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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】アニメ映画用ルームシェーダ
(51)【国際特許分類】
   G06T 15/04 20110101AFI20240105BHJP
【FI】
G06T15/04
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021528380
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2019064762
(87)【国際公開番号】W WO2020118097
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/775,830
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/776,336
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596102126
【氏名又は名称】ソニー ピクチャーズ エンターテインメント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】セント クレア ブレット
(72)【発明者】
【氏名】グルブランセン オーレ
【審査官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0372512(US,A1)
【文献】特開2005-122564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/00 - 19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニメ映画用の室内画像の画像データを生成する方法であって、
建物画像の平面の窓を通じて視認できる部屋の室内効果を伝えることを含む第1の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成するステップであって、奥行き内の少なくとも1つの平面層の各層は前記窓と平行かつ窓ガラスの背後の面内に描かれるステップと、
前記第1の室内画像の壁を表す少なくとも1つの壁層を生成するステップと、
前記第1の室内画像の前記少なくとも1つの平面層のうちの1つ又は2つ以上を複製し、前記第1の室内画像の前記少なくとも1つの壁層のうちの1つ又は2つ以上を複製することによって第2の室内画像を生成し、前記少なくとも1つの複製された平面層及び前記少なくとも1つの複製された壁層を修正するステップと、
建物画像を見る人が奥行きの錯覚を感じるように、前記第1の室内画像及び前記第2の室内画像を建物画像の平面にパターンとして適用するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
各平面層の色及び透明度を指定することによって各平面層を定めるステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各平面層の前記色は、同一色の少なくとも1つの領域を使用して指定される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各平面層を検証するステップをさらに含み、各平面層は、少なくとも1つの他の平面層に対して平行であることを試験される、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記室内画像の天井を表す天井層及び前記室内画像の床を表す床層を生成するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記壁層が前記少なくとも1つの平面層のうちの1つ又は2つ以上に対して垂直であることを検証するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第3の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成するステップと、
第4の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成するステップと、
前記第3の室内画像の平面層と前記第4の室内画像の平面層との間の視差オフセットを計算するステップと、
前記第3の室内画像内の少なくとも1つの表面の前記視差オフセットを使用してシェーディング反射を計算するステップと、
をさらに含み、前記第3の室内画像及び前記第4の室内画像は、2つのそれぞれの窓を通じて視認できる単一の繋がった部屋を表す、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の室内画像からの少なくとも1つの平面層及び少なくとも1つの壁層を複製することによって複数の室内画像を生成するステップと、
前記複数の室内画像の各々について前記少なくとも1つの複製された平面層及び前記少なくとも1つの複製された壁層を修正するステップと、
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アニメ映画用の室内画像の画像データを生成するためのルームシェーダであって、
建物画像の平面の窓を通じて視認できる部屋の室内効果を伝えることを含み第1の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成し、奥行き内の少なくとも1つの平面層の各層を前記窓と平行かつ窓ガラスの背後の面内に描く層生成器と、
前記第1の室内画像の壁を表す少なくとも1つの壁層を生成する壁生成器と、
前記第1の室内画像の前記少なくとも1つの平面層のうちの1つ又は2つ以上を複製し、前記第1の室内画像の前記少なくとも1つの壁層のうちの1つ又は2つ以上を複製することによって第2の室内画像を生成し、前記少なくとも1つの複製された平面層及び前記少なくとも1つの複製された壁層を修正するパターン乗算器と、
建物画像を見る人が奥行きの錯覚を感じるように、前記第1の室内画像及び前記第2の室内画像を建物画像の平面にパターンとして適用するパターン適用器と、
を備えることを特徴とするルームシェーダ。
【請求項10】
各平面層の色及び透明度を指定することによって各平面層を定める層規定ユニットをさらに備える、
請求項9に記載のルームシェーダ。
【請求項11】
各平面層の前記色は、同一色の少なくとも1つの領域を使用して指定される、
請求項10に記載のルームシェーダ。
【請求項12】
各平面層を検証する層検証ユニットをさらに備え、各平面層は、少なくとも1つの他の平面層に対して平行であることを試験される、
請求項9に記載のルームシェーダ。
【請求項13】
前記層検証ユニットは、前記壁層が前記少なくとも1つの平面層のうちの1又は2以上に対して垂直であることも検証する、
請求項12に記載のルームシェーダ。
【請求項14】
前記室内画像の天井を表す天井層を生成する天井生成器と、
前記室内画像の床を表す床層を生成する床部生成器と、
をさらに備える請求項9に記載のルームシェーダ。
【請求項15】
視差オフセット計算器と、
反射シェーダと、
をさらに備え、前記層生成器は、第3の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層をさらに生成して、第4の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層をさらに生成し、
前記第3の室内画像及び前記第4の室内画像は、2つのそれぞれの窓を通じて視認できる単一の繋がった部屋を表し、
前記視差オフセット計算器は、前記第3の室内画像の平面層と前記第4の室内画像の平面層との間の視差オフセットを計算し、
前記反射シェーダは、前記第3の室内画像内の少なくとも1つの表面の前記視差オフセットを使用してシェーディング反射を計算する、
請求項9に記載のルームシェーダ。
【請求項16】
前記パターン乗算器は、前記第1の室内画像からの少なくとも1つの平面層及び少なくとも1つの壁層を複製することによって複数の室内画像をさらに生成し、
前記パターン適用器は、前記複数の室内画像の各々について前記少なくとも1つの複製された平面層及び前記少なくとも1つの複製された壁層をさらに修正する、
請求項9に記載のルームシェーダ。
【請求項17】
アニメ映画用の室内画像の画像データを生成するためのコンピュータプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムは実行可能命令を含み、該実行可能命令は、
建物画像の平面の窓を通じて視認できる部屋の室内効果を伝えることを含む第1の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成することと、ここで奥行き内の少なくとも1つの平面層の各層は前記窓と平行かつ窓ガラスの背後の面内に描かれ、
前記第1の室内画像の壁を表す少なくとも1つの壁層を生成することと、
前記第1の室内画像の前記少なくとも1つの平面層を複製し、前記第1の室内画像の前記少なくとも1つの壁層のうちの1つ又は2つ以上を複製することによって第2の室内画像を生成し、前記少なくとも1つの複製された平面層及び前記少なくとも1つの複製された壁層のうちの1つ又は2つ以上を修正することと、
建物画像を見る人が奥行きの錯覚を感じるように、前記第1の室内画像及び前記第2の室内画像を建物画像の平面にパターンとして適用することと、
をコンピュータに行わせる、
ことを特徴とする非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はアニメ映画に関し、具体的には、アニメ映画用ルームシェーダに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータグラフィックスにおけるシェーディングは、数学的に規定されたオブジェクト上に写真のようにリアルな又は定型化された表面をレンダリングするものである。コンピュータは、この目的で特別に書かれたシェーダと呼ばれるソフトウェアを実行して、最終画像における各画素の色及び輝度を計算する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これまで、シェーダは、メモリ制限に起因してレンダリングするのが面倒すぎる実際の形状の代わりに建物の室内の見た目をエミュレートして部屋の錯覚を生み出すように書かれていた。従って、その目的は、実生活で見られる実際の建物内部の見た目又は表面反射を適合させることであった。しかしながら、場合によっては、コミック本及び映画特有のアートワークに適合する抽象的な見た目を作成することが望ましい場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、室内画像の画像データの生成を可能にするものである。
【0005】
1つの実装では、室内画像の画像データを生成する方法を開示する。方法は、第1の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成するステップと、第1の室内画像の壁を表す少なくとも1つの壁層を生成するステップと、第1の室内画像の少なくとも1つの平面層のうちの1つ又は2つ以上を複製し、第1の室内画像の少なくとも1つの壁層のうちの1つ又は2つ以上を複製することによって第2の室内画像を生成し、少なくとも1つの複製された平面層及び少なくとも1つの複製された壁層を修正するステップと、第1の室内画像及び第2の室内画像を建物画像の表面にパターンとして適用するステップと、を含む。
【0006】
1つの実装では、第1の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成するステップが、建物画像の表面の窓を通じて視認できる部屋の室内効果を伝えるステップを含む。1つの実装では、方法が、各平面層の色及び透明度を指定することによって各平面層を定めるステップをさらに含む。1つの実装では、各平面層の色が、同一色の少なくとも1つの領域を使用して指定される。1つの実装では、方法が、各平面層を検証するステップをさらに含み、各平面層は、少なくとも1つの他の平面層に対して実質的に平行であることを試験される。1つの実装では、方法が、室内画像の天井を表す天井層及び室内画像の床を表す床層を生成するステップをさらに含む。1つの実装では、方法が、壁層が少なくとも1つの平面層のうちの1つ又は2つ以上に対して実質的に垂直であることを検証するステップをさらに含む。1つの実装では、方法が、第3の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成するステップと、第4の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成するステップと、第3の室内画像の平面層と第4の室内画像の平面層との間の視差オフセットを計算するステップと、第3の室内画像内の少なくとも1つの表面の視差オフセットを使用してシェーディング反射を計算するステップとをさらに含み、第3の室内画像及び第4の室内画像は、2つのそれぞれの窓を通じて視認できる単一の繋がった部屋を表す。1つの実装では、方法が、第1の室内画像からの少なくとも1つの平面層及び少なくとも1つの壁層を複製することによって複数の室内画像を生成するステップと、複数の室内画像の各々について少なくとも1つの複製された平面層及び少なくとも1つの複製された壁層を修正するステップと、をさらに含む。
【0007】
別の実装では、室内画像の画像データを生成するためのルームシェーダを開示する。ルームシェーダは、第1の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成する層生成器と、第1の室内画像の壁を表す少なくとも1つの壁層を生成する壁生成器と、第1の室内画像の少なくとも1つの平面層のうちの1つ又は2つ以上を複製し、第1の室内画像の少なくとも1つの壁層のうちの1つ又は2つ以上を複製することによって第2の室内画像を生成し、少なくとも1つの複製された平面層及び少なくとも1つの複製された壁層を修正するパターン乗算器と、第1の室内画像及び第2の室内画像を建物画像の表面にパターンとして適用するパターン適用器と、を含む。
【0008】
1つの実装では、層生成器が、建物画像の表面の窓を通じて視認できる部屋の室内効果を伝える。1つの実装では、ルームシェーダが、各平面層の色及び透明度を指定することによって各平面層を定める層規定ユニットをさらに含む。1つの実装では、平面層の色が、同一色の少なくとも1つの領域を使用して指定される。1つの実装では、ルームシェーダが、平面層を検証する層検証ユニットをさらに含み、各平面層は、少なくとも1つの他の平面層に対して実質的に平行であることを試験される。1つの実装では、層検証ユニットが、壁層が少なくとも1つの平面層のうちの1又は2以上に対して実質的に垂直であることも検証する。1つの実装では、ルームシェーダが、室内画像の天井を表す天井層を生成する天井生成器と、室内画像の床を表す床層を生成する床部生成器とをさらに含む。1つの実装では、ルームシェーダが、視差オフセット計算器と、反射シェーダとをさらに含み、層生成器は、第3の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層をさらに生成して、第4の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層をさらに生成し、第3の室内画像及び第4の室内画像は、2つのそれぞれの窓を通じて視認できる単一の繋がった部屋を表し、視差オフセット計算器は、第3の室内画像の平面層と第4の室内画像の平面層との間の視差オフセットを計算し、反射シェーダは、第3の室内画像内の少なくとも1つの表面の視差オフセットを使用してシェーディング反射を計算する。1つの実装では、ルームシェーダが、第1の室内画像からの少なくとも1つの平面層及び少なくとも1つの壁層を複製することによって複数の室内画像をさらに生成するパターン乗算器と、複数の室内画像の各々について少なくとも1つの複製された平面層及び少なくとも1つの複製された壁層をさらに修正するパターン適用器とをさらに含む。
【0009】
別の実装では、室内画像の画像データを生成するためのコンピュータプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を開示する。コンピュータプログラムは実行可能命令を含み、この実行可能命令は、第1の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成することと、第1の室内画像の壁を表す少なくとも1つの壁層を生成することと、第1の室内画像の少なくとも1つの平面層を複製し、第1の室内画像の少なくとも1つの壁層のうちの1つ又は2つ以上を複製することによって第2の室内画像を生成し、少なくとも1つの複製された平面層及び少なくとも1つの複製された壁層のうちの1つ又は2つ以上を修正することと、第1の室内画像及び第2の室内画像を建物画像の表面にパターンとして適用することと、をコンピュータに行わせる。
【0010】
1つの実装では、第1の室内画像の奥行き内に少なくとも1つの平面層を生成することをコンピュータに行わせる実行可能命令が、建物画像の表面の窓を通じて視認できる部屋の室内効果を伝えることをコンピュータに行わせる実行可能命令を含む。
【0011】
本開示の態様を一例として示す本明細書からは、他の特徴及び利点も明らかになるはずである。
【0012】
同じ部分を同じ参照数字によって示す添付図面を検討することにより、本開示の詳細をその構造及び動作の両方に関して部分的に収集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の1つの実装による、アニメ映画用ルームシェーダのブロック図である。
図2】本開示の1つの実装による、平面上に奥行きの錯覚を生み出すアニメ映画のルームシェーディングプロセスのフロー図である。
図3A】本開示の実装によるコンピュータシステム及びユーザの表現である。
図3B】本開示の実装による、ルームシェーディングアプリケーションをホストするコンピュータシステムを示す機能ブロック図である。
図4】本開示の1つの実装による、(図1の)ルームシェーダを用いて(図2の)ルームシェーディングプロセスを使用して作成された室内が挿入された平面を有する建物の画像例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述したように、これまで、アニメ映画用シェーダは、レンダリングするのが面倒すぎる実際の形状の代わりに建物の室内の見た目をエミュレートして部屋の錯覚を生み出すように書かれていた。従って、その目的は、実生活で見られる実際の建物内部の見た目又は表面反射を適合させることであった。しかしながら、場合によっては、コミックブック及び映画特有のアートワークに適合する抽象的な見た目を作成することが望ましい場合もある。
【0015】
本開示のいくつかの実装は、窓を有する建物内の全ての室内形状に適用される、平面上に奥行きの錯覚を生み出すアニメ映画用ルームシェーダを提供する。1つの実装では、ルームシェーダが、奥行き内の複数の層を使用して写実的に示された室内効果を伝える。別の実装では、写実的反射を示す別のシェーダを提供する。これらの説明を読んだ後には、様々な実装及び応用における本開示の実施方法が明らかになるであろう。本明細書では本開示の様々な実装について説明するが、これらの実装は一例として示すものにすぎず、限定ではないと理解されたい。従って、この様々な実装の詳細な説明は、本開示の範囲又は外延を限定するものとして解釈すべきではない。
【0016】
1つの実装では、ルームシェーダが、各室内画像の奥行き内の複数の層を使用して写実的に示された室内効果を伝えることを可能にする。1つの実装では、ルームシェーダが、各室内画像の層として天井、床及び壁も挿入する。企業、住宅及び小売店の内部パターンを表す複数のバージョンの室内画像が生成される。これらのパターンの頻度及びサイズは調整することができ、ブラインド及びカーテンを追加することもできる。
【0017】
1つの実装では、ルームシェーダが、窓ガラスの背後の一連の平面層として室内を描いて古典的なアニメーションスタイルを提供する。1つの実装では、これらの各層が窓に対して実質的に平行な平面内に描かれる。別の実装では、天井、床及び壁(まとめて「壁」と呼ぶ)が窓に対して実質的に垂直な平面内に描かれる。この実装における「実質的に垂直」という用語は、各層について層と窓の間が90度から1度未満であることを意味する。
【0018】
さらなる実装では、各層が同一色のベタ塗りブラシストローク(solid brushstroke)として描かれる。ブラシストロークは、建物の距離が遠ざかるにつれて、1部屋当たりに単一色しか残らなくなるまでより大きな形状に単純化される。さらなる実装では、しばしば複数の隣接する窓に及ぶ繋がった部屋を表すパターンを描くために、ルームシェーダが、簡素化された標準的な室内シェーダのバージョンから開始して側壁を排除する。しかしながら、いくつかの実装では、複数の層が必要であるという理由で視差オフセット(parallax offsets)の計算にUVオフセットが使用される。
【0019】
別の実装では、上述した方法を室内に使用することに加えて、写実的反射を示すために別のシェーダが使用される。反射については、特定のグラフィック形状をペイントした後に、これらを反射材料の表面上で奥行き内に「階層化」して「ダイヤル(dialed)」する。その後、シェーダを使用して(例えば、ガラス及び金属上で)これらの形状及び環境を反射させる。
【0020】
図1は、本開示の1つの実装によるアニメ映画用ルームシェーダ100のブロック図である。1つの実装では、ルームシェーダ100が、層生成器110と、壁生成器120と、視差オフセット計算器130と、反射シェーダ140と、パターン乗算器150と、パターン適用器160とを含む。層生成器110は、少なくとも層規定ユニット112と層検証ユニット114とを含むことができる。
【0021】
図1に示す実装では、アニメ映画用ルームシェーダ100が、窓を有する建物の側面などの平面上に部屋の奥行きの錯覚を生み出すように構成される。1つの実装では、層生成器110が、奥行き内の少なくとも1つの層を使用して写実的に示された室内効果を伝える。1つの実装では、層規定ユニット112が各層を平面として定める。別の実装では、層規定ユニット112が、各層の色及び透明度を指定することによって少なくとも1つの層の各層を定める。従って、1つの実装では、各層が同一色のベタ塗りブラシストロークでペイントされる。ブラシストロークは、建物の距離が遠ざかるにつれて、1部屋当たりに単一色しか残らなくなるまでより大きな形状に単純化される。
【0022】
1つの実装では、層検証ユニット114が、少なくとも1つの層に組み合わさった時の各層の存続性(viability)を検証する。1つの実装では、層検証ユニット114が、各層が部屋の窓(すなわち、最前層)に対して実質的に平行であることも検証する。この実装における「実質的に平行」という用語は、各層について層と窓の間が0度から1度未満であることを意味する。
【0023】
1つの実装では、壁生成器120が、各室内画像の層として天井、床及び壁を挿入する。従って、壁生成器120は、室内画像の壁を表す壁層を生成する壁生成器122と、室内画像の天井を表す天井層を生成するための天井生成器124と、室内画像の床を表す床層を生成する床生成器126とを含む。1つの実装では、層検証ユニット114が、壁生成器120によって生成された天井、床及び壁が部屋の窓に対して実質的に垂直であることを検証する。
【0024】
全ての層(及び壁)が定められ検証されると、パターン乗算器150及びパターン適用器160が協働して、層及び壁として定められ検証された複数のバージョンの室内画像を生成する。従って、生成された複数のバージョンの室内画像は、企業、住宅及び小売店の内部パターンを描くために使用される。1つの実装では、パターン乗算器150がパターンの頻度及びサイズを調整し、パターン適用器160がこのパターンを建物の平面に適用して奥行きの錯覚を生み出す。
【0025】
さらなる実装では、しばしば複数の隣接する窓に及ぶ繋がった部屋を表すパターンを描くために、ルームシェーダが、簡素化された標準的な室内シェーダのバージョンから開始する。しかしながら、いくつかの実装では、視差オフセット計算器130がUVオフセットを使用して視差オフセットを計算する。
【0026】
別の実装では、ルームシェーダ100が、写実的反射を示すために使用される反射シェーダ140を含む。反射については、特定のグラフィック形状をペイントした後に、これらを反射材料の表面上で奥行き内に「階層化」して「ダイヤル」する。その後、反射シェーダ140を使用して(例えば、ガラス及び金属上で)これらの形状及び環境を反射させる。
【0027】
図2は、本開示の1つの実装による、平面上に奥行きの錯覚を生み出すアニメ映画のルームシェーディングプロセス200のフロー図である。1つの実装では、ルームシェーディングプロセス200が、平面層を生成するステップと、壁を生成するステップと、視差オフセットを計算するステップと、反射をシェーディングするステップと、パターンを乗算するステップと、パターンを適用するステップとを含む。さらに、平面層を生成するステップは、少なくとも層規定ステップと、層検証ステップとを含むことができる。
【0028】
1つの実装では、ステップ210において、奥行き内の少なくとも1つの層を使用して写実的に示された室内効果を伝える。1つの実装では、ステップ210が、各層の色及び透明度を指定することによって少なくとも1つの平面層の各層を定めるステップ212を含む。従って、1つの実装では、各層が同一色のベタ塗りブラシストロークを使用してペイントされる。ブラシストロークは、建物の距離が遠ざかるにつれて、1部屋当たりに単一色しか残らなくなるまでより大きな形状に単純化される。ステップ210は、少なくとも1つの層に組み合わさった時の各層の存続性を検証するステップ214をさらに含む。1つの実装では、各層が部屋の窓(すなわち、最前層)に対して実質的に平行であることが検証される。
【0029】
1つの実装では、ルームシェーディングプロセス200が、ステップ220において、各室内画像の層として天井、床及び壁も挿入する。次に、ステップ222において、挿入された天井、床及び壁が部屋の窓に対して実質的に垂直であることを検証する。
【0030】
さらなる実装では、しばしば複数の隣接する窓に及ぶ繋がった部屋を表すパターンを描くために、ルームシェーディングプロセス200が、簡素化された標準的な室内シェーダのバージョンから開始する。しかしながら、いくつかの実装では、ステップ230においてUVオフセットを使用して視差オフセットを計算する。
【0031】
別の実装では、ルームシェーディングプロセス200が、ステップ232において、計算された視差オフセットを使用して写実的反射を示す。反射については、特定のグラフィック形状をペイントした後に、これらを反射材料の表面上で奥行き内に「階層化」して「ダイヤル」(又は調整)する。ステップ234において、(例えば、ガラス及び金属上で)形状及び環境を反射させる。
【0032】
全ての層(及び壁)が定められ検証されると、ルームシェーディングプロセス200は、ステップ240において、層及び壁として定められ検証された複数のバージョンの室内画像を生成する。従って、生成された複数のバージョンの室内画像パターンは、企業、住宅及び小売店の内部パターンを描くために使用される。1つの実装では、ステップ250においてパターンの頻度及びサイズを調整し、ステップ252においてこれらのパターンを建物の平面に適用して奥行きの錯覚を生み出す。
【0033】
図3Aは、本開示の実装によるコンピュータシステム300及びユーザ302の表現である。ユーザ302は、コンピュータシステム300を使用して、図1及び図2のルームシェーダ100及びルームシェーディングプロセス200に関して図示し説明したようにルームシェーディングアプリケーション390を実行する。
【0034】
コンピュータシステム300は、図3Bのルームシェーディングアプリケーション390を記憶して実行する。また、コンピュータシステム300は、ソフトウェアプログラム304と通信することもできる。ソフトウェアプログラム304は、ルームシェーディングアプリケーション390のためのソフトウェアコードを含むことができる。以下でさらに説明するように、ソフトウェアプログラム304は、CD、DVD又はストレージドライブなどの外部媒体にロードすることができる。
【0035】
さらに、コンピュータシステム300は、ネットワーク380に接続することもできる。ネットワーク380は、例えばクライアント-サーバアーキテクチャ、ピアツーピアネットワークアーキテクチャ又はその他のタイプのアーキテクチャなどの様々な異なるアーキテクチャで接続することができる。例えば、ネットワーク380は、ルームシェーディングアプリケーション390内で使用されるエンジン及びデータを協調させるサーバ385と通信することができる。また、ネットワークは、異なるタイプのネットワークとすることもできる。例えば、ネットワーク380は、インターネット、ローカルエリアネットワーク又はローカルエリアネットワークのいずれかの変形形態、ワイドエリアネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、イントラネット又はイーサネット、又は無線ネットワークとすることができる。
【0036】
図3Bは、本開示の実装による、ルームシェーディングアプリケーション390をホストするコンピュータシステム300を示す機能ブロック図である。コントローラ310はプログラマブルプロセッサであり、コンピュータシステム300及びそのコンポーネントの動作を制御する。コントローラ310は、メモリ320又は埋め込みコントローラメモリ(図示せず)から(例えば、コンピュータプログラムの形態の)命令をロードし、これらの命令を実行してシステムを制御する。コントローラ310は、その実行中に、ルームシェーディングアプリケーション390内のエンジン及びデータ抽出器の生成及び構成を可能にするようなソフトウェアシステムをルームシェーディングアプリケーション390に提供する。或いは、このサービスは、コントローラ310内又はコンピュータシステム300内の独立ハードウェアコンポーネントとして実装することもできる。
【0037】
メモリ320は、コンピュータシステム300の他のコンポーネントが使用するデータを一時的に記憶する。1つの実装では、メモリ320がRAMとして実装される。1つの実装では、メモリ320が、フラッシュメモリ及び/又はROMなどの長期的又は永続的メモリも含む。
【0038】
ストレージ330は、コンピュータシステム300の他のコンポーネントが使用するデータを一時的に又は長期にわたって記憶する。例えば、ストレージ330は、ルームシェーディングアプリケーション390が使用するデータを記憶する。1つの実装では、ストレージ330がハードディスクドライブである。
【0039】
媒体装置340は、取り外し可能媒体を受け取って、挿入された媒体に対するデータの読み取り及び/又は書き込みを行う。1つの実装では、例えば媒体装置340が光ディスクドライブである。
【0040】
ユーザインターフェイス350は、コンピュータシステム300のユーザからのユーザ入力を受け入れてユーザ302に情報を提示するためのコンポーネントを含む。1つの実装では、ユーザインターフェイス350が、キーボード、マウス、オーディオスピーカ及びディスプレイを含む。コントローラ310は、ユーザ302からの入力を使用してコンピュータシステム300の動作を調整する。
【0041】
I/Oインターフェイス360は、外部ストレージ又は補助装置(例えば、プリンタ又はPDA)などの対応するI/O装置に接続するための1又は2以上のI/Oポートを含む。1つの実装では、I/Oインターフェイス360のポートが、USBポート、PCMCIAポート、シリアルポート及び/又はパラレルポートなどのポートを含む。別の実装では、I/Oインターフェイス360が、外部装置と無線で通信するための無線インターフェイスを含む。
【0042】
ネットワークインターフェイス370は、イーサネット接続をサポートするRJ-45又は(限定するわけではないが802.11を含む)「Wi-Fi」インターフェイスなどの有線及び/又は無線ネットワーク接続を含む。
【0043】
コンピュータシステム300は、コンピュータシステムに典型的なさらなるハードウェア及びソフトウェア(例えば、電力システム、冷却システム、オペレーティングシステム)も含むが、これらのコンポーネントは、単純化のために図3Bには具体的に示していない。他の実装では、コンピュータシステムの異なる構成(例えば、異なるバス又はストレージ構成、又はマルチプロセッサ構成)を使用することもできる。
【0044】
図4に、本開示の1つの実装による、ルームシェーダを用いてルームシェーディングプロセスを使用して作成された室内が挿入された平面を有する建物の画像例を示す。
【0045】
本明細書に開示した実装の説明は、本発明をあらゆる当業者が実施又は利用できるように行ったものである。当業者には、これらの実装の数多くの修正が容易に明らかになると思われ、また本明細書で定める原理は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく他の実装にも適用することができる。従って、本開示は、本明細書に示す実装に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示する原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲を許容すべきものである。
【0046】
本開示の様々な実装は、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又はこれらの技術の組み合わせで実現される。いくつかの実装は、1又は2以上のコンピュータ装置によって実行される1又は2以上のコンピュータプログラムを含む。一般に、コンピュータ装置は、1又は2以上のプロセッサ、1又は2以上のデータストレージコンポーネント(例えば、揮発性又は不揮発性メモリモジュール、並びにハードディスクドライブ及びフロッピーディスクドライブ、CD-ROMドライブ及び磁気テープドライブなどの永続的光学及び磁気記憶装置)、1又は2以上の入力装置(例えば、ゲームコントローラ、マウス及びキーボード)、並びに1又は2以上の出力装置(例えば、ディスプレイ装置)を含む。
【0047】
コンピュータプログラムは、通常はコンピュータ可読記憶媒体に記憶されて実行時にメモリにコピーされる実行可能コードを含む。このコードは、少なくとも1つのプロセッサがメモリから所定の順序でプログラム命令を読み出すことによって実行される。プログラムコードを実行する場合、コンピュータは、入力装置及び/又は記憶装置からデータを受け取り、データに対して処理を実行し、結果として得られたデータを出力装置及び/又は記憶装置に提供する。
【0048】
さらなる実装では、表面法線の量子化を開示する。アーティストらは、しばしば複雑な外形をより写実的に伝えるように単純な平面に縮小する。しかしながら、外形の縮小は3-Dで行う必要があった。モデルにパターンをペイントすることもできるが、基礎となるシェーディングが依然として滑らかであるため、これらのパターンはいずれかの模様のように見えてしまう。モデルに平面を組み込むと上手くいく場合もあるが、変形時又は異なる距離で見た時に形状がおかしくなることがある。従って、モデルであるかのようにシェーディングを行いながらレンダリング時に修正できるほど柔軟である解決策が必要とされる。上述した問題点の解決策は、表面を平面で構成されているかのように見せ掛けてレンダリングするシェーダを作成することである。
【0049】
法線を平面に見せ掛けることによってレンダリング時に形状を単純化するツールについて書く。すなわち、法線が各軸上で量子化される。1つの実装では、ツールが、ステップ(又はモジュラス)、3-Dラウンディング(格子点のスナッピング)、法線の「緯度経度」マッピング、及びセルノイズという4つの方法を含む。(特に水平及び垂直エッジのパターンを特徴付ける傾向にある単純なステップ及びラウンディングでは)複雑性を加えるために、結果として得られる量子化に他の上流の関数が影響できるようにする入力を追加する。一般に段階法では、このことが量子化前に法線を傾斜させ、又は各軸に沿って周波数にバイアスを掛けることを意味する。ラウンディング法及びセルノイズ法では、ベクトルの長さを操作することが不規則性を加える一般的手法であった。Nの長さが長くなると、(Nの端点を最も近い格子点にスナッピングすることによって形成される)Nと新たなベクトルとの間の角度が減少するため、ベクトルを伸ばすと精度に磨きが掛かる。さらに、軸当たりの周波数を変化させて探索領域を広げる(さらに精度を高める)ようにベクトルを変化させることによって乗算能力を追加し、一定割合のセルポイントのみが法線に影響できる(精度を下げる)ようにする能力を追加する。さらに、セルノイズは、ジッタ、2次的位置及び一連の距離メトリックのためのオプションも提供する。緯度経度マッピングは、より具体的なマッピングに合格する方法を提供するとともに、(フィルタリングをサポートしているため)仮想平面のエッジをラウンディング処理する手段も提供した。
【0050】
当業者であれば、本明細書で説明した様々な例示的なモジュール及び方法ステップは、電子ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせとして実装することができると理解するであろう。このハードウェアとソフトウェアとの互換性を明確に説明するために、本明細書では様々な例示的なモジュール及び方法ステップを一般にこれらの機能の面で説明した。このような機能がハードウェアとして実装されるか、それともソフトウェアとして実装されるかは、システム全体に課せられる特定の用途及び設計制約に依存する。当業者であれば、説明した機能を特定の用途毎に様々な方法で実装することができるが、このような実装決定は、本発明の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈すべきではない。また、モジュール又はステップ内の機能をグループ化しているのは、説明を容易にするためである。本開示から逸脱することなく、特定の機能を1つのモジュール又はステップから別のモジュール又はステップに移行させることもできる。
【0051】
本開示の特定の実装では、必ずしも上述した各実施例の全ての特徴が必要なわけではない。さらに、本明細書に示す説明及び図面は、本発明によって幅広く検討される主題を表すものであると理解されたい。さらに、本開示の範囲は、当業者に明らかになると考えられる他の実装を完全に含み、従って添付の特許請求の範囲以外のものによって限定されるものではないと理解されたい。
【符号の説明】
【0052】
210 奥行き内の少なくとも1つの層を使用して写実的に示された室内効果を伝達
212 各層の色及び透明度を指定することによって各層を規定
214 層に組み合わさった時の各層の存続性を検証
220 各室内画像の層として天井、床及び壁(「壁」)を挿入
222 挿入された壁が部屋の窓に対して実質的に垂直であることを検証
230 UVオフセットを使用して視差オフセットを計算
232 計算された視差オフセットを使用して写実的反射を例示
234 形状及び環境を反射
240 複数バージョンの室内画像パターンを生成
250 パターンの頻度及びサイズを調整
252 平面にパターンを適用
図1
図2
図3A
図3B
図4