(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】GAGとそれらのエフェクター分子との相互作用を制御するリガンドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 7/08 20060101AFI20240105BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20240105BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240105BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240105BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240105BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240105BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240105BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240105BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240105BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240105BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240105BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20240105BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240105BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20240105BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
C07K7/08
C07K14/00
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/28
A61P21/00
A61P25/18
A61P25/24
A61P25/08
A61P27/02
A61P27/16
A61P27/06
A61K38/10
A61K38/16
(21)【出願番号】P 2020570729
(86)(22)【出願日】2019-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019065911
(87)【国際公開番号】W WO2019243272
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-13
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506316557
【氏名又は名称】サントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック
(73)【特許権者】
【識別番号】504301959
【氏名又は名称】インスティテュート ナティオナル ド ラ サンテ エ ド ラ ルシェルシュ メディカル(インセルム)
(73)【特許権者】
【識別番号】507416908
【氏名又は名称】ソルボンヌ・ユニヴェルシテ
(73)【特許権者】
【識別番号】512073725
【氏名又は名称】エコール ノルマル シュペリウール
(73)【特許権者】
【識別番号】517218664
【氏名又は名称】コレージュ・ドゥ・フランス
【氏名又は名称原語表記】COLLEGE DE FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100215670
【氏名又は名称】山崎 直毅
(72)【発明者】
【氏名】マレ ジャン-モーリス
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィエル ソランジュ
(72)【発明者】
【氏名】マルカン ロドリゲ
(72)【発明者】
【氏名】プロキアンツ アラン
(72)【発明者】
【氏名】ディ ナルド アリエル
(72)【発明者】
【氏名】テスタ ダミアン
【審査官】林 康子
(56)【参考文献】
【文献】The Journal of Neuroscience,2012年,Vol.32, No.27,pp.9429-9437
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 7/08
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)のポリペプチド:
(I) [X]
n
(式中、
nは、3
~6であり、
Xは、ECCAおよびECAC(式中、Cはシステイン酸であり、Aはアラニンであり、Eはグルタミン酸である)からなる群の中から選択される)
を含むもしくは前記ポリペプチドからなるリガンド、またはその薬学的に許容される塩のいずれかであって、
1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合と相互作用することができるリガンド、またはその薬学的に許容される塩のいずれか。
【請求項2】
グリコサミノグリカン(GAG)結合部位と相互作用することができることを特徴とする、請求項1
に記載のリガンド。
【請求項3】
前記グリコサミノグリカンGAGが、ヘパラン硫酸、ヘパリンおよびコンドロイチン硫酸からなる群の中から選択されることを特徴とする、請求項
2に記載のリガンド。
【請求項4】
前記リガンドが、少なくとも1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合を阻止することができることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載のリガンド。
【請求項5】
前記エフェクター分子が、転写因子、増殖因子、シグナル伝達因子、凝固カスケードタンパク質からなる群から選択され
る、請求項
4に記載のリガンド。
【請求項6】
前記エフェクター分子が、セマフォリン、ホメオタンパク質ファミリーからなる群から選択される、請求項5に記載のリガンド。
【請求項7】
前記エフェクター分子が、Otx2またはセマフォリン-3Aである、請求項6に記載のリガンド。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のリガンドを含む医薬組成物。
【請求項9】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
脳血管発作、虚血性、出血性、新生物性、変性、外傷性および/または神経発生障害の後の、神経系損傷;
脳卒中または傷害
の後の神経系損傷;
神経変性疾患
;
栄養枯渇または毒素によって引き起こされる状態;
神経発達疾患
;
神経精神疾患
;
うつ病、てんかん;
眼または耳を冒す変性疾患、
を含む群から選択される疾患および/または神経学的状態および/または神経系損傷の処置に使用するための、請求項
8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記神経変性疾患が、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、亜急性硬化性全脳炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋ジストロフィー、アルツハイマー病、特発性ジストニア、脊髄性筋萎縮症およびウイルソン病からなる群より選択され、
前記神経発達疾患が、自閉症または失読症であり、
前記神経精神疾患が、統合失調症または双極性障害であり、および
眼を冒す前記変性疾患が、緑内障または弱視である、
請求項10記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
グリコサミノグリカン(GAG)は、血液凝固、血管新生、腫瘍成長、神経細胞発生、平滑筋細胞増殖および遺伝子発現を含む、多数の細胞プロセスの調節に、十中八九はサイトカイン、増殖因子、セルピンなどのようなエフェクター分子との相互作用によって、関与する、天然に存在する炭水化物系分子である。
GAGは、長さが最大150単位であり得る、2糖(二糖)繰り返し単位の直鎖状非分枝鎖であり、当技術分野で周知であり、十分説明されている。GAGは、常にではないが多くの場合、プロテオグリカンと呼ばれる構造のタンパク質コアに共有結合した状態で見出される。プロテオグリカン構造は、細胞表面に大量に存在し、細胞周辺の細胞外マトリックスに付随する。
【0002】
グリコサミノグリカンは、骨格の二糖繰り返し単位に基づいて4つの主要クラスに分けることができる。通常は、一方の糖は、ウロン酸であり、他方は、N-アセチルグルコサミンまたはN-アセチルガラクトサミンのどちらかである。これらのクラスは、次の4つのGAGによって例示される:(1)ヘパラン硫酸(D-グルクロン酸/N-アセチル-またはN-スルホ-D-グルコサミン)、(2)コンドロイチン/デルマタン硫酸(D-グルクロン酸またはL-イズロン酸/N-アセチル-D-ガラクトサミン(glactosamine))、(3)ケラタン硫酸(D-ガラクトース/N-アセチル-D-グルコサミン)、および(4)ヒアルロン酸。ヒアルロン酸を除いて、全てのGAGは、糖の環ヒドロキシル基に様々にエステル化される硫酸基を含有する。これらの負荷電基は、グリコサミノグリカンに起因する生物学的特性に顕著に関わると考えられている。天然に存在する形態のGAG、特に、ヘパリン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸およびデルマタン硫酸は、実際には、特異的に硫酸化された糖残基の混合物で構成されている複合ヘテロオリゴ糖である。例えば、コンドロイチン硫酸(CS)は、中枢神経系(CNS)マトリックス中に最も大量に存在するグリコサミノグリカン(GAG)であり(Djerbal et al., 2017, Glycoconj. 34, 363-376)、何百もの二糖リピートを含有する鎖が連結されているタンパク質骨格からなる。
【0003】
GAGの魅力的な特徴は、それらの多糖単位が、エピマー化、NおよびO硫酸化、ならびに脱アセチル化によって修飾され、かくて相互作用のために微調整され得ることである。
例えば、特異的硫酸化パターンは、所与の神経回路が非常に可塑性である臨界期のタイミングに重要であることが、生後の脳の発達中に示されている。本明細書で使用される場合、用語「臨界期」は、生物の神経系が、概して少なくとも一部は外部環境刺激に応答して、特異的な機能的能力および/または構造配置を獲得することができる、生物発生中の期間を指す。臨界期のタイミングおよび継続期間は、受ける環境刺激に依存し得る。例えば、ある特定の環境刺激の欠如は、臨界期を延長する。これらの臨界期は、ニューロン結合性を再構築し続け、環境への適応にならびに学習および行動に不可欠である。
【0004】
これらの臨界期は、神経系可塑性に密接に関連している。本明細書で使用される場合、用語「可塑性」は、一般に環境条件、傷害、経験または進行中の神経系活動に応答して、その構造および/または機能を変化させる(例えば、再構成する)、神経系またはその一部分の能力を指す。可塑性は、ニューロンまたは膠細胞の増殖、成長または移動に影響を及ぼし得る。可塑性は、ニューロン間の新しいシナプス結合の形成および/または既存のシナプス結合の強化もしくは弱化に影響を及ぼし得る。可塑性は、神経発生に影響を及ぼし得る。
これらの臨界期は、視覚皮質における両眼視および聴覚皮質における周波数マップ精密化など、感覚系に存在することが公知である。それらは、運動系およびさらにはヒトの言語習得などのより高度な認識の脳内領域にも存在する。
これらの臨界期は、例えば、Orthodenticleホメオボックスタンパク質2(Otx2)ホメオタンパク質転写因子によって駆動される皮質抑制性GABA作動性パルブアルブミンニューロン(PV細胞)の成熟から生じる。Otx2は、大脳皮質の外側で合成され、細胞外環境内で輸送され、PV細胞によって特異的に内在化される。この内在化特異性は、ペリニューロナルネット(PNN)と呼ばれる特殊化された細胞外マトリックスとして内部に含有される二硫酸化コンドロイチン硫酸(D型(CS-D)またはE型(CS-E))により媒介される。
【0005】
この臨界期が終結した後、PV細胞は、成熟したままであり、可塑性についての固有の潜在能力は、能動的に減弱され、その結果、脳の回路が安定化し、これに付随して成熟PV細胞の周辺にペリニューロナルネット(PNN)が形成される。
所与の神経回路が高度に可塑性である臨界期は、例えば、てんかん、統合失調症、うつ病、自閉症およびアルツハイマー病を含む、いくつかの神経および精神疾患では変更されるようであることが、さらに示されている。
さらに、GAG結合モチーフ(RKQRRER)がOtx2の一次配列において発見され、これにより、Otx2と、PV細胞の周囲のPNNに含有されるグリコサミノグリカン(例えば、二硫酸化コンドロイチン硫酸)との相互作用が明らかになった。Beurdeleyら(2012, J. Neurosci., 32, 9429-37)は、この「PK」モチーフを含有するペプチドの皮質内注入がGAG結合についてOtx2と競合して、成熟PV細胞をそれらのOtx2含量について枯渇させ、成熟マウスにおける視覚皮質可塑性を回復させ、弱視マウスにおける皮質視力を救済することを、さらに示した。
【0006】
Leeら(2017, Mol.Psychiatry, 22, 680-688)は、Otx2が視覚可塑性のみならず聴覚可塑性にも関与することを示した。
Winterら(2016, Neural Plast., 3679545)は、PNNにおけるSema3Aの制御された中和が、ニューロン可塑性の増強および傷害後の機能修復の増進の重要な手法であり得ることを示した。
Miyata et al., 2012,. Nat Neurosci ., 15, 414-422およびDick et al., 2013, J Biol Chem, 288, 27384-95には、Otx2およびセマフォリン-3A(Sema-3A)が両方とも、視覚皮質可塑性の肝要なアクター(keys actors)であり、二硫酸化コンドロイチン硫酸E型(CS-E)への結合のために類似のモチーフ(それぞれ、RKQRRERおよびRKQRRQR)を共有することが示されている。
それ故、本発明者らは、臨界期および関連する可塑性のタイミングが、一部は、GAGとそのエフェクター分子、例えばOtx2またはセマフォリン、との相互作用により制御されると結論付け、研究および治療応用のために、臨界期のタイミングを改変するための手法、より詳細には、神経系の可塑性を改変するための手法を提供するために前記相互作用に干渉することを提案する。したがって、GAGとエフェクター分子との相互作用を制御することができる化合物を提供することが必要である。
【0007】
天然源からの純粋な化合物の抽出、およびGAG断片の化学的または酵素的合成は、依然として困難かつ非効率的である。GAG構造および合成の複雑性を低下させる努力がなされ、例えば、タンパク質とGAGとの相互作用が主として静電相互作用であること、および最も重要な態様が電荷の正しい空間分布であることが示されたが、これらの結果は、まだ研究レベルであり、GAGとエフェクター分子との相互作用を制御することができる化合物を定義することができない。
同様に、修飾天然および合成ポリマー(例えば、硫酸基を有する、ポリアクリレート、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ(4-スチレンスルホン酸ナトリウム)(PSS)、ポリ(スルホン酸ビニル)(pVS)、硫酸化リグニン誘導体、ポリフェノール、ポリグリシドールコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)-bl-ポリ(プロピレンオキシド)-bl-ポリ(エチレンオキシド)(Pluronic F-127)など)が、GAG代替物として提案されている。これらの戦略は、ある程度の成功を示したが、配列モジュレーションを欠いており、タンパク質との非特異的静電相互作用しか示さない。代替的に、定義された小分子が、GAG模倣物として使用されている:硫酸化アミノシド、N-ヘテロ-アロイルアミノ糖類、b-シクロデキストリン硫酸、およびアプタマー。
【0008】
したがって、当技術分野には、GAGとそれらのエフェクター分子との相互作用を制御することを可能にする新しい化合物および方法を開発する重要な要求が依然としてある。より詳細には、神経系の可塑性を改変するための、より詳細には神経系可塑性の臨界期のタイミングを改変するための、代替アプローチが依然として必要とされている。
したがって、当技術分野には、神経系臨界期のタイミングを改変することができる、より詳細には神経系の可塑性を改変することができる、化合物および方法を開発する重要な要求がある。
同様に、当技術分野では、CNSの損傷後の回復を増進するならびに/または神経精神障害および神経発達症におけるCNSおよび認知機能の改善を助ける、改善された処置が必要とされている。より詳細には、可塑性などの神経系の肝要な特性に作用する、および治療利益をもたらすようにモジュレートすることができる、新しい化合物および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明によれば、本発明者らは、GAGと、それらのエフェクター分子との相互作用を制御することができる新しい化合物、より詳細には、以前に開発されたポリマーの欠点を有さない新しいリガンドを開発することを目指した。
第1の実施形態によれば、本発明は、一般式(I)のポリペプチド:
(I) [X]n
(式中、
nは、3と50の間に含まれ、
Xは、4~6アミノ酸を含むペプチドであり、
Xは、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸を含み、
Xは、1つまたは2つのシステイン酸、好ましくは2つのシステイン酸を含み、
Xは、システイン以外の少なくとも1つの中性アミノ酸を含む)
を含むもしくは前記ポリペプチドからなるリガンド、またはその薬学的に許容される塩のいずれかであって、
1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合と相互作用することができるリガンド、またはその薬学的に許容される塩のいずれかを提供する。
【0010】
一実施形態では、前記リガンドは、nが、3と35の間、さらに特に3と15の間、好ましくは3と6の間に含まれることを特徴とする。
式(I)の化合物は、その薬学的に許容される塩の形態であってもよい。特に、塩の対イオンは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウムまたはアルキルアンモニウムなどの金属カチオンからなる群の中から選択することができる。
システイン酸は、システインのスルホン酸類似体であるアミノスルホン酸であり、すなわち、C末端スルホン酸基を有するアミノ酸である。その合成は、当技術分野において幅広く論じられており、化合物は、市販されている。
システインは、チオールを形成するスルフヒドリル-SH基の存在を特徴とする中性α-アミノ酸である。システインは、ほとんどのタンパク質に少量で存在する。タンパク質中のその存在は、それによりジスルフィド架橋の形成が可能になるので、非常に重要である。チオール基は、容易に酸化するので、非常に脆弱である。その酸化は、ジスルフィド架橋により連結された2つのシステイン分子からなるシスチンをもたらす。より高エネルギーの酸化剤は、システイン酸を与えることによりシステインを酸化することができる。
ホモシステインは、メチオニンまたはシスタチオニンの異化の結果である非タンパク質構成アミノ酸である。ホモシステインの名称は、システインとのその類似性に由来する。実際、ホモシステインの側鎖(later chain)は2つのメチル基を含有するが、システインの側鎖は1つのメチル基しか含有しない点で、ホモシステインは、システインとは異なる。スルフヒドリルの反応性は、システインおよびホモシステインにおいて同様である。
【0011】
一実施形態によれば、システイン酸をホモシステイン酸で置換することができ、その結果、Xは、システイン酸およびホモシステイン酸を含む群の中から選択される1または2アミノ酸、好ましくは、同一のまたは異なる2アミノ酸を含むことができる。
さらなる実施形態では、リガンドは、Xが2つのシステイン酸を含むことを特徴とする。
別の実施形態では、リガンドは、Xが2つのホモシステイン酸を含むことを特徴とする。
別の実施形態では、リガンドは、「システイン以外の少なくとも1つの中性アミノ酸」が、アラニン、アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、イソロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンおよび2-アミノイソ酪酸からなる群から選択されることを特徴とする。
好ましくは、「システイン以外の少なくとも1つの中性アミノ酸」は、アラニン、セリン、トレオニンであり、より好ましくはアラニンである。
リガンドが、システイン以外の中性アミノ酸がアラニンであることを特徴とすることも、好ましい実施形態である。
【0012】
好ましくは、Xは、システイン以外の中性アミノ酸を少なくとも1つ、かつ最大2つ、好ましくは最大3つ、より好ましくは最大4つ含む。
別の実施形態では、本発明のリガンドは、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸が、ペプチドXのC末端から数えて1番目に位置することを特徴とする。
別の好ましい実施形態では、本発明のリガンドは、グルタミン酸およびアスパラギン酸からなる群から選択されるアミノ酸が、グルタミン酸であることを特徴とする。
特別な実施形態によれば、本発明のリガンドのアミノ酸残基は、DもしくはL、またはDとLの混合物であることができる。
特別な実施形態によれば、本発明のリガンドは、Xが同じまたは異なることを特徴とする。これは、モチーフ「X」の「n」反復が、それらの混合物の、いくつかの同一ペプチドモチーフまたは幾つかの異なるペプチドモチーフの反復を含むことができることを意味する。異なるは、少なくとも1つのモチーフXが他のものと異なり得ることを意味する。異なるは、アミノ酸の性質および量が異なることを意味する。
【0013】
別な実施形態によれば、リガンドは、Xが同一であることを特徴とする。これは、リガンドが、同一ペプチドモチーフXの3~50回、さらに特に3~15回、好ましくは3~6回の反復を含むことを意味する。
好ましい実施形態では、本発明によるリガンドは、Xが4アミノ酸を含むペプチドであることを特徴とする。
特定の実施形態では、リガンドは、合成および非天然のものであることを特徴とする。
好ましい実施形態によれば、ペプチド[X]nにおけるXは、EACC、ECCAおよびECAC(式中、Cはシステイン酸であり、Aはアラニンであり、Eはグルタミン酸である)からなる群の中から選択される。
好ましい実施形態によれば、アミノ酸は、L型である。
好ましい実施形態では、本発明によるリガンドは、(EACC)n、(ECCA)n、(ECAC)nから成る群の中から選択されるポリペプチド[X]nを含んでいる、または前記ポリペプチド[X]nからなっている。
好ましい実施形態によれば、アミノ酸は、L型である。
好ましい実施形態によれば、nは、3~6であり、より好ましくは、nは、5または6であり、よりいっそう好ましくは、nは、6である。
【0014】
よりいっそう好ましい実施形態では、本発明によるリガンドは、(ECCA)nまたは(ECAC)nから成る群の中から選択されるポリペプチド[X]nを含んでいる、または前記ポリペプチド[X]nからなっている。
よりいっそう好ましい実施形態では、本発明によるリガンドは、(ECCA)nまたは(ECAC)n(式中、nは、3と6の間であり、特に、nは、5または6であり、よりいっそう好ましくは、nは、6である)から成る群の中から選択されるポリペプチド[X]nを含んでいる、または前記ポリペプチド[X]nからなっている。
本発明によれば、ポリペプチド[X]nは、直鎖状または樹状であり得る。
1つの特別な実施形態によれば、本発明によるポリペプチド[X]nは、直鎖状である。直鎖状は、ポリペプチドがペプチド結合により連結されたアミノ酸の連続鎖に従って繰り返される[X]部分の連続を含むことを意味する。
別の特別な実施形態によれば、本発明によるポリペプチド[X]nは、樹状であり、[X]部分、より特に(ECCA)または(ECAC)部分は、下記で説明される通りのKpであるポリリシンコア鎖にグラフトされている。
【0015】
ペプチドデンドリマーは、分枝コア内にも外面にも見られるペプチドまたはアミド結合によって連結されている塩基性アミノ酸を含む、高分子量の、ラジカルまたはくさび状分子である。これは、in vivoでの親和性および特異性に対してより適切であり得る、多価相互作用に有利に働くリガンド(例えば、2つのリガンド鎖、1つのタンパク質)の「毛状」提示をもたらす。
したがって、その場合、ポリペプチドは、主分枝コアにポリペプチド[X]nがグラフトされている、くし型であり得る。好ましくは、分枝コアは、ポリリシンコア鎖(K)p(式中、Kは、Lysであり、pは、3と8の間、好ましくは3と5の間に含まれ、特に4である)であり、ポリペプチド[X]nがグラフトされている。
本明細書で使用される場合、「リガンドは、1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合と相互作用することができる」という用語は、本発明のリガンドが、少なくとも1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合を阻止するまたは低減させることができることを意味する。
1つの好ましい実施形態によれば、本発明のリガンドは、少なくとも1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合を阻止することができる。
【0016】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のリガンドは、少なくとも1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合を低減させることができる。
好ましい実施形態によれば、本発明のリガンドは、少なくとも1つのエフェクター分子に結合することができる。
好ましい実施形態によれば、前記エフェクター分子は、グリコサミノグリカン結合部位を含むタンパク質である。本出願では、「グリコサミノグリカン結合部位」という表現は、グリコサミノグリカンGAG(特に、ヘパラン硫酸、ヘパリンまたはコンドロイチン硫酸からなるGAG)と強く相互作用する、前記タンパク質の領域を意味する。この結合ポケットは、一般に、タンパク質の塩基性側鎖から組み込まれ、BBXBモチーフ(式中、Xは、親水性残基であり、Bは、アルギニンおよびリシンからなる群の中から選択される)を含有する。グリコサミノグリカン結合部位の同定を、当業者は、タンパク質配列分析、X線およびNMR構造決定などの、公知の技術的手段に従って果たすことができる。特に、「グリコサミノグリカン結合部位」は、RKQRRERまたはRKQRRQRである。
1つの好ましい実施形態によれば、本発明のリガンドは、グリコサミノグリカン(GAG)結合部位と相互作用することができる。
別の好ましい実施形態によれば、本発明のリガンドは、グリコサミノグリカン(GAG)結合を模倣することができる。
【0017】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明のリガンドは、少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)のグリコサミノグリカン結合部位への結合を阻止することができる。
別の好ましい実施形態によれば、本発明のリガンドは、少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)のグリコサミノグリカン結合部位への結合を低減させることができる。
好ましい実施形態によれば、前記グリコサミノグリカンGAGは、ヘパラン硫酸、ヘパリンおよびコンドロイチン硫酸からなる群の中から選択される。
好ましい実施形態では、前記エフェクター分子は、転写因子、増殖因子、シグナル伝達因子、凝固カスケードタンパク質からなる群から選択される。
好ましい実施形態では、前記エフェクター分子は、セマフォリン、ホメオタンパク質ファミリーからなる群から選択され、好ましくは、Otx2またはセマフォリン-3Aである。
【0018】
1つの好ましい実施形態によれば、本発明によるリガンドは、(ECAC)5、(ECAC)6および(ECCA)5および(ECCA)6から成る群の中から選択されるポリペプチド[X]nを含んでおり、または前記ポリペプチド[X]nからなっており、前記エフェクター分子は、ホメオタンパク質ファミリーであり、好ましくは、Otx2である。
別の好ましい実施形態によれば、本発明によるリガンドは、(ECAC)5および(ECAC)6から成る群の中から選択されるポリペプチド[X]nを含んでおり、または前記ポリペプチド[X]nからなっており、前記エフェクター分子は、セマフォリンであり、好ましくは、セマフォリン-3Aである。
含まれるポリペプチド[X]nは、通常のおよび周知の技術に従って製造され得る本発明によるリガンドである。合成経路は、当技術分野において公知のRinkアミドMBHA樹脂でのFmoc戦略を使用することができる。6-アミノヘキサン酸(Ahx)スペーサーをN末端に導入することができ、ペプチジル樹脂をアセチル化(Ac)するまたはビオチンスルホン(Biot(SO2))でアシル化することができる。
【0019】
ペプチドをTFAにより樹脂から切断し、ジエチルエーテルで沈殿させて、Ac-Ahx-(X)n-NH2、Ac-Ahx-(X)n-NH2、Biot(SO2)-Ahx-(X)n-NH2、またはBiot(SO2)-Ahx-(X)n-NH2のいずれかを得ることができる。これらの前駆体を過ギ酸で酸化してシステイン酸ペプチドを得、次いで、アンモニア水で中和して、アセチルまたはビオチンスルホンのどちらかをN末端におよびアミドをC末端に有する本発明によるGAG模倣物ペプチドを得ることができる。粗製スルホペプチドをセファデックスG25で脱塩し、例えば逆相HPLCによって、精製し、質量分析で特徴付けることができる。これらのGAG模倣ペプチドをナトリウム塩として-20℃で何カ月間も保管することができる。
本発明の目的は、医薬として使用するための、任意の前記実施形態に従って上で説明された通りのリガンドを提供することでもある。
本発明は、さらに、上で定義された通りの少なくとも1つのリガンドと薬学的に許容される賦形剤とを含む組成物に関する。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、必要に応じて動物またはヒトに投与されたときに有害反応、アレルギー反応または他の望ましくない反応を生じさせない賦形剤を指す。本明細書で使用される、「薬学的に許容される賦形剤」は、任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張剤ならびに吸収遅延剤などを含む。医薬活性物質のためのそのような賦形剤の使用は、当技術分野において周知である。
【0020】
本発明の組成物は、生理的pHまたはやや塩基性のpH(例えば、約pH7~約pH9)でヒトへの使用に適切であるように好適に緩衝される。好適な緩衝剤としては、限定ではないが、リン酸緩衝剤(例えばPBS)、重炭酸緩衝剤、HEPESおよびPIPES緩衝剤ならびに/またはTris緩衝剤が挙げられる。本発明の組成物は、ヒトまたは動物への使用に適した希釈剤をさらに含むことができる。それは、好ましくは、等張性、低張性または弱高張性であり、比較的低いイオン強度を有する。代表例としては、滅菌水、生理食塩水(例えば、塩化ナトリウム)、リンゲル液、グルコース、トレハロースまたはサッカロース溶液、ハンクス液、および他の生理平衡塩類溶液が挙げられる(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, A. Gennaro, Lippincott, Williams & Wilkinsの最新版を参照されたい)。本発明の組成物に含まれる薬学的に許容される媒体は、凍結温度(例えば、-70℃、-20℃)、冷蔵温度(例えば、4℃)または周囲温度での製造および長期保管(すなわち、少なくとも1カ月で、少なくとも1年が好ましい)条件下でその安定性を保つことも可能にしなければならない。例えば、製剤のpH、モル浸透圧濃度、粘度、清澄性、色、無菌性、安定性、溶解速度を改変または維持すること、ヒトまたは動物生物体への放出または吸収を改変または維持すること、血液関門を横断する輸送または特定の臓器(例えば、脳)内への透過を促進することを含む、望ましい特性を提供するために、追加の薬学的に許容される賦形剤を使用してもよい。
【0021】
本明細書に記載のリガンドのいずれか1つを含む組成物を持続放出または緩徐放出(徐放または制御放出とも呼ばれる)用に製剤化することができる。そのような組成物は、一般に、周知の技術を使用して調製することができ、例えば、経口、直腸、皮内、鼻腔内もしくは皮下移植により、または所望の標的部位への移植により、投与することができる。持続放出製剤は、担体マトリックスに分散されたおよび/または律速膜に包まれている溜部内に収容された、化合物を含有することができる。
本発明は、さらに、可塑性改変剤として使用するための任意の前記実施形態によるリガンドまたは組成物に関する。
本明細書で使用される場合、用語「可塑性改変剤」は、単独でまたは1つもしくは複数の他の物質もしくは非薬理療法と組み合わせて対象に投与されると神経系の少なくとも一部分についての可塑性の検出可能な改変を生じさせることになる、物質または組成物を指す。改変は、薬剤の非存在下で観察される機能および/または構造と比較したときの神経系機能および/または構造の改変により証明することができる。
【0022】
好ましい実施形態によれば、可塑性改変剤は、臨界期を再開することができる(例えば、本発明の可塑性改変剤は、臨界期を開始することならびに/または臨界期のタイミングおよび継続期間を制御することができる)。別の好ましい実施形態によれば、可塑性改変剤は、神経系もしくはその一部分において可塑性を開始させること、および前記神経系もしくはその一部分についての構造および/もしくは機能を変化させること(例えば、再構成すること)ができる。別の好ましい実施形態によれば、可塑性改変剤は、神経発生を刺激することができる。
本発明は、それを必要とする対象において神経系またはその一部分における可塑性を改変する方法であって、神経系可塑性を改変するのに有効な量の可塑性改変剤を投与するステップを含み、可塑性改変剤が、本発明によるリガンドまたは組成物であり、それを必要とする前記対象の神経系またはその一部分における1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合と相互作用するものである、方法にさらに関する。
本発明は、それを必要とする対象において神経系またはその一部分における可塑性を改変する方法であって、神経系可塑性を改変するのに有効な量の可塑性改変剤を投与するステップを含み、可塑性改変剤が、本発明によるリガンドまたは組成物であり、それを必要とする前記対象の神経系またはその一部分における1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合を阻止するまたは低減させるものである、方法にさらに関する。
【0023】
本発明は、対象の神経系またはその一部分における再構成または回復を促進する方法であって、それを必要とする対象に可塑性改変剤を投与するステップを含み、薬剤が、神経系再構成または回復を促進するのに有効な量で、単独でまたは1つもしくは複数の追加の薬剤と組み合わせて投与され、可塑性改変剤が、本発明によるリガンドまたは組成物であり、それを必要とする前記対象の神経系またはその一部分における1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合と相互作用するものである、方法をさらに提供する。
本発明は、対象の神経系またはその一部分における再構成または回復を促進する方法であって、それを必要とする対象に可塑性改変剤を投与するステップを含み、薬剤が、神経系再構成または回復を促進するのに有効な量で、単独でまたは1つもしくは複数の追加の薬剤と組み合わせて投与され、可塑性改変剤が、本発明によるリガンドまたは組成物であり、それを必要とする前記対象の神経系またはその一部分における1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合を阻止するまたは低減させるものである、方法をさらに提供する。
【0024】
可塑性改変剤は、対象の神経系における回復もしくは再構成に寄与する(例えば、それを増強する)ことができ、および/または機能の正常化を促進することができる。言い換えると、神経系の再構成もしくは回復の程度または機能の改善の程度は、薬剤が対象に投与されなかった場合に有する程度より大きい。
本発明は、それを必要とする対象において神経系またはその一部分における神経発生を刺激する方法であって、神経発生を刺激するのに有効な量の可塑性改変剤を投与するステップを含み、可塑性改変剤が、本発明によるリガンドまたは組成物であり、それを必要とする前記対象の神経系またはその一部分における1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合と相互作用するものである、方法にさらに関する。
本発明は、それを必要とする対象において神経系またはその一部分における神経発生を刺激する方法であって、神経発生を刺激するのに有効な量の可塑性改変剤を投与するステップを含み、可塑性改変剤が、本発明によるリガンドまたは組成物であり、それを必要とする前記対象の神経系またはその一部分における1つのエフェクター分子と少なくとも1つのグリコサミノグリカン(GAG)の結合を阻止するまたは低減させるものである、方法にさらに関する。
【0025】
可塑性改変剤は、対象の神経系における神経発生を刺激するのに寄与することができる。言い換えると、神経発生の程度は、薬剤が対象に投与されなかった場合に有する程度より大きい。
好ましい実施形態によれば、そのような方法では、前記エフェクター分子は、グリコサミノグリカン結合部位を含むタンパク質である。
好ましい実施形態によれば、そのような方法では、前記グリコサミノグリカンGAGは、ヘパラン硫酸、ヘパリンおよびコンドロイチン硫酸からなる群の中から選択される。
好ましい実施形態では、そのような方法では、前記エフェクター分子は、転写因子、増殖因子、シグナル伝達因子、凝固カスケードタンパク質からなる群から選択される。
好ましい実施形態では、そのような方法では、前記エフェクター分子は、セマフォリン、ホメオタンパク質ファミリーからなる群から選択され、好ましくは、Otx2またはセマフォリン-3Aである。
【0026】
特別な実施形態によれば、「神経系またはその一部分」は、脳、脊髄、視覚、嗅覚および聴覚系を含む、「中枢神経系」(CNS)を示す。CNSは、ニューロンと、ニューロンの機能を補助する支持細胞である膠細胞(神経膠細胞)との両方を含む。乏突起膠細胞、星状膠細胞および小膠細胞は、CNS内の膠細胞である。神経系の一部分は、神経系の任意の機能的にまたは構造的に定義された部分、領域、区域、単位または構成要素(これらの用語は、本明細書では同義的に使用される)であり得る。神経系の部分は、皮質、小脳、視床、視床下部、海馬、扁桃体、基底核(尾状核、被殻および淡蒼球)、中脳、脳橋、髄質、神経走行部など、および前述のものの任意の小部分を含む。例えば、皮質の小区域は、視覚皮質、聴覚皮質、体性感覚皮質、嗅内皮質、嗅覚皮質などを含む。これらの区域自体がより小さい小区域で構成され得ることは、理解されるであろう。
本明細書で使用される場合、用語「回復」は、以前に実行した機能を実行する能力を少なくとも一部喪失した神経系またはその一部が、その機能を実行する能力を少なくとも一部取り戻すプロセスを指す。
【0027】
神経系またはその一部分に関して使用される場合の用語「再構成」は、神経系の一部分が、神経系のその一部分によって以前に実行されなかった機能(例えば、感覚、運動または認知機能)を完全にまたは部分的に担う、すなわち行う、プロセスを指す。機能または課題が、神経系の異なる部分によって以前に実行されていた可能性もあるが、そうである必要はない。機能再構成は、構造再構成の1つまたは複数の態様を必然的に伴う可能性があるが、そうである必要はない。機能再構成は、機能再編成と呼ばれることもある。
別な実施形態によれば、脈絡叢内の特異的タンパク質を標的とする非侵襲的手法を開発する必要がある。CSFの分泌によって、脈絡叢は、脳の恒常性にとって重要であり、脳の発達、神経発生および可塑性に関与する、Otx2を含む、シグナルを送達する。
1つの特別な実施形態によれば、本発明は、脈絡叢機能の変更によってそれを必要とする患者を処置するための、本発明によるリガンドの使用に関する。
好ましい実施形態では、本発明のリガンドは、脈絡叢細胞の細胞内空間において活性な抗Otx2化合物である。
好ましい実施形態では、本発明のリガンドは、細胞外環境においてOtx2を捕捉することができ、したがって、眼球優位性可塑性を変更することができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、薬剤が送達されることになる個体を指す。好ましい対象は、哺乳動物、特に、霊長類またはヒトである。
特別な実施形態によれば、それを必要とする前記対象は、疾患および/または神経学的状態および/または神経系損傷、より詳細には、ニューロン可塑性の刺激を必要とする疾患および/または神経学的状態および/または神経系損傷に罹患している。特別な実施形態によれば、前記疾患および/または神経学的状態および/または神経系損傷は、Otx2またはSema 3Aによって調節される。
特別な実施形態によれば、前記疾患および/または神経学的状態および/または神経系損傷は、以下を含む群から選択される:
- 例えば、脳血管発作、虚血性、出血性、新生物性、変性、外傷性および/または神経発生障害の後の、神経系損傷;
- 脳卒中または傷害などの事象(例えば、事故または外科手術に起因する)の後の神経系損傷;
- 神経変性疾患、例えば、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、亜急性硬化性全脳炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋ジストロフィー、アルツハイマー病、特発性ジストニア、脊髄性筋萎縮症またはウイルソン病を含むがこれらに限定されない、疾患および状態;
- 栄養枯渇または毒素(例えば、神経毒、乱用薬物)によって引き起こされる状態;
- 神経発達疾患、例えば、自閉症または失読症、すなわち、神経系の少なくとも一部分が正常な構造および/または機能を発達することができない疾患;
- 神経精神疾患、例えば、統合失調症および双極性障害、すなわち、神経系の少なくとも一部分がその典型的な認知機能レベルに達することができない疾患;
- うつ病、てんかん;
- 眼または耳(すなわち、視覚または聴覚)を冒す変性疾患、例えば、緑内障または弱視など。
【0029】
本明細書で使用される場合、可塑性改変剤の「有効量」は、望ましい生物学的応答を惹起するのに十分な可塑性改変剤の量を指す。当業者には理解されるであろうが、有効である特定の可塑剤改変剤の絶対量は、所望の生物学的エンドポイント、送達されることになる薬剤、標的組織などのような因子によって変わり得る。「有効量」が単一用量で投与されることもあり、または複数用量の投与により達成されることもあることは、当業者にはさらに理解されるであろう。所望の生物学的応答は、例えば、(i)シナプス結合、樹状突起または軸索投射の機能または構造再構成;(ii)シナプス結合、樹状突起または軸索投射の、そうしなければそれらが崩壊することになる条件下での維持;(iii)神経系もしくは軸索投射系の再生、またはそうしなければそれが崩壊する条件下でのその維持;(iv)運動または感覚機能を必要とする課題の成績の向上;(v)認知機能を必要とする課題の成績の向上、例えば、学習および/または記憶を測定する試験での成績向上;(vi)運動、感覚および/または認知機能が低下する速度の緩徐化であり得る。
【0030】
本明細書で使用される場合、神経系またはその一部に関しての用語「機能」は、神経系またはその構成要素により実行される任意の機能、役割、課題または活動を指すように本明細書では広く使用される。この用語は、限定ではないが、情報を処理および想起する能力、行動を調節する能力、内在性化学物質の放出を刺激する能力、運動機能を制御する能力、感覚入力を受信および処理する能力、意識を維持する能力などを含む。
本発明に従って投与されることになる可塑性改変剤の用量は、対象の状態、すなわち、疾患および/または神経学的状態および/または神経系損傷のステージ、疾患および/または神経学的状態および/または神経系損傷により引き起こされる症状の重症度、全身の健康状態、ならびに年齢、性別および体重、ならびに医療分野の当業者には明らかな他の因子によって変わり得る。可塑性改変剤は、医療分野の当業者によって決定されるような、処理されることになる疾患および/または神経学的状態および/または神経系損傷に適した様式で、投与することができる。加えて、可塑性改変剤の投与の好適な継続期間および頻度も、患者の状態、患者の疾患の種類および重症度、活性成分の特定の形態、ならびに投与方法のような因子によって、決定または調整することができる。可塑性改変剤の最適な用量は、一般に、実験モデルおよび/または臨床試験を使用して決定することができる。最適な用量は、対象のボディーマス、体重または血液量に依存し得る。有効な治療をもたらすのに十分である最小用量の使用が、通常は好ましい。本明細書に記載の可塑性改変剤についての前臨床および臨床研究の設計および遂行は、関連技術分野の当業者の技能の、十分に範囲内である。
【0031】
神経変性疾患の処置のために、可塑性改変剤を局所投与することができ、特に、標的大脳領域への注射または注入により投与することができる。制御放出デバイス、例えば、脳に移植されたカニューレに接続された浸透圧ミニポンプを使用して、可塑性改変剤を投与することもできる。
特許、公表文献およびデータベースエントリーについての上記の開示の全ては、そのような個々の特許、公表文献またはエントリー各々が、参照により組み込まれると具体的にかつ個々に示された場合と同程度に、それら全体が参照により本明細書に具体的に組み込まれる。
上記構成に加えて、本発明は、以下の図を参照して、本明細書(これは、例示的実施形態を指す)から明らかになる他の構成も包含する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】リガンドはOtx2と相互作用する。(a)Otx2タンパク質とともにインキュベートしたまたはしていないビオチン化スルホペプチドのドットブロット(DB)の例。(b)データ点ごとに少なくとも3回の重複実験でのDB化学発光の定量。
【
図2】リガンドはOtx2のGAG結合部位と相互作用する。(a)ビオチン化IRBP1 DNAプローブおよびOtx2タンパク質を用いる電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)は、ヘキサCSEおよび(EC’AC’)
5とともにインキュベートしたときシフトの喪失を示す。(b)GAGモチーフペプチド(RKpep)または対照ペプチド(AApep、SCpep)とともにインキュベートした(EC’AC’)
6のドットブロット(DB)。(c)DBの定量。全ての値:N=3;平均±SEM;一元配置ANOVAとボンフェローニ事後検定;
**P<0.01。
【
図3】成体マウス視覚皮質の溶解物でのリガンドプルダウン実験。(a)GAG結合モチーフの比較。(b)ストレプトアビジンビース上に保持されたリガンド(対照はビーズのみである)に関するプルダウン後のSema-3Aのウェスタンブロット(WB)。(c)WBの定量。(d)GAGモチーフペプチド(RKpep)または対照ペプチド(AApep、SCpep)とともにインキュベートした(EC’AC’)
6に関するプルダウン後のSema-3AのWB。(e)WBの定量。全ての値:N=3;平均±SEM;一元配置ANOVAとボンフェローニ事後検定;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001。
【
図4】リガンドはin vivo活性を有する。(a)40fmolの(EC’AC’)
6をIV注入したまたはしていない成体マウス一次視覚皮質層における、PNNを表示するノダブジ(Wisteria floribunda)凝集素(WFA)、およびパルブアルブミン(PV)の染色の代表画像。(b)WFA
+細胞数の定量。(c)PV細胞数の定量。スケールバー=100μm。全ての値:N=3~6;平均±SEM;t検定;
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001。
【
図5】本発明のGAG模倣物ペプチド足場:EC’C’AおよびEC’AC’(式中、C’は、システイン酸を表す)。
【実施例】
【0033】
材料および方法:
化合物
配列(ECCA)nおよび(ECAC)n(n=3~6)を、RinkアミドMBHA樹脂を用いてFmoc戦略により合成した。6-アミノヘキサン酸(Ahx)スペーサーをN末端に導入し、ペプチジル樹脂をアセチル化(Ac)、またはビオチンスルホン(Biot(SO2))でアシル化した。ペプチドをTFAにより樹脂から切断し、ジエチルエーテルで沈殿させて、Ac-Ahx-(ECAC)n-NH2、Ac-Ahx-(ECCA)n-NH2、Biot(SO2)-Ahx-(ECAC)n-NH2、またはBiot(SO2)-Ahx-(ECCA)n-NH2のいずれかを得た。これらの前駆体を過ギ酸で酸化してシステイン酸(C’)ペプチドを得、次いで、アンモニア水で中和して、アセチルまたはビオチンスルホンのどちらかをN末端におよびアミドをC末端に有する、GAG模倣物(EC’AC’)nおよび(EC’C’A)nを得た。粗製スルホペプチドをセファデックスG25で脱塩し、逆相HPLCで精製し、質量分析で特徴付けた。これらのGAG模倣ペプチドは、ナトリウム塩として-20℃で何カ月間も保管することができる。
ドットブロット
競合アッセイのために、400pmolのビオチン化リガンドまたはヘキサCSEを、100mM酢酸アンモニウム中、37℃で30分、1μgのOtx2タンパク質(自社のもの)とともにおよび3μgのRK-、AA-またはSC-ペプチドとともにインキュベートした。次いで、各溶液をニトロセルロース膜上にスポットし、ストレプトアビジン-HRP(ThermoFisher Scientific)との30分のインキュベーション、続いての化学発光(#34580、ThermoFisher Scientific)反応によりビオチンを検出した。LAS-4000(富士フイルム株式会社)で膜をデジタル化し、ImageJでの濃度測定により定量した。
【0034】
ゲルシフト
Otx2タンパク質(0.1μg)を室温で30分間、50ng/μlのdIdC、PBS中、40fmolのビオチン化IRBP1オリゴヌクレオチドおよび4pmolの(EC’AC’)5またはヘキサCSEとともにインキュベートした。TBE中、6%の未変性ポリアクリルアミドゲルを用いて100Vで試料を分離し、次いで、380mAで45分間、ナイロン膜に転写し、UV(120,000μJ/cm2、Amersham)で架橋した。LightShift Chemiluminescent EMSA Kit(#89880、ThermoFisher Scientific)を検出に使用し、LAS-4000(富士フイルム株式会社)で膜をデジタル化し、ImageJでの濃度測定により定量した。
【0035】
免疫沈降
成体マウスの視覚皮質を切開し、均質化緩衝剤(0.32Mスクロース、5mM HEPES、10mM MgCl2およびプロテアーゼ阻害剤)に溶解した。試料を4℃で遠心分離し(8分、1700g)、上清を2時間、37℃で5nmolのGAG模倣物とともにインキュベートした。競合アッセイのために、リガンドを30分、50nmolのRK-、AA-またはSC-ペプチドとともに37℃でプレインキュベートし、その後、一晩、4℃でストレプトアビジン結合ダイナビース(Life technologies)とともにインキュベートした。負荷されたビーズを均質化緩衝剤で洗浄し、Laemmli緩衝剤(DTTを含有する)中で10分、95℃で加熱してウェスタンブロット分析用のタンパク質を剥離させた。
ウェスタンブロット
免疫沈降したタンパク質をNuPAGE 4~12%Bis-Trisプレキャストゲル(Invitrogen)で1時間、200Vで分離し、400mAで1時間、メタノール活性化PVDF膜に転写した。膜を5%脱脂粉乳で1時間ブロックし、その後、一次抗体抗Sema3A(ウサギ、1/1000、Millipore)とともに一晩、4℃でインキュベートした。膜を洗浄し、1時間、二次抗体抗ウサギHRP連結型(Cell Signaling)とともにインキュベートした。LAS-4000(富士フイルム株式会社)で膜をデジタル化し、ImageJでの濃度測定により定量した。
【0036】
脳内注入および免疫組織化学的検査
3月齢C57BL/6Jマウス(Janvier)のV1(ラムダ:x=1.7mm、y=0mm、z=0.5mm)に7日間、Alzetマイクロ浸透圧ポンプを使用して様々な濃度(4pM、400pMまたは4μM)のリガンドを注入した(0.5μL/時)。次いで、動物をPBSおよび4%パラホルムアルデヒドで灌流した。クリオスタット切片(20μm)を一晩、一次抗体抗パルブアルブミン(ウサギ、1/500、Swant)およびWFA-FITC(1/100、Vector)とともにインキュベートし、その後、1時間、二次抗体抗ウサギAlexa Fluor-546(1/2000、Molecular Probes)とともにインキュベートした。Leica SP5共焦点顕微鏡で画像を取得し、ImageJでの解析により定量した。
統計解析
Prism 6(GraphPad)で解析を行った。単一比較はt検定で行ったが、複数の群の解析は、ANOVA、続いてのボンフェローニ事後検定により行った。
【0037】
結果:
Otx2タンパク質へのビオチン化(EC’C’A)
nおよび(EC’AC’)
nライブラリーの親和性を評価するために、本発明者らは、スルホペプチド保持にタンパク質との相互作用が必要とされるニトロセルロース膜を用いてドットブロットを行った(
図1a)。Otx2結合は、1つのモチーフを他のものより優先しなかったが、nリピートの関数としての親和性の明確な増加があった(
図1b)。比較のために、マウスの脳においてOtx2に結合し、そのin vivo活性に緩衝することが以前に示されているヘキサCSEを用いて、ドットブロットを行った。n=4または5リピートである配列は、Otx2に結合し、ヘキサCSEにも同等に結合することが判明したが、n=6であるものは、2倍~3倍よく結合することが判明した。
【0038】
ビオチン化リガンドがOtx2とその以前に同定されたGAG結合部位によって相互作用することを確認するために、本発明者らは、DNAチェイスおよびペプチド結合実験を行った(
図2)。Otx2では、GAG結合モチーフがそのDNA結合ドメインの第1ヘリックスに位置するため、GAG分子の特異的結合は、DNA結合に緩衝することができる。アッセイは、(EC’AC’)
5模倣物が、ビオチン化ヘキサCSE陽性対照と同程度にOtx2からIRBP1 DNAプローブをチェイシングことができることを示す(
図2a)。Otx2内のGAG結合部位(RKQRRER)は、アルギニン-リシン二重線(RK)を有し、これは、成熟してアラニン二重線(AA)になると、ECMにもはや結合せず、Otx2
+/AAマウスモデルにおいて臨界期異常を引き起こす。このモチーフに基づくペプチド(15mer)でのドットブロットアッセイを使用して、(EC’AC’)
6が特異的に結合するかどうかを評価した(
図2b)。野生型ペプチド(RKpep:RKQRRERTTFTRAQL)は、リガンドを保持したが、成熟ペプチド(AApep:AAQRRERTTFTRAQL)は、保持せず、どちらも、ランダムな順序でだがRKpepと同じ残基を含有するスクランブルペプチド(SCpep:RTQTRFRTRARLEQK)ではなかった(
図2c)。これらのアッセイは、相互作用が単なる静電相互作用ではなく、特異的残基配列を必要とすることを確証する。
【0039】
ビオチン化GAG模倣物のin vivo活性および特異性を測定するために、本発明者らは、生化学分析および免疫組織化学分析を行った。Otx2およびセマフォリン-3A(Sema-3A)は両方とも、視覚皮質可塑性の肝要なアクターであり、CS-Eへの結合のために類似のモチーフを共有する(
図3a)。皮質Otx2レベルは低すぎて信頼性のある生化学的検出を行うことができないので、本発明者らは、先ず、Sema-3Aに焦点を当てた。成体マウス視覚皮質の溶解物でのプルダウン実験においてリガンドを使用することにより、本発明者らは、(EC’AC’)
5および(EC’AC’)
6はSema-3Aと相互作用するが、(EC’C’A)
6はSema-3Aと相互作用しないことを見出した(
図3b~c)。RKpepは、これらの溶解物において(EC’AC’)
6とのSema-3A相互作用を特異的に妨げ(
図3d~e)、これは、Sema-3A GAG結合モチーフの関与を示唆する。
【0040】
成体マウス視覚皮質内への(EC’AC’)
5または(EC’AC’)
6どちらかの7日の注入後、40fmolが、PNNの形成の低減を引き起こした(
図4a~b)。どちらかの模倣物の最大10
5倍の注入が同じ低減をもたらした。PV細胞内のOtx2の蓄積と周囲PNNの形成との間にフィードバックループが存在し、PNNは、細胞外Otx2を攻撃するが、PV細胞におけるOtx2活性は、PNN発現を増加させる。これらの結果は、これらのリガンドが、このフィードバックループを破壊してPNN形成を減少させるのに十分なOtx2シグナル伝達に干渉することを示唆する。さらに、成体視覚皮質におけるOtx2シグナル伝達への干渉は、PV細胞成熟状態を逆行させ、可塑性を誘導することが示されている。ここでは、(EC’AC’)
6の注入(>40fmol)だけで、PV発現の有意な低減が得られた(
図4c)。この中等度の低減(>25%)は、脳可塑性の再開に十分であることが以前に示されている。
【0041】
これらのプルダウンおよび注入実験は、リガンドが大きいほどGAG結合タンパク質に対して高い親和性を有するというin vitroでの知見を確証し、(EC’AC’)
n模倣物についてn=6の場合にのみ、本発明者らは、PV細胞成熟に対する十分な効果を観察する(
図4c)。それらは、(EC’AC’)
nおよび(EC’C’A)
n模倣物が、特異性および選択性をもたらすことも示唆する。Otx2は、in vitroでどちらのモチーフに対しても選好性を示さず(
図1b)、その一方で、Sema-3Aは、脳溶解物において(EC’AC’)
nモチーフと相互作用するが、(EC’C’A)
nモチーフとは相互作用しない(
図3c)。したがって、これらのGAG模倣物は、天然GAGに存在する特異的硫酸化パターンを反復するための妥当な静電パターンを有する。