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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】付勢機構及び開閉体開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 5/00 20170101AFI20240105BHJP
   E05F 1/16 20060101ALI20240105BHJP
   E05F 15/646 20150101ALI20240105BHJP
【FI】
E05F5/00 D
E05F1/16 B
E05F15/646
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021077378
(22)【出願日】2021-04-30
(65)【公開番号】P2022171015
(43)【公開日】2022-11-11
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 充彦
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-114823(JP,A)
【文献】特開2006-63767(JP,A)
【文献】特開2005-61065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 5/00
E05F 1/16
E05F 15/646
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体の閉鎖位置または閉鎖位置の近傍で、前記開閉体を閉鎖方向に付勢する付勢機構であって、
前記付勢機構は、
基体と、
前記開閉体に設けられた当接体と当接可能であり、前記基体に対して回転可能に設けられた回転部材と、
前記基体と前記回転部材との間に設けられた付勢部材とを備え、
前記回転部材は、
前記開閉体が前記閉鎖位置の近傍に位置するときの前記開閉体の開放方向および閉鎖方向のうち、前記回転部材の閉鎖方向側に設けられた第1接触部と、
前記開閉体が前記閉鎖位置の近傍に位置するときの前記開閉体の開放方向および閉鎖方向のうち、前記回転部材の開放方向側に設けられた第2接触部と
を備え、
前記回転部材は、前記開放方向側に回転した第1位置と、前記第1位置に対して前記閉鎖方向側に回転した第2位置との間で回転可能であり、
前記付勢部材は、前記回転部材が、前記第1位置と前記第2位置との間の中間位置に対して前記第1位置側に回転したときには、前記回転部材を前記第2位置から前記第1位置へ向かう方向に付勢し、前記回転部材が前記中間位置に対して前記第2位置側に回転したときには、前記回転部材を前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に付勢し、
前記開閉体が開放した開放位置から前記閉鎖位置に向かって移動して、前記第1位置に位置する前記回転部材の前記第1接触部に前記当接体が当接して、前記回転部材が前記第1位置から前記第2位置へと回転したときに、前記付勢部材の前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向の付勢力によって、前記開閉体を前記閉鎖方向に移動させる方向の力が加わるように、前記第2接触部が前記当接体を押圧する、
付勢機構。
【請求項2】
前記回転部材が前記第1位置にあるときに、前記第1接触部は、前記当接体の移動経路上に位置付けられ、前記第2接触部は、前記当接体の移動経路から外れた位置に位置付けられ、
前記回転部材が前記第2位置にあるときに、前記第1接触部は、前記当接体の移動経路から外れた位置に位置付けられ、前記第2接触部は、前記当接体の移動経路上に位置付けられている、請求項1に記載の付勢機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の付勢機構と、開閉体と、スライドドア支持部とを備え、
前記開閉体が、取付対象に設けられた開口部を開閉し、一方の面および他方の面を有するスライドドア本体であり、
前記スライドドア支持部が、前記取付対象に取り付けられ、前記スライドドア本体を動作可能に支持し、
前記スライドドア本体を、前記スライドドア本体が前記開口部を閉鎖した閉鎖位置、前記スライドドア本体が前記閉鎖位置から前記一方の面に垂直な成分を含む方向へ所定量移動した中継位置、および前記中継位置から、前記スライドドア本体のスライド方向のうち、前記スライドドア本体が開放する方向となる第1スライド方向に直線的に移動した開放位置との間で移動するように構成され、
前記スライドドア支持部は、前記スライドドア本体に、前記スライドドア本体の前記一方の面に垂直な成分を含む方向への押圧力を加えることが可能な押圧機構を備え、
前記開閉体が閉鎖位置にあるときに、前記回転部材の前記第2接触部は、前記付勢部材によって、前記押圧機構の押圧力とは反対方向に前記当接体を押圧する、開閉体開閉装置。
【請求項4】
前記スライドドア支持部はさらに、
前記取付対象に固定される基部と、
前記スライドドア本体に取り付けられたスライド部材と、
前記スライド部材を移動させるための駆動力を生じる駆動部と、
前記スライド部材から前記駆動部に向かって一方向に延び、前記スライド部材を前記第1スライド方向に移動するための第1ワイヤと、
前記スライド部材から前記駆動部に向かって他方向に延び、前記スライド部材を、前記スライドドア本体のスライド方向のうち、前記スライドドア本体が閉鎖する方向となる第2スライド方向に移動するための第2ワイヤと
を備え、
前記押圧機構は、
前記第1ワイヤが巻き掛けられる方向転換部材と、
前記第1ワイヤが巻き掛けられ、前記基部に対して前記スライドドア本体の前記一方の面に垂直な成分を含む方向に移動可能に設けられた移動式巻き掛け部と
を備え、
前記移動式巻き掛け部は、前記駆動部の駆動によって前記第1ワイヤに張力が加わったときに、前記第1ワイヤの張力により前記スライドドア本体の前記他方の面に近付く方向に移動するように構成され、
前記移動式巻き掛け部が前記スライドドア本体の前記他方の面に近付く方向に移動することにより、前記スライドドア本体に、前記スライドドア本体の前記一方の面に垂直な成分を含む方向への押圧力が直接または間接的に加わり、前記スライドドア本体の前記閉鎖位置から前記中継位置までの移動がアシストされる、請求項3に記載の開閉体開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付勢機構及び開閉体開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のスライドドア構造は、スライドドアの閉鎖状態においては、スライドドアが車体の側面と面一となり、スライドドアを閉鎖位置から開放する際に、閉鎖状態のスライドドアに対して垂直な成分を含む方向へとシフトした後、車体の後方に向かってスライドする(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-128863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構造において、例えば、スライドドアとスライドドアによって閉鎖される開口を有するドア枠との間に、弾性部材によって構成されたシール部材が設けられる場合がある。この場合、シール部材からの反力によって、スライドドアが開放する方向に力が加わる場合がある。また、上述したシール部材以外の構成によって、スライドドア等の開閉体に、開閉体が開放する方向に力が加わる場合がある。
【0005】
この場合、スライドドア等の開閉体が開放する方向に移動して、開閉体がわずかに開放した状態となり、開閉体と開閉体によって閉鎖される開口を有する枠体との間に隙間が生じてしまう。または、シール部材等によって開閉体と枠体との間が閉鎖されているとしても、開閉体がいわゆる半ドアのように、不充分な閉鎖状態となり、例えば、開閉体の施錠が可能となる状態や、開閉体と壁面とが面一になる状態のような、所定の閉鎖位置に到達できない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、開閉体が閉鎖した状態で開閉体に開放方向の力が加わったとしても、簡単な構造で、開閉体を所定の閉鎖位置で保持することができる、付勢機構及び開閉体開閉装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の付勢機構は、開閉体の閉鎖位置または閉鎖位置の近傍で、前記開閉体を閉鎖方向に付勢する付勢機構であって、前記付勢機構は、基体と、前記開閉体に設けられた当接体と当接可能であり、前記基体に対して回転可能に設けられた回転部材と、前記基体と前記回転部材との間に設けられた付勢部材とを備え、前記回転部材は、前記開閉体が前記閉鎖位置の近傍に位置するときの前記開閉体の開放方向および閉鎖方向のうち、前記回転部材の閉鎖方向側に設けられた第1接触部と、前記開閉体が前記閉鎖位置の近傍に位置するときの前記開閉体の開放方向および閉鎖方向のうち、前記回転部材の開放方向側に設けられた第2接触部とを備え、前記回転部材は、前記開放方向側に回転した第1位置と、前記第1位置に対して前記閉鎖方向側に回転した第2位置との間で回転可能であり、前記付勢部材は、前記回転部材が、前記第1位置と前記第2位置との間の中間位置に対して前記第1位置側に回転したときには、前記回転部材を前記第2位置から前記第1位置へ向かう方向に付勢し、前記回転部材が前記中間位置に対して前記第2位置側に回転したときには、前記回転部材を前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に付勢し、前記開閉体が開放した開放位置から前記閉鎖位置に向かって移動して、前記第1位置に位置する前記回転部材の前記第1接触部に前記当接体が当接して、前記回転部材が前記第1位置から前記第2位置へと回転したときに、前記付勢部材の前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向の付勢力によって、前記開閉体を前記閉鎖方向に移動させる方向の力が加わるように、前記第2接触部が前記当接体を押圧する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の付勢機構及び開閉体開閉装置によれば、開閉体が閉鎖した状態で開閉体に開放方向の力が加わったとしても、簡単な構造で、開閉体を所定の閉鎖位置で保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態の開閉体開閉装置において、スライドドア本体によって取付対象の開口部が閉鎖された状態を示す正面図である。
図2図1に示された状態から、スライドドア本体が第1スライド方向に移動して、取付対象の開口部が開放された状態を示す正面図である。
図3】スライドドア本体が閉鎖位置に位置した状態における、開閉体開閉装置の内部構造を上部から見た概略図である。
図4】スライドドア本体と、スライドレールとが取り外された状態の開閉体開閉装置の斜視図である。
図5図4に示される開閉体開閉装置の正面図である。
図6】スライドドア本体が中継位置に位置した状態における、開閉体開閉装置の内部構造を上部から見た概略図である。
図7】スライドドア本体が開放位置に位置した状態における、開閉体開閉装置の内部構造を上部から見た概略図である。
図8】スライドドア本体の下部をガイドするガイド機構を示す斜視図である。
図9】本実施形態の開閉体開閉装置に設けられた押圧機構を示す概略図である。
図10図9に示される状態から、スライドドア本体が押圧機構により押圧され、中継位置に移動した状態を示す概略図である。
図11】押圧機構の変形例を示す概略図である。
図12図11に示される状態から、スライドドア本体が押圧機構により押圧され、中継位置に移動した状態を示す概略図である。
図13】付勢機構の回転部材が第1位置にある状態を示す斜視図である。
図14】付勢機構の回転部材が第1位置にある状態を示す側面図である。
図15】付勢機構の回転部材が第2位置にある状態を示す斜視図である。
図16】付勢機構の回転部材が第2位置にある状態を示す側面図である。
図17】付勢機構の回転部材によって当接体が閉鎖方向側に押圧されている状態を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態の付勢機構及び開閉体開閉装置を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明の付勢機構及び開閉遺体開閉装置は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「Aに垂直」およびこれに類する表現は、Aに対して完全に垂直な方向のみを指すのではなく、Aに対して略垂直であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「Bに平行」およびこれに類する表現は、Bに対して完全に平行な方向のみを指すのではなく、Bに対して略平行であることを含んで指すものとする。また、本明細書において、「C形状」およびこれに類する表現は、完全なC形状のみを指すのではなく、見た目にC形状を連想させる形状(略C形状)を含んで指すものとする。
【0011】
図3に示されるように、本実施形態の開閉体開閉装置1は、開閉体2と、開閉体2の閉鎖位置または閉鎖位置の近傍で、開閉体2を閉鎖方向Da(図13および図17参照)に付勢する付勢機構B(図14図17参照)とを備えている。
【0012】
開閉体開閉装置1は、後述するように、開閉体2を閉鎖方向Daに付勢することによって、開閉体2を所定の閉鎖位置で保持することを可能とする装置である。ここで、「閉鎖位置」は、例えば、設計上で、開閉体2が閉鎖されたときの位置をいう。本実施形態では、閉鎖位置は、開閉体2が閉鎖限度まで移動した位置であり、後述する付勢機構Bが無い場合における開閉体2の位置に対して、開閉体2がより閉鎖方向Da側に移動した位置である。なお、閉鎖位置は、開閉体2ごと、開閉体2の種類、開閉体2が取り付けられる取付対象の構造、開閉体2と取付対象との間に設けられたシール部材の状態など、各種条件によって変化し得る。
【0013】
また、本明細書において、「閉鎖方向Da」とは、開閉体2の閉鎖位置の近傍において、開閉体2が閉鎖する方向、すなわち、開閉体2が閉鎖位置からわずかに開放方向Dbに移動した位置から、閉鎖位置に向かって移動する方向をいう。また、「開放方向Db」とは、開閉体2の閉鎖位置の近傍において、開閉体2が開放する際に閉鎖位置から離れるように移動する方向をいう。なお、開閉体2の閉鎖位置の近傍における閉鎖方向Daおよび開放方向Dbを合わせて、開閉方向と呼ぶ。
【0014】
開閉体2は、図1および図2に示されるように、開閉体開閉装置1の取付対象Mに設けられた開口部OPを開閉する。開閉体2の種類や構造は、取付対象Mに設けられた開口部OPを開閉することができれば、特に限定されない。本実施形態では、開閉体2は、後述するように、スライドドア本体の閉鎖位置からスライドドア本体の表面に対して垂直な成分を含む方向に移動してから、水平方向のうち、スライドドアの表面に平行な方向(以下、スライド方向D1と呼ぶ)にスライドするスライドドア本体として構成されている。しかし、開閉体は、所定の方向に延びる軸周りに回転する開き戸であってもよいし、単に往復直線移動する引き戸であってもよい。また、開閉体は、水平方向に移動するものに限定されず、鉛直方向(上下方向)に開閉するものであってもよい。
【0015】
本実施形態では、開閉体2は、後述するように開閉体2を閉鎖位置から開放方向Dbへと押圧する押圧機構を有している。押圧機構は、後述する実施形態では、ワイヤの張力によって開放方向Dbへと開閉体2を押圧するように構成されている。しかし、押圧機構は、開閉体2を閉鎖位置から開放方向Dbへと押圧するものであれば、後述する実施形態に限定されず、開閉体2と取付対象Mとの間に設けられたシール部材など、開放方向Dbへの弾性力を開閉体2に加えるものなど、他の形態も含まれる。
【0016】
以下、開閉体2がスライドドア本体として構成された開閉体開閉装置1を例に挙げて説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0017】
開閉体開閉装置1は、図1および図2に示されるように、取付対象Mに設けられた開口部OPを開閉し、一方の面2aおよび他方の面2b(図3参照)を有する開閉体2(以下、スライドドア本体2という)と、取付対象Mに取り付けられ、スライドドア本体2を動作可能に支持するスライドドア支持部(開閉体支持部)3とを備えている。
【0018】
開閉体開閉装置1は、本実施形態では、スライドドア本体2を移動させることにより、取付対象Mの開口部OPを開閉する。開閉体開閉装置1は、本実施形態では、後述するように、スライドドア本体2が電動で開閉されるように構成されている。しかし、開閉体開閉装置1は、電動および手動の両方で開閉されるように構成されていてもよい。
【0019】
取付対象Mは、開閉体開閉装置1が取り付けられる対象である。本実施形態では、取付対象Mにスライドドア支持部3が取り付けられ、スライドドア支持部3を介してスライドドア本体2が取付対象Mに間接的に取り付けられている。取付対象Mは、開閉体開閉装置1を取り付けることができれば、特に限定されない。例えば、取付対象Mは、住居等の建築物のドア枠、車体等のドア枠、倉庫・冷蔵庫等のドア付き収納庫等のドア枠とすることができる。取付対象Mの開口部OPの形状は、本実施形態では略矩形状であるが、取付対象Mの種類等に応じて適宜変更が可能である。
【0020】
スライドドア本体2は、取付対象Mの開口部OPを開閉する。スライドドア本体2は、スライドドア支持部3に支持されてスライド方向D1に動作可能である。スライドドア本体2は、一方の面2aおよび他方の面2bを有している(図3参照)。図1および図2において図示されていないが、スライドドア本体2は、例えば、スライドドア本体2の一方の面2aおよび/または他方の面2bにスライドドア本体2を手動で開放するための把持部を有していてもよい。
【0021】
スライドドア本体2は、スライドドア支持部3によって開閉可能に支持されている。本実施形態では、スライドドア本体2は、図2に示されるように、スライドドア本体2の上下方向(鉛直方向)D3で上部21において、スライドドア支持部3に接続され、スライドドア本体2の上下方向D3で下部22において、案内機構4(図8参照)に接続されている。案内機構4については後述する。
【0022】
詳細は後述するが、開閉体開閉装置1は、スライドドア本体2を、スライドドア本体2が開口部OPを閉鎖した閉鎖位置(図3参照)、スライドドア本体2が閉鎖位置から一方の面2aに垂直な成分を含む方向へ所定量移動した中継位置(図6参照)、および中継位置から、スライドドア本体2のスライド方向D1のうち、スライドドア本体2が開放する方向となる第1スライド方向D11に直線的に移動した開放位置(図7参照)との間で移動するように構成されている。なお、本明細書において、スライド方向D1は、スライドドア本体2が中継位置から開放位置までの間を直線的に移動する方向(図1および図2における左右方向)である。スライド方向D1は、スライドドア本体2が開口部OPを開放するときに中継位置から開放位置へと移動する第1スライド方向D11と、スライドドア本体2が開口部OPを閉鎖するときに開放位置から中継位置へと移動する第2スライド方向D12とを含んでいる。
【0023】
閉鎖位置は、本実施形態では、図3に示されるように、スライドドア本体2が開口部OPを閉鎖する位置である。本実施形態では、閉鎖位置にあるスライドドア本体2の第1スライド方向D11側には、取付対象Mの一部が位置しており、スライドドア本体2は閉鎖位置から一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動することなく第1スライド方向D11に移動することができない。本実施形態では、スライドドア本体2は、閉鎖位置においてスライドドア本体2の一方の面2aが取付対象Mの一面とスライド方向D1で面一となっている。なお、閉鎖位置は、本実施形態では、図3に示されるように、後述するスライド部材32の被案内部321が案内部35の湾曲部351の第2スライド方向D12側の端部に位置するときに、スライドドア本体2が位置する位置である。
【0024】
中継位置は、図4に示されるように、閉鎖位置から開放位置までの間の、スライドドア本体2が通る途中の位置である。より具体的には、中継位置は、スライドドア本体2が閉鎖位置から、一方の面2aに垂直な成分を含む方向へと所定量移動して、第1スライド方向D11に移動可能となった位置である。なお、「一方の面2aに垂直な成分を含む方向」とは、一方の面2aに垂直な方向(以下、前後方向と呼ぶ)D2、または、前後方向D2の成分および第1スライド方向D11の成分を含む方向であり、前後方向D2に対して傾斜または湾曲する方向であり得る。一方の面2aに垂直な成分を含む方向が、前後方向D2の成分および第1スライド方向D11の成分を含む場合、第1スライド方向D11の成分の大きさよりも前後方向D2の成分の大きさの方が大きいことが好ましい。
【0025】
閉鎖位置から中継位置への一方の面2aに垂直な成分を含む方向への「所定量」の移動は、スライドドア本体2が、一方の面2aに垂直な成分を含む方向にそれ以上移動することなく第1スライド方向D11へ移動できる程度の移動量であればよい。本実施形態では、中継位置に位置するスライドドア本体2が、閉鎖位置に位置するスライドドア本体2に対して、スライドドア本体2の厚さ(一方の面2aから他方の面2bまでの厚さ)以上、前後方向D2へシフトしている。なお、中継位置は、本実施形態では、図6に示されるように、後述するスライド部材32の被案内部321が案内部35の湾曲部351と直線部352との境界に位置するときに、スライドドア本体2が位置する位置である。
【0026】
開放位置は、図7に示されるように、スライドドア本体2が開放限度まで移動した位置である。開放位置は、本実施形態では、後述するスライド部材32の被案内部321が案内部35の直線部352の第1スライド方向D11側の端部に位置するときに、スライドドア本体2が位置する位置である。なお、本明細書において、スライドドア本体2が閉鎖位置にあるときの、スライド部材32(被案内部321)の位置についても、スライド部材32(被案内部321)の閉鎖位置と呼ぶ。同様に、スライドドア本体2が中継位置にあるときの、スライド部材32(被案内部321)の位置を、スライド部材32(被案内部321)の中継位置と呼ぶ。また、スライドドア本体2が開放位置にあるときの、スライド部材32(被案内部321)の位置を、スライド部材32(被案内部321)の開放位置と呼ぶ。
【0027】
スライドドア支持部3は、スライドドア本体2を動作可能に支持する。本実施形態では、スライドドア支持部3は、スライドドア本体2の上部21を支持するように構成されているが、スライドドア支持部3は、スライドドア本体2の下部22など、他の部位を支持するように構成されていてもよい。
【0028】
スライドドア支持部3は、図3図5に示されるように、取付対象Mに固定される基部31と、スライドドア本体2に取り付けられたスライド部材32とを備えている。また、本実施形態では、スライドドア支持部3はさらに、閉鎖位置に位置したスライドドア本体2に対して、スライドドア本体2の他方の面2bに対向するように設けられた可動部材33と、スライド部材32と可動部材33とを繋ぐようにスライド方向D1に延びる連結部材34と、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置へと移動するように、スライド部材32を案内する案内部35とを備えている。後述するように、スライドドア本体2が閉鎖位置にある状態から、スライド部材32が案内部35に沿って移動すると、連結部材34を介して可動部材33がスライド部材32とともに、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。すなわち、スライド部材32と可動部材33とが、連結部材34によって同期して、スライドドア本体2がスライドドア本体2の一方の面2aに対して垂直な成分を含む方向に安定して移動する。
【0029】
なお、本実施形態では、開閉体開閉装置1において、スライドドア本体2はワイヤによって開閉駆動される。具体的には、スライドドア支持部3は、図3に示されるように、スライド部材32を移動させるための駆動力を生じる駆動部5と、スライド部材32から駆動部5に向かって一方向に延び、スライド部材32を第1スライド方向D11に移動するための第1ワイヤ61と、スライド部材32から駆動部5に向かって他方向に延び、スライド部材32を、スライドドア本体2のスライド方向D1のうち、スライドドア本体2が閉鎖する方向となる第2スライド方向D12に移動するための第2ワイヤ62とを備えている。
【0030】
駆動部5は、スライド部材32を移動させるための駆動力を発生させる。駆動部5は、第1ワイヤ61および第2ワイヤ62を操作することによって、第1ワイヤ61および第2ワイヤ62を介してスライド部材32を移動させる。駆動部5の構造は、スライド部材32が所望の方向に移動できるように第1ワイヤ61および第2ワイヤ62を操作することができれば、特に限定されない。本実施形態では、駆動部5は、第1ワイヤ61および第2ワイヤ62を巻き取り可能なドラム(図示せず)と、このドラムを回転させる正逆回転可能な電動モータ(図示せず)とを備えている。駆動部5の電動モータおよびドラムが一方向に回転したときに、第1ワイヤ61がドラムに巻き取られて(第2ワイヤ62はドラムから繰り出され)、スライド部材32が第1スライド方向D11に移動する。また、駆動部5の電動モータおよびドラムが逆方向に回転したときに、第2ワイヤ62がドラムに巻き取られて(第1ワイヤ61はドラムから繰り出され)、スライド部材32が第2スライド方向D12に移動する。
【0031】
第1ワイヤ61は、スライド部材32を第1スライド方向D11に移動させるためのワイヤである。第1ワイヤ61の一端は、駆動部5に接続され、第1ワイヤ61の他端は、スライド部材32に接続されている。第1ワイヤ61はスライド部材32から駆動部5へと一方向に延び、所定の配索経路で配索されている。本実施形態では、図3に示されるように、第1ワイヤ61は、スライド部材32から第1スライド方向D11に延び、方向転換部材(第1方向転換部材)71、移動式巻き掛け部8、および方向転換部材(第2方向転換部材)72によって方向転換されて、駆動部5に向かって延びている。詳細は後述するが、第1ワイヤ61は、移動式巻き掛け部8に巻き掛けられて、駆動部5の駆動によって第1ワイヤ61に張力が加わったときに、第1ワイヤ61の張力により、移動式巻き掛け部8をスライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動させるように構成されている。第1ワイヤ61の配索経路は、スライド部材32を第1スライド方向D11に移動させることができ、第1ワイヤ61の張力により、移動式巻き掛け部8をスライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動させることができれば、特に限定されない。なお、第1ワイヤ61を方向転換させる、方向転換部材、巻き掛け部の数、位置および構造は、図示する構成に限定されない。
【0032】
第2ワイヤ62は、スライド部材32を第2スライド方向D12に移動させるためのワイヤである。第2ワイヤ62の一端は、駆動部5に接続され、第2ワイヤ62の他端は、スライド部材32に接続されている。第2ワイヤ62はスライド部材32から駆動部5へと第1ワイヤ61とは反対側となる他方向に延び、所定の配索経路で配索されている。第2ワイヤ62の配索経路は、スライド部材32を第2スライド方向D12に移動させることができれば、特に限定されない。本実施形態では、第2ワイヤ62は、スライド部材32から第2スライド方向D12に延び、プーリ等の方向転換部材73によって方向転換されて、駆動部5に向かって延びている。なお、第2ワイヤ62を方向転換させる、方向転換部材の数、位置および構造は、図示する構成に限定されない。
【0033】
スライドドア本体2が閉鎖位置(図3参照)にあるときに、駆動部5によって第1ワイヤ61が引き操作されると、第1ワイヤ61からスライド部材32に第1スライド方向D11の力が加わる。これにより、スライド部材32は、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動した後、第1スライド方向D11に移動する。したがって、スライド部材32に接続されたスライドドア本体2が第1スライド方向D11に移動する。一方、スライドドア本体2が開放位置(図7参照)にあるときに、駆動部5によって第2ワイヤ62が引き操作されると、第2ワイヤ62からスライド部材32に第2スライド方向D12の力が加わる。これにより、スライド部材32は、第2スライド方向D12に移動する。したがって、スライド部材32に接続されたスライドドア本体2が第2スライド方向D12に移動する。
【0034】
また、開閉体開閉装置1は、図3に示されるように、駆動部5からスライド部材32までの間の第2ワイヤ62の配索経路に、第2ワイヤ62の張力を維持するための張力維持機構9を有していてもよい。これにより、第2ワイヤ62の弛みが抑制され、スライドドア本体2の動作を円滑にすることができる。また、第2ワイヤ62が弛んで、他の部位に引っ掛かったりすることによるワイヤの折損や開閉体開閉装置1の破損を抑制することができる。なお、張力維持機構は、第1ワイヤ61および第2ワイヤ62の配索経路のうちのいずれか一方または両方に設けられていればよい。したがって、第1ワイヤ61の配索経路に、同様の構成を有する張力維持機構が設けられていてもよい。張力維持機構9の構造は、第1ワイヤ61または第2ワイヤ62の緩みを抑制することができれば、特に限定されない。本実施形態では、張力維持機構9は、第2ワイヤ62に当接する当接部91と、当接部91を第2ワイヤ62の弛みが吸収される方向に付勢する付勢部材92とを有している。当接部91は、第1ワイヤ61または第2ワイヤ62の配索経路に沿って設けられた、プーリやワイヤガイドなどの方向転換部材とすることができる。付勢部材92は、第1ワイヤ61または第2ワイヤ62の弛みが抑制される方向に、当接部91を移動させることが可能に構成されている。付勢部材92の構造は、第1ワイヤ61または第2ワイヤ62の弛みが抑制される方向に、当接部91を移動させることができれば、特に限定されないが、例えば、バネやゴム等の弾性部材とすることができる。
【0035】
以下、本実施形態の開閉体開閉装置1のスライドドア支持部3の各部について説明する。
【0036】
基部31は、スライドドア支持部3を取付対象Mに取り付けるための部位である。基部31は、例えば、ネジ、ボルト等の固定部材によって取付対象Mに取り付けられる。本実施形態では、基部31は複数の部材(基部31a、31b、31c、31d、31e等)によって構成されているが、基部31は、複数の接続部位を有する1つの部材から構成されていてもよいし、図示するものよりも多くの部材によって構成されていてもよい。
【0037】
スライド部材32は、スライドドア本体2に取り付けられ、スライドドア本体2と連動して移動するように構成されている。スライド部材32は、後述するように、スライドドア本体2の閉鎖位置と中継位置との間の移動中は、案内部35に案内されて、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。一方、スライドドア本体2の中継位置と開放位置との間の移動中は、スライド部材32は、スライド方向D1に移動する。
【0038】
スライド部材32は、基部31に移動可能に取り付けられている。具体的には、スライド部材32は、基部31のうち、案内部35が設けられた基部(案内板)31d(図4参照)に移動可能に支持されている。また、スライド部材32は、スライド部材32とスライドドア本体2とが連動して、一方の面2aに垂直な成分を含む方向およびスライド方向D1に移動できるように、スライドドア本体2に取り付けられている。スライド部材32のスライドドア本体2への取付位置は、スライド部材32がスライドドア本体2と連動して移動することができれば特に限定されない。本実施形態では、スライド部材32は、図3に示されるように、スライドドア本体2の第2スライド方向D12側の端部領域に取り付けられている。
【0039】
また、スライド部材32は、スライドドア本体2の閉鎖位置と中継位置との間の移動中は、連結部材34と連動して一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。一方、スライドドア本体2の中継位置と開放位置との間の移動中は、連結部材34に対して、スライド方向D1に相対移動可能に接続されている。
【0040】
スライド部材32の構造は、スライド部材32がスライドドア本体2と連動して移動するように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、スライド部材32は、図3図5に示されるように、スライドドア本体2に接続される本体部322と、案内部35に案内される被案内部321とを有している。また、本実施形態では、スライド部材32は、第1ワイヤ61および第2ワイヤ62が接続されるワイヤ接続部323を有している。
【0041】
本体部322は、スライドドア本体2に取り付けられるスライド部材32の本体を構成する部分である。本体部322の形状および構造は、スライドドア本体2に取り付け可能であり、スライドドア本体2と連動して移動できるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、本体部322は、図4に示されるように、前後方向D2に延びる一対の延在部322a、322bと、一対の延在部322a、322bを上下方向D3に結ぶ連結部322cとを有する略C字状部分を有している。本実施形態では、連結部322cがスライドドア本体2に取り付けられる。本体部322は、前後方向D2で連結部322cとは反対側において、一対の延在部322a、322bを結ぶ方向(上下方向D3)に延びるロッドRを有している。ロッドRには、ワイヤ接続部323が取り付けられている。また、ロッドRは、上側の延在部322aを貫通するとともに、案内部35を有する基部(案内板)31d(以下、案内板31dとも呼ぶ)を貫通して延びている。ロッドRの上端には、被案内部321が設けられている。
【0042】
被案内部321は、スライドドア本体2の閉鎖状態から開放動作が行われた際に、案内部35に沿って一方の面2aに垂直な成分を含む方向に案内される。また、本実施形態では、被案内部321は、スライドドア本体2の中継位置と開放位置との間で、スライド方向D1に沿って案内される。被案内部321の形状および構造は、被案内部321が案内部35に沿って一方の面2aに垂直な成分を含む方向に案内されるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、被案内部321は、ロッドRのうち、案内板31dを貫通する部分において、案内部35によって案内されている。また、被案内部321は、図3図5に示されるように、案内部35に沿って案内板31dの上面を転動する一対のローラ321a、321bを有している。ローラ321a、321bのそれぞれは、水平軸周りに回転して案内板31dの上面を転動する。また、ローラ321a、321bの全体は、上下方向D3に延びる軸周りにロッドRに対して首振り可能に構成され、案内部35に沿って移動する被案内部321の進行方向に応じて、ローラ321a、321bの上下方向D3に延びる軸周りの角度を変更する。
【0043】
ワイヤ接続部323は、第1ワイヤ61および第2ワイヤ62が接続される部位である。ワイヤ接続部323には、駆動部5による第1ワイヤ61または第2ワイヤ62の操作によって、スライド部材32が所定の方向に移動できるように、第1ワイヤ61および第2ワイヤ62が接続される。本実施形態では、方向転換部材71からワイヤ接続部323までスライド方向D1に延びる第1ワイヤ61の端部がワイヤ接続部323に接続されている。また、方向転換部材73からワイヤ接続部323までスライド方向D1に延びる第2ワイヤ62の端部がワイヤ接続部323に接続されている。
【0044】
案内部35は、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置へと移動するように、スライド部材32の被案内部321を一方の面2aに垂直な成分を含む方向に案内する。案内部35は、本実施形態では、基部31に設けられている。本実施形態では、案内部35は、スライドドア支持部3の上部において水平方向に延びる板状の案内板31dに設けられている。なお、案内部は、取付対象Mに設けられていてもよい。案内部35の構造は、被案内部321を一方の面2aに垂直な成分を含む方向に案内することができれば、特に限定されない。本実施形態では、案内部35は、案内板31dに上下方向D3に貫通して設けられ、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に延びた後、スライド方向D1に延びるガイド孔によって構成されている。なお、案内部は、板状の案内板31dに設けられた貫通孔ではなく、図3および図4に示される案内部35に対応する形状のガイド溝を有する細長いガイドレールによって構成されていてもよい。
【0045】
案内部35は、本実施形態では、被案内部321を湾曲した経路で案内する湾曲部351を有している。湾曲部351は、案内部35のうち、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に湾曲して延びる部分である。案内部35は、被案内部321を一方の面2aに垂直な成分を含む方向に案内することができれば、変形例として、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に直線的に(前後方向D2に対して傾斜して)延びていてもよい。
【0046】
案内部35は、本実施形態では、被案内部321を閉鎖位置から中継位置に案内するだけでなく、中継位置から開放位置まで案内している。本実施形態では、案内部35は、図3図4図6および図7に示されるように、湾曲部351と連続し、スライド方向D1に延びる直線部352を備えている。直線部352は、スライドドア本体2が中継位置から開放位置まで移動する際に、被案内部321を案内する。被案内部321が直線部352に案内されることにより、スライドドア本体2は中継位置と開放位置との間でスライド方向D1に直線的に動作する。
【0047】
また、本実施形態では、案内板31dは、図3および図4に示されるように、案内部35に加えて、補助案内部36a、36bを有している。補助案内部36a、36bは、スライドドア支持部3に設けられた補助被案内部37a、37bをそれぞれ案内する。スライドドア本体2が案内部35によって閉鎖位置から中継位置へと、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に案内されるときに、補助被案内部37a、37bが補助案内部36a、36bにそれぞれ案内されることによって、スライドドア本体2をより円滑に動作させることができる。補助案内部36a、36bおよび補助被案内部37a、37bの位置や数は特に限定されない。本実施形態では、補助案内部36a、36bは、案内部35の湾曲部351と略同一の形状とされている。補助案内部36aは、案内部35の第1スライド方向D11側に位置し、補助案内部36bは、案内部35の第2スライド方向D12側に位置している。補助被案内部37a、37bは、被案内部321と同様の構造とされている。補助被案内部37aは、可動部材33と連結部材34とが連結された部位またはその近傍の上方に向かって延びている。補助被案内部37bは、被案内部321の第2スライド方向D12側に設けられている。
【0048】
連結部材34は、所定の間隔でスライド方向D1に離間したスライド部材32と可動部材33とを繋ぐようにスライド方向D1に延びている。連結部材34の一端34a側は、スライド部材32に接続され、連結部材34の他端34b側は、可動部材33に接続されている。なお、本実施形態では、連結部材34の一端34aは、スライドドア支持部3の第2スライド方向D12側の端部近傍に設けられた保持部材38に取り付けられている(図3参照)。なお、保持部材38は、本実施形態では、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置に移動する際に、スライドドア本体2と共に一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。一方、スライドドア本体2が中継位置から開放位置へと移動する際には、保持部材38は第1スライド方向D11に移動せず、スライドドア本体2は保持部材38に対して第1スライド方向D11に移動する。
【0049】
連結部材34は、可動部材33とともに、被案内部321が案内部35に案内された際に一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動し、スライドドア本体2が中継位置に到達し開放位置に移動するまで、スライド部材32は、連結部材34に対してスライド方向D1で相対移動するように構成されている。本実施形態では、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置まで移動する間、スライド部材32は、連結部材34の一端34aに対するスライド方向D1での相対移動が抑制された状態で、スライド部材32の被案内部321は案内部35に案内される。したがって、スライド部材32および連結部材34は、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置までを移動する間、相対移動が抑制された状態で共に一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。また、連結部材34の他端34bは、可動部材33に直接または間接的に接続されている。これにより、連結部材34および可動部材33は、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置に移動する間、共に一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。本実施形態では、スライドドア本体2が中継位置まで到達すると、後述するように、スライド部材32と連結部材34との間でのスライド方向D1での相対移動の抑制が解除され、スライド部材32が連結部材34に対してスライド方向D1に移動可能となる。この際、本実施形態では、可動部材33、保持部材38および連結部材34は、スライド方向D1および前後方向D2に移動せずに停止した状態となっている。
【0050】
連結部材34の形状・構造は、被案内部321が案内部35に案内された際に、連結部材34が、スライド部材32および可動部材33とともに、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動し、スライドドア本体2が中継位置に到達し開放位置に移動するまで、スライド部材32が、連結部材34に対してスライド方向D1で相対移動するように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、連結部材34は、図3図5に示されるように、スライド方向D1に細長い板状体である。連結部材34は、図3図6および図7に示されるように、スライド部材32が連結部材34に対してスライド方向D1で相対移動する際に、被案内部321をスライド方向D1に案内する案内路341を有している。スライドドア本体2がスライド方向D1に移動する際に、被案内部321が案内路341にスライド方向D1に案内されることにより、スライドドア本体2が安定して移動することができる。
【0051】
本実施形態では、連結部材34が一方の面に垂直な成分を含む方向に移動したときに、図6および図7に示されるように、連結部材34の案内路341と案内部35の直線部352とが一方の面2aに垂直な方向(前後方向D2)で重なるように(上面視で直線部352と案内路341とが重なるように)構成されている。これにより、被案内部321は、案内路341および直線部352の両方に案内される。被案内部321が、連結部材34の案内路341および案内部35の直線部352の両方に案内されることにより、スライドドア本体2のスライド方向D1での移動がさらに安定する。また、本実施形態では、連結部材34は、図4および図5に示されるように、上下方向D3に離間して一対設けられている。一対の連結部材34のそれぞれは案内路341を有し、被案内部321は、案内部35の直線部352、一対の連結部材34のそれぞれの案内路341に案内される。したがって、スライドドア本体2のスライド方向D1の移動がより安定する。
【0052】
連結部材34の案内路341は、本実施形態では、連結部材34を上下方向D3に貫通し、スライド方向D1に延びる長孔によって構成されている。しかし、案内路341の形状および構造は、被案内部321をスライド方向D1に案内することができれば、特に限定されない。
【0053】
連結部材34は、図3図6および図7に示されるように、複数のリンクL1、L2によって、基部31に接続されていてもよい。本実施形態では、取付対象Mに取り付けられた基部31cにリンクL1、L2の一端が取り付けられ、リンクL1、L2の他端が連結部材34に取り付けられている。この場合、連結部材34がスライド部材32および可動部材33と共に一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動するときに、連結部材34の動きが安定する。なお、リンクL1、L2は、リンクL1、L2が揺動したときに、リンクL1、L2の他端の軌跡の曲率が、案内部35の湾曲部351の曲率に対応するように構成されていることが好ましい。
【0054】
可動部材33は、連結部材34とともに、被案内部321が案内部35に案内された際に一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。本実施形態では、被案内部321が案内部35に案内されて、スライド部材32が一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動した際に、スライド部材32に接続された連結部材34も一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。これにより、連結部材34に接続された可動部材33が、連結部材34とともに、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。したがって、スライドドア本体2は、スライド方向D1で離間した、スライド部材32が設けられた部位と、可動部材33が設けられた部位とで、前後方向D2に同じ移動量で移動する。このようにして、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置に移動する際に、スライドドア本体2は安定した姿勢で移動される。
【0055】
可動部材33は、連結部材34と連動して移動するように、連結部材34に直接または間接的に接続されている。本実施形態では、可動部材33は、連結部材34の他端34bにスライド方向D1で相対移動しないように接続されている。
【0056】
本実施形態では、図3図4図6および図7に示されるように、可動部材33は、一端が基部31aまたは取付対象Mに接続され、他端が可動部材33に接続されたリンクL3、L4によって、基部31aまたは取付対象Mに揺動可能に取り付けられている。本実施形態では、案内部35の湾曲部351の曲率は、リンクL3、L4が、基部31a(または取付対象M)を中心に揺動したときの曲率に対応するように構成されている。これにより、スライド部材32の移動軌跡と可動部材33の移動軌跡とが同一の方向を向き、スライドドア本体2の第2スライド方向D12側での動作と、第1スライド方向D11側での動作とが正確に同期する。したがって、スライドドア本体2が安定して一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動することができる。なお、本実施形態では、リンクL3、L4の長さは、基部31c(または取付対象M)と連結部材34とを接続するリンクL1、L2の長さと同一となっている。したがって、リンクL1、L2が基部31c(または取付対象M)を中心に揺動したときの軌跡の曲率は、湾曲部351の曲率およびリンクL3、L4が基部31a(または取付対象M)を中心に揺動したときの軌跡の曲率に対応する。この場合、スライドドア本体2の動作がさらに安定する。
【0057】
また、可動部材33は、スライドドア本体2が可動部材33に対してスライド方向D1に移動可能となるように設けられている。本実施形態では、可動部材33とスライドドア本体2とは、図3図6および図7に示されるように、スライドレールSを介して接続されている。具体的には、可動部材33にスライドレールSのベース部材S1が固定され、スライドドア本体2の他方の面2bにベース部材S1に対してスライドする移動部材S2が固定されている。これにより、移動部材S2がベース部材S1に対してスライド方向D1にスライドすることにより、スライドドア本体2が可動部材33に対してスライド方向D1にスライドする。なお、ベース部材S1は、ベース部材S1の一端において可動部材33に固定され、他端において保持部材38に固定されている。
【0058】
なお、可動部材33は、本実施形態では、上述したように、スライドレールSを介して間接的にスライドドア本体2に接続されているが、可動部材33は、スライドドア本体2の他方の面2bに直接、相対移動可能に接続されていてもよい。例えば、スライドレールSが設けられずに、可動部材33が、スライドドア本体2の他方の面2bに摺動可能に接続されていてもよい。
【0059】
可動部材33は、本実施形態では、スライドドア本体2が閉鎖位置にあるときに、スライドドア本体2の他方の面2bに対向するように、スライドドア本体2の第1スライド方向D11側の端部近傍に設けられている。一方、スライド部材32は、本実施形態では、スライドドア本体2の第2スライド方向D12側の端部に設けられている。このようにスライド部材32および可動部材33が、スライドドア本体2のスライド方向D1の両端近傍にそれぞれ設けられている場合、スライドドア本体2が一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する際にスライドドア本体2の姿勢が安定する。
【0060】
可動部材33の形状および構造は、可動部材33が連結部材34とともに、被案内部321が案内部35に案内された際に一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動することができれば、特に限定されない。本実施形態では、可動部材33は、連結部材34に接続され、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する可動部材本体331を有している。本実施形態では、可動部材本体331は、図4に示されるように、上面331aと、下面331bと、スライドドア本体2の他方の面2bに対向する押圧面331cと、前後方向D2で押圧面331cの反対側に位置する、後面331dとを有している。本実施形態では、可動部材33の上面331aおよび下面331bに、一対の連結部材34のそれぞれが接続されている。可動部材本体331は、上面331aから上方へと延びる補助被案内部37aを有している。
【0061】
案内機構4は、図1および図2に示されるように、スライドドア本体2の下部22を上部21と同様の軌跡を辿るように案内する。案内機構4の構造は、スライドドア本体2の下部22をガイドすることができれば、特に限定されない。本実施形態では、案内機構4は、図8に示されるように、スライドドア本体2の下部22に取り付けられるドア側部材41と、ドア側部材41が案内される第2案内部42および第2補助案内部43とを備えている。ドア側部材41は、スライドドア本体2の下部22に取り付けられ、第2案内部42に案内される第2被案内部411aを有する取付部411と、第2補助案内部43に案内される第2補助被案内部412と、取付部411と第2補助被案内部412とを繋ぐようにスライド方向D1に延びる第2連結部材413とを有している。
【0062】
第2案内部42および第2補助案内部43は、スライドドア本体2の下方に設けられている第2案内板PLに設けられている。第2案内板PLは、案内板31dと同様の構造を有している。第2案内部42は、案内部35と同様の構造を有しており、湾曲部42aおよび直線部42bを有している。第2補助案内部43は、補助案内部36aと同様の構造を有している。
【0063】
第2被案内部411aは、被案内部321と同様の構造を有しており、第2補助被案内部412は、補助被案内部37aと同様の構造を有している。第2被案内部411aおよび第2補助被案内部412は、図8に示されるように、第2連結部材413によって接続されている。第2連結部材413は、スライド方向D1に沿って延びる案内路413aを有している。また、第2連結部材413は、第2案内板PLに一端が回転可能に取り付けられ、他端が第2連結部材413に回転可能に取り付けられた複数のリンクL5、L6によって、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動可能となっている。スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置に移動するまでは、第2被案内部411aが第2案内部42の湾曲部42aに案内されるとともに、第2補助被案内部412が第2補助案内部43に案内される。第2被案内部411aおよび第2補助被案内部412は、第2連結部材413によって一方の面2aに垂直な成分を含む方向に連動して移動して、スライドドア本体2の下部22が安定して移動する。スライドドア本体2が中継位置まで移動すると、第2案内部42の直線部42bと、第2連結部材413の案内路413aとが、上下方向D3で重なる。これにより、第2被案内部411aが、第2案内部42の直線部42bと第2連結部材413の案内路413aとの両方に案内されて、第1スライド方向D11に移動することができる。
【0064】
なお、開閉体開閉装置1において、案内機構4はあくまで任意の構成であり、スライドドア本体2の下部22は、案内機構4に支持されていなくてもよいし、別の機構によって案内されていてもよい。または、開閉体開閉装置1において、スライドドア本体2の上部21および下部22の両方が、スライドドア支持部3により支持されていてもよい。
【0065】
本実施形態では、第1ワイヤ61によってスライド部材32を一方の面2aに垂直な成分を含む方向に円滑に移動させるために、スライドドア支持部3は、スライドドア本体2に、一方の面2aに垂直な成分を含む方向への押圧力を加えることが可能な押圧機構Pを有している。押圧機構Pは、本実施形態では、図3に示されるように、第1ワイヤ61が巻き掛けられる方向転換部材71、72と、第1ワイヤ61が巻き掛けられ、基部31に対してスライドドア本体2の一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動可能に設けられた移動式巻き掛け部8とを備えている。移動式巻き掛け部8は、駆動部5の駆動によって第1ワイヤ61に張力が加わったときに、第1ワイヤ61の張力によりスライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動するように構成されている。移動式巻き掛け部8がスライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動することにより、スライドドア本体2に、スライドドア本体2の一方の面2aに垂直な成分を含む方向への押圧力が直接または間接的に加わる。これにより、スライドドア本体2の閉鎖位置から中継位置までの移動がアシストされる。
【0066】
移動式巻き掛け部8は、第1ワイヤ61が巻き掛けられ、第1ワイヤ61に加わった張力により、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動可能に構成されている。より具体的には、移動式巻き掛け部8は、スライドドア本体2に直接または間接的に接続され、移動式巻き掛け部8が一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動することにより、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置まで移動するように、スライドドア本体2に一方の面2aに垂直な成分を含む方向への押圧力を加える。移動式巻き掛け部8は、本実施形態では、スライドドア本体2に間接的に接続されている。具体的には、移動式巻き掛け部8は、連結部材34に固定されて、スライドドア本体2に間接的に接続されている。なお、移動式巻き掛け部8は、連結部材34に直接接続されていてもよいし、間接的に接続されていてもよい。また、移動式巻き掛け部材8は、可動部材33に直接または間接的に接続されていてもよい。
【0067】
移動式巻き掛け部8の構造は、スライドドア本体2に一方の面2aに垂直な成分を含む方向への押圧力を加えることができれば、特に限定されない。本実施形態では、移動式巻き掛け部8は、第1ワイヤ61が巻き掛けられる巻掛体81と、巻掛体81を支持し、スライドドア本体2に直接または間接的に接続される支持体82とを有している。
【0068】
巻掛体81は、第1ワイヤ61が巻き掛けられる部位である。巻掛体81は、駆動部5の駆動によって第1ワイヤ61に加わった張力によって、スライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向の力が加わる位置に設けられる。巻掛体81の構造は、第1ワイヤ61に加わった張力によって、スライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向の力が加わるように構成されていれば、特に限定されない。本実施形態では、巻掛体81は上下方向D3に延びる円筒状に設けられているが、巻掛体81は、プーリやワイヤガイドなどによって構成されていてもよい。
【0069】
支持体82は、巻掛体81を支持し、巻掛体81に加わった力をスライドドア本体2に伝達する。支持体82は、本実施形態では、連結部材34に接続され(図4参照)、連結部材34を介して間接的にスライドドア本体2に接続されている。より具体的には、図4に示されるように、支持体82は、巻掛体81の上下方向D3の両端を支持するとともに、上下方向D3に一対設けられた連結部材34のそれぞれに固定されている。支持体82の構造は、巻掛体81を支持し、巻掛体81に加わった力をスライドドア本体2に伝達することができれば、特に限定されない。また、支持体82は、直接スライドドア本体2に接続されていてもよい(図9参照)。
【0070】
方向転換部材71、72は、第1ワイヤ61が巻き掛けられる部材である。方向転換部材71、72は、移動式巻き掛け部8にスライドドア本体の他方の面2bに近付く方向に移動する力が加わるように、第1ワイヤ61が配索される位置に設けられる。方向転換部材の位置や数は、移動式巻き掛け部8にスライドドア本体の他方の面2bに近付く方向に移動する力が加わるように、第1ワイヤ61が配索される位置に設けられていれば、図示する位置や数に限定されない。本実施形態では、方向転換部材の1つは、スライド部材32からスライド方向D1に延びる第1ワイヤ61が方向転換される第1方向転換部材71である。移動式巻き掛け部8(巻掛体81)は、スライドドア本体2の他方の面2bから、第1方向転換部材71よりも離れた位置に配置されている。この場合、移動式巻き掛け部8に、移動式巻き掛け部8にスライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動する力が加わりやすい。本実施形態では、スライド部材32から第1方向転換部材71へと延びる第1ワイヤ61は、第1方向転換部材71で方向転換された後、移動式巻き掛け部8に延び、さらに第2方向転換部材72を経由して、駆動部5へと延びている。本実施形態では、移動式巻き掛け部8(巻掛体81)は、スライドドア本体2の他方の面2bから、第2方向転換部材72よりも離れた位置に配置されている。この場合、さらに移動式巻き掛け部8に、移動式巻き掛け部8にスライドドア本体の他方の面2bに近付く方向に移動する力が加わりやすい。すなわち、移動式巻き掛け部8の両方向に延びる第1ケーブル61が、移動式巻き掛け部8(巻掛体81)に対して、スライドドア本体2に近付く方向に延びていることが好ましい。また、方向転換部材71および方向転換部材72は、移動式巻き掛け部8の巻掛体81に対して、第1スライド方向D11側に設けられていることが好ましい。この場合、巻掛体81に対して、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置まで移動する方向、すなわち、一方の面2aに垂直な成分を含む方向と同じ方向に力が加わり、移動式巻き掛け部8の移動が円滑になる。
【0071】
つぎに、押圧機構Pの作用効果について、図9および図10を用いて説明する。なお、図9および図10において、第1ワイヤ61の配索方向や、方向転換部材71、72の位置、移動式巻き掛け部8の位置などは、図3に示される実施形態とほぼ同様である。また、可動部材33や連結部材34等は、押圧機構Pの作用効果を得るうえで、任意の構成であるため、図示は省略している。なお、本実施形態では、開閉体開閉装置1は押圧機構Pを備えているが、後述するように、開閉体開閉装置1は、必ずしも押圧機構Pを備えている必要はない。
【0072】
図9に示されるスライドドア本体2が閉鎖位置にある状態から、駆動部5が駆動されると、第1ワイヤ61に張力が加わる。具体的には、スライドドア本体2を動作させるためには、所定の重量のスライドドア本体2をスライドさせるのに必要な力で第1ワイヤ61を引き操作する必要がある。この第1ワイヤ61に加わった張力は、第1ワイヤ61の配索経路上に位置する移動式巻き掛け部8にも作用する。これにより、移動式巻き掛け部8は、スライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動する(図10参照)。移動式巻き掛け部8がスライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動することにより、移動式巻き掛け部8と接続されたスライドドア本体2は、図10に示されるように、移動式巻き掛け部8によって一方の面2aに垂直な成分を含む方向に押圧される。したがって、スライド部材32に接続された第1ワイヤ61がスライド方向D1に延びている場合であっても、スライドドア本体2を閉鎖位置から中継位置へと容易に移動させることができ、スライドドア本体2の開放動作を円滑にすることができる。
【0073】
図11および図12は、方向転換部材71、72の位置を変更した変形例である。図9および図10に示される態様では、方向転換部材71、72がいずれも移動式巻き掛け部8に対して第1スライド方向D11側に位置しているが、図11図12に示される態様では、方向転換部材の一方(方向転換部材72)が移動式巻き掛け部8の第2スライド方向D12側に位置している。
【0074】
図11に示される態様においても、方向転換部材71と方向転換部材72との間に設けられた移動式巻き掛け部8に、第1ワイヤ61に加わった張力が作用する。これにより、移動式巻き掛け部8は、スライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動する(図12参照)。移動式巻き掛け部8がスライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動することにより、移動式巻き掛け部8と接続されたスライドドア本体2は、図12に示されるように、移動式巻き掛け部8によって一方の面2aに垂直な成分を含む方向に押圧される。したがって、スライド部材32に接続された第1ワイヤ61がスライド方向D1に延びている場合であっても、スライドドア本体2を閉鎖位置から中継位置へと容易に移動させることができ、スライドドア本体2の開放動作を円滑にすることができる。
【0075】
図11に示される態様においては、図9に示される態様と同様に、方向転換部材71および方向転換部材72のいずれもが、前後方向D2で移動式巻き掛け部8の巻掛体81とスライドドア本体2の他方の面2bとの間に位置している。この場合、移動式巻き掛け部8は、スライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動しやすく、スライドドア本体2の開放動作をより円滑にすることができる。
【0076】
上述したように、本実施形態では、開閉体開閉装置1のスライドドア支持部3は、スライド部材32と、可動部材33と、スライド部材32と可動部材33とを繋ぐようにスライド方向D1に延びる連結部材34と、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置へと移動するように、スライド部材32を案内する案内部35とを備えている。また、スライド部材32の被案内部321は、スライドドア本体2の閉鎖状態から開放動作が行われた際に、案内部35に沿って一方の面2aに垂直な成分を含む方向に案内され、可動部材33は、連結部材34とともに、被案内部321が案内部35に案内された際に一方の面に垂直な成分を含む方向に移動する。この場合、スライド部材32および可動部材33の動作が連結部材34によって同期して、スライドドア本体2が、スライド部材32が設けられた部位と、可動部材33が設けられた部位とにおいて、同じ移動量および同じ方向に移動する。したがって、スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置まで安定して移動することができ、スライドドア本体2が円滑に動作する。そして、スライドドア本体2が中継位置に到達し開放位置に移動するまでは、スライド部材32は、連結部材34に対してスライド方向D1で相対移動して、スライドドア本体2が第1スライド方向D11に移動し、取付対象Mの開口部OPが開放する。
【0077】
以下、本実施形態の開閉体開閉装置1における、スライドドア本体2の開閉動作について詳細に説明する。なお、以下の説明はあくまで一例であり、以下の説明により、本発明の開閉体開閉装置1が限定されるものではない。
【0078】
まず、図3に示されるスライドドア本体2の閉鎖状態から、スライドドア本体2の開放操作が行われる。具体的には、例えば、押しボタン等、所定の操作部(図示せず)が操作されることによって、駆動部5が駆動される。駆動部5が駆動されると、第1ワイヤ61が駆動部5によって引き操作され、第2ワイヤ62は駆動部5から繰り出される。図3および図4において、第1ワイヤ61がワイヤ接続部323と方向転換部材71との間で左側に引き操作されると、ロッドR、本体部322を介して、被案内部321およびスライドドア本体2に、第1ワイヤ61が引き操作される方向、すなわち第1スライド方向D11(図3および図4では左側)に向かう力が加わる。
【0079】
この際、第1ワイヤ61に加わった張力が、移動式巻き掛け部8の巻掛体81に作用する。移動式巻き掛け部8の巻掛体81には、第1ワイヤ61が巻き掛けられて接触した部分から、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に力が加わる。移動式巻き掛け部8は、スライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動できるように構成されているので、第1ワイヤ61の張力によって、一方の面2aに垂直な成分を含む方向(図3において下方向)に移動する。これにより、スライドドア本体2が一方の面2aに垂直な成分を含む方向に押圧されて、スライドドア本体2の閉鎖位置から中継位置への移動がアシストされる。したがって、スライドドア本体2の開放動作を円滑にすることができる。
【0080】
本実施形態では、移動式巻き掛け部8は、連結部材34に接続され、移動式巻き掛け部8がスライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動した際に、連結部材34が、移動式巻き掛け部8と連動してスライドドア本体2の他方の面2bに近付く方向に移動するように構成されている。この場合、移動式巻き掛け部8が一方の面2aに垂直な成分を含む方向へと力を受けて、連結部材34を一方の面2aに垂直な成分を含む方向に押圧する。これにより、連結部材34を介してスライドドア本体2が一方の面2aに垂直な成分を含む方向に押圧されて、スライドドア本体2の閉鎖位置から中継位置への移動がアシストされる。なお、移動式巻き掛け部8は、可動部材33に接続されていてもよく、この場合、移動式巻き掛け部8によって可動部材33が一方の面2aに垂直な成分を含む方向に押圧され、可動部材33を介してスライドドア本体2が一方の面2aに垂直な成分を含む方向に押圧される。
【0081】
なお、上述した第1ワイヤ61の張力によって移動式巻き掛け部8を移動させる際に、第1ワイヤ61は駆動部5に巻き取られ、第2ワイヤ62は駆動部5から繰り出される。このとき、第1ワイヤ61は移動式巻き掛け部8を移動させながら駆動部5に巻き取られるが、移動スライド部材32は第1スライド方向D11にそれほど移動しないため、第2ワイヤ62が弛んだ状態となる場合がある。本実施形態では、図3図6図9および図10に示されるように、駆動部5からスライド部材32までの間の第2ワイヤ62の配索経路に、第2ワイヤ62の張力を維持するための張力維持機構9を有している。第2ワイヤ62が繰り出されたときに、張力維持機構9の当接部91が付勢部材92の付勢力によって、第2ワイヤ62の弛みが取れる方向に第2ワイヤ62を押圧する。したがって、第1ワイヤ61の張力によって移動式巻き掛け部8を一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動させる間に、第2ワイヤ62が弛むことを抑制することができる。したがって、第2ワイヤ62が弛んで、他の部材と引っ掛かったりして、第2ワイヤ62が破損したり、開閉体開閉装置1の動作を阻害することが抑制される。
【0082】
スライドドア本体2が閉鎖位置から中継位置へ移動する際、図3に示されるように、被案内部321は案内部35の湾曲部351に案内されている。したがって、被案内部321は、第1スライド方向D11に直線的に移動するのではなく、湾曲部351に沿って一方の面2aに垂直な成分を含む方向、すわなち、前後方向D2に移動するとともに第1スライド方向D11に移動する。スライド部材32(被案内部321)が、一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動すると、スライド部材32のロッドRと、案内路341において係合している連結部材34は、スライド部材32から一方の面2aに垂直な成分を含む方向に向かって力を受ける。そして、連結部材34の他端34bは、リンクL3、L4によって基部31aに対して揺動可能に設けられた可動部材33に接続されているので、連結部材34および可動部材33は、スライド部材32の移動方向(一方の面2aに垂直な成分を含む方向)と同じ方向に、スライド部材32と同じ移動量で移動する。したがって、スライド部材32が設けられたスライドドア本体2の第2スライド方向D12側の端部と、可動部材33が設けられたスライドドア本体2の第1スライド方向D11側の端部とが、スライド部材32および可動部材33によって同方向かつ同じ移動量で移動する。したがって、スライドドア本体2が、閉鎖位置から中継位置まで安定して円滑に移動することができる。なお、このとき、スライド部材32、連結部材34、可動部材33以外に、保持部材38、補助被案内部37a、37b、スライドレールSのベース部材S1、移動部材S2、移動式巻き掛け部8および方向転換部材71、73も一方の面2aに垂直な成分を含む方向に移動する。
【0083】
図6に示されるように、スライドドア本体2が中継位置まで移動すると、前後方向D2で連結部材34の案内路341と、案内部35の直線部352とが重なり、スライド部材32が案内路341および直線部352に沿って第1スライド方向D11に移動することが可能となる。具体的には、駆動部5によって第1ワイヤ61が引き操作されて、スライド部材32が図6において左側に移動すると、スライドレールSの移動部材S2とともにスライドドア本体2が左側に移動して、図2および図7に示される開放状態となる。
【0084】
スライド部材32が案内路341および直線部352に沿って第1スライド方向D11に移動している間は、連結部材34が図3に示される初期位置に戻ることが規制され、スライドドア本体2は、第1スライド方向D11に沿って安定して移動する。なお、スライドドア本体2が中継位置から開放位置まで移動する間、連結部材34、可動部材33、保持部材38、補助被案内部37a、37b、スライドレールSのベース部材S1、移動式巻き掛け部8および方向転換部材71、72、73はスライド方向D1および前後方向D2に移動しない。
【0085】
スライドドア本体2を第2スライド方向D12に移動する場合には、駆動部5が逆方向に駆動されて、第2ワイヤ62が引き操作されて、スライド部材32が第2スライド方向D12に移動する。これにより、スライドドア本体2は、中継位置を経由して閉鎖位置に移動して、取付対象Mの開口部OPが閉鎖される。
【0086】
なお、上記開閉体開閉装置1のスライドドア本体2が手動で開閉されるように構成されている場合も、スライド部材32、可動部材33、連結部材34等、スライドドア支持部3の構成要素の基本的な動作は同様であり、同様の効果を得ることができる。
【0087】
つぎに、付勢機構Bについて説明する。
【0088】
付勢機構Bは、詳細は後述するが、開閉体2を閉鎖方向Daに付勢して、開閉体2を閉鎖位置で保持する。本実施形態では、付勢機構Bは、スライドドア本体2を閉鎖方向Daに付勢しているが、付勢機構Bは、スライドドア本体2以外の他の種類の開閉体(例えば、軸周りに旋回する開き戸、往復直線動作する引き戸など)を閉鎖方向Daに付勢して、閉鎖位置で保持するように構成されていてもよい。なお、付勢機構Bは、本実施形態では、図3に示されるように、上下方向D3で開閉体2の上部側の基部31に設けられているが、付勢機構Bが設けられる位置および付勢機構Bの数は特に限定されない。例えば、付勢機構Bは、後述する効果を奏することができれば、開閉体2の下部側(例えば、図8に示される案内機構4)に設けられていてもよいし、開閉体2の上部および下部側の両方に設けられていてもよいし、それ以外の位置に設けられていてもよい。
【0089】
付勢機構Bは、図13図16に示されるように、基体B1と、開閉体2に設けられた当接体C(本実施形態では、連結部材34)と当接可能であり、基体B1に対して回転可能に設けられた回転部材B2と、基体B1と回転部材B2との間に設けられた付勢部材B3とを備えている。なお、図13および図15において、紙面左上方向が、開閉体2の開放方向Db、紙面右下方向が、開閉体2の閉鎖方向Daとなっている。
【0090】
基体B1は、付勢機構Bの回転部材B2を回転可能に支持する部位である。基体B1の形状および構造は、回転部材B2を回転可能に支持することができれば、特に限定されない。基体B1は、本実施形態では、取付対象Mに取り付けられた基部31に取り付けられている。基体B1は、基部31の一部であってもよい。本実施形態では、基体B1は、上下方向D3で連結部材34の下方において、水平方向に延びる板状体として設けられた基部31から上方に突出して設けられている。基体B1は、本実施形態では、図13図16に示されるように、回転部材B2を回転可能に支持する軸支部B11と、付勢部材B3の一端B31が取り付けられる取付部B12とを有している。
【0091】
当接体Cは、回転部材B2と当接する、開閉体2に設けられた部位である。当接体Cは開閉体2の開閉動作に伴って、開閉体2の動作に連動して移動する。当接体Cは、開閉体2の動作に連動して移動することによって、回転部材B2を後述する第1位置と第2位置とに回転させる。また、当接体Cは、開閉体2が閉鎖位置または閉鎖位置の近傍に位置するときに、回転部材B2によって押圧される。具体的には、当接体Cは、後述するように、開閉体2を閉鎖方向Daに移動させる方向の力が加わるように、回転部材B2の第2接触部B22によって押圧される。
【0092】
本実施形態では、当接体Cは、連結部材34によって構成されている。しかし、当接体Cは、開閉体2の動作に連動して移動することによって、回転部材B2を第1位置と第2位置とに回転させることができるように、回転部材B2と当接可能であり、開閉体2が閉鎖位置または閉鎖位置の近傍に位置するときに、回転部材B2によって押圧されるように構成されていれば、連結部材34に限定されない。例えば、当接体は、スライドドア本体2などのドアの一部から、回転部材2と当接可能なように突出した突起やプレート等であってもよい。また、当接体Cは、本実施形態では、スライド方向D1に延びているが、回転部材B2の配置や回転方向に応じて、他の方向、例えば、上下方向D3に延びていてもよい。
【0093】
回転部材B2は、図13図16に示されるように、開放方向Db側に回転した第1位置(図13および図14参照)と、第1位置に対して閉鎖方向Da側に回転した第2位置(図15および図16参照)との間で回転可能である。本実施形態では、回転部材B2は、図13図16に示されるように、開閉体2が閉鎖位置の近傍に位置するときの開閉体2の開放方向Dbおよび閉鎖方向Daのうち、回転部材B2の閉鎖方向Da側に設けられた第1接触部B21と、開閉体2が閉鎖位置の近傍に位置するときの開閉体2の開放方向Dbおよび閉鎖方向Daのうち、回転部材B2の開放方向Db側に設けられた第2接触部B22とを備えている。
【0094】
回転部材B2は、図13図16に示されるように、基体B1に対して回転可能に設けられている。回転部材B2は、後述するように、開閉体2が開放位置から閉鎖位置に移動するまでの過程で、当接体Cと当接することで、第1位置から第2位置へと回転し、回転部材B2が第2位置に移動したときには、当接体Cに対して、開閉体2を閉鎖方向Daに移動させる方向の力を加える。
【0095】
回転部材B2の形状および構造は、開閉体2が開放位置から閉鎖位置に移動するまでの過程で、当接体Cと当接することで、第1位置から第2位置へと回転し、第2位置に移動したときに、当接体Cに対して、開閉体2を閉鎖方向Daに移動させる方向の力を加えることができれば、特に限定されない。本実施形態では、回転部材B2は、スライド方向D1の幅が薄い板状体として形成されているが、回転部材B2は板状である必要はない。また、本実施形態では、回転部材B2は、図13図16に示されるように、第1接触部B21および第2接触部B22に加えて、基体B1に軸支される軸部B23と、付勢部材B3の他端B32が取り付けられる取付部B24とを有している。本実施形態では、軸部B23は、回転部材B2が第1位置と第2位置との中間位置(図14において二点鎖線で示す位置)にあるときに、付勢部材B3の一端B31が取り付けられる取付部B12と付勢部材B3の他端B32が取り付けられる取付部B24との間(取付部B12と取付部B24とを結んだ線上)に位置している。
【0096】
本実施形態では、第1接触部B21および第2接触部B22は、図13図16に示されるように、軸部B23の部分において交差するV字状に設けられている。回転部材B2の回転方向で第1接触部B21および第2接触部B22の間には、回転部材B2が第1位置と第2位置との間で回転するときに、当接体C(連結部材34)と干渉しないように所定の隙間が形成されている。本実施形態では、回転部材B2の回転方向で第1接触部B21と第2接触部B22との間に、取付部B24が設けられている。取付部B24は、軸部B23からの距離が第1接触部B21および第2接触部B22の軸部B23からの長さよりも短くなるように設けられ、回転部材B2が第1位置と第2位置との間で回転するときに、当接体C(連結部材34)と干渉しないように構成されている。
【0097】
回転部材B2は、開閉体2の閉鎖位置の近傍における開閉体2の開閉方向の成分を含む方向に回転する。回転部材B2が回転する方向は、回転部材B2によって、開閉体2を閉鎖方向Daに移動させる方向の力を当接体Cに加えることができれば、特に限定されない。本実施形態では、回転部材B2は、上面視で回転部材B2の第1接触部B21または第2接触部B22の先端がスライドドア本体2の一方の面2aに垂直な方向(前後方向)D2に移動するように回転可能であり、その回転方向は、開閉体2の閉鎖位置の近傍における開閉体2の移動方向に対して、完全に同方向(平行)ではなく、わずかに傾いている。なお、本実施形態では、回転部材B2は、前後方向D2および上下方向D3を含む面内で回転するように構成されている(回転部材B2の回転軸がスライド方向D1に延びている)。しかし、回転部材B2は、開閉体2を閉鎖方向Daに移動させる方向の力を当接体Cに加えることができれば、他の面内を回転するように構成されていてもよい。例えば、回転部材B2は、スライド方向D1および前後方向D2を含む面内で回転するように構成されていてもよい(回転部材B2の回転軸が上下方向D3に延びている)。
【0098】
開閉体が上下方向D3の軸周りに回転する開き戸やスライド方向D1のみに往復直線動作する引き戸など、本実施形態のスライドドア本体2と異なる動作をする開閉体の場合であっても、回転部材B2の回転方向は、回転部材B2によって、開閉体2を閉鎖方向Daに移動させる方向の力を加えることができれば、特に限定されない。開閉体が上下方向D3の軸周りに回転する開き戸の場合、例えば、回転部材は本実施形態と同様の構成とすることができる。また、開閉体がスライド方向D1のみに往復直線動作する引き戸の場合は、例えば、回転部材は、(上面視で)スライド方向D1に回転するように構成することができる。
【0099】
回転部材B2の第1位置は、図13および図14に示されるように、回転部材B2の第2位置に対して、開放方向Db側に回転した位置である。より具体的には、回転部材B2の所定の回転範囲のうち、開放方向Db側の位置である。また、回転部材B2の第2位置は、図15および図16に示されるように、回転部材B2の第1位置に対して、閉鎖方向Da側に回転した位置である。より具体的には、回転部材B2の所定の回転範囲のうち、閉鎖方向Da側の位置である。
【0100】
本実施形態では、図13および図14に示されるように、回転部材B2が第1位置にあるときに、第1接触部B21は、当接体Cの移動経路上に位置付けられ、第2接触部B22は、当接体Cの移動経路から外れた位置に位置付けられている。より具体的には、回転部材B2の第1位置は、図13および図14に示されるように、当接体Cが閉鎖方向Daに移動するときに、第1接触部B21が当接体Cの移動経路に位置し、当接体Cと第1接触部B21とが接触可能となる回転部材B2の位置である。また、回転部材B2の第1位置は、図13および図14に示されるように、第2接触部B22が当接体Cの移動経路から外れて、当接体Cが閉鎖方向Daに移動するときに、当接体Cと第2接触部B22とが接触しない回転部材B2の位置である。
【0101】
また、本実施形態では、図15および図16に示されるように、回転部材B2が第2位置にあるときに、第1接触部B21は、当接体Cの移動経路から外れた位置に位置付けられ、第2接触部B22は、当接体Cの移動経路上に位置付けられている。より具体的には、回転部材B2の第2位置は、図15および図16に示されるように、第1接触部B21が当接体Cの移動経路から外れて、当接体Cと第1接触部B21とが接触しない回転部材B2の位置である。また、回転部材B2の第2位置は、第2接触部B22が、当接体Cの移動経路上に位置し、当接体Cと第2接触部B22とが接触可能となる回転部材B2の位置である。なお、本実施形態では、回転部材B2の第2位置において、開閉体2が閉鎖位置または閉鎖位置の近傍に位置するときに、第2接触部B22は、当接体Cを押圧する状態で接触が維持されるように構成されている。
【0102】
第1接触部B21は、回転部材B2が第1位置にあるときに、当接体Cの移動経路に位置する。開閉体2が開放位置側から閉鎖方向Daに移動するときに、当接体Cが付勢部材B3の付勢力に抗して第1接触部B21に閉鎖方向Daへの力を作用させることで、回転部材B2が第1位置から第2位置に向かって回転する。
【0103】
第2接触部B22は、回転部材B2が第2位置にあるときに、付勢部材B3の付勢力によって、当接体Cに対して、開閉体2を閉鎖方向Daに移動させる方向の力が加わるように押圧する。また、開閉体2が閉鎖位置側から開放方向Dbに移動するときに、当接体Cが第2接触部B22を開放方向Dbに所定以上の力を作用させることで、回転部材B2が付勢部材B3の付勢力に抗して第2位置から第1位置に向かって回転する。本実施形態では、回転部材B2が第1位置にあるときは、当接体Cおよび開閉体2の閉鎖方向Daの移動を妨げないように、当接体Cの移動軌跡上から第2接触部B22を退避させて、当接体Cが第2接触部B22を開閉方向で通り過ぎたときに、当接体Cを閉鎖方向Daに押圧できるように、第2接触部B22を当接体Cの移動軌跡上に復帰させている。
【0104】
付勢部材B3は、回転部材B2が、第1位置と第2位置との間の中間位置(図14における二点鎖線参照)に対して第1位置側に回転したときには、回転部材B2を第2位置から第1位置へ向かう方向に付勢し、回転部材B2が中間位置に対して第2位置側に回転したときには、回転部材B2を第1位置から第2位置へ向かう方向に付勢している。この付勢部材B3によって、回転部材B2は、第1位置側と第2位置側との両方で保持される。本実施形態では、回転部材B2が第1位置にあるときに、開閉体2が閉鎖位置に向かって閉鎖方向Daに移動すると、第1接触部B21に当接体Cによって閉鎖方向Daに向かう力が作用する。これにより、図15および図16に示されるように、回転部材B2が第1位置から第2位置に向かって回転すると、付勢部材B3の付勢力によって、当接体Cは、第2接触部B22によって閉鎖方向Da側に押圧される。また、本実施形態では、回転部材B2が第2位置にあるときに、開閉体2が閉鎖位置から開放方向Dbに移動すると、第2接触部B22に当接体Cによって開放方向Dbへの力が作用する。これにより、図13および図14に示されるように、回転部材B2が第2位置から第1位置に向かって回転して、回転部材B2が第1位置で保持される。
【0105】
付勢部材B3の構造は、回転部材B2が第1位置側に回転したときには、回転部材B2を第2位置から第1位置へ向かう方向に付勢し、回転部材B2が第2位置側に回転したときに、回転部材B2を第1位置から第2位置へ向かう方向に付勢することができれば、特に限定されない。本実施形態では、付勢部材B3は、基体B1側に設けられた取付部B12と、回転部材B2側に設けられた取付部B24との間に設けられた引きバネである。本実施形態では、上述したように、回転部材B2の軸部B23が、回転部材B2が中間位置にあるときに、取付部B12と取付部B24との間(取付部B12と取付部B24とを結んだ線上)に位置している。これにより、回転部材B2が中間位置に対して第1位置側にずれると、伸長した引きバネの復元力によって、回転部材B2は軸部B23周りで第1位置側への回転力を生じさせ、第2位置側にずれると、伸長した引きバネの復元力によって、回転部材B2は軸部B23周りで第2位置側への回転力を生じさせる。
【0106】
次に、本実施形態の開閉体開閉装置1の作用効果について説明する。
【0107】
本実施形態の開閉体開閉装置1は、上述した付勢機構Bを有している。これにより、開閉体2が開放した開放位置から閉鎖位置に向かって移動して、第1位置に位置する回転部材B2の第1接触部B21に当接体Cが当接して、回転部材B2が第1位置から第2位置へと回転したときに、図15図17に示されるように、付勢部材B3の第1位置から第2位置へ向かう方向の付勢力によって、開閉体2を閉鎖方向Daに移動させる方向の力が加わるように、第2接触部B22が当接体Cを押圧する。このように、第2接触部B22が、開閉体2を閉鎖方向Daに移動させる方向の力が加わるように当接体Cを押圧することによって、開閉体2は、閉鎖位置に向かって力を受ける。したがって、開閉体2が閉鎖位置で保持されて、閉鎖位置から開放することが抑制される。したがって、上述した押圧機構Pやシール部材などの弾性部材によって、開閉体2に開放方向Dbに力が加わった場合であっても、開閉体2を閉鎖位置で保持することができる。また、開閉体2の開閉操作力を用いて付勢機構Bを作動させることができるため、付勢機構Bを作動させる駆動源が必要なく、簡単な構造で開閉体2の閉鎖位置を保持することができ、住宅用のスライドドア等の開閉体開閉装置のように搭載スペースが小さい場合であっても搭載することができる。
【0108】
次に、押圧機構Pを有する開閉体開閉装置1を例に挙げ、上記効果をより詳細に説明する。
【0109】
上述したように、押圧機構Pは、スライドドア本体2に、スライドドア本体2の一方の面2aに垂直な成分を含む方向への押圧力を加えるように構成されている。具体的には、駆動部5の駆動によって第1ワイヤ61が引き操作され、第1ワイヤ61の張力によって移動式巻き掛け部8の巻掛体81から図17において下方向に力が加わり、支持体82を介してスライドドア本体2の開放がアシストされている。これにより、スライドドア本体2を容易に開放させることができる。
【0110】
スライドドア本体2が閉鎖位置から開放方向Dbに移動すると、図16に示される第2位置に位置する回転部材B2の第2接触部B22は、当接体C(連結部材34)によって開放方向Dbへの力が作用し第1位置に向かって回転する。さらに駆動部5によって第1ワイヤ61が引き操作されると、スライドドア本体2は第1スライド方向D1に開放する。
【0111】
つぎに、スライドドア本体2が閉鎖される場合、駆動部5によって第2ワイヤ62が引き操作されて、スライドドア本体2が第2スライド方向D2に移動した後、閉鎖位置の近傍において、閉鎖方向Daに移動する。スライドドア本体2が閉鎖位置の近傍まで近付くと、当接体C(連結部材34)が、第1位置に位置する回転部材B2の第1接触部B21と当接する(図14の二点鎖線参照)。その状態でさらにスライドドア本体2が閉鎖方向Daに移動すると、第1接触部B21に当接体Cによる閉鎖方向Daへの力が作用し、回転部材B2が第1位置から第2位置に向かって回転する。このとき、第1位置で保持されている回転部材B2は、第2位置から第1位置に向かう方向に付勢されており、当接体Cの移動方向とは反対方向の付勢力を有している。これにより、スライドドア本体2が回転部材B2の第1接触部B21に当接したときに、スライドドア本体2の急激な閉鎖を緩和することができる。
【0112】
回転部材B2が第2位置に向かって回転すると、回転部材B2の第2接触部B22が当接体C(図16において連結部材34の開放方向Db側の端部)に当接する。このとき、回転部材B2は付勢部材B3によって第2位置に向かう方向に付勢されているので、当接体Cを閉鎖方向Daに押圧する。これにより、スライドドア本体2に、当接体Cを介して閉鎖方向Daに力が加わり、スライドドア本体2が閉鎖位置に保持される。本実施形態のように、押圧機構Pが設けられている場合、駆動部5が駆動されていない状態であっても、第1ワイヤ61および第2ワイヤ62には所定の張力が加わったままであり、移動式巻き掛け部8には依然としてスライドドア本体2を開放する方向の力が加わったままとなる場合がある。また、弾性部材によって形成されるシール部材が使用される場合にも、シール部材が押圧機構として機能して、スライドドア本体2などの開閉体に対して、開閉体を開放させる方向の力を加える場合がある。これらのような押圧機構(押圧機構Pやシール部材等の弾性部材)が開閉体開閉装置1に設けられている場合に、開閉体2が閉鎖位置にあるときに、回転部材B2の第2接触部B22は、付勢部材B3によって、押圧機構の押圧力とは反対方向に当接体Cを押圧する。このように、第2接触部B22が付勢部材B3の付勢力によって、押圧機構の押圧力とは反対方向に当接体Cを押圧することで、スライドドア本体2が閉鎖位置から開放することをより効果的に抑制することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 開閉体開閉装置
2 開閉体(スライドドア本体)
2a スライドドア本体の一方の面
2b スライドドア本体の他方の面
21 スライドドア本体の上部
22 スライドドア本体の下部
3 スライドドア支持部
31、31a、31b、31c、31e 基部
31d 基部(案内板)
32 スライド部材
321 被案内部
321a、321b ローラ
322 本体部
322a、322b 延在部
322c 連結部
323 ワイヤ接続部
33 可動部材
331 可動部材本体
331a 上面
331b 下面
331c 押圧面
331d 後面
34 連結部材
34a 連結部材の一端
34b 連結部材の他端
341 案内路
35 案内部
351 湾曲部
352 直線部
36a、36b 補助案内部
37a、37b 補助被案内部
38 保持部材
4 案内機構
41 ドア側部材
411 取付部
411a 第2被案内部
412 第2補助被案内部
413 第2連結部材
413a 案内路
42 第2案内部
42a 湾曲部
42b 直線部
43 第2補助案内部
5 駆動部
61 第1ワイヤ
62 第2ワイヤ
71、72、73 方向転換部材
8 移動式巻き掛け部
81 巻掛体
82 支持体
9 張力維持機構
91 当接部
92 付勢部材
B 付勢機構
B1 基体
B11 軸支部
B12 取付部
B2 回転部材
B21 第1接触部
B22 第2接触部
B23 軸部
B24 取付部
B3 付勢部材
B31 付勢部材の一端
B32 付勢部材の他端
C 当接体
Da 閉鎖方向
Db 開放方向
D1 スライド方向
D11 第1スライド方向
D12 第2スライド方向
D2 一方の面に垂直な方向(前後方向)
D3 上下方向
L1、L2、L3、L4、L5、L6 リンク
M 取付対象
OP 開口部
P 押圧機構
PL 第2案内板
R ロッド
S スライドレール
S1 ベース部材
S2 移動部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17