(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】無負荷運転検出方法及び装置、無負荷運転保護方法及び装置、アトマイザー
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20240105BHJP
B05B 17/06 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
A61M11/00 300Z
B05B17/06
(21)【出願番号】P 2022130973
(22)【出願日】2022-08-19
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】202110960632.2
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522331161
【氏名又は名称】深▲せん▼摩尓霧化健康医療科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Moore Vaporization Health & Medical Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】陽勝
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/026288(WO,A1)
【文献】特表2015-536167(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113030604(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111596581(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
B05B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無負荷運転検出方法であって、
アトマイザーに適用されており、
霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する前記霧化パラメータの分散を計算するステップと、
前記分散が前記霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップと、を含み、
前記サンプル平均値は、前記アトマイザーの霧化安定段階における霧化パラメータのレベルを特徴付け得る値であり、
前記分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とを区別するためのものであ
り、
前記霧化パラメータの分散s
2
は、
【数1】
(式中、x
1
、x
2
、・・・、x
n
は、n回目のサンプリングで得られた霧化パラメータであり、nは1よりも大きく、Mは、前記サンプル平均値である)に従って計算される、ことを特徴とする無負荷運転検出方法。
【請求項2】
前記霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する前記霧化パラメータの分散を計算するステップは、
第1プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得し、サンプル平均値に対する各サンプリング時刻での霧化パラメータの分散を計算するステップを含み、
第2プリセットサンプリング期間は、複数の独立した第1プリセットサンプリング期間を含み、前記分散が前記霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップは、
第2プリセットサンプリング期間における各第1プリセットサンプリング期間にサンプリングされた霧化パラメータに対応する分散の平均値を計算するステップと、
前記分散の平均値が前記分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の無負荷運転検出方法。
【請求項3】
前記霧化パラメータは、霧化電流及び/又は霧化電圧ピーク値及び/又は霧化パワーを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の無負荷運転検出方法。
【請求項4】
前記分散が前記霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップは、
前記分散が前記霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、掃引段階での前記霧化シートの実際の掃引曲線を取得するステップと、
前記実際の掃引曲線がプリセット掃引曲線とマッチングしない場合、前記霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップと、を含み、
前記実際の掃引曲線は、前記霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの霧化パラメータの変化を反映するデータであり、
前記プリセット掃引曲線は、前記霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの電流変化のロジスティック曲線モデルである、ことを特徴とする請求項1に記載の無負荷運転検出方法。
【請求項5】
霧化安定段階における霧化パラメータを取得し、前記霧化安定段階における霧化パラメータに従って前記サンプル平均値を確定するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の無負荷運転検出方法。
【請求項6】
前記霧化安定段階における霧化パラメータを取得し、前記霧化安定段階における霧化パラメータに従って前記サンプル平均値を確定するステップは、
霧化安定段階における第3プリセットサンプリング期間に、複数の霧化パラメータをサンプリングするステップと、
前記複数の霧化パラメータの平均値を計算し、前記平均値をサンプル平均値とするステップと、を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の無負荷運転検出方法。
【請求項7】
前記霧化安定段階における霧化パラメータを取得するステップの前には、
第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得するステップと、
前記第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータがプリセット変動範囲において変化した場合、霧化安定段階にあると判定するステップと、含む、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の無負荷運転検出方法。
【請求項8】
無負荷運転検出装置であって、
アトマイザーに適用されており、
霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する前記霧化パラメータの分散を計算するように構成された分散計算モジュールと、
前記分散が分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するように構成された無負荷運転判定モジュールと、を含み、
前記サンプル平均値は、前記アトマイザーの霧化安定段階における霧化パラメータのレベルを特徴付け得る値であり、
前記分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とを区別するためのものであ
り、
前記霧化パラメータの分散s
2
は、
【数2】
(式中、x
1
、x
2
、・・・、x
n
は、n回目のサンプリングで得られた霧化パラメータであり、nは1よりも大きく、Mは、前記サンプル平均値である)に従って計算される、ことを特徴とする無負荷運転検出装置。
【請求項9】
アトマイザーであって、
霧化対象液を霧化するように構成された霧化シートと、
前記霧化シートの霧化パラメータをサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、
前記霧化シート及び前記サンプリング回路にそれぞれ電気的に接続され、前記霧化シートを駆動して振動させることにより前記霧化シートで前記霧化対象液を霧化するように構成され、かつ、請求項1~4のいずれか1項に記載の無負荷運転検出方法のステップを実行するように構成されたコントローラと、を含む、ことを特徴とするアトマイザー。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記霧化シートを駆動して振動させることにより前記霧化シートで前記霧化対象液を霧化するように構成された駆動回路と、
前記駆動回路に接続され、前記駆動回路から前記霧化シートに出力される信号を調整、制御するように構成されたプロセッサと、を含む、ことを特徴とする請求項9に記載のアトマイザー。
【請求項11】
前記霧化パラメータは、霧化電流及び/又は霧化電圧ピーク値及び/又は霧化パワーを含み、
前記サンプリング回路は、
入力端が前記霧化シートに電気的に接続され、出力端が前記プロセッサに接続され、霧化電流をサンプリングするように構成された第1電流サンプリング回路、及び/又は
入力端が前記駆動回路の出力端に接続され、出力端が前記プロセッサに接続され、前記霧化電圧ピーク値をサンプリングするように構成された霧化電圧ピーク値サンプリング回路、及び/又は
入力端が霧化に給電する電源に接続され、出力端が前記プロセッサに接続され、霧化入力電圧をサンプリングするように構成された電圧サンプリング回路と、入力端が前記電源と前記駆動回路との間に直列に接続され、霧化入力電流をサンプリングするように構成された第2電流サンプリング回路と、を含み、
前記プロセッサは、さらに、前記霧化入力電圧及び前記霧化入力電流に基づいて前記霧化パワーを計算して取得するように構成されている、ことを特徴とする請求項10に記載のアトマイザー。
【請求項12】
前記霧化対象液を収容するように構成され、内部に前記霧化シートが設けられた霧化チャンバと、
前記霧化対象液を貯蔵するように構成されて前記霧化チャンバと連通している液体貯蔵チャンバが形成された液体貯蔵部と、をさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載のアトマイザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化技術分野に関し、特に、アトマイザーに適用される無負荷運転検出方法及び装置、無負荷運転保護方法及び装置、アトマイザー並びにコンピュータデバイス及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
生活水準の継続的な改善につれて、美容医療業界はますます急速に発展しており、アトマイザーは美容効果の改善に役立つ。例えば、アトマイザーでエッセンスの冷ミストを発生させる場合、エッセンスを100%揮散させるとともにエッセンスにおける活性成分を維持することができるので、エッセンスが人体に吸収されやすくなり、最大限の効果を発揮することができる。
【0003】
当該アトマイザーは、使用中にエッセンスが存在する場合のみに正常に霧化可能であるので、エッセンスが不足の状態で無負荷運転の問題が発生する。従来のアトマイザーは、無負荷運転を防止するために、電極法でエッセンスが不足しているかどうかを検出することが一般的であり、その原理は、電極がエッセンスを介して霧化シートの負極と導通して電極の電気的変化を検出することにより当該アトマイザーにエッセンスが不足しているかどうかを判断するのが原理である。
【0004】
従来のアトマイザーは、無負荷運転を防止するために、電極を導入することによりエッセンスが不足しているかどうかを検出する必要があり、構造、材質及びハードウェア回路などの影響を受けるので、実際の効果がよくない。
【発明の概要】
【0005】
このようなことに鑑みて、上記の技術的課題に対して、簡単に実現することが可能であり、かつ気泡による影響を排除できる高精度の無負荷運転検出方法及び装置、アトマイザー及びコンピュータデバイスを提供する必要がある。
【0006】
本発明の実施形態の一態様は、無負荷運転検出方法であって、
アトマイザーに適用されており、
霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する霧化パラメータの分散を計算するステップと、
分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップと、を含み、
前記サンプル平均値は、アトマイザーの霧化安定段階における霧化パラメータのレベルを特徴付け得る値であり、
前記分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とを区別するためのものである、無負荷運転検出方法を提供する。
【0007】
本発明の実施形態に係る無負荷運転検出方法では、霧化シートの霧化パラメータを取得し、その霧化パラメータに基づいて対応する分散を計算し、当該分散値を分散プリセット値と比較し、分散値が分散プリセット値よりも大きい場合、このときに霧化シートの無負荷運転によって霧化パラメータの大きな変化を引き起こし、すなわち、霧化シートに無負荷運転の現象が存在すると判定する。このように、実施プロセスに追加のハードウェアを必要とせず、実施が迅速かつ便利であり、また、エッセンスなどの液体ゾル媒質自体の特性、構造などの影響を十分に考慮して、霧化中に気泡が発生することがあり、そして、気泡の発生した瞬間にも霧化パラメータの変動を引き起こす。このような干渉要素に対して、本発明の実施形態に係る解決策は、上記分散の計算で、気泡によって引き起こされる霧化パラメータの変動と無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動との差異を増大させることができる。また、このような非霧化無負荷運転の場合に対応する霧化パラメータの分散と霧化無負荷運転の場合に対応する霧化パラメータの分散との間における値を分散プリセット値として選択することにより、無負荷運転検出を行うときに、実際に得られた霧化パラメータに対応する分散と当該分散プリセット値とを比較することで無負荷運転判定を迅速に実施することができる。そして、このような検出方法は、非霧化無負荷運転の場合に引き起こされる霧化パラメータの変動による検出結果への干渉を十分に排除することができ、霧化無負荷運転の識別精度を向上することができる。
【0008】
一実施形態では、前記霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する霧化パラメータの分散を計算するステップは、第1プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得し、サンプル平均値に対する各サンプリング時刻での霧化パラメータの分散を計算するステップを含み、
第2プリセットサンプリング期間は、複数の独立した第1プリセットサンプリング期間を含み、前記分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップは、
第2プリセットサンプリング期間における各第1プリセットサンプリング期間にサンプリングされた霧化パラメータに対応する分散の平均値を計算するステップと、
前記分散の平均値が前記分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップと、を含む。
【0009】
一実施形態では、霧化パラメータは、霧化電流及び/又は霧化電圧ピーク値及び/又は霧化パワーを含む。
【0010】
一実施形態では、前記分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップは、
分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、掃引段階での霧化シートの実際の掃引曲線を取得するステップと、
実際の掃引曲線がプリセット掃引曲線とマッチングしない場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップと、を含み、
実際の掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの霧化パラメータの変化を反映するデータであり、
プリセット掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの電流変化のロジスティック曲線モデルである。
【0011】
一実施形態では、無負荷運転検出方法は、霧化安定段階における霧化パラメータを取得し、霧化安定段階における霧化パラメータに従ってサンプル平均値を確定するステップをさらに含む。
【0012】
一実施形態では、前記霧化安定段階における霧化パラメータを取得し、霧化安定段階における霧化パラメータに従ってサンプル平均値を確定するステップは、
霧化安定段階における第3プリセットサンプリング期間に、複数の霧化パラメータをサンプリングするステップと、
複数の霧化パラメータの平均値を計算し、その平均値をサンプル平均値とするステップと、を含む。
【0013】
一実施形態では、前記霧化安定段階における霧化パラメータを取得するステップの前には、
第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得するステップと、
第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータがプリセット変動範囲において変化した場合、霧化安定段階にあると判定するステップと、含む。
【0014】
一方、本発明の実施形態は、無負荷運転検出装置であって、
アトマイザーに適用されており、
霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する霧化パラメータの分散を計算するように構成された分散計算モジュールと、
分散が分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するように構成された無負荷運転判定モジュールと、を含み、
前記サンプル平均値は、アトマイザーの霧化安定段階における霧化パラメータのレベルを特徴付け得る値であり、
前記分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とを区別するためのものである、無負荷運転検出装置をさらに提供する。
【0015】
本発明の実施形態は、アトマイザーであって、
霧化対象液を霧化するように構成された霧化シートと、
霧化シートの霧化パラメータをサンプリングするように構成されたサンプリング回路と、
霧化シート及びサンプリング回路にそれぞれ電気的に接続され、霧化シートを駆動して振動させることにより霧化シートで霧化対象液を霧化するように構成され、かつ、前記無負荷運転検出方法のステップ及び/又は前記無負荷運転保護方法のステップを実行するように構成されたコントローラと、を含む、アトマイザーを提供する。
【0016】
一実施形態では、当該アトマイザーにおけるコントローラは、
霧化シートを駆動して振動させることにより霧化シートで霧化対象液を霧化するように構成された駆動回路と、
駆動回路に接続され、駆動回路から霧化シートに出力される信号を調整、制御するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0017】
一実施形態では、前記霧化パラメータは、霧化電流及び/又は霧化電圧ピーク値及び/又は霧化パワーを含み、
サンプリング回路は、
入力端が霧化シートに電気的に接続され、出力端がプロセッサに接続され、霧化電流をサンプリングするように構成された第1電流サンプリング回路、及び/又は
入力端が駆動回路の出力端に接続され、出力端がプロセッサに接続され、霧化電圧ピーク値をサンプリングするように構成された霧化電圧ピーク値サンプリング回路、及び/又は
入力端が霧化に給電する電源に接続され、出力端がプロセッサに接続され、霧化入力電圧をサンプリングするように構成された電圧サンプリング回路と、入力端が電源と駆動回路との間に直列に接続され、霧化入力電流をサンプリングするように構成された第2電流サンプリング回路と、を含み、
プロセッサは、さらに、霧化入力電圧及び霧化入力電流に基づいて霧化パワーを計算して取得するように構成されている。
【0018】
一実施形態では、アトマイザーは、
霧化対象液を収容するように構成され、内部に霧化シートが設けられた霧化チャンバと、
霧化対象液を貯蔵するように構成されて霧化チャンバと連通している液体貯蔵チャンバが形成された液体貯蔵部と、をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、本発明の実施形態又は従来技術における技術的構成をより明確に説明するために、実施形態又は従来技術の説明に必要な図面について簡単に述べる。下記の説明に係る図面は、本発明のいくつかの実施形態に過ぎず、当業者にとって、創造的な努力なしにこれらの図面により他の図面を得ることは明らかである。
【
図1】
図1は、一実施形態におけるアトマイザーの構造概略図である。
【
図2】
図2は、一実施形態における無負荷運転検出方法のフロー概略図である。
【
図3】
図3は、別の実施形態における無負荷運転検出方法のフロー概略図である。
【
図4a】
図4a(1)は、一実施形態において気泡の影響により生成する霧化電流の概略図であり、
図4a(2)は、
図4b(1)における霧化電流が分散計算された信号概略図である。
【
図4b】
図4b(1)は、一実施形態における霧化シートの無負荷運転の影響により生成する霧化電流の概略図であり、
図4b(2)は、
図4b(1)における霧化電流の分散計算後の信号概略図である。
【
図4c】
図4cは、
図4a(2)及び4b(2)における分散による霧化電流信号の比較概略図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態実施形態における無負荷運転検出方法のフロー概略図である。
【
図6】
図6は、一実施形態における無負荷運転検出装置及び無負荷運転保護装置の構造ブロック図である。
【
図7】
図7は、一実施形態における無負荷運転保護方法のフロー概略図である。
【
図8】
図8は、別の実施形態におけるアトマイザーの構造概略図である。
【
図9】
図9は、一実施形態におけるコンピュータデバイスの内部構造ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を容易に理解するために、添付図面を参照して本発明をより十分に説明する。添付図面では、本発明の好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されず、多くの異なる形態で具現化することができる。むしろ、これらの実施形態は、本発明の開示をより徹底的かつ包括的にするように提供されている。
【0021】
本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、別段の明記がない限り、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0022】
本明細書で使用される「第1」、「第2」などの用語は、本明細書において様々な期間を説明するために使用され得るが、これらの期間はこれらの用語によって限定されないことが理解される。これらの用語は、1つの期間を別の期間と区別するためにのみ使用される。
【0023】
なお、1つの素子が別の素子に「接続される」と認められる場合、その素子が別の素子に直接に接続されてもよく、その素子と別の素子の間に介在素子が存在してもよい。また、以下の実施形態における「接続」は、接続された対象同士の間で電気信号又はデータの伝送が存在する場合、「電気的に接続」、「通信接続」などとして理解されるべきである。
【0024】
本明細書で使用される場合、別段の明記がない限り、単数形の、「1」、「1つ」及び「前記/当該」は、複数形を含み得る。さらに、用語「備える/含む」及び/又は「有する」などは、記載された特徴、全体、ステップ、操作、コンポーネント、部分、又はそれらの組み合わせの存在を示すものであるが、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、操作、コンポーネント、部分、又はそれらの組み合わせの存在若しくは追加の可能性を排除するものではない。同時に、本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの任意及び全ての組合せを含む。
【0025】
背景技術に言及した問題点を考慮して、例示的な技術では、通常霧化時に霧化シートの平均霧化パラメータを取得することにより、上限閾値及び下限閾値を設定する。そして、アトマイザーの後続の作動中に、実際の霧化シートの霧化パラメータが当該上限閾値及び下限閾値を超えるか否かを監視することにより、霧化シートが無負荷運転状態になるか否かを判定し、霧化パラメータが当該上限閾値及び下限閾値によって決定された範囲を超える場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する。
【0026】
しかしながら、本発明者は、実際の使用にあたって、ミストで美容ケアを行う場合にエッセンス自体の特性、構造などの因子の影響により霧化中に気泡が発生することがあり、このとき、霧化パラメータ(例えば、電流、パワー、霧化シート電圧ピーク値)が気泡の発生した瞬間に比較的大きく増減するが、気泡が消えた後に通常動作のレベルに戻ることを発見した。このように、気泡が発生する場合、霧化パラメータの瞬時値が設定された上限閾値及び下限閾値によって決定される範囲を超える可能性があり、霧化中に気泡が頻繁に発生すると無負荷運転検出の誤認を引き起こしやすくなり、つまり、霧化無負荷運転検出結果の信頼性が低くなる。
【0027】
これに対して、一実施形態では、
図1に示すように、アトマイザーに適用できる無負荷運転検出方法を提供する。霧化の制御を実現するために、アトマイザーは、一般に、コントローラ120と、霧化シート140と、サンプリング回路160とを含む。コントローラ120は、PWM(Pulse width modulation,パルス幅変調)駆動信号を出力して霧化シート140を作動させるように構成されている。霧化シート140は、コントローラ120によって駆動されて霧化対象液(例えば、薬液やエッセンスなど)を霧化する。サンプリング回路160は、霧化シート140を流れる電流、コントローラ120によって霧化シート140に作用する電圧ピーク値、又はアトマイザー電源によって霧化に提供される入力パワーなどのパラメータのうち少なくとも1つを収集してコントローラ120にフィードバックすることにより、出力されたPWM駆動信号をコントローラ120で霧化パラメータに従って調整、制御するように構成されている。
図1には霧化制御を実現するための主要な部材のみを示しており、アトマイザーの機能上の必要に応じてより多くの部材が含まれ得ることが当業者に理解される。
図1は、以下の実施形態における無負荷運転検出方法及び無負荷運転保護方法を容易に理解するための参考用のものに過ぎず、対応する方法を実施するアトマイザーの構成を限定するものではない。
【0028】
一実施形態では、
図3に示すように、無負荷運転検出方法は、下記のステップS200、S400を含む。
【0029】
S200:霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する霧化パラメータの分散を計算する。ここで、サンプル平均値は、アトマイザーの霧化安定段階における霧化パラメータのレベルを特徴付け得る値である。
【0030】
ここで、アトマイザーとは、霧化対象液を霧化できるデバイスを指す。霧化シートは、電気信号の駆動下で振動可能であり、このような高周波振動によって霧化シートと接触した霧化対象液の分子構造を破壊して微細な霧液滴を生成する。アトマイザーの通常動作時の霧化パラメータと比較してアトマイザーの動作中の霧化パラメータの変化情况を検出することにより、霧化無負荷運転の判断を最終的に実現することができ、つまり、アトマイザーの通常動作時の霧化パラメータは、無負荷運転検出のための非常に重要な参考基準を提供する。これに基づいて、アトマイザーの霧化安定段階におけるアトマイザーパラメータを取得することにより、アトマイザーの通常動作時の霧化パラメータのレベルを反映できる値をサンプル平均値として確定し、無負荷運転検出にデータを提供することができる。
【0031】
S400:分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する。ここて、分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とを区別するためのものである。
【0032】
ここで、分散とは、霧化パラメータに対応する分散を指し、つまり、リアルタイムでサンプリングされた各霧化パラメータとサンプル平均値との偏差の二乗和の平均数を指す。無負荷運転検出を行うときにn個の霧化パラメータを実際にサンプリングされた場合、霧化パラメータに対応する分散s2は、以下の公式に従って計算することができる。
【0033】
【0034】
式中、x1、x2、・・・、xnは、n回目のサンプリングで得られた霧化パラメータであり、ここで、nは1以上である。Mは、サンプル平均値である。この分散は、サンプル平均値からの実際の霧化パラメータの偏差度合いを示すために使用できる。本発明者は、研究及び試験に基づいて、非霧化無負荷運転時の霧化パラメータと比較して、無負荷運転時の霧化パラメータの、サンプル平均値からの偏差度合いが大きくなることを発見し、そして、その差異性を利用して霧化無負荷運転検出を実現した。
【0035】
霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とは、霧化シートが無負荷運転状態になったときに引き起こされる霧化パラメータの変動を指す。非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とは、霧化シートの無負荷運転以外の要因によって引き起こされる霧化パラメータの変動、例えば、霧化シートがエッセンスを霧化するときにエッセンスで気泡が生成した瞬間に引き起こされる霧化パラメータの変動を指す。
【0036】
具体的に、アトマイザー作動時に、霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、その霧化パラメータに基づいて対応する分散を計算し、当該分散値を分散プリセット値と比較し、分散値が分散プリセット値よりも大きい場合、このときに霧化シートの無負荷運転によって霧化パラメータの大きな変化を引き起こし、すなわち、霧化シートに無負荷運転の現象が存在すると判定する。このように実施プロセスに追加のハードウェアを必要とせず、実施が迅速かつ便利であり、また、エッセンスなどの液体ゾル媒質自体の特性、構造などの影響を十分に考慮して、霧化中に気泡が発生することがあり、そして、気泡の発生した瞬間にも霧化パラメータの変動を引き起こす。このような干渉要素に対して、本発明の実施形態に係る解決策は、上記分散の計算で、気泡によって引き起こされる霧化パラメータの変動と無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動との差異を増大させることができる。また、このような非霧化無負荷運転の場合に対応する霧化パラメータの分散と霧化無負荷運転の場合に対応する霧化パラメータの分散との間における値を分散プリセット値として選択することにより、無負荷運転検出を行うときに、実際に得られた霧化パラメータに対応する分散と当該分散プリセット値とを比較することで無負荷運転判定を迅速に実施することができる。そして、このような検出方法は、非霧化無負荷運転の場合に引き起こされる霧化パラメータの変動による検出結果への干渉を十分に排除することができ、霧化無負荷運転の識別精度を向上することができる。
【0037】
このような霧化無負荷運転の正確な識別結果に基づいて、無負荷運転警報や無負荷運転停止などの保護動作を合理的に実行することができ、長期間の無負荷運転によるアトマイザーにおける各部品の損傷や安全事故の発生を回避することができる。
【0038】
一実施形態では、分散プリセット値を取得するステップは、
霧化シート無負荷運転時の霧化パラメータを取得し、霧化シート無負荷運転時の霧化パラメータに対応する無負荷運転信号分散を計算するステップと、
霧化シートが霧化対象液に接触して気泡を発生させるときの霧化パラメータを取得し、霧化シートが霧化対象液に接触して気泡を発生させた瞬間に生成される霧化パラメータに対応する気泡信号分散を計算するステップと、
当該気泡信号分散よりも大きくかつ当該無負荷運転信号分散よりも小さい値を分散プリセット値として選択するステップと、を含む。
【0039】
ここで、霧化対象液は、アトマイザーが実際に使用されるときの気泡信号分散を測定するために、アトマイザーの実際的な使用シナリオによって選択するこができ、このように、アトマイザーの後続の実際使用中においてよりターゲットを絞った分散プリセット値を無負荷運転検出に提供することができる。例えば、アトマイザーが美容業界で使用される場合、一般的な使用シナリオでは、アトマイザーによってエッセンスを霧化することが多く、すなわち、エッセンスを霧化対象液として選択して上記気泡信号分散を取得することができる。このように、美容院でアトマイザーによってエッセンスを霧化する場合、選択される分散プリセット値は当該霧化対象液に対して確定された値であるので、アトマイザーは、上記無負荷運転検出方法のステップを実行することにより、無負荷運転が発生するか否かを迅速かつ正確に判断することができる。このような正確な検出結果に基づいて、無負荷運転時に無負荷運転警報や無負荷運転停止などの無負荷運転保護動作をより合理的に実行することができる。
【0040】
一実施形態では、分散プリセット値を確定するときに、複数回の試験を行った後、各試験で得られた気泡信号分散よりも大きくかつ各試験で得られた無負荷運転信号分散よりも小さい値を分散プリセット値として選択する。このように、1回の試験での偶然性によって引き起こされる分散プリセット値の不当な設定の問題を回避することができる。
【0041】
また、一実施形態では、分散プリセット値を確定するときに、アトマイザーの使用シナリオでよく使用される霧化対象液によって、それぞれの霧化対象液に対して上記実施形態における複数回の試験を実施し、各霧化対象液の試験時の気泡信号分散及び無負荷運転信号分散を取得することにより、そのシナリオで各霧化対象液の試験で得られた気泡信号分散よりも大きくかつ各霧化対象液の試験で得られた無負荷運転信号分散よりも小さい値を分散プリセット値として確定する。このように、当該無負荷運転検出方法を実行するアトマイザーは、選択された使用シナリオで使用されるときに様々な種類の霧化対象液に対しても無負荷運転判定を正確に実施することができる。例えば、美容院で使用する場合、試験中に様々なエッセンス製品の無負荷運転信号分散及び気泡信号分散をテストして取得することにより分散プリセット値を確定することができ、これにより、美容院で異なる使用者に異なるブランドのエッセンスを使用する場合、アトマイザーは、上記無負荷運転検出方法のステップを実行することにより、霧化シートの無負荷運転を正確に検出することを保証できる。
【0042】
一実施形態では、
図3に示すように、霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する霧化パラメータの分散を計算するステップS200は、下記のステップS220を含む。
【0043】
S220:第1プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得し、サンプル平均値に対する各サンプリング時刻での霧化パラメータの分散を計算する。ここで、第1プリセットサンプリング期間の設定は、具体的な使用シナリオに応じて、例えば、15s、適当に調整され得る。霧化プロセスにおける霧化パラメータが継続的に取得されてもよいが、計算効率を向上させるために、第1プリセットサンプリング期間に複数のサンプリング点を設定し、各サンプリング点で収集されたデータに基づいて分散を計算することにより、計算効率を向上させ、さらに、無負荷運転判定の効率を向上することができる。
【0044】
第2プリセットサンプリング期間は、複数の独立した第1プリセットサンプリング期間を含み、前記分散が前記霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップS400は、下記のステップS420、S440を含む。
【0045】
S420:第2プリセットサンプリング期間における各第1プリセットサンプリング期間にサンプリングされた霧化パラメータに対応する分散の平均値を計算する。第2プリセットサンプリング期間は、少なくとも1つの第1プリセットサンプリング期間を含む。例えば、第2プリセットサンプリング期間は、4つの第1プリセットサンプリング期間を含み、第2プリセットサンプリング期間が40sであり、各第1プリセットサンプリング期間が8sであり、2つの隣接する第1プリセットサンプリング期間の時間間隔が2sであり、第1プリセットサンプリング期間内に2秒ごとに1回のサンプリングを実行し、合計4回のサンプリングを実行することができる。
【0046】
S440:前記分散の平均値が前記分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する。
【0047】
本発明の実施形態に係る無負荷運転検出方法では、第1プリセットサンプリング期間に複数回のサンプリングを行って、第1プリセット期間にサンプリングされた各霧化パラメータの分散を計算して取得することにより、1回の試験での偶然性によって引き起こされる低信頼度の問題を排除する。また、第2プリセットサンプリング期間に少なくとも1回のサンプリング、例えば、上記のような4回の第1プリセットサンプリング期間におけるパラメータのサンプリングを行って、第2プリセットサンプリング期間に得られた複数の分散を総合して分散の平均値を算出することにより、第1プリセットサンプリング期間における偶然の事件の発生による誤検出を回避することができる。最終的に、当該分散の平均値を分散プリセット値と比較して、当該平均値が当該分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する。この設計思想に基づいて、当該無負荷運転検出方法のステップを実行するアトマイザーは、霧化シートの無負荷運転検出を正確に実施し、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するときに、例えば、音声/光アラーム、停電保護などが含まれる無負荷運転保護動作を実行することができる。
【0048】
一実施形態では、霧化パラメータは、霧化電流、霧化電圧ピーク値、又は霧化パワーを含む。ここで、霧化電流とは、霧化シートを通過する電流信号を指す。霧化電圧ピーク値とは、霧化シートに入力された電圧信号のピーク値を指す。霧化パワーとは、アトマイザーに給電する電源によって、アトマイザーに供給された入力電圧及び入力電流に対応するパワーを指す。異なる霧化パラメータが選択される場合、上記分散プリセット値もそれに応じて変化する。例えば、霧化電流を霧化パラメータとして選択することにより無負荷運転検出を行う場合、当該霧化パラメータに対応する分散プリセット値は、霧化電流に対応するプリセット値を指す。つまり、当該分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化電流の変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化電流の変動を区別可能な値である。それに対応して、上記の実施形態で説明されたステップによりその分散プリセット値を確定する場合には、サンプリングされた霧化パラメータも霧化電流である。
【0049】
一実施形態では、前記分散が前記分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップは、霧化パラメータのいずれかに対応する分散が前記分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップを含む。
【0050】
一実施形態では、前記分散の平均値が前記分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップは、霧化パラメータのいずれかに対応する分散の平均値が前記分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップを含む。複数の霧化パラメータが存在する場合、霧化パラメータのいずれかに対応する分散又は分散の平均値が分散プリセット値よりも大きいことが検出されると、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定することができる。このように、霧化パラメータを取得するチャネルのいずれかに障害が発生した場合であっても、無負荷運転検出の有効性を保証することができ、無負荷運転検出の信頼性を向上することができるので、この無負荷運転検出方法に基づいて実現される無負荷運転保護もより信頼性が高い。
【0051】
本発明の実施形態に係る無負荷運転検出方法の実施プロセスをより明確に説明するために、ここで、霧化パラメータが霧化電流である場合を例として説明する。なお、ここでの例示は、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0052】
一定の期間にサンプリングされた霧化電流とサンプル平均値(すなわち、電流平均値)の分散を計算し、電流平均値のサンプリングが完了した後、後続のサンプリングされた電流と電流平均値の分散を計算する。ここで、電流平均値とは、霧化が安定状態にあるときにサンプリングされた一定の期間における電流平均値である。
【0053】
図4a(1)及び
図4b(1)に示すように、ある閾値1を選択して無負荷運転判断を行うときに、A1、B1の2つの曲線はそれぞれ気泡信号、無負荷運転信号の曲線を表し、2つの曲線の変化幅に大差がないので、電流閾値(すなわち、図示中の閾値1)で霧化無負荷運転であるか否かを判断すると、両方の信号が閾値1を超えているため、気泡信号によってこのような変動を引き起こす場合であっても、無負荷運転と判定して誤検出を引き起こす。
【0054】
図4a(2)、
図4b(2)に示すように、曲線A2、B2は、気泡信号A1、無負荷運転信号B1の分散をそれぞれ算出して得られた曲線であり、曲線A2、B2の2つの状況を比較して
図4cが得られる。
図4cにおける曲線C1から、両方の霧化電流の分散曲線の変化幅の差異は、霧化電流曲線の変化幅の差異と比較して大幅に向上する(例えば、C1で3倍以上に達する)ことが分かる。実測データにより、2つの幅間のある値を分散プリセット値として設定できるので、A1の信号が気泡信号であり、B1信号が無負荷運転信号であることが正確に識別でき、つまり、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動であるか否かを判定でき、そして、分散が当該分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定することができる。
【0055】
美容用アトマイザーを例として、電流の変化幅がほぼ同じである場合、無負荷運転による変化後の霧化電流(ここで、無負荷運転信号とも呼ばれる)を計算して得られた無負荷運転信号の分散曲線は、エッセンス霧化時に発生した気泡によって瞬間に引き起こされる変化後の霧化電流(ここで、気泡信号とも呼ばれる)の分散曲線と比較して、変化幅が大幅に高くなる(例えば、2倍以上に達する可能性があり、
図4cではさらに3倍以上に達する)。このように、無負荷運転信号と気泡信号の区別がより明確になり、システムの無負荷運転の識別精度が向上する。
【0056】
具体的な作動実施プロセスは、以下の通りである。アトマイザーの霧化が安定した後、霧化電流(例えば、第3プリセットサンプリング期間に20個のデータを収集できる)をサンプリングし、その平均値I0を分散計算の電流サンプル平均値として計算する。例えば、一定の期間における霧化電流の変動を検出することができ、変動幅が安定すれば霧化が安定しているとみなされる。例えば、従来のアトマイザーでは、気泡のない通常動作時の変動範囲が±5%を超えることはないので、霧化電流の変動が±5%の範囲を超えない場合に霧化安定段階に入ったと判定して、この段階におけるサンプリングされた霧化電流に基づいてサンプル平均値を計算することができる。
【0057】
アトマイザーの実際の使用中に、霧化電流Inkをサンプリングし続けて、各サンプリング点における霧化電流の分散Pnkを計算する。計算式は次の通りである。
【0058】
【0059】
式中、Pnkは、k個目の第1プリセットサンプリング期間にn個の霧化パラメータをサンプリングして得られた分散値を表する。Inkは、k個目の第1プリセットサンプリング期間にn個目のサンプリング点での霧化電流を表する。ここで、n=1,2,…,Nであり、Nは単一の第1プリセットサンプリング期間におけるサンプリング回数を表し、例えば、Nは20であってもよい。
【0060】
【0061】
【0062】
分散の平均値Pvが分散プリセット値を超える場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判断する。
【0063】
霧化電圧ピーク値、霧化パワーなどの他の霧化パラメータの実施プロセスは、上記のような霧化電流の説明を参照して理解することができ、ここで、詳しい説明を省略する。
【0064】
一実施形態では、
図5に示すように、無負荷運転検出結果の精度及び信頼性をさらに向上させるために、前記分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するステップS400は、下記のステップS460、S480を含む。
【0065】
S460:分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、掃引段階での霧化シートの実際の掃引曲線を取得する。ここで、実際の掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの霧化パラメータの変化を反映するデータである。掃引段階は、霧化シートの共振周波数を取得するための予備作動段階であり、プリセット周波数範囲に従って霧化シートを様々な周波数で作動させるように制御することにより、霧化シートの共振周波数を確定する。霧化シートは、共振周波数で作動するときに最大の霧化量を得ることができる。
【0066】
S480:実際の掃引曲線がプリセット掃引曲線とマッチングしない場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する。ここで、プリセット掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの電流変化のロジスティック曲線モデルである。プリセット掃引曲線は、無負荷運転が発生しない通常動作の状態において、霧化シートがプリセット周波数範囲における様々な周波数で作動するときに霧化シートを流れる電流値の変化のロジスティック曲線モデルである。ここで、ロジスティック曲線モデルは、曲線の変化傾向を予測するためのモデルであり、曲線特徴のロジックとデータの判断及び識別とを含み、これらの特徴によって曲線の大まかな輪郭を得ることができる。
【0067】
霧化シートを流れる電流は無負荷運転と非無負荷運転の状態で変化するので、本発明の実施形態に係る無負荷運転検出の判定結果の信頼性をさらに向上させるために、実際の霧化パラメータに対応する分散又は分散の平均値が分散プリセット値よりも大きい場合、実際の掃引曲線とプリセット掃引曲線とをさらに比較する。実際の掃引曲線がプリセット掃引曲線とマッチングしない場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する一方、実際の掃引曲線がプリセット掃引曲線とマッチングする場合、霧化シートが無負荷運転状態ではないと判断して、アトマイザーは通常動作を維持する。二重条件の設定により、無負荷運転検出方法の検出結果の精度がさらに向上する。
【0068】
一実施形態では、プリセット掃引曲線は、開始点、上昇傾向、及び下降傾向によって確立することができる。このプリセット掃引曲線は、同じ輪郭を有する一連の曲線の集合であり、1本の固定曲線ではない。
【0069】
一実施形態では、
図2に示すように、無負荷運転検出方法は、下記のステップS100をさらに含む。
【0070】
S100:霧化安定段階における霧化パラメータを取得し、霧化安定段階における霧化パラメータに従ってサンプル平均値を確定する。サンプル平均値は、霧化安定段階の霧化パラメータを取得して当該霧化パラメータの平均値を計算することにより得られる。その後、当該サンプル平均値から得られた分散に基づいて、アトマイザーの通常動作時の霧化パラメータからの実際の霧化パラメータの偏差度合いを正確に反映することができ、無負荷運転検出の判定結果の精度をさらに保証することができる。
【0071】
一実施形態では、
図5に示すように、霧化安定段階における霧化パラメータを取得し、霧化安定段階における霧化パラメータに従ってサンプル平均値を確定するステップS100は、下記のステップS120、S140をさらに含む。
【0072】
S120:霧化安定段階における第3プリセットサンプリング期間に、複数の霧化パラメータをサンプリングする。ここで、第3プリセットサンプリング期間は、霧化安定段階における一定の期間であり、事前にサンプリング回数及びサンプリング周波数を設定することにより適応的に選択することができる。例えば、2つの隣接するサンプリング間に設定された時間間隔が1Sであり、サンプリング回数が合計15回である場合、第3プリセットサンプリング期間は、霧化安定段階に入ったと判定されてから15回目のサンプリングが完了するまでの期間であり得る。第3プリセットサンプリング期間では、霧化パラメータを等時間間隔でサンプリングすることができる。
【0073】
S140:複数の霧化パラメータの平均値を計算し、その平均値をサンプル平均値とする。
【0074】
本発明の実施形態に係る無負荷運転検出方法では、第3プリセット期間を合理的に設定することにより、サンプル平均値の計算結果の信頼性を保証すると同時に、検出効率を向上することができる。
【0075】
一実施形態では、
図5に示すように、霧化安定段階における霧化パラメータを取得するステップS100の前に、下記のステップS10、S30をさらに含む。
【0076】
S10:第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得する。アトマイザーは安定する前に、霧化パラメータに変動がある。例えば、アトマイザーが起動した直後に、この期間の霧化パラメータに基づいて計算されたサンプル平均値がアトマイザーの安定作動時のパラメータを正確に反映できないことを避けるために、一定の期間内に収集された霧化パラメータの変化を観察することにより、アトマイザーが安定作動状態にあるか否かを判断することができる。
【0077】
S30:第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータがプリセット変動範囲において変化した場合、霧化安定段階にあると判定する。
【0078】
当該プリセット変動範囲は、霧化シートの具体的な種類によって設定可能であり、例えば、ある実施形態において、霧化電流を霧化パラメータとして選択して無負荷運転検出を行う場合、霧化安定電流値の±5%に設定され得る。第4プリセットサンプリング期間に収集された霧化パラメータが当該プリセット変動範囲内に含まれる場合、現在のアトマイザーが霧化安定段階にあると判定し、このように、サンプリングを続行してサンプル平均値を計算することができる。
【0079】
図2~
図3、
図5のフローチャートにおける各ステップは、矢印で示すように順次表示されているが、これらのステップは、必ずしも矢印で示された順序で実行されるとは限らないことを理解されたい。本明細書で別段の明記がない限り、これらのステップは、実行順序に厳しい制限がなく、他の順序で実行されてもよい。また、
図2~
図4及び
図5における少なくとも一部のステップは、複数のステップ又は複数の段階を含んでもよい。これらのステップ又は段階は、必ずしも同一の時刻で実行されるとは限らず、異なる時刻で実行されてもよい。これらのステップ又は段階の実行順序は、必ずしも順次に実行されるとは限らず、他のステップ又は他のステップにおけるステップ又は段階の少なくとも一部と順番又は交替で実行されてもよい。
【0080】
本発明の実施形態は、
図6に示すように、アトマイザーに適用される無負荷運転検出装置をさらに提供する。当該無負荷運転検出装置は、
霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する霧化パラメータの分散を計算するように構成された分散計算モジュール20と、
分散が分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するように構成された無負荷運転判定モジュール40と、を含み、
サンプル平均値は、アトマイザーの霧化安定段階における霧化パラメータのレベルを特徴付け得る値であり、分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とを区別するためのものである。
【0081】
一実施形態では、分散計算モジュール20は、
第1プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得し、サンプル平均値に対する各サンプリング時刻での霧化パラメータの分散を計算するように構成された複数回サンプリング分散計算ユニット22を含み、
第2プリセットサンプリング期間は、複数の独立した第1プリセットサンプリング期間を含み、無負荷運転判定モジュール40は、
第2プリセットサンプリング期間における各第1プリセットサンプリング期間にサンプリングされた霧化パラメータに対応する分散の平均値を計算するように構成された分散平均値取得ユニット42と、
前記分散の平均値が前記分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するように構成された第1無負荷運転判定ユニット44と、を含む。
【0082】
一実施形態では、無負荷運転検出装置の各機能ユニットがステップを実行するときに、使用される霧化パラメータは、霧化電流及び/又は霧化電圧ピーク値及び/又は霧化パワーを含む。
【0083】
一実施形態では、無負荷運転判定モジュール40は、
分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、掃引段階での霧化シートの実際の掃引曲線を取得するように構成された第1掃引曲線取得ユニット46と、
実際の掃引曲線がプリセット掃引曲線とマッチングしない場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するように構成された第2無負荷運転判定ユニット48と、を含み、
実際の掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの霧化パラメータの変化を反映するデータであり、プリセット掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの電流変化のロジスティック曲線モデルである。
【0084】
一実施形態では、無負荷運転判定モジュール40は、
分散の平均値が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、掃引段階での霧化シートの実際の掃引曲線を取得するように構成された第2掃引曲線取得ユニット45と、
実際の掃引曲線がプリセット掃引曲線とマッチングしない場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するように構成された第2無負荷運転判定ユニット48と、を含み、
実際の掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの霧化パラメータの変化を反映するデータであり、プリセット掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの電流変化のロジスティック曲線モデルである。
【0085】
一実施形態では、無負荷運転検出装置は、霧化安定段階における霧化パラメータを取得し、霧化安定段階における霧化パラメータに従ってサンプル平均値を確定するように構成されたサンプル平均値取得モジュール10をさらに含む。
【0086】
一実施形態では、サンプル平均値取得モジュール10は、
霧化安定段階における第3プリセットサンプリング期間に、複数の霧化パラメータをサンプリングするように構成された霧化安定パラメータ取得ユニット12と、
複数の霧化パラメータの平均値を計算し、その平均値をサンプル平均値とするように構成されたサンプル平均値確定ユニット14と、を含む。
【0087】
一実施形態では、無負荷運転検出装置は、
第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得するように構成された第4プリセット期間霧化パラメータ収集モジュール1と、
第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータがプリセット変動範囲において変化した場合、霧化安定段階にあると判定するように構成された霧化安定判定モジュール3と、を含む。
【0088】
無負荷運転検出装置の具体的な限定については、上記のような無負荷運転検出方法の限定を参照することができ、ここで、詳しい説明を省略する。上記無負荷運転検出装置における各モジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、及びそれらの組み合わせによって、全体的又は部分的に実現することができる。上記各モジュールは、ハードウェアの形でコンピュータデバイスのプロセッサに内蔵されてもそのプロセッサから独立して配置されてもよいし、ソフトウェアの形でコンピュータデバイスのメモリに格納されてもよく、このように、プロセッサが上記各モジュールに対応する操作を呼び出して実行することができる。なお、本発明の実施形態におけるモジュールの分割は例示的なものであり、論理的な機能分割に過ぎず、実際の実施では他の分割方法を採用することもできる。
【0089】
また、本発明の実施形態は、
図7に示すように、アトマイザーに適用されるアトマイザー無負荷運転保護方法をさらに提供する。当該無負荷運転保護方法は、上記無負荷運転検出方法を含み、下記のステップS900をさらに含む。
【0090】
S900:霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する場合、無負荷運転保護動作を実行する。
【0091】
ここで、無負荷運転保護動作とは、アトマイザーの無負荷運転を停止するように使用者に注意を喚起したり、アトマイザーの無負荷運転動作を直接停止したりすることができる動作を指す。例えば、無負荷運転保護動作は、アトマイザーに設けられた音声/光アラームを作動させるように制御することにより、試液を添加したりアトマイザーをオフにしたりするように使用者に注意を喚起する動作であってもよい。また、無負荷運転保護動作は、霧化無負荷運転情報を使用者の携帯電話などの端末に送信することにより、アトマイザーの作動状態を変更するように使用者に注意を喚起する動作であってもよい。例として、無負荷運転保護動作は、液体貯蔵部と霧化シートが位置している霧化チャンバとの間の連通チャネルを開くことにより、例えば、チャネルに設けられたバルブを開くことにより、液体貯蔵部に貯蔵された試液を速やかに霧化チャンバに導入し、霧化シートの無負荷運転状態を変化させ、さらに、霧化シートを保護する動作であってもよい。別の例として、無負荷運転保護動作は、アトマイザーを停止するように制御することにより、例えば、電源及びアトマイザーのコントローラの通路におけるスイッチをオフにすることにより、アトマイザーへの供電を停止することで霧化シートの作動を停止し、さらに、アトマイザーにおける各部品が損傷から保護する動作であってもよい。このように、長期間の無負荷運転による安全事故を防止することができる。
【0092】
霧化シートの無負荷運転を判定する実施プロセスについては、上記のような無負荷運転検出方法の実施形態の説明を参照することができ、ここで、詳しい説明を省略する。
【0093】
本発明の実施形態は、
図6に示すように、無負荷運転保護装置を提供する。当該無負荷運転保護装置は、
霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する霧化パラメータの分散を計算するように構成された分散計算モジュール20と、
分散が分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定するように構成された無負荷運転判定モジュール40と、
霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する場合、無負荷運転保護動作を実行するように構成された無負荷運転保護実行モジュール90と、を含み、
サンプル平均値は、アトマイザーの霧化安定段階における霧化パラメータのレベルを特徴付け得る値であり、分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とを区別するためのものである。
【0094】
無負荷運転保護装置の具体的な限定については、上記のような無負荷運転保護方法及び無負荷運転検出方法の限定を参照することができ、ここで、詳しい説明を省略する。上記無負荷運転保護装置における各モジュールは、ソフトウェア、ハードウェア、及びそれらの組み合わせによって、全体的又は部分的に実現することができる。上記各モジュールは、ハードウェアの形でコンピュータデバイスのプロセッサに内蔵されてもそのプロセッサから独立して配置されてもよいし、ソフトウェアの形でコンピュータデバイスのメモリに格納されてもよく、このように、プロセッサが上記各モジュールに対応する操作を呼び出して実行することができる。なお、本発明の実施形態におけるモジュールの分割は例示的なものであり、論理的な機能分割に過ぎず、実際の実施では他の分割方法を採用することもできる。当業者は、無負荷運転保護装置が上記無負荷運転検出装置の任意の有益な効果を達成できることを理解すべきである。
【0095】
また、本発明の実施形態は、
図8に示すように、アトマイザーを提供する。当該アトマイザーは、霧化シート820と、サンプリング回路840と、コントローラ860とを含む。ここで、霧化シート820は、霧化対象液を霧化するように構成されており、サンプリング回路840は、霧化シート820の霧化パラメータをサンプリングするように構成されており、コントローラ860は、霧化シート820及びサンプリング回路840にそれぞれ電気的に接続され、霧化シート820を駆動して振動させることにより霧化シート820で霧化対象液を霧化するように構成され、かつ、上記無負荷運転検出方法のステップ及び/又は上記無負荷運転保護方法のステップを実行するように構成されている。
【0096】
上記コントローラ860を備えたアトマイザーは、上記方法の実施形態におけるステップを実行し、分散の計算で気泡信号と無負荷運転信号との差異を増大させることにより、無負荷運転検出の精度を向上させ、気泡の発生による無負荷運転の誤検出を回避することができ、さらに、無負荷運転保護作動の実行精度を向上することができる。具体的な実施プロセスは、上記のような方法の実施形態の説明を参照することができ、ここで、詳しい説明を省略する。
【0097】
一実施形態では、
図8に示すように、当該アトマイザーにおけるコントローラ860は、駆動回路862とプロセッサ864とを含んでもよい。駆動回路862は、霧化シート820を駆動して振動させることにより霧化シート820で霧化対象液を霧化するように構成されており、プロセッサ864は、駆動回路862に接続され、駆動回路862から霧化シート820に出力される信号を調整、制御するように構成されている。プロセッサ864は、駆動信号を生成して、霧化シート820を共振周波数で作動させるように駆動回路862に指示することにより、大量のミストを発生し、アトマイザーの使用効果を向上することができる。当該駆動信号は、PWM駆動信号であってもよい。
【0098】
一実施形態では、霧化パラメータは、霧化電流及び/又は霧化電圧ピーク値及び/又は霧化パワーを含み、サンプリング回路840は、
入力端が霧化シート820に電気的に接続され、出力端がプロセッサ864に接続され、霧化電流をサンプリングするように構成された第1電流サンプリング回路842、及び/又は
入力端が駆動回路862の出力端に接続され、出力端がプロセッサ864に接続され、霧化電圧ピーク値をサンプリングするように構成された霧化電圧ピーク値サンプリング回路844、及び/又は
入力端が霧化に給電する電源880に接続され、出力端がプロセッサ864に接続され、霧化入力電圧をサンプリングするように構成された電圧サンプリング回路846と、入力端が電源880と駆動回路862との間に直列に接続され、霧化入力電流をサンプリングするように構成された第2電流サンプリング回路848と、を含み、
プロセッサ864は、さらに、霧化入力電圧及び霧化入力電流に基づいて霧化パワーを計算して取得するように構成されている。
【0099】
選択した霧化パラメータによって、異なるサンプリング回路を選択して霧化パラメータのサンプリングを実施し、そして、サンプリングされた霧化パラメータに基づいて分散の計算を行って、分散と分散プリセット値とを比較ことにより、無負荷運転検出を実現することができる。さらに、霧化シート820が無負荷運転状態になったと判定するときに、無負荷運転保護動作を実行することができる。複数の霧化パラメータを収集した場合、いずれかの霧化パラメータの分散が当該霧化パラメータの分散プリセット値よりも大きいと判断されたときに、霧化シート820が無負荷運転状態になったと判定するとともに無負荷運転保護動作を実行することができる。このようなマルチパラメータ検出方法は、あるサンプリング回路に障害が発生した場合であっても、アトマイザーの無負荷運転検出の有効性を保証し、アトマイザーの無負荷運転保護の信頼性を向上することができる。ここで、各サンプリング回路は、そのサンプリング信号をコントローラにおけるプロセッサにフィードバックすることができる。
【0100】
一実施形態では、アトマイザーは、コントローラ860に電力を供給する電源880をさらに含む。アトマイザーは、コントローラ860における駆動回路862及びプロセッサ864にマッチングする動作電圧を提供する電源880が配置されてもよい。電源880は、整流ユニット、第1電圧変換ユニット、及び第2電圧変換ユニットを含んでもよい。整流ユニットは、外部交流を直流に変換し、第1電圧変換ユニット及び第2電圧変換ユニットにそれぞれ送電するように構成されている。第1電圧変換ユニットは、受電した直流に対して電圧変換を行って、駆動回路862の動作電圧、例えば、12Vの電圧を生成する。第2電圧変換ユニットは、受電した直流に対して電圧変換を行って、プロセッサ864の動作電圧、例えば、5Vの電圧を生成する。このように、駆動電圧及びプロセッサ864の動作電圧の要件を満たすことができる。一実施形態では、電源880は、アトマイザーの作動信頼性を向上させるために、冗長設計を採用してもよい。
【0101】
一実施形態では、第1電圧変換ユニットは調整可能な昇圧回路であってもよく、駆動回路は当該調整可能な昇圧回路及びプロセッサのコントローラで霧化シートを作動させるように駆動する。
【0102】
一実施形態では、アトマイザーは、霧化対象液を収容するように構成され、内部に霧化シート820が設けられた霧化チャンバ890と、霧化対象液を貯蔵するように構成されて霧化チャンバ890と連通している液体貯蔵チャンバが形成された液体貯蔵部891とをさらに含む。霧化チャンバ890及び液体貯蔵部891の形状は、霧化対象液を収容できれば、特に限定されない。霧化チャンバ890と液体貯蔵部891との連通配置により、霧化シート820が接触する霧化対象液が多すぎて霧化効果に影響を与えることを回避できる。上記の実施形態のように、無負荷運転検出により、無負荷運転判定時に液体貯蔵部891と霧化チャンバ890との間の連通チャネルを開いて液体貯蔵部891における霧化対象液を霧化チャンバ890に導入して充填することができ、霧化効果を保証すると同時に無負荷運転を回避することができる。
【0103】
一実施形態では、コンピュータデバイスを提供する。当該コンピュータデバイスは、内部構造図が
図9に示すような端末であってもよい。コンピュータデバイスは、システムバスによって接続されたプロセッサ、メモリ、通信インターフェース、表示パネル、及び入力装置を含む。ここで、コンピュータデバイスのプロセッサは、計算及び制御機能を提供するように構成されている。コンピュータデバイスのメモリは、不揮発性記憶媒体、内部メモリを含む。その不揮発性記憶媒体には、オペレーティングシステム及びコンピュータプログラムが格納されている。内部メモリは、不揮発性記憶媒体におけるオペレーティングシステム及びコンピュータプログラムを実行するための環境を提供する。コンピュータデバイスの通信インターフェースは、外部端末と有線通信、又はWIFI、オペレータネットワーク、NFC(Near Field Communication)又は其他技術で実現可能な無線通信を行うように構成されている。コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されることにより、無負荷運転検出方法又は無負荷運転保護方法を実施する。コンピュータデバイスの表示パネルは、液晶表示パネル又は電子インク表示パネルであってもよく、コンピュータデバイスの入力装置は、表示パネルに被覆されたタッチ層であってもよく、コンピュータデバイスのケーシングに設けられたボタン、トラックボール、又はタッチパッドであってもよく、外付けのキーボード、タッチパッド又はマウスなどであってもよい。例えば、アトマイザーのケーシングにはタッチスクリーンが設けられており、このタッチスクリーンによって分散プリセット値を設定することができ、このように、具体的なタイプの霧化溶液の無負荷運転検出要件に対応することができ、さらに、無負荷運転検出結果の精度を向上することができる。
【0104】
図9に示される構造は、本発明の解決策に関連する部分的な構造のブロック図に過ぎず、本発明の解決策が適用されるコンピュータデバイスに対する限定を構成するものではない。具体的なコンピュータデバイスは、図面の例示よりも多い又は少ない部材を含んでもよく、あの部材を組み合わせてもよく、異なる部材の配置を有してもよいことが当業者に理解されるべきである。
【0105】
一実施形態では、コンピュータデバイスを提供する。当該コンピュータデバイスは、コンピュータプログラムが格納されたメモリと、コンピュータプログラムを実行して下記のステップS200、S400を実施するプロセッサとを含む。
【0106】
S200:霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する霧化パラメータの分散を計算する。ここで、サンプル平均値は、アトマイザーの霧化安定段階における霧化パラメータのレベルを特徴付け得る値である。
【0107】
S400:分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する。ここて、分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とを区別するためのものである。
【0108】
一実施形態では、プロセッサがコンピュータプログラムを実行するときに、
霧化シート無負荷運転時の霧化パラメータを取得し、霧化シート無負荷運転時の霧化パラメータに対応する無負荷運転信号分散を計算するステップと、
霧化シートが霧化対象液に接触して気泡を発生させるときの霧化パラメータを取得し、霧化シートが霧化対象液に接触して気泡を発生させた瞬間に生成される霧化パラメータに対応する気泡信号分散を計算するステップと、
当該気泡信号分散よりも大きくかつ当該無負荷運転信号分散よりも小さい値を分散プリセット値として選択するステップと、をさらに実施する。
【0109】
一実施形態では、プロセッサがコンピュータプログラムを実行するときに、
複数回の試験を行った後、各試験で得られた気泡信号分散よりも大きくかつ各試験で得られた無負荷運転信号分散よりも小さい値を分散プリセット値として選択するステップをさらに実施する。
【0110】
一実施形態では、プロセッサがコンピュータプログラムを実行するときに、
各霧化対象液の試験を行うときの気泡信号分散及び無負荷運転信号分散を取得することにより、そのシナリオで各霧化対象液の試験で得られた気泡信号分散よりも大きくかつ各霧化対象液の試験で得られた無負荷運転信号分散よりも小さい値を分散プリセット値として確定するステップをさらに実施する。
【0111】
一実施形態では、プロセッサがコンピュータプログラムを実行するときに、下記のステップS220、S420、S440をさらに実施する。
【0112】
S220:第1プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得し、サンプル平均値に対する各サンプリング時刻での霧化パラメータの分散を計算する。
【0113】
S420:第2プリセットサンプリング期間における各第1プリセットサンプリング期間にサンプリングされた霧化パラメータに対応する分散の平均値を計算する。第2プリセットサンプリング期間は、少なくとも1つの第1プリセットサンプリング期間を含む。
【0114】
S440:前記分散の平均値が前記分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する。
【0115】
一実施形態では、プロセッサがコンピュータプログラムを実行するときに、下記のステップS460、S480をさらに実施する。
【0116】
S460:分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、掃引段階での霧化シートの実際の掃引曲線を取得する。ここで、実際の掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの霧化パラメータの変化を反映するデータである。
【0117】
S480:実際の掃引曲線がプリセット掃引曲線とマッチングしない場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する。ここで、プリセット掃引曲線は、霧化シートがプリセット周波数範囲で作動するときの電流変化のロジスティック曲線モデルである。
【0118】
一実施形態では、プロセッサがコンピュータプログラムを実行するときに、下記のステップS100をさらに実施する。
【0119】
S100:霧化安定段階における霧化パラメータを取得し、霧化安定段階における霧化パラメータに従ってサンプル平均値を確定する。
【0120】
一実施形態では、プロセッサがコンピュータプログラムを実行するときに、下記のステップS120、S140をさらに実施する。
【0121】
S120:霧化安定段階における第3プリセットサンプリング期間に、複数の霧化パラメータをサンプリングする。ここで、第3プリセットサンプリング期間は、霧化安定段階における一定の期間であり、事前にサンプリング回数及びサンプリング周波数を設定することにより適応的に選択することができる。
【0122】
S140:複数の霧化パラメータの平均値を計算し、その平均値をサンプル平均値とする。
【0123】
一実施形態では、プロセッサがコンピュータプログラムを実行するときに、下記のステップS10、S30をさらに実施する。
【0124】
S10:第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータを取得する。
【0125】
S30:第4プリセットサンプリング期間における霧化パラメータがプリセット変動範囲において変化した場合、霧化安定段階にあると判定する。
【0126】
一実施形態では、プロセッサによって実行されるときに下記のステップS200、S400を実行するコンピュータプログラムが格納された、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0127】
S200:霧化シートの霧化パラメータをリアルタイムで取得し、サンプル平均値に対する霧化パラメータの分散を計算する。ここで、サンプル平均値は、アトマイザーの霧化安定段階における霧化パラメータのレベルを特徴付け得る値である。
【0128】
S400:分散が霧化パラメータに対応する分散プリセット値よりも大きい場合、霧化シートが無負荷運転状態になったと判定する。ここて、分散プリセット値は、霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動と非霧化無負荷運転によって引き起こされる霧化パラメータの変動とを区別するためのものである。
【0129】
上記実施形態の方法中におけるプロセスの全部又は一部は、コンピュータプログラムで関連するハードウェアに指示することによって実施可能であり、上記コンピュータプログラムは、非揮発性のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてもよく、実行時に上記各方法の実施形態におけるプロセスを含んでもよいことが当業者に理解される。ここで、本発明に係る各実施形態で使用されたメモリ、格納、データベース又は他の媒体に対する如何なる参照は、不揮発性及び揮発性メモリのうちの少なくとも1つを含んでもよい。不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory,ROM)、磁気テープ、フロッピーディスク、フラッシュメモリ、又は光メモリなどを含んでもよい。揮発性メモリは、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory,RAM)又は外部キャッシュメモリなどを含んでもよい。限定ではなく例示として、RAMは、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory,SRAM)又はダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory,DRAM)などの様々な形態であってもよい。
【0130】
本明細書の説明では、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」、「理想的な実施形態」などの用語の説明は、意指当該実施形態又は例示的な説明を参考して説明される具体的な特徴、構造、材料、又は特徴が包含于本発明の少なくとも1つの実施形態又は例示に含まれることを意味する。本明細書では、上記した用語の概略説明は、必ずしも同じ実施形態又は例示を指すとは限らない。
【0131】
本発明の実施形態に係る上記方法、装置及びアトマイザーは、医薬、美容及び他の分野、特にエッセンスのような霧化時に気泡が発生しやすい液体ゾルの使用シナリオに適用可能である。本発明の実施形態に係る上記解決策は、高精度の無負荷運転検出を保証可能であり、それにより、気泡信号の干渉によるアトマイザーの頻繁な停止を回避することができ、これに基づいて、アトマイザーの作動安定性及び使用者の体験を向上することができる。
【0132】
上記した実施形態の各技術的特徴は、任意に組み合わせることができる。説明を簡潔にするために、上記の実施形態における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせが説明されていない。しかしながら、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、それは本明細書の範囲にあるものとみなされるべきである。
【0133】
上記した実施形態は、本発明のいくつかの実施形態を示すものであり、その説明が詳細で具体的であるが、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。なお、本発明の思想を逸脱しない範囲において、当業者が、複数の変形及び改良をしても、本発明の保護範囲に属するものである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に基づくものである。