(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】繊維材料をレイアップするための繊維配置設備及び方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/38 20060101AFI20240105BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20240105BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20240105BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20240105BHJP
【FI】
B29C70/38
B29C70/16
B29C70/54
B29K105:08
(21)【出願番号】P 2021500468
(86)(22)【出願日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2019067987
(87)【国際公開番号】W WO2020011639
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-04-25
(31)【優先権主張番号】102018116662.1
(32)【優先日】2018-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】507400974
【氏名又は名称】ドイチェ・ツェントルム・フューア・ルフト-ウント・ラウムファート・エー.ファウ
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】グローマン、ヤニス
(72)【発明者】
【氏名】シュネーフォークト、フィリップ
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102013107103(DE,A1)
【文献】特表2016-508085(JP,A)
【文献】特開2015-150654(JP,A)
【文献】特表2017-537816(JP,A)
【文献】特開平2-55123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/38
B29C 70/16
B29C 70/54
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維プリフォームを製造するために繊維材料(2)をレイアップする繊維配置設備であって、前記繊維プリフォームの前記繊維材料(2)を埋設するマトリックス材料を硬化させることによって前記繊維プリフォームから繊維複合部材を製造可能であり、前記繊維配置設備が、
工具(100)上に繊維材料(2)をレイアップするように形成されている繊維配置ヘッド(1)と、
前記繊維材料(2)を前記繊維配置設備の繊維材料貯蔵器から前記繊維配置ヘッド(1)へ移送するように形成されている繊維移送装置と、
前記繊維材料(2)が前記繊維配置ヘッド(1)によって前記工具(100)上に連続的にレイアップされる場合に、前記繊維材料(2)の運動情報を検出するように設定されている運動測定装置と、
前記繊維材料(2)が前記繊維配置ヘッド(1)によって前記工具(100)上に連続的にレイアップされる場合に、加熱領域において前記繊維材料(2)を加熱するように設定されている加熱装置(6)と、を有する繊維配置設備において、
前記繊維配置設備は、前記運動測定装置によって検出された前記繊維材料(2)の前記運動情報を取得するように、かつ前記レイアップ中に、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の熱供給を制御するように設定されている制御装置(10)を有
し、
前記加熱装置(6)は、前記繊維材料(2)にパルス的熱供給を行うように形成され、前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記パルス的熱供給を制御するように設定され、
前記加熱装置(6)は、電気エネルギー源(13)と接続された少なくとも1つの電極(12a)を有し、前記少なくとも1つの電極は、前記繊維材料(2)の移送時に前記導電性繊維材料(2)と電気的に接触させられ、かつ前記導電性繊維材料(2)と同様に電気的に接触する対向電極(12b)と協働して、前記電極(12a)及び/又は前記対向電極(12b)に電圧が印加される場合に前記少なくとも1つの電極(12a)と前記少なくとも1つの対向電極(12b)とが電気的に接触することによって形成される通電部(14)に前記繊維材料(2)を加熱するための電流が生ぜしめられるようにし、前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記電圧の印加を制御することによって前記繊維材料(2)への前記熱供給を制御することを特徴とする、
繊維配置設備。
【請求項2】
前記運動測定装置は、前記繊維材料(2)の運動情報として材料速度及び/又は進んだ材料移動量を検出するように設定され、前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された材料速度及び/又は前記検出された進んだ材料移動量に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の前記熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の繊維配置設備。
【請求項3】
前記繊維配置設備は、前記加熱装置(6)の前記加熱領域の外側又は内側で前記繊維材料(2)の温度を検出するための少なくとも1つの温度センサ(16)を有し、前記制御装置(10)は、さらに、前記繊維材料(2)の測定温度に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の前記熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の繊維配置設備。
【請求項4】
前記繊維配置設備は、複数のシングルストランドからなる繊維材料(2)をレイアップするように形成され、
前記運動測定装置は、各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとに個別にそれぞれの運動情報を検出するように形成され、
前記加熱装置(6)は、前記シングルストランド又はシングルストランドの群を個別に、かつ互いに独立して加熱するように形成され、
前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記それぞれのシングルストランド又は前記シングルストランドの群の前記検出された運動情報に依存して各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとに個別に、かつ互いに独立して前記加熱装置(6)の前記熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
【請求項5】
前記加熱装置(6)は、それぞれのシングルストランド又はシングルストランドの群に個別にパルス的熱供給を行うように形成され、前記制御装置(10)は、前記それぞれのシングルストランド又は前記シングルストランドの群の前記検出された運動情報に依存して、各シングルストランド又はシングルストランドの各群の前記パルス的熱供給を個別に、かつ互いに独立して制御するように設定されていることを特徴とする、
請求項4に記載の繊維配置設備。
【請求項6】
前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記電圧の印加を制御するために、前記熱供給を制御するための前記電圧の高さ、前記電圧の印加時点、前記印加される電圧の時間長、及び/又は2つの通電フェーズ間の時間間隔が制御されるように設定されていることを特徴とする、請求項
1~請求項5のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
【請求項7】
前記加熱装置(6)は、前記繊維材料(2)への前記パルス的熱供給のために前記電圧をパルス的に印加するように形成され、前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記パルス的熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、請求項
1~請求項6のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
【請求項8】
前記繊維配置設備は、前記通電部の少なくとも1つの電気的パラメータを検出するように形成され、前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された電気的パラメータに依存して前記電圧の印加を制御することによって前記繊維材料(2)への前記熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、請求項
1~請求項
7のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
【請求項9】
予熱装置が設けられ、前記予熱装置は、前記繊維材料(2)の搬送方向で前記加熱装置(6)の前に配設され、かつ本来の加熱の前に前記繊維材料(2)を予熱するように形成されていることを特徴とする、請求項1~請求項
8のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
【請求項10】
繊維プリフォームを製造するために繊維材料(2)をレイアップする方法であって、前記繊維プリフォームの前記繊維材料(2)を埋設するマトリックス材料を硬化させることによって前記繊維プリフォームから繊維複合部材が製造され、前記方法は、
繊維配置設備の繊維移送装置によって繊維材料(2)を繊維材料貯蔵器から繊維配置ヘッド(1)へ移送する工程と、
前記移送される繊維材料(2)を前記繊維配置ヘッドによって工具(100)上にレイアップする工程と、
前記繊維材料(2)の連続移送中に運動測定装置によって前記繊維材料(2)の運動情報を検出する工程と、
前記繊維材料(2)の前記連続移送中に加熱装置によって加熱領域内で前記繊維材料(2)を加熱する工程と、を包含する方法において、
前記検出された運動情報が制御装置(10)に伝送され、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の熱供給が制御され
、
前記加熱装置(6)によって、前記繊維材料(2)へのパルス的熱供給が行われ、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記パルス的熱供給が制御され、
前記導電性繊維材料(2)は、少なくとも1つの電極(12a)及び少なくとも1つの対向電極(12b)と電気的に接触させられ、前記少なくとも1つの電極(12a)及び前記少なくとも1つの対向電極(12b)の前記電気的接触によって形成される通電部に、前記電極(12a)及び/又は対向電極(12b)に電圧が印加されることにより前記繊維材料(2)を加熱するための電流が生ぜしめられ、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記電圧の印加を制御することによって前記繊維材料(2)への前記熱供給が制御されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
少なくとも1つの温度センサ(16)によって、前記加熱装置(6)の前記加熱領域の外側又は内側で前記繊維材料(2)の温度が検出され、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の測定温度に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の前記熱供給が制御されることを特徴とする、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維配置設備によって、複数の個々の繊維ストランドが並行してレイアップされ、
前記運動測定装置によって、各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとにそれぞれ運動情報が検出され、
前記加熱装置(6)によって、各シングルストランド又はシングルストランドの群がそれぞれ個別に、かつ互いに独立して加熱され得、
前記制御装置(10)によって、前記それぞれのシングルストランド又は前記シングルストランドの群の前記検出された運動情報に依存して、各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとに個別に、かつ互いに独立して前記加熱装置(6)の前記熱供給が制御されることを特徴とする、請求項
10又は請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記加熱装置(6)によって、各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとに個別にパルス的熱供給が行われ、前記制御装置(10)によって、前記それぞれのシングルストランド又は前記シングルストランドの群の前記検出された運動情報に依存して、各シングルストランド又はシングルストランドの各群の前記パルス的熱供給が個別に、かつ互いに独立して制御されることを特徴とする、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記制御装置(10)によって、前記熱供給を制御するために、前記電圧の高さ、前記電圧の印加時点、前記印加される電圧の時間長、及び/又は2つの通電フェーズ間の時間間隔が制御されることを特徴とする、
請求項10~請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記加熱装置(6)によって、前記繊維材料(2)への前記パルス的熱供給のために前記電圧のパルス的印加が行われ、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記パルス的熱供給が制御されることを特徴とする、
請求項10~請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
通電部の少なくとも1つの電気的パラメータが検出され、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された電気的パラメータに依存して電圧の印加を制御することによって前記繊維材料(2)への前記熱供給が制御されることを特徴とする、請求項
10~請求項
15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維プリフォームを製造するために繊維材料をレイアップする(Ablegen)繊維配置設備(Faserlegeanlage)であって、繊維プリフォームの繊維材料を埋設するマトリックス材を硬化させることによって繊維プリフォームから繊維複合部材が製造可能である、又は製造される繊維配置設備に関する。本発明は、このための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
航空及び宇宙飛行は、繊維複合材からなる部材、いわゆる繊維複合部材抜きには今日ではもはや考えられない。しかし他の分野においてもこの種の素材の使用は人気を博しつつある。特に重要な構造要素は、重量に関連した高い強度及び剛性にもとづいて繊維強化プラスチックから最小限の重量で製造される。繊維配向の結果として生じる繊維複合材の異方性特性によって、部材を局所的負荷に正確に適合させることができ、それにより軽量構造という意味で最適な材料利用を可能にする。
【0003】
製造プロセスにおいて、スクリム(Gelegen)、織物、又は、大抵の場合、予め結合剤施与(vorbebindert)もされたドライロービングなどの乾燥した繊維半製品と並んで、マトリックス材料で予備含浸させた繊維材料であるいわゆるプリプレグも使用される。繊維強化部材の生産時、特に大量生産時の部品点数が増えていくことによって、製造プロセス又は製造されるべき部材の品質に悪影響を及ぼすことなく製造プロセスを大幅に自動化するために多大な努力が払われる。
【0004】
後から部材形状となるものを繊維半製品から作ることができるようにするために、繊維半製品は、通常、成形工具内又は成形工具上に、例えば力を用いてレイアップされ、その工具表面は、後から部材形状となるものに相当するジオメトリ又はジオメトリの前段階を有する。特に自動化された、又は部分的に自動化された製造プロセスにおいて、このレイアッププロセス(プリフォーミングと呼ばれることも多い)は、エンドエフェクタが繊維配置ヘッドである繊維配置装置又は繊維配置設備を用いて行われる。この種の繊維配置設備は、繊維配置ヘッドが産業用多関節ロボットに配設されている、例えばポータル設備又はロボット支援設備であり得る。
【0005】
繊維半製品、例えばテープ、スリットテープ、又はロービングなどの特に平らな繊維半製品が、材料提供装置によって繊維配置ヘッドに供給され、それにより成形工具において配置ヘッドと工具表面との相対運動によって繊維半製品をレイアップすることができる。
【0006】
独国特許出願公開第102013107103号明細書から、例えば繊維配置設備を形成するためにロボットに配設することができる繊維配置ヘッドが知られている。その際、繊維配置ヘッドは、繊維配置ヘッドが、例えば加圧ロールなどの繊維配置ユニットを用いて繊維配置ヘッドに供給された平らな繊維半製品を成形工具表面にレイアップするように形成され、繊維配置ヘッドは、電圧を印加することによって電極と対向電極との間で繊維半製品に電流を生ぜしめることができるようにするために複数の電極及び/又は対向電極を有する。これによって、繊維半製品を表面に固定するために、例えば繊維半製品内の、例えばバインダ材料などの特定の材料又は素材を活性化することができる。しかし、予備含浸させた繊維半製品(プリプレグ)を使用する場合にレイアップされるべき繊維半製品に通電することによってこれが加熱され、それにより粘着性を高めることによって表面への繊維半製品のより良好な固定が達成されることも考えられる。
【0007】
独国特許出願公開第102011102950号明細書から、炭素繊維を含む繊維アセンブリから繊維予備成形体を製造するための配置ヘッド及び方法が知られ、配置ヘッドは、少なくとも繊維供給装置とレイアップロールと、繊維予備成形体を固定するための熱的に活性化可能なバインダ材料を加熱するための加熱装置とを有する。配置ヘッドは、2つの接触面を備え、これらの2つの接触面は、繊維供給装置によって供給され配置ヘッドによってレイアップロールに案内された繊維アセンブリにより接触させられ、2つの接触面は、電極対として導電性に形成され、電流源と接続され、その場合、繊維アセンブリの導電性炭素繊維が電極対間で配置ヘッドの加熱区間を形成し、加熱区間が配置ヘッドの加熱装置を提供する。この場合も配置ヘッドに供給された繊維材料が配置ヘッド内で通電され、それにより加熱される。
【0008】
電極と対向電極との間の距離は、通常、固定であるので、繊維半製品における通電区間も予め定められた固定長を有する。したがって、通電にもとづく熱エネルギー入力は、通電部の長さに依存するだけでなく、繊維材料が繊維半製品にレイアップされるレイアップ速度にも依存する。なぜなら電極と対向電極との間の通電部内に特定の繊維半製品位置がある時間もレイアップ速度によって決まるからである。
【0009】
設備パラメータを監視するために、近似的に実際のTCP速度(TCP:Tool Center Point)によりレイアップ速度を決定することが実地から知られている。しかしこの場合、精度は、TCP速度を検出するセンサと、質量及び振動挙動にもとづくシステム全体の慣性及び不正確さとに依存する。
【0010】
独国特許出願公開第102009017217号明細書から、帯状繊維半製品をレイアップする装置及び装置を動作させる方法が知られ、ここで使用される繊維配置ヘッドは帯状繊維半製品を予め定められた長さに裁断するために切断装置を有する。この場合、引き出された長さが測定装置を用いて検知され、それにより切断装置が適時に制御され、繊維半製品が切断される。この場合、測定装置は切断された繊維半製品の端を検出するレーザ支援センサを備え、その場合、繊維材料の送りを生成する搬送ベルト又は移送ベルトの移送速度をもとにして繊維半製品の引出し(abgerollt)長さを検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】独国特許出願公開第102013107103号明細書
【文献】独国特許出願公開第102011102950号明細書
【文献】独国特許出願公開第102009017217号明細書
【発明の概要】
【0012】
本発明の課題は、成形工具への繊維材料のレイアップ中に繊維材料への熱エネルギー入力を的確かつ非常に精確にすることができる改善された繊維配置設備、及び繊維プリフォームを製造するために繊維材料をレイアップする改善された方法を提供することである。本発明の特別な課題は、そのときのレイアッププロセスのプロセス枠組み条件にもとづいて熱エネルギー入力を非常に精確、かつ高精度に調整可能な改善された繊維配置設備及び改善された方法を提供することである。
【0013】
上記課題は、本発明により、請求項1に記載の繊維配置設備、及び請求項12に記載の繊維材料をレイアップする方法によって解決される。
【0014】
請求項1によれば、繊維プリフォームを製造するために繊維材料をレイアップする繊維配置設備により属性的に対応した特許請求がなされ、繊維プリフォームの繊維材料を埋設するマトリックス材料を硬化させることによって繊維プリフォームから繊維複合部材が製造可能又は製造される。したがって、繊維配置設備は、2つの主要構成要素である繊維材料とマトリックス材料とを少なくとも含む繊維複合素材から、繊維材料をレイアップすることによって少なくとも繊維複合素材の繊維材料からなる繊維プリフォームを製造し、次いでこの繊維プリフォームから、マトリックス材料を硬化させることによって繊維複合部材を製造できるように形成されている。その場合、繊維プリフォームは、後から部材ジオメトリとなるジオメトリを部分的又は完全に有し得る部材予成形体である。
【0015】
繊維配置設備は、属性的に対応して、工具上に繊維材料をレイアップするように形成されている繊維配置ヘッドを有する。さらに、繊維配置設備は、属性的に対応して、繊維材料を繊維配置設備の繊維材料貯蔵器から繊維配置ヘッドへ移送するように形成されている繊維移送装置を有する。その際、繊維配置ヘッドが空間内で可動であり、かつ繊維配置ヘッドと非可動の成形工具との間の相対運動を実行できるようにするために、繊維配置ヘッドを自動運動装置に配設することができる。この種の自動運動装置は、例えばポータル設備又はロボットであり得る。しかし繊維配置ヘッドが固定であるか、又は一空間方向にのみ移動できるのに対して、(例えば巻き付けプロセスにおいて)形状付与する工具表面が繊維配置ヘッドに相対して移動することも考えられる。
【0016】
その際、通常、繊維配置ヘッドに対して固定的に配設されていて、それにより繊維配置ヘッドと繊維材料貯蔵器との間で相対運動、及び繊維配置ヘッドの運動が行われる繊維材料貯蔵器から繊維移送装置を用いて繊維材料を繊維配置ヘッドへ移送し、かつ繊維配置ヘッドに供給することができ、それにより繊維配置ヘッドは、この繊維配置ヘッドに供給された繊維材料をレイアップすることができる。
【0017】
さらに、繊維配置設備は、繊維材料が繊維配置ヘッドによって工具上に連続的にレイアップされる場合に、繊維材料の運動情報を検出するように設定されている運動測定装置を有する。この種の運動測定装置を用いることで、例えば、繊維材料をレイアップする場合に進んだ材料移動量(Materialweg)、及び/又は材料速度を連続的に検知することができる。その際、運動測定装置は繊維材料の運動を直接検出し、それにもとづいて繊維材料の運動情報を検知するように形成されている。その際、運動情報を検知するために繊維材料の運動は測定されるが繊維配置ヘッドの運動は測定されず、運動測定装置を用いて繊維配置ヘッドを通る、又は移送装置に沿う繊維材料の運動がダイレクトかつ直接的に検出される。この種の運動測定装置は、例えば偏向ロール又は移送ベルトのロータリエンコーダであり得る。しかし運動測定装置は、繊維材料の運動を非接触で検出するように設定されている光学式センサを有することもできる。
【0018】
さらに、繊維配置設備は、殊に繊維配置ヘッド内に配設された加熱装置を有し、加熱装置は、繊維材料が繊維配置ヘッドによって工具上に連続的にレイアップされる場合に、加熱領域において繊維材料を加熱するように設定されている。本発明によれば、この場合、繊維配置設備は、運動測定装置によって検出された繊維材料の運動情報を取得するように、かつレイアップ中に、繊維材料の検出された運動情報に依存して繊維材料への加熱装置の熱供給を制御するように設定されている制御装置を有することが予定されている。
【0019】
その際、発明者は、繊維材料の運動を測定することによって、繊維材料への熱供給を制御するのに適した精度で直接、かつ繊維配置ヘッドの運動とは独立して運動情報を検知することができ、それにより繊維材料を所望の温度に加熱することができ、又は繊維材料をレイアップする直前に繊維材料が予め定められた温度範囲内に加熱されることを認識した。特に、レイアップ運転が高速の場合、並びに繊維配置ヘッドの始動過程及び制動過程が高速の場合に、繊維材料の運動を直接検出することによって、かつそこから導き出される運動情報によって、繊維材料への熱供給を制御できるための十分な制御パラメータが提供され得る。
【0020】
その際、制御装置は、繊維材料への熱供給を制御するために、繊維材料の運動情報に依存して加熱能力(時間に対する熱出力)を調整できるように形成され得る。しかしこれに代えて、又はこれに加えて、制御装置は、制御装置が、加熱装置が熱を繊維材料に供給する(したがって熱を出力する)発熱時間を適合させることによって繊維材料への熱供給を適合又は変化させ、それにより時間に対する熱入力を制御できるように形成されてもよい。したがって、特に時間に対して出力される熱の量、及び加熱時間(Aufheizzeit)又は発熱時間(Heizzeit)自体を、熱供給を制御するための可能な開ループ制御パラメータ(Steuerungsparameter)又は閉ループ制御パラメータ(Regelungsparameter)として使用することができることが有利である。
【0021】
すでに述べたように、運動測定装置が、レイアップ中に、繊維材料の運動情報として材料速度及び/又は進んだ材料移動量を検出するように設定されているならば有利であり、制御装置は、繊維材料の検出された材料速度及び/又は検出された進んだ材料移動量に依存して繊維材料への加熱装置の熱供給を制御するように設定されている。
【0022】
例えば、材料速度に依存して加熱能力(時間に対する熱量)を適合させ、それにより比較的高い材料速度では加熱能力が高められるのに対して、比較的低い材料速度では加熱能力が低減される。したがって、その場合、制御装置は、加熱能力が材料速度と相関関係にあるように形成されている。進んだ材料移動量に依存して加熱装置をオン又はオフすることも考えられ、それによりこれによって間接的に時間当たりの熱量が閉ループ制御及び開ループ制御される。それにより予め定められている進んだ材料移動量s1の後に制御装置が加熱装置を作動させ、それにより加熱装置が熱の供給を開始することが考えられる。加熱装置によるこの熱供給は、加熱装置による熱供給の開始から第2の進んだ材料移動量s2を進んだことを制御装置が認識するまで維持され、その後、制御装置は、熱供給が停止されるように加熱装置を制御する。
【0023】
その際、加熱装置による熱供給は直接又は間接的に行われ得る。したがって、加熱装置は、例えば熱放射器(Heizstrahler)を用いて繊維材料に熱が供給されることによる古典的な熱対流にもとづいて熱供給するように設定されていることが考えられる。これは、例えば繊維材料が非導電性繊維材料からなる場合に有利である。
【0024】
繊維材料が導電性強化繊維を有するならば、抵抗加熱の形で繊維材料に通電することによって熱供給が行われる場合に有利であり得る。このために電極を用いて電圧が印加され、電圧は繊維材料内に電流を生じさせ、その際、繊維材料を加熱する。しかし交番磁界を用いて加熱を誘導的に行うことも考えられる。
【0025】
さらに、加熱されるべき材料の(長さ特有の)材料量若しくは材料質量、比熱容量、並びに/又は電気的特性及び熱特性をもとにして、プロセス枠組み条件に依存して熱供給を閉ループ制御することができる。その場合、プロセス依存の材料パラメータを用いて、検出される材料運動と関連付けて熱供給を閉ループ制御することができる。
【0026】
別の有利な一実施形態では、繊維配置設備は、加熱装置の加熱領域の外側又は内側で繊維材料の温度を検出するように形成されている少なくとも1つの温度センサを有する。制御装置は、さらに、繊維材料の測定温度に依存して繊維材料への加熱装置の熱供給が制御されるように設定されている。材料温度を解析することによって、閉ループ制御パラメータを変化する材料特性又は変わるプロセス枠組み条件に自動的に適合させることができる。その際、材料温度は、例えば1つ若しくは複数のパイロメータ、又はサーモカメラなどの非接触の測定法で検出される。しかし、材料温度の迅速な検出を可能にする非接触の測定法も考えられる。
【0027】
別の有利な一実施形態では、繊維配置設備は、通常、繊維配置ヘッドに並行して供給されてから繊維配置ヘッドによって並行してレイアップされる複数のシングルストランドからなる繊維材料をレイアップするように形成される。この場合、運動測定装置を用いて、各帯状のシングルストランド又はシングルストランドの群ごとに運動情報が検出され、それにより、各シングルストランドに個別に検出された運動情報にもとづいて、それぞれのシングルストランド又はシングルストランドのそれぞれの群への熱供給が各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとに制御されるように加熱装置を制御することができる。
【0028】
これによって、レイアップされるべき各繊維帯(シングルストランド)についてそれぞれの繊維ストランドの運動情報に依存して個別に熱供給を制御することが可能であり、それにより繊維配置設備による熱入力をさらに正確にすることが可能になる。
【0029】
曲率半径が狭い場合、又は同時にレイアップされるべき幅広の繊維帯の数が多い場合、円軌道上で外側に位置する帯又はシングルストランドと、円軌道の内径に位置する帯又はシングルストランドとでは材料引取り(Materialabzug)が明らかに相違するので、一緒に熱入力する場合に、外径におけるシングルストランドでは内径におけるシングルストランドの場合より熱供給が少なくなり得る。各シングルストランドの運動情報の個別の検知及び各個々のシングルストランドへの熱供給を個別に制御することによって、狭い曲率半径において繊維材料をレイアップする場合のこの問題を考慮に入れることができる。その場合、制御装置は、外側に位置する繊維帯の場合、例えば材料速度がより高いか、又は進んだ材料移動ポイント(Materialwegpunkt)への到達がより速いという形でより材料引取りの増加を確認するであろうから、それにより外側に位置する繊維帯での熱供給が制御装置によって自動的に高くされ、それによりすべての繊維帯において可能な限り均一な熱入力が実現される。
【0030】
別の有利な一実施形態では、加熱装置が繊維材料にパルス的熱供給を行うように形成され、繊維配置設備の制御装置は、繊維材料の検出された運動情報に依存してパルス的熱供給を制御するように設定されている。パルス的熱供給とは、特に、離散的時間間隔(diskrete Zeitabstaende)での不連続な熱供給と解され、加熱継続時間が時間制限され、通常、複数の熱供給サイクルが設けられている。その際、熱供給パルス(熱供給サイクル)の初め及び/終わりが繊維材料の検出された運動情報に依存して制御されるならば特に有利である。しかし、検出された運動情報に依存してパルス持続時間が制御されることも考えられる。
【0031】
さらに、プロセス依存の材料パラメータ、エネルギー源によって提供される電圧、所望の目標温度、又は目標温度に達するまでの所望のパルス数に依存してパルス的熱供給を決定、算出、及び/又は検知することもできる。
【0032】
したがって、進んだ材料移動距離(Materialstrecke)(例えば10mmおき)に依存して個々の熱供給パルスをトリガすることができ、その際、この種の熱供給パルスは予め定められた期間の熱供給持続時間を有する。
【0033】
その際、繊維配置ヘッドによって並行してレイアップされるべきシングルストランド又は繊維帯が複数の場合、それぞれの繊維帯への熱供給のための個別の繊維供給パルスを各繊維帯に個別に調整することができることが考えられる。したがって、各繊維帯に個別に運動情報が検知され、次いで、それに応じて各繊維帯に個別に熱供給パルスが制御され、それにより他の繊維帯から独立して個別にパルス的熱供給を達成することができる。
【0034】
別の有利な一実施形態では、加熱装置は、電気エネルギー源と接続された少なくとも1つの電極を有し、少なくとも1つの電極は、繊維材料の移送時に導電性繊維材料と電気的に接触させられ、かつ導電性繊維材料と同様に電気的に接触する対向電極と協働して、電極及び/又は対向電極に電圧が印加される場合に少なくとも1つの電極と少なくとも1つの対向電極とが電気的に接触することによって形成される通電部に繊維材料を加熱するための電流が生ぜしめられるようにし、制御装置は、繊維材料の検出された運動情報に依存して電圧の印加を制御することによって繊維材料への熱供給を制御するように設定されている。
【0035】
その際、1つ又は複数の電極及び1つ又は複数の対向電極を、異なった通電部を形成できるように設けることができる。殊に、電極及び対向電極は繊維配置ヘッドにおいて、例えば偏向ロールの形で設けられている。しかし、例えば、成形工具が導電性工具表面を有する場合に、対向電極が成形工具によって形成されることも考えられる。
【0036】
その際、当然のことながら、繊維配置ヘッドによってレイアップされるべきシングルストランドが複数の場合、各シングルストランドが接触する電極及び対向電極によって個別に通電部を形成することが考えられ、それにより各シングルストランドがそれぞれ少なくとも1つの通電部を有し、この通電部内で、電圧を印加することによって電流を生ぜしめることができ、それにより繊維材料又はシングルストランドが通電部内で抵抗加熱のように加熱される。その際、制御装置は、電圧の印加がそれぞれのシングルストランドの各通電部に個別に制御され、それによりそれぞれのシングルストランドの加熱が個別に可能にされるように設定され得る。
【0037】
繊維配置設備の制御装置が、熱供給を制御するために電圧の高さ、電圧を印加する時点、及び/又は2つの通電フェーズ間の時間間隔、並びに印加される電圧の持続時間が制御されるように電圧の印加を制御するように設定されていることが有利である。
【0038】
したがって、設備のすべての(例えばプラス極の形の)電極が、大型のエネルギー貯蔵器(例えばコンデンサ)に接続されることが考えられる。これには、電極を接続したときの電圧降下が回避されるべきであるという目的がある。さらにこれは簡単な技術的解決策である。その場合、個々の電極は、適当な電気的部品(例えばMOSFET)によってパルス持続時間にわたりエネルギー貯蔵器と接続され、その後再び切り離される。このことによって、パルスをマイクロ秒範囲で切り替えることができる。エネルギー貯蔵器が≦120VDC、又はそれどころか≦60VDCの接触安全な範囲の高電圧(殊に直流)で充電される場合、一般的な炭素繊維半製品では数ミリ秒又はマイクロ秒の範囲内でも所望の目標温度に達することができる。
【0039】
したがって、加熱装置が繊維材料へのパルス的熱供給のために電圧をパルス的に印加するように形成されているならば有利であり、繊維配置設備の制御装置は、繊維材料の検出される運動情報に依存してパルス的熱供給を制御するように設定されている。したがって、この種の熱供給パルスが1秒未満、殊に0.1秒未満の持続時間を有するならば有利である。
【0040】
その際、熱供給パルスの持続時間が固定的に予め定められ得るのに対して、電圧を印加することによりそれぞれの熱供給パルスをトリガすべきトリガ時点は進んだ材料移動距離をもとにして、又は材料速度をもとにして、すなわち運動情報をもとにして制御されるべきである。
【0041】
特に迅速なレイアップ法では、それが迅速、プロセス確実、かつ効率的に実行可能であることから、熱供給パルスが検知された材料移動距離に対して制御されることが有利である。これに加えて、パルスが温度制御されてトリガされることも考えられる。例えば目標温度が特定値を下回る場合に熱供給パルスがトリガされる。熱供給パルスのエネルギー含有量は、調整された持続時間にわたって非常に精確に制御され得るので、単一パルスが必要に応じて材料温度を高くすることができる。これを運動情報により制御される熱供給パルスに加えて行うことができる。
【0042】
別の有利な一実施形態では、繊維配置設備は、通電部の少なくとも1つのパラメータを検出するように形成され、繊維配置設備の制御装置は、繊維材料の検出された電気的パラメータに依存して繊維材料への電圧の印加を制御することによって繊維材料への熱供給を制御するように設定されている。
【0043】
したがって、例えば熱供給パルスにおいて電気的パラメータ(測定区間の電圧降下及び/又は電流)を測定することができ、次いでその測定データをもとにしてさらなる熱供給パルスを最適化することができる(例えばパルス持続時間又はパルス的熱供給の周波数)。このことは加熱パラメータを自然なプロセス変動に非常に迅速に適合させることを可能にすることができる。その際、加熱区間内の全抵抗から、材料中で熱に変換されたエネルギーが逆推論される。高くなった抵抗が感知される場合、これは、通常、材料中でより少ないエネルギーが熱に変換されたことを意味する。したがってパルス持続時間が長くされるか、又はさらに別の熱供給パルスがトリガされ得る(周波数の上昇)。
【0044】
別の有利な一実施形態では、予熱装置が設けられ、予熱装置は、繊維材料の搬送方向で加熱装置の前に配設され、かつ本来の加熱の前に繊維材料を予熱するように形成されている。これによって、繊維材料を本来の目標温度未満(例えば熱可塑性プラスチックの溶融温度)に予熱することを達成することができる。その場合、目標温度は、レイアップの直前にレイアップヘッド(Ablegekopf)において、小さいエネルギー含有量の最後の熱供給パルスによって生成され得る。
【0045】
材料にエネルギーパルスが導入され得る接触面に異なったエネルギー貯蔵器を接続することができる。例えば、第1パルスを電圧レベル1(例えば60VDC)のエネルギー貯蔵器から出すことができ、これに続き第2パルスをより低い電圧レベル2(例えば30VDC)のエネルギー貯蔵器から出し、これにさらに続けることができる。ハードウェア的には「スイッチ」(例えばMOSFET)も2つ又はそれより多い数の異なったパルス発生器によって切り替えることができる。このことは、例えば開ループ制御/閉ループ制御のためのより迅速又はより簡単なハードウェア解決策につながり得る。その場合、パルス発生器1は、作動時に常に、例えば800マイクロ秒長のパルスを発するのに対して、パルス発生器2は300マイクロ秒のパルスを発する。
【0046】
本発明により、運動情報を検出するための運動測定装置の代わりに、繊維材料が繊維配置ヘッドによって工具上に連続的にレイアップされる場合に、温度情報、又は温度を逆推論することを可能にする情報を検出するように設定されている温度測定装置が設けられているという態様も包含される。その場合、繊維配置設備の制御装置は、温度測定装置によって検出された繊維材料の温度情報を取得するように、かつレイアップ中に、繊維材料の検出された温度情報に依存して繊維材料への加熱装置の熱供給を制御するように設定されている。
【0047】
本発明により、繊維配置設備が運動測定装置と温度測定装置とを有し、その場合、制御装置は、温度測定装置によって検出される繊維材料の温度情報と、運動測定装置によって検出される繊維材料の運動情報とを取得するように、かつ次いでレイアップ中に、繊維材料の検出される温度情報に依存して、かつ検出される運動情報に依存して繊維材料への加熱装置の熱供給を制御するように形成されていることも包含される。したがって、本発明の一態様は、繊維プリフォームを製造するために繊維材料をレイアップする繊維配置設備であって、繊維プリフォームの繊維材料を埋設するマトリックス材料を硬化させることによって繊維プリフォームから繊維複合部材を製造可能であり、繊維配置設備が、
工具上に繊維材料をレイアップするように形成されている繊維配置ヘッドと、
繊維材料を繊維配置設備の繊維材料貯蔵器から繊維配置ヘッドへ移送するように形成されている繊維移送装置と、
繊維材料が繊維配置ヘッドによって工具上に連続的にレイアップされる場合に、温度情報又は温度を逆推論することを可能にする情報を検出するように設定されている温度測定装置と、を有する繊維配置設備において、
繊維配置設備は、温度測定装置によって検出された繊維材料の温度情報を取得するように、かつレイアップ中に、繊維材料の検出された温度情報に依存して繊維材料への加熱装置の熱供給を制御するように設定されている制御装置を有することを特徴とする、繊維配置設備である。
【0048】
本発明のさらに別の態様は、繊維プリフォームを製造するために繊維材料をレイアップする方法であって、繊維プリフォームの繊維材料を埋設するマトリックス材料を硬化させることによって繊維プリフォームから繊維複合部材が製造され、方法は、
繊維配置設備の繊維移送装置によって繊維材料を繊維材料貯蔵器から繊維配置ヘッドへ移送する工程と、
移送される繊維材料を繊維配置ヘッドによって工具上にレイアップする工程と、
繊維材料の連続移送中に温度測定装置によって繊維材料の温度情報を検出する工程と、
繊維材料の連続移送中に加熱装置によって加熱領域内で繊維材料を加熱する工程と、を包含する方法において、
検出された温度情報が制御装置に伝送され、制御装置によって、繊維材料の検出された温度情報に依存して繊維材料への加熱装置の熱供給が制御されることを特徴とする、方法である。
【0049】
したがって、例えば、閾値温度(Schellwerttemperatur)を上回るか、又は下回る場合、このことが温度測定装置によって認識され、制御装置によって相応にトリガされる電気エネルギーインパルスが加熱装置によってトリガされ、それにより材料への熱入力が生成される。したがって温度測定装置によって温度が認識された場合、所望の目標温度にするためにどれだけの電気パルスがトリガされる必要があるのかを検知することができる。このことは電気パルス当たりの温度上昇の大きさが既知であることを前提とする。
【0050】
本発明によれば、本発明の全実施形態においても、繊維材料を連続的にレイアップする場合に熱入力を相応に制御できるようにするために運動情報の代わりに温度情報が利用される。
【0051】
温度と運動情報とが検出され、温度と運動情報とにもとづいて制御が行われる場合も確実に有利である。
【0052】
添付の図をもとにして本発明について例示的に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図2】繊維ストランドの繊維材料を用いる一実施形態の模式図である。
【
図3】複数の繊維ストランドを用いる一実施形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、繊維配置ヘッド1の内部構造を大幅に簡略化した模式図を示す。その際、繊維配置ヘッド1に繊維材料2が供給され、次いで繊維材料は繊維配置ヘッド1の加圧ロール3を用いて工具100上にレイアップされる。このために繊維材料2は、繊維材料が最終的に加圧ロール3に到着し、かつ加圧ロール3が繊維材料2を工具100に押し付けることができるように加圧ロールに向かって案内されるように繊維配置ヘッド1によって案内される。したがって、繊維材料2は加圧ロール3と工具100との間に延びる。このために繊維配置ヘッド1は、
図1の実施例ではローラ対又はロール対の形で形成されている複数のガイド要素4を有する。
【0055】
繊維配置ヘッド1は、さらに、
図1の実施例では所望による切断装置5を有し、この切断装置により繊維材料2を加圧ロール3の前で切断することができる。これによって略エンドレスの繊維帯の形で供給される繊維材料2を所望の長さに、又は工具100の端でカットすることができる。
【0056】
繊維配置ヘッド1は、さらに、繊維材料2を工具100上にレイアップする直前に加圧ロール3によって熱することができるようにするために加熱装置6を有している。加熱装置6の構造については後からさらに詳しく説明する。
【0057】
さらに、模式的に示された
図1の繊維配置ヘッド1は、運動測定装置の構成要素であり得る少なくとも1つの光学式センサ7を有する。運動測定装置は、さらに、切断装置5の前でも運動を検出できるようにするために、切断装置5の前に別の所望による光学式センサ7aを有することができる。
【0058】
その際、光学式センサ7は、繊維材料が繊維配置ヘッドによって工具上に連続的にレイアップされる場合に繊維材料の運動情報を検出するように設定されるよう形成されている。
【0059】
その際、光学式センサ7は、有利には、材料速度又は進んだ材料移動量を非接触で検出するように形成され得る。このために光学式センサ7は、例えばデジタル画像センサの画素アレイから構成され得るイメージングセンサチップを有する。これによって繊維材料2の材料表面が、厳密には、例えば1000Hzの予め定められた周波数で連続的に検出され、次いで、2回の撮影の画像が光学式センサ7に設けられた計算ユニット(DSP:Digital Signal Processor)を用いて互いに比較される。次いで、この比較をもとにして、第1撮影時点と第2撮影時点との間の繊維材料若しくは繊維材料表面の繊維の移動量が認識され、次いで、この繊維の移動量から材料の材料速度又は進んだ道のり(Wegstrecke)を検知することができる。
【0060】
繊維配置ヘッド1を構成要素とする繊維配置設備は、さらに、繊維配置ヘッド1に設けられ得る、又は繊維配置設備全体の全体制御設備の構成要素であり得る制御装置10を有する。次に、制御装置10は、光学式センサ7によって検出された、例えば材料速度又は進んだ道のりなどの運動情報を受信し、それに応じて、繊維材料2への加熱装置6の熱供給が、レイアップ中、光学式センサ7によって検出された繊維材料の運動情報に依存して制御されるように加熱装置を制御する。これによって特に加熱能力(Heizleistung)、加熱継続時間、パルス的熱供給時の周波数、及び加熱時点を加熱装置6の制御装置10によって予め定めることができ、それによって熱供給全体が相応に制御される。
【0061】
図2は、移動制御される(weggesteuert)熱供給が直接繊維配置ヘッド1内でどのように実現され得るのかについての熱供給の可能な模式図を示す。その際、制御装置10は移動量検出器(Wegaufnehmer)11と信号技術的に接続され、移動量検出器は、
図1の光学式センサとは異なって、繊維材料2が進んだ移動量を接触により(kontaktbehaftet)検出する。しかし、移動量検出器11の代わりに
図1から知られるような光学式センサ7が使用されることも当然考えられる。
【0062】
さらに、繊維材料は、例えばガイドロールの形で形成され得る電極12a及び対向電極12bと電気的に接触させられる。その際、電極12a及び対向電極12bは加熱装置6の一部をなす。
【0063】
加熱装置6に接続されたエネルギー源20により、例えばコンデンサアレイの形で形成され得るエネルギー貯蔵器13が充電される。その際、エネルギー源20は、殊に双方向の構造であり、必要な場合にエネルギー貯蔵器13を再び空にすることもできる。これに代えて、エネルギー貯蔵器は大量のエネルギーを貯蔵すべきであるとともに、このエネルギーが無制御で放電されるべきでないことから、エネルギー貯蔵器の放電を可能にする別の装置を設けることができる。
【0064】
電極12aと対向電極12bとの間には通電部14が形成され、電極12a及び対向電極12bに相応の電圧が印加される場合にこの通電部内に電流が生ぜしめられる。このために電極12aは、スイッチ15を介してプラス極の形のエネルギー貯蔵器13と接続され、熱供給されない場合には、相応にエネルギー貯蔵器から分離されるのに対して、対向電極12bは、エネルギー貯蔵器13又はエネルギー源20のアース線に接続されている。
【0065】
スイッチ15が閉じられる場合、通電部14に電流が生ぜしめられ、電流は抵抗加熱のように作用し、通電部14内で繊維材料が相応に加熱される。スイッチを開くことによって、電気回路が遮断され、電流は通電部14を流れない。
【0066】
スイッチ15が閉じている時間長、及びスイッチが閉じたままである時間長、及びそれに伴い通電部14に電流を生ぜしめる時間長は制御装置10によって決定される。制御装置は、特定の時点からどれだけの材料が搬送された、又は移動されたのかという情報を、移動量検出器11を介して取得する。したがって例えば、スイッチ15が10mmおきに閉じられ、それに伴い熱供給インパルスがトリガされる。繊維半製品2が、例えば全部で24mm移動されると、全部で2つのパルスが解き放たれる。パルスの持続時間は、例えばパルスによってどの温度が達成されるべきか、加熱区間内にどれだけの、及びどのような材料があるのか、並びにどのような電圧レベルにエネルギー貯蔵器が充電されたのかに依存する。
【0067】
別のインプットパラメータは繊維半製品の測定温度であり得、これは温度センサ16を用いて検知することができる。したがって、1つのパルスの後に半製品の温度が測定され、目標値と比較される場合に、パルスパラメータを、例えば自動的に制御装置10によって適合させることができる。
【0068】
さらに、加熱区間の全抵抗を決定することができるとともに、その際、制御装置10のためのインプットとして用いられる電気的測定装置17が設けられ得る。この場合、各パルスについて電気的データ(電圧/電流/抵抗)が評価され、目標量と比較される。その場合、次の電流パルスのパラメータは熱供給パルスの等価物として相応に適合される。最適化する目的で、この種の測定パルスは常に本来の加熱パルスの直前に生じ得る。
【0069】
図3は、複数のシングルストランド又は繊維帯が並行してレイアップされるマルチ・トウ設備の配列を示す。より簡単に示すために、並行してレイアップされるべき個々の繊維帯が相並べて示されている。
【0070】
図3の実施例では、成形工具100が対向電極として形成され、それに伴いすべての個々の繊維ストランドのための共通のアース又は共通の接地端子をなす。
【0071】
その際、各個々の繊維ストランド2a~2cに対して、移動量検出器11a~11cがそれぞれ設けられ、移動量検出器は、各個々のシングルストランドごとに個別にそれぞれの運動情報を検出する。当然のことながら、移動量検出器11a及び11cは光学式センサの形で形成され得る。
【0072】
さらに、各個々の繊維ストランド2a~2cごとに的確に個別の電流をそれぞれの繊維ストランド2a~2c内に生ぜしめることができるように、各シングルストランド2a~2cはそれぞれの電極12aa~12acと接続している。
【0073】
その際、電極12aa~12acの各々はエネルギー貯蔵器13と、厳密には各電極が別々に切り替えられ得るように接続されている。このために、
図3に示されるように、相応のスイッチと接続している制御モジュール10a~10cが各繊維ストランド2a~2cのために設けられている。
【0074】
次に、移動量検出器11aを用いて第1繊維ストランド2aにおいて道のりが測定され、かつ、加熱するための新電流パルスが生ぜしめられ得ることが制御モジュール10aによって確認される場合、電極12aaと共通のアース100との間で電流が繊維ストランド2aに生ぜしめられるように、相応のスイッチを用いて電気回路が閉じられる。その際、このインパルスは、それぞれの通電部14aにおける繊維材料2aの加熱をもたらす。
【0075】
したがって、マルチ・トウ設備、又は複数の繊維ストランドを並行してレイアップできる他の設備において、各繊維ストランドに専用の通電部14a~14cが形成され、繊維材料を個別に、かつ他の繊維材料から独立して加熱できるようにするためにこの通電部に電流を生ぜしめることができる。
【0076】
図3の実施例に示された制御モジュール10a~10cの配列は単に例示的に示される。当然のことながら唯一の上位制御器を介してこれが行われ得ることも考えられる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 繊維プリフォームを製造するために繊維材料(2)をレイアップする繊維配置設備であって、前記繊維プリフォームの前記繊維材料(2)を埋設するマトリックス材料を硬化させることによって前記繊維プリフォームから繊維複合部材を製造可能であり、前記繊維配置設備が、
工具(100)上に繊維材料(2)をレイアップするように形成されている繊維配置ヘッド(1)と、
前記繊維材料(2)を前記繊維配置設備の繊維材料貯蔵器から前記繊維配置ヘッド(1)へ移送するように形成されている繊維移送装置と、
前記繊維材料(2)が前記繊維配置ヘッド(1)によって前記工具(100)上に連続的にレイアップされる場合に、前記繊維材料(2)の運動情報を検出するように設定されている運動測定装置と、
前記繊維材料(2)が前記繊維配置ヘッド(1)によって前記工具(100)上に連続的にレイアップされる場合に、加熱領域において前記繊維材料(2)を加熱するように設定されている加熱装置(6)と、を有する繊維配置設備において、
前記繊維配置設備は、前記運動測定装置によって検出された前記繊維材料(2)の前記運動情報を取得するように、かつ前記レイアップ中に、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の熱供給を制御するように設定されている制御装置(10)を有することを特徴とする、
繊維配置設備。
[2] 前記運動測定装置は、前記繊維材料(2)の運動情報として材料速度及び/又は進んだ材料移動量を検出するように設定され、前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された材料速度及び/又は前記検出された進んだ材料移動量に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の前記熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、[1]に記載の繊維配置設備。
[3] 前記繊維配置設備は、前記加熱装置(6)の前記加熱領域の外側又は内側で前記繊維材料(2)の温度を検出するための少なくとも1つの温度センサ(16)を有し、前記制御装置(10)は、さらに、前記繊維材料(2)の測定温度に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の前記熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の繊維配置設備。
[4] 前記繊維配置設備は、複数のシングルストランドからなる繊維材料(2)をレイアップするように形成され、
前記運動測定装置は、各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとに個別にそれぞれの運動情報を検出するように形成され、
前記加熱装置(6)は、前記シングルストランド又はシングルストランドの群を個別に、かつ互いに独立して加熱するように形成され、
前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記それぞれのシングルストランド又は前記シングルストランドの群の前記検出された運動情報に依存して各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとに個別に、かつ互いに独立して前記加熱装置(6)の前記熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、[1]~[3]のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
[5] 前記加熱装置(6)は、前記繊維材料(2)にパルス的熱供給を行うように形成され、前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記パルス的熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、[1]~[4]のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
[6] 前記加熱装置(6)は、それぞれのシングルストランド又はシングルストランドの群に個別にパルス的熱供給を行うように形成され、前記制御装置(10)は、前記それぞれのシングルストランド又は前記シングルストランドの群の前記検出された運動情報に依存して、各シングルストランド又はシングルストランドの各群の前記パルス的熱供給を個別に、かつ互いに独立して制御するように設定されていることを特徴とする、[4]及び[5]に記載の繊維配置設備。
[7] 前記加熱装置(6)は、電気エネルギー源(13)と接続された少なくとも1つの電極(12a)を有し、前記少なくとも1つの電極は、前記繊維材料(2)の移送時に前記導電性繊維材料(2)と電気的に接触させられ、かつ前記導電性繊維材料(2)と同様に電気的に接触する対向電極(12b)と協働して、前記電極(12a)及び/又は前記対向電極(12b)に電圧が印加される場合に前記少なくとも1つの電極(12a)と前記少なくとも1つの対向電極(12b)とが電気的に接触することによって形成される通電部(14)に前記繊維材料(2)を加熱するための電流が生ぜしめられるようにし、前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記電圧の印加を制御することによって前記繊維材料(2)への前記熱供給を制御することを特徴とする、[1]~[6]のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
[8] 前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記電圧の印加を制御するために、前記熱供給を制御するための前記電圧の高さ、前記電圧の印加時点、前記印加される電圧の時間長、及び/又は2つの通電フェーズ間の時間間隔が制御されるように設定されていることを特徴とする、[7]に記載の繊維配置設備。
[9] 前記加熱装置(6)は、前記繊維材料(2)への前記パルス的熱供給のために前記電圧をパルス的に印加するように形成され、前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記パルス的熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、[7]又は[8]に記載の繊維配置設備。
[10] 前記繊維配置設備は、前記通電部の少なくとも1つの電気的パラメータを検出するように形成され、前記繊維配置設備の前記制御装置(10)は、前記繊維材料(2)の前記検出された電気的パラメータに依存して前記電圧の印加を制御することによって前記繊維材料(2)への前記熱供給を制御するように設定されていることを特徴とする、[7]~[9]のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
[11] 予熱装置が設けられ、前記予熱装置は、前記繊維材料(2)の搬送方向で前記加熱装置(6)の前に配設され、かつ本来の加熱の前に前記繊維材料(2)を予熱するように形成されていることを特徴とする、[1]~[10]のいずれか1項に記載の繊維配置設備。
[12] 繊維プリフォームを製造するために繊維材料(2)をレイアップする方法であって、前記繊維プリフォームの前記繊維材料(2)を埋設するマトリックス材料を硬化させることによって前記繊維プリフォームから繊維複合部材が製造され、前記方法は、
繊維配置設備の繊維移送装置によって繊維材料(2)を繊維材料貯蔵器から繊維配置ヘッド(1)へ移送する工程と、
前記移送される繊維材料(2)を前記繊維配置ヘッドによって工具(100)上にレイアップする工程と、
前記繊維材料(2)の連続移送中に運動測定装置によって前記繊維材料(2)の運動情報を検出する工程と、
前記繊維材料(2)の前記連続移送中に加熱装置によって加熱領域内で前記繊維材料(2)を加熱する工程と、を包含する方法において、
前記検出された運動情報が制御装置(10)に伝送され、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の熱供給が制御されることを特徴とする、方法。
[13] 少なくとも1つの温度センサ(16)によって、前記加熱装置(6)の前記加熱領域の外側又は内側で前記繊維材料(2)の温度が検出され、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の測定温度に依存して前記繊維材料(2)への前記加熱装置(6)の前記熱供給が制御されることを特徴とする、[12]に記載の方法。
[14] 前記繊維配置設備によって、複数の個々の繊維ストランドが並行してレイアップされ、 前記運動測定装置によって、各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとにそれぞれ運動情報が検出され、
前記加熱装置(6)によって、各シングルストランド又はシングルストランドの群がそれぞれ個別に、かつ互いに独立して加熱され得、
前記制御装置(10)によって、前記それぞれのシングルストランド又は前記シングルストランドの群の前記検出された運動情報に依存して、各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとに個別に、かつ互いに独立して前記加熱装置(6)の前記熱供給が制御されることを特徴とする、[12]又は[13]に記載の方法。
[15] 前記加熱装置(6)によって、前記繊維材料(2)へのパルス的熱供給が行われ、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記パルス的熱供給が制御されることを特徴とする、[12]~[14]のいずれか1項に記載の方法。
[16] 前記加熱装置(6)によって、各シングルストランド又はシングルストランドの群ごとに個別にパルス的熱供給が行われ、前記制御装置(10)によって、前記それぞれのシングルストランド又は前記シングルストランドの群の前記検出された運動情報に依存して、各シングルストランド又はシングルストランドの各群の前記パルス的熱供給が個別に、かつ互いに独立して制御されることを特徴とする、[14]及び[15]に記載の方法。
[17] 前記導電性繊維材料(2)は、少なくとも1つの電極(12a)及び少なくとも1つの対向電極(12b)と電気的に接触させられ、前記少なくとも1つの電極(12a)及び前記少なくとも1つの対向電極(12b)の前記電気的接触によって形成される通電部に、前記電極(12a)及び/又は対向電極(12b)に電圧が印加されることにより前記繊維材料(2)を加熱するための電流が生ぜしめられ、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記電圧の印加を制御することによって前記繊維材料(2)への前記熱供給が制御されることを特徴とする、[12]~[16]のいずれか1項に記載の方法。
[18] 前記制御装置(10)によって、前記熱供給を制御するために、前記電圧の高さ、前記電圧の印加時点、前記印加される電圧の時間長、及び/又は2つの通電フェーズ間の時間間隔が制御されることを特徴とする、[17]に記載の方法。
[19] 前記加熱装置(6)によって、前記繊維材料(2)への前記パルス的熱供給のために前記電圧のパルス的印加が行われ、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された運動情報に依存して前記パルス的熱供給が制御されることを特徴とする、[17]又は[18]に記載の方法。
[20] 通電部の少なくとも1つの電気的パラメータが検出され、前記制御装置(10)によって、前記繊維材料(2)の前記検出された電気的パラメータに依存して電圧の印加を制御することによって前記繊維材料(2)への前記熱供給が制御されることを特徴とする、[12]~[19]のいずれか1項に記載の方法。
【符号の説明】
【0077】
1 繊維配置ヘッド
2 繊維材料
3 加圧ロール
4 ガイド要素
5 切断装置
6 加熱装置
7 運動測定装置の光学式センサ
10 制御装置
11 運動測定装置の移動量検出器
12a 電極
12b 対向電極
13 エネルギー源
14 通電部
15 スイッチ
16 温度センサ
17 電気測定装置
20 エネルギー源
100 成形工具