IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7413453アンダーディスプレイカメラシステムとその操作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】アンダーディスプレイカメラシステムとその操作方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240105BHJP
   H04N 25/13 20230101ALI20240105BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240105BHJP
   H04N 23/54 20230101ALI20240105BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20240105BHJP
【FI】
H04N23/60
H04N25/13
H04N25/70
H04N23/54
H04N23/55
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022114659
(22)【出願日】2022-07-19
(65)【公開番号】P2023163105
(43)【公開日】2023-11-09
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】17/731,158
(32)【優先日】2022-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】王俊元
(72)【発明者】
【氏名】郭安立
(72)【発明者】
【氏名】郭信宏
(72)【発明者】
【氏名】塗宗儒
(72)【発明者】
【氏名】張育淇
(72)【発明者】
【氏名】呉翰林
(72)【発明者】
【氏名】蔡鴻仁
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-041886(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0067889(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222-5/257
H04N 23/00
H04N 23/40-23/76
H04N 23/90-23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生データを提供するように構成されたピクセルアレイであって、
前記ピクセルアレイは、複数の第1のフォトダイオードにそれぞれ配置され、前記生データに従って色情報を生成するように構成された複数のカラーフィルタ、および、
複数の第2のフォトダイオードにそれぞれ配置され、前記生データに従って第1の狭帯域情報を生成するように構成された複数の第1の狭帯域フィルタを含み、前記複数の第1の狭帯域フィルタの第1のスペクトル線幅は5nm~70nmの範囲である、ピクセルアレイと、
複数の回折パターンを格納するように構成された点像分布関数のデータベースユニットと、
前記ピクセルアレイから前記第1の狭帯域情報を受け取り、前記点像分布関数のデータベースユニットに電気的に接続され、前記点像分布関数のデータベースユニットによって提供される複数の回折パターンのうちの1つに基づいて、前記第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築するように構成された第1のモデルユニットと、
前記第1のモデルユニットおよび前記ピクセルアレイに電気的に接続され、前記エッジ情報を前記色情報と組み合わせることによって画像を取得するように構成された第2のモデルユニットと、
を備えることを特徴とするアンダーディスプレイカメラシステム。
【請求項2】
前記複数の第1の狭帯域フィルタは第1の単一波長に対応し、前記第1の単一波長は400nm~1000nmの範囲にあり、前記複数のカラーフィルタのスペクトル線幅は150nm~200nmの範囲にあり、前記ピクセルアレイ内の前記複数の第1の狭帯域フィルタの面積率は6.25%~25%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のアンダーディスプレイカメラシステム。
【請求項3】
前記複数の第1の狭帯域フィルタのうちの隣接する2つが併合し、前記複数の第1の狭帯域フィルタが前記複数のカラーフィルタに囲まれることを特徴とする請求項1に記載のアンダーディスプレイカメラシステム。
【請求項4】
前記複数の第1の狭帯域フィルタのそれぞれは、第1の部分と前記第1の部分上に配置された第2の部分を含み、前記第1の部分は前記複数のカラーフィルタのうちの1つと同じ第1のスペクトルに対応し、前記第2の部分は前記第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルに対応することを特徴とする請求項1に記載のアンダーディスプレイカメラシステム。
【請求項5】
前記ピクセルアレイはさらに、前記生データに従って第2の狭帯域情報を生成するように構成された複数の第2の狭帯域フィルタを含み、
前記第1のモデルユニットはさらに、前記複数の回折パターンのうちの別の1つに基づいて前記第2の狭帯域情報から前記エッジ情報を再構築し、前記複数の第2の狭帯域フィルタの第2のスペクトル線幅は5nm~70nmの範囲にあり、前記第1のスペクトル線幅とは異なることを特徴とする請求項1に記載のアンダーディスプレイカメラシステム。
【請求項6】
前記ピクセルアレイはさらに、前記生データに従って第2の狭帯域情報を生成するように構成された複数の第2の狭帯域フィルタを含み、
前記第1のモデルユニットはさらに、前記複数の回折パターンのうちの別の1つに基づいて前記第2の狭帯域情報から前記エッジ情報を再構築し、前記複数のカラーフィルタの1つは、前記複数の第1の狭帯域フィルタと前記複数の第2の狭帯域フィルタとの間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のアンダーディスプレイカメラシステム。
【請求項7】
前記ピクセルアレイはさらに、前記生データに従って第2の狭帯域情報を生成するように構成された複数の第2の狭帯域フィルタを含み、
前記第1のモデルユニットはさらに、前記複数の回折パターンのうちの別の1つに基づいて前記第2の狭帯域情報から前記エッジ情報を再構築し、前記複数の第2の狭帯域フィルタは前記複数の第1の狭帯域フィルタに隣接し、前記複数の第2の狭帯域フィルタは前記複数のカラーフィルタに囲まれることを特徴とする請求項1に記載のアンダーディスプレイカメラシステム。
【請求項8】
ピクセルアレイにより生データを提供し、
前記ピクセルアレイの複数の第1のフォトダイオード上にそれぞれ配置された複数のカラーフィルタにより、前記生データに従って色情報を生成し、
前記ピクセルアレイの複数の第2のフォトダイオード上にそれぞれ配置された複数の第1の狭帯域フィルタにより、前記生データに従って第1の狭帯域情報を生成し、前記複数の第1の狭帯域フィルタのスペクトル線幅は5nm~70nmの範囲であり、
点像分布関数のデータベースユニットによって提供される複数の回折パターンのうちの1つに基づいて前記第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築し、
前記エッジ情報と前記色情報を組み合わせることにより画像を取得する、
ことを含むことを特徴とするアンダーディスプレイカメラシステムの操作方法。
【請求項9】
前記ピクセルアレイの複数の第2の狭帯域フィルタにより、前記生データに従って第2の狭帯域情報を生成し、
前記エッジ情報の再構築にはさらに、前記複数の回折パターンのうちの別の1つに基づいて前記第2の狭帯域情報から前記エッジ情報を再構築することを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記点像分布関数のデータベースユニットが、
ディスプレイをそれぞれ通過する複数の単一波長によって生成された前記複数の回折パターンのそれぞれにタグを付け、
前記複数の回折パターンを保存する、
ことにより構築されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記エッジ情報の再構築が第1のモデルユニットによって実行され、前記第1のモデルユニットを、
ディスプレイを通過する単一波長によって生成される第1の画像と、前記ディスプレイを通過する前記単一波長の回折情報を含む前記点像分布関数の式に関連する第2の画像と、および前記ディスプレイを通過させずに前記単一波長によって生成される第3の画像とを提供し、
前記第1の画像と前記第2の画像を組み合わせることによって第4の画像を再構築し、
前記第3の画像を前記第4の画像と比較し、
前記第4の画像が前記第3の画像と実質的に類似していない場合は、前記式のフィッティングパラメータを調整する、
ことにより訓練することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記画像の取得が第2のモデルユニットによって実行され、前記第2のモデルユニットを、
前記第4の画像と、前記ディスプレイを通過する複数の波長によって生成される第5の画像と、前記ディスプレイを通過させずに前記複数の波長によって生成される第6の画像とを提供し、
前記第4の画像と前記第5の画像を組み合わせることによって第7の画像を再構築し、
前記第6の画像を前記第7の画像と比較する、
ことにより訓練することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンダーディスプレイカメラシステム及びそのアンダーディスプレイカメラシステムの操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、アンダーディスプレイカメラシステムは、通常、ディスプレイと画像センサとを有し、ディスプレイは画像センサの上方に位置する。画像センサによって生成された画像は、光がディスプレイを通過するときに回折が問題を生じる。この回折の問題により、画像が強くぼやける。近年、点像分布関数(PSF)と組み合わせたディープニューラルネットワークが、回折によってぼやけた画像を復元するために使用されている。この点像分布関数は、コヒーレント光(狭帯域光など)によって定義される。しかし、自然光はインコヒーレント(incoherent:不可干渉)である。そのため、点像分布関数の具体的な情報は、インコヒーレント光の波長の全てを合計すると失われるおそれがある。この失われた情報により、画像を復元するプロセスが困難になり、最終的にはアンダーディスプレイカメラシステムの解像度が低下する。したがって、失われた情報を見つけることは、より良い画像を復元することでアンダーディスプレイカメラシステムのパフォーマンスを向上させる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
コヒーレント光(狭帯域光など)は回折情報を維持できる。画像センサに狭帯域フィルタを追加すると、従来の画像センサで消失している狭帯域情報を検出する新たな機能を提供することができる。狭帯域情報は、画像のエッジ情報を再構築するため、モデルユニット(ディープニューラルネットワークなど)に送信される。画像の再構築されたエッジ情報は、画像を復元するため、カラーフィルタから導出された色情報と組み合わせるべく別のモデルユニット(ディープニューラルネットワークなど)に送信される。
【0004】
本開示の一態様は、アンダーディスプレイカメラシステムに関する。
【0005】
本開示の一実施形態によれば、アンダーディスプレイカメラシステムは、ピクセルアレイと、点像分布関数のデータベースユニットと、第1のモデルユニットと、第2のモデルユニットとを備える。ピクセルアレイは、生データを提供するように構成されている。ピクセルアレイは、複数のカラーフィルタおよび複数の第1の狭帯域フィルタを含む。複数のカラーフィルタは、それぞれ複数の第1のフォトダイオード上に配置され、生データに従って色情報を生成するように構成されている。複数の第1の狭帯域フィルタは、それぞれ複数の第2のフォトダイオード上に配置され、生データに従って第1の狭帯域情報を生成するように構成されている。複数の第1の狭帯域フィルタの第1のスペクトル線幅は、5nm~70nmの範囲にある。点像分布関数のデータベースユニットは、複数の回折パターンを格納するように構成されている。第1のモデルユニットは、ピクセルアレイから第1の狭帯域情報を受け取り、点像分布関数のデータベースユニットに電気的に接続されている。第1のモデルユニットは、点像分布関数のデータベースユニットによって提供される複数の回折パターンのうちの1つに基づいて、第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築するように構成されている。第2のモデルユニットは、第1のモデルユニットとピクセルアレイとに電気的に接続されている。第2のモデルユニットは、エッジ情報を色情報と組み合わせて画像を取得するように構成されている。
【0006】
本開示の一実施形態において、複数の第1の狭帯域フィルタは、第1の単一波長に対応し、かつ、第1の単一波長は、400nm~1000nmの範囲にある。
【0007】
本開示の一実施形態において、複数のカラーフィルタのスペクトル線幅は、150nm~200nmの範囲にある。
【0008】
本開示の一実施形態において、ピクセルアレイ内の複数の第1の狭帯域フィルタの面積率は、6.25%~25%の範囲にある。
【0009】
本開示の一実施形態において、複数の第1の狭帯域フィルタのうちの隣接する2つが併合している。
【0010】
本開示の一実施形態において、複数の第1の狭帯域フィルタのそれぞれは、第1の部分と第1の部分上に配置された第2の部分を含む。
【0011】
本開示の一実施形態において、第1の部分は、複数のカラーフィルタのうちの1つと同じ第1のスペクトルに対応し、第2の部分は、第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルに対応する。
【0012】
本開示の一実施形態において、複数の第1の狭帯域フィルタは、複数のカラーフィルタで囲まれている。
【0013】
本開示の一実施形態において、ピクセルアレイはさらに、複数の第2の狭帯域フィルタを含む。複数の第2の狭帯域フィルタは、生データに従って第2の狭帯域情報を生成するように構成されている。第1のモデルユニットはさらに、複数の回折パターンのうちの別の1つに基づいて第2の狭帯域情報からエッジ情報を再構築する。
【0014】
本開示の一実施形態において、複数の第2の狭帯域フィルタの第2のスペクトル線幅は5nm~70nmの範囲にあり、第1のスペクトル線幅とは異なる。
【0015】
本開示の一実施形態において、複数のカラーフィルタの1つは、複数の第1の狭帯域フィルタと複数の第2の狭帯域フィルタとの間に配置される。
【0016】
本開示の一実施形態において、複数の第2の狭帯域フィルタは、複数の第1の狭帯域フィルタに隣接し、複数の第2の狭帯域フィルタは、複数のカラーフィルタに囲まれている。
【0017】
本開示の一実施形態において、ピクセルアレイにおける複数の第1の狭帯域フィルタの面積率は、ピクセルアレイにおける複数の第2の狭帯域フィルタの面積率と同じである。
【0018】
本開示の一実施形態において、アンダーディスプレイカメラシステムの操作方法は、以下を含む。ピクセルアレイにより生データを提供する。ピクセルアレイの複数の第1のフォトダイオード上にそれぞれ配置された複数のカラーフィルタにより、生データに従って色情報を生成する。ピクセルアレイの複数の第2のフォトダイオード上にそれぞれ配置された複数の第1の狭帯域フィルタにより、生データに従って第1の狭帯域情報を生成し、このときの複数の第1の狭帯域フィルタのスペクトル線幅が5nm~70nmの範囲である。点像分布関数のデータベースユニットによって提供される複数の回折パターンのうちの1つに基づいて、第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築する。エッジ情報と色情報を組み合わせて画像を取得する。
【0019】
本開示の一実施形態において、複数の第1の狭帯域フィルタは、複数の回折パターンのうちの1つと同じ波長に対応する。
【0020】
本開示の一実施形態において、この方法は、さらに、ピクセルアレイの複数の第2の狭帯域フィルタにより、生データに従って第2の狭帯域情報を生成することを含む。
【0021】
本開示の一実施形態において、エッジ情報を再構築することには、さらに、複数の回折パターンのうちの別の一つに基づいて第2の狭帯域情報からエッジ情報を再構築することを含む。
【0022】
本開示の一実施形態において、点像分布関数のデータベースユニットは、ディスプレイをそれぞれ通過する複数の単一波長によって生成された複数の回折パターンのそれぞれにタグを付け、複数の回折パターンを保存することによって構築される。
【0023】
本開示の一実施形態において、エッジ情報の再構築は、第1のモデルユニットによって実行され、第1のモデルユニットを、以下の方法によって訓練する。ディスプレイを通過する単一波長によって生成された第1の画像と、点像分布関数の式に関連する第2の画像と、ディスプレイを通過させずに単一波長によって生成される第3の画像とを提供し、第1の画像と第2の画像を組み合わせることによって第4の画像を再構築し、第3の画像を第4の画像と比較し、第4の画像が第3の画像と実質的に類似していない場合は式のフィッティングパラメータを調整する。
【0024】
本開示の一実施形態において、画像の取得は、第2のモデルユニットによって実行され、第2のモデルユニットを、以下の方法によって訓練する。第4の画像と、ディスプレイを通過する複数の波長によって生成される第5の画像と、ディスプレイを通過させずに複数の波長によって生成される第6の画像とを提供し、第4の画像と第5の画像を組み合わせることによって第7の画像を再構築し、第6の画像を第7の画像と比較する。
【0025】
本開示の上述の実施形態において、ピクセルアレイは、第1の狭帯域情報を生成するように構成された複数の第1の狭帯域フィルタを含む。第1のモデルユニットは、点像分布関数のデータベースユニットによって提供される複数の回折パターンの一つに基づいて、第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築できる。また、第2のモデルユニットは、画像を得るために複数のカラーフィルタによって提供される色情報とエッジ情報とを組み合わることができる。第1のモデルユニットと、複数の第1の狭帯域フィルタと、点像分布関数のデータベースユニットとの組み合わせによって回折の問題を解決することで、高い解像度の画像が得られる。その結果、アンダーディスプレイカメラシステムの性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示の一実施形態によるアンダーディスプレイカメラシステムのブロック図である。
図2A】本開示の一実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図2B図2Aの線分2B-2Bに沿ったピクセルアレイの断面図である。
図2C】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図2D図2Cの線分2D-2Dに沿ったピクセルアレイの断面図である。
図2E】本開示のいくつかの実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図2F】本開示のいくつかの実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図2G】本開示のいくつかの実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図2H】本開示のいくつかの実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図3A】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図3B】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図3C】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4A】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4B】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4C】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4D】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4E】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4F】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4G】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4H】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4I】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4J】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4K】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図4L】本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図である。
図5】本開示の一実施形態によるアンダーディスプレイカメラシステムの操作方法のフローチャートである。
図6】本開示の一実施形態による異なる波長に対応する回折パターンの原理を示す図である。
図7】本開示の一実施形態による狭帯域光と広帯域光との間の回折パターンの違いを示す図である。
図8】本開示の一実施形態によるアンダーディスプレイカメラシステムの操作に関する模式図である。
図9】本開示の一実施形態によるデータベースユニットを構築する方法のフローチャートである。
図10】本開示の一実施形態による第1のモデルユニットを訓練する方法のフローチャートである。
図11】本開示の一実施形態による第2のモデルユニットを訓練する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の開示は、提供された主題の異なる特徴を実施するための多くの異なる実施形態又は実施例を提供する。本開示を単純化するために構成要素および配置の具体例を以下に記載する。これらは、もちろん、単なる例であり、限定することを意図するものではない。加えて、本開示は、種々の実施例において参照番号および/または文字を繰り返してもよい。この繰り返しは、単純化および明瞭化を目的としており、それ自体では、説明される様々な実施形態および/または構成間の関係を示すものではない。
【0028】
上や下など(「下」、「下方」、「下部」、「上方」、「上部」、「前方」、「後方」など)の空間的に相対的な用語は、図に例示されるように、ある要素または構成と別の要素または構成との関係を記述するためのものであり、説明を容易にするために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に描かれた向きに加えて、使用中または動作中の装置の異なる向きを包含することを意図する。装置は、他の方向を向いていてもよく(90度または他の向きに回転してもよく)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子(descriptors)も同様に解されてもよい。
【0029】
図1は、本開示の一実施形態によるアンダーディスプレイカメラシステム10のブロック図を示す。アンダーディスプレイカメラシステム10は、ピクセルアレイ100と、データベースユニット200と、第1のモデルユニット300と、第2のモデルユニット400とを含む。ピクセルアレイ100は、生データを提供するように構成されている。また、点像分布関数のデータベースユニット200は、複数の回折パターンを保存するように構成されている。また、点像分布関数のデータベースユニット200は、波長依存性が有り得る。例えば、点像分布関数は、ディスプレイを通過する単一波長の回折情報を含むことができる。また、点像分布関数のデータベースユニット200は、研究室で訓練されることも有り得る。第1のモデルユニット300は、ピクセルアレイ100、データベースユニット200及び第2のモデルユニット400と電気的に接続されている。第1のモデルユニット300は、ディープニューラルネットワーク(DNN)であってもよい。ディープニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)や、その他の複数のタイプのニューラルネットワーク、および複数の最適化アルゴリズムと組み合わせることが考えられる。例えば、ニューラルネットワークは、回折によってぼやけた十分な数の画像と、対応する点像分布関数とを一緒に用いて訓練する必要がある。第2のモデルユニット400は、ピクセルアレイ100及び第1のモデルユニット300と電気的に接続されている。第2のモデルユニット400は、第1のモデルユニット300とは異なる入力を有する別のディープニューラルネットワークであってもよい。
【0030】
図2Aは、図1のピクセルアレイ100の上面図を示す。図2Bは、図2Aのピクセルアレイ100の線分2B-2Bに沿った断面図を示す。図1図2A及び図2Bを参照して、ピクセルアレイ100は、半導体基板110、複数の第1の狭帯域フィルタ122、複数のカラーフィルタ124、及びマイクロレンズ層130を備える。複数のカラーフィルタ124は、それぞれ複数の第1のフォトダイオード114上に配置され、生データに従って色情報を生成するように構成されている。例えば、複数のカラーフィルタ124は、異なる波長(赤色光、緑色光及び青色光の波長など)に対応してもよい。複数の第1の狭帯域フィルタ122は、それぞれ複数の第2のフォトダイオード112上に配置され、生データに従って第1の狭帯域情報を生成するように構成されている。複数のカラーフィルタ124のスペクトル線幅は、150nm~200nmの範囲にある。なお、複数の第1の狭帯域フィルタ122の第1のスペクトル線幅は、5nm~70nmの範囲にある。複数の第1の狭帯域フィルタ122は、第1の単一波長に対応し、かつ、第1の単一波長は、400nmから1000nmの範囲にある。第1の単一波長は、複数の回折パターンの一つに対応する波長と同じである。
【0031】
また、第1のモデルユニット300は、ピクセルアレイ100から第1の狭帯域情報を受信する。第1のモデルユニット300は、点像分布関数のデータベースユニット200によって提供される複数の回折パターンの一つに基づいて第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築するように構成されている。第2のモデルユニット400は、エッジ情報と色情報とを組み合わせて画像を得るように構成されている。
【0032】
具体的には、ピクセルアレイ100は、第1の狭帯域情報を生成するように構成された複数の第1の狭帯域フィルタ122を含む。第1のモデルユニット300は、点像分布関数のデータベースユニット200によって提供される複数の回折パターンの一つに基づいて、第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築し得る。また、画像を取得するために、第2のモデルユニット400は、エッジ情報と、複数のカラーフィルタ124が提供する色情報とを組み合わせることができる。第1のモデルユニット300と、複数の第1の狭帯域フィルタ122と、点像分布関数のデータベースユニット200との組み合わせにより、回折の問題を解決し得るため、より高い解像度の画像が得られる。その結果、アンダーディスプレイカメラシステム10の性能が向上する。
【0033】
マイクロレンズ層130は、ピクセルアレイ100上に配置され、光Lを複数の第1の狭帯域フィルタ122及び複数のカラーフィルタ124に伝送するように構成されている。マイクロレンズ層130は、複数のマイクロレンズ134を含む。複数のマイクロレンズ134は、複数の第1の狭帯域フィルタ122及び複数のカラーフィルタ124と重なっている。グリッド125が、複数の第1狭帯域フィルタ122の1つと複数のカラーフィルタ124の1つとの間に位置している。いくつかの実施形態では、グリッド125は、複数のカラーフィルタ124の隣接する2つの間に位置してもよい。複数の第1の狭帯域フィルタ122の各々は、第1の部分121と、第1の部分121上に配置された第2の部分123とを含む。第1の部分121は、複数のカラーフィルタ124のうちの1つと同じ第1のスペクトルに対応し、第2の部分123は、第1のスペクトルとは異なる第2のスペクトルに対応する。
【0034】
また、もし第1の部分121の第1のスペクトルが緑色光の波長に対応し、第2の部分123の第2のスペクトルが赤色光の波長に対応する場合、複数の第1の狭帯域フィルタ122の第1のスペクトル線幅は42nmで有り得る。もし第1の部分121の第1のスペクトルが緑色光の波長に対応し、第2の部分123の第2のスペクトルが青色光の波長に対応する場合、複数の第1の狭帯域フィルタ122の第1のスペクトル線幅は52nmで有り得る。いくつかの実施形態では、ピクセルアレイ100は、保護層140および遮蔽素子150をさらに含む。保護層140は、マイクロレンズ層130の上面132を覆う。遮蔽素子150は、複数の第1のフォトダイオード114と第2のフォトダイオード112からの干渉を回避するように構成されている。
【0035】
なお、前述の各要素の接続関係は繰り返さない。以下の説明では、他の種類のピクセルアレイについて説明する。
【0036】
図2Cは、本開示の他の実施形態に係るピクセルアレイ100aの上面図を示す。図2Dは、図2Cのピクセルアレイ100aの線分2D-2Dに沿った断面図を示す。図2C及び図2Dの両方を参照すると、ピクセルアレイ100aは、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つの間にグリッド125が無い点で、図2A及び図2Bに示すピクセルアレイ100と相違し、これにより、複数の第2のフォトダイオード112の光を吸収する効率を向上し得る。また、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つが併合している。
【0037】
図2E図2Hは、本開示のいくつかの実施形態によるピクセルアレイの上面図を示す。図2Eを参照すると、ピクセルアレイ100cはさらに、複数の第2の狭帯域フィルタ126を含む。複数の第2の狭帯域フィルタ126は、生データに従って第2の狭帯域情報を生成するように構成されている。第1のモデルユニット300(図1参照)は、さらに、点像分布関数のデータベースユニット200(図1参照)によって提供される複数の回折パターンのうちの別の1つに基づいて、第2の狭帯域情報からエッジ情報を再構築する。複数の第2の狭帯域フィルタ126は、第2の単一波長に対応し、かつ、第2の単一波長は、複数の回折パターンの他の1つに対応する波長と同じである。なお、複数の第2の狭帯域フィルタ126の第2のスペクトル線幅は5nm~70nmの範囲にあり、第1のスペクトル線幅とは異なる点に注意されたい。本実施形態では、複数のカラーフィルタ124のうちの1つは、複数の第1の狭帯域フィルタ122と複数の第2の狭帯域フィルタ126との間に位置している。図2Fを参照すると、ピクセルアレイ100dは、複数の第2の狭帯域フィルタ126が複数の第1の狭帯域フィルタ122に隣接している点で、図2Eに示されたピクセルアレイ100cと相違している。
【0038】
図2Gを参照すると、ピクセルアレイ100eは8x8アレイであり、ピクセルアレイ100eにおける複数の第1の狭帯域フィルタ122の面積率は、ピクセルアレイ100eにおける複数の第2の狭帯域フィルタ126の面積率と同じである。図2Hを参照すると、ピクセルアレイ100fは、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つの間にグリッドが無い点、および複数の第2の狭帯域フィルタ126の隣接する2つの間にグリッドが無い点で、図2Gに示すピクセルアレイ100eと相違している。また、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つが併合し、複数の第2の狭帯域フィルタ126の隣接する2つが併合している。
【0039】
図3A図3Cは、本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図を示す。図3Aを参照すると、ピクセルアレイ300aは6x6マトリックスであり、ピクセルアレイ300aにおける複数の第1の狭帯域フィルタ122の面積率は25%である。図3Bを参照すると、ピクセルアレイ300bは、複数の第1の狭帯域フィルタ122および複数のカラーフィルタ124を含む。本実施形態では、複数の第1の狭帯域フィルタ122は、複数のカラーフィルタ124に囲まれている。図3Cを参照すると、ピクセルアレイ300cは、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つの間にグリッドが無い点で、図3Bに示すピクセルアレイ300bと相違している。本実施形態では、ピクセルアレイ300cにおける複数の第1の狭帯域フィルタ122の面積率は約11%である。
【0040】
図4A図4Lは、本開示の他の実施形態によるピクセルアレイの上面図を示す。図4Aを参照すると、図4Aに示すピクセルアレイ400aは8x8マトリックスであり、ピクセルアレイ400aにおける複数の第1の狭帯域フィルタ122の面積率は25%である。図4Bを参照すると、ピクセルアレイ400bは、複数の第1の狭帯域フィルタ122および複数の第2の狭帯域フィルタ126を含む。ピクセルアレイ400bにおける複数の第1の狭帯域フィルタ122の面積率は、ピクセルアレイ400bにおける複数の第2の狭帯域フィルタ126の面積率と同じである。
【0041】
図4Cを参照すると、ピクセルアレイ400cは8x8アレイであり、ピクセルアレイ400cにおける複数の第1の狭帯域フィルタ122の面積率は約6.25%である。図4Dを参照すると、ピクセルアレイ400dは、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つの間にグリッドが無い点で、図4Cに示すピクセルアレイ400cと相違している。
【0042】
図4Eを参照すると、ピクセルアレイ400eは8x8アレイであり、複数の第1の狭帯域フィルタ122は、複数のカラーフィルタ124に囲まれている。図4Fを参照すると、ピクセルアレイ400fは、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つの間にグリッドが無い点で、図4Eに示すピクセルアレイ400eと相違している。
【0043】
図4Gを参照すると、ピクセルアレイ400gは8x8アレイであり、複数の第1の狭帯域フィルタ122及び第2の狭帯域フィルタ126を含む。本実施形態では、複数の第1の狭帯域フィルタ122及び第2の狭帯域フィルタ126は、複数のカラーフィルタ124に囲まれている。図4Hを参照すると、ピクセルアレイ400hは、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つの間にグリッドが無く、複数の第2の狭帯域フィルタ126の隣接する2つの間にグリッドが無い点で、図4Gに示すピクセルアレイ400gと相違している。
【0044】
図4Iを参照すると、ピクセルアレイ400iは、8x8アレイであり、複数の第1の狭帯域フィルタ122を含む。本実施形態では、複数の第1の狭帯域フィルタ122は、複数のカラーフィルタ124に囲まれている。図4Jを参照すると、ピクセルアレイ400jは、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つの間にグリッドが無い点で、図4Iに示すピクセルアレイ400iと相違している。
【0045】
図4Kを参照すると、ピクセルアレイ400kは8x8アレイであり、複数の第1の狭帯域フィルタ122および第2の狭帯域フィルタ126を含む。本実施形態では、複数のカラーフィルタ124は、複数の第1の狭帯域フィルタ122と第2の狭帯域フィルタ126との間に位置している。複数の第1の狭帯域フィルタ122および第2の狭帯域フィルタ126が、複数のカラーフィルタ124に囲まれている。図4Lを参照すると、ピクセルアレイ400lは、複数の第1の狭帯域フィルタ122の隣接する2つの間にグリッドが無く、かつ複数の第2の狭帯域フィルタ126の隣接する2つの間にグリッドが無い点で、図4Kに示すピクセルアレイ400kと相違している。
【0046】
以下の説明では、アンダーディスプレイカメラの操作方法について説明する。
【0047】
図5は、本開示の一実施形態によるアンダーディスプレイカメラシステムの操作方法のフローチャートを示す。アンダーディスプレイカメラシステムの操作方法には、以下に概説するようなステップが含まれる。ステップ510では、ピクセルアレイによって生データを提供する。ステップ520では、ピクセルアレイの複数の第1のフォトダイオード上にそれぞれ配置された複数のカラーフィルタにより、生データに従って色情報を生成する。ステップ530では、ピクセルアレイの複数の第2のフォトダイオード上にそれぞれ配置された複数の第1の狭帯域フィルタにより、生データに従って第1の狭帯域情報を生成する。ここで複数の第1の狭帯域フィルタのスペクトル線幅は5nm~70nmの範囲である。ステップ540では、点像分布関数のデータベースユニットによって提供される複数の回折パターンのうちの1つに基づいて、第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築する。ステップ550では、エッジ情報と色情報とを組み合わせることにより画像を取得する。以下の説明において、前述のステップを詳細に説明する。
【0048】
図6は、本開示の一実施形態による、異なる波長に対応する回折パターンの原理を示す。図7は、本開示の一実施形態による、狭帯域光と広帯域光との回折パターンの違いを示す。図6図7の両方を参照すると、回折によって画像の解像度が低下することは、画像復元における課題である。波長が異なると、図6に示すように同じ回折構造を用いたとしても、異なる回折パターンを生じ得る。例えば、光Lが孔Hを通過するとき、光Lは、赤色光と青色光に対応する異なる回折パターンを生成し得る。図7に狭帯域の回折パターンと広帯域の回折パターンの例を示す。全ての波長情報を合計すると、図7に示すように広帯域の回折パターンが生成される。広帯域の回折パターンでは、狭帯域の回折パターンと比較して、詳細情報が失われる。狭帯域の回折パターンには広帯域の回折パターンよりも多くの情報が含まれており、狭帯域の回折パターンは、全体的なパフォーマンスを向上させるため、より高い解像度で画像を復元することに役立つことができる。
【0049】
図8は、本開示の一実施形態によるアンダーディスプレイカメラシステムの操作に関する概略図を示す。図1図2Bおよび図8を参照すると、第1のモデルユニット300は、ディープニューラルネットワーク(DNN)であってもよい。ディープニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、リカレントニューラルネットワーク(RNN)や、その他の複数のタイプのニューラルネットワーク、および複数の最適化アルゴリズムと組み合わせることが考えられる。第1のモデルユニット300は、点像分布関数のデータベースユニット200に電気的に接続されている。第2のモデルユニット400は、ピクセルアレイ100と第1のモデルユニット300とに電気的に接続されている。
【0050】
ピクセルアレイ100は、第1の狭帯域情報を生成するように構成された複数の第1の狭帯域フィルタ122を含む。第1のモデルユニット300は、点像分布関数のデータベースユニット200によって提供される複数の回折パターンのうちの1つに基づいて、第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築できる。いくつかの実施形態では、複数の第1の狭帯域フィルタ122は、複数の回折パターンのうちの1つと同じ波長に対応する。また、第2のモデルユニット400は、画像を取得するために、エッジ情報と複数のカラーフィルタ124によって提供される色情報とを組み合わせることができる。第1のモデルユニット300と、複数の第1の狭帯域フィルタ122と、点像分布関数のデータベースユニット200との組み合わせにより回折の問題を解決することができるので、より高い解像度の画像が得られる。その結果、アンダーディスプレイカメラシステム10の性能が向上する。
【0051】
この方法はさらに、図2Eに示すようにピクセルアレイ100cの複数の第2の狭帯域フィルタ126により、生データに従って第2の狭帯域情報を生成することを含む。また、エッジ情報を再構築することは、さらに、複数の回折パターンのうちの別の1つに基づいて第2の狭帯域情報からエッジ情報を再構築することを含む。異なる回折パターンを、異なる波長に対応させることができる。第1の狭帯域情報と第2の狭帯域情報とを組み合わせることによって、第1のモデルユニット300で、より高解像度でエッジ情報を生成することができる。
【0052】
図8及び図9の両方を参照すると、図9は、本開示の一実施形態によるデータベースユニット200を構築する方法のフローチャートを示す。データベースユニット200の構築方法は、以下に概説するようなステップを含む。ステップ910では、ディスプレイをそれぞれ通過する複数の単一波長によって生成された複数の回折パターンのそれぞれにタグを付ける。ステップ920では、複数の回折パターンを保存する。例えば、単一波長がディスプレイを通過すると、その単一波長によって生成された回折パターンが保存され、複数の回折パターンはそれぞれ複数の単一波長のそれぞれに対応する。さらに、複数の第1の狭帯域フィルタ122(図2A参照)は、第1の単一波長に対応し、第1の単一波長は、複数の回折パターンのうちの1つに対応する波長と同じである。
【0053】
図8及び図10の両方を参照すると、図10は、本開示の一実施形態による第1のモデルユニット300を訓練する方法のフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、エッジ情報の再構築は、第1のモデルユニット300によって実行される。第1のモデルユニット300を訓練する方法は、以下に概説するようなステップを含む。ステップ1010では、ディスプレイを通過する単一波長によって生成される第1の画像と、点像分布関数の式に関連する第2の画像と、ディスプレイを通過させずに単一波長によって生成される第3の画像とを提供する。ステップ1020では、第1の画像と第2の画像とを組み合わせて第4の画像を再構築する。ステップ1030では、第3の画像を、第4の画像と比較する。ステップ1040では、第4の画像が第3の画像と実質的に類似していない場合は、式のフィッティングパラメータを調整する。第2の画像と組み合わされた第1の画像は、第1のモデルユニット300の入力とみなすことができ、第4の画像は、第1のモデルユニット300の出力とみなすことができる。第1のモデルユニット300は、第1の画像と第2の画像とを結合し、第4の画像が第3の画像と実質的に類似していない場合には、式のフィッティングパラメータを調整することにより、第4の画像の再構築方法を学習することができる。
【0054】
図2A図8及び図11を参照すると、図11は、本開示の一実施形態による第2のモデルユニット400を訓練する方法のフローチャートを示す。いくつかの実施形態では、画像の取得は、第2のモデルユニット400によって行われる。第2のモデルユニット400を訓練する方法は、以下に概説するようなステップを含む。ステップ1110では、第4の画像と、ディスプレイを通過する複数の波長によって生成される第5の画像と、ディスプレイを通過させずに複数の波長によって生成される第6の画像とを提供する。ステップ1120では、第4の画像と第5の画像とを組み合わせて第7の画像を再構築する。ステップ1130では、第6の画像を、第7の画像と比較する。第2のモデルユニット400は、第1のモデルユニット300とは異なる入力と出力を有する。例えば、第1のモデルユニット300の入力は、データベースユニット200によって提供される複数の回折パターンのうちの1つと、複数の第1の狭帯域フィルタ122によって提供される第1の狭帯域情報である。第2のモデルユニット400の入力は、第1のモデルユニット300によって供給されるエッジ情報と、複数のカラーフィルタ124によって提供される色情報である。第5の画像は、色情報を含んでいてもよく、第4の画像は、エッジ情報を含んでいてもよい。第2のモデルユニット400は、エッジ情報と色情報を組み合わせて第7の画像を再構築し、第6の画像と第7の画像とを比較することにより、画像の復元方法を学習することができる。
【0055】
以上のように、ピクセルアレイは、第1の狭帯域情報を生成するように構成された複数の第1の狭帯域フィルタを含む。複数の第1の狭帯域フィルタのスペクトル線幅は、5nm~70nmの範囲である。第1のモデルユニットは、点像分布関数のデータベースユニットによって提供される複数の回折パターンのうちの1つに基づいて、第1の狭帯域情報からエッジ情報を再構築できる。また、第2のモデルユニットは、画像を取得するために、エッジ情報と、複数のカラーフィルタによって提供される色情報とを組み合わせることができる。第1のモデルユニットと、複数の第1の狭帯域フィルタと、点像分布関数のデータベースユニットとの組み合わせにより、回折の問題を解決し得るため、より高い解像度の画像を取得できる。その結果、アンダーディスプレイカメラシステムの性能が向上する。
【0056】
上記は、当業者が本開示の態様をよりよく理解し得るように、いくつかの実施形態の特徴を概説している。当業者は、本明細書で紹介した実施形態の同じ目的を実行し、かつ/または同じ利点を達成するために、他のプロセスおよび構造を設計または修正するための基礎として、本開示を容易に使用し得ることを理解すべきである。当業者はまた、そのような同等の構成が本開示の精神および範囲から逸脱しないこと、および同業者が本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、および変更を行い得ることを認識すべきである。
【符号の説明】
【0057】
10 アンダーディスプレイカメラシステム
100、100a、100c、100d、100e、100f、300a、300b、300c、400a、400b、400c、400d、400e、400f、400g、400h、400i、400j、400k、400l ピクセルアレイ
112 第2のフォトダイオード
114 第1のフォトダイオード
121 第1の部分
122 第1の狭帯域フィルタ
123 第2の部分
124 カラーフィルタ
126 第2の狭帯域フィルタ
200 データベースユニット
300 第1のモデルユニット
400 第2のモデルユニット
510、520、530、540、550、910、920、1010、1020、1030、1040、1110、1120、1130 ステップ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11