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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】動脈血液ガス収集システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/153 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
A61B5/153 100
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021512860
(86)(22)【出願日】2019-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019049680
(87)【国際公開番号】W WO2020051289
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】62/727,869
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミラン イヴォセビッチ
(72)【発明者】
【氏名】アレキサンダー ジェームズ ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー ブイ.トリス
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クイン
(72)【発明者】
【氏名】リチャード エー.クローネンバーグ
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-520036(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0323142(US,A1)
【文献】特表2005-532096(JP,A)
【文献】特表2013-532550(JP,A)
【文献】特表2002-506665(JP,A)
【文献】特開2004-016297(JP,A)
【文献】特開平10-000188(JP,A)
【文献】特表2017-531782(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0216835(US,A1)
【文献】特開2015-187592(JP,A)
【文献】特開2005-328983(JP,A)
【文献】特開2006-110267(JP,A)
【文献】特開2006-081844(JP,A)
【文献】特開平06-319722(JP,A)
【文献】特開2009-247491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集室を規定する動脈血液収集エレメント、及び、
動脈血液収集エレメントの一部に移動可能に結合できる動脈血液モジュールを備える、動脈血液収集システムであって、
動脈血液モジュールは、
第一末端及び第二末端を有し、第一末端から第二末端への流路を規定するハウジング、
第一末端から延びる針、
針上に移動可能に固定できるキャップ、
第二末端に隣接し、且つ、ハウジングの外側にある混合室、
ハウジングの第一末端と混合室の間の流路内に配置されたサンプル安定化剤、並びに、
ハウジングの一部と係合し、且つ、針の一部が暴露される第一のシールド位置から、針が安全シールドの一部によりシールドされる第二のシールド位置に移動可能な安全シールドを備える動脈血液収集システム。
【請求項2】
安全シールドは、シールド組立体、及び、
アクチュエータがシールド組立体の一部と係合してシールド組立体を第一のシールド位置でロックする第一のアクチュエータ位置から、アクチュエータがシールド組立体を解除し、且つ、安全シールドが自動的に第二のシールド位置に移動する第二のアクチュエータ位置に移動可能なアクチュエータを備える請求項1に記載の動脈血液収集システム。
【請求項3】
アクチュエータは、プッシュボタンを備える請求項2に記載の動脈血液収集システム。
【請求項4】
シールド組立体は、はめ込みシールドを備える請求項2に記載の動脈血液収集システム。
【請求項5】
シールド組立体は、
固定外側シールド、
固定外側シールドと流体連通している中間移動可能シールド、及び、
中間移動可能シールドと流体連通している内側移動可能シールド、とを備え、
中間移動可能シールドは固定外側シールドに対して相対的に移動し、内側移動可能シールドは中間移動可能シールドに対して相対的に移動する請求項2に記載の動脈血液収集システム。
【請求項6】
第一のシールド位置の安全シールドで、内側移動可能シールドは、中間移動可能シールドの内側にはまり込み、且つ、中間移動可能シールドは、固定外側シールドの内側にはまり込む請求項5に記載の動脈血液収集システム。
【請求項7】
第二のシールド位置の安全シールドで、内側移動可能シールドは、中間移動可能シールドから延び、且つ、中間移動可能シールドは、固定外側シールドから延びる請求項5に記載の動脈血液収集システム。
【請求項8】
動脈血液収集システムは、ハウジングの第一末端と混合室の間の流路内に配置された孔を含む材料を更に備え、そして、前記サンプル安定化剤は、前記材料の孔内の乾燥抗凝血剤粉末である請求項1に記載の動脈血液収集システム。
【請求項9】
材料は連続気泡フォームである請求項8に記載の動脈血液収集システム。
【請求項10】
動脈血液モジュールのハウジングは、針と動脈血液収集エレメントの間の流体流路中に通気室を規定する請求項1に記載の動脈血液収集システム。
【請求項11】
動脈血液モジュールは、それを通して空気を通過させ、そして、そこを通過する血液サンプルを防止する通気プラグを更に備え、通気プラグの一部は通気室と流体連通している請求項10に記載の動脈血液収集システム。
【請求項12】
動脈血液モジュールは、第一バルブを更に備え、そして、動脈血液収集エレメントに結合した動脈血液モジュールで、血液サンプルは、針及び第一バルブを経由して、動脈血液収集エレメントの収集室に入り、且つ、
第一バルブは、血液サンプルを、動脈血液モジュールから動脈血液収集エレメントの収集室へ通過させる請求項11に記載の動脈血液収集システム。
【請求項13】
第一バルブは、血液サンプルを、動脈血液収集エレメントの収集室から、動脈血液モジュールへの逆通過を阻止する請求項12に記載の動脈血液収集システム。
【請求項14】
動脈血液モジュールは、第二バルブを更に備え、そして、動脈血液収集エレメントに結合された動脈血液モジュールで、動脈血液収集エレメントの収集室中に含まれる空気及び血液サンプルの一部は、第二バルブを経由して通気室に入る請求項12に記載の動脈血液収集システム。
【請求項15】
動脈血液モジュールは、第一のフィンガーグリップ部分を備える請求項1に記載の動脈血液収集システム。
【請求項16】
動脈血液モジュールは、第二のフィンガーグリップ部分を備え、第一のフィンガーグリップ部分は第二のフィンガーグリップ部分の反対にある請求項15に記載の動脈血液収集システム。
【請求項17】
針は、薄壁針技術により作成された針を含む請求項1に記載の動脈血液収集システム。
【請求項18】
動脈血液収集エレメントは、ストッパー及びプランジャロッドを備えるプランジャロッド組立体を備える請求項1に記載の動脈血液収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本願は、2018年9月6日付で出願の名称「動脈血液ガス収集システム」の米国特許仮出願第62/727,869号の優先権を主張し、この出願の開示全体を引用によって本願に援用する。
【0002】
本開示は、概して、動脈血液収集システムに関する。
【0003】
より詳細には、本開示は、ラジアル動脈(とう骨動脈)スティックに適した動脈血液収集エレメント及び、動脈血液モジュールを備えた、動脈血液収集システムに関する。
【背景技術】
【0004】
動脈血液収集シリンジは、患者の体から動脈血液サンプルを採血及び収集するために使用される。血液サンプルは収集されると、血液サンプルは、最初に血液ガス、そして多くの場合、電解質、代謝産物、及び、患者の症状を示す他の要素に対する診断分析に供される。多様な種類のシリンジが動脈血液サンプルの収集のために工夫されてきており、それらは、例えば、プラスチック又はガラス製シリンジバレルなどの皮下注入シリンジ、空気通気孔付き又はなしのシーリングエラストマーストッパー、及びプランジャーロッドからのエレメントを、主に備える。
【0005】
従来からの動脈血液収集シリンジは、典型的には、採血手続の終了後に針の上を閉じる又は移動する必要がある安全シールド付きの皮下注射針を使用する。そのような安全ガードは、採血手続中にたびたび視線の中にあり、したがって、この微妙な手続中、臨床医の視界を不明瞭にする。
【0006】
従来からの動脈血液収集シリンジは、シリンジにキャップが付けられて収集サンプルから取り込まれた空気泡を出す前に、針の除去が必要とされる別個の通気キャップも有する。
【0007】
抗凝血剤を含む従来からの動脈血液収集シリンジは、典型的には、シリンジ内部に抗凝血剤を充填しており、したがって、使用者は、収集サンプルを回転させ又は混ぜて、全体に抗凝血剤が混合していることを確かめる必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、動脈血液収集エレメントに移動可能に結合できる動脈血液モジュールを提供する。動脈血液モジュールは、ハウジング、針、針上に移動可能に固定できるキャップ、混合室、及び、ハウジングの一部と係合し、且つ、針の一部が暴露される第一のシールド位置から、針が安全シールドの一部によりシールドされる第二のシールド位置に移動可能な安全シールドを備える。1つの実施形態によれば、本開示は、収集室を規定する動脈血液収集エレメント及び、動脈血液収集エレメントの一部に移動可能に結合できる動脈血液モジュールを備える、動脈血液収集システムを含む。
【0009】
例示的な実施形態によれば、本開示の動脈血液収集システムは、ラジアルスティック技術を使用する動脈血液サンプル収集のための新規血液収集デバイスを提供する。本開示のシステムは、ワークフローの工程の数を簡略化し且つ減少させ、一人でデバイス操作を可能にし、より効果的な動脈血液ガス(ABG)収集手段になる、効果的なシステムを提供する。本開示の動脈血液モジュールは、人間工学的タッチポイント、プッシュボタン安全シールド、自動的な抗凝血剤の混合、及び、必要があれば、収集手段の後に空気泡を除去するための一体型の通気孔キャップ、を備える。
【0010】
本開示の一つの実施形態によれば、動脈血液収集システムは、収集室を規定する動脈血液収集エレメント、及び、動脈血液収集エレメントに移動可能に結合できる動脈血液モジュールを備え、動脈血液モジュールは、第一末端及び第二末端を有するハウジング、第一末端から延びる針、針上に移動可能に固定できるキャップ、第二末端に隣接する混合室、並びに、ハウジングの一部と係合し且つ針の一部が暴露される第一のシールド位置から、針が安全シールドの一部によりシールドされる第二のシールド位置に移動可能な安全シールドを備える。
【0011】
一つの形態では、安全シールドは、シールド組立体、及び、アクチュエータが、シールド組立体の一部と係合してシールド組立体を第一のシールド位置でロックする第一のアクチュエータ位置から、アクチュエータが、シールド組立体を解除し、且つ、安全シールドは自動的に第二のシールド位置に移動する第二のアクチュエータ位置に移動可能なアクチュエータを備える。別の形態では、アクチュエータは、プッシュボタンを備える。また、別の形態では、シールド組立体は、はめ込みシールドを備える。一つの形態では、シールド組立体は、固定外側シールド、固定外側シールドと流体連通している中間移動可能シールド、及び、中間移動可能シールドと流体連通している内側移動可能シールド、とを備え、中間移動可能シールドは固定外側シールドに対して相対的に移動し、内側移動可能シールドは中間移動可能シールドに対して相対的に移動する。別の形態では、第一のシールド位置の安全シールドで、内側移動可能シールドは、中間移動可能シールドの内側にはまり込み、中間移動可能シールドは、固定外側シールドの内側にはまり込む。また、別の形態では、第二のシールド位置の安全シールドで、内側移動可能シールドは、中間移動可能シールドから延び、中間移動可能シールドは、固定外側シールドから延びる。一つの形態では、動脈血液モジュールのハウジングは、第一末端から第二末端への流路を規定する。別の形態では、動脈血液モジュールは、ハウジングの第一末端と混合室の間の流路内に配置されたサンプル安定化剤を更に備える。また、別の形態では、動脈血液収集システムは、ハウジングの第一末端と混合室の間の流路内に配置された孔を備えた材料、及び、材料の孔内に乾燥抗凝血剤粉末を備える。一つの形態では、血液サンプルは、材料を通って通過する間、溶解し、そして乾燥抗凝血剤粉末と混合される。別の形態では、材料は連続気泡フォームである。また、別の形態では、サンプル安定化剤は、乾燥抗凝血剤粉末である。一つの形態では、動脈血液モジュールのハウジングは、通気室を規定する。別の形態では、動脈血液モジュールは、それを通して空気を通過させ、そして、そこを通過する血液サンプルを防止する通気プラグを更に備え、通気プラグの一部は通気室と流体連通している。また、別の形態では、動脈血液モジュールは、第一バルブを更に備え、そして、動脈血液収集エレメントに結合した動脈血液モジュールで、血液サンプルは、針及び第一バルブを経由して、動脈血液収集エレメントの収集室に入る。一つの形態では、第一バルブは、血液サンプルを、動脈血液モジュールから動脈血液収集エレメントの収集室へ通過させる。別の形態では、第一バルブは、血液サンプルが、動脈血液収集エレメントの収集室から、動脈血液モジュールへの逆流するのを阻止する。また、別の形態では、動脈血液モジュールは、第二バルブを備え、そして、動脈血液収集エレメントに結合された動脈血液モジュールで、動脈血液収集エレメントの収集室中に含まれる空気及び血液サンプルの一部は、第二バルブを経由して通気室に入る。一つの形態では、空気は、通気プラグ経由で動脈血液モジュールから出ていく。別の形態では、動脈血液モジュールは、第一のフィンガーグリップ部分を備える。また、別の形態では、動脈血液モジュールは、第二のフィンガーグリップ部分を備え、第一のフィンガーグリップ部分は第二のフィンガーグリップ部分の反対にある。一つの形態では、針は薄壁針技術を備える。別の形態では、動脈血液エレメントは、ストッパー及びプランジロッドを備えたプランジロッド組立体を備える。
【0012】
本発明の別の実施形態によると、動脈血液モジュールは、第一末端及び第二末端を有するハウジング、第一末端から延びる針、針上に移動可能に固定できるキャップ、第二末端に隣接する混合室、並びに、ハウジングの一部と係合し且つ針の一部が暴露される第一のシールド位置から、針が安全シールドの一部によりシールドされる第二のシールド位置に移動可能な安全シールドを備える。
【0013】
一つの形態では、動脈血液モジュールは、動脈血液収集エレメントの一部に移動可能に結合できる。別の形態では、動脈血液収集エレメントは、収集室を規定する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示の上述の特徴および利点、ならびに、本開示の他の特徴および利点、ならびに、それらを実現する様式は、添付の図面を伴う本開示の実施例の以下の説明を参照することによって、より明らかになることとなり、本開示自身が、より良好に理解されることとなる。
【0015】
図1】本発明の1つの実施形態による、動脈血液収集システムの斜視図である。
図2】本発明の1つの実施形態による、針上に固定されたキャップと動脈血液モジュールの斜視図である。
図3】本発明の1つの実施形態による、針から除去されたキャップと動脈血液モジュールの斜視図である。
図4】本発明の1つの実施形態による、システムから放出された空気泡と動脈血液収集システムの斜視図である。
図5】本発明の1つの実施形態による、本開示の動脈血液収集システムを使用した第一のステップの斜視図である。
図6】本発明の1つの実施形態による、本開示の動脈血液収集システムを使用した第二のステップの斜視図である。
図7】本発明の1つの実施形態による、本開示の動脈血液収集システムを使用した第三のステップの斜視図である。
図8】本発明の1つの実施形態による、本開示の動脈血液収集システムを使用した第四のステップの斜視図である。
図9】本発明の1つの実施形態による、本開示の動脈血液収集システムを使用した第五のステップの斜視図である。
図10】本発明の1つの実施形態による、動脈血液収集システムの第一の概略図である。
図11】本発明の1つの実施形態による、動脈血液収集システムの第二の概略図である。
図12】本発明の1つの実施形態による、動脈血液収集システムの第三の概略図である。
図13】本発明の1つの実施形態による、第一のシールド位置における安全シールドと、動脈血液モジュールの一部の断面図である。
図14】本発明の1つの実施形態による、第二のシールド位置における安全シールドと、動脈血液モジュールの一部の断面図である。
図15】本発明の別の実施形態による、第一のシールド位置における安全シールドと、動脈血液モジュールの一部の断面図である。
図16】本発明の別の実施形態による、第二のシールド位置における安全シールドと、動脈血液モジュールの一部の断面図である。
図17】本発明の別の実施形態による、第一のシールド位置における安全シールドと、動脈血液モジュールの一部の断面図である。
図18】本発明の別の実施形態による、第二のシールド位置における安全シールドと、動脈血液モジュールの一部の断面図である。
図19】本発明の1つの実施形態による、連続気泡フォーム材料の斜視図である。
図20】本発明の1つの実施形態による、微小構造の全体にわたって分配された乾燥抗凝血性粉末を有する連続気泡フォーム材料の微小構造の顕微鏡的図である。
【0016】
対応する参照した特徴は、いくつかの見解全体にわたって対応する部分を示すものである。本明細書に記載の例示は、本開示の例示的な実施態様を示すものであり、そして、そのような例示は、本開示の範囲をいかなる場合でも制限するものではないということが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明は、当業者が、本発明を実施するために考えられて説明された実施例を製造および使用することを可能にするようにもたらされる。しかし、様々な変更、均等物、変形例、および代替例が、まだあることは当業者にとってすぐにわかるであろう。すべてのそのような変更、変形例、均等物、および代替例は、本発明の精神および範囲内に属することが意図されている。
【0018】
以下の説明の目的のために、それは、図面の図中である向きに置かれるので、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、「横方向」、「縦方向」、および、それらの派生語は、本発明に関係がある。しかし、本発明は、それとは反対のことを明示的に定められている場合を除いて、様々な代替的な変形例を想定し得る。また、添付図面に示され、以下の明細書に説明されている特定の装置は、単に、本発明の例示的な実施例である。したがって、本明細書に開示されている実施例に関する特定の寸法、および、他の物理的な性質は、限定するものとして考慮されるべきでない。
【0019】
本開示は、動脈血液収集エレメントに移動可能に結合できる動脈血液モジュールを提供する。動脈血液モジュールは、ハウジング、針、針上に移動可能に固定できるキャップ、混合室、及び、ハウジングの位置で係合し、且つ、針の一部が暴露される第一のシールド位置から、針が安全シールドの一部によりシールドされる第二のシールド位置に移動可能な安全シールドを備える。1つの実施形態よれば、本開示は、収集室を規定する動脈血液収集エレメント及び、動脈血液収集エレメントに移動可能に結合できる動脈血液モジュールを備えた動脈血液収集システムを備える。
【0020】
1つの実施形態によれば、本開示の動脈血液収集システムは、ラジアルスティック技術を使用した動脈血液サンプル収集のための新規血液収集デバイスを提供する。本開示のシステムは、ワークフローの工程の数を簡略化し且つ減少させ、一人でデバイス操作を可能にし、より効果的な動脈血液ガス(ABG)収集手段になる、効果的なシステムを提供する。本開示の動脈血液モジュールは、人間工学的タッチポイント、プッシュボタン安全シールド、自動的な抗凝血剤の混合、及び、必要があれば、収集手段の後に空気泡を除去するための一体型の通気孔キャップ、を備える。
【0021】
図1~20は、動脈血液サンプル12のような生物学的流体サンプルを受容するように適合されている本開示の動脈血液収集システム10の例示的な実施形態を示す。1つの実施形態によれば、本開示の動脈血液収集システム10は、動脈血液収集エレメント14及び、動脈血液収集エレメント14に移動可能に結合できる動脈血液モジュール16を備える。
【0022】
図1および4~12を参照すると、1つの実施形態によれば、本開示の動脈血液収集エレメント14は、動脈血液サンプル12のような生物学的流体サンプルを受容するように適合され、そして、収集室20を規定する。例示的な実施形態によると、動脈血液収集エレメント14は、ストッパー24及びプランジャロッド26を有するプランジャロッド組立体22を備える。1つの実施形態によれば、動脈血液収集エレメント14は、ルアーロック又はルアースリップの動脈血液ガスシリンジ組立体のような、従来からの動脈血液ガスシリンジ組立体である。本開示の動脈血液モジュール16は、従来からの動脈血液収集エレメント又は動脈血液ガスシリンジ組立体と適合することができる。
【0023】
動脈血液を除去するために本開示のシステム10を使用するとき、動脈圧で血液は、動脈血液収集エレメント14の収集室20内で、通常の環境又は周囲の圧力よりも高く、そして、したがって、動脈血液モジュール16の針32の動脈への挿入で、動脈血液サンプル12は患者から、動脈血液モジュール16を介して、以下により詳細に説明するように、動脈血液収集エレメント14の収集室20内に流れるようになる。このやり方で、本開示のシステム10は、動脈血液圧及び、通気孔動脈血液ガスシリンジストッパーにより自己充填する。
【0024】
図1~20を参照すると、1つの実施形態によれば、本開示の動脈血液モジュール16は、動脈血液収集エレメント14の一部に移動可能に結合でき、且つ、ハウジング30、針32、キャップ34、混合室36、流路37,安全シールド38及び、サンプル安定化剤39を備える。1つの実施形態によれば、ハウジング30は、第一末端46及び第二末端48を備える。1つの実施形態によれば、動脈血液モジュール16のハウジング30は、第一末端46から第二末端48に延びる流路37を規定する。
【0025】
例示的な実施形態によれば、本開示の動脈血液モジュール16は、従来からの方法及び構造を経由して、動脈血液収集エレメント14の一部に移動可能に結合できる。例えば、一つの実施形態によれば、本開示の動脈血液モジュール16は、標準的なルアー結合を経由して、動脈血液収集エレメント14の一部に移動可能に結合できる。
【0026】
有利には、本開示の動脈血液モジュール16は、サンプル安定化剤39との自動的な混合を可能にする。例えば、一つの実施形態によれば、混合室36は、流路37と流体連通して提供される。混合室36及び、サンプル安定化剤39は、動脈血液サンプル12のような生物学的流体サンプルが、最初にサンプル安定化剤39、その後、血液サンプル12を通って進み、そして、サンプル安定化剤39は混合室36を通って進み、そして結果として、そこで、サンプル安定化剤39とサンプル12は好適に混合され、動脈血液収集エレメント14の収集室20中に流れるように配置されるようになる。この方法では、血液サンプル12は、動脈血液モジュール16内で提供され、血液サンプル12内でサンプル安定化剤39との好適な混合のために混合室36を通って通過する前に、抗凝血剤又は他の添加材のようなサンプル安定化剤39と混合されてもよく、そして、その後、安定化されたサンプルは動脈血液収集エレメント14の収集室20に受容され且つ貯蔵される。
【0027】
1つの実施形態によれば、サンプル安定化剤39は、流路37内で、ハウジング30の第一末端46と混合室36の間に配置される。本開示の動脈血液モジュール16は、サンプル安定化剤39と血液サンプル12の消極的且つ迅速な混合を提供する。例えば、動脈血液モジュール16は、血液サンプル12が混合室36を通って流れるので、血液安定化剤のような抗凝血剤又は他の添加材と血液サンプル12を消極的な混合を可能とするための混合室36を備える。
【0028】
サンプル安定化剤は、抗凝血剤又は、例えば、RNA、蛋白質分析物又は、他のエレメントのような血液中の特定のエレメントを保存するためにデザインされた物質であり得る。1つの実施形態によれば、サンプル安定化剤39は、流路37内で、ハウジング30の第一末端46と混合室36の間に配置される。別の実施形態によれば、サンプル安定化剤39は、動脈血液モジュール16のハウジング30内の他の場所に配置されてもよい。
【0029】
図19~20を参照すると、1つの実施形態によれば、動脈血液モジュール16は、ハウジング30の第一末端46と混合室36の間の流路37内に配置される孔42を備える材料40、及び材料40の孔42内にある乾燥抗凝血性粉末44を備える。このやり方で、動脈血液モジュール16は、ヘパリン又はEDTAのような乾燥抗凝血剤を、動脈血液モジュール16の一部の上又はその内に含むことができる。1つの実施形態によれば、材料40は、連続気泡フォームのセル内に分散される乾燥抗凝血剤を含む連続気泡フォームであり、流れを介した混合及び抗凝血剤の取り込みの効率を促進させる。1つの実施形態によれば、サンプル安定化剤39は、乾燥抗凝血剤44である。
【0030】
1つの実施形態によれば、連続気泡フォームは、抗凝血剤で処理して、連続気泡フォームの孔全体に細かく分配された乾燥抗凝血粉末を形成させてもよい。血液サンプル12は動脈血液モジュール16に入るので、血液サンプル12は連続気泡フォームを通って通過し、連続気泡フォームの内側孔構造の全体で利用することができる抗凝血粉末に暴露される。このやり方で、材料40又は連続気泡フォームを通過する間、血液サンプル12は溶解し、そして、乾燥抗凝血粉末と混合される。
【0031】
連続気泡フォームは、血液に不活性でソフトな変形可能な連続気泡フォーム、例えば、BASFから市販されるBasotect(登録商標)フォーム、また、ホルムアルデヒド-メラミン-ナトリウムビサルフェートコポリマーから構成されてもよい、メラミンフォームでもよい。連続気泡フォームは、実質的に熱及び有機溶媒に耐性があり、フィレキシブルで、親水性の連続気泡フォームである。1つの実施形態によれば、フォームは、スポンジ材料を含むことができる。
【0032】
添加剤及び水の液体溶液中にフォームを浸けること、そして、その後、水を蒸発させてフォームの内側構造全体に細かく分配する乾燥添加粉末を形成することにより、抗凝血剤又は他の添加材は、連続気泡フォーム中に導入されてもよい。
【0033】
動脈血液モジュール16は、血液サンプル12が混合室36を通って流れるので、血液安定化剤のような抗凝血剤又は別の添加剤と血液サンプル12の消極的混合を可能にさせる混合室36を備える。1つの実施形態によれば、混合室36は、動脈血液モジュール16のハウジング30の第一末端46及び第二末端48の間に配置される。1つの実施形態によれば、混合室36は、第二末端48に隣接する。
【0034】
混合室36の内側部分は、血液サンプル12が動脈血液モジュール16の流路37を通って通過するため、それが、血液サンプル12を抗凝血剤又は別の添加剤と混合させる限り、いかなる好適な構造又は形状を有してもよい。
【0035】
混合室36は、そこでサンプル12及びサンプル安定化剤39を受け取り、そして、サンプル12内で、サンプル安定化剤39の分配された混合をさせる。混合室36は、サンプル12内で、サンプル安定化剤39の分配された混合をさせ、そして、血液サンプル12のいかなる部分においても非常に高いサンプル安定化剤濃度になることを防止する。これは、血液サンプル12のいかなる部分中においてもサンプル安定化剤39の投与量不足を防止する。混合室36は、血液サンプル12内で、サンプル安定化剤39の分配された混合をさせ、サンプル安定化剤39の略同量又は同濃度が血液サンプル12中の全体にわたって溶けている、例えば、血液サンプル12の前部分から後部分に、サンプル安定化剤39の略同量又は同濃度が血液サンプル12中に溶けている。
【0036】
図1~20を参照すると、1つの実施形態によれば、動脈血液モジュール16は、ハウジング30の第一末端46から延びる針32を備える。例示的な実施形態によれば、針は薄壁針技術により作成された針を含む。例えば、本開示の薄壁針技術は、高い流速を維持しつつ、結果として、早い充填時間及び、不快な手段に対する患者の暴露時間の短縮しながら、小さいゲージ針を提供する。
【0037】
図1~20を参照すると、1つの実施形態によれば、動脈血液モジュール16は、針32の上に移動可能に固定した安全キャップ34を備える。安全キャップ34は、採集手続が始まる前に、確実に、針32が完全にカバーされ、且つ、シールドされるようにする。動脈血液モジュール16の使用前に、使用者は、動脈血液モジュール16から安全キャップ34を除去することができる。
【0038】
図1~20を参照すると、1つの実施形態によれば、動脈血液モジュール16は、ハウジング30の一部と係合し、且つ、針32の一部が暴露される第一のシールド位置(図3)から、針32が安全シールド38の一部によりシールドされる第二のシールド位置(図14,16及び18)に移動可能な安全シールド38を備える。
【0039】
有利には、本開示の動脈血液モジュール16の安全シールド38は、使用後の針32の自動シールド化を可能にする。例えば、一つの例示的な実施形態によれば、安全シールド38は、シールド組立体50、及び、アクチュエータ52がシールド組立体50の一部と係合してシールド組立体50を第一のシールド位置(図3)でロックする第一のアクチュエータ位置(図13,15及び17)から、アクチュエータ52がシールド組立体50を解除し、且つ、安全シールド38が自動的に第二のシールド位置(図14,16及び18)に移動する第二のアクチュエータ位置(図14,16及び18)に移動可能なアクチュエータ52を備える。一つの例示的な実施形態によれば、アクチュエータ52は、プッシュボタンを備える。この仕方で、本開示の一体型のプッシュボタン安全シールド38は、手続中に医療従事者の視界を明瞭にしつつ、収集手続が完了した後、ボタンの簡単なプッシュにより、一人で活性化できるデバイスを提供する。このように、本開示の動脈血液モジュール16の安全シールド38は、使用後に針32の自動シールド化を可能にする。例えば、一つの例示的な実施形態によれば、安全シールド38のアクチュエータ52の活性化で、スプリング59は、シールド組立体50の一部に力を加え、安全シールド38の一部により針32がシールドされる第二のシールド位置に安全シールド38を自動的に移動させる。
【0040】
図13~18を参照すると、1つの実施形態によれば、シールド組立体50は、はめ込みシールドを備える。例えば、図13~14を参照すると、1つの例示的な実施形態によれば、シールド組立体50は、固定外側シールド54、固定外側シールド54と流体連通した中間移動可能シールド56、及び、中間移動可能シールド56と流体連通している内側移動可能シールド58、とを備え、中間移動可能シールド56は固定外側シールド54に対して相対的に移動し、内側移動可能シールド58は中間移動可能シールド56に対して相対的に移動する。
【0041】
図13を参照すると、1つの実施形態によれば、第一のシールド位置の安全シールド38で、内側の移動可能なシールド58は、中間移動可能なシールド56の内側にはまり込み、中間移動可能なシールド56は、固定外側シールド54の内側にはまり込む。
【0042】
図14を参照すると、1つの実施形態によれば、第二のシールド位置の安全シールド38で、内側移動可能シールド58は中間移動可能シールド56から延び、そして、中間移動可能シールド56は固定外側シールド54から延びる。
【0043】
1つの例示的な実施形態によれば、安全シールド38のアクチュエータ52の活性化で、スプリング59は、シールド組立体50の一部に力を加え、安全シールド38の一部により針32がシールドされる第二のシールド位置に安全シールド38を自動的に移動させる。例えば、図13を参照すると、第一の位置で、スプリング59は、圧縮された位置で内側シールド58内に配置される。図14を参照すると、安全シールド38のアクチュエータ52の活性化で、スプリング59は、内側シールド58の一部に蓄えた力を出すことが出来、自動的にはめ込みシールド54,56,58を、針32がシールド組立体50の一部によりシールドされている第二のシールド位置に自動的に移動させる。
【0044】
図15~18は、別の例示的な実施形態を示す。図15~16に示された実施形態は、図13~14に示された実施形態に類似する成分を備え、類似する成分は、文字Aに続く参照番号で示されている。図17~18に示される実施形態は、図13~14に示された実施形態に類似する成分を備え、そして、類似する成分は、文字Bに続く参照番号で示されている。簡潔性のために、これらの類似の成分並びに、動脈血液モジュール16A(図15~16)、及び、動脈血液モジュール16B(図17~18)を使用する類似の工程は、図15~16及び図17~18に示された実施形態と関連付けて、全てが検討されるわけではない。
【0045】
有利には、本開示の動脈血液モジュール16は、一体型空気通気システムを可能にし、それは、動脈血液モジュール16内の通気部屋内部に取り込まれた空気泡を追い出すことにより、簡単に空気泡を除去する。例えば、1つの例示的な実施形態によれば、動脈血液モジュール16は、通気室60、通気プラグ62,第一バルブ64、及び第二バルブ66を備える。
【0046】
1つの実施形態によれば、動脈血液モジュール16のハウジング30は、通気室60を規定する。1つの例示的な実施形態によれば、動脈血液モジュール16は、それを通して空気を通過させ、そして、そこを通過する血液サンプル12を防止する通気プラグ62を備え、通気プラグ62の一部は通気室60と流体連通している。この仕方で、動脈血液収集エレメント14内に含まれるいかなる空気泡は、システムの外側に、通気室60を介して、そして、通気プラグ62の外へ追い出すことが出来る。動脈血液モジュール16、通気室60、及び通気プラグ62の構造は、血液サンプル12が動脈血液モジュール16を通って通過することを防止しつつ、動脈血液モジュール16を通って空気を通過させることが出来、そして、疎水性フィルターを備えてもよい。
【0047】
図10~12を参照すると、1つの実施形態によれば、動脈血液モジュール16は、第一バルブ64を備える。1つの例示的な実施形態によれば、動脈血液収集エレメント14に結合された動脈血液モジュール16で、血液サンプル12は、針32及び第一バルブ64を経由して動脈血液収集エレメント14の収集室20に入る。第一バルブ64は、血液サンプル12を、動脈血液モジュール16から動脈血液収集エレメント14の収集室20へ通過させる。第一バルブ64は、血液サンプル12が、動脈血液収集エレメント14の収集室20から、動脈血液モジュール16に逆流するのを阻止する。1つの実施形態によれば、第一バルブ64は、一方向バルブである。
【0048】
1つの実施形態によれば、動脈血液モジュール16は第二バルブ66を備える。1つの例示的な実施形態によれば、動脈血液収集エレメント14に結合された動脈血液モジュール16で、動脈血液収集エレメント14の収集室20中に含まれる空気及び、血液サンプル12の一部は、第二バルブ66を経由して通気室60に入る。1つの実施形態によれば、第二バルブ66は、一方向バルブである。
【0049】
有利には、本開示の動脈血液モジュール16は、デザインされたタッチポイントで人間工学的デザインを提供し、収集手続中に動脈血液モジュール16の正確且つ簡易な取扱いを促進させる。例えば、1つの例示的な実施形態によれば、図1~12を参照しつつ、動脈血液モジュール16は、第一のフィンガーグリップ部分90を備える。別の実施形態によれば、動脈血液モジュール16は、第二のフィンガーグリップ部分92を備え、第一のフィンガーグリップ部分90は、第二のフィンガーグリップ部分92の反対に配置される。
【0050】
図5~9を参照しつつ、動脈血液モジュール16及び動脈血液収集エレメント14を有する本開示の動脈血液収集システム10の使用を、これから述べられる。
【0051】
図5を参照すると、安全キャップ34は、収集手続が始まる前に、動脈血液モジュール16の針32が、確実に完全にカバーされ、そして、シールドされるようにする。動脈血液モジュール16の使用前に、使用者は、図5に示すように、動脈血液モジュール16から安全キャップ34を引っ張り、安全キャップ34を除去することが出来る。
【0052】
図6を参照すると、システム10の針32は、患者の動脈70に挿入される。動脈血液収集システム10の動脈血液収集エレメント14は、上記に述べたように、動脈血圧及び通気動脈血液ガスシリンジストッパーにより、自己充填する。上記のように、動脈血液サンプル12は、患者の動脈70から、動脈血液モジュールを経由して動脈血液収集エレメント14の収集室20に自動的に動くため、動脈血液サンプル12はサンプル安定化剤39と自動的に混合される。
【0053】
図7を参照すると、針32は患者の動脈70から除かれ、そして、安全シールド38は、安全シールド38付の針32を自動的にシールドするアクチュエータ52を押すことにより活性化される。この仕方で、安全シールド38は、安全な取扱い及び、動脈血液モジュール16の廃棄のために針32を安全にカバーするシールド位置にロックされる。
【0054】
図8を参照すると、動脈血液収集システム10は、その後、安全シールドされた針32を上向き配置に向けることにより、垂直に配置される。次に、上記に述べたように、使用者は、動脈血液収集エレメント14のプランジャロッド26を押して、動脈血液収集エレメント14の収集室20から取り込まれた空気泡を、通気室60及び通気プラグ62を経由して動脈血液モジュール16から放出させることが出来る。
【0055】
図9を参照すると、動脈血液モジュール16は、その後、動脈血液収集エレメント14から除かれる。この仕方で、動脈血液モジュール16は、安全に廃棄され、そして、動脈血液収集エレメント14は、サンプル移動及び分析のための動脈血液ガス分析装置80と連動させることも出来る。
【0056】
本開示は、動脈血液収集エレメントに移動可能に結合できる動脈血液モジュールを提供する。動脈血液モジュールは、ハウジング、針、針上に移動可能に固定できるキャップ、混合室、及び、ハウジングの一部と係合し、且つ、針の一部が暴露される第一のシールド位置から、針が安全シールドの一部によりシールドされる第二のシールド位置に移動可能な安全シールドを備える。1つの実施形態によれば、本開示は、収集室を規定する動脈血液収集エレメント及び、動脈血液収集エレメントの一部に移動可能に結合できる動脈血液システムを備える。
【0057】
例示的な実施形態によれば、本開示の動脈血液収集システムは、ラジアルスティック技術を使用する動脈血液サンプル収集のための新規血液収集デバイスを提供する。本開示のシステムは、ワークフローの工程の数を簡略化し且つ減少させ、一人でデバイス操作を可能にし、より効果的な動脈血液ガス(ABG)収集手段になる、効果的なシステムを提供する。本開示の動脈血液モジュールは、人間工学的タッチポイント、プッシュボタン安全シールド、自動的な抗凝血剤の混合、及び、必要があれば、収集手段の後に空気泡を除去するための一体型の通気孔キャップ、を備える。
【0058】
例示的な実施形態によれば、本開示の動脈血液モジュール16は、連続気泡フォーム材料40を備える。別の実施形態によれば、動脈血液収集エレメント14は連続気泡フォーム材料40を備えることができる。
【0059】
本開示は、例示的な設計を有するものとして説明されてきたが、本開示は、本開示の精神および範囲内で、さらに変更され得る。したがって、本出願は、その一般的な原理を使用して、本開示のどんな変形例、使用、または適応も対象として含むように意図されている。さらに、本出願は、本開示からのそのような逸脱を、それに関する当技術分野で既知のまたは慣習的な実務の中に入り、添付の特許請求の範囲の制限内に入るものとして、対象として含めることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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