(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】付録管理システム、付録管理プログラムおよび付録管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20240105BHJP
【FI】
G06Q30/0207 372
(21)【出願番号】P 2022090488
(22)【出願日】2022-06-02
【審査請求日】2023-03-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 製品の販売・配布当による公開:「リアル書店×NFT」として刊行物に付与し、株式会社トーハンを通して全国書店にて販売した。電気通信回線(Web等)を通じた公開:株式会社メディアドゥのウェブサイト(https://mediado.jp/sevice/4227/等)、株式会社トーハン(https://www.tohan.jp/news/20210921_1791.html等)、その他のサイトにて、「付録管理システム、付録管理プログラムおよび付録管理方法」について公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515031333
【氏名又は名称】株式会社メディアドゥ
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】藤田 恭嗣
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特許第7043672(JP,B1)
【文献】国際公開第2021/111653(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0211014(US,A1)
【文献】月刊e・コロンブス,第48巻,日本,東方通信社 ,2021年12月28日,pp.24-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の付録としてデジタルコンテンツを提供し、個々に区別可能なアイテムとして管理するための付録管理システムであって、
前記デジタルコンテンツの内容を示すコンテンツ情報
を記憶するとともに、前記アイテムの識別情報を含むアイテム情報及び前記アイテムを取得するための認証情報を前記コンテンツ情報に紐づけて記憶するデータベースと、
販売された物品に添付された、前記アイテムを取得するための認証情報の入力をユーザから受け付け
、前記ユーザを前記アイテムの所有者とする旨のトランザクションを分散台帳データベースに登録する登録手段と、
前記分散台帳データベースに記録されたトランザクションに基づいて、前記所有者の所有アイテムとして前記アイテムを表示するために、前記アイテムと紐づく前記コンテンツ情報を表示処理する表示手段と、を備え
、
前記登録手段は、前記認証情報とともに前記ユーザの識別情報を受信して、受信した前記認証情報に対応する前記コンテンツ情報に紐づき、かつ所有者が登録されていない前記アイテム情報を特定し、当該アイテム情報における前記アイテムの識別情報及びユーザの識別情報とともに、当該ユーザを当該アイテムの所有者とする旨のトランザクションを前記分散台帳データベースに登録する付録管理システム。
【請求項2】
前記データベースは、複数の前記アイテムを含むパックに関するパック情報を、
前記認証情報と紐づけて登録
し、
前記登録手段は、受信した前記認証情報が紐づけられた前記パック情報に基づき、前記パックに含まれる前記アイテムの前記アイテム情報を特定し、当該アイテム情報における識別情報を、前記トランザクションとともに前記分散台帳データベースに登録する、請求項1に記載の付録管理システム。
【請求項3】
前記アイテムの所有権を移転するために、前記アイテムの識別情報及び移転先のユーザの識別情報とともに移転指示を受け付けて、前記アイテムの所有者を変更する旨のトランザクションを前記分散台帳データベースに登録させる移転手段を更に備える、請求項1に記載の付録管理システム。
【請求項4】
前記付録管理システムは、集計手段を更に備え、
前記データベースは、前記物品の購入店舗に関する情報の入力を前記ユーザから受け付け、前記アイテムと前記購入店舗を紐づけて登録し、
前記集計手段は、前記移転手段による所有権の移転において発生した対価の一部を前記購入店舗に還元するために、所有権の移転が行われた前記アイテムに紐づいた前記購入店舗に基づいて集計処理を行う、請求項3に記載の付録管理システム。
【請求項5】
物品の付録としてデジタルコンテンツを提供し、個々に区別可能なアイテムとして管理するための付録管理プログラムであって、
前記デジタルコンテンツの内容を示すコンテンツ情報
を記憶するとともに、前記アイテムの識別情報を含むアイテム情報及び前記アイテムを取得するための認証情報を前記コンテンツ情報に紐づけて記憶するデータベースと、
販売された物品に添付された、前記アイテムを取得するための認証情報の入力をユーザから受け付け
、前記ユーザを前記アイテムの所有者とする旨のトランザクションを分散台帳データベースに登録する登録手段と、
前記分散台帳データベースに記録されたトランザクションに基づいて、前記所有者の所有アイテムとして前記アイテムを表示するために、前記アイテムと紐づく前記コンテンツ情報を表示処理する表示手段と、としてコンピュータを機能させ
、
前記登録手段は、前記認証情報とともに前記ユーザの識別情報を受信して、受信した前記認証情報に対応する前記コンテンツ情報に紐づき、かつ所有者が登録されていない前記アイテム情報を特定し、当該アイテム情報における前記アイテムの識別情報及びユーザの識別情報とともに、当該ユーザを当該アイテムの所有者とする旨のトランザクションを前記分散台帳データベースに登録する付録管理プログラム。
【請求項6】
物品の付録としてデジタルコンテンツを提供し、個々に区別可能なアイテムとして管理するための付録管理方法であって、
前記デジタルコンテンツの内容を示すコンテンツ情報
を記憶するとともに、前記アイテムの識別情報を含むアイテム情報及び前記アイテムを取得するための認証情報を前記コンテンツ情報に紐づけてデータベースに登録するステップと、
販売された物品に添付された、前記アイテムを取得するための認証情報の入力をユーザから受け付け
、前記ユーザを前記アイテムの所有者とする旨のトランザクションを分散台帳データベースに登録する
所有者登録ステップと、
前記分散台帳データベースに記録されたトランザクションに基づいて、前記所有者の所有アイテムとして前記アイテムを表示するために、前記アイテムと紐づく前記コンテンツ情報を表示処理する表示ステップと、をコンピュータが実行
し、
前記所有者登録ステップでは、前記認証情報とともに前記ユーザの識別情報を受信して、受信した前記認証情報に対応する前記コンテンツ情報に紐づき、かつ所有者が登録されていない前記アイテム情報を特定し、当該アイテム情報における前記アイテムの識別情報及びユーザの識別情報とともに、当該ユーザを当該アイテムの所有者とする旨のトランザクションを前記分散台帳データベースに登録する付録管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の付録としてデジタルコンテンツを提供するための付録管理システム、付録管理プログラムおよび付録管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば雑誌や菓子の販売においては、主要な商品に加えて付録をつけて販売することが従来から行われている。近年では様々な対象について電子化が進んでおり、付録についても電子的に提供する技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、出版物に申請用IDを付した印刷物をつけて販売し、申請用IDによって認証を行って電子書籍の閲覧を可能とする技術が記載されている。このように、物品の付録として電子的な情報を付加して販売することが従来から行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、物品に付加された情報によって電子的な付録へのアクセスを許可することはできるものの、実体のある付録と同じように、付録のひとつひとつに対して所有権を与えるような付録の提供は実現できなかった。
【0006】
そこで本発明は、物品の付録としてデジタルコンテンツを提供する際に、付録を個別に管理できる新たな技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、物品の付録としてデジタルコンテンツを提供し、個々に区別可能なアイテムとして管理するための付録管理システムであって、前記デジタルコンテンツの内容を示すコンテンツ情報を登録するデータベースと、販売された物品に添付された、前記アイテムを取得するための認証情報の入力をユーザから受け付け、前記コンテンツ情報に紐づけられた前記アイテムの識別情報及び前記ユーザの識別情報とともに、前記ユーザを前記アイテムの所有者とする旨のトランザクションを分散台帳データベースに登録する登録手段と、前記分散台帳データベースに記録されたトランザクションに基づいて、前記所有者の所有アイテムとして前記アイテムを表示するために、前記アイテムと紐づく前記コンテンツ情報を表示処理する表示手段と、を備える。
【0008】
このような構成とすることで、付録として同一のコンテンツを複数提供する場合でも個々のアイテムを区別して扱うことが可能となり、個々のアイテムについてそれぞれ所有者を保証することが可能となる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記アイテムの所有権を移転するために、前記アイテムの識別情報及び移転先のユーザの識別情報とともに移転指示を受け付けて、前記アイテムの所有者を変更する旨のトランザクションを前記分散台帳データベースに登録させる移転手段を更に備える。
【0010】
このような構成とすることで、各アイテムを個別に譲渡することが可能となる。また分散台帳データベースにトランザクションを記録することにより、個々のアイテムを追跡可能となるため、分析に役立てることができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記付録管理システムは、集計手段を更に備え、前記データベースは、前記物品の購入店舗に関する情報の入力を前記ユーザから受け付け、前記アイテムと前記購入店舗を紐づけて登録し、前記集計手段は、前記移転手段による所有権の移転において発生した対価の一部を前記購入店舗に還元するために、所有権の移転が行われた前記アイテムに紐づいた前記購入店舗に基づいて集計処理を行う。
【0012】
このような構成とすることで、各アイテムが付録として付加された物品の購入店舗を登録することができ、更に個々のアイテムの所有権の移転が追跡可能であるため、その集計によって最初に物品が販売された後の付録の二次流通においても、物品の購入店舗に対して利益の還元を行うことが可能となる。また、分散台帳データベースとは異なるデータベースに購入店舗の情報を登録することにより、分散台帳データベースの参加者に店舗の売上に関する情報を公開することなく、また処理負荷を軽減した状態で集計を実現することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記データベースは、複数の前記アイテムを含むパックに関するパック情報を、当該パックに含まれる複数の前記アイテムと紐づけて登録する。
【0014】
このような構成とすることで、複数のアイテムを含むパックを付録として提供することができ、パック単位の管理や分析が可能となる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明は、物品の付録としてデジタルコンテンツを提供し、個々に区別可能なアイテムとして管理するための付録管理プログラムであって、前記デジタルコンテンツの内容を示すコンテンツ情報を登録するデータベースと、販売された物品に添付された、前記アイテムを取得するための認証情報の入力をユーザから受け付け、前記コンテンツ情報に紐づけられた前記アイテムの識別情報及び前記ユーザの識別情報とともに、前記ユーザを前記アイテムの所有者とする旨のトランザクションを分散台帳データベースに登録する登録手段と、前記分散台帳データベースに記録されたトランザクションに基づいて、前記所有者の所有アイテムとして前記アイテムを表示するために、前記アイテムと紐づく前記コンテンツ情報を表示処理する表示手段と、としてコンピュータを機能させる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は、物品の付録としてデジタルコンテンツを提供し、個々に区別可能なアイテムとして管理するための付録管理方法であって、前記デジタルコンテンツの内容を示すコンテンツ情報をデータベースに登録するステップと、販売された物品に添付された、前記アイテムを取得するための認証情報の入力をユーザから受け付け、前記コンテンツ情報に紐づけられた前記アイテムの識別情報及び前記ユーザの識別情報とともに、前記ユーザを前記アイテムの所有者とする旨のトランザクションを分散台帳データベースに登録する登録ステップと、前記分散台帳データベースに記録されたトランザクションに基づいて、前記所有者の所有アイテムとして前記アイテムを表示するために、前記アイテムと紐づく前記コンテンツ情報を表示処理する表示ステップと、をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、物品の付録としてデジタルコンテンツを提供する際に、付録を個別に管理できる新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態における付録管理システムの機能ブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態における付録管理システムにおいてデータベースが記憶する情報の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態における付録管理システムの所有者登録処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態における付録管理システムの特典カードの一例である。
【
図5】本発明の実施形態における付録管理システムの認証情報入力画面の表示例である。
【
図6】本発明の実施形態における付録管理システムの移転処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて、本発明の付録管理システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0020】
例えば、本実施形態では付録管理システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータプログラム等も、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えばコンピュータにプログラムをインストールすることができる。ここで、プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体であっても良い。
【0021】
本発明は、実体のある物品の販売に際し、物品にデジタルコンテンツを付録として付加する技術に関する。なお物品の販売は、主に実店舗での販売を想定するが、例えばインターネットショップ等の通信販売であってもよい。本発明におけるデジタルコンテンツとは、動画及び静止画を含む画像、音声、音楽データ、電子書籍、デジタルカード等、様々な形式の電子的なコンテンツを含む。本実施形態では一例として、1以上の静止画像と動画ファイルを添付可能なデジタルカードをデジタルコンテンツとして想定して以下説明する。
【0022】
また本発明は、同一のデジタルコンテンツのアイテムを複数発行し、各アイテムにIDを付与して個々に区別して管理する。例えばあるコンテンツのデジタルカードは複数発行可能であって、1枚1枚のデジタルカードが本発明における「アイテム」に相当する。なお本実施形態においては、ひとつの物品に1アイテムを付録として付加するだけでなく、ひとつの物品に対して複数のアイテムを含むパックを付録として付加することもできる。
【0023】
本実施形態では、アイテムを取得するための認証情報が印刷されたカードを取得対象の物品に添付して販売し、ユーザから認証情報の入力を受け付けて認証を行い、当該ユーザをアイテムの所有者として分散台帳データベースに登録する。これにより、個々のアイテムの所有者が改ざん不可能な形で登録され、各アイテムの所有者の変更等についても個別に追跡可能となる。
【0024】
次に、
図1、2を用いて本実施形態の付録管理システムの機能構成について説明する。
図1は、本実施形態の付録管理システムの機能ブロック図である。本実施形態の付録管理システムは、付録管理装置1と、ユーザ端末2と、分散台帳ネットワークシステムBCと、がネットワークNWを介して通信可能に構成されている。分散台帳ネットワークシステムBCへのアクセスは、付録管理装置1や分散台帳ネットワークシステムBCを構成するノードのみに制限されていてもよい。
【0025】
付録管理装置1としては、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置(処理部)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置(記憶部)、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置(記憶部)、ネットワークNWへの接続手段を含む種々の入出力装置等を備えた、サーバ装置等の一般的なコンピュータ装置を利用することができる。
【0026】
ユーザ端末2としては、演算装置、記憶装置、ネットワークNWへの接続手段を含む種々の入出力装置等を備えた、PC(Personal Computer)等の任意のコンピュータ装置を利用することができる。その他、スマートフォンやタブレット型端末をユーザ端末2として利用してもよい。付録管理装置1との間で認証情報の入力やアイテムの表示等を行うための専用のアプリケーションや、専用のウェブページにアクセスするためのブラウザアプリケーション等が記憶装置に記憶され、演算装置が各種の処理を実行することで、任意のコンピュータ装置が本発明のユーザ端末2として機能する。
【0027】
付録管理装置1は、分散台帳ネットワークシステムBCに接続されており、アイテムの所有者の登録・移転に係る記録要求を行う。本実施形態ではブロックチェーン技術を利用した分散台帳ネットワークシステムBCにより分散台帳データベースが実現される。ここで本実施形態では複数の任意のコンピュータが分散台帳ネットワークシステムBCのノードとして機能するパブリック型ブロックチェーンを想定するが、分散台帳ネットワークシステムBCに参加するコンピュータは任意に変更してよい。
【0028】
ブロックチェーン技術においては、取引履歴を一本鎖の形で記録することで、何れかの値が改ざんされた場合に矛盾が生じることにより不正を防止することができる。本実施形態ではこのようなブロックチェーン技術を用いて、各種の履歴、即ち、アイテムの所有者の登録、所有権の移転等の情報をブロックチェーンに記録するとともに、分散台帳ネットワークシステムBCを構成する複数のノードでこれらの記録を共有する。
【0029】
分散台帳ネットワークシステムBCは、各コンテンツの情報として、シリーズ名、タイトル名、コンテンツ名、コンテンツ情報追加項目、コンテンツ紹介文、コンテンツサムネイル画像(IPFSハッシュ)、ストア表示画像(IPFSハッシュ)、コンテンツ発行上限、レアリティ、コンテンツID、バージョン、過去バージョンのデータ、の情報を記憶する。ここでシリーズ名とは、同種のコンテンツをまとめたシリーズの名称であり、またタイトル名とは、当該コンテンツに関係する作品等の名称である。例えば書籍AにおけるBという章に関連したコンテンツのシリーズについて、「B編シリーズ」というシリーズ名を記憶し、タイトル名として「A」を記憶することが想定される。
【0030】
付録管理装置1は、アイテムの初期所有者の登録を行う登録手段11と、アイテムの所有者の変更登録を行う移転手段12と、アイテムの移転について集計処理を行う集計手段13と、ユーザ端末2や図示しない管理者、店舗担当者、コンテンツ提供者等の端末に対して表示処理を行う表示手段14と、状態管理手段15と、を備える。なおこれらの手段が全てひとつのコンピュータに備えられている必要はなく、一部の手段が他のコンピュータによって実現される構成や、複数のコンピュータが協働して一つの手段として機能する構成であってもよい。他のコンピュータは、分散台帳ネットワークシステムBCのノードであって、付録管理装置1と通信可能なノードであってもよい。
【0031】
状態管理手段15は、分散台帳ネットワークシステムBCに登録されたアイテムの所有権の状態を、状態情報として記憶部に格納する。本実施形態では、状態管理手段15は、分散台帳ネットワークシステムBCに対して、定期的にリクエストを行って登録されたトランザクションを取得し、記憶部に格納された状態情報を更新する。
【0032】
状態情報は、後述するアイテムに対応付けられた、アイテム所有者としてのユーザを示す情報であり、例えば、コンテンツIDに対応付けされたユーザIDである。なお、以降では、ユーザ(あるいはアカウント等、別の単位で呼ばれる場合もある。以降単にユーザと呼称する)を識別可能な識別情報としてID(ユーザID)を用いる場合について説明するが、例えば、ユーザのウォレットアドレスや公開鍵等によって、ユーザが一意に特定可能に構成されてもよい。なお、状態情報は、例えば、アイテムの取得日時を含んでいてもよい。
【0033】
本実施形態では、付録管理装置1が状態管理手段15を備え、記憶部に状態情報を記憶する構成について説明するが、付録管理装置1と通信可能に構成された別の装置が状態管理手段15を備える構成としてもよい。また、付録管理装置1と通信可能な分散台帳ネットワークシステムBCのノード上に状態管理手段15が実現される構成としてもよい。
【0034】
登録手段11は、ユーザ端末2からアイテムを取得するための認証情報の入力を受け付けて、アイテムの識別情報及びユーザの識別情報とともに、ユーザをアイテムの所有者とする旨のトランザクションを分散台帳ネットワークシステムBCに登録する。具体的には、まずユーザ端末2から、ユーザID及び認証情報を受信し、記憶部を参照して認証情報が登録されているかを確認する。そして登録されている場合、状態情報を参照して、当該認証情報に対応するアイテムに所有者が登録されていないかを確認する。所有者が未登録の場合、ユーザをアイテムの所有者として登録するよう、アイテムID及びユーザIDとともに分散台帳ネットワークシステムBCに登録要求を送信する。
【0035】
移転手段12は、アイテムの所有権を移転するために、アイテムの識別情報(アイテムID)及び移転先のユーザの識別情報(ユーザID)とともに移転指示を受け付けて、移転指示が正当な場合にはアイテムの所有者を変更する旨のトランザクションを分散台帳ネットワークシステムBCに登録する。具体的には、ユーザから移転指示を受け付け、記憶部を参照することで、当該ユーザが対象のアイテムの所有者として分散台帳ネットワークシステムBCに登録されているかを確認する。登録されている場合には、移転指示が正当であると判断して、移転先のユーザとして指定されたユーザID及びアイテムIDとともに、分散台帳ネットワークシステムBCに所有者の変更を記録するよう移転要求を送信する。なおユーザID及びアイテムIDは、それぞれユーザ及びアイテムを特定する為に用いられる。そのため、トランザクションや状態情報においては、ユーザID及び/又はアイテムIDに代えて、他のものをユーザの識別情報及びアイテムの識別情報として利用してもよい。例えば、ユーザIDに代えて、ウォレットアドレス等を用いてもよい。
【0036】
集計手段13は、移転手段によるアイテムの所有権の移転を集計する。特に本実施形態では、記憶部において購入店舗がアイテムに紐づけられており、アイテムが付録として付加された物品が最初に販売された店舗を特定可能に構成される。本実施形態の集計手段13は、分散台帳ネットワークシステムBCにおける移転の記録に基づいて、アイテムの所有権の移転をその購入店舗ごとに集計する。これにより、移転により生じた対価の一部を、最初に物品を販売した購入店舗に還元することが可能となる。なお、登録手段11が送信する登録要求及び、記憶部に格納される状態情報に、店舗ID等の購入店舗を識別可能な識別情報を含めておき、集計手段13は、記憶部における状態情報の登録や更新に基づいて、アイテムの所有権の移転を購入店舗ごとに集計してもよい。また、記憶部に過去の状態についても格納するように構成して、分散台帳ネットワークシステムBCに問合せすることなく、アイテムの所有権の移転を購入店舗ごとに集計してもよい。あるいは、状態情報に移転の回数等を含める構成としてもよい。
【0037】
表示手段14は、ユーザ端末2に対して表示される各種の画面を表示処理し、処理結果をユーザ端末2に送信する。特に本実施形態では、記憶部に格納されたアイテムの所有者に基づいて、当該アイテムに紐づけられたコンテンツ情報を表示処理し、所有者の所有アイテムとして表示させる。
【0038】
記憶部(データベース)は、分散台帳ネットワークシステムBCとは異なる、付録管理装置1からアクセス可能な記憶装置であって、コンテンツ情報、アイテム情報、パック情報、店舗情報、ユーザ情報等を記憶する。本実施形態では、付録管理装置1が備えた記憶部においてこれらの情報を記憶するが、これらの一部又は全部が、付録管理装置1からアクセス可能な、1又は複数の記憶装置に格納されてもよい。
【0039】
図2は、本実施形態において記憶部に登録される情報の一例を示す図である。コンテンツ情報は、コンテンツID、コンテンツ名、発行数を含み、コンテンツを構成するメディアの情報が登録される。例えば本実施形態ではデジタルカードをデジタルコンテンツとして発行し、コンテンツ情報に対して、最低1つの静止画像ファイルが付加される。更に本実施形態では、一つのコンテンツに対して静止画像ファイルは最大10個まで、動画ファイルを1つまで付加できる。
【0040】
また他の形式のファイルを付加できるように構成してもよく、本実施形態では更にPDFファイルを最大1つ付加できる。更に、3次元の仮想空間上に所有するアイテムを自由に配置する機能を提供してもよく、この場合には、仮想空間における表示用の静止画像ファイルを更にコンテンツ情報に対して付加してもよい。当該コンテンツ情報が紐づけられたアイテムを所有するユーザは、これらのメディアを全て利用することができる。
【0041】
アイテム情報は、アイテムIDと、当該アイテムの種類を示すコンテンツIDと、アイテムが入っているパックIDと、アイテムが付録として付加される物品が最初に購入された購入店舗の購入店舗ID(購入店舗の店舗ID)と、を含む。本実施形態では、状態管理手段15が、ブロックチェーンからアイテムの登録や移転についての情報を取得すると、アイテム情報に、そのアイテムの最新の所有者を識別可能な識別情報(ユーザID等)を、状態情報として対応付ける。パック単位での配布を行わない場合には、パックIDは省略してもよい。なおこの場合、認証情報及び後述の商品IDが更にアイテム情報として登録される。また購入店舗IDは、アイテムの所有者によって購入店舗に関する情報が入力された場合に登録される。
【0042】
パック情報は、パックを開封してユーザをアイテムの所有者として登録するための認証情報と、パックが付録として添付された物品を示す商品IDと、物品が最初に購入された購入店舗の購入店舗IDと、を含む。このように本実施形態では、アイテム情報に紐づけられたパック情報が認証情報を含んでおり、ユーザが認証情報を入力することで、パックに含まれる複数のアイテムの所有者として登録される。
【0043】
店舗情報は、店舗IDと、店舗名と、地域と、店舗コードと、を含む。またこの他、図示しないが、記憶部はユーザ情報や商品情報を記憶しており、各ユーザ、商品、アイテム、パック、コンテンツ等の情報を管理する。ユーザ情報は、ユーザを一意に特定可能な識別情報を含み、この情報が、トランザクションとしてブロックチェーンに登録されたり、状態情報として記憶部に登録される。
【0044】
次に、
図3~
図5を用いて、アイテムの登録に係る処理について説明する。
図3は、アイテムの所有者を登録する際の処理フローチャートである。まずユーザは、付録として認証情報が印字された特典カードが付加された物品を購入する。物品の内容は例えば書籍や日用品、その他雑貨等、どのような物であってもよい。特典カードの一例を、
図4に示す。このように、本実施形態では、アイテムを取得するためのURLや二次元コードと、その認証情報(
図4の引き換えコード「1234-5678-90ab-cdef」)と、引き換え方法が特典カードに印字される。
【0045】
ユーザはこのような特典カードを確認して、ユーザ端末2を介して認証情報の入力用のページにアクセスする。そしてユーザ情報を登録済みのユーザの場合はログイン、未登録の場合はユーザ登録を行い、ステップS11で、登録手段11が認証情報及び店舗コードの入力を受け付ける。
【0046】
図5は、認証情報及び店舗コードの入力画面の表示例である。本実施形態ではこのように、認証情報と店舗に関する情報とを同時に入力させる。ここで、特典カードの二次元コードにおいて入力用のページのURLとともにURLパラメータを表現し、二次元コードからアクセスした場合には認証情報が入力された状態で入力画面が表示されてもよい。また、店舗に関する情報としては、例えばレシートに店舗コードを印字しておき、それを入力させる構成や、店舗コードの代わりに店舗名や電話番号から店舗の選択を受け付ける構成としてもよい。
【0047】
認証情報及び店舗に関する情報が受け付けられると、ステップS12において登録手段11が、入力を行ったユーザの識別情報(ユーザID)及び認証情報に基づいて認証を行う。具体的には、まず記憶部を参照し、入力された認証情報が設定されたパック情報を検索する。次に検索されたパック情報に紐づけられた1又は複数のアイテム情報を抽出し、それらのアイテムの所有者を状態情報に基づいて確認する。
【0048】
入力された認証情報が設定されたパック情報が存在しない場合、又は、パック情報に紐づけられた1又は複数のアイテム情報のうちの少なくとも一部に、既に所有者が設定されていた場合には、認証失敗となりステップS11に戻って、表示手段14が再度の入力を促す画面を表示処理する。
【0049】
分散台帳ネットワークシステムBCにおいて、対象のアイテムに所有者が設定されていなかった場合には、認証成功と判断され、ステップS13に進む。ステップS13では、登録手段11が、認証情報を入力したユーザのユーザID、及び対象のアイテムIDとともに、当該ユーザをアイテムの所有者として登録する旨のトランザクションの登録要求を分散台帳ネットワークシステムBCに送信する。
【0050】
分散台帳ネットワークシステムBCは、登録要求を受け、トランザクションの検証に成功すると、ユーザをアイテムの所有者とするトランザクションをブロックチェーンに記録する。具体的には、分散台帳ネットワークシステムBCは、アイテムID、ユーザID、登録日時をブロックチェーンに記録する。状態管理手段15は、分散台帳ネットワークシステムBCに対して、定期的にリクエストを行って登録されたトランザクションを取得し、記憶部に状態情報を登録する(アイテムに所有者を対応付ける)。また、ステップS11において入力された店舗コードに基づいて、記憶部のアイテム情報及びパック情報に、購入店舗IDを登録する。
【0051】
分散台帳ネットワークシステムBCへの所有者登録が完了すると、それ以降はユーザの所有アイテムとして登録されたアイテムが表示される。ステップS14では、ユーザ端末2を介した入力を受け付け、状態情報及びユーザIDに基づいて所有権の有無を確認し、所有権があるユーザの場合にはアイテムの詳細を表示する。具体的には、付録管理装置1が対象のアイテムID及びユーザIDを受信して、当該アイテムIDに基づいて特定されるアイテム情報に当該ユーザIDが紐づいているか確認し、ユーザIDが登録されている場合には、当該ユーザが所有権を有すると判断する。
【0052】
以上のようにして、アイテムごとの所有権が分散台帳ネットワークシステムBCに登録される。また購入店舗の情報は、記憶部においてアイテム情報に紐づけられる。これにより、分散台帳ネットワークシステムBCに購入店舗の情報を持たせることなく、どの店舗で購入された物品の付録が、どのように再流通したのかを追跡することが可能となる。
【0053】
次に、
図6を参照して、移転手段12によるアイテムの移転処理について説明する。
図6は、本実施形態における移転処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、アイテムの所有者が価格を指定して販売登録を行い、購入希望者がそれに対して購入の申し込みを行うことでアイテムの販売が行われるが、販売の方法はこれに限られない。例えば購入希望者がアイテムの販売者を募集して個別に交渉を行う形態や、オークション、販売希望と購入希望のマッチングを行う形態等、任意に設定してよい。
【0054】
本実施形態では、まずステップS21において、移転手段12がアイテムの所有者から販売登録を受け付ける。移転手段12は、記憶部に格納された状態情報並びに、アイテムID及びユーザIDに基づいて、ユーザがアイテムの所有権を有するかを確認する。所有権を有するユーザからの要求であれば、対象のアイテムID、価格、その他販売条件を含む販売情報を記憶部に登録する。
【0055】
販売情報が登録されると、他のユーザに対して販売情報が表示処理され、ステップS22で移転手段12が他のユーザからの購入要求を受け付ける。購入要求が受け付けられると、要求情報として購入希望者のユーザID及び販売情報を特定する情報を登録する。
【0056】
自身が登録した販売情報に関する要求情報が登録されると、ユーザに対して通知が送信される。そしてアイテムの所有者が要求情報を承認する入力を行うと(ステップS23でY)、移転手段12がこれを移転指示として受け付け、ステップS24において移転処理を行う。
【0057】
移転手段12は、販売情報において設定された価格に基づいて決済処理を行い、購入希望者のユーザID(移転先のユーザの識別情報)及びアイテムIDを分散台帳ネットワークシステムBCに送信し、アイテムの所有者を購入希望者に変更する旨のトランザクションの登録要求を行う。分散台帳ネットワークシステムBCは登録要求を受け、移転後の所有者として購入希望者のユーザIDと、アイテムIDと、を含むトランザクションの検証を行い、登録する。状態管理手段15は、分散台帳ネットワークシステムBCに対して、定期的にリクエストを行って登録されたトランザクションを取得し、記憶部に格納された状態情報(アイテムに対応付けられた所有者)を更新する。
【0058】
以上のように、アイテムの所有者の承認を得て移転指示を受け付け、これに基づいて分散台帳ネットワークシステムBCに所有者の変更を記録することにより、アイテムの所有者の変更を追跡可能に記録することができる。
【0059】
ここで、アイテムの所有権移転によって生じた利益については、移転前の所有者だけでなく、物品の製作者、最初に物品を販売した販売者や、コンテンツの制作者にも還元することが好ましい。本実施形態では、記憶部にアイテム情報として購入店舗IDが記憶されているため、移転が行われた場合にも、記憶部を参照することで、どの店舗から販売された物品に付加されていたアイテムなのかが特定できる。
【0060】
集計手段13は、対象の店舗IDが購入店舗IDとして登録されたアイテム情報の移転について、分散台帳ネットワークシステムBCに照会を行い、移転の情報を集計する。これにより、各店舗に還元すべき利益を計算することができ、また、店舗ごとにその後の移転の仕方を追跡することで、店舗の特徴分析にも役立てることができる。
【0061】
以上の通り、本実施形態の付録管理システムによれば、物品の付録としてデジタルコンテンツを提供し、個々にアイテムとして区別してその後の流通を管理することができる。更に、販売店舗の情報をアイテムごとに登録することにより、二次流通についても販売店舗ごとに分析・集計が可能となり、利益の分配や経営分析に役立てることができる。
【符号の説明】
【0062】
1 :付録管理装置
2 :ユーザ端末
11 :登録手段
12 :移転手段
13 :集計手段
14 :表示手段
DB :データベース
BC :分散台帳ネットワークシステム
NW :ネットワーク