして被せ、前記底板で前記形状記憶物体を押して変形させるステップと、
変形後の前記形状記憶物体の厚みに基づき、前記パレットの前記底板と複数の前記路面片との間に充填すべき接着剤の量を見積もるステップと、
前記の見積もられた量の接着剤を、前記パレットの前記底板と複数の前記路面片との間に充填した形で、複数の前記路面片を互いに固定すると共に前記パレットに固定するステップと、
を含む、請求項1に記載のゴム部材の試験路面の作成方法。
【請求項3】
複数の前記路面片を、表側を下にして平面上に並べるステップの後、
複数の前記路面片を、表側を下にして平面上に並べた状態で板状部材に接着することにより互いに固定するステップと、
前記板状部材を前記パレットに着脱可能に固定するステップと、
を含む、請求項1に記載のゴム部材の試験路面の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴム部材の試験路面の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ等に使用するゴム部材の摩擦等の試験を台上試験機で行うために、平面上に研磨布を貼ったり模擬路面を形成したりして、その上でゴム部材を滑らせることが行われている。模擬路面は、骨材と樹脂等から形成される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-20030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、研磨布や模擬路面は、テストコース等の実路面とは材質や表面粗さが異なる。そのことが原因で、研磨布や模擬路面でのゴム部材の試験結果と、テストコース等の実路面でのタイヤの試験結果とで、度々乖離した結果が出てしまうという問題があった。例えば、複数のタイヤについて摩擦係数の大きさを順位付けする試験を行うと、研磨布や模擬路面での試験結果と、実路面での試験結果で、順位が全く異なってしまうことがあった。
【0005】
その問題への対策として、テストコース等の実路面の一部を路面片として切り出し、屋内の卓上加工機で路面片を所定の寸法に仕上げ、それを台上試験機に設置し、その上でゴム部材の試験を行うことが検討されている。その場合、卓上加工機で加工できる路面片の寸法に制限があり大きな(例えば長さ0.5m以上といった)路面片の加工が困難であることから、小さな路面片を複数個切り出し、それらを並べてつなぎ合わせる必要がある。
【0006】
ところが、卓上加工機で路面片の寸法を微調整しようとすると路面片が破砕してしまうリスクがあり、複数の路面片を均一な厚みで仕上げることが困難である。そのため、複数の路面片を並べてつなぎ合わせると、つなぎ目に段差ができてしまう。
【0007】
そこで本発明は、つなぎ目に段差ができにくい試験路面の作成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のゴム部材の試験路面の作成方法は、実路面から複数の路面片を切り出すステップと、複数の前記路面片を、表側を下にして平面上に並べるステップと、複数の前記路面片を、表側を下にして平面上に並べた状態で互いに固定するステップと、固定された複数の前記路面片をパレットに固定するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記の方法によれば、表側を下にした状態で複数の路面片が固定されるので、路面片の表側のつなぎ目に段差ができにくい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】台上試験機を示す図。
図2】実施形態1のフローチャート。
図3】完成した試験路面の斜視図。
図4】複数の路面片が表面を下にして並べられた様子を水平方向から見た図。
図5】路面片の裏面の上に粘土が配置された様子を水平方向から見た図。
図6】パレットの斜視図。
図7】粘土がパレットに押しつぶされた様子を示す図。図6のA-Aに相当する位置での断面図。
図8】複数の路面片が枠で囲まれた様子を示す図。図6のA-Aに相当する位置での断面図。
図9】複数の路面片が枠で囲まれた様子を上から見た図。
図10】枠の内側に接着剤が充填された様子を示す図。図6のA-Aに相当する位置での断面図。
図11】複数の路面片を囲む枠が取り外された様子を示す図。図6のA-Aに相当する位置での断面図。
図12】複数の路面片及び接着剤の層の上にパレットが被せられた様子を示す図。図6のA-Aに相当する位置での断面図。
図13】完成した試験路面の、図6のA-Aに相当する位置での断面図。
図14】実施形態2のフローチャート。
図15】複数の路面片及び接着剤の層の上に板状部材が載せられた様子を水平方向から見た図。
図16】板状部材がパレットに固定された様子を示す図。図6のA-Aに相当する位置での断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更されたものについては、本発明の範囲に含まれるものとする。
【0012】
1.実施形態1
図1に、ゴム部材の摩擦等の試験を行うための台上試験機1を示す。台上試験機1は、水平に配置された試験路面2と、ゴム部材3を保持するホルダー4と、ホルダー4を上下させる荷重装置5と、ホルダー4を水平方向に移動させる駆動装置6と、荷重装置5及び駆動装置6を制御する制御装置7とを有している。
【0013】
制御装置7は、荷重装置5を稼働させてホルダー4を下げることにより、ゴム部材3を試験路面2に押し付ける。その状態で、制御装置7は、駆動装置6を稼働させてホルダー4を水平方向に移動させることにより、ゴム部材3を試験路面2で滑らせる。そのときにゴム部材3に負荷される荷重を不図示のセンサが測定し、測定結果が摩擦力の評価等に利用される。
【0014】
試験路面2は複数の路面片10がつながって形成されている。複数の路面片10が箱形のパレット11の内部に並べられ、パレット11ごと、台上試験機1におけるホルダー4の下の場所に固定されている。実施形態1の方法はこのような試験路面2の作成方法である。
【0015】
図2に示すように、実施形態1の方法は、実路面から複数の路面片10を切り出すステップS1-1と、複数の路面片10を、表側を下にして平面上に並べるステップS1-2と、路面片10とパレット11との間に充填すべき接着剤の量を見積もるステップS1-3と、複数の路面片10を、表側を下にして平面上に並べた状態で互いに固定するステップS1-4と、固定された複数の路面片10をパレット11に固定するステップS1-5と、を有している。
【0016】
最初のステップS1-1では、既知の切断機により、テストコースや公道等の実路面から複数の路面片10が切り出される。実路面は、アスファルトコンクリート、すなわちアスファルトと骨材(砕石、砂利、砂)の混合物からなる。アスファルトコンクリートには様々な種類が存在するが、実路面に使用される一般的なものは、密粒度アスファルトコンクリート、すなわち粗骨材、細骨材、フィラー及びアスファルトの混合物で、合成粒度における2.5mmふるい通過量が35~50%のものである。
【0017】
切り出された路面片10は、屋内の卓上加工機で所定の寸法に仕上げられる。仕上がった路面片10は、平面視で(すなわち上から見て)長方形であり、図3に示すように複数個(図3の場合は3個)並べた状態でパレット11にほぼ隙間無く収めることのできる大きさである。路面片10の平面視での一辺の長さは例えば400~500mmである。また、路面片10の厚みはパレット11の深さ(すなわち後述する側壁16の高さ)より小さく、例えば25~35mmである。路面片10の表側の面(以下「表面」)12には、多数の骨材により図4等に示すように凹凸が形成されている。
【0018】
次のステップS1-2では、まず、凹凸のない水平な床上に樹脂シート13が敷かれる。樹脂シート13の代わりに、床を汚すことを防止でき凹凸の出来ない物が使用されても良い。樹脂シート13の上面は平面である。次に、樹脂シート13の上面及び路面片10の表面12にフッ素系やシリコン系の離型剤(図示省略)が塗布される。次に、図4に示すように、樹脂シート13の上に、切り出された複数の路面片10が、表面12を下にして並べられる。このとき、隣接する路面片10の間に隙間が生じないように、路面片10同士が密着して並べられる。複数の路面片10が表面12を下にして平面上に並べられることにより、隣接する路面片10の間に段差がなくなる。
【0019】
次のステップS1-3では、まず、ステップS1-2で並べられた全ての路面片10の上(路面片10の裏面が上になっている)に、それぞれ、図5に示すように形状記憶物体としての粘土14が配置される。粘土14としては、土粘土、油粘土、紙粘土、小麦粘土、シリコン粘土等が使用可能であるが、特にシリコン粘土が適している。なお、粘土14の代わりに、力が加わると変形し、変形後の形状が維持される性質のある別の物体も使用可能である。
【0020】
次に、粘土14の上からパレット11が被せられ、粘土14が押し潰される。ここで、パレット11について図6に基づき説明する。パレット11は、平面視で長方形の底板15と、底板15の四辺から底板15に対して垂直に立ち上がった4つの側壁16とを有する、箱形の部材である。4つの側壁16の縁部17によって長方形の開口部が形成されている。また、4つの側壁16の縁部17から開口部の外側に向かってフランジ18が形成されている。フランジ18の全体が底板15に平行である。
【0021】
側壁16の高さ(すなわち底板15に垂直な方向の長さ)は、路面片10の厚みよりも長い。また、底板15及び開口部の形状及び大きさは、一列に並べられた複数の路面片10が形成する長方形とほぼ同じ形状及び大きさである。そして、一列に並べられた複数の路面片10がパレット11の内部に収容可能である。
【0022】
このようなパレット11が、開口部を下に、底板15を上にして、路面片10及び粘土14に上から被せられる。そして、パレット11のフランジ18の全体が床上の樹脂シート13に密着するまで、パレット11が上から押される。すると、図7に示すように、路面片10の上の粘土14がパレット11の底板15によって押し潰される。なおこのとき、パレット11の側壁16と路面片10との間には僅かな(例えば水平方向に5mm以下の)隙間が形成される。
【0023】
次に、路面片10及び粘土14からパレット11が取り外される。パレット11が取り外されても、粘土14の形状は押し潰された時のまま維持されている。次に、形状が維持されている粘土14の厚み(すなわち床に垂直な方向の長さ)が測定される。ここで、粘土14の場所により厚みにばらつきが生じる場合があるので、1つの粘土14につき複数箇所(例えば縦3×横3の9箇所)で厚みが測定され、その平均値がその粘土14の厚みとされることが好ましい。厚みが測定される前又は後に、粘土14が路面片10から取り除かれる。
【0024】
次に、ステップS1-4においてパレット11の底板15と複数の路面片10との間に充填されるべき接着剤の量が計算される。具体的には、接着剤の量Vが、次の式により計算される。
【0025】
【数1】
【0026】
ここで、iはパレット11に収容される路面片10の数、Lはそれぞれの路面片10の上の粘土14の厚み、Sは路面片10の平面視での面積である。ここでは全ての路面片10において面積Sが同じこととしたが、路面片10毎に面積が異なる場合は数1の式におけるSをSと書き換えれば良い。
【0027】
このようにして路面片10とパレット11との間に充填すべき接着剤の量Vが求まると、ステップS1-3が終了する。
【0028】
次のステップS1-4では、樹脂シート13の上に複数の路面片10が並べられた状態が保たれたまま、図8及び図9に示すようにそれらの路面片10が4枚の板状の枠19で横から囲まれる。枠19の内側の面積は、パレット11の底板15の面積とほぼ同じである。また、枠19の高さは、パレット11の側壁16の高さよりも高い。枠19が動かないように、枠19の外側に重り22が置かれる。
【0029】
次に、図10に示すように、枠19の内側かつ路面片10の上の場所に、接着剤20が充填される。このとき、ステップS1-3で求まった量Vの接着剤20が充填される。
【0030】
接着剤20としては、二液混合型のエポキシ樹脂系のものが好ましいが、他にも、二液混合型のポリウレタン樹脂系又はポリエステル樹脂系のものや、湿気硬化型かつ一液型のポリウレタン樹脂系のものも使用可能である。また、接着剤20は、固まったときに、引張せん断接着強さ(JIS K 6850に準拠し測定)が20N/mm以上、ショア硬さ(JIS Z 2246に準拠し測定)がD硬度で60以上となるものが好ましい。このような数値の接着剤20であれば、荷重が負荷されても凹まない。また、接着剤20は、固まるのに数十分以上(例えば30~60分)要するものが好ましい。
【0031】
枠19の内側に接着剤20が充填されて少し時間が経過すると、枠19が取り外されても接着剤20が垂れない程度に、接着剤20が固まる。これにより、複数の路面片10が、表面12を下にして平面上に並べられた状態で、互いに固定されたこととなる。
【0032】
次のステップS1-5では、まず、図11に示すように、接着剤20により互いに固定された路面片10から、枠19が取り外される。この時点で、接着剤20の層は、垂れない程度に固まっているが完全には固まりきっていない。次に、接着剤20の層や路面片10の側面に、若干量の接着剤20が追加で塗布される。この追加で塗布される接着剤20は、路面片10の側面とパレット11の側壁16との間の隙間を埋めたり、接着剤20の層をパレット11により強固に接着したりする目的で、塗布される。
【0033】
次に、パレット11が、開口部を下に、底板15を上にして、路面片10及び接着剤20の層に上から被せられる。そして、図12に示すように、パレット11のフランジ18の全体が床上の樹脂シート13に密着するまで、パレット11が上から押される。これにより、フランジ18と路面片10の表面12とが面一となり、また、底板15と路面片10の表面12とが平行になる。さらに、パレット11の上に重り21が載せられる。その状態で、接着剤20が完全に固まるまで放置される。接着剤20が完全に固まると、複数の路面片10がパレット11に完全に固定される。
【0034】
このようにしてステップS1-5が完了することにより、試験路面2が完成する。複数の路面片10がパレット11に完全に固定されると、パレット11が反転され、図13に示すように路面片10の表面12が上側とされ、パレット11ごと台上試験機1に取り付けられる。
【0035】
以上の実施形態1の効果について説明する。
【0036】
実施形態1では、実路面から切り出した複数の路面片10がつながって試験路面2が形成されるので、この試験路面2上での試験により、実路面と同じ路面条件での試験を行うことができる。
【0037】
この試験路面2の作成にあたり、複数の路面片10が表側を下にして平面上に並べられ、その状態で互いに固定されるので、路面片10の表面12が1つの平面になって固定され、路面片10のつなぎ目に段差ができにくい。そのため、ゴム部材3が段差で引っかかることがなく、実路面と同じ路面条件での試験を精度良く行うことができる。
【0038】
また、複数の路面片10が表側を下にして平面上に並べられた後、路面片10の上に粘土14が配置され、その上からパレット11がその開口部を下にして被せられ、パレット11の底板15で粘土14が押されて変形する。その粘土14の厚みは路面片10と底板15との間隔に相当するので、その粘土14の厚みに基づき、路面片10と底板15との間に充填されるべき接着剤20の量を見積もることができる。その見積もられた量の接着剤20が路面片10と底板15との間に充填され、複数の路面片10が互いに固定されると共にパレット11にも固定されるので、簡単かつ確実につなぎ目に段差のない試験路面2を作成することができる。
【0039】
また、実施形態1の方法によれば、パレット11の大きさ及び路面片10の数を変更することにより、様々な大きさの試験路面2が作成可能である。
【0040】
実施形態1に対し、様々な変更を行うことができる。
【0041】
例えば、パレット11に収容される全ての路面片10の上に粘土14が配置された場合において、それらのうち1つの粘土14のみについて厚みLが測定され、充填される接着剤の量Vが次の式により計算されても良い。
【0042】
【数2】
【0043】
ここでS’はパレット11の底板15の面積である。
【0044】
また、パレット11に収容される複数の路面片10のうちの1つのみに対して粘土14が配置され、その厚みLに基づき数2の式で接着剤の量Vが計算されても良い。
【0045】
また、上記のように1つの粘土14につき複数箇所(m箇所とする)で厚みが測定される場合、充填される接着剤の量Vが次の式により計算されても良い。
【0046】
【数3】
【0047】
ここで、iはパレット11に収容される路面片10の数、Lはそれぞれの測定箇所での粘土14の厚み、Sは1つの路面片10の平面視での面積である。
【0048】
2.実施形態2
実施形態2の方法は、試験路面2の別の作成方法である。
【0049】
図14に示すように、実施形態2の方法は、実路面から複数の路面片10を切り出すステップS2-1と、複数の路面片10を、表側を下にして平面上に並べるステップS2-2と、複数の路面片10を、表側を下にして平面上に並べた状態で板状部材に接着することにより、互いに固定するステップS2-3と、板状部材をパレット11に固定するステップS2-4と、を有している。
【0050】
ステップS2-1では、実施形態1のステップS1-1と同様に、実路面から複数の路面片10が切り出される。また、ステップS2-2では、実施形態1のステップS1-2と同様に、複数の路面片10が、表面12を下にして平面上に並べられる。
【0051】
次のステップS2-3では、まず、複数の路面片10の裏面の上に、接着剤20が塗布される。次に、図15に示すように、塗布された接着剤20の上に、板状部材30が載せられる。板状部材30は平面視で長方形で、その大きさはパレット11に収まる大きさ、例えば底板15より僅かに小さい大きさである。板状部材30の片面には取り付け部としてのネジ穴31が開いている。板状部材30において、ネジ穴31のある面を裏面、その反対の面を表面とする。
【0052】
このような板状部材30が、ネジ穴31の無い表面を下にして、接着剤20の上に水平に載せられ、そのまま維持される。ここで、板状部材30を水平に維持するために、保持機構や治具等が使用されても良い。板状部材30が所定時間維持されると、接着剤20が固まり、複数の路面片10が板状部材30に固着される。
【0053】
次のステップS2-4では、複数の路面片10が固着された板状部材30が、パレット11に収容される。このとき、図16に示すように、板状部材30の裏面がパレット11の底板15に接触し、複数の路面片10の表面12がパレット11の開口部に現れる向きで、板状部材30がパレット11に収容される。
【0054】
パレット11の底板15には取り付け部としての貫通孔32が形成されている。この貫通孔32と板状部材30のネジ穴31とは板状部材30に表裏方向へ一致している。この貫通孔32及びネジ穴31に取り付け具としてのネジ33が通されることにより、板状部材30がパレット11に取り付けられ、試験路面2が完成する。
【0055】
以上のように、実施形態2では、複数の路面片10が表面12を下にして並べられた状態で板状部材30に接着されることにより互いに固定されるので、路面片10のつなぎ目に段差が生じにくい。また、複数の路面片10が固定された板状部材30がパレット11にネジ33で取り付けられるので、複数の路面片10及び板状部材30がパレット11に対して着脱容易であり、メンテナンス性が良好である。また、板状部材30の厚みを変更することにより、路面片10の高さを調整することができる。
【符号の説明】
【0056】
1…台上試験機、2…試験路面、3…ゴム部材、4…ホルダー、5…荷重装置、6…駆動装置、7…制御装置、10…路面片、11…パレット、12…表面、13…樹脂シート、14…粘土、15…底板、16…側壁、17…縁部、18…フランジ、19…枠、20…接着剤、21…重り、22…重り、30…板状部材、31…ネジ穴、32…貫通孔、33…ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16