(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】引張強さが高い均質化したたばこ材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A24B 15/14 20060101AFI20240105BHJP
A24B 15/16 20200101ALI20240105BHJP
A24B 3/14 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A24B15/14
A24B15/16
A24B3/14
(21)【出願番号】P 2022087780
(22)【出願日】2022-05-30
(62)【分割の表示】P 2018512281の分割
【原出願日】2016-06-29
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2015-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】クリプフェル ヨリック
(72)【発明者】
【氏名】ジャリオー マリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】ラウシス パスカル
(72)【発明者】
【氏名】カリー オードリー
(72)【発明者】
【氏名】デフォレル コリーヌ
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-531590(JP,A)
【文献】特開平07-147965(JP,A)
【文献】特開平06-046817(JP,A)
【文献】特表2015-504118(JP,A)
【文献】米国特許第03459195(US,A)
【文献】米国特許第04306578(US,A)
【文献】米国特許第03012914(US,A)
【文献】英国特許出願公告第00961866(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/14
A24B 15/16
A24B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
均質化したたばこ材料を形成する方法であって、
たばこ粉末を含む均質化したスラリーを形成する工程と、
前記均質化したスラリーを移動ベルトの上へとキャストする工程と、
多孔性強化シートを前記キャストされた均質化したスラリーの中へと組み込む工程と、
前記均質化したたばこ材料を形成するために、前記組み込まれた多孔性強化シートを備える前記キャストされた均質化したスラリーを乾燥する工程と、
を含み、
前記多孔性強化シートがその長軸方向ではその横断方向より高い引張強さを持つような異方性特性を持ち、
前記多孔性強化シートは、前記均質化したたばこ材料の幅の少なくとも75%にわたって延び、
前記多孔性強化シートは、前記均質化したたばこ材料内の外来的な強化材の全量を占める、
方法。
【請求項2】
前記均質化したスラリーをキャストする前記工程の前に、前記多孔性強化シートが前記移動ベルトへと適用され、前記均質化したスラリーが前記多孔性強化シートの上へとキャストされ、それによって前記多孔性強化シートが前記キャストされた均質化したスラリーの中に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔性強化シートが前記キャストされた均質化したスラリーの上面へと適用され、それによって前記キャストされた均質化したスラリーの中に組み込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記均質化したスラリーが、前記多孔性強化シートの両側の上へとキャストされ、または広げられ、それによって前記多孔性強化シートが前記キャストされた均質化したスラリーの中に組み込まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記多孔性強化シートが、多孔性セルロースシートなどの多孔性繊維シートである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記均質化したスラリーが結合剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記均質化したスラリーが、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリン、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、ドデカン二酸ジメチル、およびテトラデカン二酸ジメチルから成るリストから選択されるエアロゾル形成剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔性強化シートが、前記キャストされた均質化したスラリーと実質的に同一の幅である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
多孔性強化シートが平方メートルあたり10g~20gの坪量を持つ、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記多孔性強化シートが平方メートルあたり約14gの坪量を持つ、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記多孔性強化シートが30~30,000コレスタ単位の通気度の空隙率を持つ、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記たばこ粉末が0.03ミリメートル~0.12ミリメートルの平均粒子サイズを持つ、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
結合剤の全量が、乾燥重量基準で前記均質化したたばこ材料の総重量の1~5重量パーセントを形成する、請求項6~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記均質化したスラリーが、キャストされる前に、外来的なセルロース繊維などのいかなる外来的な強化材も含まない、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張強さが高い均質化したたばこ材料を製造するためのプロセスに関する。特に本発明は、例えば紙巻たばこ、または「加熱するが燃焼しない」タイプのたばこを含有する製品などのエアロゾル発生物品で使用するための均質化したたばこ材料を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
均質化したたばこ材料は、たばこ製品の製造でしばしば使用される。この均質化したたばこ材料は、例えば、たばこ茎またはたばこダストなどの、一般にカットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分から製造される。一般に、たばこダストは製造中にたばこ葉の取り扱いの間に副産物として作り出される。
【0003】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、スラリーを形成するためにたばこダストと結合剤とを混合する工程を含む。次に、スラリーがたばこウェブを作り出すために使用される。例えば、たばこウェブは、いわゆるキャストリーフを製造するために粘性のあるスラリーを移動する金属ベルトの上へとキャストすることによって形成されてもよい。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘性が低くかつ含水量が高いスラリーを製紙と似たプロセスで使用することができる。調製されると、紙巻たばこおよび他の喫煙物品のために適切なたばこカットフィラーを製造するための葉たばこと類似した様式で、均質化したたばこウェブを切断してもよい。従来の紙巻たばこで使用するための均質化したたばこの機能は、実質的に充填力、引き出し抵抗、たばこロッドの硬さ、および燃焼特性などのたばこの物理的特性に限定される。この均質化したたばこは、一般に味わいに対する影響を有するようには設計されていない。このような均質化したたばこを作成する例示的なプロセスが欧州特許第EP0565360号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再構成たばこのウェブを取り扱う時は、ウェブを移動する、引っ張る、巻き取る、およびウェブの巻き取りをほぐす間に過剰な応力がかかるのを避けるよう注意が必要である。適切な処理速度でウェブを取り扱うためにウェブの強度を十分に改善する目的で、再構成たばこのウェブ強度を増加させるために結合剤および繊維を含めることが一般的である。それでも、ウェブが裂けるリスクなしにウェブを処理装置を通して供給することができる速度は比較的低い。再構成たばこのウェブが処理されうる速度を増加でき、かつ処理中のこうしたウェブの破損の発生を低減できることが望ましいことになる。
【0005】
加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体としての使用が意図されている再構成たばこ材料は、従来的な紙巻たばこでフィラーとしての使用が意図されている再構成たばことは異なる組成を持つ傾向にある。加熱式エアロゾル発生物品では、吸入可能なエアロゾルを形成するために、エアロゾル形成基体が比較的低い温度(例えば約350℃)に加熱される。エアロゾルが形成されうるためには、再構成たばこ材料は、高い割合のエアロゾル形成剤および保湿剤(グリセリンまたはプロピレングリコールなど)を含むことが好ましい。高い割合のエアロゾル形成剤および保湿剤が必要であることは、結果的に均質化したたばこの機械的強度の著しい低下をもたらす。それ故に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体としての使用が意図される均質化したたばこのシートまたはウェブは、たばこ材料のリールを巻き取る時や巻き取りをほどく時など、引張力がかかった時に破損または裂けが起こる傾向がはるかにより高くなる。それ故に、こうした材料の加工ラインの速度は極端に遅く、製造中に破損のため定期的な停止がある。これが、製造に悪影響を与え、スクラップ率を増加させる。それ故に、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体としての使用が意図された再構成たばこウェブの引張強度を高めることが特に望ましい場合がある。木材パルプ由来のセルロース繊維などの強化材料のより高い割合の含有は、均質化したたばこ材料の強度を高めることができる。しかし、高いレベルの外来的な強化材の添加は、均質化したたばこの全体的な組成を変化させ、また加熱式エアロゾル発生物品では風味生成成分およびエアロゾル形成剤の割合が低くなることによって、望ましい味覚のプロファイルを得ることを困難にする場合がある。さらに、加熱式エアロゾル発生物品用のエアロゾル形成基体は好都合なことに、均質化したたばこ材料のシートをロッドの中へと集めることによって形成される場合がある。シートの引張強さを改善するための強化繊維の添加は、集合されるシートの能力に影響を与え、従ってその空隙率および引き出し抵抗(RTD)などのエアロゾル形成基体の特性に影響を与える場合がある。
【0006】
従って、強度が改善された均質化したたばこウェブを調製するための新しい方法のニーズがある。こうした方法は、「加熱するが燃焼しない」タイプのような加熱式エアロゾル発生物品の異なる加熱特性およびエアロゾル形成のニーズに適合された、「加熱するが燃焼しない」タイプの加熱式エアロゾル発生物品での使用のための均質化したたばこウェブを調製するために特に望ましい場合がある。このような均質化したたばこウェブは、必要な製造プロセス(ウェブをロッドの中へと集める工程など)に耐えるように、さらに適合されるべきである。均質化したたばこ材料の組成は実質的に変化しないことが好ましい。言い換えれば、たばこ、エアロゾル形成剤、結合剤、およびセルロース強化材の比を実質的に変えることなく材料の引張強さを改善することが可能な場合、所与の均質化したたばこ材料の組成は望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様によると、本発明は均質化したたばこ材料の製造のための方法に関する。本方法は、たばこ粉末を含む均質化したスラリーを形成する工程と、均質化したスラリーを移動支持体またはベルトの上へとキャストする工程と、多孔性強化シートをキャストされた均質化したスラリーの中へと組み込む工程と、均質化したたばこ材料を形成するために、組み込まれた多孔性強化シートを有するキャストされた均質化したスラリーを乾燥する工程と、を含む。多孔性強化シートは、その長軸方向ではその横断方向より高い引張強さを持つような異方性特性を持つ。多孔性強化シートは、均質化したたばこ材料の引張強さがその長軸方向ではその横断方向より大きいように、均質化したたばこ材料の中に組み込まれる。
【0008】
多孔性強化シートは、スラリーが乾燥する前に均質化したスラリーが多孔性強化シートの中へと透過し、それによって強化シートを均質化したたばこ製品の中へと組み込むために、十分に多孔性である必要がある。多孔性強化シートは、乾燥した均質化したスラリーの中に封入されて、均質化したたばこ材料を形成することが好ましい。多孔性強化シートは代わりに、多孔性強化マトリクスと呼ばれてもよい。多孔性強化シートは、多孔性セルロースシートもしくは紙シート、または多孔性織布などの多孔性繊維シートまたは多孔性繊維マトリクスであってもよい。
【0009】
多孔性強化シートは、多孔性強化シートがキャストされた均質化したスラリーの中へと組み込まれるように、キャストされた均質化したスラリーの表面に適用されてもよい。別の方法として、スラリーをキャストする工程の前に、多孔性強化シートを移動支持体へと適用してもよく、また多孔性強化シートがキャストされた均質化したスラリーの中へと組み込まれるように、スラリーを多孔性強化シートの上へとキャストしてもよい。これは、キャストされた均質化したスラリーと移動支持体との間の接着を低減でき、結果として均質化したたばこ材料を乾燥後に支持体から取り外すために必要な機械的力が低下するというさらなる利点を提供し得る。均質化したスラリーは、多孔性強化シートの両側の上へとキャストまたは拡散されてもよい。
【0010】
均質化したたばこ材料を製造するための典型的なプロセスでは、強化物としてセルロース繊維がスラリーへと添加される。例えば、均質化したたばこ材料の2~3重量パーセントをスラリーに添加されるセルロース繊維とすることが典型的である。本方法では、いかなる外来的なセルロース繊維または他の強化繊維もスラリーに添加されないこと、およびスラリーをキャストした後に、スラリーの中へと組み込まれる多孔性強化シートによって強化材が提供されることが好ましい。セルロース材料であってもよい強化材料を、バラバラの繊維としてではなく予め形成されたシートまたはマトリクスとして均質化したたばこ材料の中へと組み込むことによって、均質化したたばこ材料の全体的な組成を実質的に変えることなく、均質化したたばこシートの長軸方向引張強さを3倍または4倍にすることができる。この方法は、スラリー混合物に対して、より高い比率の結合剤またはより高い比率の強化繊維などのいかなるさらなる添加物も用いずに、たばこ材料の強度および破壊までのひずみを高めるための有用な手段を提供する。こうして、均質化したたばこ材料の長軸方向強度は、材料の全体的な組成を実質的に変えることなく高められる。加熱式エアロゾル発生物品のために均質化したたばこ材料が使用され、かつ特定の味わいを提供するために組成が慎重に処方されている場合、これは特に重要である可能性がある。
【0011】
さらに、異方性特性を持つ多孔性強化シートの使用は、数多くの利点を提供する。本明細書で説明した通りに形成された均質化したたばこ材料は、長軸方向および横断方向を持つ連続的なシートとして形成される。均質化したたばこ材料の中に組み込まれる多孔性強化材料も、長軸方向および横断方向を持つ連続的なシートとして供給される。形成中およびそれに続く処理中に均質化したたばこ材料に加えられる主なひずみは長軸方向であるため、均質化したたばこ材料の引張強さをその長軸方向で高めることが望ましい。例えば、多孔性強化シートが多孔性繊維シートである場合、そのシートを形成する繊維は主として単方向性であり、主としてシートの長軸方向に沿って方向付けられるべきである。長軸方向構造を固着し、繊維をシートへと形成するためには、より少ない横断方向繊維が必要である。適切な材料は例えば、綿繊維から形成されたガーゼなどの双方向性織物であってもよい。
【0012】
異方性強化シートの使用は、均質化したたばこ材料をその横断方向において強化する過度な強化材料を使用することなく、均質化したたばこ材料がその長軸方向において十分な程度強化されるようにすることができる。これは例えば、完全に形成された均質化したたばこウェブの3重量%を形成する強化シートは、スラリーに添加された外来的な強化繊維の(例えば)5重量%と同一の長軸方向強化を提供し得ることを意味する。
【0013】
均質化したたばこ材料をロッドの中へと集めることによって、製品へと形成させる場合、横断方向の引張強さを過度に高めることなく、長軸方向引張強さおよび長軸方向の破壊までのひずみを高めることは特に有利である場合がある。これによって、シートまたはウェブを効率的に、かつ速く取り扱うことを可能にしつつ、所望の空隙率およびRTDでロッドの中へと横断方向で集められるのに十分な状態が保たれる。
【0014】
多孔性強化材は、本方法によって形成された均質化したたばこ材料の幅の少なくとも75%にわたって延びることが好ましく、少なくとも90%にわたって延びることが好ましく、均質化したたばこ材料の幅の100%にわたって延びることが好ましい。多孔性強化シートは、キャストされた均質化したスラリーと実質的に同一の幅であることが好ましい。すなわち、多孔性強化シートはキャストされた均質化したスラリーの幅の少なくとも90%であることが好ましく、少なくとも95%であることが好ましい。多孔性強化シートは、単一のシートとして組み込まれることが好ましい。しかし、別の方法として、キャストされた均質化したスラリーの全ての幅が実質的に、その中に組み込まれる多孔性強化シートを持つ限り、複数のシートまたは複数のウェブが均質化したたばこ材料の中へと組み込まれてもよい。多孔性強化シートはキャストされた均質化したスラリーより広くてもよく、また強化シートの縁部はキャストされた後、スラリーの縁部と一致するように切り取られてもよい。プロセスによって形成された均質化したたばこ材料は、多孔性強化シートを保持する。すなわち、多孔性強化シートは均質化したたばこ材料から取り除かれない。均質化したたばこ材料から形成されたエアロゾル形成基体は多孔性強化シートを含む。
【0015】
セルロースから形成された多孔性強化シートは好ましい強化材料である。しかし、他の材料が使用されてもよい。例えば、多孔性強化シートは、多孔性繊維シートまたは多孔性繊維マトリクスとして説明することができるシートであってもよい。シートの繊維は、ポリエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイド、またはポリオレフィンなどの他の高分子材料から形成されてもよい。繊維は綿などの天然材料であってもよい。
【0016】
多孔性強化シートの重量および空隙率は、シートがキャストされた均質化したスラリーの頂部に載ることがなく、キャストされた均質化したスラリーの底部に沈み込むこともないように選択されることが好ましい。平方メートルあたり10g~20gの範囲内の坪量が特に適切であると判断されている。シートの坪量は平方メートルあたり約14gであることが好ましい。多孔性強化シートの空隙率または通気度は、ISO2965に従って測定された際、30~30,000コレスタ単位の通気度の範囲内であることが好ましい。
【0017】
多孔性強化シートは活性構成成分を含んでもよい。例えば、多孔性強化シートは風味付けされたマトリクスまたはたばこマトリクスであってもよい。多孔性強化シートは、均質化したたばこ材料から放出されるエアロゾルに貢献することができるニコチンなどの揮発性要素を含んでもよい。多孔性強化シートは、たばこ、メントール、レモン、バニラ、オレンジ、ウインターグリーン、チェリー、およびシナモンから成るリストから選択される風味剤を含んでもよい。
【0018】
均質化したスラリーの中への強化シートの組み込みは、結果的に得られる均質化したたばこ材料の引張強さを、組成の中に結合剤が必要ないほど十分に高める場合がある。しかし、スラリーは、均質化したたばこシートの強度をさらに高めるために、結合剤を追加的に含んでもよい。
【0019】
スラリーはエアロゾル形成剤をさらに含んでもよい。例えば、スラリーは、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリン、グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、グリセロールトリアセテート、ドデカン二酸ジメチル、およびテトラデカン二酸ジメチルから成るリストから選択されるエアロゾル形成剤を含んでもよい。スラリーは水をさらに含む。
【0020】
均質化したスラリーは、スラリーの様々な構成要素を混合することによって製造される。スラリーの混合は、高エネルギーミキサーまたは高剪断ミキサーを用いて実施されることが好ましい。こうした混合は、スラリーの様々な相を壊して均一に分布させる。
【0021】
一部の実施形態において、スラリーは、異なるたばこタイプのたばこブレンド粉末を結合剤と組み合わせることによって形成されてもよい。それ故に、均質化したたばこ材料の風味は、異なるたばこをブレンドすることによって制御されてもよい。
【0022】
一部の実施形態において、たばこはたばこ粉末を形成するために粉砕される。例えば、たばこは特定の粒子サイズを持つ粉末を形成するために粉砕されてもよい。それ故に、粉砕する工程は、約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルの平均粉末粒径サイズを持つたばこ粉末またはたばこ粉末ブレンドを製造してもよい。
【0023】
結合剤が使用される場合、結合剤はスラリーの総重量の乾燥重量基準で約1パーセント~約5パーセントの量でスラリーの中へと添加されることが好ましい。結果的に得られる均質化したたばこ材料は、均質化したたばこ材料の総重量の乾燥重量基準で約1パーセント~約5パーセントの量で外来的な結合剤を含む。
【0024】
「均質化したたばこ材料」という用語は本明細書を通して、たばこ材料の粒子の凝集によって形成される任意のたばこ材料を含むように使用される。均質化したたばこのシートまたはウェブは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎の一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成される。
【0025】
さらに、均質化したたばこ材料は、たばこの処理、取り扱い、および輸送の間に形成された少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0026】
均質化したたばこ材料内に存在するたばこは実質的に、加熱式エアロゾル発生物品内に存在する唯一のたばこ(またはその大部分)を構成するので、エアロゾルの特徴(その風味など)への影響は主に、均質化したたばこ材料に由来する。たばこの使用を最適化するために、均質化したたばこ材料の中に存在するたばこからの物質の放出は単純化されることが好ましい。好ましい実施形態において、たばこ粉末は、たばこ細胞構造と同一サイズまたはそれより小さいサイズの平均粒子サイズを持つ。約0.05ミリメートルまで細かく粉砕すると、有利なことに、たばこ細胞構造を開くことができ、またこのようにしてたばこ自体からのたばこ物質のエアロゾル化が改善されると考えられる。平均粉末サイズが約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルであるたばこ粉末を提供することによってエアロゾル化が改善されうる物質の例は、ペクチン、ニコチン、精油、およびその他の風味である。
【0027】
スラリーで使用される結合剤は、本明細書に説明されるガムまたはペクチンのいずれかとすることができる。結合剤は、たばこ粉末が均質化したたばこウェブを通して実質的に分散されたままになることを確保する場合がある。ガムの記述的な検討のためには、Gums And Stabilizers For The Food Industry,IRL Press (G.O.Phillip et al.eds.1988)、Whistler,Industrial Gums:Polysaccharides And Their Derivatives,Academic Press(2d ed.1973)、およびLawrence,Natural Gums For Edible Purposes,Noyes Data Corp.(1976)を参照されたい。
【0028】
任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアーおよびヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0029】
本方法はスラリーを振動する工程を含んでもよい。スラリーを振動すること、すなわち例えば、スラリーが存在するタンクまたはサイロを振動することは、スラリーの均質化を補助する場合がある。混合と一緒に振動も実施される場合、キャストするために最適な標的値までスラリーを均質化するために必要な混合時間がより短くなる場合がある。
【0030】
有利なことに、本方法はエアロゾル形成体をスラリーにさらに添加する工程を含んでもよい。キャストリーフを形成するスラリー中に含まれるエアロゾル形成体は、1つ以上の特徴に基づいて選ばれてもよい。機能的には、エアロゾル形成体は、エアロゾル形成体の特定の揮発温度を超えて加熱された時に、揮発してエアロゾル中のニコチンおよび/または風味剤を運ぶメカニズムを提供する。エアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を促進し、加熱式エアロゾル発生物品の使用温度にて実質的に熱分解耐性のある、任意の適切な化合物または化合物の混合物としてもよい。異なるエアロゾル形成体は、異なる温度で気化するため、エアロゾル形成体は、その能力、例えば室温でまたは室温付近で安定した状態を保つが、より高い温度、例えば40~450℃で揮発できる能力に基づいて選ばれてもよい。
【0031】
エアロゾル形成体はまた、エアロゾル形成基体が、たばこ粒子を含むたばこ由来の製品で構成されている時に、エアロゾル形成基体内に望ましいレベルの水分を維持するのに役立つ、湿潤剤タイプの属性を有してもよい。特に、一部のエアロゾル形成体は、湿潤剤として機能する吸湿性材料、すなわち、湿潤剤を含む基体を湿った状態に保つために役立つ材料である。
【0032】
均質化したたばこ材料のウェブのためのスラリー中に含有するのに適切なエアロゾル形成剤が当業界で周知であり、それらは例えば、一価アルコール(メントールなど)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、グリセロールジアセテート、またはグリセロールトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチル、エリスリトール、1,3-ブチレングリコール、テトラエチレングリコール、クエン酸トリエチル、プロピレンカーボネート、ラウリン酸エチル、トリアクチン(Triactin)、メソ-エリスリトール、ジアセチン混合物、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、バニリン酸エチル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、およびプロピレングリコールなど)が挙げられるが、これに限定されない。
【0033】
例えば、本明細書による均質化したたばこ材料が加熱式エアロゾル発生物品の中でエアロゾル形成基体として使用されるように意図されている場合、均質化したたばこ材料のウェブは、乾燥重量基準で約5重量パーセント~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。発熱体を持つ電気的に動作するエアロゾル発生システムでの使用が意図されている均質化したたばこウェブは、均質化したたばこ材料の乾燥重量の約5パーセント~約30パーセントのエアロゾル形成体を含むことが好ましい場合があり、均質化したたばこ材料の乾燥重量の約10パーセント~約25パーセントであることが好ましい。発熱体を持つ電気的に動作するエアロゾル発生システムでの使用が意図されている均質化したたばこウェブについては、エアロゾル形成体がグリセロール(グリセリン(glycerin)またはグリセリン(glycerine)としても知られる)であることが好ましい場合がある。
【0034】
1つ以上のエアロゾル形成体を組み合わせてそれらの組み合わせたエアロゾル形成体の1つ以上の特性を利用してもよい。例えば、トリアクチンをグリセリンおよび水と組み合わせて、活性構成成分を運ぶトリアクチンの能力とグリセリンの保湿性を利用してもよい。
【0035】
均質化したたばこ材料のウェブは、上述のたばこ粉末のブレンドを含む調製されたスラリーを、移動ベルトなどの移動支持表面上でキャストすることを一般的に含むタイプのキャストプロセスによって形成されることが好ましい。多孔性強化シートは、スラリーの中へと組み込まれるように、キャストされた均質化したスラリーの表面に適用されてもよい。別の方法として、多孔性強化シートは、移動ベルトの表面に適用されてもよく、また均質化したスラリーは多孔性強化シートの上へとキャストされてもよい。いずれの場合でも、組み込まれた強化シートを有するキャストされたウェブは次に、均質化したたばこ材料のウェブを形成するために乾燥されて次に、支持表面から取り外される。
【0036】
キャストする工程における前記キャストたばこ材料ウェブの水分は、キャストする工程におけるたばこ材料の総重量の約60重量パーセント~約80重量パーセントであることが好ましい。均質化したたばこ材料の製造方法は、前記キャストされたウェブを乾燥する工程と、前記キャストされたウェブを巻き取る工程と、を含み、巻き取る工程における前記キャストされたウェブの水分は、たばこ材料ウェブの乾燥重量の約7パーセント~約15パーセントであることが好ましい。巻き取る工程における前記均質化したたばこウェブの水分は、均質化したたばこウェブの乾燥重量の約8パーセント~約12パーセントであることが好ましい。
【0037】
一部の実施形態において、2つ以上の異なるたばこがブレンドされる。たばこをブレンドする前記工程は、以下のたばこ、すなわちブライトたばこ、ダークたばこ、アロマティックたばこ、フィラーたばこのうちの1つ以上をブレンドすることを含むことが好ましい。均質化したたばこ材料は、適切にブレンドされた異なるたばこタイプのたばこラミナおよびたばこ茎によって形成されてもよい。「たばこタイプ」という用語は、たばこの異なる品種のうちの1つを意味する。これらの異なるたばこタイプは、ブライトたばこ、ダークたばこ、およびアロマティックたばこの3つの主な群に区別される。これらの3つの群間の区別は、たばこがたばこ製品において、さらに加工される前にたどる乾燥処理プロセスに基づく。
【0038】
ブライトたばこは、一般的に大きく、明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ブライトたばこ」という用語は熱風送管乾燥処理されたたばこに対して使用される。ブライトたばこの例としては、中国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、ブラジル産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、米国産の熱風送管乾燥処理されたたばこ(バージニアたばこなど)、インド産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、タンザニア産の熱風送管乾燥処理されたたばこ、または他のアフリカ産の熱風送管乾燥処理されたたばこが挙げられる。ブライトたばこは、糖対窒素の比が高いことによって特徴付けられる。感覚的な見方からは、ブライトたばこは、乾燥処理後、スパイスが効いていて活気のある感覚と関連付けられたたばこタイプである。本発明によると、ブライトたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約2.5パーセント~約20パーセントであり、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で約0.12パーセント未満であるたばこである。還元糖には、例えばグルコースまたはフルクトースが含まれる。総アンモニアには、例えばアンモニアおよびアンモニア塩が含まれる。
【0039】
ダークたばこは、一般的に大きく暗い色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ダークたばこ」という用語は空気乾燥処理したたばこに対して使用される。さらに、ダークたばこは発酵していてもよい。主として噛みタバコ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこ、およびパイプブレンド用に使用されるたばこもこの範疇に含まれる。感覚的な見方からは、ダークたばこは、乾燥処理後、スモーキーでダークシガータイプの感覚と関連付けられるたばこタイプである。ダークたばこは糖対窒素の比が低いことによって特徴付けられる。ダークたばこに対する例は、バーレーマラウイまたは他のアフリカンバーレー、乾燥処理したダークブラジルガルパオ、日光乾燥処理または空気乾燥処理したインドネシアカストリ(Kasturi)である。ダークたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥重量基準で約2.5パーセント未満、かつ総アンモニア含有量が葉の乾燥重量基準で最高約0.5パーセントのたばこである傾向がある。
【0040】
アロマティックたばこは、しばしば小さい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「アロマティックたばこ」という用語は、芳香成分含有量、例えば、精油の含有量が高い他のたばこに対して使用される。感覚的な見方からは、アロマティックたばこは、乾燥処理後、スパイスが効いていて芳香を持つ感覚と関連付けられたたばこタイプである。アロマティックたばこの例には、グリークオリエント、オリエントターキー、セミオリエントたばこであるが火力乾燥処理されたたばこ、ペリクなどのUSバーレー、ルスティカ、USバーレーまたはメリーランドがある。
【0041】
さらに、ブレンドは、いわゆるフィラーたばこも含んでもよい。フィラーたばこは具体的なたばこタイプではないが、ブレンドで使用され、かつ最終製品に特定の特徴を有する芳香の方向性をもたらさないその他のたばこタイプを補完するために主に使用される。フィラーたばこの例は、他のたばこタイプの茎、中央脈、または葉柄である。具体的な例は、ブラジル産の熱風送管乾燥された葉柄下部の熱風送管乾燥処理された茎でありうる。
【0042】
たばこの各種類の中で、たばこ葉は、例えば原産、植物内での配置、色、表面性状、サイズ、および形状に関してさらに等級分けされる。たばこ葉のこれらの特徴および他の特徴は、たばこブレンドを形成するために使用される。たばこのブレンドは、同一のタイプまたは異なるタイプに属するたばこの混合物であり、その結果、たばこブレンドは凝集した特定の特徴を持つ。この特徴は例えば、加熱または燃焼された時の独特の味わいまたは特定のエアロゾルの組成とすることができる。ブレンドは、一方の他方に対する所与の比率の特定のたばこタイプおよび等級を含む。
【0043】
同一のたばこタイプの中での異なる等級は、各ブレンド構成成分のばらつきを低減するためにクロスブレンドされてもよい。本発明によると、特定の所定の特徴を持つ望ましいブレンドを実現するために異なるたばこ等級が選択される。例えば、ブレンドは、均質化したたばこ材料の乾燥重量基準あたりの還元糖、総アンモニア、および総アルカロイドの標的値を持ってもよい。総アルカロイドは、例えばニコチンおよび少量アルカロイド(ノルニコチン、アナタビン、アナバシン、ミオスミンを含む)である。
【0044】
例えば、ブライトたばこは、等級Aのたばこ、等級Bのたばこ、および等級Cのたばこを含んでもよい。等級Aのブライトたばこは、等級Bおよび等級Cのブライトたばことは化学的特性がわずかに異なる。アロマティックたばこは、等級Dのたばこおよび等級Eのたばこを含んでもよく、等級Dのアロマティックたばこは、等級Eのアロマティックたばことは化学的特性がわずかに異なる。例証のために可能なたばこブレンドの標的値は、例えば乾燥重量基準で総たばこブレンドの約10パーセントの還元糖の含有量とすることができる。選択した標的値を達成するために、70パーセントのブライトたばこと30パーセントのアロマティックたばこを、たばこブレンドを形成するために選択してもよい。70パーセントのブライトたばこは、等級Aのたばこ、等級Bのたばこ、および等級Cのたばこの中から選択され、30パーセントのアロマティックたばこは等級Dのたばこおよび等級Eのたばこから選択される。ブレンドの中に含まれる等級A、B、C、D、Eのたばこの量は、たばこブレンドの標的値を達成する上で、等級A、B、C、D、Eのたばこの各々の化学的組成に依存する。
【0045】
本発明の態様によると、均質化したたばこ材料のウェブは、乾燥したたばこスラリーの中に組み込まれた多孔性強化シートを含んで提供されてもよい。均質化したたばこ材料のウェブは、その長軸方向ではその横断方向より大きい引張強さを持つ。均質化したたばこ材料のウェブは、その長軸方向ではその横断方向の1.5倍超の引張強さを持つことが好ましく、引張強さはその長軸方向ではその横断方向の2倍超であることが好ましく、例えば、その長軸方向ではその横断方向の2.5倍超である。
【0046】
均質化したたばこ材料のウェブの中に組み込まれる多孔性強化シートは、その長軸方向ではその横断方向より高い引張強さを持つような異方性特性を持つ。多孔性強化シートは、均質化したたばこ材料の引張強さがその長軸方向ではその横断方向より大きいように、均質化したたばこ材料の中に組み込まれる。
【0047】
多孔性強化シートは均質化したたばこ材料の2重量パーセント~10重量パーセントを占めることが好ましい。多孔性強化シートは、均質化したたばこ材料内の外来的な強化材の全量を占めることが好ましい。言い換えれば、均質化したたばこ材料は、バラバラの繊維として均質化したたばこ材料の製造中にスラリーに添加されたセルロース繊維などの強化繊維を含有しないことが好ましい。
【0048】
均質化したたばこ材料は、乾燥したたばこスラリーの中に組み込まれた多孔性繊維シートを含んでもよい。多孔性繊維シートの繊維はセルロースであってもよい。多孔性繊維シートの繊維は、ポリエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイド、またはポリオレフィンなどの高分子材料であってもよい。多孔性繊維シートの繊維は綿などの天然繊維であってもよい。
【0049】
均質化したたばこ材料は、上記で開示した通りの方法を使用して形成されることが好ましい。
【0050】
本発明の態様によると、エアロゾル発生物品が提供されてもよく、エアロゾル発生物品は、上記に説明した通りの均質化したたばこ材料の一部分を含み、または上述の方法を使用して製造される。
【0051】
エアロゾル発生装置は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品である。エアロゾル発生物品は、不燃性のエアロゾル発生物品であってもよく、または可燃性のエアロゾル発生物品であってもよい。不燃性のエアロゾル発生物品は、例えばエアロゾル形成基体を加熱することにより、または化学反応により、またはエアロゾル形成基体の機械的な刺激により、エアロゾル形成基体を燃焼することなしに揮発性化合物を放出する。燃焼性エアロゾル発生物品は、例えば従来の紙巻たばこの場合と同じく、エアロゾル形成基体の直接的な燃焼によってエアロゾルを放出する。
【0052】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル揮発性化合物を形成することができ、またエアロゾル形成基体を加熱または燃焼することによって放出しうる揮発性化合物を放出する能力を有する。エアロゾル形成発生物品で使用される均質化したたばこ材料のために、エアロゾル形成体はキャストリーフを形成するスラリーに含まれることが好ましい。所定の特性のうちの1つ以上に基づいてエアロゾル形成体を選んでもよい。機能的には、エアロゾル形成体は、エアロゾル形成体の特定の揮発温度を超えて加熱された時、エアロゾル形成体が揮発してエアロゾル内のニコチンおよび/または風味剤を運ぶことができるメカニズムを提供する。
【0053】
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】
図1は、本発明による均質化したたばこ材料を製造する方法の流れ図を示す。
【
図2】
図2は、キャストされたたばこスラリーの表面に適用される多孔性強化シートを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
再構成たばこ材料のウェブを製造するための典型的な先行技術のプロセスにおいて、たばこ粉末またはダストは、スラリーを形成するためにセルロース繊維、結合剤、および水と組み合わせられる。その後、スラリーは移動ベルトの上へとキャストされ、スラリーは材料のウェブを形成するために乾燥される。こうした方法は当業者に周知である。スラリーは、他の構成成分、例えばグリセリンなどのエアロゾル形成剤をさらに含んでもよい。セルロース繊維および結合剤は、結果的に得られる均質化したたばこ材料に強度を付与する。加熱式エアロゾル発生物品内のエアロゾル形成基体としての使用が意図されているウェブは、たばこの特定のブレンドを有していてもよく、またエアロゾル形成剤の比率が高くてもよい。このように、ウェブは固有の強度が低くてもよい。こうしたウェブの強度は、セルロース繊維および結合剤の量を増加することによって高められてもよいが、この追加の強度は組成による。
【0056】
図1は、本発明の具体的な実施形態による均質化したたばこ材料の製造方法を図示する流れ図である。本方法の第一の工程は、均質化したたばこ材料を製造するためのたばこブレンドに使用されるたばこタイプおよびたばこ等級の選択101である。本方法で使用されるたばこタイプおよびたばこ等級は、例えばブライトたばこ、ダークたばこ、アロマティックたばこ、およびフィラーたばこである。
【0057】
さらに、本方法はたばこ葉を粗く粉砕する工程102を含む。
【0058】
粗く粉砕する工程102の後、細かく粉砕する工程103が実施される。細かく粉砕する工程によって、たばこ粉末の平均サイズは約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルのサイズへと小さくなる。この細かく粉砕する工程103によって、たばこのサイズはスラリーの調製に適切な粉末のサイズへと小さくなる。この細かく粉砕する工程103の後、たばこの細胞は少なくとも部分的に破壊され、たばこ粉末は粘着性になる場合がある。
【0059】
このようにして得られたたばこ粉末は、たばこスラリーを形成するためにすぐ使用することができる。別の方法として、例えば適切な容器内でたばこ粉末を保存するさらなる工程を実施してもよい(図示せず)。
【0060】
粉砕されたたばこ粉末は、スラリー形成104のために、エアロゾル形成剤、結合剤、および水と混合される。エアロゾル形成体はグリセロールを含み、結合剤はグアーを含むことが好ましい。
【0061】
スラリー形成の工程104はまた、混合する工程を含むことが好ましく、この工程では全てのスラリー成分が一定時間の間、一緒に混合される。混合する工程では高剪断ミキサーを使用する。
【0062】
スラリーはその後、鋼製コンベヤーベルトなどの移動支持体上へとキャストされる105。スラリーはキャスティングブレードによってキャストされることが好ましい。
【0063】
多孔性強化材料の連続的なシートまたはウェブは、ボビンの上に保持される。多孔性強化材のシートは、その長軸方向ではその横断方向より大きい引張強さを持つ、連続的な多孔性セルロースシートまたはマトリクスである。具体的な実施例において、これは横断方向に延びる繊維よりも多数の長軸方向に延びる繊維を含む多孔性セルロースマトリクスによって実現される。スラリーをキャストする工程105の直後、多孔性セルロースマトリクスの連続的なシートは、ボビンから巻きを解かれ、かつスラリーの表面の上へと置かれる106。スラリーは湿潤状態であり、セルロースマトリクスは多孔性であるため、セルロースマトリクスはスラリーの一部分を吸収して、スラリーの中へと組み込まれる。
【0064】
図2は、この工程をさらに詳細に示す概略図である。強化されていないスラリー201は、移動支持体203の表面の上へとキャストされる202。支持体203は、矢印204によって示される方向に移動している。スラリーをキャストしている点から短い距離を下ったところで、多孔性セルロースマトリクス205のシートがキャストされたスラリー201上へと置かれる206。セルロースマトリクス205はキャストされたスラリーの中へと組み込まれ、それによってセルロースの強化されたスラリー207を形成する。
【0065】
別の方法として(図示せず)、多孔性セルロースマトリクスのシートは、均質化したスラリーがキャストされる前に巻きを解かれ、移動支持体へと適用されてもよい。均質化したスラリーはその後、移動支持体上の多孔性セルロースのシートの上へとキャストされてもよい。上記に説明した通り、スラリーは湿潤状態であり、かつセルロースマトリクスは多孔性であるため、セルロースマトリクスはスラリーの一部分を吸収し、スラリーの中へと組み込まれる。
【0066】
ここで多孔性セルロース207のシートを組み込むキャストされたスラリーは次に乾燥され、均質化したたばこウェブを形成する。乾燥する工程107は、キャストされたウェブを蒸気および加熱空気によって乾燥することを含む。キャストされたウェブが支持体と接触する側で、蒸気を用いた乾燥工程が実施され、一方でキャストされたウェブの開放側で、加熱空気を用いた乾燥が実施されることが好ましい。
【0067】
乾燥する工程107の終了時に、均質化したたばこウェブは支持体から取り外されることが好ましい。均質化したたばこウェブは、例えば単一のマスターボビンを形成するように、巻き取る工程108で1つ以上のボビンで巻かれることが好ましい。その後、切り込みを入れて小さいボビンを形成するプロセスによって、より小さいボビンの製造を実施するために、このマスターボビンを使用してもよい。その後、エアロゾル発生物品(図示せず)の製造のために、より小さいボビンを使用してもよい。
【0068】
エアロゾル発生物品で使用するためのエアロゾル形成基体を形成するために、均質化したたばこ材料のウェブを使用してもよい。例えば、均質化したたばこ材料のシートは、加熱式エアロゾル発生物品のためのエアロゾル形成基体のロッドを形成するために集められてもよい。
【0069】
上記に説明した通りに製造された均質化したたばこのシートの破壊力およびひずみが試験された。バラバラの繊維の形態でスラリーに添加されたほぼ同一の量のセルロース繊維を含有する均質化したたばこシート(対照または基準の均質化したたばこウェブ)と比較した時、強度とひずみの両方が著しく増加することが見いだされた。さらに、シートの長軸方向での引張強さは、シートの横断方向での引張強さの約2倍になることが見いだされた。
【0070】
さらに、エアロゾル発生物品は、上記で開示した通りに形成された、強化された均質化したたばこウェブと基準の均質化したたばこウェブの両方から形成された。エアロゾル発生物品はカナダ保健省の条件の下で喫煙され、ニコチンおよびグリセリンの移送率が測定された。両方のエアロゾル発生物品での移送率が非常に類似していることが見いだされ、エアロゾルの送達を実質的に変化させることなく、たばこ材料の強度を改善することができることが示された。