(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】自動化された単一細胞処理のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240105BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240105BHJP
C12Q 1/686 20180101ALN20240105BHJP
C12Q 1/6806 20180101ALN20240105BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6806 Z
(21)【出願番号】P 2021565929
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(86)【国際出願番号】 US2020031502
(87)【国際公開番号】W WO2020227309
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-12-28
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502416811
【氏名又は名称】バイオ-ラッド ラボラトリーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ハンディーク,カリヤン
(72)【発明者】
【氏名】ペイン,オースティン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シダ
(72)【発明者】
【氏名】テジェルス,パトリック,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】コーデリッツ,ウィル
(72)【発明者】
【氏名】ジェノード,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,グレイ
(72)【発明者】
【氏名】ボニファス,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】メーネ,カトリン,カーティン
(72)【発明者】
【氏名】ヒッチナー,アレック,ウィリアム
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-541959(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0220979(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0002814(US,A1)
【文献】特表2019-516099(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0142711(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0136670(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0052205(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12Q
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を自動的に処理するためのシステムにおいて、
デッキであって、
試薬カートリッジを、前記デッキの第1の側の第1の領域に、
試料処理カートリッジを、前記第1の側の第2の領域に、
器具コンテナを、前記第1の側の第3の領域に、
支持および配置するように構成される、デッキと、
前記デッキに結合され、ピペッタを保持するように構成されたガントリであって、
前記ピペッタ
の先端に連結するように構成されたピペットインターフェースを、前記デッキの第1の側の上部に存在する3次元空間内において、前後の軸、左右の軸、および上下の軸を有する軸のセットに沿って移動させるように構成されたトラックのセットを備える、ガントリと、
前記デッキの下方にあり、前記デッキの前記第1の側の反対側に位置する基部であって、
前記試薬カートリッジおよび前記試料処理カートリッジに熱を伝達するための温熱体のセットを備える加熱および冷却サブシステム、
磁石アクチュエータに結合された磁石のセットを備える分離サブシステムであって、前記磁石アクチュエータが、前記磁石のセットを後退状態と伸展状態との間で遷移させるように構成され、前記伸展状態では、前記磁石のセットが、前記デッキの前記第1の領域内へ移動する、分離サブシステム、
前記デッキの前記第1の側の第2の領域と前記デッキの前記第1の側の反対側とを連通する真空ポートを備える圧送サブシステム
を支持する、基部と
を備え、
前記試料処理カートリッジが、アクセス領域を被覆する蓋を備え、前記蓋は、前記アクセス領域が被覆されない開モード、および前記アクセス領域が被覆される閉モードに遷移させるための解放体を含み、
前記システムが、前記ピペットインターフェースに連結するように構成された蓋開口器具をさらに備え、
前記蓋開口器具が、前記蓋の解放体に連結された連結体を有し、前記ガントリが前記蓋開口器具と係合するために前記ピペットインターフェースを移送し、前記ピペットインターフェースが
アクチュエータとして前記蓋開口器具を介して前記蓋の解放体と相互作用することにより、前記蓋が前記閉モードと前記開モードとの間で遷移することを特徴とする、試料を自動的に処理するためのシステム。
【請求項2】
前記試薬カートリッジは、前記デッキの前記第1の側の前記第1の領域へ移動する前記温熱体のセットの、材料冷却のために構成される第1の温熱体とかみ合うように構成される第1の範囲、および前記デッキの前記第1の側の前記第1の領域へ移動する前記温熱体のセットの、熱サイクリングのために構成される第2の温熱体とかみ合うように構成される第2の範囲を含む、範囲のセットを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記試料処理カートリッジは、試料処理チップに結合されたベース基板を備え、前記試料処理チップは、単一細胞形式で細胞を捕捉するように構成されるマイクロウェルのセットを備えるマイクロウェル領域を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記温熱体のセットは、前記マイクロウェルのセットにおいて材料を加熱するための、前記デッキの前記第1の側の前記第2の領域へ移動する第3の温熱体を備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記試料処理カートリッジは、前記試料処理カートリッジの廃棄物含有領域内へと前記マイクロウェル領域から前記試料処理チップの出口まで流路に沿って、前記試料処理チップを前記ベース基板に結合する弾性弁をさらに備える、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
弁アクチュエータおよび前記弁アクチュエータに結合された先端部を備える弁作動サブシステムをさらに備え、前記先端部が、前記デッキの前記第2の領域内への弁開口部と整列され、前記弁作動サブシステムは、前記先端部が前記弁開口部内へ延在して前記弾性弁を変形させ、以て、前記流路を閉じる係合モード、および前記先端部が後退され、以て、前記流路を開く非係合モードを含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記試料処理カートリッジの前記蓋は、前記試料処理チップの前記マイクロウェル領域内へのアクセス領域を被覆するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
前記デッキは、前記試料処理カートリッジに可逆的に係合し、前記蓋開口器具に対する反作用力を提供し、少なくとも0.5lbsの保持力で、前記温熱体のセットのうちの温熱体との熱接触を提供するように構成される、前記第2の領域における保持要素のセットを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記温熱体のセットおよび前記真空ポートのうちの少なくとも1つは、前記蓋開口器具に対する反作用力を提供するために前記試料処理カートリッジと結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記閉モードでは、前記蓋および前記アクセス領域は、前記蓋に結合されたガスケットによって封止される、前記試料処理チップの前記マイクロウェル領域に隣接した流体通路の境界を画定する、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記デッキに結合され、前記試料処理カートリッジの入口リザーバと整列される流体レベル検出サブシステムをさらに備え、前記流体レベル検出サブシステムが、前記入口リザーバにわたって伝送される光を検出するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記分離サブシステムは、第1の端において前記ピペットインターフェースと結合するように、および第2の端において前記器具コンテナの磁気スリーブと結合するように構成される磁性体をさらに備え、前記システムは、前記試料からの標的材料の磁気分離のため、前記ガントリが、前記磁気スリーブに結合された前記磁性体を、前記試料処理カートリッジと前記試薬カートリッジとの間で移送する分離モードをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記分離サブシステムの前記磁石のセットは、前記試薬カートリッジにおける精製動作の実施のため、第1の軸に沿って線形アレイに配置される磁石の第1のサブセットを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記分離サブシステムの前記磁石のセットは、前記試薬カートリッジの分離リザーバにおける標的材料分離動作の実施のため、前記第1の軸からオフセットされる第2の磁石をさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記分離リザーバは、前記磁石のセットの前記伸展状態において前記第2の磁石に隣接して構成される平坦表面、および前記磁石のセットの前記伸展状態において前記第2の磁石から離れた湾曲表面を備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記デッキと前記基部との間に支持される処理および制御サブシステムをさらに備え、前記処理および制御サブシステムが、自動試料処理動作を実行するための、コンピュータ可読媒体に記憶された非一時的な命令を含み、前記自動試料処理動作が、
前記加熱および冷却サブシステム、前記試薬カートリッジ、および前記試料処理カートリッジの間の熱伝達を制御すること、
前記磁石のセットを前記後退状態と前記伸展状態との間で遷移させること、
前記真空ポートを通じて、前記圧送サブシステムによって前記試料処理カートリッジに印加される圧力を制御すること、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
試料を自動的に処理するためのシステムにおいて、
デッキであって、
試薬カートリッジを、前記デッキの第1の側の第1の領域に、および
試料処理カートリッジを、前記第1の側の第2の領域に、
支持および配置するように構成されるデッキと、
前記デッキに結合され、ピペッタを保持するように構成されたガントリであって、
前記ピペッタ
の先端に連結するように構成されたピペットインターフェースを、前記デッキの第1の側の上部に存在する3次元空間内において、前後の軸、左右の軸、および上下の軸を有する軸のセットに沿って移動させるように構成されたトラックのセットを備える、ガントリと、
前記デッキの下方にあり、前記デッキの前記第1の側の反対側に位置する基部であって、
磁石アクチュエータに結合された磁石のセットを備える分離サブシステムであって、前記磁石アクチュエータが、前記磁石のセットを後退状態と伸展状態との間で遷移させるように構成され、前記伸展状態では、前記磁石のセットが、前記デッキの前記第1の領域内へ移動する、分離サブシステムを支持する、基部と
を備え、
前記試料処理カートリッジが、アクセス領域を被覆する蓋を備え、前記蓋は、前記アクセス領域が被覆されない開モード、および前記アクセス領域が被覆される閉モードに遷移させるための解放体を含み、
前記システムが、前記ピペットインターフェースに連結するように構成された蓋開口器具をさらに備え、
前記蓋開口器具が、前記蓋の解放体に連結された連結体を有し、前記ガントリが前記蓋開口器具と係合するために前記ピペットインターフェースを移送し、前記ピペットインターフェースが
アクチュエータとして前記蓋開口器具を介して前記蓋の解放体と相互作用することにより、前記蓋が前記閉モードと前記開モードとの間で遷移することを特徴とする、試料を自動的に処理するためのシステム。
【請求項18】
前記分離サブシステムは、第1の端において前記ピペットインターフェースと結合するように、および第2の端において磁気スリーブと結合するように構成される磁性体をさらに備え、前記システムは、前記試料からの標的材料の磁気分離のため、前記ガントリが、前記磁気スリーブに結合された前記磁性体を、前記試料処理カートリッジと前記試薬カートリッジとの間で移送する分離モードをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記試料処理カートリッジは、試料処理チップに結合されたベース基板を備え、前記試料処理チップは、単一細胞形式で細胞を捕捉するように構成されるマイクロウェルのセットを備えるマイクロウェル領域を備え、前記試料処理カートリッジは、前記試料処理カートリッジの廃棄物含有領域内へと前記マイクロウェル領域から前記試料処理チップの出口まで流路に沿って、前記試料処理チップを前記ベース基板に結合する弾性弁をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年5月7日に出願された米国仮出願第62/844,470号、および2019年6月26日に出願された米国出願第62/866,726号の利益を主張するものであり、これらの出願は各々、本参照によりその全体が組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、細胞捕捉および細胞処理分野、ならびにより詳細には、細胞捕捉および細胞処理分野における単一細胞捕捉および処理のための新規かつ有用な自動化システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞特異的な薬物検査、診断、および他のアッセイへの高まる関心により、個々の細胞単離、同定、および回収を可能にするシステムおよび方法が非常に望ましくなっている。単一細胞捕捉システムおよび方法は、これらの応用に特に有利であることが示されてきた。しかしながら、単一細胞捕捉のための関連プロセスおよびプロトコル、ならびにその後の分析は、多くの場合、特定の順序で、および細胞を適切に維持するために高い精度で、実施されなければならない。そのようなものとして、これらのプロセスは、ユーザにとって時間を消費するものになり得、ならびに、それらが適切に実施されない場合には(例えば、ピペット操作における間違いによって、試薬の取り違いによってなど)、細胞への損傷、または別途好ましくない結果をもたらし得る。特に、これらの新規の高スループット単一細胞サイトメトリ・アッセイは、トランスレーショナル医療、個人化治療選択、臨床診断、および/または他の使用用途において大きな有用性を有するが、自動化の欠如が、非熟練ユーザによる適切な実施を妨げ、以て、スループットを制限する。
【0004】
故に、細胞捕捉および細胞処理分野において、単一細胞捕捉および処理のための新規かつ有用なシステムおよび方法を作り出すことが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1A-1Dは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムの実施形態の概略表現を描写する図である。
【
図3】
図3A-3Cは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムと関連付けられた試薬カートリッジの変異形を描写する図である。
【
図4】
図4A-4Cは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムと関連付けられた試料処理カートリッジの変異形を描写する図である。
【
図5】
図5A-5Cは、
図4A~
図4Cに示される試料処理カートリッジと関連付けられた蓋開口器具の動作モードを描写する図である。
【
図6】
図6A-6Bは、
図4A~
図4Cに示される試料処理カートリッジと関連付けられた弁および加熱サブシステムの動作モードを描写する図である。
【
図7】
図7A-7Bは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムと関連付けられた器具コンテナおよび内容物の変異形を描写する図である。
【
図8】
図8A-8Iは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムのデッキに要素を保持するための特徴部の変異形を描写する図である。
【
図9】自動化された単一細胞試料処理のためのシステムの流体レベル検出サブシステムの例を描写する図である。
【
図10】
図10A-10Cは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムにおける材料分離に使用される構成要素の第1のサブセットの変異形を描写する図である。
【
図11】
図11A-11Bは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムにおける材料分離に使用される構成要素の第2のサブセットの変異形を描写する図である。
【
図12】
図12A-12Jは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムと関連付けられた分離サブシステムの動作モードを描写する図である。
【
図13】
図13A-13Dは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムと関連付けられた分離サブシステムの変異形の構成要素を描写する図である。
【
図14】
図14A-14Cは、自動化された単一細胞試料処理のためのシステムの構成要素間の機能的結合の実施形態を描写する図である。
【
図15】自動化された単一細胞試料処理のための方法の実施形態のフローチャートを描写する図である。
【
図16】自動化された単一細胞試料処理のための方法の第1の変異形を描写する図である。
【
図17】自動化された単一細胞試料処理のための方法の第2の変異形を描写する図である。
【
図18】自動化された単一細胞試料処理のための方法の第3の変異形を描写する図である。
【
図19】自動化された単一細胞試料処理のための方法の第3の変異形を描写する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、本発明をこれらの好ましい実施形態に限定することは意図されないが、むしろ、当業者が本発明を作製および使用することを可能にすることが意図される。
【0007】
1.利益
本発明は、従来のシステムおよび方法に勝るいくつかの利益をもたらすことができる。
【0008】
特に、本発明は、単一細胞捕捉および後続処理に関与するプロトコルの少なくとも部分的な自動化を可能にし、以て、ラン成功および一貫性を最適化するという利益をもたらす。より詳細には、ユーザは、方法の部分またはすべて(例えば、試料を充填すること、蓋をかぶせること、器械内溶解、逆転写プロセス、cDNA増幅、ビーズまたはcDNA産物回収、器械内ライブラリ調製および清浄など)から取り除かれ得る。さらに、本システムおよび/または方法は、従来のシステムおよび方法に勝るプロトコルのより良好な正確性を可能にすることができる(例えば、正しい試薬の追加におけるより良好な正確性、試薬のより良好な温度管理、臨界液体取扱ステップの迅速な処理、正確なインキュベーション時間、最適なビーズ洗浄および分離、自動化されたバーコード読み取りなど)。さらに、本システムおよび/または方法は、プロトコルの手動実施中に一般的に発生し得るアクシデント(例えば、システムを強く叩くこと、試薬をこぼすこと、試料または器械の汚染など)を防ぐという利益をもたらすことができる。
【0009】
追加的に、用途が限定されている、および/または予め充填され統合された試薬カートリッジの使用を通じて、本システムおよび/または方法は、アッセイの現在進行中の開発および将来の応用に応えるために、最適化された品質制御および設計アーキテクチャを伴う合理化したユーザ体験を提供するという利益をもたらすことができる。そのようなものとして、本システムは、試薬または試薬グループの、独立した、またはほぼ独立した制御という利益をもたらす。この変異形の特定の例において、本システムは、以下の専用領域:室温領域、冷却領域、加熱領域、磁気領域(例えば、加熱領域と重なる)、廃棄物捕捉領域、中間試薬パーキング領域または任意の他の好適な領域のうちのいずれかまたはすべてを有する試薬カートリッジを含む。関連した利益については、本システムおよび/または方法は、特定の自動プロトコルに従って使用されるべきプロトコル特有のタイプおよび量での試薬の分配を通じてなど、ユーザがより小さい体積の試薬を購入することを可能にするという利益をもたらすことができる。これは、費用を節約する、試薬廃棄物を低減する、または任意の他の好適な結果を有するために機能し得る。
【0010】
追加的に、流体取扱および分離要素(例えば、磁気分離構成要素)の使用を通じて、本システムおよび/または方法は、自動化された試料およびライブラリ清浄ステップを提供するという利益をもたらすことができる。関連して、本システムおよび/または方法は、システム全体を通じてより良好な流体流を確立するという利益をもたらすことができる。第1の例において、これは、ユーザ介入なしに流体流を監視すること、および/または方向付けることができる(例えば、最適な流量を維持するため、最適な体積の試薬を確立するためなど)自動化されたピペット操作システム(例えば、ピペッタ、ガントリ、および多彩なピペット先端部)を通じて可能にされる。単一細胞調製および/または他のアッセイのための流体取扱システム構成要素は、以下により詳細に説明されるように、(a)流体チャネルまたは流体リザーバ(例えば、試料処理カートリッジの)内への流体分注および圧送のためのガントリに結合された液体ピペッタ、ならびに/または(b)流体ネットワークと統合された弁を通じて接続および制御される内蔵オンチップ加圧可能廃棄物チャンバの両方の使用に関与し得る。そのような組み合わされたデュアル液体取扱システムは、流体システムを通じた試薬の流れ(例えば、1秒あたりマイクロリットル~1秒あたり数十ミリリットル)、送達(例えば、1~100,000マイクロリットル)、および滞留時間(例えば、数ミリ秒~数時間)の従来にない制御をもたらす。追加的または代替的に、本システムは、ユーザ介入ありで(例えば、最小のユーザ介入で、最適ユーザ介入を奨励するように、など)、流体流を監視すること、および/または方向付けることができる。
【0011】
追加的に、ソフトウェアおよびワークフロー改善を通じて、本システムおよび/または方法は、ユーザによって実施される手動動作の数を最小限にすること、ならびに、円滑な動作および試料処理を確実にするために関連システム状態レポートを提供することができる。
【0012】
追加的に、試料処理使い捨て器具に関して、本システムおよび/または方法は、より多くの試料処理チャンバを有する使い捨て器具に拡張可能である様式で、複数の構成要素を集約するという利益をもたらすことができる。追加的に、本システムは、2つ以上の従来別個の処理プラットフォーム構成要素を単一のユニットへ集約し、これがシステムの全体的なサイズを低減する(例えば、ベンチトップ・モデルを可能にする)、本システムの機構(例えば、ピペッタ・ガントリ)の設置面積全体を低減する、システム間での材料のより効率的な輸送を可能にする、または任意の他の好適な機能を実施することができるという利益をもたらすことができる。この変異形の特定の例において、入口、マイクロウェルのセット、出口弁、蓋機構(例えば、蓋機構の蓋、全蓋機構など)、および廃棄物チャンバはすべて、単一部品に局限される。
【0013】
追加的に、本発明は、様々な技能レベルを有する標準的ユーザ(例えば、新人、熟練者)がプラットフォーム構成要素を動作させることを可能にすることによって、低パラメータ・フロー応用、高パラメータ・フロー応用、大量サイトメトリ応用、プロテオゲノム応用、単一細胞RNA応用、タンパク質検出応用、単一細胞マルチオミクス応用、および他の応用における必要性に対処する。本システムの実施形態によって実施される特定のワークフローは、以下により詳細に説明される。
【0014】
実施に関して、本システムおよび/または方法は、能率化したプロセスで(例えば、効率的に充填された試薬カートリッジ、試料処理カートリッジ、および流体取扱使い捨て器具のコンテナを含む、専用消耗品のセットによって)、細胞を処理して、精製したライブラリを1日以内に生成すること、次世代シーケンシング(NGS)調製を実施すること、および他のプロセスを実施することができる。
【0015】
追加的に、本システムは、ピペッタなどの構成要素の三次元可動性の利益をもたらす。この変異形の特定の例において、本システムは、ピペッタのX-Y-Z可動性を提供するガントリを含み、ピペッタが様々なタスク(例えば、試薬管の箔カバーに穴をあけること、ウェルのセット間で材料を輸送することなど)を自動化した方式で実施することを可能にする。
【0016】
追加的または代替的に、本システムおよび/または方法は、任意の他の好適な利益をもたらすことができる。
【0017】
2.システム
図1A~
図1Dに示されるように、自動化された単一細胞捕捉および処理のためのシステム100の実施形態は、試料処理要素のセットを支持および配置するデッキ110、デッキ110によって支持される試料処理要素のセットとの相互作用のための器具を作動させるためのガントリ170、ならびに様々な処理サブシステムおよび処理サブシステムと通信状態にある制御サブシステムを支持する基部180を含み、制御サブシステムは、システム100を様々な動作モード間で遷移させるために、デッキ110、試料処理要素のセット、およびガントリ170の状態を制御する。様々なワークフローを提供する、動作モードの実施形態、変異形、および例は、以下のセクション3にさらに詳細に説明される。
【0018】
システム100の実施形態は、自動化された単一細胞捕捉、および捕捉された細胞の関連処理のいずれかまたはすべてを可能にするように機能する。より詳細には、ユーザは、方法の部分またはすべて(例えば、試料を充填すること、蓋をかぶせること、器械内溶解、逆転写プロセス、cDNA増幅、ビーズまたはcDNA産物回収、器械内ライブラリ調製、および清浄など)から取り除かれ得る。本システムは、追加的または代替的に、細胞捕捉および試料処理プロトコルの正確性を向上させる(例えば、手動プロセスを最小限にすることによって)ように機能し得る。追加的に、用途が限定されている、および/または予め充填され試薬カートリッジの使用を通じて、システム100は、アッセイの現在進行中の開発および将来の応用に応えるために、最適化された品質制御および設計アーキテクチャを伴う合理化したユーザ体験を提供することができる。そのようなものとして、本システムは、試薬または試薬グループの、独立した、またはほぼ独立した制御という利益をもたらす。この変異形の特定の例において、本システムは、以下の専用領域:室温領域、冷却領域、加熱/熱サイクリング領域、磁気領域(例えば、加熱領域と重なる)、細胞試料入力を提供するための領域、調製されたライブラリ生産物のための領域、または任意の他の好適な領域のうちのいずれかまたはすべてを有する試薬カセットを含む。関連した利益について、本システムおよび/または方法は、特定の自動プロトコルに従って使用されるべきプロトコル特有のタイプおよび量での試薬の分配を通じてなど、ユーザがより小さい体積の試薬を購入することを可能にするという利益をもたらすことができる。これは、費用を節約する、試薬廃棄物を低減する、または任意の他の好適な結果を有するために機能し得る。
【0019】
追加的に、流体取扱および分離要素(例えば、磁気分離構成要素)の使用を通じて、システム100の実施形態は、自動化された試料およびライブラリ清浄ステップを提供するように機能し得る。関連して、システム100は、システム全体を通じてより良好な流体流を確立するという利益をもたらすことができる。第1の例において、これは、ユーザ介入なしに、または最小限のユーザ介入で、流体流を監視すること、および/または方向付けることができる(例えば、最適な流量を維持するため、最適な体積の試薬を確立するためなど)自動化されたピペット操作システム(例えば、ピペッタ、ガントリ、および多彩なピペット先端部)を通じて可能にされる。
【0020】
追加的に、システム100は、様々な技能レベルを有する標準的ユーザ(例えば、新人、熟練者)がプラットフォーム構成要素を動作させることを可能にすることによって、低パラメータ・フロー応用、高パラメータ・フロー応用、大量サイトメトリ応用、プロテオゲノム応用、単一細胞RNA応用、タンパク質検出応用、および他の応用を可能にすることができる。さらには、実施に関して、システム100は、能率化したプロセスで(例えば、効率的に充填された試薬カートリッジ、試料処理カートリッジ、および流体取扱使い捨て器具のコンテナを含む、専用消耗品のセットによって)、細胞または他の生物学的材料を処理して、精製したライブラリを迅速に生成すること、次世代シーケンシング(NGS)調製を実施すること、および他のプロセスを実施することができる。
【0021】
特定の実施形態において、システム100は、核酸ライブラリ調製のための自動プロセスを提供すること、ランの所望の地点で品質制御を提供する能力、様々なアッセイのための完全かつ単一の使用キットを提供すること、正当性が立証されロックされたプロトコルを提供すること、様々なシステム構成要素の整列および保持を提供すること、(例えば、タッチ・ディスプレイを用いて)システム動作を監視および制御するための手段を提供すること、遠隔監視能力を提供すること、24時間以内に試料処理を提供すること、視覚的および/または可聴システム通知を提供すること、標準的な実験洗浄剤を用いて、および分解なしに、清浄される能力を提供すること、標準的な実験台に取り付けること、容易な設置を提供すること、アッセイ材料に安定した保存可能期間を提供すること、保守履歴のレポートを返すこと、データ記憶装置を提供すること(例えば、外部ストレージ媒体に関して、クラウド・ストレージに関してなど)、訓練を提供すること、ならびに様々な要件に従う他の好適な機能を提供すること、のうちの1つまたは複数を含む使用要件に準拠することができる。
【0022】
上に説明されるように、試料処理に関して、システム100の実施形態は、細胞、細胞由来材料、および/または他の生物学的材料(例えば、無細胞核酸)を含み得るか、またはこれを処理するように構成され得る。細胞は、哺乳類細胞(例えば、ヒト細胞、マウス細胞など)、胚、幹細胞、植物細胞、または任意の他の好適な種類の細胞のうちのいずれかまたはすべてを含み得る。細胞は、細胞内で生じ、処理のために細胞捕捉システムによって任意選択的に捕捉される標的材料(例えば、標的ライセート、mRNA、RNA、DNAなど)を含有し得る。追加的に、細胞を含有するコンテナは、複数の細胞含有試料(例えば、12個の試料、24個の試料、48個の試料、96個の試料、384個の試料、1536個の試料、他の数の試料)から調製され得、様々な試料は、それらを単一のコンテナ(または低減した数のコンテナ)へと一緒に混合する前に、ハッシュまたはバーコーディングされる。この機能は、複数の試料の自動化された処理を、それらのそれぞれの単一細胞調製およびライブラリ調製動作のために、同じ自動化されたランにおいて可能にする。追加的または代替的に、システム100は、粒子(例えば、ビーズ、プローブ、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドなど)、液滴、カプセル化細胞、カプセル化生体マーカ、試薬、または任意の他の好適な材料と相互作用するように構成され得る。
【0023】
本システムは、さらに追加的または代替的に、2018年7月27日に出願された米国出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,240号、2017年11月16日に出願された米国出願第15/815,532号、2018年8月28日に出願された米国出願第16/115,370号、2019年9月9日に出願された米国出願第16/564,375号、および2020年3月12日に出願された米国出願第16/816,817号に説明されるようなシステム構成要素のいずれかまたはすべてを含み、これらの出願は各々、本参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0024】
2.1 システム:デッキ
図1A~
図1Dに示されるように、デッキ110は、自動化された試料処理のため、システム100の1つまたは複数の構成要素を支持および配置する(例えば、上部の広範な表面に、上部および下部の広範な表面に、側面に、など)ためのプラットフォームとして機能する。さらに、デッキ110は、以下に説明されるように、流体処理サブシステム、加熱サブシステム、分離サブシステム(例えば、磁気分離サブシステム)、ならびに/またはガントリ170および/もしくは基部180に結合された他のサブシステムと整列する、または別途これと相互作用するためにシステム100の1つまたは複数の構成要素を配置するように機能し得る。この点に関して、デッキ110は、基準プラットフォームとして定置型であり得る一方で、他の構成要素は、デッキ110の要素と相互作用するための位置へと作動される。代替的に、デッキ110は、他のサブシステムとの相互作用のためにデッキ110の要素を配置するための1つまたは複数のアクチュエータに結合され得る。
【0025】
図1A~
図1Dに示される実施形態において、デッキ110は、試料処理要素のセットを支持するプラットフォームを提供し、試料処理要素は、使い捨ておよび/または再使用可能構成要素を含み得、この構成要素は、試料処理材料を含有するためのコンテナ、および/または試料を処理するための器具(例えば、流体取扱に関して、材料分離に関して、加熱および冷却に関してなど)を含む。実施形態において、デッキ110は、試薬カートリッジ120、試料処理カートリッジ130、器具コンテナ140、加熱および冷却サブシステム150、圧送サブシステム157、流体レベル検出サブシステム159、および分離サブシステム160のうちの1つまたは複数のユニットを含む試料処理要素のセットを支持することができる。追加的または代替的に、デッキ110は、他の好適な構成要素(例えば、蛍光検出サブシステム、共焦点顕微鏡サブシステム、分光検出サブシステム、全反射照明蛍光(Total Internal Reflection Fluorescence:TIRF)サブシステム、核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance:NMR)サブシステム、ラマン分光(Raman Spectroscopy:RS)RSサブシステムなど)を含み得る。
【0026】
試料処理要素は、デッキ110によって同一平面様式で、または代替的に異なる平面に、支持され得る。好ましくは、デッキによって支持される個別要素は、非重複であるが、デッキ110の代替の実施形態は、試料処理要素を重複様式で支持することができる(例えば、空間の保全などのため、または動作効率のためなど)。
【0027】
図1Aおよび
図1Dに示されるように、デッキ110は、ドア90によりアクセス可能であり得、システム100のドア90は、デッキ110およびデッキ110によって支持される要素へのアクセスを提供するために、開および/または閉モードの間で遷移することができる。しかしながら、他の変異形において、デッキ110は、ドア90によりアクセス可能でない場合がある。
【0028】
デッキ110によって支持される要素の実施形態、変異形、および例の詳細は、以下のセクション2.1.1~2.1.5においてさらに説明される。
【0029】
2.1.1 デッキ支持された要素:試薬カートリッジ
デッキ110は、試薬カートリッジ120のユニットを支持するための少なくとも1つの領域111(
図2Aおよび
図2Bに示される)を含み、領域111は、加熱および冷却サブシステム150の部分、ならびに以下により詳細に説明される分離サブシステム160に対して試薬カートリッジ120を配置するように機能する。この点に関して、領域111は、試薬カートリッジ120の相補的部分と加熱および冷却サブシステム150ならびに分離サブシステム160の関連部分との間に界面を提供するための、また追加的に、そのような部分間の整列を促進および維持するため、1つまたは複数の開口部、凹部、および/または突出部を含み得る。
【0030】
試薬カートリッジ120は、1つまたは複数の区画内に、様々な応用のための1つまたは複数のワークフローに従う細胞捕捉および/または試料の処理のための材料を含有するように機能する。そのようなものとして、試薬カートリッジ120は、範囲のセットにわたって分散される格納容積部のセットを画定することができ、範囲のセットは、各範囲の材料内容物のための好適な環境を提供するために構成され得る。格納容積部のセットは、試料処理材料を直接的に含有することができ、および/または、代替的に、試料処理材料を含有する個々のコンテナ(例えば、管など)を受容し、これの位置を維持するように構成され得る。各範囲の格納容積部は、アレイに分散され得るか、または別途配置され得る。格納容積部は、使用用途(例えば、冷蔵、熱伝達、磁気分離など)に応じて、円形断面、矩形断面、または他の形態(例えば、断面、幅、深さなど)を有し得る。
【0031】
範囲のセットは、追加的または代替的に、モジュラ性を提供するように構成され得、1つまたは複数の範囲は、より長い保存可能期間にわたって安定している材料で予めパッケージされ得る一方で、他の範囲は、短い保存可能期間を有する材料を受容するように(例えば、使用の直前に)構成され得る。範囲のセットは、追加的または代替的に、試薬カートリッジ120の材料と相互作用する装置の動作効率(例えば、類似した材料をグループ化することに関してなど)を促進するように構成され得る。範囲のセットは、追加的または代替的に、以下により詳細に説明される試料処理カートリッジ130から抽出された材料(例えば、核酸材料)を受容および/または処理するための領域を画定することができる。
【0032】
追加的または代替的に、範囲のセットの範囲は、別々である(例えば、熱を受容するための範囲は、他の格納温度、または異なる温度を必要とする応用が意図される範囲とは別である)、重複している、または別途配置される。範囲のセットの範囲は、追加的または代替的に、形態(例えば、各範囲の格納容積部の長さ、デッキの他の要素にアクセスするか、またはこれと整合するための格納容積部の深さ、効率的な熱伝達のために構成される範囲の幅または深さなど)によって、互いから区別され得る。いくつかの変異形において、範囲のセットは、処理中、流体の滴下(例えば、以下に説明される、ピペッタの先端部から)を受容するために使用され得る吸収剤または多孔質材パットを支持する少なくとも1つの範囲をさらに含み得る。特定の範囲の内部表面特性(例えば、PCR反応について、磁気分離についてなど)は、生体分子(例えば、核酸またはタンパク質)の低結合または保持を可能にするために高表面研磨で構成され得る。様々な範囲はまた、大量の利用可能なアッセイを顧客に提供するために混合され、合わせられ得る。
【0033】
試薬カートリッジ120の格納容積部のセットの個々の格納容積部は、個々の格納容積部内の材料同士の相互汚染を防ぐため、汚染物が個々の格納容積部に入ることを防ぐため、ならびに/または格納および配送中の蒸発損失を防ぐため、試薬カートリッジ120内の材料を隔離するように機能する1つまたは複数の封止体をさらに含み得る。封止体は、穴開け可能な封止体(例えば、紙からなる、金属箔からなる、および/または任意の他の好適な材料からなる)であってもよい。しかしながら、封止体は、代替的に、穴開け不可能であるように構成され得る(例えば、封止体は、試薬カートリッジ120から剥がれるように構成され得る)。実施形態において、特定の試薬コンテナはまた、プロトコルの適切なステップにおいて処理するために必要に応じて、器具によって開閉され得る(例えば、以下により詳細に説明されるように)丁番付きの蓋によって封止され得る。
【0034】
変異形において、範囲のセットは、冷蔵環境(例えば、1℃~15℃の温度にある)を必要とする試薬を格納するための第1の範囲、周囲条件で格納され得る材料を格納するための第2の範囲、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)動作を実施し、以下に説明される加熱素子と整合するための材料を有する管を格納する第3の範囲、官能化粒子(例えば、米国出願第16/115,370号などに説明されるような、バーコーディング領域および他の官能領域を有するプローブを伴うビーズ)を格納するための第4の範囲、および分離動作(例えば、磁力による非標的材料からの標的の分離)を実施するための第5の範囲を含み得る。変異形において、格納容積部のための異なる環境を提供する範囲は、異なって構成され得る。例えば、第1の範囲(すなわち、低温格納のための)は、断熱材料からなってもよく、および/または範囲の格納容積部の周りに(例えば、個々に、範囲全体の周りに)絶縁材料を含み得る。追加的または代替的に、分離のための範囲は、分離のために適切な磁場特徴を提供するように構成される磁気伝導性材料を含み得る。追加的または代替的に、熱サイクリングまたは他の熱伝達応用のための範囲は、試薬カートリッジへの、またはそこからの効率的な熱伝達を促進するために熱伝導性材料で構成され得る。実施形態において、様々な範囲は、特定の動作間で最小限のクロストークが存在するように、最適に配置され得る。例えば、冷蔵試薬格納容積部のための範囲は、ラン中に温度(例えば、4℃)が維持され得るが、PCR反応のための範囲は、加熱を必要とし得る(例えば、変性中、最大95℃)。そのようなものとして、冷蔵試薬に対するPCR熱サイクリングの影響を最小限にするため、周囲温度で格納される試薬を含有する範囲は、PCR熱サイクリング範囲と冷蔵範囲との間に構成され得る。熱クロストークをさらに防ぐために、空気のみを有する追加のバッファ管が、独立した温度制御を必要とする重要な範囲間に使用され得る。
【0035】
変異形において、試薬カートリッジ120の範囲によって支持されるプロセス材料は、バッファ(例えば、エタノール、プライミング・バッファ、溶解バッファ、カスタム溶解バッファ、試料洗浄バッファ、RNAase抑制剤を有する生理食塩水、ビーズ洗浄バッファ、RTバッファ、バッファなど)、油(例えば、ペルフロリナート油)、PCRマスター混合物、細胞、ビーズ(例えば、官能化ビーズ)、または細胞捕捉および/もしくは試料処理に使用される任意の好適な材料のうちの1つまたは複数を含み得る。追加的または代替的に、格納容積部のセットのうちの1つまたは複数は、空であってもよい(例えば、最初は空である、1つまたは複数のプロセス全体を通して空である、オペレータによる充填の前は空である、など)。試薬カートリッジの様々な範囲内の異なる格納領域は、数マイクロリットル(例えば、5マイクロリットル)~50ミリリットルの初期試薬容積部を有し得る。プロセス材料および使用用途の追加の詳細は、セクション3のワークフローに関して以下に説明される。
【0036】
特定の例において、
図3Aに示されるように、試薬カートリッジ120’は、冷蔵環境を必要とする試薬を格納するための、試薬カートリッジ120’の第1の周辺領域における第1の範囲121’、周囲条件で格納され得る材料を格納するための、試薬カートリッジ120’の中央領域における第2の範囲122’、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)動作を実施するための材料を有する管を格納するための、第2の範囲122の近くの、カートリッジの周辺領域における第3の範囲123’、官能化粒子(例えば、米国出願第16/115,370号などに説明されるような、バーコーディング領域および他の官能領域を有するプローブを伴うビーズ)を格納するための、試薬カートリッジ120’の周辺領域における第4の範囲124’、分離動作(例えば、磁力による非標的材料からの標的の分離)を実施するための、試薬カートリッジ120’の周辺領域における第5の範囲125’を含む。特定の例において、第4の範囲124’は、モジュラ要素であってもよく、これにより、第4の範囲124’は、官能化粒子が使用のために準備が整うまで、試薬カートリッジ120’の残部とは別個に格納され得、この準備が整った時点で、第4の範囲124’は適所に置かれ、試薬カートリッジ120’と結合される。
【0037】
特定の例において、第1の範囲121’および第2の範囲122’は、金属箔からなる第1の封止体によって被覆され、第3の範囲123’および第5の範囲125’は、紙からなる第2の封止体によって被覆され、第4の範囲124’は、金属箔からなる第3の封止体によって被覆される。しかしながら、試薬カートリッジ120’の例の変異形は、別の好適な様式で構成され得る。
【0038】
図3Bに示される3’RNA処理プロトコル(例えば、以下のセクション3.1.内のワークフローに対応する)の別の特定の例において、試薬カートリッジ120’’は、100%分子グレード・エタノールのための第1の格納容積部1201(例えば、4.46mLの容積を有する)、第1の洗浄バッファのための第2の格納容積部1202(例えば、6.6mLの容積を有する)、粒子結合バッファのための第3の格納容積部1203(例えば、1.1mLの容積を有する)、溶解バッファのための第4の格納容積部1204(例えば、1.1mLの容積を有する)、ペルフロリナート油のための第5の格納容積部1205(例えば、1.1mLの容積を有する)、粒子結合洗浄溶液のための第6の格納容積部1206(例えば、6.63mLの容積を有する)、pre RT反応洗浄バッファのための第7の格納容積部1207(例えば、1.1mLの容積を有する)、0.1M水酸化ナトリウム溶液のための第8の格納容積部1208(例えば、1mLの容積を有する)、第2の洗浄バッファのための第9の格納容積部1209(例えば、2.5mLの容積を含む)、鉱油のための第10の格納容積部1210(例えば、1mLの容積を有する)、80%分子グレード・エタノールのための第11の格納容積部1211(例えば、1.1mLの容積を有する)、ヌクレアーゼ・フリー水のための第12の格納容積部1212(例えば、2.2mLの容積を有する)、廃棄物のための第13の格納容積部1213(例えば、12.36mLの容積を有する)、0.1M DTTのための第14の格納容積部1214(例えば、0.15mLの容積を有する)、superscript IVなしのRTカクテルのための第15の格納容積部1215、superscript IV酵素のための第16の格納容積部1216(例えば、0.011mLの容積を有する)、エキソヌクレアーゼ・バッファのための第17の格納容積部1217(例えば、0.22mLの容積を有する)、エキソヌクレアーゼ酵素のための第18の格納容積部1218(例えば、0.022mLの容積を有する)、第2の鎖合成混合物のための第19の格納容積部1219(例えば、0.128mLの容積を有する)、第2の鎖合成プライマのための第20の格納容積部1220(例えば、0.072mLの容積を有する)、mRNA増幅用のPCRマスター混合物のための第21の格納容積部1221(例えば、0.22mLの容積を有する)、混合物(例えば、Kapa Biosystems(登録商標)HiFi HotStart Ready Mixture(2x)のための第22の格納容積部1222(例えば、0.33mLの容積を有する)、mRNA産物のための第23の格納容積部1223(例えば、0.025mLの容積を有する)、官能化粒子のための第24の格納容積部1224(例えば、0.11mLの容積を有する)、磁気回収粒子のための第25の格納容積部1225(例えば、0.03mLの容積を有する)、AMPure XP粒子のための第26の格納容積部1226(例えば、0.66mLの容積を有する)、磁気粒子回収収集のための第27の格納容積部1227、磁気粒子調製のための第28の格納容積部1228、磁気粒子第2の鎖合成のための第29の格納容積部1229、磁気粒子回収post-PCR cDNA増幅のための第30の格納容積部1230、AMPure XP粒子調製のための第31の格納容積部1231、第1のエキソヌクレアーゼ処置液のための第32の格納容積部1232、第2のエキソヌクレアーゼ処置液のための第33の格納容積部1233、第2の鎖合成のための第34の格納容積部1234、第1のcDNA増幅動作のための第35の格納容積部1235、第2のcDNA増幅動作のための第36の格納容積部1236、第3のcDNA増幅動作のための第37の格納容積部1237、第4のcDNA増幅動作のための第38の格納容積部1238、および細胞懸濁液のための第39の格納容積部1239を含み得る。
【0039】
図3Cに示されるCITE-Seq処理プロトコル(例えば、以下のセクション3.3内のワークフローに対応する)の別の特定の例において、試薬カートリッジ120’’’は、100%分子グレード・エタノールのための第1の格納容積部1201’(例えば、4.46mLの容積を有する)、第1の洗浄バッファのための第2の格納容積部1202’(例えば、6.6mLの容積を有する)、粒子結合バッファのための第3の格納容積部1203’(例えば、1.1mLの容積を有する)、溶解バッファのための第4の格納容積部1204’(例えば、1.1mLの容積を有する)、ペルフロリナート油のための第5の格納容積部1205’(例えば、1.1mLの容積を有する)、粒子結合洗浄溶液のための第6の格納容積部1206’(例えば、6.63mLの容積を有する)、pre RT反応洗浄バッファのための第7の格納容積部1207’(例えば、1.1mLの容積を有する)、0.1M水酸化ナトリウム溶液のための第8の格納容積部1208’(例えば、1mLの容積を有する)、第2の洗浄バッファのための第9の格納容積部1209’(例えば、2.5mLの容積を含む)、鉱油のための第10の格納容積部1210’(例えば、1mLの容積を有する)、80%分子グレード・エタノールのための第11の格納容積部1211’(例えば、1.1mLの容積を有する)、ヌクレアーゼ・フリー水のための第12の格納容積部1212’(例えば、2.2mLの容積を有する)、廃棄物のための第13の格納容積部1213’(例えば、12.36mLの容積を有する)、0.1M DTTのための第14の格納容積部1214’(例えば、0.15mLの容積を有する)、superscript IVなしのRTカクテルのための第15の格納容積部1215’、superscript IV酵素のための第16の格納容積部1216’(例えば、0.011mLの容積を有する)、エキソヌクレアーゼ・バッファのための第17の格納容積部1217’(例えば、0.22mLの容積を有する)、エキソヌクレアーゼ酵素のための第18の格納容積部1218’(例えば、0.022mLの容積を有する)、第2の鎖合成混合物のための第19の格納容積部1219’(例えば、0.128mLの容積を有する)、第2の鎖合成プライマのための第20の格納容積部1220’(例えば、0.072mLの容積を有する)、cDNA増幅用のPCRマスター混合物のための第21の格納容積部1221’(例えば、0.22mLの容積を有する)、混合物(例えば、Kapa Biosystems(登録商標)HiFi HotStart Ready Mixture(2x)のための第22の格納容積部1222’(例えば、0.33mLの容積を有する)、インデックス・プライマのための第23の格納容積部1223’、mRNA増幅用のPCRマスター混合物のための第24の格納容積部1224’(例えば、0.11mLの容積を有する)、ADT産物のための第25の格納容積部1225’(例えば、0.2mLの容積を有する)、mRNA産物のための第26の格納容積部1226’(例えば、0.025mLの容積を有する)、官能化粒子のための第27の格納容積部1227’(例えば、0.11mLの容積を有する)、磁気回収粒子のための第28の格納容積部1228’(例えば、0.03mLの容積を有する)、AMPure XP粒子のための第29の格納容積部1229’(例えば、0.66mLの容積を有する)、磁気粒子回収収集のための第30の格納容積部1230’、磁気粒子調製のための第31の格納容積部1231’、磁気粒子第2の鎖合成のための第32の格納容積部1232’、磁気粒子回収post-PCR cDNA増幅のための第33の格納容積部1233’、AMPure XP粒子調製のための第34の格納容積部1234’、第1の抗体由来タグ精製動作のための第35の格納容積部1235’、第2の抗体由来タグ精製動作のための第36の格納容積部1236’、AMPure XP粒子ADT post-PCR精製のための第37の格納容積部1237’、mRNA AMPure XP粒子精製のための第38の格納容積部1238’、mRNA AMPure XP 粒子post-PCR精製のための第39の格納容積部1239’、第1のエキソヌクレアーゼ処置液のための第40の格納容積部1240’、第2のエキソヌクレアーゼ処置液のための第41の格納容積部1241’、第2の鎖合成のための第42の格納容積部1242’、第1のcDNA増幅動作のための第43の格納容積部1243’、第2のcDNA増幅動作のための第44の格納容積部1244’、第3のcDNA増幅動作のための第45の格納容積部1245’、第4のcDNA増幅動作のための第46の格納容積部1246’、抗体由来タグ画分増幅のための第47の格納容積部1247’、mRNA増幅のための第48の格納容積部1248’、および細胞懸濁液のための第49の格納容積部1249’を含み得る。
【0040】
2.1.2 デッキ支持された要素:試料カートリッジ
図2Aおよび
図2Bに示されるように、デッキ110はまた、試料処理カートリッジ130のユニットを支持するための少なくとも1つの領域112を含み、領域112は、以下により詳細に説明される加熱および冷却サブシステム150、圧送サブシステム157、ならびに流体レベル検出サブシステム159の部分に対して試料処理カートリッジ130を配置するように機能する。この点に関して、領域112は、試料処理カートリッジ130の相補的部分と、加熱および冷却サブシステム150、圧送サブシステム157、ならびに流体レベル検出サブシステム159の関連部分との間に界面を提供するための、また追加的に、そのような部分間の整列を促進および維持するため、1つまたは複数の開口部、凹部、および/または突出部を含み得る。
【0041】
試料処理カートリッジ130は、細胞が捕捉され、任意選択的に分類され、処理され、または下流の応用のために別途処置される1つまたは複数の試料処理領域を提供するように機能し、下流の応用は、試料処理カートリッジ130上で(例えば、オンチップ)、および/または試料処理カートリッジ130から離れて(例えば、オフチップ)実施され得る。試料処理カートリッジ130の部分は、単一の基板内に構成され得るが、追加的または代替的に、複数の基板にわたって複数の部分(例えば、流体通路によって接続される)を含み得る。
【0042】
図4A~
図4Cに示されるように、試料処理カートリッジ130’の例は、他の要素が結合される、および/または他の要素が画定されるベース基板131を含み得る。さらに、マイクロ流体要素に関与する試料処理に関して、ベース基板131は、マイクロ流体要素への流体輸送、処理の様々なステージにおける試料処理容積部へのアクセス、および試料処理中に産生される廃棄物の輸送のためのマニホールドとして機能し得る。変異形において、ベース基板131は、試料処理チップ132、試料材料(例えば、細胞を含有する、粒子を含有する、など)を受容し、それを試料処理チップ132内へ送達するための入口リザーバ133、試料処理チップ132の1つまたは複数の領域にアクセスするためのアクセス領域134、アクセス領域を被覆し、封止機能を提供するガスケット136を含む蓋135、および試料処理チップ132から廃棄物を受容するための廃棄物含有領域137のうちの1つまたは複数を支持する。カートリッジは、器械内に存在するカートリッジ外の圧送システムとも接続するために追加のガスケット付きポートを有し得る。しかしながら、ベース基板131の変異形は、他の要素を含み得る。例えば、以下により詳細に説明されるように、ベース基板は、試料処理チップ132を通る流れを開閉するための弁領域をまとめて画定するために、試料処理チップ132とのさらなる結合を提供する1つまたは複数の開口部、凹部、および/または突出部を含み得る。
【0043】
図4Aおよび
図4C(下面図)に示されるように、試料処理チップ132(本明細書内では、等価にマイクロウェル・デバイスまたはスライドと称される)は、ウェル(例えば、マイクロウェル)のセットを画定する。ウェルのセットの各々は、単一細胞および/または1つもしくは複数の粒子(例えば、プローブ、ビーズなど)、任意の好適な試薬、複数の細胞、または任意の他の材料を捕捉するように構成され得る。変異形において、試料処理チップ132のマイクロウェルは、ウェルにわたる汚染なしに単一細胞および/または単一細胞からの材料の分析を可能にするために、単一の官能粒子との単一細胞の共同捕捉のために構成され得る。試料処理チップ132の実施形態、変異形、および例は、2018年7月27日に出願された米国出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,240号、2017年11月16日に出願された米国出願第15/815,532号、2018年8月28日に出願された米国出願第16/115,370号、2019年9月9日に出願された米国出願第16/564,375号、2020年3月12日に出願された米国出願第16/816,817号のうちの1つまたは複数に説明され、これらの出願は各々、上の参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0044】
材料組成において、試料処理チップ132は、例えば、ウェルのセット内により鋭い縁(例えば、より薄いウェル壁、90度に近い角度で配置されるウェル壁など)を画定することによって可能にされる、より高い分解能のウェルのセットを可能にするように機能する、微細加工されたシリコンまたはガラス融着したシリカ材料からなってもよい。説明される材料および製作プロセスは、従来のチップ設計と比較して、マイクロウェル・カートリッジの1つまたは複数のより小さい特徴的寸法(例えば、長さ、幅、全体的な設置面積など)をさらに可能にし得る。追加的または代替的に、基板は、限定されるものではないが、ポリマー、金属、生物学的材料、または任意の他の材料もしくは材料の組み合わせなどの任意の他の好適な材料を含む。試料処理チップ132は、精密射出成形、精密エンボス加工、マイクロリソグラフィ・エッチング、LIGAベースのエッチングなどの様々なプロセスによって、または他の好適な技術によって製作され得る。
【0045】
いくつかの変異形において、ウェルのセットの1つまたは複数の表面(例えば、下面、側面、下面および側面、すべての表面など)は、個々の細胞から個々のマイクロウェル内への生体マーカの捕捉のためのオリゴヌクレオチド分子と反応し得る。各々および個々のマイクロウェルに存在するオリゴヌクレオチド分子は、各マイクロウェル内で処理された生体マーカが、特定のウェル、および故に特定の単一細胞に結び付けられることを可能にするために、バーコーディングされ得る。1つの変異形において、ウェルのセットは、上の参照によって組み込まれる出願のうちの1つまたは複数に説明されるように、ウェルの長手方向軸に対して直角に取られた六角形断面を有するマイクロウェルのセットを含む。
【0046】
1つの変異形において、
図4Cに示されるように、試料処理チップ132は、入口開口部32、マイクロウェル34のセットへの流体の分配のための、入口開口部の下流の第1の流体分配ネットワーク33、マイクロウェル34のセットの下流の第2の流体分配ネットワーク35、および試料処理チップ132からの廃棄流体の輸送のための、第2の流体分配ネットワーク35の終末部に結合される出口開口部36を含み得る。この変異形において、試料処理チップ132は、ベース基板131の第1の側(例えば、下側)に結合される(例えば、レーザ溶接、糊接着、溶剤接着、超音波溶接、または別の技術によって)。ベース基板131の側面への試料処理チップ132の結合は、加熱および冷却サブシステム150からマイクロウェル34のセットおよび/または試料処理チップ132の他の領域への熱の伝達を可能にし得、加熱および冷却サブシステム150は、以下により詳細に説明される。
【0047】
上に説明されるようなベース基板131はまた、入口リザーバ133(例えば、試料処理チップ132が結合される第1の側とは反対のベース基板131の第2の側において画定される)を含み得る。入口リザーバは、試料処理チップ132の入口開口部32内への送達のため、試料材料(例えば、細胞を含有する試料、バーコーディングされた細胞を含有する試料、カプセル化材料を含有する試料、粒子を含有する試料など)、および/または上に説明される試薬カートリッジ120からの試料処理材料を受容するように機能する。変異形において、入口リザーバ133は、ベース基板131の表面内の凹んだ領域として画定され得、この凹んだ領域は、試料処理チップ132の入口開口部32と整列する、および/またはこれで封止する孔を含む。ベース基板131の入口リザーバ133は、2018年7月27日に出願された米国出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,240号、2017年11月16日に出願された米国出願第15/815,532号、2018年8月28日に出願された米国出願第16/115,370号、2019年9月9日に出願された米国出願第16/564,375号、および2020年3月12日に出願された米国出願第16/816,817号のうちの1つまたは複数に説明されるように、上流の流体含有構成要素および/または気泡軽減構成要素と整合し得、これらの出願は各々、上の参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0048】
入口リザーバ133はまた、以下により詳細に説明されるように、デッキ110によって支持される、またはデッキ110と別途整合する、流体レベル検出サブシステム159と整合するように構成され得る。特に、入口リザーバ133の部分は、入口リザーバ133内の流体レベルを感知することを可能にする(例えば、光学インテロゲーションによって、圧力感知によって、重量感知によってなど)材料からなってもよい。例えば、入口リザーバ133は、可視スペクトル電磁放射および/または非可視スペクトル電磁放射に対する光学的に透明または半透明の材料からなってもよく(例えば、異なる材料を用いた製作によって、入口リザーバ133における材料の薄い領域を作成するための製作によってなど)、流体レベル検出サブシステム159のセンシング素子は、相応に入口リザーバ133内の流体のレベルを調べるように構成され得る。
【0049】
変異形において、ベース基板131の入口リザーバ133および試料処理チップ132の入口32のうちの1つまたは複数は、システム100の1つまたは複数の構成要素によって開閉され得る弁構成要素を含み得る。第1の変異形において、入口リザーバ132は、ピペット先端部、またはガントリ170(以下により詳細に説明される)に結合された流体取扱サブシステムの任意の他の好適なアタッチメントによってアクセスされ得る孔を含む。いくつかの実施形態において、孔は、閉じられ、したがって、流体が入口リザーバ132から試料処理チップ132へ進むのを防ぐことができる。しかしながら、入口リザーバ132は、別の好適な様式で構成され得る。入口リザーバ133と関連付けられた開口部は、上に向かって開いた円錐状表面を有し得、流体(水溶液または油または空気)が、
図4Cの33において画定されるマイクロチャネル内へ直接圧送され得るように、ピペット先端部に整合し、またこれを封止することを可能にする。
【0050】
図4Aおよび
図4Bに示されるように、ベース基板131はまた、試料処理チップ132の1つまたは複数の領域にアクセスするためのアクセス領域134を画定することができ、このアクセス領域は、試料処理チップ132の領域が試料処理の様々なフェーズで、観察されること、および/または試料処理チップ132から抽出されることを可能にし得る。
図4Aおよび
図4Bに示されるように、アクセス領域134は、ベース基板131内の凹んだ領域として画定され、マイクロウェルのセットを含む試料処理チップ132の領域と整列される開口部37を含み得る。試料処理チップ132は、わずか100個のマイクロウェルから1億ものマイクロウェルまで有し得る。そのようなものとして、マイクロウェル領域が環境に対して開いている(例えば、ウェルを封止するカバーなし)変異形において、アクセス領域134の開口部37は、観察および/または材料抽出(例えば、以下にさらに詳細に説明されるように、磁気分離によって)のためにマイクロウェルの内容物へのアクセスを提供するためにマイクロウェルとして機能し得る。開口部37は、マイクロウェル領域の形態および設置面積に一致することができ、第1の変異形においては、
図4Bに示されるように、正方形開口部であり得る。しかしながら、他の変異形において、開口部37は、別の好適な形態を有し得る。
【0051】
図4A~
図4Cに示されるように、ベース基板131は、アクセス領域134を被覆する蓋135を含み得るか、または別途これに結合し得、蓋135は、封止機能を提供するガスケット136を含み得、蓋135は、アクセス領域134を開モードと閉モードとで遷移させ、以て、動作中の試料処理チップ132の内容物の蒸発試料損失および/または汚染を防ぐように機能する。蓋135は、追加的または代替的に、試料処理チップ132のマイクロウェルまたは他の処理領域の内容物を残屑から保護する、試料処理チップ132の内容物の処理を可能にする(例えば、領域を周囲環境から隔離することによって)、プロトコルの始動を開始する(例えば、ピペッタから試薬を受け入れるために開くことによって)、試料処理チップ132のユーザ操作を防ぐ(例えば、すべての必要な試薬が追加された後、閉めることによって)、流体通路、空洞、もしくはリザーバの部分もしくはすべてを(例えば、蓋135により)画定する(例えば、入口とマイクロウェルのセットとの間の流体通路の上面としての役割を果たす、マイクロウェル領域に隣接する流体通路の境界としての役割を果たす、ウェルのセットと廃棄物チャンバとの間の流体通路の上面としての役割を果たす、など)、または任意の他の好適な機能を実施するように機能し得る。
【0052】
図4Bに示されるように、少なくとも1つの変異形において、蓋135は、蓋135が、試料処理チップ132に空隙を提供しながら、アクセス領域134とかみ合うように、アクセス領域134の特徴部に対して形態が相補的であり得る。追加的に、変異形(
図4Bおよび
図4Cに示される)において、蓋135は、蓋135が閉位置にあるとき、上面においてベース基板131と実質的に同一平面にあり得る。しかしながら、蓋135は、別の好適な様式で形態的に構成され得る。
【0053】
変異形において、蓋135の突出部38は、アクセス領域134の開口部37と整合し得、以て、蓋が閉位置にあるとき開口部37へのアクセスを実施的に防ぐ。
図4Bに示されるように、いくつかの変異形において、突出部38は、蓋135の閉位置においてアクセス領域134の開口部37を封止するように機能するガスケット136によって囲まれる基部(または他の領域)を有し得る。しかしながら、蓋135の変異形は、ガスケットを省略し、アクセス領域134の封止を別の好適な様式で促進することができる。
【0054】
いくつかの変異形において、蓋135は、ロックまたはラッチ機構を含み得、これは、ロック/ラッチ機構が解放されるまで蓋135がベース基板131と共に閉位置に維持されることを可能にする。
図5A~
図5Cに示される変異形において、蓋135の周辺部分は、1つまたは複数のタブ39を含み得、これは、ベース基板131の対応するタブ受容部分と整合し、タブ39は、それらがベース基板131のタブ受容部分と整合するまでベース基板131内へ押されるとき屈曲し、屈曲構成からラッチ状態へ戻るように構成される。追加的または代替的に、
図5A~
図5Cに示される変異形において、ロック/ラッチ機構は、タブ39をタブ受容部分から解放するために整合され得る解放体41(例えば、バー、凹部、フックなど)を含み、ベース基板131に関して、蓋135を閉モードから開モードへ遷移させ得る。そのようなものとして、蓋135は、アクセス領域134が被覆されていない開モード、およびアクセス領域134が被覆される閉モードを蓋に提供する。
図5A~
図5Cに示される変異形において、解放要素41は、ベース基板131のアクセス領域134から離れる方へ凹んでいるバーを含み、このバーは、蓋開口器具145に可逆的に結合され得る。変異形において、蓋開口器具145は、アクチュエータ(例えば、作動先端部、以下に説明されるガントリ170に結合された流体取扱サブシステムのピペッタなど)と整合する第1の領域(例えば、第1の端)、および蓋135の解放要素41と整合するように構成される連結要素42を含む第2の領域(例えば、第2の端)を含み得る。このとき、ピペッタ/ピペット界面の運動により、蓋開口器具145は、蓋を開および/または閉モードの間で遷移させるために、解放要素41を引っぱる、および/または蓋135を押すように構成され得る。そのようなものとして、以下に説明されるガントリ170に結合された流体取扱要素に関して、システム100は、蓋開口器具145をアクチュエータ(例えば、ガントリ170に結合された)に結合するための動作モードであって、蓋開口器具が連結要素42を含む、動作モード、蓋開口器具を蓋135の解放要素41との整列状態へ移動させるための動作モード、連結要素42を解放要素41と可逆的に結合するための動作モード、および解放要素41に力を印加し、以て、蓋135をラッチ状態から解放するための動作モード、ならびに蓋135を閉モードから開モードへ遷移させるための動作モードを提供することができる。ラッチ解除力を効果的に印加するため(例えば、アクチュエータ(例えば、ガントリ170に結合された)によって)、ベース基板131は、蓋開口器具145を通じて印加されるラッチ解除力に対して反作用力を受動的または能動的に印加する位置に保持され得る(例えば、セクション2.1.4に説明される保持要素によって、加熱および冷却サブシステムの保持要素によって、流体レベル検出サブシステムの保持要素によって、デッキの保持要素によってなど)。
【0055】
しかしながら、変異形において、ロック/ラッチ機構は、追加的または代替的に、錠鍵機構、磁気要素、または別の好適な機構を含み得るか、またはこれを用いて動作し得る。さらには、代替の変異形において、蓋135は、例えば、試料処理カートリッジ130の広い表面に平行のアクセスの周りで蓋を回転させるモータを含む別の蓋アクチュエータを含み得る。アクチュエータは、追加的または代替的に、蓋135を並進させる(例えば、試料処理カートリッジ130の広い表面に平行に蓋135をスライドさせる、広い表面に垂直に蓋135を並進させるなど)か、または別途蓋135を動かして、1つもしくは複数の既定の領域(例えば、マイクロウェルのセット)を選択的に被覆および被覆除去するように構成され得る。そのようなものとして、蓋135は、自動化された方式または半自動化された方式で動作するように構成され得、その結果として、蓋135は、自動的に、1つまたは複数のトリガ時に(例えば、細胞捕捉プロトコルがユーザによって開始される、細胞処理プロトコルがユーザによって開始される、選択されたプロトコルのためのすべての試薬が試薬カートリッジ120から追加された、など)閉じ、1つまたは複数のトリガ時に(例えば、細胞捕捉プロトコルが完了した、ユーザリクエスト時、細胞が生存していることが決定された、単一細胞が捕捉されたことが決定された、など)開く。追加的または代替的に、蓋135の動作は、ユーザによって開始および/もしくは完了されるか、スケジュールもしくは他の時間的パターンに従って動作されるか、または別途動作され得る。
【0056】
図4A~
図4Cに示されるように、ベース基板131はまた、試料処理チップ132からの廃棄物を受容するための廃棄物含有領域137を含み得る。廃棄物含有領域137はまた、試料処理チップ132内を所望の圧力(例えば、真空圧力など)に維持するように機能し得、以て、入口リザーバ133から試料処理チップ132を通り、廃棄物含有領域137への液体の流れを可能にする。廃棄物含有領域137は、試料処理チップ132から廃棄物または他の材料を受容するための容積部(例えば、ベース基板131内へ凹んでいる、ベース基板132から延在する、ベース基板131の出口に結合される、など)として画定され得る。
図4A~
図4Cに示される変異形において、廃棄物含有領域137は、試料処理チップ132からの廃棄物が、以下により詳細に説明される圧送サブシステム157の力によって廃棄物含有領域137内へ押されるか、または上方に引っぱられるように、試料処理チップ132が結合される側とは反対のベース基板131の側に画定される。しかしながら、廃棄物含有領域137は、追加的または代替的に、廃棄物を受容するためにベース基板131および試料処理チップ132に対する別の好適な位置に構成され得る。
【0057】
廃棄物含有領域137は、10~100mLの容積容量または別の好適な容積容量を有し得る。
【0058】
図4A~
図4Cに示されるように、廃棄物含有領域137は、廃棄物含有領域137内の廃棄物の含有を促進するカバー48(例えば、蓋135とほぼ同一平面上にあるカバー)を含み得る。代替的に、廃棄物含有領域137は、カバーを含まなくてもよい。さらには、
図4Cに示されるように、廃棄物含有領域137の例は、カバーとは別個のポンプ出口51を含み得、このポンプ出口51は、廃棄物チャンバ内の残気がカートリッジ外のポンプによって(例えば、圧送機構などによって)加圧されることを可能にし得るが、廃棄物含有領域137の変異形は、代替的に、廃棄物出口を省略し得る。
【0059】
廃棄物含有領域137に関して、システム100は、試料処理チップ132から廃棄物含有領域137への流れを可能にする、および/または防ぐように構成される弁43をさらに含み得る。弁43は、出口開口部36の外への、および廃棄物含有領域137内への流れを可能にする、および/またはブロックするために、上に説明される試料処理チップ132の出口開口部36と整合し得る。弁43は、通常開状態を有し、弁作動機構と相互作用すると閉状態へ遷移し得る。代替的に、弁43は、通常閉状態を有し、弁作動機構と相互作用すると開状態へ遷移し得る。
【0060】
図4Aおよび
図6A~
図6Bに示される変異形において、弁43は、弾性ボディ部を備え、ベース基板131の対応する弁受容部分と整列する試料処理チップ132の開口部44を通じて試料処理チップ132をベース基板131に結合するように構成される。この変異形において、弁43の遷移可能な部分は、試料処理チップ132の出口開口部36からベース基板132の廃棄物含有領域137の入口まで流路に沿って(例えば、試料処理カートリッジの廃棄物含有領域内へとマイクロウェル領域から試料処理チップの出口まで流路に沿って)配置されるように構成される。例において、試料処理チップ132の開口部44は、試料処理チップ132の出口開口部37と連続しているが、他の変異形では、出口開口部37および開口部44は、互いから変位され、別のマイクロ流体チャネルによって接続され得る。そのようなものとして、弁43の閉口は、出口開口部37から廃棄物含有領域137内への流れをブロックすることができ、弁43は、出口開口部37から廃棄物含有領域137内への流れを可能にするために開かれ得る。
【0061】
図6Bに示されるベース基板131の断面像に示される変異形において、弁アクチュエータ45は、下から(例えば、デッキの下から)ベース基板131にアクセスし、弁43と相互作用するためにベース基板132のチャネルまたは他の凹部/開口部を通過し得る。特に、弁アクチュエータ45の先端部46(ベース基板内への開口部と整列される)が弁(例えば、弁43の弾性膜)を押すと、
図6B(上)に示されるように、弁43は、試料処理チップ132の出口開口部37を廃棄物含有領域137から流体的に分離するために、閉状態へ遷移し得る。追加的または代替的に、
図6B(下)に示されるように、弁アクチュエータ45による力の除去は、弁43からの圧力を除去し、それを開状態に遷移させて、試料処理チップ132の出口開口部36を廃棄物含有領域137から流体的に結合することができる。そのようなものとして、弁作動サブシステムは、先端部が弁開口部内へ延在して弾性弁を変形させ、以て、流路を閉じる、係合モード、および先端部が後退され、以て、流路を開く、非係合モードを含む。しかしながら、弁43は、追加的または代替的に、別の好適な様式で構成され得る。
【0062】
他の変異形において、本システムは、試料処理チップ132の他の流路に、および/またはベース基板131に弁を結合するための同様の機構を含み得る。
【0063】
しかしながら、ベース基板131の変異形は、他の要素を含む。例えば、以下により詳細に説明されるように、ベース基板131は、試料処理チップ132を通る流れを促進または抑制するために、試料処理チップ132とのさらなる結合を提供する1つまたは複数の開口部、凹部、および/または突出部を含み得る。例えば、
図6Aに示されるように、ベース基板は、試料処理チップ132を通る流体流を駆動および/または停止するために、ベース基板131を圧送サブシステム157の圧送要素に結合する(例えば、デッキ110を通じて)ポンプ開口部46を含み得る。
【0064】
しかしながら、試料処理カートリッジ130のベース基板131は、他の好適な要素を含み得る。
【0065】
2.1.3 デッキ支持された要素:器具コンテナ
図2Aおよび
図2Bに示されるように、デッキ110は、器具コンテナ140のユニットを支持するための少なくとも1つの領域113を含み、この領域113は、器具コンテナ140を、以下に説明されるガントリ170の流体取扱装置に対して配置するように機能する。領域113はまた、より小型のシステムを提供し、試薬カートリッジ120、試料処理カートリッジ130、および器具コンテナ140のうちの1つまたは複数の内容物に関与する自動化された動作の効率性を改善するために、使用されている試薬カートリッジ120および試料処理カートリッジ130に近接して器具コンテナ140を配置し得る。領域113はまた、器具コンテナ140がデッキ110の表面の下で少なくとも部分的に凹んでいることを可能にする開口部を含み得る。
【0066】
器具コンテナ140は、1つまたは複数の区画において、様々な応用のための1つまたは複数のワークフローに従って、流体吸引、流体送達、試料の非標的材料からの標的材料の分離のための様々な器具、試料処理カートリッジ蓋開口器具145、および/または他の器具の1つまたは複数のユニットを含有するように機能する。そのようなものとして、器具コンテナ140は、試薬の輸送および/もしくは試薬と試料の混合を促進すること、デッキ110の様々な領域において要素を流体的に結合および/もしくは分離すること、または、システム100の1つもしくは複数の構成要素と別途相互作用することができる。
【0067】
変異形において、そのうちの1つが
図7Aに示されるが、器具コンテナ140’は、流体吸引および/または流体送達(例えば、試薬カートリッジ120内外へ、試料処理カートリッジ130内外へ、など)のための先端部141のセットを含み得る。先端部141のセットは、標準ピペット先端部(例えば、P20先端部、P200先端部、P1000先端部など)のうちのいずれかまたはすべてを含み得、追加的または代替的に、先端部のセットは、穿孔器具(例えば、封止体を通って試薬管へのアクセスを得るため)、丸まった先端部(例えば、流体流を促進するため、孔をブロックするため、流体通路を画定するため、など)、または任意の他の好適な先端部を含み得る。先端部は、穿孔すること(例えば、試薬片箔を穿孔すること)、試薬のセットを輸送および/または混合すること(例えば、エタノールおよびプライミング・バッファを混合するための先端部、SPRIエタノールを輸送するための先端部、SPRI上清を輸送するための先端部、SPRI溶出バッファを輸送するための先端部など)、試料処理カートリッジ130のユニット内への細胞分注、試料処理カートリッジのユニット内への官能化粒子の分注、プロセスの既定のセット(例えば、粒子洗浄、細胞溶解、油分注、プレ逆転写洗浄、以下に説明される他のワークフローなど)の実施を促進することのうちのいずれかもしくはすべてにおいて、構成されるか、もしくは別途使用され得、または任意の他の好適な機能を有し得る。
【0068】
図7Aに示されるように、先端部141のセットは、器具コンテナ140内にアレイで配置され得(例えば、タイプに従って、サイズに従って、など)、器具コンテナ140の内側底は、様々な流体取扱動作から先端部の吸引/送達端を出る液滴を捕獲するための液滴捕獲セクションを含み得る。さらには、器具コンテナ140は、先端部141のセットの個々の先端部が互いに接触することを防ぎ、以て、相互汚染を防ぐための離間要素を含み得る。さらには、ピペッタと整合するための先端部のうちの1つまたは複数の領域は、伝導性であり得る(例えば、熱伝導性、導電性、金属からなる、伝導性ポリマーからなる、半導体材料からなる、など)。
【0069】
図7Bに示される3’処理プロトコルの特定の例において、器具コンテナ140’’は、エタノール、洗浄バッファ、および/またはプライミング溶液を輸送するための第1の先端部1401(例えば、200mLの先端部容積を有する、200uLの先端部容積を有する)、細胞懸濁液を輸送するための第2の先端部1402(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、官能化粒子を輸送するための第3の先端部1403(例えば、200mLの先端部容積を有する、200uLの先端部容積を有する)、洗浄バッファを輸送するための第4の先端部1404(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、粒子結合バッファの輸送のための第5の先端部1405(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、DTTおよび/または溶解バッファの輸送のための第6の先端部(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、ペルフロリナート油の輸送のための第7の先端部1407(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、DTT、粒子結合溶液、および/または洗浄溶液の輸送のための第8の先端部1408(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、DTTおよび/またはpre-RT反応洗浄溶液の輸送のための第9の先端部1409(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、磁気回収のための1つまたは複数の磁気スリーブ1410、DTTおよび/またはRTカクテル溶液の輸送のための第11の先端部1411(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、エキソヌクレアーゼ処置液の輸送のための第12の先端部1412(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、鉱油の輸送のための第13の先端部1413(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、エキソヌクレアーゼ処置液の輸送のための第14の先端部1414、水酸化ナトリウム溶液の輸送のための第15の先端部1415(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、第2の洗浄バッファの輸送のための第16の先端部1416(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、第2の鎖合成溶液の輸送のための第17の先端部1417、粒子溶液の輸送のための第18の先端部1418(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、第2の洗浄バッファの輸送のための第19の先端部1419(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、PCRマスター混合および/または粒子溶液の輸送のための第20の先端部1420(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、鉱油の輸送のための第21の先端部1421(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、PCR産物の輸送のための第22の先端部1422(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、AMPureおよび/または上清の輸送のための第23の先端部1423(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、エタノールの輸送のための第24の先端部1424(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、エタノールの輸送のための第25の先端部1425(例えば、1000mLの先端部容積を有する、1000uLの先端部容積を有する)、エタノールの輸送のための第26の先端部1426(例えば、50mLの先端部容積を有する、50uLの先端部容積を有する)、ならびにヌクレアーゼ・フリー水および/または派生産物の輸送のための第27の先端部1427(例えば、50mLの先端部容積を有する、50uLの先端部容積を有する)を含み得る。
【0070】
変異形において、器具コンテナ140は、追加的または代替的に、他の試料処理器具を含み得る。1つの変異形において、器具コンテナ140は、非標的材料からの標的材料の磁気分離のための分離器具先端部142の1つまたは複数のユニットを含み得る(以下により詳細に説明される)。追加的または代替的に、変異形において、器具コンテナ140は、追加的または代替的に、上に説明される蓋135を開構成へ遷移させるための蓋開口器具145のユニットを含み得る。しかしながら、器具コンテナ140の廃棄性および/またはその内容物に関して、器具コンテナ140は、使い捨て要素のみを含有するように、および再使用可能な要素(例えば、
図2Bに示されるような、蓋開口器具145のユニット)を省略するように構成され得る。
【0071】
さらには、器具コンテナ140の内容物のユニットは、追加的に、試薬カートリッジ120、試料処理カートリッジ130のうちの1つまたは複数と一緒に含まれ得るか、別途デッキ110に配置されるか、デッキ110とは別個であるか、システム100とは別個であるか、または別途配置され得る。他の変異形において、器具コンテナ140において使用される再使用可能な器具は、特定のエネルギー(例えば、熱、光信号、電磁波など)を提供する、および/または特定の信号(例えば、光、熱、電磁など)を感知するために、電気的、電磁的、光学的、または異なる様相の組み合わせを使用して、ガントリ170と相互作用し、試薬カートリッジ120および/または試料処理カートリッジ130上の特定の場所へ動かされる他の器具を含み得る。これらの器具は、制御電子装置に配線され得るか、またはワイヤレスで充電および制御/通信され得る。
【0072】
2.1.4 デッキ支持された要素-登録および保持特徴部
図8A~
図8Iに示されるように、デッキ110は、試薬カートリッジ120のための領域111、試料処理カートリッジ130のための領域112、および器具コンテナ140のための領域113に対して配置される保持要素のセットを含み得、この保持要素のセットは、試料を処理するための動作中にデッキ110において試薬カートリッジ120、試料処理カートリッジ130、および器具コンテナ140を登録および保持するように、ならびに試薬カートリッジ120、試料処理カートリッジ130、および器具コンテナ140が適切なときにデッキ110から解放されることを可能にするように機能する。保持要素のセットは、スナップ・フィット、プレス・フィット、ラチェット、または別の好適な機構を用いて保持力を提供するように構成される機械保持要素(例えば、凹部、突出部など)を含み得る。追加的または代替的に、保持要素のセットは、磁気保持要素または他の好適な保持要素を含み得る。磁気保持要素を含む変異形において、関連した磁石は、関連した磁気分離機構と干渉しないように、試薬カートリッジ120およびデッキ110の磁気分離エリア(以下の2.1.8に関して説明される)から離れて配置され得る。代替的に、関連した磁石は、試薬カートリッジ120(および/またはシステムの他の好適な部分で実施される磁気分離動作を促進するために、試薬カートリッジ120およびデッキ110の磁気分離エリアに近接して配置され得る。
【0073】
保持要素は、試薬カートリッジ120、試料処理カートリッジ130、および器具コンテナ140の各々のために均一な機構を提供し得る。代替的に、試薬カートリッジ120、試料処理カートリッジ130、および器具コンテナ140は各々、必要に応じて異なる機構によって動作する異なる保持要素を含み得る。保持要素のセットによって支持される保持機構は、手動で動作され得る(例えば、ユーザが、構成要素をデッキ110と非係合および/または係合するために保持要素と相互作用する)。追加的または代替的に、保持要素のセットによって支持される保持機構は、非手動で動作され得る(例えば、保持要素を係合モードと非係合モードとの間で遷移させるために保持要素に結合されたアクチュエータにより)。保持機構は、適切な形態(例えば、手動オペレータまたは装置による係合を促進するため)、装荷および除荷力、ならびに/または伝達力(例えば、デッキ110の他の感応要素への)を用いて動作するように構成される。
【0074】
図8Aに示される変異形において、デッキ110は、試薬カートリッジ120のための領域111に対応する保持要素21の第1のサブセット、試料処理カートリッジ130のための領域112に対応する保持要素22の第2のサブセット、および器具コンテナ140のための領域113に対応する保持要素23の第3のサブセットを含み得る。
【0075】
図8Aに関して、領域111における保持要素21の第1のサブセットは、試薬カートリッジ120の対応する保持界面31を補完する様式で、領域111の周りに(例えば、領域111の対側に)配置されるスナップ・レッジのセットを含み得る。より詳細には、
図8Bおよび
図8Cに示されるように、試薬カートリッジ120’の保持界面31は、領域111に配置されるように基線位置から圧縮され得るタブ(例えば、可撓性タブ)のセットを含み得、圧縮構成からの解放は、タブのセットがスナップ・レッジとラッチすることを可能にする。保持界面31のタブのセットは、ユーザがタブのセットを容易に圧縮することを可能にする把持特徴部(例えば、隆起など)をさらに含み得る。関連した変異形において、保持要素21の第1のサブセットおよび試薬カートリッジ120’の対応する保持界面は、別の様式で配置され得る。例えば、試薬カートリッジのタブのセットは、デッキ110の保持要素21との対応する整列を伴って、試薬カートリッジ120の非周辺領域に配置され得る(例えば、指穴および/またはサム・ホール切り欠きを伴って)。ロバストな接触を提供することに関して、保持要素21は、表面同士のロバストな接触を提供するために、試薬カートリッジ120が相互作用するデッキ要素(例えば、加熱および冷却サブシステム要素、磁気分離サブシステム要素など)に対して付勢力を提供するように構成され得る。デッキ要素に対して使用される付勢力は、少なくとも0.5lbs、または少なくとも1lbs、または少なくとも2lbs、または少なくとも3lbsであってもよい。
【0076】
図8Aに関して、領域112における保持要素22の第2のサブセットは、試料処理カートリッジ130の対応する保持界面32を補完する様式で、領域112の周りに(例えば、領域112の対側に、および領域112の第3の周辺側に)配置されるスナップ・レッジのセットを含み得る。より詳細には、
図8D~
図8Gに示されるように、試料処理カートリッジ130の保持界面32は、領域112に配置されるように基線位置から圧縮され得るタブ(例えば、可撓性タブ)のセットを含み得、圧縮構成からの解放は、タブのセットがスナップ・レッジとラッチすることを可能にする。この変異形において、試料処理カートリッジ130は、保持要素22aの最初のもの(例えば、入口リザーバ近くの試料処理カートリッジの側における、廃棄物含有領域近くの試料処理カートリッジの側における、など)に、他の保持界面22bを対側のスナップ・レッジとラッチする前に、挿入される/これと係合するように構成され得る。試薬カートリッジ120のタブのセットと同様に、試料処理カートリッジ130の保持界面130のタブのセットは、ユーザがタブのセットを容易に圧縮することを可能にする把持特徴部(例えば、隆起など)をさらに含み得る。ロバストな接触を提供することに関して、保持要素22は、表面同士のロバストな接触を提供するために、試料処理カートリッジ130が相互作用するデッキ要素(例えば、加熱および冷却サブシステム要素、圧送サブシステム要素など)に対して付勢力を提供するように構成され得る。さらには、デッキ110の保持要素22のセットは、試料処理カートリッジ120に可逆的に係合し、蓋開口動作モードに関して説明される蓋開口器具145に対して反作用力を提供するように構成され得る。
【0077】
図8Aに関して、領域113における保持要素23の第3のサブセットは、器具コンテナの対応する保持界面33を補完する様式で、領域113の周りに(例えば、領域113の対側に)配置されるスナップ・レッジのセットを含み得る。より詳細には、
図8Hおよび
図8Iに示されるように、器具コンテナ140の保持界面33は、領域113に配置されるように基線位置から圧縮され得るタブ(例えば、可撓性タブ)のセットを含み得、圧縮構成からの解放は、タブのセットがスナップ・レッジとラッチすることを可能にする。保持界面33のタブのセットは、ユーザがタブのセットを容易に圧縮することを可能にする把持特徴部(例えば、隆起など)をさらに含み得る。
【0078】
しかしながら、上に説明されるデッキ110の保持要素の変異形において、他の好適な特徴部を含み得るか、または別の好適な様式で、関連した要素に対して構成され得る。
【0079】
2.1.5 デッキ支持された要素:加熱および冷却サブシステム
図1A~
図1Dおよび
図2Bに示されるように、システム100は、試薬カートリッジ120および/または試料処理カートリッジ130の所望の領域へ、および/またはそこから熱を伝達するように機能する加熱および冷却サブシステム150を含み得る。加熱および冷却サブシステム150は、追加的または代替的に、システム100の内部容積部内を所望の温度に維持するように機能し得る。変異形において、加熱および冷却サブシステム150は、加熱素子(例えば、ペルチェ加熱素子、抵抗加熱素子、他の加熱素子)、冷却素子(例えば、ペルチェ冷却素子、冷蔵アルミニウム・ブロック、冷却剤を循環させるための流体通路システムなど)、加熱および冷却素子へ、またはこれから他の物体、ヒート・シンク、ファン、温度センサ、および熱制御回路へ(例えば、以下により詳細に説明される基部180の処理要素への電気結合により)熱を伝達するための熱的接触もしくは非接触体、のうちの1つまたは複数のユニットを含み得る。変異形において、冷却素子は、格納容積部および/または試料を、摂氏2~8度、さらに好ましくは、摂氏4度に維持することができる。追加的または代替的に、冷却素子は、1つまたは複数の格納容積部/試料を、任意の好適な温度(例えば、摂氏2度未満、摂氏8度超など)に維持することができる。
【0080】
加熱および冷却サブシステム150の1つまたは複数の部分は、様々な応用のために熱伝達機能を提供するために、デッキ110の開口部に入って、デッキ110によって支持される他のシステム要素(例えば、試薬カートリッジ、試料処理カートリッジ、器具コンテナなど)の所望の部分と熱的に整合するか、またはこれと別途結合し得る。代替的に、デッキ110は、熱伝達応用のための所望の領域において熱伝導性材料からなり得、また加熱および冷却サブシステム150の部分は、熱伝達のため、デッキ110の熱伝導性材料領域に接触するように構成され得る。
【0081】
図2Bに示される特定の例において、加熱および冷却サブシステム150は、デッキ110によって支持される試薬カートリッジ120および試料処理カートリッジ130の所望の部分と加熱素子を熱的に整合させる温熱体のセットを含む。温熱体のセットは、デッキ110’の開口部を通過し、上に説明される試薬カートリッジ130’の第1の範囲121’と整合するように構成される第1の温熱体156’(例えば、温熱プレート)を含み、この第1の温熱体156’は、第1の範囲121’の格納容積部を囲むための(例えば、第1の範囲121’の格納容積部に格納される材料のために冷蔵環境を提供するため)凹部のアレイを含む。
図2Bに示されるように、温熱体のセットは、デッキ110’の開口部を通過し、上に説明される試薬カートリッジ130’の第3の範囲123’と整合するように構成される第2の温熱体157’(例えば、温熱プレート)をさらに含み得、この第2の温熱体157’は、第3の範囲123’の格納容積部を囲むための(例えば、PCRおよび/または第3の範囲123’の格納容積部内で行われるプロセスのための他の加熱動作のために熱を伝達するため)凹部のアレイを含む。
図2Bおよび
図6Aに示されるように、温熱体のセットは、デッキ110’の開口部を通過し、上に説明される試料処理チップ132のマイクロウェル34のセットと整合するように構成される第3の温熱体158’(例えば、温熱プレート)をさらに含み得、この第3の温熱体158’は、試料処理カートリッジ130のマイクロウェルへの、またはそこからの均一な熱伝達のために実質的に平坦な基板を提供する。
【0082】
変異形において、温熱体のセットは、熱伝達のためのより広い表面積を提供するために、ヒート・シンク素子155に結合され得る(例えば、試薬カートリッジ/試料処理カートリッジとの界面から離れた温熱体の側において)。さらには、
図2D~
図2Fに示されるように、以下により詳細に説明されるデッキ110と基部180との間のエリアは、必要に応じて温熱体のセットから離れる方への対流熱伝達のための熱機構を提供するために、1つまたは複数のファン154および/またはダクト153を含み得る。さらには、上に説明される変異形において、加熱および冷却サブシステム150の1つまたは複数の部分(例えば、温熱体など)は、対応するカートリッジ(例えば、試薬カートリッジ、試料処理カートリッジなど)の適所への保持を促進する特徴部を含み得る。
【0083】
変異形において、温熱体および/または加熱および冷却サブシステム150の他の部分のうちの1つまたは複数は、温熱体をデッキ110によって支持される要素との熱的連通へと出入りさせるアクチュエータに結合され得るが、システム100の変異形は、加熱および冷却サブシステム150のアクチュエータを省略し得る。
【0084】
2.1.6 デッキ支持された要素:圧送サブシステム
図1A、
図2B、および
図6Aに示されるように、システム100は、上に説明される試料処理カートリッジ130の所望の部分に正圧および/または負圧を提供するように機能する圧送サブシステム157(例えば、デッキ110および/または基部180に結合される)を含み得る。より詳細には、圧送サブシステム157は、入口リザーバ133からの、および試料処理カートリッジ130の試料処理チップ132内への流体流を駆動するように機能し得る。追加的または代替的に、圧送サブシステム157は、試料処理カートリッジ130の廃棄物含有領域137からの、および外部廃棄物レセプタクル内への流体を除去するように機能し得る。変異形において、圧送サブシステム157は、デッキ110内の開口部を通じて試料処理カートリッジ130と整合するように構成される1つもしくは複数のポート58(例えば、真空ポート)、ポート58に結合される1つもしくは複数のポンプ(例えば、真空ポンプ、蠕動ポンプなど)、ポンプに結合される圧力駆動通路を提供するための1つもしくは複数のマニホールド、圧力通路に沿って圧力レベルを検出するように構成される1つもしくは複数の圧力センサ、および/または、圧送サブシステム157の動作を制御する(例えば、以下により詳細に説明される基部180の処理要素への電気結合により)ように構成される1つもしくは複数の制御回路素子を含み得る。そのようなものとして、変異形において、試料処理カートリッジ130に直接結合されない圧送サブシステム157の部分は、デッキ157と基部との間に位置し得る。
【0085】
変異形において、圧送サブシステム157のポート58は、試料処理カートリッジ130の好適な領域(例えば、入口、ウェルなど)に結合され得(例えば、物理的に接続される、流体的に接続される、など)、また追加的または代替的に、試薬カートリッジ120、システム100の別の流体通路、またはシステム100の任意の他の好適な構成要素に結合され得る。
【0086】
第1の特定の例において、
図2Fおよび
図6Aに示されるように、圧送サブシステム157は、デッキ110と基部180との間に配置され、かつ試料処理カートリッジ130のベース基板131の下の広い表面に配置された継手を通じて廃棄部出口51において廃棄物含有領域に結合されるポンプ59(例えば、蠕動ポンプ)を含み、ポンプ59は、負圧および/または正圧を相応に印加することによって、試料処理チップ132を通じて順方向および逆方向に流体を引き込むことができる。追加的または代替的に、圧送サブシステム157は、以下により詳細に説明される流体レベル検出サブシステム159と関連付けられたトリガ・イベントに従って、既定の圧力(例えば、-0.25psiまたは-1psiまたは-2.5psi)で、入口リザーバ133から、および試料処理チップ132を通じて、流体を引き込むことができる。
【0087】
試料処理カートリッジ130、および蓋135を閉状態と開状態との間で遷移させるために蓋開口器具145によって印加される力に関して、上のセクション2.1.4に説明される保持要素は、上に説明されるように、蓋135を開けるために蓋開口器具145によって印加される力に均衡する/これを相殺する保持力を提供することができる。追加的または代替的に、圧送サブシステム157の1つまたは複数の部分は、試料処理カートリッジ130を適所に保持し、上に説明されるように、蓋135を開けるために蓋開口器具145によって印加される力に均衡する/これを相殺する保持力を提供することができる。特定の例において、ポート58は、蓋開口器具145に反作用力を提供するために試料処理カートリッジ130と結合することができる。しかしながら、システム110の他の部分が、追加的または代替的に、反作用力を提供することができる。
【0088】
2.1.7 デッキ支持された要素:流体レベル検出サブシステム
図1A、
図2B、および
図9に示されるように、システム100は、デッキ110によって少なくとも部分的に支持され、かつ試料処理カートリッジ130と整合するように構成される流体レベル検出サブシステム159を含み得る。流体レベル検出サブシステム159は、システム100の試料処理カートリッジ130および/または他の流体処理要素において流体と関連付けられた流体パラメータ(例えば、流体のバイナリ・プレゼンス、流体の体積、流体流量、流体タイプなど)を検出および/または測定するように機能する。変異形において、流体レベル検出サブシステム159は、流体レベル制御回路に結合された(例えば、以下により詳細に説明される基部180の処理要素への電気結合により)流体レベル・センサ63を含み得る。
【0089】
流体レベル・センサ63のユニットは、試料処理カートリッジ130の入口リザーバ133と関連付けられた流体パラメータ(例えば、入口リザーバからマイクロウェルへ入る流体)を決定することができる。流体レベル・センサ63のユニットは、追加的または代替的に、試料処理カートリッジ130の出口と関連付けられた流体パラメータ(例えば、マイクロウェルから出口へ入る流体、出口から廃棄物含有領域へ入る流体など)を決定することができる。流体レベル・センサ63のユニットは、追加的または代替的に、試料処理カートリッジ130の廃棄物含有領域と関連付けられた流体パラメータ(例えば、廃棄物含有領域内の流体の体積)、または任意の他の好適な流体パラメータを決定することができる。流体レベル・センサ63は、光センサ、圧力センサ、温度センサ(例えば、流体通路内の特定の温度の流体を検出するため)、または流体の存在を検出するように構成される任意の他の好適なセンサのうちのいずれかまたはすべてを含み得、任意選択的に、試料処理カートリッジ内の流体と関連付けられた値(例えば、体積流量など)を決定することができる。
【0090】
第1の変異形において、本システムは、入口からウェルのセットへ輸送されている流体の存在を検出するように構成される光センサ63を含む。例において、赤外線(IR)エミッタ/検出器の対が、試料処理カートリッジ130の入口リザーバ133における、流体の存在および輸送されている流体の体積を(例えば、流体が存在する時間の持続期間にさらに基づいて)決定するために使用される。
【0091】
図2Bおよび
図9に示される特定の例において、流体レベル検出サブシステム159は、IR検出器63bから離れており、かつ試料処理カートリッジ130の入口リザーバ133をまたがってIR検出器63bに対向するIRエミッタ63aを含み、このIRエミッタ63aおよびIR検出器63bは、試料処理カートリッジ130のベース基板131の下側内側部分の中に配置されるように、ならびにIR放射線を入口リザーバ133の壁および内側容積部を横切って通過させ、以て、流体レベル検出を可能にするように構成される。しかしながら、流体レベル・センサ63の変異形は、別の好適な様式で構成され得る。
【0092】
2.1.8 デッキ支持された要素:分離サブシステムおよび動作モード
図1A、
図2B、および
図10A~
図10Cに示されるように、システム100は、非標的材料からの標的材料の分離を促進する(例えば、磁力を使用して、他の力を使用して)ように機能する分離サブシステム160を含み得る。変異形において、分離サブシステム160は、2019年6月26日に出願された、「System and Method for Target Material Retrieval from Microwells」という表題の米国特許第62/866,726号に説明される構成要素の実施形態、変異形、および例を含み得、これは本参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、分離サブシステム160の変異形は、追加的または代替的に、他の構成要素を含み得る。
【0093】
1つの変異形において、
図10A~
図10Cに示されるように、分離サブシステム160は、以下に説明されるガントリ170の流体取扱サブシステムへの界面162(例えば、ピペット界面)を含む第1のボディ部161、および標的材料分離のための磁力を提供するように構成される磁気遠位領域163を含み得る。この変異形において、磁気遠位領域163は、上に説明される(例えば、器具コンテナ140の)磁気スリーブ1410の1つまたは複数のユニットと結合するように構成され得、この磁気スリーブ1410は、使い捨て要素であってもよい。さらには、界面162は、磁力、流体吸引、および/またはピペット操作ヘッドによって提供される流体送達動作を用いて標的または非標的材料回収を促進するために、以下により詳細に説明されるガントリ170に結合されたピペット操作ヘッドに結合されるように構成され得る。そのようなものとして、システム100は、ガントリ170が、試料からの標的材料の磁気分離のため、磁気スリーブ1410に結合された第1のボディ部161を試料処理カートリッジ130と試薬カートリッジ120との間で移送する、分離モードを含み得る。さらには、分離サブシステム160を使用して実施される方法の実施形態は、>90%の回収効率で標的材料の迅速な回収をもたらすことができ、この場合、試料の標的材料(または非標的材料)に結合された磁気粒子のみが回収される。したがって、分離サブシステム160は、増大した選択的回収効率をもたらすように機能し得、したがって、処理試薬に関する下流の費用および他の材料費を(必要とされる容積部の低減に起因して、生化学反応における低減した分裂に起因して)低減し、ならびに処理負荷を低減することができる。
【0094】
図10Aに示されるように、第1のボディ部161は、以下に説明されるガントリ170の流体取扱サブシステムへの界面162を含み得、この界面は、流体取扱サブシステムの対応する結合領域を補完する結合領域を含む。界面162の結合領域は、磁気結合機構、プレス・フィット、スナップ・フィット、ねじ機構、雄雌接続、または流体取扱サブシステムとの可逆的結合を提供するための別の好適な機構によって動作し得る。
【0095】
第1のボディ部161の磁気遠位領域163は、永久磁石を提供するための材料を含むか、もしくはこれからなり得るか、または、代替的に、電磁石として構成され得る(例えば、システム100の好適な電子装置への結合により)。変異形において、磁気遠位領域163は、アルニコ、ネオジム、ネオジム鉄ボロン、サマリウム・コバルト、フェライト、および任意の他の好適な磁気材料のうちの1つまたは複数からなり得る。形態においては、磁気遠位部分163は、磁気スリーブ1410のユニットが磁気遠位部分と結合する(例えば、可逆的に結合する)ことができるように、磁気スリーブ1410の形態を補完することができる。さらには、磁気遠位部分163の形態および極構成は、ほぼ法線の磁力が、封入された粒子が除去されている標的マイクロウェルの大部分に印加されるというようなものである。
【0096】
磁気スリーブ1410は、試料処理チップ132からの材料の輸送を可能にするために、例えば、アクセス領域134を通じて、試料処理チップ132と整合するように構成される第1の領域1410aを含み得る。磁気スリーブ1410はまた、第1のボディ部161の磁気遠位部分163と結合するための第2の領域1410b、および第1の領域から第2の領域まで通る内部空洞1410cを含み得る。磁気スリーブ1410は、第1のボディ部163を物理的に接触するウェルまたは試料処理チップ132の他の感応性材料から分離する構造体を提供するように、および標的材料(または非標的材料)の回収のための所望の領域への磁場の印加を支援するように機能する。磁気スリーブ1410はまた、システム100の使用間に廃棄され得る使い捨て構成要素としての役割を果たすことによって、試料交差汚染を防ぐように機能し得る。
【0097】
磁気スリーブ1410は、形態学的に、内部空洞1410cを伴う角柱であり得、その長手方向軸に沿った磁気スリーブ1410の断面は、多角形外周、楕円形外周、不定形外周、または任意の他の好適な形状(例えば、閉じた形状、開いた形状)の境界によって画定される。磁気スリーブ1410の断面は、試料処理チップ132のマイクロウェル領域の設置面積の形状を補完することができるが、代替的に、試料処理チップ132に対応する形状を補完しなくてもよい。磁気スリーブ1410は、好ましくは、磁気遠位部分163から、磁気スリーブ1410の第1の領域1410aと整合する試料処理チップ132への磁力の印加を支援する壁厚を有する。壁厚は、アダプタ210の長さに沿って、一定または非一定であり得る。例において、壁厚は、0.2~3mm厚の範囲に及び得るが、他の例において、壁厚は、任意の他の好適な厚さを有し得る。磁気粒子を受容する磁気スリーブ1410の表面は、その表面上へのビーズ捕捉中および別のレセプタクルへのその後の解放中に小さい磁気粒子(1~3ミクロン)が表面に閉じ込められないように、平滑にされる(つまり、SPIB1よりも良好な表面仕上げ)。
【0098】
磁気スリーブ1410は、追加的または代替的に、分離サブシステム160の分離動作モードを可能にする構造的特徴部を含む。例えば、ピペット操作ヘッド(以下により詳細に説明される)からの磁気スリーブ1410の解放に関して、磁気スリーブ1410は、突出部1410dを含み得、この突出部1410dは、別の物体(例えば、スリーブ剥離器具165)が突出部1410dに対する力を提供して、磁気スリーブ1410を第1のボディ部161から解放することを可能にするように構成される。
【0099】
上に説明されるように、磁気スリーブ1410は、第1の領域1410aにおいて、アクセス領域134を通じて露出される試料処理チップ132の領域に、その領域への磁力の印加を促進するために、およびさらなる下流処理のために磁気スリーブ1410内への材料(例えば、磁気粒子に結合された標的または非標的材料)の引き込みを可能にするために、結合する。故に、磁気スリーブ1410は、試料処理チップ132から磁気スリーブ1410内へ標的材料を引き込むための機構を促進するために、第1の領域1410aにおいて封止体を含み得る。封止体は、別個の要素、または磁気スリーブ1410と一体になった要素であり得る。しかしながら、磁気スリーブ1410は、第1の領域1410aにおいて封止体を省略し得る。
【0100】
磁気スリーブ1410は、動作中に磁気遠位部分163によって印加される磁場に悪影響を及ぼさない高分子材料(例えば、プラスチック)からなり得る。磁気スリーブ1410は、追加的または代替的に、磁性であるか、もしくはシステム100の使用用途を支援するために誘起磁場をもたらすことができる材料(例えば、金属材料)を含む(例えば、これからなる粒子を含む)か、またはこれからなり得る。磁気スリーブ1410は、追加的または代替的に、任意の他の好適な材料からなり得る。磁気スリーブ1410の材料の分布は、試料処理チップ132の捕捉領域における所望の磁気効果に関して、アダプタのボディ部を通じて均質または非均質であり得る。磁気スリーブ1410の内部空洞1410cは、媒体(例えば、磁気媒体など)を含み得るか、または代替的に、いかなる媒体も含まなくてもよい。
【0101】
図1A、
図2B、および
図11A~
図11Bに示されるように、変異形において、分離サブシステム160は、ハウジング168内の磁石167のセットを含む磁石サブシステム166を含み得、この磁石サブシステム166は、磁石167のセットを(例えば、デッキ110内の開口部を通って)デッキ110に対して、および上に説明される試薬カートリッジ120の1つまたは複数の分離リザーバ129との整列内/外へ、動かすように構成される磁石アクチュエータ169をさらに含む。磁石アクチュエータ169はまた、以下により詳細に説明される制御回路(例えば、基部180における)に結合され得る。さらには、磁石アクチュエータ169は、磁石のセットを後退状態と伸展状態との間で遷移させるように構成され得、伸展状態では、磁石のセットは、デッキの第1の領域内へ移動する(例えば、
図11Aおよび
図11Bに示されるように)。そのようなものとして、分離サブシステム160はまた、非標的材料から標的材料を分離するための動作を可能にするために、デッキ110および/または基部180によって支持される要素を含み得る。
【0102】
変異形において、磁石167のセットは、1つまたは複数の永久磁石および/または電磁石を含み得る(例えば、システム100の好適な電子装置への結合により)。永久磁石は、アルニコ、ネオジム、ネオジム鉄ボロン、サマリウム・コバルト、フェライト、および任意の他の好適な磁気材料のうちの1つまたは複数からなり得る。
【0103】
図11A~
図11Bに示される例において、磁石167のセットは、線形アレイに配置された磁石167aの第1のサブセット(例えば、試薬カートリッジ120における精製動作の実施のため)を含み得、磁石167aの第1のサブセットの位置は、上の試薬カートリッジ120’、および以下のセクション3内のワークフローに関して説明される、粒子分離/精製のための第5の範囲125’の容積部の位置に対応する。
図11A~
図11Bに示される例において、磁石167のセットはまた、試薬カートリッジ120の分離リザーバ129aと相互作用するため(例えば、初期ビーズ回収のため)、磁石167aの第1のサブセットと関連付けられた軸から離れている、または別途オフセットされた磁石167bの第2のサブセット(例えば、1つまたは複数の磁石)を含む。しかしながら、磁石167のセットは、試薬カートリッジ120または他のカートリッジの分離リザーバ129との好適な相互作用を提供することに関して、別の好適な様式で(例えば、分散したアレイに関して、数に関して、など)配置され得る。
【0104】
ハウジング168は、磁石167のセットを囲むように、および試薬カートリッジ120の対応する部分との整列内/外へ磁石167のセットを遷移させることに関して、平滑な動作を提供するように機能する。故に、
図11Bに示されるように、磁石167aの第1のサブセットおよび磁石167bの第2のサブセットが存在する構成に関して、ハウジング168は、磁石167aの第1のサブセットをたどる第1の表面(例えば、第1の平坦表面)、および磁石167bの第2のサブセットをたどる第2の表面(例えば、第2の平坦表面)を含み得、第1の表面168aおよび第2の表面168bは、互いから離れる方へ角度付けされる。この変異形において、一対の対向する壁は、試薬カートリッジ120と整合するためにデッキ110を通じたハウジング168および磁石の平滑な動作(例えば、滑動動作)を促進するために、第1の表面および第2の表面から延在し得る。
【0105】
試薬カートリッジ120’に関して、
図3Aおよび
図11Bに示されるように、磁気分離のために構成される試薬カートリッジ120の容積部は各々、動作中(例えば、伸展した磁石状態で)ハウジング168に最も近くにあるように構成される側に、平坦表面128a、またはハウジング168に補完的な他の表面を含み得る。さらには、磁気分離のために構成される試薬カートリッジ120の容積部は各々、以下に説明されるガントリ170に結合されたピペッタによる流体の吸引および/または送達のため、ハウジング168から離れる方へ変位された第2の表面128b(例えば、湾曲表面)を含み得る。試薬カートリッジ120の分離容積部/リザーバ129を通って長手方向に取られた断面はさらに、分離動作が、より少ない体積の流体を必要とし、および/または非標的材料からの標的のより効率的な吸引および分離を提供するように、試薬カートリッジ120の基部に向かって先細になり得る。
【0106】
図12A~
図12Jに示されるように、分離サブシステム160は、材料分離のための一連の動作モードを提供することができ、
図12Aに示されるように、動作モードは、ピペット操作ヘッドまたは他の作動可能な構成要素(例えば、以下のガントリ170に関して説明される)と結合された第1のボディ部161であって、磁気遠位領域163を有する、第1のボディ部、磁気スリーブ1410、スリーブ剥離器具165、分離リザーバ129、および上に説明される磁石167のセットのうちの磁石167bの特定のシステム構造体構成に関与していた。
【0107】
より詳細には、
図12Bに示されるように、分離サブシステム160は、第1の動作モード164aを提供することができ、この第1の動作モード164aは、第1のボディ部161がピペット界面または他の作動可能な構成要素(例えば、以下のガントリ170に関して説明される)から離脱され、かつ第1のボディ部161の磁気遠位領域163が磁気スリーブ1410から離脱される、基線動作モードである。磁気スリーブ1410はさらに、スリーブ剥離器具165によって分離リザーバ129より上に(または、変異形において、別の位置に)保持され、磁石167bは、分離リザーバ129から離れる方へ変位される(例えば、上に説明される磁石アクチュエータ169によって)。
【0108】
図12Cに示されるように、分離サブシステム160は、第2の動作モード164bを提供することができ、この第2の動作モード164bは、第1のボディ部161がピペット界面または他のアクチュエータ界面6(例えば、以下のガントリ170に関して説明される)に結合され、かつ第1のボディ部161の磁気遠位領域163が磁気スリーブ1410から離脱される、初期化動作モードである。磁気スリーブ1410はさらに、スリーブ剥離器具165によって分離リザーバ129より上に保持され、磁石167bは、分離リザーバ129から離れる方へ変位される(例えば、上に説明される磁石アクチュエータ169によって)。
【0109】
図12Dに示されるように、分離サブシステム160は、第3の動作モード164cを提供することができ、第3の動作モード164bにおいて、第1のボディ部161は、ピペット界面または他のアクチュエータ界面6(例えば、以下のガントリ170に関して説明される)と結合され、分離リザーバ129との整列状態へと動かされる。第3の動作モード164cにおいて、第1のボディ部161の磁気遠位領域163は、磁気スリーブ1410の保持位置において分離リザーバ129より上の磁気スリーブ1410と結合される。第3の動作モード164cにおいて、磁石167bは、分離リザーバ129から離れる方へ変位される(例えば、上に説明される磁石アクチュエータ169によって)。
【0110】
図12Eに示されるように、分離サブシステム160は、第4の動作モード164dを提供することができ、第4の動作モード164bにおいて、第1のボディ部161は、ピペット界面またはアクチュエータ界面6(例えば、以下のガントリ170に関して説明される)と結合され、第1のボディ部161の磁気遠位領域163は、分離リザーバ129より上の磁気スリーブ1410と結合される。第4の動作モード164dにおいて、ピペット操作ヘッド(または他の作動可能な構成要素)は、材料の抽出(例えば、試料処理カートリッジからの官能化粒子)、ならびに/または第1のボディ部161および磁気スリーブ1410に結合されたピペット界面から分離リザーバ129内への材料の送達を準備するために、第1のボディ部161および磁気スリーブ1410をスリーブ剥離器具165によって提供される保持位置の外へ動かす。第4の動作モード164dにおいて、磁石167bは、分離リザーバ129から離れる方へ変位される(例えば、上に説明される磁石アクチュエータ169によって)。
【0111】
図12Fに示されるように、分離サブシステム160は、第5の動作モード164eを提供することができ、第5の動作モード164eにおいて、第1のボディ部161は、ピペット界面またはアクチュエータ界面6(例えば、以下のガントリ170に関して説明される)と結合され、第1のボディ部161の磁気遠位領域163は、分離リザーバ129より上の磁気スリーブ1410と結合される。第5の動作モード164dにおいて、ピペット界面(または他の作動可能な構成要素)は、流体をピペット操作ヘッドから分離リザーバ129内へ送達し、第1のボディ部161と依然として結合された(および官能化粒子に結合された)磁気スリーブ1410は、分離リザーバ129内の流体中に浸漬される。第5の動作モード164eにおいて、磁石167bは、分離リザーバ129から離れる方へ変位される(例えば、上に説明される磁石アクチュエータ169によって)。
【0112】
図12Gに示されるように、分離サブシステム160は、第6の動作モード164fを提供することができ、第6の動作モード164fにおいて、第1のボディ部161は、ピペット界面またはアクチュエータ界面6(例えば、以下のガントリ170に関して説明される)と結合され、第1のボディ部161の磁気遠位領域163は、分離リザーバ129より上の磁気スリーブ1410と結合される。第6の動作モード164fにおいて、ピペット界面(または他の作動可能な構成要素)は、第1のボディ部161と依然として結合された磁気スリーブ1410をスリーブ剥離器具165における保持位置へと戻し、磁気スリーブ1410(官能化粒子と依然として結合された)は、分離リザーバ129内の流体中に浸漬される。第6の動作モード164fにおいて、磁石167bは、分離リザーバ129から離れる方へ変位される(例えば、上に説明される磁石アクチュエータ169によって)。
【0113】
図12Hに示されるように、分離サブシステム160は、第7の動作モード164gを提供することができ、第7の動作モード164gにおいて、第1のボディ部161は、ピペット界面またはアクチュエータ界面6(例えば、以下のガントリ170に関して説明される)と結合され、第1のボディ部161の磁気遠位領域163は、分離リザーバ129より上の磁気スリーブ1410と結合される。第7の動作モード164gにおいて、第1のボディ部161と依然として結合された磁気スリーブ1410は、スリーブ剥離器具165における保持位置にあり、磁気スリーブ1410(官能化粒子を伴う)は、分離リザーバ129内の流体中に浸漬される。第7の動作モード164gにおいて、磁石167bは、分離リザーバ129の壁128aに対する流体の官能化粒子に結合された標的または非標的材料の引き付けおよび保持を準備するため、分離リザーバ129の方へ変位される(例えば、上に説明される磁石アクチュエータ169によって)。
【0114】
図12Iに示されるように、分離サブシステム160は、第8の動作モード164hを提供することができ、第8の動作モード164hにおいて、第1のボディ部161は、ピペット界面またはアクチュエータ界面6(例えば、以下のガントリ170に関して説明される)と結合され、また除去されて上に説明される器具コンテナからの好適な先端部と置き換えられるように分離リザーバ129から離れる方へ動かされている。第8の動作モード164hにおいて、第1のボディ部161の磁気遠位領域163は、磁気スリーブ1410がスリーブ剥離器具165において適所に保持されたまま、ピペット操作ヘッドに第1のボディ部161を磁気スリーブ1410から離れる方へ動かさせることによって、分離リザーバ129より上の磁気スリーブ1410から離脱される。第8の動作モード164hにおいて、磁気スリーブ1410は、分離リザーバ129内の流体中に浸漬される。第8の動作モード164hにおいて、磁石167bは、分離リザーバ129の壁128aに対する流体の官能化粒子に結合された標的または非標的材料の保持のため、依然として分離リザーバ129に近接して配置される(例えば、上に説明される磁石アクチュエータ169によって)。第8の動作モード164hにおいて、磁石167bは、標的材料を分離リザーバ129の下部の方へ引き付ける(例えば、ピペッタによる下部からの後の抽出のため、ピペッタが磁石167bによって解き放たれた材料を引き付ける間の保持のため)。
【0115】
図12Jに示されるように、分離サブシステム160は、第9の動作モード164iを提供することができ、第9の動作モード164iにおいて、ピペット操作ヘッド/アクチュエータ界面6は、好適な先端部と結合され、分離リザーバ129から材料を吸引するために分離リザーバ129内へ動かされる。第9の動作モード164iにおいて、磁気スリーブ1410は、スリーブ剥離器具165において分離リザーバ129より上に適所に依然として保持され、分離リザーバ129内の流体中に浸漬される。第9の動作モード164iにおいて、磁石167bは、ピペット操作ヘッドによる材料の吸引と連携して、分離リザーバ129から離れる方へ動かされる(例えば、上に説明される磁石アクチュエータ169によって)。
【0116】
図13A~
図13Dは、上に説明される動作モードに関して、試薬カートリッジ120の分離リザーバ129のスリーブ剥離器具165に対する磁気スリーブ1410の構成の追加の図を描写する。
【0117】
しかしながら、分離サブシステム160の変異形は、重力、浮力、遠心力、化学分離、および/または任意の他の好適な分離手法のうちの1つまたは複数に基づいた標的材料回収のため、要素を含み、動作モードを提供し得る。さらに別の実施形態において、分離サブシステム160による標的材料回収動作は、輸送されている異なる粒子の相対的な空間的位置を保ちながら、標的粒子をマイクロウェルチップから別の基板または別の新規の空のマイクロウェルチップへ輸送するために使用され得る。
【0118】
2.2 システム-ガントリ
図1A~
図1B、
図2A、および
図2C~
図2Fに示されるように、システム100は、軸のセットに沿った、デッキ110の要素との様々な相互作用のための1つまたは複数の器具の作動を支援および/または可能にするように機能する、デッキ110に結合されたガントリ170を含み得る。変異形において、ガントリ170は、3次元空間(例えば、デッキの第1の側によって境界される3次元体積部)において、以下に説明されるピペット界面を有するピペッタ174などの器具を動かすための1つまたは複数のレール/トラックを提供する。変異形において、ガントリ170を使用して作動される器具は、デッキ110によって支持される異なる構成要素にわたる材料(例えば、細胞、試薬、粒子など)の輸送のため、試料処理カートリッジ130、試薬カートリッジ120、器具コンテナ140、または他の要素に対して動かされ得る。追加的または代替的に、ガントリ170によって支持される器具は、デッキ110によって支持される様々な使い捨て器具と関連付けられたバーコードの読み取りのために使用され得る(例えば、ランの正しいセットアップを識別することに関して、在庫管理に関して、など)。ガントリ170は、好ましくは、試薬カートリッジ120、試料処理カートリッジ130、および器具コンテナ140の広い表面に平行の1つまたは複数の軸(例えば、
図2Aに示されるXおよびY軸)に沿った、ならびに追加的に広い表面に垂直の軸(例えば、
図2Aに示されるZ軸)に沿った1つまたは複数の器具の運動を可能にする。ガントリ170は、追加的または代替的に、これらの方向のサブセットに沿った、または任意の他の好適な方向に沿った運動を可能にし得る。運動を可能にするために、ガントリ170は、1つもしくは複数のモータ(例えば、運動の各軸もしくは方向のためのモータ)、運動の各軸もしくは方向における位置識別のための1つもしくは複数のエンコーダ、および/またはガントリ170の制御のための1つもしくは複数のスイッチ(例えば、各軸のための光学スイッチ)(例えば、スイッチは、以下の基部180に関して説明される制御回路と電気的に結合される)を含むか、またはこれに別途結合される。
【0119】
第1の変異形(例えば、
図2A~
図2Bおよび
図2D~
図2Fに示されるような)において、ガントリ170は、X軸に沿った器具の運動のためのXレール171、Y軸に沿った器具の運動のためのYレール172、およびZ軸に沿った器具の運動のためのZレール173を含む3次元トラック・アセンブリ(X-Y-Zトラック・アセンブリ)を含む。
図2Aに示される変異形において、Xレール171は、Yレール172と結合され、またこれに沿って滑動し、Zレール173は、Xレール171と結合され、またこれに沿って滑動するが、他の変異形において、Xレール171、Yレール172、およびZレール173は、別の好適な様式で、互いと結合され、また互いと相互作用し得る。
図2Aに示される変異形において、ガントリ170は、Xレール171およびYレール172を使用して、デッキ110の要素との整列状態へと器具を動かすように構成され、また、デッキの要素(例えば、試薬カートリッジ120の部分、試料処理カートリッジ130の要素、器具コンテナ140の器具など)にアクセスするためにZレール173を使用して、器具を動かすように構成される。いくつかの変異形において、ガントリ170は、停車位置へ戻るように構成され得(例えば、一旦プロトコルが完了した際、本システムがオフされた際、蓋が開けられる前、など)、この停車位置は、ユーザがデッキの適切なエリアにアクセスすることを可能にする(例えば、先端部を再充填するため、管に試薬を充填するため、マイクロウェル・カートリッジを取り外すためなど)。しかしながら、ガントリ170は、別の好適な基線位置を有し得る。ガントリ170の様々な動作モードは、以下のセクション3のワークフローに関してさらに説明される。
【0120】
2.2.1 ガントリ-ピペッタ
図2Aに示されるように、ガントリ170は、上に説明される器具コンテナ140のものなど、任意の数の先端部または他の器具を保持する、動かす、および/または別途これと相互作用するように機能するピペッタ174を含み得、および/またはこれと相互作用するように構成され得る。変異形において、ピペッタ174アセンブリは、流体の送達および吸引のために圧力差を提供するためのポンプ(例えば、変位ポンプ)、ピペット操作圧力を感知するための圧力センサ、ピペッタ174内の流体レベルを感知するためのレベル・センサ、先端部検出器(例えば、ピペッタ174に結合された先端部の存在または不在の決定を可能にするため)、ならびにピペッタ174から先端部を取り外すための先端部排出器に結合された先端部排出モータのうちの1つまたは複数を含み得る。
図2Aに示されるように、ピペッタ174は、ガントリ170のZレール173に結合され得るが、他の変異形において、ピペッタ174は、追加的または代替的に、ガントリ170の他の部分に結合され得る。
【0121】
ピペッタ174は、好ましくは、自動化された方式で(例えば、モータ付き、機械化、自己動作など)動作可能であり、以下の既定のパラメータ:体積(例えば、正確な体積を分注すること、正確な体積を吸引すること)、各材料が分注されるウェルより上の高さ(例えば、プライミング・バッファは、各ウェルの上部より0.25~0.3ミリメートル上に分注され、細胞懸濁液は、各ウェルの上部より0.25ミリメートルの高さに分注される、など)のうちのいずれかもしくはすべてを制御するように構成され得るか、または任意の好適なパラメータに従って任意の他の好適なプロパティを制御することができる。追加的または代替的に、ピペッタ174は、手動方式で(例えば、ユーザに従って、ユーザ介入ありで、ユーザによって保持および使用される、など)、または任意の好適なやり方で動作するように構成され得る。さらに別の実施形態において、ピペッタ174は、機械器具、磁気器具、光学器具、および任意の他の好適な器具のうちのいずれかまたはすべてなど、器具コンテナと関連付けられた1つまたは複数の器具を取り出すために使用され得る。器具は、器具が試薬カートリッジまたはマイクロウェル・カートリッジの特定の内容物に対して特定の機械/磁気および/または光学機能を実施することができるように、ピペッタ174によって、試薬カートリッジおよび/またはマイクロウェル・カートリッジへ動かされ得る。
【0122】
2.2.2 ガントリ-他の器具
追加的に、ガントリ170は、上の他の要素に関して説明される1つまたは複数の器具を含むか、またはこれを支持することができる。例えば、ガントリ170は、試料処理カートリッジ130の蓋135を開状態と閉状態とで遷移させるための蓋開口器具145のユニット(
図2Bに示される)と結合され得る。ガントリ170は、追加的または代替的に、非標的材料からの標的材料の分離のための上に説明される(例えば、磁気遠位領域163を有する第1のボディ部161の作動に関して)分離サブシステム160と関連付けられた磁気ヘッド・アクチュエータ175(
図2Bに示される)と結合され得る。
【0123】
いくつかの変異形において、ガントリ170は、デッキ110によって支持される様々な使い捨て器具と関連付けられた(例えば、ランの正しいセットアップを識別することに関して、在庫管理に関して、など)タグ(例えば、バーコード)の読み取りを可能にするように機能する、カメラ176(例えば、照明と結合されたカメラ)と直接的または間接的に結合され得る。追加的または代替的に、カメラ176は、特定のタグの読み取りなしに、デッキ110における要素の構成を捕捉する画像データを送信するための機能性を含み得る。
図2Aおよび
図2Fに示されるように、カメラ176は、上に説明されるピペッタ174と共にZレール173に結合され得、その結果として、カメラ176は、ピペッタ174が整列される物体と関連付けられた視野を有する。しかしながら、カメラ176の動きは、代替的に、カメラ176がピペッタ174とは独立して動かされ得るように、ピペッタ174から離脱され得る。変異形において、カメラ176は、上の参照により組み込まれる出願に説明される構成要素を含み得る。カメラ画像は、所望の場所に達するためのガントリ170および/またはその構成要素(例えば、ピペッタ、器具など)の正確な運動のために、追加のフィードバック機構としても使用され得、以て、モーション・システムの正確性および精度を劇的に改善する(例えば、100ミクロン未満、50ミクロン未満、25ミクロン未満、10ミクロン未満、5ミクロン未満、1未満などに)。
【0124】
追加的または代替的に、
図1Aおよび
図1Bに示されるように、ガントリ170は、システム100の環境または他のパラメータを監視するための様々なセンサを含み得る。例えば、変異形において、センサは、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、光センサ、振動センサ、および他の好適なセンサのうちの1つまたは複数を含み得る。しかしながら、センサは、別の好適な様式でシステム100に対して配置され得る(例えば、ガントリ170から離脱される、デッキ110に配置される、基部180に配置される、など)。
【0125】
2.3 システム-基部
図1Aに示されるように、システム100は、デッキ110の要素および上に説明されるガントリ170と関連付けられた制御および処理アーキテクチャを支持するように機能する基部180を含み得る。変異形において、基部180は、試料処理カートリッジ130および/またはピペッタ174全体を通じた流体送達のための圧力修正、流体レベル感知(例えば、試料処理カートリッジ130において、ピペッタ174において、試薬カートリッジ120の様々な格納容積部において、など)、試料処理カートリッジ130の蓋開口部機構の作動、試薬カートリッジ120および/または試料処理カートリッジ130のための熱サイクリングおよび/または他の加熱機能、試薬カートリッジ120および/または試料処理カートリッジ130のための冷却機能、分離機能(例えば、溶出、磁気分離、他の分離など)、ガントリ170の制御のための機能、センサ信号を受信し、出力を返すことに関与する機能、センサ信号を受信し、様々なアクションを実行することに関与する機能、システム・ドアを様々な状態(例えば、開状態、閉状態、ロック状態、アンロック状態など)の間で遷移させるための機能、システム電力管理と関連付けられた機能、システム状態標示要素(例えば、照明、音声出力デバイス、視覚的出力デバイスなど)と関連付けられた機能、システム入力デバイス(例えば、ボタン、キーボード、キーパッド、マウス、ジョイスティック、スイッチ、タッチ・スクリーンなど)と関連付けられた機能、ディスプレイ・デバイスと関連付けられた機能、システム・データ記憶デバイスと関連付けられた機能、システム送信デバイス(例えば、有線送信デバイス、ワイヤレス送信デバイスなど)と関連付けられた機能、ならびに他の好適な機能を含む、1つまたは複数のシステム機能のための制御および処理アーキテクチャを支持することができる。
【0126】
変異形において、基部180は、故に、処理アーキテクチャ(例えば、システムに搭載、システムとは別個など)と関連付けられた電子装置サブシステム(例えば、PCB、電源、通信モジュール、エンコーダなど)、または任意の他の好適な構成要素を支持することができ、処理アーキテクチャは、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、コントローラ(例えば、マイクロコントローラ)、メモリ、ストレージ、ソフトウェア、ファームウェア、または任意の他の好適な構成要素のうちのいずれかまたはすべてを含み得る。追加的に、処理サブシステムは、タグを読み取る、プロトコルを検証する、エラー検出を実施する(例えば、試薬が、割り当てられたプロトコルと一致しないことを検出する)、または任意の他の機能を実施するように機能するマシン・ビジョン・モジュールを含み得る。
【0127】
例えば、例示的な動作フローにおいて、オペレータは、プロトコルの実施を開始することができる(例えば、システムのボタンを押すことによって、選択をするためにシステムのタッチ感応性ディスプレイと対話することによって、など)。バーコード・リーダは、デッキ要素(例えば、試薬カートリッジ、試料処理カートリッジ、器具コンテナなど)のタグをスキャンして、ユーザによって選択されたプロトコルと比較することによって、エラー検出プロトコルを実施し、タグが選択されたプロトコルと一致しない場合、通知がユーザに送信され得、タグが正しい場合、プロトコルが始まり得る。この時点で、オペレータは、もはや必要とされない場合がある。1つまたは複数のワークフローによると、以下のセクション3においてそのうちのいくつかが説明されるが、正しいタイプおよび体積の材料(例えば、試薬/試料)が、自動化された方式で、正しい時間に試料処理カートリッジに追加されるか、またはそこから除去される。一旦プロトコルが完了すると、オペレータは、所望の通りにマイクロウェル・カートリッジの内容物を収集および/もしくは処理すること、ならびに/または新規ランを設定することを進めることができる。システム100によって可能にされる方法およびワークフローの変異形は、以下にさらに説明される。
【0128】
制御および処理アーキテクチャの実施形態、変異形、および例は、上の参照により組み込まれるような、2018年7月27日に出願された米国出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,240号、2017年11月16日に出願された米国出願第15/815,532号、2018年8月28日に出願された米国出願第16/115,370号、2019年9月9日に出願された米国出願第16/564,375号、2020年3月12日に出願された米国出願第16/816,817号にさらに説明される。
【0129】
2.4 システム-デッキ、ガントリ、および基部間の機能的結合
変異形において、本システムのデッキ110、ガントリ170、および基部180は、様々な機能を提供するために機能的に結合され得る。機能的結合は、様々な動作モードに従って、電気機械的、機械的、電気的、磁気的、空気圧式、流体的、光学的、および/または他の結合手段のものであり得る。
図14A~
図14Cは、以下に説明されるような、システムの変異形についての機能的結合を描写する。
【0130】
図14Aは、デッキ110、ガントリ170、および基部180の様々な要素間の機械的、電気的、空気圧式、光学的、および磁気的連通の例を描写する。より詳細には、
図14Aに示されるように、ガントリ170は、上に説明されるZレール173と関連付けられたZ軸アーム801、3軸ガントリ・モータ802、3軸エンコーダ803、3軸光学スイッチ804、磁気アクチュエータ805、および蓋開口器具806を含む、作動関連要素を支持する。ガントリ170は、ピペッタ174、変位ポンプ808、ピペット先端部検出器809、ピペット先端部排出モータ810、レベル・センサ811、および圧力センサ812を含む、ピペット操作要素をさらに支持する。ガントリ170はまた、カメラおよび照明176、ならびに温度および湿度センサを含むセンサ814のセットを支持する。
図14Aに示されるように、デッキ110は、試料処理カートリッジ130、試薬カートリッジ120、および器具865のセットを含む器具コンテナ140を支持する。
図14Aに示されるように、基部180は、第1のコンピューティング・サブシステム815、1つまたは複数のインターフェース・ボード816、およびガントリ制御回路817を支持する。デッキ110、ガントリ170、および基部180の様々な要素間の機械的、電気的、空気圧式、光学的、および磁気的連通は、
図14Aに様々な線タイプにより描写される。
【0131】
図14Bは、デッキ110および基部180の様々な要素間の機械的、流体的、磁気的、および空気圧式連通の例を描写する。より詳細には、
図14Bに示されるように、デッキ110は、周囲試薬および機能性ビーズのための格納容積部818、生試料820を受容するための試料格納容積部819、冷蔵試薬および/または試料処理の結果物を格納するための格納容積部821、分離粒子および関連付けられた分離リザーバ822のための格納容積部のセット、ならびに関連付けられたPCRカバー824を伴うPCRのための格納容積部823のセットを含む試薬カートリッジ120と、器具のセット(例えば、ピペット先端部)825を含む器具コンテナ140と、試料処理カートリッジ130と、ヒータ・ヘッド827、吸引ヘッド828、および磁気ヘッド829を含むデッキ器具826のセットとを支持する。
図14Bに示されるように、要素のセットは、デッキ110を基部180と整合させ、要素のセットは、真空ポート830、ピンチ・アクチュエータ831、試料処理カートリッジ温熱体832(試料処理カートリッジ130のマイクロウェル領域または試料処理カートリッジ130の他の領域とかみ合うように構成される)、第1の試薬カートリッジ温熱体833(冷蔵試薬のため、第1の領域111において、試薬カートリッジ120の範囲とかみ合うように構成される)、第2の試薬カートリッジ温熱体834(PCR熱サイクリングのため、第1の領域111において、試薬カートリッジ120の範囲とかみ合うように構成される)、流体レベル・センサ836、および分離プロセスのための磁石835のうちの1つまたは複数を含み得る。デッキ110および基部180の様々な要素間の機械的、流体的、磁気的、および空気圧式連通は、
図14Bに様々な線タイプにより描写される。
【0132】
図14Cは、デッキ110および基部180の様々な要素間の電気的連通の例を描写する。より詳細には、
図14Cに示されるように、デッキ110は、試料処理カートリッジ130と、冷蔵試薬および/または試料処理の結果物を格納するための格納容積部821、分離粒子および関連分離リザーバ822のための格納容積部のセット、ならびに関連付けられたPCRカバーを伴うPCRのための格納容積部823のセットを含む試薬カートリッジ120と、ヒータ・ヘッド827を含むデッキ器具826のセットとを支持する。
図14Cに示されるように、要素のセットは、デッキ110を基部180と整合させ、要素のセットは、真空ポート830、ピンチ・アクチュエータ831、試料処理カートリッジ温熱体832、第1の試薬カートリッジ温熱体833、第2の試薬カートリッジ温熱体834、分離プロセスのための磁石835、および流体レベル・センサ836のうちの1つまたは複数を含み得る。
【0133】
より詳細には、真空ポート830は、ベント弁マニホールド838および圧力センサ839を含む圧送サブシステム837に結合される。試料処理カートリッジ温熱体832は、ヒータ841(例えば、ペルチェ・ヒータ、サーモカップル、ヒート・シンク、およびファン)および熱制御回路842を含む、加熱および冷却サブシステムの熱サイクラ840に結合される。第1の試薬カートリッジ温熱体833は、冷却素子844(例えば、ペルチェ・クーラ、サーモカップル、ヒート・シンク、およびファン)および熱制御回路845を含む、加熱および冷却サブシステムの冷却デバイス843に結合される。第2の試薬カートリッジ温熱体834は、第1のヒータ846(例えば、ペルチェ・ヒータ、サーモカップル、ヒート・シンク、およびファン)、ヒート・シンクに結合された第2のヒータ847、および熱制御回路848を含む、加熱および冷却サブシステムの加熱デバイス(例えば、オンボードPCRのための)に結合される。磁石835は、磁石アクチュエータ849に結合される。最後に、流体レベル・センサ836は、流体レベル・コントローラ850に結合される。
【0134】
図14Cに示されるように、基部180は、第1のコンピューティング・サブシステム815、1つまたは複数のインターフェース・ボード816、スピーカ851、ドア・ロック要素852(上に説明されるように、ドア磁石853と整合してドア90の動作モードを提供する)、AC電源856に結合された電源855に結合された電源インレット854、電源スイッチ857、インジケータ・ライト858(例えば、電力/地面効果)、換気ファン859、ポートのセット(例えば、イーサネット・ポート860およびUSBポート861を含む)、およびディスプレイ862(例えば、タッチスクリーン・ディスプレイ)をさらに支持する。基部の要素は、システム外アクセサリ(例えば、入力デバイス863、ストレージ・デバイス864)とさらに整合し得る。デッキ110および基部180の様々な要素間の電気的連通は、
図14Cに様々な線タイプにより描写される。
【0135】
3.方法
図15に示されるように、試料処理のための方法300の実施形態は、試薬カートリッジ、器具コンテナ、および試料処理カートリッジを試料処理システムのデッキに配置することS310、動作シーケンスにおいて器具コンテナの器具を使用することによって試料処理カートリッジ間で試薬カートリッジの内容物を移送することS320、ならびに試料処理カートリッジおよび/または試薬カートリッジにおいて試料を処理することS330を含む。追加的または代替的に、方法300は、2018年7月27日に出願された米国出願第16/048,104号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,057号、2017年9月29日に出願された米国出願第15/720,194号、2017年2月13日に出願された米国出願第15/430,833号、2017年11月22日に出願された米国出願第15/821,329号、2017年10月12日に出願された米国出願第15/782,270号、2018年7月30日に出願された米国出願第16/049,240号、2017年11月16日に出願された米国出願第15/815,532号、2018年8月28日に出願された米国出願第16/115,370号、2019年9月9日に出願された米国出願第16/564,375号、2020年3月12日に出願された米国出願第16/816,817号、に説明されるプロセスのいずれかまたはすべてを含み得、これらの出願は各々、本参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0136】
本方法は、好ましくは、上に説明されるシステムの実施形態、変異形、または例を用いて実施される(例えば、様々な要素および/または試料処理の間の内容物の移送に関して)が、追加的または代替的に、任意の他の好適なシステムを用いて実施され得る。本方法は、さらに好ましくは、少なくとも部分的に自動化される(例えば、ユーザが試薬を充填し、プロトコルを選択することを必要とする、ユーザ介入を必要としない、など)が、1つまたは複数の部分は、追加的または代替的に、手動で実施され得る(例えば、品質制御ステップについて、すべてのプロトコルについて、まれなプロトコルについて、など)。
【0137】
上に説明される方法300およびシステム要素と関連付けられた特定のワークフローは、以下にさらに詳細に説明され、試料(例えば、細胞由来材料、タンパク質、mRNA、タンパク質およびmRNAを含む試料、各々が多重化バーコードでタグ付けされた複数の試料を含む試料、細胞由来生体マーカまたは非細胞由来生体マーカのいずれかからのカプセル化粒子を含む試料など)は、ワークフロー(例えば、以下のセクション3.1~3.3内のワークフロー)に従って処理され得、その後にライブラリ調製ワークフロー(例えば、以下のセクション3.4内のワークフロー)、その後に次世代シーケンシング(NGS)が続く。
【0138】
3.1 方法-mRNA合成/cDNA増幅の3’プロトコルのための例示的なワークフロー
図16に示されるように、mRNA合成/cDNA増幅のために構成される方法の変異形300’は、ラン準備動作を実施することであって、ラン準備動作が、mRNA合成/cDNA増幅プロトコルを実施するためのシステムを構成する、実施することS305’、ラン準備動作の完了時にシステムの試料処理カートリッジをプライミングすることS310’、試料処理カートリッジにおいて、単一細胞方式で、試料の細胞のセットを官能化粒子のセットと共に共同捕捉することS315’、細胞のセットを溶解し、その後に、溶解細胞からの放出mRNAを官能化粒子(例えば、バーコーディングされた微粒子)と結合すること(例えば、任意の非結合mRNAの官能化粒子を関連洗浄することにより)S320’、逆転写動作を実施すること、官能化粒子のセットを、関連付けられた結合した標的内容物と共に、試料処理カートリッジから回収することS325’、官能化粒子のセットと関連付けられた細胞由来内容物の体積部を用いてエキソヌクレアーゼ処置動作を実施することS330’、細胞由来内容物の体積部を用いて鎖変性および第2の鎖合成動作を実施することS335’、細胞由来内容物の体積部を用いてcDNA増幅動作を実施することS340’、cDNA増幅動作のPCR産物を用いてmRNA粒子精製動作を実施することS345’、およびmRNA粒子精製動作の完了時にラン完了動作を実施することS360’を含み得る。
【0139】
より詳細には、ラン準備動作を実施することS305’は、細胞懸濁液を調製すること、システム・サブシステム(例えば、デッキと関連付けられた、ガントリと関連付けられた、基部と関連付けられた、など)の動作チェックを開始および実施すること、ガントリをホーム位置に戻すこと、1つまたは複数の封止体を試薬カートリッジから除去することおよび/または試薬を試薬カートリッジに充填すること、試料処理カートリッジ・ユニットを配置すること、1つまたは複数の封止体をデッキに配置された器具コンテナから除去すること、細胞懸濁液を使用前に格納コンテナ内へ分注すること、使い捨て器具のタグをカメラ(例えば、マシン・ビジョン・カメラ)でスキャンする際にプロトコルのための使い捨て器具の正しい配置および状態を検証すること(例えば、有効期限に関して)、試料識別情報を受信すること(例えば、オペレータから)、ならびに試料のランを開始することのうちの1つまたは複数と関連付けられたサブステップを含み得る。S305’’のステップは、システムによって自動的に、および/またはオペレータによって実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0140】
より詳細には、ラン準備動作の完了時にシステムの試料処理カートリッジをプライミングすることS310’、および試料処理カートリッジにおいて、試料の細胞のセットを、単一細胞形式で、官能化粒子のセットと共に共同捕捉することS315’は、プライミング溶液を(例えば、気泡が試料処理カートリッジ内に捕らわれることを防ぐ様式で)試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、試料処理カートリッジ内でプライミング溶液をインキュベートすること、1つまたは複数の洗浄溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、溶液を試料処理カートリッジの廃棄物含有領域へ移送すること、細胞懸濁液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注し、細胞を、単一細胞形式で、試料処理カートリッジのウェル内で捕捉すること、官能化粒子のセットを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注し、官能化粒子のセットを細胞のセットと共に共同捕捉すること、試料処理カートリッジのウェルの内容物をインキュベートすること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放すること(例えば、ピペット界面に結合されたガントリによって)のうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS310’およびS315’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0141】
より詳細には、官能化粒子(例えば、バーコーディングされた微粒子)の存在下で、試料処理カートリッジにおいて、細胞のセットの溶解物を伴って、逆転写動作を実施することS320’は、1つまたは複数の洗浄溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、溶液を試料処理カートリッジの廃棄物含有領域へ移送すること、粒子結合バッファを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、DTT溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、溶解溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、油により試料処理カートリッジのウェルの上の流体を変位させ、以て、ウェルの内容物を隔離し、ウェルにわたる望ましくない材料輸送を防ぐこと(例えば、本参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年9月9日に出願された米国出願第16/564,375号にあるように)、入口リザーバからの空気により油を変位させること、粒子結合洗浄バッファを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、pre-RT反応洗浄バッファを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、cDNA合成溶液(例えば、SuperScript IV(登録商標))を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、RTカクテルを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、試料処理カートリッジの内容物をインキュベートすること、インキュベーション・ステップを実施すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS320’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0142】
より詳細には、官能化粒子のセットを、関連付けられた結合した標的内容物と共に、試料処理カートリッジから回収することS325’は、手動または自動動作を使用して磁気分離動作(例えば、上に説明されるような)を実施することを含み得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0143】
より詳細には、官能化粒子のセットと関連付けられた細胞由来内容物の体積部を用いて、エキソヌクレアーゼ処置動作を実施することS330’は、水およびエキソヌクレアーゼ・バッファを混合して、所望の濃度を有するエキソヌクレアーゼ溶液を生成すること、エキソヌクレアーゼ溶液を、官能化粒子と共に、第1のPCRコンテナ内へ分注すること、油(例えば、鉱油)を第1のPCRコンテナ内へ分注すること、第1のPCRコンテナの内容物を熱サイクリングおよびインキュベートすること、第1のPCRコンテナの生成物を抽出すること、第1のPCRコンテナの生成物を用いて分離動作を実施すること、分離動作からの廃棄物を廃棄すること、インキュベーション・ステップを実施すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS330’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0144】
より詳細には、鎖変性および第2の鎖合成動作を実施することS335’は、水酸化物溶液(例えば、水酸化ナトリウム溶液)を第2の磁気分離コンテナへ輸送すること、第2の磁気分離コンテナの内容物を混合すること、第2の磁気分離コンテナに近接して磁気分離サブシステム(例えば、上に説明されるような、アクチュエータに結合された磁石のセット)を作動させ、以て、磁石の方へ官能化磁気粒子を分離させること、第2の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、洗浄溶液を第2の磁気分離コンテナへ分注すること、第2の磁気分離コンテナに近接した処理コンテナ内で第2の鎖合成プライマ酵素を混合すること、第2の鎖合成プライマ酵素を第2の磁気分離コンテナの内容物と混合すること、第2の磁気分離コンテナの生成物を第2のPCRコンテナ内へ分注すること、混合を伴って、第2のPCRコンテナの内容物を熱サイクリングすること、第2のPCRコンテナの生成物を第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、第3の磁気分離コンテナの生成物を廃棄物から磁気的に分離し、廃棄物を廃棄すること、洗浄溶液を第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS335’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0145】
より詳細には、cDNA合成動作を実施することS340’は、冷却格納容積部内でポリメラーゼ混合物(例えば、Kapa Biosystems HiFi Hotstart Ready Mix(登録商標))を混合すること、冷却格納容積部からのPCRマスター混合物を第3の磁気分離コンテナの内容物と混合すること、第3の磁気分離コンテナの内容物を第3、第4、第5、および第6のPCR動作コンテナ内へアリコートすること、油(例えば、鉱油)を第3、第4、第5、および第6のPCR動作コンテナ内へアリコートすること、第3のPCR動作を実行すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS340’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0146】
より詳細には、cDNA増幅動作のPCR産物を用いてmRNA粒子精製動作を実施することS345’は、第3、第4、第5、および第6のPCR動作コンテナからの生成物を第4の磁気分離コンテナ内へ分注すること、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads XP(登録商標))を混合し、第4の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、第10の磁気分離コンテナ内で、エタノールをヌクレアーゼ・フリー水で希釈および混合すること、インキュベーション後、第10の磁気分離コンテナから廃棄物を除去すること、ヌクレアーゼ・フリー水を第10の磁気分離コンテナの標的内容物と混合すること、第10の磁気分離コンテナから標的mRNA-cDNA生成物を磁気的に分離すること、標的mRNA-cDNA生成物を第10の磁気分離コンテナから冷却格納器へ輸送すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS345’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0147】
より詳細には、mRNA粒子精製動作の完了時にラン完了動作を実施することS360’は、ガントリをホーム構成に戻すこと、試料処理が完了しているという通知を提供すること、ボード外格納のために試薬カートリッジおよび/または試料処理カートリッジをシステムから解放すること、システム廃棄物を廃棄すること、システム清浄動作を実施すること、ならびにシステムを停止(例えば、アイドル、オフ)状態へ遷移させることのうちの1つまたは複数を含み得る。S360’のステップは、システムによって自動的に、および/またはオペレータによって実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0148】
方法300’のステップの例示的な詳細は、付属書類Aの表1にさらに説明される。方法300’のステップに関して、周囲温度および冷蔵試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Aの表2に説明される。付属書類Aの表2に関して、試薬の体積は、使用される試料処理チップのサイズおよび/または実行される反応の数に従ってスケーリングされ得る。磁気分離動作に関して、使用される装置および関連試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Aの表3に説明される。増幅(例えば、PCR)動作に関して、使用される装置および関連試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Aの表4に説明される。流体吸引および送達動作に関して、装置の説明、ならびに上に説明される器具コンテナの実施形態と関連付けられた位置は、付属書類Aの表5に説明される。プロトコル態様の自動化のための構成要素の作動に関して、ガントリ・アームおよびピペッタ動作(例えば、使い捨て器具と結合する装置、使い捨て器具から離脱する装置、流体混合、廃棄物廃棄、吸引、送達、アリコートなどに関して)は、付属書類Aの表6に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、試料処理カートリッジ動作は、付属書類Aの表7に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、加熱および冷却サブシステム動作モードは、付属書類Aの表8に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、磁気分離サブシステム動作は、付属書類Aの表9に説明される。増幅動作に関して、方法300’と関連付けられたPCRプログラム詳細は、付属書類Aの表10に説明される。
【0149】
3.2 方法-単一細胞サイトメトリのための例示的なワークフロー
図17に示されるように、単一細胞サイトメトリのために構成される方法の変異形300’’は、ラン準備動作を実施することであって、ラン準備動作が、単一細胞サイトメトリ・プロトコルを実施するためのシステムを構成する、実施することS305’’、ラン準備動作の完了時にシステムの試料処理カートリッジをプライミングすることS310’’、試料処理カートリッジにおいて、単一細胞方式で、試料の細胞のセットを官能化粒子のセットと共に共同捕捉することS315’、細胞のセットを溶解し、その後に、溶解細胞からの解放された抗体タグ付オリゴヌクレオチドを官能化粒子(例えば、バーコーディングされた微粒子)に結合すること(例えば、非結合材料を洗浄し、次いで逆転写動作を実施することにより)S320’’、官能化粒子のセットを、関連付けられた結合した標的内容物と共に、試料処理カートリッジから回収することS325’’、官能化粒子のセットと関連付けられた細胞由来内容物の体積部を用いてエキソヌクレアーゼ処置動作を実施することS330’’、細胞由来内容物の体積部を用いて鎖変性および第2の鎖合成動作を実施することS335’’、細胞由来内容物の体積部を用いてcDNA増幅動作を実施することS340’’、cDNA増幅動作のPCR産物を用いて粒子精製動作を実施することS345’’、粒子精製動作の生産物を用いて抗体由来タグ精製および増幅動作のセットを実施することS350’’、抗体由来タグ精製および増幅動作のセットの生産物を用いてmRNA精製および増幅動作のセットを実施することS355’’、ならびにmRNA精製および増幅動作のセットの完了時にラン完了動作を実施することS360’’を含み得る。
【0150】
より詳細には、ラン準備動作を実施することS305’’は、細胞懸濁液を調製すること、システム・サブシステム(例えば、デッキと関連付けられた、ガントリと関連付けられた、基部と関連付けられた、など)の動作チェックを開始および実施すること、ガントリをホーム位置に戻すこと、1つまたは複数の封止体を試薬カートリッジから除去することおよび/または試薬を試薬カートリッジに充填すること、試料処理カートリッジ・ユニットを配置すること、1つまたは複数の封止体をデッキに配置された器具コンテナから除去すること、細胞懸濁液を使用前に格納コンテナ内へ分注すること、使い捨て器具のタグをカメラ(例えば、マシン・ビジョン・カメラ)でスキャンする際にプロトコルのための使い捨て器具の正しい配置および状態を検証すること(例えば、有効期限に関して)、試料識別情報を受信すること(例えば、オペレータから)、ならびに試料のランを開始することのうちの1つまたは複数と関連付けられたサブステップを含み得る。S305’’のステップは、システムによって自動的に、および/またはオペレータによって実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0151】
より詳細には、ラン準備動作の完了時にシステムの試料処理カートリッジをプライミングすることS310’’、および試料処理カートリッジにおいて、試料の細胞のセットを、単一細胞形式で、官能化粒子のセットと共に共同捕捉することS315’’は、プライミング溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、試料処理カートリッジ内でプライミング溶液をインキュベートすること、1つまたは複数の洗浄溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、溶液を試料処理カートリッジの廃棄物含有領域へ移送すること、細胞懸濁液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注し、細胞を、単一細胞形式で、試料処理カートリッジのウェル内で捕捉すること、官能化粒子のセットを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注し、官能化粒子のセットを細胞のセットと共に共同捕捉すること、試料処理カートリッジのウェルの内容物をインキュベートすること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS310’’およびS315’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0152】
より詳細には、細胞のセットの溶解を伴って、試料処理カートリッジにおいて逆転写動作を実施することS320’’は、1つまたは複数の洗浄溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、溶液を試料処理カートリッジの廃棄物含有領域へ移送すること、粒子結合バッファを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、DTT溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、溶解溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、油により試料処理カートリッジのウェルの上の流体を変位させ、以て、ウェルの内容物を隔離し、ウェルにわたる望ましくない材料輸送を防ぐこと(例えば、本参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年9月9日に出願された米国出願第16/564,375号あるように)、入口リザーバからの空気により油を変位させること、粒子結合洗浄バッファを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、pre-RT反応洗浄バッファを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、cDNA合成溶液(例えば、SuperScript IV(登録商標))を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、RTカクテルを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、試料処理カートリッジの内容物をインキュベートすること、インキュベーション・ステップを実施すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS320’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0153】
より詳細には、官能化粒子のセットを、関連付けられた結合した標的内容物と共に、試料処理カートリッジから回収することS325’’は、手動または自動動作を使用して磁気分離動作(例えば、上に説明されるような)を実施することを含み得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0154】
より詳細には、官能化粒子のセットと関連付けられた細胞由来内容物の体積部を用いて、エキソヌクレアーゼ処置動作を実施することS330’’は、水およびエキソヌクレアーゼ・バッファを混合して、所望の濃度を有するエキソヌクレアーゼ溶液を生成すること、エキソヌクレアーゼ溶液を、官能化粒子と共に、第1のPCRコンテナ内へ分注すること、油(例えば、鉱油)を第1のPCRコンテナ内へ分注すること、第1のPCRコンテナの内容物を熱サイクリングおよびインキュベートすること、第1のPCRコンテナの生成物を抽出すること、第1のPCRコンテナの生成物を用いて分離動作を実施すること、分離動作からの廃棄物を廃棄すること、インキュベーション・ステップを実施すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS330’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0155】
より詳細には、鎖変性および第2の鎖合成動作を実施することS335’’は、水酸化物溶液(例えば、水酸化ナトリウム溶液)を第2の磁気分離コンテナへ輸送すること、第2の磁気分離コンテナの内容物を混合すること、第2の磁気分離コンテナに近接して磁気分離サブシステム(例えば、上に説明されるような、アクチュエータに結合された磁石のセット)を作動させ、以て、磁石の方へ官能化磁気粒子を分離させること、第2の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、洗浄溶液を第2の磁気分離コンテナへ分注すること、第2の磁気分離コンテナに近接した処理コンテナ内で第2の鎖合成プライマ酵素を混合すること、第2の鎖合成プライマ酵素を第2の磁気分離コンテナの内容物と混合すること、第2の磁気分離コンテナの生成物を第2のPCRコンテナ内へ分注すること、混合を伴って、第2のPCRコンテナの内容物を熱サイクリングすること、第2のPCRコンテナの生成物を第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、第3の磁気分離コンテナの生成物を廃棄物から磁気的に分離し、廃棄物を廃棄すること、洗浄溶液を第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS335’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0156】
より詳細には、cDNA合成動作を実施することS340’’は、冷却格納容積部内でポリメラーゼ混合物(例えば、Kapa Biosystems HiFi Hotstart Ready Mix(登録商標))を混合すること、冷却格納容積部からのPCRマスター混合物を第3の磁気分離コンテナの内容物と混合すること、第3の磁気分離コンテナの内容物を第3、第4、第5、および第6のPCR動作コンテナ内へアリコートすること、油(例えば、鉱油)を第3、第4、第5、および第6のPCR動作コンテナ内へアリコートすること、第1のPCR動作を実行すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS340’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0157】
より詳細には、cDNA増幅動作のPCR産物を用いて粒子精製動作を実施することS345’’は、第3、第4、第5、および第6のPCR動作コンテナからの生成物を第4の磁気分離コンテナ内へ分注すること、第4の磁気分離コンテナの標的内容物を分離し、標的内容物を第5磁気分離コンテナ内へ移送すること、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads XP(登録商標))を混合し、第5の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、第5の磁気分離コンテナの生成物を第6の分離コンテナ内へ輸送すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS345’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0158】
より詳細には、粒子精製動作の生産物を用いて抗体由来タグ精製および増幅動作のセットを実施することS350’’は、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads Xp(登録商標))を混合し、第6の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、第6の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、処理コンテナ内でエタノールをヌクレアーゼ・フリー水で希釈および混合すること、エタノールを第6の磁気分離コンテナへ輸送すること、磁気分離を実施する際に第6の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、第6の磁気分離コンテナの標的内容物を第7の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads XP(登録商標))を第7の磁気分離コンテナ内へ混合すること、エタノールを第7の磁気分離コンテナへ輸送すること、磁気分離を実施する際に第7の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、水を第7の磁気分離コンテナ内へ分注すること、精製したcDNAを第7の磁気分離コンテナから第7のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS350’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0159】
より詳細には、抗体由来タグ精製および増幅動作のセットの生産物を用いてmRNA精製および増幅動作のセットを実施することS355’’は、PCRインデックス・プライマを第7のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、ポリメラーゼ混合物を第7のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、第7のPCR動作コンテナの内容物を混合すること、油(例えば、鉱油)を第7のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、第2のPCR動作を開始すること、第7のPCR動作コンテナからのPCR産物を第8の磁気分離コンテナへ輸送すること、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads XP)を第8の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、エタノールを第8の磁気分離コンテナへ輸送すること、磁気分離を実施する際に、第8の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、水を第8の磁気分離コンテナ内へ分注すること、精製したcDNAを第8の磁気分離コンテナから格納コンテナ内へ輸送すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS355’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0160】
より詳細には、mRNA精製および増幅動作のセットの完了時にラン完了動作を実施することS360’’は、ガントリをホーム構成に戻すこと、試料処理が完了しているという通知を提供すること、ボード外格納のために試薬カートリッジおよび/または試料処理カートリッジをシステムから解放すること、システム廃棄物を廃棄すること、システム清浄動作を実施すること、ならびにシステムを停止(例えば、アイドル、オフ)状態へ遷移させることのうちの1つまたは複数を含み得る。S360’’のステップは、システムによって自動的に、および/またはオペレータによって実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0161】
方法300’’のステップの例示的な詳細は、付属書類Bの表1にさらに説明される。方法300’’のステップに関して、周囲温度および冷蔵試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Bの表2に説明される。付属書類Bの表2に関して、試薬の体積は、使用される試料処理チップのサイズおよび/または実行される反応の数に従ってスケーリングされ得る。磁気分離動作に関して、使用される装置および関連試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Bの表3に説明される。増幅(例えば、PCR)動作に関して、使用される装置および関連試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Bの表4に説明される。流体吸引および送達動作に関して、装置の説明、ならびに上に説明される器具コンテナの実施形態と関連付けられた位置は、付属書類Bの表5に説明される。プロトコル態様の自動化のための構成要素の作動に関して、ガントリ・アームおよびピペッタ動作(例えば、使い捨て器具と結合する装置、使い捨て器具から離脱する装置、流体混合、廃棄物廃棄、吸引、送達、アリコートなどに関して)は、付属書類Bの表6に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、試料処理カートリッジ動作は、付属書類Bの表7に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、加熱および冷却サブシステム動作モードは、付属書類Bの表8に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、磁気分離サブシステム動作は、付属書類Bの表9に説明される。増幅動作に関して、方法300’’と関連付けられたPCRプログラム詳細は、付属書類Bの表10に説明される。
【0162】
3.3 方法-CITE-Seqプロトコル(単一細胞マルチオミクス)のための例示的なワークフロー
図18に示されるように、単一細胞マルチオミクスのために構成される方法の変異形300’’’は、ラン準備動作を実施することであって、ラン準備動作が、単一細胞マルチオミクス・プロトコルを実施するためのシステムを構成する、実施することS305’’’、ラン準備動作の完了時にシステムの試料処理カートリッジをプライミングすることS310’’’、試料処理カートリッジにおいて、単一細胞方式で、試料の細胞のセットを官能化粒子のセットと共に共同捕捉することS315’’’、非結合材料の洗浄、その後に、逆転写反応を実施することにより、細胞のセットの溶解を伴って、試料処理カートリッジにおいて、溶解した細胞からのmRNAおよび抗体タグ付オリゴを官能化粒子のセットに結合することS320’’’、官能化粒子のセットを、関連付けられた結合した標的内容物と共に、試料処理カートリッジから回収することS325’’’、官能化粒子のセットと関連付けられた細胞由来内容物の体積部を用いてエキソヌクレアーゼ処置動作を実施することS330’’’、細胞由来内容物の体積部を用いて鎖変性および第2の鎖合成動作を実施することS335’’’、細胞由来内容物の体積部を用いてcDNA増幅動作を実施することS340’’’、cDNA増幅動作のPCR産物を用いて粒子精製動作を実施することS345’’’、粒子精製動作の生産物を用いて抗体由来タグ精製および増幅動作のセットを実施することS350’’’、抗体由来タグ精製および増幅動作のセットの生産物を用いて精製および増幅動作のセットを実施することS355’’’、mRNA粒子精製および増幅動作のセットを実施することS360’’’、ならびにmRNA精製および増幅動作のセットの完了時にラン完了動作を実施することS365’’’を含み得る。
【0163】
より詳細には、ラン準備動作を実施することS305’’’は、細胞懸濁液を調製すること、システム・サブシステム(例えば、デッキと関連付けられた、ガントリと関連付けられた、基部と関連付けられた、など)の動作チェックを開始および実施すること、ガントリをホーム位置に戻すこと、1つまたは複数の封止体を試薬カートリッジから除去することおよび/または試薬を試薬カートリッジに充填すること、試料処理カートリッジ・ユニットを配置すること、1つまたは複数の封止体をデッキに配置された器具コンテナから除去すること、細胞懸濁液を使用前に格納コンテナ内へ分注すること、使い捨て器具のタグをカメラ(例えば、マシン・ビジョン・カメラ)でスキャンする際にプロトコルのための使い捨て器具の正しい配置および状態を検証すること(例えば、有効期限に関して)、試料識別情報を受信すること(例えば、オペレータから)、ならびに試料のランを開始することのうちの1つまたは複数と関連付けられたサブステップを含み得る。S305’’’のステップは、システムによって自動的に、および/またはオペレータによって実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0164】
より詳細には、ラン準備動作の完了時にシステムの試料処理カートリッジをプライミングすることS310’、および試料処理カートリッジにおいて、試料の細胞のセットを、単一細胞形式で、官能化粒子のセットと共に共同捕捉することS315’’’は、プライミング溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、試料処理カートリッジ内でプライミング溶液をインキュベートすること、1つまたは複数の洗浄溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、溶液を試料処理カートリッジの廃棄物含有領域へ移送すること、細胞懸濁液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注し、細胞を、単一細胞形式で、試料処理カートリッジのウェル内で捕捉すること、官能化粒子のセットを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注し、官能化粒子のセットを細胞のセットと共に共同捕捉すること、試料処理カートリッジのウェルの内容物をインキュベートすること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS310’’’およびS315’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0165】
より詳細には、細胞のセットの溶解を伴って、試料処理カートリッジにおいて逆転写動作を実施することS320’’’は、1つまたは複数の洗浄溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、溶液を試料処理カートリッジの廃棄物含有領域へ移送すること、粒子結合バッファを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、DTT溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、溶解溶液を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、油により試料処理カートリッジのウェルの上の流体を変位させ、以て、ウェルの内容物を隔離し、ウェルにわたる望ましくない材料輸送を防ぐこと(例えば、本参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年9月9日に出願された米国出願第16/564,375号あるように)、入口リザーバからの空気により油を変位させること、粒子結合洗浄バッファを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、pre-RT反応洗浄バッファを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、cDNA合成溶液(例えば、SuperScript IV(登録商標))を試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、RTカクテルを試料処理カートリッジの入口リザーバ内へ分注すること、試料処理カートリッジの内容物をインキュベートすること、インキュベーション・ステップを実施すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS320’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0166】
より詳細には、官能化粒子のセットを、関連付けられた結合した標的内容物と共に、試料処理カートリッジから回収することS325’’’は、手動または自動動作を使用して磁気分離動作(例えば、上に説明されるような)を実施することを含み得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0167】
より詳細には、官能化粒子のセットと関連付けられた細胞由来内容物の体積部を用いて、エキソヌクレアーゼ処置動作を実施することS330’’’は、水およびエキソヌクレアーゼ・バッファを混合して、所望の濃度を有するエキソヌクレアーゼ溶液を生成すること、エキソヌクレアーゼ溶液を、官能化粒子と共に、第1のPCRコンテナ内へ分注すること、油(例えば、鉱油)を第1のPCRコンテナ内へ分注すること、第1のPCRコンテナの内容物を熱サイクリングおよびインキュベートすること、第1のPCRコンテナの生成物を抽出すること、第1のPCRコンテナの生成物を用いて分離動作を実施すること、分離動作からの廃棄物を廃棄すること、インキュベーション・ステップを実施すること、サブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS330’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0168】
より詳細には、鎖変性および第2の鎖合成動作を実施することS335’’’は、水酸化物溶液(例えば、水酸化ナトリウム溶液)を第2の磁気分離コンテナへ輸送すること、第2の磁気分離コンテナの内容物を混合すること、第2の磁気分離コンテナに近接して磁気分離サブシステム(例えば、上に説明されるような、アクチュエータに結合された磁石のセット)を作動させ、以て、磁石の方へ官能化磁気粒子を分離させること、第2の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、洗浄溶液を第2の磁気分離コンテナへ分注すること、第2の磁気分離コンテナに近接した処理コンテナ内で第2の鎖合成プライマ酵素を混合すること、第2の鎖合成プライマ酵素を第2の磁気分離コンテナの内容物を混合すること、第2の磁気分離コンテナの生成物を第2のPCRコンテナ内へ分注すること、混合を伴って、第2のPCRコンテナの内容物を熱サイクリングすること、第2のPCRコンテナの生成物を第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、第3の磁気分離コンテナの生成物を廃棄物から磁気的に分離し、廃棄物を廃棄すること、洗浄溶液を第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS335’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0169】
より詳細には、cDNA合成動作を実施することS340’’は、冷却格納容積部内でポリメラーゼ混合物(例えば、Kapa Biosystems HiFi Hotstart Ready Mix(登録商標))を混合すること、冷却格納容積部からのPCRマスター混合物を第3の磁気分離コンテナの内容物と混合すること、第3の磁気分離コンテナの内容物を第3、第4、第5、および第6のPCR動作コンテナ内へアリコートすること、油(例えば、鉱油)を第3、第4、第5、および第6のPCR動作コンテナ内へアリコートすること、第1のPCR動作を実行すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS340’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0170】
より詳細には、cDNA増幅動作のPCR産物を用いて粒子精製動作を実施することS345’’’は、第3、第4、第5、および第6のPCR動作コンテナからの生成物を第4の磁気分離コンテナ内へ分注すること、第4の磁気分離コンテナの標的内容物を分離し、標的内容物を第5磁気分離コンテナ内へ移送すること、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads XP(登録商標))を混合し、第5の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、第5の磁気分離コンテナの生成物を第6の分離コンテナ内へ輸送すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS345’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0171】
より詳細には、粒子精製動作の生産物を用いて抗体由来タグ精製および増幅動作のセットを実施することS350’’は、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads Xp(登録商標))を混合し、第6の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、第6の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、処理コンテナ内でエタノールをヌクレアーゼ・フリー水で希釈および混合すること、エタノールを第6の磁気分離コンテナへ輸送すること、磁気分離を実施する際に第6の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、第6の磁気分離コンテナの標的内容物を第7の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads XP(登録商標))を第7の磁気分離コンテナ内へ混合すること、エタノールを第7の磁気分離コンテナへ輸送すること、磁気分離を実施する際に第7の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、水を第7の磁気分離コンテナ内へ分注すること、第7の磁気分離コンテナからの精製したcDNAを第7のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS350’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0172】
より詳細には、抗体由来タグ精製および増幅動作のセットの生産物を用いて精製および増幅動作のセットを実施することS355’’は、PCRインデックス・プライマを第7のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、ポリメラーゼ混合物を第7のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、第7のPCR動作コンテナの内容物を混合すること、油(例えば、鉱油)を第7のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、第2のPCR動作を開始すること、第7のPCR動作コンテナからのPCR産物を第8の磁気分離コンテナへ輸送すること、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads XP)を第8の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、エタノールを第8の磁気分離コンテナへ輸送すること、磁気分離を実施する際に、第8の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、水を第8の磁気分離コンテナ内へ分注すること、精製したcDNAを第8の磁気分離コンテナから格納コンテナ内へ輸送すること、およびサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS355’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0173】
より詳細には、mRNA粒子精製および増幅動作のセットを実施することS360’’’は、混合およびインキュベーションを伴って、ヌクレアーゼ・フリー水を第5の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、第5の磁気分離コンテナの生成物を第9の磁気分離コンテナへ輸送すること、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads XP(登録商標))を混合し、第9の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、エタノールを第9の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、インキュベーション後、第9の磁気分離コンテナから廃棄物を除去すること、ヌクレアーゼ・フリー水を第9の磁気分離コンテナの標的内容物と混合すること、第9の磁気分離コンテナの内容物を混合およびインキュベートすること、精製したcDNA産物を第9の磁気分離コンテナから第8のPCR動作コンテナへ輸送すること、mRNA増幅のためのPCRマスター混合物を第8のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、第8のPCR動作コンテナの内容物を混合すること、ポリメラーゼ混合物(例えば、Kapa Biosystems HiFi Hotstart Ready Mix)を第8のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、第8のPCR動作コンテナの内容物を混合すること、油(例えば、鉱油)を第8のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、第8のPCR動作コンテナ内で第3のPCR動作を実施すること、第3のPCR動作の生成物を第8のPCR動作コンテナから第10の磁気分離コンテナへ輸送すること、PCR精製粒子を第10の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、第10の磁気分離コンテナの内容物を混合すること、エタノールを第10の磁気分離コンテナへ輸送すること、第10の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、ヌクレアーゼ・フリー水を第10の磁気分離コンテナ内へ輸送すること、インキュベーションを伴って、第10の磁気分離コンテナの内容物を混合すること、標的mRNA-cDNA産物を第10の磁気分離コンテナから磁気的に分離すること、標的mRNA-cDNA産物を第10の磁気分離コンテナから冷却格納器へ輸送すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することうちの1つまたは複数を含み得る。ステップS360’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0174】
より詳細には、mRNA精製および増幅動作のセットの完了時にラン完了動作を実施することS365’’’は、ガントリをホーム構成に戻すこと、試料処理が完了しているという通知を提供すること、ボード外格納のために試薬カートリッジおよび/または試料処理カートリッジをシステムから解放すること、システム廃棄物を廃棄すること、システム清浄動作を実施すること、ならびにシステムを停止(例えば、アイドル、オフ)状態へ遷移させることのうちの1つまたは複数を含み得る。S365’’’のステップは、システムによって自動的に、および/またはオペレータによって実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0175】
方法300’’’のステップの例示的な詳細は、付属書類Cの表1にさらに説明される。方法300’’’のステップに関して、周囲温度および冷蔵試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Cの表2に説明される。付属書類Cの表2に関して、試薬の体積は、使用される試料処理チップのサイズおよび/または実行される反応の数に従ってスケーリングされ得る。磁気分離動作に関して、使用される装置および関連試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Cの表3に説明される。増幅(例えば、PCR)動作に関して、使用される装置および関連試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Cの表4に説明される。流体吸引および送達動作に関して、装置の説明、ならびに上に説明される器具コンテナの実施形態と関連付けられた位置は、付属書類Cの表5に説明される。プロトコル態様の自動化のための構成要素の作動に関して、ガントリ・アームおよびピペッタ動作(例えば、使い捨て器具と結合する装置、使い捨て器具から離脱する装置、流体混合、廃棄物廃棄、吸引、送達、アリコートなどに関して)は、付属書類Cの表6に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、試料処理カートリッジ動作は、付属書類Cの表7に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、加熱および冷却サブシステム動作モードは、付属書類Cの表8に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、磁気分離サブシステム動作は、付属書類Cの表9に説明される。増幅動作に関して、方法300’’と関連付けられたPCRプログラム詳細は、付属書類Cの表10に説明される。
【0176】
3.4 方法-ライブラリ調製のための例示的なワークフロー
図19に示されるように、ライブラリ調製のために構成される方法の変異形300’’’’は、ラン準備動作を実施することであって、ラン準備動作がライブラリ調製プロトコルのためのシステムを構成する、実施することS305’’’’、ラン準備動作の完了時にライブラリ調製動作を実施することS310’’’’、ライブラリ調製動作の生産物を用いてライブラリ精製動作を実施することS315’’’’、およびライブラリ精製動作の完了時にラン完了動作を実施することS360’’’’を含み得る。
【0177】
より詳細には、ラン準備動作を実施することS305’’’’は、生成物の濃度(例えば、前のプロトコルから生成された生成物のDNA濃度を定量化すること、冷凍格納状態で、ライブラリ調製のための試薬カートリッジを捨てること、試薬カートリッジの格納容積部を処理すること(例えば、ボルテックスによって、遠心分離によって、など)、シーケンシング・アダプタ(例えば、NEBNext Illumina(登録商標)アダプタ)溶液を希釈バッファで希釈すること、シーケンシング・アダプタ溶液および以前に除去した格納器を試薬カートリッジへ戻すこと、システム・サブシステム(例えば、デッキと関連付けられた、ガントリと関連付けられた、基部と関連付けられた、など)の動作チェックを実施すること、ガントリをホーム位置へ戻すこと、試薬カートリッジをシステムのデッキに配置すること、1つまたは複数の封止体を試薬カートリッジから除去することおよび/または試薬を試薬カートリッジに充填すること、試料処理カートリッジ・ユニットをシステムのデッキに配置すること、1つまたは複数の封止体を、デッキに配置された器具コンテナから除去すること、ライブラリ調製動作を実施するため)、オペレータ充填されたコンテナを(例えば、試薬カートリッジの格納容積部において)受容すること、加熱および冷却サブシステムを開始すること(例えば、初期温度設定点で)、カメラ(例えば、マシン・ビジョン・カメラ)により使い捨て器具のタグをスキャンする際、プロトコルのための使い捨て器具の正しい配置および状態(例えば、有効期限に関して)を検証すること、試料識別情報を受信すること(例えば、オペレータから)、ならびに試料のランを開始することのうちの1つまたは複数と関連付けられたサブステップを含み得る。S305’’’のステップは、システムによって自動的に、および/またはオペレータによって実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0178】
より詳細には、ラン準備動作の完了時にライブラリ調製動作を実施することS310’’’’は、希釈したcDNAをオペレータ充填された管からバッファを含有する第1の冷却格納コンテナ内へ輸送すること、第1の冷却格納管の内容物を第2の冷却格納コンテナへ輸送すること、第2の冷却格納コンテナの内容物をインキュベートすること、cDNA混合物を第2の周囲格納コンテナから第1のPCR動作コンテナ内へ輸送すること、第1のPCR動作コンテナにおいて熱サイクリング動作を実施する際に、第1のPCR動作コンテナの内容物を細分化すること、混合を伴って、細分化したDNAを第1のPCR動作コンテナから第4の冷却格納コンテナへ輸送すること、混合を伴って、第4の冷却格納コンテナの内容物を第5の冷却格納コンテナへ輸送すること、混合およびインキュベーションを伴って、希釈したアダプタを第3の冷却格納コンテナから第5の冷却格納コンテナへ輸送すること、インキュベーションを伴って、第5の冷却格納コンテナの内容物を第2のPCR動作コンテナへ輸送すること、混合を伴って、第2のPCR動作コンテナの内容物を第6の冷却格納コンテナへ輸送すること、インキュベーションを伴って、第6の冷却格納コンテナの内容物を第2のPCR動作コンテナへ輸送すること、第2の第6の冷却格納コンテナの内容物を第2の磁気分離コンテナへ輸送すること、混合を伴って、PCR精製粒子(例えば、AMPure beads XP)を第2の磁気分離コンテナへ輸送すること、第2の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、エタノールを第2の磁気分離コンテナへ輸送すること、第2の磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、インキュベーションおよび磁気分離を伴って、TEバッファを第2の磁気分離コンテナへ輸送すること、精製したcDNAを第2の磁気分離コンテナから第3のPCR動作コンテナへ輸送すること、混合を伴って、インデックスPCRマスター混合物を第3のPCR動作コンテナへ輸送すること、第4のPCR動作を実施すること、混合ステップを実施すること、インキュベーション・ステップを実施すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数と関連付けられたサブステップを含み得る。ステップS310’’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0179】
より詳細には、ライブラリ調製動作の生産物を用いてライブラリ精製動作を実施することS315’’’’は、混合を伴って、第4のPCR動作からの生成物を第3のPCR動作コンテナから第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、混合、インキュベーション、および磁気分離を伴って、PCR精製粒子(例えば、AMPure Beads XP)を第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、インキュベーションを伴って、エタノールを第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、第3の磁気分離コンテナから廃棄物を除去すること、混合、インキュベーション、および磁気分離を伴って、ヌクレアーゼ・フリー水を第3の磁気分離コンテナへ輸送すること、混合を伴って、第3の磁気分離コンテナの内容物を第4の磁気分離コンテナへ輸送すること、混合、インキュベーション、および磁気分離を伴って、PCR精製粒子(例えば、AMPure Beads XP)を第4の磁気分離コンテナへ輸送すること、第4の磁気分離コンテナから廃棄物を除去すること、インキュベーションを伴って、エタノールを第4の磁気分離コンテナへ輸送すること、第4磁気分離コンテナからの廃棄物を廃棄すること、第4の磁気分離コンテナから、第5の磁気分離コンテナ、第6の磁気分離コンテナへの標的材料の輸送を伴う、さらなる精製のためのステップを繰り返すこと、インキュベーションおよび磁気分離を伴って、ヌクレアーゼ・フリー水を第6の磁気分離コンテナへ輸送すること、ライブラリ構築のための精製したcDNAを第8の冷却格納コンテナへ輸送すること、混合ステップを実施すること、インキュベーション・ステップを実施すること、ならびにサブステップに関与した様々な器具を取り出す/解放することのうちの1つまたは複数と関連付けられたサブステップを含み得る。ステップS315’’’’は、好ましくは、システムによって自動的に実施されるが、代替的に、別の好適な様式で実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0180】
より詳細には、ライブラリ精製動作の完了時にラン完了動作を実施することS360’’’’’は、ガントリをホーム構成に戻すこと、試料処理が完了しているという通知を提供すること、ボード外格納のために試薬カートリッジおよび/または試料処理カートリッジをシステムから解放すること、システム廃棄物を廃棄すること、システム清浄動作を実施すること、ならびにシステムを停止(例えば、アイドル、オフ)状態へ遷移させることのうちの1つまたは複数を含み得る。S360’’’’のステップは、システムによって自動的に、および/またはオペレータによって実施され得る。さらには、様々なサブステップは、一度実施され得るか、または推奨される場合は繰り返され得る。
【0181】
方法300’’’’のステップの例示的な詳細は、付属書類Dの表1にさらに説明される。方法300’’’’のステップに関して、周囲温度および冷蔵試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Dの表2に説明される。付属書類Dの表2に関して、試薬の体積は、使用される試料処理チップのサイズおよび/または実行される反応の数に従ってスケーリングされ得る。磁気分離動作に関して、使用される装置および関連試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Dの表3に説明される。増幅(例えば、PCR)動作に関して、使用される装置および関連試薬の説明、ならびに上に説明される試薬カートリッジの実施形態の格納容積部と関連付けられた位置は、付属書類Dの表4に説明される。流体吸引および送達動作に関して、装置の説明、ならびに上に説明される器具コンテナの実施形態と関連付けられた位置は、付属書類Dの表5に説明される。プロトコル態様の自動化のための構成要素の作動に関して、ガントリ・アームおよびピペッタ動作(例えば、使い捨て器具と結合する装置、使い捨て器具から離脱する装置、流体混合、廃棄物廃棄、吸引、送達、アリコートなどに関して)は、付属書類Dの表6に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、試料処理カートリッジ動作は、付属書類Dの表7に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、加熱および冷却サブシステム動作モードは、付属書類Dの表8に説明される。プロトコル態様の自動化のためのモード間の遷移に関して、磁気分離サブシステム動作は、付属書類Dの表9に説明される。増幅動作に関して、方法300’’と関連付けられたPCRプログラム詳細は、付属書類Dの表10に説明される。
【0182】
しかしながら、システム実施形態は、説明されるものの変異形を含む他のワークフロー、および/または他のワークフローを実施するように構成され得る。
【0183】
4.結論
図は、好ましい実施形態、例示的な構成、およびそれらの変異形に従うシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能性、および動作を例証する。この点に関して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、指定の論理関数を実施するための1つまたは複数の実行可能な命令を含む、モジュール、セグメント、またはコードの部分を表し得る。いくつかの代替の実装形態において、ブロック内に記載された機能は、図に記載された順から外れて発生し得るということにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行され得るか、またはブロックは、時には、関与する機能性に応じて、逆の順番で実行され得る。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図内のブロックの組み合わせは、指定の関数もしくは行為、または特定用途ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実施する特定用途ハードウェア・ベースのシステムによって実施され得るということにも留意されたい。
【0184】
当業者は、先の詳細な説明から、ならびに図面および特許請求の範囲から、修正および変更が以下の特許請求の範囲に定められた本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の好ましい実施形態に対してなされ得るということを理解するものとする。