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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H02M3/28 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021042304
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142211
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000103208
【氏名又は名称】コーセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】川高 伸人
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-149636(JP,A)
【文献】特開2019-033581(JP,A)
【文献】特開2004-282917(JP,A)
【文献】特開2006-197711(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192440(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電源から入力電圧が供給される入力ライン及びグランドラインと、
前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのスイッチング素子の直列回路で成る第一アームと、
入力巻線及び出力巻線を有し、前記入力巻線の一端が前記第一アームの中点に接続されたトランスと、
前記入力巻線の他端と前記入力ラインとの間、又は前記入力巻線の他端と前記グランドラインとの間に接続されたバイアス用コンデンサと、
前記スイッチング素子に流れるスイッチング電流が前記入力電源の側に流出するのを抑制する回路であって、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのバイパス用コンデンサの直列回路で成るバイパスコンデンサ回路と、
前記出力巻線に発生する電圧を整流平滑して出力電圧を生成する整流平滑回路と、
前記バイパスコンデンサ回路の中点と前記第一アームの中点との間に接続され、前記第一アームの前記各スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を低減する第一スナバ回路とを備え、
前記バイパス用コンデンサは、アルミ電解コンデンサと前記アルミ電解コンデンサよりも容量が小さいセラミックコンデンサとが並列接続されたものであることを特徴とするハーフブリッジ方式のスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記バイパスコンデンサ回路の各々の前記バイパス用コンデンサは、前記アルミ電解コンデンサの中点と前記セラミックコンデンサの中点とが切り離されている請求項1記載のスイッチング電源装置
【請求項3】
前記バイアス用コンデンサは、電流共振用コンデンサとして兼用される請求項1又は2記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
入力電源から入力電圧が供給される入力ライン及びグランドラインと、
前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのスイッチング素子の直列回路で成る第一アームと、
入力巻線及び出力巻線を有し、前記入力巻線の一端が前記第一アームの中点に接続されたトランスと、
前記スイッチング素子に流れるスイッチング電流が前記入力電源の側に流れ出るのを抑制する回路であって、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのバイパス用コンデンサの直列回路で成り、その中点に前記入力巻線の他端が接続されたバイパスコンデンサ回路と、
前記出力巻線に発生する電圧を整流平滑して出力電圧を生成する整流平滑回路と、
前記バイパスコンデンサ回路の中点と前記第一アームの中点との間に接続され、前記第一アームの前記各スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を低減する第一スナバ回路とを備え、
前記バイパス用コンデンサは、アルミ電解コンデンサと前記アルミ電解コンデンサよりも容量が小さいセラミックコンデンサとが並列接続されたものであることを特徴とするハーフブリッジ方式のスイッチング電源装置。
【請求項5】
入力電源から入力電圧が供給される入力ライン及びグランドラインと、
前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのスイッチング素子の直列回路で成る第一アームと、
前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのスイッチング素子の直列回路で成る第二アームと、
入力巻線及び出力巻線を有し、前記入力巻線が、前記第一アームの中点と前記第二アームの中点との間に接続されたトランスと、
前記スイッチング素子に流れるスイッチング電流が前記入力電源の側に流出するのを抑制する回路であって、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのバイパス用コンデンサの直列回路で成るバイパスコンデンサ回路と、
前記出力巻線に発生する電圧を整流平滑して出力電圧を生成する整流平滑回路と、
前記バイパスコンデンサ回路の中点と前記第一アームの中点との間に接続され、前記第一アームの前記各スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を低減する第一スナバ回路と、
前記バイパスコンデンサ回路の中点と前記第二アームの中点との間に接続され、前記第二アームの前記各スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を低減する第二スナバ回路とを備えることを特徴とするフルブリッジ方式のスイッチング電源装置。
【請求項6】
前記バイパス用コンデンサは、アルミ電解コンデンサと前記アルミ電解コンデンサよりも容量が小さいセラミックコンデンサとが並列接続されたものである請求項記載のスイッチング電源装置。
【請求項7】
前記入力巻線と直列の位置に、電流共振用コンデンサが設けられている請求項4乃至6のいずれか記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子のサージ電圧を低減するスナバ回路を備えたハーフブリッジ方式又はフルブリッジ方式のスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
まず、一般的なハーフブリッジ方式及びフルブリッジ方式のコンバータについて簡単に説明する。図5(a)に示すスイッチング電源装置10は、非共振型ハーフブリッジ方式のコンバータの一例である。スイッチング電源装置10は、入力電源12から入力電圧Viが供給される入力ライン14及びグランドライン16を有し、入力ライン14とグランドライン16との間に、2つのスイッチング素子18a,18bの直列回路で成る第一アーム18が接続されている。トランス20の入力巻線20aは、一端が第一アーム18の中点に接続され、他端がバイアス用コンデンサ22を介してグランドライン16に接続されている。バイアス用コンデンサ22は、入力巻線20aの他端を、グランドライン16に対してVi/2の電位にバイアスするコンデンサで、ここでは、一端がグランドライン16に接続されているが、入力ライン14に接続される場合もある。
【0003】
入力ライン14とグランドライン16との間には、バイパスコンデンサ回路24が接続されている。バイパスコンデンサ回路24は、第一アーム18に流れるスイッチング電流が入力電源12の側に流出するのを抑制する回路で、ここでは、同じ容量の2つのバイパス用コンデンサ24a,24bの直列回路で構成されている。
【0004】
一般に、コンデンサ素子は、耐電圧が低いものほど小型化と大容量化が進んでいる。また、高誘電率系のセラミックコンデンサは、定格電圧に近いバイアスが加わると容量が大幅に低下する性質があるので、セラミックコンデンサを使用する場合は、実使用時のバイアスを定格電圧よりも十分に低くすることが好ましい。そのため、平滑用又はデカップリング用のコンデンサ回路を構成する場合、高耐圧品1個で構成するよりも、複数個の低耐圧品を直列接続して構成する方が、小型化及び高性能化を図るのに有利な場合がある。したがって、バイパスコンデンサ回路24は、低耐圧で大容量の2つのコンデンサ素子を直列接続した構成にしている。
【0005】
バイパス用コンデンサ24a,24bに発生する電圧を各々V24a,V24bとすると、設計上、出力電圧Viが各容量の比で分圧され、V24a=V24b=Vi/2となることが想定されている。なお、コンデンサ24a,24bの分圧比が容量のバラツキや漏れ電流の影響で変動する可能性がある時は、各コンデンサ素子にバランス抵抗(図示せず)が並列接続される。
【0006】
トランス20の出力巻線20bの両端には、整流平滑回路26が接続されている。整流平滑回路26は、出力巻線20bに発生する電圧を整流平滑して出力電圧Voを生成する回路である。出力電圧Vo及び出力電流の供給先である負荷28は、スイッチング電源装置10に外部接続された電子機器等、或いはスイッチング電源装置10に内蔵された回路網等である。
【0007】
なお、スイッチング電源装置10は非共振型のコンバータであるが、トランス20の入力巻線20aと直列の位置に電流共振用コンデンサを設けることによって、電流共振型のコンバータに変化させることができる。この場合、バイアス用コンデンサ22(入力巻線20aの一端をVi/2の電位にバイアスするコンデンサ)の容量を小さくすることによって、バイアス用コンデンサ22を電流共振用コンデンサとしても機能させるのが一般的である。例えば、特許文献1に開示されたスイッチング電源装置は、電流共振型ハーフブリッジ方式のコンバータであり、入力巻線Lpと直列の位置に、電流共振用及びバイアス用のコンデンサCiが設けられている。また、入力整流器の後段に設けられた有極性コンデンサが、バイパスコンデンサ回路に該当する。
【0008】
図5(b)に示すスイッチング電源装置30は、非共振型ハーフブリッジ方式のコンバータの他の例である。スイッチング電源装置30は、スイッチング電源装置10と共通点が多いが、異なるのは、バイアス用コンデンサ22が省略され、トランス20の入力巻線20aが、第一アーム18の中点とバイパスコンデンサ回路24の中点との間に接続されている点である。つまり、スイッチング電源装置30の場合、入力巻線20aの一端をVi/2の電位にバイアスする動作は、バイアス用コンデンサ22の代わりにバイパスコンデンサ回路24が行う。その他の部分の構成は、スイッチング電源装置10と同様である。
【0009】
なお、スイッチング電源装置30は非共振型のコンバータであるが、トランス20の入力巻線20aと直列の位置に電流共振用コンデンサ(図示せず)を挿入することによって、電流共振型のコンバータに変化させることができる。例えば、特許文献2に開示されている電力変換装置は、電流共振型ハーフブリッジ方式のコンバータであり、入力巻線N1と直列の位置に電流共振用コンデンサCrを設けられている。また、入力電源Edと並列に設けられたコンデンサCdc1,Cdc2の直列回路が、バイパスコンデンサ回路に該当する。
【0010】
図6に示すスイッチング電源装置32は、フルブリッジ方式のコンバータの一例である。スイッチング電源装置32は、入力ライン14とグランドライン16との間に、2つのスイッチング素子18a,18bの直列回路で成る第一アーム18と、2つのスイッチング素子34a,34bの直列回路で成る第二アーム34とが接続されている。トランス20の入力巻線20aは、第一アーム18の中点と第二アーム34の中点との間に接続されている。
【0011】
入力ライン14とグランドライン16との間には、上記と同様に、バイパスコンデンサ回路24(バイパス用コンデンサ24a,24b)が接続されている。バイパスコンデンサ回路24は、第一アーム18及び第二アーム34に流れるスイッチング電流が入力電源12の側に流出するのを抑制する回路である。さらに、トランス20の出力巻線20bの両端に、上記と同様の整流平滑回路26が接続されている。
【0012】
スイッチング電源装置32と類似したフルブリッジ方式のコンバータは、例えば特許文献3に開示されている。特許文献3の直流電力変換装置の場合、入力電源1と並列に設けられたコンデンサCpが、バイパスコンデンサ回路に該当する。
【0013】
なお、スイッチング電源装置32は非共振型のコンバータであるが、トランス20の入力巻線20aと直列の位置に電流共振用コンデンサ(図示せず)を挿入することによって、電流共振型のコンバータに変化させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2012-170218号公報
【文献】特開2017-204972号公報
【文献】特開2005-168266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
スイッチング電源装置は、各スイッチング素子がスイッチング動作を行うので、ハーフブリッジ方式かフルブリッジ方式かに関係なく、各スイッチング素子の両端にサージ電圧(又はリンギング電圧)が発生する。サージ電圧は、仮に電流共振型にしたとしても、完全になくすことは難しい。したがって、通常、各スッチング素子の両端に、サージ電圧低減用のスナバ回路が接続される。
【0016】
例えば、図5(a)、(b)に示すハーフブッジ方式のスイッチング電源装置10,30の場合、2つのスイッチング素子18a,18bに対し、個別にスナバ回路36a,36bが接続される。したがって、1組のスナバ回路をコンデンサ素子及び抵抗素子で構成したとすれば、合計4つのスナバ専用素子が必要になる。
【0017】
また、図6に示すフルブリッジ方式のスイッチング電源装置32の場合、4つのスイッチング素子18a,18b,34a,34bに対し、個別にスナバ回路36a,36b,36c,36dが接続される。したがって、1組のスナバ回路をコンデンサ及び抵抗で構成したとすれば、合計8つのスナバ専用素子が必要になる。
【0018】
このように、ハーフブリッジ方式やフルブリッジ方式は複数のスイッチング素子を備えているので、各スイッチング素子スナバ回路の部品点数が多くなってしまうことが問題になっていた。
【0019】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、スイッチング素子のサージ電圧を効果的に低減できるシンプルなスナバ回路を備えたハーフブリッジ方式又はフルブリッジ方式のスイッチング電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、入力電源から入力電圧が供給される入力ライン及びグランドラインと、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのスイッチング素子の直列回路で成る第一アームと、入力巻線及び出力巻線を有し、前記入力巻線の一端が前記第一アームの中点に接続されたトランスと、前記入力巻線の他端と前記入力ラインとの間、又は前記入力巻線の他端と前記グランドラインとの間に接続されたバイアス用コンデンサと、前記スイッチング素子に流れるスイッチング電流が前記入力電源の側に流出するのを抑制する回路であって、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのバイパス用コンデンサの直列回路で成るバイパスコンデンサ回路と、前記出力巻線に発生する電圧を整流平滑して出力電圧を生成する整流平滑回路と、前記バイパスコンデンサ回路の中点と前記第一アームの中点との間に接続され、前記第一アームの前記各スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を低減する第一スナバ回路とを備え、前記バイパス用コンデンサは、アルミ電解コンデンサと前記アルミ電解コンデンサよりも容量が小さいセラミックコンデンサとが並列接続されものであるハーフブリッジ方式のスイッチング電源装置である。前記バイパスコンデンサ回路の各々の前記バイパス用コンデンサは、前記アルミ電解コンデンサの中点と前記セラミックコンデンサの中点とが切り離されていてもよい。前記バイアス用コンデンサは、電流共振用コンデンサとして兼用されていてもよい。
【0021】
また、本発明は、入力電源から入力電圧が供給される入力ライン及びグランドラインと、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのスイッチング素子の直列回路で成る第一アームと、入力巻線及び出力巻線を有し、前記入力巻線の一端が前記第一アームの中点に接続されたトランスと、前記スイッチング素子に流れるスイッチング電流が前記入力電源の側に流れ出るのを抑制する回路であって、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのバイパス用コンデンサの直列回路で成り、その中点に前記入力巻線の他端が接続されたバイパスコンデンサ回路と、前記出力巻線に発生する電圧を整流平滑して出力電圧を生成する整流平滑回路と、前記バイパスコンデンサ回路の中点と前記第一アームの中点との間に接続され、前記第一アームの前記各スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を低減する第一スナバ回路とを備え、前記バイパス用コンデンサは、アルミ電解コンデンサと前記アルミ電解コンデンサよりも容量が小さいセラミックコンデンサとが並列接続されものであるハーフブリッジ方式のスイッチング電源装置である。前記入力巻線と直列の位置に、電流共振用コンデンサが設けることができる。
【0022】
また、本発明は、入力電源から入力電圧が供給される入力ライン及びグランドラインと、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのスイッチング素子の直列回路で成る第一アームと、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのスイッチング素子の直列回路で成る第二アームと、入力巻線及び出力巻線を有し、前記入力巻線が、前記第一アームの中点と前記第二アームの中点との間に接続されたトランスと、
前記スイッチング素子に流れるスイッチング電流が前記入力電源の側に流出するのを抑制する回路であって、前記入力ラインと前記グランドラインとの間に接続された2つのバイパス用コンデンサの直列回路で成るバイパスコンデンサ回路と、前記出力巻線に発生する電圧を整流平滑して出力電圧を生成する整流平滑回路と、前記バイパスコンデンサ回路の中点と前記第一アームの中点との間に接続され、前記第一アームの前記各スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を低減する第一スナバ回路と、前記バイパスコンデンサ回路の中点と前記第二アームの中点との間に接続され、前記第二アームの前記各スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を低減する第二スナバ回路とを備えたフルブリッジ方式のスイッチング電源装置である。
【0023】
前記入力巻線と直列の位置に、電流共振用コンデンサが設けることができる。また、前記バイパス用コンデンサは、アルミ電解コンデンサと前記アルミ電解コンデンサよりも容量が小さいセラミックコンデンサとが並列接続された構成にすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のスイッチング電源装置は、スイッチング電流をバイパスするバイパスコンデンサ回路を利用したシンプルなスナバ回路を備え、この独特なスナバ回路が動作することによって、スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を容易かつ効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明のスイッチング電源装置の第一の実施形態の構成を示す回路図であって、非共振型の構成を示す回路図(a)、電流共振型の構成を示す回路図(b)である。
図2】本発明のスイッチング電源装置の第二の実施形態の構成を示す回路図であって、非共振型の構成を示す回路図(a)、電流共振型の構成を示す回路図(b)である。
図3】本発明のスイッチング電源装置の第三の実施形態の構成を示す回路図であって、非共振型の構成を示す回路図(a)、電流共振型の構成を示す回路図(b)である。
図4図1(a)に示すスイッチング電源装置の2つの変形例を示す回路図(a)、(b)である。
図5】従来のハーフブリッジ方式のスイッチング電源装置の構成を示す回路図(a)、(b)である。
図6】従来のフルブリッジ方式のスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のスイッチング電源装置の第一の実施形態について、図1(a)、(b)に基づいて説明する。ここで、従来のスイッチング電源装置10と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
この実施形態のスイッチング電源38は、図1(a)に示すように、非共振型ハーフブリッジ方式のコンバータである。従来のスイッチング電源装置10と異なるのは、スイッチング素子18a,18bの両端に各々接続された2つのスナバ回路36が削除され、第一アーム18の中点とバイパスコンデンサ回路24の中点との間に1つの第一スナバ回路40が接続されている点である。第一スナバ回路40は、コンデンサ40aと抵抗40bとで構成され、コンデンサ40aの容量は、バイパス用コンデンサ24a,24bの容量よりも十分小さい値に設定される。その他の部分の構成は、スイッチング電源装置10と同様である。
【0028】
スイッチング電源38の場合、スイッチング素子18aの両端にサージ電圧(又はリンギング電圧)のエネルギーが発生すると、スイッチング素子18aから、抵抗40b、コンデンサ40b、バイパス用コンデンサ24aを順に通過してスイッチング素子18aに戻る経路、又はその逆向きの経路に、サージエネルギーを放出する電流(以下、スナバ電流と称する。)が流れる。そして、スナバ電流がコンデンサ40b及び抵抗40bに流れることによって、スイッチング素子18aのサージ電圧のピーク値が抑えられ、リンギングが速やかに減衰する。なお、バイパス用コンデンサ24aの容量はコンデンサ40bよりも十分大きいので、バイパスコンデンサ回路24の中点の電圧は直流のVi/2に保持され、スナバ電流の大きさは、バイパス用コンデンサ24aの容量ではなく、ほぼコンデンサ40bの容量によって決定される。
【0029】
また、スイッチング素子18bの両端にサージ電圧(又はリンギング電圧)のエネルギーが発生すると、スイッチング素子18bから、抵抗40b、コンデンサ40b、バイパス用コンデンサ24bを順に通過してスイッチング素子18aに戻る経路、またはその逆向きの経路に、サージエネルギーを放出するスナバ電流が流れる。そして、スナバ電流がコンデンサ40b及び抵抗40bに流れることによって、スイッチング素子18bのサージ電圧のピーク値が抑えられ、リンギングが速やかに減衰する。なお、バイパス用コンデンサ24bの容量はコンデンサ40bよりも十分大きいので、バイパスコンデンサ回路24の中点の電圧は直流のVi/2に保持され、スナバ電流の大きさは、バイパス用コンデンサ24bの容量ではなく、ほぼコンデンサ40bの容量によって決定される。
【0030】
このように、スイッチング電源装置38によれば、2つのスイッチング素子18a,18bのサージ電圧のエネルギーが第一スナバ回路40によって良好に吸収され、従来のスイッチング電源装置10と同等のサージ電圧低減効果を得ることができる。しかも、従来のスイッチング電源装置10の場合は4つのスナバ専用素子(2つのコンデンサ素子、2つの抵抗素子)が必要になるところ、この実施形態のスイッチング電源装置38の場合は2つのスナバ専用素子(コンデンサ40a、抵抗40b)を設ければよいので、スナバ専用素子の数を従来の半分にすることができる。また、スイッチング電源装置38の場合、スナバ電流の経路に、両端電圧がVi/2に保持されたバイアス用コンデンサ24a,24bが存在するので、コンデンサ40aの両端に加わる電圧が従来の約1/2~2/3程度となり、コンデンサ40aは、耐電圧が低い小型で安価なコンデンサ素子を使用することができるという利点もある。
【0031】
図1(b)に示すスイッチング電源装置38kは、スイッチング電源装置38の入力巻線20aと直列の位置に電流共振用コンデンサ42を設けることによって、電流共振型ハーフブリッジ方式のコンバータに変更したものである。ここでは、バイアス用コンデンサ22と電流共振用コンデンサ42とを兼用させており、バイアス用コンデンサ22の容量を小さくすることによって、バイアス用コンデンサ22を電流共振用コンデンサ42としても機能させている。なお、図1(b)では、入力巻線20aと直列の位置に共振用インダクタ44を表記しているが、トランス20内部のリーケージインダクタで代用できる場合、共振用インダクタ44は削除することができる。スイッチング電源装置38kにおいても、スイッチング電源装置38と同様の作用効果が得られる。
【0032】
次に、本発明のスイッチング電源装置の第二の実施形態について、図2(a)、(b)に基づいて説明する。ここで、従来のスイッチング電源装置30と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
この実施形態のスイッチング電源46は、図2(a)に示すように、非共振型ハーフブリッジ方式のコンバータである。従来のスイッチング電源装置30と異なるのは、スイッチング素子18a,18bの両端に各々接続された2つのスナバ回路36が削除され、第一アーム18の中点とバイパスコンデンサ回路24の中点との間に1つの第一スナバ回路40が接続されている点である。第一スナバ回路40は、コンデンサ40aと抵抗40bとで構成され、コンデンサ40aの容量は、バイパス用コンデンサ24a,24bの容量よりも十分小さい値に設定される。その他の部分の構成は、スイッチング電源装置30と同様である。
【0034】
スイッチング電源46の第一スナバ回路40の動作は、先に説明したスイッチング電源装置38の第一スナバ回路40の動作と同様であり、従来のスイッチング電源装置30と同等のサージ電圧低減効果を得ることができる。また、スナバ専用素子の数を従来の半分にすることができ、しかもコンデンサ40aは、従来よりも耐電圧が低い小型で安価なコンデンサ素子を使用することができる。
【0035】
図2(b)に示すスイッチング電源装置46kは、スイッチング電源装置46の入力巻線20aと直列の位置に電流共振用コンデンサ42を設けることによって、電流共振型ハーフブリッジ方式のコンバータに変更したものである。なお、図2(b)では、入力巻線20aと直列の位置に共振用インダクタ44を表記しているが、トランス20内部のリーケージインダクタで代用できる場合、共振用インダクタ44は削除することができる。スイッチング電源装置46kにおいても、スイッチング電源装置46と同様の作用効果が得られる。
【0036】
次に、本発明のスイッチング電源装置の第三の実施形態について、図3(a)、(b)に基づいて説明しる。ここで、従来のスイッチング電源装置32と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
この実施形態のスイッチング電源48は、図3(a)に示すように、非共振型フルブリッジ方式のコンバータである。従来のスイッチング電源装置32と異なるのは、スイッチング素子18a,18bの両端に各々接続された2つのスナバ回路36が削除され、第一アーム18の中点とバイパスコンデンサ回路24の中点との間に1つの第一スナバ回路40が接続されている点と、第二アーム34の中点とバイパスコンデンサ回路24の中点との間に1つの第二スナバ回路50が接続されている点である。第一スナバ回路40は、コンデンサ40aと抵抗40bとで構成され、コンデンサ40aの容量は、バイパス用コンデンサ24a,24bの容量よりも十分小さい値に設定される。同様に、第二スナバ回路50は、コンデンサ50aと抵抗50bとで構成され、コンデンサ50aの容量は、バイパス用コンデンサ24a,24bの容量よりも十分小さい値に設定される。
【0038】
スイッチング電源48の第一スナバ回路40の動作は、先に説明したスイッチング電源装置38の第一スナバ回路40の動作と同様であり、従来のスイッチング電源装置32と同様のサージ電圧低減効果が得られる。また、第二スナバ回路50の動作も同様であり、従来のスイッチング電源装置32と同様のサージ電圧低減効果が得られる。また、スナバ専用素子の数を従来の半分にすることができ、しかもコンデンサ40a,50aは、従来よりも耐電圧が低い小型で安価なコンデンサ素子を使用することができる。
【0039】
図3(b)に示すスイッチング電源装置48kは、スイッチング電源装置48の入力巻線20aと直列の位置に電流共振用コンデンサ42を設けることによって、電流共振型フルブリッジ方式のコンバータに変更したものである。なお、図3(b)では、入力巻線20aと直列の位置に共振用インダクタ44を表記しているが、トランス20内部のリーケージインダクタで代用できる場合、共振用インダクタ44は削除することができる。スイッチング電源装置48kにおいても、スイッチング電源装置48と同様の作用効果が得られる。
【0040】
なお、本発明のスイッチング電源装置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の第一スナバ回路40は、ディスクリート部品である抵抗40bを備えているが、スナバ電流が流れる経路にある配線パターンの抵抗成分やコンデンサ40aの抵抗成分等で代用できる場合、抵抗40bは省略することができる。第二スナバ回路50の抵抗50bについても同様である。
【0041】
上記のスイッチング電源装置38,38k,46,46kの説明の中では省略したが、これらが有するバイパスコンデンサ回路24のバイパス用コンデンサ24a,24bは、各々2つのコンデンサ素子を並列接続することによって設ける。具体的には、図4(a)に示すように、バイパス用コンデンサ24aを、大容量のアルミ電解コンデンサ24a(1)と小容量のセラミックコンデンサ24a(2)とを並列接続したものとし、バイパス用コンデンサ24bを、大容量のアルミ電解コンデンサ24b(1)と小容量のセラミックコンデンサ24b(2)とを並列接続したものとすることができる。一般に、アルミ電解コンデンサは、大きい容量を安価に得ることができるという特徴があり、セラミックコンデンサは、数百kHzを超える高い周波数帯域におけるインピーダンスを非常に低くできるという特徴がある。したがって、2種類のコンデンサ素子を並列接続することにより、多くの高調波成分を含むスイッチング電流を、より確実にバイパスすることが可能になる。この場合、セラミックコンデンサ24a(1),24b(2)の容量は、コンデンサ40aよりも十分大きくする
【0042】
また、図4(b)に示すように、アルミ電解コンデンサ24a(1)、24b(1)の中点とセラミックコンデンサ24a(1),24b(2)の中点とを切り離し、セラミックコンデンサ24a(1),24b(2)の中点にスナバ回路40の一端を接続する構成にしてもよい。この構成においても、図4(a)の構成と同様の動作が行われ、さらに、熱に弱いアルミ電解コンデンサ24a(1)、24b(1)を発熱部品であるスイッチング素子18a,18bから離れた場所に配置し、熱に強いセラミックコンデンサ24a(1),24b(2)をスイッチング素子18a,18bの近くに配置することが可能になる。スナバ電流は、数百kHzを超える高い周波数の電流であり、その多くがセラミックコンデンサ24a(1),24b(2)を通過するので、セラミックコンデンサ24a(1),24b(2)がスイッチング素子18a、18bの近くに配置されていれば、アルミ電解コンデンサ24a(1)、24b(1)が少し離れた場所にあっても、特に問題にはならない。
【0043】
本発明のスイッチング電源装置は、直流入力の電源装置に限定されず、交流入力の電源装置に適用することも可能である。交流入力の電源装置の場合、入力電源が出力した交流電圧を整流する整流回路を設け、整流回路の出力端を入力ライン14及びグランドライン16に接続する構成にすればよい。これによって、整流回路から出力される直流電圧を入力電圧Viとみなすことができる。
【符号の説明】
【0044】
10,30,32,38,38k,46,46k,48,48k,52(1),52(2) スイッチング電源装置
14 入力ライン
16 グランドライン
18 第一アーム
18a,18b,34a,34b スイッチング素子
20 トランス
20a 入力巻線
20b 出力巻線
22 バイアス用コンデンサ
24 バイパスコンデンサ回路
24a,24b バイパス用コンデンサ
24a(1),24b(1) アルミ電解コンデンサ(バイパス用コンデンサ)
24b(1),24b(2) セラミックコンデンサ(バイパス用コンデンサ)
26 整流平滑回路
34 第二アーム
40 第一スナバ回路
42 電流共振用コンデンサ
50 第二スナバ回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6