(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】シーリングキャップ及びバルブを備えた試料収集システム
(51)【国際特許分類】
G01N 1/10 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N1/10 N
(21)【出願番号】P 2021528452
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(86)【国際出願番号】 US2019062484
(87)【国際公開番号】W WO2020106891
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-08-18
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519255458
【氏名又は名称】スペクトラム・ソリューションズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】SPECTRUM SOLUTIONS L.L.C.
【住所又は居所原語表記】12248 Lone Peak Parkway, #106, Draper, Utah 84020, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ウィリアムズ
(72)【発明者】
【氏名】ネイル ジョンソン
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-021916(JP,A)
【文献】特開2010-213660(JP,A)
【文献】特開2009-031300(JP,A)
【文献】国際公開第2005/120977(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料を収集するシステム(100)であって、
生体試料を受容する開口部
及び接続部材(114)を備えた試料収集容器(102)、
少なくとも部分的に試料収集容器の開口部と連結して配置された選択的に移動可能なバルブ(104)、並びに、
選択的に移動可能なバルブ(104)及び試料収集容器(102)と連結して配置されたシーリングキャップ(110)を備え、
前記選択的に移動可能なバルブ(104)は、
中空本体及び、その側面部分により規定された流体ベント(116)を有するポスト(106)、並びに、
ポスト(106)の遠位部分と連結し且つ、流体ベント(116)と選択的に整合可能な開口(124)を有するバルブヘッド(108)を備え、
前記シーリングキャップ(110)は、試料保存試薬を保存する試薬チャンバ(111)を備え、前記試薬チャンバ(111)はポスト(106)の中空本体と流体連通し、
前記シーリングキャップ(110)は、試料収集容器とシーリングキャップをつなぐために、試料収集容器の接続部材と連結するように配置された相補的な接続部材(112)を備え、
接続部材(114)及び相補的な接続部材(112)はねじ山を備え、そして、相補的な接続部材(112)のねじ山は、シーリングキャップ(110)の内側表面上に配置され、
シーリングキャップ(110)と試料収集容器(102)とを連結させることは、ポスト(106)とバルブヘッド(108)とを物理的再構成させて、流体ベント(116)が、試薬チャンバ(111)と試料収集容器(102)の間を流体連通させるように、バルブヘッド(108)により規定される開口(124)と整合するようになる、
生体試料を収集するシステム。
【請求項2】
物理的再構成は、バルブヘッドに対するポストの回転式再構成を含む、請求項1に記載の生体試料を収集するシステム。
【請求項3】
流体ベントは、選択的に移動可能なバルブが閉じた配置であるとき、バルブヘッドにより妨害され、且つ流体ベントは、選択的に移動可能なバルブが開いた配置であるとき、少なくとも部分的にバルブヘッドに整合している
請求項1又は2に記載の生体試料を収集するシステム。
【請求項4】
ポストは、シーリングキャップの内側部分内に突出部又は戻り止めを連結するように配置された保持リングを備える
請求項1~3の何れか一項に記載の生体試料を収集するシステム。
【請求項5】
一つ以上のポスト又はバルブヘッドは、ポストとバルブヘッドの間のタイト連結を維持するために配置された環状保持部品を備える
請求項1~4の何れか一項に記載の生体試料を収集するシステム。
【請求項6】
バルブヘッドは、流体ベントを規定する側壁部分の近位に配置された上部カラーであって、流体ベントを規定する側壁部分よりも大きい直径を有し、且つ試料収集容器の内側側壁部分と接触するように配置された上部カラーを備える
請求項1~5の何れか一項に記載の生体試料を収集するシステム。
【請求項7】
バルブヘッドとポストの間のシーリング力は、バルブの上部カラーと試料収集容器の内側側壁の間のグリッピング力よりも小さい
請求項6に記載の生体試料を収集するシステム。
【請求項8】
生体試料を収集し且つ保存する方法であって、
請求項1~7の何れか一項に記載の試料収集システムの試料収集容器で生体試料を受容する工程、および、
請求項1に記載の試料収集システムのシーリングキャップを試料収集容器に連結させて、シーリングキャップに連結された選択的に移動可能なバルブを開けさせ、それにより、シーリングキャップ内に保持された試料保存試薬を、試料収集チャンバ中に放出させる工程を備える、方法。
【請求項9】
シーリングキャップを試料収集容器に連結させる工程は、試料収集容器の外側表面に配置された接続部材とシーリングキャップの内側表面に配置された相補的な接続部材とをねじ山を通して係合させることを含む
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
シーリングキャップを試料収集容器に連結させて、シーリングキャップに連結された選択的に移動可能なバルブを開けさせる工程は、連結されたバルブヘッド内でポストを回転させて、バルブヘッドにより規定される開口とポストの流体ベントを少なくとも部分的に整合させることを含む
請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
追加的に、試料収集容器からシーリングキャップを分離させることにより、試料収集容器内で、保存した試料にアクセスする工程を備え、試料収集容器からのシーリングキャップの分離が、シーリングキャップに連結された選択的に移動可能なバルブを開いた配置から閉じた配置に移動させる
請求項8~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
生体試料を収集し且つ保存するキットであって、
試料収集容器(102)、シーリングキャップ(110)及び、
任意選択的に、試料収集容器(102)と連結し且つ使用者から生体サンプルの受領を試料収集容器(102)の試料収集チャンバ(103)中に導くように配置された、漏斗を備え、
前記試料収集容器(102)は、
生体試料を試料収集チャンバ(103)中に受容するように配置されている開口を有する試料収集チャンバ(103)及び、試料収集容器の外側部分に配置された接続部材を備え、
前記シーリングキャップ(110)は、
試料保存試薬を保存する試薬チャンバ(111)及び、試料収集容器(103)の接続部材(112)と係合するよう配置された相補的な接続部材(114)並びに、シーリングキャップ(110)とつながれた選択的に移動可能なバルブ(104)を備え、
選択的に移動可能なバルブ(104)は、試料収集チャンバ(103)と連結するように配置され、
流体ベント(116)をその遠位部分で規定するポスト(106)及び、
ポスト(106)の遠位部分に連結され且つ開口(124)を規定するバルブヘッド(108)を備え、
接続部材(114)及び相補的な接続部材(112)はねじ山を備え、そして、相補的な接続部材(112)のねじ山は、シーリングキャップ(110)の内側表面上に配置され、
選択的に移動可能なバルブ(104)は閉じた配置にあるとき、流体ベントはバルブヘッド(108)との流体タイト連結を形成し、
選択的に移動可能なバルブ(104)が開いた配置にあるとき、流体ベントは少なくとも部分的に開口(124)と整合している、キット。
【請求項13】
生体試料を収集するシステム(100)であって、
生体試料を受容する開口部を備えた試料収集容器(102)、
少なくとも部分的に試料収集容器の開口部と連結して配置された選択的に移動可能なバルブ(104)、並びに、
選択的に移動可能なバルブ(104)及び試料収集容器(102)と連結して配置されたシーリングキャップ(110)を備え、
前記選択的に移動可能なバルブ(104)は、
中空本体及び、その側面部分により規定された流体ベント(116)を有するポスト(106)、並びに、
ポスト(106)の遠位部分と連結し且つ、流体ベント(116)と選択的に整合可能な開口(124)を有するバルブヘッド(108)を備え、
前記シーリングキャップ(110)は、試料保存試薬を保存する試薬チャンバ(111)を備え、前記試薬チャンバ(111)はポスト(106)の中空本体と流体連通し、
ポスト(106)は、シーリングキャップ(110)の内側部分内に突出部又は戻り止め(120)を連結するように配置された保持リング(118)を備え、
シーリングキャップ(110)と試料収集容器(102)とを連結させることは、ポスト(106)とバルブヘッド(108)とを物理的再構成させて、流体ベント(116)が、試薬チャンバ(111)と試料収集容器(102)の間を流体連通させるように、バルブヘッド(108)により規定される開口(124)と整合するようになる、
生体試料を収集するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、生体試料を収集及び保存するためのバイアル並びに容器に関する。より詳細には、本開示は、研究室又は他の生体試料分析施設における将来の試験用の生体試料収集及び保存のためのシステム並びにキットに関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料の現場収集は、科学者、医師、遺伝学者、疫学者又は、同様の従事者にとって、非常に重要なものである。例えば、患者の血液、化膿排出物又はつばの新しいサンプルは、医師又は疫学者が、感染の原因物質を分離又は特定するための助けと成り得る。同様に、つばにより、科学者又は遺伝学者が、遺伝配列、系統型又は、他の遺伝子ベースの研究のために必須の核酸にアクセスすることを可能になる。以下の具体例では、多くの他の状況に加えて、正確な結果の獲得を確実にするために新しい生体試料を処理することが望ましい。しかしながら、証拠となる組成物(例えば、核酸、蛋白質、化学物質など)の分離は、多くは特別な機器の使用及び、多くは制御された研究室条件による利便性を必要とする。
【0003】
適切な器具及び、試料調製のための望ましい制御された環境を有する生体試料収集センターへ患者/個人が出向くことを必要とすることは、不便であり、且つ、時として起こりそうではない。同様に、担当者が、患者/個人に直接的にアクセスすること、特に、サンプルサイズが多い場合及び/又は、(例えば、国全体、民族的人口又は、地理的領域にわたる数千人もの個人の大規模な包括的な研究にみられるように)地理的に多様な場合は困難である。更に、この問題を複雑化させ、獲得された生体試料を迅速に処理することが、多くの場合は有益であり、そして、現場の担当者は、適切な特別の機器又は、高性能試料処理用の制御された環境へのアクセスを欠くことによる限定を受けるかもしれない。
【0004】
いくつかの生体試料収集デバイス及びキットは、上記の問題のいくつかを指摘している。例えば、いくつかの市販キットは、使用者に、生体試料及び、生体試料内で部品を保存するように働き、収集生体試料に添加できる保存試薬を受容するためのバイアルを提供する。しかしながら、自己収集システムの実施は、多くは、受容する容器中に生体試料を預ける経験不足又は訓練不足な個人に依存する。これは、例えば、その後の処理に生体試料を適切に保存にしばしば必要とされる技術的な訓練及び、正確な測定を含む多くの問題を示している。そのようなことなしに、初心使用者により容易に実施出来、そして、その後の処理のために受容生体試料を保存出来る生体試料収集システムを提供することが重要である。
【0005】
したがって、生体試料の収集及び保存システムで多くの不利益が存在することが述べられている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、生体試料を収集し且つ保存するキット、装置及び、方法において、一つ以上の上記又は他の問題を解決する。
【0007】
例えば、一つ以上の実施形態は、生体試料を受容する開口部を備えた試料収集容器、少なくとも部分的に試料収集容器の開口部と連結して配置された選択的に移動可能なバルブ、及び、選択的に移動可能なバルブ及び試料収集容器と連結して配置されたシーリングキャップを備える。
【0008】
一つの態様では、選択的に移動可能なバルブは、中空本体及びその側面部分により規定された流体ベントを有するポスト、並びに、ポストの遠位部分と連結し且つ流体ベントと選択的に整合可能なアパーチャを有するバルブヘッドを備える。
【0009】
一つの態様では、シーリングキャップは、試料保存試薬の測定物を保存する試薬チャンバを備え且つポストの中空本体と流体連通している。
【0010】
一つの態様では、試料収集容器とシーリングキャップとを連結させることは、ポストとバルブヘッドとを物理的再構成させて、流体ベントが、試薬チャンバと試料収集容器の間を流体連通させるようにバルブヘッドにより規定されるアパーチャと整合するようになる。
【0011】
一つの態様では、物理的再構成は、バルブヘッドに対するポストの回転式再構成であるか又は回転式再構成を含む。
【0012】
一つの態様では、試料収集容器は接続部材を備え、そして、シーリングキャップは、試料収集容器とシーリングキャップをつなぐために、試料収集容器の接続部材と連結するように配置された相補的な接続部材を備える。
【0013】
一つの態様では、接続部材は、試料収集容器から離れて突出する隆起部又は、試料収集容器内に陥没部を備え、そして、相補的な接続部材は、接続部材と係合するように形成若しくは成型されたフック又は隆起部を備える。
【0014】
一つの態様では、接続部材及び、相補的な接続部材は、ねじ山を備える。相補的な接続部材のねじ山は、シーリングキャップの内側表面上に配置されてもよい。
【0015】
一つの態様では、流体ベントは、選択的に移動可能なバルブが閉じた配置であるとき、バルブヘッドにより妨害され、そして、流体ベントは、選択的に移動可能なバルブが開いた配置であるとき、少なくとも部分的にバルブヘッドに整合している。
【0016】
一つの態様では、ポストは、シーリングキャップの内側部分内に突出部又は戻り止めを連結するように配置された保持リングを備える。
【0017】
一つの態様では、一つ以上のポスト又はバルブヘッドは、ポストとバルブヘッドの間のタイト連結を維持するために配置された環状保持部品を備える。
【0018】
一つの態様では、バルブヘッドは、流体ベントを規定する側壁部分の近位に配置された上部カラーであって、流体ベントを規定する側壁部分よりも大きい直径を有し、試料収集容器の内側側壁部分と接触するように配置された上部カラーを備える。
【0019】
一つの態様では、バルブヘッドとポストの間のシーリング力は、バルブの上部カラーと試料収集容器の内側側壁部分の間のグリッピング力よりも小さい。
【0020】
本開示の実施形態は、生体試料を収集し且つ保存する方法を含む。例示的な方法は、本明細書に開示の試料収集システムの試料収集容器で生体試料を受容する工程、試料収集システムのシーリングキャップを試料収集容器に連結させて、シーリングキャップに連結された選択的に移動可能なバルブを開けさせ、それにより、シーリングキャップ内に保持された試料保存試薬を、試料収集チャンバ中に放出させる工程を備えることが出来る。
【0021】
一つの態様では、シーリングキャップを試料収集容器に連結させることは、試料収集容器の外側表面に配置された接続部材とシーリングキャップの内側表面に配置された相補的な接続部材とをねじ山を通して係合させることを含む。
【0022】
一つの態様では、シーリングキャップを試料収集容器に連結させて、シーリングキャップに連結された選択的に移動可能なバルブを開けさせることは、連結されたバルブヘッド内でポストを回転させて、バルブヘッドにより規定されるアパーチャとポストの流体ベントを少なくとも部分的に整合させることを含む。
【0023】
一つの態様では、方法は、追加的に、試料収集容器からシーリングキャップを分離させることにより、試料収集容器内で、保存した試料にアクセスする工程を備え、試料収集容器からのシーリングキャップの分離が、シーリングキャップに連結された選択的に移動可能なバルブを開いた配置から閉じた配置に移動させる。
【0024】
本開示の実施形態は、生体試料を収集し且つ保存するキットを追加的に含む。例えば、キットは、試料収集容器、シーリングキャップ及び、試料収集容器と連結し且つ使用者からの生体サンプルの受領を試料収集容器の試料収集チャンバ中に導くように配置された任意選択的漏斗を備えることが出来る。
【0025】
一つの態様では、試料収集容器は、生体試料を試料収集チャンバ中に受容するように配置されている開口を有する試料収集チャンバ及び、試料収集容器の外側部分に配置された接続部材を備える。
【0026】
一つの態様では、シーリングキャップは、試料保存試薬の測定物、試料収集容器の接続部材と係合するよう配置された相補的な接続部材及び、シーリングキャップとつながれた選択的に移動可能なバルブを備える。
【0027】
一つの態様では、選択的に移動可能なバルブは、試料収集チャンバと連結するように配置され、流体ベントをその遠位部分で規定するポスト及び、ポストの遠位部分に連結され且つアパーチャを規定するバルブヘッドを備える。
【0028】
一つの態様では、選択的に移動可能なバルブは閉じた配置にあるとき、流体ベントはバルブヘッドとの流体タイト連結を形成し、選択的に移動可能なバルブが開いた配置にあるとき、流体ベントは少なくとも部分的にアパーチャと整合している。
【0029】
したがって、生体試料を収集するシステム、方法及び、キットが本明細書で開示されている。この要約は、発明の詳細な説明中で以下に更に述べるように、簡略化した形態中の選択概念の導入に提供されたものであり、請求項中の主題事項の必須の特徴又は、不可欠な特徴を特定することを意図するものではなく、まして、請求項中の主題事項の範囲を示すように使用することを意図するものではない。
【0030】
本開示の追加の特徴および利点、以下の説明によって示されることになり、そして、部分的に、本明細書から明らかになるであろうし、また、開示の実施により分かるであろう。この本開示の特徴および利点は、装置及び、請求項の記載に特に示してある組合せによって実現され且つ得ることができる。本開示のこれらの及び、他の特徴は以下の記載及び、特許請求の範囲からより完全に明らかになるであろうし、以下に述べる開示の実施により分かるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本開示の上記に述べた及び他の利点及び特徴が得られるやり方を述べるために、上記の記載の簡潔な開示のより特別な記載が、添付の図面に示されるように、その特別な実施形態を参照することにより提供されることになる。これらの図面は、本開示の典型的な実施形態のみを表すものであり、したがって、その範囲を限定するものと考えるものではない。この開示は、追加の特異性及び、詳細な添付の図面の使用を通して、記述され且つ説明されることになる。
【0032】
【
図1】開いた配置における試料収集容器に固定されて示されたシーリングキャップ及び連結されたバルブを付けた試料収集システムの組立てられた三次元モデルの断面図を示す。
【
図2】閉じた配置で示された選択的に移動可能なバルブの正面図を示す。
【
図3】開いた配置で示された
図2の選択的に移動可能なバルブの正面図を示す。
【
図4】選択的に移動可能なバルブを受容するように配置されたキャップを備えた
図1に示すシステムに類似の試料収集システムの分解正面図を示す。
【
図5C】
図5Bのポストの遠位部分により規定される流体ベントの拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示の実施形態は、生体試料を収集し且つ保存するするシステム、キット及び/又は方法の分野における一つ以上の問題を言及している。生体試料は収集され、そして、その含有物は、多様な理由から、例えば、病気の理由となる原因物質の特定又は同定(例えば、感染した個人の治療のため、疫学的理由のためなど)又は、被験者の核酸の遺伝的分析(例えば、遺伝的系統型、遺伝子発現研究、ゲノムシークエンシングなど)で評価され得る。以下の具体例を含む、最も多くの例で、その証拠となる価値を維持することになるように、生体試料の信頼性が維持されることが望ましい。しかしながら、生体試料は収集し且つ分析のため調製することは、熟練した技能者及び特別の専門家にとって、伝統的には複雑で努力を必要とすることであった。これは、個々に生体試料を収集し且つ輸送することに関連した時間及びコストを含み、特に、被験者が、孤立した田舎の場所に居住し、適した技能を有する従事者からのサービスにより、適切に生体試料を収集し且つ保存することが必要とされるときは、明らかな理由による問題である。
【0034】
本開示の実施形態は、上記問題の一つ以上に言及する、同様のものを使用する試料収集及び保存システム及び、キット、並びに方法を提供する。例えば、本明細書において開示されるように、生体試料を収集及び保存するシステム、キット及び、方法の使用は、生体試料を収集及び当初保存するときに、特別な従事者の必要性をなくす。更に、開示される実施形態は試料の収集及び保存を簡略化させ、生体試料の収集及び保存をするとき、非熟練の使用者が誤りを犯す可能性を減少させる。
【0035】
上記の例示的な具体例のように、本明細書に開示の生体試料の収集キットは、少なくとも2ピースの試料収集及び保存システムを備える。第一の部分は、分離可能に漏斗を連結することが出来る試料収集容器又は容器を備える。使用するとき、漏斗は、使用者から生体試料の受領物を収集容器又は容器の生体収集チャンバ中に導くように働く。漏斗は、使用者が、収集容器を係合し且つ生体試料を試料収集チャンバ中に預けることを容易にさせることも出来る。生体試料の必要量(これは、生体収集容器上の印により示されても良い)を預けた後、使用者は、漏斗を(使用する時)除去し、そして、2ピースの試料保存システムの第二の部分、-例えば、選択的に移動可能なバルブと連結したシーリングキャップ-を収集容器に連結させることが出来る。シーリングキャップの試薬チャンバは、予め決められた量の試料保存試薬で満たされており、そして、シーリングキャップが、収集容器の試料収集チャンバ内で受容された生体試料をシールするように引っ張られるとき、バルブは開いた配置に入り、そして、保存試薬が試薬チャンバから開いたバルブを通って試料収集チャンバ中に放出され、そこで、試薬は混合されて、受容された生体試料を保存する。
【0036】
以下により詳細に記載するように、バルブは、開いて試薬チャンバから試料収集チャンバ中へ試薬を放出させることが出来る。いくつかの実施形態で、選択的に移動可能なバルブの近位部分は、シーリングキャップと機械的に(例えば、摩擦フィットを介して)かみ合ってポストがシーリングキャップと調和して動くようになる。バルブヘッドは、それらの間に流体タイト接続を形成するポストの遠位部分に固定される。バルブヘッドは、試料収集容器の開口内にフィットするように形成及び成型され、そして、試料収集容器(又はそれらに連結した構造)の内側壁と係合するように形成及び成型されて配置されたカラーを備える。シーリングキャップを試料収集容器に連結させることで、バルブキャップは試料収集チャンバに入り、そして、それらの内側壁と係合する。シーリングキャップは、更に、試料収集容器(例えば、ねじ山を通した係合により)に固定されるので、ポストはシーリングキャップとかみ合って動き、そして、バルブキャップは動かないままである。このように、ポストはバルブヘッドに対して移動(例えば、回転)し、(例えば、物理的再構成を受けることにより)選択的に移動可能なバルブを開かせる。バルブキャップに対するポストの独立した動きは、例えば、バルブヘッドと試料収集チャンバとの間の力よりも小さいポストとバルブヘッドとの間(流体タイト接続を形成する)の力(例えば、摩擦力又は機械的にかみ合って克服するために必要とされる力)により可能になり得る。開いた配置に移動するとき、その前はポストにより形成され妨害されていた流体ベントは、バルブヘッドの本体中に形成されたアパーチャと少なくとも部分的に整合し、それにより、シーリングキャップの試薬チャンバから試料収集チャンバ中に試料保存溶液を連通するための溝を作成する。
【0037】
いくつかの実施形態で、選択的に移動可能なバルブの開口部は、可逆的であると理解されるであろう。つまり、選択的に移動可能なバルブは、開いた配置から閉じた配置に移動することが出来る。例えば、開示の装置の実施形態は、試料収集容器からのシーリングキャップの分離により、選択的に移動可能なバルブを閉じさせることが出来るように配置させることが出来る。例示的な場合、試料収集容器からシーリングキャップを緩めることは、ポストをバルブキャップに対して移動させることになる。結果として、バルブキャップ開口及びポスト流体ベントは誤って整合されて、流体ベントはバルブキャップの内側表面で流体タイトシールを形成し、閉じた配置で選択的に移動可能なバルブを配置する。
【0038】
本明細書で提供されている代替的及び/又は、追加的な実施形態に加えて、以下の記載から理解されるように、本開示のシステム、キット及び、方法は、熟練者又は未熟練者が、生体試料の収集及び少なくも初期の保存に関連する誤りの可能性を減少させて使用することが出来る。したがって、本開示の実施は、診断上、科学又は、他の目的のための生体試料の獲得に関連するコストを低減させることが出来、必要なインフラ(例えば、試料収集及び保存に資する制御された環境、生体試料を物理的に収集し、運搬し及び/又は、保存する熟練した従事者など)の構築の必要なしに、潜在的な試料収集地域の地理的範囲を拡大させることが出来る。
【0039】
本明細書で使用する、用語「生体試料」は、診断上、予後的、遺伝上又は他の科学分析のためのいかなる細胞、組織又は、分泌流体(ホスト又は病原体の何れかに関連)を含むことが出来る。例えば、これは、皮膚のようなヒトの細胞を含み得る。細菌、ウィルス、原生動物、真菌、寄生虫及び/又は、他の原核生物又は真核生物、病原体又は、環境微生物を含む、非ヒト細胞試料も含まれる。この用語「生体試料」は、血液、尿、唾液及び、脳脊髄流体のような流体試料を含むと理解され、そして、例えば、鼻咽喉領域及び、下気道領域からの粘液(例えば、たん)を含む他の生体試料に及ぶ。
【0040】
本明細書で使用する、生体試料の用語「証拠となる成分」は、一般的に、生体試料から分離することが出来る、いかなる蛋白質、核酸、表面の一部又は、他の化合物を言う。好ましくは、証拠となる成分は、核酸、より好ましくはDNAであり又は、核酸、より好ましくはDNAを含む。好ましい実施形態で、生体試料は、使用者の遺伝物質(例えば、DNA及びRAN)の好ましい証拠となる成分の形態を含むと推定される、唾液であり、又は唾液を含む。
【0041】
(試料収集システム及び、キット)
一つの実施形態で、生体試料は、試料収集容器中に、多数の部分の試料収集システム又は、キットの一部として、収集され、保存され、そして貯蔵される。システム又は、キットの第1ピースは、試料収集容器を備え、第2ピースは、収集容器とは別々にパッケージされるか又は、収集容器に移動可能に接続された試料収集漏斗を備え、そして、第3ピースは、ポスト及びバルブヘッドから構成される選択的に移動可能なバルブを有するシーリングキャップ並びに、シーリングキャップ内に配置されるか又は、シーリングキャップと一体成型された試薬チャンバを備える。シーリングキャップは、試料収集容器と連結するように配置され、試料保存試薬を移動可能なバルブを通して試料収集容器中に分配し、そして、その中の試料収集チャンバの内容物をシールする。
【0042】
例えば、
図1は、試料収集システム100の組立てられた三次元モデルの断面図を示す。システム100は、試料収集容器102及び、任意選択的に漏斗(図示せず)を備え、それは、試料収集容器102の上部分と連結することが出来、試料収集容器102の試料収集チャンバ103と流体連通する。試料収集システム100は、ポスト106並びに、シーリングキャップ110内に配置されたか又は、シーリングキャップ110と一体成型された試薬チャンバ111を有するシーリングキャップ110と連結されたバルブヘッド108から構成される選択的に移動可能なバルブ104を備えることも出来る。シーリングキャップ110は、-選択的に移動可能なバルブ104と一緒に-、試料収集容器102の上部分に連結するように形成又は成型されて、キャップ110が上にフィットして、そして試料収集チャンバ103の開口部をシールし、且つバルブ104の少なくとも一部(例えば、バルブヘッド108及びポスト106の連結された部分)は、試料収集チャンバ103の開口部中に延びるようになる。
【0043】
いくつかの実施形態で、試薬チャンバ111内の試薬は、精製又は試験の前に生体試料の証拠となる成分の完全性を保護する保存剤又は緩衝溶液を含む。保存試薬は、典型的には、化学溶液及び、一つ以上の塩(例えば、NaCl、 KCl、Na2HPO4、KH2PO4又はその類似物、そして、それらは、幾つかの実施において、従来技術において知られているように、リン酸緩衝生理食塩水溶液と組合せても良い)、溶解剤(例えば、トリトンX-100又は同様のような洗剤)、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N, N,N’ ,N’- 四酢酸(EGTA)又は類似物)、蒸留水又は、公知の他の試薬を含むことが出来る。一つ以上の実施形態で、試薬又は緩衝溶液は、転送、輸送、及び/又は、研究室、クリニック又は、他の場所での保存中、少なくとも試料(例えば、DNA、RNA、蛋白質などのような核酸及び、これらの組合せ)中の少なくとも一つの証拠となる成分を安定化させる。保存溶液を加えた後は、試料は数週間又は数カ月間、室温で又は室温以下で、証拠となる成分の重大な損失なしに保存することが出来る。これは、試料が収集されて、保存溶液中で数週間又は数カ月間の保存後に、診断上、遺伝学的、疫学的又は、他の目的に使用され得るからである。
【0044】
続けて、
図1を参照しつつ、シーリングキャップ110及び、唾液漏斗(図示せず)は、接続機構を使用して試料収集容器102にそれぞれ独立して付けることが出来る。この接続機構は、例えば、
ねじ山、スナップ又はプレスフィット接続、タング及びグラブ部材、差し込み接続若しくは、他のかみ合った又は機械的カップリング機構を備えることが出来る。例えば、漏斗は、相補的接続機構(例えば、相補的な
ねじ山、図示せず)を介して試料収集容器102に最初に付けることが出来る。使用者からの生体試料の受領を促進させた後、漏斗は、相補的な接続機構(例えば、漏斗を回して緩める、図示せず)を逆転させることにより除去することが出来、そして、シーリングキャップ110は、同様又は類似の相補的な接続機構を使用して試料収集容器102に固定することが出来る。例えば、
図1に示すように、シーリングキャップ110は、相補的であり且つ試料収集容器102の外側表面上に配置された接続部材114(例えば、相補的な
ねじ山)とかみ合って働くシーリングキャップ110の内側円周壁上に配置された接続部材112(例えば、
ねじ山)を備えることが出来る。
【0045】
いくつかの実施形態で、漏斗と収集容器の間の接続機構は、溶液キャップと収集容器の間の接続機構とは異なる。例えば、漏斗は、収集容器上にプレスフィット又はスナップフィットされてもよく、一方、溶液キャップは、収集容器の外側部分上及び、溶液キャッの内側部分上に又はその逆に配置された相補的なねじ山の係合を通して回転して固定される。使用する付ける機構にかかわらず、試料保存流体は、試料収集チャンバ103中に導入されることが出来、そして、シーリングキャップ110が試料収集容器102に付けられた結果として、預けられた生体試料と混合される。先に提供されたように、これは、選択的に移動可能なバルブ104が開いたことによるものであり得、そして、試薬を開口バルブにより規定される流体ベント116を通って試料収集チャンバ103中に放出させる。
【0046】
シーリングキャップ110は、試薬チャンバ111中に試薬の測定物を受容するように配置されており、そして、
図1中の組立てられた試料収集システム100の断面図により示されるように、選択的に移動可能なバルブ104は、シーリングキャップ110と連結されている。ポスト106は、シーリングキャップ110中にスナップフィットで受容され得、その間に流体タイト接続を形成する。上記に示すように、ポストは、その中にシーリングキャップ110の内側側壁の突出部120が入り、ポスト106を安定化させる保持リング118を備える。いくつかの実施形態で、突出部120と保持リング118との間の相互作用により、シーリングキャップ110とポスト106との間の流体タイト接続を生じる。追加的に又は代替的に、ポストの上部カラー122は、シーリングキャップ110の本体中又は、試薬チャンバ111中に延び、そして、締まりばめを介して固定され、それにより、試薬チャンバ111とポスト106との間の流体タイト接続を生じさせる。保持リング118は、いくつかの実施形態で、ポスト106をキャップ110で固定し、そして、
ねじ山を通した係合部材により固定された熱可塑性成分に一般的である変形を防止する。
【0047】
図1に更に示したように、ポスト106は、シーリングキャップ110の試薬チャンバ111と流体連通する試薬保持チャンバ107を備える。ポスト106は、流体ベント116を規定し、そして、バルブ104が開いた配置にあるとき、試薬は試薬チャンバ111からベント116を通って試料収集チャンバ103中に移動されてもよい。バルブ104は、開いた配置で整合しているので、
図1に示される。しかしながら、
図2中に示すように、選択的に移動可能なバルブ104は閉じた配置で配列され、そして、この状態でシーリングキャップ110と連結されるとき、試薬チャンバ111中に配置される試薬は、保持され且つ試薬チャンバ111及び試薬保持チャンバ107内でシールされることになる。
【0048】
つまり、
図2中に示すように、流体ベント116は、バルブ104が閉じた配置のとき、選択的に移動可能なバルブ104のバルブヘッド108により妨害される。この状態で、バルブヘッド108の側壁により規定される開口124は、ポスト106の流体ベント116とミス整合し、そして、バルブヘッド108の内側側壁とポスト106の外側側壁の間の相互作用により、-少なくとも流体ベント116で及び/又は、流体ベント116の周りで-、流体タイト接続を生じさせる。バルブヘッド108とポスト106との間の流体タイト接続は、溶液キャップ110から試薬の早すぎる又は意図しない排除を防止する。
【0049】
いくつかの実施形態で、流体ベントは、流体ベントの出口の周りに突出部又は隆起表面を備える。隆起表面は、バルブヘッドの内側表面と相互作用し、流体ベントの出口とバルブヘッドとの間にシーリング力を集中させるように作用し、流体タイトシールを作成する。部品のこの配置は、追加的に、バルブヘッドに対するポストの回転に必要な全体としての回転力を低減させる。更に、流体ベントの出口の周りの隆起表面は、バルブヘッドの開口(例えば、
図3に示すように)とかみ合うように形成又は成型されることも出来、それはバルブの回転を防止するために有効に作用するかもしれない。
【0050】
シーリングキャップ110と試料収集容器102との間の相補的な
ねじ山114,112は、相互に係合し、そして、シーリングキャップ110は、試料収集容器102の方向に進み、バルブヘッド108及び、ポスト106の連結された遠位部分は、試料収集チャンバ103の開口部に導入されるか又は、更に開口部中に延びる。バルブヘッド108のカラー126は、開口124を備えたバルブヘッドの遠位部分よりも大きい直径を有し、そして、この大きい直径のカラー126は、試料収集チャンバ103の開口部内にフィットするように形成又は成型されて、そこで、それらの側壁に係合する。バルブヘッド108とチャンバ側壁の係合に由来する反発力は、ポスト106とバルブヘッド108との間の力よりも大きい。トルク(又は他の力)が溶液キャップ110に適用されて、更に、溶液キャップ110を試料収集容器102に連結させ、ポスト106とバルブヘッド108との間の力は克服され、バルブヘッド108がそれぞれ動かない間、-シーリングキャップと直接結合している-ポスト106を、シーリングキャップに沿って回転させる。したがって、選択的に移動可能なバルブ104は、(
図2中に示すように)閉じた配置から、ポスト106をバルブヘッド108内で回転させて、少なくとも部分的に流体ベント116を開口124と整合させる、(
図1及び
図3中に示すように)開いた配置に配置変換させる。
【0051】
いくつかの実施形態で、バルブヘッド108のチャンバ側壁への係合に由来する反発力は、バルブヘッド108とチャンバ側壁との間に形成された締まりばめの結果である。締まりばめは、いくつかの実施形態で、液体タイトフィットであり得る。
【0052】
図1に更に示すように、バルブヘッド108は、隣接しており且つ、それらの開口部を規定する試料収集チャンバ103のリムにより妨害されるフランジ128を備えることが出来る。これは、バルブヘッド108が試料収集チャンバ103内で完全に進んでしまうことを防止し、そして、いくつかの実施形態で、ポスト106がそれに対して回転する間、バルブヘッド108を固定配置に維持する追加の力を提供することも出来る。いくつかの実施形態で、カラー126は、バルブ104の遠位部分が更に試料収集チャンバ103の開口部中に引っ張られるとき、摩擦力が増加するような角度にされる。このように、ポスト106とバルブヘッド108との間の最初の摩擦に同等の閾値を超えて、ポスト106がバルブヘッド108に対して回転し始めるときまで、バルブヘッド108とチャンバ内壁の間の摩擦力は増加する。ポスト106は、開口124及び流体ベント116が少なくとも部分的に整合して、バルブ104を開いた配置に構造的に再構築させるまで、バルブヘッド108に対して継続して回転することが出来る。試薬チャンバ103中の試薬は、ポスト106の試薬保持チャンバ107から、流体ベント116と開口124を通って、そして試料収集チャンバ103中に、その後、連通され得る。
【0053】
いくつかの実施形態で、選択的に移動可能なバルブ104を開けるために必要な回転距離は、少なくとも部分的に妨害されていない流体ベント116に必要な距離に比例する。この距離は、接続部材114,112の最初の係合から、キャップ110及び容器102のシールの位置への溶液キャップ110が移動する距離と同じか又は短いかもしれない。流体ベント116と開口124は、開いた配置及び閉じた配置の両方において、実質的に同じ平面で整合し、流体ベント116と開口124は、シーリングキャップ110が容器102をシールしているとき、開いた配置に実質的に(又は少なくとも部分的に)整合したままであることが出来る。
【0054】
しかしながら、第一の流体ベント116及び、第一の開口124が
図1-3中に示されているが、いくつかの実施形態で、追加の流体ベント及び/又は、開口が存在してもよい。例えば、第二の流体ベント(図示せず)はポストの反対側上に規定され得る。追加的又は、代替的に、一つ以上の流体ベント及び/又は、開口は、第一の流体ベント及び/又は、開口から、15°、30°、45°、60°、75°、90°、105°、120°、135°、150°、165°又は、180°離れて規定されることが出来、又は、第一の流体ベント及び/又は開口から、時計回り又は、反時計回りに上記の端点のいかなる2つの間の角度で離れて規定され得る。追加的に、流体ベント及び/又は開口は、ポスト及び/又はバルブヘッドのそれぞれに沿って、多様な高さで配置されことが出来る。
【0055】
追加的又は、代替的に、流体ベント及び/又は開口は、異なる形状であるか及び/又は図で示されているよりも異なる角度で整合することが出来る。いくつかの実施形態で、流体ベント及び開口は、試薬チャンバから、そして試料収集チャンバ中へ流れる試薬量の維持を可能にするために十分な一定時間の間、少なくとも部分的に整合している。例えば、流体ベントは、バルブヘッドにより規定され延びた(例えば、バルブヘッドの周りの周辺の部分の4分の一から2分の一延びた)開口に隣接して配置され、バルブヘッド内のポストの回転により、流体ベントは部分的にバルブヘッド側壁により妨害されておらず、そして、開口の部分と整合することになる。試薬は、部分的に妨害されていない流体ベントを通って連通することが出来、そして、ポストが回転しつづけるとき、流体ベントは、本質的に完全に妨害されなくなるまで、継続してより妨害されないようになる。ポストのバルブヘッドに対する継続した回転は、流体ベントが、開口を超えて移動することを可能にさせ、開いた配置を維持する。そのような実施形態は、シーリングキャップ付き容器をシールするための回転距離に対する流体ベント及び開口のスペーシングの正確な調製の必要性を低減させる。
【0056】
いくつかの実施形態で、シーリングキャップを容器に固定することは、バルブヘッドに対するポストの回転を生じさせ、それは、閉じた配置から開いた配置へバルブを移動させる。シーリングキャップを継続して締めることは、ポストを継続して回転させて、流体ベントが開口の長さを移動し、そして、流体ベントがバルブヘッド内側側壁の部分により再び塞がれ、それにより、バルブは開いた配置から閉じた配置に移動することになる。
【0057】
好ましい実施形態で、カラー126と試料収集チャンバ103の側壁との間の直接的な機械的な相互作用は、バルブ104を閉じた配置から開いた配置へ構造上の再配列を可能にする一方、選択的に移動可能なバルブを開く及び/閉じる他の機構が本明細書では予想されている。いくつかの実施形態で、カラーは、突出部又は、試料収集チャンバの側壁付けられた若しくは、その中に形成された部品と係合する他の構造的な特徴を備え、バルブヘッドの回転を防止する。例えば、カラーは、チャンバ内でバルブヘッドの移動を物理的に妨害する突出部又は隆起部に係合する放射状に突出したフィンを備えることが出来る。いくつかの実施形態で、放射状に突出したフィン(又は複数のフィン)が配置され、バルブヘッドは、フィンにより係合され、そして、バルブヘッドを規定された角度に回転させて、シーリングキャップによる容器のシーリングに際して、開口に、バルブヘッドの少なくとも一部を整合させる。いくつかの実施形態で、フィン又は他の構造は、チャンバ側壁内でチャンネル又は鍵穴と係合させ、チャンネル/鍵穴が終了するか又は下側に継続し、試料収集チャンバ内でバルブヘッドを下側に継続して移動させる間、バルブの回転を防止させた後、測定された回転角度でキャップと連動してバルブの回転を可能にさせる。
【0058】
形状に関係なく、選択的に移動可能なバルブ104は、シーリングキャップ110と試料収集容器102との係合に応答して、閉じた配置から開いた配置に構造的に再構築されるように配置される。したがって、溶液キャップ110の試料収集容器102との連結を締めることは、選択的に移動可能なバルブ104を、バルブヘッドがポストに対して回転する開いた配置にさせる。いくつかの実施形態で、方法は可逆的である。つまり、溶液キャップ110の試料収集容器102との連結を緩めることは、ポスト106を反対方向へ回転させて、流体ベント116を妨害し及び/又は、流体ベント116及び、開口124の不整合を生じさせ、それにより、選択的に移動可能なバルブ104を閉じた配置へ戻させる。したがって、本開示の実施態様は、試料収集容器並びに、選択的にそして可逆的にシール、アンシール及び再シールすることができる、試料収集容器をシールリング及びアンシールリングすることと関連しているかそうでないか、選択的に移動可能なバルブを有する試料収集システムを可能にさせる。
【0059】
図4を参照しつつ、
図1に示す3次元モデルの断面図に類似する試料収集システム100の分解正面図が示されている。シーリングキャップ110、ポスト106、バルブヘッド108及び、試料収集容器102のそれぞれは、システム100の各構成の整合された配列を示して、組立てられていない状態で示されている。上記のように、シーリングキャップ110は、複数の外側隆起部130を追加的に備える。外側隆起部130は、試料収集容器102上にキャップ110を配置させながら、シーリングキャップ110をより良好なグリップにさせることが出来る。追加的又は代替的に、外側隆起部130は、回転させ、そして、試料収集容器102上のシーリングキャップ110を閉じるために使用出来る。いくつかの実施形態で、外側隆起部130は、有益的に使用者がシーリングキャップ110により強いトルクを加えるように出来、そして、プロセスの間、使用者により好適なグリップを提供出来る。外側隆起部130は、選択的に移動可能なバルブ104の開閉及び/又は、手動又は自動キャップ除去機構によるような生体試料にアクセスするとき、研究室でシーリングキャップ110の除去をしやすく出来る。
【0060】
図5A-5Cを参照しつつ、ポスト106は、斜視図(
図5A)及び、
図5Cで提供された流体ベント116の拡大図で、正面断面図(
図5B及び5C)に示される。上記に示すように、ポスト106は、1つ以上の先が細くなる領域を備え、そこは、他の部分の中で、ポスト106が、シーリングキャップ110中へ及び、バルブヘッド108中へフィットすることを助ける。例えば、ポスト106は、シーリングキャップ110中にフィットし、(上述したように)その間の流体フィットシールを作成するように形成又は成型された上部カラー122を備える。上記に示すように、上部カラー122は、保持リング118に隣接したより大きい直径で、保持リング118からそれらの近位端の方向へ離れて延びるより小さい直径で、先を細くすることが出来る。上部カラー122のより小さい直径は、試薬チャンバ111(又はポストが固定されたところに対するシーリングキャップ110の他の部分)の直径よりもより小さい直径であり得、それは、有益的に、ポスト106を溶液キャップ110とのより容易な連結を可能にさせる。上部カラー122の直径は、近位端から離れて動くに従い増加するので、試薬チャンバ111(又はポストが固定されたところに対するシーリングキャップ110の他の部分)と連結して締まりばめ又は機械的にかみ合って形成するために十分な直径に達する。いくつかの実施形態で、上部カラー122と連結された試薬チャンバ111(又はポストが固定されたところに対するシーリングキャップ110の他の部分)との間の締まりばめは、流体タイトフィットである。
【0061】
追加的に
図5A-5Cに示すように、ポスト106は、シーリングキャップ110の内側壁の突出部120が入って、シーリングキャップにポスト106を固定するための保持リング118を備える。保持リング118は、代わりに、シーリングキャップ110とポスト106との間に流体タイトフィットを形成するO-リング又は、シーリングキャップ110に対して圧縮出来るエラストマー材料のようなシールを備えることが出来る。
【0062】
ポスト106は、追加的に、バルブヘッド108内でフィットするよう形成又は成型された近位端を備える。上記に述べたように、遠位端は、先が細い外側側壁、環状保持部品132及び、流体ベント116を備える。上記に示すように、流体ベント116は、先が細い外側側壁から離れて延びてもよく、バルブ104が閉じた配置のとき、流体ベント116は、バルブヘッド108の内側表面と接触して、そして、そこで流体タイト連結を形成し、そして、開いた配置のとき、流体ベント116は、バルブヘッド108により形成された開口124中に突き出る。いくつかの実施形態で、流体ベント116は、バルブが閉じた配置のとき、バルブヘッド108の内側側壁にぴったり重なり、そして、少なくとも部分的に開口124と開いた配置でそこで延びずに整合している。いくつかの実施形態で、流体ベント116の曲がりは、バルブヘッド108の内側側面の曲がりと実質的に同じか又は相補的であり、それにより、その間で、流体タイト連結させることが出来る。
【0063】
保持部品132は、追加的に又は代替的に、バルブヘッド108の部分と係合し、開いた配置に入っているバルブ104上で、流体タイト連結がポスト106とバルブヘッド108の間で維持される。いくつかの実施形態で、環状保持部品132は、流体ベント116の近位端に配置され、そして、バルブヘッド108と流体タイト接続を形成する。追加的に又は、代替的に、環状保持部品132は、流体ベント116の遠位端上に配置される。
【0064】
図6A-6Bを参照しつつ、バルブヘッド108の斜視図(
図6A)及び、正面断面図(
図6B)を示す。上記に示すように、バルブヘッド108の開口を規定する内側側壁はポスト106に相補的に先が細くなってもよい。例えば、バルブヘッド108の内側側壁は近位端から遠位端へ、ポスト106と同じ角度又は同じ程度で先が細くなってもよい。そのような実施態様で、バルブヘッド108の内側内壁は、実質的にバルブヘッドの長さ全体に沿って、ポスト106の外側側壁と直接に連結され、そして、その間に締まりばめを形成しても良い。別の具体例として、バルブヘッド108の内側側壁は、近位端から遠位端にポスト106よりも大きな角度又は程度で先が細くなり、ポスト106の部分は、その間で連結されているとき、内側側壁から離れたままでいることが出来る。以下の実施例の何れかで、
図1-3に示すように、追加的に流体タイトフィットでもありえる、締まりばめは、ポスト106とバルブヘッド108の間で形成され、選択的に移動可能なバルブ104を形成する。
【0065】
バルブヘッド108は、バルブヘッド108の内側側壁上に配置された追加的に一つ以上の環状保持部品134、136を備える。例えば、恐らく
図6Bでより良く示されるように、バルブヘッド108は、開口124の遠位側でバルブヘッド108の側壁に配置された第一の環状保持部品134を備える。バルブヘッド108は、追加的に、バルブヘッド108の内側表面で、底に配置された複数の同心の環状保持部品136を備える。環状保持部品134、136は、ポスト106と連結され、いくつかの実施形態で、ポスト106と流体タイト接続を形成する。
【0066】
例えば、環状保持部品134は、ポストの外側側壁と流体タイト締まりばめを形成する側壁突出部であり得る。環状保持部品は、バルブヘッドの周囲の周りの途切れない環状部分であり得、流体タイトシールがバルブとポストの間に形成されることを確実にする。
図6に示すように、環状保持部品134は開口124に遠位的に配置されても良く、反応チャンバからバルブヘッドとポストの間に流体が流れたり又は漏れたりすることを防止し、そして、有益的に、連結された流体ベント付の開口の整合により、開口を介した試料収集チャンバ中への流体の流れを促進させる。
【0067】
いくつかの実施形態で、ポストは、環状保持部品を受容するための相補的チャネル(溝)を備える。いくつかの実施形態で、チャネルは、好ましくは、環状保持部品を受容するように形成又は成型され、そして、そこで、同時に流体タイト接続をその間に提供しつつ環状保持部品の回転を可能にする。代わりに、ポストは、バルブヘッドの環状保持部品と流体タイト接続(例えば、締まりばめを介して)を形成するその自己の環状保持部品を備える。例えば、バルブヘッドが当初にポストに連結されているとき(組立て中)、バルブヘッドの環状保持部品は、バルブヘッド連結環状保持部品の遠位表面と、ポスト連結環状保持部品の近位表面との間に流体タイト接続を作成するポストの環状保持部品を超えてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態で、
図5A-5C、6A及び6Bに示すように、ポスト106及び/又はバルブヘッド108はアーチ形のインデント138,140を備えても良い。両方が存在する場合、バルブヘッド108のアーチ形のインデント140は、ポスト106のアーチ形のインデント138と同じか実質的に同じ外形であり得る。いくつかの実施形態で、アーチ形のインデント138、特にポスト106中に存在するとき、流体ベント116を通って試料保存試薬の流れをより効率的にさせることを助けることが出来、そして、追加的に又は、代替的に、ポスト106の遠位端中に残る(例えば、たまった)試料保存試薬の量を低減させることが出来る。代替的な実施態様で、流体ベントの下の口は、ポストの遠位端の底面により形成される。
【0069】
いくつかの実施形態で、ポスト106、バルブヘッド108、及び/又はいかなる環状保持部品132,134,136は、相互表面間で、締まりばめ、特に、流体タイトシールの形成を可能にし、引っ張った状態で曲げられように配置されたエラスティック(例えば、エラストマー)材料から製造されるか、又はそれらの材料を含んでも良い。追加的に又は、代替的に、ポスト106、バルブヘッド108、及び/又はいかなる環状保持部品132,134,136は、堅い材料(例えば、熱可塑性物質、プラスチック、金属又は合金)から製造されるか、又はそれらの材料を含んでも良い。好ましい実施形態で、ポスト106及びバルブヘッド108の一つは、他の材料よりもよりエラスティック及び/又は堅くない材料から製造されるか、又はそれらの材料を含む。例えば、ポストは、ポリプロピレン又は、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)又は、グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート(PEGT))ここで、バルブヘッドは、ポリエチレン(例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMW)又は、高密度ポリエチレン(HDPE))で作られ得る。材料の特徴は、ポスト106とバルブヘッド108の間の流体タイト接続を可能にさせること及び、更に、選択的に移動可能なバルブ104を開いた配置及び閉じた配置の間で転換を可能にさせる。
【0070】
バルブヘッドがアーチ形のインデント(例えば、
図6のインデント140)を備えた場合の実施態様で、インデントは、ポストの底面を押し付け、そして、相互作用環状保持部品(例えば、部品132,134)の間にシーリング圧を適用しても良い。アーチ形のインデントは、曲げて配置すること、及び、したがって、有益的には、ポスト及びバルブヘッドと連結された部品の外形及び/又は配置に影響を与える製造上の許容性の多様化に拘わらず、ポストとバルブヘッドの間の流体タイト接続を維持するための機構を提供する。
【0071】
(選択的に移動可能なスリーブアームを有する溶液キャップを実施する方法)
図1-6を継続して参照しつつ、本明細書に開示の方法は、生体試料を保存する際に使用する複数部分の試料収集キットを組み立てる方法を含んでも良い。試料収集キットを組み立てることは、溶液キャップ110を調製することを含んでも良い。これは、順次-ポスト106を溶液キャップ110中にプレスフィットさせ、その後、バルブヘッド108をポスト106と流体タイト連結させること、又は、閉じた配置で接続されたポスト106及びバルブヘッド108を備えた予備成型されたバルブ104のように、例えば、溶液キャップ110を測定された試料保存試薬で満たすこと、その後、機械的にバルブ104を溶液キャップ110にかみ合わせること、を含む。したがって、バルブ104の組立は、ポスト106が溶液キャップ110に付けられる前、その間、その後に起こり得る。キットを組立てることは、更に、滅菌生体試料収集容器102及び、任意選択的に、滅菌漏斗、を得ること、並びに、その後の使用者のためのパッケージ中の成分を組合せることを含み得る。
【0072】
使用者により獲得されたとき、上記に記載のキットは、組立てられ、そして、生体試料を保存するために使用することが出来る。具体的な実施で、生体試料は、生体試料収集容器102中に受容される。受容された生体試料は、生体試料チャンバ103中に直接入るか、又は、任意選択的に付属の漏斗の内側側壁にそって、重力の流れを介して導入されても良い。漏斗が使用されるとき、生体試料の受領をさせた後、生体試料収集容器102から漏斗は除かれる。シーリングキャップ110及び連結され閉じられたバルブは、バルブ104の遠位部分を生体試料チャンバ103により規定された開口部へ挿入し、そして、シーリングキャップ110を(例えば、キャップ110と容器102の間に相補的なねじ山112,114に沿ってシーリングキャップ110を回転させることにより)生体試料収集容器102上部の上に固定することにより、生体試料収集容器102と連結されて運ばれる。選択的に移動可能なバルブ104は、シーリングキャップ110が収集容器102上に固定され、バルブ104を閉じた配置から開いた配置へ転換させるとき、配置変換を受ける。シーリングキャップ110内に貯蔵された試薬は、試料収集チャンバ103と連通して、そして、いくつかの実施形態で、収集容器102は振られ又は、そうでなければ、かき回して、保存試薬の全部又は少なくとも一部が収集試料を覆い、そして混合されるようにさせる。試料は、シーリングキャップ110と容器102の間で形成された流体及び/又は空気タイトシールにより、化学的及び生物学的に外側の雰囲気から有益的に保存される。これは、試料汚染の機会を減少させ、そして、プロセシング施設への移動及び/又は保存中に証拠となる成分の完全性を維持することを助ける。
【0073】
具体的な場合、バルブ104の組立て中、バルブヘッド108は、ポスト106と接続され、バルブヘッド108がポスト106に対して回転できるようになるが、しかし、バルブヘッド108は、そこに対して横に移動することは出来ない。したがって、開口124及び流体ベント116は、バルブ104が形成されているとき、同じ水平面状に整列される。閉じた配置で、流体ベント116は、開口124からオフセットされ、そして、バルブヘッド108の内側側壁(例えば、相補的に向かい合う表面間の物理的な相互作用を通して)で流体タイトシールを作成する。
【0074】
シーリングキャップ110が容器102と連結するように運ばれるとき、バルブ104の遠位端(塞がれた流体ベント116及び開口124をそれぞれ備えたポスト106及びバルブヘッド108の遠位端を含む)は生体試料チャンバ103に入る。シーリングキャップ110が容器102とのよりタイトな連結に運ばれるとき、バルブは、カラー126の遠位端がチャンバ103の内側側壁に係合するまで、生体試料チャンバ103中にさらに遠くに引っ張られる。この点で、カラー126は、チャンバ側壁に係合し、そして、シーリングキャップ110により、それに移行中に適用される回転力に耐える。カラー126とチャンバ側壁の間の摩擦力は、ポスト106(及び流体ベント116)がバルブヘッド108に対して回転するのを防止する閾値の力(例えば、摩擦力)を超える。結果として、バルブヘッド108は、シーリングキャップ110に適用されるトルクの結果として回転を継続できないが、しかし、ポスト106は継続してシーリングキャップ110と回転し、流体ベント116を開口124の方向、そして、開いた配置の中に移動させる。
【0075】
ポスト106が回転するとき、ポストは、生体試料チャンバ103中に更に引っ張られ、シーリングキャップ110の回転は、シーリングキャップ110を容器102の方向へ前進させ、そして、それらの間でよりタイトに連結されることになる。従って、ポスト106が回転し、そしてチャンバ103に更に引っ張られるとき、ポスト106は、回転していない間、それにも関わらず、同様にチャンバ103の中に引っ張られる。したがって、ポスト106は、フランジ128がチャンバ103のリムと係合しない場合においてのみ、回転し、そしてチャンバ103中に引っ張られることが出来る。いくつかの実施形態で、流体ベント116及び、開口124は、少なくとも半回転(180°、例えば4分の一回転(90°))より少ない回転の後で、及び、フランジ128が生体試料チャンバ103のリムと係合するときと同時に、少なくとも部分的に整合する。
【0076】
代替的には、フランジ128が生体試料チャンバ103内でバルブの垂直移動を防止する前に、流体ベント116は開口124と整合する。いくつかの実施形態で、流体ベント116と開口124との整合は、流体ベント116を突出させ、そして、開口124中に機械的にかみ合わせる。この場合、カラー126とチャンバ103の内側側壁の間の摩擦力は、流体ベント116を開口124から係合を解くために必要な力よりも小さくても良い。したがって、カラー126がチャンバ側壁で摩擦により係合される前よりも大きい回転力がシーリングキャップ110に適用されることが必要であるが、バルブヘッド108は、ポスト106及び、シーリングキャップ110と一緒に沿って回転し続けることが出来る。
【0077】
本明細書に開示のいかなる手段又は公知の手段により、溶液キャップは収集容器を固定し且つシールできると理解されるべきである。更に、選択的に移動可能なバルブを開口するための一つの特定の構造及び、関連する方法が、
図1-6に示される一方、他の方法及び、構造上の配置は、本開示の範囲に含まれると理解されるべきである。例えば、示された実施態様は、ポストは流体ベントを有するものと、開口を有するバルブを記載しているが、いくつかの実施形態で、流体ベントと開口は、同じ又は類似の機能を実行する他の相補的な成分により成分間で交換又は、代替されても良い。例えば、ポストは、閉じた配置から開いた配置に移動するとき、バルブヘッドの流体ベントの中に整合する開口を備えても良い。
【0078】
別の具体例として、バルブは、流体ベントを回転させてバルブヘッドが側壁を欠く位置に回転させることにより、開いた配置中に移動させることが出来る。別の言葉で、開口は側壁なしであっても良い。例えば、上記に述べたように、流体ベントは、バルブヘッドの内側側壁とタイトに連結され、そして、バルブヘッド側壁に対する流体ベントの回転で、流体ベントは、側壁末端を超えて進み、そして、いかなる側壁によっても妨害されずに、試料保存試薬が流体ベントを通して自由に連通することを可能にさせる。いくつかの実施形態で、バルブヘッドは、タイトに連結し、そして、その外周の270°以下、225°以下、180°以下、135°以下、90°以下又は、45°以下に沿って、流体ベントを通して流体の流れを防止するように配置された側壁を欠く。
【0079】
また、更なる具体例として、開口は、垂直成分及び、水平成分の両方を有するバルブヘッド内で鍵穴であり得る。流体ベントを鍵穴と整合させると、バルブヘッドは、回転している間も、バルブヘッド内で垂直に移動しているポストと固定されたままでも良い。鍵穴は、同様に、バルブヘッドの本体に沿って下方向にカーブし、ポストの軌道が続き、バルブを開いた配置に維持する。いくつかの実施形態で、複数の鍵穴は、放射状に下向きに配置される。例えば、鍵穴は、バブルヘッドの外周に沿って、それぞれ90°で始まっても良い。このように、相対的に隣接する鍵穴間の流体ベントのいかなる配置も機能的なバルブと成り得るので、バルブを組み立てることは、簡略化されても良い。これは、組立中に、潜在的に時間がかかる開口に対する流体ベントの正確な配置を不要とさせ、バルブヘッドに対するポストの可能な回転の程度が、流体ベントを開口に整合させるために十分であることを確実にすることに追加的に作用する。
【0080】
いくつかの実施形態で、溶液キャップは圧力下にあり、そして、選択的に移動可能なバルブの開いた配置中への移動は、溶液キャップ内に貯蔵された試料保存試薬を強制的に、試料収集チャンバ中に放出させる。これは、有益的であり、貯蔵された試薬を収集試料と混合し、そして、追加的に試薬及び/又はそれらの証拠となる成分を保存するように働く。
【0081】
方法は、追加的に試料収集システムから保存試料を除去することも含み得る。これは、例えば、回して開ける又は、そうでなければ、試料収集容器から溶液キャップを除去するステップを含み得る。いくつかの実施形態で、キャップを除去するプロセスは、バルブを閉じた配置に戻し、それにより、バルブを再度シールする。試料収集システムは、いくつかの実施形態で、溶液キャップ及びバルブが-この点で-どの成分の危機的な損失なしに試料収集容器から除かれ得るようにデザインされている。つまり、試料収集システムは、シーリングキャップ-バルブ組立体の完全性を維持しながら、バルブヘッドのカラーが試料収集チャンバの側壁から係合を解くことが出来るようにデザインすることが出来る。これは、例えば、カラーの係合を解くために必要な機械的な力が、シーリングキャップからポストを除去するために必要な力より小さく、且つ、ポストからバルブヘッドの結合を外すために必要な力よりも小さいように成分を設計することにより、可能になる。
【0082】
そうでないように規定されていない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び、科学的用語は、本開示を含む技術分野の当業者の一人により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【0083】
本開示のある実施形態に従った、システム、デバイス、製品、キット、方法及び/又は、プロセスは、本明細書に開示及び/又は記載の他の実施形態に記載の特性、特徴(例えば、成分、部材、部品、パーツ及び/又は部分)を含み、含有し又は、そうでなければ、備える。したがって、ある実施態様の多様な特徴が、本開示の他の実施態様と両立でき、組合せることができ、含まれ、及び/又は挿入されることができる。よって、本開示の特別な実施形態に対するある特徴の開示は、本出願を限定するように、又は、特別な実施形態に対する前記特徴を包含するように解釈されるべきではない。むしろ、他の実施態様は前記特徴、部材、部品、パーツ及び/又は部分を、本開示の範囲から必ずしも逸脱することなく含み得ると理解するであろう。
【0084】
更に、特徴が、別の特徴をここで組合せることを必要と記載されていない限り、本明細書におけるいかなる特徴も、本明細書で開示されている同じ又は異なるいかなる他の特徴と組合せても良い。更に、例示したシステム、方法、装置などの多様な周知な特徴は、具体的な実施形態の特徴をあいまいにすることを避けるため、特に詳細には、本明細書中には記載していない。しかしながら、そのような態様も、本明細書中に含まれる。
【0085】
本開示は、その精神又は必須の特徴から逸脱することなく、他の特別の形態で実施しても良い。記載された実施形態は、全ての点で、例示的であり且つ、非限定的なものであると考えられる。したがって、本発明の範囲は、上記の記述よりも、添付の特許請求の範囲により示されている。本開示の実施形態を例示する目的のために本明細書中及び添付の開示中において、特定の実施形態及び詳細な説明が含まれる一方で、本明細書に開示の方法、製品、装置及び、器具中の多様な変更は、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の開示の範囲から逸脱することなく作成できることは、技術分野の当業者にとっては明らかである。特許請求の範囲の文言及び均等な範囲内の全ての変更は、それらの範囲内に包含されるものである。