(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】ポリマー粉末の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20240105BHJP
F26B 5/06 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
C08J3/12 A CEY
F26B5/06
(21)【出願番号】P 2021510816
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(86)【国際出願番号】 EP2019071168
(87)【国際公開番号】W WO2020043448
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-22
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペーター ニーポート
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレーナ メルク
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア エンゲル
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-206449(JP,A)
【文献】特表2015-523157(JP,A)
【文献】国際公開第2018/045043(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/12
F26B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
10~30重量%のメタクリル酸メチルと、50~70重量%のアクリル酸メチルと、5~15重量%のメタクリル酸とから重合されたポリマーを15~50重量%含有する水性ポリマー分散液から、凍結乾燥してからその後解砕することによって、40~200μ
mのD50粒子径および1.25以下のハウスナー比を有するポリマー粉末を製造するための方法であって、
a)0.5~3.0g/cm
2
の体積/表面の関係で1つ以上のボウルの中に前記水性ポリマー分散液を充填する工程、
b)前記水性ポリマー分散液が充填された1つ以上のボウルを-35~-50
℃の温度に凍結する工程、
c
)3~0.05mba
rの範囲の真空度、か
つ20℃から前記ポリマーのガラス転移温度Tg以下までの範囲の温度で、水が1%以下のLODに除去されるまで、前記ボウルの中の前記凍結した水性ポリマー分散液を粉末へと凍結乾燥する工程、
d)前記1つ以上のボウルから前記凍結乾燥したポリマー粉末を得る工程、
e)ふるいを通すことによって前記凍結乾燥したポリマー粉末を解砕することで、40~200μmのD50粒子径および1.25以下のハウスナー比を有するポリマー粉末を得る工程、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ポリマーが、20~30重量%のメタクリル酸メチルと、60~70重量%のアクリル酸メチルと、8~12重量%のメタクリル酸とから重合される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマーが、25重量%のメタクリル酸メチルと、65重量%のアクリル酸メチルと、10重量%のメタクリル酸とから重合される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
工程c)における前記凍結乾燥温度が、35~42℃の範囲である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上のボウルが、長
さ20~100cm、幅20~100cm、および高さ2~10cmの幾何学的寸法を有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記ボウルが、鋼
製である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記ボウルが、少なくとも工程b)または工程c)において、あるいはその両方においてメッシ
ュで被覆されており、メッシュ幅が
、10~100μ
mである、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
少なくとも工程c)が、凍結乾燥チャンバーの中で行われる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記凍結乾燥チャンバーの前記加熱が、一体型の床面加熱装置または赤外線加熱装置によって行われる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程e)の前記ふるいが
、300~1000μmのメッシュ幅を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法により得られる、ポリマー粉末
であって、前記ポリマー粉末が、10~25μmのD10、40~100μmのD50、および120~180μmのD90の粒子径を有する、ポリマー粉末。
【請求項12】
タップ密度が、0.45~0.55g/mlである、請求項1
1記載のポリマー粉末。
【請求項13】
かさ密度が、0.35g/mlから最大0.45g/ml未満である、請求項11
または12記載のポリマー粉末。
【請求項14】
前記ポリマー粉末が、1.1~1.25のハウスナー比を有する、請求項11から
13までのいずれか1項記載のポリマー粉末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、10~30重量%のメタクリル酸メチルと、50~70重量%のアクリル酸メチルと、5~15重量%のメタクリル酸とから重合されたポリマーを20~50重量%含有する水性ポリマー分散液から、凍結乾燥してからその後解砕することによって、40~200μmのD50粒子径および1.25以下のハウスナー比を有するポリマー粉末を製造するための方法を開示する。
【0002】
発明の背景
米国特許第5644011号明細書には、医薬品のコーティングおよびバインダー組成物が記載されている。コーティングまたはバインダーは、水性分散液の形態で乳化重合によって製造される(メタ)アクリレートコポリマーであり、これは、コポリマーの総重量100重量%を基準として、(A)約10~25重量%のメタクリル酸、(B)約40~70重量%のアクリル酸メチル、および(C)20~40重量%メタクリル酸メチルの組成を有し得る。
【0003】
EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dは、30重量%の水性分散液の形態の、製薬用途向けの周知の市販の(メタ)アクリレートコポリマー製品である。このコポリマーは、10重量%のメタクリル酸と、65重量%のアクリル酸メチルと、25重量%のメタクリル酸メチルとから重合されており、そのため米国特許第5644011号明細書の実施例B2に対応する。分子量は約280,000g/molである。製品は5~10℃で保管し、凍結から保護することが推奨されている。EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dは数十年もの間入手可能であるものの、対応する粉末製品はこれまでのところ市販されていない。
【0004】
Schmidt, P.C. and Lang S. (ISBN 978-3-7741-1298-8, eBook, Govi-Verlag Pharmazeutischer Verlag GmbH, Eschborn (Germany) 2013) “Pharmazeutische Hilfsstoffe: Eigenschaften; Anwendung und Handelsprodukte, chapter 6.4, p. 111の中には、分散液の凍結乾燥後に得られたポリアクリル酸メチル-co-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸コポリマー(INCI: アクリレーツコポリマー, Drug Master File 13941 (USA)およびCanada DMF 2006-176, CAS 26936-24-3、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dに対応)が、約43℃のガラス転移温度を示すことについて記述されている。
【0005】
発明の概要
粉末製品は、一般的に、水性分散液製品と比較していくつかの長所と短所を有し得る。通常、粉末製品は、分散液と比較して、微生物汚染を起こしにくく、軽量であるという利点を有する。そのため、多くの場合粉末製品の保管および輸送がより容易である。顧客によってニーズが異なる場合があるため、粉末製品および分散液の市場でも需要が存在する。EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D分散液は現在まで数十年にわたって入手可能であるものの、対応する粉末製品はこれまでのところ市販されていない。原則的には、凍結乾燥によってEUDRAGIT(登録商標)FS 30 D分散液から分析特性評価の目的でポリマーを得ることが可能なことが知られている。しかしながら、EUDRAGIT(登録商標)FS 30 D分散液から、製薬において許容される品質で粉末製品を提供でき、かつ大規模でGMP(適正製造基準)条件下で行うことができる詳細なプロセスは知られていない。そのため、そのようなプロセスを提供することが求められている。
【0006】
本発明は、10~30重量%のメタクリル酸メチルと、50~70重量%のアクリル酸メチルと、5~15重量%のメタクリル酸とから重合されたポリマーを15~50重量%含有する水性ポリマー分散液から、凍結乾燥してからその後解砕することによって、40~200μm、好ましくは45~120μmのD50粒子径および1.25以下のハウスナー比を有するポリマー粉末を製造するための方法であって、
a)0.5~3.0g/cm2、好ましくは1~2.5g/cm2の体積/表面の関係で1つ以上のボウルの中に水性ポリマー分散液を充填する工程、
b)水性ポリマー分散液が充填された1つ以上のボウルを-35~-50℃、好ましくは-38~-45℃の温度に凍結する工程、
c)約3~0.05mbar、好ましくは0.8~0.1mbarの範囲の真空度、かつ20℃からポリマーのガラス転移温度Tg以下までの範囲の温度で、水が1%以下のLODに除去されるまで、ボウルの中の凍結した水性ポリマー分散液を粉末へと凍結乾燥する工程、
d)1つ以上のボウルから凍結乾燥したポリマー粉末を得る工程、
e)ふるいを通すことによって凍結乾燥したポリマー粉末を解砕することで、40~200μmのD50粒子径および1.25以下、好ましくは1.1~1.25のハウスナー比を有するポリマー粉末を得る工程、
を含む方法を開示する。
【0007】
発明の詳細な説明
ポリマー
本開示のポリマーは、10~30重量%のメタクリル酸メチルと、50~70重量%のアクリル酸メチルと、5~15重量%のメタクリル酸とから重合される。
【0008】
本開示のポリマー分散液は、好ましくは、20~30重量%のメタクリル酸メチルと、60~70重量%のアクリル酸メチルと、8~12重量%のメタクリル酸とから重合されたポリマーを15~50重量%を含有し得る。最も好ましいポリマーは、25重量%のメタクリル酸メチルと、65重量%のアクリル酸メチルと、10重量%のメタクリル酸とから重合される。25重量%のメタクリル酸メチルと、65重量%のアクリル酸メチルと、10重量%のメタクリル酸とから重合されたポリマーの30重量%水性分散液は、市販製品EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dに対応する。
【0009】
モノマーのパーセント割合は合計100%である。
【0010】
水性ポリマー分散液
工程a)において、凍結乾燥される水性ポリマー分散液は、1つ以上のボウルの中に入れられる。
【0011】
水性ポリマー分散液は、その中に分散された水とポリマー粒子とを含有する。具体的には、水性ポリマー分散液は、10~30重量%のメタクリル酸メチルと、50~70重量%のアクリル酸メチルと、5~15重量%のメタクリル酸とから重合されたポリマーを15~50重量%、好ましくは25~40重量%含有する。
【0012】
好ましくは、水性ポリマー分散液は、20~30重量%のメタクリル酸メチルと、60~70重量%のアクリル酸メチルと、8~12重量%のメタクリル酸とから重合されたポリマーを15~50重量%、好ましくは25~40重量%含有し得る。
【0013】
水性分散液は、微生物汚染に対する防腐剤またはポリマー粒子の凝固を回避するための安定剤または乳化剤のような、少量の、0.1~2重量%の追加的な製薬において許容される賦形剤も含み得る。
【0014】
ボウル
工程a)において、水性ポリマー分散液は、0.5~3.0g/cm2、好ましくは1~2.5g/cm2の体積/表面の関係で1つ以上のボウル(トレイ)の中に入れられる。体積/表面の関係が所定の範囲内にある限り、ボウルの充填量は、例えば輸送性および取扱い性の最適化などの実際のニーズに合わせて調整することができる。大スケールの凍結乾燥機に適した充填量は、ボウル1つあたり1~20リットルまたは2~8リットルの範囲とすることができる。最大10個または300個であってよい多数のボウルを、それぞれ凍結乾燥チャンバー内の1つの大スケール凍結乾燥機の中に入れることができる。
【0015】
ボウルとは、上部が開いている容器と定義することができる。底部は通常平らであり、側面よりも大きい面積を有する。1つ以上のボウルは、言い換えると、(上部が開いている)トレイ、ボックス、皿、ケース、またはチェストと呼ぶこともできる。1つ以上のボウルは、処理工程a)からd)におけるポリマー分散液のための優れた熱伝導率を有する開放容器またはトレイとしての機能を有する。1つ以上のボウルの形態は、凍結乾燥プロセス中に分散液の水を逃がすことができる上側開口部が存在する限り、原則として自由であってよい。実用上の理由からは、1つ以上のボウルの形態は、上部が開いた状態でほぼ平らなように選択することができる。好ましくは、凍結乾燥プロセス中にチャンバー内の利用可能な空間を凍結乾燥機に有効に利用させ、かつ効果的で時間のかからない水の除去のための比較的大きな表面積を提供するために、実質的に長方形の形状が有用である。
【0016】
例えば、適切なボウルは、幾何学的寸法、好ましくは長さ約10~100cm、幅10~100cm、および高さ1~10cmの長さ、幅、および高さの長方形の寸法、好ましくは長さ約30~100、幅10~70cm、および高さ2~8cmの寸法を有し得る。本発明の実施例では、長さ60cm、幅41cm、および高さ3cmの3つの長方形の寸法のボウルが使用された。充填物の高さが2cmの場合、総充填量は、理論上は4920mlと計算される。実際には、約5kgまたは5リットルのEUDRAGIT(登録商標)FS 30 D分散液を、このような種類のボウルの1つに充填することができる。
【0017】
工程a)において、水性ポリマー分散液は、0.5~3.0g/cm2の体積/表面の関係で1つ以上のボウルの中に入れられる。0.5~3.0g/cm2の体積/表面の関係とは、充填物の高さが0.5~3cmであることを意味する。
【0018】
1つ以上のボウルは、ポリマー分散液について、0.5~3.0g/cm2、好ましくは1.0~2.5g/cm2の体積/表面の関係を提供することができる。これにより、水性ポリマー分散液が充填された1つ以上のボウルの効果的な凍結と、凍結乾燥プロセス中の水の効果的な除去が可能になる。
【0019】
好ましくは、ボウルは、ポリマー材料と相互作用したりポリマー材料を汚染したりしない材料から製造されたものである。ボウルは、アルカリ性洗剤と酸性ポリマー分散液に対して化学的に耐性を有する必要がある。好ましい材料はセラミックまたは鋼であり、ステンレス鋼が好ましい。
【0020】
メッシュ
好ましい実施形態では、ボウルは、少なくとも工程b)または工程c)において、あるいはその両方においてメッシュで被覆されている。メッシュは、ボウルの中の乾燥した材料からポリマー粒子が随伴されて凍結乾燥プロセス中に飛び回ることによって凍結乾燥機を汚染することを防止する。適切な材料は、セルロース、ポリエチレン、または好ましい金属(鋼)とすることができる。好ましいメッシュ幅は、約10~100μm、好ましくは約20~50μmとすることができる。Betamesh(登録商標)50が適切なメッシュである。
【0021】
凍結
工程b)では、水性ポリマー分散液が充填された1つ以上のボウルは、-35~-50℃、好ましくは-38~-45℃の温度に凍結される。凍結時間は3~24時間とすることができる。
【0022】
凍結乾燥
工程c)において、凍結した水性ポリマー分散液を粉末へと凍結乾燥することは、ボウルの中で、約3~0.05mbar、好ましくは0.8~0.1mbarの範囲の真空度で、かつ約20℃からポリマーのガラス転移温度Tg以下までの範囲の温度で、水が1%以下のLODに除去されるまで行われる。
【0023】
工程c)は、好ましくは、凍結乾燥チャンバー内で行われる。凍結乾燥チャンバーの加熱は、一体型の床面加熱装置または赤外線加熱装置によって行うことができる。
【0024】
処理時間は、使用する装置と凍結乾燥する分散液の量に依存する。通常、このプロセスは約6~65時間、好ましくは約6~24時間要する場合がある。
【0025】
標準的な凍結乾燥機を使用することができる。凍結乾燥機は、好ましくは凍結乾燥チャンバーを備えている必要がある。好ましくは、凍結乾燥チャンバーの加熱は、一体型の床面加熱装置または赤外線加熱装置によって行われる。
【0026】
真空
工程c)における凍結された水性ポリマー分散液の凍結乾燥は、約3~0.05mbar、好ましくは0.8~0.1mbarの範囲の真空度で行われる。真空度が低すぎると、例えば0.05mbar未満であると、処理時間が長くなりすぎ不経済になる可能性がある。真空度が高すぎると、例えば3mbar超であると、乾燥エネルギーが低すぎて生成物を効率的に乾燥できない可能性がある。
【0027】
ガラス転移温度Tg[℃]
工程c)における凍結された水性ポリマー分散液の凍結乾燥は、20℃からポリマーのガラス転移温度Tg以下までの範囲の温度で行われる。凍結乾燥温度の上限は、ポリマーのガラス転移温度Tgを超えない必要がある。そうでない場合には、ポリマー粒子が一緒に焼結または焼成されて、不均一な粒子径と粒度分布を有する不均一で使用できない生成物が得られる可能性があるためである。その一方で、凍結乾燥温度の下限は20℃以上、好ましくは30℃または35℃以上である必要がある。そうでない場合には、処理時間が長くなりすぎ、結果として不経済になる可能性があるためである。
【0028】
25重量%のメタクリル酸メチルと、65重量%のアクリル酸メチルと、10重量%のメタクリル酸とから重合されたポリマーのガラス転移温度は43℃である。したがって、この特定のポリマーの凍結乾燥は、好ましくは、20~43℃の範囲の温度で、好ましくは35~42℃の範囲の温度で行われる。
【0029】
ガラス転移温度Tgは、DIN EN ISO11357(-1:2017-02)に従ってDSCにより決定することができる。典型的には、10~12mgのサンプル、および20K/minの加熱速度が使用された。温度範囲は-40℃~140℃であった。測定は窒素雰囲気下で行われる。評価は2回目の加熱サイクルに基づいた。表示の値はガラス転移の間隔の平均値である。
【0030】
乾燥減量(LOD)
開示されたプロセスの工程c)では、凍結された水性ポリマー分散液の粉末への凍結乾燥は、ボウルの中で、約3~0.05mbarの範囲、好ましくは0.8~0.1mbarの範囲の真空度、かつ20℃からポリマーのガラス転移温度Tg以下までの範囲の温度で、水が1%以下のLOD(乾燥減量)に除去されるまで行われる。
【0031】
LOD含水量は、米国薬局方40(USP)<921>章方法III(重量分析)に準拠して、および乾燥減量(LOD)<731>の指示の通りに化学物質を準備する個々の学術論文において指示されている通りに進行する化学物質についての手順に従って、ならびに欧州薬局方7.0(EP)2.2.32章にも準拠して、決定することができる。
【0032】
粒子径
粒度分布を決定するためにとてもよく適した測定方法は、レーザー屈折である。市販の機器により、空気中で(Malvern Co. S3.01 Particle Sizer)、または好ましくは液体媒体中で(LOT Co., Galai CIS 1)測定することができる。液体中における測定の前提条件は、ポリマーがその中に溶解しないこと、または測定中に粒子が何等かの別の形で変化しないことである。適切な媒体の例は、高度に希釈された(約0.02%)ポリソルベート80水溶液である。
【0033】
光の回折
粒子径の決定は、米国薬局方36(USP)<429>章および欧州薬局方7.0(EP)2.9.31章に準拠して行うことができる。粒度分布は、レーザー散乱装置(例えばFa. Sympatec GmbH, RODOS乾燥分散ユニットを備えたタイプHELOS)を利用して決定した。レーザー回折法は、粒子径に依存する強度パターンで全ての方向に粒子が光を散乱させる現象に基づいている。適切な液体または気体中に適切な濃度で分散された典型的なサンプルは、通常はレーザーからである単色光源のビームを通過する。粒子によって様々な角度に散乱された光は、多要素検出器によって測定され、その後、後続の分析のために散乱パターンに関する数値が記録される。その後体積粒度分布を形成する不連続な数のサイズ分類に対する総体積の割合を得るために、適切な光学モデルと数学的手順を使用して、数字で表された散乱値が変換される(例えば、D50は50%の積算ふるい下分布に対応する粒子径を表す)。
【0034】
乾燥サンプルは、解凝集のために機械的な力をかける粉末分散機を使用することにより、エアロゾルへと変換された。供給装置は、分散機に一定の質量流量のサンプルを供給する。分散機は、粒子を分散するために圧縮ガスのエネルギー(例えば2bar)または真空への差圧(例えば90~100mbar)を利用する。方法の必要な精度は、サンプル材料の特徴(粉砕されたもの対粉砕されていないもの、頑丈なもの対壊れやすいもの)に依存する。適切な測定条件は、望まれる精度に関連して実験的に確立される。代表的なサンプルの少なくとも3回の検査が行われた。粒度分布パラメータの再現性は次の通りである:分布の中央値(例えばメジアンD50)については、変動係数は10%未満であった。メジアンから離れた値(例えばD10およびD90)については、変動係数は15%を超えなかった。10μm未満の粒子径では、変動係数は2倍であった。
【0035】
ハウスナー比
ハウスナー比とは、タップ密度/かさ密度の商である。1.25以下のハウスナー比は、粉末が緩んで自由流動する状態を特徴付けることができる。本開示のポリマー粉末は、0.45~0.55g/ml、好ましくは0.48~0.52g/mlのタップ密度を示し得る。本開示のポリマー粉末は、0.35g/mlから最大0.45g/ml未満、好ましくは0.38~0.42g/mlのかさ密度を示し得る。
【0036】
かさ密度/タップ密度
かさ密度またはタップ密度の決定は、米国薬局方36(USP)<616>章および欧州薬局方(EP)2.9.15章に準拠して行うことができる。粉末のバルク特性に影響を与える粒子間相互作用は粉末の流動を妨げる相互作用でもあり、かさ密度とタップ密度を比較すると、所定の粉末におけるこれらの相互作用の相対的な重要性を測定することができる。粉末のかさ密度は、「注ぎ入れたままの状態」で測定されるか、測定容器の中に受動的に充填される。タップ密度は、通常、粉末が入っている体積測定シリンダーを一定の距離持ち上げて落下させる装置の中で「タップダウン」後に得られる制限密度である。
【0037】
かさ密度
かさ密度は、メスシリンダーの中に凝集せずに通過した(方法I)、または体積測定装置を通してカップの中に入った(方法II)、粉末サンプルの既知の重量の体積を測定することによって決定される。本記載の発明の目的のために、方法Iのみをかさ密度の決定に利用した。
【0038】
タップ密度
タップ密度は、粉末サンプルが入っているメスシリンダーを機械的にタップすることにより得られる。初期体積を観察した後、シリンダーを機械的にタップし、ほんのわずかしか体積変化が見られなくなるまで体積の読み取りを行う。機械的なタッピングは、シリンダーを持ち上げ、特定の距離だけ自重で落下させることにより行われる。
【0039】
ポリマー粉末
水性ポリマー分散液から、40~200μm、好ましくは45~120μmのD50粒子径と、1.25以下のハウスナー比とを有するポリマー粉末を製造するためのプロセスが開示される。
【0040】
工程d)において、凍結乾燥されたポリマー粉末が得られ、好ましくはアプリケーターまたはシャベルによって、1つ以上のボウルから取り出される。
【0041】
工程e)において、40~200μmのD50粒子径および1.25以下、好ましくは1.1~1.25のハウスナー比を有するポリマー粉末を得るために、凍結乾燥されたポリマー粉末は、好ましくは約300~1000μmのメッシュ幅を有するふるいを通すことによって解砕される。
【0042】
好ましくは、ポリマー粉末は、10~25μmのD10、45~90μmのD50、および120~180μmのD90の粒子径を有し得る。
【0043】
凍結乾燥工程c)から得られたポリマー粉末中の残留含水量は、1.0%以下、好ましくは0.2~0.8%のLODによって特徴付けられる。
【0044】
実施例
分析方法
かさ密度
かさ密度は、凝集せずにメスシリンダーの中に入った粉末サンプルの既知の重量の体積を測定することによって、米国薬局方36(USP)<616>章および欧州薬局方(EP)2.9.15章に準拠して決定した(方法I)。
【0045】
100ml(1mmまで読み取り可能)のシリンダーの中に、圧縮せずに50ml~100mlの見かけ体積を入れ、0.1%の精度で秤量する[M]。粉末サンプルを、必要に応じて圧縮せずに注意深く平らにならし、見かけの不安定な状態の体積[V
0]を最も近い目盛りの単位まで読み取る。かさ密度は、以下の式によりグラム毎ミリリットル[g/ml]で計算される:
【数1】
【0046】
タップ密度
タップ密度は、米国薬局方36(USP)<616>章およびヨーロッパ薬局方(EP)2.9.15章に準拠して、粉末サンプルが入っているメスシリンダーを機械的にタップすることによって決定した。
【0047】
100ml(1mmまで読み取り可能)のシリンダーの中に、圧縮せずに50ml~100mlの間の見かけ体積を入れ、0.1%の精度で秤量する[M]。粉末サンプルを、必要に応じて圧縮せずに注意深く平らにならし、見かけの不安定な状態の体積[V0]を最も近い目盛りの単位まで読み取る。
【0048】
1分あたり250回落下の名目速度での3mm±10%の一定の落下が得られる適切なタップ密度試験機(例えばJV1000; Fa. Copley)を使用して、シリンダーを持ち上げてからその自重で落下させることによりサンプルが入っているシリンダーを機械的にタップした。シリンダーを最初に500回タップし、タップ体積[V
a]を最も近い目盛り単位まで測定した。タッピングをさらに750回繰り返し、タップ体積[V
b]を最も近い目盛り単位まで測定した。差がある場合には、連続する測定間の体積差が2%未満になるまで、必要に応じて段階的に1250回タップを繰り返す必要がある。この最終タップ体積[V
tapped]をタップ密度の計算のために考慮した。かさ密度は、以下の式によりグラム毎ミリリットル[g/ml]で計算した:
【数2】
【0049】
ハウスナー比
ハウスナー比は、タップ密度/かさ密度の商として計算した。
【0050】
粒子径/粒子径分布の測定
光の回折
粒子径の決定は、米国薬局方36(USP)<429>章および欧州薬局方7.0(EP)2.9.31章に準拠して行った。粒度分布は、レーザー散乱装置(例えばFa. Sympatec GmbH, RODOS乾燥分散ユニットを備えたタイプHELOS)を利用して決定した。レーザー回折法は、粒子径に依存する強度パターンで全ての方向に粒子が光を散乱させる現象に基づいている。適切な液体または気体中に適切な濃度で分散された典型的なサンプルは、通常はレーザーからである単色光源のビームを通過する。粒子によって様々な角度に散乱された光は、多要素検出器によって測定され、その後、後続の分析のために散乱パターンに関する数値が記録される。その後体積粒度分布を形成する不連続な数のサイズ分類に対する総体積の割合を得るために、適切な光学モデルと数学的手順を使用して、数字で表された散乱値が変換される(例えば、D50は50%の積算ふるい下分布に対応する粒子径を表す)。
【0051】
乾燥サンプルは、解凝集のために機械的な力をかける粉末分散機を使用することにより、エアロゾルへと変換した。供給装置は、分散機に一定の質量流量のサンプルを供給する。分散機は、粒子を分散するために圧縮ガスのエネルギー(例えば2bar)または真空への差圧(例えば90~100mbar)を利用する。方法の必要な精度は、サンプル材料の特徴(粉砕されたもの対粉砕されていないもの、頑丈なもの対壊れやすいもの)に依存する。適切な測定条件は、望まれる精度に関連して実験的に確立される。代表的なサンプルの少なくとも3回の検査を行った。粒度分布パラメータの再現性は次の通りである:分布の中央値(例えばメジアンD50)については、変動係数は10%未満であった。メジアンから離れた値(例えばD10およびD90)については、変動係数は15%を超えなかった。10μm未満の粒子径では、変動係数は2倍であった。
【0052】
平均含水量は、2回の測定の平均として計算した。含水量の値は、本明細書では、重量/重量(w/w)%として表される。
【0053】
乾燥減量(LOD)
含水量は、米国薬局方36(USP)<921>章方法IIIに準拠して、および乾燥減量(LOD)<731>の指示の通りに化学物質を準備する個々の学術論文において指示されている通りに進行する化学物質についての手順に従って、ならびに欧州薬局方7.0(EP)2.2.32章にも準拠して、決定した。ただし、この方法は、含水量だけでなくサンプル中の他の揮発性成分も測定するという欠点を有している。
【0054】
重量分析法による含水量の検出は、ハロゲン水分計(例えばFa. Mettler Toledo, タイプHG63)を使用して行った。この種の装置は、熱重量分析の原理に従って機能する。つまり、含水量は、サンプルが入っている水を加熱している際に検出された重量減少の代替パラメータにより分析される。
【0055】
検出開始時に、サンプルをアルミニウムボウルに乗せ、アルミニウムボウルの風袋重量を考慮してサンプルの正味重量を検出した。サンプルが2mmを超える平均粒子径を示す場合には、サンプルを破砕する必要がある。ただし、サンプルの準備中の水分損失を避けるために、サンプルへの多すぎるエネルギー取り込みは回避される。必要なサンプルの重量は、望まれる再現性の偏差に依存する。
【0056】
【0057】
その後、サンプルを110℃まで加熱し、ハロゲン水分計のハロゲン加熱モジュールを利用して検出期間中この温度に保った。水分が揮発し、精密天秤がサンプルの重量減少を検出する。50秒当たり1mg未満のサンプルの重量減少によって予め定められた一定の重量が観察されるまでサンプルを乾燥させた(例えばFa. Mettler Toledo, タイプHG63;スイッチオフ基準3)。
【0058】
重量により検出される含水量の分析では、以下の式を利用した:
【数3】
MC=揮発性成分量[%]
DC=乾燥成分量[%]
m
w=湿潤サンプルの重量[g]
m
d=乾燥サンプルの重量[g]
【0059】
含水率の値は、本明細書では重量/重量(w/w)%として表される。
【0060】
例C1、C2、および3
例C1(比較)
工程a)充填
約5kgのEUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dを、幅67cm、深さ55cm、高さ3cmの寸法のアルミニウムボウル(トレイ)の中に注ぎ入れ、体積/表面の関係を1.4[g/cm2]にした。アルミニウムトレイをカバープレートで覆った。この充填処理工程を6回繰り返した。充填は低温貯蔵室で行った。カバープレートは部分的に穴が開いており、Betamesh(登録商標)ステンレス鋼フィルタースクリーンで密封した。
【0061】
工程b)凍結
アルミニウムトレイの凍結は低温貯蔵室で行った。-30℃の生成物温度までの低温凍結の時間を終夜(少なくとも8時間)に設定した。凍結したトレイを凍結乾燥機(G06-3)に移した。
【0062】
工程c)凍結乾燥
凍結乾燥は、乾燥プロセス全体の間1mbarの圧力で行った。80℃の調整された生成物温度は、IR発熱体によって達成した。乾燥の最初の6時間の間は生成物の温度を80℃で一定に保った。その後、生成物温度が20℃になるまで温度の連続的な降温を設定した。総処理時間は16~20時間であった。
【0063】
工程d)凍結乾燥生成物の取得
大気圧まで通気した後、トレイを凍結乾燥機から取り出し、トレイカバーを取り外し、凍結乾燥生成物を得た。得られた粉末は明らかに焼結されており、粗く構造化された外観を有していた。
【0064】
工程e)解砕
明らかに焼結された粗く構造化された生成物を、Kressnerふるいおよび1400μmのふるいインサートを用いて手作業でふるいにかけた。ふるい分析により、約90μmのD10;約210μmのD50;約450μmのD90の粒度分布と、粒子の94~98%が1mmより小さいことが示された。さらに、最終生成物の残留含水量(LOD)は1%未満であった。
【0065】
洗浄
ボウルまたは乾燥トレイの洗浄は、ポリマーの溶解pHよりもわずかに高いわずかにアルカリ性の洗剤を用いて行った。EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dから得られた凍結乾燥ポリマー生成物は、約7またはそれよりわずかに高いpH値で水性媒体中に溶解し始める。分散液のわずかに酸性の挙動とアルカリ性の洗剤のため、トレイは短い製造期間の後にGMP製造を伴わない摩耗と侵食を示す。
【0066】
例C2(比較)
工程a)充填
4.3kgのEUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dを、ペリスタルティックポンプによりボウル(トレイ)の中へポンプ移送した。トレイはカバープレートで覆わなかった。この充填処理工程を112回繰り返した。充填は凍結乾燥機の中で直接行った。
【0067】
工程b)凍結
ボウル(トレイ)の凍結は凍結乾燥機の中で行った。-30℃の生成物温度までの低温凍結の時間を終夜(少なくとも8時間)に設定した。
【0068】
工程c)凍結乾燥
凍結乾燥は、乾燥プロセス全体の間0.8~0.17mbarで行った。調整された生成物温度プロファイルは、10℃で2時間、続いて16℃で2時間、続いて21℃で4時間、続いて27℃で4時間、続いて35℃で20時間に設定した。生成物を取り出す前に、生成物の温度を20℃まで冷却する。総処理時間は45時間であった。エネルギー伝達は床面加熱により行った。
【0069】
工程d)ボウルからの凍結乾燥したポリマー粉末の取得
大気圧まで通気した後、トレイを乾燥機から取り出し、凍結乾燥したポリマー粉末を得た。得られた粉末は、内部に濡れた領域を有する不均一な外観を有していた。
【0070】
工程e)解砕
粒子形状が一様ではなく不均一であり、また高い残留水分量であったことから、ふるい工程を行わなかった。生成物は、乾燥したボウル(トレイ)の中に湿った粉末の汚れを示した。これは、0.5~1.5%の不均一なLODももたらす。含水量が1%を超えると、粉末生成物が不安定になる。
【0071】
例3(本発明)
工程a)充填
約5kgのEUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dを、長さ60cm、幅41cm、高さ3cmの寸法のステンレス鋼ボウル(トレイ)の中に注ぎ入れ、体積/表面の関係を2.0[g/cm2]にした。ステンレス鋼ボウル(トレイ)を、Betamesh(登録商標)ステンレス鋼フィルターふるいで覆われたステンレス鋼フレームからなるステンレス鋼カバープレートで覆った。この充填処理工程を7回繰り返した。充填は凍結乾燥機の中で直接行った。
【0072】
工程b)凍結
ステンレス鋼トレイの凍結は、凍結乾燥機Zirbus(登録商標)Sublimator(登録商標)4*5*6の中で直接行った。-40℃の生成物温度、少なくとも-38℃の生成物温度までの低温凍結の時間は4~6時間に設定した。
【0073】
工程c)凍結乾燥
凍結乾燥は複数の工程で行った。調整された生成物温度プロファイルは、0.5mbarにて40℃で200分間、続いて0.4mbarにて40℃で200分間、続いて0.3mbarにて40℃で400分間、続いて0.2mbarにて40℃で200分間、続いて0.1mbarにて40℃で100分間に設定した。生成物が乾燥しているとみなされるまで(1%未満のLOD、圧力上昇試験で確認)、最後の工程を繰り返した。エネルギー伝達は床面加熱により行った。総処理時間は約42時間であった。生成物を取り出す前に、生成物の温度を20℃まで冷却する。
【0074】
工程d)ボウルからの凍結乾燥したポリマー粉末の取得
0.2μmの滅菌エアフィルターを通して大気圧まで通気した後、トレイを乾燥機から取り出し、トレイカバーを取り外し、凍結乾燥したポリマー生成物を得た。得られた粉末は、乾燥した均質な外観を有していた。
【0075】
工程e)解砕
乾燥した均質な粉末生成物を、Erweka(登録商標)AR 403ふるい機および630μmのふるいインサートにて手作業でふるいにかけた。ふるい分析により、約15~20μmのD10;約60~70mのD50;約160~170μmのD90の粒度分布と、粒子の99%が1mmより小さいことが示された。さらに、最終生成物の残留含水量(LOD)は1%未満であった。かさ密度とタップ密度との関数として決定された1.25のハウスナー比から、生成物の良好な流動特性が示された。
【0076】
洗浄:乾燥トレイを、ポリマーの溶解pH値よりもわずかに高いわずかにアルカリ性の洗剤で洗浄した。EUDRAGIT(登録商標)FS 30 Dから得られた凍結乾燥ポリマー粉末生成物は、約7またはそれよりわずかに高いpH値で水性媒体中に溶解し始める。ステンレス鋼トレイは、ポリマーと洗剤に対して最も優れた耐性を示すカバーである。
【0077】
【0078】
結果:例C1(比較)で得られた生成物は乾燥していたものの、強く不均一に焼結されたため利用不可能であった。D50粒子径は、用途で規定された範囲外である。これは、わずか-30℃の不十分で制御されていない凍結温度と、凍結乾燥プロセスの開始時の80℃という高すぎる凍結乾燥温度が原因である可能性がある。
【0079】
例C2(比較)では、得られた生成物の粒子径が大きすぎる。生成物は不均一であり、内部に濡れている個所が存在する(LOD=0.5~1.5、一部のみ1.0以下)。高い含水量は、保管中の生成物を直接的に不安定にする。この生成物は利用不可能であり、壊しにくい塊を形成する強い傾向を示す。これは、明らかにわずか-30℃の不十分な凍結温度と不完全な乾燥性能によるものである。
【0080】
例3(本発明)で得られた生成物は、乾燥した均一な生成物であり、これは均一な粒度分布を有する製薬用途に適している。