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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
   G04C 3/00 20060101AFI20240105BHJP
   G04G 21/00 20100101ALI20240105BHJP
【FI】
G04C3/00 B
G04G21/00 301Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021548383
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2020028418
(87)【国際公開番号】W WO2021059717
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】P 2019173660
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】池山 聡
(72)【発明者】
【氏名】徳山 義介
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-032407(JP,A)
【文献】特開2017-181091(JP,A)
【文献】特表2011-516845(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0082433(US,A1)
【文献】特開2019-045253(JP,A)
【文献】特開2007-286049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0075960(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G04C 1/00-99/00
G04R 20/00-60/14
G04B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、
基準時刻およびタイムゾーンに基づいて前記内部時刻を設定する時刻設定部を含む制御回路と、
複数のタイムゾーンのそれぞれに対応するタイムゾーン表示を行う表示部と、
前記表示部における前記複数のタイムゾーン表示から1つのタイムゾーン表示に対応するタイムゾーンを選択する選択動作を行う操作部と、
を備え、
前記タイムゾーン表示は、
タイムゾーン内に含まれる都市名、地域または時差に基づく1つ以上の第1表示と、
前記タイムゾーン内に含まれるランドマークに基づく1つ以上の第2表示と、
を含み
前記時刻表示部は、前記操作部の操作により、回転する指針を有し、
前記指針は、前記操作部の選択動作に応じて、前記指針が前記表示部に表示された前記タイムゾーン表示を指し示し
前記表示部は、前記時刻表示部の文字板および見返しリング、前記時刻表示部の外周に位置するベゼル、前記時刻表示部を覆う風防の少なくとも1つであり、
各前記第1表示および各前記第2表示は、前記表示部において時差順に表示され、
各前記第2表示は、各前記第1表示の少なくとも一部よりも、前記指針の回転軸を基準として径方向外側に位置する、
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
各前記第1表示のうち、特定第1表示に対応する前記タイムゾーンと、各前記第2表示のうち、特定第2表示に対応する前記タイムゾーンとが同じ特定タイムゾーンであり、
前記特定第2表示は、前記特定第1表示の径方向外側で、かつ、径方向において前記特定第1表示と重なって表示される、
請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
内部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、
基準時刻およびタイムゾーンに基づいて前記内部時刻を設定する時刻設定部を含む制御回路と、
複数のタイムゾーンのそれぞれに対応するタイムゾーン表示を行う表示部と、
前記表示部における前記複数のタイムゾーン表示から1つのタイムゾーン表示に対応するタイムゾーンを選択する選択動作を行う操作部と、
を備え、
前記タイムゾーン表示は、
タイムゾーン内に含まれる都市名、地域または時差に基づく1つ以上の第1表示と、
前記タイムゾーン内に含まれるランドマークに基づく1つ以上の第2表示と、
を含み
前記時刻表示部は、前記操作部の操作により、回転する指針を有し、
前記指針は、前記操作部の選択動作に応じて、前記指針が前記表示部に表示された前記タイムゾーン表示を指し示し
各前記第1表示のうち、特定第1表示に対応する前記タイムゾーンと、各前記第2表示のうち、特定第2表示に対応する前記タイムゾーンとが同じ特定タイムゾーンであり、
前記特定第2表示は、前記特定第1表示の径方向外側で、かつ、径方向において前記特定第1表示と重なって表示される、
ことを特徴とする電子時計。
【請求項4】
各前記第2表示は、前記第1表示に対して、色、フォント、大きさのうち、少なくとも1つが異なる、
請求項1~3のいずれか1つに記載の電子時計。
【請求項5】
前記表示部は、前記第2表示とともに、前記第2表示に対応する前記ランドマークに関する特定情報である第2表示補助表示を行う、
請求項1~4のいずれか1つに記載の電子時計。
【請求項6】
内部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、
基準時刻およびタイムゾーンに基づいて前記内部時刻を設定する時刻設定部を含む制御回路と、
複数のタイムゾーンのそれぞれに対応するタイムゾーン表示を行う表示部と、
前記表示部における前記複数のタイムゾーン表示から1つのタイムゾーン表示に対応するタイムゾーンを選択する選択動作を行う操作部と、
を備え、
前記タイムゾーン表示は、
タイムゾーン内に含まれる都市名、地域または時差に基づく1つ以上の第1表示と、
前記タイムゾーン内に含まれるランドマークに基づく1つ以上の第2表示と、
を含み、
各前記第2表示は、前記第1表示に対して、色、フォント、大きさのうち、少なくとも1つが異なる、
ことを特徴とする電子時計。
【請求項7】
前記表示部は、前記第2表示とともに、前記第2表示に対応する前記ランドマークに関する特定情報である第2表示補助表示を行う、
請求項6に記載の電子時計。
【請求項8】
内部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、
基準時刻およびタイムゾーンに基づいて前記内部時刻を設定する時刻設定部を含む制御回路と、
複数のタイムゾーンのそれぞれに対応するタイムゾーン表示を行う表示部と、
前記表示部における前記複数のタイムゾーン表示から1つのタイムゾーン表示に対応するタイムゾーンを選択する選択動作を行う操作部と、
を備え、
前記タイムゾーン表示は、
タイムゾーン内に含まれる都市名、地域または時差に基づく1つ以上の第1表示と、
前記タイムゾーン内に含まれるランドマークに基づく1つ以上の第2表示と、
を含み
前記表示部は、前記第2表示とともに、前記第2表示に対応する前記ランドマークに関する特定情報である第2表示補助表示を行う、
ことを特徴とする電子時計。
【請求項9】
前記時刻表示部は、複数の前記タイムゾーンを順次表示する表示モニタを有し、
前記操作部による選択動作に応じて、前記表示モニタに前記タイムゾーン表示を順次表示させ、かつ前記操作部の操作に応じて、前記タイムゾーンを決定する決定操作を行う、
請求項6~8のいずれか1つに記載の電子時計。
【請求項10】
各前記第1表示および各前記第2表示は、異なる1つの前記タイムゾーンにそれぞれ対応する、
請求項1~9のいずれか1つに記載の電子時計。
【請求項11】
前記操作部は、計時モードと、ダイビングモードとの切り替えを行うものであり、
前記第2表示は、ダイビングスポット名を含むものである、
請求項1~10のいずれか1つに記載の電子時計。
【請求項12】
前記操作部は、計時モードと、トラッキングモードとの切り替えを行うものであり、
前記第2表示は、トラッキングスポット名を含むものである、
請求項1~11のいずれか1つに記載の電子時計。
【請求項13】
前記操作部は、計時モードと、スカイダイビングモードとの切り替えを行うものであり、
前記第2表示は、空港名を含むものである、
請求項1~12のいずれか1つに記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子時計には、ユーザーの操作により、タイムゾーンを変更し、変更後のタイムゾーンに対応した時刻表示を行うものがある。タイムゾーンの変更をユーザーが行う場合は、操作部により、タイムゾーン変更モードにおいて、指針を回転させることで、各タイムゾーンに対応するタイムゾーン表示を指し示すことで行われる。各タイムゾーン表示は、主に都市名、都市名を省略した略都市名や、基準時刻に対する時差を数字で表したものなどである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-159679号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記各タイムゾーン表示が、例えば、都市名、略都市名の場合、タイムゾーン内に含まれる主要国の首都に関するものとなる。従って、ユーザーが主要国と同一タイムゾーン内に含まれる他の国にいる場合、同一タイムゾーンに主要国と他の国とが含まれていることを認識することが必要となり、タイムゾーン表示に基づいてタイムゾーンを変更することは困難である。特に、ユーザーのタイムゾーン間移動の目的がスポーツやアクティビティーに起因する場合、首都などには立ち寄らず、直接目的地に向かう場合が多く、この場合、ユーザーがいる国が主要国であっても、首都を認識しておらず、タイムゾーン表示に基づいてタイムゾーンを変更することは困難である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電子時計を使用するユーザーが自身のタイムゾーンを変更する目的に応じて、タイムゾーンを正しく選択することができる電子時計を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本実施形態における電子時計は、内部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、基準時刻およびタイムゾーンに基づいて前記内部時刻を設定する時刻設定部と、複数の前記タイムゾーンから1つの前記タイムゾーンを選択する選択動作を少なくとも行う操作部と、各タイムゾーンに対応するタイムゾーン表示を行う表示部と、を備え、前記選択動作は、複数の前記タイムゾーン表示のうち、選択する前記タイムゾーン表示を指し示すものであり、複数の前記タイムゾーン表示は、タイムゾーン内に含まれる都市名、地域または時差に基づく1つ以上の第1表示と、前記タイムゾーン内に含まれるランドマークに基づく1つ以上の第2表示と、を含前記時刻表示部は、前記操作部の操作により、回転する指針を有し、前記指針は、前記操作部の選択動作に応じて、前記指針が前記表示部に表示された前記タイムゾーン表示を指し示し、前記表示部は、前記時刻表示部の文字板および見返しリング、前記時刻表示部の外周に位置するベゼル、前記時刻表示部を覆う風防の少なくとも1つであり、各前記第1表示および各前記第2表示は、前記表示部において時差順に表示され、各前記第2表示は、各前記第1表示の少なくとも一部よりも、前記指針の回転軸を基準として径方向外側に位置する、ことを特徴とする電子時計。
また、本実施形態における電子時計は、内部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、基準時刻およびタイムゾーンに基づいて前記内部時刻を設定する時刻設定部を含む制御回路と、複数のタイムゾーンのそれぞれに対応するタイムゾーン表示を行う表示部と、前記表示部における前記複数のタイムゾーン表示から1つのタイムゾーン表示に対応するタイムゾーンを選択する選択動作を行う操作部と、を備え、前記タイムゾーン表示は、タイムゾーン内に含まれる都市名、地域または時差に基づく1つ以上の第1表示と、前記タイムゾーン内に含まれるランドマークに基づく1つ以上の第2表示と、を含み前記時刻表示部は、前記操作部の操作により、回転する指針を有し、前記指針は、前記操作部の選択動作に応じて、前記指針が前記表示部に表示された前記タイムゾーン表示を指し示し各前記第1表示のうち、特定第1表示に対応する前記タイムゾーンと、各前記第2表示のうち、特定第2表示に対応する前記タイムゾーンとが同じ特定タイムゾーンであり、前記特定第2表示は、前記特定第1表示の径方向外側で、かつ、径方向において前記特定第1表示と重なって表示される、ことを特徴とする電子時計。
また、本実施形態における電子時計は、内部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、基準時刻およびタイムゾーンに基づいて前記内部時刻を設定する時刻設定部を含む制御回路と、複数のタイムゾーンのそれぞれに対応するタイムゾーン表示を行う表示部と、前記表示部における前記複数のタイムゾーン表示から1つのタイムゾーン表示に対応するタイムゾーンを選択する選択動作を行う操作部と、を備え、前記タイムゾーン表示は、タイムゾーン内に含まれる都市名、地域または時差に基づく1つ以上の第1表示と、前記タイムゾーン内に含まれるランドマークに基づく1つ以上の第2表示と、を含み、各前記第2表示は、前記第1表示に対して、色、フォント、大きさのうち、少なくとも1つが異なる、ことを特徴とする電子時計。
また、本実施形態における電子時計は、部時刻に基づいて時刻表示を行う時刻表示部と、基準時刻およびタイムゾーンに基づいて前記内部時刻を設定する時刻設定部を含む制御回路と、複数のタイムゾーンのそれぞれに対応するタイムゾーン表示を行う表示部と、前記表示部における前記複数のタイムゾーン表示から1つのタイムゾーン表示に対応するタイムゾーンを選択する選択動作を行う操作部と、を備え、前記タイムゾーン表示は、タイムゾーン内に含まれる都市名、地域または時差に基づく1つ以上の第1表示と、前記タイムゾーン内に含まれるランドマークに基づく1つ以上の第2表示と、を含み、前記表示部は、前記第2表示とともに、前記第2表示に対応する前記ランドマークに関する特定情報である第2表示補助表示を行う、ことを特徴とする電子時計。
【発明の効果】
【0007】
本発明における時計は、電子時計を使用するユーザーが自身のタイムゾーンを変更する目的に応じて、タイムゾーンを正しく選択することができることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態における電子時計の全体構成図である。
図2図2は、実施形態における電子時計の要部拡大図(タイムゾーン選択状態)である。
図3図3は、実施形態における電子時計の要部拡大図(タイムゾーン選択状態)である。
図4図4は、タイムゾーン表示に関する図である。
図5図5は、タイムゾーンの一例に関する図である。
図6図6は、実施形態における電子時計のムーブメントのブロック図である。
図7図7は、変形例における電子時計の全体構成図である。
図8図8は、変形例におけるタイムゾーン表示に関する図である。
図9図9は、変形例における電子時計の全体構成図である。
図10図10は、変形例におけるタイムゾーン表示に関する図である。
図11図11は、変形例における電子時計の全体構成図である。
図12図12は、変形例における電子時計の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
〔実施形態〕
図1は、実施形態における電子時計の全体構成図である。図2は、実施形態における電子時計の要部拡大図(タイムゾーン選択状態)である。図3は、実施形態における電子時計の要部拡大図(タイムゾーン選択状態)である。図4は、タイムゾーン表示に関する図である。図5は、タイムゾーンに関する図である。図6は、実施形態における電子時計のムーブメントのブロック図である。なお、図2および図3は、図1に示す電子時計1のうち、9時近傍の拡大図である。また、図1図3におけるX方向は電子時計の12時6時方向であり、Y方向は電子時計の3時9時方向であり、X方向とY方向と直交する方向は電子時計の上下方向である。O1は電子時計1の中心であり、指針の回転軸と一致する。また、O1を中心としたXY平面における方向を径方向と呼ぶ。
【0011】
実施形態における電子時計1は、水晶発振器の出力に基づいて内部時刻を計時し、計時した時刻を指針31で示す電子時計である。電子時計1は、計時以外にもアラーム機能やクロノグラフなどの機能を有する多機能型電子時計であってもよい。また、標準電波や衛星が出力するGPS(GLOBAL POSITIONING SYSTEM)電波を受信し、受信した電波の時刻情報に基づいて内部時刻を補正する電波時計であってもよい。さらに、通信部により外部の端末機器と無線あるいは有線の少なくともいずれか一方により接続され、端末機器において設定された指示に基づいて、特定の機能(例えば、アラーム機能、端末機器の内部時刻情報に基づいた時刻補正機能、メール受信時などに報知する報知機能など)を実現する端末機器連動時計であってもよい。
【0012】
電子時計1は、図1図3に示すように、外装ケース2と、時刻表示部3と、操作部4と、ムーブメント5とを備える。本実施形態における電子時計1は、時刻表示部3がアナログ表示式のアナログ電子腕時計であり、ダイビング用途向けのダイビングモードを備えるダイバーズウオッチである。電子時計1は、腕時計式として説明するが、ダイバーズウオッチとしての機能を有すれば他の時計式、例えば、懐中時計式であってもよい。
【0013】
外装ケース2は、電子時計1の最外郭を構成するものであり、胴21とベゼル22と風防23と図示しない裏蓋とで構成される。胴21は、開口を有し、開口内部の空間にあたる内部空間部S1に時刻表示部3やムーブメント5が保持される。本実施形態においては、胴21は円環状であり、開口は電子時計1の中心O1を中心とする円形形状である。開口の形状は、電子時計1の外装ケース2の外形形状や、デザインに合わせて任意の形状とすることができる。胴21は、外周側面の12時方向及び6時方向からそれぞれ突出して形成された先かん24を備える。12時側の先かん24にはベルト8の一端が連結され、6時側の先かん24にはベルト8の他端が連結される。
【0014】
胴21の開口の一方の側である上方向開口を風防23が覆い、他方の側である下方向開口を裏蓋が覆い、それぞれ固定することによって、内部空間部S1が閉塞空間となるため、時刻表示部3やムーブメント5を保護することができる。風防23や裏蓋を胴21に固定するのに際して、それぞれゴムパッキンなどの図示しない防水部材を介することにより、保持力を高め、電子時計1の防塵性や防水性を高めることができる。胴21は、例えば、樹脂材料や金属材料、セラミック材料などにより形成されている。ベゼル22は、風防23を胴21に固定するものであり、リング状に形成されている。ベゼル22は、時刻表示部3の外周に位置するものである。本実施形態におけるベゼル22は、胴21に対して、電子時計1の中心O1を中心として回転自在に支持されている。ベゼル22は、例えば、樹脂材料や金属材料、セラミック材料などにより形成されている。風防23は、ベゼル22を介して、上方向側開口を覆う形状であり、上方向側から挿入しベゼル22に固定し、ベゼル22を介して胴21に固定することで内部空間部S1を閉塞する。本実施形態では風防23の平面視における外形形状は、円形状をしている。風防23は、例えば、ガラスや透過性の樹脂材料などにより形成されている。裏蓋は、下方向開口部と略同形状の係合部を有し、下方向側から挿入し胴21に固定することで内部空間部S1を閉塞する。本実施形態では裏蓋の外形形状は円形状である。裏蓋は、例えば、胴21と同様に樹脂材料や金属材料、セラミック材料などにより形成されている。なお、ベゼル22は、回転するものでなければ胴21と一体に形成されていてもよい。
【0015】
時刻表示部3は、内部時刻に基づいて時刻表示を行う。時刻表示部3は、指針31と文字板32と見返しリング33とを有する。本実施形態における時刻表示部3は、ムーブメント5の後述する制御回路52によって計時された内部時刻を表示したり、時刻表示機能と異なる機能に関する機能表示を行う。本実施形態における時刻表示部3は、内部時刻のうちの曜表示や、電池残量表示機能などの時刻表示機能と異なる機能表示が可能なサブ表示部36を備える。サブ表示部36は、例えば、電子時計1の中心O1を基準として7.5時位置に配置されるが、これに限定されず、6時位置や9時位置に配置されていても良いし、複数のサブ表示部が配置されてもよい。
【0016】
指針31は、電子時計1の中心O1を回転軸として回動可能なように配置され、ムーブメント5の輪列歯車に連結し、駆動回路の駆動信号に応じて駆動するモータを介して、回転駆動をする。指針31は棒状であり、金属材料や樹脂材料などにより形成される。本実施形態において、指針31は、秒針31a、分針31b、時針31cであり、文字板32よりも上方向側(風防23側)に配置される。また、指針31は、電子時計1の中心O2を回転軸として回動可能に配置され、サブ表示部36上の機能表示を指示可能な副針31dを含んでもよい。指針31は、ユーザーの操作により回転するものでもある。指針31は、指し示す位置に応じて内部時刻に基づいた時刻表示を行ったり、時刻表示機能と異なる機能に応じた設定情報などの情報表示を行うことができる。情報表示としては、アラーム機能のON・OFFの設定や、アラームの設定時刻、クロノグラフ表示、電池残量などが挙げられる。本実施形態における指針31は、秒針31aが後述する表示部である見返しリング33を指し示す位置に応じて、タイムゾーン表示TDを指し示すものである。
【0017】
文字板32は、指針31とムーブメント5との間に配置され、ムーブメント5を保護する。文字板32は、ユーザーに対して電子時計1の美観を与える機能を有する。文字板32の表面上(風防23と対向する側)には、時字34(時字34a,34b)が設けられている。つまり、時字34は、上下方向において風防23と対向するように配置され、風防23を介してユーザーが視認することができる。ユーザーは、指針31(秒針31a、分針31bおよび時針31c)と時字34との相対位置により、時刻表示に基づいた現在時刻を認識することができる。また、文字板32は、時字34とは異なる機能マーク35が設けられている。ユーザーは、指針31(秒針31a、分針31b、時針31c、副針31d)と機能マーク35との相対位置により、情報表示に基づいた各機能の設定情報等を認識することができる。
【0018】
見返しリング33は、本実施形態において、各タイムゾーンTZに対応するタイムゾーン表示TDを行う表示部である。見返しリング33は、図2および図3に示すように、文字板32の径方向外側に配置されている。本実施形態における見返しリング33は、リング状に形成され、かつ指針31の先端よりも径方向外側に配置されている。見返しリング33は、複数のタイムゾーン表示TDが設けられている。見返しリング33は、複数のタイムゾーン表示TDが設けられる領域として、内側領域E1と、外側領域E2とに区画されている。
【0019】
複数のタイムゾーン表示TDは、図4に示すように、1以上の第1表示TD1、1以上の第2表示TD2および1以上の第3表示TD3が含まれる。第1表示TD1は、都市名、地域または時差に基づいた表示であり、本実施形態においては省略した都市名または地域名、すなわち略都市名または略地域名である。第2表示TD2は、タイムゾーンTZ内に含まれるランドマークに基づく表示であり、本実施形においてはダイビングスポット名であり、かつ非略称であり、第1表示TD1と表示態様が異なる。具体的には、第2表示TD2は、第1表示TD1と比較して色が異なり、例えば、第1表示TD1が「ホワイト」であれば、第2表示TD2は第1表示TD1と比較して注視される「イエロー」である。なお、第2表示TD2は、第1表示TD1と比較して注視されやすければ、ユーザーの認識性を向上することができるので、第1表示TD1に対して、色、フォント、大きさのうち、少なくとも1つが異なっているのが好ましい。第3表示TD3は、本実施形態においては、都市名、地域名に対する簡略記号(例えば、楕円形の点)であり、同じ形状である。本実施形態における第1表示TD1、第2表示TD1および第3表示TD3は、それぞれ異なる1つのタイムゾーンTZにそれぞれ対応するものであり、同じタイムゾーンTZに対応することはない。ここで、タイムゾーンTZは、図5に示すように、世界地図を複数の地理的エリアに区画したものであり、例えば、協定世界時刻(UTC)を用い、複数の地理的エリアのうち1つを基準エリアとした場合に、基準エリアと、基準エリアの異なる地理的エリアとの時差を決定するものである。タイムゾーンTZは、縦を緯度、横を経度とした場合における1つの地理的エリアである。タイムゾーンTZは、基準エリア(0)の隣り合う地理的エリアが基準エリアに対して±1時間の時差となり、基準エリアから離れるほど、時差が大きくなる。
【0020】
見返しリング33は、図1図3に示すように、少なくとも第1表示TD1および第2表示TD2が時差順に表示されている。本実施形態における見返しリング33は、第1表示TD1、第2表示TD2および第3表示TD3が内側領域E1および外側領域E2に分配され、内側領域E1および外側領域E2に関係なく、全ての第1表示TD1、第2表示TD2および第3表示TD3が時差順に、周方向に沿って設けられている。見返しリング33は、時差0であるロンドンの略都市名である第1表示TD1としての「LON」を電子時計1における「12時」に対応する位置に設け、右回りに時差がプラスとなる各タイムゾーンTZに対応するタイムゾーン表示TDである第1表示TD1、第2表示TD2および第3表示TD3を時差順にそれぞれ設けられ、左回りに時差がマイナスとなる各タイムゾーンTZに対応するタイムゾーン表示TDである第1表示TD1、第2表示TD2および第3表示TD3を時差順にそれぞれ設けられている。
【0021】
見返しリング33の内側領域E1には、複数のタイムゾーン表示TDのうち、第1表示TD1および第3表示TD3が設けられている。見返しリング33の外側領域E2には、複数のタイムゾーン表示TDのうち、第1表示TD1および第2表示TD2が設けられている。つまり、見返しリング33に設けられる第2表示TD2は、第1表示TD1の少なくとも一部、すなわち内側領域E1内の第1表示TD1よりも径方向外側に位置する。見返しリング33においては、径方向内側である内側領域E1よりも径方向外側である外側領域E2の方が周方向における長さが長くなり、より多くの表示が行うことができる。従って、第2表示TD2を径方向外側に位置させることで、ダイビングスポット名を略称することなく表示することができ、ユーザーのタイムゾーン表示TDの認識性を向上することができる。
【0022】
見返しリング33は、各第1表示TD1にそれぞれ対応する補助記号33a,33cおよび各第2表示TD2にそれぞれ対応する補助記号33bが設けられている。各補助記号33a~33cは、選択動作において秒針31aがタイムゾーンTZを選択する際の指標となる記号である。補助記号33aは、内側領域E1に設けられており、内側領域E1に設けられている第1表示TD1に対応して、周方向において第1表示TD1と対向して位置するものと、外側領域E2に設けられている第1表示TD1に対応して、径方向において第1表示TD1と対向して位置するものとがある。補助記号33bは、内側領域E1に設けられており、外側領域E2に設けられている第2表示TD2に対応して、径方向において第2表示TD2と対向して位置するものである。補助記号33bは、補助記号33a、33cと表示態様が異なる。具体的には、補助記号33bは、補助記号33a、33cと比較して形状および色が異なり、例えば、補助記号33a、33cが「ホワイト」の矩形状であれば、補助記号33bは補助記号33a、33cと比較して注視される「イエロー」の矢印状である。なお、補助記号33bは、補助記号33a、33cと比較して注視されやすければ、ユーザーの認識性を向上することができるので、補助記号33a、33cに対して、色、形状、大きさのうち、少なくとも1つが異なっていればよい。補助記号33cは、外側領域E2に設けられており、内側領域E1に設けられている第1表示TD1に対応して、周方向において第1表示TD1と対向して位置するものであり、補助機構33aと同一形状である。
【0023】
操作部4は、ユーザーが操作することで、ムーブメント5に対して、操作に基づいた機能動作を実現するものである。本実施形態における操作部4は、複数のタイムゾーンTZから1つのタイムゾーンTZを選択する選択動作を少なくとも行うものである。具体的には、指針である秒針31aが、ユーザーによる操作部4の操作により、複数のタイムゾーン表示TDのうち、選択するタイムゾーン表示TDを指し示す選択動作を行うものである。操作部4は、リューズ41と、プッシュボタン42と、プッシュボタン43とを有する。リューズ41は、胴21の側面から突出して形成されており、ユーザーの操作により、突出方向に1段又は複数段引き出すことができ、軸心周りに回転することができる。リューズ41は、突出方向に引き出されていない0段とは異なる段、例えば2段にした状態で、回転することで、時刻表示状態の指針31を強制的に回転させることができ、時刻表示を補正することができる。プッシュボタン42,43は、胴21の側面から突出して形成されており、ユーザーの操作により突出方向と反対方向に押圧することができる。プッシュボタン42,43は、外力が作用していない状態では、突出方向に突出した状態を維持する。操作部4は、ムーブメント5の制御回路52と接続されており、ユーザーによる操作状態を操作信号として、制御回路52に出力する。
【0024】
ムーブメント5は、発振器51、制御回路52、駆動機構53、発電機構54、二次電池55などを備え、電子時計1の計時機能やその他の機能動作などを行う。
【0025】
発振器51は、電子時計1の表示時刻の計時やその他の機能動作に関する基準周波数を生成するための源振であり、例えば水晶振動子を用いることが出来る。水晶振動子は外部温度により発振特性が変動しやすいため、温度補償型水晶振動器(TCXO)を用いてもよい。
【0026】
制御回路52は、電子時計1の制御を行う回路であり、発振器51から出力されたクロック信号に基づき、電子時計1の内部時刻を計時したり、各機能に応じた制御信号を出力する。制御回路52は、CPU(Central Processing Unit)及びRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)といった記憶部52cを含む回路で構成される。制御回路52は、計時している内部時刻に基づいて、指針31に時刻表示を行わせるための制御信号を駆動機構53に出力する。制御回路52は、電波の時刻情報に基づいて内部時刻を補正するものでもある。制御回路5の記憶部52cには、タイムゾーンTZに対応するタイムゾーン情報TI(図4参照)が記憶されている。タイムゾーン情報TIは、例えば図4に示すように、秒針31aが指し示す位置と各タイムゾーンTZにおける時差の値とを関連付けたテーブルデータである。
【0027】
制御回路52は、時刻設定部52aと、モード切り替え部52bとを少なくとも機能として有する。時刻設定部52aは、基準時刻およびタイムゾーンに基づいて内部時刻を設定するものであり、タイムゾーンTZの変更があった場合に、変更前のタイムゾーン情報TIから、変更後のタイムゾーンTZに対応するタイムゾーン情報TIに記憶部52cの記憶を更新し、基準時刻および変更後のタイムゾーンTZに基づいて内部時刻を再設定する。モード切り替え部52bは、操作部4に対するユーザーの操作に基づいて、電子時計1を各種モードに移行するものである。本実施形態におけるモード切り替え部52bは、少なくとも計時モードと、タイムゾーン変更モードと、ダイビングモードとを切り替えることができる。ここで、計時モードは、内示時刻に基づいて時刻表示を行うモードである。タイムゾーン変更モードは、選択動作に基づいて、選択されたタイムゾーンが記憶部52cに記憶されているタイムゾーン情報TIに対応するタイムゾーンTZと異なる場合に、タイムゾーンの変更、すなわちタイムゾーン情報TIの更新を行うものである。ダイビングモードは、内部時刻に基づいた時刻表示を行っている指針31の動作を継続、すなわち停止させないモードであり、例えば、リューズ41が0段の状態で、プッシュボタン42を所定時間押圧することで、計時モードから切り替えられ、図示しない表示針がダイビングモードであることを指し示す。なお、ダイビングモードから計時モードへの切り替えは、例えば、リューズ41が0段の状態で、プッシュボタン42を所定時間押圧することで行われる。
【0028】
駆動機構53は、駆動回路やモータ、輪列歯車等を含み、制御回路52からの制御信号が駆動回路に入力され、入力された信号に応じてモータを駆動させる。モータに連結された輪列歯車などは協働して動く。例えば図示しない地板に対して回転自在に支持されている輪列歯車の一端に指針が取り付けられている場合は、指針31を回転駆動することができる。本実施形態において、モータは、ステップモータやエレクトレットモータなどを用いることができる。
【0029】
発電機構54は、外部エネルギーによって発電し、発電した電力を二次電池65や制御回路52などの電子部品に供給する。発電機構54には、光エネルギーを変換する光電変換素子や、熱エネルギーを変換する熱電変換素子、振動エネルギー等の機械運動から発電する機械電気変換素子などを用いることができる。
【0030】
二次電池55は、発電機構54によって発電した電力を蓄電することができるとともに、制御回路52や駆動機構53、その他の電子部品等に供給する電力源である。二次電池55には例えば、リチウムイオン電池や全個体電池を用いることができる。
【0031】
次に、電子時計1によるタイムゾーンTZを変更する際の動作について説明する。まず、ユーザーは、タイムゾーンTZの選択動作を行うために操作部4を操作する。本実施形態においては、ユーザーは、リューズ41を0段から1段にする。制御回路52は、リューズ41が1段となったと判断すると、計時モードからタイムゾーン切り替えモードに移行する。次に、ユーザーは、リューズ41が1段の状態で、プッシュボタン42を押圧する。制御回路52は、リューズ41が1段の状態を維持し、プッシュボタン42が押圧されていると判断すると、記憶部52cに記憶されたタイムゾーン情報TIに対応するタイムゾーンTZに対応するタイムゾーン表示TDを指し示すように秒針31aを回転させる。次に、ユーザーは、現在のタイムゾーンTZを確認したうえで、リューズ41を回転させることで、図2および図3に示すように、秒針31aを変更したい、すなわち選択するタイムゾーンTZに対応するタイムゾーン表示TDを指し示す選択動作を行う。例えば、ユーザーが出張や旅行などの特定の目的ではなく、タイムゾーンをデンバーが含まれるタイムゾーンに変更したい場合は、図2に示すように、デンバーの略都市名である第1表示TD1としての「DEN」が設けられた位置を秒針31aが指し示すように、秒針31aを回転させる。また、ユーザーがダイビングを体験するという特別な目的のために、タイムゾーンをガラパゴス(ガラパゴス諸島)が含まれるタイムゾーンに変更したい場合は、図3に示すように、ガラパゴスである第2表示TD2としての「GARAPAGOS」が設けられた位置を秒針31aが指し示すように、秒針31aを回転させる。次に、ユーザーは、リューズ41を1段から0段に戻す。制御回路52は、リューズ41が0段となったと判断すると、記憶部52cに記憶されたタイムゾーン情報TI、すなわち変更前のタイムゾーン情報TIに対応するタイムゾーンTZと秒針31aが指し示すタイムゾーン表示TDに対応するタイムゾーンTZとを比較して、異なる場合は、秒針31aが指し示すタイムゾーン表示TDに対応するタイムゾーンTZに対応するタイムゾーン情報、すなわち変更後のタイムゾーン情報TIを記憶部52cに記憶する。また、制御回路52は、変更前のタイムゾーン情報TIと変更後のタイムゾーン情報の差分に基づいて、内部時刻を変更し、変更された内部時刻に基づいて時刻表示を行う。
【0032】
以上のように、特別な目的のためにタイムゾーンを変更する場合において、タイムゾーン表示TDのうち、特別な目的に対応したタイムゾーン表示TDである第2表示TD2は、他のタイムゾーン表示TDである第1表示TD1および第3表示TD3と比較して識別しやすく、かつタイムゾーンTZのランドマークとして認識しやすい。従って、電子時計1を使用するユーザーが自身のタイムゾーンTZを変更する目的に応じて、タイムゾーンTZを正しく選択することができることができる。
【0033】
なお、本実施形態においては、内側領域E1に第1表示TD1の一部および第3表示TD1を設け、外側領域E2に第1表示TD1の一部および第2表示TD2を設けたが、これに限定されるものではなく、外側領域E2に第2表示TD2のみを設けてもよい。また、表示部を見返しリング33として、複数のタイムゾーン表示TDを設けたが、これに限定されるものではなく、文字板32のみ、ベゼル22のみ、時刻表示部を覆う風防23のみ、あるいは文字板32、見返しリング33、ベゼル22および風防23のうち、2以上に設けてもよい。この場合は、第1表示TD1の一部を径方向内側に位置する表示部に設け、第2表示TD2を径方向外側に位置する表示部に設けることが好ましい。
【0034】
また、本実施形態においては、第1表示TD1、第2表示TD1および第3表示TD3がそれぞれ異なる1つのタイムゾーンTZにそれぞれ対応するものであるが、これに限定されるものではなく、同じタイムゾーンTZに対応してもよい。各第1表示TD1のうち、特定第1表示TD1Xに対応するタイムゾーンTZと、各第2表示TD2のうち、特定第2表示TD2Xに対応するタイムゾーンTZとが同じ特定タイムゾーンTZXである場合に、特定第2表示TD2Xは、特定第1表示TD1Xの径方向外側で、かつ、径方向において特定第1表示TD1Xと重なって表示する。例えば、ガラパゴスである第2表示TD2としての「GARAPAGOS」を特定第2表示TD2Xとした場合は、ランドマークであるガラパゴスと同一の特定タイムゾーンTZX内に含まれる都市であるシカゴの略都市名である第1表示TD1としての「CHI」を特定第1表示TD1Xとし、第1表示TD1としての「CHI」を内側領域E1に設け、第2表示TD2としての「GARAPAGOS」を外側領域E2に設け、さらに「CHI」と「GARAPAGOS」とを径方向において対向して設ける。
【0035】
また、本実施形態においては、電子時計1がダイビングモードを有するが、特定の目的に基づいて、ダイビングモードの代わり、またはダイビングモードに追加して他のモード、例えば、トラッキングモード、スカイダイビングモードなどを有してもよい。図7は、変形例における電子時計の全体構成図である。図8は、変形例におけるタイムゾーン表示に関する図である。電子時計1は、図7および図8に示すように、トラッキングモードを有していてもよい。この場合、第2表示TD2は、対応するタイムゾーンTZ内に含まれるランドマークとしてのトラッキングスポット名、例えば、「DENALI」、「ACONCAGUA」、「MONT BLANC」、「KIRIMANJARO」、「EVEREST」、「KOSCIUSZKO」などの山の名前であり、かつ非略称であり、第1表示TD1と表示態様が異なる。また、電子時計1は、スカイダイビングモードを有していてもよい。この場合、第2表示TD2は、対応するタイムゾーンTZ内に含まれる空港名であり、かつ非略称であり、第1表示TD1と表示態様が異なる。
【0036】
また、本実施形態においては、電子時計1がダイビングモードを有するが、電子時計1がモード切り替え部62bを有しない、すなわち他のモードを有さず、計時のみを行う電子時計1であってもよい。図9は、変形例における電子時計の全体構成図である。図10は、変形例におけるタイムゾーン表示に関する図である。電子時計1は、他のモードを有さないが、例えば、図9および図10に示すように、第2表示TD2がテニスに対応するものであってもよい。この場合、第2表示TD2は、対応するタイムゾーンTZ内に含まれるランドマークとしてのラッキングスポット名、例えば、「US OPEN」、「WIMBLEDON」、「FRENCH OPEN」、「AUSTRALIAN OPEN」などのテニス大会またはテニス会場の名前であり、かつ非略称であり、第1表示TD1と表示態様が異なる。
【0037】
また、本実施形態においては、選択動作として、複数のタイムゾーン表示TDのうち、秒針31aにより、選択するタイムゾーン表示TDを指し示すことにより行われるがこれに限定されるものではなく、時刻表示部3に設けられた図示しない表示モニタを用いてもよい。図11は、変形例における電子時計の全体構成図である。表示モニタ9は、ムーブメント5において表示面が文字板32に露出するように設けられている。本実施形態における表示モニタ9は、液晶モニタであり、文字板32における「6時」の位置に配置されている。なお、表示モニタ9は、有機ELモニタ、電子ペーパーなどであってもよく、第位置表示TD1および第2表示TD2を非略称で表示することを考慮して、文字板32の「6」時の位置のみならず「12時」の位置に配置されていてもよい。表示モニタ9は、制御回路52により制御され、操作部4に対するユーザーの操作により、制御回路52の記憶部52cに記憶されている複数のタイムゾーン表示TDを順次表示するものである。ここで、複数のタイムゾーン表示TDは、少なくとも第1表示TD1および第2表示TD2を含む。例えば、ユーザーは、リューズ41を0段から1段とすることで、制御回路52により、表示モニタにおいて記憶部52cに記憶されたタイムゾーン情報TIに対応するタイムゾーンTZに対応するタイムゾーン表示TDを表示させる。次に、ユーザーは、現在のタイムゾーンTZを確認したうえで、リューズ41を回転またはプッシュボタン42、43を押させることで、制御回路52により、表示モニタにおいて複数のタイムゾーン表示TDを順次表示させる。次に、ユーザーは、選択したいタイムゾーンTZに対応するタイムゾーン表示TDが表示モニタに表示されると、リューズ41を1段から0段に戻す決定操作を行なうことで、タイムゾーンを決定し、制御回路52により、タイムゾーン情報TIの更新が行われるとともに、変更前のタイムゾーン情報TIと変更後のタイムゾーン情報の差分に基づいて、内部時刻を変更し、変更された内部時刻に基づいて時刻表示を行う。
【0038】
また、本実施形態においては、表示部としての見返しリング33に対して、第1表示TD1、第2表示TD2および第3表示TD3の表示を行ったが、これに限定されるものではなく、表示部に対して、第2表示TD2とともに第2表示TD2に対応するランドマークに関する特定情報である第2表示補助表示TD21を表示してもよい。図12は、変形例における電子時計の全体構成図である。例えば、電子時計1は、他のモードを有さないが、第2表示TD2がカーレースに対応するものであり、各第1表示TD1のうち、特定第1表示TD1Xに対応するタイムゾーンTZと、特定第2表示TD2Xに対応するタイムゾーンTZとが同じ特定タイムゾーンTZXである場合に、特定第2表示TD2Xは、特定第1表示TD1Xの径方向外側に表示するものとする。電子時計1は、同図に示すように、表示部としての見返しリング33に対して第1表示TD1(特定第1表示TD1Xを含む)が表示され、表示部としてのベゼル22に第2表示TD2としての特定第2表示TD2Xおよび第2表示補助表示TD21が表示されている。この場合、第1表示TD1は、時差に基づいた表示であり、見返しリング33に対して、タイムゾーンTZにおける基準エリア(0)に対応する特定第1表示TD1Xである「0」を基準として、周方向の一方向において、特定第1表示TD1Xである「+1」、第1表示TD1である「+2」と時差順に表示され、周方向の他方向に、第1表示TD1である「-1」、第1表示TD1である「-2」と時差順に表示されている。また、第2表示TD2である特定第2表示TD2Xは、対応するタイムゾーンTZ内に含まれるランドマークとしてのサーキット名、例えば、特定第1表示TD1Xの「-3」に対応する「Interlagos」、特定第1表示TD1Xの「0」に対応する「Silverstone」、特定第1表示TD1Xの「+1」に対応する「Catalunya」、特定第1表示TD1Xの「+8」に対応する「Marina Bay St.」、特定第1表示TD1Xの「+9」に対応する「Suzuka」などであり、かつ非略称であり、対応する特定第1表示TD1Xと表示態様が異なり、ベゼル22の内側領域E1に表示されている。ここで、第2表示補助表示TD21は、第2表示TD2に対応するランドマークに関する特定情報として、各サーキットのメートル表記でのコース全長である。第2表示補助表示TD21は、特定第2表示TD2Xの「Interlagos」に対応する「4309」、特定第2表示TD2Xの「Silverstone」に対応する「5891」、特定第2表示TD2Xの「Catalunya」に対応する「4655」、特定第2表示TD2Xの「Marina Bay St.」に対応する「5063」、特定第2表示TD2Xの「Suzuka」に対応する「5807」などであり、ベゼル22の外側領域E2において、径方向において対応する特定第2表示TD2Xと重なって表示されている。ここで、特定第1表示TD1Xは、第1表示TD1と表示態様が異なる。また、ベゼル22は、特定第2表示TD2Xにそれぞれ対応する補助記号22aが設けられている。各補助記号22aは、特定第1表示TD1Xおよび特定第2表示TD2Xを関連づける記号である。補助記号22aは、ベゼル22の内側領域E1に設けられており、同領域E1に設けられている特定第2表示TD2Xに対応して、特定第2表示TD2Xの周方向における両端部の一方の端部に位置し、かつ径方向において特定第1表示TD1Xと対向して位置するものである。以上のように、表示部は、第2表示TD2とともに第2表示TD2に対応するランドマークに関する特定情報である第2表示補助表示TD21が表示されているので、第2表示補助表示TD21によりユーザーが特別な目的に対応したタイムゾーン表示TDである第2表示TD2をさらに識別しやすく、かつタイムゾーンTZのランドマークとして認識しやすい。
【0039】
なお、上記電子時計1においては、第2表示TD2がカーレースに対応するものである場合について説明したが、第2表示TD2が山に対応するものである場合は、第2表示TD2として「山名」、第2表示補助表示TD21として「標高」などであってもよい。また、第2表示TD2がテニスに対応するものである場合は、第2表示TD2として「4大大会名」、第2表示補助表示TD21として「開催月」、「コートのサーフェース(Glass、Hard、Clayなど)」などであってもよい。また、第2表示TD2がテーマパークに対応するものである場合は、第2表示TD2として「テーマパーク名」、第2表示補助表示TD21として「アトラクション数」、「開園記念日」などであってもよい。また、第2表示TD2が世界遺産に対応するものである場合は、第2表示TD2として「世界遺産名」、第2表示補助表示TD21として「登録年」などであってもよい。また、上記電子時計1においては、第2表示TD2に対応するランドマークに関する特定情報である第2表示補助表示TD21が1つであるが、これに限定されるものではなく、2以上であってもよい。この場合、第2表示補助表示TD21に対応する特定情報と異なる属性の特定情報である第2表示補助表示が表示部に表示されることがこのましい。例えば、電子時計1として第2表示TD2がテニスに対応するものである場合は、各第2表示TD2にそれぞれ対応する第2表示補助表示TD21が開催月である場合、コートのサーフェース(Glass、Hard、Clayなど)」を他の第2表示補助表示TD22を第2表示補助表示TD21とともに外側領域E2に表示してもよい。また、上記電子時計1においては、第2表示補助表示TD2を第1表示TD1および第2表示TD2よりも径方向外側に配置したがこれに限定されるものではなく、第1表示TD1および第2表示TD2の少なくとも1つよりも径方向内側に配置されてもよい。例えば、第1表示TD1および第2表示TD2が見返しリング33に表示され、第2表示補助表示TD21が文字板31に表示されていてもよい。
【0040】
また、本実施形態においては、第2表示TD2に対応するランドマークは、1種類としたがこれに限定されるものではなく、2種類以上であってもよい。例えば、第2表示TD2として「ダイビングスポット名」および「世界遺産名」であってもよい。また、電子時計1においては、第2表示TD2に対応するランドマークと同一種類であり、かつ時差に対応しない表示を、第2表示TD2とともに表示してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 電子時計
2 外装ケース
21 胴
22 ベゼル
23 風防
24 先かん
3 時刻表示部
31 指針
32 文字板
33 見返しリング(表示部)
33a~33c 補助記号
34 時字
35 機能マーク
36 サブ表示部
4 操作部
41 リューズ
42,43 プッシュボタン
5 ムーブメント
51 発振器
52 制御回路
52a 時刻設定部
52b モード切り替え部
52c 記憶部
53 駆動機構
54 発電機構
55 二次電池
8 ベルト
9 表示モニタ
TZ タイムゾーン
TD タイムゾーン表示
TD1 第1表示
TD2 第2表示
TD3 第3表示
TI タイムゾーン情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12