(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】整理ケース
(51)【国際特許分類】
A45C 11/00 20060101AFI20240105BHJP
B65D 21/02 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A45C11/00 U
B65D21/02 210
(21)【出願番号】P 2021135149
(22)【出願日】2021-08-20
【審査請求日】2021-09-08
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500560129
【氏名又は名称】株式会社ニトリホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】植村 茂弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】藤本 仁
(72)【発明者】
【氏名】矢内 靖昭
【合議体】
【審判長】藤原 直欣
【審判官】久保 克彦
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204889535(CN,U)
【文献】実公昭44-6386(JP,Y1)
【文献】実開56-151786(JP,U)
【文献】特開2010-143641(JP,A)
【文献】特開2008-013182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 11/00 ,B65D 21/02 210
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を取り囲む周壁と、前記周壁に連なる底壁と、前記周壁および前記底壁の内側に形成されている収容空間を複数に仕切る仕切壁とを有している、整理ケースであって、
前記周壁は、前側壁、後側壁、右側壁および左側壁の4つの側壁を含んだ角筒形状の薄板となっており、前記周壁の上端は、前記薄板を上向きに指向させることによって形成されており、
前記仕切壁は、前記収容空間を前側収容空間と後側収容空間とに仕切る前後仕切壁を含んでおり、
前記前後仕切壁は、前記周壁の上端よりも上側に突出している把手を有しており、
前記前側壁および前記後側壁の少なくともいずれか一方には、前記周壁の上端から下側に切り欠かれた切欠き部が形成されており、
前記前側収容空間および前記後側
収容空間の少なくともいずれか一方は、
ボックスティッシュの取出し口が前記前側収容空間および前記後側
収容空間の前記少なくともいずれか一方の前記前側壁または前記後側壁に向くように、前記
ボックスティッシュを収容可能な収容空間であり、
前記切欠き部は、当該切欠き部を通して、前記
ボックスティッシュの収容物を取り出すことが可能な、幅および深さを有している、整理ケース。
【請求項2】
前記底壁は、当該底壁の下面に開口しているとともに他の整理ケースに設けられた前記把手を収容可能な凹部を有しており、
前記凹部は、前後方向幅よりも左右方向幅が広い長穴形状を有しており、
前記凹部は、当該凹部の左右方向端部において、当該左右方向端部の前後方向幅が左右方向外側に向かうにしたがって狭くなっている、請求項1に記載された整理ケース。
【請求項3】
前記切欠き部が形成されている前記側壁と前記前後仕切壁との少なくともいずれか一方に、左右方向に間隔を置いて配置された2つのリブからなる一組のリブを有している、請求項1に記載された整理ケース。
【請求項4】
前記整理ケースは、前記2つのリブの間を上下方向にスライドすることによって着脱可能なスライド仕切壁を有している、請求項3に記載された整理ケース。
【請求項5】
前記一組のリブは、前記前側壁と前記前後仕切壁とに設けられており、前記一組のリブには、前記2つのリブの間の隙間が当該2つのリブの基部に向かうにしたがって広くなっている、請求項3または4に記載された整理ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整理ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の整理ケースには、周壁と底壁とによって形成された収容空間を複数の仕切壁によって複数の収容空間に仕切ることによって、当該複数の収容空間のそれぞれに、様々な物品を収納して整理できるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の整理ケースは、前記周壁に隣接する収容空間に物品を収容したとき、当該物品の視認および取出しに改善の余地があった。また、上記従来の整理ケースは、テーブル、机などの卓上で使用することを想定している。このため、持ち運びに不便であった。
【0005】
本発明の目的は、物品の視認および取出しが容易であり、かつ、持ち運びの容易な、整理ケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る整理ケースは、軸線を取り囲む周壁と、前記周壁に連なる底壁と、前記周壁および前記底壁の内側に形成されている収容空間を複数に仕切る仕切壁とを有している、整理ケースであって、前記周壁は、前側壁、後側壁、右側壁および左側壁の4つの側壁を含んでおり、前記仕切壁は、前記収容空間を前側収容空間と後側収容空間とに仕切る前後仕切壁を含んでおり、前記前後仕切壁は、前記周壁の上端よりも上側に突出している把手を有しており、前記前側壁および前記後側壁の少なくともいずれか一方には、前記周壁の上端から下側に切り欠かれた切欠き部が形成されている。本発明に係る整理ケースによれば、物品の視認および取出しが容易であり、かつ、持ち運びの容易な、整理ケースを提供することができる。
【0007】
本発明に係る整理ケースにおいて、前記底壁は、当該底壁の下面に開口しているとともに他の整理ケースに設けられた前記把手を収容可能な凹部を有しており、前記凹部は、前後方向幅よりも左右方向幅が広い長穴形状を有しており、前記凹部は、当該凹部の左右方向端部において、当該左右方向端部の前後方向幅が左右方向外側に向かうにしたがって狭くなっていることが好ましい。この場合、複数の整理ケースを上下にコンパクトかつ安定的に重ね合わせることができる。
【0008】
本発明に係る整理ケースは、前記切欠き部が形成されている前記側壁と前記前後仕切壁との少なくともいずれか一方に、左右方向に間隔を置いて配置された2つのリブからなる一組のリブを有していることが好ましい。この場合、2つのリブの間の隙間を案内にしてスライド仕切壁を取り付けることによって、前記前側壁と前記前後仕切壁との間に形成された前側収容空間を左右方向にさらに仕切ることができる。
【0009】
本発明に係る整理ケースは、前記2つのリブの間を上下方向にスライドすることによって着脱可能なスライド仕切壁を有していることが好ましい。この場合、前記前側壁と前記前後仕切壁との間に形成された前側収容空間を選択的に複数の収容空間に仕切って使用することができる。
【0010】
本発明に係る整理ケースにおいて、前記一組のリブには、前記2つのリブの間の隙間が前記前側壁または前記前後仕切壁に向かうにしたがって広くなっているものが含まれていることが好ましい。この場合、前記スライド仕切壁を前記前側壁と前記前後仕切壁との間に安定的に嵌め込むことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、物品の視認および取出しが容易であり、かつ、持ち運びの容易な、整理ケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係る、整理ケースを前方上側から示す斜視図である。
【
図2】
図1の整理ケースを後方上側から示す斜視図である。
【
図3】
図1の整理ケースを上側から示す平面図である。
【
図4】
図1の整理ケースを前側から示す正面図である。
【
図5】
図1の整理ケースを後側から示す背面図である。
【
図6】
図1の整理ケースを右側または左側から示す側面図である。
【
図7】
図1の整理ケースを下側から示す底面図である。
【
図8】
図1の整理ケースを、
図3のX-X平面に沿う断面で示した断面図である。
【
図9】
図1の整理ケースを、
図3のY-Y平面に沿う断面で示した断面図である。
【
図10】
図1の整理ケースの一使用例を前方上側から示す斜視図である。
【
図11】
図1の整理ケースの他の使用例を前方上側から示す斜視図である。
【
図12】
図1の整理ケースであって、当該整理ケースにスライド仕切壁を取り付けた状態を前方上側から示す斜視図である。
【
図14】
図3の領域Aを拡大して示す平面図である。
【
図15】
図3の領域Bを拡大して示す平面図である。
【
図16】
図13のスライド仕切壁を上側から示す平面図である。
【
図17】
図16のスライド仕切壁を右側から示す側面図である。
【
図18】
図12の整理ケースの一使用例を前方上側から示す斜視図である。
【
図19】
図1の整理ケースを、
図9のZ-Z平面に沿う断面で示した断面図である。
【
図20】
図12の整理ケースを上下に積み重ねた状態を、
図3のY-Y断面相当で示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、整理ケース1について説明をする。
【0014】
以下の説明において、軸線Оは、整理ケース1の収容空間の開口と底壁とを通る、整理ケース1の中心軸線である。本実施形態において、整理ケース1の中心軸線Оは、整理ケース1を水平に置いたとき、鉛直方向に延びている。また、本実施形態において、整理ケース1の中心軸線Оは、軸直方向視において、整理ケース1の前後方向および左右方向の中心を通る。ここで、本実施形態において、軸線Оに延びている方向を軸線方向という。また、本実施形態において、上下方向とは、軸線方向に対して平行な方向をいう。特に、本実施形態において、上側とは、整理ケース1の収容空間の開口が位置する側をいい、下側とは、整理ケース1の底壁が位置する側をいう。また、本実施形態において、軸線方向に対して直交する方向を軸直方向という。本実施形態において、前後方向とは、複数の軸直方向のうちの、任意の一方向をいう。また、本実施形態において、左右方向とは、複数の軸直方向のうちの、前後方向に対して直交する方向をいう。また、本実施形態において、周方向とは、軸線Оの周りに延びている方向をいう。さらに、本実施形態において、軸直方向には、径方向の意味が含まれている。本実施形態において、軸線Оに近い側を径方向内側ともいい、また、軸線Оに遠い側を径方向外側ともいう。
【0015】
図1には、整理ケース1を前方上側から示し、
図2には、整理ケース1を後方上側から示している。さらに、
図3には、整理ケース1を上側から示している。例えば、
図3を参照すれば、整理ケース1は、軸線Оを取り囲む周壁2と、周壁2に連なる底壁3と、仕切壁(4,6)とを有している。周壁2および底壁3の内側には、収容空間(S1,S2)が形成されている。仕切壁(4,6)は、収容空間(S1,S2)を仕切る仕切壁である。本実施形態において、整理ケース1は、樹脂によって形成されている。本実施形態において、整理ケース1は、前記樹脂を成形型の内部で一体的に成形した射出成形品である。前記樹脂としては、例えば、ポリプロピレンが挙げられる。
【0016】
周壁2は、前側壁2a、後側壁2b、右側壁2cおよび左側壁2dの4つの側壁を含んでいる。本実施形態では、周壁2はさらに、前記側壁として、4つの軸方向稜線部2eを含んでいる。
図3を参照すれば、4つの軸方向稜線部2eはそれぞれ、前側壁2aと右側壁2cとの間、右側壁2cと後側壁2bとの間、後側壁2bと左側壁2dとの間、左側壁2dと前側壁2aとの間、の、4つの側壁のそれぞれの相互間を連結している。即ち、本実施形態において、周壁2は、薄板の、前側壁2a、後側壁2b、右側壁2c、左側壁2dおよび4つの軸方向稜線部2eによって形成されている。
【0017】
前側壁2aは、平らなパネル(プレート)である。本実施形態において、整理ケース1の正面形状は、
図4に示すように、正面視(側面視)において、前側壁2aおよび当該前側壁2aに隣接する2つの軸方向稜線部2eによって形成されている。本実施形態において、整理ケース1の正面形状は、左右方向幅が上下方向幅よりも長い矩形形状である。本実施形態において、整理ケース1の正面形状は、当該正面形状の左右方向幅が上側に向かうにしたがって広くなるような形状を有している。次いで、
図3を参照すれば、後側壁2bもまた、平らなパネル(プレート)である。本実施形態において、整理ケース1の背面形状は、
図5に示すように、背面視(側面視)において、後側壁2bおよび当該後側壁2bに隣接する2つの軸方向稜線部2eによって形成されている。本実施形態において、整理ケース1の背面形状もまた、左右方向幅が上下方向幅よりも長い矩形形状である。さらに、本実施形態において、整理ケース1の背面形状もまた、当該背面形状の左右方向幅が上側に向かうにしたがって広くなるような形状を有している。即ち、本実施形態において、整理ケース1の背面形状は、整理ケース1の正面形状と等しい形状を有している。
【0018】
同様に、
図3を参照すれば、本実施形態において、右側壁2cは、平らなパネル(プレート)である。本実施形態において、整理ケース1の右側面形状は、
図6に示すように、右側面視(側面視)において、右側壁2cおよび当該右側壁2cに隣接する2つの軸方向稜線部2eによって形成されている。本実施形態において、整理ケース1の右側面形状は、前後方向幅が上下方向幅よりも長い矩形形状である。本実施形態において、整理ケース1の右側面形状は、当該右側面形状の前後方向幅が上側に向かうにしたがって広くなるような形状を有している。さらに、
図3を参照すれば、本実施形態において、左側壁2dもまた、平らなパネル(プレート)である。本実施形態において、整理ケース1の左側面形状もまた、
図6に示すように、左側壁2dおよび当該左側壁2dに隣接する2つの軸方向稜線部2eによって形成されている。本実施形態において、整理ケース1の左側面形状もまた、整理ケース1の右側面形状と等しい形状を有している。したがって、本実施形態に係る整理ケース1は、前後方向および左右方向のそれぞれで対称な形状を有している。
【0019】
さらに、本実施形態において、4つの軸方向稜線部2eは、
図3に示すように、平面視において、径方向外側に湾曲したパネル(プレート)である。
図3を参照すれば、軸方向稜線部2eの外面は、平面視において、曲率半径r1で形作られている。また、軸方向稜線部2eの内面は、平面視において、曲率半径r2で形作られている。これによって、本実施形態において、整理ケース1の周壁2は、例えば、
図1および2に示すように、下側から上側に向かって拡大するとともに4つの柱部分(軸方向稜線部2e)が丸みを帯びた角筒形状の薄板となっている。
【0020】
また、
図3に示すように、底壁3は、周壁2の下側開口を閉じている。
図7を参照すれば、本実施形態において、底壁3は、左右方向幅が前後方向幅よりも長い矩形のパネル(プレート)である。
図7を参照すれば、本実施形態において、底壁3は、底面視(平面視)において、平坦なパネル部3aと、当該パネル部3aを環状に取り囲むヒール部3bと、を有している。パネル部3aは、ヒール部3bを介して周壁2に連なっている。ヒール部3bは、
図4~6に示すように、側面視において、前後方向外側および左右方向外側に湾曲している。後述の
図8を参照すれば、本実施形態において、ヒール部3bの外面は、断面視において、曲率半径r3で形作られている。また、本実施形態において、ヒール部3bの内面は、側面視において、曲率半径r4で形作られている。これによって、本実施形態において、整理ケース1のヒール部3bは、例えば、
図1および2に示すように、丸みを帯びた形状となっている。したがって、本実施形態に係る、整理ケース1は、
図1および2に示すように、周壁2及び底壁3を含めた全体として、エッジを有しない外観形状を有している。
【0021】
また、本実施形態に係る、整理ケース1は、
図3に示すように、周壁2の内面と底壁3の内面とによって形成されているとともに上側に向かって拡大する収容空間を有している。
図3を参照すれば、本実施形態において、仕切壁(4,6)は、前記収容空間を、複数の収容空間(S1,S2)に仕切っている。収容空間(S1,S2)の下側は、底壁3によって閉じられており、当該収容空間(S1,S2)の上側には、物品を出し入れするための開口部が形成されている。
【0022】
整理ケース1の仕切壁(4,6)には、前後仕切壁4が含まれている。前後仕切壁4は、周壁2の内面と底壁3の内面とによって形成された収容空間を、前側収容空間S1と後側収容空間S2とに仕切っている。本実施形態において、仕切壁(4,6)にはさらに、左右仕切壁6が含まれている。左右仕切壁6は、後側収容空間S2を左右方向の2つの収容空間に仕切っている。本実施形態において、仕切壁(4,6)には、2つの左右仕切壁6が含まれている。これによって、整理ケース1には、3つの後側収容空間S2が形成されている。ただし、本発明によれば、左右仕切壁6は、少なくとも1つとすることができる。或いは、本発明によれば、左右仕切壁6は、省略することができる。この場合、後側収容空間S2は、1つの収容空間となる。
【0023】
図8は、整理ケース1を
図3のX-X平面に沿う断面で示す断面図である。ここで、X-X平面は、軸線Оを含む平面である。本実施形態において、X-X平面は、左右方向に対して平行である。
【0024】
図8を参照すれば、前後仕切壁4は、上下方向および左右方向に延びている。本実施形態において、前後仕切壁4は、底壁3、右側壁2cおよび左側壁2dに連なって固定されている。ただし、本発明によれば、前後仕切壁4は、底壁3と、右側壁2cおよび左側壁2dとの、少なくともいずれか一方に連なって固定されていればよい。例えば、
図8を参照すれば、本実施形態において、前後仕切壁4は、周壁2及び底壁3の内側に配置された仕切壁本体4aを有している。
図8を参照すれば、本実施形態において、仕切壁本体4aは、底壁3、右側壁2cおよび左側壁2dに連なって固定されている。ただし、本発明によれば、仕切壁本体4aは、底壁3と、右側壁2cおよび左側壁2dとの、少なくともいずれか一方に連なって固定されていればよい。
【0025】
さらに、本実施形態において、前後仕切壁4は、周壁2の上端e2よりも上側に突出している把手(とって)4bを有している。把手4bは、仕切壁本体4aとともに形成されたパネル(プレート)である。把手4bは、仕切壁本体4aの上端e4に連なっている。本実施形態において、把手4bは、仕切壁本体4aと一体のパネル(プレート)である。また、本実施形態において、把手4bの左右方向幅は、
図8に示すように、仕切壁本体4aの左右方向幅よりも狭くなっている。また、本実施形態において、把手4bには、前後方向に貫通している把手穴A4が形成されている。把手穴A4には、使用者の指を通すことができる。
【0026】
さらに、本発明によれば、前側壁2aおよび後側壁2bの少なくともいずれか一方には、周壁2の上端e2から下側に切り欠かれた切欠き部7を形成することができる。
【0027】
図4を参照すれば、本実施形態において、切欠き部7は、下側輪郭線7aと、2つの左右側輪郭線7bとによって形作られている。本実施形態において、下側輪郭線7aは、周壁2の上端e2よりも下側に配置されているとともに左右方向に延びている。また、2つの左右側輪郭線7bは、左右方向に間隔を置いて配置されているとともに上下方向に延びている。本実施形態において、2つの左右側輪郭線7bは、それぞれ、下側輪郭線7aの左右方向端と周壁2の上端e2とに連なっている。本実施形態において、下側輪郭線7aと左右側輪郭線7bとの間の、切欠き部7の内側隅部の輪郭線は、
図4に示すように、正面視(側面視)において、曲率半径r5の曲線によって形成されている。また、本実施形態において、周壁2の上端e2と左右側輪郭線7bとの間の、切欠き部7の外側隅部の輪郭線は、
図4に示すように、正面視(側面視)において、曲率半径r6の曲線によって形成されている。これによって、本実施形態において、切欠き部7は、エッジを有しない丸みを帯びた隅部を有する輪郭線によって形作られている。
【0028】
また、
図4において、符号W7は、切欠き部7の、左右方向の幅である。本実施形態において、幅W7は、切欠き部7の2つの左右側輪郭線7bの間の寸法である。幅W7は、適宜設定することができる。具体例としては、後述するように、前側収容空間S1にボックスティッシュ100を収容したとき、ティッシュTが切欠き部7を通して取り出せるように、幅W7を設定することができる。好ましくは、ティッシュTの左右方向幅よりも切欠き部7の左右方向幅が広くなるように、幅W7を設定する。本実施形態において、幅W7は、上側に向かうにしたがって広くなっている。ただし、本発明によれば、幅W7は、上下方向にわたって同一の幅とすることができる。
【0029】
図9は、整理ケース1を
図3のY-Y平面で示す断面図である。ここで、Y-Y平面は、軸線Оを含む平面である。本実施形態において、Y-Y平面は、前後方向に対して平行である。
【0030】
図9を参照すれば、本実施形態において、切欠き部7は、前側壁2aに形成されている。これによって、前側収容空間S1は、当該前側収容空間S1の上側開口部がより広く開放された構造となっている。したがって、整理ケース1によれば、前側収容空間S1に物品を収容したときも、当該物品は、切欠き部7を通して容易に視認することができ、かつ、容易に取り出すことができる。
【0031】
また、
図9中、符号Dは、切欠き部7の深さである、深さDは、上下方向の深さである。本実施形態において、深さDは、周壁2の上端(前側壁2aの上端)e2と切欠き部7の下側輪郭線7aとの間の寸法である。深さDは、適宜設定することができる。具体例としては、後述するように、前側収容空間S1にボックスティッシュ100を収容したとき、ティッシュTが切欠き部7を通して取り出せるように、深さDを設定することができる。例えば、ボックスティッシュ100の取出し口101が切欠き部7の下側輪郭線7aよりも上側に位置するように、深さDを設定することができる。
【0032】
整理ケース1は、周壁2の前側壁2aに、周壁2の上端e2から下側に切り欠かれた切欠き部7が形成されている。この場合、前側収容空間S1に収容された物品は、切欠き部7を通して視認しやすくなる。また、この場合、前側収容空間S1に収容された物品は、切欠き部7を通して取り出しやすくなる。
【0033】
加えて、整理ケース1は、周壁2および底壁3によって形成された収容空間を前側収容空間S1と後側収容空間S2とに仕切る前後仕切壁4を有しており、当該前後仕切壁4に、周壁2の上端e2よりも上側に突出した把手4bを有している。この場合、整理ケース1を容易に持ち運ぶことができる。
【0034】
したがって、整理ケース1によれば、物品の視認および取出しが容易であり、かつ、持ち運びの容易な、整理ケースを提供することができる。
【0035】
特に、本実施形態において、把手4bには、手の指を通して把手4bを握るための把手穴A4が形成されている。この場合、整理ケース1をより容易に持ち運ぶことができる。特に、
図4を参照すれば、本実施形態では、把手穴A4は、曲率半径r9のR加工が施されている。この場合、把手4bを握ったときに手にやさしい。ただし、本発明によれば、把手穴A4を省略することができる。把手穴A4を省略する場合、例えば、把手穴A4に代えて、把手4bに突起を設けることができる。また、把手4bをフック形状にすることもできる。
【0036】
また、
図3を参照すれば、把手4bは、前後仕切壁4に設けられている。この場合、使用者は、整理ケース1の中心軸線(軸線О)に近い位置で把手4bを持つことにより、整理ケース1を安定的に持ち運びすることができる。好ましくは、
図3に示すように、把手4bは、前後方向および左右方向の中心に配置する。この場合、整理ケース1をより安定的に持ち運びすることができる。
【0037】
図10は、整理ケース1の一使用例を前方上側から示す斜視図である。この例では、整理ケース1の前側収容空間S1には、ボックスティッシュ100が収容されている。ボックスティッシュ100は、直方体の箱に複数枚のティッシュTが収容されている。
図10に示すように、ボックスティッシュ100は、当該ボックスティッシュ100の2つの長手方向側面102のうちの1つの長手方向側面102(図示されず)が整理ケース1の底壁3との接触面となるように、前側収容空間S1に収容されている。さらに、ボックスティッシュ100は、当該ボックスティッシュの上面103が正面を向くように、前側収容空間S1に収容されている。即ち、ボックスティッシュ100は、横長の状態でティッシュTの取出し口101が正面を向くように、前側収容空間S1に収容されている。整理ケース1によれば、ボックスティッシュ100を収容したとき、ティッシュTが切欠き部7を通して取出し口101から取り出すことができる。特に、整理ケース1において、周壁2は、上述のとおり、下側から上側に向かって収容空間を拡大させた角筒形状である。この場合、ボックスティッシュ100の取出し口101が切欠き部7の下側輪郭線7aよりも下側に位置していても、上側に向かうにしたがって拡大する空間(本実施形態では、前側壁2aの内面とボックスティッシュ100の上面103との間の隙間)から切欠き部7を通して容易にティッシュTを取り出すことができる。なお、本実施形態において、ティッシュTは、例えば、少なくともボックスティッシュ100の重量のみで、整理ケース1をテーブルなどに載せ置いたまま引き出すことができる。ただし、本発明によれば、整理ケース1の底面に滑り止め加工を施し、又は、滑り止め材を取り付けることができる。また、本発明によれば、整理ケース1は、手で押さえてティッシュTを引き出すようにしてもよい。
【0038】
図11は、整理ケース1の他の使用例を前方上側から示す斜視図である。
図11に示すように、整理ケース1の後側収容空間S2には、ボックスティッシュ100以外の物品(小物)、例えば、背丈の高い物品を収容することができる。
図11中、図面向かって左側の後側収容空間S2には、ホチキス、筆記用具、ハサミ、物差しなどの文具が収容されている。図面向かって中央の後側収容空間S2には、体温計などの医療器具が収容されている。図面向かって右側の後側収容空間S2には、リモコンなどの遠隔操作端末が収容されている。整理ケース1によれば、これらの物品は、把手4bを使用することによって、ボックスティッシュ100とともに一度に持ち運ぶことができる。
【0039】
さらに、本発明によれば、整理ケース1は、切欠き部7が形成されている側壁と前後仕切壁4との少なくともいずれか一方に、左右方向に間隔を置いて配置された2つのリブからなる一組のリブを有しているものとすることができる。ここで、リブとは、周壁又は仕切壁のうち、当該周壁又は仕切壁から径方向外側に突出している部分をいう。
【0040】
図3を参照すれば、本実施形態において、前記一組のリブは、前側壁2aと前後仕切壁4との両方に配置されている。具体的には、前側壁2aおよび前後仕切壁4のそれぞれに、一組のリブが形成されている。前側壁2aに形成された一組のリブは、左右方向に間隔を置いて配置された2つのリブ11からなる。前後仕切壁4に形成された一組のリブは、左右方向に間隔を置いて配置された2つのリブ12からなる。
図3を参照すれば、リブ11とリブ12とはそれぞれ、平面視において、前後方向に対向する位置に配置されている。これによって、本実施形態では、前側壁2aと前後仕切壁4との間に、一組のリブ11と、一組のリブ12との、二組のリブ(11、12)が配置され、後述のスライド仕切壁5は、二組のリブ(11、12)を案内に、整理ケース1に対して上下方向に着脱させることができる。
【0041】
図12は、スライド仕切壁5を取り付けた整理ケース1を前方上側から示す斜視図である。
図13は、
図12の整理ケース1を上側から示す平面図である。この例では、整理ケース1は、2つのリブ11(12)の間を上下方向にスライドすることによって着脱可能なスライド仕切壁5を有している。この場合、前側壁2aと前後仕切壁4との間に形成された前側収容空間S1を選択的に複数の前側収容空間S1に仕切って使用することができる。本実施形態において、スライド仕切壁5は、整理ケース1に対して着脱可能なパネル(プレート)である。本実施形態において、スライド仕切壁5は、二組のリブ(11、12)を案内に、上側から下側に向かって、整理ケース1の内部に挿入させることができる。これによって、本実施形態において、前側収容空間S1は、
図12および13に示すように、スライド仕切壁5によって、左右2つの前側収容空間S1に仕切ることができる。
【0042】
図9を参照すれば、リブ11は、前側壁2aから後側に向かって突出しているとともに当該前側壁2aに沿って上下方向に延びている。これに対し、リブ12は、前後仕切壁4から前側に向かって突出しているとともに当該前後仕切壁4に沿って上下方向に延びている。
図9を参照すれば、本実施形態において、リブ12は、切欠き部7の下側輪郭線7aよりも上側の高い位置まで延びている。また、本実施形態において、リブ12の上端は、切欠き部7の下側輪郭線7aよりも上側に位置している。
【0043】
本発明によれば、前記一組のリブには、2つのリブの間の隙間が前側壁2aまたは前後仕切壁4に向かうにしたがって広くなっているものが含まれている。
【0044】
図14は、
図3の領域Aを拡大して示す平面図である。
図14を参照すれば、前側壁2aにおいて、2つのリブ11のうちの一方のリブ11の内面f11は、他方のリブ11の内面f11に対して向かい合っている。一方のリブ11の内面f11と、他方のリブ11の内面f11との間には、隙間C11が形成されている。本実施形態において、隙間C11には、スライド仕切壁5の前端部を上下方向に通過させることができる。
【0045】
また、
図14を参照すれば、本実施形態において、2つのリブ11の内面f11は、平面視において、互いに前後方向に平行に延びている。言い換えれば、本実施形態において、隙間C11は、リブ11の頂端(リブ11の後端)11aからリブ11の基部11b(リブ11と前側壁2aとの連結部)に至るまで等しい。即ち、整理ケース1には、左右方向の幅が前後方向で等しい隙間C11が前側壁2aに沿って上下方向に形成されている。
【0046】
図15は、
図3の領域Bを拡大して示す平面図である。
図15を参照すれば、前後仕切壁4において、2つのリブ12のうちの一方のリブ12の内面f12は、他方のリブ12の内面f12に対して向かい合っている。一方のリブ12の内面f12と、他方のリブ12の内面f12との間には、隙間C12が形成されている。本実施形態において、隙間C12には、スライド仕切壁5の後端部を上下方向に通過させることができる。
【0047】
図15を参照すれば、2つのリブ12の内面f12は、平面視において、前後仕切壁4に向かうにしたがって広くなっている。本実施形態において、2つのリブ12の内面f12は、平面視において、前後仕切壁4に向かって角度α1で互いに離間するように延びている。言い換えれば、本実施形態において、隙間C12は、リブ12の頂端(リブ12の前端)12aからリブ12の基部12b(リブ12と前後仕切壁4との連結部)に向かって角度α1で広がっている。即ち、整理ケース1には、左右方向の幅が前後仕切壁4に向かうにしたがって広くなっている隙間C12が前後仕切壁4に沿って上下方向に形成されている。
【0048】
さらに、本実施形態では、スライド仕切壁5を受けるリブ12は、V字形の構造を有しており、また、前後仕切壁5に向かい上方向に行くほどに、当該リブ12の摺動部が広くなっていている。具体的には、
図15に示すように、2つのリブ12の内面f1は、リブ12の頂端12aからリブ12の基部12bに向かって角度α1で広がっているとともに2つのリブ12の頂端12aとの間に隙間C12を残したV字形の構造を有している。また、
図9を参照すれば、2つのリブ12の内面f1の間の角度α1は、スライド仕切壁5に沿って下側に向かうにしたがって小さくなっている。これによって、本実施形態では、スライド仕切壁5を2つのリブ12の間に挿入し始めた初期には、スライド仕切壁5と2つのリブ12との間の嵌め合いは緩い嵌め合いとなる。その後、スライド仕切壁5を下側に深く差し込むにしたがって、スライド仕切壁5と2つのリブ12との間の嵌め合いはかたい嵌め合いとなる。したがって、本実施形態によれば、スライド仕切壁5の差し込みやすさと、当該スライド仕切壁5の差し込み完了後の安定性とを両立させることができる。
【0049】
図16は、スライド仕切壁5を上側から示す平面図である。
図17は、
図16のスライド仕切壁5の右側面図である。
【0050】
図16を参照すれば、スライド仕切壁5は、基本的に、即ち、後述する突起52以外の部分で、均一の幅W5を有するパネル(プレート)である。ここで、幅W5は、スライド仕切壁5の、2つの側面f5の間の寸法である。本実施形態において、幅W5は、整理ケース1にスライド仕切壁5を取り付けたときの、当該スライド仕切壁5の左右方向の幅である。また、本実施形態において、スライド仕切壁5の側面f5は、整理ケース1にスライド仕切壁5を取り付けたときの、当該スライド仕切壁5の左右方向に面する側面である。
【0051】
また、本実施形態において、スライド仕切壁5の後端部には、当該スライド仕切壁5の側面f5から突出している突起52が設けられている。
図16を参照すれば、突起52の側面f52は、平面視において、前側から後側に向かうにしたがって左右方向外側に傾斜している。本実施形態において、突起52の側面f52は、整理ケース1にスライド仕切壁5を取り付けたときの、当該スライド仕切壁5の左右方向に面する側面である。
図16を参照すれば、本実施形態において、2つの突起52の側面f52は、平面視において、後側に向かって角度α2で互いに離間するように延びている。言い換えれば、本実施形態において、2つの突起52の側面f52は、整理ケース1に取り付けられた状態で、前後仕切壁4に向かって角度α2で広がっている形状を有している。
【0052】
図17を参照すれば、突起52は、スライド仕切壁5の後端5bの輪郭線に沿って、スライド仕切壁5の側面f5に対して上下方向に延びている。即ち、本実施形態において、スライド仕切壁5の側面f5には、2つの突起52が後端5bの輪郭線に沿って上下方向に形成されている。
【0053】
ここで、
図13を参照すれば、スライド仕切壁5は、2つのリブ11の間を上下方向にスライドさせることができる。
図9に示すリブ11の高さとともに
図17を参照すれば、本実施形態において、スライド仕切壁5は、当該スライド仕切壁5の前端部51のうちの下側部分を2つのリブ11の間にスライドさせることができる。本実施形態において、スライド仕切壁5の前端部51の側面は、スライド仕切壁5の側面f5と一致している。本実施形態において、スライド仕切壁5の幅W5は、リブ11の隙間C11以下としている。2つのリブ11とスライド仕切壁5との嵌め合いは、すきま嵌めとすることが好ましい。ただし、本発明によれば、中間嵌め又はしまり嵌めとすることができる。
【0054】
また、
図13を参照すれば、スライド仕切壁5は、2つのリブ12の間を上下方向にスライドさせることができる。
図9に示すリブ12の高さとともに
図17を参照すれば、本実施形態において、スライド仕切壁5は、当該スライド仕切壁5の2つの突起52を2つのリブ12の間にスライドさせることができる。特に、本実施形態において、前後仕切壁4のリブ12が角度α1で広がっており、かつ、スライド仕切壁5の突起42もまた角度α2で広がっている。この場合、前後仕切壁4のリブ12とスライド仕切壁5の突起52とを嵌め合わせたとき、リブ12の内面f12がスライド仕切壁5の突起52の側面f52をスライド仕切壁5から包囲するように合わさる。これによって、スライド仕切壁5がリブ12を起点に左右方向に揺動するような状況になっても、スライド仕切壁5がリブ12を起点に左右方向に揺動するような動作を抑制することができる。本実施形態において、スライド仕切壁5の突起52の角度α2は、リブ12の角度α1以下としている。2つのリブ12とスライド仕切壁5の突起52との嵌め合いは、すきま嵌めとすることが好ましい。ただし、本発明によれば、中間嵌め又はしまり嵌めとすることができる。
【0055】
上述のとおり、整理ケース1は、前側壁2aと前後仕切壁4との少なくともいずれか一方に、左右方向に間隔を置いて配置された2つのリブからなる一組のリブを有している。この場合、2つのリブの間の隙間を案内にしてスライド仕切壁5を取り付けることによって、前側壁2aと前後仕切壁4との間に形成された前側収容空間S1を左右方向にさらに仕切ることができる。
【0056】
特に、整理ケース1は、例えば、
図13に示すように、前側壁2aに一組のリブ11を有し、前後仕切壁4に一組のリブ12を有している。即ち、整理ケース1は、前側壁2aと前後仕切壁4との両方に、一組のリブを有している。この場合、スライド仕切壁5は、左右方向の動きに対して強い状態に取り付けることができる。ただし、本発明によれば、スライド仕切壁5は、前側壁2aに設けられた一組のリブ11と、前後仕切壁4に設けられた一組のリブ12との、少なくともいずれか一方で支持することができる。
【0057】
図18は、スライド仕切壁5を取り付けた整理ケース1の使用例を前方上側から示す斜視図である。
図18中、図面向かって左側の前側収容空間S1には、鏡、口紅、アイシャドウ、マスカラなどの背丈の低い化粧品および化粧道具が収容されている。図面向かって右側の前側収容空間S1には、ファンデーション、アイブロウなどの化粧品および化粧道具が収容されている。図面向かって左側の後側収容空間S2には、チューブ容器などの背丈の高い化粧品が収容されている。図面向かって中央の後側収容空間S2には、ピン止めなどの化粧道具が収容されている。図面向かって右側の後側収容空間S2には、ポンプ式のボトル容器などの背丈の高い化粧品が収容されている。整理ケース1によれば、これらのコスメ用品は、把手4bを使用することによって、一度に持ち運ぶことができる。
【0058】
また、整理ケース1において、前記一組のリブには、
図15に示すように、前記2つのリブの間の隙間が前側壁2aまたは前後仕切壁4に向かうにしたがって広くなっているものが含まれている。この場合、上述のとおり、スライド仕切壁5の側面f5に突起52を設け、当該突起52に2つのリブとともに角度を付けて広げれば、スライド仕切壁5を嵌め合わせたとき、リブの内面がスライド仕切壁5の突起52の側面f52を包囲するように合わさる。これによって、スライド仕切壁5がリブを起点に左右方向に揺動するような状況になっても、スライド仕切壁5がリブを起点に左右方向に揺動するような動作を抑制することができる。したがって、この場合、スライド仕切壁5を前側壁2aと前後仕切壁4との間に安定的に嵌め込むことができる。
【0059】
図15を参照すれば、本実施形態において、二組のリブのうち、前後仕切壁4に設けた2つのリブ12の隙間C12が前後仕切壁4に向かうにしたがって広がるようにしている。本実施形態では、前側壁2aに切欠き部7を形成したことから、
図9に示すように、リブ12の高さは、リブ11に比べて長くなっている。このため、スライド仕切壁5は、前側壁2aに比べて前後仕切壁4側で強固に固定することができる。即ち、整理ケース1に取り付けられたスライド仕切壁5が左右方向の揺動するとき、当該スライド仕切壁5の揺動は、主として前後仕切壁4側を起点に生じ得る。したがって、本実施形態のように、前後仕切壁4のリブ12の間の隙間C12を広げるように構成しておけば、リブ11の隙間C11を調整する必要なく、簡易な構成で、スライド仕切壁5を前側壁2aと前後仕切壁4との間に安定的に嵌め込むことができる。ただし、本発明によれば、前側壁2aのリブ11の間の隙間C11を広げるように構成することもできる。
【0060】
ところで、
図7を参照すれば、整理ケース1の底壁3は、当該底壁3の下面に開口している凹部8を有している。凹部8は、他の整理ケース1に設けられた把手4bを収容可能である。凹部8は、
図7に示すように、前後方向幅よりも左右方向幅が広い長穴形状を有している。凹部8は、当該凹部8の左右方向端部8bにおいて、当該左右方向端部8bの前後方向幅が左右方向外側に向かうにしたがって狭くなっている。さらに、本実施形態において、凹部8は、底壁3のパネル部3aと連なる縁取り部8cを有している。
図8および
図9に示すように、本実施形態において、縁取り部8cは、R加工によって形成されている。縁取り部8cは、例えば、
図8および9に示すように、曲率半径r8cの曲面で形成することができる。
【0061】
図8および
図9を参照すれば、本実施形態において、凹部8を形作る内面は、下側領域f81と、中間領域f82と、上側領域f83と、底面(上端面)領域f84と、によって形成されている。本実施形態において、下側領域f81は、底壁3のパネル部3aの下面と連なっているとともに上下方向に延びている。下側領域f81は、縁取り部8cの表面を形成している。本実施形態において、下側領域f81は、底壁3のパネル部3aに対する軸線О側の傾きを上側に向かうにしたがって大きくさせることによって、凹部8の開口面積を急激に減少させている。次いで、中間領域f82は、下側領域f81に連なっているとともに上下方向に延びている。中間領域f82は、底壁3のパネル部3aに対する軸線О側の傾きを一定にすることによって、凹部8の開口面積を一定の割合で減少させている。次いで、上側領域f83は、中間領域f82に連なっているとともに上下方向に延びている。本実施形態において、上側領域f83は、底壁3に対する軸線О側の傾きを上側に向かうにしたがって小さくさせることによって、凹部8の開口面積を緩やかに減少させている。上側領域f83は、底面領域f84に連なっている。
【0062】
図19は、整理ケース1を、
図9のZ-Z平面で示した断面図である。ここで、Z-Z平面は、軸線Оに対して直交する平面である。
【0063】
図19を参照すれば、凹部8は、軸直方向断面視において、軸線Оを含む中央部8aと、当該中央部8aの左右方向両側に連なっている2つの左右方向端部8bとを有している。本実施形態において、左右方向端部8bの左右方向外側には、凹部8の外縁e8が形成されている。外縁e8は、凹部8の左右方向外側縁である。
図19を参照すれば、本実施形態において、中央部8aは、凹部8を形作る当該凹部8の内周面の中間領域f82のうち、前後方向に間隔を置いて配置された2つの前後方向側内周面f82aによって形成されている。本実施形態において、2つの前後方向側内周面f82aは、
図19に示すように、軸直方向断面視において、中央部8aの前後方向幅が左右方向に沿って等しくなるように、互いに平行に配置されている。また、
図19を参照すれば、本実施形態において、左右方向端部8bは、凹部8を形作る当該凹部8の内周面の中間領域f82のうち、前後方向に間隔を置いて配置された2つの左右方向側内周面f82bによって形成されている。左右方向側内周面f82bは、前後方向側内周面f82aの左右方向端に連なっている。本実施形態において、2つの左右方向側内周面f82bは、
図19に示すように、軸直方向断面視において、当該左右方向側内周面f82bの前後方向幅が中央部8aから外縁e8に向かうにしたがって接近することによって互いに連結されている。さらに、
図19を参照すれば、本実施形態において、2つの左右方向側内周面f82bの連結部は、外縁e8を構成している。本実施形態では、外縁e8は、左右方向外側に湾曲した曲面の左右方向最外側に位置している。本実施形態において、2つの左右方向側内周面f82bの連結部は、
図19の軸直方向断面視において、曲率半径re8(図示省略)の輪郭線によって形成されている。本実施形態において、凹部8の内周面のうちの下側領域f81および上側領域f83もまた、中間領域f82と同様に構成されている。
【0064】
また、
図9を参照すれば、本実施形態において、凹部8は、前後方向の幅が上側に向かうにしたがって狭くなっている。本実施形態において、凹部8の前後方向幅は、当該凹部8の底面(上端面)8dにおいて、最も狭くなっている。即ち、本実施形態において、凹部8は、当該凹部8の左右方向端部8bが左右方向外側に向かうにしたがって先細りする断面輪郭形状を有し、当該断面輪郭形状が上側に向かって先細りする柱状形状に形作られている。
【0065】
図20には、スライド仕切壁5が取り付けられた2つの整理ケース1を上下に積み重ねた状態が、
図3のY-Y断面相当で示されている。
【0066】
図20に示すように、整理ケース1によれば、一方の整理ケース1の把手4bを他方の整理ケース1の凹部8に差し込むことによって、複数の整理ケース1を上下方向に積み重ねることができる。この場合、積み重ねられた整理ケース1の高さを抑えつつ、複数の整理ケース1をコンパクトに保管することができる。また、
図19を参照すれば、整理ケース1において、凹部8は、前後方向幅よりも左右方向幅が長い長穴形状を有しており、当該凹部8の左右方向端部8bにおいて、当該左右方向端部8bの前後方向幅が左右方向外側に向かうにしたがって狭くなっている。この場合、凹部8の左右方向端部8bは、
図19に示すように、軸直方向断面視において、左右方向外側に向かって先細りしているため、一方の整理ケース1の把手4bを左右にガタつき難く安定的に差し込むことができる。したがって、この場合、複数の整理ケース1を上下にコンパクトかつ安定的に積み重ねることができる。
【0067】
さらに、
図20を参照すれば、本実施形態において、前後仕切壁4の前側面f4aは、前側平面f4a1と、当該前側平面f4a1から凹部8の形状に沿って前側に膨出している膨出面f4a2と、によって形成されている。本実施形態において、前側平面f4a1は、軸線ОおよびX-X平面に対して平行な平面である。また、本実施形態において、膨出面f4a2は、下側領域f4a21と、中間領域f4a22と、上側領域f4a23とによって形成されている。本実施形態において、下側領域f4a21は、底壁3のパネル部3aの上面と連なっているとともに上下方向に延びている。下側領域f4a21は、縁取り部8cの裏面(収容空間側の面)を形成している。本実施形態において、下側領域f4a21は、底壁3のパネル部3aに対する軸線Оの傾きを上側に向かうにしたがって大きくさせることによって、膨出面f4a2の軸直方向断面面積を急激に減少させている。次いで、中間領域f4a22は、下側領域f4a21に連なっているとともに上下方向に延びている。中間領域f4a22は、底壁3のパネル部3aに対する軸線О側の傾きを一定にしたままにすることによって、膨出面f4a2の軸直方向断面面積を一定の割合で減少させている。次いで、上側領域f4a23は、中間領域f4a22に連なっているとともに上下方向に延びている。本実施形態において、上側領域f4a23は、底壁3のパネル部3aに対する軸線Оの傾きを上側に向かうにしたがって小さくさせることによって、膨出面f4a2の軸直方向断面面積を緩やかに減少させている。上側領域f4a23は、前側平面f4a1に連なっている。
【0068】
本実施形態において、前側平面f4a1は、底壁3のパネル部3aの左右両側から上側に延びているとともに当該上側で連結している逆U字形状の面である。本実施形態において、前側平面f4a1は、前後仕切壁4の仕切壁本体4aの一部および把手4bを形成している。また、本実施形態において、膨出面f4a2は、底壁3の上側において逆U字形状の前側平面f4a1に取り囲まれているとともに当該前側平面f4a1から前側に膨出している。本実施形態において、膨出面f4a2は、前後仕切壁4の仕切壁本体4aの残部を形成している。
図3を参照すれば、本実施形態において、膨出面f4a2は、凹部8と同様、平面視において、当該膨出面f4a2と前側平面f4a1との間の前後方向の幅が左右方向外側に向かうにしたがって狭くなっている。こうした構成によれば、前後仕切壁4は、凹部8が形成されたことによって当該前後仕切壁4の前側面f4aから膨出面f4a2が膨出しても、前側平面f4a1および後側面f4bの間の前後方向の幅を抑えつつ、当該膨出面4a2を視認し難くすることができる(例えば、
図1,
図4,
図12及び
図18参照。)。
【0069】
ところで、本実施形態では、上述のとおり、前後仕切壁4の前側面f4aは、当該前後仕切壁4の膨出面f4a2が前側平面f4a1よりも前側に膨出している。このため、
図17に示すように、スライド仕切壁5の後端5bは、上側後端5b1と、下側後端5b2とによって形成されている。本実施形態において、下側後端5b2は、スライド仕切壁5を整理ケース1に取り付けたとき、前後仕切壁4の膨出面f4a2に合わさるように、前側に切り欠かれている。この場合、
図15に示すように、前後仕切壁4のリブ12の間の隙間C12を角度α1で広げるように構成しておけば、
図17に示すように、スライド仕切壁5の下側後端5b2を切り欠いたことによって、突起52の前後方向の幅が下側後端5b2の上下領域において狭くなっても、スライド仕切壁5を前側壁2aと前後仕切壁4との間に安定的に嵌め込むことができる。
【0070】
また、
図20を参照すれば、本実施形態において、前後仕切壁4の後側面f4bもまた、後側平面f4b1と、当該前側平面f4a1から凹部8の形状に沿って後側に膨出している膨出面f4b2と、によって形成されている。また、本実施形態において、膨出面f4b2は、下側領域f4b21と、中間領域f4b22と、上側領域f4b23とによって形成されている。これらの構成は、前後仕切壁4の前側面f4aの、前側平面f4a1および膨出面f4a2と同様である。したがって、こうした構成によれば、前後仕切壁4は、凹部8が形成されたことによって当該前後仕切壁4の後側面f4bから膨出面f4b2が膨出しても、前側平面f4a1および後側面f4bの間の前後方向の幅を抑えつつ、当該膨出面f4b2を視認し難くすることができる。
【0071】
また、本実施形態において、前後仕切壁4の、膨出面f4a2およびf4b2は、
図19および
図20に示すように、凹部8と同様、左右方向端部が左右方向外側に向かうにしたがって先細りする断面輪郭形状を有し、当該断面輪郭形状が上側に向かって先細りする柱状形状に形作られている。こうした構成によれば、膨出面f4a2およびf4b2が目立ちにくい整理ケース1を、樹脂使用量を抑えつつ、を容易に得ることができる。
【0072】
また、整理ケース1にスライド仕切壁5を取り付ければ、
図20に示すように、スライド仕切壁5の上端e5は、他の整理ケース1を支持することができる。この場合、複数の整理ケース1を上下に積み重ねたとき、当該複数の整理ケース1を安定的に積み重ねることができる。
【0073】
本実施形態において、一方の整理ケース1を他方の整理ケース1の上に重ね合わせたとき、上側の整理ケース1の底壁3は、下側の整理ケース1における前後仕切壁4の仕切壁本体4aの上端e4aに接触している。これによって、上側の整理ケース1は、当該上側の整理ケース1の左右両側を前後仕切壁4によって支持される。また、本実施形態において、一方の整理ケース1を他方の整理ケース1の上に重ね合わせたとき、上側の整理ケース1の底壁3は、下側の整理ケース1における左右仕切壁6の上端e6に接触している。これによって、上側の整理ケース1は、当該上側の整理ケース1の後側を左右仕切壁6によって支持される。さらに、本実施形態において、一方の整理ケース1を他方の整理ケース1の上に重ね合わせたとき、上側の整理ケース1の底壁3は、下側の整理ケース1におけるスライド仕切壁5の上端e5に接触している。これによって、上側の整理ケース1は、当該上側の整理ケース1の前側をスライド仕切壁5によって支持される。これらの構成によれば、複数の整理ケース1を上下に積み重ねたとき、当該複数の整理ケース1を最も安定的に積み重ねることができる。
【0074】
上述したところは、本発明の例示的な実施形態を説明したものであり、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。本実施形態において、切欠き部7は、前側壁2aの左右方向全体に形成することができる。ただし、本発明によれば、切欠き部7は、前側壁2aの左右方向の一部に形成することもできる。また、本発明によれば、切欠き部7は、軸方向稜線部2eを含めて形成することができる。また、本発明によれば、切欠き部7は、前側壁2aと同様の構成となるように、後側壁2bに形成することができる。さらに、本発明によれば、切欠き部7は、前側壁2aおよび後側壁2bの両方に形成することができる。また、本実施形態において、凹部8は、縁取り部8cを有している。この場合、縁取り部8cは、把手4bの挿入を容易にすることができる。ただし、本発明によれば、縁取り部8cは省略することができる。また、本発明によれば、スライド仕切壁5は、2つ以上とすることができる。また、本発明によれば、整理ケース1において、軸方向稜線部2eおよびヒール部3bは省略することができる。
【符号の説明】
【0075】
1:整理ケース, 2:周壁, 2a:周壁の前側壁, 2b:周壁の後側壁, 2c:周壁の右側壁, 2d:周壁の左側壁, 2e:周壁の軸方向稜線部, e2:周壁の上端, 3:周壁の底壁, 3a:パネル部, 3b:ヒール部, 4:前後仕切壁, 4a:仕切壁本体, 4b:把手, A4:把手穴, e4a:仕切壁本体の上端, f4a:前後仕切壁の前側面, f4a1:前側面の前側平面, f4a2:前側面の膨出面, f4a21:膨出面の下側領域, f4a22:膨出面の中間領域, f4a23:膨出面の上側領域, f4b:前後仕切壁の後側面, f4b1:後側面の後側平面, f4b2:後側面の膨出面, f4b21:膨出面の下側領域, f4b22:膨出面の中間領域, f4b23:膨出面の上側領域, 5:スライド仕切壁, 5b:スライド仕切壁の後端, 5b1:スライド仕切壁の後端の上側後端, 5b2:スライド仕切壁の後端の下側後端, f5:スライド仕切壁の側面, 51:スライド仕切壁の前端部, 52:スライド仕切壁の突起, e5:スライド仕切壁の上端, f52:突起の側面, 6:左右仕切壁, e6:左右仕切壁の上端, 7:切欠き部, 7a:切欠き部の下側輪郭線, 7b:切欠き部の左右側輪郭線, 8:凹部, 8a:凹部の中央部, 8b:凹部の左右方向端部, e8:凹部の左右方向外縁, f81:凹部の下側領域, f82:凹部の中間領域、 f83:凹部の上側領域, f82a:中間領域の前後方向側内周面, f82b:中間領域の左右方向側内周面, f84:凹部の底面(上端面)領域