(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】適応型高度組織治療パッドセーバモード
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A61B17/32 510
(21)【出願番号】P 2020546909
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(86)【国際出願番号】 US2019020304
(87)【国際公開番号】W WO2019173141
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-03-01
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】スコギンズ・パトリック・ジェイ
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/122306(WO,A1)
【文献】特表2015-513990(JP,A)
【文献】特許第6001225(JP,B1)
【文献】特表2017-520360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの温度設定値間で超音波ブレードの温度を制御する
装置の作動方法であって、
装置が、超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して前記超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加することと、
装置が、前記超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視することと、
装置が、電気機械的共振周波数と超音波ブレードの温度との間の関係モデルに基づいて、電気機械的共振周波数の変化としての前記位相角φ
から、前記超音波ブレードの前記温度を推定することと、
装置が、横切開プロセスが完了していると判定することと、
装置が、超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することと、
を含む
作動方法。
【請求項2】
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することが、前記超音波ブレード温度を前記第2の標的温度T2よりも高い第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することを含む、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項3】
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することが、前記超音波ブレード温度を血管封止のために最適化された第1の標的温度に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することを含む、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項4】
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度をクランプアームパッドの耐用期間のために最適化された第2の標的温度に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することを含む、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項5】
超音波ブレード温度をクランプアームパッドの耐用期間のために最適化された第2の標的温度に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度を325℃に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することを含む、請求項4に記載
作動の方法。
【請求項6】
横切開プロセスが完了していると判定することは、前記超音波ブレードがクランプアームパッドと接触していると判定することを含む、請求項1に記載の
作動方法。
【請求項7】
超音波導波管を介して超音波ブレードに連結された超音波トランスデューサを備える超音波電気機械システムと、
クランプアームパッドと、
前記超音波トランスデューサに電力を供給するように構成された発生器であって、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して前記超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加し、
前記超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視し、
電気機械的共振周波数と超音波ブレードの温度との間の関係モデルに基づいて、電気機械的共振周波数の変化としての前記位相角φ
から、前記超音波ブレードの前記温度を推定し、
横切開プロセスが完了していると判定し、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加する、
ように構成された制御回路を備える発生器と、
を備える超音波外科用器具。
【請求項8】
前記第1の標的温度T1が、前記第2の標的温度T2よりも高い、請求項7に記載の超音波外科用器具。
【請求項9】
前記第1の標的温度T1が、血管封止のために最適化される、請求項7に記載の超音波外科用器具。
【請求項10】
前記第2の標的温度T2が、クランプアームパッドの耐用期間のために最適化される、請求項7に記載の超音波外科用器具。
【請求項11】
前記第2の標的温度が、325℃である、請求項10に記載の超音波外科用器具。
【請求項12】
横切開プロセスが完了していると判定するように構成された前記制御回路は、前記超音波ブレードが前記クランプアームパッドと接触していると判定するための制御回路を含む、請求項7に記載の超音波外科用器具。
【請求項13】
超音波外科用器具用の発生器であって、
制御回路であって、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して前記超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加し、
前記超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視し、
電気機械的共振周波数と超音波ブレードの温度との間の関係モデルに基づいて、電気機械的共振周波数の変化としての前記位相角φ
から、前記超音波ブレードの前記温度を推定し、
横切開プロセスが完了していると判定し、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加する、
ように構成された制御回路を備える、発生器。
【請求項14】
前記第1の標的温度T1が、前記第2の標的温度T2よりも高い、請求項13に記載の発生器。
【請求項15】
前記第1の標的温度T1が、血管封止のために最適化される、請求項13に記載の発生器。
【請求項16】
前記第2の標的温度T2が、クランプアームパッドの耐用期間のために最適化される、請求項13に記載の発生器。
【請求項17】
前記第2の標的温度が325℃である、請求項16に記載の発生器。
【請求項18】
横切開プロセスが完了していると判定するように構成された前記制御回路は、前記超音波ブレード
がクランプアームパッドと接触していると判定するための制御回路を含む、請求項13に記載の発生器。
【請求項19】
プロセッサ及び非一過性メモリを備え、
前記非一過性メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して前記超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加させ、
前記超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視させ、
電気機械的共振周波数と超音波ブレードの温度との間の関係モデルに基づいて、電気機械的共振周波数の変化としての前記位相角φ
から、前記超音波ブレードの前記温度を推定させ、
横切開プロセスが完了していると判定させ、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加させる、
指示を含む、超音波外科用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年9月27日に出願された「ADAPTIVE ADVANCED TISSUE TREATMENT PAD SAVER MODE」と題する米国特許非仮出願第16/144,423号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TEMPERATURE CONTROL IN ULTRASONIC DEVICE AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日に出願された米国仮特許出願第62/640,417号、及び「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する2018年3月8日に出願された米国仮特許出願第62/640,415号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
外科環境では、スマートエネルギーアーキテクチャ環境内のスマートエネルギー装置が必要とされる場合がある。超音波メスなどの超音波外科用装置は、これらの固有の性能特性のために、外科処置においてますます広範な用途を見出されている。特定の装置構成及び動作パラメータにより、超音波外科用装置は組織の実質的に同時の横切開及び凝固による止血を提供することができ、望ましくは患者の外傷を最小化する。超音波外科用装置は、超音波トランスデューサを含むハンドピースと、組織を切断及び封止するために、遠位に取り付けられたエンドエフェクタ(例えば、ブレード先端部)を有する超音波トランスデューサに連結された器具とを含み得る。一部の場合では、器具は、ハンドピースに恒久的に取り付けることができる。他の場合では、使い捨て器具又は交換式器具の場合に当てはまるように、器具は、ハンドピースから取り外し可能であることができる。エンドエフェクタは、エンドエフェクタと接触する組織に超音波エネルギーを伝達し、切断及び封止作用を実現する。このような超音波外科用装置は、ロボット支援手術を含む、切開外科用途用、腹腔鏡手術用、又は内視鏡手術用に構成することができる。
【0004】
超音波エネルギーは、電気外科処置において使用されるものよりも低い温度を使用して組織を切断及び凝固し、ハンドピースと通信する超音波発生器によってエンドエフェクタに伝達され得る。超音波ブレードは、高周波(例えば、毎秒55,500サイクル)で振動して、組織中のタンパク質を変性させて粘着性の凝塊を形成する。ブレード表面によって組織に対して圧力をかけると血管が潰れ、凝塊が止血シールを形成することを可能にする。外科医は、エンドエフェクタが組織に印加する力、力を印加する時間、及び選択されるエンドエフェクタのエクスカーションレベルによって、切断速度及び凝固を制御することができる。
【0005】
超音波トランスデューサは、静電容量を有する第1ブランチと、共振器の電気機械特性を規定する、直列接続された、インダクタンス、抵抗、及び容量を有する第2「動作」ブランチとを含む等価の回路としてモデル化され得る。既知の超音波発生器は、発生器駆動信号電流の実質的に全部が動作ブランチ内に流れるように、ある共振周波数において静電容量をチューンアウトするための調整インダクタを含み得る。したがって、調整インダクタを使用することにより、発生器の駆動信号電流は、動作ブランチ電流を表し、したがって発生器はその駆動信号を制御して超音波トランスデューサの共振周波数を維持することができる。調整インダクタはまた、発生器の周波数固定能力を改善するために、超音波トランスデューサのインピーダンスの位相のプロットを変換することができる。しかしながら、調整インダクタは、動作共振周波数において、超音波トランスデューサの特定の静電容量と適合しなくてはならない。換言すると、異なる静電容量を有する異なる超音波トランスデューサは、異なる調整インダクタを必要とする。
【0006】
加えて、いくつかの超音波発生器構造において、発生器駆動信号は、インピーダンスの大きさ及び位相測定を複雑化する非対称高調波歪みを呈する。例えば、インピーダンスの位相測定値の正確性は、電流信号及び電圧信号の高調波歪みにより低減し得る。
【0007】
その上、ノイズの多い環境における電磁干渉が、超音波トランスデューサの共振周波数の固定を維持する発生器の能力を低減し、無効な制御アルゴリズム入力の可能性を増加させる。
【0008】
組織を処置かつ/又は破壊するために、組織に電気エネルギーを印加するための電気外科用装置はまた、外科手技において、ますます広範な用途が見出されている。電気外科用装置は、ハンドピースと、遠位側に取り付けられたエンドエフェクタ(例えば、1つ以上の電極)を有する器具とを含み得る。エンドエフェクタは、電流が組織内に導入されるように、組織に押し当てられて配置することができる。電気外科用装置は、双極又は単極動作用に構成することができる。双極動作中、電流はそれぞれ、エンドエフェクタの作動電極によって組織に導入され、エンドエフェクタの戻り電極によって組織から戻される。単極動作中、電流は、エンドエフェクタの作動電極によって組織に導入され、患者の体に別個に位置する戻り電極(例えば、接地パッド)を介して戻される。組織を流れる電流によって生成される熱は、組織内及び/又は組織間の止血封止を形成してもよく、したがって、例えば、血管を封止するために特に有用であってもよい。電気外科用装置のエンドエフェクタはまた、組織に対して可動である切断部材、及び組織を横切開するための電極を含み得る。
【0009】
電気外科用装置によって印加される電気エネルギーは、ハンドピースと通信する発生器によって器具へと伝達され得る。電気エネルギーは、高周波(RF)エネルギーの形態であってもよい。RFエネルギーは、EN60601-2-2:2009+A11:2011,Definition201.3.218-HIGH FREQUENCYで説明されているように、300kHz~1MHzの周波数範囲内であり得る電気エネルギーの形態である。例えば、単極RF用途における周波数は、典型的には、5MHz未満に制限される。しかしながら、双極RF用途においては、周波数は、ほぼどのような値であってもよい。200kHz超の周波数は、典型的には、低周波数の電流の使用から生じる神経及び筋肉の不必要な刺激を避けるために、単極用途に使用される。リスク分析が、神経筋刺激の可能性が許容可能なレベルにまで緩和されたと示す場合は、より低い周波数を双極技術に使用することができる。高周波数の漏洩電流に関連する問題を最小限に抑えるために、5MHz超の周波数は、通常使用されない。一般に、10mAが、組織への熱効果の下側閾値であると認識されている。
【0010】
その動作中に、電気外科用装置は組織を通して低い周波数のRFエネルギーを伝達することができ、これによってイオン性攪拌又は摩擦、つまりは抵抗加熱が引き起こされ、組織の温度が上昇する。処置される組織とその周囲組織との間にはっきりとした境界が形成され得るため、外科医は隣接する非対象組織を犠牲にすることなく、高レベルの精度及び制御で手術をすることができる。RFエネルギーの低い動作温度は、軟組織を除去、収縮、又は彫刻しつつ同時に血管を封止する上で有用であり得る。RFエネルギーは、主にコラーゲンから構成されて熱と接触すると収縮する結合組織に特によく作用し得る。
【0011】
超音波及び電気外科用装置は、それぞれ固有の駆動信号、感知、及びフィードバックを必要とするため、一般的に、互いに異なる発生器を必要とした。加えて、器具が使い捨てであるか又はそのハンドピースに関して互換可能である場合、超音波発生器及び電気外科用発生器は、使用される特定の器具構成を認識し、それによって制御及び診断プロセスを最適化するそれらの能力を制限される。更に、発生器の非絶縁回路と患者絶縁回路との間の容量結合は、特により高い電圧及び周波数が使用される場合において、患者を許容不可能なレベルの漏れ電流に曝露する結果となり得る。
【0012】
更に、超音波及び電気外科用装置は、それぞれ固有の駆動信号、感知、及びフィードバックを必要とするため、一般的に、互いに異なる発生器のために、互いに異なるユーザインターフェースを必要としてきた。こうした従来の超音波及び電気外科用装置では、1つのユーザインターフェースが超音波器具と共に使用するように構成され、一方で、別のユーザインターフェースが電気外科用器具と共に使用するように構成されている場合がある。こうしたユーザインターフェースとしては、手起動式スイッチ及び/又は足起動式スイッチなどの、手及び/又は足起動式ユーザインターフェースが挙げられる。超音波及び電気外科用器具の両方と共に使用するための組み合わせられた発生器の様々な態様が、後続の開示で想到されるため、超音波及び/又は電気外科用器具発生器の両方と共に動作するように構成された追加のユーザインターフェースもまた検討される。
【0013】
超音波及び/又は電気外科用器具のいずれかの動作モード又は状態を示すフィードバックを提供するために、ユーザ又はその他の機械のいずれかにフィードバックを提供するための追加のユーザインターフェースが、後続の開示内で検討される。超音波及び/又は電気外科用器具の組み合わせを操作するためのユーザ及び/又は機械フィードバックを提供することは、ユーザに感覚フィードバックを提供すること、及び機械に電気的/機械的/電気機械的フィードバックを提供することを必要とする。組み合わせられた超音波及び/又は電気外科用器具で使用するために、視覚フィードバック装置(例えば、LCDディスプレイスクリーン、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカ、ブザー)、又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚アクチュエータ)を組み込むフィードバック装置が、後続の開示内で検討される。
【0014】
他の電気外科用器具として、限定はしないが、とりわけ、不可逆性及び/若しくは可逆性電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波技術が挙げられる。したがって、本明細書で開示する技術は、とりわけ、超音波、双極若しくは単極のRF(電気外科的)、不可逆性及び/若しくは可逆性電気穿孔、並びに/又はマイクロ波に基づく外科用器具に適用可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
2つの温度設定値間の超音波ブレードの温度を制御する方法の一態様が、超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加することと、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視することと、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φに基づいて、超音波ブレードの温度を推定することと、横切開プロセスが完了していると判定することと、超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することと、を含み得る。
【0016】
本方法の一態様では、超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度を第2の標的温度T2よりも高い第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することを含む。
【0017】
本方法の一態様では、超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度を血管封止のために最適化された第1の標的温度に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することを含む。
【0018】
本方法の一態様では、超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度をクランプアームパッドの耐用期間のために最適化された第2の標的温度に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することを含む。
【0019】
本方法の一態様では、超音波ブレード温度をクランプアームパッドの耐用期間のために最適化された第2の標的温度に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度を325℃に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することを含む。
【0020】
本方法の一態様では、横切開プロセスが完了していると判定することが、超音波ブレードがクランプアームパッドと接触していると判定することを含む。
【0021】
超音波外科用器具の一態様は、超音波導波管を介して超音波ブレードに連結された超音波トランスデューサを有する超音波電気機械システムと、クランプアームパッドと、超音波トランスデューサに電力を供給するように構成された発生器と、を含み得る。発生器は、制御回路を更に含み得るが、その制御回路は、超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加し、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視し、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φに基づいて、超音波ブレードの温度を推定し、横切開プロセスが完了していると判定し、超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加する、ように構成されている。
【0022】
超音波外科用器具の一態様では、第1の標的温度T1が、第2の標的温度T2よりも高い。
【0023】
超音波外科用器具の一態様では、第1の標的温度T1が、血管封止のために最適化される。
【0024】
超音波外科用器具の一態様では、第2の標的温度T2が、クランプアームパッドの耐用期間のために最適化される。
【0025】
超音波外科用器具の一態様では、第2の標的温度が325℃である。
【0026】
超音波外科用器具の一態様では、横切開プロセスが完了していると判定するように構成された制御回路が、超音波ブレードがクランプアームパッドと接触していると判定する制御回路を含む。
【0027】
一態様では、超音波外科用器具用の発生器が、制御回路を備え得るが、その制御回路は、超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加し、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視し、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φに基づいて、超音波ブレードの温度を推定し、横切開プロセスが完了していると判定し、超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加する、ように構成されている。
【0028】
発生器の一態様では、第1の標的温度T1が、第2の標的温度T2よりも高い。
【0029】
発生器の一態様では、第1の標的温度T1が、血管封止のために最適化される。
【0030】
発生器の一態様では、第2の標的温度T2が、クランプアームパッドの耐用期間のために最適化される。
【0031】
発生器の一態様では、第2の標的温度が325℃である。
【0032】
発生器の一態様では、横切開プロセスが完了していると判定するように構成された制御回路が、超音波ブレードがクランプアームパッドと接触していると判定する制御回路を含み得る。
【0033】
超音波外科用システムの一態様は、プロセッサ及び非一過性メモリを含み得る。非一過性メモリが、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加させ、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視させ、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φに基づいて、超音波ブレードの温度を推定させ、横切開プロセスが完了していると判定させ、超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加させる、指示を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0034】
様々な態様の特徴が、添付された特許請求の範囲で詳細に説明される。ただし、機構、及び動作の方法の両方についての様々な態様は、それらの更なる目的及び利点と共に、以降の添付図面と併せて、以下の説明を参照することにより最もよく理解することができる。
【
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式通信ハブを備える外科用データネットワーク内で適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを実行するように構成されたシステムである。
【
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器の一例を示す。
【
図3】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器及び発生器と共に使用可能な様々な外科用器具を備える外科システムである。
【
図4】本開示の少なくとも1つの態様によるエンドエフェクタである。
【
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、
図3の外科システムの図である。
【
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、動作ブランチ電流を示すモデルである。
【
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器のアーキテクチャの構造図である。
【
図8A】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器のアーキテクチャの機能図である。
【
図8B】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器のアーキテクチャの機能図である。
【
図8C】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器のアーキテクチャの機能図である。
【
図9A】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器の構造的態様及び機能的態様である。
【
図9B】本開示の少なくとも1つの態様による、発生器の構造的態様及び機能的態様である。
【
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路を示す。
【
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組合せ論理回路を示す。
【
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
【
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具で使用するための電気信号波形のための複数の波形を生成するように構成された、直接デジタル合成(DDS)回路などのデジタル合成回路の基本的アーキテクチャの一態様を示す。
【
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具で使用するための電気信号波形の複数の波形を生成するように構成された直接デジタル合成(DDS)回路の一態様を示す。
【
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、アナログ波形の本開示の少なくとも1つの態様による、離散時間デジタル電気信号波形の1サイクル(比較目的のために離散時間デジタル電気信号波形に重ね合わされて示される)を示す。
【
図16】本開示の一態様による、制御システムの概略図である。
【
図17】本開示の1つの態様による、比例積分微分(PID)コントローラフィードバック制御システムを例示する図である。
【
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、超音波電気機械システムの周波数を制御し、そのインピーダンスを検出するための代替的システムである。
【
図19A】本開示の少なくとも1つの態様による、低温及び高温超音波ブレードを備える同じ超音波装置の複素インピーダンススペクトルである。低温(実線)及び高温(破線)超音波ブレードを備える同じ超音波装置の共振周波数の関数としてのインピーダンス位相角のグラフ図である。
【
図19B】本開示の少なくとも1つの態様による、低温及び高温超音波ブレードを備える同じ超音波装置の複素インピーダンススペクトルである。低温(実線)及び高温(破線)超音波ブレードを備える同じ超音波装置の共振周波数の関数としてのインピーダンスの大きさのグラフ図である。
【
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な周波数で測定された、超音波トランスデューサにわたるインピーダンスに基づいて、温度推定器及び状態空間モデルを改善するカルマンフィルタの図である。
【
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、推定を最大限に高めるために、
図20に示すカルマンフィルタの状態推定器によって用いられる3つの確率分布である。
【
図22A】490℃の最高温度に到達する温度制御を有しない超音波装置の温度対時間のグラフ図である。
【
図22B】本開示の少なくとも1つの態様による、温度制御が320℃の最高温度に到達する超音波装置の温度対時間のグラフ図である。
【
図23】本開示の少なくとも1つの態様による、初期周波数と、約340℃の温度を達成するために必要な周波数変化との間の関係のグラフ図である。
【
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、超音波トランスデューサの周波数(f)が所定の閾値よりも下がることを防ぐために超音波電気機械システムの超音波トランスデューサに印加される電流(i)設定値を調節する、超音波発生器を備えるフィードバック制御システムを示す。
【
図25】本開示の少なくとも1つの態様による、エンドエフェクタパッドを保護するための、制御された熱管理プロセスの制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
【
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、超音波ブレードの所望の温度を、スマート超音波ブレードの温度及び従来の超音波ブレードの温度と比較する、温度対時間のグラフ図である。
【
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、血管発射中の、時間の関数としての超音波ブレード温度のグラフ図である。
【
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、超音波ブレードの温度を2つの温度設定値間で制御するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本願の出願人は、同時に出願された以下の米国仮特許出願を所有しており、これらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる:
・「METHODS FOR CONTROLLING TEMPERATURE IN ULTRASONIC DEVICE」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8560USNP1/180106-1M、
・「ULTRASONIC SEALING ALGORITHM WITH TEMPERATURE CONTROL」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8560USNP3/180106-3、
・「APPLICATION OF SMART ULTRASONIC BLADE TECHNOLOGY」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8560USNP4/180106-4、
・「SMART BLADE TECHNOLOGY TO CONTROL BLADE INSTABILITY」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8560USNP6/180106-6、及び
・「START TEMPERATURE OF BLADE」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8560USNP7/180106-7。
【0036】
本願の出願人は、同時に出願された以下の米国仮特許出願を所有しており、これらの全内容は、参照により本明細書に組み込まれる:
・「METHODS FOR ESTIMATING AND CONTROLLING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP1/180107-1M、
・「IN-THE-JAW CLASSIFIER BASED ON MODEL」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP3/180107-3、
・「APPLICATION OF SMART BLADE TECHNOLOGY」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP4/180107-4、
・「SMART BLADE AND POWER PULSING」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号第END8536USNP5/180107-5、
・「ADJUSTMENT OF COMPLEX IMPEDANCE TO COMPENSATE FOR LOST POWER IN AN ARTICULATING ULTRASONIC DEVICE」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP6/180107-6、
・「USING SPECTROSCOPY TO DETERMINE DEVICE USE STATE IN COMBO INSTRUMENT」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP7/180107-7、
・「VESSEL SENSING FOR ADAPTIVE ADVANCED HEMOSTASIS」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP8/180107-8、
・「CALCIFIED VESSEL IDENTIFICATION」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP9/180107-9、
・「DETECTION OF LARGE VESSELS DURING PARENCHYMAL DISSECTION USING A SMART BLADE」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP10/180107-10、
・「SMART BLADE APPLICATION FOR REUSABLE AND DISPOSABLE DEVICES」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP11/180107-11、
・「LIVE TIME TISSUE CLASSIFICATION USING ELECTRICAL PARAMETERS」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP12/180107-12、及び
・「FINE DISSECTION MODE FOR TISSUE CLASSIFICATION」と題する米国特許仮出願、代理人整理番号END8536USNP13/180107-13。
【0037】
本願の出願人は、各開示の全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年9月10日出願の以下の米国特許出願を所有する:
・「AUTOMATED DATA SCALING,ALIGNMENT,AND ORGANIZING BASED ON PREDEFINED PARAMETERS WITHIN A SURGICAL NETWORK BEFORE TRANSMISSION」と題する米国特許仮出願第62/729,177号、
・「SENSING THE PATIENT POSITION AND CONTACT UTILIZING THE MONO-POLAR RETURN PAD ELECTRODE TO PROVIDE SITUATIONAL AWARENESS TO THE HUB」と題する米国特許仮出願第62/729,182号、
・「POWERED SURGICAL TOOL WITH A PREDEFINED ADJUSTABLE CONTROL ALGORITHM FOR CONTROLLING AT LEAST ONE END-EFFECTOR PARAMETER AND A MEANS FOR LIMITING THE ADJUSTMENT」と題する米国特許仮出願第62/729,184号、
・「SURGICAL NETWORK RECOMMENDATIONS FROM REAL TIME ANALYSIS OF PROCEDURE VARIABLES AGAINST A BASELINE HIGHLIGHTING DIFFERENCES FROM THE OPTIMAL SOLUTION」と題する米国特許仮出願第62/729,183号、
・「A CONTROL FOR A SURGICAL NETWORK OR SURGICAL NETWORK CONNECTED DEVICE THAT ADJUSTS ITS FUNCTION BASED ON A SENSED SITUATION OR USAGE」と題する米国特許仮出願第62/729,191号、
・「INDIRECT COMMAND AND CONTROL OF A FIRST OPERATING ROOM SYSTEM THROUGH THE USE OF A SECOND OPERATING ROOM SYSTEM WITHIN A STERILE FIELD WHERE THE SECOND OPERATING ROOM SYSTEM HAS PRIMARY AND SECONDARY OPERATING MODES」と題する米国特許仮出願第62/729,176号、
・「WIRELESS PAIRING OF A SURGICAL DEVICE WITH ANOTHER DEVICE WITHIN A STERILE SURGICAL FIELD BASED ON THE USAGE AND SITUATIONAL AWARENESS OF DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/729,186号、及び
・「POWERED STAPLING DEVICE THAT IS CAPABLE OF ADJUSTING FORCE,ADVANCEMENT SPEED,AND OVERALL STROKE OF CUTTING MEMBER OF THE DEVICE BASED ON SENSED PARAMETER OF FIRING OR CLAMPING」と題する米国特許仮出願第62/729,185号。
【0038】
本願の出願人は、各開示の全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月28日出願の以下の米国特許出願を所有する:
・「ESTIMATING STATE OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許出願第16/115,214号、
・「TEMPERATURE CONTROL OF ULTRASONIC END EFFECTOR AND CONTROL SYSTEM THEREFOR」と題する米国特許出願第16/115,205号、
・「RADIO FREQUENCY ENERGY DEVICE FOR DELIVERING COMBINED ELECTRICAL SIGNALS」と題する米国特許出願第16/115,233号、
・「CONTROLLING AN ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO TISSUE LOCATION」と題する米国特許出願第16/115,208号、
・「CONTROLLING ACTIVATION OF AN ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO THE PRESENCE OF TISSUE」と題する米国特許出願第16/115,220号、
・「DETERMINING TISSUE COMPOSITION VIA AN ULTRASONIC SYSTEM」と題する米国特許出願第16/115,232号、
・「DETERMINING THE STATE OF AN ULTRASONIC ELECTROMECHANICAL SYSTEM ACCORDING TO FREQUENCY SHIFT」と題する米国特許出願第16/115,239号、
・「DETERMINING THE STATE OF AN ULTRASONIC END EFFECTOR」と題する米国特許出願第16/115,247号、
・「SITUATIONAL AWARENESS OF ELECTROSURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第16/115,211号、
・「MECHANISMS FOR CONTROLLING DIFFERENT ELECTROMECHANICAL SYSTEMS OF AN ELECTROSURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第16/115,226号、
・「DETECTION OF END EFFECTOR EMERSION IN LIQUID」と題する米国特許出願第16/115,240号、
・「INTERRUPTION OF ENERGY DUE TO INADVERTENT CAPACITIVE COUPLING」と題する米国特許出願第16/115,249号、
・「INCREASING RADIO FREQUENCY TO CREATE PAD-LESS MONOPOLAR LOOP」と題する米国特許出願第16/115,256号、
・「BIPOLAR COMBINATION DEVICE THAT AUTOMATICALLY ADJUSTS PRESSURE BASED ON ENERGY MODALITY」と題する米国特許出願第16/115,223号、及び
・「ACTIVATION OF ENERGY DEVICES」と題する米国特許出願第16/115,238号。
【0039】
本願の出願人は、各開示の全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年8月23日出願の以下の米国特許出願を所有する:
・「CONTROLLING AN ULTRASONIC SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO TISSUE LOCATION」と題する米国仮特許出願第62/721,995号、
・「SITUATIONAL AWARENESS OF ELECTROSURGICAL SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第62/721,998号、
・「INTERRUPTION OF ENERGY DUE TO INADVERTENT CAPACITIVE COUPLING」と題する米国仮特許出願第62/721,999号、
・「BIPOLAR COMBINATION DEVICE THAT AUTOMATICALLY ADJUSTS PRESSURE BASED ON ENERGY MODALITY」と題する米国仮特許出願第62/721,994号、及び
・「RADIO FREQUENCY ENERGY DEVICE FOR DELIVERING COMBINED ELECTRICAL SIGNALS」と題する米国仮特許出願第62/721,996号。
【0040】
本願の出願人は、各開示の全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月30日出願の以下の米国特許出願を所有する:
・「SMART ACTIVATION OF AN ENERGY DEVICE BY ANOTHER DEVICE」と題する米国仮特許出願第62/692,747号、
・「SMART ENERGY ARCHITECTURE」と題する米国仮特許出願第62/692,748号、及び
・「SMART ENERGY DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/692,768号。
【0041】
本願の出願人は、各開示の全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月29日出願の以下の米国特許出願を所有する:
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する米国特許出願第16/024,090号、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する米国特許出願第16/024,057号、
・「SYSTEMS FOR ADJUSTING END EFFECTOR PARAMETERS BASED ON PERIOPERATIVE INFORMATION」と題する米国特許出願第16/024,067号、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する米国特許出願第16/024,075号、
・「SAFETY SYSTEMS FOR SMART POWERED SURGICAL STAPLING」と題する米国特許出願第16/024,083号、
・「SURGICAL SYSTEMS FOR DETECTING END EFFECTOR TISSUE DISTRIBUTION IRREGULARITIES」と題する米国特許出願第16/024,094号、
・「SYSTEMS FOR DETECTING PROXIMITY OF SURGICAL END EFFECTOR TO CANCEROUS TISSUE」と題する米国特許出願第16/024,138号、
・「SURGICAL INSTRUMENT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLIES」と題する米国特許出願第16/024,150号、
・「VARIABLE OUTPUT CARTRIDGE SENSOR ASSEMBLY」と題する米国特許出願第16/024,160号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する米国特許出願第16/024,124号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE CIRCUIT」と題する米国特許出願第16/024,132号、
・「SURGICAL INSTRUMENT WITH A TISSUE MARKING ASSEMBLY」と題する米国特許出願第16/024,141号、
・「SURGICAL SYSTEMS WITH PRIORITIZED DATA TRANSMISSION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第16/024,162号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する米国特許出願第16/024,066号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSOR ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第16/024,096号、
・「SURGICAL EVACUATION FLOW PATHS」と題する米国特許出願第16/024,116号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND GENERATOR CONTROL」と題する米国特許出願第16/024,149号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND DISPLAY」と題する米国特許出願第16/024,180号、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許出願第16/024,245号、
・「SMOKE EVACUATION SYSTEM INCLUDING A SEGMENTED CONTROL CIRCUIT FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許出願第16/024,258号、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する米国特許出願第16/024,265号、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する米国特許出願第16/024,273号。
【0042】
本願の出願人は、各開示の全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年6月28日出願の以下の米国仮特許出願を所有する:
・「A METHOD OF USING REINFORCED FLEX CIRCUITS WITH MULTIPLE SENSORS WITH ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/691,228号、
・「CONTROLLING A SURGICAL INSTRUMENT ACCORDING TO SENSED CLOSURE PARAMETERS」と題する米国仮特許出願第62/691,227号、
・「SURGICAL INSTRUMENT HAVING A FLEXIBLE ELECTRODE」と題する米国仮特許出願第62/691,230号、
・「SURGICAL EVACUATION SENSING AND MOTOR CONTROL」と題する米国仮特許出願第62/691,219号、
・「COMMUNICATION OF SMOKE EVACUATION SYSTEM PARAMETERS TO HUB OR CLOUD IN SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/691,257号、
・「SURGICAL EVACUATION SYSTEM WITH A COMMUNICATION CIRCUIT FOR COMMUNICATION BETWEEN A FILTER AND A SMOKE EVACUATION DEVICE」と題する米国仮特許出願第62/691,262号、及び
・「DUAL IN-SERIES LARGE AND SMALL DROPLET FILTERS」と題する米国仮特許出願第62/691,251号。
【0043】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年4月19日出願の以下の米国仮特許出願を所有する:
・「METHOD OF HUB COMMUNICATION」と題する米国仮特許出願第62/659,900号。
【0044】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月30日出願の以下の米国仮特許出願を所有する:
・「CAPACITIVE COUPLED RETURN PATH PAD WITH SEPARABLE ARRAY ELEMENTS」と題する2018年3月30日出願の米国仮特許出願第62/650,898号、
・「SURGICAL SYSTEMS WITH OPTIMIZED SENSING CAPABILITIES」と題する米国仮特許出願第62/650,887号、
・「SMOKE EVACUATION MODULE FOR INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/650,882号、及び
・「SURGICAL SMOKE EVACUATION SENSING AND CONTROLS」と題する米国仮特許出願第62/650,877号。
【0045】
本願の出願人は、各開示の全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する:
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,641号、
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH CONDITION HANDLING OF DEVICES AND DATA CAPABILITIES」と題する米国特許出願第15/940,648号、
・「SURGICAL HUB COORDINATION OF CONTROL AND COMMUNICATION OF OPERATING ROOM DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,656号、
・「SPATIAL AWARENESS OF SURGICAL HUBS IN OPERATING ROOMS」と題する米国特許出願第15/940,666号、
・「COOPERATIVE UTILIZATION OF DATA DERIVED FROM SECONDARY SOURCES BY INTELLIGENT SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,670号、
・「SURGICAL HUB CONTROL ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第15/940,677号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許出願第15/940,632号、
・「COMMUNICATION HUB AND STORAGE DEVICE FOR STORING PARAMETERS AND STATUS OF A SURGICAL DEVICE TO BE SHARED WITH CLOUD BASED ANALYTICS SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,640号、
・「SELF DESCRIBING DATA PACKETS GENERATED AT AN ISSUING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/940,645号、
・「DATA PAIRING TO INTERCONNECT A DEVICE MEASURED PARAMETER WITH AN OUTCOME」と題する米国特許出願第15/940,649号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第15/940,654号、
・「SURGICAL SYSTEM DISTRIBUTED PROCESSING」と題する米国特許出願第15/940,663号、
・「AGGREGATION AND REPORTING OF SURGICAL HUB DATA」と題する米国特許出願第15/940,668号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許出願第15/940,671号、
・「DISPLAY OF ALIGNMENT OF STAPLE CARTRIDGE TO PRIOR LINEAR STAPLE LINE」と題する米国特許出願第15/940,686号、
・「STERILE FIELD INTERACTIVE CONTROL DISPLAYS」と題する米国特許出願第15/940,700号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第15/940,629号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許出願第15/940,704号、
・「CHARACTERIZATION OF TISSUE IRREGULARITIES THROUGH THE USE OF MONO-CHROMATIC LIGHT REFRACTIVITY」と題する米国特許出願第15/940,722号、及び
・「DUAL CMOS ARRAY IMAGING」と題する米国特許出願第15/940,742号。
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,636号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第15/940,653号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許出願第15/940,660号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR LINKING OF LOCAL USAGE TRENDS WITH THE RESOURCE ACQUISITION BEHAVIORS OF LARGER DATA SET」と題する米国特許出願第15/940,679号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTION」と題する米国特許出願第15/940,694号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許出願第15/940,634号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許出願第15/940,706号、及び
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第15/940,675号。
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,627号、
・「COMMUNICATION ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,637号、
・「CONTROLS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,642号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,676号、
・「CONTROLLERS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,680号、
・「COOPERATIVE SURGICAL ACTIONS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,683号、
・「DISPLAY ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,690号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第15/940,711号。
【0046】
本願の出願人は、各開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月28日出願の以下の米国仮特許出願を所有する:
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国仮特許出願第62/649,302号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国仮特許出願第62/649,294号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国仮特許出願第62/649,300号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国仮特許出願第62/649,309号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国仮特許出願第62/649,310号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国仮特許出願第62/649,291号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/649,296号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国仮特許出願第62/649,333号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国仮特許出願第62/649,327号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国仮特許出願第62/649,315号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国仮特許出願第62/649,313号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,320号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,307号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国仮特許出願第62/649,323号。
【0047】
本願の出願人は、2017年12月28日に出願された以下の米国仮特許出願を所有しており、これらの各々の開示の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
・「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,341号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国仮特許出願第62/611,340号、及び
・「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国仮特許出願第62/611,339号。
【0048】
外科用装置及び発生器の様々な態様を詳細に説明する前に、例示される実施例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明で示される部品の構造及び構成の詳細に限定されないことに留意されたい。例示的な実施例は、他の態様、変形形態、及び修正で実施されるか、又はそれらに組み込まれてよく、様々な方法で実施又は実行され得る。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。更に、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの1つ以上を、以下に記述されるその他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ以上と組み合わせることができることが理解されよう。
【0049】
様々な態様が、改善された超音波外科用装置、電気外科用装置、及びこれと共に使用するための発生器を対象とする。超音波外科用装置の態様は、例えば、外科処置中に組織を横切開及び/又は凝固するように構成され得る。電気外科用装置の態様は、例えば、外科処置中に、組織を横切開、凝固、スケーリング、溶接及び/又は乾燥させるように構成され得る。
【0050】
適応型超音波ブレード制御アルゴリズム
様々な態様では、スマート超音波エネルギー装置は、超音波ブレードの動作を制御するための適応アルゴリズムを含んでもよい。一態様では、超音波ブレード適応制御アルゴリズムは、組織の種類を特定し、装置パラメータを調節するように構成されている。一態様では、超音波ブレード制御アルゴリズムは、組織の種類をパラメータ化するように構成されている。超音波ブレードの遠位先端の振幅を調整するために組織のコラーゲン/エラスチン比を検出するためのアルゴリズムが、本開示の以下の項で説明される。スマート超音波エネルギー装置の様々な態様が、例えば
図1~
図2に関連して本明細書で説明される。したがって、適応型超音波ブレード制御アルゴリズムの以下の説明は、
図1~
図2及びこれらに関連する説明と併せて読まれるべきである。
【0051】
特定の外科処置では、適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを用いることが望ましい。一態様では、超音波ブレードと接触する組織の種類に基づいて、超音波装置のパラメータを調節するために、適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを用いてもよい。一態様では、超音波装置のパラメータは、超音波エンドエフェクタのジョー内の組織の位置、例えば、クランプアームと超音波ブレードとの間の組織の位置に基づいて調節されてもよい。超音波トランスデューサのインピーダンスは、組織のどの割合がエンドエフェクタの遠位端又は近位端に位置するかを識別するために用いられてもよい。超音波装置の反応は、組織の種類又は組織の圧縮率に基づき得る。別の態様では、超音波装置のパラメータは、識別された組織の種類又はパラメータ化に基づいて調節されてもよい。例えば、超音波ブレードの遠位先端の機械的変位振幅は、組織識別手順中に検出されたエラスチン組織に対するコラーゲンの比に基づいて調整されてもよい。コラーゲンとエラスチン組織との比は、赤外線(IR)表面反射率及び放射率を含む様々な技術を使用して検出され得る。クランプアーム及び/又はクランプアームのストロークによって組織に加えられて間隙及び圧縮を生じさせる力。電極を備えたジョー全体の電気的導通を用いて、ジョーのどの割合が組織で覆われているかを判定することができる。
【0052】
図1は、本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式通信ハブを備える外科用データネットワーク内で適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを実行するように構成されたシステム800である。一態様では、発生器モジュール240が、本明細書に記載される適応型超音波ブレード制御アルゴリズム(複数可)802を実行するように構成されている。別の態様では、装置/器具235が、
図25~
図34を参照して本明細書に記載される適応型超音波ブレード制御アルゴリズム(複数可)804を実行するように構成されている。別の態様では、装置/器具235及び装置/器具235の両方が、
図13~
図18を参照して本明細書に記載される適応型超音波ブレード制御アルゴリズム802、804を実行するように構成されている。
【0053】
発生器モジュール240は、電力変圧器を介して非絶縁段階と通信する患者絶縁段階を備えてもよい。電力変圧器の二次巻線は、絶縁段階内に収容され、例えば、超音波外科用器具、RF電気外科用器具、並びに単独又は同時に送達可能な超音波及びRFエネルギーモードを含む多機能型外科用器具などの様々な外科用器具に駆動信号を送達するために駆動信号出力部を画定するためのタップ構成(例えば、センタタップ又は非センタタップ構成)を備え得る。具体的には、駆動信号出力部は、超音波駆動信号(例えば、420Vの二乗平均平方根(RMS)駆動信号)を超音波外科用器具241に出力することができ、駆動信号出力部は、RF電気外科駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)をRF電気外科用器具241に出力することができる。発生器モジュール240の態様は、
図7~
図12を参照して本明細書で説明される。
【0054】
発生器モジュール240、若しくは装置/器具235、又はその両方は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236に連結されている。一部の態様では、外科用データネットワークが、モジュール式通信ハブを備え得るが、そのモジュール式通信ハブは、医療施設の1つ以上の手術現場、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えば、記憶装置に連結されたリモートサーバ213を含み得るクラウド204)に接続するように構成されたものであり得る。
【0055】
手術現場に配置されたモジュール式装置は、モジュール式通信ハブに連結されてもよい。ネットワークハブ及び/又はネットワークスイッチは、ネットワークルータに連結されて、装置をクラウド204又はローカルコンピュータシステムに接続することができる。装置に関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送され得る。装置に関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステムに転送されてもよい。同じ手術現場に位置するモジュール式装置もまた、ネットワークスイッチに連結されてよい。ネットワークスイッチは、ネットワークハブ及び/又はネットワークルータに連結されて、装置をクラウド204に接続してもよい。装置に関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータを介してクラウド204に転送され得る。装置に関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステムに転送されてもよい。
【0056】
クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、共有コンピューティングリソースに依存することが理解されるであろう。「クラウド」という用語は、「インターネット」の隠喩として使用され得るが、この用語は、そのように限定はされない。したがって、「クラウドコンピューティング」という用語は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために使用することができ、この場合、サーバ、記憶装置、及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的、又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ及び/又はコンピュータシステムに、またインターネットを介してモジュール式通信ハブ及び/又はコンピュータシステムに接続された装置に供給される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ以上の手術現場内に位置する装置の使用及び制御を調整するエンティティであり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット、及び手術現場内に位置するその他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて、多数の計算を実行することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及び記憶装置と通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0057】
図1は、外科用データネットワーク内で適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを実行するように構成されたシステム800を含み得るモジュール式通信ハブを含む、コンピュータによって実施される双方向型外科システムの一部の態様を更に示す。外科システムは、リモートサーバ213を含み得るクラウド204と通信している少なくとも1つの外科用ハブを含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムは、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術現場内に位置するその他のコンピュータ化装置などの複数の手術現場装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステムに連結されたモジュール式通信ハブを備えてもよい。一部の態様では、モジュール式制御タワー236は、内視鏡に連結されたイメージングモジュール、エネルギーデバイス241に連結された発生器モジュール240、及び任意選択的にディスプレイ237に連結されたスマートデバイス/器具235に連結される。手術現場装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータ記憶装置に連結されている。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されていてよい。とりわけ、装置/器具235、可視化システム208は、本明細書に記載されるように、有線又は無線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式制御タワー236に連結されていてよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ、及び/又はその他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されていてよい。ハブディスプレイ215はまた、画像及びオーバーレイ画像と共にモジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを表示してもよい。
【0058】
発生器ハードウェア
図2は、超音波器具と連結するように構成され、かつ、
図1に示すモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワーク内で適応型超音波ブレード制御アルゴリズムを実行するように更に構成された発生器の一形態である、発生器900の一実施例を示す。発生器900は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するように構成されている。発生器900は、エネルギーを外科用器具に送達するためのRF信号及び超音波信号を単独で又は同時に、そのいずれかで提供する。RF信号及び超音波信号は、単独で又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述したように、少なくとも1つの発生器出力部は、単一のポートを通して複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために個別に又は同時にエンドエフェクタに送達することができる。発生器900は、波形発生器904に連結されたプロセッサ902を備える。プロセッサ902及び波形発生器904は、プロセッサ902に連結されたメモリに記憶された情報(開示を明瞭にするために示されず)に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するために1つ以上のDAC回路を含む波形発生器904に提供される。アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器906に供給される。増幅器906の、調節され増幅された出力は、電力変圧器908に連結されている。信号は、電力変圧器908を横断して患者絶縁側にある二次側に連結されている。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、外科用器具のENERGY
1及びRETURNとラベルされた端子間に提供される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ910を横断して連結され、外科用器具のENERGY
2及びRETURNとラベルされた端子間に提供される。2つを超えるエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGY
n端子が提供され得ることを示すために使用することができ、ここでnは、1超の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURN
n)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいことも理解されよう。
【0059】
第1の電圧感知回路912は、ENERGY1及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路924は、ENERGY2及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示される電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路が各リターン区間で提供されねばならない。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力が対応の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器918に提供される。電力変圧器908の一次側(非患者絶縁側)における絶縁変圧器916、928、922の出力は、1つ以上のADC回路926に提供される。ADC回路926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ902に提供される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に提供される出力電圧及び電流を調節するために、またいくつかあるパラメータの中で出力インピーダンスを計算するために使用することができる。プロセッサ902と患者絶縁回路との間の入力/出力通信は、インターフェース回路920を介して提供される。センサもまた、インターフェース回路920を介してプロセッサ902と電気通信してもよい。
【0060】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY
1/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第1の電圧感知回路912又はENERGY
2/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第2の電圧感知回路924のいずれかの出力を、電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配置された電流感知回路914の出力で割ることによって、プロセッサ902により判定され得る。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力は、個別の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器916に提供される。ADC回路926からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ902に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY
1は超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY
2はRFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ及び双極又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティには、数ある中でも不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法及び/若しくはマイクロ波エネルギーが挙げられる。また、
図2に例示された例は、単一のリターンパス(RETURN)が2つ以上のエネルギーモダリティに提供され得ることを示しているが、他の態様では、複数のリターンパスRETURN
nが、各エネルギーモダリティENERGY
nに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波トランスデューサのインピーダンスは、第1の電圧感知回路912の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路924の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよい。
【0061】
図2に示すように、少なくとも1つの出力ポートを含む発生器900は、実行される組織の処置の種類に応じて、電力を、例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに提供するために、単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器908を含むことができる。例えば、発生器900は、単極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを用いて、超音波トランスデューサを駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のためのRF電極を駆動するために低電圧かつ高電流で、又はスポット凝固のための凝固波形でエネルギーを送達することができる。発生器900からの出力波形は、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え又はフィルタリングされ得る。超音波トランスデューサの、発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、
図2に示すようにENERGY1とラベルされた出力部とRETURNとの間に位置するであろう。一例では、RF双極電極の、発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGY
2とラベルされた出力部とRETURNとの間に位置するであろう。単極出力部の場合、好ましい接続部は、ENERGY
2出力部への活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)及びRETURN出力部に接続された好適なリターンパッドであろう。
【0062】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する2017年3月30日公開の米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
【0063】
本説明全体で使用される用語「無線」及びその派生語は、非固体媒体を介して変調電磁放射線の使用を通じてデータを通信し得る回路、装置、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するために使用されてもよい。この用語は、関連する装置がいかなる有線も含まないことを意味するものではないが、一部の態様では、それらは存在しない可能性がある。通信モジュールは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、これらのイーサネット派生物のみならず、3G、4G、5G及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない、多数の無線又は有線通信規格又はプロトコルのうちのいずれかを実装してもよい。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含み得る。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0064】
本明細書で使用するとき、プロセッサ又は処理ユニットは、いくつかの外部データソース(通常はメモリ)又は何らかの他のデータストリーム上で動作を実行する電子回路である。この用語は、本明細書では、多くの専用「プロセッサ」を組み合わせたシステム又はコンピュータシステム(特にシステムオンチップ(SoC))内の中央プロセッサ(中央処理ユニット)を指すために使用される。
【0065】
本明細書で使用するとき、チップ上のシステム又はシステムオンチップ(SoC又はSOC)は、コンピュータ又は他の電子システムの全ての構成要素を統合する集積回路(「IC」又は「チップ」としても知られる)である。これは、デジタル、アナログ、混合信号及び多くの場合は高周波数機能を、全て単一の基材上に含むことができる。SoCは、マイクロコントローラ(又はマイクロプロセッサ)を、グラフィックス処理ユニット(GPU)、Wi-Fiモジュール又はコプロセッサなどの最新の周辺装置と統合する。SoCは、内蔵メモリを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0066】
本明細書で使用するとき、マイクロコントローラ又はコントローラは、マイクロプロセッサを周辺回路及びメモリと統合するシステムである。マイクロコントローラ(又はマイクロコントローラユニットのMCU)は、単一の集積回路上の小型コンピュータとして実装されてもよい。これはSoCと同様であってもよく、SoCは、その構成要素の1つとしてマイクロコントローラを含み得る。マイクロコントローラは、1つ以上のコア処理ユニット(CPU)と共にメモリ及びプログラム可能な入力/出力周辺機器を収容することができる。強誘電性のRAM、NORフラッシュ又はOTP ROMの形態のプログラムメモリ及び少量のRAMもまた、チップ上にしばしば含まれる。マイクロコントローラは、パーソナルコンピュータ又は様々な個別のチップで構成された他の汎用用途で使用されるマイクロプロセッサとは対照的に、組み込み型用途用に採用され得る。
【0067】
本明細書で使用するとき、コントローラ又はマイクロコントローラという用語は、周辺装置とインターフェース接続するスタンドアロンIC又はチップ装置であってもよい。これは、その装置の動作(及び当該装置との接続)を管理する外部装置上のコンピュータ又はコントローラの2つの部分間の連結部であってもよい。
【0068】
本明細書で説明されるプロセッサ又はマイクロコントローラはいずれも、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0069】
一態様では、プロセッサは、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機能を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0070】
モジュール式装置は、外科用ハブ内に受容可能な(例えば
図3に関連して説明される)モジュールと、対応する外科用ハブと接続又はペアリングするために様々なモジュールに接続することができる外科用装置又は器具と、を含む。モジュール式装置としては、例えば、インテリジェント外科用器具、医療用撮像装置、吸引/灌注装置、排煙器、エネルギー発生器、ベンチレータ、吸入器及びディスプレイが挙げられる。本明細書に記載されるモジュール式装置は、制御アルゴリズムによって制御することができる。制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体上で、特定のモジュール式装置がペアリングされる外科用ハブ上で、又はモジュール式装置及び外科用ハブの両方の上で(例えば、分散コンピューティングアーキテクチャを介して)、実行され得る。いくつかの例示では、モジュール式装置の制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体によって(すなわち、モジュール式装置内の、モジュール式装置上の、又はモジュール式装置に接続されたセンサによって)感知されたデータに基づいて装置を制御する。このデータは、手術中の患者に関連するもの(例えば、組織特性又は送気圧)であってもよく、又はモジュール式装置自体(例えば、前進するナイフの速度、モータ電流、又はエネルギーレベル)に関連するものであってもよい。例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の制御アルゴリズムは、ナイフが前進する際にナイフにより生じた抵抗に基づき、器具のモータが組織を貫いてそのナイフを駆動させる速度を制御することができる。
【0071】
図3は、発生器1100と、これと共に使用可能な様々な外科用器具1104、1106、1108と、を備える外科システム1000の一形態を示し、外科用器具1104は超音波外科用器具であり、外科用器具1106はRF電気外科用器具であり、多機能型外科用器具1108は組み合わせ超音波/RF電気外科用器具である。発生器1100は、様々な外科用器具と共に使用するように構成可能である。様々な形態によれば、発生器1100は、例えば、超音波外科用器具1104、RF電気外科用器具1106、並びに発生器1100から同時に送達されるRFエネルギー及び超音波エネルギーを統合する多機能型外科用器具1108を含む様々な種類の様々な外科用装置と共に使用するように構成可能であり得る。
図3の形態では、発生器1100は、外科用器具1104、1106、1108とは別個に示されているが、一形態では、発生器1100は、外科用器具1104、1106、1108のうちのいずれかと一体的に形成されて、一体型外科システムを形成してもよい。発生器1100は、発生器1100のコンソールの前側パネル上に位置する入力装置1110を含む。入力装置1110は、発生器1100の動作をプログラムするのに適した信号を生成する任意の適切な装置を含むことができる。発生器1100は、有線又は無線通信用に構成されてもよい。
【0072】
発生器1100は、複数の外科用器具1104、1106、1108を駆動するように構成されている。第1の外科用器具は超音波外科用器具1104であり、ハンドピース1105(HP)、超音波トランスデューサ1120、シャフト1126、及びエンドエフェクタ1122を備える。エンドエフェクタ1122は、超音波トランスデューサ1120と音響的に連結された超音波ブレード1128及びクランプアーム1140を備える。ハンドピース1105は、クランプアーム1140を動作させるトリガ1143と、超音波ブレード1128又は他の機能に通電し、駆動するためのトグルボタン1134a、1134b、1134cの組み合わせと、を備える。トグルボタン1134a、1134b、1134cは、発生器1100を用いて超音波トランスデューサ1120に通電するように構成することができる。
【0073】
発生器1100はまた、第2の外科用器具1106を駆動するようにも構成されている。第2の外科用器具1106は、RF電気外科用器具であり、ハンドピース1107(HP)、シャフト1127、及びエンドエフェクタ1124を備える。エンドエフェクタ1124は、クランプアーム1142a、1142b内に電極を備え、シャフト1127の導電体部分を通って戻る。電極は、発生器1100内の双極エネルギー源に連結され、双極エネルギー源によって通電される。ハンドピース1107は、クランプアーム1142a、1142bを動作させるためのトリガ1145と、エンドエフェクタ1124内の電極に通電するためのエネルギースイッチを作動するためのエネルギーボタン1135と、を備える。
【0074】
発生器1100はまた、多機能型外科用器具1108を駆動するようにも構成されている。多機能型外科用器具1108は、ハンドピース1109(HP)、シャフト1129、及びエンドエフェクタ1125を備える。エンドエフェクタ1125は、超音波ブレード1149及びクランプアーム1146を備える。超音波ブレード1149は、超音波トランスデューサ1120と音響的に連結される。ハンドピース1109は、クランプアーム1146を動作させるトリガ1147と、超音波ブレード1149又は他の機能に通電し、駆動するためのトグルボタン1137a、1137b、1137cの組み合わせと、を備える。トグルボタン1137a、1137b、1137cは、発生器1100を用いて超音波トランスデューサ1120に通電し、かつ同様に発生器1100内に収容された双極エネルギー源を用いて超音波ブレード1149に通電するように構成することができる。
【0075】
発生器1100は、様々な外科用器具と共に使用するように構成可能である。様々な形態によれば、発生器1100は、例えば、超音波外科用器具1104、RF電気外科用器具1106、並びに発生器1100から同時に送達されるRFエネルギー及び超音波エネルギーを統合する多機能型外科用器具1108を含む様々な種類の様々な外科用装置と共に使用するように構成可能であり得る。
図3の形態では、発生器1100は、外科用器具1104、1106、1108とは別個に示されているが、別の形態では、発生器1100は、外科用器具1104、1106、1108のうちのいずれか1つと一体的に形成されて、一体型外科システムを形成してもよい。上述したように、発生器1100は、発生器1100のコンソールの前側パネル上に位置する入力装置1110を含む。入力装置1110は、発生器1100の動作をプログラムするのに適した信号を生成する任意の適切な装置を含むことができる。発生器1100はまた、1つ以上の出力装置1112を含んでもよい。電気信号波形をデジタル的に生成するための発生器、及び外科用器具の更なる態様は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017-0086914-A1号に記載されている。
【0076】
図4は、本開示の少なくとも1つの態様による、例示の超音波装置1104のエンドエフェクタ1122である。エンドエフェクタ1122は、導波管を介して超音波トランスデューサ1120に連結され得るブレード1128を含み得る。本明細書で説明されるように、超音波トランスデューサ1120によって駆動されると、ブレード1128は振動することができ、組織と接触すると、組織を切断及び/又は凝固することができる。様々な態様によると、また
図4に例示するように、エンドエフェクタ1122は、エンドエフェクタ1122のブレード1128と協働作用するように構成され得るクランプアーム1140を更に含み得る。ブレード1128と共に、クランプアーム1140は、一連のジョーを含み得る。クランプアーム1140は、器具部分1104のシャフト1126の遠位端に枢動可能に接続され得る。クランプアーム1140は、テフロン(登録商標)又は他の好適な低摩擦材料から形成され得るクランプアーム組織パッド1163を含み得る。パッド1163は、ブレード1128と協働するように装着されて、クランプアーム1140の枢動運動が、クランプパッド1163をブレード1128と実質的に平行な関係で、かつこれと接触するように位置決めすることができる。この構成により、クランプされる組織片は、組織パッド1163とブレード1128との間に把持され得る。組織パッド1163は、ブレード1128と協働して組織の把持を改善するために、軸方向に離間して近位方向に延在する複数の把持歯1161を含む鋸歯様構成を備えてもよい。クランプアーム1140は、
図4に示される開放位置から、閉鎖位置(クランプアーム1140がブレード1128と接触するか又は近接する)まで、任意の好適な様式で移行し得る。例えば、ハンドピース1105は、ジョー閉鎖トリガを含み得る。臨床医によって作動されると、ジョー閉鎖トリガはクランプアーム1140を任意の好適な様式で枢動させ得る。
【0077】
発生器1100は、駆動信号を任意の好適な方法で超音波トランスデューサ1120に提供するように起動され得る。例えば、発生器1100は、フットスイッチケーブル1432を介して発生器1100に連結されたフットスイッチ1430(
図5)を含んでもよい。臨床医は、フットスイッチ1430を押し下げることにより、超音波トランスデューサ1120を起動させ、またそれによって超音波トランスデューサ1120及びブレード1128を起動させ得る。フットスイッチ1430に加えて、又はこの代わりに、装置1104のいくつかの態様は、ハンドピース1105上に位置付けられた1つ以上のスイッチを用いてもよく、これは、起動されると、発生器1100に超音波トランスデューサ1120を作動させることができる。一態様では、例えば、1つ以上のスイッチは、例えば、装置1104の動作モードを決定するために、一対のトグルボタン1134、1134a、1134b(
図3)を含んでもよい。例えば、トグルボタン1134aが押し下げられると、超音波発生器1100は、最大駆動信号を超音波トランスデューサ1120に提供して、超音波トランスデューサ1120に最大超音波エネルギー出力を生成させることができる。トグルボタン1134bを押すことにより、超音波発生器1100がユーザ選択可能な駆動信号を超音波トランスデューサ1120に提供して、超音波トランスデューサ1120に最大未満の超音波エネルギー出力を生成させることができる。装置1104は、追加的に又は代替的に、例えば、エンドエフェクタ1122のクランプアーム1140を介してジョーを操作するために、ジョー閉鎖トリガの位置を指示するための第2のスイッチを含んでもよい。また、いくつかの態様では、超音波発生器1100は、ジョー閉鎖トリガの位置に基づいて起動することができる(例えば、臨床医がジョー閉鎖トリガを押し下げてクランプアーム1140を介してジョーを閉鎖すると、超音波エネルギーを印加することができる)。
【0078】
更に又はあるいは、1つ以上のスイッチは、押し下げられると、発生器1100にパルス出力を提供させるトグルボタン1134を含むことができる(
図3)。パルスは、例えば、任意の好適な周波数及び分類で提供されてもよい。ある特定の態様では、パルスの電力レベルは、例えば、トグルボタン1134a、1134bに関連付けられた電力レベル(最大、最大未満)であってもよい。
【0079】
装置1104は、トグルボタン1134a、1134b、1134の任意の組み合わせを含み得ることが理解されよう(
図3)。例えば、装置1104は、最大超音波エネルギー出力を生成するためのトグルボタン1134a、及び1回毎に最大又は最大未満の電力レベルのいずれかでパルス出力を生成するトグルボタン1134の2つのトグルボタンのみを有するように構成され得る。このように、発生器1100の駆動信号出力構成は、5つの連続信号、又は任意の個別の数の個々のパルス信号(1、2、3、4、又は5回)であってもよい。特定の態様では、特定の駆動信号構成は、例えば、発生器1100のEEPROM設定、及び/又はユーザの電力レベル選択(複数可)、に基づき制御され得る。
【0080】
特定の態様では、トグルボタン1134の代替として2位置スイッチが提供され得る(
図3)。例えば、装置1104は、最大電力レベルで連続出力を発生させるためのトグルボタン1134aと、2位置トグルボタン1134bと、を含んでもよい。第1の戻り止め位置では、トグルボタン1134bは最大電力レベル未満で連続出力を発生させてもよく、第2の戻り止め位置では、トグルボタン1134bは(例えば、EEPROM設定に応じて、最大又は最大未満のいずれかの出力レベルで)パルス出力を発生させてもよい。
【0081】
いくつかの態様では、RF電気外科用エンドエフェクタ1124、1125(
図3)はまた、一対の電極を備えてもよい。電極は、例えばケーブルを介して、発生器1100と通信し得る。電極は、例えば、クランプアーム1142a、1146とブレード1142b、1149との間に存在する組織片のインピーダンスを測定するために使用され得る。発生器1100は、電極に信号(例えば、非治療的信号)を提供し得る。組織片のインピーダンスは例えば、信号の電流、電圧などをモニタリングすることによって見出され得る。
【0082】
様々な態様では、発生器1100は、
図3の外科システム1000の略図である
図5に示すモジュール及び/又はブロックなどのいくつかの別個の機能的要素を備えてもよい。様々な機能要素又はモジュールが、様々な種類の外科用装置1104、1106、1108を駆動するように構成され得る。例えば、超音波発生器モジュールは、超音波装置1104などの超音波装置を駆動し得る。電気外科/RF発生器モジュールは、電気外科用装置1106を駆動し得る。モジュールは、外科用装置1104、1106、1108を駆動するために対応する駆動信号を生成することができる。様々な態様では、超音波発生器モジュール及び/又は電気外科/RF発生器モジュールはそれぞれ、発生器1100と一体的に形成されてもよい。あるいは、モジュールのうち1つ以上が、発生器1100と電気的に連結された個別の回路モジュールとして提供されてもよい。(モジュールはこの選択肢を例示するために仮想線で示されている)。また、いくつかの態様では、電気外科/RF発生器モジュールは、超音波発生器モジュールと一体的に形成されてもよく、又はその逆であってもよい。
【0083】
記載される態様によれば、超音波発生器モジュールは、特定の電圧、電流、及び周波数(例えば、55,500サイクル/秒、又はHz)の駆動信号又は複数の駆動信号を生成し得る。駆動信号又は複数の駆動信号は、超音波装置1104、特に、例えば上記のように動作し得るトランスデューサ1120に提供され得る。一態様では、発生器1100は、高い分解能、精度、及び再現性を有し、多段階の、特定の電圧、電流、及び/又は周波数出力信号の駆動信号を生成するように構成することができる。
【0084】
記載される態様によれば、電気外科/RF発生器モジュールは、無線周波数(RF)エネルギーを使用して、双極電気外科処置を実施するのに十分な出力電力で駆動信号又は複数の駆動信号を生成し得る。双極電気外科用途では、例えば、駆動信号は、上述したように、例えば電気外科用装置1106の電極に提供されてもよい。したがって、発生器1100は、組織を治療するのに十分な電気エネルギーを組織に印加することにより、治療目的のために構成され得る(例えば、凝固、焼灼、組織溶接など)。
【0085】
発生器1100は、例えば、発生器1100のコンソールの前側パネル上に位置する入力装置2150(
図8B)を備えることができる。入力装置2150は、発生器1100の動作をプログラムするのに適した信号を生成する任意の適切な装置を含むことができる。動作中、ユーザは、入力装置2150を使用して発生器1100の動作をプログラムする、ないしは別の方法で制御することができる。入力装置2150は、発生器1100の動作(例えば、超音波発生器モジュール及び/又は電気外科/RF発生器モジュールの動作)を制御するために、発生器によって(例えば、発生器内に収容される1つ以上のプロセッサによって)使用され得る信号を生成する、任意の好適な装置を含み得る。様々な態様では、入力装置2150は、ボタン、スイッチ、サムホイール、キーボード、キーパッド、タッチスクリーンモニタ、ポインティング装置、汎用又は専用のコンピュータへの遠隔接続のうちの1つ以上を含む。他の態様では、入力装置2150は、例えば、タッチスクリーンモニタ上に表示される1つ以上のユーザインターフェーススクリーンなどの好適なユーザインターフェースを含んでもよい。したがって、入力装置2150により、ユーザは、例えば、超音波発生器モジュール及び/又は電気外科/RF発生器モジュールによって生成される駆動信号又は複数の駆動信号の、電流(I)、電圧(V)、周波数(f)、及び/又は期間(T)などの、発生器の様々な動作パラメータを設定又はプログラミングすることができる。
【0086】
発生器1100はまた、例えば、発生器1100コンソールの前側パネル上に位置する出力装置2140(
図8B)を含み得る。出力装置2140は、ユーザに感覚フィードバックを提供するための1つ以上の装置を含む。このような装置は、例えば、視覚的フィードバック装置(例えば、LCD表示画面、LEDインジケータ)、可聴フィードバック装置(例えば、スピーカー、ブザー)又は触覚フィードバック装置(例えば、触覚作動装置)を含んでもよい。
【0087】
発生器1100の特定のモジュール及び/又はブロックが例として記載され得るが、より多くの又はより少ない数のモジュール及び/又はブロックが使用されてもよく、これは依然として態様の範囲内にあることが理解できよう。更に、説明を容易にするために、モジュール及び/又はブロックに関して様々な態様が記載され得るが、そのようなモジュール及び/又はブロックは、1つ以上のハードウェア構成要素、例えば、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラム可能な論理機構(PLD)、特定用途向け集積回路(ASIC)、回路、レジスタ並びに/又はソフトウェア構成要素、例えば、プログラム、サブルーチン、論理及び/若しくはハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との組み合わせによって実装されてもよい。
【0088】
一態様では、超音波発生器駆動モジュール及び電気外科/RF駆動モジュール1110(
図3)は、ファームウェア、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせとして実装される1つ以上の埋め込みアプリケーションを含んでもよい。モジュールは、ソフトウェア、プログラム、データ、ドライバ、アプリケーションプログラムインターフェース(API)などのような様々な実行可能なモジュールを備えることができる。ファームウェアは、ビットマスクされた読み出し専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリのような不揮発性メモリ(NVM)に記憶することができる。様々な実装形態では、ファームウェアをROMに記憶することにより、フラッシュメモリが保存され得る。NVMは、例えば、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、又はダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデータレートDRAM(DDRAM)、及び/若しくは同期DRAM(SDRAM)のような電池バックアップ式ランダムアクセスメモリ(RAM)を含む、他のタイプのメモリを含んでもよい。
【0089】
一態様では、モジュールは、装置1104、1106、1108の様々な測定可能な特性をモニタリングするためのプログラム命令を実行し、装置1104、1106、1108を動作させるための対応する出力駆動信号又は複数の出力駆動信号を生成するためのプロセッサとして実施されるハードウェア構成要素を含む。発生器1100が装置1104と共に使用される態様では、駆動信号は、切断及び/又は凝固動作モードにおいて、超音波トランスデューサ1120を駆動し得る。装置1104及び/又は組織の電気的特性は、発生器1100の動作態様を制御するために測定及び使用され、かつ/又はユーザにフィードバックとして提供されてもよい。発生器1100が装置1106と共に使用される態様では、駆動信号は、切断、凝固及び/又は乾燥モードにおいて、エンドエフェクタ1124に電気エネルギー(例えば、RFエネルギー)を供給し得る。装置1106及び/又は組織の電気的特性は、発生器1100の動作態様を制御するために測定及び使用され、かつ/又はユーザにフィードバックとして提供されてもよい。様々な態様では、上述したように、ハードウェア構成要素はDSP、PLD、ASIC、回路、及び/又はレジスタとして実施され得る。一態様では、プロセッサは、コンピュータソフトウェアプログラム命令を記憶及び実行して、超音波トランスデューサ1120及びエンドエフェクタ1122、1124、1125などの装置1104、1106、1108の様々な構成要素を駆動するための階段関数出力信号を生成するように構成されてもよい。
【0090】
電気機械的超音波システムは、超音波トランスデューサ、導波管、及び超音波ブレードを含む。電気機械的超音波システムは、超音波トランスデューサ、導波管、及び超音波ブレードの物理的特性によって定義される初期共振周波数を有する。超音波トランスデューサは、電気機械的超音波システムの共振周波数と等しい交流電圧Vg(t)及び電流Ig(t)信号によって励起される。電気機械的超音波システムが共振するとき、電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相差はゼロである。換言すると、共振時、誘導性インピーダンスは容量性インピーダンスと等しい。超音波ブレードが加熱すると、超音波ブレード(等価静電容量としてモデル化される)のコンプライアンスによって、電気機械的超音波システムの共振周波数が変化する。したがって、誘導性インピーダンスは容量性インピーダンスともはや等しくなく、それにより電気機械的超音波システムの駆動周波数と共振周波数との間に不整合が引き起こされる。ここでシステムは、「オフレゾナンス」で動作する。駆動周波数と共振周波数との間の不整合は、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相差として現れる。発生器電子機器は、電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相差を容易に監視することができ、位相差が再びゼロになるまで駆動周波数を連続的に調節することができる。この時点で、新しい駆動周波数は、電気機械的超音波システムの新しい共振周波数に等しい。位相及び/又は周波数の変化は、超音波ブレード温度の間接的測定値として使用することができる。
【0091】
図6に示すように、超音波トランスデューサの電気機械特性は、静電容量を有する第1ブランチと、共振器の電気機械特性を規定する直列接続されたインダクタンス、抵抗、及び容量を有する第2「動作」ブランチと、を含む等価回路としてモデル化されてもよい。既知の超音波発生器は、発生器駆動信号電流の実質的に全部が動作ブランチ内に流れるように、ある共振周波数において静電容量をチューンアウトするための調整インダクタを含み得る。したがって、調整インダクタを使用することにより、発生器の駆動信号電流は、動作ブランチ電流を表し、したがって発生器はその駆動信号を制御して超音波トランスデューサの共振周波数を維持することができる。調整インダクタはまた、発生器の周波数固定能力を改善するために、超音波トランスデューサの相インピーダンスプロットを変換することができる。しかしながら、調整インダクタは、動作共振周波数において、超音波トランスデューサの特定の静電容量と適合しなくてはならない。換言すると、異なる静電容量を有する異なる超音波トランスデューサは、異なる調整インダクタを必要とする。
【0092】
図6は、一態様による、超音波トランスデューサ1120などの超音波トランスデューサの等価回路1500を示す。回路1500は、共振器の電気機械特性を規定する、直列接続されたインダクタンスL
s、抵抗R
s、及び容量C
sを有する第1の「動作」ブランチと、静電容量C
0を有する第2の容量性ブランチと、を含む。動作電流I
m(t)が第1ブランチを通って流れ、電流I
g(t)~I
m(t)が容量性ブランチを通って流れる状態で、駆動電流I
g(t)は、発生器から駆動電圧V
g(t)で受信されてもよい。超音波トランスデューサの電気機械特性の制御は、I
g(t)及びV
g(t)を好適に制御することによって達成されてもよい。上述のように、既知の発生器アーキテクチャは、発生器の電流出力I
g(t)の実質的に全てが動作ブランチを通って流れるように、並列共振回路内で共振周波数において静電容量C
0をチューンアウトするための調整インダクタL
t(
図6に仮想線で示される)を含むことができる。この方法では、動作ブランチ電流I
m(t)の制御は、発生器の電流出力I
g(t)を制御することによって達成される。調整インダクタL
tは、超音波トランスデューサの静電容量C
0に特有であるが、異なる静的静電容量を有する異なる超音波トランスデューサは、異なる調整インダクタL
tを必要とする。また、調整インダクタL
tは、単一の共振周波数で静電容量C
0の公称値と一致するため、動作ブランチ電流I
m(t)の正確な制御は、その周波数でのみ保証される。周波数が変換器の温度によって低下すると、動作ブランチ電流の正確な制御が損なわれる。
【0093】
発生器1100の様々な態様が、調整インダクタLtに頼ることなく動作ブランチ電流Im(t)を監視することができる。むしろ、発生器1100は、動的及び進行中ベースで(例えば、リアルタイムで)動作ブランチ電流Im(t)の値を判定するために、特定の超音波外科用装置1104のための電力の印加間の静電容量C0の測定値を使用し得る(駆動信号の電圧及び電流フィードバックデータと共に)。したがって、発生器1100のこうした態様は、静電容量C0の公称値によって決定される単一の共振周波数のみにおいてではなく、任意の周波数で静電容量C0の任意の値と調整される又は共振するシステムをシミュレートするために、仮想調整を提供することが可能である。
【0094】
図7は、利点の中でもとりわけ、上述のインダクタレス調整を提供するための発生器1100の一態様の簡略化ブロック図である。
図8A~
図8Cは、一態様による
図7の発生器1100のアーキテクチャを示す。
図7を参照すると、発生器1100は、電力変圧器1560を介して非絶縁段階1540と通信する患者絶縁段階1520を含んでもよい。電力変圧器1560の二次巻線1580は、絶縁段階1520に含まれ、かつタップ構成(例えば、センタタップ又は非センタタップ構成)を含んでもよく、例えば、超音波外科用装置1104及び電気外科用装置1106などの様々な外科用装置に駆動信号を出力するための、駆動信号出力部1600a、1600b、1600cを画定する。特に、駆動信号出力部1600a、1600b、1600cは、超音波外科用装置1104に駆動信号(例えば、420VのRMS駆動信号)を出力してもよく、駆動信号出力部1600a、1600b、1600cは、電気外科用装置1106に駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)を出力してもよく、ここで出力部1600bは電力変圧器1560のセンタタップに対応する。非絶縁段階1540は、電力変圧器1560の一次巻線1640に接続された出力部を有する電力増幅器1620を含むことができる。特定の態様では、電力増幅器1620は、例えば、プッシュプル増幅器を含み得る。非絶縁段階1540は、デジタル出力をデジタル/アナログ変換器(DAC)1680に供給するための、プログラム可能な論理デバイス1660を更に含んでもよく、続いてデジタル/アナログ変換器(DAC)1680は、対応するアナログ信号を電力増幅器1620の入力部に供給する。特定の態様では、プログラム可能な論理デバイス1660は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含むことができる。プログラム可能な論理デバイス1660は、DAC1680を介して電力増幅器1620の入力を制御することにより、その結果、駆動信号出力部1600a、1600b、1600cに現れる駆動信号の多数のパラメータ(例えば、周波数、波形形状、波形振幅)のいずれかを制御することができる。特定の態様では、また以下で説明するように、プログラム可能な論理デバイス1660、プロセッサ(例えば、以下で説明するプロセッサ1740)と共に、多くのデジタル信号処理(DSP)ベースの制御アルゴリズム及び/又はその他の制御アルゴリズムを実行して、発生器1100によって出力される駆動信号のパラメータを制御することができる。
【0095】
電力は、スイッチモードレギュレータ1700によって電力増幅器1620の母線に供給することができる。特定の態様では、スイッチモードレギュレータ1700は、例えば調節可能なバックレギュレータを含むことができる。上述したように、非絶縁段階1540はプロセッサ1740を更に含むことができ、これは、一態様では、例えば、Analog Devices(Norwood,Mass.)から入手可能なADSP-21469 SHARC DSPなどのDSPプロセッサを含むことができる。特定の態様では、プロセッサ1740は、アナログデジタル変換器(ADC)1760を介してプロセッサ1740が電力増幅器1620から受信した電圧フィードバックデータに応答して、スイッチモード電力変換器1700の動作を制御することができる。例えば、一態様では、プロセッサ1740は、電力増幅器1620によって増幅されている信号(例えば、RF信号)の波形エンベロープを、ADC1760を介して入力として受信することができる。プロセッサ1740は、続いて、電力増幅器1620に供給されるレール電圧が増幅信号の波形エンベロープを追跡するように、スイッチモードレギュレータ1700を(例えば、パルス幅変調(PWM)出力を介して)制御することができる。波形エンベロープに基づいて、電力増幅器1620のレール電圧を動的に変調することにより、電力増幅器1620の効率は、固定レール電圧増幅器スキームと比較して顕著に改善され得る。プロセッサ1740は、有線又は無線通信用に構成されてもよい。
【0096】
特定の態様では、かつ
図9A~
図9Bに関連して更に詳細に記載されるように、プログラム可能な論理機構1660は、プロセッサ1740と共に、直接デジタルシンセサイザ(DDS)制御スキームを実行して、発生器1100によって出力された駆動信号の波形形状、周波数、及び/又は振幅を制御し得る。一態様では、例えば、プログラム可能な論理機構1660は、FPGAに内蔵され得る、RAM LUTなどの動的に更新されるルックアップテーブル(LUT)内に記憶された波形サンプルを呼び出すことによって、DDS制御アルゴリズム2680(
図9A)を実行し得る。この制御アルゴリズムは、超音波トランスデューサ1120などの超音波トランスデューサがその共振周波数における明瞭な正弦波電流によって駆動され得る、超音波用途で特に有用である。他の周波数が寄生共振を励起し得るため、動作分岐電流の全歪みが最小化又は低減されることに対応して、望ましくない共振効果が最小化又は低減されることができる。発生器1100によって出力される駆動信号の波形形状は、出力駆動回路内に存在する様々な歪み源(例えば、電力変圧器1560、電力増幅器1620)によって影響され得るため、駆動信号に基づく電圧及び電流フィードバックデータを、プロセッサ1740によって実行される誤差制御アルゴリズムなどのアルゴリズムに入力することができ、これにより、動的な進行中のベースで(例えば、リアルタイムで)、LUTに記憶された波形サンプルを適切に予歪み又は修正して歪みを補償する。一態様では、LUTサンプルに加えられる予歪みの量又は程度は、計算された動作ブランチ電流と所望の電流波形形状との間の誤差に基づいてもよく、誤差は、サンプル毎に判定される。このようにして、予め歪ませたLUTサンプルは、駆動回路を通じて処理される場合、超音波トランスデューサを最適に駆動するために、所望の波形形状(例えば、正弦波)を有する動作ブランチ駆動信号を生じ得る。したがって、そのような態様では、LUT波形サンプルは、駆動信号の所望の波形形状ではなく、むしろ歪み効果を考慮した際の、所望の波形の動作ブランチ駆動信号を最終的に生成するのに必要な波形形状を表す。
【0097】
非絶縁段階1540は、発生器1100によって出力された駆動信号の電圧及び電流をそれぞれサンプリングするために、それぞれの絶縁変圧器1820、1840を介して電力変圧器1560の出力部に連結されたADC1780及びADC1800を更に含むことができる。特定の態様では、ADC1780、1800は、駆動信号のオーバーサンプリングを可能にするために高速(例えば、80Msps)でサンプリングするように構成することができる。一態様では、例えば、ADC1780、1800のサンプリング速度は、駆動信号の約200倍(駆動周波数に応じて)のオーバーサンプリングを可能にすることができる。特定の態様では、ADC1780、1800のサンプリング動作は、双方向マルチプレクサを介し、入力電圧及び電流信号を受信する単一のADCによって行われ得る。発生器1100の態様における高速サンプリングの使用は、とりわけ、動作ブランチを流れる複素電流の計算(これは、特定の態様で上述したDDSベースの波形形状制御を実施するために使用され得る)、サンプリングされた信号の正確なデジタルフィルタリング及び高精度な実消費電力の計算を可能にすることができる。ADC1780、1800によって出力される電圧及び電流フィードバックデータは、プログラム可能な論理デバイス1660によって受信され、かつ処理(例えば、FIFOバッファリング、マルチプレクシング)されてもよく、例えばプロセッサ1740による以後の読み出しのために、データメモリに記憶されてもよい。上記のように、電圧及び電流のフィードバックデータは、動的及び進行に応じたベースで、LUT波形サンプルを予め歪ませるか又は修正するため、アルゴリズムへの入力として使用され得る。特定の態様では、これは、電圧及び電流フィードバックデータのペアが取得されたときに、各記憶された電圧及び電流フィードバックデータのペアが、プログラム可能な論理デバイス1660によって出力された対応するLUTサンプルに基づいてインデックス付けされる、又は他の方法でこれと関連付けされることを必要とする場合がある。この方法によるLUTサンプルと電圧及び電流のフィードバックデータとの同期は、予歪みアルゴリズムの正確なタイミング及び安定性に寄与する。
【0098】
特定の態様では、電圧及び電流フィードバックデータは、駆動信号の周波数及び/又は振幅(例えば、電流振幅)を制御するために使用することができる。一態様では、例えば、電圧及び電流フィードバックデータを使用して、インピーダンス位相、例えば、電圧駆動信号と電流駆動信号との間の位相差を判定することができる。続いて、駆動信号の周波数を制御して、判定されたインピーダンス位相とインピーダンス位相設定点(例えば、0°)との間の差を最小化又は低減し、それによって高調波歪みの影響を最小化又は低減し、それに対応してインピーダンス位相の測定精度を向上させることができる。位相インピーダンス及び周波数制御信号の判定は、例えばプロセッサ1740で実行されてもよく、周波数制御信号は、プログラム可能な論理デバイス1660によって実行されるDDS制御アルゴリズムへの入力として供給される。
【0099】
インピーダンス位相は、フーリエ解析によって判定され得る。一態様では、発生器電圧Vg(t)駆動信号と発生器電流Ig(t)駆動信号との間の位相差は、以下のように高速フーリエ変換(FFT)又は離散フーリエ変換(DFT)を使用して決定され得る。
【0100】
【数1】
正弦波の周波数でのフーリエ変換を評価することで、以下が得られる。
【0101】
【0102】
他のアプローチとしては、加重最小二乗推定法、カルマンフィルタ処理法及び空間ベクトルベース技術が挙げられる。FFT又はDFT技術における処理の実質的に全てが、例えば、2チャネル高速ADC1780、1800を用いてデジタル領域内で実行されてもよい。1つの技術では、電圧信号及び電流信号のデジタル信号サンプルは、FFT又はDFTでフーリエ変換される。任意の時点における位相角φは、以下の式によって計算することができ:
φ=2πft+φ0
式中、φは位相角であり、fは周波数であり、tは時間であり、φ0は、t=0における位相である。
【0103】
電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相差を判定するための別の技術はゼロ交差法であり、これは高精度な結果を生成する。同じ周波数を有する電圧Vg(t)信号及び電流Ig(t)信号の場合、電圧信号Vg(t)の各負から正のゼロ交差はパルスの開始をトリガし、一方で、電流信号Ig(t)の各負から正のゼロ交差はパルスの終了をトリガする。結果は、電圧信号と電流信号との間の位相角に比例するパルス幅を有するパルス列である。一態様では、パルス列を平均化フィルタに通して、位相差の測定値を得ることができる。更に、正から負のゼロ交差も、同様の方法で使用され、結果が平均化されると、DC及び高調波成分のいかなる効果も低減され得る。一実装形態では、アナログ電圧Vg(t)信号及び電流Ig(t)信号は、アナログ信号が正である場合には高いデジタル信号に、アナログ信号が負である場合には低いデジタル信号に変換される。高精度な位相評価は、高低間の急激な移行を必要とする。一態様では、RC安定化ネットワークと共にシュミットトリガを用いて、アナログ信号をデジタル信号に変換することができる。他の態様では、エッジトリガ型RSフリップフロップ及び補助回路が用いられてもよい。更に別の態様では、ゼロ交差技術は、eXclusive OR(XOR)ゲートを用いてもよい。
【0104】
電圧信号と電流信号との間の位相差を決定するための他の技術としては、リサージュ図及び画像の監視、3電圧計法、交差コイル法、ベクトル電圧計及びベクトルインピーダンス法などの方法、並びに位相標準機器、位相ロックループ、及びPhase Measurement,Peter O’Shea,2000 CRC Press LLC,<http://www.engnetbase.com>に説明されるような他の技術の使用、が挙げられ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
別の態様では、例えば、電流のフィードバックデータは、駆動信号の電流振幅を電流振幅設定値に維持するために監視することができる。電流振幅設定値は、直接指定されてもよく、又は指定された電圧振幅及び電力設定値に基づいて間接的に判定されてもよい。特定の態様では、電流振幅の制御は、例えば、プロセッサ1740内の比例積分微分(PID)制御アルゴリズムなどの制御アルゴリズムによって実行され得る。駆動信号の電流振幅を適切に制御するために制御アルゴリズムによって制御される変数としては、例えば、プログラム可能な論理デバイス1660に記憶されるLUT波形サンプルのスケーリング、及び/又はDAC1860を介したDAC1680(これは電力増幅器1620に入力を供給する)のフルスケール出力電圧を挙げることができる。
【0106】
非絶縁段階1540は、とりわけ、ユーザインターフェース(UI)機能を提供するために、プロセッサ1900を更に含むことができる。一態様では、プロセッサ1900は、例えば、Atmel Corporation(San Jose,Calif.)から入手可能なARM926EJ-Sコアを有するAtmel AT91 SAM9263プロセッサを含むことができる。プロセッサ1900によってサポートされるUI機能の例としては、聴覚的及び視覚的なユーザフィードバック、周辺装置との通信(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースを介して)、フットスイッチ1430との通信、入力装置2150(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)との通信並びに出力装置2140(例えば、スピーカ)との通信を挙げることができる。プロセッサ1900は、プロセッサ1740及びプログラム可能な論理デバイスと通信することができる(例えば、シリアル周辺インターフェース(SPI)バスを介する)。プロセッサ1900は、主にUI機能をサポートすることができるが、これはまた、特定の態様ではプロセッサ1740と協働して危険の緩和を実現することができる。例えば、プロセッサ1900は、ユーザ入力及び/又は他の入力(例えば、タッチスクリーン入力2150、フットスイッチ1430入力、温度センサ入力2160)の様々な態様を監視するようにプログラムされてもよく、誤った状態が検出された場合は発生器1100の駆動出力を無効化することができる。
【0107】
特定の態様では、プロセッサ1740(
図7、
図8A)及びプロセッサ1900(
図7、
図8B)の両方が、発生器1100の動作状態を判定し、監視することができる。プロセッサ1740の場合は、発生器1100の動作状態は、例えば、どちらの制御及び/又は診断プロセスがプロセッサ1740によって実行されるかを決定することができる。プロセッサ1900の場合は、発生器1100の動作状態は、例えば、ユーザインターフェース(例えば、ディスプレイスクリーン、音)のどの要素がユーザに提供されるかを決定することができる。プロセッサ1740、1900は、発生器1100の現在の動作状態を別個に維持し、現在の動作状態からの可能な遷移を認識及び評価することができる。プロセッサ1740は、この関係におけるマスタとして機能し、動作状態間の遷移がいつ生じるかを判定することができる。プロセッサ1900は、動作状態間の有効な遷移を認識することができ、かつ特定の遷移が適切であるかを確認することができる。例えば、プロセッサ1740がプロセッサ1900に特定の状態に遷移するように命令すると、プロセッサ1900は要求される遷移が有効であることを確認することができる。プロセッサ1900によって要求される状態間の遷移が無効であると判定された場合、プロセッサ1900は発生器1100を故障モードにすることができる。
【0108】
非絶縁段階1540は、入力装置2150(例えば、発生器1100をオン及びオフするために使用される静電容量式タッチセンサ、静電容量式タッチスクリーン)を監視するためのコントローラ1960(
図7、
図8B)を更に含むことができる。特定の態様では、コントローラ1960は、プロセッサ1900と通信する少なくとも1つのプロセッサ及び/又は他のコントローラ装置を備えることができる。一態様では、例えば、コントローラ1960は、1つ以上の静電容量式タッチセンサを介して提供されるユーザ入力を監視するように構成されたプロセッサ(例えば、Atmelから入手可能なMega168 8ビットコントローラ)を備えることができる。一態様では、コントローラ1960は、静電容量式タッチスクリーンからのタッチデータの取得を制御及び管理するためのタッチスクリーンコントローラ(例えば、Atmelから入手可能なQT5480タッチスクリーンコントローラ)を備えることができる。
【0109】
特定の態様では、発生器1100が「電源オフ」状態にあるとき、コントローラ1960は(例えば、後述する電源2110(
図7)などの、発生器1100の電源からのラインを介して)動作電力を受信し続けることができる。このようにして、コントローラ1960は、発生器1100をオンオフするための入力装置2150(例えば、発生器1100の前側パネルに配置された静電容量式タッチセンサ)を監視し続けることができる。発生器1100が「電源オフ」状態にあるときに、コントローラ1960は、ユーザによる「オン/オフ」入力装置2150の起動が検出されると、電源を起動することができる(例えば、電源2110の1つ以上のDC/DC電圧変換器2130(
図7)の動作を有効化する)。その結果、コントローラ1960は、発生器1100を「電源オン」状態に遷移させるためのシーケンスを開始することができる。逆に、発生器1100が「電源オン」状態にあるときに「オン/オフ」入力装置2150の起動が検出されると、コントローラ1960は発生器1100を「電源オフ」状態に移行させるためのシーケンスを開始することができる。特定の態様では、例えば、コントローラ1960は、「オン/オフ」入力装置2150の起動をプロセッサ1900に報告することができ、続いてプロセッサ1900は、発生器1100を「電源オフ」状態に移行させるために必要な処理シーケンスを実行する。こうした態様では、コントローラ1960は、その「電源オン」状態が確立された後に、発生器1100から電力の除去を引き起こすための独立した能力を有さない場合がある。
【0110】
特定の態様では、コントローラ1960は、「電源オン」又は「電源オフ」シーケンスが開始されたことをユーザに警告するために、発生器1100に聴覚又は他の感覚フィードバックを提供させることができる。こうした警告は、「電源オン」又は「電源オフ」シーケンスの開始時、及びシーケンスと関連する他のプロセスの開始前に提供されてもよい。
【0111】
特定の態様では、絶縁段階1520は、例えば、外科用装置の制御回路(例えば、ハンドピーススイッチを備える制御回路)と、非絶縁段階1540の構成要素(例えば、プログラム可能な論理機構1660、プロセッサ1740、及び/又はプロセッサ1900など)との間の通信インターフェースを提供するために、器具インターフェース回路1980を含むことができる。器具インターフェース回路1980は、例えば赤外線(IR)ベースの通信リンクなどの、段階1520、1540間の適切な程度の電気的絶縁を維持する通信リンクを介して、非絶縁段階1540の構成要素と情報を交換することができる。例えば、非絶縁段階1540から駆動される絶縁変圧器によって電力供給される低ドロップアウト電圧レギュレータを使用して、器具インターフェース回路1980に電力を供給することができる。
【0112】
一態様では、器具インターフェース回路1980は、信号調整回路2020(
図7及び
図8C)と通信するプログラム可能な論理機構2000(例えば、FPGA)を備えることができる。信号調整回路2020は、プログラム可能な論理機構2000から周期信号(例えば、2kHzの方形波)を受信して同一の周波数を有する双極呼掛け信号を生成するように構成することができる。呼掛け信号は、例えば、差動増幅器によって供給される双極電流源を使用して発生させることができる。呼掛け信号は、(例えば、発生器1100を外科用装置に接続するケーブル内の導電体のペアを使用することによって)外科用装置制御回路に伝達され、制御回路の状態又は構成を判定するために監視され得る。例えば、制御回路は、制御回路の状態又は構成が1つ上の特性に基づいて個別に識別可能であるように、呼掛け信号の1つ以上の特性(例えば、振幅、整流)を修正するために、多数のスイッチ、レジスタ、及び/又はダイオードを含んでもよい。例えば、一態様では、信号調整回路2020は、呼掛け信号が通過することによって生じる制御回路の入力間に現れる電圧信号のサンプルを生成するためのADCを備えることができる。プログラム可能な論理機構2000(又は非絶縁段階1540の一構成要素)は、続いて、ADCサンプルに基づく制御回路の状態又は構成を判定することができる。
【0113】
一態様では、器具インターフェース回路1980は、プログラム可能な論理機構2000(又は器具インターフェース回路1980の他の要素)と、外科用装置の内部に配置された、又は別の方法で外科用装置と関連付けられた第1のデータ回路との間の情報交換を可能にする第1のデータ回路インターフェース2040を備えることができる。特定の態様では、例えば、第1のデータ回路2060は、外科用装置のハンドピースに一体的に取り付けられたケーブル内、又は特定の外科用装置タイプ又はモデルを発生器1100とインターフェースさせるためのアダプタ内に配置されてもよい。特定の態様では、第1のデータ回路は、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)装置などの、不揮発性記憶装置を備えることができる。特定の態様では、また
図7を再び参照すると、第1のデータ回路インターフェース2040は、プログラム可能な論理機構2000とは別に実装することができ、プログラム可能な論理機構2000と第1のデータ回路との間の通信を可能にする好適な回路(例えば、個別論理機構、プロセッサ)を備えることができる。他の態様では、第1のデータ回路インターフェース2040はプログラム可能な論理機構2000と一体的であってもよい。
【0114】
特定の態様では、第1のデータ回路2060は、第1のデータ回路2060が関連付けられる特定の外科用装置に関する情報を記憶することができる。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用装置が使用された動作数、及び/又は他のタイプの情報を含むことができる。この情報は、器具インターフェース回路1980によって(例えば、プログラム可能な論理機構2000によって)読み取られて、出力装置2140を介してユーザに提示するために、及び/又は発生器1100の機能若しくは動作を制御するために、非絶縁段階1540の構成要素(例えば、プログラム可能な論理機構1660、プロセッサ1740、及び/又はプロセッサ1900)に転送され得る。更に、任意の種類の情報を、第1のデータ回路2060内に記憶するために、第1のデータ回路インターフェース2040を介して第1のデータ回路2060に伝達することができる(例えば、プログラム可能な論理機構2000を使用して)。そのような情報は例えば、外科用装置が使用された最新の動作数、並びに/又は、その使用の日付及び/若しくは時間を含むことができる。
【0115】
上記のように、外科用器具は、器具の互換性及び/又は廃棄性を促進するために、ハンドピースから取り外し可能であってもよい(例えば、器具1106は、ハンドピース1107から取り外し可能であってもよい)。そのような場合、既知の発生器は、使用されている特定の器具構成を認識し、これに対応して制御及び診断プロセスを最適化する能力を制限されている場合がある。しかしながら、この問題に対処するために、外科用装置器具に読み取り可能なデータ回路を追加することは、適合性の観点から問題がある。例えば、必要なデータ読み取り機能を欠く発生器との下位互換性を保つように、外科用装置を設計することは、例えば、異なる信号スキーム、設計の複雑さ、及び費用のために、実用的でない場合がある。器具の他の態様は、既存の外科用器具に実装され得るデータ回路を経済的に使用し、外科用装置と最新の発生器プラットフォームとの互換性を維持するために設計変更を最小限にすることによってこれらの懸念に対処する。
【0116】
更に、発生器1100の態様は、器具ベースのデータ回路との通信を可能にすることができる。例えば、発生器1100は、外科用装置の器具(例えば、器具1104、1106、又は1108)内に収容される第2のデータ回路(例えば、データ回路)と通信するように構成され得る。器具インターフェース回路1980は、この通信を可能にする第2のデータ回路インターフェース2100を含むことができる。一態様では、第2のデータ回路インターフェース2100は、トライステートデジタルインターフェースを含むことができるが、他のインターフェースを使用することもできる。特定の態様では、第2のデータ回路は、概して、データを送信及び/又は受信するための任意の回路であることができる。一態様では、例えば、第2のデータ回路は、この回路が関連付けられる特定の外科用器具に関する情報を記憶してもよい。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他のタイプの情報を含むことができる。更に又はあるいは、任意の種類の情報を、第2のデータ回路内に記憶するために、第2のデータ回路インターフェース2100を介して第2のデータ回路に伝達することができる(例えば、プログラム可能な論理機構2000を使用して)。そのような情報は例えば、器具が使用された最新の動作数、並びに/又は、その使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。特定の態様では、第2のデータ回路は、1つ以上のセンサ(例えば、器具ベースの温度センサ)によって取得されたデータを送信することができる。特定の態様では、第2のデータ回路は、発生器1100からデータを受信して、受信したデータに基づきユーザに表示(例えば、LED表示又は他の可視表示)を提供することができる。
【0117】
特定の態様では、第2のデータ回路及び第2のデータ回路インターフェース2100は、この目的のために追加の導体(例えば、ハンドピースを発生器1100に接続するケーブルの専用導体)を設ける必要なしにプログラム可能な論理機構2000と第2のデータ回路との間の通信を達成できるように構成することができる。一態様では、例えば、使用される導体のうちの1つが、信号調整回路2020からハンドピース内の制御回路へ呼掛け信号を送信するなど、既存のケーブル配線上に実装されたワンワイヤバス通信方式を使用して、第2のデータ回路との間で情報を伝達することができる。このようにして、元来必要であり得る外科用装置の設計変更又は修正が最小化又は低減される。更に、様々な種類の通信が(周波数帯域分離を伴うか又は伴わないかのいずれかで)一般的な物理チャネルを介して実施され得るため、第2のデータ回路の存在は、必要なデータ読み取り機能を有さない発生器にとっては「不可視」であり、したがって、外科用装置器具の下位互換性を可能にすることができる。
【0118】
特定の態様では、絶縁段階1520は、患者にDC電流が通電するのを防ぐために駆動信号出力部1600bに接続された少なくとも1つのブロッキングコンデンサ2960-1(
図8C)を含むことができる。単一のブロッキングコンデンサは、例えば、医学的規制又は基準に準拠することが必要とされる場合がある。単一コンデンサ設計における故障は比較的稀であるが、それでもなおそのような故障は否定的な結果をもたらす恐れがある。一態様では、第2のブロッキングコンデンサ2960-2をブロッキングコンデンサ2960-1と直列に設けて、ブロッキングコンデンサ2960-1、2960-2の間の点からの電流漏れを、例えば、漏れ電流によって誘起された電圧をサンプリングするためのADC2980によって監視することができる。サンプルは、例えば、プログラム可能な論理機構2000によって受信され得る。漏れ電流(
図7の態様で電圧サンプルによって示される)の変化に基づいて、発生器1100は、ブロッキングコンデンサ2960-1、2960-2のうちの少なくとも1つが故障したときを判定することができる。したがって、
図7の態様は、単一の故障点を有する単一コンデンサ設計に対して利益を提供することができる。
【0119】
特定の態様では、非絶縁段階1540は、好適な電圧及び電流でDC電力を出力するための電源2110を備えることができる。電源は、例えば、48VDCシステム電圧を出力するための、400W電源を備えることができる。上述したように、電源2110は、電源の出力を受信して、発生器1100の様々な構成要素によって必要とされる電圧及び電流でDC出力を生成するための、1つ以上のDC/DC電圧変換器2130を更に備えることができる。コントローラ1960と関連して上述したように、DC/DC電圧変換器2130のうちの1つ以上は、ユーザによる「オン/オフ」入力装置2150の起動がコントローラ1960によって検出されたときにコントローラ1960から入力を受信し、DC/DC電圧変換器2130の動作又は起動を可能にしてもよい。
【0120】
図9A~
図9Bは、発生器1100の一態様の特定の機能的及び構造的態様を示す。電力変圧器1560の二次巻線1580から出力される電流及び電圧を示すフィードバックは、それぞれADC1780、1800によって受信される。示されるように、ADC1780、1800は、2チャンネルADCとして実装することができ、また、駆動信号のオーバーサンプリング(例えば、およそ200倍のオーバーサンプリング)を可能にするように高速(例えば、80Msps)でフィードバック信号をサンプリングすることができる。電流及び電圧フィードバック信号は、ADC1780、1800による処理の前に、アナログ領域で適切に調整され得る(例えば、増幅、フィルタリング)。ADC1780、1800からの電流及び電圧フィードバックサンプルは、個別にバッファリングされ、その後、プログラム可能な論理機構1660のブロック2120内の単一データストリーム内に、多重化又はインターリーブされ得る。
図9A~
図9Bの態様では、プログラム可能な論理機構1660はFPGAを備える。
【0121】
多重化された電流及び電圧フィードバックサンプルは、プロセッサ1740のブロック2144内に実装される並列データ収集ポート(PDAP)によって受信され得る。PDAPは、多重化フィードバックサンプルとメモリアドレスを相関付けるための多くの方法のいずれかを実施するためのパッキングユニットを含むことができる。一態様では、例えば、プログラム可能な論理機構1660によって出力される特定のLUTサンプルに対応するフィードバックサンプルは、LUTサンプルのLUTアドレスと関連付けられるか又はインデックス付けされる1つ以上のメモリアドレスで記憶され得る。別の態様では、プログラム可能な論理機構1660によって出力される特定のLUTサンプルに対応するフィードバックサンプルは、LUTサンプルのLUTアドレスと共に、共通の記憶場所で記憶され得る。いずれにせよ、フィードバックサンプルの特定のセットが由来するLUTサンプルのアドレスがその後確認され得るように、フィードバックサンプルは記憶され得る。上記のように、LUTサンプルアドレス及びフィードバックサンプルの同期が、このようにして、予歪みアルゴリズムの正確なタイミング及び安定性に寄与する。プロセッサ1740のブロック2166で実装されるダイレクトメモリアクセス(DMA)コントローラは、プロセッサ1740の指定された記憶場所2180(例えば、内部RAM)でフィードバックサンプル(及び適用可能な場合は任意のLUTサンプルアドレスデータ)を記憶することができる。
【0122】
プロセッサ1740のブロック2200は、プログラム可能な論理機構1660に記憶されたLUTサンプルを、動的な進行中ベースで予め歪ませ、又は修正するために、予歪みアルゴリズムを実施することができる。上記のように、LUTサンプルの予歪みは、発生器1100の出力駆動回路に存在する様々な歪み源を補償することができる。予め歪ませたLUTサンプルはしたがって、駆動回路により処理される場合、超音波トランスデューサを最適に駆動するために、所望の波形形状(例えば、正弦波)を有する駆動信号を生じる。
【0123】
予歪みアルゴリズムのブロック2220において、超音波トランスデューサの動作ブランチを流れる電流が判定される。動作ブランチ電流は、例えば、記憶場所2180に記憶された電流及び電圧フィードバックサンプル(これは、好適にスケーリングされると、上記の
図6のモデルのI
g及びV
gを表わし得る)、超音波トランスデューサ静電容量C
0の値(測定されるか又は先験的に既知である)、及び駆動周波数の既知の値に基づき、キルヒホッフの電流則を使用して判定され得る。LUTサンプルと関連する、記憶された電流及び電圧フィードバックサンプルの各セットにおける、動作ブランチ電流サンプルが判定され得る。
【0124】
予歪みアルゴリズムのブロック2240では、ブロック2220で判定された各動作ブランチ電流サンプルは、所望の電流波形形状のサンプルと比較されて、比較されるサンプル間の差又はサンプル振幅誤差を判定する。この判定のために、所望の電流波形形状のサンプルが、例えば、所望の電流波形形状の1サイクルに関する振幅サンプルを含む波形形状LUT2260から供給され得る。比較のために使用される、LUT2260からの所望の電流波形形状の特定のサンプルは、比較に使用される動作ブランチ電流サンプルと関連付けられたLUTサンプルアドレスによって決定され得る。したがって、動作ブランチ電流のブロック2240への入力は、その関連するLUTサンプルアドレスのブロック2240への入力と同期され得る。したがって、プログラム可能な論理機構1660に記憶されるLUTサンプルと、波形形状LUT2260に記憶されるLUTサンプルは、同等の数値であることができる。特定の態様では、波形形状LUT2260に記憶されたLUTサンプルによって表される所望の電流波形形状は、基本正弦波であることができる。他の波形形状が望ましい場合がある。例えば、横方向又は他の様式の有益な振動のために、少なくとも2つの機械的共振を駆動するための三次高調波などの他の波長における1つ以上の他の駆動信号と重なり合った超音波トランスデューサの主要な長手方向の運動を駆動するための、基本的な正弦波が使用され得ることが想到される。
【0125】
ブロック2240で判定されるサンプル振幅誤差の各値は、その関連付けられたLUTアドレスの指標と共に、プログラム可能な論理機構1660のLUT(
図9Aのブロック2280に示される)に伝達することができる。サンプル振幅誤差の値、及びその関連付けされたアドレス(並びに、任意により、先に受信された同じLUTアドレスに関するサンプル振幅誤差の値)に基づき、LUT2280(又はプログラム可能な論理機構1660の他の制御ブロック)は、LUTアドレスに記憶されるLUTサンプルの値を予め歪ませるか又は修正することができ、それによってサンプル振幅誤差は低減又は最小化される。LUTアドレスの全範囲にわたる反復的な方法での各LUTサンプルのそのような予歪み又は修正が、発生器の出力電流の波形形状を、波形形状LUT2260のサンプルによって表される所望の電流波形形状と一致又は適合させることは理解されよう。
【0126】
電流及び電圧振幅測定値、電力測定値、及びインピーダンス測定値が、記憶場所2180に記憶される電流及び電圧フィードバックサンプルに基づいて、プロセッサ1740のブロック2300で判定され得る。これらの数値の判定の前に、フィードバックサンプルを適切にスケーリングして、特定の態様では、適切なフィルタ2320を通じて処理して、例えば、データ取得プロセスにより生じるノイズ及び誘発された高調波成分を除去することができる。フィルタリングされた電圧及び電流サンプルはしたがって、発生器の駆動出力信号の基本周波数を実質的に表し得る。特定の態様では、フィルタ2320は周波数領域において印加される有限インパルス応答(FIR)フィルタであってよい。こうした態様は、出力駆動信号電流及び電圧信号の高速フーリエ変換(FFT)を使用することができる。特定の態様では、生じる周波数スペクトルは、追加的な発生器機能を提供するために使用することができる。一態様では、例えば、基本周波数成分に対する第2次及び/又は第3次高調波成分の比率を、診断指標として使用することができる。
【0127】
ブロック2340(
図9B)では、駆動信号出力電流を表す測定値I
rmsを生成するために、駆動信号のサイクルの整数を表す電流フィードバックサンプルのサンプルサイズに、二乗平均平方根(RMS)計算が適用され得る。
【0128】
ブロック2360では、駆動信号出力電圧を表す測定値Vrmsを判定するために、駆動信号のサイクルの整数を表す電圧フィードバックサンプルのサンプルサイズに、二乗平均平方根(RMS)計算が適用され得る。
【0129】
ブロック2380では、電流及び電圧フィードバックサンプルは逐一乗算されてもよく、平均計算が駆動信号のサイクルの整数を表すサンプルに適用されて、発生器の実際の出力電力の測定値Prが判定される。
【0130】
ブロック2400では、発生器の皮相出力電力の測定値Paは、積Vrms・Irmsとして判定され得る。
【0131】
ブロック2420では、負荷インピーダンスの大きさの測定値Zmは、商Vrms/Irmsとして判定され得る。
【0132】
特定の態様では、ブロック2340、2360、2380、2400、及び2420において判定される数値Irms、Vrms、Pr、Pa、及びZmは、多数の制御及び/又は診断プロセスのうちのいずれかを実施するために発生器1100により使用され得る。特定の態様では、これらの数値のいずれかを、例えば、発生器1100と一体の出力装置2140、又は発生器1100と接続された出力装置2140を介して、適切な通信インターフェース(例えば、USBインターフェース)を通じてユーザに伝達することができる。様々な診断プロセスとしては、例えば、ハンドピース一体性、器具一体性、器具取り付け一体性、器具オーバーロード、器具オーバーロード接近、周波数固定不良、過電圧状態、過電流状態、過電力状態、電圧感知不良、電流感知不良、可聴指標不良、視覚指標不良、短絡回路状態、電力供給不良、又はブロッキングコンデンサ不良が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0133】
プロセッサ1740のブロック2440は、発生器1100によって駆動される電気負荷(例えば、超音波トランスデューサ)のインピーダンス位相を判定及び制御するための位相制御アルゴリズムを実施することができる。上述のように、駆動信号の周波数を制御して、判定されたインピーダンス位相とインピーダンス位相設定値(例えば、0°)との間の差を最小化又は低減することによって、高調波歪みの影響を最小化又は低減し、位相測定の精度を向上させることができる。
【0134】
位相制御アルゴリズムは、記憶場所2180に記憶された電流及び電圧フィードバックサンプルを、入力として受信する。位相制御アルゴリズムでこれらを使用する前に、フィードバックサンプルが適切にスケーリングされ、特定の態様では、例えば、データ取得プロセス及び誘発された高調波成分から生じるノイズを除去するために、適切なフィルタ2460(フィルタ2320と同一でもよい)を通して処理されてもよい。フィルタリングされた電圧及び電流サンプルはしたがって、発生器の駆動出力信号の基本周波数を実質的に表し得る。
【0135】
位相制御アルゴリズムのブロック2480で、超音波トランスデューサの動作ブランチを流れる電流が判定される。この判定は、予歪みアルゴリズムのブロック2220と関連して上記で説明されたものと同一であってもよい。したがって、ブロック2480の出力は、LUTサンプルと関連する記憶された電流及び電圧フィードバックサンプルの各セットに関して、動作ブランチ電流サンプルであることができる。
【0136】
位相制御アルゴリズムのブロック2500では、インピーダンス位相は、ブロック2480で判定された動作ブランチ電流サンプル及び対応する電圧フィードバックサンプルの同期された入力に基づいて判定される。特定の態様では、インピーダンス位相は、波形の立ち上がりエッジで測定されたインピーダンス位相と波形の立ち下がりエッジで測定されたインピーダンス位相の平均として判定される。
【0137】
位相制御アルゴリズムのブロック2520では、ブロック2220で判定されたインピーダンス位相の値は位相設定値2540と比較されて、比較される値の間の差異又は位相誤差が判定される。
【0138】
位相制御アルゴリズムのブロック2560(
図9A)では、ブロック2520で判定された位相誤差の値、及びブロック2420で判定されたインピーダンスの大きさに基づいて、駆動信号の周波数を制御するための周波数出力が判定される。ブロック2500において判定されたインピーダンス位相を位相設定値(例えば、ゼロ位相誤差)に維持するため、周波数出力値は、ブロック2560によって連続的に調節されてDDS制御ブロック2680(後述)に転送され得る。特定の態様では、インピーダンス位相は、0°位相設定値に調節され得る。このようにして、なんらかの高調波歪み量があれば電圧波形の頂部周囲で中央に合わせられ、相インピーダンス決定の正確性を向上させる。
【0139】
プロセッサ1740のブロック2580は、ユーザが指定する設定値に従って、又は発生器1100によって実施される他のプロセス若しくはアルゴリズムによって指定される要件に従って、駆動信号電流、電圧、及び電力を制御するために、駆動信号の電流振幅を変調するためのアルゴリズムを実施することができる。これらの数値の制御は、例えば、LUT2280のLUTサンプルのスケーリングによって、及び/又はDAC1860を介したDAC1680(電力増幅器1620に入力を供給する)のフルスケール出力電圧を調節することによって、実現することができる。ブロック2600(特定の態様では、PIDコントローラとして実装され得る)は、記憶場所2180から入力として電流フィードバックサンプル(適切にスケーリング及びフィルタリングされ得る)を受信することができる。電流フィードバックサンプルは、駆動信号が必要な電流を供給しているかどうかを判定するために、制御された変数(例えば、電流、電圧、又は電力)によって決定される「電流需要」Id値と比較され得る。駆動信号電流が制御変数である態様では、電流需要Idは、電流設定値2620A(Isp)によって直接指定され得る。例えば、電流フィードバックデータのRMS値(ブロック2340で判定される)は、適切なコントローラ作用を判定するために、ユーザ指定のRMS電流設定値Ispと比較され得る。例えば、電流フィードバックデータが電流設定値Ispよりも低いRMS値を示す場合、LUTスケーリング及び/又はDAC1680のフルスケール出力電圧は、駆動信号電流が増加するようにブロック2600によって調節されてもよい。逆に、電流フィードバックデータが電流設定値Ispよりも高いRMS値を示す場合、ブロック2600は、駆動信号電流を低減させるように、LUTスケーリング及び/又はDAC1680のフルスケール出力電圧を調節してもよい。
【0140】
駆動信号電圧が制御変数である態様では、電流需要Idは、例えば、ブロック2420で測定された負荷インピーダンスの大きさZmが与えられた場合に所望の電圧設定値2620B(Vsp)を維持するのに必要な電流に基づいて間接的に指定され得る(例えば、Id=Vsp/Zm)。同様に、駆動信号電力が制御変数である態様では、電流需要Idは、例えばブロック2360で測定された電圧Vrmsを与えられた場合に所望の電力設定値2620C(Psp)を維持するのに必要な電流に基づいて間接的に指定され得る(例えばId=Psp/Vrms)。
【0141】
ブロック2680(
図9A)は、LUT2280に記憶されたLUTサンプルを再呼び出しすることによって駆動信号を制御するために、DDS制御アルゴリズムを実施することができる。特定の態様では、DDS制御アルゴリズムは、ポイント(記憶場所)スキップ技術を使用して固定クロックレートで波形のサンプルを生成するための数値制御発振器(NCO)アルゴリズムであってよい。NCOアルゴリズムは、LUT2280からLUTサンプルを再呼び出しするためのアドレスポインタとして機能する、位相アキュムレータ、又は周波数/位相変換器を実装することができる。一態様では、位相アキュムレータは、Dステップサイズ、モジュロN位相アキュムレータであることができ、ここでDは周波数制御値を表す正の整数であり、NはLUT2280内のLUTサンプルの数である。例えば、D=1の周波数制御値により、例えば、位相アキュムレータにLUT2280の全てのアドレスを連続的に指定させ、LUT2280に記憶された波形を複製する波形出力を生じさせることができる。D>1である場合、位相アキュムレータは、LUT2280のアドレスをスキップして、より高い周波数を有する波形出力を生じさせることができる。これにより、DDS制御アルゴリズムによって生成される波形の周波数がしたがって、周波数制御値を適切に変化させることによって制御され得る。特定の態様では、周波数制御値は、ブロック2440で実施された位相制御アルゴリズムの出力に基づいて判定され得る。ブロック2680の出力は、DAC1680の入力を供給することができ、これが次に対応するアナログ信号を電力増幅器1620の入力に供給する。
【0142】
プロセッサ1740のブロック2700は、増幅されている信号の波形エンベロープに基づいて電力増幅器1620のレール電圧を動的に変調し、それによって電力増幅器1620の効率を改善するための、スイッチモード変換器制御アルゴリズムを実施することができる。特定の態様では、波形エンベロープの特性は、電力増幅器1620に含まれる1つ以上の信号を監視することによって判定することができる。一態様では、例えば、波形エンベロープの特性は、増幅信号のエンベロープに従って変調されるドレイン電圧(例えば、MOSFETドレイン電圧)の最小値を監視することによって判定することができる。最小電圧信号は、例えば、ドレイン電圧に連結された電圧最小検出器によって生成され得る。最小電圧信号は、ADC1760よってサンプリングされ、出力最小電圧サンプルは、スイッチモード変換器制御アルゴリズムのブロック2720で受信されてもよい。最小電圧サンプルの値に基づき、ブロック2740は、PWM発生器2760によって出力されるPWM信号を制御してもよく、これが続いて、スイッチモードレギュレータ1700によって電力増幅器1620に供給されるレール電圧を制御する。特定の態様では、最小電圧サンプルの値がブロック2720に入力される最小ターゲット2780未満である限り、レール電圧は、最小電圧サンプルによって特徴付けられる波形エンベロープに従って変調され得る。例えば、最小電圧サンプルが低いエンベロープ電力レベルを示すときは、ブロック2740によって低いレール電圧が電力増幅器1620に供給され、完全なレール電圧は、最小電圧サンプルが最大エンベロープ電力レベルを示すときにのみ供給されてもよい。最小電圧サンプルが最小ターゲット2780を下回るときは、ブロック2740によって、レール電圧が電力増幅器1620の適切な動作を確実にするのに好適な最小値に維持されてもよい。
【0143】
図10は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路500を示す。制御回路500は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路500は、少なくとも1つのメモリ回路504に連結された1つ以上のプロセッサ502(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるマイクロコントローラを備えることができる。メモリ回路504は、プロセッサ502によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ502に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ502は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうちの任意の1つであってもよい。メモリ回路504は、揮発性及び不揮発性の記憶媒体を含むことができる。プロセッサ502は、命令処理ユニット506及び演算ユニット508を含んでよい。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路504から命令を受信するように構成されてもよい。
【0144】
図11は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路510を示す。組み合わせ論理回路510は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。組み合わせ論理回路510は、入力514で外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理512によってデータを処理し、出力516を提供するように構成された組み合わせ論理512を含む有限状態マシンを含み得る。
【0145】
図12は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路520を示す。順序論理回路520又は組み合わせ論理522は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。順序論理回路520は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路520は、例えば、組み合わせ論理522、少なくとも1つのメモリ回路524、及びクロック529を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路524は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路520は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理522は、入力526から外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理522によってデータを処理し、出力528を提供するように構成されている。他の態様では、回路は、プロセッサ(例えば、
図13のプロセッサ502)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路(例えば
図14の組み合わせ論理回路510)と順序論理回路520の組み合わせを含むことができる。
【0146】
一態様では、外科システム1000の超音波又は高周波電流発生器は、ルックアップテーブル内に記憶される所定の数の位相点を望ましく用いて波形をデジタル化するように、電気信号波形をデジタル的に生成させるように構成され得る。メモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は任意の好適な不揮発性メモリで定義されたテーブル内に、位相点を記憶させてよい。
図13は、電気信号波形のための複数の波形を生成させるように構成された、直接デジタル合成(DDS)回路4100などのデジタル合成回路のための、基本的アーキテクチャの一態様を示す。発生器ソフトウェア及びデジタル制御は、ルックアップテーブル4104内のアドレスを走査するようにFPGAに指示を出すことができ、これが続いて電力増幅器に給電するDAC回路4108に様々なデジタル入力値を提供する。アドレスは、目的の周波数に従って走査されてよい。こうしたルックアップテーブル4104を使用することは、組織内、又は変換器、RF電極、複数の変換器内に同時に、複数のRF電極内に同時に、若しくはRF及び超音波器具の組み合わせ内に供給され得る、様々な種類の波形を生成させることを可能にする。更に、複数の波形を表す複数のルックアップテーブル4104を作成し、記憶し、発生器から組織に適用することができる。
【0147】
波形信号は、超音波トランスデューサ及び/若しくはRF電極、又はそれらの複数(例えば、2つ若しくはそれ以上の超音波トランスデューサ及び/又は2つ若しくはそれ以上のRF電極)の出力電流、出力電圧、又は出力電力のうち、少なくとも1つを制御するように構成されてよい。更に、外科用器具が超音波コンポーネントを備える場合、波形信号は、少なくとも1つの外科用器具の超音波トランスデューサの少なくとも2つの振動モードを駆動させるように構成されてよい。したがって、発生器は、波形信号を少なくとも1つの外科用器具へと提供するように構成されてよく、波形信号は、テーブル内の複数の波形の少なくとも1つの波形に応答する。なお、2つの外科用器具に提供される波形信号は、2つ又はそれ以上の波形を含んでよい。テーブルは複数の波形に関係した情報を含んでよく、またテーブルは発生器内に記憶されてよい。一態様又は一実施例では、テーブルは、直接デジタル合成テーブルであってよく、発生器のFPGA内に記憶されてよい。テーブルは、波形をカテゴリー化するのに便利である任意の方法によってアドレス指定されてよい。一態様によれば、直接デジタル合成テーブルであり得るテーブルは、波形信号の周波数に従ってアドレス指定される。更に、複数の波形に関係した情報は、デジタル情報としてテーブル内に記憶されてよい。
【0148】
アナログ電気信号波形は、超音波トランスデューサ及び/若しくはRF電極、又はそれらの複数(例えば、2つ若しくはそれ以上の超音波トランスデューサ及び/又は2つ若しくはそれ以上のRF電極)の出力電流、出力電圧、又は出力電力のうち、少なくとも1つを制御するように構成されてよい。更に、外科用器具が超音波コンポーネントを備える場合、アナログ電気信号波形は、少なくとも1つの外科用器具の超音波トランスデューサの少なくとも2つの振動モードを駆動させるように構成されてよい。したがって、発生器回路は、アナログ電気信号波形を少なくとも1つの外科用器具へと提供するように構成されてよく、アナログ電気信号波形は、ルックアップテーブル4104内に記憶された複数の波形の少なくとも1つの波形に対応する。なお、2つの外科用器具に提供されるアナログ電気信号波形は、2つ又はそれ以上の波形を含んでよい。ルックアップテーブル4104は、複数の波形に関連した情報を含んでよく、またルックアップテーブル4104は、発生器回路又は外科用器具のいずれかに記憶されてよい。一態様又は実施例では、ルックアップテーブル4104は、直接デジタル合成テーブルであってよく、これは発生器回路又は外科用器具のFPGAに記憶されてよい。ルックアップテーブル4104は、波形をカテゴリー化するために便利である任意の方法によってアドレス指定されてもよい。一態様によれば、直接デジタル合成テーブルであり得るルックアップテーブル4104は、所望のアナログ電気信号波形の周波数に従ってアドレス指定される。更に、複数の波形に関係した情報は、デジタル情報としてルックアップテーブル4104に記憶されてよい。
【0149】
計装システム及び通信システムにおけるデジタル技術の広範な使用を伴い、基準周波数から複数の周波数を生成させるデジタル的制御法が発展し、直接デジタル合成と呼ばれている。基本アーキテクチャを
図13に示す。簡略化された本ブロック図では、DDS回路は、発生器回路のプロセッサ、コントローラ、又は論理機構、及び外科システム1000の発生器回路内に位置するメモリ回路に連結されている。DDS回路4100は、アドレスカウンタ4102、ルックアップテーブル4104、レジスタ4106、DAC回路4108、及びフィルタ4112を備える。安定クロックf
cは、アドレスカウンタ4102により受信され、レジスタ4106は、正弦波(又は他の任意の波形)のサイクルの1つ以上の整数をルックアップテーブル4104内に記憶するプログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)を駆動する。アドレスカウンタ4102が記憶場所をステップスルーすると、ルックアップテーブル4104内に記憶された値は、DAC回路4108に連結されたレジスタ4106に書き込まれる。ルックアップテーブル4104の記憶場所における信号の対応するデジタル振幅は、続いてアナログ出力信号4110を生成させるDAC回路4108を駆動する。アナログ出力信号4110のスペクトル純度は、主としてDAC回路4108により決定される。位相雑音は、基本的に基準クロックf
cのものである。DAC回路4108から出力される第1のアナログ出力信号4110は、フィルタ4112によりフィルタリングされ、フィルタ4112により出力される第2のアナログ出力信号4114は、発生器回路の出力に連結された出力を有する増幅器へと提供される。第2のアナログ出力信号は、周波数f
outを有する。
【0150】
DDS回路4100は、サンプリングされたデータシステムであるため、量子化雑音、エイリアシング、フィルタリングなどのサンプリングに伴う問題を考慮しなければならない。例えば、位相ロックループ(PLL)ベースのシンセサイザの出力の高次高調波がフィルタリングされ得るのに対して、DAC回路4108出力周波数の高次高調波はナイキスト帯域幅に折り返して、それらをフィルタリング不可にする。ルックアップテーブル4104は、サイクルの整数に関する信号データを含む。最終出力周波数foutは、基準クロック周波数fcを変更することで、又はPROMを再プログラミングすることによって変更することができる。
【0151】
DDS回路4100は、複数のルックアップテーブル4104を含んでもよく、ルックアップテーブル4104は、所定のサンプル数により表される波形を記憶し、サンプルは、所定の波形形状を画定する。したがって、独自の形状を有する複数の波形は、複数のルックアップテーブル4104内に記憶されて、器具設定又は組織フィードバックに基づく様々な組織処置を提供することができる。波形の例としては、表面組織凝固のための高い波高率のRF電気信号波形、より深い組織貫通のための低い波高率のRF電気信号波形、及び効果的な修正凝固を促進する電気信号波形が挙げられる。一態様では、DDS回路4100は、複数の波形ルックアップテーブル4104を作成することができ、組織処置手順の間(例えば、ユーザ入力又はセンサ入力に基づく「オンザフライ」又は実質実時間にて)、所望の組織効果及び/又は組織フィードバックに基づいて、個別のルックアップテーブル4104に記憶された様々な波形間で切り替えを行うことができる。したがって、波形間の切り替えは、例えば、組織インピーダンス及び他の要素に基づくことができる。他の態様では、ルックアップテーブル4104は、サイクル毎に組織内へと送達される電力を最大化するよう形成される電気信号波形(すなわち、台形波又は方形波)を記憶することができる。他の態様では、ルックアップテーブル4104は、同期された波形を記憶することができ、その結果、この波形が、RF及び超音波駆動信号を送達しながら、外科システム1000の多機能型外科用器具による電力送達を最大化する。更に他の態様では、ルックアップテーブル4104は、超音波周波数のロックを維持しながら、超音波並びにRF治療用及び/又は治療量以下のエネルギーを同時に駆動する電気信号波形を記憶することができる。様々な器具及びそれらの組織効果に特有のカスタム波形は、発生器回路の不揮発性メモリ内、又は外科システム1000の不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)内に記憶され得、また多機能型外科用器具を発生器回路に接続する際にフェッチされる。多くの高波高率「凝固」波形に使用される、指数関数的に減衰する正弦曲線の例を
図15に示す。
【0152】
DDS回路4100のよりフレキシブルで効果的な実装は、数値制御発振器(NCO)と呼ばれるデジタル回路を用いる。DDS回路4200などの、よりフレキシブルで効果的なデジタル合成回路のブロック図を
図14に示す。この簡略化されたブロック図では、DDS回路4200は、発生器のプロセッサ、コントローラ、又は論理機構に、及び発生器又は外科システム1000の外科用器具のうちのいずれかに位置するメモリ回路に連結されている。DDS回路4200は、負荷レジスタ4202、並列デルタ位相レジスタ4204、加算器回路4216、位相レジスタ4208、ルックアップテーブル4210(位相-振幅変換器)、DAC回路4212、及びフィルタ4214を備える。加算器回路4216及び位相レジスタ4208は、位相アキュムレータ4206の一部を形成する。クロック周波数f
cは、位相レジスタ4208及びDAC回路4212に印加される。負荷レジスタ4202は、基準クロック周波数信号f
cの分数としての出力周波数を特定する調整ワードを受信する。負荷レジスタ4202の出力は、調整ワードMと共に、並列デルタ位相レジスタ4204に提供される。
【0153】
DDS回路4200は、クロック周波数fcを生成させるサンプルクロック、位相アキュムレータ4206、及びルックアップテーブル4210(例えば、位相-振幅変換器)を含む。位相アキュムレータ4206の内容は、クロックサイクルfc毎に一度更新される。位相アキュムレータ4206が更新されると、並列デルタ位相レジスタ4204内に記憶されたデジタル数Mは、加算器回路4216により位相レジスタ4208内の数に加算される。並列デルタ位相レジスタ4204内の数は、00...01であり、位相アキュムレータ4206の初期の内容は、00...00であると仮定する。位相アキュムレータ4206は、クロックサイクル毎に00...01と更新される。位相アキュムレータ4206が32-ビット幅である場合、位相アキュムレータ4206が00...00へと戻るまでに232クロックサイクル(40億超)が必要とされ、サイクルは繰り返される。
【0154】
位相アキュムレータ4206の切り捨てられた出力4218は、位相-振幅変換器のルックアップテーブル4210へと提供され、またルックアップテーブル4210の出力はDAC回路4212に連結される。位相アキュムレータ4206の切り捨てられた出力4218は、正弦(又は余弦)ルックアップテーブルへのアドレスとして機能する。ルックアップテーブル内のアドレスは、正弦波における0~360°の位相点に対応する。ルックアップテーブル4210は、正弦波の1つの完全サイクルの対応するデジタル振幅情報を含む。したがって、ルックアップテーブル4210は、位相情報を位相アキュムレータ4206からデジタル振幅ワードにマッピングし、続いてこれがDAC回路4212を駆動させる。DAC回路の出力は、第1のアナログ信号4220であり、フィルタ4214によりフィルタリングされる。フィルタ4214の出力は、発生器回路の出力に連結された電力増幅器へと提供される、第2のアナログ信号4222である。
【0155】
一態様では、デジタル化され得る波形が、256(28)~281、474、976、710、656(248)の範囲(表1に示すように、nは正の整数である)の任意の好適な2n位相点の数であるにもかかわらず、電気信号波形を1024(210)位相点へとデジタル化してよい。電気信号波形はA
n(θ
n)として表されてもよく、点nにおける正規化された振幅A
nは位相角θ
nにより表され、点nにおける位相点と呼ばれる。個別の位相点nの数は、DDS回路4200(及び
図13に示すDDS回路4100)の調整分解能を決定する。
【0156】
表1は、多数の位相点にデジタル化された電気信号波形を特定する。
【0157】
【0158】
発生器回路アルゴリズム及びデジタル制御回路は、ルックアップテーブル4210内のアドレスを走査し、次にルックアップテーブル4210はフィルタ4214及び電力増幅器に給電するDAC回路4212に様々なデジタル入力値を提供する。アドレスは、目的の周波数に従って走査されてよい。ルックアップテーブルを使用することで、DAC回路4212によりアナログ出力信号へと変換され、フィルタ4214によりフィルタリングされ、発生器回路の出力に連結した電力増幅器により増幅され、RFエネルギーの形態で組織に供給されるか又は超音波トランスデューサに供給され、かつ熱の形態でエネルギーを組織へと送達する超音波振動形態で組織に適用され得る、様々な種類の形状を生成させることが可能である。増幅器の出力は、例えば、単一のRF電極、同時に複数のRF電極、単一の超音波トランスデューサ、同時に複数の超音波トランスデューサ又はRF変換器及び超音波トランスデューサの組み合わせに適用することができる。更に、複数の波形テーブルを作成し、記憶して、発生器回路から組織に適用することができる。
【0159】
再び
図13を参照すると、n=32及びM=1の場合、位相アキュムレータ4206はオーバフローして再起動する前に、232個の可能な出力をステップスルーする。対応する出力波周波数は、232で除算された入力クロック周波数に等しい。M=2である場合は、位相レジスタ1708は2倍の速度で「ロールオーバー」し、出力周波数は倍増する。これは、以下のように一般化され得る。
【0160】
n-ビットを蓄積するように構成された位相アキュムレータ4206の場合(nは、一般にほとんどのDDSシステムで24~32の範囲であるが、前述したように、nは広範囲の選択肢から選択されてよい)、2nの可能な位相点が存在する。デルタ位相レジスタにおけるデジタルワードMは、位相アキュムレータがクロックサイクル毎に増分する量を表す。fcがクロック周波数である場合、出力正弦波の周波数は、以下に等しい。
【0161】
【0162】
上記の式は、DDS「調整方程式」として知られている。システムの周波数分解能は、
【0163】
【数4】
と等しいことに留意されたい。n=32では、分解能は40億における一部よりも高い。DDS回路4200の一態様では、位相アキュムレータ4206外の全てのビットがルックアップテーブル4210に伝えられるわけではなく、切り捨てられて、例えば、最初の13~15個の最上位ビット(MSB)のみが残される。これはルックアップテーブル4210のサイズを低減し、かつ周波数分解能に影響を及ぼさない。位相の切り捨ては、少量だが許容できる位相雑音の量のみを最終出力に追加する。
【0164】
電気信号波形は、所定周波数における電流、電圧、又は電力により特徴付けられてよい。更に、外科システム1000の外科用器具のうちのいずれか1つが超音波コンポーネントを備える場合、電気信号波形は、少なくとも1つの外科用器具の超音波トランスデューサの少なくとも2つの振動モードを駆動させるように構成されてよい。したがって、発生器回路は、電気信号波形を少なくとも1つの外科用器具に提供するように構成されてよく、電気信号波形は、ルックアップテーブル4210(又は、
図13のルックアップテーブル4104)内に記憶された所定の波形を特徴とする。なお、電気信号波形は、2つ又はそれ以上の波形の組み合わせであってよい。ルックアップテーブル4210は、複数の波形に関係した情報を含んでもよい。一態様又は一実施例では、ルックアップテーブル4210はDDS回路4200により生成されてよく、直接デジタル合成テーブルと呼ばれることもある。DDSは、オンボードメモリにおける大きな反復波形の第1記憶動作により、作動する。波形(正弦、三角形、方形、任意)のサイクルは、表1に示すように、所定の数の位相点によって表され、メモリに記憶され得る。一度波形がメモリ内部に記憶されると、非常に正確な周波数にて波形が生成され得る。直接デジタル合成テーブルは、発生器回路の不揮発性メモリ内に記憶され得、かつ/又は発生器回路内のFPGA回路と共に実装され得る。ルックアップテーブル4210は、波形をカテゴリー化するのに便利な任意の好適な技術によってアドレス指定されてよい。一態様によれば、ルックアップテーブル4210は、電気信号波形の周波数に従ってアドレス指定される。更に、複数の波形に関連する情報は、メモリ内のデジタル情報として、又はルックアップテーブル4210の一部として記憶されてよい。
【0165】
一態様では、発生器回路は、電気信号波形を少なくとも2つの外科用器具へと同時に提供するように構成されてよい。発生器回路はまた、発生器回路の単一の出力チャネルを介して、2つの外科用器具へと同時に電気信号波形(2つ又はそれ以上の波形によって特徴付けられ得る)を提供するように構成されてもよい。例えば、一態様では、電気信号波形は、超音波トランスデューサを駆動する第1の電気信号(例えば、超音波駆動信号)、第2のRF駆動信号及び/又はそれらの組み合わせを含む。更に、電気信号波形は、複数の超音波駆動信号、複数のRF駆動信号、並びに/又は複数の超音波駆動信号及びRF駆動信号の組み合わせを含んでよい。
【0166】
更に、本開示に従った発生器回路の操作方法は、電気信号波形を生成させること、及び生成された電気信号波形を外科システム1000の外科用器具のうちのいずれか1つに提供することを含み、電気信号波形を生成させることは、メモリから電気信号波形に関係した情報を受信することを含む。生成された電気信号波形は、少なくとも1つの波形を含む。更に、生成された電気信号波形を少なくとも1つの外科用器具へと提供することは、電気信号波形を少なくとも2つの外科用器具へと同時に提供することを含む。
【0167】
本明細書に記載される発生器回路は、様々な種類の直接デジタル合成テーブルの生成を可能にし得る。発生器回路により生成される、種々の組織の処置に好適なRF/電気外科用信号の波形の例としては、高波高率を伴うRF信号(RFモードで表面凝固に使用され得る)、低波高率を伴うRF信号(より深い組織貫通のために使用され得る)及び効率的な修正凝固を促進する波形が挙げられる。発生器回路はまた、直接デジタル合成ルックアップテーブル4210を用いて複数の波形を生成させることができ、また、オンザフライで所望の組織効果に基づく特定の波形間で切り替えを行うことができる。切り替えは、組織インピーダンス及び/又は他の要素に基づいてよい。
【0168】
従来の正弦/余弦波形に加えて、発生器回路は、サイクル毎の組織への電力を最大化する波形(複数可)(すなわち、台形波又は方形波)を生成させるように構成されてよい。発生器回路が、RF信号及び超音波信号を同時に駆動することを可能にする回路トポロジーを含むのであるならば、発生器回路は、RF信号及び超音波信号を同時に駆動する場合に、負荷へと送達される電力を最大化するように、かつ超音波周波数ロックを維持するように同期される波形(複数可)を提供することができる。更に、器具及びその組織効果に固有のカスタム波形は、不揮発性メモリ(NVM)内又は器具のEEPROM内に記憶され得、また外科システム1000の外科用器具のうちのいずれか1つを発生器回路に接続する際にフェッチされ得る。
【0169】
DDS回路4200は、複数のルックアップテーブル4104を備えてよく、ルックアップテーブル4210は、所定数の位相点(サンプルと呼ばれる場合もある)により表される波形を記憶し、位相点は所定の波形の形状を画定する。したがって、独自の形状を有する複数の波形は、複数のルックアップテーブル4210内に記憶されて、器具設定又は組織フィードバックに基づく様々な組織処置を提供することができる。波形の例としては、表面組織凝固のための高い波高率のRF電気信号波形、より深い組織貫通のための低い波高率のRF電気信号波形、及び効果的な修正凝固を促進する電気信号波形が挙げられる。一態様では、DDS回路4200は、複数の波形ルックアップテーブル4210を作成することができ、組織処置手順の間(例えば、ユーザ入力又はセンサ入力に基づく「オンザフライ」又は実質実時間にて)、所望の組織効果及び/又は組織フィードバックに基づいて、様々なルックアップテーブル4210に記憶された様々な波形間で切り替えを行うことができる。したがって、波形間の切り替えは、例えば、組織インピーダンス及び他の要素に基づくことができる。他の態様では、ルックアップテーブル4210は、サイクル毎に組織内へと送達される電力を最大化するよう形成される電気信号波形(すなわち、台形波又は方形波)を記憶することができる。他の態様では、ルックアップテーブル4210は、同期した波形を記憶することができ、その結果、この波形が、RF及び超音波駆動信号を送達するときに、外科システム1000の外科用器具のうちの任意の1つによる電力送達を最大化する。更に他の態様では、ルックアップテーブル4210は、超音波周波数のロックを維持しながら、超音波並びにRF治療用及び/又は治療量以下のエネルギーを同時に駆動する電気信号波形を記憶することができる。一般に、出力波形は、正弦波、余弦波、脈波、方形波などの形態であってもよい。それにもかかわらず、異なる器具及びそれらの組織効果に特有のより複雑なカスタム波形は、発生器回路の不揮発性メモリ内、又は外科用器具の不揮発性メモリ(例えば、EEPROM)内に記憶することができ、また外科用器具を発生器回路に接続する際にフェッチされ得る。カスタム波形の一例は、
図43に示されるような、多くの高波高率「凝固」波形に使用される、指数関数的に減衰する正弦波形である。
【0170】
図15は、アナログ波形4304の本開示の少なくとも1つの態様による(比較目的のために離散時間デジタル電気信号波形4300に重ね合わされて示される)、離散時間デジタル電気信号波形4300の1サイクルを示す。水平軸は、時間(t)を表し、縦軸はデジタル位相点を表す。デジタル電気信号波形4300は、例えば、所望のアナログ波形4304のデジタル離散時間バージョンである。デジタル電気信号波形4300は、1サイクル又は期間T
oにわたるクロックサイクルT
clk毎の振幅を表す、振幅位相点4302を記憶することにより生成される。デジタル電気信号波形4300は、任意の好適なデジタル処理回路により、1期間T
oにわたって生成される。振幅位相点は、メモリ回路内に記憶されたデジタルワードである。
図13、
図14に示す実施例では、デジタルワードは、26又は64ビットの分解能を有する、振幅位相点を記憶することができる6ビットワードである。
図13、
図14に示す実施例は、例証目的のためのものであり、実際の実装では分解能ははるかに高くなり得ることが理解されるであろう。1サイクルT
oにわたるデジタル振幅位相点4302は、例えば、
図13及び
図14に関して記載されるように、ルックアップテーブル4104、4210内のストリングワードのストリングとしてメモリに記憶される。これも
図13、
図14に関して記載されるように、アナログバージョンのアナログ波形4304を生成させるために、振幅位相点4302は、クロックサイクルT
clk毎に0~T
oでメモリから順番に読み取られ、かつDAC回路4108、4212によって変換される。追加のサイクルは、所望され得るだけのサイクル又は期間にわたって0~T
oで、デジタル電気信号波形4300の振幅位相点4302を繰り返し読み取ることによって生成することができる。平滑アナログバージョンのアナログ波形4304は、フィルタ4112、4214(
図13及び
図14)によってDAC回路4108、4212の出力をフィルタリングすることにより達成される。フィルタリングされたアナログ出力信号4114、4222(
図13及び
図14)は、電力増幅器の入力に印加される。
【0171】
図16は、ネストされたPIDフィードバックコントローラとして実装され得る制御システム12950の図である。PIDコントローラは、所望の設定点と測定されたプロセス変数との間の差として誤差値を連続的に計算するための制御ループフィードバック機構(コントローラ)であり、比例、積分、及び微分項(それぞれP、I、及びDで示される場合がある)に基づいて補正を適用する。ネスト化PIDコントローラフィードバック制御システム12950は、一次(外側)フィードバックループ12954内の一次コントローラ12952と、二次(内側)フィードバックループ12956内の二次コントローラ12955とを含む。一次コントローラ12952は
図17に示すようなPIDコントローラ12972であってもよく、二次コントローラ12955も
図17に示すようなPIDコントローラ12972であってもよい。一次コントローラ12952は、一次プロセス12958を制御し、二次コントローラ12955は二次プロセス12960を制御する。一次プロセス12958の出力12966は、第1の加算器12962によって一次設定値SP
1から減算される。第1の加算器12962は、一次コントローラ12952に印加される単一の和出力信号を生成する。一次コントローラ12952の出力は、二次設定値SP
2である。二次プロセス12960の出力12968は、第2の加算器12964によって二次設定値SP
2から減算される。
【0172】
図17は、本開示の一態様による、PIDフィードバック制御システム12970を例示する。一次コントローラ12952若しくは二次コントローラ12955、又はその両方は、PIDコントローラ12972として実装されてもよい。一態様では、PIDコントローラ12972は、比例要素12974(P)、積分要素12976(I)、及び微分要素12978(D)を含んでもよい。P要素12974、I要素12976、D要素12978の出力は加算器12986によって加算され、加算器12986は、制御変数μ(t)をプロセス12980に提供する。プロセス12980の出力は、プロセス変数y(t)である。加算器12984は、所望の設定値r(t)と測定されたプロセス変数y(t)との間の差を計算する。PIDコントローラ12972は、所望の設定値r(t)(例えば、閉鎖力閾値)と測定されたプロセス変数y(t)(例えば、閉鎖管の速度及び方向)との差として、誤差値e(t)(例えば、閉鎖力閾値と測定された閉鎖力との差)を継続的に計算し、それぞれ比例要素12974(P)、積分要素12976(I)、及び微分要素12978(D)によって計算された比例項、積分項、及び微分項に基づいた補正を適用する。PIDコントローラ12972は、制御変数μ(t)(例えば、閉鎖管の速度及び方向)を調節することによって、経時的な誤差e(t)を最小限に抑えることを試みる。
【0173】
PIDアルゴリズムによると、「P」要素12974は、誤差の現在の値に相当する。例えば、誤差が大きくかつ正である場合、制御出力も大きくかつ正となる。本開示によれば、誤差項e(t)は、閉鎖管の所望の閉鎖力と測定された閉鎖力との間で異なる。「I」要素12976は、誤差の過去の値に相当する。例えば、電流出力が十分に強くない場合、誤差の積分は経時的に蓄積し、コントローラは、より強い動作を適用することによって応答する。「D」要素12978は、その現在の変化率に基づいて、誤差の可能な将来動向に相当する。例えば、上記のPの例に戻ると、大きい正の制御出力が誤差をゼロに近づけることに成功すると、それはまた、プロセスを近い将来の大きな負の誤差に至る経路上に置く。この場合、微分は負になり、Dモジュールは、このオーバーシュートを防止するために動作の強さを低下させる。
【0174】
他の変数及び設定値が、フィードバック制御システム12950、12970に従って監視及び制御される場合もあることが理解されよう。例えば、本明細書に記載される適応型閉鎖部材速度制御アルゴリズムは、とりわけ、発射部材ストローク位置、発射部材負荷、切断要素の変位、切断要素の速度、閉鎖管ストローク位置、閉鎖管負荷のパラメータのうちの少なくとも2つを測定することができる。
【0175】
図18は、本開示の少なくとも1つの態様による、超音波電気機械システム132002の周波数を制御し、そのインピーダンスを検出するための代替的システム132000である。システム132000は発生器に組み込まれてもよい。メモリ132026に連結されたプロセッサ132004は、プログラム可能カウンタ132006をプログラムして、超音波電気機械システム132002の出力周波数f
oに同調させる。入力周波数は、水晶発振器132008によって生成され、周波数を好適な値にスケーリングするために固定カウンタ132010に入力される。固定カウンタ132010及びプログラム可能カウンタ132006の出力は、位相/周波数検出器132012に印加される。位相/周波数検出器132012の出力は、増幅器/アクティブフィルタ回路132014に印加されて、電圧制御式発振器132016(VCO)に印加される調整電圧V
tを生成する。VCO132016は、同等な電気回路として本明細書にモデル化されて示される超音波電気機械システム132002の超音波トランスデューサ部分に出力周波数f
oを適用する。超音波トランスデューサに印加される電圧信号及び電流信号は、電圧センサ132018及び電流センサ132020によって監視される。
【0176】
電圧センサ132018及び電流センサ13020の出力は、電圧センサ132018及び電流センサ13020によって測定される電圧と電流との間の位相角を決定するために、別の位相/周波数検出器132022に印加される。位相/周波数検出器132022の出力は、高速アナログ-デジタル変換器132024(ADC)の1つのチャネルに適用され、それを介してプロセッサ132004に提供される。任意で、超音波電気機械システム132002に印加される電圧信号と電流信号との間の位相角を決定するために、電圧センサ132018及び電流センサ132020の出力は、2チャネルADC132024のそれぞれのチャネルに印加されて、ゼロ交差、FFT、又は本明細書に記載される他のアルゴリズムのためにプロセッサ132004に提供されてもよい。
【0177】
任意で、出力周波数foに比例する調整電圧Vtは、ADC132024を介してプロセッサ132004にフィードバックされてもよい。これは、出力周波数foと比例するフィードバック信号をプロセッサ132004に提供し、このフィードバックを使用して出力周波数foを調節及び制御することができる。
【0178】
温度推定
図19A~
図19Bは、本開示の少なくとも1つの態様による、低温(室温)及び高温の超音波ブレードを備える、同じ超音波装置の複合インピーダンススペクトルのグラフ
図133000、
図133010である。本明細書で使用するとき、低温超音波ブレードは、室温の超音波ブレードを指し、高温超音波ブレードは、使用中に摩擦により加熱された後の超音波ブレードを指す。
図19Aは、低温及び高温の超音波ブレードを備える同じ超音波装置の共振周波数f
oの関数としてのインピーダンス位相角φのグラフ
図133000であり、
図19Bは、低温及び高温超音波ブレードを備える同じ超音波装置の共振周波数f
oの関数としてのインピーダンスの大きさ|Z|のグラフ
図133010である。インピーダンス位相角φ及びインピーダンスの大きさ|Z|は、共振周波数f
oにおいて最小である。
【0179】
超音波トランスデューサインピーダンスZg(t)は、駆動信号発生器電圧Vg(t)及び電流Ig(t)駆動信号の比として測定することができる。
【0180】
【0181】
図19Aに示すように、超音波ブレードが、例えば室温などの低温で、摩擦により加熱されていないとき、超音波装置の電気機械的共振周波数f
oは約55,500Hzであり、超音波トランスデューサの励起周波数は55,500Hzに設定される。したがって、超音波トランスデューサが電気機械的共振周波数f
oで励起され、超音波ブレードが低温であるとき、位相角φは、低温ブレードプロット133002によって示されるように最小又は約0ラジアン(Rad)である。
図19Bに示すように、超音波ブレードが低温であり、超音波トランスデューサが電気機械的共振周波数f
oで励起されるとき、インピーダンスの大きさ|Z|は800Ωであり、例えば、インピーダンスの大きさ|Z|は最小インピーダンスであり、駆動信号振幅は、
図6に示す超音波電気機械システムの直列共振等価回路のために最大である。
【0182】
ここで再び
図19A及び
図19Bを参照すると、超音波トランスデューサが、発生器電圧V
g(t)信号及び発生器電流I
g(t)信号によって55,500Hzの電気機械的共振周波数f
oで駆動されると、発生器電圧V
g(t)信号と発生器電流I
g(t)信号との間の位相角φはゼロであり、インピーダンスの大きさ|Z|は最小インピーダンス、例えば800Ωであり、信号振幅は、超音波電気機械システムの直列共振等価回路のためにピーク又は最大である。超音波ブレードの温度が増加すると、使用中に生成される摩擦熱に起因して、超音波装置の電気機械的共振周波数f
o’は減少する。超音波トランスデューサは依然として発生器電圧V
g(t)信号及び発生器電流I
g(t)信号によって55,500Hzの前の(低温ブレード)電気機械的共振周波数foで駆動されるため、超音波装置はオフレゾナンスf
o’で動作し、発生器電圧V
g(t)信号と発生器電流I
g(t)信号との間の位相角φの変化を引き起こす。また、55,500Hzの前の(低温ブレード)電気機械的共振周波数に対する駆動信号のインピーダンスの大きさ|Z|の上昇及びピーク大きさの低下も存在する。したがって、超音波ブレードの温度は、発生器電圧V
g(t)信号と発生器電流I
g(t)信号との間の位相角φを、超音波ブレードの温度変化による電気機械的共振周波数f
oの変化として測定することによって推定することができる。
【0183】
上述したように、電気機械的超音波システムは、超音波トランスデューサと、導波管と、超音波ブレードと、を含む。上述したように、超音波トランスデューサは、静電容量を有する第1ブランチと、共振器の電気機械特性を規定する直列接続されたインダクタンス、抵抗、及び容量を有する第2「動作」ブランチと、を含む等価直列共振回路(
図6を参照)としてモデル化されてもよい。電気機械的超音波システムは、超音波トランスデューサ、導波管、及び超音波ブレードの物理的特性によって定義される初期電気機械的共振周波数を有する。超音波トランスデューサは、電気機械的共振周波数、例えば電気機械的超音波システムの共振周波数と等しい周波数での交流電圧V
g(t)及び電流I
g(t)信号によって励起される。電気機械的超音波システムが共振周波数で励起されると、電圧V
g(t)信号と電流I
g(t)信号との間の位相角φはゼロである。
【0184】
別の言い方をすれば、共振時に、電気機械的超音波システムの相似の誘導性インピーダンスは、電気機械的超音波システムの相似の容量性インピーダンスに等しい。例えば組織との摩擦係合のために超音波ブレードが加熱すると、超音波ブレード(相似の容量としてモデル化される)のコンプライアンスによって、電気機械的超音波システムの共振周波数が変化する。本実施例では、超音波ブレードの温度が上昇するにつれて、電気機械的超音波システムの共振周波数は低下する。したがって、電気機械的超音波システムの相似の誘導性インピーダンスは、電気機械的超音波システムの相似の容量性インピーダンスともはや等しくなく、それにより電気機械的超音波システムの駆動周波数と新たな共振周波数との間に不整合が引き起こされる。そのため、高温の超音波ブレードの場合、電気機械的超音波システムは「オフレゾナンス」で動作する。駆動周波数と共振周波数との間の不整合は、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φとして現れる。
【0185】
上述したように、発生器電子機器は、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを容易に監視することができる。位相角φは、上述の技術の中でもとりわけ、フーリエ分析、加重最小二乗推定、カルマンフィルタリング、空間ベクトルベースの技術、ゼロ交差法、リサージュ図形、三電圧計法、交差コイル法、ベクトル電圧計及びベクトルインピーダンス法、位相標準機器、位相ロックループによって決定することができる。発生器は、位相角φを連続的に監視し、位相角φがゼロになるまで駆動周波数を調節することができる。この時点で、新しい駆動周波数は、電気機械的超音波システムの新しい共振周波数に等しい。位相角φ及び/又は発生器駆動周波数の変化は、超音波ブレードの温度の間接的又は推定測定値として使用することができる。
【0186】
これらのスペクトルのデータから温度を推定するために、様々な技術が利用可能である。最も注目すべきことに、超音波ブレードの温度と測定されたインピーダンスとの間の動的関係をモデル化するために、発生器駆動周波数の範囲にわたって、時変の非線形状態空間方程式のセットを採用することができ、
【0187】
【数6】
ここで発生器駆動周波数の範囲は装置モデルに固有である。
【0188】
温度推定の方法
超音波ブレードの温度を推定又は推測する1つの態様は、3つの工程を含み得る。第1に、時間及びエネルギー依存性の温度及び周波数の状態空間モデルを定義する。周波数成分の関数として温度をモデル化するために、一組の非線形状態空間方程式を使用して、電気機械的共振周波数と超音波ブレードの温度との間の関係をモデル化する。第2に、経時的に温度推定器及び状態空間モデルの精度を改善するためにカルマンフィルタを適用する。第3に、超音波トランスデューサ、及びひいては超音波ブレードに印加する電力を制御して超音波ブレードの温度を調節するために、カルマンフィルタのフィードバックループに状態推定器が設けられる。3つの工程を以下に記載する。
【0189】
工程1
第1の工程は、時間及びエネルギー依存性の温度及び周波数の状態空間モデルを定義することである。周波数成分の関数として温度をモデル化するために、一組の非線形状態空間方程式を使用して、電気機械的共振周波数と超音波ブレードの温度との間の関係をモデル化する。一態様では、状態空間モデルは、以下の式によって定義される。
【0190】
【0191】
状態空間モデルは、固有周波数Fn(t)、温度T(t)、エネルギーE(t)、及び時間tに対する、電気機械的超音波システムの固有周波数
【0192】
【0193】
【0194】
【数10】
は、電気機械的超音波システムの固有周波数F
n(t)、超音波ブレードの温度T(t)、超音波ブレードに印加されるエネルギーE(t)、及び時間tなどの測定可能かつ観察可能な変数の可観測性を表す。超音波ブレードの温度T(t)は、推定値として観察可能である。
【0195】
工程2
第2の工程は、温度推定器及び状態空間モデルを改善するためにカルマンフィルタを適用することである。
図20は、等式:
【0196】
【数11】
に従って、インピーダンスに基づいて温度推定器及び状態空間モデルを改善するためのカルマンフィルタ133020の図であり、これは、本開示の少なくとも1つの態様による、様々な周波数で測定された超音波トランスデューサにわたるインピーダンスを表す。
【0197】
カルマンフィルタ133020は、温度推定性能を改善するために用いられてもよく、ノイズの多いデータの中で温度予測を改善するための外部センサ、モデル、又は事前情報の増強を可能にする。カルマンフィルタ133020は、レギュレータ133022及びプラント133024を含む。制御理論では、プラント133024は、プロセスとアクチュエータとの組み合わせである。プラント133024は、システムの入力信号と出力信号との間の関係を示す伝達関数と称され得る。レギュレータ133022は、状態推定器133026及びコントローラK133028を含む。状態レギュレータ133026は、フィードバックループ133030を含む。状態レギュレータ133026は、入力としてプラント133024の出力であるyと、フィードバック変数uと、を受信する。状態推定器133026は、システムの状態の真の値に収束する内部フィードバックシステムである。状態推定器133026の出力は、
【0198】
【数12】
であり、完全なフィードバック制御変数は、電気機械的超音波システムのF
n(t)、超音波ブレードの温度の推定値T(t)、超音波ブレードに印加されるエネルギーE(t)、位相角φ、及び時間tを含む。コントローラK133028への入力は
【0199】
【数13】
であり、コントローラK133028の出力uは、状態推定器133026及びプラント133024のtにフィードバックされる。
【0200】
線形二次推定(LQE)としても知られるカルマンフィルタリングは、統計ノイズ及び他の不正確さを含む、経時的に観察される一連の測定値を使用し、単各時間枠の変数にわたる結合確率分布を推定し、したがって実際の測定値の最大尤度推定値を計算することによって、単一の測定のみに基づくものよりも正確となる傾向がある未知の変数の推定値を生成する、アルゴリズムである。アルゴリズムは、2段階プロセスで機能する。予測工程では、カルマンフィルタ133020は、それらの不確実性と共に、現在の状態変数の推定値を生成する。次の測定の結果が観察されると(ランダムノイズを含むいくらかの量のエラーで必然的に破損する)、これらの推定値は加重平均を使用して更新され、より高い確実性の推定にはより高い重みが与えられる。アルゴリズムは再帰的であり、現在の入力測定値並びに以前に計算された状態及びその不確実性マトリックスのみを使用してリアルタイムで実行することができ、追加の過去の情報は必要とされない。
【0201】
カルマンフィルタ133020は、電気機械的超音波システムの動的モデル、そのシステムへの既知の制御入力、並びに超音波トランスデューサに印加された信号の固有周波数及び位相角(例えば、超音波トランスデューサの電気インピーダンスの大きさ及び位相)の複数の連続測定値(観測)を使用して、電気機械的超音波システムの変化する量の推定値(その状態)を形成して電気機械的超音波システムの超音波ブレード部分の温度を予測し、これは、1つの測定値のみを使用して得られる推定値よりも良好である。したがって、カルマンフィルタ133020は、超音波ブレードの温度の最大尤度推定値を提供するためのセンサ及びデータ融合を含むアルゴリズムである。
【0202】
カルマンフィルタ133020は、固有周波数及び位相シフトデータを測定するために、超音波トランスデューサに印加された信号のノイズの多い測定値による不確実性を効果的に処理し、また、ランダムな外部要因による不確実性を効果的に処理する。カルマンフィルタ133020は、加重平均を使用したシステムの予測された状態と新たな測定値との平均として、電気機械的超音波システムの状態の推定値を生成する。加重値は、より良好な(即ち、より小さい)推定不確実性を提供し、非加重値よりも「信頼できる」ものである。加重は、システム状態の予測の推定された不確実性の尺度である共分散から算出され得る。加重平均の結果は、予測された状態と測定された状態との間に位置する新たな状態推定値であり、いずれか単独よりも良好な推定不確実性を有する。このプロセスは、全ての時間工程で繰り返され、新たな推定値及びその共分散は、以下の反復で使用される予測を提供する。カルマンフィルタ133020のこの再帰的性質は、新しい状態を計算するのに、電気機械的超音波システムの状態の全履歴ではなく最後の「最良の推測」のみを必要とする。
【0203】
測定値及び現在状態推定値の相対的確実性は重要な考慮事項であり、フィルタの応答性について、カルマンフィルタ133020のゲインKによって議論することが一般的である。カルマンゲインKは、測定値及び現在状態推定値に与えられる相対重みであり、特定の性能を達成するために「調整」され得る。高いゲインKの場合、カルマンフィルタ133020は、最新の測定値により多くの重みを配置し、そのため、最新の測定値に対してより応答的に従う。低いゲインKの場合、カルマンフィルタ133020は、モデル予測値に対してより厳密に従う。極値においては、1に近い高ゲインは、より変動的な推定軌道をもたらし、ゼロに近い低ゲインは、ノイズを除去するが応答性を低下させる。
【0204】
カルマンフィルタ133020の実際の計算を実行するとき(後述するとおり)、状態推定値及び共分散は、単一の計算セットに関与する複数の次元を扱うためにマトリックスにコード化される。これにより、移行モデル又は共分散のいずれかにおいて、様々な状態変数(位置、速度、及び加速度など)間の直線関係の表現を可能にする。カルマンフィルタ133020の使用は、誤差がガウスであると仮定しない。しかしながら、カルマンフィルタ133020は、全ての誤差がガウス分布である特別な場合における正確な条件的確率推定値をもたらす。
【0205】
工程3
第3の工程は、超音波トランスデューサ、及びひいては超音波ブレードに印加される電力を制御して超音波ブレードの温度を調節するために、カルマンフィルタ133020のフィードバックループ133032内の状態推定器133026を使用する。
【0206】
図21は、本開示の少なくとも1つの態様による、推定値を最大化するために、
図20に示すカルマンフィルタ133020の状態推定器133026によって採用される3つの確率分布のグラフ表示133040である。確率分布は、事前確率分布133042、予測(状態)確率分布133044、及び観測確率分布133046を含む。3つの確率分布133042、133044、1330467は、本開示の少なくとも1つの態様による、様々な周波数で測定された超音波トランスデューサにわたるインピーダンスに基づいて温度を調節するために、超音波トランスデューサに印加される電力のフィードバック制御に使用される。インピーダンスに基づいて温度を調節するために超音波トランスデューサに印加される電力のフィードバック制御に使用される推定器は、以下の式によって定義される:
【0207】
【数14】
これは、本開示の少なくとも1つの態様による、様々な周波数で測定された超音波トランスデューサにわたるインピーダンスである。
【0208】
前確率分布133042は、次の式によって定義される状態変動を含む。
【0209】
【0210】
【数16】
は、予測(状態)確率分布133044として表されるシステムの次の状態を予測するために使用される。観測確率分布133046は、観測分散σ
mが以下の式によって定義されるゲインを定義するために用いられる、システム状態の実際の観測値の確率分布である。
【0211】
【0212】
フィードバック制御
(状態推定器及びカルマンフィルタによって推定される)温度が制御されることを確実にするために、電力入力が低減される。
【0213】
一態様では、初期の概念実証は、電気機械的超音波システムの固有周波数と超音波ブレードの温度との間の静的直線関係を仮定した。電気機械的超音波システムの固有周波数の関数としての電力を低減すること(すなわち、フィードバック制御によって温度を調節すること)によって、超音波ブレード先端部の温度を直接制御することができる。この実施例では、超音波ブレードの遠位先端部の温度は、テフロンパッドの融点を超えないように制御され得る。
【0214】
図22Aは、温度フィードバック制御なしの超音波装置の温度対時間のグラフ
図133050である。超音波ブレードの温度(℃)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。試験は、セーム革を超音波装置のジョー内に配置して実施した。一方のジョーは超音波ブレードであり、他方のジョーはテフロンパッドを有するクランプアームである。超音波ブレードは、超音波ブレードとクランプアームとの間にクランプされたセーム革と摩擦係合する間に、共振周波数で励起された。経時的に、超音波ブレードの温度(℃)は、セーム革との摩擦係合に起因して上昇する。経時的に、超音波ブレードの温度プロファイル133052は、点133054に示される約19.5秒後の温度220℃においてセーム革試料が切断されるまで上昇する。温度フィードバック制御なしでは、セーム革試料が切断された後、超音波ブレードの温度はテフロンの融点である約380℃を大きく超えて最大で約490℃の温度まで上昇する。点133056において、超音波ブレードの温度は、テフロンパッドが完全に融解するまで490℃の最高温度に達する。超音波ブレードの温度は、パッドが完全に消滅した後、点133056におけるピーク温度からわずかに低下する。
【0215】
図22Bは、本開示の少なくとも1つの態様による、温度フィードバック制御を伴う超音波装置の温度対時間のプロットである。超音波ブレードの温度(℃)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。試験は、超音波装置のジョー内に配置されたセーム革試料を用いて実施した。一方のジョーは超音波ブレードであり、他方のジョーはテフロンパッドを有するクランプアームである。超音波ブレードは、超音波ブレードとクランプアームパッドとの間にクランプされたセーム革と摩擦係合する間に、共振周波数で励起された。経時的に、超音波ブレードの温度プロファイル133062は、点133064に示される約23秒後の温度220℃においてセーム革試料が切断されるまで上昇する。温度フィードバック制御ありでは、超音波ブレードの温度は、点133066で示される、テフロン融点のすぐ下にある約380℃の最高温度まで上昇し、続いて概して領域133068で示される平均約330℃まで下げられ、それによってテフロンパッドが融解するのを防ぐ。
【0216】
パッド保護のための制御された熱管理(CTM)
一態様では、本開示は、フィードバック制御を用いて温度を調節するための制御された熱管理(CTM)アルゴリズムを提供する。フィードバック制御の出力は、超音波外科用器具にとって望ましい効果ではない超音波エンドエフェクタのクランプアームパッドの溶落ちを防止するために使用され得る。上述したように、一般に、パッドの溶落ちは、エンドエフェクタ内に把持された組織が横切開された後で、パッドと接触する超音波ブレードに超音波エネルギーを連続的に印加することによって引き起こされる。
【0217】
CTMアルゴリズムは、一般にチタンで作製された超音波ブレードの共振周波数が、温度に比例して変化するという事実を活用する。温度が上昇すると、超音波ブレードの弾性率が低下し、超音波ブレードの固有周波数も低下する。考慮すべき要因は、超音波ブレードの遠位端が高温であるが、導波管が低温である場合、超音波ブレードの遠位端及び導波管の両方とも高温である場合とは異なる所定の温度を達成するための周波数差(デルタ)が存在することである。
【0218】
一態様では、CTMアルゴリズムは、起動開始時に(ロック時に)、超音波電気機械システムの共振周波数の関数として、特定の所定の温度に到達するのに必要な超音波トランスデューサ駆動信号の周波数の変化を計算する。超音波導波管によって超音波ブレードに連結された超音波トランスデューサを備える超音波電気機械システムは、温度と共に変化する所定の共振周波数を有する。ロック時における超音波電気機械システムの共振周波数を用いて、超音波ブレードの初期熱状態を考慮して原因と温度終点を達成するために必要とされる超音波トランスデューサ駆動周波数の変化を推測することができる。超音波電気機械システムの共振周波数は、超音波トランスデューサ、若しくは超音波導波管、若しくは超音波ブレード、又はこれらの構成要素の組み合わせの温度の関数として変化し得る。
【0219】
図23は、本開示の少なくとも1つの態様による、初期共振周波数(ロック時の周波数)と、約340℃の温度を達成するために必要な周波数(デルタ周波数)の変化との間の関係のグラフ
図133300である。約340℃の超音波ブレード温度に達するのに必要な周波数の変化は垂直軸に沿って示され、ロック時における電気機械的超音波システムの共振周波数は水平軸に沿って示される。散布図として示される測定データ点133302に基づいて、約340℃の超音波ブレード温度に到達するために必要とされる周波数の変化と、ロックにおける共振周波数と、の間に直線関係133304が存在する。
【0220】
共振周波数ロック時では、CTMアルゴリズムは、ロック周波数と、テフロンパッドの融点(約340℃)のすぐ下の温度を達成するために必要とされるデルタ周波数との間の直線関係133304を用いる。
図24に示すように、周波数が、周波数の下限から特定のバッファ距離内にあると、超音波発生器133312を備えるフィードバック制御システム133310は、本開示の少なくとも1つの態様に従い、超音波トランスデューサの周波数(f)が所定の閾値よりも下がることを防ぐために、超音波電気機械システム133314の超音波トランスデューサに印加される電流(i)設定値を調節する。電流の設定値を低下させることにより、超音波ブレードの変位が減少し、続いて超音波ブレードの温度が低下し、超音波ブレードの固有周波数が上昇する。この関係により、超音波トランスデューサに印加される電流の変化が、超音波ブレードの固有周波数を調節し、超音波ブレード又は超音波電気機械システム133314の温度を間接的に制御することが可能になる。一態様では、発生器133312は、例えば、
図2、
図7、
図8A~
図8C、及び
図9A~
図9Bを参照して説明される超音波発生器として実装されてもよい。フィードバック制御システム133310は、例えば、
図16~
図17を参照して説明したPIDコントローラとして実装されてもよい。
【0221】
図25は、本開示の少なくとも1つの態様による、超音波エンドエフェクタ内のクランプアームパッドを保護するための制御された熱管理(CTM)アルゴリズムのプロセス又は論理構成のフロー
図133320である。フロー
図133320によって例示されるプロセス又は論理構成は、本明細書に記載される超音波発生器133312によって、又は超音波器具内に位置する制御回路若しくはこれらの組み合わせによって実行され得る。上述したように、発生器133312は、例えば、
図2、
図7、
図8A~
図8C、及び
図9A~
図9Bを参照して説明される発生器として実装されてもよい。
【0222】
一態様では、発生器133312内の制御回路は、最初に、超音波トランスデューサに電流を印加することによって超音波器具を起動させる。超音波電気機械システムの共振周波数は、最初に、超音波ブレード温度が低温であるか又は室温に近い初期状態でロックされる。例えば、組織との摩擦接触によって超音波ブレードの温度が上昇すると、制御回路は、超音波電気機械システムの共振周波数における変化又はデルタを監視し、所定のブレード温度に対するデルタ周波数閾値に到達したか否かを判定する(133324)。デルタ周波数が閾値を下回る場合、プロセスは、「いいえ」分岐に沿って進み、制御回路は引き続き、新しい共振周波数を探索し(133324)、デルタ周波数を監視する。デルタ周波数がデルタ周波数閾値を満たすか又はそれを超えると、プロセスは、「はい」分岐に沿って進み、クランプアームパッドの融点に対応する新しい低周波数限界(閾値)を計算する(133326)。非限定的な一実施例では、クランプアームパッドはテフロン製であり、融点は約340℃である。
【0223】
新しい周波数下限が計算されると(133326)、制御回路は、共振周波数が新たに計算されたより低い周波数限界に近いかどうかを判定する(133328)。例えば、テフロンクランプアームパッドの場合、制御回路は、例えば、超音波ブレード温度が350℃に近づいているかどうかを、現在の共振周波数に基づいて決定する(133328)。電流の共振周波数が低周波数限界を上回る場合、プロセスは、「いいえ」分岐に沿って進み、組織横切開に適した超音波トランスデューサに通常のレベルの電流を印加する(133330)。あるいは、電流の共振周波数が、低周波数限界以下である場合、プロセスは、「はい」分岐に沿って進み、超音波トランスデューサに印加される電流を修正することによって共振周波数を調節する(133332)。一態様では、制御回路は、例えば
図16~
図17を参照して説明したようなPIDコントローラを採用する。制御回路は、ループ内の周波数を調節して(133332)、「封止及び切断」外科処置が終了され、超音波トランスデューサが作動停止されるまで、周波数がいつ下限に近づいているかを判定する(133328)。論理フロー
図133320によって示されるCTMアルゴリズムは、クランプアームパッドの融点又はその付近でのみ効果を有するため、CTMアルゴリズムは組織が横切開された後で起動される。
【0224】
試料上で実施される破裂圧力試験は、論理フロー
図133320によって示されるCTMプロセス又は論理構成が、血管又は他の組織を封止及び切断するために用いられるとき、封止の破裂圧力への影響が存在しないことを示す。更に、試験試料に基づいて、横切開時間が影響を受けた。更に、温度測定は、超音波ブレード温度は、CTMフィードバックアルゴリズム制御なしの装置と比較してCTMアルゴリズムによって境界され、発射間に5秒間の休息を設けた、パッドに対して10秒の間に最大出力で10回の発射を経験した装置は、パッドの損耗が著しく減少し、CTMアルゴリズムフィードバック制御を有さない装置は、この酷使試験で3回以上耐えることはなかったことを確認する。
【0225】
図26は、本開示の少なくとも1つの態様による、超音波ブレードの所望の温度と、スマート超音波ブレードの温度及び従来の超音波ブレードの温度とを比較する、温度対時間のグラフ
図133340である。温度(℃)が縦軸に沿って示され、時間(秒)が横軸に沿って示される。プロットにおいて、破線は、超音波ブレードの所望の温度を表す温度閾値133342である。実線は、
図24及び
図25を参照して説明したCTMアルゴリズムの制御下での、スマート超音波ブレードの温度対時間曲線133344である。点線は、
図24及び
図25を参照して説明したCTMアルゴリズムの制御下にない標準の超音波ブレードの温度対時間曲線133346である。図示されるように、CTMアルゴリズムの制御下でのスマート超音波ブレードの温度が所望の温度閾値(約340℃)を超えると、CTMアルゴリズムは制御権を獲得して、横切開処置が完了して超音波トランスデューサへの電力が停止又は遮断されるまで、スマート超音波ブレードの温度を閾値と可能な限り近く一致させるように制御する。
【0226】
別の態様では、本開示は、例えば超音波剪断などの超音波装置による「封止のみ」の組織効果のためのCTMアルゴリズムを提供する。一般的に言えば、超音波外科用器具は、典型的には、組織を同時に封止及び切断する。切断せずに封止のみするように構成された超音波装置を作製することは、切断を開始する前にいつ封止が完了するかを知ることが不確実であるため、超音波技術のみを使用して達成が困難ではなかった。一態様では、CTMアルゴリズムが、超音波ブレードの温度が組織を切断(横切開)するために必要な温度を超えることができるが、クランプアームパッドの融点を超えないようにすることによって、エンドエフェクタのクランプアームパッドを保護するように構成されてもよい。別の態様では、CTMの封止のみアルゴリズムが、組織の封止温度(実験に基づいて約115℃~約180℃)を超えるが、組織の切断(横切開)温度(約180℃~約350℃)を超えないように調整されてもよい。後者の構成では、CTMの封止のみアルゴリズムは、成功裏に実証された「封止のみ」組織効果を提供する。例えば、
図25に示される初期ロック周波数に対する周波数の変化を計算する線形フィットでは、フィットの切片を変化させることは、超音波ブレードの最終的な定常状態温度を調節することになる。切片パラメータを調節することによって、超音波ブレードを、約180℃を決して超えず、組織封止をもたらすが切断しないように設定することができる。一態様では、ブレードの温度はCTMの封止のみアルゴリズムによって制御されるため、クランプ力を増加させることは、クランプアームパッドの溶落ちに影響を与えることなく封止プロセスを改善することができる。上述したように、CTMの封止のみアルゴリズムは、例えば、
図2、
図7、
図8A~
図8C、
図9A~
図9B、
図16、及び
図17を参照して説明した発生器及びPIDコントローラによって実装されてもよい。したがって、
図25に示すフロー
図133320は、制御回路が新たな低周波数限界を計算し(133326)(閾値tは、例えば、約180℃などの「封止のみ」温度に対応する)、周波数がいつ下限に近づいているかを判定し(133328)、「封止のみ」の外科処置が終了して超音波トランスデューサが停止されるまで温度を調節する(133332)ように修正されてもよい。
【0227】
別の態様では、本開示は、非外傷的把持が実行可能であるときを検出するように構成された低温熱監視(CTMo)アルゴリズムを提供する。音響超音波エネルギーは、組織を切断又は横切開する所望の効果を達成するために、約230℃~約300℃の超音波ブレード温度をもたらす。超音波トランスデューサを停止した後の一定期間、超音波ブレードの金属本体内に熱が保持されるため、超音波ブレードに蓄えられた残留熱は、超音波ブレードが冷却する機会を持つ前に超音波エンドエフェクタが組織を把持するために使用された場合に、組織の損傷を引き起こす可能性がある。
【0228】
一態様では、CTMoアルゴリズムは、高温状態における固有周波数からエンドエフェクタによって把持された組織を損傷することなく非外傷的把持が実行可能である温度における固有周波数までの超音波電気機械システムの固有周波数における変化を計算する。直接的に、又は超音波トランスデューサを起動してから所定の期間、固有周波数が見出されることが予期される、例えば約48,000~52,000Hzの周波数の帯域幅を含む非治療的信号(約5mA)が、超音波トランスデューサに印加される。FFTアルゴリズム、又は非治療的信号で超音波トランスデューサを刺激する間に測定される超音波トランスデューサのインピーダンスの他の超音波電気機械システムの固有周波数を検出する数学的に有効なアルゴリズムは、インピーダンスの大きさが最小である周波数として超音波ブレードの固有周波数を示す。このように超音波トランスデューサを継続的に刺激することにより、FFT又は固有周波数を推測又は測定するための他のアルゴリズムの周波数分解能内で超音波ブレードの固有周波数の継続的なフィードバックを提供する。非外傷的把持が実現可能である温度に対応する固有周波数の変化が検出されると、装置は非外傷的把持が可能であると示すために、トーン、若しくはLED、若しくはスクリーンディスプレイ、若しくは他の形態の通知、又はこれらの組み合わせが提供される。
【0229】
別の態様では、本開示は、封止及び切断又は横切開の終了のために調整するように構成されたCTMアルゴリズムを提供する。「組織封止」及び「切断の終了」の通知を提供することは、温度測定を超音波ブレードに容易に直接装着することができず、またクランプアームパッドはセンサを使用したブレードによって明確に検出されないため、従来の超音波装置にとって難しい課題である。CTMアルゴリズムは、超音波ブレードの温度状態を示すことができ、また「切断の終了」若しくは「組織封止」又はその両方の状態は、温度ベースの事象であるため、これらを示すために用いられ得る。
【0230】
一態様では、本開示によるCTMアルゴリズムは、「切断の終了」状態を検出して、通知を起動する。組織は、典型的には、高い確率で約210~約320℃で切断する。CTMアルゴリズムは320℃(又はそれに類する)でトーンを起動させて、その組織に対してそれ以上作用させることは生産的ではないということ、更に、その組織はおそらく切断済であり、超音波ブレードは現在ではクランプアームパッドに対して稼働しているということを示すことができる。なお、超音波ブレードがクランプアームパッドに対して稼働することは、CTMアルゴリズムが超音波ブレードの温度を制御しているため、CTMアルゴリズムが動作中は許容可能である。一態様では、CTMアルゴリズムは、超音波ブレードの温度が320℃に達したと推定されたら、超音波ブレードの温度を約320℃に維持するために、超音波トランスデューサへの電力を制御又は調節するようにプログラムされる。この時点でトーンを開始することにより、組織が切断されたと示すことができる。CTMアルゴリズムは、温度による周波数の変動に基づく。初期状態温度を(初期周波数に基づいて)判定した後、CTMアルゴリズムは、組織が切断されたときを示す温度に対応する周波数変化を計算することができる。例えば、開始周波数が51,000Hzである場合、CTMアルゴリズムは、320℃に達するために必要とされる周波数の変化(マイナス112Hzであり得る)を計算する。続いて、CTMアルゴリズムは制御を開始して、その周波数設定値(例えば50,888Hz)を維持し、それによって超音波ブレードの温度を調節する。同様に、周波数変化は、組織がおそらく切断されたことを示す温度に超音波ブレードがあるときを示す初期周波数に基づいて計算することができる。この時点で、CTMアルゴリズムは電力を制御する必要はなく、単に組織の状態を示すためのトーンを開始すればよく、又は、所望であれば、CTMアルゴリズムはこの時点での周波数を制御してその温度を維持することができる。どちらにしても、「切断の終了」が示される。
【0231】
一態様では、本開示によるCTMアルゴリズムは、「組織封止」状態を検出し、通知を起動する。切断の終了を検出するのと同様に、組織は約105~約200℃で封止する。封止のみの状態を示す、超音波ブレードの温度が200℃に達したことを示すのに必要な初期周波数からの周波数変化は、超音波トランスデューサの起動の開始時点で計算することができる。CTMアルゴリズムはこの時点でトーンを起動することができ、外科医が、封止のみの状態を得ることを望む場合は、外科医は起動を停止してもよく、若しくは封止のみの状態を達成することを望む場合は、外科医は超音波トランスデューサの起動を停止して、この時点から特定の封止のみアルゴリズムを自動的に開始してもよく、又は外科医は、組織切断状態を達成するために超音波トランスデューサの起動を継続してもよい。
【0232】
適応型高度組織治療パッドセーバモード
図27は、本開示の少なくとも1つの態様による、血管発射中の、時間の関数としての超音波ブレード温度のグラフ
図133110である。超音波ブレード温度のプロット133112は、水平軸に沿った時間の関数として垂直軸に沿ってグラフ化される。周波数-温度フィードバック制御アルゴリズムは、超音波ブレードフィードバック制御の温度をジョー感知能力と組み合わせる。周波数-温度フィードバック制御アルゴリズムは、装置の耐久性とのバランスがとれた最適な止血を提供し、クランプアームパッドを保護しながら、最良の封止のためにエネルギーをインテリジェントに送達することができる。
【0233】
図27に示すように、血管封止のための最適温度133114は、第1の標的温度T
1とマークされ、「無限の」クランプアームパッドの耐用期間のための最適温度133116は、第2の標的温度T
2とマークされる。周波数-温度フィードバック制御アルゴリズムは、超音波ブレードの温度を推定し、超音波ブレードの温度を第1の標的温度閾値T
1と第2の標的温度閾値T
2との間に維持する。したがって、発生器電力出力は、血管を封止し、クランプアームパッドの耐用期間を延長するための最適な超音波ブレード温度を達成するように駆動される。
【0234】
最初に、超音波ブレードが加熱されてブレードの温度が上昇し、最終的に、第1の標的温度閾値T1を超える。周波数-温度フィードバック制御アルゴリズムが引き継いで、血管横切開がt0で完了する133118まで、ブレードの温度をT1に制御し、その後、超音波ブレード温度は、第2の標的温度閾値T2を下回る。発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路、又はその両方は、超音波ブレードがクランプアームパッドと接触する(それはすなわち、血管の横切開が完了したことを示し得る)ときを検出する。血管横切開がt0で完了して検出されると、周波数-温度フィードバック制御アルゴリズムは、超音波ブレードの温度を第2の標的閾値T2に制御して、クラムアームパッドの耐用期間を延長するように切り替える。テフロン製クランプアームパッドに最適なクランプアームパッドの耐用期間温度は約325℃である。一態様では、高度組織治療は、第2の起動トーンでユーザに告知され得る。
【0235】
図28は、本開示の少なくとも1つの態様による、
図27に示される2つの温度設定値間の超音波ブレードの温度を制御するための制御プログラム又は論理構成を示すプロセスの論理フロー
図133120である。このプロセスによれば、発生器は、周波数-温度フィードバック制御アルゴリズムの一態様を実行して、例えば、超音波トランスデューサに印加される電圧V
g(t)信号及び/又は電流I
g(t)信号を調節して、超音波ブレード温度を血管封止に最適化された第1の標的T
1に設定することによって、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加する133122。前述したように、発生器は、超音波トランスデューサに印加される電圧V
g(t)信号と電流I
g(t)信号との間の位相角φを監視し133124、その位相角φに基づいて、発生器は、
図19A~
図21に関連して本明細書において説明される技術を使用して、超音波ブレードの温度を推定する133126。周波数-温度フィードバック制御アルゴリズムに従い、発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路又はその両方は、横切開が完了するまで、超音波ブレード温度を第1の標的温度T
1に維持する。周波数-温度フィードバック制御アルゴリズムは、血管横切開プロセスの完了を検出するために用いられてもよい。発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路又はその両方は、血管横切開が完了したときを判定する133128。このプロセスは、血管横切開が完了していないときには「いいえ」分岐に沿って進み、血管横切開が完了しているときには「はい」分岐に沿って進む。
【0236】
血管横切開が完了していない場合、発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路又はその両方は、超音波ブレードの温度が、血管封止及び横切開のために最適化された温度T1に設定されているかを判定する133130。超音波ブレード温度がT1に設定されている場合、プロセスは「はい」分岐に沿って進み、発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路又はその両方は、超音波トランスデューサに印加され、位相角φに基づく、電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φの監視133124を継続する。超音波ブレード温度がT1に設定されていない場合、プロセスは「いいえ」分岐に沿って進み、発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路又はその両方は継続して、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加する133122。
【0237】
血管横切開が完了すると、発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路又はその両方は、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加して133132、超音波ブレードを、クランプアームパッドの耐用期間を維持又は延長するために最適化された第2の標的温度T2に設定する。一部の態様では、発生器又は器具のプロセッサ若しくは制御回路、又は両方は、超音波ブレードがクランプアームパッドと接触するときを、血管横切開が完了していることを示すものとして検出する。発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路又はその両方は、超音波ブレードの温度が設定温度T2であるかを判定する133134。超音波ブレードの温度がT2に設定されていない場合、発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路又はその両方は、超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視し続ける133124。血管横切開が完了しているため、例えば、発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路、又は両方が、超音波ブレードがクランプアームパッドと接触していることを検出し、発生器若しくは器具のプロセッサ若しくは制御回路、又は両方が、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加して133132、超音波ブレードを第2の標的温度T2に設定する。超音波ブレードの温度がT2に設定されている場合、プロセスは血管横切開処置を完了する133136。
【0238】
いくつかの形態が例示され説明されてきたが、添付の「特許請求の範囲」をそのような詳述に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多くの修正、変形、変更、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって行われる機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変更、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0239】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を介して装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者は、そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの事実上いかなる組み合わせによっても、個々に及び/又は集合的に実装することができることを理解するであろう。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの事実上いかなる組み合わせとしても集積回路で同等に実現されることができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを書き出すことが本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。更に、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ以上のプログラム製品として分配されることが可能であり、本明細書に記載した主題の例証的な形態は、分配を実際に行うために使用される信号支持媒体の特定の種類にかかわらず適用されることが、当業者には理解されるであろう。
【0240】
様々な開示された態様を実行するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、又はその他の記憶装置などのシステム内のメモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又はその他のコンピュータ可読媒体によって分配され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構を挙げることができるが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ、又は、電気的、光学的、音響的、若しくはその他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読記憶装置に限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意の種類の有形機械可読媒体が挙げられる。
【0241】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、用語「制御回路」は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個々に、例えば、集積回路(integrated circuit、IC)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化され得る。したがって、本明細書で使用するとき、「制御回路」としては、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路、並びに/又は通信装置(例えば、モデム、通信スイッチ、若しくは光-電気機器)を形成する電気回路が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを認識するであろう。
【0242】
本明細書の任意の態様で使用される場合、「論理」という用語は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指し得る。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、指示、指示セット、及び/又はデータとして具現化され得る。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、指示若しくは指示セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化され得る。
【0243】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「構成要素」、「システム」、「モジュール」などという用語は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中ソフトウェアのいずれかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0244】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理的量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理的量と関連付けられ得、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利な標識である。
【0245】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークを挙げることができる。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(Transmission Control Protocol/Internet Protocol、TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があり得る。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(Asynchronous Transfer Mode、ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であり得る。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking 2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があり得る。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0246】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「表示する」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又はそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0247】
1つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成されている(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及され得る。当業者は、「ように構成されている」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0248】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用され得ることが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの配向及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0249】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「限定されない」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「~を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載において特定の数が意図される場合、かかる意図は請求項中に明確に記載され、かかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの」及び「1つ以上の」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む特許請求の範囲に限定されると示唆するものと解釈されるべきではない。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0250】
更に、導入された請求項記載において具体的な数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、通常は、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、これらに限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が使用される場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、これらに限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。典型的には、2つ以上の代替的な用語を表わすあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、特許請求の範囲内であろうと、又は図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には更に理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」あるいは「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0251】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書において引用した動作は一般に、任意の順序で実施され得ることを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、例示されたもの以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、漸進的、予備的、補足的、同時、逆、又はその他の異なる順序付けを含み得る。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又はその他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することを意図するものではない。
【0252】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機能、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれることを意味することは特記に値する。したがって、本明細書全体を通じて様々な場所に見られる「一態様では」、「態様では」、「例示では」、及び「一例示では」という句は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の態様において任意の好適な様態で組み合わせることができる。
【0253】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又はその他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0254】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が説明されてきた。1つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され説明されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0255】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
実施例1.2つの温度設定値間で超音波ブレードの温度を制御する方法であって、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加することと、
超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視することと、
超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φに基づいて、超音波ブレードの温度を推定することと、
横切開プロセスが完了していると判定することと、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することと、
を含む方法。
【0256】
実施例2.超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度を第2の標的温度T2よりも高い第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することを含む、実施例1に記載の方法。
【0257】
実施例3.超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度を血管封止のために最適化された第1の標的温度に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することを含む、実施例1及び2のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0258】
実施例4.超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度をクランプアームパッドの耐用期間のために最適化された第2の標的温度に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することを含む、実施例1~3のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0259】
実施例5.超音波ブレード温度をクランプアームパッドの耐用期間のために最適化された第2の標的温度に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度を325℃に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することを含む、実施例4に記載の方法。
【0260】
実施例6.横切開プロセスが完了していると判定することは、超音波ブレードがクランプアームパッドと接触していると判定することを含む、実施例1~5のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0261】
実施例7.超音波導波管を介して超音波ブレードに連結された超音波トランスデューサを備える超音波電気機械システムと、
クランプアームパッドと、
超音波トランスデューサに電力を供給するように構成された発生器であって、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加し、
超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視し、
超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φに基づいて、超音波ブレードの温度を推定し、
横切開プロセスが完了していると判定し、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加する、
ように構成された制御回路を備える発生器と、
を備える超音波外科用器具。
【0262】
実施例8.第1の標的温度T1が、第2の標的温度T2よりも高い、実施例7に記載の超音波外科用器具。
【0263】
実施例9.第1の標的温度T1が、血管封止のために最適化される、実施例7及び8のいずれか1つ以上に記載の超音波外科用器具。
【0264】
実施例10.第2の標的温度T2が、クランプアームパッドの耐用期間のために最適化される、実施例7~9のいずれか1つ以上に記載の超音波外科用器具。
【0265】
実施例11.第2の標的温度が、325℃である、実施例10に記載の超音波外科用器具。
【0266】
実施例12.横切開プロセスが完了していると判定するように構成された制御回路は、超音波ブレードがクランプアームパッドと接触していると判定するための制御回路を含む、実施例7~11のいずれか1つ以上に記載の超音波外科用器具。
【0267】
実施例13.超音波外科用器具用の発生器であって、
制御回路であって、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加し、
超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視し、
超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φに基づいて、超音波ブレードの温度を推定し、
横切開プロセスが完了していると判定し、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加する、
ように構成された制御回路を備える、発生器。
【0268】
実施例14.第1の標的温度T1が、第2の標的温度T2よりも高い、実施例13に記載の発生器。
【0269】
実施例15.第1の標的温度T1が、血管封止のために最適化される、実施例13及び14のいずれか1つ以上に記載の発生器。
【0270】
実施例16.第2の標的温度T2が、クランプアームパッドの耐用期間のために最適化される、実施例13~15のいずれか1つ以上に記載の発生器。
【0271】
実施例17.第2の標的温度が325℃である、実施例16に記載の発生器。
【0272】
実施例18.横切開プロセスが完了していると判定するように構成された制御回路は、超音波ブレードがクランプアームパッドと接触していると判定するための制御回路を含む、実施例13~17のいずれか1つ以上に記載の発生器。
【0273】
実施例19.プロセッサ及び非一過性メモリを備え、
非一過性メモリが、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加させ、
超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視させ、
超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φに基づいて、超音波ブレードの温度を推定させ、
横切開プロセスが完了していると判定させ、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加させる、
指示を含む、超音波外科用システム。
【0274】
〔実施の態様〕
(1) 2つの温度設定値間で超音波ブレードの温度を制御する方法であって、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して前記超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加することと、
前記超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視することと、
前記超音波トランスデューサに印加される前記電圧Vg(t)信号と前記電流Ig(t)信号との間の前記位相角φに基づいて、前記超音波ブレードの前記温度を推定することと、
横切開プロセスが完了していると判定することと、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することと、
を含む方法。
(2) 超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することが、前記超音波ブレード温度を前記第2の標的温度T2よりも高い第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することが、前記超音波ブレード温度を血管封止のために最適化された第1の標的温度に設定するために、超音波トランスデューサに第1の電力レベルを印加することを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度をクランプアームパッドの耐用期間のために最適化された第2の標的温度に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 超音波ブレード温度をクランプアームパッドの耐用期間のために最適化された第2の標的温度に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することが、超音波ブレード温度を325℃に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加することを含む、実施態様4に記載の方法。
【0275】
(6) 横切開プロセスが完了していると判定することは、前記超音波ブレードがクランプアームパッドと接触していると判定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 超音波導波管を介して超音波ブレードに連結された超音波トランスデューサを備える超音波電気機械システムと、
クランプアームパッドと、
前記超音波トランスデューサに電力を供給するように構成された発生器であって、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して前記超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加し、
前記超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視し、
前記超音波トランスデューサに印加される前記電圧Vg(t)信号と前記電流Ig(t)信号との間の前記位相角φに基づいて、前記超音波ブレードの前記温度を推定し、
横切開プロセスが完了していると判定し、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加する、
ように構成された制御回路を備える発生器と、
を備える超音波外科用器具。
(8) 前記第1の標的温度T1が、前記第2の標的温度T2よりも高い、実施態様7に記載の超音波外科用器具。
(9) 前記第1の標的温度T1が、血管封止のために最適化される、実施態様7に記載の超音波外科用器具。
(10) 前記第2の標的温度T2が、クランプアームパッドの耐用期間のために最適化される、実施態様7に記載の超音波外科用器具。
【0276】
(11) 前記第2の標的温度が、325℃である、実施態様10に記載の超音波外科用器具。
(12) 横切開プロセスが完了していると判定するように構成された前記制御回路は、前記超音波ブレードが前記クランプアームパッドと接触していると判定するための制御回路を含む、実施態様7に記載の超音波外科用器具。
(13) 超音波外科用器具用の発生器であって、
制御回路であって、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して前記超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加し、
前記超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視し、
前記超音波トランスデューサに印加される前記電圧Vg(t)信号と前記電流Ig(t)信号との間の前記位相角φに基づいて、前記超音波ブレードの前記温度を推定し、
横切開プロセスが完了していると判定し、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加する、
ように構成された制御回路を備える、発生器。
(14) 前記第1の標的温度T1が、前記第2の標的温度T2よりも高い、実施態様13に記載の発生器。
(15) 前記第1の標的温度T1が、血管封止のために最適化される、実施態様13に記載の発生器。
【0277】
(16) 前記第2の標的温度T2が、クランプアームパッドの耐用期間のために最適化される、実施態様13に記載の発生器。
(17) 前記第2の標的温度が325℃である、実施態様16に記載の発生器。
(18) 横切開プロセスが完了していると判定するように構成された前記制御回路は、前記超音波ブレードが前記クランプアームパッドと接触していると判定するための制御回路を含む、実施態様13に記載の発生器。
(19) プロセッサ及び非一過性メモリを備え、
前記非一過性メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに、
超音波ブレード温度を第1の標的温度T1に設定するために、超音波導波管を介して前記超音波ブレードに連結される超音波トランスデューサに、第1の電力レベルを印加させ、
前記超音波トランスデューサに印加される電圧Vg(t)信号と電流Ig(t)信号との間の位相角φを監視させ、
前記超音波トランスデューサに印加される前記電圧Vg(t)信号と前記電流Ig(t)信号との間の前記位相角φに基づいて、前記超音波ブレードの前記温度を推定させ、
横切開プロセスが完了していると判定させ、
超音波ブレード温度を第2の標的温度T2に設定するために、前記超音波トランスデューサに第2の電力レベルを印加させる、
指示を含む、超音波外科用システム。