(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-04
(45)【発行日】2024-01-15
(54)【発明の名称】通信装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/06 20060101AFI20240105BHJP
H01Q 13/08 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
H01Q3/06
H01Q13/08
(21)【出願番号】P 2022132559
(22)【出願日】2022-08-23
【審査請求日】2022-08-23
(32)【優先日】2022-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502160992
【氏名又は名称】宏達國際電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 政宏
(72)【発明者】
【氏名】王 嗣伯
(72)【発明者】
【氏名】簡 嘉▲徳▼
(72)【発明者】
【氏名】王 俊傑
(72)【発明者】
【氏名】李 岡陵
(72)【発明者】
【氏名】李 俊賢
(72)【発明者】
【氏名】邱 ▲ゆ▼潔
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-165628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/00- 3/28
H01Q 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
非導電性のトラックと、
前記非導電性のトラック上に設置されるアンテナ素子と、
第一回転輪、および、
第二回転輪、を有し、
前記第一回転輪、および、前記第二回転輪は、制御信号にしたがって、前記非導電性のトラックを駆動して、前記アンテナ素子の位置を調整
し、
前記アンテナ素子は、メイン放射素子を有し、
前記メイン放射素子は、長方形、あるいは、正方形の形状を有することを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記通信装置は、ほぼ全方向性の放射パターンを提供することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記非導電性のトラックは、ゴム状物質で形成されることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御信号を生成する制御モーター素子を、さらに有することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項5】
前記非導電トラックを制御することにより、前記制御モーター素子は、前記アンテナ素子に、上方放射パターン、下方放射パターン、左方放射パターン、および、右方放射パターンを生成させることを特徴とする請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記アンテナ素子は、パッチアンテナであることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
前記アンテナ素子は、動作周波数バンドが2400MHz~2500MHzをカバーすることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項8】
前記アンテナ素子の長さは、実質上、動作周波数バンドの波長の0.5倍に等しいことを特徴とする請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記アンテナ素子は、ミリ波(Millimeter Wave)周波数バンドをカバーすることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項10】
信号源、および、
ケーブル、をさらに有し、前記信号源は、前記ケーブルにより、前記アンテナ素子に結合されることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項11】
閉ループ形状を有する接地素子をさらに有し、前記接地素子は、前記非導電性のトラックにより囲まれることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
前記アンテナ素子は、カップリングフィーディングアンテナであることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項13】
信号源、
前記信号源に結合され、前記メイン放射素子に隣接するカップリングフィーディング素子、および、
前記信号源、および、前記カップリングフィーディング素子が設置される誘電体基板、
をさらに有することを特徴とする請求項
1に記載の通信装置。
【請求項14】
前記カップリングフィーディング素子は、複数のフィーディング分岐を有することを特徴とする請求項
13に記載の通信装置。
【請求項15】
前記カップリングフィーディング素子はさらに、スイッチ回路を有し、前記フィーディング分岐の一つを選択的に用いることを特徴とする請求項
14に記載の通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置に関するものであって、特に、通信装置、および、アンテナ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信技術の発展に伴い、モバイル機器、たとえば、携帯型パソコン、携帯電話、マルチメディアプレーヤー、および、その他のハイブリッド機能の携帯用電子機器は、さらに普及している。利用者の要求を満たすため、モバイル機器は、通常、無線通信機能を有する。ある装置は、大きい無線通信領域をカバーし、たとえば、携帯電話は、2G、3G、および、LTE(Long Term Evolution)システム、および、周波数バンド700MHz、850MHz、900MHz、1800MHz、1900MHz、2100MHz、2300MHz、および、2500MHzを用いて通信する。ある装置は、小さい無線通信領域をカバーし、たとえば、Wi-Fi、および、ブルートゥースシステムは、周波数バンド2.4GHz、5.2GHz、および、5.8GHzを用いて通信する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
無線アクセスポイント(Wireless access point)は、室内のモバイル機器を、高速にインターネットに接続するのに不可欠な素子である。しかし、室内環境は、信号反射、および、マルチパスフェーディング(multipath fading)の重大な問題を有するので、無線アクセスポイントは、各種送信方向からの信号を同時に処理しなければならない。したがって、無線アクセスポイントの限定空間で、全方向性(omnidirectional)アンテナシステムを設計することが、現代の設計者にとって重要な課題になっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
好ましい実施形態において、本発明は、非導電性のトラック、アンテナ素子、第一回転輪(first turning wheel)、および、第二回転輪を有する通信装置を提案する。アンテナ素子は、非導電性のトラック上に設置される。第一回転輪、および、第二回転輪は、制御信号にしたがって、非導電性のトラックを駆動し、アンテナ素子の位置を調整する。
【0005】
いくつかの実施形態において、通信装置は、ほぼ全方向性の放射パターンを提供する。
【0006】
いくつかの実施形態において、非導電性のトラックは、ゴム状物質で形成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、通信装置はさらに、制御モーター素子を有し、制御信号を生成する。
【0008】
いくつかの実施形態において、非導電トラックを制御することにより、制御モーター素子は、アンテナ素子に、上方放射パターン、下方放射パターン、左方放射パターン、および、右方放射パターンを生成させる。
【0009】
いくつかの実施形態において、アンテナ素子は、パッチアンテナである。
【0010】
いくつかの実施形態において、アンテナ素子は、2400MHz~2500MHzの動作周波数バンドをカバーする。
【0011】
いくつかの実施形態において、アンテナ素子の長さは、周波数バンドの波長のほぼ、0.5倍に等しい。
【0012】
いくつかの実施形態において、アンテナ素子は、ミリ波(Millimeter Wave)の周波数バンドをカバーする。
【0013】
いくつかの実施形態において、通信装置はさらに、信号源、および、ケーブルを有する。信号源は、ケーブルにより、アンテナ素子に結合される。
【0014】
いくつかの実施形態において、通信装置はさらに、接地素子を有する。接地素子は閉ループ形状を有する。接地素子は、非導電性のトラックにより囲まれる。
【0015】
いくつかの実施形態において、アンテナ素子は、カップリングフィーディングアンテナである。
【0016】
いくつかの実施形態において、アンテナ素子は、メイン放射素子を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、メイン放射素子は、長方形、あるいは、正方形の形状を有する。
【0018】
いくつかの実施形態において、通信装置はさらに、信号源、カップリングフィーディング素子(coupling feeding element)、および、誘電体基板を有する。カップリングフィーディング素子は、信号源に結合される。カップリングフィーディング素子は、メイン放射素子に隣接する。信号源、および、カップリングフィーディング素子は、誘電体基板上に設置される。
【0019】
いくつかの実施形態において、カップリングフィーディング素子は、複数のフィーディング分岐を有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、カップリングフィーディング素子はさらに、スイッチ回路を有して、フィーディング分岐のひとつを選択的に用いる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の可動アンテナ素子を有する新規の通信装置により、従来の設計と比較して、ほぼ全方向性の特徴、小さいサイズ、広帯域幅、および、低い複雑性の長所を有し、よって、本発明は、各種装置の応用に適する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例は、図面と後続の詳細を参照すると、より十分に理解できる。
【0023】
【
図1A】本発明の一実施形態による通信装置の立体図である。
【
図1B】本発明の一実施形態による通信装置の動作を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態による通信装置の断面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による通信装置の立体図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による通信装置の断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による通信装置のアンテナ素子のリターンロスを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による通信装置の立体図である。
【
図6】本発明の別の実施形態によるカップリングフィーディング素子の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の目的、特徴、および、長所をさらに分かりやすくするため、本発明の実施形態、および、図面を以下で詳細に説明する。
【0025】
明細書、および、請求範囲において使用される、ある用語は、特定の素子を指す。当業者なら理解できるように、製造者は、異なる名称で、同一の素子を呼称する。本明細書、および、請求範囲は、名称の差異によって、素子を区分することを意図しない。以下の記述、および、請求項において、用語「含む」および「有する」は制限のない方式(open-ended fashion)の用語であり、よって、「含んでいるが、制限されない」ことを意味すると解釈されるべきである。用語「実質上」は、値が許容可能な誤差範囲にあることを意味する。当業者は、所定の誤差範囲内で、技術問題を解決し、提案される技術パフォーマンスを達成することができる。また、用語「結合」は、間接、あるいは、直接的な電気接続を意味する。よって、一装置が別の装置に結合される場合、その接続は、直接的な電気接続によるもの、あるいは、別の装置、および、接続による間接的な電気接続である。
【0026】
以下の開示は、多くの異なる実施形態、あるいは、例を提供して、提供される主題の異なる特徴を実施する。特定の例のコンポーネンツ、および、配置が以下で記載されて、本発明を簡潔にする。これらは、もちろん、単なる例であり、限定することを意図しない。たとえば、記載中の、第一特徴が第二特徴上に形成されるというのは、第一特徴、および、第二特徴が直接接触して形成される実施形態を有し、また、追加特徴が、第一特徴と第二特徴間に形成され、第一特徴、および、第二特徴が直接接触していない実施形態も有している。
【0027】
さらに、記述を容易にするために、空間的相対用語、たとえば、「下」、「下方」、「下部」、「上」、「上方」、「上部」等が用いられて、図面中で説明される一素子、あるいは、特徴ともう一つの素子、あるいは、特徴間の関係を記述する。空間的相対用語は、図面中で示される方位に加えて、使用中、あるいは、動作中の装置の異なる方位を包含することを目的とする。装置は正しい方向に置かれ(90度、あるいは、その他の方位で回転)、且つ、ここで用いられる空間的相対記述子は同様に解釈される。
【0028】
図1Aは、本発明の一実施形態による通信装置100の立体図である。通信装置100は、無線アクセスポイント、あるいは、モバイル装置、たとえば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、あるいは、ノート型コンピュータに適用される。
図1Aの実施形態において、通信装置100は、非導電性のトラック110、アンテナ素子120、第一回転輪130、および、第二回転輪140を有する。アンテナ素子120は、金属材料、たとえば、銅、銀、アルミニウム、鉄、あるいは、それらの合金で形成される。理解すべきことは、
図1A中で表示されていないが、通信装置100はさらに、その他の素子、たとえば、プロセッサ、タッチ制御パネル、スピーカー、電源モジュール、および/または、ハウジングを有することである。
【0029】
たとえば、非導電性のトラック110は、ゴム状物質で形成され、且つ、実質上、ループ形状を有する。アンテナ素子120は、非導電性のトラック110の外側表面上に設置、あるいは、固定される。アンテナ素子120の形状とタイプは、本発明において、制限されない。たとえば、アンテナ素子120は、パッチアンテナ、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナ、ループアンテナ、PIFA(Planar Inverted F Antenna)、あるいは、チップアンテナである。
【0030】
図1Bは、本発明の一実施形態による通信装置100の動作を示す図である。
図1Bの実施形態において、第一回転輪130、および、第二回転輪140は、制御信号SCにしたがって、非導電性のトラック110を駆動して、アンテナ素子120の位置を調整することができる。これにより、アンテナ素子120の位置を適当に変化させることにより、通信装置100は、ほぼ全方向性の放射パターン(radiation pattern)150を提供することができる。つまり、アンテナ素子120の放射パターン150のメインビーム(main beam)は、調整可能な方向を有する。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態による通信装置200の断面図である。
図2は
図1Aに類似する。
図2の実施形態において、通信装置200はさらに、制御モーター素子260を有して、前述の制御信号SCを生成するとともに、それを、第一回転輪130、および、第二回転輪140に送信する。第一回転輪130、第二回転輪140、および、非導電性のトラック110を制御することにより、制御モーター素子260は、アンテナ素子120に、上方放射パターン151、下方放射パターン152、左方放射パターン153、および、右方放射パターン154を生成させることができる。しかし、本発明は、それらに制限されない。その他の実施形態において、通信装置200のアンテナ素子120は、さらに多くの異なる方向の放射パターンを提供することができる。
図2の通信装置200のその他の特徴は、
図1Aと
図1Bの通信装置100に類似する。これにより、二個の実施形態は、同じレベルのパフォーマンスを達成することができる。
【0032】
図3Aは、本発明の一実施形態による通信装置300の立体図である。
図3Aは
図1Aに類似する。
図3Aの実施形態において、通信装置300はさらに、ケーブル370、および、信号源390を有する。信号源390は、ケーブル370により、アンテナ素子120に結合される。たとえば、ケーブル370は、同軸ケーブルであり、且つ、信号源390は、RF(Radio Frequency)モジュールで、アンテナ素子120を励起する。注意すべきことは、ケーブル370の長さは十分でなければならないことである。よって、アンテナ素子120は、非導電性のトラック110により移動され、フィーデイングメカニズムを妨害しない。いくつかの実施形態において、ケーブル370は、非導電性のトラック110のスロットライン領域115に沿って設置されるとともに、第一回転輪130、あるいは、第二回転輪140を用いてスクロールされる。
【0033】
図3Bは、本発明の一実施形態による通信装置300の断面図である。
図3Bの実施形態において、通信装置300はさらに、金属材料で形成される接地素子380を有する。接地素子380は、閉ループ形状を有する。接地素子380は、非導電性のトラック110により囲まれる。たとえば、接地素子380は、非導電性のトラック110の内側表面に設置されるか、あるいは、取り付けられる。接地素子380は、アンテナ素子120に隣接する。非導電性のトラック110は、アンテナ素子120と接地素子380間に位置する。注意すべきことは、本開示における「近接」や「接近」という用語は、二個の対応する素子間の距離(空間)が、所定距離である(たとえば、10mm、あるいは、それより短い)ことを意味する、あるいは、二個の対応する素子が直接、互いに接触する(すなわち、前述の距離/空間が0に減少する)ことを意味する。実用的測定法にしたがって、接地素子380の組み込みは、アンテナ素子110の放射利得を増加させるのを助ける。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態による通信装置300のアンテナ素子120のリターンロス(return loss)を示す図である。水平軸は、動作周波数(MHz)を示し、垂直軸は、リターンロス(dB)を示す。
図4に示されるように、第一曲線CC1は、通信装置300の上下方向に移動する時のアンテナ素子120の動作特性を示し、第二曲線CC2は、通信装置300の左右方向に移動する時のアンテナ素子120の動作特性を示す。
図4の測定によると、通信装置300のアンテナ素子120は、アンテナ位置にかかわらず、動作周波数バンドFB1をカバーする。たとえば、動作周波数バンドFB1は、2400MHz~2500MHzの範囲である。よって、通信装置300のアンテナ素子120は、少なくとも、WLAN(Wireless Local Area Network)2.4GHz帯の超広帯域動作をサポートすることができる。このほか、前述の動作周波数バンドFB1において、アンテナ素子120の放射利得は、少なくとも、5.5dBiに達する。しかし、本発明は、それらに制限されない。その他の実施形態において、アンテナ素子120は、ミリ波(Millimeter Wave)の周波数バンドをカバーし、次世代5G(5th Generation Wireless Systems)の超広帯域動作をサポートする。素子寸法に関し、アンテナ素子120の長さL1は、実質上、動作周波数バンドFB1の波長(λ)の0.5倍の大きさに等しく、アンテナ素子120の幅W1は、実質上、アンテナ素子120の長さL1より大きい、あるいは、それに等しい。
図3Aと
図3Bの通信装置300の別の特徴は、
図1Aと
図1Bの通信装置100に類似する。これにより、二個の実施形態は、同じレベルのパフォーマンスを達成することができる。
【0035】
図5は、本発明の一実施形態による通信装置500の立体図である。
図5は
図1Aに類似する。
図5の実施形態において、通信装置500のアンテナ素子520は、カップリングフィーディングアンテナであり、且つ、通信装置500は、どんなケーブルも必要としない。アンテナ素子520は、メイン放射素子(main radiation element)525を有する。たとえば、メイン放射素子525は、長方形、あるいは、正方形の形状を有するが、それらに制限されない。このほか、通信装置500はさらに、カップリングフィーディング素子(coupling feeding element)570、信号源590、および、誘電体基板595を有する。カップリングフィーディング素子570は、信号源590に結合される。カップリングフィーディング素子570は、メイン放射素子525に隣接する。カップリングギャップGC1は、メイン放射素子525とカップリングフィーディング素子570間に形成されるので、アンテナ素子520は、カップリングメカニズムを用いて、カップリングフィーディング素子570により励起される。特に、カップリングフィーディング素子570は、複数のフィーディング分岐(feeding branch)571、572、573、および、574を有し、実質上、互いに平行な複数の直線形状を有する。フィーディング分岐571、572、573、および、574は、アンテナ素子520の異なる位置に対応し、これにより、カップリングフィーディング素子570とメイン放射素子525間のカップリング量を増加させる。理解すべきことは、フィーディング分岐571、572、573、および、574の数量と配置は、要求によって調整可能であることである。誘電体基板595は、FR4(Flame Retardant 4)基板、PCB(Printed Circuit Board)、あるいは、FPC(Flexible Printed Circuit)である。信号源590、および、カップリングフィーディング素子570は、誘電体基板595上に設置される。このような設計により、ケーブルの使用の必要がないので、通信装置500のアンテナ素子520は、非導電性のトラック110により円滑に移動され、その総製造コストがさらに減少する。
図5の通信装置500のその他の特徴は、
図1Aと
図1Bの通信装置100に類似する。これにより、二個の実施形態は、同じレベルのパフォーマンスを達成することができる。
【0036】
図6は、本発明の別の実施形態によるカップリングフィーディング素子670の上視図である。カップリングフィーディング素子670は、前述の通信装置500に応用可能である。
図6の実施形態において、カップリングフィーディング素子670は、複数のフィーディング分岐671、672、673、および、674、および、スイッチ回路680を有する。特に、スイッチ回路680は、選択信号SEにしたがって、フィーディング分岐671、672、673、および、674間で切り換え可能であり、フィーディング分岐671、672、673、および、674の一つを選択的に使用する。たとえば、選択信号SEは、ユーザー入力(図示しない)にしたがって、プロセッサにより生成される。このような設計により、カップリングフィーディング素子670は、選択されたフィーディング分岐(相関するアンテナ素子に最も接近する分岐)上で、信号源590の出力電力を集中させることができ、これにより、相関するアンテナ素子の放射効率(radiation efficiency)を増加させる。その他の実施形態において、選択信号SEは、制御モーター素子260の制御信号SCにしたがって、適当に調整される。
【0037】
本発明は、可動アンテナ素子を有する新規の通信装置を提案する。従来の設計と比較して、本発明は少なくとも、ほぼ全方向性の特性、小さいサイズ、広帯域幅、および、低い複雑性の長所を有する。これにより、本発明は、各種装置の応用に適する。
【0038】
注意すべきことは、上記の素子サイズ、素子形状、および、周波数範囲は、本発明に制限されないことである。設計者は、これらの設定を微調整して、特定の要求に符合させることができる。理解すべきことは、本発明の通信装置は、
図1~
図6の配置に制限されないことである。本発明は、
図1~
図6の任意の一つ以上の特徴を有する。つまり、図示される特徴全てが、本発明の通信装置中で実施されるのではない。
【0039】
明細書、および、請求範囲中の序数、たとえば、「第一」、「第二」、「第三」等は、互いの間に、順序上の前後関係はなく、二個の相同の名称の異なる素子を区分するために用いられる。
【0040】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の思想を脱しない範囲内で各種の変形を加えることができる。
【符号の説明】
【0041】
100、300、500…通信装置
110…非導電性のトラック
115…スロットライン領域
120、520…アンテナ素子
130…第一回転輪
140…第二回転輪
150…放射パターン
151…上方放射パターン
152…下方放射パターン
153…左方放射パターン
154…右方放射パターン
260…制御モーター素子
370…ケーブル
380…接地素子
390…信号源
570…カップリングフィーディング素子
571~574…フィーディング分岐
590…信号源
595…誘電体基板
670…カップリングフィーディング素子
671~674…フィーディング分岐
680…スイッチ回路