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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】エネルギ資源ネットワーク
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240105BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021152895
(22)【出願日】2021-09-21
(62)【分割の表示】P 2017549650の分割
【原出願日】2016-03-22
(65)【公開番号】P2021193612
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】1504946.3
(32)【優先日】2015-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】504175659
【氏名又は名称】インテリジェント エナジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】INTELLIGENT ENERGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(72)【発明者】
【氏名】ウィナンド、ヘンリ
(72)【発明者】
【氏名】マリー、ジョン ジョセフ
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-324850(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0026072(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネルエネルギシステムにおいて、
各々、所定量のエネルギを生成して送出可能な複数のソーラーパネルであって、各々、供給のために利用可能な所定量のエネルギを決定して上記利用可能な所定量のエネルギを表す申し出メッセージを生成するように構成された第1のプロセッサを具備するコンピュータ装置を有する上記複数のソーラーパネルであって、それぞれエネルギの計数を保持するエネルギウォレットおよび通貨の計数を保持する通貨ウォレットを有する上記複数のソーラーパネルと、
各々、上記所定量のエネルギを上記ソーラーパネルから受け取り可能な複数のエネルギ消費装置であって、各々、利用可能なエネルギ容量を決定してエネルギ要求メッセージを決定するように構成された第2のプロセッサを有し、上記エネルギ要求メッセージは暗号防護され公開利用可能な分散元帳に記録され、かつ、それぞれエネルギの計数を保持するエネルギウォレットおよび通貨の計数を保持する通貨ウォレットを有する上記複数のエネルギ消費装置と、
上記複数のソーラーパネルおよび上記複数のエネルギ消費装置とデータ通信する監視ステーションであって、上記公開利用可能な分散元帳を管理し、さらに、上記複数のソーラーパネルのそれぞれのエネルギウォレットおよび上記複数のエネルギ消費装置のそれぞれのエネルギウォレットの計数を記録するエネルギブロックチェーンと、上記複数のソーラーパネルのそれぞれの通貨ウォレットおよび上記複数のエネルギ消費装置のそれぞれの通貨ウォレットの計数を記録する通貨ブロックチェーンに接続され、上記エネルギブロックチェーンおよび上記通貨ブロックチェーン上のトランザクションを追跡するように構成された上記監視ステーションとを有し、
上記監視ステーションは、上記複数のソーラーパネルからの申し出メッセージおよび上記複数のエネルギ消費装置からのエネルギ要求メッセージを監視し、
上記エネルギブロックチェーンおよび上記通貨ブロックチェーン上のトランザクションに基づいて当該ソーラーパネルエネルギシステム内のエネルギ消費を分析し、
上記ソーラーパネルエネルギシステム内のエネルギ消費の分析結果に基づいて1または複数のソーラーパネルおよびエネルギ消費装置の間で申し出メッセージおよびエネルギ要求メッセージの配送を決定するように構成され、
上記配送された申し出メッセージおよびエネルギ要求メッセージに基づいて、対応する1または複数のソーラーパネルまたはエネルギ消費装置が上記利用可能な所定量のエネルギおよび通貨を交換するトランザクションを実行し、
上記実行されたトランザクションは暗号防護され、上記公開利用可能な分散元帳に記録されることを特徴とするソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項2】
さらに、複数の第三者ノードを有し、これら第三者ノードの各々が上記公開利用可能な分散元帳を局所的に記憶して維持する請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項3】
上記複数の第三者ノードの各々が、上記複数の第三者ノードに最も広範囲に記憶されている上記公開利用可能な分散元帳のバージョンとして、上記公開利用可能な分散元帳の正しいバージョンを特定し、局所的に記憶するように構成される請求項2記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項4】
1つの第三者ノードをさらに有し、
上記第三者ノードは、
1つまたは複数の暗号防護されたトランザクションレコードに関する検証ルーチンを実行し、
上記検証ルーチンが成功したならば、単に、上記1つまたは複数の暗号防護されたトランザクションレコードを上記公開利用可能な分散元帳に付加するように構成される請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項5】
上記第三者ノードが、上記公開利用可能な分散元帳を処理して上記トランザクションに関連付けられた1つのソーラーパネルが上記トランザクションを実行するのに十分なエネルギを有するかどうかを決定することによって、上記検証ルーチンを実行するように構成される請求項4記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項6】
上記第三者ノードが、上記公開利用可能な分散元帳を処理して上記トランザクションに関連付けられた1つの発電ユニットが上記トランザクションを実行するのに利用可能な十分なエネルギ発生容量を有するかどうかを決定することによって、上記検証ルーチンを実行するように構成される請求項4記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項7】
上記公開利用可能な分散元帳は、各ソーラーパネルに対して、利用可能なエネルギ発生容量または利用可能なエネルギの残余を有し、上記第三者ノードは、上記トランザクションレコードの少なくとも一部を、上記トランザクションに関連して上記発電ユニットに関して利用可能なエネルギ発生容量、または、エネルギと比較することにより、上記トランザクションに関連する1つのソーラーパネルが、上記トランザクションを実行するのに十分な利用可能なエネルギ発生容量またはエネルギを有するかどうかを決定するように構成される請求項6記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項8】
上記公開利用可能な分散元帳は、複数のデータのブロックを有し、データのブロックの各々は:
1または複数のトランザクションレコード;および
上記元帳の中の先行するブロックの少なくとも一部の暗号的ハッシュ値
を表す情報を有する請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項9】
上記公開利用可能な分散元帳はブロックチェーンを有する請求項8記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項10】
さらに第三者ノードを有し、当該第三者ノードが:
1または複数の暗号保護されたトランザクションレコードを処理し;そして
上記公開利用可能な分散元帳における先行するブロックの少なくとも一部にハッシュアルゴリズムを適用して、上記暗号的ハッシュ値を決定することによって、上記公開利用可能な分散元帳について新しいデータブロックを決定するように構成される請求項8記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項11】
上記第三者ノードは、ハッシュアルゴリズムを:
上記公開利用可能な分散元帳における直前のブロックの少なくとも一部;
上記1または複数のトランザクション;および
暗号ナンス値に適用して暗号的ハッシュ値を決定するように構成される請求項7記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項12】
上記第三者ノードは:
複数の異なる暗号ナンス値に対して上記暗号的ハッシュ値を生成し;
決定された上記暗号的ハッシュ値が1または複数の予め定められた特徴を満たすならば、有効と識別し;そして
上記公開利用可能な分散元帳に含ませるために、有効な上記暗号的ハッシュ値を有する新たなデータブロックをブロードキャストするように構成される請求項11記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項13】
上記元帳における直前のブロックの当該一部は、上記元帳における上記直前のブロックの暗号的ハッシュ値である請求項10記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項14】
上記ソーラーパネルによる通信ネットワークを介した申し出メッセージの発行;
上記エネルギ消費装置による申し出メッセージの受諾;
上記エネルギ消費装置による申し出メッセージの受諾に際しての受諾メッセージの発行;
暗号防護された公開利用可能な分散元帳に受諾メッセージを含ませるための第三者による受諾メッセージの処理;および
上記ソーラーパネルおよび上記エネルギ消費装置の間でのエネルギの物理的な交換
のうちの1つまたは複数を、受諾メッセージの暗号防護された公開利用可能な分散元帳、および、トランザクションの暗号防護された公開利用可能な分散元帳に基づいて制御する請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項15】
上記ソーラーパネルが有する上記コンピュータ装置が具備する上記第1のプロセッサは、エネルギの利用可能量または供給エネルギの利用可能容量が、高エネルギ閾値レベルを越えるならば、自動的に申し出メッセージを発行する請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項16】
上記エネルギ消費装置が有する上記第2のプロセッサは、申し出メッセージの情報の1または複数の部分を1または複数の予め定められた受諾基準に比較することにより、自動的に上記申し出メッセージの受諾または拒絶を行う請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項17】
上記トランザクションレコードは、上記所定量のエネルギの受諾、および/または上記エネルギ消費装置に関連する勘定の貸方を表す情報を有する請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項18】
各申し出メッセージは、所定量のエネルギ;上記ソーラーパネルの発生容量;時間窓;価格のうちの1つまたは複数を表す情報を有する請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項19】
各ソーラーパネルが有する上記コンピュータ装置が具備する上記第1のプロセッサは、公開利用可能な分散元帳に含ませるための暗号防護された申し出レコードを発行するように構成される請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【請求項20】
さらに計量装置を有し、当該計量装置は、ソーラーパネルおよびエネルギ消費装置の両取引相手の間で移動させられたエネルギの計量単位の暗号防護されたトランザクションレコードを発行するように構成される請求項1記載のソーラーパネルエネルギシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エネルギ資源ネットワーク、特にエネルギ資源とエネルギ消費装置との間のエネルギトランザクションに関する。
【背景技術】
【0002】
電力配電ネットワークのような既存のエネルギ配給ネットワークでは、電力は、1つまたは複数の発電機から電力を得るエネルギ供給者によってエンドユーザまたはエネルギ消費者に共通に分配される。このシステムは、一般に、各エネルギ消費者の使用量がエネルギ供給者によって計量され記録されるという点で、集中して使用される。エネルギ供給者は、エネルギ消費者に電力を供給するために、1つ以上の発電機からのエネルギの供給を同時に確保する。
【0003】
家庭規模のソーラーパネルまたは風力タービンなどによるエネルギ消費者自体による局所的な電気エネルギの発生は、例えば、エネルギ供給者に送信されるそのエネルギ消費者のメーター読み取り値を補償することによって、ネットワークに転送することができる。
【0004】
例えば小規模の多くの発電所を使用するなど、分散型発電と配電への関心が大幅に高まると、より集中的かつ分散的な制御、監視、エネルギ交換の実施を可能にする代替戦略が必要になるであろう。
【発明の概要】
【0005】
この発明は、その一側面にしたがって、エネルギ資源ネットワークを提供し、このエネルギ資源ネットワークは、
各々、所定量のエネルギを搬出可能な複数のエネルギ資源と、
各々、所定量のエネルギを受領可能な複数のエネルギ消費装置とを有し、
各エネルギ資源は、当該エネルギ資源から供給可能な所定量のエネルギに関する1つまたは複数の申し出メッセージを発行するように構成されたエネルギ資源プロセッサに関連付けられ、
各エネルギ消費装置は、上記複数のエネルギ資源の1つからの所定量のエネルギを受領するためのトランザクションに関する1つまたは複数の申し出メッセージを受領するように構成されたエネルギ消費プロセッサに関連付けられ、
上記エネルギ資源プロセッサおよび/または上記エネルギ消費プロセッサは、公開利用可能な分散元帳内に含ませるために、上記トランザクションの暗号防護トランザクションレコードを発行するように構成される。
【0006】
エネルギ資源ネットワークは、さらに、複数の第三者ノードを有して良く、これら第三者ノードの各々が上記公開利用可能な分散元帳を局所的に記憶して維持する。上記複数の第三者ノードの各々が、上記複数の第三者ノードに最も広範囲に記憶されている上記公開利用可能な分散元帳の当該バージョンとして、上記公開利用可能な分散元帳の正しいバージョンを特定し、局所的に記憶するように構成されて良い。
【0007】
エネルギ資源ネットワークは、1つの第三者ノードをさらに有して良く、上記第三者ノードは、1つまたは複数の暗号防護(例えば、公開鍵を使用して)トランザクションレコードに関する検証ルーチンを実行し、上記検証ルーチンが成功したならば、単に、上記1つまたは複数の暗号防護トランザクションレコードを上記公開利用可能な分散元帳に付加するように構成される。
【0008】
上記第三者ノードは、上記公開利用可能な分散元帳を処理して上記トランザクションに関連付けられた1つのエネルギ資源が上記トランザクションを実行するのに十分なエネルギを有するかどうかを決定することによって、上記検証ルーチンを実行するように構成されて良い。上記第三者ノードは、上記公開利用可能な分散元帳を処理して上記トランザクションに関連付けられた1つのエネルギ資源が上記トランザクションを実行するのに利用可能な十分なエネルギ発生容量(電力と呼ぶことができる)を有するかどうかを決定することによって、上記検証ルーチンを実行するように構成されて良い。
【0009】
上記公開利用可能な分散元帳は、各エネルギ資源に対して、利用可能なエネルギ発生容量または利用可能なエネルギの残余を有して良い。上記第三者ノードは、上記トランザクションレコードの少なくとも一部を、利用可能なエネルギ発生容量、または、上記トランザクションに関連して上記エネルギ資源に関して利用可能なエネルギと比較することにより、上記トランザクションに関連する1つのエネルギ資源が、上記トランザクションを実行するのに十分な利用可能なエネルギ発生容量またはエネルギを有するかどうかを決定するように構成されて良い。
【0010】
上記公開利用可能な分散元帳は、複数のデータのブロックを有して良く、データのブロックの各々は:
1または複数のトランザクションレコード;および
上記元帳内の先行するブロックの少なくとも一部の暗号的ハッシュ値
を表す情報を有する 公開利用可能な分散元帳は、複数のデータブロックを含むことができ、各データブロックは、
1つまたは複数のトランザクションレコード;および、
元帳内の前のブロックの少なくとも一部の暗号ハッシュ値を表す情報を有する。
【0011】
上記公開利用可能な分散元帳は、ブロックチェーンを含んで良い。
【0012】
上記エネルギ資源ネットワークは、さらに第三者ノードを有して良く、当該第三者ノードが:
1または複数の暗号防護トランザクションを処理し;そして
上記公開利用可能な分散元帳における先行するブロックの少なくとも一部にハッシュアルゴリズムを適用して、上記暗号ハッシュ値を決定することによって、上記公開利用可能な分散元帳について新しいデータブロックを決定するように構成される。
【0013】
上記第三者ノードは、上記ハッシュアルゴリズムを:
上記元帳における直前のブロックの少なくとも一部;
上記1または複数のトランザクション;および
暗号ナンス値に適用して上記暗号ハッシュ値を決定するように構成されて良い。
【0014】
上記第三者ノードは:
複数の異なる暗号ナンス値に対して暗号ハッシュ値を生成し;
決定された暗号ハッシュ値が1または複数の予め定められた特徴を満たすならば、有効と識別し;そして
上記公開利用可能な分散元帳に含ませるために、上記有効な暗号ハッシュ値を有する新たなデータブロックをブロードキャストするように構成されて良い。
【0015】
上記元帳における直前のブロックの当該一部は、上記元帳における上記直前のブロックの暗号ハッシュ値であって良い。
【0016】
上記エネルギ資源による当該ネットワークを介した申し出メッセージの発行;
上記エネルギ消費装置による申し出メッセージの受諾;
上記エネルギ消費装置による申し出メッセージの受諾に際しての受諾メッセージの発行;
暗号防護された公開利用可能な分散元帳に受諾メッセージを含ませるための第三者による受諾メッセージの処理;および
上記エネルギ資源および上記エネルギ消費装置の間でのエネルギの物理的な交換
のうちの1つまたは複数を、受諾メッセージの暗号防護された公開利用可能な分散元帳、および、トランザクションの暗号防護された公開利用可能な分散元帳に基づいて制御して良い。
【0017】
上記エネルギ資源プロセッサは、利用可能なエネルギ量(例えば、エネルギ利用可能値)、またはエネルギを提供するための利用可能な容量(例えば、電力定格)が高エネルギ閾値レベルを超えた場合に、申し出メッセージを自動的に発行するように構成されて良い。
【0018】
上記エネルギ消費プロセッサは、申し出メッセージの情報の1つまたは複数の部分を1または複数の予め定められた受諾基準と比較することによって、申し出メッセージを自動的に受諾または拒否するように構成して良い。
【0019】
各エネルギ消費装置または各エネルギ資源のプロセッサは、秘密鍵を使用して暗号的に安全なトランザクションレコードを生成するように構成することができる。
【0020】
上記トランザクションレコードは、上記所定量のエネルギの受諾、および/または上記エネルギ消費装置に関連する勘定の貸方を表す情報を有して良い。
【0021】
各申し出メッセージは、所定量のエネルギ;上記エネルギ資源の発生容量;時間窓;価格のうちの1つまたは複数を表す情報を有して良い。
【0022】
各エネルギ資源の上記エネルギ資源プロセッサは、公開利用可能な分散元帳に含ませるための暗号防護された申し出レコードを発行するように構成されて良い。
【0023】
エネルギ資源ネットワークは、計量装置をさらに備えることができる。計量装置は、エネルギ資源およびエネルギ消費装置の両取引相手の間で転送される計量されたエネルーギ単位の暗号防護されたトランザクションレコードを生成するように構成して良い。
【0024】
1または複数のエネルギ資源からの所定量のエネルギを消費するように構成されるエネルギ消費装置が提供されて良く、エネルギ消費装置はエネルギ消費プロセッサを有し、当該エネルギ消費プロセッサは:
(i)1または複数のエネルギ資源からの供給に利用できる所定量のエネルギに関する申し出メッセージを受領し;そして、
(ii)1または複数のエネルギ資源からの所定量のエネルギを受け取るためのトランザクションに関する申し出メッセージの受諾に応じて、公開利用可能な分散元帳に含ませるために当該トランザクションの暗号防護トランザクションレコードを発行するように構成される。
【0025】
1または複数のエネルギ消費装置に所定量のエネルギを搬送するように構成されるエネルギ資源が提供されて良く、このエネルギ資源はエネルギ資源プロセッサを有し、当該エネルギ資源プロセッサは:
(i)上記エネルギ資源から供給可能な所定量のエネルギに関する申し出メッセージを発行し;
(ii)所定量のエネルギをエネルギ消費装置に搬送するためのトランザクションに関する申し出メッセージの受諾に応じて、公開利用可能な分散元帳に含ませるために、当該トランザクションの暗号防護されたトランザクションレコードを発行するように構成される。
【0026】
エネルギ資源ネットワークのための公開利用可能な分散元帳を更新するための装置が提供されて良く、上記ネットワークは、
各々所定量のエネルギを搬出可能な、複数のエネルギ資源と、
各々所定量のエネルギを受け取ることが可能な、複数のエネルギ消費装置とを有し、
各エネルギ資源は、当該エネルギ資源からの供給に利用できる所定量のエネルギに関する1または複数の申し出メッセージを発行するように構成されるエネルギ資源プロセッサに関連付けられ、
各エネルギ消費装置は、上記エネルギ資源の1つから所定量のエネルギを受け取るためのトランザクションに関する1つまたは複数の申し出メッセージを受け取るように構成されるエネルギ消費装置に関連付けられ、
当該分散元帳更新装置は、上記エネルギ資源プロセッサおよび/または上記エネルギ消費プロセッサから、上記トランザクションの暗号防護されたトランザクションレコードを受け取り、公開利用可能な分散元帳に当該レコードを含ませるように構成される。
【0027】
エネルギ資源ネットワークを操作する方法が提供されて良く、上記エネルギ資源ネットワークは、 複数のエネルギ資源、および、複数のエネルギ消費装置を有し、
上記エネルギ資源ネットワーク操作方法は、
エネルギ資源が、当該エネルギ資源から供給可能な所定量のエネルギに関する1または複数の申し出メッセージを発行すること、
エネルギ消費装置が、上記エネルギ資源の1つから所定量のエネルギを受け取るためのトランザクションに関する1または複数の申し出メッセージを受け取ること、および
公開利用可能な分散元帳に含ませるために上記トランザクションの暗号防護されたトランザクションレコードを発行することを有する。
【0028】
コンピュータプログラムが提供されて良く、このコンピュータプログラムは、コンピュータ上で実行されると、コンピュータに、ここで開示される、エネルギ資源ネットワーク、エネルギ資源、エネルギ資源プロセッサ、エネルギ消費装置、エネルギ消費装置プロセッサ、第三者ノード、回路、コントローラ、またはデバイスを構成し、またはここに開示された任意の方法を実行する。コンピュータプログラムは、ソフトウェア実装であってもよく、コンピュータは、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、および読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)または電子的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)を含む、任意の適切なハードウェアと考えることができるけれども、これに限定されない。ソフトウェアはアセンブリプログラムであってもよい。
【0029】
コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体上に提供されてもよく、これは、ディスクまたはメモリデバイスのような物理的コンピュータ可読媒体であって良く、あるいは、一時的信号として実現されて良い。このような一時的信号は、インターネットダウンロードを含むネットワークダウンロードであって良い。
【0030】
この発明の実施例を、添付の図面を参照して例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】エネルギ資源ネットワークを示す図である。
図2】公開利用可能な分散元帳の例を概略的に示す図である。
図3】別のエネルギ資源ネットワークを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、第1のエネルギ資源102と、第2のエネルギ資源104と、第1のエネルギ消費装置106と、第2のエネルギ消費装置108とを含むエネルギ資源ネットワーク100を示している。エネルギ資源ネットワーク100は、任意の数のエネルギ資源および任意の数のエネルギ消費装置を含むことができる。エネルギ資源102、104は、所定量(quantum)のエネルギを供給することができ、エネルギ消費装置106、108は、所定量のエネルギを受け入れ/消費することができる。
【0033】
エネルギ資源ネットワーク100の目的は、エネルギ消費装置106、108が、エネルギ資源102、104からのエネルギをピアツーピア方式で取得し、エネルギがどのようにネットワーク内で交換されるかに関する正確な表示を提供することである。以下でより詳細に説明するが、これは、公開利用可能な分散元帳にトランザクションを記録することによって達成することができる。このような分散型元帳の使用は、集中記録システムに関連する不利な点を除去または低減し、元帳に格納されたデータの高い完全性を維持することができる。このようにして、エネルギ発生器とエネルギ消費者との間のエネルギ交換を制御、監視および実施する、1つまたは複数の態様を容易にする代替システムを提供することができる。
【0034】
エネルギ消費装置106、108およびエネルギ資源102、104は、インターネットなどのデータ交換ネットワーク120、またはBluetooth(商標)、Wi-Fiなどを含む任意の他の通信ネットワークを介してデータ通信する。
【0035】
エネルギ資源102、104は、所与の時間に所定の量のエネルギを供給することができる任意の資源とすることができる。エネルギ資源102、104は、既知の電力定格を有することができ、これはエネルギを供給するための能力とみなすことができる。エネルギ資源102、104は、任意の所与の時間にエネルギを提供する明確な能力を有する従来の発電所(ガス、石油、石炭、原子力など);任意の所与の時間において可変容量を有する再生可能エネルギ供給(風力、太陽光、潮汐など);または、水素ベースの燃料電池、ポンピングされた貯蔵器などの、代替の発電システムであって良い。水素ベースの燃料電池および燃料電池スタックは、エネルギを提供するための既知の容量を有することができる。例えば、水素ベースの燃料電池は、燃料電池スタック内の燃料電池の数、および燃料電池の活性領域のサイズによって決定される電力定格を有することができる。いくつかのエネルギ資源102、104は、環境条件に基づいてエネルギ(電力定格)を提供するための定義された、ただし、時間にわたって一定ではない、能力を有することができ、例えば風力タービンの出力定格は風速に基づくことができる。
【0036】
エネルギ資源102、104は、また、供給に利用可能なエネルギの量を規定するエネルギ利用可能な値を有することができる。水素ベースの燃料電池スタックのような燃料を消費するエネルギ資源102、104について、エネルギ利用可能な値は、燃料電池スタックがアクセスできる燃料の量を規定することができる。
【0037】
エネルギ消費装置106、108は、エネルギを消費することができ、または指定された期間内にエネルギ資源102、104に電気的負荷を提供することができる任意の装置、デバイスまたはネットワークであり得る。エネルギ消費装置は、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、またはラップトップコンピュータなどのポータブルコンピューティングデバイスとすることができる。いくつかの例では、エネルギ消費装置106、108は、バッテリなどのエネルギ蓄積システムであってもよく、またはそれを含んでもよい。エネルギ消費装置106、108は、いくつかの例では、エネルギ資源の機能を提供することもできる。
【0038】
第1および第2のエネルギ資源102、104は、関連するエネルギ資源プロセッサ110、112を有する。エネルギ資源プロセッサ110、112は、必ずしも関連エネルギ資源102、104と同じ場所に配置される必要はないことが理解されよう。エネルギ資源プロセッサ110、112は、関連するエネルギ資源102、104からの供給に利用可能な所定量のエネルギに関して1つ以上の申し出メッセージを発行することができる。例えば、エネルギ資源102、104に関連するユーザは、エネルギ消費装置106、108にエネルギを供給したいという希望を表すエネルギ資源プロセッサ110、112への入力を提供する。
【0039】
いくつかの例では、エネルギ資源プロセッサ110、112は、利用可能なエネルギ量(エネルギ利用可能値)またはエネルギを提供するための利用可能な能力(電力消費量)が、エネルギ閾値レベルを越えるならば、自動的に申し出メッセージを発行して良い。いくつかの例では、そのような申し出メッセージは、エネルギ消費装置106、108からのエネルギ要求メッセージの受信に応答して発行されてもよい。このようなメッセージの自動交換によって、効果的かつ効率的なエネルギネットワークが維持できる。
【0040】
申し出メッセージは完全に公表することができ、例えばネットワーク全体にブロードキャストすることができ、またはエネルギ消費装置106、108のサブセットにのみブロードキャストすることができる。
【0041】
申し出メッセージは、以下の1つ以上を表す情報を含むことができる。
・申し出を行うエネルギ資源102、104の識別子;
・申し出が行われた1つ以上のエネルギ消費装置106、108の識別子、これにより、パーソナライズされた/非公開の申し出が可能になる;
・申し出されている所定量のエネルギ;これは
申し出されているエネルギの量;
申し出されている利用可能な発電能力;
・いくつかの例では、提供されるエネルギの所定量として使用することができるエネルギ資源102、104の発電能力;
・申し出が有効である開始時刻、終了時刻、および/またはタイムウィンドウ;
・価格;そして、
・提案されたトランザクションレコード。これについては、以下で詳しく説明する。
【0042】
申し出で指定されたエネルギの分量は、指定された期間の間、指定された最大ワット数(瞬時負荷値)を引き出す能力を表して良く、あるいは、すか、または指定された時間にわたって配信されるエネルギの合計量 エネルギ移動が実際に部分的に行われるか完全に行われるかにかかわらず、指定された期間は、所定の終了時間を有してもしなくてもよい。
【0043】
いくつかの例では、申し出メッセージは、受信者がその申し出を行っているエネルギ資源102、104の身元を確認できるように、暗号で保護することができる。すなわち、エネルギ資源プロセッサ110、112は、エネルギ資源プロセッサ110、112に関連付けられた、および/またはエネルギ資源102、104のユーザに関連付けられた秘密鍵を使用して申し出メッセージを暗号化することができる。これは、有益なことに、申し出メッセージの保全性を確保する。
【0044】
いくつかの例では、エネルギ資源102、104からの公開申し出の暗号の安全確保は、エネルギ資源の完全性、その最大能力、市場承認などをチェックまたは確認する安全なモジュールによってデジタル署名されることができる。
【0045】
第1および第2のエネルギ消費装置106、108は、関連するエネルギ消費プロセッサ114、116を有する。ここでも、エネルギ消費プロセッサ114、116は、必ずしも関連するエネルギ消費プロセッサ114、116と同じ場所に配置される必要はない。エネルギ消費プロセッサ114、116は、エネルギ資源102、104から受信した1つ以上の申し出メッセージを受信して処理することができる。この処理は、エネルギ消費装置106、108のユーザに、申し出メッセージに含まれる1または複数の情報を表示することを含んで良い。エネルギ消費装置106、108のユーザは、次に、エネルギ消費プロセッサ114、116に、申し出を受け入れるかまたは拒否する意思を示す入力を提供することができる。
【0046】
いくつかの例では、エネルギ消費プロセッサ114、116は、申し出メッセージ内の上記情報の1つまたは複数を1つまたは複数の所定の受諾基準と比較することによって申し出を自動的に受諾または拒否するように構成することができる。このようにして、エネルギ消費プロセッサ114、116は、エネルギ資源の1つから所定量のエネルギを受け取るトランザクションに関して1つ以上の申し出を自動的に受け入れることができる。
【0047】
申し出が却下された場合、エネルギ消費プロセッサ114、116は申し出を行ったエネルギ資源102、104に申し出拒否メッセージを送ることができる。あるいは、エネルギ消費プロセッサ114、116は、申し出を拒否する場合、申し出メッセージに応答しないことによって申し出メッセージを単に無視してもよい。
【0048】
申し出が受け入れられる場合、エネルギ消費プロセッサ114、116は申し出を行ったエネルギ資源102、104に申し出受諾メッセージを送信することができる。申し出受諾メッセージは、以下の1つ以上を表す情報を含むことができる。
・申し出を受諾するエネルギ消費装置106、108の識別子
・申し出を行ったエネルギ資源102、104の識別子
・受諾された所定量のエネルギの量子数、これは、
エネルギ量、または
エネルギ資源102、104の発電能力;
・申し出が受け入れられる開始時刻、終了時刻、および/または時間枠。

・価格、そして
・提案されたトランザクションレコード、これについては、以下で詳しく説明する。
【0049】
いくつかの例では、申し出を受け入れているエネルギ消費装置106、108の識別情報を受信者が確認できるように、申し出受諾メッセージを暗号的に保護することができる。すなわち、エネルギ消費プロセッサ114、116は、エネルギ消費プロセッサ114、116に関連付けられた、および/またはエネルギ消費装置106のユーザに関連付けられた秘密鍵を使用して申し出受諾メッセージを暗号化することができる。これは、申し出受諾メッセージの保全性を有利に確保することができる。
【0050】
いくつかの例では、同じタイプの情報が、申し出メッセージおよび申し出受諾メッセージに含まれて良いけれども、値が異なる。例えば、エネルギ消費プロセッサ114、116は、修正された価格がエネルギ資源プロセッサ110、112に受け入れられることを条件として、申し出の条件付き受諾を行うことができる。このようにして、プロセッサ114、116は、申し出メッセージで受信された1つまたは複数の情報の一部を変更し、変更された情報を申し出受諾メッセージの一部としてエネルギ資源プロセッサ110、112に送り返すことができる。これにより、エネルギ消費装置106、108のユーザは、任意選択でまたは所定の期間、エネルギ資源から与えられた量子エネルギの全体または一部の受容を示すことができる。
【0051】
申し出が受け入れられる場合、エネルギ消費プロセッサ114、116およびエネルギ資源プロセッサ110、112のいずれかまたは両方は、申し出メッセージおよび/または受諾メッセージからの情報を使用してトランザクションレコードを生成することができる。トランザクションレコードは、所定量のエネルギの受け入れを符号化することができ、および/または、エネルギ消費装置106、108に関連する口座で引き落しを行うために使用することができる。トランザクションレコードは、以下の1つまたは複数を表す情報を含むことができる。
・エネルギを供給するためのエネルギ資源102、104の識別子
・エネルギを受け取るエネルギ消費装置106、108の識別子
・搬送されるべき所定量のエネルギ、これは
申し入れたエネルギの量
エネルギ資源102、104の発電能力の量
・未割当のままであるエネルギ資源102、104の発電容量
・所定量のエネルギが搬送される、開始時間、終了時間、および/または時間窓、そして
・価格
【0052】
いくつかの例では、エネルギは、USB接続、オプションとして双方向USB接続を介して、エネルギ資源によってエネルギ消費装置に供給されてもよい。
【0053】
この例では、エネルギ消費プロセッサ114、116および/またはエネルギ資源プロセッサ110、112は、暗号防護されたトランザクションのトランザクションレコードを発行することができる。例えば、プロセッサの一方または両方は、秘密鍵を使用してトランザクションレコードを暗号化して、暗号防護されたトランザクションレコードを生成することができ、秘密鍵は、エネルギ資源102、104または消費装置106、108の登録ユーザに固有なものであり、あるいは、関連するハードウェア/デバイスに固有のものである。
【0054】
暗号で保護されたトランザクションレコードは、ネットワーク120内のすべてのノード/デバイスがアクセスできるように、ネットワーク120にブロードキャストすることができる。図1では、関連する第三者プロセッサ122を有する単一の第三者ノード118が示されている。後述するように、第三者プロセッサ122は、公開利用可能な分散元帳内の暗号的に安全なトランザクションレコードによって表されるトランザクションの詳細を含むようにプログラムすることができる。実際には、トランザクションを元帳に追加する最初のノードとして競合する複数の、しばしば非常に多くの第三者ノードが存在する可能性がある。オプションとして、第三者プロセッサ122は、トランザクションを検証することもでき、検証が成功した場合には公開利用可能な分散元帳内のトランザクションの詳細のみを含めることができる。
【0055】
このトランザクションを元帳に含める機能とオプションでトランザクションを確認する機能は、ブロックチェーンに追加される前にBitcoinトランザクションがどのように処理されるかと同様の方法で実行される。このような処理は、例えば以下に説明するように、トランザクションのタイプに応じて、多数の異なる方法で実施することができる。
【0056】
図2は、公開利用可能な分散元帳200のブロック202、204に含めることができる情報の例を概略的に示しており、ここで開示された例の少なくともいくつかと共に使用することができる。元帳200は、ネットワーク内の複数の、いくつかの例ではすべてのノードによってローカルに格納および維持されることが可能であり、このため、分散型と呼ばれる。以下で説明するように、新しいブロック202、204が元帳200に追加されるとき、それは元帳200のローカルコピーに含めるために、ネットワーク内のすべてのノードに配布される。2つの新しいブロックが同じ時間に異なる当事者によって識別され、元帳200に含めるためにブロードキャストされる場合、元帳200に受け入れられる新しいブロックは、元帳200のローカルコピーのマジョリティに加えられたブロック、とくに、次のブロックが付加されるときにマジョリティのブロックによって追加されたブロックである。このようにして、受け入れられた新しいブロックは、ネットワーク内のノードのコンセンサス/マジョリティによって定義される。以下で論じるように、連続するブロック202、204の間の近似時間遅延は、新しいブロックを追加する前に実行されなければならない演算の計算量を設定することによって定義することができる。
【0057】
図2は、データの第1ブロック202と、データの第2ブロック204とを示す。データ202、204の第1および第2のブロックの各々は、1つまたは複数のトランザクション210、212を表す情報、および暗号ハッシュ値206、208を含む。暗号ハッシュ値206、208は、元帳200中の以前のブロックの少なくとも一部に適用した暗号ハッシュ関数/アルゴリズムの適用結果である。暗号ハッシュ値206、208の使用は、ブロック202、204が定義された順序で一緒にリンクされ、各ブロックが先行するブロックにハッシュでリンクされていることを意味する。この例では、元帳200は、ブロックチェーンと呼ぶことができ、なぜならば、チェーンを定義するために「リンクされた」複数のデータブロックを含むからである。また、第2のブロック204は、第1のブロック202が元帳200中に受諾されるまで処理開始できず、これは、第2のブロック204に対するハッシュ値208の決定には第1のブロック202の少なくとも一部の詳細を必要とするからである。
【0058】
当技術分野で知られているように、固定長ハッシュ値を提供するために、任意に大量のデータ(前のブロックなど)にハッシュアルゴリズムを適用することができる。同一の固定長ハッシュ値は、常に同じ大量のデータから生じることになる。時間が経つにつれて、新しいトランザクションが公開記録されるように、ブロックチェーンの最後に新しいデータブロックが追加される。新しいブロックの各ハッシュ値は、前のブロックが元帳200に受け入れられるまで計算することができないため、新しいブロックは、時間的に前のブロックの後にくることが保証される。また、各ブロック202、204は、一旦、元帳に受諾されると、計算機上、修正することが事実上困難になり、これは、それ以降のすべてのブロック202、204もまた再生されなければならないからである。
【0059】
第2のブロック204の暗号ハッシュ値208は、以下にハッシュ関数を適用することによって決定することができる。
・元帳200内の前のブロック202の少なくとも一部。前のブロック202は、直前のブロックであって良い。前のブロック202の部分は、直前のブロック202のハッシュ値206であってもよい。
・1つまたは複数のトランザクション212(現在のブロック204のトランザクション)、および
・暗号ノンス値(図示せず)。
【0060】
1つまたは複数のトランザクションレコード212の詳細を受け取り、新しいブロック204を元帳200に追加しようとする第三者プロセッサは、新しいブロックが元帳200に付加可能になる前に、1または複数の予め定められた特性を満たす暗号ハッシュ値を、まず、決定しなければならない。すなわち、有効な暗号ハッシュ値208が決定されるまで、新しいブロック202、204を元帳200に追加することはできない。このプロセスは「マイニング」と呼ばれ、第三者プロセッサは「マイナー」と呼ばれることがある。1または複数の予め定められた特性は、Bitcoinsに関連するブロックチェーンの場合のように、指定された数の先頭ゼロビットであってもよい。第三者プロセッサは、予め定められた特性を有する有効な暗号ハッシュ値208が達成されるまで、異なる暗号ノンス値を使用してハッシュアルゴリズムを適用することができる。第三者プロセッサは、予め定められた特性を有する有効な暗号ハッシュ値208を決定することに応答して、少なくとも暗号ハッシュ値208および関連するトランザクションレコード212を含む新しいブロック204を生成し、次いで、新しいブロック204をネットワーク内のすべてのノードにブロードキャスト/分散させて、元帳200のローカルコピーに含める。
【0061】
異なる第三者のプロセッサが、異なるトランザクションレコードに基づいて新しいブロックを同時に識別しようと試みていることが理解されよう。すなわち、各第三者プロセッサによって元帳200に含めるために識別されたトランザクションレコードは、必ずしも同じである必要はない。上述したように、2つの潜在的な新しいブロックが同様の時間に異なる第三者のプロセッサによって識別される場合、受け入れられた新しいブロックは、ネットワークのノードのコンセンサスによって定義される。予め定められた特性を有するハッシュ値208を生成する計算上の要請では、次のブロックが、前のブロックの後にすぐに付加できず、もって、前のブロックがネットワーク全体に分散されるのに十分な時間があり、また、当該2つのブロックのいずれが元帳200に受諾可能かに関するコンセンサスが決定できるように十分な時間があるようになす必要がある。
【0062】
コンピュータの処理能力が時間とともに増加するにつれて、有効なハッシュ値208に到着するための計算の複雑さは、必要とされる所定の特性を変更することによって増加させることができる。例えば、ハッシュ値208に必要な先行ゼロの数を増やすことができる。このようにして、暗号ハッシュ値208の要件は、連続するブロック202、204が元帳200に追加される間の時間遅延を指示する。時間遅延の長さは、暗号ハッシュ値208の要件を満たすために必要とされる計算の複雑さによって規定されて良い。
【0063】
いくつかの実装では、第三者プロセッサは、ブロック202、204を元帳に正常に追加するために報酬を受けることができる。例えば、エネルギ資源およびエネルギ消費装置の一方、または双方は、関連するトランザクションレコードを元帳200に追加する特定の第三者プロセッサにトランザクション手数料を支払うことができる。そのようなトランザクション手数料は、確認 元帳200のローカルに保存されたコピーの最小数にトランザクションレコードが追加されていることが確認されたj時点でのみ支払われて良い。これにより、元帳200に追加するための候補ブロックを生成する第三者プロセッサに対して、トランザクション手数料が支払われる可能性を低減することができる。なぜならば、同様の時間に生成された別のブロックが第三者のプロセッサの大多数によって有効であると受け入れられているため、それを却下することができるからである。
【0064】
1つまたは複数のトランザクション210、212を表す情報は、図1を参照して上述したトランザクションレコードから導出された情報を含むことができる。
【0065】
元帳200に追加するための新たなブロックを決定する際に、第三者プロセッサは、トランザクションが元帳200に含まれるべきか否かを決定するために、トランザクションの検証処理を実行してもよい。一例において、検証ルーチンは、一見して未検証のトランザクションを、元帳200中に既に存在するトランザクション210、212に比較することを含んで良い。これにより、単一のトランザクションが元帳200に二度登録されるのを阻止でき、これは、検証ルーチンが元帳にまだ存在していないトランザクションに対して失敗するからである。
【0066】
別の検証ルーチンは、後述するように、エネルギ資源がトランザクションを満足させるのに十分な利用可能エネルギまたは容量を有することをチェックすることを含むことができる。
【0067】
図2を参照して説明したような元帳の使用は、様々な装置間でどのようにエネルギが交換されるかを正確に視認することができる。つまり、元帳は装置の現実のエネルギ特性を表し、その特性がどのように時間とともに変化するかを正確に表示することがでる。いくつかの例では、元帳の分散された性質と、元帳の正確性に関するコンセンサスの必要条件により、必要な正確性と元帳のデータの完全性が提供される。オプションとして、元帳上のデータの完全性は、元帳を複数のデータブロックとして実装することによってさらに改善することができ、データの各ブロックは、元帳内の前のブロックへの暗号リンクを含む。元帳上のデータの整合性を向上させるもう1つの方法は、検証ルーチンに合格した後にのみ元帳にデータを受け入れることである。
【0068】
公開検証された分散元帳を使用することのさらなる利点は、例えば、元帳が、例えば特定の時間窓の間に、その量を提供するために必要なエネルギ資源があるという事実を示す場合にのみトランザクションが記録されるため、元帳に関する情報が信頼できると考えることができることである。
【0069】
暗号化された元帳の公開検証可能性は、また、エネルギ「市場」の基本的な仕組みを提供することができる。エネルギ資源のユーザは、(グローバル)ネットワーク内でどれくらいの資源が利用可能であるかを知ることができ、エネルギ消費装置のユーザは、ネットワーク内で利用可能な資源の量と価格を把握し、必要に応じて購入するかどうかを決めることができる。
【0070】
トランザクションの公開検証可能な、暗号防護されたレコード、または申し出の受諾は、エネルギ消費装置によるトランザクションへの拒絶不可能なコミットメントとして役立つ。公開元帳がBitcoinと同様の方法で「エネルギ通貨」としても機能する場合、これはその後に運営される個別の支払いメカニズムの先駆けとなる可能性がある。
【0071】
公開検証可能な暗号で保護されたトランザクションレコードまたは受諾メッセージは、実際のエネルギ移動のさらなる暗号防護されたレコードによって補足されることがある。つまり、暗号防護された「メーター読み取り」である。これは、スマートメーターなどの耐タンパメータリングハードウェアによって提供される可能性がある。そのような暗号防護された計器の読み取り値、または実際に完了したエネルギ移動のレコードは、いくつかの例では、下流の支払いシステムを支援することができる。
【0072】
エネルギ消費、エネルギ使用量、潜在需要、エネルギ資源とエネルギ消費機器のマッチング、および価格設定の傾向を分析するために、公開検証可能な暗号防護された元帳を第三者がデータマイニングすることができる。
【0073】
公開検証可能で暗号防護された元帳は、第三者によってデータマイニングされ、元帳に記録されている以前のトランザクションに基づいて、エネルギ資源が、なされた申し出に関連した所定量のエネルギを提供する能力を有することを検証する。照合が成功した場合にのみトランザクションが元帳に記録されて良い。
【0074】
いくつかの例では、上述の受諾メッセージおよび/または申し出メッセージは、図2の元帳または別の元帳に含めることもできる。この元帳、または、これらの元帳は、所定の時間区間において利用可能なエネルギ資源の「消費」(例えばブッキングまたは予約)の公開可視性を可能にでき、いくつかの例では、エネルギ移転の事象の前、またはエネルギ消費装置がエネルギ資源の「負荷時」になる前に、公開可視性を可能にできる。受諾を公開状態で見えるようにすることによって、市場は、例えば残りの利用可能なエネルギ資源を再価格設定し、ネットワーク内の残りの利用可能なエネルギ資源容量に対応させることができる。
【0075】
図2の元帳または別の元帳に申し出メッセージを含めることで、市場が利用可能なエネルギ申し出に対応できるようになり、実際には提供できないエネルギ資源からの破壊的な申し出を防ぐことができる。なぜならば、元帳に公開状態で見ることができ、元帳の履歴情報を容易に操作できずに安全であるからである。
【0076】
いくつかの例では、受諾メッセージは、図2の元帳または別の元帳に含まれてもよい。受諾メッセージはエネルギトランザクションを完了するための時間枠を含むことができ、これも元帳に記録される。エネルギ資源102、104が申し出メッセージを送信するとき、またはエネルギ消費装置が申し出メッセージの受領するときに、受諾メッセージの元帳を使用して、申し出メッセージが有効な申し出を含むかどうかお決定し、もって、申し出メッセージが受諾メッセージで受け入れられることができるか否かを制御できる。一般に、分散型元帳は、エネルギ資源102、104によって行われた申し出を確認するために使用されるので、指定された時間枠内など、エネルギ資源がエネルギの提供にコミットするリスクを低減するか、またはそのリスクを排除する。したがって、受諾メッセージの公開検証可能で暗号防護された元帳を使用して、特定の時間または特定の時間ウィンドウで供給できるエネルギより多くのエネルギをエネルギ資源が提供することを防ぐことができる。これは、受諾メッセージの公開検証可能な、暗号防護された元帳を利用して、
i)ネットワークを介したエネルギ資源による申し出メッセージの発行
ii)エネルギ消費装置による申し出メッセージの受諾
iii)エネルギ消費装置による受諾メッセージの発行、または
iv)第三者による承諾メッセージの処理
を制御できるからである。
【0077】
例えば、第三者が、エネルギの申し出がエネルギ資源によって達成できないために受領メッセージを元帳に処理することを拒否した場合、受諾メッセージのレコードが存在しないため、物理的にエネルギを交換しようとする試みを防止することができる。これは、受諾メッセージのレコードが公開検証可能な暗号防護された受諾メッセージの元帳に存在しないからである。
【0078】
さらに、エネルギトランザクションの公開された暗号で保護された分散元帳を使用して、申し出メッセージの問題または受諾を制御することもできる。特に、エネルギ消費装置または第三者またはエネルギ資源は、受諾メッセージの公開元帳とエネルギトランザクションの公開レコードとを比較して、どのエネルギ転送が、受諾されているけれども、履行されていないかを決定し、未解決のトランザクションパラメータを決定する。申し出メッセージの送信または申し出メッセージの受け入れが有効であるかどうか、または受諾メッセージを送信するかどうかは、未処理のトランザクションパラメータによって制御されて良く、これにより、エネルギ資源が、それらが処理できないエネルギの供給に対して過度にコミットできないことが保証されて良い。
【0079】
公開検証可能で、暗号防護された元帳(エネルギトランザクション、申し出メッセージおよび/または受諾メッセージのもの)を用いて、エネルギ資源による申し出メッセージの発行、エネルギ消費装置による受諾メッセージの発行、エネルギ消費装置、エネルギ資源または第三者によるトランザクション台帳へのトランザクションメッセージの記録、および/または物理的エネルギ交換を制御して、より安全なシステムを実現して良く、以下に詳細に説明する。
【0080】
図1に戻ると、1または複数のエネルギ資源管理エンティティ(図示しない)が認可されたエネルギ資源102、104の詳細を保持して良い。エネルギ資源管理エンティティは、以下のうちの1または複数を含むデータベースを保持することができる。すなわち、
・エネルギ資源102、104の識別子;
・エネルギ資源102、104の電力定格; そして
・いくつかの例では、エネルギ資源102、104がエネルギ消費装置106、108に供給するために利用可能なエネルギ量。
【0081】
公開利用可能な分散型元帳は、エネルギ資源管理エンティティのデータベースが変更されると自動的に更新されることがある。例えば、新しいエネルギ資源102、104が委託された場合、またはその電力定格が変更された場合、新しい情報は公開利用可能な分散元帳に自動的に転送される。いくつかの例では、これは、上述したように、エネルギ資源管理エンティティがトランザクションレコードと同じ方法で公開検証のためのエネルギ資源更新メッセージを送信することによって実施することができる。
【0082】
[エネルギ発生能力(電力)の取引]
いくつかの例では、エネルギ資源102、104は、そのエネルギ発生能力の一部または全部の申し出を行って良い。公開利用可能な分散元帳は、各エネルギ資源102、104の最大エネルギ生成能力(電力定格)を示すエントリを含むことができる。このエントリは、例えば、エネルギ資源102、104が委託されたときに生成されて良い。第三者118は、このため、エネルギ資源102、104がトランザクションを満足させるのに必要なエネルギを供給するのに十分な余裕があるかどうかを判断するために元帳を処理することができるので、その後に発行されるトランザクションレコードを公的に検証することができる。エネルギ消費装置106、108による、そのような申し出の受諾は、公開利用可能な分散元帳に公開記録され、これは、当該エネルギ資源102、104が関与する任意の後続のトランザクションが元帳に記録される前に、当該後続のトランザクションを検証するために処理される。
【0083】
いくつかの例では、元帳(オプションで元帳の各ブロック)は、各エネルギ資源102、104について利用可能なエネルギ発生能力(電力)および/またはエネルギ利用可能値の残高(バランス)を含む。第三者118は、トランザクションレコードの少なくとも一部を、トランザクションに関連するエネルギ資源102、104についての利用可能なエネルギ発生能力(電力)またはエネルギ利用可能値の残高と比較することにより、エネルギ資源102、104が、トランザクションを実行するのに十分な利用可能なエネルギ発生能力または利用可能エネルギを有するか否かを判断できる。
【0084】
一例では、当事者Aはエネルギ資源であり、当事者Bはエネルギ消費装置であり、当事者Cは別のエネルギ消費装置である。当事者Aには、10kWの容量(電力定格)の燃料電池スタックがあり、これは元帳に記録されている。この当事者Aの電力レーティングの元帳へのこの最初の追加は、許可された方法または認証された方法で実行されてもよい。将来的には、当事者Aは7kWの容量を当事者Bに販売し、対応するトランザクションレコードが生成される。このトランザクションレコードは、当事者Aが利用可能な十分な容量を有するものとして示されているので、元帳を参照して公開検証することができる。したがって、当事者Aから当事者Bへの7kWのトランザクションは元帳に記録される。次に、ある当事者Bが当事者Aの能力を7kW確保している間に、当事者Aは当事者Cに4kWを売ろうとする。このトランザクションのトランザクションレコードが公開検証および元帳への組み込みのために利用可能になり、検証ルーチンは、元帳履歴から、当事者Aが3kWの容量しか利用できないことを認識するため、検証されない。したがって、当事者Cへのトランザクションは、検証ルーチンに合格していないため、元帳に記録されない。
【0085】
いくつかの例では、エネルギ資源102、104またはエネルギ消費装置106、108のいずれかが、さらなるトランザクションレコードを発行して、トランザクションを終了して良い。上記の例では、これは、当事者Bが当事者Aに7kW容量を転送して戻して良く、これはオプションで無償である。
【0086】
上述したように、トランザクションレコードは、いくつかの例では、トランザクションの終了時間を含み、その後、エネルギ消費装置はそのエネルギ消費を放棄すべきである。この場合、公開された検証では、申し出のトランザクションによって定義された特定の期間に利用可能な電力レーティングのチェックと、以前に記録されたトランザクションも必要となる。
【0087】
[利用可能なエネルギのトランザクション]
いくつかの例では、エネルギ資源102、104は、その利用可能なエネルギの一部または全部について申し出を行って良い。エネルギ資源102、104が燃料電池スタックであるか、または燃料電池スタックを含む場合、利用可能なエネルギの量は、燃料電池スタックに利用可能な水素燃料の量によって規定され得る。この例では、公開検証可能であるか暗号化されていない公開元帳を使用することがある。公開元帳の目的は、ネットワーク内のすべてのエネルギトランザクションを公開利用できるようにすることである。エネルギを供給するための申し出のエネルギ消費装置106、108による受諾は、エネルギ資源102、104を含む後続のトランザクションを確認するときに処理することができるように公開元帳に記録される。上述と同様の態様で、エネルギ資源102、104および/またはエネルギ消費装置は、公開元帳に組み入れるために、トランザクションレコードを送ることができる。エネルギが交換される前および/または後にトランザクションレコードを送ることができる。
【0088】
エネルギ交換後のトランザクションレコードは、公開元帳に組み入れることができる以下のタイプの情報の1つまたは複数を含むことができる。
・上記2つのレコードを上記元帳内で一緒にリンクさせることができる対応するエネルギ交換前トランザクションレコードの識別子
・エネルギを送出したエネルギ資源102、104の識別子
・エネルギを消費したエネルギ消費装置106、108の識別子
・供給されることが合意された所定量のエネルギ、これは
・エネルギ量;または
・エネルギ資源102、104の発電能力の量
・実際に供給された所定量のエネルギ、これは、
・供給されたエネルギの量;または
・エネルギ消費装置106、108によって使用されたエネルギ資源102、04の発生能力の量
・供給されることが合意された所定量のエネルギと、実際に供給された所定量のエネルギとの差
・開始時間、終了時間、および/または供給されるべき所定量のエネルギが送出されるべき時間窓
・合意された価格
・実際に支払われた金額
・合意された価格と実際に支払われた金額との差
・エネルギが供給された後にエネルギ消費装置106、108のユーザによって提供されたエネルギ資源102、104のスコア、例えば10のうちの1つのマーク、そして
・エネルギ消費装置106、108のスコア、例えば、エネルギが供給された後にエネルギ資源102、04のユーザによって提供された10のうちの1つのマーク
【0089】
実際に供給された所定量のエネルギは、エネルギ資源102、104およびエネルギ消費装置106、108のいずれかまたは両方に関連する計量アプリケーションソフトウェア119などのスマートメーターによって提供されてもよい。そのような情報は、暗号防護されている。
【0090】
上記の情報の一部または全部を含む公開元帳は、エネルギ「市場」のための別の基本的メカニズムを提供することができる。エネルギ消費装置106、108のユーザは、(グローバル)ネットワーク内の特定のエネルギ資源102、104が関与した従前のエネルギ供給トランザクションの詳細を監視して、どの資源から新しいトランザクションのためにエネルギ供給を受けるかを決定できる。また、このようなエネルギ市場は、エネルギ資源102、104が将来のトランザクションのためにエネルギ価格を設定することを可能にすることができる。上述の公開検証可能な暗号化元帳の他の利点は、この例で論じた公開元帳によっても達成できることが理解されよう。
【0091】
本明細書に開示された実施例は、エネルギトランザクションを監視し、人々がそのようなエネルギトランザクションに関与するための透明なプラットフォームを提供するためのシステムに関する。これにより、実際に行われているエネルギ交換の可視性が向上し、トランザクション/エネルギ交換の監視と記録のための標準プロトコルを定義することもできる。
【0092】
図3は、デバイスA302、デバイスB304、デバイスC306およびデバイスD308を含む別のエネルギ資源ネットワーク300の例示的な実施例を示す。デバイスは、インターネット320を介して互いにデータ通信している。インターネット320はデータ交換ネットワークの一例である。
【0093】
デバイスA302が余剰エネルギを有し、デバイスB304が枯渇エネルギを有すると考える。各デバイスは、それがインターネットの安全な領域(図3のネットワーク320として概略的に示されている)を介して処理することができる、関連する固有の識別子を有する。位置、時間、地理的需要などの様々なパラメータに応じて、デバイスA302は、エネルギの単位の価格を修正することができる。デバイスB304は、デバイスA302によって設定された価格を見ることができ、「n」ユニットのエネルギを購入する要求を送信することができる。合意された場合、同等の金額がデバイスB304からデバイスA302に転送される。トランザクションは、標準通貨またはBitcoinのような暗号通貨であり得る。
【0094】
このトランザクションはブロックに記録され、エネルギブロックチェーン330に追加される。トランザクションの詳細は、関係者の身元、購入されたエネルギ量、デバイスA302、およびデバイスB304に残されたエネルギ量等を含んで良い。
【0095】
ここで、エネルギが不足している他の2つのデバイス、すなわちデバイスC306とデバイスD308を考える。デバイスA302は、デバイスB304、デバイスC306、デバイスD308、またはすべてにエネルギを販売する選択肢を有する。最高入札者がオークションに勝つ場合、デバイスA302からエネルギを得るためのオークションが可能になる。最大の入札単価に上限を設けることができる。再び、このようなトランザクションは、エネルギブロックチェーン330に記録することができる。
【0096】
各デバイス302、304、306、308は、2つの関連するウォレット(Bitcoinウォレットと同様)、エネルギの計数を保持するエネルギウォレット332、通貨の計数を保持する通貨ウォレット336を有することができる。これらのウォレット332、336は、インターネット320上の2つのそれぞれの元帳とリンクすることができ、エネルギブロックチェーン330と、通貨ブロックチェーン334とを含む。

【0097】
監視ステーション338は、エネルギおよび通貨ブロックチェーン330、334上のトランザクションを追跡することができるように、インターネット320に接続することもできる。このようにして、監視ステーション338は、エネルギ消費の傾向およびユーザのエネルギ使用の習慣を監視する。そのような情報は、潜在的なエネルギプロバイダー、バイヤー、適切なユーザとマッチし、最大価格を決定するために使用することができる。
【0098】
本明細書に記載の例は、分散型エネルギ交換に関する。予備エネルギを有する装置は、要求された電力不足装置とのトランザクションに直接関与して、要求されたエネルギ単位を提供することができる。トランザクションは公開元帳に記録することができます。そのようなトランザクションのいくつかのブロックは、エネルギブロックチェーンを形成することができる。すなわち、エネルギ交換のブロックチェーンを提供することができる。
【0099】
エネルギトランザクションは、新たな態様、例えば、中央監視を行う、集中管理型のトランザクションプラットフォームで、記録および管理を行える。種々の利点は以下を含む。
・中央エネルギ供給者に依存しない、または依存が減少する
・いつでも好ましいエネルギ提供者を選ぶオプション
・支払いの柔軟性と透過性
・価格規制なし
・トランザクションの透過的レコード
・使用時にのみ支払う(長期間自宅にいないときに請求に対する支払いを行う必要がない)、そして
・さまざまな目的のための豊富なユーザデータの生成
【0100】
本明細書に開示された実施例は、エネルギ生成/消費装置が透過的で分散されたプラットフォームを介してエネルギ共有トランザクションに参加することを可能にする。Bitcoinsトランザクションがブロックチェーン(公開元帳)に記録されているのと同様に、すべてのエネルギトランザクションをエネルギブロックチェーンに記録することができる。エネルギ資源が燃料電池スタックである場合、エネルギ量(KWhs)は、スタックの寿命、または利用可能な燃料の量、または利用可能なエネルギ生成能力の量によって制限される。これは、流通している限られたBitcoinsに似ている。このリソースの限られた利用可能性は、そのようなトランザクションのルール(例えば、価格および一定期間に利用可能なエネルギの量)を指示するために使用することができる。エネルギブロックチェーンはすべてのエネルギトランザクションと関連する機器のレコードを持つため、ピアツーピアのエネルギ分散のエコシステム全体を推進するために使用できる。
【符号の説明】
【0101】
100 エネルギ資源ネットワーク
102、104 エネルギ資源
106、108 エネルギ消費装置
110、112 エネルギ資源プロセッサ
114、116 エネルギ消費プロセッサ
118 第三者ノード
119 計量アプリケーションソフトウェア
120 データ交換ネットワーク
120 ネットワーク
122 第三者プロセッサ
200 分散元帳
202 第1のブロック
204 第2のブロック
206、208 暗号ハッシュ値
210、212 トランザクション
300 エネルギ資源ネットワーク
302、304 デバイス
320 インターネット
330 エネルギブロックチェーン
334 通貨ブロックチェーン
332、336 通貨ウォレット
338 監視ステーション
図1
図2
図3