(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 61/00 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A01D61/00 301F
(21)【出願番号】P 2020215628
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】山内 一樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 太
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-343325(JP,A)
【文献】実開昭63-145423(JP,U)
【文献】特開2002-360040(JP,A)
【文献】米国特許第04627226(US,A)
【文献】特開2006-006320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00-61/04
A01D 67/00-69/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、
刈取穀稈の穂先側部分を前記脱穀装置に向けて係止搬送する穂先搬送装置と、を備え、
前記穂先搬送装置は、無端回動チェーンと、前記無端回動チェーンに取り付けられ、刈取穀稈の穂先側部分に係止する複数の爪と、刈取穀稈を前記無端回動チェーン側に案内するガイド部材と、を有しているコンバインであって、
前記ガイド部材を支持する支持フレームを備え、
前記支持フレームは、平面視において、前記穂先搬送装置の搬送方向に交差する方向で前記ガイド部材に対して前記無端回動チェーンとは反対側から前記ガイド部材に向けて延びており、
前記穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈
のうち前記無端回動チェーンと前記ガイド部材との間から外側にはみ出した刈取穀稈の穂先側が前記支持フレームに接触するのを回避するための回避手段を備
え、
前記回避手段として、前記支持フレームが上方を迂回するように前記ガイド部材から上方に向けて延びている部分を備えているコンバイン。
【請求項2】
前記回避手段として、前記支持フレームが上方に迂回することによって形成された曲げ部を備えている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記曲げ部は、前記ガイド部材から上方に向けて延びる第一縦部分と、前記第一縦部分の上端部から前記無端回動チェーンとは反対側の横方に向けて延びる横部分と、前記横部分のうち前記第一縦部分とは反対側の端部から下方に向けて延びる第二縦部分と、を有している請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記回避手段として、前記支持フレームから前記ガイド部材に沿って前記穂先搬送装置の搬送方向上流側に向けて延びる縦壁を備えている請求項2又は3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記回避手段として、前記支持フレームから前記ガイド部材に沿って前記穂先搬送装置の搬送方向上流側に向けて延びる縦壁を備え、
前記曲げ部は、前記ガイド部材から上方に向けて延びる第一縦部分と、前記第一縦部分の上端部から前記無端回動チェーンとは反対側の横方に向けて延びる横部分と、前記横部分のうち前記第一縦部分とは反対側の端部から下方に向けて延びる第二縦部分と、を有している請求項2に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記曲げ部において、上側の横幅は、下側の横幅の半分以上の幅を有している請求項
3又は5に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバインとして、例えば、特許文献1に記載のコンバインが知られている。特許文献1に記載のコンバインには、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置(文献では「脱穀装置〔4〕」)と、刈取穀稈の穂先側部分を脱穀装置に向けて係止搬送する穂先搬送装置(文献では「穂先係止搬送部〔34〕」)と、が備えられている。穂先搬送装置には、無端回動チェーン(文献では「無端回動チェーン〔34a〕」)と、無端回動チェーンに取り付けられ、刈取穀稈の穂先側部分に係止する複数の爪(文献では「係止搬送爪〔34b〕」)と、刈取穀稈を無端回動チェーン側に案内するガイド部材(文献では「穂先搬送ガイド〔35〕、係止搬送ガイドレール〔41〕」)と、が備えられている。特許文献1に記載のコンバインには、ガイド部材を支持する支持フレーム(文献では「先端側部分〔45e〕」)が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンバインでは、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が支持フレームに引っ掛かることがある。そして、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が支持フレームに引っ掛かると、穀粒が損失することが懸念される。
【0005】
上記状況に鑑み、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が支持フレームに引っ掛かり難いコンバインが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置と、刈取穀稈の穂先側部分を前記脱穀装置に向けて係止搬送する穂先搬送装置と、を備え、前記穂先搬送装置は、無端回動チェーンと、前記無端回動チェーンに取り付けられ、刈取穀稈の穂先側部分に係止する複数の爪と、刈取穀稈を前記無端回動チェーン側に案内するガイド部材と、を有しているコンバインであって、前記ガイド部材を支持する支持フレームを備え、前記支持フレームは、平面視において、前記穂先搬送装置の搬送方向に交差する方向で前記ガイド部材に対して前記無端回動チェーンとは反対側から前記ガイド部材に向けて延びており、前記穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈のうち前記無端回動チェーンと前記ガイド部材との間から外側にはみ出した刈取穀稈の穂先側が前記支持フレームに接触するのを回避するための回避手段を備え、前記回避手段として、前記支持フレームが上方を迂回するように前記ガイド部材から上方に向けて延びている部分を備えていることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈が支持フレームに接触しようとしても、回避手段によって回避されることになる。したがって、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が支持フレームに引っ掛かり難い。これにより、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が支持フレームに引っ掛かることに起因して、穀粒が損失するのを低減することができる。
【0008】
さらに、本発明において、前記回避手段として、前記支持フレームが上方に迂回することによって形成された曲げ部を備えていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、仮に、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が無端回動チェーンとガイド部材との間から外側にはみ出しても、当該刈取穀稈の穂先側部分が曲げ部による空間を通過することになる。これにより、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が無端回動チェーンとガイド部材との間から外側にはみ出しても、当該刈取穀稈の穂先側部分が支持フレームに引っ掛かり難い。
【0010】
さらに、本発明において、前記曲げ部は、前記ガイド部材から上方に向けて延びる第一縦部分と、前記第一縦部分の上端部から前記無端回動チェーンとは反対側の横方に向けて延びる横部分と、前記横部分のうち前記第一縦部分とは反対側の端部から下方に向けて延びる第二縦部分と、を有していると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、曲げ部が略逆U字形状に形成されていることになる。これにより、曲げ部を簡単に設けることができる。
【0012】
さらに、本発明において、前記回避手段として、前記支持フレームから前記ガイド部材に沿って前記穂先搬送装置の搬送方向上流側に向けて延びる縦壁を備えていると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が縦壁によって案内されることになる。これにより、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が支持フレームに引っ掛かり難い。
【0014】
さらに、本発明において、前記回避手段として、前記支持フレームから前記ガイド部材に沿って前記穂先搬送装置の搬送方向上流側に向けて延びる縦壁を備え、前記曲げ部は、前記ガイド部材から上方に向けて延びる第一縦部分と、前記第一縦部分の上端部から前記無端回動チェーンとは反対側の横方に向けて延びる横部分と、前記横部分のうち前記第一縦部分とは反対側の端部から下方に向けて延びる第二縦部分と、を有していると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、曲げ部が略逆U字形状に形成されていることになる。これにより、曲げ部を簡単に設けることができる。また、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が縦壁によって案内されることになる。これにより、穂先搬送装置による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が支持フレームに引っ掛かり難い。
【0016】
さらに、本発明において、前記曲げ部において、上側の横幅は、下側の横幅の半分以上の幅を有していると好適である。
【0017】
本特徴構成によれば、曲げ部における上側の横幅が比較的幅広に構成されていることになる。これにより、曲げ部による空間を通過する刈取穀稈の穂先側部分の量が多くても、当該刈取穀稈の穂先側部分が支持フレームに引っ掛かり難い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】搬送部及び脱穀装置の前部を示す斜視図である。
【
図4】搬送部及び脱穀装置の前部を示す左側面図である。
【
図5】右穂先搬送装置及び脱穀装置を示す正面図である。
【
図6】搬送部及び脱穀装置の前部を示す平面図である。
【
図8】
図6におけるVIII-VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、矢印Lの方向を「機体左側」、矢印Rの方向を「機体右側」とする。
【0020】
〔コンバインの全体構成〕
図1には、自脱型コンバイン(本発明に係る「コンバイン」に相当)を示している。
図1に示すように、本コンバインには、走行機体1が備えられている。走行機体1には、クローラ走行装置2と、クローラ走行装置2に支持される機体フレーム3と、が備えられている。走行機体1の前方には、植立穀稈を刈り取る刈取部4が設けられている。走行機体1の前部における右側部分には、運転者が搭乗する運転キャビン5が設けられている。
【0021】
刈取部4の後方には、刈取部4からの刈取穀稈を脱穀処理する脱穀装置6が設けられている。脱穀装置6の右隣には、脱穀処理後の穀粒を貯留する穀粒貯留タンク7が設けられている。穀粒貯留タンク7には、穀粒貯留タンク7内の穀粒を排出する穀粒排出装置8が接続されている。
【0022】
脱穀装置6には、機体前後方向に沿って延びる回転軸心Y1周りで回転可能な扱胴10が備えられている。扱胴10には、略円筒形状の胴体部10Aと、胴体部10Aの外周部に取り付けられる多数の扱歯10Bと、が備えられている。脱穀装置6の前面部には、刈取部4からの刈取穀稈が導入される穀稈入口6Aが形成されている。
【0023】
脱穀装置6の横方(左方)には、フィードチェーン9が設けられている。フィードチェーン9は、刈取穀稈の穂先側部分が脱穀装置6の内部を通過する状態で刈取穀稈の株元側部分を挟持して刈取穀稈を機体後方に向けて搬送するように構成されている。フィードチェーン9によって刈取穀稈の穂先側部分が脱穀装置6の内部を通過する状態で刈取穀稈の株元側部分が挟持されて刈取穀稈が機体後方に向けて搬送されることにより、脱穀装置6の内部において、刈取穀稈の穂先側部分が扱胴10によって扱ぎ処理されることになる。
【0024】
〔刈取部〕
図1及び
図2に示すように、刈取部4は、複数刈り仕様(本実施形態では、七条刈り仕様)に構成されている。刈取部4には、植立穀稈を分草する複数(本実施形態では、八つ)の分草具12と、植立穀稈を引き起こす複数(本実施形態では、7つ)の引き起こし装置13と、植立穀稈の株元を掻き込む複数(本実施形態では、7つ)の掻き込みベルト14と、植立穀稈を切断する刈刃装置15と、刈取穀稈の株元を掻き込む複数(本実施形態では、7つ)の掻き込みパッカ16と、刈取穀稈を機体後方に向けて搬送する搬送部17と、が備えられている。
【0025】
このような構成によれば、圃場の植立穀稈が分草具12によって分草され、分草具12によって分草された植立穀稈が引き起こし装置13によって引き起こされることになる。
そして、引き起こし装置13によって引き起こされた植立穀稈が掻き込みベルト14によって掻き込まれ、掻き込みベルト14によって掻き込まれた植立穀稈が刈刃装置15によって切断されることになる。そして、刈刃装置15によって切断された刈取穀稈が掻き込みパッカ16によって掻き込まれ、掻き込みパッカ16によって掻き込まれた刈取穀稈が搬送部17によって機体後方に向けて搬送されることになる。
【0026】
〔搬送部〕
図2に示すように、搬送部17には、左搬送装置18と、中搬送装置19と、右搬送装置20と、扱深さ搬送装置21と、供給搬送装置22と、補助搬送装置23と、が備えられている。
【0027】
左搬送装置18は、七条のうち左側二条の刈取穀稈を搬送するように構成されている。
左搬送装置18には、刈取穀稈の株元側部分を挟持搬送する左株元搬送装置24と、刈取穀稈の穂先側部分を係止搬送する左穂先搬送装置25と、が備えられている。
【0028】
中搬送装置19は、七条のうち中央側三条の刈取穀稈を搬送するように構成されている。中搬送装置19には、中左搬送装置26と、中右搬送装置27と、が備えられている。
【0029】
中左搬送装置26は、中央側三条のうち左側一条の刈取穀稈を搬送するように構成されている。中左搬送装置26には、刈取穀稈の株元側部分を挟持搬送する中左株元搬送装置28と、刈取穀稈の穂先側部分を係止搬送する中左穂先搬送装置29と、が備えられている。
【0030】
中右搬送装置27は、中央側三条のうち右側二条の刈取穀稈を搬送するように構成されている。中右搬送装置27には、刈取穀稈の株元側部分を挟持搬送する中右株元搬送装置30と、刈取穀稈の穂先側部分を係止搬送する中右穂先搬送装置31と、が備えられている。
【0031】
右搬送装置20は、七条のうち右側二条の刈取穀稈を搬送するように構成されている。
右搬送装置20には、刈取穀稈の株元側部分を挟持搬送する右株元搬送装置32と、刈取穀稈の穂先側部分を係止搬送する右穂先搬送装置33(本発明に係る「穂先搬送装置」に相当)と、が備えられている。
【0032】
扱深さ搬送装置21は、左株元搬送装置24、中左株元搬送装置28、中右株元搬送装置30及び右株元搬送装置32から刈取穀稈の株元側部分を受け継いで挟持搬送するように構成されている。扱深さ搬送装置21は、前支点で上下揺動可能に構成されている。扱深さ搬送装置21を上下揺動させることにより、扱深さを調節することができる。
【0033】
供給搬送装置22は、扱深さ搬送装置21から刈取穀稈の株元側部分を受け継いで挟持搬送するように構成されている。供給搬送装置22には、供給チェーン34と、供給チェーン34に対向する状態で設けられ、刈取穀稈を供給チェーン34側に案内する供給ガイド35と、が備えられている。供給ガイド35等を支持する供給フレーム43が設けられている。補助搬送装置23は、供給搬送装置22から刈取穀稈の株元側部分を受け継いで挟持搬送するように構成されている。
【0034】
このような構成によれば、左穂先搬送装置25によって係止搬送された二条分の刈取穀稈の穂先側部分、中左穂先搬送装置29によって係止搬送された一条分の刈取穀稈の穂先側部分、中右穂先搬送装置31によって係止搬送された二条分の刈取穀稈の穂先側部分及び右穂先搬送装置33によって係止搬送された二条分の刈取穀稈の穂先側部分が合流し、当該合流した刈取穀稈の穂先側部分(七条分の刈取穀稈の穂先側部分)が右穂先搬送装置33によって係止搬送されて脱穀装置6の穀稈入口6Aに導入されることになる。
【0035】
また、左株元搬送装置24によって挟持搬送された二条分の刈取穀稈の株元側部分、中左株元搬送装置28によって挟持搬送された一条分の刈取穀稈の株元側部分、中右株元搬送装置30によって挟持搬送された二条分の刈取穀稈の株元側部分及び右株元搬送装置32によって挟持搬送された二条分の刈取穀稈の株元側部分が合流し、当該合流した刈取穀稈の株元側部分(七条分の刈取穀稈の株元側部分)が扱深さ搬送装置21及び供給搬送装置22によって挟持搬送されることになる。そして、供給搬送装置22からの刈取穀稈の株元側部分が補助搬送装置23によってフィードチェーン9に受け渡されることになる。
【0036】
〔右穂先搬送装置〕
図2から
図6に示すように、右穂先搬送装置33には、右穂先チェーン36(本発明に係る「無端回動チェーン」に相当)と、右穂先チェーン36に取り付けられ、刈取穀稈の穂先側部分に係止する複数の爪37と、刈取穀稈を右穂先チェーン36側に案内する右穂先ガイド38と、刈取穀稈の穂先側部分が通過する通過経路Prを構成するガイド部材39と、が備えられている。右穂先ガイド38には、刈取穀稈の穂先側部分の上部を案内する上穂先ガイド40(本発明に係る「ガイド部材」に相当)と、刈取穀稈の穂先側部分の下部を案内する下穂先ガイド41と、が備えられている。上穂先ガイド40及び下穂先ガイド41は、何れも棒状(丸棒状)の部材によって構成されている。
【0037】
上穂先ガイド40の前端部及び下穂先ガイド41の前端部は、夫々、左穂先搬送装置25側に支持されている。上穂先ガイド40の前端部には、左穂先搬送装置25側に支持される支持部40aが形成されている。下穂先ガイド41の前端部には、左穂先搬送装置25側に支持される支持部41aが形成されている。
【0038】
下穂先ガイド41は、下ステー42を介してステー44に支持されている。下ステー42は、ステー44を介して供給フレーム43に支持されている。
【0039】
〔支持フレーム〕
図3から
図7に示すように、上穂先ガイド40を支持する支持フレーム45が設けられている。上穂先ガイド40は、支持フレーム45を介してステー44に支持されている。
支持フレーム45は、ステー44を介して供給フレーム43に支持されている。支持フレーム45は、下ステー42と共にステー44にボルト固定(共締め固定)されている。
【0040】
支持フレーム45は、平面視において、右穂先搬送装置33の搬送方向に交差する方向で上穂先ガイド40に対して右穂先チェーン36とは反対側から上穂先ガイド40に向けて延びている。支持フレーム45には、右縦部46(本発明に係る「第一縦部分」に相当)と、上横部47(本発明に係る「横部分」に相当)と、左縦部48(本発明に係る「第二縦部分」に相当)と、下横部49と、が備えられている。
【0041】
支持フレーム45において、右縦部46と上横部47と左縦部48とによって曲げ部50が形成されている。すなわち、右穂先搬送装置33による搬送中の刈取穀稈が支持フレーム45に接触するのを回避するための回避手段Mとして、曲げ部50が備えられている。曲げ部50は、支持フレーム45が上方に迂回することによって形成されている。言い換えると、曲げ部50は、略逆U字形状に形成されている。
【0042】
右縦部46は、上穂先ガイド40から上方に向けて延びている。上横部47は、右縦部46の上端部から右穂先チェーン36とは反対側の横方(左方)に向けて延びている。
【0043】
左縦部48は、上横部47のうち右縦部46とは反対側の端部(左端部)から下方に向けて延びている。左縦部48は、その中間部で折れ曲がる形状に形成されている。左縦部48は、右縦部46よりも下側まで延びている。左縦部48には、上側から順に、傾斜部48aと、平行部48bと、が備えられている。傾斜部48aは、下側ほど右縦部46から離間するように傾斜する形状に形成されている。平行部48bは、右縦部46に対して平行(又は略平行)に形成されている。
【0044】
下横部49は、左縦部48の下端部から右穂先チェーン36とは反対側の横方(左方)に向けて延びている。下横部49は、下ステー42と共にステー44にボルト固定(共締め固定)されている。
【0045】
図7には、曲げ部50において、上側の横幅をW1、下側の横幅をW2で示している。
曲げ部50において、上側の横幅W1は、下側の横幅W2よりも狭い幅を有している。具体的には、曲げ部50において、上側の横幅W1は、下側の横幅W2よりも狭い幅であって、下側の横幅W2の半分以上の幅を有している。
【0046】
図7に示すように、右穂先搬送装置33による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分は、通常、右穂先ガイド38と右穂先チェーン36との間を通過することになる(
図7における刈取穀稈の穂先側部分S1を参照)。ここで、仮に、右穂先搬送装置33による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が右穂先チェーン36と上穂先ガイド40との間から外側にはみ出しても(
図7における刈取穀稈の穂先側部分S2を参照)、当該刈取穀稈の穂先側部分S2が曲げ部50による空間を通過することになる。これにより、右穂先搬送装置33による搬送中の刈取穀稈の穂先側部分が右穂先チェーン36と上穂先ガイド40との間から外側にはみ出しても、当該刈取穀稈の穂先側部分S2が支持フレーム45に引っ掛かり難い。
このように、曲げ部50が回避手段Mとして機能することになる。
【0047】
〔縦壁〕
図3から
図6に示すように、支持フレーム45から上穂先ガイド40に沿って右穂先搬送装置33の搬送方向上流側に向けて延びる縦壁51が設けられている。すなわち、右穂先搬送装置33による搬送中の刈取穀稈が支持フレーム45に接触するのを回避するための回避手段Mとして、縦壁51が備えられている。縦壁51は、上穂先ガイド40の曲げ形状に沿って折れ曲がる形状に形成されている。縦壁51は、支持フレーム45から上穂先ガイド40の前端部(支持部40a)近傍まで右穂先搬送装置33の搬送方向上流側に向けて延びている。
【0048】
縦壁51には、右穂先搬送装置33の搬送方向下流側から順に、第一板面部51aと、第二板面部51bと、第三板面部51cと、が備えられている。第一板面部51aは、右縦部46の前縁部から右穂先搬送装置33の搬送方向上流側に向けて延びている。第二板面部51bは、第一板面部51aの前縁部から右穂先搬送装置33の搬送方向上流側に向けて延びている。第三板面部51cは、第二板面部51bの前縁部から右穂先搬送装置33の搬送方向上流側に向けて延びている。
【0049】
〔穀稈入口〕
図6及び
図8に示すように、脱穀装置6の穀稈入口6Aには、刈取穀稈を案内する入口ガイド板55が設けられている。入口ガイド板55は、脱穀装置6の穀稈入口6Aの下縁部に沿うように、正面視で略円弧形状に形成されている。入口ガイド板55の右端部には、刈取穀稈の穂先側先端部を案内する縦ガイド板56が設けられている。
【0050】
ガイド部材39の後端部には、後ガイド板57が取り付けられている。後ガイド板57は、可撓性を有する板状部材(例えば、ゴム板)によって構成されている。後ガイド板57は、ガイド部材39の後端部と入口ガイド板55とに亘って設けられている。
【0051】
脱穀装置6の前面には、指標Iを表示する表示部Dが設けられている。指標Iは、脱穀装置6の穀稈入口6Aにおける刈取穀稈の穂先側先端部の適正な導入位置を示す指標である。指標Iは、作業者が刈取穀稈の手扱ぎ作業を行う際の指標である。
【0052】
図8において、胴体部10Aの最下端を10a、回転軸心Y1周りにおける扱胴10の回転方向をAで示している。指標Iは、胴体部10Aの最下端10aよりも扱胴10の回転方向A下手側に配置されている。言い換えると、指標Iは、胴体部10Aの最下端10aよりも刈取穀稈の穂先側に配置されている。
【0053】
〔扱深さ制御〕
図4及び
図5に示すように、ガイド部材39の後部(詳しくは後述する第三ガイド部材60)の上方には、通過経路Prを通過する刈取穀稈の穂先側部分を検出する穂先センサ52が設けられている。穂先センサ52には、株元側穂先センサ52Aと、穂先側穂先センサ52Bと、が備えられている。
【0054】
本コンバインには、扱深さ搬送装置21の扱深さを調節する制御構成が備えられている。本制御構成には、扱深さ搬送装置21を上下揺動駆動する扱深さモータ53と、扱深さモータ53を制御する扱深さ制御装置54と、が備えられている。扱深さ制御装置54は、穂先センサ52の検出結果に基づいて、脱穀装置6の穀稈入口6Aに対する刈取穀稈の穂先側部分の導入長さを変更可能に構成されている。具体的には、扱深さ制御装置54は、刈取穀稈の穂先側先端部が指標Iに近付くように、扱深さモータ53を制御する。
【0055】
詳述すると、株元側穂先センサ52A及び穂先側穂先センサ52Bの両方が刈取穀稈の穂先側部分を検出した場合、扱深さ制御装置54は、扱深さ搬送装置21が浅扱ぎ側に揺動(下方に揺動)するように、扱深さモータ53を駆動させる。また、株元側穂先センサ52A及び穂先側穂先センサ52Bの両方が刈取穀稈の穂先側部分を検出していない場合、扱深さ制御装置54は、扱深さ搬送装置21が深扱ぎ側に揺動(上方に揺動)するように、扱深さモータ53を駆動させる。また、穂先側穂先センサ52Bが刈取穀稈の穂先側部分を検出せずに、株元側穂先センサ52Aが刈取穀稈の穂先側部分を検出した場合、扱深さ制御装置54は、扱深さモータ53を駆動させない(扱深さ搬送装置21を揺動させない)。
【0056】
〔ガイド部材〕
図3から
図8に示すように、ガイド部材39には、右穂先搬送装置33の搬送方向上流側から順に、第一ガイド部材58と、第二ガイド部材59と、第三ガイド部材60と、が備えられている。第一ガイド部材58の後端部と第二ガイド部材59の前端部とは、ボルト固定されている。第二ガイド部材59の後端部と第三ガイド部材60の前端部とは、ボルト固定されている。
【0057】
第三ガイド部材60には、底面部61と、手前側縦壁62と、奥側縦壁63と、が備えられている。
【0058】
底面部61の前部には、屈曲部61aが形成されている。底面部61の後端部には、後ガイド板57が取り付けられる取り付け部61bが設けられている。なお、
図7及び
図8に示すように、刈取穀稈の穂先側とは、「穂先側」の矢印で示す方向であり、刈取穀稈の株元側とは、「株元側」の矢印で示す方向である。
【0059】
奥側縦壁63は、手前側縦壁62よりも刈取穀稈の穂先側に位置し、底面部61のうち刈取穀稈の穂先側の端部に立設されている。奥側縦壁63は、平面視で一直線状に延びている。
【0060】
手前側縦壁62は、奥側縦壁63よりも刈取穀稈の株元側に位置し、底面部61のうち刈取穀稈の穂先側の端部に立設されている。手前側縦壁62は、奥側縦壁63よりも高い(底面部61からの高さが高い)壁によって構成されている。
【0061】
手前側縦壁62は、底面部61に対して着脱可能に構成されている。すなわち、手前側縦壁62は、位置変更可能に構成されている。手前側縦壁62は、底面部61における一の取り付け位置に着脱可能に取り付けられている。手前側縦壁62は、第一取り付け部64及び第二取り付け部65を介して底面部61に取り付けられ、かつ、第三取り付け部66を介して奥側縦壁63に取り付けられている。
【0062】
第一取り付け部64は、手前側縦壁62の前端部に設けられている。第一取り付け部64は、屈曲部61aに沿う形状に形成され、かつ、屈曲部61aに沿う状態で屈曲部61aにボルト固定されている。
【0063】
第二取り付け部65は、手前側縦壁62の前後中間部における下端部に設けられている。第二取り付け部65は、底面部61にボルト固定されている。
【0064】
第三取り付け部66は、手前側縦壁62の後端部に設けられている。第三取り付け部66は、奥側縦壁63にボルト固定されている。
【0065】
手前側縦壁62には、後側ほど奥側縦壁63から離間するように傾斜する第一傾斜部62Aと、第一傾斜部62Aの後端部に連続して設けられ、奥側縦壁63に対して平行(又は略平行)な平行部62Bと、平行部62Bの後端部に連続して設けられ、後側ほど奥側縦壁63から離間するように傾斜する第二傾斜部62Cと、が備えられている。
図6において、平行部62Bの延長線をL1で示している。延長線L1と脱穀装置6の前面との交点P1は、指標Iの近傍に位置している。すなわち、平行部62Bは、指標Iに向けて延びている。第二傾斜部62Cは、底面部61の後端部よりも後側に突出している。
【0066】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、回避手段Mとして、曲げ部50と、縦壁51と、が備えられている。しかし、回避手段Mとして、曲げ部50及び縦壁51のうち何れか一方のみが備えられていてもよい。
【0067】
(2)上記実施形態では、曲げ部50は、略逆U字形状に形成されている。しかし、曲げ部50は、回避手段Mとして機能するものであれば、逆U字形状に限定されるものではない。
【0068】
(3)上記実施形態では、曲げ部50において、上側の横幅W1は、下側の横幅W2よりも狭い幅であって、下側の横幅W2の半分以上の幅を有している。しかし、曲げ部50において、上側の横幅W1は、下側の横幅W2の半分よりも小さい幅を有していてもよい。あるいは、曲げ部50において、上側の横幅W1は、下側の横幅W2よりも広い幅を有していてもよい。
【0069】
(4)上記実施形態では、刈取部4は、七条刈り仕様に構成されている。しかし、刈取部4は、七条刈り仕様に限定されるものではない。例えば、刈取部4は、六条刈り仕様に構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、自脱型コンバインに利用可能である。
【符号の説明】
【0071】
6 脱穀装置
33 右穂先搬送装置(穂先搬送装置)
36 右穂先チェーン(無端回動チェーン)
37 爪
40 上穂先ガイド(ガイド部材)
45 支持フレーム
46 右縦部(第一縦部分)
47 上横部(横部分)
48 左縦部(第二縦部分)
50 曲げ部
51 縦壁
M 回避手段
W1 上側の横幅
W2 下側の横幅