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特許7413386測定後の量子ビット周波数変更のためのスタッド・バンプ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】測定後の量子ビット周波数変更のためのスタッド・バンプ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240105BHJP
   H10N 60/01 20230101ALI20240105BHJP
   H10N 60/85 20230101ALI20240105BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240105BHJP
   G06N 10/00 20220101ALI20240105BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01L21/92 604T
H10N60/01 Z
H10N60/85
H01L21/92 603A
H01L21/92 602Z
H01L21/66 E
G06N10/00
H05K3/34 501E
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021544248
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2020053474
(87)【国際公開番号】W WO2020169418
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-07-25
(31)【優先権主張番号】16/281,770
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】ブロン、ニコラス、トーレイフ
(72)【発明者】
【氏名】ハーツバーグ、ジャレッド、バーニー
(72)【発明者】
【氏名】レワンドウスキ、エリック、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ナ、ジェウン
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0246763(US,A1)
【文献】国際公開第2018/111242(WO,A1)
【文献】特開2001-077518(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0285760(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H10N 60/01
H10N 60/85
H01L 21/66
G06N 10/00
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子コンピュータ・チップを製造する方法であって、
量子ビット・チップの動作温度で、前記量子ビット・チップ上の量子ビットのためのテスト・インターポーザ・チップに結合された前記量子ビット・チップに対する周波数測定を実行することと、
前記周波数測定の実行後に、前記量子ビット・チップを前記テスト・インターポーザ・チップから引き離すことと、
前記量子ビット・チップを前記テスト・インターポーザ・チップから引き離した後に、測定された前記周波数が対象の固定周波数から逸脱している前記量子ビットの前記周波数を、前記対象の固定周波数となるように変更することと、
前記量子ビットの前記周波数を前記対象の固定周波数となるように変更した後に、前記量子ビット・チップをデバイス・インターポーザ・チップに結合することとを含む、方法。
【請求項2】
前記周波数測定を実行する前に、前記量子ビット・チップを前記テスト・インターポーザ・チップに結合することと、
前記結合された量子ビット・チップおよびテスト・インターポーザ・チップを前記量子ビット・チップの前記動作温度に冷却することとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記量子ビット・チップが少なくとも1つの金属パッドおよび各金属パッド上に形成された金属スタッドを備え、
前記テスト・インターポーザ・チップが少なくとも1つの金属パッドおよび各金属パッド上に形成されたテストはんだバンプを備え、
前記デバイス・インターポーザ・チップが少なくとも1つの金属パッドおよび各金属パッド上に形成されたデバイスはんだバンプを備え、
前記量子ビット・チップを前記テスト・インターポーザ・チップに結合することが、前記量子ビット・チップ上に形成された前記金属スタッドを前記テスト・インターポーザ・チップ上に形成された前記テストはんだバンプに結合することを含み、
前記量子ビット・チップを前記デバイス・インターポーザ・チップに結合することが、前記量子ビット・チップ上に形成された前記金属スタッドを前記デバイス・インターポーザ・チップ上に形成された前記デバイスはんだバンプに結合することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記テストはんだバンプが、前記金属スタッドが形成されている前記金属パッドの第1の領域と接触し、
前記デバイスはんだバンプが、前記金属スタッドが形成されている前記金属パッドの第2の領域と接触し、前記第2の領域の少なくとも一部が前記第1の領域と異なっている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記量子ビット・チップが、各金属パッド上に形成された第2の金属スタッドをさらに備え、前記デバイス・インターポーザ・チップが、少なくとも1つの第2の金属パッドおよび各第2の金属パッド上に形成された第2のデバイスはんだバンプをさらに備え、
前記方法が、前記量子ビット・チップ上に形成された前記第2の金属スタッドを前記デバイス・インターポーザ・チップ上に形成された前記第2のデバイスはんだバンプに結合することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記量子ビット・チップが、各金属パッド上に形成された少なくとも1つの金属板状の柱をさらに備え、前記デバイス・インターポーザ・チップが、少なくとも1つの第2の金属パッドおよび各第2の金属パッド上に形成された第2のデバイスはんだバンプをさらに備え、
前記方法が、前記量子ビット・チップ上に形成された前記金属板状の柱を前記デバイス・インターポーザ・チップ上に形成された前記第2のデバイスはんだバンプに結合することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記量子ビット・チップが複数の金属スタッドを備え、
前記テスト・インターポーザ・チップが複数のテストはんだバンプを備え、
前記デバイス・インターポーザ・チップが複数のデバイスはんだバンプを備える、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のテストはんだバンプにおけるテストはんだバンプの数が、前記複数の金属スタッドにおける金属スタッドの数よりも少なく、
前記複数のテストはんだバンプにおけるテストはんだバンプの数が、前記複数のデバイスはんだバンプにおけるデバイスはんだバンプの数よりも少なく、
前記量子ビット・チップを前記テスト・インターポーザ・チップに結合することが、前記複数の金属スタッドのサブセットを前記複数のテストはんだバンプに結合することを含み、
前記量子ビット・チップを前記デバイス・インターポーザ・チップに結合することが、前記複数の金属スタッドを前記複数のデバイスはんだバンプに結合することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記量子ビット・チップが複数の金属板状の柱をさらに備えており、
前記量子ビット・チップを前記テスト・インターポーザ・チップに結合することが、前記複数の金属スタッドを前記複数のテストはんだバンプに結合することを含み、
前記量子ビット・チップを前記デバイス・インターポーザ・チップに結合することが、前記複数の金属スタッドを前記複数のデバイスはんだバンプのうちの第1の複数のデバイスはんだバンプに結合することと、前記複数の金属板状の柱を前記複数のデバイスはんだバンプのうちの第2の複数のデバイスはんだバンプに結合することとを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
デバイスはんだバンプの数およびサイズが前記テストはんだバンプの数およびサイズよりも大きい、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記デバイス・インターポーザ・チップが、再利用された前記テスト・インターポーザ・チップであり、前記方法が、前記引き離しの後に前記テストはんだバンプを前記テスト・インターポーザ・チップから除去することと、前記複数のデバイスはんだバンプを前記テスト・インターポーザ・チップ上に形成することとをさらに含む、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記量子ビット・チップを前記テスト・インターポーザ・チップに結合する前に、前記量子ビット・チップ上に形成されたジョセフソン接合全体にわたって抵抗測定を実行することをさらに含む、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記結合された量子ビット・チップおよび前記テスト・インターポーザ・チップを、前記周波数の前記変更を実行できる温度に加熱することをさらに含む、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの金属パッドおよび各金属パッド上に形成された金属スタッドを備える量子ビット・チップと、
少なくとも1つの金属パッドおよび各金属パッド上に形成されたデバイスはんだバンプを備えるデバイス・インターポーザ・チップと、
前記量子ビット・チップ上に形成された前記金属スタッドが、前記デバイス・インターポーザ・チップ上に形成された前記デバイスはんだバンプに結合される量子コンピュータ・チップであって、
前記量子ビット・チップは、
前記量子ビット・チップ上の量子ビットのための、少なくとも1つの金属パッドおよび各金属パッド上に形成されたテストはんだバンプを備えるテスト・インターポーザ・チップに結合され、前記量子ビット・チップの動作温度で前記量子ビット・チップに対する周波数測定を実行し、
前記周波数測定の実行後に、前記量子ビット・チップを前記テスト・インターポーザ・チップから引き離し、
前記量子ビット・チップを前記テスト・インターポーザ・チップから引き離した後に、測定された前記周波数が対象の固定周波数から逸脱している前記量子ビットの前記周波数を、前記対象の固定周波数となるように変更し、
前記量子ビットの前記周波数を前記対象の固定周波数となるように変更した後に、前記量子ビット・チップを前記デバイス・インターポーザ・チップに結合する、
前記量子コンピュータ・チップ。
【請求項15】
前記金属スタッドが、超伝導でない材料から形成され、前記デバイスはんだバンプが前記量子ビット・チップ上に形成された前記金属スタッドを覆う距離または前記デバイスはんだバンプが前記量子ビット・チップ上に形成された前記金属パッドに接触する距離が、前記デバイスはんだバンプのコヒーレンス長よりもはるかに大きい、請求項14に記載の量子コンピュータ・チップ。
【請求項16】
前記テストはんだバンプが、超伝導である材料から形成され、前記デバイスはんだバンプが、超伝導である材料から形成される、請求項14に記載の量子コンピュータ・チップ。
【請求項17】
前記量子ビット・チップが、各金属パッド上に形成された第2の金属スタッドをさらに備え、前記デバイス・インターポーザ・チップが、少なくとも1つの第2の金属パッドおよび各第2の金属パッド上に形成された第2のデバイスはんだバンプをさらに備え、
前記第2の金属スタッドが前記第2のデバイスはんだバンプに結合される、請求項14に記載の量子コンピュータ・チップ。
【請求項18】
前記量子ビット・チップが、各金属パッド上に形成された少なくとも1つの金属板状の柱をさらに備え、前記デバイス・インターポーザ・チップが、少なくとも1つの第2の金属パッドおよび各第2の金属パッド上に形成された第2のデバイスはんだバンプをさらに備え、
前記金属板状の柱が前記第2のデバイスはんだバンプに結合される、請求項14に記載の量子コンピュータ・チップ。
【請求項19】
前記量子ビット・チップの一部および前記デバイス・インターポーザ・チップの一部が読み出し共振器を形成する、請求項14に記載の量子コンピュータ・チップ。
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子コンピュータ・チップを製造する方法、および製造されたチップに関連しており、より詳細には、製造されたチップの測定後の量子ビット周波数変更を含む、量子コンピュータ・チップを製造する方法に関連している。
【背景技術】
【0002】
固定周波数トランズモンが製造されるときに、それらの実際の周波数は、当然ながら、対象の固定周波数から多少逸脱する。その結果、複数の固定周波数量子ビットを含むチップの場合、量子ビットの母集団に関して固有の周波数拡散が存在し、この周波数拡散は、量子ビットのすべての対間の交差共鳴ゲートの動作を確実に可能にするには大きすぎる。周波数拡散は「周波数衝突」をもたらし、周波数衝突においては、量子ビットの対間の望ましくないZZ相互作用が大きすぎて交差共鳴ゲートを実行することができないか、または量子ビットの対間の大きい離調に起因する交差共鳴ゲートの低速化を引き起こす。測定後のアニーリングおよびリソグラフィによる変更は、ジョセフソン接合のインダクタンスまたは静電容量を変更することによって(例えば、誘電体を除去することによって)、量子ビット周波数を変更することができる。しかし、測定後の周波数変更は、多くの場合、量子ビット・チップが基板上で組み立てられた後に、読み出し回路(またはその一部)による量子ビット・チップ上の量子ビットへのアクセスを必要とする。量子プロセッサが高密度に移行するにつれて、フリップ・チップとチップ・バンプの間のボンディングが必要になる。量子ビット・チップは、量子ビット・チップに対して測定を実行するため、および量子コンピュータ・チップを形成するために、インターポーザ・チップにフリップ・チップ結合されることがある。しかし、現在、量子ビット・チップがインターポーザ・チップにフリップ・チップ結合された後に、量子ビット・チップにアクセスして周波数変更を実行することができない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態によれば、量子コンピュータ・チップを製造する方法は、量子ビット・チップの動作温度で、量子ビット・チップ上の量子ビットのためのテスト・インターポーザ・チップに結合された量子ビット・チップに対する周波数測定を実行することを含む。この方法は、周波数測定を実行した後にテスト・インターポーザ・チップから量子ビット・チップを引き離すことと、テスト・インターポーザ・チップから量子ビット・チップを引き離した後に量子ビットのサブセットの周波数を変更することとを、さらに含む。この方法は、量子ビットのサブセットの周波数を変更した後に、量子ビット・チップをデバイス・インターポーザ・チップ(device interposer chip)に結合することをさらに含む。
【0004】
この方法は、チップが冷却され、低温で測定が実行された後に、量子ビット・チップへのアクセスを提供することによって、量子ビット周波数の測定後の変更を可能にする。低温での周波数測定は、周波数を予測する室温での測定より正確であり、その後の正確な量子ビット周波数変更を可能にし、量子ビット間の周波数衝突を防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の実施形態に従って量子コンピュータ・チップを製造する方法を示すフローチャートである。
図2】本発明の実施形態に従う量子ビット・チップの概略図である。
図3】本発明の実施形態に従うテスト・インターポーザ・チップの概略図である。
図4】本発明の実施形態に従う結合された量子ビット・チップおよびテスト・インターポーザ・チップの概略図である。
図5】本発明の実施形態に従うデバイス・インターポーザ・チップの概略図である。
図6】本発明の実施形態に従う結合された量子ビット・チップおよびデバイス・インターポーザ・チップの概略図である。
図7】本発明の実施形態に従う量子ビット・チップの概略図である。
図8】テスト・インターポーザに結合された量子ビット・チップの概略図である。
図9】本発明の実施形態に従うデバイス・インターポーザ・チップの概略図である。
図10】デバイス・インターポーザ・チップに結合された量子ビット・チップの概略図である。
図11】本発明の実施形態に従う量子ビット・チップの概略図である。
図12】テスト・インターポーザ・チップ1202に結合された量子ビット・チップの概略図である。
図13】本発明の実施形態に従うデバイス・インターポーザ・チップの概略図である。
図14】デバイス・インターポーザ・チップ1402に結合された量子ビット・チップの概略図である。
図15】結合されていない量子ビット・チップおよびインターポーザ・チップの概略図である。
図16】結合された量子ビット・チップおよびインターポーザ・チップの概略図である。
図17】量子ビット・チップがテスト・インターポーザ・チップに結合され、テスト・インターポーザ・チップから引き離された後の量子ビット・チップ上の金属スタッドの画像である。
図18】インターポーザ・チップに結合された量子ビット・チップの概略図である。
図19】金スタッドおよび量子ビットを含む量子ビット・チップの概略図である。
図20】テストはんだバンプ(test solder bump)を含むテスト・インターポーザ・チップの概略図である。
図21】テスト・インターポーザ・チップに結合された量子ビット・チップの概略図である。
図22】デバイス・インターポーザ・チップに結合する前の量子ビット・チップの概略図である。
図23】量子ビット・チップに結合する前のデバイス・インターポーザ・チップの概略図である。
図24】デバイス・インターポーザ・チップに結合された量子ビット・チップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1を参照すると、量子コンピュータ・チップを製造する方法100は、量子ビット・チップを提供すること(102)と、読み出し回路の少なくとも一部を含むテスト・インターポーザ・チップを提供すること(104)とを含んでいる。方法100は、量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップに結合すること(106)と、結合された量子ビット・チップおよびテスト・インターポーザ・チップを量子ビット・チップの動作温度に冷却すること(108)とをさらに含んでいる。一部の実施形態では、2つ以上の量子ビット・チップがテスト・インターポーザ・チップに結合され得る。方法100は、は、読み出し回路を使用して、量子ビット・チップ上の量子ビットに関して、冷却済みの結合された量子ビット・チップおよびテスト・インターポーザ・チップに対する周波数測定を実行すること(110)をさらに含んでいる。方法100は、周波数測定の実行(110)後に、量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップから引き離すこと(114)をさらに含んでいる。方法100は、量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップから引き離した(114)後に、量子ビットのサブセットの周波数を変更すること(116)と、量子ビットのサブセットの周波数を変更した(116)後に、量子ビット・チップをデバイス・インターポーザ・チップに結合すること(118)とをさらに含んでいる。一部の実施形態では、2つ以上の量子ビット・チップがデバイス・インターポーザ・チップに結合され得る。
【0007】
本発明の実施形態によれば、この方法は、量子ビット・チップを提供すること(102)と、テスト・インターポーザ・チップを提供すること(104)と、量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップに結合すること(106)と、結合された量子ビット・チップおよびテスト・インターポーザ・チップを冷却すること(108)とを含まない。例えば、量子ビット・チップおよびテスト・インターポーザ・チップは、例えば製造業者によって事前に製造され、結合されてよい。したがって、この方法は、テスト・インターポーザ・チップに結合された量子ビット・チップに対する周波数測定を実行すること(110)から開始してよい。
【0008】
本明細書において使用されるとき、量子ビット・チップは、基板および基板上に形成された少なくとも1つの量子ビット(quantum bit(qubit))を含んでいるチップである。一部の実施形態では、量子ビットは、超伝導量子ビットであってよい。量子ビットは、例えば1つまたは複数のジョセフソン接合を含んでよい。一部の実施形態では、量子ビットは、トランズモンであってよい。一部の実施形態では、量子ビット・チップは、基板上に形成された超伝導配線を含む。量子ビット・チップは、近接効果によって超伝導になる超伝導配線上に形成された薄いアンダー・バンプ金属(UBM:under bump metallurgy)パッドを含んでよい。一部の実施形態では、量子ビット・チップは、読み出し共振器または読み出し共振器の一部を含む。
【0009】
本明細書において使用されるとき、インターポーザ・チップは、基板および基板上に形成された超伝導配線を含んでいるチップである。インターポーザ・チップは、近接効果によって超伝導になる金属相互接続上に配置された少なくとも1つの薄いUBMパッドを含んでよい。一部の実施形態では、インターポーザ・チップは読み出し回路を含む。読み出し回路は、例えば、読み出し共振器または読み出し共振器の一部であってよい。インターポーザ・チップは、量子ビットをテストするために使用されるテスト・インターポーザであるか、または量子コンピューティング・デバイスに組み込まれるデバイス・インターポーザ・チップであってよい。一部の実施形態では、デバイス・インターポーザ・チップは、再利用されたテスト・インターポーザ・チップである。一部の実施形態では、デバイス・インターポーザ・チップは冷間溶接を介して量子ビット・チップに結合される。
【0010】
量子コンピューティング・デバイスでは、量子ビットは、例えば容量的に、または同一平面上の導波路バスに結合することにより、物理的接続によって互いに結合される。結合された量子ビットの数が増えるにつれて、量子ビット・チップ上の空間が制限要因になる。読み出し共振器または読み出し共振器の一部をインターポーザ・チップに移動することによって、より多くの量子ビットを量子ビット・チップ上に形成できるようにする。これは、デバイス・インターポーザ・チップに当てはまるため、テスト・インターポーザ・チップにも当てはまるはずである。
【0011】
量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップから引き離すということは、量子ビット・チップおよびテスト・インターポーザ・チップのうちの少なくとも1つに力を加えて、量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップから物理的に分離するということを意味する。この引き離しは、量子ビット・チップ上のスタッドとテスト・インターポーザ・チップ上のはんだバンプの間の結合の破壊を引き起こす。しかし、引き離しの後に、はんだバンプの一部のはんだ材料がスタッドに付着したままになることがある。この引き離しは、量子ビット・チップの化学的処理もアニーリングも必要としない。したがって、量子ビット・チップ上の量子ビットの損傷を防ぎながら、量子ビット・チップおよびインターポーザ・チップが分離される。
【0012】
量子ビットが動作できる低温は、含まれている超伝導体の臨界温度および量子ビットの遷移周波数に対応する温度を十分下回る温度として定義される。量子ビットには、量子ビットを構成する超伝導体の臨界温度(Tc)、および量子ビットの温度に対応する熱エネルギー(kT)という2つの温度スケールが関連している。Tcは、この温度を上回ると、金属は常態であり、抵抗を有するため、関連している。また、温度がTcを下回ると、準粒子密度が低下する。kTは、熱変動が多くのデコヒーレンスを引き起こさないように、量子ビットの遷移周波数(hf)に対応するエネルギーよりもはるかに小さくなければならない。本発明の実施形態によれば、十分に低い温度とは、Tcおよび量子ビットの遷移周波数に対応する温度のうちの低い方の温度に対してごくわずかに低い温度である。このごくわずかな温度は、例えば、約1/10、1/15、または1/20の温度であってよい。本発明の実施形態によれば、臨界温度が1.2Kであり、量子ビットの遷移周波数が250mKの温度に対応する場合、20mK未満は十分に低い温度であることができる。
【0013】
量子ビットの周波数は、計算に使用されている量子ビットの2つの状態間の遷移エネルギーに対応する。量子ビットは、どの追加の量子状態からもエネルギーにおいて十分に分離されているか、または切り離されているか、あるいはその両方である2つの量子状態を有しており、動作状態において、量子ビットは近似的に2つの量子状態の構造になる。2つの状態間の遷移エネルギーは、量子ビットの周波数を定義する固定量である。それにもかかわらず、一部の量子ビットにおいては、例えばレーザーを使用して量子ビットをアニールすることによって、遷移エネルギーは変更され得る。
【0014】
方法100は、量子ビットの周波数が測定された後に量子ビット・チップ上に形成されたジョセフソン接合へのアクセスを提供するため、周波数変更のフィードバックの可能性を有効にする。現在存在している任意の従来方法または将来開発される方法を使用して、量子ビットを変更することができる。量子ビットのリソグラフィ以外による変更は、ジョセフソン接合のレーザー・アニーリングまたは誘電体もしくは導電材料のレーザー切断あるいはその両方、トライボロジー的(すなわち、ナノインデンターを使用する)修正、またはハード・マスクによるドライ・エッチングによって実行され得る。リソグラフィの方法が使用されてもよい。特に、厚いレジストおよび低い焼き付け温度を伴うリソグラフィの方法が採用されてよい。ソフト・リソグラフィが使用されてもよい。スピンオン・レジストまたはスプレー式レジスト用のSU-8、KMPR、およびJSRなどの、100μmよりも厚くパターン形成され得るネガ型レジストが使用され得る。吹き付けおよび直接描画レーザーによる露光によって、ポジ型レジストも使用され得る。これによって、より薄いレジストを使用することを可能にし、スタッド・バンプが覆われるのを防ぐ。また、ポジ型レジストは、より低い焼き付け温度を有することができる。
【0015】
量子ビットの表面への直接アクセスは、変更を確認するための表面上の接合またはその他の構造の顕微鏡検査または電気抵抗測定などの検査を可能にする。ジョセフソン接合へのアクセスなしでの量子ビット周波数の変更は、望ましくない損傷を引き起こさずにインターポーザ(上)または量子ビット基板(下)のいずれかを貫通する手法によってのみ可能である。そのような手法は、インターポーザが除去されて量子ビットの表面に直接アクセスできる場合よりも困難で、制限的であり、不正確である。
【0016】
インターポーザ・チップを介してレーザー・アニーリングを実行するには、インターポーザ・チップが透明な基板または機械加工された窓を有する必要がある。透明な基板または機械加工された窓は、追加の製造ステップを必要とすることがある。さらに、透明な基板は、量子ビットのコヒーレンスおよび信頼性を低下させる二準位系を導入することがある。機械加工された窓は、コヒーレンスおよび信頼性を低下させる応力の集中および処理の問題を伴うことがある。
【0017】
代替として、量子ビット・チップの裏面の周波数変更を使用して量子ビット周波数が変更されてよく、これを行うには、薄い量子ビット・ダイが必要になる。薄い量子ビット・ダイは、応力の集中および処理の問題の影響を受けやすく、コヒーレンスおよび信頼性に悪影響を与える可能性がある。
【0018】
これに対して、方法100は、コヒーレンスまたは信頼性の不利益を引き起こさない。さらに、方法100は、他の方法よりも正確な最終的ジョセフソン接合の周波数予測を可能にする。量子ビットの周波数は、例えば、低温での周波数予測に基づいて、レーザー・アニーリングまたは切断によって変更され得る。しかし、本発明の幅広い概念は、量子ビットのレーザーによる変更のみに限定されない。量子ビット周波数の予測因子としての室温(RT:room temperature)でのジョセフソン接合抵抗は、固有の相関誤差およびコンデンサの製造公差に起因する周波数衝突がないことを保証するほど十分に正確ではない。表1は、共通のトポロジーの次第に大きくなる実装に配置された24個、28個、54個、および73個の量子ビットを含む量子ビット・チップの歩留まり予測を示している。数字は、動作する量子ビット・チップが実現される前にテストされるチップの数を示している。
【0019】
【表1】
【0020】
量子ビットが選別された後に、適切なRT抵抗パターンを含むチップが結合され、冷却される。その結果、量子ビットの変更なし(最後から3番目の行)は、接合へのアクセス性なし(最後から2番目の行)と同じである。これは、測定後の変更を行えない場合、RT抵抗条件に対するより厳しい要件があるため、室温で選別するチップの数の場合とは対照的である。例えば、54Qチップの場合、RTで「最高に良い」ように見えるすべてのチップに関して、量子ビットが測定された後に、1つのチップのみに衝突がないということが判明する。製造から生じる厳密にランダムな量子ビット周波数を前提として、RTで「最高に良い」ように見える1つのチップを見つけるために、10kよりも十分に多い(表1のデータをシミュレートするために使用されるモデルでの試行回数よりも多い)チップが必要である。さらに別の例として、冷却前にRTで調整する適度な能力を前提として、「最高に良い」RT構成に調整するのに適したRTでの抵抗を有する1つのチップを見つけるために、6k~18kのチップが必要である。これに対して、RTで「最高に良い」1つのチップだけが製造され、その後、冷却され、周波数を測定され、暖められ、引き離され、量子ビット周波数を変更される場合、本発明の実施形態に従う方法は、衝突が0になることをほぼ保証することができる。したがって、表の最後の行が「1」になっている。
【0021】
最後の2行に示されているように、方法100は、テストされるチップの数を、24量子ビット・チップの場合、9から1に、73量子ビット・チップの場合、1000から1に削減する。方法100は、結合された量子ビット・チップおよびテスト・インターポーザ・チップを、量子ビットが動作できる低温に冷却することを含み、正確な周波数測定結果を得ることができるようにする。この周波数測定は、チップが暖められた後に、量子ビットの非常に正確な周波数変更を実行するために使用される。既知の測定された周波数に基づいて量子ビットを調整するのは、室温に基づく推定値に基づいて量子ビットを調整するよりもはるかに正確である。
【0022】
方法100は、量子ビット・チップの化学的処理または全体的アニーリングなしで、量子ビット・チップおよびインターポーザ・チップの複数回の結合および剥離(debonding)を可能にする。方法100は、金属バンプが共振器の一部を形成する事例に適合する。方法100は、スタッド・バンプを損なわずに、リソグラフィまたはリソグラフィ以外(すなわち、レーザー・アニーリングまたは切断)による量子ビットの変更を可能にし、すべての2量子ビット・ゲートが動作可能な合計で50個を超える量子ビットの規模の量子プロセッサを取得する確率を大幅に増やす。
【0023】
図2を参照すると、量子ビット・チップ200が、少なくとも1つの金属パッド202および少なくとも1つの金属パッド202上に形成された金属スタッド204を含んでいる。本発明の実施形態によれば、量子ビット・チップ200は、量子ビット基板206、および量子ビット基板206上に形成された超伝導配線208をさらに含んでいる。金属パッド202は、超伝導配線208上に形成されてよい。量子ビット・チップ200は量子ビットを含むが、それらの量子ビットは図2に示されていない。図2に示されている構成は、重要でない接地バンプに使用されてよい。
【0024】
図3を参照すると、テスト・インターポーザ・チップ300が、少なくとも1つの金属パッド302および少なくとも1つの金属パッド302上に形成されたテストはんだバンプ304を含んでいる。本発明の実施形態によれば、テスト・インターポーザ・チップ300は、インターポーザ基板306、およびインターポーザ基板306上に形成された超伝導配線308をさらに含んでいる。金属パッド302は、超伝導配線308上に形成されてよい。
【0025】
本発明の実施形態によれば、図1のブロック106で量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップに結合することは、少なくとも1つの量子ビット・チップ上に形成された金属スタッドを、テスト・インターポーザ・チップ上に形成されたテストはんだバンプに結合することを含む。図4は、本発明の実施形態に従う結合された量子ビット・チップ400およびテスト・インターポーザ・チップ402の概略図である。量子ビット・チップ400上に形成された金属スタッド404は、テスト・インターポーザ・チップ402上に形成されたテストはんだバンプ406に結合される。金属パッド410は、テストはんだバンプ406と金属パッド410の間の超伝導相互接続を可能にするために、金属スタッド404よりも大幅に大きい。
【0026】
図5を参照すると、デバイス・インターポーザ・チップ500が、少なくとも1つの金属パッド502および金属パッド502上に形成されたデバイスはんだバンプ(device solder bump)504を含んでいる。本発明の実施形態によれば、デバイス・インターポーザ・チップ500は、インターポーザ基板506、およびインターポーザ基板506上に形成された超伝導配線508をさらに含んでいる。金属パッド502は、超伝導配線508上に形成されてよい。デバイスはんだバンプ504は、新しいはんだが量子ビット・チップ上の金属パッド(例えば、図2の量子ビット・チップ200上の金属パッド202)に接触できるように、テストはんだバンプより大きくてよい。
【0027】
本発明の実施形態によれば、図1のブロック118で量子ビット・チップをデバイス・インターポーザ・チップに結合することは、量子ビット・チップ上に形成された金属スタッドを、デバイス・インターポーザ・チップ上に形成されたデバイスはんだバンプに結合することを含む。図6は、本発明の実施形態に従う結合された量子ビット・チップ600およびデバイス・インターポーザ・チップ602の概略図である。量子ビット・チップ600上に形成された金属スタッド604は、デバイス・インターポーザ・チップ602上に形成されたデバイスはんだバンプ606に結合される。デバイスはんだバンプ606は、テストはんだバンプよりも大きい、金属パッド610の一部に接触してよい。デバイスはんだバンプ606および金属パッド610は、金属パッド610全体がはんだに包まれるように設計されてよい。
【0028】
本発明の実施形態によれば、テストはんだバンプは、金属スタッドが形成されている金属パッドの第1の領域と接触し、デバイスはんだバンプは、金属スタッドが形成されている金属パッドの第2の領域と接触する。第2の領域の少なくとも一部は、第1の領域と異なっている。例えば、図4のテストはんだバンプ406は、金属スタッド404が形成されている金属パッド410の第1の領域408に接触している。図6のデバイスはんだバンプ606は、金属スタッド604が形成されている金属パッド610の第2の領域608に接触している。第2の領域608の少なくとも一部は、第1の領域と異なっている。例えば、第2の領域は第1の領域より大きくてよい。デバイスはんだバンプ606が、テストはんだバンプ406が金属スタッド404から広がるよりも遠くに、金属スタッド604から広がるため、デバイスはんだバンプ606は、テストはんだバンプ406によって前は接触されていなかった金属パッド610の領域に接触する。
【0029】
図7を参照すると、量子ビット・チップ700が、第1の金属スタッド702に加えて、金属パッド706上に形成された第2の金属スタッド704をさらに含んでいる。この構成は、信頼性および歩留まりを改善するために、重要な接地バンプまたは信号バンプあるいはその両方に使用されてよい。金属パッド706は、はんだと金属パッド706の間の超伝導相互接続を可能にするために、第1の金属スタッド702および第2の金属スタッド704よりも大幅に大きい。
【0030】
量子ビット・チップがテスト・インターポーザ・チップに結合されるときに、金属スタッドのうちの1つのみがテスト・インターポーザ・チップに結合される。図8は、量子ビット・チップ802に結合されたテスト・インターポーザ・チップ800の概略図である。テスト・インターポーザ・チップ800は、第1の金属スタッド806に結合されたテスト・インターポーザ・バンプ804を含んでいる。第2の金属スタッド808は結合されない。
【0031】
インターポーザ・チップ802を量子ビット・チップ800から引き離し、量子ビット・チップ上の量子ビットの周波数を変更した後に、本発明の実施形態に従う方法は、量子ビット・チップ800を、2つのデバイスはんだバンプを含んでいるデバイス・インターポーザ・チップに結合することを含む。図9は、本発明の実施形態に従うデバイス・インターポーザ・チップ900の概略図である。第1の金属パッド902および第1のデバイスはんだバンプ904に加えて、デバイス・インターポーザ・チップ900は、第2の金属パッド906および第2の金属パッド906上に形成された第2のデバイスはんだバンプ908を含む。テストはんだバンプに結合された金属スタッドをシールドするために1つのバンプが使用されてよく、一方、他のバンプが、主信号または接地の相互接続として機能してよい。デバイスはんだバンプのサイズは、新しいはんだが量子ビット・チップ上に形成された金属パッドに接触できるように、テストはんだバンプのサイズより大きくてよい。
【0032】
図10は、デバイス・インターポーザ・チップ1002に結合された量子ビット・チップ1000の概略図である。第1の金属スタッド1004は第1のデバイスはんだバンプ1006に結合され、第2の金属スタッド1008は第2のデバイスはんだバンプ1010に結合される。第1のデバイスはんだバンプ1006は、図8のテストはんだバンプ804が接触していなかった金属パッド1012の領域に接触してよい。第1の金属スタッド1004は、第1の金属スタッド1004が抵抗を有している場合の損失を防ぐために、第1のデバイスはんだバンプ1006に結合される。
【0033】
図11を参照すると、量子ビット・チップ1100が、金属スタッド1102に加えて、各金属パッド1106上に形成された少なくとも1つの金属板状の柱1104をさらに含んでいる。この構成は、信頼性および歩留まりを改善するために、重要な接地バンプまたは信号バンプあるいはその両方に使用されてよい。金属パッド1106は、はんだと金属パッド1106の間の超伝導相互接続を可能にするために、金属スタッド1102および金属板状の柱1104よりも大幅に大きい。
【0034】
本発明の実施形態に従う方法は、金属スタッド1102をテスト・インターポーザ・チップ上のテストはんだバンプに結合するが、金属板状の柱1104をテスト・インターポーザ・チップに結合しないことを含む。図12は、テスト・インターポーザ・チップ1202に結合された量子ビット・チップ1200の概略図である。量子ビット・チップ1200は、金属パッド1208上に形成された金属スタッド1204および金属板状の柱1206を含んでいる。実施形態に従う方法は、金属スタッド1204をテストはんだバンプ1210に結合することを含む。金属板状の柱1206は、結合されないままである。
【0035】
インターポーザ・チップ1202を量子ビット・チップ1200から引き離し、量子ビット・チップ1200上の量子ビットの周波数を変更した後に、本発明の実施形態に従う方法は、量子ビット・チップ1200を、2つのデバイスはんだバンプを含んでいるデバイス・インターポーザ・チップに結合することを含む。図13は、本発明の実施形態に従うデバイス・インターポーザ・チップ1300の概略図である。第1の金属パッド1302および第1の金属パッド1302上に形成された第1のデバイスはんだバンプ1304に加えて、デバイス・インターポーザ・チップ1300は、少なくとも1つの第2の金属パッド1306および第2の金属パッド1306上に形成された第2のデバイスはんだバンプ1308をさらに含む。第2のデバイスはんだバンプ1308は、第2の金属パッド1306から金属板状の柱までの距離に広がるために、第1のデバイスはんだバンプ1304より大きい体積を有してよい。第1のデバイスはんだバンプ1304および第2のデバイスはんだバンプ1308は、新しいはんだが量子ビット・チップ上に形成された金属パッドに接触できるように、両方ともテストはんだバンプより大きくてよい。
【0036】
図14は、デバイス・インターポーザ・チップ1402に結合された量子ビット・チップ1400の概略図である。本発明の実施形態によれば、金属スタッド1404を第1のデバイスはんだバンプ1406に結合することに加えて、この方法は、量子ビット・チップ1400上に形成された金属板状の柱1408を、デバイス・インターポーザ・チップ1402上に形成された第2のデバイスはんだバンプ1410に結合することを含む。金属スタッド1404を第1のデバイスはんだバンプ1406に結合することによって、損失を防ぐことができる。
【0037】
本発明の実施形態によれば、量子ビット・チップが複数の金属スタッドを含み、テスト・インターポーザ・チップが複数のテストはんだバンプを含み、デバイス・インターポーザ・チップが複数のデバイスはんだバンプを含む。図15は、結合されていない量子ビット・チップ1500およびインターポーザ・チップ1502の概略図である。この量子ビット・チップは、複数の金属スタッド1504、1506を含んでいる。インターポーザ・チップ1502は、複数のはんだバンプ1508、1510を含んでいる。インターポーザ1502は、テスト・インターポーザ・チップまたはデバイス・インターポーザ・チップの例であってよい。
【0038】
図16は、結合された量子ビット・チップ1600およびインターポーザ・チップ1602の概略図である。図16では、インターポーザ・チップ1602上のはんだバンプの数が、量子ビット・チップ1600上の金属スタッドの数と同じである。しかし、本発明のすべての実施形態は、等しい数のはんだバンプおよび金属スタッドに限定されない。例えば、本発明の実施形態によれば、テスト・インターポーザ・チップ上に形成されたテストはんだバンプの数が、量子ビット・チップ上の金属スタッドの数より少ない。この実施形態では、量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップに結合することが、複数の金属スタッドのサブセットを複数のテストはんだバンプに結合することを含む。テスト・インターポーザ・チップと量子ビットの間の結合の数を減らすことは、引っ張りの間に量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップから分離するのを容易にする。本発明の一実施形態では、金属スタッドの各々が、デバイス・インターポーザ・チップ上に形成されたデバイスはんだバンプに結合される。
【0039】
本発明の実施形態によれば、複数のテストはんだバンプを含んでいるテスト・インターポーザ・チップが、複数のデバイスはんだバンプを含んでいるデバイス・インターポーザ・チップとして再利用される。例えば、この方法は、テストはんだバンプをテスト・インターポーザ・チップから洗浄することと、リフローによって、洗浄されたテスト・インターポーザ・チップ上にデバイスはんだバンプを形成することとを含んでよい。テスト・インターポーザ・チップは、ジョセフソン接合を含んでいないため、化学洗浄、エッチングなどを受けることができる。これに対して、量子ビット・チップ上に形成されたジョセフソン接合は、処理に対して敏感であり、洗浄プロセスが適用された場合に損傷する可能性がある。図17は、量子ビット・チップがテスト・インターポーザ・チップに結合され、テスト・インターポーザ・チップから引き離された後の量子ビット・チップ上の金属スタッドの画像である。図17に示されているように、金属スタッドは損なわれず、デバイス・インターポーザ・チップ上に形成されたデバイス・インターポーザ・バンプに結合され得る。
【0040】
本発明の実施形態によれば、量子ビット・チップは、複数の金属板状の柱をさらに含む。量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップに結合することは、複数の金属スタッドを複数のテストはんだバンプに結合することを含む。量子ビット・チップをデバイス・インターポーザ・チップに結合することは、複数の金属板状の柱を複数のデバイスはんだバンプのうちの第1の複数のデバイスはんだバンプに結合することと、複数の金属板状の柱を複数のデバイスはんだバンプのうちの第2の複数のデバイスはんだバンプに結合することとを含む。
【0041】
本発明の実施形態によれば、量子コンピュータ・チップは、本明細書に記載された方法に従って製造される。本発明の実施形態によれば、量子ビット・チップは、少なくとも1つの金属パッドおよび各金属パッド上に形成された金属スタッドを含み、テスト・インターポーザ・チップは、少なくとも1つの金属パッドおよび各金属パッド上に形成されたテストはんだバンプを含み、デバイス・インターポーザ・チップは、少なくとも1つの金属パッドおよび各金属パッド上に形成されたデバイスはんだバンプを含む。図6に示されているように、量子ビット・チップ上に形成された金属スタッドが、デバイス・インターポーザ・チップ上に形成されたデバイスはんだバンプに結合されて、量子コンピュータ・チップを形成する。
【0042】
本発明の実施形態によれば、テストはんだバンプは、超伝導である材料から形成され、デバイスはんだバンプは、超伝導である材料から形成される。表2は、本発明の実施形態に従う材料の特性を示している。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示されているように、量子ビット・チップ上の金属スタッドおよびインターポーザ・チップ上の対応するインターポーザはんだバンプは、超伝導材料から形成されてよい。しかし、本発明の実施形態は、超伝導材料から形成されたスタッドおよびバンプに限定されず、表2に示されている材料の特性にも限定されない。表2に示されている材料の特性は、例として提供されている。本発明の実施形態によれば、スタッド・バンプは金であり、はんだバンプはインジウムである。本発明の実施形態によれば、金属パッドはAu/Pd/Tiである。本発明の幅広い概念は、これらの例のみに限定されない。
【0045】
本発明の実施形態によれば、本明細書に記載された方法に従って製造された量子コンピュータ・チップは、各金属パッド上に形成された第2の金属スタッドを含んでいる量子ビット・チップをさらに含み、デバイス・インターポーザ・チップは、少なくとも1つの第2の金属パッドおよび各第2の金属パッド上に形成された第2のデバイスはんだバンプをさらに含む。図10に概略的に示されているように、第2の金属スタッドは第2のデバイスはんだバンプに結合される。
【0046】
本発明の実施形態によれば、本明細書に記載された方法に従って製造された量子コンピュータ・チップは、各金属パッド上に形成された少なくとも1つの金属板状の柱をさらに含んでいる量子ビット・チップをさらに含み、デバイス・インターポーザ・チップは、少なくとも1つの第2の金属パッドおよび各第2の金属パッド上に形成された第2のデバイスはんだバンプをさらに含む。図14に概略的に示されているように、金属板状の柱は第2のデバイスはんだバンプに結合される。
【0047】
本発明の実施形態によれば、方法100は、量子ビット・チップをテスト・インターポーザ・チップに結合する前に、量子ビット・チップ上に形成されたジョセフソン接合全体にわたって抵抗測定を実行することをさらに含む。この測定は、室温以下の温度で実行され得る。本発明の実施形態によれば、方法100は、結合された量子ビット・チップおよびテスト・インターポーザ・チップを、周波数の変更を実行できる温度に加熱することをさらに含む。
【0048】
本発明の実施形態によれば、本明細書に記載された方法に従って製造された量子コンピュータ・チップは、量子ビット・チップおよびデバイス・インターポーザ・チップを含み、量子ビット・チップの一部およびデバイス・インターポーザ・チップの一部が読み出し共振器を形成する。例えば、量子ビット・チップの一部およびデバイス・インターポーザ・チップの一部は、量子ビット・チップ上にコンデンサが形成され、デバイス・インターポーザ上にインダクタが形成されて、集中素子共振器を形成してよい(図24)。1つの初期テストのみが期待され(表1)、この方法が異なる方式の共振器を使用してよく、空間があまり重要でないため、例えば、読み出し共振器を単一のフィードライン上に多重化できる(図21)テスト・インターポーザ・チップ上で、より大きい分散された共振器が使用されてよい。次に、より小さい集中素子共振器を、最終的な量子コンピューティング・チップに使用することができ、各共振器を制御機器または測定機器あるいはその両方に個別に接続する必要がある。
【0049】
図18は、インターポーザ・チップ1802に結合された量子ビット・チップ1800の概略図である。本発明の実施形態によれば、金属スタッド1804は超伝導である。金属スタッド1804が超伝導でない場合、はんだバンプ1806が金属板1808に接触する距離dS-Sは、はんだバンプ材料のコヒーレンス長よりもはるかに大きくなるように設計される。本発明の実施形態によれば、金属板1808は本質的に超伝導である。金属板1808が本質的に超伝導でない場合、金属板1808の厚さtは、近接効果によってはんだバンプ1806と超伝導配線1810の間の超伝導相互接続を容易にするほど十分に小さくなるように設計される。
【0050】
図19は、金スタッド1902および量子ビット1904を含む量子ビット・チップ1900の概略図である。図20は、テストはんだバンプ2002を含むテスト・インターポーザ・チップ2000の概略図である。テスト・インターポーザ・チップ2000は、λ/4読み出し共振器2004および多重化のための同一平面上の導波管フィードライン2006も含んでいる。量子ビット周波数のテストのために、フィードライン2006によって制御および読み出しを多重化し、測定の設定を簡略化することができる。図21は、テスト・インターポーザ・チップに結合された量子ビット・チップの概略図である。テスト・インターポーザ・チップは、引っ張りを支援するために、量子ビット・チップが含んでいるスタッドよりも少ないバンプを含む。
【0051】
図22は、デバイス・インターポーザ・チップに結合する前の量子ビット・チップ2000の概略図である。最終的な量子コンピュータ・チップの場合、各量子ビットは、多重化された制御を使用する代わりに、交差共鳴ゲートに必要な個別の制御を有する。量子ビット・チップ2200は、読み出し共振器の容量性部品2202を含んでいる。図23は、量子ビット・チップに結合する前のデバイス・インターポーザ・チップ2300の概略図である。デバイス・インターポーザ・チップ2300は、読み出し共振器の誘導性部品2302を含んでいる。図24は、デバイス・インターポーザ・チップに結合された量子ビット・チップの概略図である。読み出し共振器の容量性部品および誘導性部品は、最終的な量子コンピュータ・チップにおいて完全な読み出し共振器を形成する。
【0052】
本発明のさまざまな実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であるよう意図されておらず、開示された実施形態に制限されるよう意図されてもいない。本発明の範囲を逸脱することなく多くの変更および変形が当業者にとって明らかである。本明細書で使用された用語は、本発明の原理、実際の適用、または市場で見られる技術を超える技術的改良を最も適切に説明するため、または他の当業者が本発明を理解できるようにするために選択されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図22
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図24