(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】GIP/GLP1アゴニスト組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 38/26 20060101AFI20240105BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240105BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240105BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240105BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240105BHJP
C07K 14/605 20060101ALI20240105BHJP
C07K 14/575 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61K38/26
A61K47/02 ZNA
A61P3/10
A61P3/04
A61K9/08
C07K14/605
C07K14/575
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021096348
(22)【出願日】2021-06-09
(62)【分割の表示】P 2020539211の分割
【原出願日】2019-06-14
【審査請求日】2021-07-07
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】コルバリ,ヴィンセント ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ミニエ,クリストファー シアーズ
(72)【発明者】
【氏名】ミシュラ,ディネシュ シャイアンデオ
(72)【発明者】
【氏名】キアン,ケン カンギ
【審査官】大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-507124(JP,A)
【文献】特表2014-525901(JP,A)
【文献】特開平11-222441(JP,A)
【文献】特表2002-510653(JP,A)
【文献】特開平06-247870(JP,A)
【文献】特表2009-501200(JP,A)
【文献】特表2007-513084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K、A61P、C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩と、
NaClと、
二塩基性リン酸ナトリウムと、を含む、薬学的組成物であって、週に1回投与される、薬学的組成物。
【請求項2】
糖尿病を治療するための、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
自動注射装置を使用して投与される、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記組成物の用量が0.5mLである、請求項2に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
肥満を治療するための、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
自動注射装置を使用して投与される、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記組成物の用量が0.5mLである、請求項5に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、皮下注射のための薬学的GIP/GLP1コアゴニストペプチド組成物であ
る。組成物は、チルゼパチド、NaCl、および二塩基性リン酸ナトリウムを含む。組成
物は、商業的に許容される貯蔵寿命の安定性、使用中の安定性を提供し、許容される患者
の注射部位の経験と関連している。代替組成物は、チルゼパチド、プロピレングリコール
、および二塩基性リン酸ナトリウムを含み、また許容可能な貯蔵寿命の安定性を提供する
。
【0002】
糖尿病は、インスリン分泌、インスリン作用、またはその両方の欠陥に起因する高血糖
症を特徴とする慢性疾患である。2型糖尿病(「T2D」)では、インスリン分泌不全お
よびインスリン抵抗性の組み合わされた効果は、上昇した血糖値と関連している。チルゼ
パチドは、糖尿病の治療に有用なGIP/GLP1コアゴニストペプチドである。チルゼ
パチドは、肥満の治療に有用である。
【0003】
US9474780は、一般的には、非経口経路によって投与される、GIP/GLP
1アゴニストを含有する組成物について記載する。US9474780は、チルゼパチド
について記載および主張する。許容される安定性および許容される患者の注射部位の経験
を提供するチルゼパチドの組成物が望まれている。
【0004】
本発明は、チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の薬学的に許容される組成
物であって、NaClおよびプロピレングリコールからなる群から選択される薬剤と、二
塩基性リン酸ナトリウムと、を含む、組成物を提供することによって、これらの必要性を
満たそうとしている。
【0005】
一実施形態では、薬剤は、NaClである。一実施形態では、NaCl濃度は、約6.
2mg/mL~約9.5mg/mLである。一実施形態では、NaCl濃度は、約7.0
mg/mL~約9.0mg/mLである。一実施形態では、NaCl濃度は、約8.2m
g/mLである。
【0006】
一実施形態では、薬剤は、プロピレングリコールである。一実施形態では、プロピレン
グリコール濃度は、約12.0mg/mL~約18.0mg/mLである。一実施形態で
は、プロピレングリコール濃度は、約14.0mg/mL~約16.0mg/mLである
。一実施形態では、プロピレングリコール濃度は、約15.0mg/mLである。
【0007】
一実施形態では、二塩基性リン酸ナトリウム濃度は、約0.67mg/mL~約2.6
8mg/mLである。一実施形態では、二塩基性リン酸ナトリウムは、約1.0mg/m
L~約3.0mg/mLである。一実施形態では、二塩基性リン酸ナトリウムは、約1.
34mg/mLである。
【0008】
一実施形態では、チルゼパチド濃度は、約5mg/mL~約30mg/mLであり、薬
剤は、NaClである。一実施形態では、チルゼパチド濃度は、約10mg/mL~約3
0mg/mLである。一実施形態では、チルゼパチド濃度は、約5mg/mL~約30m
g/mLであり、NaCl濃度は、約8.2mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウ
ム濃度は、約0.67mg/mL~約2.68mg/mLである。一実施形態では、チル
ゼパチド濃度は、約5mg/mL~約30mg/mLであり、NaCl濃度は、約8.2
mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度は、約0.67mg/mL~約2.6
8mg/mLであり、組成物は、単回使用自動注射装置で提供される。
【0009】
一実施形態では、チルゼパチド濃度は、約5mg/mL~約30mg/mLであり、薬
剤は、プロピレングリコールである。一実施形態では、チルゼパチドは、約5mg/mL
~約30mg/mLであり、プロピレングリコールは、約12.0mg/mL~約18.
0mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度は、約1.34mg/mLである。
一実施形態では、チルゼパチド濃度は、約5mg/mL~約30mg/mLであり、プロ
ピレングリコールは、約15.0mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度は、
約1.34mg/mLである。
【0010】
一実施形態では、チルゼパチド濃度は、約5mg/mL~約30mg/mLである。特
定の実施形態では、チルゼパチド濃度は、約10mg/mL~約30mg/mLである。
一実施形態では、チルゼパチド濃度は、5、10、15、20、25、および30mg/
mLからなる群から選択される。一実施形態では、0.5mL以下の組成物が、用量とし
て投与される。一実施形態では、チルゼパチド濃度は、10、20、および30mg/m
Lからなる群から選択される。
【0011】
一実施形態では、チルゼパチド組成物は、防腐剤をさらに含む。一実施形態では、チル
ゼパチド組成物は、チルゼパチド、二塩基性リン酸ナトリウム、プロピレングリコール、
および防腐剤を含む。一実施形態では、防腐剤は、メタクレゾールおよびフェノールから
なる群から選択される。一実施形態では、メタクレゾール濃度は、約2.0mg/mL~
約4.0mg/mLである。一実施形態では、メタクレゾール濃度は、約3.0mg/m
L~約3.5mg/mLである。一実施形態では、メタクレゾール濃度は、約3.15m
g/mLである。一実施形態では、フェノール濃度は、約3.0mg/mL~約7.0m
g/mLである。一実施形態では、フェノール濃度は、約4.0mg/mL~約6.0m
g/mLである。一実施形態では、フェノール濃度は、約5.0mg/mLである。一実
施形態では、チルゼパチド組成物が提供され、チルゼパチド濃度は、約5mg/mL~約
30mg/mLであり、プロピレングリコール濃度は、約12.0mg/mL~約18.
0mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度は、約0.67~約2.68mg/
mLであり、メタクレゾール濃度は、約2.0mg/mL~約4.0mg/mLである。
一実施形態では、メタクレゾール濃度は、約3.15mg/mLである。一実施形態では
、チルゼパチド組成物が提供され、チルゼパチド濃度は、約5mg/mL~約30mg/
mLであり、プロピレングリコール濃度は、約12.0mg/mL~約18.0mg/m
Lであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度は、約0.67~約2.68mg/mLであり
、フェノール濃度は、約3.0mg/mL~約7.0mg/mLである。一実施形態では
、チルゼパチド組成物が提供され、チルゼパチド濃度は、約5mg/mL~約30mg/
mLであり、プロピレングリコール濃度は、約12.0mg/mL~約18.0mg/m
Lであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度は、約0.67~約2.68mg/mLであり
、フェノール濃度は、約5.0mg/mLである。
【0012】
一実施形態では、チルゼパチド組成物の用量は、1週間に約1回投与される。一実施形
態では、チルゼパチド組成物の用量は、7日毎に1回投与される。
【0013】
一実施形態では、糖尿病を治療する方法であって、それを必要とするヒトに、有効用量
の上記組成物のうちの1つを投与することを含む、方法が提供される。
【0014】
一実施形態では、肥満を治療する方法であって、それを必要とするヒトに、有効用量の
上記組成物のうちの1つを投与することを含む、方法が提供される。一実施形態では、治
療的減量を提供する方法であって、それを必要とするヒトに、有効用量の上記組成物のう
ちの1つを投与することを含む、方法が提供される。一実施形態では、GIP/GLP1
コアゴニスト活性によって媒介される状態を治療する方法であって、それを必要とするヒ
トに、有効用量の上記組成物のうちの1つを投与することを含む、方法が提供される。
【0015】
一実施形態では、医薬品としての使用のための上記組成物のうちの1つが提供される。
【0016】
一実施形態では、糖尿病の治療における使用のための上記組成物のうちの1つが提供さ
れる。一実施形態では、肥満の治療における使用のための上記組成物のうちの1つが提供
される。
【0017】
一実施形態では、治療的減量の提供における使用のための上記組成物のうちの1つが提
供される。一実施形態では、非治療的減量の提供における使用のための上記組成物のうち
の1つが提供される。
【0018】
本発明の別の態様に従って、上記組成物のうちの1つを含む製造物品が提供される。特
定の実施形態では、製造物品は、複数回使用バイアルである。特定の実施形態では、製造
物品は、プレフィルドシリンジである。特定の実施形態では、製造物品は、自動注射装置
(「自動注射器」)である。本明細書で企図される、自動注射器の例は、米国特許第8,
734,394号に提示されている。
【0019】
本明細書で使用されるとき、「チルゼパチド」とは、US9,474,780に記載さ
れ、CAS登録番号:2023788-19-2によって記載されるGIP/GLP1コ
アゴニストペプチドを意味する。
チルゼパチドは、以下の配列を有する、US9474,780の実施例1に記載され、
YX1EGTFTSDYSIX2LDKIAQKAFVQWLIAGGPSSGAPPP
S
式中、X1は、Aibであり、X2は、Aibであり、20位のKは、(2-[2-(2
-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γGlu)1-CO-(CH2)
18-CO2HとのK側鎖のイプシロン-アミノ基への結合を通して化学的に修飾され、
C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化される(配列番号1)。
【0020】
本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される塩」は、当業者に周知である。一実
施形態では、トリフルオロ酢酸チルゼパチド塩である薬学的に許容される塩である。
【0021】
本明細書で使用されるとき、「界面活性剤を含有しない」という用語は、組成物が添加
界面活性剤を含有しないか、または僅少量のみの添加界面活性剤を含有することを意味す
る。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「プロピレングリコール」という用語は、当業者に周知で
ある。
【0023】
プロピレングリコールはまた、式:C3H8O2によって表される。
【0024】
本発明の組成物は、5mg/mL~30mg/mLのチルゼパチド30の濃度を有する
。本発明の組成物は、5、10、15、20、25、および30mg/mLの特定の濃度
を有する可能性が高い。そのような組成物は、プレフィルドシリンジで提供されてもよい
。そのようなプレフィルドシリンジは、患者あたり用量あたり0.5ミリリットルのその
ような組成物を投与するために有用であり得る。ある用量のチルゼパチド組成物は、医師
によって決定された投薬スケジュールを使用して投与され得る。
【0025】
組成物は、最初に製造された際に無菌である。複数回使用バイアルまたはカートリッジ
で提供される場合、組成物の他の成分と適合性のある抗菌防腐剤化合物または化合物の混
合物は、適用可能な規制抗菌防腐剤要件を満たすのに十分な強度で添加され得る。薬学的
に許容される防腐剤は、当該技術分野において周知である。(例えば、Remingto
n:The Science and Practice of Pharmacy(D
.B.Troy,Editor,21st Edition,Lippincott,W
illiams&Wilkins,2006を参照されたい)。一実施形態では、防腐剤
は、メタクレゾールである。一実施形態では、防腐剤は、フェノールである。単回使用プ
レフィルドシリンジのための組成物は、防腐剤を必要としない。一実施形態では、組成物
は、界面活性剤を含有しない。
【0026】
本発明のチルゼパチド組成物のpHは、典型的には、6.5~7.5であり、所望のp
Hを達成するために必要とされ得るように、生理的に適切な酸および塩基を使用して調整
される。一実施形態では、pH目標は、6.7~7.3である。患者の注射部位の経験は
、皮下投与される組成物の考慮事項である。許容可能な患者の注射部位の経験と関連した
組成物を選択することが望ましい。例えば、NaClおよびクエン酸塩は、注射部位で痛
みを伴う刺激感覚と関連している。(Laursen,T.;Hansen,B.;Fi
sker,S.Pain perception after subcutaneou
s injections of media containing differe
nt buffers.Basic&Clinical Pharmacology&T
oxicology 2006,98,(2),218-221.)、(Fransso
n,J.;Espander-Jansson,A.Local tolerance
of subcutaneous injections.Journal of Ph
armacy and Pharmacology 1996,48,(10),101
2-1015.)体液とほぼ等張ではない溶液は、投与される際に痛みを伴う刺激感覚を
生じ得るため、組成物を投与する際、注射部位での体液の張度(すなわち、浸透圧)を可
能な限り近く一致させることがさらに望ましい。組成物は、注射の部位で体液とほぼ等張
であることが望ましい。チルゼパチド、NaCl、および二塩基性リン酸ナトリウムを含
む本組成物は、許容される患者の注射部位の経験と関連している。同様に、チルゼパチド
、プロピレングリコール、および二塩基性リン酸ナトリウムを含む組成物は、許容される
患者の注射部位の経験と関連している。
【0027】
一実施形態では、pHは、緩衝溶液への溶解を促進するために塩基を使用して調整され
る。組成物への酸の添加は、pHを所望のpH範囲に調整するために必要とされ得る。一
実施形態では、NaOHは、緩衝液中のチルゼパチドの溶解を促進するために使用される
。一実施形態では、HClは、溶解されたチルゼパチドを含有する組成物のpHを所望の
pH範囲に調整するために添加される。
【0028】
本発明の組成物は、典型的には、皮下投与される。組成物は、典型的には、プレフィルド
の使い捨てのペン、再利用可能なペン、または自動ペン注射器を使用して投与される。組
成物は、複数回使用バイアルまたはポンプ装置を使用して投与され得る。一実施形態では
、デバイスは、米国特許第8,734,394号によって記載される自動注射装置である
。
【0029】
チルゼパチド、NaCl、および二塩基性リン酸ナトリウムを含む組成物は、望ましい
貯蔵寿命の安定性を提供し、患者に許容される注射部位の経験を提供する。同様に、チル
ゼパチド、プロピレングリコール、および二塩基性リン酸ナトリウムを含む組成物は、望
ましい貯蔵寿命の安定性を提供し、患者に許容される注射部位の経験を提供する。本明細
書で使用されるとき、「貯蔵寿命の安定性」は、摂氏約5度で制御された条件下で測定さ
れる。チルゼパチド、NaCl、および二塩基性リン酸ナトリウムを含む組成物は、許容
される使用中の安定性を提供する。同様に、チルゼパチド、プロピレングリコール、およ
び二塩基性リン酸ナトリウムを含む組成物は、許容される使用中の安定性を提供する。本
明細書で使用されるとき、「使用中の安定性」という用語は、摂氏約25度または摂氏約
40度で制御された条件下で測定された組成物の安定性を指す。
【0030】
実施例#1-NaClを含有する組成物
組成物は、本明細書に記載されるように実質的に調製される。5、10、15、20、
15、および30mg/mLのチルゼパチドを含有する組成物は、各々、表1に記載され
る成分を含有する。所望のpH範囲を達成するために、酸または塩基が任意に添加される
。水が1ミリリットルの総最終体積に適量(q.s.)添加される。
【表1】
【0031】
実施例#2-プロピレングリコールを含有する組成物
組成物は、本明細書に記載されるように実質的に調製される。5、10、15、20、
15、および30mg/mLのチルゼパチドの組成物を提供する組成物は、各々、表2に
記載される成分を含有する。所望のpH範囲を達成するために、酸または塩基が任意に添
加される。水が1ミリリットルの総最終体積に適量添加される。
【表2】
【0032】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)使用中の安定性試験
この手順は、214nmでのUV検出を伴う無勾配サイズ排除HPLC方法であり、チ
ルゼパチドモノマーおよび総凝集体の相対量を決定するように設計される。モノマーおよ
び凝集体は、総面積に対するピーク面積パーセントとして報告される。手順は、チルゼパ
チドから既知の不純物を分解するその能力によって測定される安定性を示すものである。
この試験は、代替組成物と、表3によって示されるように調製された、本発明の組成物と
を比較する。この試験からの安定性は、表4に示される。代替組成物を比較する安定性試
験:
【表3】
【表4】
【0033】
貯蔵寿命の安定性試験RP-HPLC:
この手順は、214nmでのUV検出を伴う勾配逆相HPLC方法であり、薬物生成物
中のチルゼパチドの量、同一性、および純度を決定するように設計される。同一性は、メ
インピークの保持時間と外部参照標準のメインピークの保持時間とを一致させることによ
って決定される。量は、メインピーク面積と外部参照標準における対応するピークとの比
較によって決定される。不純物および関連物質は、総面積に対するピーク面積パーセント
として報告される。手順は、チルゼパチドから既知の不純物を分解するその能力によって
判断される安定性を示すものである。表4によって示されるように、等張化剤としてNa
Clを含む組成物は、許容される使用中の安定性を提供する。
【0034】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)貯蔵寿命の安定性試験
本明細書に記載されるサイズ排除安定性試験方法およびRP-HPLCは、等張化剤お
よび安定化剤としてNaClを含む組成物と、等張化剤および安定化剤としてプロピレン
グリコールを含む組成物とを比較するために適用される。この試験は、NaCl剤を含む
か、または薬剤としてプロピレングリコールを含む本発明の組成物の許容される貯蔵寿命
の安定性を例示する。この試験に使用される組成物は、表5に記載される。この試験から
の安定性は、表6に示される。
【表5】
【表6】
【0035】
注射後疼痛試験:
全ての組成物は、表7によって記載されるように調製される。各溶液組成物バイアルは
、4時間以下であるが、約30分室温で保持される。再構成
凍結乾燥された組成物は、すぐに使用される。全ての注射は、腹部の4象限の間で、以下
の順序、左下象限、右下象限、左上象限、および右上象限で回転させる。29ゲージ針を
有するシリンジは、バイアルから組成物を投与するために使用される。注射部位の皮膚の
ひだが対象によってつままれ、針が約45度の角度で挿入される。A
二人目は、ストップウォッチを使用して、注射時間の長さを測定する。対象は、0.5m
Lの組成物が注射されるまで、シリンジのプランジャーをゆっくりと押し込む。注射の目
標時間は、4秒の持続時間であり、5秒以下である。針は注射後に皮膚から取り外され、
皮膚は対象のつまみから解放される。対象は、各注射後すぐに疼痛を評価する。疼痛
測定は、疼痛の100mm検証済み視覚的アナログ尺度(VAS)を使用して評価される
。VASは、注射部位疼痛を評価するための十分に検証されたツールである(Willi
amson,A.;Hoggart,B.Pain:A review of thre
e commonly used pain rating scales.Journ
al of Clinical Nursing 2005,14,(7),798-8
04)。VASは、言語記述子、通常は「疼痛なし」および「想像できる最悪の疼痛」に
よって固定された、10cm(100mm)線として提示される。
対象は、100mm線にマークを付けて、時点で臨床的に示されるように、疼痛強度を示
すことが求められる。スタッフメンバーは、キャリパーを使用して、0からの対象がVA
S上で配置したマークまでの距離を測定し、測定をソースドキュメントに記録する。この
試験からの結果は、表8に示される。許容される患者の注射部位の経験は、(中程度また
は重度と比較して)軽度の疼痛強度の指標によって反映される。
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【0036】
配列
配列番号1チルゼパチド
YX1EGTFTSDYSIX2LDKIAQKAFVQWLIAGGPSSGAPPPS
式中、X1は、Aibであり、X2は、Aibであり、20位のKは、(2-[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル)2-(γGlu)1-CO-(CH2)18-CO2HとのK側鎖のイプシロン-アミノ基への結合を通して化学的に修飾され、C末端アミノ酸は、C末端第一級アミドとしてアミド化される。
本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩と、
NaClおよびプロピレングリコールからなる群から選択される薬剤と、
二塩基性リン酸ナトリウムと、を含む、薬学的組成物。
2.前記チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の濃度が、約5~約30mg/mLである、上記1に記載の薬学的組成物。
3.前記二塩基性リン酸ナトリウム濃度が、約1.0mg/mL~約3.0mg/mLである、上記2に記載の薬学的組成物。
4.前記二塩基性リン酸ナトリウム濃度が、約0.67mg/mL~約2.68mg/mLである、上記3に記載の薬学的組成物。
5.前記二塩基性リン酸ナトリウム濃度が、約1.34mg/mLである、上記4に記載の薬学的組成物。
6.前記チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の濃度が、5、10、15、20、25、および 30mg/mLからなる群から選択される、上記1に記載の薬学的組成物。
7.前記チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の濃度が、10、20、および30mg/mLからなる群から選択される、上記6に記載の薬学的組成物。
8.前記薬剤が、NaClである、上記7に記載の薬学的組成物。
9.前記NaClの濃度が、約6.2mg/mL~約9.5mg/mLである、上記8に記載の薬学的組成物。
10.前記NaClの濃度が、約7.0mg/mL~約9.0mg/mLである、上記9に記載の薬学的組成物。
11.前記NaCl濃度が、約8.2mg/mLである、上記10に記載の薬学的組成物。
12.チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の濃度が、約5mg/mL~約30mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度が、約0.67mg/mL~約2.68mg/mLであり、NaCl濃度が、約6.2mg/mL~約9.5mg/mLである、上記1に記載の薬学的組成物。
13.チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の濃度が、約5mg/mL~約30mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度が、約1.34mg/mLであり、NaCl濃度が、約8.2mg/mLである、上記12に記載の薬学的組成物。
14.前記組成物が、自動注射装置で提供される、上記13に記載の薬学的組成物。
15.前記薬剤が、プロピレングリコールである、上記1に記載の薬学的組成物。
16.前記プロピレングリコールの濃度が、約12.0mg/mL~約18.0mg/mLである、上記15に記載の薬学的組成物。
17.前記プロピレングリコールの濃度が、約14.0mg/mL~約16.0mg/mLである、上記16に記載の薬学的組成物。
18.前記プロピレングリコールの濃度が、約15.0mg/mLである、上記17に記載の薬学的組成物。
19.チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の濃度が、約5mg/mL~約30mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度が、約0.67mg/mL~約2.68mg/mLであり、プロピレングリコール濃度が、約14.0mg/mL~約16.0mg/mLである、上記1に記載の薬学的組成物。
20.チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の濃度が、約5mg/mL~約30mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウム濃度が、約1.34mg/mLであり、プロピレングリコール濃度が、約15.0mg/mLである、上記19に記載の薬学的組成物。
21.前記組成物が、自動注射装置で提供される、上記20に記載の薬学的組成物。
22.前記組成物のpHが、約6.5~約7.5である、上記21に記載の薬学的組成物。
23.前記pHが、約6.7~約7.3である、上記22に記載の薬学的組成物。
24.1つ以上の防腐剤をさらに含む、上記23に記載の薬学的組成物。
25.前記組成物が、メタクレゾールおよびフェノールからなる群から選択される防腐剤をさらに含む、上記24に記載の薬学的組成物。
26.前記防腐剤が、メタクレゾールである、上記25に記載の薬学的組成物。
27.前記メタクレゾール濃度が、約2.0mg/mL~約4.0mg/mLである、上記26に記載の薬学的組成物。
28.前記メタクレゾール濃度が、約3.15mg/mLである、上記27に記載の薬学的組成物。
29.前記防腐剤が、フェノールである、上記25に記載の薬学的組成物。
30.前記フェノール濃度が、約3.0mg/mL~約7.0mg/mLである、上記29に記載の薬学的組成物。
31.前記フェノール濃度が、約5.0mg/mLである、上記30に記載の薬学的組成物。
32.チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の濃度が、約5mg/mL~約30mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウムが、約0.67~約2.68mg/mLであり、プロピレングリコールが、約12.0mg/mL~約15.0mg/mLであり、約2.0mg/mL~約4.0mg/mLのメタクレゾールをさらに含む、上記1に記載の薬学的組成物。
33.チルゼパチド、またはその薬学的に許容される塩の濃度が、約5mg/mL~約30mg/mLであり、二塩基性リン酸ナトリウムが、約0.67~約2.68mg/mLであり、プロピレングリコールが、約12.0mg/mL~約18.0mg/mLであり、約3.0mg/mL~約7.0mg/mLのフェノールをさらに含む、上記1に記載の薬学的組成物。
34.前記組成物用量の体積が、約0.5mLである、上記33に記載の薬学的組成物。
35.前記組成物が、自動注射装置を使用して投与される、上記34に記載の薬学的組成物。
36.糖尿病を治療する方法であって、それを必要とするヒトに、有効用量の上記33に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
37.前記用量が、自動注射装置を使用して投与される、上記36に記載の糖尿病を治療する方法。
38.前記用量が、週に1回投与される、上記37に記載の糖尿病を治療する方法。
39.肥満を治療する方法であって、それを必要とするヒトに、有効用量の上記33に記載の薬学的組成物を投与することを含む、方法。
40.前記用量が、自動注射装置を使用して投与される、上記39に記載の肥満を治療する方法。
41.前記用量が、週に1回投与される、上記40に記載の肥満を治療する方法。
42.糖尿病の治療における使用のための、上記33に記載の薬学的組成物。
43.肥満の治療における使用のための、上記33に記載の薬学的組成物。
【配列表】